JP2016096218A - 積層基板の製造方法及び電子デバイスの製造方法 - Google Patents

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祥匡 坂東
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Abstract

【課題】可撓性基板を有する電子デバイスを効率よく製造する。【解決手段】電子デバイスの製造方法であって、支持基板上及び/又は可撓性基板上に加熱及び/又は活性エネルギー線の照射により硬化する樹脂材料を含む粘着層を形成する粘着層形成工程、該粘着層の特定領域に、加熱及び/又は活性エネルギー線を照射する特定領域形成工程、該粘着層を介して該可撓性基板を該支持基板に固定し、該支持基板と該可撓性基板を一体化した積層基板を形成する積層基板形成工程、及び、該積層基板の該可撓性基板側表面上に電子デバイス素子を形成する電子デバイス素子形成工程、を含むことを特徴とする電子デバイスの製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、電子デバイスの製造用の積層基板及び電子デバイスの製造方法に関する。
従来から、照明用機器として白熱電球や蛍光灯が広く用いられている。これに対し、近年においては、面発光照明機器がそのソフトな印象の光や省エネルギー性能などの理由から次世代照明として注目を浴びており、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL(Electro Luminescence)、OEL:Organic Electro Luminescence)、無機エレクトロルミネッセンス、又は発光ダイオードと導光板とを組合せたものが開発されている。中でも有機ELは非常に薄く、機器の小型軽量化が可能であり、発熱も小さいといった点で注目されている。
有機ELとは、有機物質からなる発光材料に電圧を印加してエネルギーを付与し、励起された当該発光材料が元の状態に戻る際に、光としてエネルギーを放出する現象のことをいう。有機EL技術を用いた有機EL素子には、有機物質からなる発光材料を含む有機層と、当該有機層を挟むように対向した2つの電極(陰極及び陽極)と、を基板上に順次積層した構造が一般的に用いられている。
有機EL素子に用いられる基板は、平滑性、ガスバリア性や透光性といった観点から、ある程度の厚みがあり適度な剛性を有するガラス基板が好適に用いられている。適度な剛性を有することから、このようなガラス基板は有機EL素子を製造する場合においても、基板の搬送を正確かつ容易に行える等の利点を有する。
一方で、最近、可撓性を有する基板(以下、可撓性基板と称す)を用いて有機EL素子を作製することで、曲げることが可能なフレキシブル照明としての期待が高まっている。該基板としては、樹脂等からなるプラスチック基板や、厚みが200μm以下の極薄ガラス等が検討されている。
しかし、可撓性基板は剛性がないため、製造時における搬送等が正確に行えないという問題があった。この問題に対応するため、ある程度剛性を有する平板を支持基板として用い、この支持基板上に可撓性基板を仮止めした後、有機ELの発光表示パネルの製造工程に供給し、製造工程後に、支持基板と可撓性基板を脱着することで、従来の製造工程を改造することなく利用可能とする検討がなされている(特許文献1参照)。
特許文献1は有機EL表示パネルの製造法に関するものであるが、この方法は有機EL素子に限られず、太陽電池や有機半導体といった電子デバイス一般に適用可能である。すなわち、従来の電子デバイスの製造設備において、可撓性基板を有するフレキシブルな電子デバイスを製造しようとする場合、特許文献1と同様に支持基板を使用して製造することが考えられる。
特開2004−111159号公報
特許文献1のように、支持基板を用いて発光表示パネルの製造を行った場合、発光表示パネルの製造工程後に支持基板と可撓性基板を脱着する必要がある。そのため可撓性基板と支持基板はあくまで仮止めされている状態であり、それらの密着性は比較的弱い。
一方で、発光表示パネルを含む電子デバイスの製造工程には、通常、水や有機溶媒等で基板表面を洗浄する洗浄工程や、エアー等のガスの吹き付けや加熱による乾燥工程も含まれる。後に脱着可能なように可撓性基板と支持基板を仮止めした状態では、このような洗浄工程や乾燥工程において、仮止めした領域が部分的に剥離してしまい、製造歩留まりが低下するという問題がある。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、可撓性基板を有する電子デバイスの製造方法において、効率よく電子デバイスを製造するための方法を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、可撓性基板を支持基板に固定する方法を工夫することによって、効率よく電子デバイスを製造できることを見出し、本発明に到達した。
本発明は以下を要旨とするものである。
[1] 電子デバイスの製造用の積層基板の製造方法であって、該積層基板は、支持基板、可撓性基板及び粘着層を含み、該支持基板上及び/又は該可撓性基板上に粘着層を形成する粘着層形成工程、該粘着層を介して該可撓性基板を該支持基板に固定し、該支持基板と該可撓性基板を一体化する積層基板形成工程、及び、該可撓性基板の側面の少なくとも一部に剥離抑制層を形成する剥離抑制層形成工程、を含むことを特徴とする積層基板の製造方法。
[2] 電子デバイスの製造用の積層基板の製造方法であって、該積層基板は、支持基板、可撓性基板及び粘着層を含み、該支持基板上及び/又は該可撓性基板上に加熱及び/又は活性エネルギー線の照射により硬化する樹脂材料を含む粘着層を形成する粘着層形成工程、該粘着層の特定領域に、加熱及び/又は活性エネルギー線を照射する特定領域形成工程、及び、該粘着層を介して該可撓性基板を該支持基板に固定し、該支持基板と該可撓性基板を一体化する積層基板形成工程、を含むことを特徴とする積層基板の製造方法。
[3] 前記積層基板形成工程後に、前記粘着層の少なくとも前記特定領域以外の領域に、加熱及び/又は活性エネルギー線を照射する積層基板加工工程を含む、[2]に記載の積層基板の製造方法。
[4] 前記積層基板形成工程において、前記可撓性基板の端部の少なくとも一部を加圧し、前記粘着層に該端部を埋め込むことを特徴とする[2]又は[3]に記載の積層基板の製造方法。
[5] 前記特定領域形成工程における前記活性エネルギー線が赤外線又は紫外線であることを特徴とする[2]乃至[4]のいずれかに記載の積層基板の製造方法。
[6] 電子デバイスの製造方法であって、支持基板上及び/又は可撓性基板上に粘着層を形成する粘着層形成工程、該粘着層を介して該可撓性基板を該支持基板に固定し、該支持基板と該可撓性基板を一体化した積層基板を形成する積層基板形成工程、該可撓性基板の側面の少なくとも一部に剥離抑制層を形成する剥離抑制層形成工程、及び、該積層基板の該可撓性基板側表面上に電子デバイス素子を形成する電子デバイス素子形成工程、を含むことを特徴とする電子デバイスの製造方法。
[7] 前記電子デバイス素子形成工程後に、該積層基板から、少なくとも該剥離抑制層を含む該積層基板の一部領域を除去するために該積層基板の一部を切断する積層基板切断工程、及び、少なくとも該支持基板を該積層基板から剥離する支持基板剥離工程、を含むことを特徴とする、[6]に記載の電子デバイスの製造方法。
[8] 電子デバイスの製造方法であって、支持基板上及び/又は可撓性基板上に加熱及び/又は活性エネルギー線の照射により硬化する樹脂材料を含む粘着層を形成する粘着層形成工程、該粘着層の特定領域に、加熱及び/又は活性エネルギー線を照射する特定領域形成工程、該粘着層を介して該可撓性基板を該支持基板に固定し、該支持基板と該可撓性基板を一体化した積層基板を形成する積層基板形成工程、及び、該積層基板の該可撓性基板側表面上に電子デバイス素子を形成する電子デバイス素子形成工程、を含むことを特徴とする電子デバイスの製造方法。
[9] 前記電子デバイス素子形成工程後に、該積層基板から、少なくとも該特定領域以外の領域を除去するために該積層基板の一部を切断する積層基板切断工程、及び、少なくとも該支持基板を該積層基板から剥離する支持基板剥離工程、を含むことを特徴とする、[8]に記載の電子デバイスの製造方法。
[10] 前記積層基板形成工程後であって前記電子デバイス素子形成工程前に、前記粘着層の少なくとも前記特定領域以外の領域に、加熱及び/又は活性エネルギー線を照射する積層基板加工工程を含む、[8]又は[9]に記載の電子デバイスの製造方法。
[11] 前記積層基板形成工程において、前記可撓性基板の端部の少なくとも一部を加圧し、前記粘着層に該端部を埋め込むことを特徴とする[8]乃至[10]のいずれかに記載の電子デバイスの製造方法。
[12] 前記特定領域形成工程における前記活性エネルギー線が赤外線又は紫外線であることを特徴とする[8]乃至[11]のいずれかに記載の電子デバイスの製造方法。
[13] [6]乃至[12]のいずれかに記載の電子デバイスの製造方法を用いて製造された電子デバイス。
本発明に係る電子デバイスの製造方法によれば、可撓性基板を有する電子デバイスを効率よく製造することが可能となる。
即ち、本発明によれば、支持基板で可撓性基板を支持して電子デバイスを製造するに当たり、電子デバイス素子形成工程においては、可撓性基板が支持基板から剥離しないように可撓性基板を支持基板に安定かつ確実に固定することができ、その後の支持基板剥離工程においては、支持基板を容易に剥離除去して、可撓性基板上に電子デバイス素子が形成された電子デバイスを歩留りよく製造することができる。
実施の形態に係る積層基板の構成例を示す模式的な断面図である。 剥離抑制層を形成した積層基板の一例を示す模式的な断面図である。 積層基板切断工程における切断位置を示す模式的な断面図である。 支持基板剥離工程を示す模式的な断面図である。 本発明に係る粘着層の特定領域を説明する粘着層形成後の支持基板の平面図である。
以下、図面を参照し、本発明による積層基板の製造方法、及び電子デバイスの製造方法の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下に説明する内容に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において任意に変更して実施することが可能である。また、本実施の形態の説明に用いる図面は、いずれも本発明による電子デバイス又はこれらの構成部材を模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、又は省略等を行っており、各構成部材の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていない場合がある。更に、本実施の形態で用いる様々な数値は、いずれも一例を示すものであり、必要に応じて様々に変更することが可能である。
本発明における「電子デバイス」とは、半導体を含有しかつ2つ以上の電極を有し、その電極間に流れる電流や生じる電圧を、電気、光、磁気、化学物質などにより制御するデバイス、あるいは、印加した電圧や電流により、光や電場、磁場などを発生させるデバイスである。例としては、有機光電変換素子、有機電界効果トランジスタ、有機EL素子、ガスセンサ、有機整流素子、有機インバータ、情報記録素子などが挙げられる。有機光電変換素子は光センサ用途、エネルギー変換用途(太陽電池)のいずれにも用いることができる。これらの中で、本発明が好ましく用いられるのは、有機電界効果トランジスタ、有機光電変換素子、有機EL発光デバイスであり、より好ましくは有機EL発光デバイスである。
また、本発明における「電子デバイス素子」とは、上記電子デバイスの機能を発現させるために必要な層構成すべてを指すものとする。
また、以下において、「側面」とは、積層基板や可撓性基板、支持基板、粘着層の厚み方向の面をさす。
まず、本発明の製造方法によって製造される積層基板(以下、「本発明の積層基板」と称す場合がある。)について説明する。
図1は、実施の形態に係る本発明の積層基板の構成例を示す断面図である。
図1に示すように、積層基板10は、支持基板1の一方の板面と可撓性基板3の一方の板面が、粘着層2を介して向き合う状態で固定されたものを指す。図1の積層基板10を形成した後に、積層基板10の可撓性基板3側の表面上に、電子デバイス素子を形成する電子デバイス素子形成工程を経ることで、電子デバイスが製造される。
以下、積層基板10の各構成要素について説明する。
<積層基板10の構成要素>
(支持基板1)
支持基板1は、電子デバイス素子形成工程において搬送等に不具合を生じない程度の剛性を有していればよく、素材としては、ガラス、金属又は樹脂等の材料が挙げられる。また、支持基板1は、可撓性基板3と粘着層2を介して固定されることから、可撓性基板3と同等以上の表面平滑性を有することが好ましい。支持基板1の厚みとしては、電子デバイス素子形成工程において不具合が生じない範囲であればよく、素材にもよるが、通常、0.5〜5mm程度のものが用いられる。このような特徴が求められることから、支持基板1として用いられる素材は、ガラスが好ましい。ガラスの種類としては、ソーダガラス、ホウ酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、石英ガラスなどが挙げられる。上記ガラスの平均熱膨張係数は、好ましくは15ppm/℃以下、より好ましくは10ppm/℃以下である。本発明においては、支持基板1を構成するガラスの種類は特に限定されないが、比較的コストが低いことから、ソーダガラスが好ましい。
(粘着層2)
本発明の第1の実施態様(以下、適宜「実施態様1」と称す。)における粘着層2は、可撓性基板3を支持基板1に固定可能な粘着材料を含む層である。粘着材料とは、可撓性基板3を支持基板1に保持するための接着剤の役割を果たす材料で、具体的には、シリカ系接着剤、シリコーン系樹脂、シリコーン系エラストマー、天然ゴム系樹脂、天然ゴムラテックス系エラストマー、合成ゴム、でんぷん系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、膠、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、クロロプレンゴム系樹脂、シアノアクリレート系樹脂、スチレン−ブタジエンゴム系樹脂、ニトリルゴム系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、フェノール系樹脂、変性シリコーン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリベンズイミダゾール系樹脂、ポリメタクリレート系樹脂、ユリア系樹脂、レゾルシノール系樹脂や、これら樹脂を2種以上混合させた樹脂が挙げられる。中でも、撥液性が良く可撓性基板3と粘着層2との界面に浸透する溶液をはじきやすい観点から、シリコーン系樹脂、シリコーン系エラストマーが好ましい。
これらの粘着材料は、加熱時にアウトガスの発生が少ないことが好ましく、これらの粘着材料を加熱した際の1%重量減少が起きる温度が、通常150℃以上、好ましくは200℃以上、より好ましくは230℃以上、さらに好ましくは250℃以上である。
また、粘着層2の粘着力は、電子デバイス素子形成工程後に、積層基板10から支持基板1及び粘着層2を剥離する場合には、可撓性基板3を支持基板1に固定できる程度において、可撓性基板3と粘着層2との間で剥離が可能な程度の粘着力である必要がある。粘着層2と可撓性基板3の間における固定の度合いを示す粘着力は、後述の支持基板剥離工程と、粘着層2の材質によって適宜決定すればよいが、好ましくは0.005N/25mm以上、より好ましくは0.01N/25mm以上、さらに好ましくは0.02N/25mm以上であり、好ましくは4.0N/25mm以下、より好ましくは1.0N/25mm以下、さらに好ましくは0.15N/25mm以下である。この範囲の粘着力であれば、可撓性基板3を支持基板1に固定することができ、かつ可撓性基板3上に形成した電子デバイス素子6を破壊することなく可撓性基板3を剥離することが可能である。ここでいう粘着力とは、JISZ0237に記載の測定方法により得られる値で、上記に記載の値は粘着層の厚みが30μm、基材にポリイミドフィルムを、被着体にステンレスを用いたときの値である。
また、粘着層2のボールタックは、可撓性基板3上に形成した電子デバイス素子6を破壊することなく可撓性基板3を支持基板1から剥離できる観点から、好ましくはボールナンバーが10以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは3以下である。
粘着層2の厚みは、所定の粘着力を確保するのに必要な厚みであればよく、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上であり、粘着層2の形成を容易にするために、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。
本発明の第2の実施態様(以下、適宜「実施態様2」と称す。)における粘着層2は、可撓性基板3を支持基板1に固定可能な樹脂材料を含む層である。この樹脂材料は、粘着層成膜後に加熱及び/又は活性エネルギー線の照射により硬化する性質を有する。このような樹脂材料としては、加熱及び/又は活性エネルギー線の照射により化学反応する官能基を有する樹脂材料が好ましく、具体的には、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、シアノアクリレート系樹脂、フェノール系樹脂、変性シリコーン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリベンズイミダゾール系樹脂、ユリア系樹脂、レゾルシノール系樹脂や、これら樹脂を2種以上混合させた樹脂が挙げられる。中でも、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂が好ましく、撥液性が良く可撓性基板3と粘着層2との界面に浸透する溶液をはじきやすい観点から、シリコーン系樹脂が好ましい。
このような加熱及び/又は活性エネルギー線の照射により化学反応する官能基を有する樹脂材料は、加熱や活性エネルギー線の照射により、付加反応や架橋反応、開環反応などの反応が起こり、樹脂が網目構造を形成することで硬化する。
これらの材料の加熱時のアウトガス発生量、粘着力、ボールタック、厚みの好適条件については、実施態様1における粘着層2と同様である。
(可撓性基板3)
可撓性基板3には、上記粘着層2とは反対側の表面上に電子デバイス素子が形成される。可撓性基板3は、電子デバイス素子とともに電子デバイスを構成する。可撓性基板3は、フレキシブルな電子デバイスとして要求される可撓性により、適宜好ましい材料を選択すればよいが、厚さ200μm以下のガラス板(以下、薄膜ガラスと記載)や、フィルム状の樹脂製基材等が好ましく用いられる。また、可撓性基板3は、電子デバイスの種類によって、要求される強度、ガスバリア性、透明性等が異なるため、これらの要求に応じて適宜材料や設計を選択すればよい。たとえば、フィルム状の樹脂製基材にガスバリア性を付与するために、フィルム状の樹脂製基材上に無機薄膜層を積層形成する方法が挙げられる。
可撓性基板3を構成する樹脂材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ジアクリルフタレート樹脂、セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、エポキシ樹脂、その他の熱可塑性樹脂や、これらの樹脂を構成する単量体の2種以上の共重合体が挙げられる。
また、薄膜ガラスや、前記薄膜ガラスに上述の樹脂を積層及び/又は被覆させた樹脂積層薄膜ガラス基板、さらに、樹脂積層薄膜ガラスを多重に積層させた基板も可撓性基板3として使用することができる。
上記薄膜ガラスの成形方法は、任意の適切な方法がとられるが、たとえばスロットダウンドロー法、フュージョン法、フロート法等が挙げられる。また、上記薄膜ガラスは、市販のものをそのまま用いてもよく、あるいは、市販のガラスを所望の厚みになるように研磨して用いることも可能である。市販のガラスとしては、たとえば、コーニング社製「EAGLE2000」、旭硝子社製「AN100」、日本電気硝子社製「OA−10G」、ショット社製「D263」などが挙げられる。
これらの可撓性基板3の厚さは、可撓性基板3の構成材料によっても異なるが、可撓性確保の観点から、通常200μm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは75μm以下であり、機械的強度の観点から通常1μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは30μm以上である。
可撓性基板3と支持基板1の板面のサイズは通常略同等であるが、電子デバイス素子形成工程の搬送機構によっては、支持基板1のサイズを可撓性基板3よりも大きくしてもよい。
<本発明の実施態様1>
次に、本発明の積層基板及び電子デバイスの製造方法の第1の実施態様について、適宜概念図を用いて説明する。
(粘着層形成工程)
粘着層形成工程では、支持基板1上及び/又は可撓性基板3の板面上に粘着層2を形成する。粘着層2は、支持基板1上、可撓性基板3上のいずれに形成してもよいし、支持基板1と可撓性基板3の両方の基板(以下、単に「両基板」と記載する。)上に形成し、形成した面同士を貼り合せてもよい。以下では支持基板1上に粘着層2を形成する態様について説明する。
支持基板1及び粘着層2の詳細については前述の通りである。粘着層2を支持基板1上に形成する方法については、粘着層2の粘着材料や樹脂材料により適宜選択可能である。例えば、フィルム状の粘着シートを支持基板1に貼付してもよいし、粘着層2の粘着材料や樹脂材料を含む粘着層形成用樹脂組成物を調製し、支持基板1上に該粘着層形成用樹脂組成物を湿式塗布し、乾燥することによって形成してもよい。湿式塗布の方法は、スピンコート、ダイコート、スクリーン印刷等、公知の方法から適宜選択すればよい。粘着層形成用樹脂組成物には、粘着層2に含まれる粘着材料や樹脂材料の他に、有機溶媒や触媒、密着性向上剤等の添加物を適宜添加してもよい。
粘着層2を形成する両基板面内における領域は、両基板の板面部分のサイズが略同等の場合は両基板の板面の全面に形成されることが好ましく、可撓性基板3の板面部分のサイズが支持基板1のそれより小さい場合は、可撓性基板3の板面に相当する全領域に形成されることが好ましい。
支持基板1上に粘着層2を形成する場合、支持基板1と粘着層2の界面は強固に固定されていることが好ましい。強固に固定させる方法として、たとえば、少なくとも支持基板1上に粘着層2を塗布して形成する方法、シランカップリング剤等の密着性向上剤を添加した樹脂を用いて粘着層2を形成する方法、支持基板1上にプライマー樹脂等の密着性を向上させる層を形成後に前述の粘着材料からなる層を形成し、複数層構造の粘着層2を形成する方法、支持基板1表面上に、UV−O洗浄やプラズマ洗浄等の表面処理を行ってから粘着層2を形成する方法、粘着層2を形成後に加熱等を施すことにより密着性を向上させる方法等が挙げられる。このような処理を行うことにより、支持基板1と粘着層2の間の密着性を、可撓性基板3と粘着層2の間の密着性よりも強くすることで、後述の支持基板剥離工程において、支持基板1と粘着層2の間ではなく、可撓性基板3と粘着層2の間において容易に剥離することが可能となる。
(積層基板形成工程)
積層基板形成工程は、粘着層2が形成された支持基板1の粘着層2側の表面に、可撓性基板3を貼り合せて固定することで、粘着層2を介して支持基板1と可撓性基板3を一体化し、積層基板10を形成する工程である。可撓性基板3の詳細については前述の通りである。この場合、両基板を重ね合せるのみでもよいし、両基板を重ね合せた後にローラーやプレス機等を用いて通常0.05MPa以上、好ましくは0.2MPa以上、より好ましくは0.3MPa以上、さらに好ましくは0.45MPa以上の圧力で加圧してもよい。このような加圧を行うことで、より確実にかつ粘着層2と可撓性基板3の間において剥離しやすい程度に両基板同士を固定することが可能である。この加圧力の上限は、可撓性基板を変形させない観点から5.0MPa以下であることが好ましい。
また、両基板を通常1000Pa以下、好ましくは100Pa以下、より好ましくは50Pa以下の真空中で貼りあわせてもよい。このようにすることで、両基板間に気泡が生じにくくなり、より確実に両基板同士を固定することが可能である。
また、粘着層2が加熱及び/又は活性エネルギー線の照射により硬化する性質を有する樹脂材料からなる場合は、加熱又は活性エネルギー線照射により両基板同士の固定を行ってもよい。更には、これらの手法を2種以上組み合わせて実施してもよい。
ただし、後述の電子デバイス素子形成工程後に、積層基板10から支持基板1及び粘着層2を剥離する場合には、後で剥離が可能な程度に固定する必要がある。
なお、電子デバイス素子形成工程等の以降の工程において、積層基板10を加熱処理した場合、粘着層2に含まれている水分や低分子成分等の微少含有成分が揮発することで可撓性基板3と粘着層2との間に気泡が発生する恐れがある。この現象を抑制するために、可撓性基板3を支持基板1に貼り合せる直前に、粘着層2が形成された支持基板1を加熱処理することが好ましい。上述の微少含有成分を粘着層2からあらかじめ排除できるからである。この時の加熱温度は、通常50℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは130℃以上、さらに好ましくは150℃以上である。また、加熱温度が高温になりすぎると、粘着層2が劣化するため、通常300℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下が好ましい。この加熱処理を行う環境として、微少含有成分が再付着しにくい環境であれば特段指定はないが、窒素等の不活性ガス雰囲気中、乾燥空気雰囲気中、クリーン雰囲気中が好ましい。乾燥空気の露点は、通常6℃以下、好ましくは0℃以下、より好ましくは−10℃以下、さらに好ましくは−20℃以下である。クリーン雰囲気は、通常クラス10000以下、より好ましくはクラス1000以下、さらに好ましくはクラス100以下である。
(剥離抑制層形成工程)
上記積層基板形成工程を経て積層基板10が得られるが、この状態で積層基板10の可撓性基板3側の板面に、電子デバイス素子形成工程により電子デバイス素子を形成した場合、前述の通り、例えば、積層基板10の表面の洗浄乾燥処理時に、両基板が部分的に剥離してしまう等の不具合が生じ、電子デバイスを効率よく製造できない可能性がある。このような現象の発生を抑えるため、可撓性基板3の側面の少なくとも一部に剥離抑制層4を設けるのが、本剥離抑制層形成工程である。
図2に剥離抑制層4を形成した積層基板10の模式的な断面図を示す。図2(a)は支持基板1と可撓性基板3のサイズが略同一である場合を示し、図2(b)は可撓性基板3が支持基板1よりもサイズが小さい場合を示す。図2(a)において、剥離抑制層4は、積層基板10の側面において、可撓性基板3の側面3Aの粘着層2側の一部と、粘着層の側面2Aと、支持基板1の側面1Aの粘着層2側の一部を覆うように、可撓性基板3から支持基板1にまたがって設けられている。ここで、支持基板1と粘着層2の間の密着性が十分強い場合は、剥離抑制層4は、可撓性基板3の側面3Aの粘着層2側の一部と、粘着層2の側面2Aの可撓性基板3側の一部にまたがっているのみでもよい。
図2(b)においては、剥離抑制層4は、可撓性基板3の側面3Aの粘着層2側の一部と、粘着層2の露出している表面を覆うように設けられている。
このような剥離抑制層4を設けることで、電子デバイス素子形成工程において、両基板が部分的に剥離することを抑制することが可能である。そのメカニズムは以下の通りである。
積層基板10を用いて電子デバイスを作製する場合、電子デバイス素子を形成後に支持基板1及び粘着層2を積層基板10から剥離することを必要とする場合、可撓性基板3を支持基板1に強く固定することが出来ない。このため、剥離抑制層4を形成していない積層基板10では、電子デバイス素子形成工程において、例えば、可撓性基板3の表面の洗浄工程において、水や溶媒等が、外部に露出されている積層基板10の側面部分から、可撓性基板3と粘着層2の界面に浸み込んでしまうことや、乾燥用のブロアーからの風が当たることで、外部に露出されている積層基板10の側面近傍において、可撓性基板3が部分的に積層基板10から剥離してしまう可能性が高くなる。一方、剥離抑制層4を形成した積層基板10では、積層基板10の側面における可撓性基板3と粘着層2の界面部分が、上記のような外部要因から保護されるため、可撓性基板3が部分的に積層基板10から剥離してしまう可能性を低く抑えることが可能になる。ここでは、洗浄工程を例に挙げて説明したが、可撓性基板3の部分的な剥離を引き起こす工程は洗浄工程に限定されるものではない。
このようなことから、剥離抑制層4は、積層基板10の側面において、少なくとも可撓性基板3と粘着層2との界面を覆うように形成される必要があるが、剥離抑制層4は、可撓性基板3と粘着層2との界面と支持基板1と粘着層2との界面を覆うように、可撓性基板3、粘着層2及び支持基板1にまたがって形成されることが好ましい。
また、上記のように、少なくとも可撓性基板3と粘着層2との界面を覆うように好ましくは可撓性基板3、粘着層2及び支持基板1にまたがって形成される剥離抑制層4は、積層基板10の側面の少なくとも一部に形成されていればよいが、積層基板10の全側周面に形成されることが好ましい。このように剥離抑制層4を積層基板10の全側周面に形成することにより、より可撓性基板3と粘着層2の界面部分の保護効果を高めることができる。
なお、剥離抑制層4は、積層基板10の側面から、支持基板1の板面の端部及び可撓性基板3の板面の端部にまで回り込むように断面コ字形に設けられてもよく、また、積層基板10の側面から支持基板1又は可撓性基板3の板面の端部に回り込むように断面L字形に設けられていてもよい。
ただし、可撓性基板3の板面には、後述の通り、電子デバイス素子を形成する領域を確保する必要があり、また、後述の通り、剥離抑制層4の除去のために積層基板切断工程で切断して廃棄される材料を少なくする観点からも、上記のように支持基板1や可撓性基板3の板面の端部に回り込んで剥離抑制層4を形成する場合、この回り込み幅は小さい方が好ましく、10mm以下とすることが好ましい。
剥離抑制層4は、電子デバイス形成工程終了後に、積層基板10から剥離する必要は無い。なぜなら、後述する積層基板切断工程において、積層基板10から切断により除去されるからである。積層基板切断工程を有する前提においては、剥離抑制層4と積層基板10の固定の強さは、なるべく強くすることが好ましい。このようにすることで、より可撓性基板3と粘着層2の界面部分の保護効果を高めることができる。
剥離抑制層4を形成する材料は、可撓性基板3と粘着層2の界面に水や溶媒等が浸漬しにくい材料であれば特に指定されないが、粘着層2に用いられる前述の粘着材料が好ましい。粘着層2との密着性の観点から、粘着層2と同一の材料を使用することが好ましい。また、剥離抑制層4を位置精度よく形成できる観点から、紫外線硬化型樹脂、たとえばポリイミド系樹脂やアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂を用いることも好ましい。
剥離抑制層4を形成する方法は、適宜選択すればよいが、以下に樹脂材料を用いて形成する場合を例示する。
剥離抑制層4を構成する樹脂材料を適当な溶媒に溶解させた液体(溶解樹脂)、もしくは該樹脂材料そのものの温度を上げて融解した液体(融解樹脂)に積層基板10を浸し込むディッピング法によって、積層基板10の側面に樹脂材料を被着せしめることができる。該液体は、適当な助剤(たとえば界面張力を制御する界面活性剤、酸化防止剤、反応抑制安定剤等)を含んでいてもよい。
積層基板10が例えば略矩形であれば、積層基板10の端辺の1つを前記ディッピング法によって被覆し、乾燥もしくは硬化させた後、順次残り3つの端辺も同様の工程を経て剥離抑制層4を形成することができる。積層基板10が矩形以外の形状であっても、積層基板10の板面の法線方向を軸とする回転及び該回転とリンクする上下動を伴うディッピング法によって積層基板10の側面にのみ樹脂材料を被着させることができる。
この際、樹脂の乾燥もしくは硬化速度に見合う回転速度や回転パターン、雰囲気、温度等を適宜選択して、剥離抑制層4の厚みを制御し、回り込みや液だれを最小に抑えることが可能である。
他の方法として、回転するロール等を前記溶解樹脂もしくは融解樹脂に浸して、積層基板10の端面を回転する該ロール等の表面に押し当ててコーティングする方法(いわゆるロールコーティング法)を採用することも可能である。この際、ロール等の表面形状や材質、硬度等を適宜選択することにより、剥離抑制層4の厚みを制御し、回り込みや液だれを最小に抑えることが可能である。
さらに他の方法として、積層基板10の両面に塗布法によって樹脂をコーティングするか、または、予め別のフィルム等に樹脂を塗布あるいはラミネートしたものから転写するなどの方法によって、積層基板10の側面を含む全面に樹脂を被着させておき、その後、剥離抑制層4に当たる部分以外の余分な樹脂を剥離するという方法によっても剥離抑制層4を形成することが可能である。
該余分な樹脂を剥離する方法としては、機械的に削り落とす方法や、化学的エッチング法(液相エッチング法、UV−O法、等)及び物理的エッチング法(サンドブラスト法、イオンミリング法、反応性プラズマエッチング法、等)、該樹脂に感光剤を加えてフォトリソグラフィックに剥離領域を形成する方法などが採用可能である。剥離領域を決定するためには、前記エッチング法においてフォトリソグラフィーを利用してもよい。
また、その他の方法としては、パターン印刷法や、該樹脂に感光剤を加えてフォトリソグラフィックに樹脂不在領域を形成する方法、転写法において積層基板10に樹脂が転写されないような領域を転写前のフィルム上の樹脂に予め形成しておく方法、ディスペンスロボットを用いて粘着層2と可撓性基板3の側面を覆うように剥離抑制層4を形成する方法、シリンジなどの容器を用いて積層基板10の側周部にのみ溶解樹脂を塗布して剥離抑制層4を形成する方法等によって、一部に樹脂が存在しない領域を設けて剥離抑制層4としてもよい。
剥離領域の決定工程やそれに代わる工程においては、例えば、後工程で位置合わせが必要になるときのアライメントマークも同時に形成できる等の利点も生じる。
このようにして形成される剥離抑制層4の厚みは、電子デバイス形成工程において、積層基板10からの可撓性基板3の剥離を抑制することができる程度である必要があり、剥離抑制層4の材料によっても異なるが、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上であり、剥離抑制層4の形成を容易にするために、好ましくは600μm以下、より好ましくは400μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。
上記の剥離抑制層形成工程までを行うことで、本発明の実施態様1の電子デバイスの製造方法に好適な積層基板10を製造することができる。この後、後述の電子デバイス素子形成工程等を経ることで、好ましくは更に、支持基板切断工程及び支持基板剥離工程を経ることで、本発明の実施態様1の電子デバイスの製造方法が完了する。
(電子デバイス素子形成工程)
電子デバイス素子形成工程は、積層基板10の可撓性基板3側の表面(板面)に、電子デバイス素子6を形成する工程である。電子デバイス素子6については、所望の電子デバイスに必要な層構成を公知の方法で適宜形成すればよい。この際、本発明の実施態様1においては、支持基板1を含む積層基板10として本工程を実施するため、可撓性基板3のみで実施するよりも搬送不良等の少ない、効率的な電子デバイスの製造が可能になる。また、剥離抑制層4が形成されていることにより、前述の通り、本工程の途中において可撓性基板3が積層基板10から剥離するような不具合が発生するおそれがなく、効率的に電子デバイスを製造できる。
ここで、本発明の電子デバイス素子形成工程においては、電子デバイス素子6を可撓性基板3の表面の剥離抑制層のない領域に形成することにより、電子デバイス素子6を形成しない領域を、可撓性基板3の側面近傍の端部に設けることが必要である。これは、この後の積層基板切断工程において、剥離抑制層4を含む積層基板10の端部を切断により除去するためである。好適な電子デバイス素子形成領域については、後述の通りである。
本発明の電子デバイスの製造方法では、本工程までを行うことで、積層基板を有する電子デバイスを製造することができる。更に、以下に詳述する積層基板切断工程及び支持基板剥離工程を実施することで、支持基板1を剥離した電子デバイスを製造することができ好ましい。
(積層基板切断工程)
積層基板切断工程は、電子デバイス素子形成工程を経た積層基板10に対し、積層基板10から、少なくとも剥離抑制層4を含む積層基板10の一部領域を除去するために積層基板10の一部を切断する工程である。ここで、積層基板10から切断により除去される領域は、前述の通り、可撓性基板3の表面において、電子デバイス素子が形成されていない、可撓性基板3の側面近傍の端部である。また、本工程では、可撓性基板3のみを切断してもよいし、可撓性基板3と粘着層2を切断してもよいし、可撓性基板3と粘着層2と支持基板1を切断してもよいし、積層基板10に支持基板1、粘着層2及び可撓性基板3以外の層が形成されている場合にはその層も含めて切断してもよい。
剥離抑制層4は、前述の通り、積層基板10の側面に強固に固定されるため、積層基板10から剥離することが困難であるから、少なくとも可撓性基板3の端部を除去することで、残りの積層基板10から支持基板1及び粘着層2を剥離しやすくすることが可能である。
図3に、積層基板切断工程における、積層基板10の模式的な断面図を示す。図3中、切断位置は一点鎖線Lで示す位置である。切断位置は、電子デバイス素子6にかからない範囲で任意に設定可能であるが、コスト面からは、切断されて廃棄される部分をなるべく小さくするのが好ましく、切断作業性の面からは、切断位置は、積層基板10の端部よりもある程度内側であることが好ましい。この観点からは、切断位置は、積層基板10の端部から0.1〜30mm程度内側の位置、即ち、図3において、x=0.1〜30mm程度であることが好ましい。また、可撓性基板3上に形成された電子デバイス素子6に切断作業の影響を及ばないようにするという観点から、切断位置と電子デバイス素子6の形成領域の端部との距離、即ち、図3における距離xは0.1mmより大きい値であることが好ましい。
積層基板切断工程における積層基板10の切断方法は、積層基板10の構成材料に合わせて、公知の切断技術を適宜適用すればよい。例えば、カッター、グラインダー、スラーサー等の工具を用いて切断する方法、レーザー光や加熱により溶解させて切断する方法、レーザー光等の照射により温度差を生じさせ熱膨張歪により切断する方法、水圧により切断する方法などが挙げられる。
(支持基板剥離工程)
支持基板剥離工程は、積層基板切断工程を経た積層基板10に対し、積層基板10から支持基板1及び粘着層2を剥離することにより(ただし、後述の通り、支持基板1のみを剥離してもよい)、可撓性基板3上に電子デバイス素子6が形成された電子デバイス20を得る工程である。
図4に、支持基板剥離工程の模式図を示す。図4に示すように、積層基板10において、可撓性基板3と粘着層2の間から剥離することにより、可撓性基板3上に電子デバイス素子6が形成された電子デバイス20が得られる。
剥離方法は従来公知の技術を適宜用いればよいが、例えば、真空吸着や静電吸着、粘着層2より強い粘着力を有するテープの使用、ピンセット等でつまむ等の方法で切断端部を保持したのち、可撓性基板3を引きはがす方法、同様の方法で端部を保持したのち、ロールに巻き取って剥離する方法、粘着層2と可撓性基板3の間にエアーや薄い刃等を導入することで剥離する方法、水やアルコール等の液体に接触、または浸漬させて液体を粘着層2と可撓性基板3の界面に導入することで剥離する方法、レーザーやパルス光、電流印加等の熱源を利用し可撓性基板3と粘着層2の熱膨張差を利用して剥離する方法等が挙げられる。
<実施態様1の変形例>
上記においては、可撓性基板3と粘着層2の間において剥離することを前提とした実施態様について説明したが、以下に示すように、支持基板1と粘着層2の間において剥離し、粘着層2が形成された可撓性基板3を有する電子デバイス20を作製することも可能である。このような電子デバイス20は、可撓性基板3を粘着層2で補強することが可能となるため、フレキシブル性を維持したまま、機械的強度を改善することができる。
粘着層2が形成された可撓性基板3を有する電子デバイス20を作製するためには、可撓性基板3と粘着層2の間の密着性を、支持基板1と粘着層2の間の密着性よりも強くすることが必要である。このようにすることで、前述の支持基板剥離工程において、可撓性基板3と粘着層2の間ではなく、支持基板1と粘着層2の間において剥離することが可能となる。可撓性基板3と粘着層2の間の密着性を、支持基板1と粘着層2の間の密着性よりも強くした積層基板10は、具体的には、上述の実施態様1の粘着層形成工程において、粘着層2を、支持基板1上ではなく可撓性基板3上に形成し、積層基板形成工程において支持基板1を貼り合せることにより実現可能である。
なお、実施態様1及びその変形例のいずれの場合であっても、粘着層形成工程においては、支持基板1上及び可撓性基板3上の両方に粘着層2を形成し、積層基板形成工程において粘着層2側の面を合わせて貼り合せてもよい。この場合、粘着層2を電子デバイス20側に残すか否かにより、それぞれの間における密着性の強弱関係を制御しておけばよい。
<本発明の実施態様2>
次に、本発明の積層基板及び電子デバイスの製造方法の第2の実施態様について、適宜概念図を用いて説明する。
なお、以下において、粘着層2を支持基板1上に形成した場合を例示して各工程を説明するが、本発明の実施態様2においても、本発明の実施態様1と同様、粘着層2は、支持基板1上に形成してもよく、可撓性基板3上に形成してもよく、両基板上に形成してもよい。
(粘着層形成工程)
粘着層形成工程では、支持基板1上に加熱及び/又は活性エネルギー線の照射により硬化する樹脂材料を含む粘着層2を形成する。支持基板1、粘着層2の詳細については前述の通りである。粘着層2を支持基板1上に形成する方法についても、第1の実施態様と同様である。
(特定領域形成工程)
特定領域形成工程では、粘着層2の一部の領域に、加熱及び/又は活性エネルギー線照射を行い、特定領域を形成する。
図5を用いてこの特定領域について説明する。図5は、粘着層形成後の支持基板1を、粘着層2側表面から見た平面図である。詳細は後述するが、実施態様2においても、実施態様1と同様に、この後、粘着層2上に可撓性基板3が固定され、この可撓性基板3上に電子デバイス素子6が形成される。また、電子デバイス素子6は可撓性基板3の表面全域に形成せず、電子デバイス素子6を形成しない領域を、可撓性基板3の側面近傍の端部に設けることになる。例えば、図5において点線Qで囲まれた領域を電子デバイス素子形成領域60とすると、この場合、特定領域30は、少なくとも電子デバイス素子形成領域60を完全に包含し、かつ、可撓性基板3の板面面積よりも狭い領域であり、図5において一点鎖線Qで囲まれた領域である。特定領域30以外の領域(以下、非特定領域と記載)40は、少なくとも積層基板10の側面すべての近傍領域を含み、特定領域30の周囲を取り囲むように形成されることになる。
本工程では、粘着層2形成後、粘着層2の特定領域30のみに、加熱及び/又は活性エネルギー線の照射を行い、特定領域30における粘着層2の樹脂材料を硬化させる。つまり、特定領域30とは、粘着層2を構成する樹脂材料を硬化させた領域を指す。
このように、粘着層2に、樹脂材料を硬化させて粘着性が低減された特定領域30を形成することにより、次の積層基板形成工程において、この粘着層2上に可撓性基板3を貼り合せて固定した後、その後の積層基板加工工程で、好ましくは、更に、粘着層2の非特定領域に加熱及び/又は活性エネルギー線照射を行って粘着層2を可撓性基板3と密着した状態で硬化させることにより、可撓性基板3は、主として粘着層2の樹脂材料が硬化されていない非特定領域40で粘着層2を介して支持基板1に固定されるようになる。
一方で、支持基板1は、特定領域30及び非特定領域40の全面において、粘着層2に強固に固着される。
このため、電子デバイス素子形成工程においては、積層基板10からの可撓性基板3の剥離を防止した上で、支持基板剥離工程では、後述の通り、この非特定領域40を切断して除去した後の積層基板10から、電子デバイス素子6が形成された可撓性基板3を粘着層2及び支持基板1から容易に分離することができるようになる。
樹脂材料を加熱する方法は、粘着層2の一部である特定領域30を加熱できる方法であれば何でもよいが、たとえば、ホットプレートやオーブン、熱風炉を用いて加熱する方法がある。この中でも、特定領域30のみを加熱することが比較的容易な、ホットプレートを用いることが好ましい。具体的には、特定領域30に該当する支持基板1の一部分のみに伝熱材を接触させ、伝熱材のみをホットプレートに接触させて加熱する方法、特定領域30以外の領域に放熱材を設置し、積層基板10全体を加熱する方法、または、上記2つの方法を組み合わせる方法がある。ここで、伝熱材としては、例えば、銅や鉄などの金属、ステンレスやジュラルミンなどの合金がある。放熱材としては、例えば、銅や鉄などの金属、ステンレスやジュラルミンなどの合金、放熱塗料、放熱フィン、ピエゾ素子やペルティエ素子などを用いた冷却装置などがある。
活性エネルギー線は、樹脂材料における化学反応性の官能基の反応を促進するためのエネルギーを供給できるものであれば何でもよいが、具体的には遠赤外線、赤外線、紫外線、電子線、可視光線、レーザー光線、X線などが挙げられる。この中でも、樹脂材料の硬化反応に対して汎用的に用いられる、紫外線、遠赤外線、赤外線を用いることが好ましい。
活性エネルギー線の樹脂材料への照射は、メタルマスクやフォトマスク等のマスクを用いて特定領域30のみに照射できるようにすることが好ましい。また、活性エネルギー線の照射により発生する熱の影響を抑制するために、放熱材を特定領域30以外の領域に設置して、活性エネルギー線を照射することも好ましい。
(積層基板形成工程)
積層基板形成工程は、上記特定領域形成工程後に、粘着層2が形成された支持基板1の粘着層2側の表面に、可撓性基板3を貼り合せて固定することで、粘着層2を介して支持基板1と可撓性基板3を一体化し、積層基板10を形成する工程である。可撓性基板3の詳細については前述の通りである。
本工程の好ましい態様については、本発明の実施態様1における積層基板形成工程と同様に行うことができるが、粘着層2に比較的厚みがあり、例えば粘着層2の厚みが50〜200μmであって、粘着層2の非特定領域40に柔軟性がある場合は、積層基板10を形成後、可撓性基板3の端部の少なくとも一部、好ましくは全部を支持基板1方向に加圧して、可撓性基板3の端部を非特定領域40の粘着層2に押し込むことによって、粘着層2の樹脂材料を積層基板10の外周部にはみ出させ、積層基板10の側面の粘着層2周辺がはみ出した樹脂材料で覆われるような状態としてもよい。このようにすることで、可撓性基板3と粘着層2の界面部分の側面を保護することができる。
(積層基板加工工程)
本工程は、積層基板形成工程後に、粘着層2の少なくとも特定領域以外の領域に、加熱及び/又は活性エネルギー線を照射する工程である。特定領域以外の領域に、加熱及び/又は活性エネルギー線を照射することで、粘着層2が可撓性基板3と密着した状態で硬化することにより、可撓性基板3がより強固に支持基板1に固定されることとなり、後述の電子デバイス素子形成工程において可撓性基板3が積層基板10から剥離してしまうような不具合が発生しにくくなるという効果が生じる。この際、特定領域30は既に硬化されているため、加熱及び/又は活性エネルギー線の照射は積層基板10全体に対して行ってもよい。この積層基板加工工程において、活性エネルギー線を照射する場合、活性エネルギー線は、積層基板10の可撓性基板3側から照射してもよく、支持基板1側から照射してもよく、活性エネルギー線透過性を有する方から照射すればよい。
積層基板形成工程、あるいは積層基板加工工程までを行うことで、本発明の実施態様2の電子デバイスの製造方法に好適な積層基板を製造することができる。即ち、この時点で、積層基板10の外周側に位置する非特定領域は、比較的強固に両基板同士を固定しているため、電子デバイス素子形成工程において可撓性基板3が積層基板10から剥離してしまうような不具合が発生しにくい状態となる。一方、特定領域30については、支持基板1上の粘着層2を硬化させた後に両基板同士が貼り合されているため、可撓性基板3と粘着層2とは比較的弱く固定されていることになる。このため、後の支持基板剥離工程において、粘着層2と可撓性基板3の間から、可撓性基板3を容易に剥離することが可能となる。
この後、後述の電子デバイス素子形成工程等を経ることで、好ましくは更に、支持基板切断工程及び支持基板剥離工程を経ることで、本発明の実施態様2の電子デバイスの製造方法が完了する。
(電子デバイス素子形成工程)
電子デバイス素子形成工程については、前述の本発明の実施態様1における電子デバイス素子形成工程と同様に行うことができる。実施態様1の剥離抑制層形成工程の代わりに、特定領域形成工程(更には積層基板加工工程)を行うことで、前述の通り、電子デバイス素子形成工程の途中において可撓性基板3が積層基板10から剥離してしまうような不具合が発生しにくくなり、効率的に電子デバイスを製造することが可能となる。
本発明の電子デバイスの製造方法では、実施態様1の場合と同様、本工程までを行うことで、積層基板を有する電子デバイスを製造することができる。更に、以下に詳述する積層基板切断工程及び支持基板剥離工程を実施することで、支持基板1を剥離した電子デバイスを製造することができ好ましい。
本発明の実施態様2の電子デバイス形成工程においても、実施態様1の場合と同様、電子デバイス素子を可撓性基板3の表面全域に形成せずに、可撓性基板3の側面近傍の端部において、電子デバイス素子を形成しない領域を設けることが必要である。これは、この後の積層基板切断工程において、非特定領域40を含む積層基板10の端部を切断するためである。好適な電子デバイス素子形成領域については、後述の通りである。
(積層基板切断工程)
積層基板切断工程は、電子デバイス素子形成工程を経た積層基板10に対し、積層基板10から、少なくとも特定領域30以外の領域、すなわち非特定領域40を除去するために積層基板10の一部を切断する工程である。ここで、積層基板10から切断により除去される領域は、前述の通り、可撓性基板3の表面において、電子デバイス素子6が形成されていない、可撓性基板3の側面近傍の端部であり、非特定領域40を完全に包含する領域である。また、本工程では、可撓性基板3のみを切断してもよいし、可撓性基板3と粘着層2を切断してもよいし、可撓性基板3と粘着層2と支持基板1を切断してもよいし、それ以外の層が形成されていた場合にはその層も含めて切断してもよい。
非特定領域40では、前述の通り、可撓性基板3と支持基板1とが粘着層2を介して比較的強固に固定されているため互いに剥離することが困難であるから、非特定領域40を含む可撓性基板3の端部を切断により除去することで、残りの積層基板10から支持基板1及び粘着層2を剥離しやすくすることが可能となる。
積層基板切断工程における積層基板10の切断方法は、本発明の実施態様1の場合と同様である。
本発明の実施態様1の場合と同様に、コスト面からは、切断されて廃棄される部分をなるべく小さくするのが好ましく、切断作業性の面からは、切断位置は、積層基板10の端部よりもある程度内側であることが好ましい。図5に、積層基板とした後の切断位置を破線Qで示すが、上記観点からは、切断位置は、積層基板10の端部から0.1〜30mm程度内側の位置、即ち、図5において、x=0.1〜30mm程度であることが好ましい。また、可撓性基板3上に形成された電子デバイス素子6に切断作業の影響を及ばないようにする観点から、切断位置と電子デバイス素子形成領域60の端部との距離、即ち、図5における距離xは0.1mmより大きな値であることが好ましい。
また、上記の切断位置で非特定領域40を完全に除去すると共に、非特定領域40をある程度の面積以上として、非特定領域40を設けることによる剥離抑制効果を確実に得る観点から、粘着層2に形成される特定領域30と非特定領域40との境界位置、即ち、図5における一点鎖線Qで示される位置は、支持基板1(又は可撓性基板3)の端部から0.05〜29mm程度の位置、即ち、図5におけるx=0.05〜29mm程度であって、xとxとの差は0.05mmより大きな値であることが好ましい。
(支持基板剥離工程)
上記の積層基板切断工程後の支持基板剥離工程については、前述の本発明の実施態様1における支持基板剥離工程と同様に行うことができる。
<実施態様2の変形例>
上記においては、可撓性基板3と粘着層2の間において剥離することを前提とした実施態様について説明したが、実施態様1の変形例において示したように、実施態様2においても、支持基板1と粘着層2の間において剥離し、粘着層2が形成された可撓性基板3を有する電子デバイス20を作製することも可能である。
粘着層2が形成された可撓性基板3を有する電子デバイス20を作製する場合には、粘着層形成工程において、粘着層2を支持基板1上ではなく、可撓性基板3上に形成し、特定領域形成工程においては、この可撓性基板3上の粘着層2の特定領域に加熱及び/又は活性エネルギー線照射を行って、この特定領域30の粘着層2の樹脂材料を硬化させ、その後、積層基板形成工程において、この粘着層2を介して可撓性基板3と支持基板1とを固定、一体化する。好ましくは、その後、積層基板加工工程において、粘着層2の非特定領域に加熱及び/又は活性エネルギー線照射を行った後、電子デバイス素子を形成する。このようにすることで、可撓性基板3は粘着層2の特定領域30及び非特定領域40の全面で粘着層2と固着し、一方で、支持基板1は主として非特定領域40のみで粘着層2と固着するようになるため、積層基板切断工程で非特定領域40を切断して除去することにより、粘着層2と支持基板1との間で両基板を容易に剥離して、粘着層2が形成された可撓性基板3を有する電子デバイス20を得ることができる。
(実施例1)
以下の手順で積層基板の製造と評価を行った。
実施例1は、本発明の実施態様2に相当する。
(1)粘着層形成用樹脂組成物の調製
樹脂材料として、信越化学工業製シリコーン粘着剤X40−3229を20gと触媒CAT−PL−50T0.5gを混合し、さらにトルエン20gを加え、完全に溶解させて粘着層形成用樹脂組成物を調液した。X40−3229の粘着力とボールタックナンバーのメーカー公称値は、厚さ30μmでそれぞれ0.06N/25mm、No.2、である。
(2)粘着層形成工程
厚みが0.7mmで100mm×100mmの正方形のソーダガラスを支持基板1として準備した。該ソーダガラス上に上記粘着層形成用樹脂組成物を滴下して、スピンコート塗布した(スピンコート回転数:800rpmで2秒間、後に1000rpmで60秒間)。その後、80℃のホットプレート上で1分間乾燥し、粘着層2を形成した支持基板1を得た。
(3)特定領域形成工程
次に、130℃のホットプレート上に厚さ30mm、70mm×70mmの正方形のジュラルミン金属板を設置し、その上に、ジュラルミン金属板の中心と、粘着層2を形成した支持基板1の中心とが一致するように、粘着層2がジュラルミン金属板に接触するように上記の乾燥後の支持基板1を載置し、5分間焼成することで、粘着層2の一部(ジュラルミン金属が存在する領域)を加熱により硬化させた粘着層2を形成した支持基板1を得た。すなわち、100mm×100mmの支持基板1上の全面に形成された粘着層2において、中央のおおよそ70mm×70mmの領域が特定領域に相当し、各辺からおおよそ15mmの幅の外周部分が非特定領域に相当する状態とした。この状態における粘着層2の厚みは28μmであった。
(4)積層基板形成工程
上記で得られた粘着層2を形成した支持基板1の粘着層2側の表面に、可撓性基板3として、厚さ75μmで100mm×100mmの正方形のPETフィルム(テイジンデュポン社製テイジンメリネックス)を、ウレタンローラーで加圧しながら貼り合わせ、積層基板10を得た。
(5)積層基板加工工程
上記で得られた積層基板10を130℃のホットプレート上に載置し、非特定領域の粘着層2を硬化させた。
(6)積層基板10の洗浄乾燥工程実施後の剥離評価
積層基板10の状態で、電子デバイス素子形成工程を想定した以下の洗浄乾燥工程を施した。
洗浄乾燥工程として、超純水による超音波洗浄と、ブロアーによる乾燥を実施した。超音波洗浄は、超純水を貯めたガラス製容器に積層基板10を浸漬し、アズワン製超音波装置を用いて10分間超音波洗浄を行った。このときの波長は28kHzであった。その後、ブロアーを用いてエアーを吹きつけて基板表面に付着した水分を除去した。このとき使用したブロアーはエアガンタイプで、噴射出口径は2mmφ、圧力は0.43MPaの圧縮空気を使用した。
積層基板10に上記洗浄工程を施した後の、可撓性基板3と粘着層2の間における剥離の発生状況を目視により評価した。剥離がない場合は「〇」、少しでも剥離があった場合は「×」とした。実施例1の積層基板10では「○」であった。
(7)積層基板切断工程及び支持基板剥離工程
ブロアー乾燥後の積層基板10の、中心部50mm角の部分を残すように、積層基板10の外周部分の幅25mmをカッターを用いて切断した。切断後、50mm角の積層基板の端部をピンセットでつまみ、支持基板1であるソーダガラスと粘着層2を、積層基板10から剥離して、可撓性基板3のPETフィルムを得た。
剥離後のPETフィルムを目視で観察し、PETフィルムに変形や破損が発生せずに剥離できた場合を「〇」、剥離時に変形や破損した場合、粘着剤の糊残りがあった場合、もしくは剥離そのものが不可能だった場合を「×」とした。実施例1のPETフィルムでは「○」であった。
(実施例2)
以下の手順で積層基板の製造と評価を行った。
実施例2は、本発明の実施態様1に相当する。粘着層形成用樹脂組成物は実施例1と同じものを使用した。
(1)粘着層形成工程
厚みが0.7mmで100mm×100mmの正方形のソーダガラスを支持基板1として準備した。該ソーダガラス上に上記粘着層形成用樹脂組成物を滴下して、スピンコート塗布した(スピンコート回転数:800rpmで2秒間、後に1000rpmで60秒間)。その後、80℃のホットプレート上で1分間乾燥し、更に、130℃のホットプレート上で5分間加熱し、粘着層2を形成した支持基板1を得た。
(2)積層基板形成工程
上記で得られた粘着層2を形成した支持基板1の粘着層2側の表面に、可撓性基板3として、厚さ75μmで100mm×100mmの正方形のPETフィルム(テイジンデュポン社製テイジンメリネックス)を、ウレタンローラーで加圧しながら貼り合わせ、積層基板10を得た。
(3)剥離抑制層形成工程
更に、積層基板10の側面のうち、少なくとも可撓性基板3であるPETフィルムと粘着層2との界面部を側面全周にわたって覆うように、粘着層2に用いた粘着層形成用組成物をシリンジに充填して適量を射出して塗布形成し、80℃のホットプレート上で1分間乾燥し、更に、130℃のホットプレート上で5分間加熱し、図2に示すような剥離抑制層4を形成した積層基板10を得た。この剥離抑制層の厚みは約400μmである。
(4)積層基板10の洗浄乾燥工程実施後の剥離評価
積層基板10の洗浄乾燥工程実施後の剥離評価については、実施例1と同様に行った。
(5)積層基板切断工程及び支持基板剥離工程
積層基板切断工程及び支持基板剥離工程については、実施例1と同様に行った。剥離後の評価についても実施例1と同様に行った。
(実施例3)
粘着層形成用樹脂組成物として以下のものを使用したこと以外は、実施例1と同様に積層基板10の作製及び評価を行った。実施例3は、本発明の実施態様2に相当する。
樹脂材料として、信越化学工業製シリコーン粘着剤X40−3306を60gと触媒CAT−PL−50T0.3gを混合し、さらにトルエン30gを加え、完全に溶解させて粘着層形成用樹脂組成物を調液した。X40−3306の粘着力のメーカー公称値は、厚さ30μmで0.02N/25mmである。
(実施例4)
粘着層形成用樹脂組成物として実施例3と同じものを用いたこと以外は、実施例2と同様に積層基板10の作製及び評価を行った。このときの剥離抑制層の厚みは約100μmであった。実施例4は、本発明の実施態様1に相当する。
(比較例1)
特定領域形成工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして積層基板10の作製及び評価を行った。
(比較例2)
剥離抑制層形成工程を行わなかったこと以外は、実施例2と同様にして積層基板10の作製及び評価を行った。
(比較例3)
特定領域形成工程を行わなかったこと以外は、実施例3と同様にして積層基板10の作製及び評価を行った。
(比較例4)
剥離抑制層形成工程を行わなかったこと以外は、実施例4と同様にして積層基板10の作製及び評価を行った。
(まとめ)
実施例1〜4及び比較例1〜4の評価結果を表1に示す。
Figure 2016096218
表1より明らかなように、実施例1〜4では、洗浄乾燥工程後において、可撓性基板3の剥離は見られなかった。また、支持基板剥離工程において、積層基板10から支持基板1及び粘着層2を問題なく剥離して可撓性基板3を得ることが可能であった。
一方、比較例1及び3では、洗浄乾燥工程後には剥離が認められなかったものの、支持基板剥離工程において、剥離後の可撓性基板3が変形してしまい、さらに粘着剤の糊が残っていた。また、比較例2及び4では、支持基板剥離工程において、支持基板1及び粘着層2の剥離は問題なく行えたものの、洗浄乾燥工程後に可撓性基板3と粘着層2の間に一部剥離が発生した。
以上のことから、本発明の積層基板の製造方法によって、電子デバイス素子形成工程における剥離等の不具合を抑制すると共に、支持基板剥離工程においては剥離不良を抑制して、電子デバイスを効率的に製造することが可能であることが確認された。
1 支持基板
2 粘着層
3 可撓性基板
4 剥離抑制層
6 電子デバイス素子
10 積層基板
20 電子デバイス
30 特定領域
40 非特定領域
60 電子デバイス素子形成領域

Claims (13)

  1. 電子デバイスの製造用の積層基板の製造方法であって、
    該積層基板は、支持基板、可撓性基板及び粘着層を含み、
    該支持基板上及び/又は該可撓性基板上に粘着層を形成する粘着層形成工程、
    該粘着層を介して該可撓性基板を該支持基板に固定し、該支持基板と該可撓性基板を一体化する積層基板形成工程、及び、
    該可撓性基板の側面の少なくとも一部に剥離抑制層を形成する剥離抑制層形成工程、を含むことを特徴とする積層基板の製造方法。
  2. 電子デバイスの製造用の積層基板の製造方法であって、
    該積層基板は、支持基板、可撓性基板及び粘着層を含み、
    該支持基板上及び/又は該可撓性基板上に加熱及び/又は活性エネルギー線の照射により硬化する樹脂材料を含む粘着層を形成する粘着層形成工程、
    該粘着層の特定領域に、加熱及び/又は活性エネルギー線を照射する特定領域形成工程、及び、
    該粘着層を介して該可撓性基板を該支持基板に固定し、該支持基板と該可撓性基板を一体化する積層基板形成工程、を含むことを特徴とする積層基板の製造方法。
  3. 前記積層基板形成工程後に、前記粘着層の少なくとも前記特定領域以外の領域に、加熱及び/又は活性エネルギー線を照射する積層基板加工工程を含む、請求項2に記載の積層基板の製造方法。
  4. 前記積層基板形成工程において、前記可撓性基板の端部の少なくとも一部を加圧し、前記粘着層に該端部を埋め込むことを特徴とする請求項2又は3に記載の積層基板の製造方法。
  5. 前記特定領域形成工程における前記活性エネルギー線が赤外線又は紫外線であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の積層基板の製造方法。
  6. 電子デバイスの製造方法であって、
    支持基板上及び/又は可撓性基板上に粘着層を形成する粘着層形成工程、
    該粘着層を介して該可撓性基板を該支持基板に固定し、該支持基板と該可撓性基板を一体化した積層基板を形成する積層基板形成工程、
    該可撓性基板の側面の少なくとも一部に剥離抑制層を形成する剥離抑制層形成工程、及び、
    該積層基板の該可撓性基板側表面上に電子デバイス素子を形成する電子デバイス素子形成工程、を含むことを特徴とする電子デバイスの製造方法。
  7. 前記電子デバイス素子形成工程後に、
    該積層基板から、少なくとも該剥離抑制層を含む該積層基板の一部領域を除去するために該積層基板の一部を切断する積層基板切断工程、及び、
    少なくとも該支持基板を該積層基板から剥離する支持基板剥離工程、を含むことを特徴とする、請求項6に記載の電子デバイスの製造方法。
  8. 電子デバイスの製造方法であって、
    支持基板上及び/又は可撓性基板上に加熱及び/又は活性エネルギー線の照射により硬化する樹脂材料を含む粘着層を形成する粘着層形成工程、
    該粘着層の特定領域に、加熱及び/又は活性エネルギー線を照射する特定領域形成工程、
    該粘着層を介して該可撓性基板を該支持基板に固定し、該支持基板と該可撓性基板を一体化した積層基板を形成する積層基板形成工程、及び、
    該積層基板の該可撓性基板側表面上に電子デバイス素子を形成する電子デバイス素子形成工程、を含むことを特徴とする電子デバイスの製造方法。
  9. 前記電子デバイス素子形成工程後に、
    該積層基板から、少なくとも該特定領域以外の領域を除去するために該積層基板の一部を切断する積層基板切断工程、及び、
    少なくとも該支持基板を該積層基板から剥離する支持基板剥離工程、を含むことを特徴とする、請求項8に記載の電子デバイスの製造方法。
  10. 前記積層基板形成工程後であって前記電子デバイス素子形成工程前に、前記粘着層の少なくとも前記特定領域以外の領域に、加熱及び/又は活性エネルギー線を照射する積層基板加工工程を含む、請求項8又は9に記載の電子デバイスの製造方法。
  11. 前記積層基板形成工程において、前記可撓性基板の端部の少なくとも一部を加圧し、前記粘着層に該端部を埋め込むことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
  12. 前記特定領域形成工程における前記活性エネルギー線が赤外線又は紫外線であることを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
  13. 請求項6乃至12のいずれか1項に記載の電子デバイスの製造方法を用いて製造された電子デバイス。
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