JP6447389B2 - 樹脂/ガラス複合体を有する積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、有機電界発光素子や有機光電変換素子等の有機電子デバイス形成時には、薄板ガラスと支持板が良好な密着性を示し、且つ、有機電子デバイス形成後には支持板の剥離が容易な、樹脂/ガラス複合体を有する積層体に関する。
近年、有機EL表示装置、太陽電池、薄膜2次電池等における電子デバイス(電子部品)の薄型化、軽量化が進行しており、これらの電子デバイスに用いられるガラス基板の薄膜化が進行している。しかしながら、薄板化によりガラス基板の強度が低下すると、ガラス基板のハンドリング性が悪化するという問題があった。
そこで、薄板ガラスを基板として電子デバイスを製造する場合、ハンドリング性を向上させるために、キャリア基板と薄板ガラスを積層させ、薄板ガラス上に電子デバイスを形成した後、キャリア基板を剥離する方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、樹脂層付きキャリア基板の樹脂層表面にガラス基板を剥離可能に積層し、ガラス基板の表面上に電子デバイスを形成した後、樹脂層付きキャリア基板を除去する電子デバイスの製造方法が開示されている。
特許文献2には、支持板、樹脂層、及び無機絶縁膜付きガラス基板がこの順に積層され、無機絶縁膜と樹脂層が接するように配された積層体、並びに、この積層体のガラス基板表面に表示装置用部材を形成した支持板付き表示装置用パネル、さらに、樹脂層付き支持板を剥離した表示装置用パネルが開示されている。
特開2013−084526号公報 国際公開第2012/144499号パンフレット
しかしながら、特許文献1および2では、キャリア基板や支持板とガラスとの間の剥離界面の接着強度が低いと、電子デバイスの作成時の基板洗浄、乾燥、高温条件での加熱処理といった工程中に剥離してしまい、接着強度が高すぎると、電子デバイスの形成後、キャリア基板や支持板の剥離が困難になるため、キャリア基板や支持板とガラスとの間の接着強度の調整が重要であるが、その調整は非常に困難であるという課題が存在した。
また、強度の低い薄板ガラスを電子デバイスの基板として用いる場合には、剥離の際に薄板ガラスに応力がかかり、クラックが発生する恐れがあった。さらには、薄板ガラス自体のハンドリング性が低いため、電子デバイスを備えた薄板ガラスの取り扱いは非常な注意を要した。
本発明者らは、上記の課題に鑑みて鋭意検討した結果、特定の構成にて支持板及び薄板ガラスを積層することで、電子デバイスの作成の工程中には剥離することなく、電子デバイスの作成後には、支持板と薄板ガラスを容易に剥離できる、樹脂/ガラス複合体を有する積層体を得られることを見出した。
さらには、支持板から剥離する薄板ガラスの表面には樹脂層が積層されているため、支持板からの剥離の際に薄板ガラスにクラックが発生する恐れがない。また剥離後も薄板ガラスの取扱いが容易である。
すなわち本発明は以下の通りである。
[1]支持板と、厚みが100μm以下の薄板ガラスと樹脂層を少なくとも有する樹脂/ガラス複合体とを有する積層体であって、
支持板、樹脂層、及び薄板ガラスの順に積層され、
積層体を積層方向に切断した際の少なくとも一断面において、樹脂/ガラス複合体と支持板との界面に、易剥離部分と易剥離部分よりも剥離強度が大きい密着部分とを有し、該易剥離部分の両端に該密着部分が位置することを特徴とする積層体。
[2]樹脂層が支持板の外形範囲内に設けられていることを特徴とする[1]に記載の積層体。
[3]薄板ガラスが、樹脂層の外形範囲内に設けられていることを特徴とする[1]又は[2]に記載の積層体。
[4]易剥離部分が、密着部分に囲まれていることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の積層体。
[5]薄板ガラスが、易剥離部分の外形範囲よりも内側に設けられていることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の積層体。
[6]薄板ガラスが、樹脂層の外形範囲よりも内側に設けられていることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の積層体。
[7]密着部分の剥離強度と、易剥離部分の剥離強度の差が、0.5N/25mm以上であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の積層体。
[8]易剥離部分の剥離強度が、0.5N/25mm以下であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載の積層体。
[9]樹脂層の5%重量減少温度が230℃以上であることを特徴とする[1]〜[8]のいずれかに記載の積層体。
[10]樹脂層が、熱又は活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させて得られる樹脂を主成分とする層であることを特徴とする[1]〜[9]のいずれかに記載の積層体。
[11]樹脂層が、熱可塑性樹脂を主成分とするフィルムであることを特徴とする[1]〜[9]のいずれかに記載の積層体。
[12][1]〜[11]のいずれかに記載の積層体を用いて得られる有機電子デバイス。
[13][1]〜[11]のいずれかに記載の積層体を、前記密着部分を取り除くよう積層方向に切断するステップ、及び該積層体から支持板を剥離するステップ、を含む樹脂/ガラス複合体の製造方法。
[14][12]に記載の有機電子デバイスを、前記密着部分を取り除くよう積層方向に切断するステップ、及び該有機電子デバイスから支持板を剥離するステップ、を含む有機電子デバイスの製造方法。
本発明が提案する樹脂/ガラス複合体を有する積層体は、樹脂/ガラス複合体と支持板との間の該剥離界面において、易剥離部分と易剥離部分よりも剥離強度が大きい密着部分とを有し、該易剥離部分の両端に該密着部分が位置することから、本積層体を基板とした電子デバイスの形成工程において剥離することはなく、かつ、デバイス形成後は、密着部分を取り除くように積層方向に切断することで、支持板を容易に剥離することができる。
また、易剥離部分として離型層を用いた本発明の一実施形態では、樹脂層の一部が支持板に直接接触しているため、本材料を基板として電子デバイスを形成する工程において剥離することはなく、且つその工程を経た後に離型層の外形範囲内で薄板ガラス及び樹脂層、又は樹脂層のみ、若しくは薄板ガラスや樹脂層に加え、離型層及び支持板まで切断することで、樹脂層の支持板に直接接触している部分を切り離し、電子デバイスを備えた薄板ガラス積層体を支持板から容易に剥離することができる。
また薄板ガラスおよび樹脂層の積層体である薄板ガラス積層体は、ハンドリング性に優
れており、剥離時の薄板ガラスにおけるクラック発生及び進展も抑制される。
(a)〜(d)は、本発明の実施形態による離型層と樹脂層の積層関係、すなわち離型層と樹脂層の外形範囲の関係の一例を示す、積層体を積層方向から見た模式図である。 (a)(b)は、本発明の一実施形態による積層体を積層方向に切断した際の一例を示す断面模式図である。 (a)(b)は、本発明の一実施形態による積層体を積層方向に切断した際の一例を示す断面模式図である。 (a)(b)は、本発明の一実施形態による積層体を積層方向に切断した際の一例を示す断面模式図である。 本発明の一実施形態による積層体を積層方向に切断した際の一例を示す断面模式図である。
以下に本発明の樹脂/ガラス複合体を有する積層体(以下、「本積層体」とも称する)、さらにそれらを構成する材料について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
また、説明において図面を用いるが、用いる図面はいずれも本発明の具体的実施形態に係る積層体又はその構成部材を模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、又は省略等を行っており、各構成部材の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていない場合がある。更に、図面を用いた説明に用いる様々な数値は、いずれも一例を示すものであり、必要に応じて様々に変更することができる。
なお、本発明において、外形範囲とは、本積層体を積層方向から見た場合の、各層が占める範囲を意味し、外形範囲内に設けられるとは、ある層が占める、外枠を含めた範囲に別の層が設けられることを意味しており、外形範囲の内側に設けられるとは、ある層が占める、外枠を含まない範囲に別の層が設けられることを意味している。
本発明の実施形態に係る積層体は、支持板上に、厚みが100μm以下の薄板ガラスと樹脂層を備えた樹脂/ガラス複合体(以下、薄板ガラス積層体とも称する)を有する積層体であって、支持板、樹脂層、及び薄板ガラスの順に積層される。
また、図2(a)(b)は、本発明の具体的実施形態である支持板付き薄板ガラス積層体を積層方向に切断した際の一例を示す概略断面図である。
図2(a)(b)に示すように、本発明の実施形態に係る支持板付き薄板ガラス積層体は、支持板、離型層、樹脂層、薄板ガラスが存在する積層体である。
以下では、先ず、支持板や離型層、樹脂層、薄板ガラスをはじめ、本発明の実施形態に係る積層体に用いられる材料等について説明する。後述する積層体の製造方法ではこれらの材料等が用いられる。
<支持板>
本実施形態に用いられる支持板は、電子デバイスの形成工程において樹脂/ガラス複合体を支持する部材であり、電子デバイス形成時に樹脂/ガラス複合体に応力がかかっても、複合体への変形、傷付き、破損などを防止する。
支持板としては、例えば、ガラス板、樹脂板、SUS板などの金属板などが用いられる。通常、電子デバイス形成工程においては加熱処理を伴うため、支持板は、主に薄板ガラスとの線膨張係数の差の小さい材料で形成されることが好ましく、薄板ガラスと同一材料で形成されることがより好ましく、支持板はガラス板であることが好ましい。特に、支持板は、薄板ガラスと同じガラス材料からなるガラス板であることが好ましい。
支持板の厚みは、電子デバイス形成工程において樹脂/ガラス複合体の変形、傷付き、破損などを防ぐことが出来れば特に限定されないが、通常0.01mm以上であり、0.1mm以上であることが好ましい。また、支持板がガラス板である場合は、電子デバイス形成後に剥離する際に、割れずに適度に撓むような剛性が望まれる理由から、通常5mm以下であり、3mm以下であることが好ましい。
<樹脂/ガラス複合体>
本実施形態に用いられる樹脂/ガラス複合体は、薄板ガラス及び樹脂層を備え、上記説明した支持板に支持されることで積層体を形成する。そして積層体は、支持板、樹脂層、及び薄板ガラスの順に積層される。
薄板ガラス及び樹脂層を備え、積層体としてこのように積層される限り、樹脂/ガラス複合体は他の層を有してもよい。例えば樹脂/ガラス/樹脂と積層された複合体であってもよい。
<樹脂層>
本実施形態に用いられる樹脂層は、後述する薄板ガラスと積層し複合体を形成する。該複合体において樹脂層は薄板ガラスの強度を向上させる役割を果たす。
図2(a)、(b)に示す具体的な実施形態では、樹脂層は離型層上に形成され、さらにその上に薄板ガラスが積層される。また樹脂層の一部が支持板に直接接触し、且つ、本積層体を積層方向に切断した際の少なくとも一断面において、離型層の両端部よりも樹脂層の両端部が外側に位置する。樹脂層の一部が支持板と密着しているために、電子デバイスの形成工程においても支持板と薄板ガラスが剥離することがない。
また樹脂層は薄板ガラスの強度を向上させる役割を果たし、薄板ガラスのハンドリング性向上や、支持板を剥離する際のクラック発生及び進展を抑制することができる。
(樹脂層の組成)
樹脂層を構成する樹脂組成物は、樹脂、及びその他必要に応じて添加剤を含む。
樹脂組成物に含まれる樹脂としては、特に限定されず、熱可塑性樹脂であっても、硬化性組成物を硬化させて得られる樹脂であってもよい。
本発明の実施形態で用いられる樹脂層は、その実施形態によっては、接着性を有する必要のない場合があり、また、接着性が要求される場合もある。例えば図2に示す実施形態や、後述する図5に示す実施形態では、樹脂層を構成する樹脂層に接着性が要求され、その場合には、熱又は活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させて得られる樹脂を主成分とする樹脂層であることが好ましい。ここで主成分とは、全成分中のうち最も多く含有される成分をいい、50質量%以上を占める成分であることが好ましく、80質量%以上を示す成分であることがより好ましい。
熱硬化性組成物としては、硬化成分としてアクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などを含む硬化性組成物が挙げられ、耐熱性の観点から、シリコーン樹脂を含む硬化性組成物が好ましい。
活性エネルギー線硬化性組成物としては、短時間かつ比較的容易に硬化達成可能であることから、硬化成分として紫外線硬化性モノマー及びオリゴマーを含む硬化性組成物が好ましい例として挙げられる。
上記紫外線硬化性モノマー及びオリゴマーとしては、機械的物性、透明性及び加工性などの観点から、(メタ)アクリルモノマー、および(メタ)アクリルオリゴマーが好ましい。
例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等のモノマーやオリゴマーが用いられる。
さらに、これらのいくつかを例示すると、トリメチロールプロパントリアクリレート、
トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、イソアミルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレートなど、1個以上の炭素−炭素二重結合を有する単官能および多官能のアクリルモノマー、メタクリルモノマー類が挙げられる。
なお、これらは1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
活性エネルギー線硬化性組成物中に紫外線硬化性モノマー及びオリゴマーを含む場合は、必要に応じて光重合開始剤も含む。光重合開始剤は、紫外線を吸収して活性化(励起)し、開裂反応等を介して反応を開始するために用いられるものである。
上記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン系、アセトフェノン系、チオキサントン系、フォスフィンオキシド系及びパーオキシド系等を挙げることができる。具体例としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、メチルベンゾイルホルメート等を例示することができる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
活性エネルギー線硬化性組成物における光重合開始剤の濃度は、硬化反応を確実に進行させる観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上である。一方で、重合開始剤の未反応物によるアウトガスの発生を防止する観点から、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
硬化性組成物は、必要に応じて溶剤を添加して使用することができる。すなわち、上記硬化性組成物を含む溶液として使用することができる。
上記溶剤としては、硬化性組成物に含まれる成分を均一に希釈する溶剤であれば特に限定されないが、例えば、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
樹脂層を構成する樹脂組成物に含まれる樹脂の総濃度は、加工時の粘度、および加工後の機械物性の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは65質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。
接着性を有する樹脂層を構成する樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、シランカップリング剤、増感剤、架橋剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、界面活性剤、充填剤、離型剤、熱可塑性樹脂を任意で添加することができる。なお、これらは1種又は2種以
上を適宜組み合わせて使用することができる。
また、樹脂層の剥離強度を調整するため、離型成分を適宜加えてもよい。離型成分として、フッ素系内部離型添加剤、界面活性剤、シリコーン系離型添加剤等があげられ、耐熱性の観点からフッ素系離型添加剤が好ましい。
一方で、本発明の実施形態に係る積層体において、例えば後述する図3、図4に示す実施形態では、樹脂層と支持板の間に別途接着層等を設けることから、樹脂層を構成する樹脂層に接着性が要求されない。その場合には樹脂層は、熱可塑性樹脂を主成分とするフィルムであることが好ましい。ここで主成分とは、全成分中のうち最も多く含有される成分をいい、50質量%以上を占める成分であることが好ましく、80質量%以上を示す成分であることがより好ましい。
熱可塑性樹脂としては、耐熱性および透明性が高い樹脂が好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリエーテルサルフォン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、フッ素系樹脂、環状オレフィンホモポリマーや環状オレフィンコポリマー等の環状オレフィン系樹脂などが挙げられる。
上記熱可塑性樹脂の中でも、透明であり且つ融点が230℃以上である樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート(融点約260℃)、ポリエチレンナフタレート(融点約270℃)、ポリエーテルイミド系樹脂(融点約275℃)、ポリフェニレンサルファイド系樹脂(融点約280℃)、ポリエーテルサルフォン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂(融点約334℃)、ポリイミド系樹脂(融点約350℃)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(融点約260℃)等の樹脂を含むことが光学特性及び耐熱性の観点から好ましく、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体がより好ましく、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂が特に好ましい。また、これらの樹脂は一種類又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
なお、樹脂フィルムは熱又は活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させて得られる樹脂であってもよく、そのような樹脂としては、硬化成分としてアクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド前駆体などの硬化性組成物を硬化させて得られる樹脂が挙げられる。上記の中でも、硬化成分としてポリイミド前駆体、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などの硬化性組成物を硬化させて得られる樹脂が好ましい例として挙げられる。また、これらにゴム成分を添加して靱性を向上させても良い。
樹脂層の厚みは、1μm以上であることが好ましい。3μm以上がさらに好ましく、5μm以上が特に好ましい。一方、200μm以下であることが好ましく、100μm以下がさらに好ましく、80μm以下が特に好ましい。
樹脂層の厚みが1μm以上であれば、薄板ガラスのハンドリング性を向上させることができ、厚みが200μm以下であれば、電子デバイス全体の厚み増加を抑制し、電子デバイス作成時の樹脂層からのアウトガス発生量を抑制することができる傾向がある。
(樹脂層の耐熱性)
樹脂層は、電子デバイスの形成工程時の加熱温度や、有機EL照明、有機ELディスプレイ、及び有機太陽電池等の電子デバイスが実用上晒される熱など、工程や用途に対応する耐熱性を持つことが望ましい。具体的な耐熱性としては、樹脂層の5%重量減少温度が230℃以上であることが好ましく、250℃以上であることがより好ましく、350℃以上であることがさらに好ましい。なお、樹脂層の耐熱性は、熱分析装置(例えばRIGAKU製Thermoplus TG8120)を用いて、窒素50mL/min雰囲気
下、昇温速度20℃/minにおける樹脂層について熱減量を測定し、熱減量が測定前サンプル重量の5%となる温度を樹脂層の5%重量減少温度とする。
樹脂層の耐熱性は、透明な無機粒子、耐熱性の高い有機粒子、ガラスやセルロースなどの線維状物質、架橋促進剤などの添加により上記範囲に調整することができるとともに、このような特性を有する樹脂を適宜選択してもよい。
(樹脂層の引張破断伸度)
樹脂層は、薄板ガラスにクラックが発生した際、薄板ガラスの割れに追従せず、ある程度伸びることが望ましい。具体的には、JIS−K−7127−1における引張強度試験において、破断点における伸び(引張破断伸度)は20%以上が好ましい。30%以上が更に好ましく、40%以上が特に好ましい。
(樹脂層の引張弾性率)
樹脂層は、薄板ガラスに加えられた衝撃を吸収する性質を持つことが望ましい。具体的には、具体的には、JIS−K−7127−1における引張強度試験において、23℃における引張弾性率が10GPa以下であることが好ましい、5GPa以下がさらに好ましく、2GPa以下が特に好ましい。また、薄板ガラスにクラックが発生した際、破損断面を分離しようとする力に対して対抗する性質を持つことが望ましいため、23℃における引張弾性率が0.01MPa以上であることが好ましい、0.1MPa以上がさらに好ましく、1MPa以上が特に好ましい。
(樹脂層と薄板ガラスとの密着性)
また樹脂層は、一連の工程、及び電子デバイス形成後の実用上において薄板ガラスと密着していることが望まれる。具体的には、本実施形態に係る積層体を形成後、電子デバイス形成工程時の加熱処理工程を想定して、真空乾燥機を用いて200℃真空下で60分加熱した後に支持板を剥離し、樹脂/ガラス複合体の樹脂面に対してJIS DO202−1988に準拠して碁盤目テープ剥離試験を行った際、樹脂層が剥離しない場合を100/100、完全に剥離する場合を0/100として表した場合、30/100以上が好ましい。40/100以上が更に好ましく、50/100以上が特に好ましい。
<薄板ガラス>
本実施形態に用いられる薄板ガラスは、樹脂層と積層されることで樹脂/ガラス複合体を形成し、樹脂層と対向する面と反対側の面に電子デバイスを形成することができる。
本実施形態に用いられる薄板ガラスは、厚みが100μm以下の板状のものであれば、任意の適切なものが採用され得る。材質としては例えばソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス等ほぼすべてのガラス組成のものが適用でき、強化、表面処理等の二次加工を施したものも適用可能であり、いずれも用途により使い分けられる。二次加工としては例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などによるカップリング剤処理、酸処理、アルカリ処理、オゾン処理、イオン処理などの化成処理、プラズマ処理、グロー放電処理、アーク放電処理、コロナ処理などの放電処理、紫外線処理、X線処理、ガンマ線処理、レーザー処理などの電磁波照射処理、その他火炎処理などの表面処理などの各種表面処理があげられる。特に、樹脂層との密着性を向上させる観点から、シランカップリング剤で表面処理されていることが好ましい。
厚みが100μm以下の薄板ガラスは、原理的にはガラス溶融体の固化する温度より高い温度にてガラス溶融体を引き延ばして作ることが可能である。ガラス組成、ガラス溶融体の厚さ、温度、引き取り速度により薄板ガラスの厚みを制御することができる。
薄板ガラスの厚みは100μm以下であればよく、1μm以上、100μm以下が好ましく、10μm以上、100μm以下がより好ましく、20μm以上、80μm以下がさらに好ましい。厚みが1μm以上であれば、機械的強度が確保でき、積層した樹脂層の熱
伸縮によるストレスによる破損を抑制することができる。また厚みが100μm以下であれば、ハンドリング性、二次加工性改良を一つの目的とした樹脂層の積層が効果的となる。
薄板ガラス表面の平均面粗さは、5nm以下が好ましく、2nm以下がさらに好ましく、1nm以下が特に好ましい。
薄板ガラスの平均面粗さが5nm以下であれば、薄板ガラス表面に電子デバイスを形成する場合、例えば、非常に薄く(数十nm厚)、且つ表面抵抗値の低い導電層を形成できるため、本実施形態に係る積層体を電子デバイスの基板として好適に用いることができる。
なお、平均面粗さ(算術平均粗さ(Sa))は光干渉式非接触表面形状測定器を用いて測定でき、例えば、以下のとおりに測定される。
非接触表面・層断面計測システムVertScan2.0(株式会社菱化システム製)を用い薄板ガラスの表面観察(観察視野:93.97μm×71.30μm)を実施し、薄板ガラス表面について、平均面粗さ(算術平均粗さSa)を算出する。
<その他の層>
本実施形態に係る積層体は、支持板、樹脂層、及び薄板ガラス以外に、本発明の効果を阻害しない他の層を含んでもよい。具体的には、上述した樹脂/ガラス複合体の構成を樹脂/ガラス/樹脂とする場合の、支持板と対向しない側の樹脂層があげられる。樹脂層を薄板ガラスの支持板と対向しない側の表面に備えることで、樹脂層が1層のみの場合に比べて薄板ガラスのハンドリング性をより向上させることが出来、支持板を剥離する際の薄板ガラスにおけるクラック発生及びクラック進展もより抑制される。
この場合の樹脂層の厚みは、薄板ガラスの支持板と対向する側の面に備えられる樹脂層と同程度の厚みが望ましい。薄板ガラスの両面に同程度の厚みを有する樹脂層を備えることで、薄板ガラスと樹脂層との線膨張係数の違いや、樹脂層の硬化収縮などにより発生する応力に起因する積層体の歪みを抑制させることが出来る。
また、この場合の樹脂層の組成は、薄板ガラスの支持板と対向する側の表面に備えられる樹脂層と同じ組成が使用可能である。特に、薄板ガラスの支持板と対向する側に備えられる同じ材質を用いれば先述の歪みはより発生しにくくなるため好ましい。
支持板と樹脂層を接着させるための接着層や、樹脂層と薄板ガラスを接着させるための接着層を有してもよい。この場合の接着層としては、上記樹脂層の説明で述べた熱又は活性エネルギー線硬化性組成物を適宜用いることができ、樹脂層と同等の耐熱性を有することが好ましい。
上記接着層にはシランカップリング剤を添加してもよい。上記接着層は、カップリング剤を添加することにより、支持板や薄板ガラスとの接着性が向上し得る。
さらには、下記積層体の説明で述べるように、離型層や易剥離性接着層を有していてもよい。
離型層を構成する材料としては、具体的には、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ワックス系樹脂、界面活性剤を含む離型剤などが挙げられる。中でも、耐熱性が高く、薄板ガラスや樹脂層への成分移行も少なく、且つ離型性も良いフッ素系樹脂を含む離型剤がより好ましい。
易剥離性接着層を構成する材料としては、上記接着層の説明で述べた樹脂組成物や、該樹脂組成物中に剥離強度を調整するための離型成分を加えたものなどが挙げられる。離型成分として具体的には、フッ素系離型添加剤、界面活性剤、シリコーン系離型添加剤等があげられ、耐熱性の観点からフッ素系離型添加剤が好ましい。
<積層体>
本実施形態に係る積層体は、上述のとおり、支持板上に樹脂/ガラス複合体を有する積層体である。そして、積層体を積層方向に切断した際の少なくとも一断面において、樹脂/ガラス複合体と支持板との界面に、易剥離部分と易剥離部分よりも剥離強度が大きい密着部分とを有し、該易剥離部分の両端に該密着部分が位置することを特徴とする。
このような構成を有する積層体とすることで、易剥離部分の両端に存在する密着部分を取り除くように積層方向に切断することで、支持板と樹脂/ガラス複合体との界面が易剥離部分のみとなり、支持板を容易に剥離することができる。このような構成を有する積層体の具体的な実施形態を、以下図を用いて説明する。
なお、本明細書において「樹脂/ガラス複合体と支持板との界面」とは、樹脂/ガラス複合体と支持板とが直接接触して積層している場合にはその接合面を意味し、樹脂/ガラス複合体と支持板とが、例えば接着層などの別の層を介して積層している場合には、樹脂/ガラス複合体と支持板との間の接合領域を意味する。例えば図2においては、薄板ガラス12と支持板11との間の領域、即ち樹脂層13及び離型層14が存在する領域、薄板ガラス12と樹脂層13との接合面、並びに支持板11と樹脂層13及び離型層14との接合面、が含まれる。
図2は、本発明の実施形態に係る積層体を表す断面模式図である。図2(a)に示す積層体10は、支持板11上に、薄板ガラス12及び樹脂層13からなる樹脂/ガラス複合体を有する。積層体10は、樹脂層13と支持板11との界面に、離型層14を有する。離型層14は、支持板11に対して密着し、樹脂層13に対して良好な離型性を示すため、積層体から支持板を容易に剥離することができる。一方で離型層14は、樹脂層の両端よりも内側に、即ち樹脂層の外形範囲内に設けられる。そのため、離型層14が存在しない界面である鎖線15で表された箇所は、剥離強度が大きい密着部分となり、離型層が存在する界面は剥離強度が小さい易剥離部分となる。したがって、積層体10は、複合体と支持板11との界面に、易剥離部分と密着部分を有し、易剥離部分の両端に密着部分が位置する構造を有する。
離型層14は、支持板11に対して密着し、且つ樹脂層13に対して離型性を有するものであれば特に限定はされず、従って選定される樹脂層13の種類によって適切な材料が選択されるが、電子デバイスの形成工程においては加熱処理を施されることが多い為、加熱時に熱変性や揮散しないことが好ましい。
離型層14を構成する材料としては、具体的には、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ワックス系樹脂、界面活性剤を含む離型剤などが挙げられる。中でも、耐熱性が高く、薄板ガラス12への成分移行も少なく、且つ離型性も良いフッ素系樹脂を含む離型剤がより好ましい。
離型層14の厚みは、樹脂層13に対して離型性を発現できる厚みであれば、特に限定されないが、通常0.1μm以上、好ましくは5μm以上であり、また通常20μm以下、好ましくは10μm以下である。
離型層14の厚みが0.1μm以上であれば、有効な離型性を発現でき、厚み20μm以下であれば、表面平滑性を確保でき、またアウトガスによる空隙の発生を抑制することができる傾向がある。
図2(b)は積層体10の変形例である積層体20を示し、支持板21上に、薄板ガラス22及び樹脂層23からなる樹脂/ガラス複合体を有する。積層体20は、樹脂層23と支持板21との界面に、離型層24を有する。ここで、本発明の実施形態に係る積層体は、積層体上に有機電子デバイスを載置する前、又は載置した後、密着部分を取り除くように積層方向に切断することで支持板を剥離し、使用することとなる。すなわち、図2中
のX−X´一点鎖線に沿って切断される。その際、図2(a)に示す積層体10では、薄板ガラス12のうちX−X´一点鎖線よりも外側に存在する部分は不要部分となるため、歩留まりが悪い。一方で積層体20は、薄板ガラス22が離型層24の外形範囲よりも内側に設けられているため、X−X´一点鎖線に沿って切断した際に不要部分がなく乃至は不要部分が少なく、歩留まりが向上する。よって、本発明においては、薄板ガラスが、易剥離部分の外形範囲よりも内側に設けられている形態が好ましい。
以下、離型層を用いた他の実施形態を説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る積層体を表す断面模式図である。図3(a)に示す積層体30は、支持板31上に、薄板ガラス32及び樹脂層33からなる樹脂/ガラス複合体を有する。積層体30は、樹脂層33と支持板31との界面に別途接着層36を有する点が積層体10及び20と異なる。加えて、接着層36と支持板31との間には離型層34を有し、離型層34は、支持板31に対して密着し、接着層36に対して良好な離型性を示すため、積層体から支持板を容易に剥離することができる。一方で離型層34は、樹脂層33及び接着層36の両端よりも内側に、即ち樹脂層の外形範囲内に設けられる。そのため、離型層34が存在しない界面である鎖線35で表された箇所は、剥離強度が大きい密着部分となり、離型層が存在する界面は剥離強度が小さい易剥離部分となる。したがって、積層体30は、複合体と支持板31との界面に、易剥離部分と密着部分を有し、易剥離部分の両端に密着部分が位置する構造を有する。
図3(b)は積層体30の変形例である積層体40を示し、支持板41上に、薄板ガラス42及び樹脂層43からなる樹脂/ガラス複合体を有する。積層体40は、樹脂層43と支持板41との界面に別途接着層46を有し、接着層46と樹脂層43との間に離型層44を有する点で、積層体30と異なる。
このような形態であっても、離型層44は、樹脂層43及び接着層46の両端よりも内側に、即ち樹脂層の外形範囲内に設けられる。そのため、離型層44が存在しない界面である鎖線45で表された箇所は、剥離強度が大きい密着部分となり、離型層が存在する界面は剥離強度が小さい易剥離部分となる。したがって、積層体40は、複合体と支持板41との界面に、易剥離部分と密着部分を有し、易剥離部分の両端に密着部分が位置する構造を有する。
また、離型層を用いない他の実施形態も可能であり、以下説明する。
図4は、本発明の実施形態に係る積層体を表す断面模式図である。図4(a)に示す積層体50は、支持板51上に、薄板ガラス52及び樹脂層53からなる樹脂/ガラス複合体を有する。積層体50は、樹脂層53と支持板51との界面に、上記積層体30及び40とは異なり易剥離性接着層57を有する。即ち易剥離接着層は、支持板51及び樹脂層53に対して一定の接着性を示す一方、良好な離型性を示すため、積層体から支持板を容易に剥離することができる。加えて、易剥離性接着層57における支持板51との接面のうち、図中ハッチングで示す部分には接着処理が施されている。そのため、図中ハッチングで示す接着処理が施された界面である鎖線55で表された箇所は、剥離強度が大きい密着部分となり、図中2点鎖線58で表される易剥離性接着層が存在する界面は剥離強度が小さい易剥離部分となる。したがって、積層体50は、複合体と支持板51との界面に、易剥離部分と密着部分を有し、易剥離部分の両端に密着部分が位置する構造を有する。
易剥離性接着層における図中ハッチングで示す部分に施される接着処理としては、具体的には易剥離性接着層表面や支持板表面にコロナ処理、オゾン処理、シランカップリング処理することが挙げられる。また接着剤を用いて接着処理を行ってもよい。
図4(b)は積層体50の変形例である積層体60を示し、支持板61上に、薄板ガラス62及び樹脂層63からなる樹脂/ガラス複合体を有する。積層体60は、樹脂層63
と支持板61との界面に別途易剥離性接着層67を有し、加えて、易剥離性接着層67における樹脂層63との接面のうち、図中ハッチングで示す部分には接着処理が施されている点で、積層体50と異なる。
このような形態であっても、図中ハッチングで示す接着処理が施された界面である鎖線65で表された箇所は、剥離強度が大きい密着部分となり、図中2点鎖線68で表される易剥離性接着層が存在する界面は剥離強度が小さい易剥離部分となる。したがって、積層体60は、複合体と支持板61との界面に、易剥離部分と密着部分を有し、易剥離部分の両端に密着部分が位置する構造を有する。
図5は、本発明の実施形態に係る積層体を表す断面模式図である。図5に示す積層体70は、支持板71上に、薄板ガラス72及び樹脂層73からなる樹脂/ガラス複合体を有する。ここで、図2における樹脂層13及び23と異なり、樹脂層73は、易剥離性質を有する樹脂層であり、支持板71に対して良好な離型性を示すため、積層体から支持板を容易に剥離することができる。加えて、樹脂層73と支持板71との接面のうち、図中ハッチングで示す部分には接着処理が施されている。そのため、図中ハッチングで示す接着処理が施された界面である鎖線75で表された箇所は、剥離強度が大きい密着部分となり、図中2点鎖線78で表される樹脂層が存在する界面は剥離強度が小さい易剥離部分となる。したがって、積層体70は、複合体と支持板71との界面に、易剥離部分と密着部分を有し、易剥離部分の両端に密着部分が位置する構造を有する。
<本実施形態に係る積層体>
本実施形態に係る積層体のうち、図2に示す実施形態では、支持板表面上に、離型層、樹脂層、及び薄板ガラスをこの順に有し且つ、樹脂層の一部が支持板と直接接触している積層体である。
図2に示す積層体は強度が高く、ハンドリング性に優れるため、電子デバイスの形成工程においても破損することがなく、また工程後は、離型層の外形範囲内で薄板ガラス及び樹脂層、又は樹脂層のみ、若しくは薄板ガラスや樹脂層に加え、離型層及び支持板まで切断することで、樹脂層の支持板に直接接触している部分、すなわち密着部分を切り離し、表面に電子デバイスを形成した薄板ガラスおよび樹脂層の積層体を、支持板から容易に剥離することができる。また、本実施形態に係る積層体は、薄板ガラスの樹脂層側表面の反対面に、更に樹脂層を備えてもよい。
(密着部分及び易剥離部分の剥離強度)
本実施形態に係る積層体は、複合体と支持板の界面に易剥離部分と密着部分を有し、密着部分は易剥離部分よりも剥離強度が大きい。
本実施形態に係る積層体の、密着部分の剥離強度と、易剥離部分の剥離強度の差は、限定されるものではないが、0.5N/25mm以上であることが好ましい。1N/25mm以上がさらに好ましく、2N/25mm以上であることが特に好ましい。
密着部分の剥離強度と、易剥離部分の剥離強度の差が0.5N/25mm以上であれば、デバイス形成工程においては支持板が剥離せず、デバイス形成工程後は、積層体から支持板を容易に剥離することができるため好ましい。
易剥離部分の剥離強度は、密着部分を除去した際に、積層体から支持板を容易に剥離することができることが好ましく、通常0.5N/25mm以下であり、0.4N/25mm以下であることが好ましく、0.3N/25mm以下であることがより好ましい。下限は特に限定されないが、0.01N/25mm以上であることが好ましい。
一方で密着部分の剥離強度は、デバイス形成工程において支持板が剥離しない程度の剥離強度であることが好ましい。具体的な数値としては、易剥離部分と比べて剥離強度が高ければそれに適した構成を選択する事で対処は可能であるため特に限定されないが、好ましくは、0.5N/25mm以上であり、1.0N/25mm以上であることが好ましく
、2.0N/25mm以上であることがより好ましい。上限は特に限定されないが、剥離試験において、複合体が剥離できない程度の剥離強度が好ましい。
なお、剥離強度はJIS K 6854−1に準拠した90度剥離試験で測定でき、例えば、実施例の項に記載した方法で測定される。
(支持板と樹脂層の積層関係)
本実施形態に係る支持板及び樹脂層の関係は、樹脂層が支持板の外形範囲内に設けられていることが好ましく、外形範囲よりも内側に設けられていることがより好ましい。このような関係を満たすことで、電子デバイス形成時の搬送性等を良くすることができる。
(離型層及び樹脂層の積層関係)
本実施形態に係る積層体のうち、図2に示す実施形態では、離型層及び樹脂層の関係は、樹脂層の一部が支持板に直接接触し、且つ、積層体の積層方向に切断した際の少なくとも一断面において、離型層の両端部よりも樹脂層の両端部が外側に位置する。このような関係を満たすことで、樹脂層及び薄板ガラスは電子デバイスの形成工程において、支持板から剥離することなく、形成工程後は、離型層の外形範囲内で薄板ガラス及び樹脂層、又は樹脂層のみ、若しくは薄板ガラスや樹脂層に加え、離型層及び支持板まで切断することで、支持板から容易に剥離することができる。
また、電子デバイスの作成工程において、支持板と樹脂層との密着性を向上させる観点から、離型層は、樹脂層の外形範囲内に設けられていることが好ましく、樹脂層の外形範囲の内側に設けられていることがさらに好ましい。
なお、離型層及び樹脂層については、上記関係を満たすものであれば特に限定されるものではないが、例えば図1(a)〜(d)の様な積層関係である実施形態が挙げられる。このうち図1(a)の実施形態では、易剥離部分を形成する離型層が樹脂層の外形範囲の内側に設けられており、積層体とした際には、易剥離部分が密着部分に囲まれた形態となる。
(樹脂層と薄板ガラスの積層関係)
本実施形態に係る樹脂層及び薄板ガラスの関係は特に限定されないが、薄板ガラスが樹脂層の外形範囲内に設けられることが好ましい。このような関係を満たすことで、薄板ガラスの一方の表面全面に樹脂層が積層されているため、電子デバイスの形成工程や、本実施形態に係る積層体の切断工程、及び支持板剥離後の樹脂/ガラス複合体の取り扱いにおいて、薄板ガラスのクラック発生や、破断をより抑制することができる。
また、支持板剥離時のハンドリングの観点から、薄板ガラスは、樹脂層の外形範囲の内側に設けられていることがさらに好ましい。中でも、樹脂層の外形範囲が薄板ガラスの外形範囲に対して樹脂層の端部を把持できる程度に大きく、且つ支持板と樹脂層の密着強度が、支持板と樹脂層を剥離させる際に、樹脂層中で凝集破壊が起きない程度であれば、樹脂層の端部を把持して引張応力を加えることで、支持板から、薄板ガラスを破損させることなく剥離することができるので特に好ましい。
また、図2(b)の様に樹脂層が薄板ガラスの側面まで覆う形状でもよい。この場合、側面からの衝撃に対して薄板ガラスの割れを防止する効果が期待できる。
(離型層と薄板ガラスの積層関係)
本実施形態に係る離型層及び薄板ガラスの関係は、図2(b)の様に薄板ガラスが、離型層の外形範囲の内側に設けられていることが好ましい。このような関係を満たすことで、電子デバイスの形成工程後、離型層の外形範囲内、且つ、薄板ガラスの外形範囲の外側にある樹脂層のみ、若しくは、樹脂層に加え、離型層及び支持板を切断することで、樹脂層の支持板に接着している部分を切り離すことができ、支持板から、樹脂/ガラス複合体を、容易に剥離することができる。
<樹脂/ガラス複合体>
本発明の別の実施形態は、上記説明した積層体から支持板を剥離して得られる樹脂/ガラス複合体であり、有機EL照明、及び有機EL表示装置、及び有機太陽電池等の有機電子デバイスの基板として用いることができる。
また、薄板ガラスに樹脂層が積層されているため、薄板ガラス単体よりもハンドリング性、取扱い性が向上し、作成した電子デバイスの二次加工時の欠陥発生が抑制される。
樹脂/ガラス複合体は、用途に応じた光透過性を有していれば特に限定されないが、通常、全光線透過率が80%以上であることが好ましい。85%以上であることがより好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
全光線透過率が80%以上であれば、良好な光透過性を示すため、例えば、有機EL照明、有機EL表示装置等の発光装置の基板として好適に用いることができる。
なお、全光線透過率は、透過率計(例えば、村上色彩技術研究所製「HR−100」)を用い、JIS K 7361に準拠する方法で測定できる。
樹脂/ガラス複合体の厚みは、フレキシブル性の観点から200μm以下が好ましく、より好ましくは150μm以下であり、更に好ましくは100μm以下である。また、通常10μm以上が好ましく、30μm以上であることがより好ましく、50μm以上であることが特に好ましい。
<本実施形態に係る積層体の製造方法>
本実施形態に係る積層体の製造方法は、支持板上に、樹脂層及び薄板ガラスを含む樹脂/ガラス複合体をこの順に有し、複合体と支持板との界面に、易剥離部分と該易剥離部分の両端に密着部分とが位置する積層体を製造できれば特に限定されない。図2(a)の構成を例にすると、具体的には、支持板を準備し、その表面上に離型層、樹脂層、薄板ガラスを順に積層することで、本実施形態に係る積層体が得られる。以下、本実施形態に係る積層体の製造方法の一実施形態をより詳しく説明する。
支持板表面上に離型層を積層する方法としては、直接塗布法、転写フィルムを用いた転写方法が挙げられる。
直接塗布法は、具体的には少なくとも離型層を形成する樹脂、添加剤、及び溶剤を含む塗布用組成物を調製し、該組成物をダイコータ塗布、バーコータ塗布、スピンコータ塗布、メイヤーバー塗布、エアナイフ塗布、グラビア塗布、リバースグラビア塗布、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、ディップコート、スプレーコートなどの方法により、支持板に塗布する手法である。
溶剤は、通常有機溶剤が用いられ、離型層に含まれる樹脂の種類により適宜選択される。
なお、塗布後は、必要に応じ溶剤を除去する工程や、離型層を硬化させる工程を含んでもよい。
また、直接塗布法による場合、塗布速度、吐出量等は特に限定されず、離型層に含まれる樹脂の組成や、離型層の厚みによって適宜調整することができる。
転写フィルムを用いた転写法は、支持フィルム上に離型層を積層した転写フィルムを、離型層側表面を支持板表面に向けて転写し、その後支持フィルムを剥離する手法である。
樹脂層が、支持板の外形範囲内に設けられており、樹脂層の一部が支持板に直接接触し、且つ、積層体を積層方向に切断した際の少なくとも一断面において、離型層の両端部よりも樹脂層の両端部が外側に位置する関係を満たすために、例えば、支持板表面の一部にマスキングテープを貼り、その上から離型層を形成した後、マスキングテープを剥離する工程を含んでもよい。
支持板及び離型層上に、樹脂層を積層する方法としては、上記直接塗布法及び転写法が挙げられる。
樹脂層を形成する樹脂組成物は、支持板の外形範囲内において、樹脂層の一部が支持板に直接接触し、且つ、積層体を積層方向に切断した際の少なくとも一断面において、離型層の両端部よりも樹脂層の両端部が外側に位置するよう積層される。この時、必要に応じて、上記マスキングテープを用いて積層範囲を制御してもよい。
また、必要に応じて樹脂層を形成する樹脂組成物に含まれる溶剤を除去する工程や、樹脂層上に薄板ガラスを積層した後、樹脂層に含まれる硬化性組成物を硬化させる工程を含んでもよい。
樹脂層の外形範囲内に薄板ガラスを積層する方法としては、空隙が入らない様、薄板ガラスを樹脂層上に静置する方法、粘着フィルムを薄板ガラスの、樹脂層と接する面の反対面側に貼り合わせた後、引張応力を加えて薄板ガラスが撓まないようにしながら、ローラーを用いて端辺より樹脂層上に積層し、粘着フィルムを剥がす方法が挙げられる。
また、図4(a)の実施形態においては、支持板の易剥離性接着層と対向する面の端部、図4(b)の実施形態においては、樹脂層の易剥離性接着層と対向する面の端部に接着処理を行った上で、上記説明した方法により、支持板上に易剥離性接着層を積層する。その後、樹脂層、薄板ガラスを順に積層することで、積層体を製造することができる。
なお、接着処理としては、コロナ処理、オゾン処理、シランカップリング処理することが挙げられる。また公知の接着剤を用いて接着処理を行ってもよい。
<樹脂/ガラス複合体の製造方法>
樹脂/ガラス複合体の製造方法は、上記本実施形態に係る積層体から、樹脂/ガラス複合体を剥離できさえすれば、特に限定されないが、通常は上記本実施形態に係る積層体上に電子デバイスを形成した後に剥離する。
具体的には、図2に示す本実施形態に係る積層体において、離型層の外形範囲内で、例えばX−X´一点鎖線に沿って樹脂層及び薄板ガラス、又は樹脂層のみ、若しくは薄板ガラスや樹脂層に加え、離型層及び支持板まで切断した後、支持板を離型層と樹脂層の界面で剥離することで、樹脂/ガラス複合体を得ることができる。以下、樹脂/ガラス複合体の製造方法の一実施形態をより詳しく説明する。
図2に示す本実施形態に係る積層体は、支持板と薄板ガラスが、樹脂層の支持板に直接接触している部分を介して接着している。このため、樹脂/ガラス複合体は、樹脂層の支持板に直接接触している部分を切り離し、離型層と樹脂層の界面で剥離することにより、支持板から剥離することができる。
離型層が薄板ガラスの外形範囲内である場合には、離型層の外形範囲内、且つ、薄板ガラスの外形範囲内を切断する、すなわち薄板ガラス及び樹脂層、又は薄板ガラス及び樹脂層に加え、離型層及び支持板まで切断することで、樹脂/ガラス複合体を剥離することができる。
薄板ガラスが離型層の外形範囲の内側に設けられている場合には、離型層の外形範囲内、且つ、薄板ガラスの外形範囲の外側を切断する、すなわち樹脂層のみ、又は樹脂層に加え、離型層及び支持板まで切断することで、樹脂/ガラス複合体を剥離することができる。ただし、この場合には、薄板ガラス及び樹脂層、又は薄板ガラス及び樹脂層に加え、離型層及び支持板まで切断して樹脂/ガラス複合体を剥離してもよい。
(切断方法)
樹脂層及び薄板ガラス、若しくは薄板ガラスや樹脂層に加え、離型層及び支持板を切断する方法としては、各層を切断出来れば特に限定されないが、ルーター加工等の刃を用い
て表面を切削する方法、ガラス表面に傷をつけ、その後外的応力によりガラスを切断(スクライブ法)し、その後樹脂を別の手法で切断する方法、高圧水流により切断するウォータージェット法、薄板ガラスの吸収波長領域の波長を持つCOレーザーやUVレーザーを用いる方法等が用いられる。
この中でも、樹脂層及び薄板ガラス、若しくは薄板ガラス及び樹脂層に加え、離型層及び支持板を同時に切断できることから、表面を切削する方法、ウォータージェット法、レーザーを用いる方法が好ましく、各層の切断面にクラックが発生しにくいことから、レーザーを用いる方法が特に好ましい。
また、COレーザーを用いる手法では、ガラス端面に傷をつけ、レーザーを収束せずに照射することで熱応力により切断するレーザースクライブ法も用いられる。この際、樹脂はレーザーの吸収による溶融または蒸発により切断される。
樹脂層のみを切断する手法としては、切断面の状態を考慮する必要が無い為、特に制限されないが、例えば、上記切断方法の他、鋭利な刃を用いて物理的に切断する手法などが用いられる。
(支持板の剥離方法)
支持板を剥離する方法としては、支持板を離型層と樹脂層の界面で剥離できれば、特に限定されないが、例えば、各層を切断した後、離型層と樹脂層の界面に鋭利な刃物状のものを差し込み、剥離のきっかけを与えた上で剥離する方法や、本積層体の支持板側及び薄板ガラス積層体側を真空吸着によってそれぞれ定盤等に固定し、引き離すことで剥離させる方法が挙げられる。
前述したように、樹脂層の外形範囲が、薄板ガラスの外形範囲に対して樹脂層の端部を把持できる程度に大きく、且つ支持板と樹脂層の密着強度が、支持板と樹脂層を剥離させる際に、樹脂層中で凝集破壊が起きない程度であれば、樹脂層の端部を把持して引張り応力を加えることで、支持板から、薄板ガラスを破損させることなく剥離することができる。
樹脂/ガラス複合体の製造方法については、図2に示す実施形態を具体例として説明したが、他の実施形態に対しても、図2に示す実施形態についての説明が適用できる。
以上に説明したとおり、本発明の別の実施形態としては、上述した本実施形態に係る積層体を、前記密着部分を取り除くよう積層方向に切断するステップ、及び該積層体から支持板を剥離するステップ、を含む樹脂/ガラス複合体の製造方法である。
また、積層体に有機電子デバイスが載置されている場合、本発明の別の実施形態としては、本実施形態に係る積層体を、前記密着部分を取り除くよう積層方向に切断するステップ、及び該積層体から支持板を剥離するステップ、を含む有機電子デバイスの製造方法である。
<用途>
本実施形態に係る積層体は、例えば、有機電界発光素子及び有機光電変換素子等の有機電子デバイスを作成する際の基板として用いることができる。さらには上記有機電界発光素子を用いて有機EL照明及び有機EL表示装置を得ることができ、また有機光電変換素子を用いて有機太陽電池モジュールを得ることができるが、この用途に限定されるものではない。
(有機電界発光素子)
本実施形態に係る積層体を、作成時の基板として用いることで得られる有機電界発光素子(有機EL素子、有機エレクトロルミネッセンス素子ともいう。)である。
本実施形態に係る積層体は、強度が高く、ハンドリング性に優れ、且つ、電子デバイスの形成工程においても樹脂/ガラス複合体と支持板が剥離しないため、有機EL素子形成時の基板として好適に用いることができる。素子形成後、支持板を剥離することで、表面に有機EL素子が形成された樹脂/ガラス複合体を得ることができる。
有機EL素子は陰極と陽極を有し、両電極の間に発光層を含む有機化合物層を有する。発光素子の性質上、陽極および陰極のうち少なくとも一方の電極は、透明である。
有機化合物層の積層の態様としては、例えば、陽極側から、正孔輸送層、発光層、電子輸送層の順に積層されている態様が好ましい。さらに、正孔輸送層と発光層との間、または、発光層と電子輸送層との間には、電荷ブロック層等を有していてもよい。陽極と正孔輸送層との間に、正孔注入層を有してもよく、陰極と電子輸送層との間には、電子注入層を有してもよい。また、発光層としては一層だけでもよく、また、第一発光層、第二発光層、第三発光層等に発光層を分割してもよい。さらに、各層は複数の二次層に分かれていてもよい。
[陽極]
陽極は、通常、有機化合物層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。陽極は、通常、透明陽極として設けられる。透明陽極については、沢田豊監修「透明電極膜の新展開」シーエムシー刊(1999)に詳述がある。基板として耐熱性の低いプラスチック基材を用いる場合は、ITOまたはIZO等の透明な導電性材料を使用し、150℃以下の低温で成膜した透明陽極が好ましい。
[陰極]
陰極は、通常、有機化合物層に電子を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
陰極を構成する材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられる。具体例としては2属金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。
これらの中でも、陰極を構成する材料としては、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、アルミニウムと0.01〜10質量%のアルカリ金属または2属金属との合金(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。なお、陰極の材料については、特開平2−15595号公報、特開平5−121172号公報に詳述されている。また、陰極と有機化合物層との間に、アルカリ金属または2属金属のフッ化物、酸化物等による誘電体層を0.1〜5nmの厚みで挿入してもよい。この誘電体層は、一種の電子注入層と見ることもできる。
陰極の厚みは、陰極を構成する材料により適宜選択することができる。通常10nm〜5μm程度であり、50nm〜1μmが好ましい。また、陰極は、透明であってもよいし、不透明であってもよい。なお、透明な陰極は、陰極の材料を1〜10nmの厚さに薄く成膜し、さらにITOやIZO等の透明な導電性材料を積層することにより形成すること
ができる。
[発光層]
有機EL素子は、発光層を含む少なくとも一層の有機化合物層を有しており、発光層以外の有機化合物層としては、上記した通り、正孔輸送層、電子輸送層、電荷ブロック層、正孔注入層、電子注入層等が挙げられる。
発光層は、電界印加時に、陽極、正孔注入層、または正孔輸送層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層、または電子輸送層から電子を受け取り、正孔と電子との再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。発光層は、発光材料のみで構成されていてもよく、ホスト材料と発光材料の混合層とした構成でもよい。発光材料は蛍光発光材料でも燐光発光材料であってもよく、1種であっても2種以上であってもよい。ホスト材料は電荷輸送材料であることが好ましい。ホスト材料は1種であっても2種以上であってもよく、例えば、電子輸送性のホスト材料とホール輸送性のホスト材料とを混合した構成が挙げられる。さらに、発光層中に電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいてもよい。また、発光層は1層であっても2層以上であってもよく、それぞれの層が異なる発光色で発光してもよい。
前記蛍光発光材料の例としては、例えば、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、縮合芳香族化合物、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサジン誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、スチリルアミン誘導体、ジケトピロロピロール誘導体、芳香族ジメチリディン化合物、8−キノリノール誘導体の金属錯体やピロメテン誘導体の金属錯体に代表される各種金属錯体等、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン誘導体などの化合物等が挙げられる。
前記燐光発光材料は、例えば、遷移金属原子またはランタノイド原子を含む錯体が挙げられる。前記遷移金属原子としては、特に限定されないが、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、および白金が挙げられ、より好ましくは、レニウム、イリジウム、および白金である。前記ランタノイド原子としては、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテシウムが挙げられる。これらのランタノイド原子の中でも、ネオジム、ユーロピウム、およびガドリニウムが好ましい。
錯体の配位子としては、例えば、「Comprehensive Coordination Chemistry」(Pergamon Press社、1987年発行、G.Wilkinson等著)、「Photochemistry and Photophysicsof Coordination Compounds」(Springer−Verlag社、1987年発行、H.Yersin著)、
「有機金属化学−基礎と応用−」(裳華房社、1982年発行、山本明夫著)等に記載の配位子などが挙げられる。
また、発光層に含有されるホスト材料としては、例えば、カルバゾール骨格を有するもの、ジアリールアミン骨格を有するもの、ピリジン骨格を有するもの、ピラジン骨格を有するもの、トリアジン骨格を有するものおよびアリールシラン骨格を有するものや、後述の正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層の項で例示されている材料が挙げられる。
[正孔注入層、正孔輸送層]
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極または陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。正孔注入層、正孔輸送層は、具体的には、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、有機シラン誘導体、カーボン、等を含有する層であることが好ましい。
[電子注入層、電子輸送層]
電子注入層、電子輸送層は、陰極または陰極側から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。電子注入層、電子輸送層は、具体的には、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン誘導体、等を含有する層であることが好ましい。
[正孔ブロック層]
正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が、陰極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。発光層と陰極側で隣接する有機化合物層として、正孔ブロック層を設けることができる。また、電子輸送層・電子注入層が正孔ブロック層の機能を兼ねていてもよい。正孔ブロック層を構成する有機化合物の例としては、BAlq等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、BCP等のフェナントロリン誘導体、等が挙げられる。また、陰極側から発光層に輸送された電子が陽極側に通りぬけることを防止する機能を有する層を、発光層と陽極側で隣接する位置に設けることもできる。正孔輸送層・正孔注入層がこの機能を兼ねていてもよい。
[有機EL素子の製造方法]
本実施形態に係る積層体を、このような有機EL素子形成時の基板として用いるには、公知の方法によればよく、例えば、枚葉形態によるバッチ加工を挙げることができる。
[有機EL素子の用途]
該有機EL素子は、例えば、有機ELモジュールとして用いることができる。その型式や構造に特に制限はないが、例えば、基板上の正孔輸送層、発光層、正孔注入層等の積層方向と交叉方向(通常は直交方向)に、複数個を並列配置させることができる。
また、該有機EL素子は、有機EL表示装置や有機EL照明として用いることもできる。有機EL表示装置、有機EL照明の型式や構造については特に制限はなく、常法に従って組み立てることができる。
有機EL表示装置であれば、例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社、平成16年8月20日発行、時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で、該有機EL素子を用いた有機EL表示装置を形成することができる。
(有機光電変換素子)
本実施形態に係る積層体を、作成時の基板として用いることで得られる有機光電変換素子である。
本実施形態に係る積層体は、強度が高く、ハンドリング性に優れ、且つ、電子デバイスの形成工程においても樹脂/ガラス複合体が剥離しないため、有機光電変換素子形成時の基板として好適に用いることができる。素子形成後、支持板を剥離することで、表面に有機光電変換素子が形成された樹脂/ガラス複合体を得ることができる。
有機光電変換素子は、基本的な構成として、少なくとも一方が透明または半透明である一対の電極と、これら一対の電極間に配置される、バルクヘテロ接合型の場合には有機薄膜からなる1層の活性層、またはヘテロ接合型の場合には有機薄膜からなる2層の活性層を含む積層構造とを備えている。
有機光電変換素子を構成する、電極、活性層、及び他の構成要素については、公知の材料から適宜選択し、公知の製造方法により有機光電変換素子を形成することができる。
[有機光電変換素子の用途]
該有機光電変換素子は、例えば、有機太陽電池モジュールとして用いることができる。有機太陽電池モジュールの型式や構造については特に制限はなく、常法に従って組み立てることができる。
<用語の説明>
本明細書において「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明が以下の実施例に記載に限定されるものではない。
<評価>
(樹脂層の引張弾性率および引張破断伸度)
実施例および比較例で得られた樹脂層を構成する樹脂組成物について、JIS−K−7127−1に準拠した引張強度試験にて、23℃での引張弾性率および引張破断伸度を測定し、樹脂層の引張弾性率および引張破断伸度とした。
(樹脂層及び接着層の耐熱性)
実施例および比較例で得られた樹脂層及び接着層を構成する樹脂組成物について、5%重量減少温度は以下のとおり測定した。
RIGAKU製Thermo plus TG8120を用いて、窒素50mL/mi
n雰囲気下、昇温速度20℃/minにおける樹脂層及び接着層を構成する樹脂組成物について熱減量を測定し、熱減量が測定前サンプル重量の5%となる温度を樹脂層及び接着層の5%重量減少温度とした。
(洗浄試験および加熱処理試験)
実施例および比較例で得られた積層体について、電子デバイスの形成工程における基板洗浄工程及び加熱処理工程を想定し、60℃に加熱した湯浴中で、超音波を出力8.9W/Lにて3分間照射し、取り出して水分を除去した後、真空乾燥機を用いて200℃真空下で60分加熱した後、常温まで冷却し、積層体の外観を観察した。
支持板と樹脂層の界面で剥離が発生した場合は「×」、剥離が発生していない場合は「
○」とした。
(洗浄試験および加熱処理試験後の剥離性評価)
実施例で得られた積層体について、上記洗浄試験及び加熱処理試験を行った後、薄板ガラス及び樹脂層、又は樹脂層のみを切断し、薄板ガラス積層体の剥離性を評価した。
支持板と樹脂層の界面で剥離できた場合は「○」、剥離できない場合は「×」とした。
(洗浄試験及び加熱処理試験後の薄板ガラスと樹脂層の密着性評価)
実施例で得られた積層体について、上記洗浄試験及び加熱処理試験を行った後、支持板を剥離し、得られた薄板ガラス積層体の樹脂面に対してJIS DO202−1988に準拠して碁盤目テープ剥離試験を行い、薄板ガラスと樹脂層の密着性を評価した。樹脂層が剥離しない場合を100/100、完全に剥離する場合を0/100とした。
(剥離強度評価)
剥離強度評価については、JIS K 6854−1に準拠した90度剥離による剥離強度を測定した。但し、薄板ガラスを積層させた状態で測定すると90度に屈曲した段階で薄板ガラスが折れてしまうため、以下のような代替評価を行った。
樹脂層上に、薄板ガラス、及び薄板ガラスと樹脂層間の接着層を形成しない以外は、各実施例及び比較例における易剥離部分、密着部分と同様の構成を有する試験片(幅25mm)を、別々に作成した。
上記試験片について、支持板から樹脂層を90度剥離することで、剥離強度を測定し、易剥離部分及び密着部分の剥離強度とした。測定は23℃、剥離速度50mm/分の条件で行った。
なお、90度剥離試験中に樹脂層が破断した場合は、樹脂層が破断するまでの最大荷重を読み取り、幅25mmで除した値を剥離強度とした。
[実施例1]
支持板として、無アルカリホウケイ酸ガラスからなるガラス板(板厚0.2mm、旭硝子株式会社製、商品名「AN100」)15cm角を用い、その上にマスキングフィルムを用いて、フッ素系樹脂を含む離型剤(ダイキン工業株式会社製、商品名「ダイフリー GA−3000」)を、支持板の各辺から1cm内側、すなわち13cm角の範囲に均一に噴霧した。その後、マスキングフィルムを剥がし200℃に設定したオーブン中で30分加熱させ、室温まで放冷させることで離型層を得た。
その後、接着層として紫外線及び熱硬化性エポキシ系樹脂(株式会社ADEKA社製、商品名「アデカオプトマー KRX−690−5」)を支持板の全面に、硬化後の厚みが5μmになるよう塗布し、更に樹脂層として、ポリエーテルエーテルケトンフィルム(三菱樹脂株式会社製、商品名「SUPERIO PK」、厚み:6μm サイズ15cm角)を支持板全面に気泡の無いように被せた。さらに支持板側から高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射し、これらを150℃のオーブン中で60分間加熱し接着層を硬化させた。しかる後、樹脂層と薄板ガラスの接着層として再度紫外線及び熱硬化性エポキシ系樹脂(株式会社ADEKA社製、商品名「アデカオプトマー KRX−690−5」)を樹脂層上の全面に、硬化後の厚みが5μmになるよう塗布し、更に薄板ガラス(日本電気硝子株式会社製、商品名「OA−10G」、厚み:50μm サイズ10cm角)を支持板中央に気泡の無いように被せた。さらに薄板ガラス側から高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射した後、これらを150℃のオーブン中で60分間加熱し硬化させることで、積層体を得た。
なお、樹脂層の23℃における引張弾性率は2.4GPa、引張破断伸度は120%であった。
得られた積層体について、各評価を実施した。結果は表1に示す。
なお、密着部分の剥離強度評価においては、樹脂層と支持板との接着性が高いために剥離
できず、樹脂層が破断した。樹脂層が破断するまでの最大荷重は、1.2Nであり、剥離強度1.2N/25mmとした。
洗浄試験および加熱処理試験後の剥離性評価にあたっては、UVレーザーシステム(タカノ株式会社製 UV LAZER SYSTEM 『UVTS』)を用いて、出力150mW、パルス周波数10KHz、電流値63%、走査速度20mm/s、ショット回数60回の条件で、薄板ガラスの各辺から0.5cm内側四方に対して薄板ガラス、接着層、樹脂層及び接着層の切断処理を行った後、フェザー刃を用いて剥離のきっかけをつくり、支持板から樹脂/ガラス複合体を慎重に剥離させた。
本実施例にて接着層として用いた紫外線及び熱硬化性樹脂の硬化物の5%重量減少温度は370℃、樹脂層の5%重量減少温度は550℃であった。
[実施例2]
実施例1と同様の支持板を用い、その上にマスキングフィルムを用いて、離型剤として界面活性剤(トリクロサン、水、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル、POEラウリルエーテル酢酸、濃グリセリン、ラウリン酸ポリグリセリル、塩化トリメチルアンモニオヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース、DL−リンゴ酸、安息香酸塩、エデト酸塩、水酸化ナトリウム液等混合溶液 花王株式会社製、商品名「ビオレu 泡ハン
ドソープ」)を、支持板各辺から1.5cm内側、すなわち12cm角の範囲に均一に塗布し、1分間静置後、エアーガンを用いて余剰の離型剤を除去した。その後、80℃に設定したオーブン中で1分加熱させ、常温まで放冷させた後マスキングフィルムを剥がすことで離型層を得た。
次に、熱硬化性シリコーンゴム(モメンティブ社製、商品名「LSR−7090A」及び「LSR−7090B」を等量混合した熱硬化性組成物)を、支持板と同じサイズ15cm角、硬化後の厚みが5μmとなるよう塗布し、更に樹脂層として、ポリエーテルエーテルケトンフィルム(三菱樹脂株式会社製、商品名「SUPERIO PK」、厚み:6μm サイズ15cm角)を支持板全面に気泡の無いように被せた。これらを150℃のオーブン中で60分間加熱し、熱硬化性シリコーンゴムを硬化させることで接着層を形成した。その後、上記と同じ熱硬化性シリコーンゴムを、支持板と同じサイズ15cm角、硬化後の厚みが5μmとなるよう塗布し、更に薄板ガラス(日本電気硝子株式会社製、商品名「OA−10G」、厚み:50μm サイズ10cm角)を気泡の無いように被せた。これらを150℃のオーブン中で60分間加熱し、熱硬化性シリコーンゴムを硬化させることで接着層を形成し、積層体を得た。
得られた積層体について、各評価を実施した。結果は表1に示す。
洗浄試験および加熱処理試験後の剥離性評価にあたっては、NTカッターを用いて、薄板ガラス各辺から1.0mm外側四方に対して接着層、樹脂層及び接着層の切断処理を行った後、フェザー刃を用いて剥離のきっかけをつくり、支持板から樹脂/ガラス複合体を慎重に剥離させた。
本実施例で用いた熱硬化性シリコーンゴムの硬化物の5%重量減少温度は375℃であった。
[実施例3]
実施例1と同様の方法を用い、積層体を形成した後、該積層体の薄板ガラス側表面に、紫外線及び熱硬化性エポキシ系樹脂(株式会社ADEKA社製、商品名「アデカオプトマー KRX−690−5」)を薄板ガラスと同位置、同面積にて硬化後の厚みが5μmになるよう塗布し、更に塗布側から高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射し、これらを150℃のオーブン中で60分間加熱し硬化させることで接着層と同様の樹脂を積層し、薄板ガラスの両面に樹脂が積層された複合体を有する積層体を得た。
得られた積層体について、各評価を実施した。結果は表1に示す。
洗浄試験および加熱処理試験後の剥離性評価にあたっては、実施例1と同様の方法で行った。
なお、密着部分の剥離強度評価においては、樹脂層と支持板との接着性が高いために剥離できず、樹脂層が破断した。樹脂層が破断するまでの最大荷重は、1.2Nであり、剥離強度1.2N/25mmとした。
[実施例4]
支持板として、無アルカリホウケイ酸ガラスからなるガラス板(板厚0.2mm、旭硝子株式会社製、商品名「AN100」)15cm角を用い、その上にマスキングフィルムを用いて、フッ素系樹脂を含む離型剤(ダイキン工業株式会社製、商品名「ダイフリー GA−3000」)を、支持板の各辺から1cm内側、すなわち13cm角の範囲に均一に噴霧した。その後、マスキングフィルムを剥がし200℃に設定したオーブン中で30分加熱させ、室温まで放冷させることで離型層を得た。
その後、接着層として紫外線及び熱硬化性エポキシ系樹脂(株式会社ADEKA社製、商品名「アデカオプトマー KRX−690−5」)を支持板の全面に、硬化後の厚みが5μmになるよう塗布し、更に樹脂層としてPENフィルム(帝人株式会社製、商品名「テオネックスQ51」、厚み:12μm、サイズ15cm角)を支持板全面に気泡の無いように被せた。さらに支持板側から高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射し、これらを150℃のオーブン中で60分間加熱し接着層を硬化させた。しかる後、樹脂層と薄板ガラスの接着層として再度紫外線及び熱硬化性エポキシ系樹脂(株式会社ADEKA社製、商品名「アデカオプトマー KRX−690−5」)を樹脂層上の全面に、硬化後の厚みが5μmになるよう塗布し、更に薄板ガラス(日本電気硝子株式会社製、商品名「OA−10G」、厚み:50μm サイズ10cm角)を支持板中央に気泡の無いように被せた。さらに薄板ガラス側から高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射した後、これらを150℃のオーブン中で60分間加熱し接着層を硬化させることで、積層体を得た。
なお、樹脂層の23℃における引張弾性率は、5.9GPa、引張破断伸度は85%であった。樹脂層の5%重量減少温度は350℃以上であった。
得られた積層体について、各評価を実施した。結果は表1に示す。
なお、密着部分の剥離強度評価においては、樹脂層と支持板との接着性が高いために剥離できず、樹脂層が破断した。樹脂層が破断するまでの最大荷重は、1.8Nであり、剥離強度1.8N/25mmとした。
[実施例5]
実施例1と同様の材料を用い、以下の方法で積層体を作成した。
樹脂層を15cm角のサイズに切り出した。樹脂層表面に離型剤を、スクリーン印刷機を用いて樹脂層中央部13cm角の範囲で塗布した。その後、樹脂層を150℃のオーブンで30分加熱させ、室温まで放冷させることで離型層付き樹脂層を得た。
その後、支持板15cm角を用い、接着層として紫外線及び熱硬化性エポキシ系樹脂を支持板の全面に、硬化後の厚みが5μmになるよう塗布し、先に準備した離型層付き樹脂層を、離型層側が支持板側に向き、且つ離型層の中心が支持板の中心と重なり、且つ気泡の無い様に被せ、さらに支持板側から高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射し、これらを150℃のオーブン中で60分間加熱し接着層を硬化させた。しかる後、樹脂層と薄板ガラスの接着層として再度紫外線及び熱硬化性エポキシ系樹脂を樹脂層の全面に、硬化後の厚みが5μmになるよう塗布し、更に薄板ガラスを支持板中央に気泡の無いように被せ、さらに薄板ガラス側から高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射した後、これらを150℃のオーブン中で60分間加熱し接着層を硬化させることで、積層体を得た。
得られた積層体について、各評価を実施した。結果は表1に示す。
なお、密着部分の剥離強度評価においては、樹脂層と接着層、接着層と支持板との接着性が共に高いために剥離できず、樹脂層が破断した。樹脂層が破断するまでの最大荷重は、1.2Nであり、剥離強度1.2N/25mmとした。
洗浄試験および加熱処理試験後の剥離性評価にあたっては、実施例1と同様の方法で、薄板ガラスの各辺から0.5cm内側四方に対して薄板ガラス、接着層、樹脂層及び接着層の切断処理を行った後、フェザー刃を用いて剥離のきっかけをつくり、支持板から樹脂/ガラス複合体を慎重に剥離させた。
[実施例6]
支持板として、無アルカリホウケイ酸ガラスからなるガラス板(板厚0.2mm、旭硝子株式会社製、商品名「AN100」)15cm角を用い、そのうち中央部14cmを、アルミ板を用いてマスキングした後、オゾン洗浄装置(セン特殊光源株式会社製 PHOTO SURFACE PROCESSOR 型式「PM908N−5」)を用い、照射
時間200秒の条件で、支持板の端部のみに接着処理を行った。
その後、接着層として紫外線及び熱硬化性エポキシ系樹脂(株式会社ADEKA社製、商品名「アデカオプトマー KRX−690−5」)99.7%、フッ素系内部離型添加剤(ダイキン工業株式会社製 商品名「ダイフリー FB−962」 )0.3%を60℃に加熱した状態で混合し、それを支持板の全面に、硬化後の厚みが5μmになるよう塗布し、更に樹脂層としてPENフィルム(帝人株式会社製、商品名「テオネックスQ51」、厚み:12μm、サイズ15cm角)を支持板全面に気泡の無いように被せた。さらに支持板側から高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射し、これらを150℃のオーブン中で60分間加熱し接着層を硬化させた。しかる後、樹脂層と薄板ガラスの接着層として再度紫外線及び熱硬化性エポキシ系樹脂(株式会社ADEKA社製、商品名「アデカオプトマー KRX−690−5」)を樹脂層上の全面に、硬化後の厚みが5μmになるよう塗布し、更に薄板ガラス(日本電気硝子株式会社製、商品名「OA−10G」、厚み:50μm サイズ10cm角)を支持板中央に気泡の無いように被せた。さらに薄板ガラス側から高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射した後、これらを150℃のオーブン中で60分間加熱し硬化させることで、積層体を得た。
なお、樹脂層の23℃における引張弾性率は、5.9GPa、引張破断伸度は85%であった。樹脂層の5%重量減少温度は350℃以上、支持板と樹脂層間の接着層の5%重量減少温度は370℃であった。
得られた積層体について、各評価を実施した。結果は表1に示す。
洗浄試験および加熱処理試験後の剥離性評価にあたっては、UVレーザーシステム(タカノ株式会社製 UV LAZER SYSTEM 『UVTS』)を用いて、出力150mW、パルス周波数10KHz、電流値63%、走査速度20mm/s、ショット回数60回の条件で、薄板ガラスの各辺から0.5cm内側四方に対して薄板ガラス、接着層、樹脂層及び接着層の切断処理を行った後、フェザー刃を用いて剥離のきっかけをつくり、支持板から樹脂/ガラス複合体を慎重に剥離させた。
[実施例7]
支持板としてガラス板(板厚0.7mm、100mm角)を用い、その上に接着層として紫外線及び熱硬化性エポキシ系樹脂(株式会社ADEKA製、商品名「アデカオプトマー KRX−690−5」)を支持板の全面に、硬化後の厚みが3μmになるようバーコータ―で塗布した。
樹脂層として、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体フィルム(旭硝子株式会社製、商品名「アフレックス」、片面コロナ処理済、厚み:25μm 100mm角)を用
い、コロナ未処理面の中央部90mm角をマスクしたうえで、処理量100W・min/
m2の条件にて端部のみにコロナ処理を施した。端部のみにコロナ処理を施した面を支持板側にして、支持板全面に気泡の無いように被せ、さらに支持板側から高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射し、150℃のオーブン中で60分間加熱し接着層を硬化させた。
しかる後、樹脂層と薄板ガラスの接着層として再度紫外線及び熱硬化性エポキシ系樹脂
(株式会社ADEKA製、商品名「アデカオプトマー KRX−690−5」)を樹脂層上の全面に、硬化後の厚みが3μmになるよう塗布し、更に薄板ガラス(日本電気硝子株式会社製、商品名「OA−10G」、厚み:50μm サイズ80mm角)を支持板中央に気泡の無いように被せ、さらに薄板ガラス側から高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射した後、これらを150℃のオーブン中で60分間加熱し硬化させることで、積層体を得た。
なお、樹脂層の23℃における引張弾性率は0.8GPa、引張破断伸度は200%であり、樹脂層の5%重量減少温度は450℃であった。
得られた積層体について、各評価を実施した。結果は表1に示す。
洗浄試験および加熱処理試験後の剥離性評価にあたっては、NTカッターを用いて、薄板ガラス各辺から1.0mm外側四方に対して接着層、樹脂層及び接着層の切断処理を行った後、フェザー刃を用いて剥離のきっかけをつくり、支持板から樹脂/ガラス複合体を慎重に剥離させた。
[比較例1]
実施例1と同様の支持板を用い、実施例1と同様の離型剤を支持板と同じ15cm角の範囲に均一に塗布し、同様に硬化させた。その後、実施例1と同様の材料、手法を用いて接着層、樹脂層、接着層、薄板ガラスを積層させた。得られた積層体について、洗浄試験を行ったところ、接着層と離型層の界面において、接着層の端部が一部剥離した。
[比較例2]
実施例2と同様の支持板を用い、実施例2と同様の離型剤を支持板と同じ15cm角の範囲に均一に塗布し、同様に硬化させた。その後、実施例2と同様の材料、手法を用いて接着層、樹脂層、接着層、薄板ガラスを積層させた。得られた積層体について、洗浄試験を行ったところ、接着層と離型層の界面において、接着層の端部が一部剥離した。
[比較例3]
実施例5と同様の支持板を用い、実施例5と同様の離型剤を支持板と同じ15cm角の範囲に均一に塗布し、同様に硬化させた。その後、実施例5と同様の材料、手法を用いて接着層、樹脂層、接着層、薄板ガラスを積層させた。得られた積層体について、洗浄試験を行ったところ、樹脂層と離型層の界面において、樹脂層の端部が一部剥離した。
[比較例4]
実施例7において、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体フィルムのコロナ未処理面を支持板側にして、支持板全面に気泡の無いように被せた以外は、実施例7と同様の工程を経て、積層体を得た。
得られた積層体について、洗浄試験を行ったところ、樹脂層と離型層の界面において、樹脂層の端部が一部剥離した。
[比較例5]
実施例7において、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体フィルムのコロナ未処理面の全面に処理量100W・min/mの条件にてコロナ処理を施し、全面にコロナ
処理を施した面を支持板側にして、支持板全面に気泡の無いように被せた以外は、実施例7と同様の工程を経て、積層体を得た。
得られた積層体について、実施例7と同様の方法を用いて、洗浄試験および加熱処理試験後の剥離性評価を行ったが、樹脂/ガラス複合体と支持板との界面の剥離強度が大きいため、剥離の際に薄板ガラスが破損してしまい、支持板から樹脂/ガラス複合体を剥離することができなかった。
[参考例1]
支持板として、無アルカリホウケイ酸ガラスからなるガラス板(板厚0.2mm、旭硝子株式会社製、商品名「AN100」)15cm角を用い、その上にマスキングフィルムを用いて、離型剤(ダイキン工業株式会社製、商品名「ダイフリー GA−3000」)を、支持板の各辺から3cm内側、すなわち9cm角の範囲に均一に噴霧した。その後、マスキングフィルムを剥がし200℃に設定したオーブン中で30分加熱させ、室温まで放冷させることで離型層を得た。
その後、紫外線硬化性モノマー(大阪ガスケミカル株式会社製、商品名「オグソールEA−0300」)97質量%、光重合開始剤(BASF社製、商品名「IRGACURE184」)3質量%を湯浴中で混合した紫外線硬化性組成物を、支持板各辺から1.5cm内側、すなわちサイズ12cm角に、硬化後の厚みが10μmとなるよう塗布し、更に薄板ガラス(日本電気硝子株式会社製、商品名「OA−10G」、厚み:50μm サイズ10cm角)を支持板各辺から2.5cm内側に気泡の無いように被せ、さらに薄板ガラス面上から高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射し、紫外線硬化性組成物を硬化させることで、樹脂層を形成し、支持板付き薄板ガラス積層体を得た。
なお、樹脂層の23℃における引張弾性率は100MPa、引張破断伸度は54%であった。
得られた支持板付き薄板ガラス積層体について、各評価を実施した。結果は表2に示す。
洗浄試験および加熱処理試験後の剥離性評価にあたっては、レーザースクライブエンジン(株式会社レミ製 LEMI SE−1002)を用いて、出力60W、加工速度20
0mm/sの条件で、薄板ガラスの各辺から1.5cm内側四方に対して樹脂層及び薄板ガラスの切断処理を行った後、フェザー刃を用いて剥離のきっかけをつくり、支持板から樹脂層及び薄板ガラスからなる積層体を慎重に剥離させた。
[参考例2]
参考例1と同様の支持板を用い、その上にマスキングフィルムを用いて、離型剤として界面活性剤(トリクロサン、水、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル、POEラウリルエーテル酢酸、濃グリセリン、ラウリン酸ポリグリセリル、塩化トリメチルアンモニオヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース、DL−リンゴ酸、安息香酸塩、エデト酸塩、水酸化ナトリウム液等混合溶液 花王株式会社製、商品名「ビオレu 泡ハン
ドソープ」)を、支持板各辺から1.5cm内側、すなわち12cm角の範囲に均一に塗布し、1分間静置後、エアーガンを用いて余剰の離型剤を除去した。その後、80℃に設定したオーブン中で1分加熱させ、室温まで放冷させた後マスキングフィルムを剥がすことで離型層を得た。
次に、熱硬化性シリコーンゴム(モメンティブ社製、商品名「LSR−7060A」及び「LSR−7060B」を等量混合した熱硬化性組成物)を、支持板と同じサイズ15cm角、硬化後の厚みが10μmとなるよう塗布し、更に薄板ガラス(日本電気硝子株式会社製、商品名「OA−10G」、厚み:50μm サイズ10cm角)を気泡の無いように被せ、これらを170℃のオーブン中で3分間加熱し、熱硬化性シリコーンゴムを硬化させることで樹脂層を形成し、支持板付き薄板ガラス積層体を得た。
なお、この時の樹脂層のみの23℃における引張弾性率は4.5MPa、引張破断伸度は115%であった。
得られた支持板付き薄板ガラス積層体について、各評価を実施した。結果は表2に示す。
洗浄試験および加熱処理試験後の剥離性評価にあたっては、NTカッターを用いて、薄板ガラス各辺から1.0mm外側四方に対して樹脂層の切断処理を行った後、フェザー刃を用いて剥離のきっかけをつくり、支持板から樹脂層及び薄板ガラスからなる積層体を慎重に剥離させた。
[参考例3]
参考例1と同様の方法を用い、支持板付き薄板ガラス積層体を形成した後、該積層体の薄板ガラス側表面に、紫外線硬化性モノマー(大阪ガスケミカル株式会社製、商品名「オグソールEA−0300」)97質量%、光重合開始剤(BASF社製、商品名「IRGACURE184」)3質量%を湯浴中で混合した紫外線硬化性組成物を、支持板各辺から1.5cm内側、すなわちサイズ12cm角、硬化後の厚みが10μmとなるよう塗布し、薄板ガラス面上から高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射し、紫外線硬化性組成物を硬化させることで、樹脂層を形成し、薄板ガラスの両面に樹脂層が形成された、支持板付き薄板ガラス積層体を得た。
得られた支持板付き薄板ガラス積層体について、各評価を実施した。結果は表2に示す。
洗浄試験および加熱処理試験後の剥離性評価にあたっては、実施例1と同様の方法を用いた。
[参考比較例1]
参考例1と同様の支持板を用い、離型剤(花王株式会社製、商品名「ビオレu 泡ハン
ドソープ」)を、支持板と同じ15cm角の範囲に均一に塗布した。その後1分間静置し、エアーガンを用いて余剰の離型剤を除去した。その後、80℃に設定したオーブン中で1分加熱させ、室温まで放冷させることで離型層を得た。
その後、熱硬化性シリコーンゴム(モメンティブ社製、商品名「LSR−7060A」及び「LSR−7060B」を等量混合した熱硬化性組成物)を、サイズ10cm角、硬
化後の厚みが10μmとなるよう塗布し、更に薄板ガラス(日本電気硝子株式会社製、商品名「OA−10G」、厚み:50μm サイズ10cm角)を気泡の無いように被せ、これらを170℃のオーブン中で3分間加熱し、熱硬化性シリコーンゴムを硬化させることで樹脂層を形成し、支持板付き薄板ガラス積層体を得た。
得られた支持板付き薄板ガラス積層体について、洗浄試験を行ったところ、樹脂層と離型層の界面において、樹脂層の端部が5mm程度剥離した。
上記参考実施例に代表される支持板付き薄板ガラス積層体は、電子デバイスの形成工程においては良好な密着性を示しながら、その後の支持板を剥離する工程においては、離型層の外形範囲内で切断することで、容易に薄板ガラス積層体を支持板から剥離させることが出来る。
本発明の樹脂/ガラス複合体を有する積層体は、有機電界発光素子及び有機光電変換素子等の電子デバイスを作成する際の基板として用いることができ、上記素子を利用した有機EL照明、有機EL表示装置、及び有機太陽電池モジュールを得ることができる。
1 樹脂層の外形範囲(太線枠内の範囲)
2 離型層の外形範囲(斜線の範囲)
10、20、30、40、50、60、70 積層体
11、21、31、41、51、61、71 支持板
12、22、32、42、52、62、72 薄板ガラス
13、23、33、43、53、63、73 樹脂層
14、24、34、44 離型層
15、25、35、45、55、65、75 密着部分
36、46 接着層
57、67 易剥離性接着層
58、68、78 易剥離部分



Claims (12)

  1. 支持板と、厚みが100μm以下の薄板ガラスと樹脂層を少なくとも有する樹脂/ガラス複合体とを有する積層体であって、
    支持板、樹脂層、及び薄板ガラスの順に積層され、
    薄板ガラスが、易剥離部分の外形範囲よりも内側に設けられており、
    積層体を積層方向に切断した際の少なくとも一断面において、樹脂/ガラス複合体と支持板との界面に、易剥離部分と易剥離部分よりも剥離強度が大きい密着部分とを有し、該易剥離部分の両端に該密着部分が位置することを特徴とする積層体。
  2. 樹脂層が支持板の外形範囲内に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 薄板ガラスが、樹脂層の外形範囲内に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 易剥離部分が、密着部分に囲まれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 薄板ガラスが、樹脂層の外形範囲よりも内側に設けられていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 密着部分の剥離強度と、易剥離部分の剥離強度の差が、0.5N/25mm以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 易剥離部分の剥離強度が、0.5N/25mm以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体。
  8. 樹脂層の5%重量減少温度が230℃以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体。
  9. 樹脂層が、熱又は活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させて得られる樹脂を主成分とする層であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体。
  10. 樹脂層が、熱可塑性樹脂を主成分とするフィルムであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の積層体を用いて得られる有機電子デバイス。
  12. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の積層体を、前記密着部分を取り除くよう積層方向に切断するステップ、及び該積層体から支持板を剥離するステップ、を含む樹脂/ガラス複合体の製造方法。
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