JP6524748B2 - ガラス積層体、電子デバイス用基板、及び有機電子デバイス - Google Patents

ガラス積層体、電子デバイス用基板、及び有機電子デバイス Download PDF

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Description

本発明は、有機電子デバイス用基板に用いることができる、支持板を含むガラス積層体に関し、ガラス積層体上にデバイスを形成する工程において剥離、気泡が生じることなく、デバイス形成後であっても支持板を容易に剥離できるガラス積層体に関する。
近年、有機ELパネル、太陽電池、薄膜二次電池等の電子デバイス(電子部品)の薄型化、軽量化が進行しており、これらの電子デバイスに用いられるガラス基板の薄板化が進行している。しかしながら、薄板化によりガラス基板の強度が低下すると、ガラス基板のハンドリング性が悪化するという問題があった。また、ハンドリング性の観点から、ガラス基板の代わりに、樹脂基板を用いることも可能であるが、樹脂基板は、耐薬品性、耐透湿性、耐熱性等に問題があった。
そこで、最近では、薄板ガラスに透明樹脂を積層させて、ハンドリング性を向上させた可視光透過性に優れた薄板ガラス積層体が用いられている。
一方で、薄板ガラス積層体は剛直性が不十分であるため、通常のガラス基板の使用を前提としたデバイス形成工程を適用することは難しい。そこで、支持体と薄板ガラス積層体を積層させて剛性を向上させる試みが提案されている。
例えば、特許文献1には、剛直板と、ハードコート層と、少なくとも1層の可撓性シートをこの順に有する素子作製工程用基板が開示され、素子作製時のダメージ及び汚染が少なく、かつ搬送性に優れる積層基板が開示されている。
また、特許文献2には、支持基板、剥離性シリコーン樹脂、フレキシブル基材を有する積層構造体が開示され、耐熱性に優れ、密着したフレキシブル基材とその支持体とを容易に分離できる積層構造体が開示されている。
特開2009−265215号公報 国際公開2011/024690号パンフレット
薄板ガラス積層体と支持板を積層させることで、薄板ガラスではない通常のガラス基板を前提としたデバイス形成工程を適合できることとなるが、一方で、デバイス形成工程後に支持板を剥離する必要がある。上記文献には、支持板を剥離することを容易にするために、剥離性を有する樹脂等を使用した技術が開示されているが、一方でデバイス形成の際の熱処理等により、樹脂層が剥離する、ガラス積層体中に気泡が生じる、デバイス形成後に剥離できない、などの新たな問題が生じることを、本発明者らは見出した。本発明は、このような問題を解決するものである。
本発明者らは上記の課題に鑑みて鋭意検討した結果、デバイス基板となる薄板ガラスと、支持板との間に2層の樹脂層を有し、この樹脂層が特定の剥離強度の関係を充足することで、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は以下のとおりである。
[1]支持板、樹脂層A、樹脂層B、及び薄板ガラスをこの順に備えるガラス積層体であって、
前記樹脂層Aと前記樹脂層Bとの間の剥離強度が、前記薄板ガラスと前記樹脂層Bとの間の剥離強度よりも低く、
前記樹脂層Aは、前記樹脂層Bに対する易剥離性を有し、且つ
ガラス積層体を230℃で1時間熱処理した前後において、樹脂層Aと樹脂層Bとの間の剥離強度の変化率(=熱処理後の剥離強度/熱処理前の剥離強度)が、4以下であることを特徴とするガラス積層体。
[2]前記樹脂層Aの23℃における引張弾性率が、10MPa以上であることを特徴とする[1]に記載のガラス積層体。
[3]前記樹脂層A及び前記樹脂層Bの5%重量減少温度が300℃以上であることを特徴とする[1]又[2]に記載のガラス積層体。
[4]前記樹脂層Aと前記樹脂層Bとの間の剥離強度が、前記支持板と前記樹脂層Aとの間の剥離強度よりも低いことを特徴とする[1]〜[3]の何れかに記載のガラス積層体。
[5]230℃、1時間熱処理後の樹脂層Aと樹脂層Bとの間の剥離強度が0.1N/50mm以上、2.0N/50mm未満であることを特徴とする[1]〜[4]の何れかに記載のガラス積層体。
[6]前記樹脂層Aが、硬化性組成物からなる層を硬化させて得られる層であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載のガラス積層体。
[7][1]〜[6]のいずれかに記載のガラス積層体から、樹脂層A及び支持板を剥離して得られる電子デバイス用基板。
[8][1]〜[6]のいずれかに記載のガラス積層体、又は[7]に記載の電子デバイス用基板を含む、有機電子デバイス。
本発明によれば、デバイス形成工程において、真空、加熱などの外部環境の変化や洗浄等による物理的刺激があっても、樹脂層の剥離や気泡の発生が生ぜず積層構造を維持することができ、また、デバイス形成後においても良好な剥離性を維持することができる。
本発明の一実施形態に係るガラス積層体の断面模式図である。
以下、本発明に係るガラス積層体、さらにそれらを構成する材料について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
本発明の実施形態に係るガラス積層体は、支持板、樹脂層A、樹脂層B、及び薄板ガラスをこの順に備える。以下、ガラス積層体を構成する各材料について説明する。
<支持板>
支持板としては、例えば、ガラス板、樹脂板、SUS板などの金属板などが用いられる。通常、電子デバイス形成工程においては加熱処理を伴うため、支持板は、主に薄板ガラスとの線膨張係数の差の小さい材料で形成されることが好ましく、薄板ガラスと同一材料で形成されることがより好ましく、支持板はガラス板であることが好ましい。
支持板の厚みは、デバイス形成工程において薄板ガラス、樹脂層Bの変形、傷付き、破損などを防ぐことが出来れば特に限定されないが、通常0.1mm以上であり、0.3mm以上であることが好ましい。また、支持板がガラス板である場合は、デバイス形成後に剥離する際に、割れずに適度に撓むような剛性が望まれる理由から、通常5mm以下であ
り、3mm以下であることが好ましい。
<樹脂層>
本明細書において、便宜上、支持板側に近い樹脂層を樹脂層A、薄板ガラス側に近い樹脂層を樹脂層Bと呼ぶが、樹脂層Aと樹脂層Bの組成は、同じでも異なっていてもよい。以下、樹脂層A、樹脂層Bについて詳細に説明する。
<樹脂層A>
樹脂層Aは樹脂層Bに対して易剥離性を有する樹脂層であることが好ましい。このような性質を有することで、デバイスを薄板ガラス上に形成した後に、樹脂層A及び支持体を、ガラス積層体から容易に剥離することができる。
樹脂層Aの厚みは、0.5μm以上であることが好ましい。1μm以上がさらに好ましい。一方、10μm以下であることが好ましく、5μm以下がさらに好ましく、3μm以下が特に好ましい。
樹脂層の厚みが0.5μm以上であれば、充分に支持体と接着ができ、厚みが10μm以下であれば、電子デバイス全体の厚み増加を抑制し、電子デバイス作成時の樹脂層Aからのアウトガス発生量を抑制することができる傾向がある。
樹脂層Aの吸水率は5%以下が好ましく、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは2%以下である。吸水率が5%よりも多い場合、加熱工程時に樹脂層B及び薄板ガラスの積層体である薄板ガラス積層体が支持体から剥離する原因になる場合がある。なお、樹脂層の吸水率の測定は、JIS K7209に準じて行うことができる。
樹脂層Aの吸水率は、疎水性モノマーや疎水性オリゴマーの添加により上記範囲に調整することができるとともに、このような特性を有する樹脂を適宜選択してもよい。
樹脂層Aは、耐熱性の点から5%重量減少温度が300℃以上であることが好ましく、350℃以上であることが好ましい。上限は特には限定されないが、通常650℃以下である。5%重量減少温度が300℃未満であると、加熱工程時の樹脂層B及び薄板ガラスの積層体である薄板ガラス積層体の浮きの原因になる場合がある。なお、樹脂層の5%重量減少温度は、RIGAKU製Thermoplus TG8120を用いて、窒素50mL/min雰囲気下、昇温速度20℃/minにおける樹脂層について熱減量を測定し、熱減量が5%となる温度を樹脂層Aの5%重量減少温度とした。
樹脂層Aの5%重量減少温度は、耐熱性の高いモノマーやオリゴマーの添加により上記範囲に調整することができるとともに、このような特性を有する樹脂を適宜選択してもよい。
樹脂層Aの23℃での引張弾性率は、10MPa以上が好ましく、100MPa以上がより好ましく、1GPa以上が更に好ましい。上限は特に限定されないが、通常10GPa以下である。引張弾性率が10MPaよりも小さくなると、加熱工程(例えば、230℃1時間)後、樹脂層Bと密着してしまう傾向にあり、剥離できない場合がある。なお、樹脂層の引張弾性率は、引張試験機(島津製作所製、AGS−X)により測定する。
樹脂層Aの引張弾性率は、モノマーやオリゴマーの添加や架橋剤の添加により上記範囲に調整することができるとともに、上記範囲の引張弾性率を示す樹脂を適宜選択してもよい。
樹脂層Aを構成する樹脂組成物は、樹脂、及びその他必要に応じて添加剤を含む。
樹脂組成物に含まれる樹脂としては、硬化性組成物を硬化させて得られる樹脂が好ましい。
硬化性組成物としては、硬化処理によって重合反応が誘発され、硬化する成分であれば特に限定されないが、短時間かつ容易に硬化達成可能であることから、紫外線及び熱硬化
性樹脂や、紫外線硬化性モノマー及びオリゴマーを含む硬化性組成物が好ましい例として挙げることができる。
上記紫外線及び熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の硬化性樹脂が挙げられ、耐熱性、機械的物性、加工性などの観点から、エポキシ系硬化性樹脂が好ましい。
エポキシ系硬化性樹脂としては、例えば脂環式化合物基を有するエポキシ樹脂、グリシジルエーテル基を有するエポキシ樹脂、芳香族基を有するエポキシ樹脂、などが例示され、より具体的にはビスフェノールA型やビスフェノールF型があげられるが、特にこれにのみ限定されない。
市販品としては、例えば、紫外線及び熱硬化性エポキシ系樹脂である株式会社ADEKA製の商品名「KRX−690−5」などが挙げられる。
上記紫外線硬化性モノマー及びオリゴマーとしては、機械的物性、透明性及び加工性などの観点から、(メタ)アクリルモノマー、および(メタ)アクリルオリゴマーとしては、(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等のモノマーやオリゴマーが挙げられる。
さらに、これらのいくつかを例示すると、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、イソアミルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートなど、1個以上の炭素−炭素二重結合を有する単官能、若しくは多官能のアクリルモノマー又はメタクリルモノマー類が好ましい。
なお、これらは1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
市販品としては、例えば、紫外線硬化性アクリレートモノマーを含む新中村化学工業株式会社製の商品名「A−DCP」などが挙げられる。
硬化性組成物中に紫外線及び熱硬化性樹脂や、紫外線硬化性モノマー及びオリゴマーを含む場合は、必要に応じて光重合開始剤も含む。光重合開始剤は、紫外線を吸収して活性化(励起)し、開裂反応等を介して反応を開始するために用いられるものである。
上記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン系、アセトフェノン系、チオキサントン系、フォスフィンオキシド系及びパーオキシド系等を挙げることができる。具体例としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、メチルベンゾイルホルメート等を例示することができる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
硬化性組成物における光重合開始剤の濃度は、硬化反応を確実に進行させる観点から、
好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上である。一方で、重合開始剤の未反応物によるアウトガスの発生を防止する観点から、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
硬化性組成物は、必要に応じて溶剤を添加して使用することができる。すなわち、上記硬化性組成物を含む溶液として使用することができる。
上記溶剤としては、硬化性組成物に含まれる成分を均一に希釈する溶剤であれば特に限定されないが、例えば、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
樹脂層Aを構成する樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、シランカップリング剤、増感剤、架橋剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、界面活性剤、充填剤、離型剤、熱可塑性樹脂を任意で添加することができる。なお、これらは1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
樹脂層Aに含まれる樹脂の総濃度は、加工時の粘度、および加工後の機械物性の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは65質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。
<樹脂層B>
樹脂層Bは樹脂層Aと薄板ガラスとの間に在る樹脂層であり、熱可塑性樹脂や、熱又は活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させて得られる樹脂を主成分とするフィルムが用いられる。熱可塑性樹脂としては、耐熱性および透明性が高い樹脂が好ましい。
樹脂層Bの厚みは5μm以上であることが好ましい。10μm以上がさらに好ましく、15μm以上が特に好ましい。一方、100μm以下であることが好ましく、50μm以下がさらに好ましく、30μm以下が特に好ましい。
樹脂層Bの厚みが5μm以上であれば、薄板ガラスのハンドリング性を向上させることができ、厚みが100μm以下であれば、電子デバイス全体の厚み増加を抑制し、電子デバイス作成時の樹脂層からのアウトガス発生量を抑制することができる傾向がある。
樹脂層Bは、耐熱性の観点から、5%重量減少温度が300℃以上であることが好ましく、400℃以上であることが好ましい。5%重量減少温度が300℃未満であると、加熱工程時に樹脂層B及び薄板ガラスの積層体である薄板ガラス積層体の浮きの原因になる場合がある。なお、樹脂層の5%重量減少温度は、上記樹脂層Aの場合と同様に測定することができる。
樹脂層Bの5%重量減少温度は、耐熱性の高い材料を添加することにより上記範囲に調整することができるとともに、このような特性を有する樹脂を適宜選択してもよい。
樹脂層Bの吸水率は3%以下が好ましく、より好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下である。吸水率が3%よりも多い場合、加熱工程時の樹脂層B及び薄板ガラスの積層体である薄板ガラス積層体が支持体から剥離する原因となる。なお、樹脂層の吸水率の測定は、JIS K7209に準じて行うことができる。
樹脂層Bの吸水率は、疎水性の骨格を有する樹脂を添加することにより上記範囲に調整することができるとともに、このような特性を有する樹脂を適宜選択してもよい。
樹脂層Bの少なくとも片面は離型性を有していることが好ましく、特に樹脂層Aと対向する面が離型性を有していることが好ましい。水接触角が大きいことで良好な離型性を有
するといえ、具体的には樹脂層Bの少なくとも片面は、水接触角が90°以上になるのが好ましく、さらに好ましくは100°以上である。接触角が90°以上であれば、樹脂層Aと樹脂層Bの密着性を調整することが容易になるため好ましい。なお、水接触角は、既知の接触角計等を用いて測定することができる。
既存のフィルムであって上記離型性を有しているものを用いることに加え、離型剤の添加やコーティング等既存の方法により離型性を付与することもできる。
樹脂層Bを構成する材料は、好ましくは上記耐熱性等の物性を満たし、本発明の効果が得られる限りにおいて、任意の適切な樹脂が採用できる。上記樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱または活性エネルギー線により硬化した硬化樹脂等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂の具体例としては、フッ素系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルシリコン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。
上記熱または活性エネルギー線により硬化した硬化樹脂の具体例としては、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂等が挙げられる。
樹脂層Bには、上記樹脂の他に、本発明の目的を損なわない範囲で、シランカップリング剤、増感剤、架橋剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、界面活性剤、充填剤、離型剤、熱可塑性樹脂を任意で添加することができる。なお、これらは1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
<薄板ガラス>
薄板ガラスは、電子デバイスの基板となり得るものである。樹脂層Bと積層し、樹脂層Bと対向する面と反対側の面に電子デバイスを形成することができる。
薄板ガラスの材料は特段限定されず、例えばソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス等ほぼすべてのガラス組成のものが適用でき、強化、表面処理等の二次加工を施したものも適用可能であり、いずれも用途により使い分けられる。二次加工としては例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などによるカップリング剤処理、酸処理、アルカリ処理、オゾン処理、イオン処理などの化成処理、プラズマ処理、グロー放電処理、アーク放電処理、コロナ処理などの放電処理、紫外線処理、X線処理、ガンマ線処理、レーザー処理などの電磁波照射処理、その他火炎処理などの表面処理などの各種表面処理があげられる。特に、樹脂層との密着性を向上させる観点から、シランカップリング剤で表面処理されていることが好ましい。
形状も特には限定されないが、通常は板状であり、電子デバイスの基板としては通常厚みが200μm以下であり、また通常1μm以上である。厚みが1μm以上であれば、機械的強度が確保でき、積層した樹脂層の熱伸縮によるストレスによる破損を抑制することができる。また厚みが200μm以下であれば、ハンドリング性、二次加工性改良を一つの目的とした樹脂層の積層が効果的となる。
薄板ガラスは、原理的にはガラス溶融体の固化する温度より高い温度にてガラス溶融体を引き延ばして作ることが可能である。ガラス組成、ガラス溶融体の厚さ、温度、引き取り速度により薄板ガラスの厚みを制御することができる。
薄板ガラス表面の平均面粗さは、5nm以下が好ましく、2nm以下が更に好ましく、1nm以下が特に好ましい。特に、樹脂層Bと対向する面の反対面の平均面粗さ、即ちデバイスを形成し得る面の平均面粗さが、5nm以下であることが好ましく、2nm以下が
更に好ましく、1nm以下が特に好ましい。
薄板ガラスの平均面粗さが5nm以下であれば、薄板ガラス表面に電子デバイスを形成する場合、例えば、非常に薄く(数十nm厚)、且つ表面抵抗値の低い導電層を形成できるため、本実施形態に係るガラス積層体を電子デバイスの基板として好適に用いることができる。
なお、平均面粗さは以下のとおり測定される。
非接触表面・層断面計測システムVertScan2.0(株式会社菱化システム製)を用い薄板ガラスの表面観察(観察視野:93.97μm×71.30μm)を実施し、薄板ガラス表面について、平均面粗さ(算術平均粗さSa)を算出する。
<その他の層>
本実施形態に係るガラス積層体は、支持板、樹脂層A、樹脂層B及び薄板ガラス以外に、本発明の効果を阻害しない他の層を含んでもよい。具体的には、上述した薄板ガラスの、樹脂層Bと対向しない側の面に樹脂層を有してもよい。薄板ガラスの、樹脂層Bと対向しない側の面に樹脂層を更に備えることで、樹脂層が1層のみの場合に比べて薄板ガラスのハンドリング性をより向上させることができ、支持板を剥離する際の薄板ガラスにおけるクラック発生及びクラック進展がより抑制される。
この場合の樹脂層の厚みは、樹脂層Bと同程度の厚みが望ましい。薄板ガラスの両面に同程度の厚みを有する樹脂層を備えることで、薄板ガラスと樹脂層との線膨張係数の違いや、樹脂層の硬化収縮などにより発生する応力に起因する薄膜ガラス積層体の歪みを抑制させることができる。
また、この場合の樹脂層の組成は、樹脂層Bと同じ組成が使用可能である。特に、樹脂層Bと同じ組成であれば、先述の歪みはより発生しにくくなるため好ましい。
また、支持板と樹脂層Aを接着させるための接着層や、樹脂層Bと薄板ガラスを接着させるための接着層を有してもよい。この場合の接着層としては、上記樹脂層A及びBの説明で述べた熱又は活性エネルギー線硬化性組成物を適宜用いることができる。
上記接着層の厚み、耐熱性、及び吸水率は、樹脂層Aと同様の理由によって、樹脂層Aと同様の範囲であることが好ましい。
また、樹脂層Bの線膨張係数が高いと、デバイス形成の際の熱処理等により、樹脂層Bが剥離する可能性があるため、上記樹脂層Bと薄板ガラスを接着させるための接着層の23℃における引張弾性率は1GPa以上が好ましい。
<樹脂層Aと樹脂層Bの関係>
上述した樹脂層A及び樹脂層Bの各物性、後述する樹脂層A及び樹脂層Bの関係を満たす限り、樹脂層A及び樹脂層Bの組成は、同じでも異なっていてもよいが、樹脂層Aと樹脂層Bとの剥離性調整の観点から、樹脂層Aと樹脂層Bは組成が異なることが好ましい。ここで組成が異なるとは、樹脂Aと樹脂Bを構成する成分が異なる、又は構成する成分の比率が異なることをいう。
樹脂層Aと樹脂層Bを構成するそれぞれの主成分が異なることがより好ましい。なお主成分とは、通常各層を形成する成分のうち最も多く含有する成分をいい、各層において50質量%以上占めるものを主成分としてもよく、80質量%以上占めるものを主成分としてもよく、90質量%以上占めるものを主成分としてもよい。
本実施形態に係るガラス積層体は、樹脂層Bと樹脂層Aとの間の剥離強度が、薄板ガラスと樹脂層Bとの間の剥離強度よりも低い。そのため本実施形態に係るガラス積層体は、樹脂層Bと樹脂層Aとの間で容易に剥離することができる。
ガラス積層体に係る剥離強度は、上記の要件を充足すれば具体的な数値範囲は特段限定
されないが、通常樹脂層Bと樹脂層Aとの間の剥離強度は0.1N/50mm以上であり、0.2N/50mm以上であることが好ましく、一方で通常2.0N/50mm未満であり、1.5N/50mm以下であることが好ましく、1.0N/50mm以下であることがより好ましい。
また、通常薄板ガラスと樹脂層Bとの間の剥離強度は3.0N/50mm以上であり、5.0N/50mm以上であることが好ましく、10N/50mm以上であることがより好ましい。
また、樹脂層Aと樹脂層Bとの間の剥離強度が、支持板と樹脂層Aとの間の剥離強度よりも低いことも好ましい。
本実施形態に係るガラス積層体において、樹脂層B及び薄板ガラスを有する積層体(以下、樹脂層B/薄板ガラス積層体と記すことがある)に対して、樹脂層Aは易剥離性を備える。樹脂層B/薄板ガラス積層体において樹脂層Bが樹脂層Aと対向することから、樹脂層Aは樹脂層Bに対する易剥離性を備えることとなる。このため、樹脂層Aは樹脂層B/薄板ガラス積層体と密着するが、本実施形態に係るガラス積層体から、樹脂層B/薄板ガラス積層体を容易に剥離することができる表面特性を有する。すなわち、樹脂層Aは、樹脂層B/薄板ガラス積層体に対してある程度の結合力で結合していると同時に、樹脂層B/薄板ガラス積層体を剥離する際には、樹脂層Bや薄板ガラスを破壊することなく、容易に剥離できる程度の結合力で結合している。本発明では、この樹脂層A表面と、樹脂層B/薄板ガラス積層体とを、薄板ガラスを割ることなく剥離できる性質を易剥離性という。
なお、易剥離性を具体的数値で表すとすれば、樹脂層Aと樹脂層Bとの間の剥離強度が0.1N/50mm以上、2N/50mm未満であるとも表すことができる。しかしながら本数値範囲は一例であって、上記説明した易剥離性の性質を満たすものであれば上記数値範囲に限られない。
加えて、本実施形態に係るガラス積層体を230℃で1時間熱処理した前後において、樹脂層Aと樹脂層Bとの間の剥離強度の変化率(=熱処理後の剥離強度/熱処理前の剥離強度)が、4以下である。そのため、本実施形態に係るガラス積層体は、加熱工程を有する電子デバイス形成工程を経た後であっても、樹脂層Aと樹脂層Bとの間の剥離強度の変化率が小さく、電子デバイス形成後に支持板をガラス積層体から容易に剥離することができる。
上記変化率は、4以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。一方で、変化率が小さすぎる、すなわち1を大きく下回る場合は、樹脂層Aと樹脂層Bとの間の密着性が著しく失われることとなるため、通常1以上であり、1.2以上であることが好ましい。
なお、剥離強度は、実施例に記載した方法により測定する。
更に、230℃、1時間熱処理後の樹脂層Aと樹脂層Bとの間の剥離強度が0.1N/50mm以上であることが好ましく、0.2N/50mm以上であることがより好ましく、一方で2.0N/50mm未満であることが好ましく、1.5N/50mm以下であることがより好ましく、1N/50mm以下であることが特に好ましい。上記範囲を満たすことで、電子デバイス形成工程を経た後であっても、支持板をガラス積層体から容易に剥離することができる。
本実施形態において、ガラス積層体における各層間の剥離強度を調整する方法として、用いる樹脂やモノマー・オリゴマー等の種類により接着力を調整する方法や、各層の表面処理により接着力を調整する方法があげられる。接着力を調整する表面処理としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などによるカップリング剤処理、酸処理、アルカリ処理、オゾン処理、イオン処理などの化成処理、プラズマ処理、グロー放電処理、
アーク放電処理、コロナ処理などの放電処理、紫外線処理、X線処理、ガンマ線処理、レーザー処理などの電磁波照射処理、その他火炎処理、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ワックス系樹脂を含む離型剤による離型処理などがあげられる。
<製造方法>
本実施形態に係るガラス積層体の製造方法は、支持板、樹脂層A、樹脂層B及び薄板ガラスをこの順に備えるガラス積層体を製造できれば特に限定されないが、例として、直接塗布法により支持板及び薄板ガラスに直接樹脂を積層させる方法、転写フィルムを使用する方法があげられる。
直接塗布法は、具体的には少なくとも樹脂及び溶剤を含む塗布用組成物を調製し、該組成物をダイコート塗布、バーコータ塗布、スピンコータ塗布、メイヤーバー塗布、エアナイフ塗布、グラビア塗布、リバースグラビア塗布、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、ディップコートなどの方法により、ガラスフィルムに塗布する手法である。
溶剤は、通常有機溶剤が用いられ、樹脂層に含まれる樹脂の種類により適宜選択される。
なお、塗布後は、必要に応じ溶剤を除去する工程を含んでもよい。
また、直接塗布法による場合、塗布速度、吐出量等は特に限定されず、樹脂層に含まれる樹脂の組成や厚みから適宜調整することができる。
転写フィルムを用いる場合、以下の(1)〜(3)の工程を含むことが好ましい。
(1)樹脂層を支持フィルム上に形成し、転写フィルムを製造する工程、
(2)前工程で形成した樹脂層を支持板、及び/又は薄板ガラス表面に転写し、転写後支持フィルムを剥離する工程、
(3)前工程で転写した樹脂層に対して、必要に応じ加熱処理を行う工程。
<支持板の剥離>
ガラス積層体から支持板を剥離する方法としては、支持板を樹脂層Aと樹脂層Bとの間で剥離できれば特に限定されない。例えば、樹脂層Aと樹脂層Bとの間に鋭利な刃物状のものを差し込み、剥離のきっかけを与えた上で剥離する方法や、ガラス積層体の支持板側及び薄板ガラス側を真空吸着によってそれぞれ定盤等に固定し、引き離すことで剥離させる方法が挙げられる。
<有機電子デバイス>
本実施形態に係るガラス積層体は、例えば、有機電界発光素子及び有機光電変換素子等の有機電子デバイスを作成する際の基板として用いることができる。さらには上記有機電界発光素子を用いて有機EL照明及び有機EL表示装置を得ることができ、また有機光電変換素子を用いて有機太陽電池モジュールを得ることができるが、この用途に限定されるものではない。
これらの有機電子デバイスは、既知の方法でガラス積層体上に形成することができる。
本発明の具体的実施形態に係るガラス積層体について、図面を用いてより詳細に説明する。
図1に記載のガラス積層体10は、支持板11、樹脂層A12、樹脂層B13、接着層15、薄板ガラス14をこの順に備える。
ガラス積層体10は、通常、薄板ガラス14上に図示しない電子デバイスを形成するための基板として用いられる。そして電子デバイス形成後に、図中A−A´鎖線に沿って剥離されることで、ガラス積層体10から支持板11が取り除かれる。そのため、樹脂層A12と樹脂層B13との間の剥離強度が、薄板ガラス14と樹脂層Bとの間の剥離強度よりも低い必要がある。ガラス積層体10はこのような要件を満たすため、図中A−A´鎖線に沿って容易に剥離することができる。
加えて、ガラス積層体10は、ガラス積層体を230℃で1時間処理した前後において、樹脂層Aと樹脂層Bとの間の剥離強度の変化率(=熱処理後の剥離強度/熱処理前の剥離強度)が4以下である。薄板ガラス上への電子デバイス形成工程においては、例えば金属薄膜形成時の蒸着プロセスなど、ガラス積層体が高温に晒されるプロセスが存在する。このようなプロセスに晒された場合であっても、230℃における樹脂層Aと樹脂層Bとの間の剥離強度の変化率が小さい場合には、デバイス形成後に良好な剥離性を維持することができる。
このような条件を満たす樹脂層Aは、引張弾性率が高く、耐熱性が高く、吸水率が低い樹脂であることが好ましい。また樹脂層Bは、耐熱性が高く、接触角が大きく、吸水率が低い樹脂であることが好ましい。
樹脂層B13と薄板ガラス14との間には、樹脂層B13と薄板ガラス14との間の剥離強度を大きくするため、接着層15を備えることができる。接着層15は、接着力を有する層であれば特段の限定なく用いることができる。また、接着層15の代替として、樹脂層B13の薄板ガラス14と対向する面に接着処理を施すこともできる。接着力を調整する接着処理としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などによるカップリング剤処理、酸処理、アルカリ処理、オゾン処理、イオン処理などの化成処理、プラズマ処理、グロー放電処理、アーク放電処理、コロナ処理などの放電処理、紫外線処理、X線処理、ガンマ線処理、レーザー処理などの電磁波照射処理、その他火炎処理などがあげられる。
なお、上記剥離強度の関係を満たすために、樹脂層B及び樹脂層Aにおいて、互いの層と対向する面には接着処理を施さないことが好ましい。また、樹脂層Bと樹脂層Aとの間には接着層を有しないことが好ましい。
以下、実施例を示して、本発明をより詳細に説明するが、本発明の範囲は以下の実施例のみに限定されないことはいうまでもない。
<樹脂層及び接着層の物性測定>
本実施例の樹脂層及び接着層の物性は、以下の方法により測定した。
(引張弾性率)
幅10mm、長さ100mmの短冊状樹脂シートを作製し、引張試験機(島津製作所製、AGS−X)を用いて、短冊状樹脂サンプルの引張弾性率を測定した。試験条件は、23℃において、チャック間距離を50mm、引張速度を10mm/minとし、測定した。
(耐熱性)
RIGAKU社製Thermoplus TG8120を用いて、窒素50mL/min雰囲気下、昇温速度20℃/minにおける樹脂層A、樹脂層B及び接着層について熱減量を測定し、熱減量が5%となる温度を各層の5%重量減少温度を耐熱性の指標とした。5%重量減少温度が高いほど耐熱性が高い。
(接触角)
温度23℃、湿度50%RHの条件で、樹脂層Bの樹脂層Aと対向する面の、蒸留水との接触角を、協和界面化学社製接触角計Drop Master 500を用いて測定した。滴下後2秒後の数値を読み取った。
(吸水率)
JIS K7209に準じて測定した。
<実施例1>
図1に示す層構成を有するガラス積層体を製造した。
具体的には、支持板(クリーンテック社製フロートガラス 厚み0.7mm)の上にバーコータ―で硬化後の厚みが3μmになるように、樹脂層Aの未硬化物として紫外線及び熱硬化性エポキシ系樹脂(ADEKA社製、商品名「KRX−690−5」)を塗布し、さらに、樹脂層BとしてETFEフィルム(旭硝子社製 商品名「アフレックス」、厚み:25μm、片面コロナ処理済)のコロナ未処理面を樹脂層Aの塗布面に向けてハンドロール(硬度:90°)で支持板上にラミネートした。
高圧水銀ランプ(照射強度:370mJ/cm2)を照射し、その後、熱風循環式乾燥
機で150℃30分間熱処理することで、紫外線及び熱硬化性組成物を硬化させ、樹脂層Aを得た。
ETFEフィルムのコロナ処理面側に、接着層の未硬化物として前述の紫外線及び熱硬化性エポキシ系樹脂(ADEKA社製、商品名「KRX−690−5」)をバーコータ―で硬化後の厚みが3μmになるように塗布した後に、薄板ガラス(日本電気硝子社製 商品名「OA−10G」 厚み:50μm)を、ガラス板の中心と合わせるようにして、塗布面上にラミネートし、高圧水銀ランプ(照射強度:370mJ/cm2)を照射し、そ
の後、熱風循環式乾燥機で150℃1時間熱処理することで、紫外線及び熱硬化性組成物を硬化させた。
このようにして支持板側から、樹脂層A、樹脂層B、薄板ガラスの順に積層されたガラス積層体を得た。
<実施例2>
紫外線硬化性アクリル系モノマー(新中村化学工業株式会社製、商品名「NKエステルA−DCP」)97質量%、光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASF社製、商品名「IRGACURE184」)3質量%を均一に混合し、紫外線硬化性組成物1(塗料A)を得た。
支持板上に樹脂層Aの未硬化物として塗料Aを塗布し、実施例1で用いた樹脂層Bを実施例1と同様にラミネートした後に、高圧水銀ランプ(照射強度:370mJ/cm2
を照射し、紫外線硬化性組成物を硬化させて樹脂層Aを得た。
樹脂層B上に、接着層の未硬化物として紫外線及び熱硬化性エポキシ系樹脂を用いる代わりに塗料Aを塗布した以外は、実施例1と同様にして、ガラス積層体を得た。
<実施例3>
紫外線硬化性アクリル系モノマー(新中村化学工業株式会社製、商品名「NKオリゴUA−122P」100質量部、チオールモノマー(SC有機化学株式会社製、商品名「PEMP」10質量部、光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASF社製、商品名「IRGACURE184」)3質量部を均一に混合し、紫外線硬化性組成物2(塗料B)を得た。
支持板上に樹脂層Aの未硬化物として塗料Bを塗布した以外は、実施例1と同様にして、ガラス積層体を得た。
<比較例1>
熱硬化性シリコーン樹脂(モメンティブパフォーマンスマテリアルズジャパン合同会社製、商品名「LRS7060」)のA液とB液とを1:1の重量比で均一に混合し、熱硬化性組成物1(塗料C)を得た。
支持板上に塗料Cを塗布し、樹脂層Bをラミネートした後に、熱風循環式乾燥機で150℃15分間熱処理することで、熱硬化性組成物を硬化させて樹脂層Aを得た以外は、実施例1と同様にして、ガラス積層体を得た。
<比較例2>
ETFEフィルム(旭硝子社製 商品名「アフレックス」、厚み:25μm、片面コロナ処理済)のコロナ未処理面を100W・min/m2の条件でコロナ処理し、塗布面に
向けてハンドロール(硬度:90°)で支持板上にラミネートした以外は実施例1と同様にして、ガラス積層体を得た。
Figure 0006524748
実施例1乃至3、及び比較例1乃至2で得られたガラス積層体について、樹脂層Aと樹脂層Bとの間の剥離強度、及び樹脂層Bと薄板ガラスとの間の剥離強度を測定した。その後230℃で1時間熱処理を行い、熱処理後の樹脂層Aと樹脂層Bとの間の剥離強度を測定した。更に、熱処理後のガラス積層体について、発泡があるか否かを目視で確認した。さらに、ガラス積層体から支持体を剥離可能か否か確認した。評価結果を表2に示す。
(樹脂層Aと樹脂層Bとの間の剥離強度の測定)
実施例1乃至3、及び比較例1乃至2と同様の方法にて、厚み2mmガラス板上に、厚み10μmの樹脂層A、及び厚み25μmの樹脂層Bをこの順に積層させ、剥離強度測定用の試験片(幅50mm)を作製した。
インテスコ社製引張圧縮試験機INTESCO 200Xを用いて、23℃、剥離速度を50mm/分に設定し、90度剥離方法で樹脂層Bをガラス板から剥離した際の引っ張り強度を樹脂層Aと樹脂層Bとの層間剥離強度とした。
剥離強度評価の際、樹脂層Aがガラス板から剥離する事はなかった。
(薄板ガラスと樹脂層Bとの間の剥離強度の測定)
実施例1乃至3、及び比較例1乃至2と同様の方法にて、厚み2mmガラス板上に、厚み10μmの接着層及び厚み25μmの樹脂層Bをこの順に積層させ、剥離強度測定用の試験片(幅50mm)を作製した。
インテスコ社製引張圧縮試験機INTESCO 200Xを用いて、23℃、剥離速度を50mm/分に設定し、90度剥離方法で樹脂層Bをガラス板から剥離した際の引っ張
り強度を薄板ガラスと樹脂層Bとの層間剥離強度とした。層間剥離強度の単位はN/50mmとした。
なお、全てのサンプルにおいて、ガラス板と樹脂層Bとの間の密着性が高いため、樹脂層Bが破断した。測定可能であった比較例2の樹脂層Aと樹脂層Bとの間の剥離強度(28.2N/50mm)より大きいと考えられる。
(発泡)
発泡の評価基準は、ガラス積層体を230℃のオーブンに入れた時に、ガラス積層体中に1mm2以上の気泡が発生するまでの時間であり、以下のとおりである。
○:1時間以上
△:5分から1時間未満
×:5分以下
(易剥離評価及び熱処理後の剥離評価)
ガラス積層体の易剥離及び熱処理後の剥離可否評価基準は、熱処理前、及び230℃のオーブンで1時間熱処理を行い23℃50RH%に1時間放置した後に、支持板から樹脂層B/薄板ガラス積層体を薄板ガラスが破損することなく、剥離できるかどうかであり、以下のとおりである。
○:薄板ガラスが破損することなく、剥離できる。
×:剥離しようとすると、薄板ガラスが破損する。
Figure 0006524748
本発明によれば、デバイス形成工程において、真空、加熱などの外部環境の変化や洗浄等による物理的刺激があっても、樹脂層の剥離や気泡の発生が生ぜず積層構造を維持することができ、また、デバイス形成後においても良好な剥離性を維持することができる。
よって、電子デバイス基板として好適なガラス積層体が提供される。
10 ガラス積層体
11 支持板
12 樹脂層A
13 樹脂層B
14 薄板ガラス
15 接着層

Claims (7)

  1. 支持板、樹脂層A、樹脂層B、及び薄板ガラスをこの順に備えるガラス積層体であって、
    前記樹脂層Aと前記樹脂層Bとの間の剥離強度が、前記薄板ガラスと前記樹脂層Bとの間の剥離強度よりも低く、
    前記樹脂層Aは、硬化エポキシ樹脂層又は硬化アクリル樹脂層であり、
    前記樹脂層Bは、ETFE層であり、
    前記樹脂層Aは、前記樹脂層Bに対する易剥離性を備え、且つ
    ガラス積層体を230℃で1時間熱処理した前後において、樹脂層Aと樹脂層Bとの間の剥離強度の変化率(=熱処理後の剥離強度/熱処理前の剥離強度)が、4以下であることを特徴とするガラス積層体。
  2. 前記樹脂層Aの23℃における引張弾性率が、10MPa以上であることを特徴とする請求項1に記載のガラス積層体。
  3. 前記樹脂層A及び前記樹脂層Bの5%重量減少温度が300℃以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス積層体。
  4. 前記樹脂層Aと前記樹脂層Bとの間の剥離強度が、前記支持板と前記樹脂層Aとの間の剥離強度よりも低いことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のガラス積層体。
  5. 230℃、1時間熱処理後の樹脂層Aと樹脂層Bとの間の剥離強度が0.1N/50mm以上、2N/50mm未満であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のガラス積層体。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載のガラス積層体から、樹脂層A及び支持板を剥離して得られる電子デバイス用基板。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載のガラス積層体、又は請求項に記載の電子デバイス用基板を含む、有機電子デバイス。
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