JP2016518325A - 疾患の治療のための改変されたミュラー管抑制物質(mis)タンパク質およびその使用 - Google Patents

疾患の治療のための改変されたミュラー管抑制物質(mis)タンパク質およびその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、野生型ヒトMISタンパク質と比べて改良された切断、増加した生物活性、および増加した効力を有する改良された組換えヒトMISタンパク質に関する。本発明の別の態様は、対象に、組換えヒトMISタンパク質を含む組成物を投与することにより、癌、たとえばMISレセプタータイプII(MISRII)を発現する癌を予防および治療するための方法に関する。本発明の別の態様は、対象において血漿アンドロゲンレベルを低下するため、および/または過剰なアンドロゲンを特徴とする疾患を有する対象の治療のための方法に関する。別の態様は、組換えヒトMISタンパク質を含む、薬学的組成物、キット、および使用のための方法を供する。本発明の別の態様は、化学療法剤の有効な投与量を低下させる組換えMISタンパク質とともに化学療法剤を投与することにより化学療法剤の投与量を減少させるための方法に関する。

Description

関連出願の相互参照
本願は、引用によりその内容がその全体において組み込まれる、2013年3月12日に出願された米国仮出願第61/777,135号の米国特許法第119条(e)下の恩典を主張する。
配列表
本願は、ASCIIフォーマットにおいて電子的に提出されており、かつ、その全体において引用により本明細書に組み込まれる配列表を含む。2014年3月12日に作成されたそのASCIIコピーは、030258-076964-PCT_SL.txtと名付け、28,114バイトの大きさである。
発明の分野
本発明は、改良された切断、ならびに野生型ヒトMISタンパク質と比べて増加した生物活性および増加した効力を有する改良型組換えヒトMISタンパク質に関する。特定の態様において、その組換えヒトMISタンパク質は、次の構成物:切断を増大させるための改良されたKex切断部位、FLAGタグ、および通常のMISリーダー配列に替わる非MISリーダー配列、のうちの少なくとも1つを含む。本発明の別の態様は、癌、たとえばMISレセプター・タイプII(MISRII)を発現する癌の治療、または過剰なアンドロゲンを特徴とする疾患の治療のための、組換えヒトMISタンパク質を含む、方法、使用、およびキットに関する。
政府の支援
本発明は、National Institutes of Health (NIH)により授与された認可番号CA17393下の政府支援で成されたものである。政府は本発明に特定の権利を有する。
発明の背景
抗ミュラー管ホルモン(AMH)としても知られるミュラー管抑制物質(MIS)は、糖タンパク質の大きなトランスフォーミング成長因子−β(TGFβ)多重遺伝子族の140kDaジスルフィド結合ホモダイマー糖タンパク質メンバーである。この遺伝子族のタンパク質は、全てが二量体の前駆体として生産され、切断および解離を要求する活性化のための転写後プロセッシングを行って生物活性C末端フラグメントを遊離する。
ヒトMIS遺伝子は、染色体19に位置し、その発現は性的に二形性である。男性において、MIS発現は、胎児の睾丸において妊娠9週目に始まり、発現レベルが劇的に降下する思春期まで高レベルで続く。女性において、MISは、出生後にのみ顆粒膜細胞内で、成人男性と同様のレベルで前思春期から閉経期を通して生産され、その後、発現は止まる。男性の胎児において、MISは、ミュラー管、ファロピウス管の前駆体、子宮、頸部、および膣の子宮上部(upper third)の退行を引き起こす。
MISは、I型およびII型単一膜貫通セリン・トレオニンキナーゼレセプターのヘテロダイマーに結合した後に生物学的効果を発揮し、II型レセプターによるI型レセプターのGSボックスキナーゼドメインの交差リン酸化を導く。次に、SMAD1、5、および8(しかし、主にSMAD8)が活性化され、SMAD4と共に遺伝子転写を制御する。唯一のMISレセプターII型(MISRII)遺伝子が、マウス、ラット、およびウサギにおいて同定されており、ヒトにおいては、その遺伝子は染色体12に局在化している。それは、胚および成体のミュラー管構造、乳房組織、前立腺組織、生殖腺、運動ニューロン、および脳において検出されている65kDのタンパク質である。胎児において、尿生殖隆線を覆う体腔上皮においてMISRIIを発現する中上皮細胞は、ミュラー管上皮細胞を囲う間葉細胞に移動してその一部になる。発現は、生殖腺、および卵巣体腔上皮においても検出される。I型MISレセプターは、哺乳動物において同定されており、動物種および検査組織に依存して、アクチビンレセプター様キナーゼ(ALK)2および3が最も有望な候補である。
ミュラー管の退行におけるその十分に確立された役割に加えて、MISは、インビトロおよびインビボにおいて多様なヒト癌細胞系の増殖を阻害する。阻害を示す細胞系は、卵巣、子宮頸部、子宮内膜、前立腺、および乳房の癌由来のものである。長期にわたりMISを分泌する腫瘍を有するげっ歯動物またはヒト患者において高濃度のMISが全身的に維持されている場合でさえ、インビボで毒性は観察されていない。比較的制限されたレセプター発現、MIS RIおよびRIIを発現する癌細胞に対する抗増殖活性、ならびにその明らかな非毒性のこれらの発見は、まとめて、MISを、これらの慣用的な剤に対して耐性になることが知られている、卵巣癌の治療のための存在する化学療法薬との組み合わせでの使用のための理想的な試薬にする。
MISは、MIS II型レセプター細胞を介して作用し、卵巣癌開始の潜在的な腫瘍サプレッサーとして機能する(Teixeira et al, 未公開)。MISは、レセプターが媒介するイベントとして、卵巣癌細胞系の幹/前駆集団も標的とし得る(Meirelles et al, 2012; Wei et al, 2010)。MISは、たとえばMISRIIを発現する、癌の治療のために用いることができる。MISRIIは、上皮卵巣癌の大部分において発現される(Masiakos et al. 1999; Bakkum-Gamez et al. 2008; Song et al. 2009)。
MISは、インビボにおける長期の治療の後に明らかな毒性がなく、インビトロおよびインビボにおいて多様な癌の増殖も阻害する(Pieretti-Vanmarcke et al. 2006b)。上皮卵巣癌は、胚のミュラー管およびその多様なサブタイプの原型の組織学を反復し(Scully 1977)、たとえば、漿液性嚢胞腺癌は胚のファロ-ピウス管に似て、類内膜癌は子宮内膜に、および粘液性癌腫は子宮頸部に似る。また、MISは、腫瘍増殖を制御するために共通して使用される癌薬剤と相乗作用的にまたは追加的に機能する(Pieretti-Vanmarcke et al. 2006a)。
化学療法剤は、典型的には多剤耐性であるか、および/または化学療法剤に耐性である、卵巣癌幹細胞について選択することが以前に報告されている。特に、卵巣癌および細胞系は、化学療法剤に耐性であるがMISに応答する卵巣癌幹細胞集団と異種であると報告する多数の調査結果がある。MISは、特に、卵巣癌のための現在の臨床的使用において化学療法剤にほとんど応答しない幹/前駆細胞特性を有する、卵巣癌サイド集団細胞、ならびにCD44+、CD24+、EpCam+、およびE-カドヘリン陰性細胞の集団を標的とする(Wei et al, 2010)。特に、MISは、インビトロおよびインビボの両方において卵巣癌細胞を阻害することが示されており、CD44+、CD24+、EpCAM+、およびE-カドヘリン−細胞表面マーカーにより富化された卵巣癌前駆細胞集団の増殖を特異的に標的化し、阻害し得る。卵巣癌患者におけるMISの臨床試験を適応させるため、組換えヒトMISの生産が、収率および純度を増加させるために最適化されなければならない。
しかしながら、ネイティブおよび野生型MISの精製から得られる調整物は複合体であり、その収率は低い。さらに、MISの活性フラグメントを生産するのに必要な切断も非効率的である。ヒトMISタンパク質は、リーダー配列を含むプレプロタンパク質から生産される。リーダー配列(配列番号:1のアミノ酸1〜25)は切断され、残りのプレタンパク質(しばしば「ホロ−ヒトMIS」と呼ばれる)は、翻訳後に切断され、N末端およびC末端ドメインを生じる。これらの共有結合したN末端およびC末端ドメインはモノマーを形成し、(NおよびC末端ドメインを含む)2つの同一のモノマーは、一緒にホモダイマーを形成する。ホロ−ヒトMISは、最も有望なのは、生殖腺において発現される、フューリンまたは関連するプロホルモンコンバターゼPC5により、NおよびC末端ドメインに切断される。切断は、主に、MIS切断部位を一塩基にする、+1部位にセリンを伴うR-4XXR-1を特徴とするkex様部位において起こる。精製されたC末端ドメインは、生物学的に活性な成分であり、切断は、生物活性のために必要とされる。その重要性は未知である第2の切断部位が、残基229〜230(配列番号:1のアミノ酸残基254〜255に対応)においてより頻度は低いが観察されている。MISの非切断性変異体は生物学的に活性でなく、カルボキシ末端ドメインをトランケートしたヒト遺伝子の変異は、持続的なミュラー管症候群を導く。インビボにおけるアミノ末端ドメインの役割は、タンパク質のフォールディングを補助すること、およびC末端ペプチドのそのレセプターへのデリバリーを容易にすることであり得る。1つの研究(Cate, Pepinsky, et al.)において、N末端ペプチドの付加は、インビトロにおいてC末端成分の生物学的活性化を増強することが示されたが、その機構は不明であった。CHO細胞により発現された組換えMISの切断は、不完全であり、これにより、外因性セリンプロテアーゼ、たとえばプラスミンでの切断が、生物活性を増強するために要求される。
したがって、治療用の生物学的剤として用いるための高濃度のヒトMISタンパク質を生産するためのより効率的な方法が必要とされている。
本発明は、野生型ヒトMISタンパク質と比べて改良された切断、増加した生物活性、および増加した効能を有する、改変された組換えヒトMISタンパク質に関する。ここで、その組換えヒトMISタンパク質は、その精製を容易にするための内部標識またはタグを伴い、またはこれを伴わずに、生物活性タンパク質の収率を改良するために、次の成分:切断の増加のための改変Kex切断部位、および正常なMISリーダー配列に替わる非MISリーダー配列、の組み合わせを含む。
したがって、ここにおいて、本発明者らは、ネイティブヒトMISアミノ酸配列に変化を加えて以下の組み合わせを行った:(i)第一の切断部位を改変して切断を増加させ、これにより精製を容易にするためのタグの挿入なしでMISの効能および生物活性を増加させ、および(ii)MISの内因性リーダー配列を改変して生物活性タンパク質の収率を増加させた。驚くことに、改変された第一の切断部位と組み合わせたリーダー配列の付加は、生産されるタンパク質の収率と、組換えMISタンパク質の第一の切断部位からの切断の量と、の両方を著しく増加させた。さらに、レセプターに用いるために標識される生物活性MISの形態を有すること、ならびに治療のための患者の選択のため、および種々のレセプターを有する組織においてMISの相互作用に関する分子機構の問題に取り組むため、の両方のために極めて重要であろう他の結合の研究に対する満たされていない必要性がある。加えて、その標識されたリガンドは、別のレセプターまたは他の結合タンパク質が種々の組織に存在するか否かを決定するために本質的であろう。ここで、本発明者らは、ミュラー管退行アッセイにおいて完全な生物活性を保持する内部にエピトープ・タグされたMISの生産を証明する。一実施形態において、タグは、その検出および精製のために用いられる高クオリティー試薬の利用性のため、「FLAG」タグである。
ここにおいて、本発明者らは、RAQR/S(配列番号:26)からRARR/S(配列番号:27)への第一の内因性切断部位の改変と組み合わせた、MISリーダー配列のヒト血清アルブミン(HSA)のものへの置換が、CHO細胞において生産させた場合に、より大きな発現、C末端切断の増加、および不要な潜在的な内部切断の減少を引き起こすことを証明する。
別の実施形態において、組換えヒトMISは、N末端ドメインのカルボキシ末端においてより効率的な切断部位で処理され、それにより、外因性の切断の必要性を排除する。この組換えMISタンパク質は、同定のためのタグなしで、治療用として、およびプローブ分子として、両方で用いることができる。
重要なのは、別のリーダー配列、たとえばヒト血清アルブミン(HSA)リーダー配列への内因性リーダー配列の変更が、MISタンパク質の生産を増加させることである。驚くことに、本発明者らは、リーダー配列と改変された切断部位との組み合わせが、第一の切断部位からの切断を37%から80%を超えるまで増加させることを証明する。このことは、タンパク質生産の増加は典型的には利用できるまたは内因性の切断酵素を飽和させるため、タンパク質の収率の増加は切断を含む翻訳後プロセッシングの減少を伴うので、予想できないことであった。
したがって、本発明は、癌、たとえばMISレセプターII(MISRII)を発現する癌を治療するための、組換えヒトMISタンパク質(たとえば、ポリペプチド、または組換えヒトMISタンパク質をコードする核酸)、もしくはその機能的フラグメント、またはそれらの誘導体もしくはバリアントを用いる方法に関する。
したがって、本発明の一態様は、改変のないものと比べて切断を増加させるため、配列番号:1のアミノ酸1〜25のMISリーダー配列に替わる非MISリーダー配列またはその機能的フラグメントと、配列番号:1の残基448〜452の間の少なくとも1つのアミノ酸の改変と、の組み合わせを含む、組換えミュラー管抑制物質(MIS)タンパク質に関する。その組換えMISタンパク質は、配列番号:1のアミノ酸残基に対応する野生型MISタンパク質と比べて、インビトロにおいて増加した切断および増加した生産の収率を有する。特定の実施形態において、組換えMISタンパク質はリーダー配列を欠如する。これらの実施形態において、組換えMISタンパク質は、配列番号:1のアミノ酸1〜25のMISリーダー配列に替わる非MISリーダー配列またはその機能的フラグメントを含むプレプロタンパク質から生産することができる。ここで、そのリーダー配列は生産中に切断される。特定の実施形態において、組換えMISタンパク質はTagタンパク質を含む。
特定の実施形態において、非MISリーダー配列はアルブミンリーダー配列またはその機能的フラグメント、たとえばヒト血清アルブミン(HSA)リーダー配列またはその機能的フラグメントである。特定の実施形態において、HSAリーダー配列は、配列番号:6のアミノ酸配列もしくはそれに少なくとも80%相同であるバリアント、またはその機能的フラグメント、たとえば配列番号:6の少なくとも10アミノ酸、もしくは少なくとも約11アミノ酸、もしくは少なくとも15アミノ酸を含むHSA配列もしくはそれに少なくとも80%相同であるバリアントを含む。特定の実施形態において、HSAリーダー配列のフラグメントは、
Figure 2016518325
からなる群から選択される。
特定の実施形態において、非MISリーダー配列は、組織型プラスミノーゲン活性化因子プロペプチドに融合したイムノグロブリンシグナルペプチド(IgSP-tPA)、マウスイムノグロブリンシグナルペプチド(IgSP)、MPIF-1シグナル配列
Figure 2016518325
、スタニオカルシン(stanniocalcin)シグナル配列
Figure 2016518325
、インベルターゼシグナル配列
Figure 2016518325
、酵母接合因子アルファシグナル配列(K.ラクティス(K.lactis)キラートキシンリーダー配列)、ハイブリッドシグナル配列
Figure 2016518325
、HSA/MFα-1ハイブリッドシグナル配列
Figure 2016518325
、K.lactisキラー/MFα-1融合リーダー配列
Figure 2016518325
、イムノグロブリンIgシグナル配列
Figure 2016518325
、フィブリン(Fibulin)B前駆体シグナル配列
Figure 2016518325
、クラステリン(clusterin)前駆体シグナル配列
Figure 2016518325
、およびインスリン様成長因子結合タンパク質4シグナル配列
Figure 2016518325
、またはこれらの機能的フラグメントからなる群から選択される。
特定の実施形態において、QからRへの配列番号:1のアミノ酸450の改変は、このような改変のないものの切断の量と比べて、第一の切断部位からの切断を増加させる。特定の実施形態において、組換えMISタンパク質は、SからRへの配列番号:1のアミノ酸452の改変をさらに含み、このような改変のないものと比べて切断を増加させる。
特定の実施形態において、本明細書に開示される組換えMISタンパク質は、FLAGタグ、たとえばアミノ酸
Figure 2016518325
またはその機能的な誘導体もしくはバリアントであるタグを含む。特定の実施形態において、タグ、たとえばFLAGタグは、配列番号:1のアミノ酸残基452の後、配列番号:1のアミノ酸残基453の前に位置する。特定の実施形態において、タグは、MISのC末端ドメインのN末端に位置する。特定の実施形態において、タグは、50アミノ酸以下、たとえば約50、約40、約30、約20、もしくは約10アミノ酸以下の長さ、または約7アミノ酸の長さである。
特定の実施形態において、本明細書に開示される組換えMISタンパク質は、配列番号:2もしくは配列番号:3のアミノ酸配列、またはその機能的フラグメントを含む。これらは、それぞれ、配列番号:4および配列番号:5の核酸配列によりコードされ得る。
本発明の別の態様は、本明細書において議論される組換えMISタンパク質、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。
本発明の別の態様は、本明細書において議論される組換えMISタンパク質をコードするポリヌクレオチドに関する。ここで、たとえば、そのポリヌクレオチドは、配列番号:4もしくは配列番号:5、またはそれぞれ配列番号:4もしくは配列番号:5の核酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチドに対応する。本明細書に記載される技術の別の態様は、配列番号:4もしくは配列番号:5のポリヌクレオチド、またはそれぞれ配列番号:4もしくは配列番号:5の核酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチドを含むベクターに関する。特定の実施形態において、ベクターは、ウイルスベクターまたは発現ベクター、たとえば、pcDNA3.1、または大腸菌(E.coli)もしくはバクテリオファージのための代替のベクターである。特定の実施形態において、ウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、およびレンチウイルスベクターからなる群から選択される。特定の実施形態において、ウイルスベクターは、アデノ関連ウイルス(AAV)、たとえば、組換えAAV血清型9(rAAV9)である。
特定の実施形態において、ベクターは、配列番号:4または配列番号:5の核酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有する、組換えMISタンパク質またはそのフラグメントをコードする核酸配列を含む。ここで、その核酸配列は、組織または細胞型特異的プロモーターに作用可能に結合される。特定の実施形態において、このようなベクターを含む宿主細胞も本発明に含まれる。
特定の実施形態において、本明細書において議論されるポリヌクレオチドを含むベクターは、要求される期間にわたり、一定のレベルで、組換えMISタンパク質を発現し得る。
本発明の別の態様は、本明細書において議論される組換えヒトMISタンパク質の翻訳後プロセッシングにより生産されるヒトMISタンパク質に関する。
本明細書において議論される技術の別の態様は、本明細書において議論されるベクターおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。本明細書において議論される技術の別の態様は、本明細書において議論される組換えヒトMISタンパク質から生産された、精製された調製物、または実質的に精製されたヒトMISタンパク質に関する。
本明細書において議論される技術の別の態様は、癌を有する対象を治療するための方法であって、組換えMISタンパク質を含む組成物を投与するステップを含む方法に関する。ここで、該組換えMISタンパク質は、内部タグタンパク質有りまたは無しで、改変のないものと比べて切断を増加させるために、配列番号:1の残基448〜452の間の少なくとも1つのアミノ酸の改変を含む。特定の実施形態において、組換えMISタンパク質は、配列番号:1のアミノ酸残基に対応する野生型MISタンパク質と比べて、インビトロにおいて増加した切断および増加した生産の収率を有する。
特定の実施形態において、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質(例えば、ポリペプチドおよび/または組換えヒトMISタンパク質をコードする核酸)、またはその機能的フラグメントもしくは誘導体もしくはバリアントは、癌を治療するのに用いることができる。特定の実施形態において、癌治療に用いることができる組換えヒトMISタンパク質は、配列番号:2のアミノ酸残基25〜559またはその機能的フラグメントを含む。特定の実施形態において、癌治療に用いることができる組換えヒトMISタンパク質は、配列番号:3のアミノ酸残基25〜567またはその機能的フラグメントを含む。特定の実施形態において、癌は、MIS応答性II(MIS Responsive II(MISRII))癌であるか、もしくは癌がMISRIIを発現する場合、たとえば、卵巣癌であるか、または卵巣癌細胞、外陰上皮癌細胞、子宮頸癌細胞、子宮内膜腺癌細胞、および卵巣腺癌を含む。特定の実施形態において、癌は、これらのうちの一つに限定されないが、乳癌、肺がん、頭部および頸部癌、膀胱癌、胃癌、神経系の癌、骨肉腫、骨髄癌、脳腫瘍、結腸癌、食道癌、子宮内膜癌、胃腸癌、歯肉癌、腎臓癌、肝臓癌、鼻咽頭癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、皮膚癌、胃がん、精巣癌、舌癌、メラノーマ、眼メラノーマ、または子宮癌を含む。
本明細書に開示される特定の実施形態において、組換えMISタンパク質の投与は、さらなる剤の投与または癌治療の前、間、または後に行われる。
特定の実施形態において、ミュラー管抑制物質(MIS)レセプターは、対象から得られた生物学的試料、たとえば癌もしくは腫瘍組織試料または癌細胞もしくは腫瘍細胞、たとえば生検組織試料において測定される。
特定の実施形態において、癌は、化学療法耐性または多剤耐性の癌、たとえば、癌がパクリタキセル、シスプラチン、ラパマイシン、ピラゾロアントロン(pyrazoloanthrone)、またはドキソルビシン耐性癌である場合である。
特定の実施形態において、組換えMISタンパク質は、いずれかの経路、たとえば、静脈内、皮膚内、筋肉内、動脈内、病巣内、皮内、もしくは皮下を介して、またはエアロゾル投与により、投与することができる。特定の実施形態において、投与は、治療的または予防的投与である。本明細書に開示されるすべての態様において、対象は、哺乳動物、たとえばヒトである。
特定の実施形態において、少なくとも1つのさらなる剤が、組換えヒトMISの投与と組み合わせて(たとえば、前、間、または後に)、対象に投与される。これは、たとえば、治療剤または化学療法剤であり、たとえば、化学療法剤は、パクリタキセル、シスプラチン、ドキソルビシン、ラパマイシン、ピラゾロアントロン、たとえば、これらに限られないが、アントラ(1,9-cd)ピラゾール-6(2H)-オン(SP600125)、もしくはN1-メチル-1,9-ピラゾロアントロン(M-SP600125)、またはこれらの機能的誘導体もしくは機能的類似体である。特定の実施形態において、化学療法剤は放射線治療薬である。
本明細書に開示される技術の別の態様は、癌の治療のための化学療法剤の投与量を減少させる方法に関する。該方法は、対象に、治療的有効量の組換えMISタンパク質を投与する段階を含み、ここで、該組換えMISタンパク質は、配列番号:1のアミノ酸450のQからRへの改変を含み、組換えMISタンパク質の存在下における化学療法剤の治療的有効量は、化学療法剤のみの治療的有効量と比べて低い。特定の実施形態において、組換えMISタンパク質は、任意に、タグタンパク質を含む。
本明細書に開示される技術の別の態様は、癌を治療するための薬剤の製造のための組換えMISタンパク質の使用に関する。該組換えMISタンパク質は、配列番号:1のアミノ酸450のQからRへの改変を含み、癌は、ミュラー管抑制物質(MIS)レセプターを発現する。
本発明の別の態様は、包装材料、および本明細書に開示される組換えMISタンパク質を含む薬学的組成物を含む製造品に関する。包装材料は、ミュラー管抑制物質(MIS)レセプターを発現する癌を治療またはその危険性を削減するために、有効な投与量で十分な期間、薬学的組成物を投与することができることを示すラベルを含む。
本明細書に開示される技術の別の態様は、癌を患う対象を治療する方法に関する。該方法は、対象から得られた生物学的試料においてミュラー管抑制物質レセプターII(MISRII)の発現および/または活性を評価する段階を含む。臨床医は、その結果がMISRIIの発現および/または活性の存在を示すか否かを検討し、臨床医は、本明細書に開示される組換えMISタンパク質を含む薬学的組成物での治療を対象に指示する。
本明細書に開示される技術の別の態様は、必要とする対象において1または複数のアンドロゲンの血漿血清レベルを減少させるための組換えMISタンパク質の使用に関する。該組換えMISタンパク質は、配列番号:1のアミノ酸450のQからRへの改変を含み、任意に、タグ、たとえばFlagタグを含む。特定の実施形態において、アンドロゲンレベルを減少させるために用いることができる組換えヒトMISタンパク質は、配列番号:2のアミノ酸残基25〜559またはその機能的フラグメントを含む。
特定の実施形態において、1または複数のアンドロゲンはテストステロンである。特定の実施形態において、必要とする対象は、良性前立腺肥大、もしくは前立腺癌、または多嚢胞卵巣疾患、および/または思春期早発症を有する。別の実施形態において、必要とする対象は、これらに限られないが、良性前立腺過形成(BPH)、前立腺癌、精巣癌、アンドロゲン依存性アクネ、男性型はげ頭症、思春期早発症、高アンドロゲン血症、多毛症、男性化、多嚢胞性卵巣症候群(POCS)、高アンドロゲン血症(HA)、およびインスリン抵抗性(IR)、ならびに黒色表皮(AN) (HIAR-AN)症候群、卵巣卵胞膜細胞増殖症、卵胞成熟抑止、閉鎖症、無排卵、月経困難症、機能不全性子宮出血、不妊症、ならびにアンドロゲン生産性腫瘍を含む群から選択される疾患または障害を有する。
本明細書に開示される技術の別の態様は、アンドロゲン依存性を特徴とする疾患または障害を治療するための方法であって、本明細書に開示される組換えMISタンパク質を含む薬学的組成物、または本明細書に開示される組換えMISタンパク質の切断からのMISタンパク質の調製物を含む薬学的組成物の有効量を、対象に投与する段階を含む方法に関する。その薬学的組成物は、対象の血漿血清中の少なくとも1のアンドロゲンのレベルを減少させ、アンドロゲン依存性を特徴とする疾患または障害の少なくとも1の症状の減少を引き起こす。
本明細書に開示される技術の別の態様は、対象において1または複数のアンドロゲンの血漿レベルを減少させるための方法に関する。その方法は、有効量の組換えMISタンパク質を投与する段階を含み、ここで、該組換えMISタンパク質は、配列番号:1のアミノ酸450のQからRへの改変を含み、該組換えMISタンパク質は、任意に、タグを含み、該組換えMISタンパク質は、対象において1または複数のアンドロゲンの血漿血清レベルを減少させる。
特定の実施形態において、対象は、アンドロゲン依存性を特徴とする疾患または障害、たとえば、これらに限られないが、良性前立腺過形成(BPH)、前立腺癌、精巣癌、アンドロゲン依存性アクネ、男性型はげ頭症、思春期早発症、高アンドロゲン血症、多毛症、男性化、多嚢胞性卵巣症候群(POCS)、高アンドロゲン血症(HA)、およびインスリン抵抗性(IR)、ならびに黒色表皮(AN) (HIAR-AN)症候群、卵巣卵胞膜細胞増殖症、卵胞成熟抑止、閉鎖症、無排卵、月経困難症、機能不全性子宮出血、不妊症、ならびにアンドロゲン生産性腫瘍を含む群から選択される疾患または障害を有する。
本明細書に開示される技術の別の態様は、本明細書に開示される組換えMISタンパク質、または本明細書に開示される組換えMISタンパク質の翻訳後プロセッシングにより生産されるMISタンパク質の調製物、ならびに薬学的に許容可能な担体を含むキットに関する。特定の実施形態において、キットは、任意に、癌の治療またはアンドロゲン依存性疾患の治療のための組換えMISタンパク質の使用の説明書を含み得る。
図1A〜1Bは、アルブミンリーダー配列を有する新しい組換えMIS構成物のデザインを示す概略図である。図1Aは、MIS(25アミノ酸)およびアルブミン(24アミノ酸)のリーダー配列が、20%の同一性および5の保存されたアミノ酸を有することを示す。 図1A〜1Bは、アルブミンリーダー配列を有する新しい組換えMIS構成物のデザインを示す概略図である。図1Bは、Flagタグ(F)、改良された切断部位(R)、およびアルブミンリーダー(L)の配置を含む、RF(改良された切断部位+Flagタグ)、LRF(リーダー配列+改良された切断部位+Flagタグ)、およびLR(リーダー配列+改良された切断部位)構成物のデザインを示す概略図である。 組換えヒトLR-MISおよびLRF-MIS構成物で安定にトランスフェクトしたCHOK1クローンにおけるMIS生産および切断を示す。MISのc末端を標的とする抗MISヤギポリクローナル抗体を用いた培養物中72時間後の培地上清の4%還元SDSゲルのウエスタンブロット。陽性対照としての精製されたRF-MIS、CHO93培地、およびB9培地。 図3A〜3Bは、切断の量を評価するために還元SDSゲルのウエスタンブロットにより分析した精製された組換えMISを示す。図3Aは、精製された組換えRF-MIS、LRF-MIS、およびWT-MISが、ホロMISモノマー、切断されたN末端、およびN末端の部分を含む潜在的な切断産物を認識することができるN末端に対する抗体を用いて比較されることを示す。 図3A〜3Bは、切断の量を評価するために還元SDSゲルのウエスタンブロットにより分析した精製された組換えMISを示す。図3Bは、ホロMISモノマー、切断されたC末端、およびC末端の部分を含む潜在的な切断産物を認識することができるC末端に対する抗体を用いた精製された組換えRF-MIS、LRF-MIS、およびWT-MISの検出を示す。 図4A〜4Bは、ミュラー管退行バイオプシーにおけるWT、RF、およびLRF組換えMISの5μg/ml (35μM)の比較を示す。組換えヒトMIS産物を胎児ラット尿生殖隆線とともに72時間、インキュベートした。図4Aは、処置した隆線および未処置の対側の対照隆線の両方からの代表的な切片が、隆線ミュラー管退行について比較されることを示す。 図4A〜4Bは、ミュラー管退行バイオプシーにおけるWT、RF、およびLRF組換えMISの5μg/ml (35μM)の比較を示す。組換えヒトMIS産物を胎児ラット尿生殖隆線とともに72時間、インキュベートした。図4Bは、図4Aにおけるこれらのスコアの頻度分布を示すヒストグラムである。(LRF-MIS N=6, RF-MIS N=39)。W:ヴォルフ管;M:ミュラー管。 図5A〜5Bは、(リーダー配列の後に最初の番号のアミノ酸が始まる)アミノ酸ラベリングの慣用的な命名法を用いた対応するアミノ酸残基を伴う、野生型MISタンパク質のアミノ酸(配列番号:1)を示す。図5Aは、配列番号:1の野生型MISタンパク質のアミノ酸配列を示し、リーダー配列(太線)および第1および第2の切断部位を強調して示す。慣用的なナンバリング法を用いてナンバリングした対応するアミノ酸をブラケットで示す。 図5A〜5Bは、(リーダー配列の後に最初の番号のアミノ酸が始まる)アミノ酸ラベリングの慣用的な命名法を用いた対応するアミノ酸残基を伴う、野生型MISタンパク質のアミノ酸(配列番号:1)を示す。図5Bは、MISの通常の命名法を用いたアミノ酸残基に対応する配列番号:1上のアミノ酸残基上の特徴を示す表を示す(リーダー配列後に最初の番号のアミノ酸が始まる)。図5Bは、配列番号:26として「RAQR/S」を開示する。
発明の詳細な説明
本発明は、次の特徴:改良された切断、生物活性の増加、効力の増加、の少なくとも1つを有し、野生型ヒトMISタンパク質と比べて高い収率で生産され得る、改良された組換えヒトMISタンパク質に関する。ここで、その組換えヒトMISタンパク質は、次の特徴:切断の増加のための改良されたKex切断部位、および通常のMISリーダー配列に替わる非MISリーダー配列、の組み合わせを含み、生物活性タンパク質の収率を改善する。特定の実施形態において、改良されたMISは、その精製を容易にするために、内部標識またはタグを伴う、または伴わない。
したがって、ここにおいて、本発明者らは、ネイティブヒト配列に変化を加えて内因性切断、およびこれによりMISの効力を増加させた。本発明者らは、また、任意に、タグを挿入してその精製を容易にした。
本発明者らは、さらに、配列番号:1のアミノ酸1〜25の25アミノ酸MISリーダー配列の替わりに非MISリーダー配列を含むように組換えヒトMISタンパク質を改良した。特定の実施形態において、リーダー配列は、アルブミンリーダー配列、たとえば、ヒト血清アルブミン配列(HSA)またはその機能的フラグメントもしくはバリアントを含む。特定の実施形態において、リーダー配列は、配列番号:6の24アミノ酸またはその機能的フラグメントを含み、配列番号:1のアミノ酸残基1〜25に置き換わる。この付加は、驚くことに、組換えMISタンパク質の切断をさらに増加させた。この組み合わせは、切断の増加による効力の増加を伴い、より均一である産物のより高い収率を導いた。この変化の組み合わせは、レセプターに用いるために標識された生物活性MISの形態を有することに対する以前には満たされていない必要性、ならびに治療のための患者の選択のため、および種々のレセプターを有する組織におけるMISの相互作用に関する分子機構の問題に取り組むため、の両方のために極めて重要であろう別の結合研究に合致し得る組換えヒトMISバリアントを作り出す。さらに、標識されたリガンドは、別のレセプターまたは他の結合タンパク質が種々の組織中に存在するか否かを決定するのに必須であろう。本明細書において、本発明者らは、ミュラー管退行アッセイにおいて完全な生物活性を保持する内部的にエピトープでタグされたMISの生産を証明する。一実施形態において、タグは、その検出および精製に用いるための高い質の試薬の利用性により、「FLAG」タグである。
本明細書において議論されるように、本発明は、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質ならびにその機能的フラグメントおよび誘導体の有効量を、その必要な対象に投与することにより、種々の状態を治療するための方法を供する。本発明の化合物またはそれを含む薬学的組成物により治療することができる状態は、ヒトMISの投与、またはMISシグナル伝達の活性化もしくはMISRIIの活性化により治療され、または症状を削減し、それにより、組換えヒトMISタンパク質ならびにその機能的フラグメントおよび誘導体の投与から利益を得るいずれかの状態を含む。この点で代表的な状態は、たとえば、これらに限定されないが、MISレセプターを発現する癌、たとえば、MISRIIを発現する癌、たとえば、これらに限定されないが、卵巣、子宮頸部、および子宮内膜の癌含む。MISで治療することができ、またはMISシグナル伝達の活性化が症状を削減する別の状態は、増殖性疾患、たとえば癌、または異常に高いアンドロゲン段階、たとえば、多嚢胞卵巣疾患、思春期早発症、および他の高アンドロゲン障害、たとえば、精巣中毒症(testotoxicosis)、またはいずれかのアンドロゲン依存性腫瘍、たとえば前立腺癌である。
定義
利便性のため、(明細書、実施例、および特許請求の範囲を含む)本願全体に用いる特定の用語をここにまとめる。他に定義されない限り、本明細書に用いるすべての技術および科学用語は、本発明の属する当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。
用語「ミュラー管抑制物質」および「MIS」は、本明細書において交換可能に用いられ、抗ミュラー(anti-Mullerian)ホルモンまたはAMHとしても知られ、MISと構造的に類似する化合物および材料をいう。「MIS」または「ミュラー管抑制物質」は、配列番号:1のアミノ酸残基26〜560と少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%、同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを意味する。本発明は、野生型MISと実質的に同じ、またはそれより大きい生物学的活性を有する組換えヒトMISの変異型を含むことを意図する。このような変異型MIS分子の例は、野生型MISのアミノ酸配列(たとえば、配列番号:1のアミノ酸残基26〜560)において、欠失、挿入、または変換を有する。含まれる物質の別の形態は、たとえば、野生型MISおよび組換えヒトMISの塩、機能的誘導体、およびアグリコン形態である。さらに、ヒト組換えMISタンパク質は、組換えDNA技術を用いて、またはMISタンパク質の化学合成から得ることができる。引用目的のみのため、野生型ヒトMIS核酸は、RefSeq No: NM_000479に対応し、これは、引用により本明細書に組み込まれる。
用語「ミュラー管抑制物質タイプIIレセプター」または「MISRII」は、本明細書において交換可能に用いられ、MISのためのII型レセプターをいう。用語「MISRII」は、MISRIIと実質的に相同であるすべてのMISレセプターおよびMISRIIの機能的誘導体を包含することを意図する。MISRIIは、別名、AMHR2としても知られる。引用目的のみのため、ヒトMISRIIの核酸配列は、NM_020547およびGenBank No: AF172932に対応し、これは、引用により本明細書に組み込まれる。
用語「野生型」は、それが通常はインビボで存在するので、タンパク質をコードする自然発生のポリヌクレオチド配列、もしくはその一部、またはタンパク質配列、もしくはその一部、それぞれをいう。したがって、本明細書に開示されるように、ヒトMISのプレプロタンパク質のための野生型アミノ酸配列は、配列番号:1に相当し、そのアミノ酸残基1〜25はリーダー配列に相当する。MISのプロタンパク質は、後に本明細書に開示される切断により翻訳後にプロセッシングされ、生物活性MISホモダイマーを形成する、配列番号:1のアミノ酸残基26〜560を含む(たとえば、1〜25リーダー配列を欠如する)。
本明細書に用いられる用語「可溶性MISポリペプチド」は、膜への機能的な結合を許容するアミノ酸の少なくとも一部、またはすべてを含まないMISポリペプチドをいう。
「MISをコードするポリヌクレオチド」は、配列番号:1のアミノ酸残基26〜560に対応するアミノ酸配列のいずれかと少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する
用語「変異」は、生物の遺伝材料におけるいずれかの変化、特に、野生型ポリヌクレオチド配列における変化(すなわち、欠失、置換、付加、または変更)、または野生型タンパク質配列におけるいずれかの変化をいう。用語「バリアント」は、「変異体」と交換可能に用いられる。遺伝材料における変化がタンパク質の機能の変化を生ずることがしばしば見込まれるが、用語「変異体」および「バリアント」は、その変化がタンパク質の機能を変化させるか否か(たとえば、増加、減少、または新しい機能の付加)、または変化がタンパク質の機能に効果を有するか否か(たとえば、変異または変化がサイレントである)にかかわらず、野生型タンパク質の配列における変化をいう。用語「変異」は、本明細書において「多型」と交換可能に用いられる。
本明細書に用いられる用語「剤」または「化合物」は、疾患または状態を治療、防止、または制御するために、対象に投与される、化学物質もしくは生物学的産物、または化学物質もしくは生物学的産物の組み合わせをいう。化学物質もしくは生物学的産物は、好ましくは、けれども必ずしも低分子量化合物ばかりでなく、より大きな化合物、またはいずれかの有機もしくは無機分子、たとえば改変および未改変の核酸、たとえばアンチセンス核酸、RNAi、たとえばsiRNAもしくはsiRNA、ペプチド、ペプチド模倣物、レセプター、リガンド、および抗体、アプタマー、ポリペプチド、核酸アナログ、またはそれらの変異体でもあり得る。たとえば、核酸、アミノ酸、または炭水化物のオリゴマーは、これらに限定されないが、タンパク質、オリゴヌクレオチド、リボザイム、DNAザイム、糖タンパク質、siRNA、リポタンパク質、アプタマー、ならびにそれらの改変体および組み合わせを含む。
用語「核酸」は、当該技術分野で公知である。本明細書に用いる「核酸」は、一般に、核酸塩基を含む、DNA、RNA、またはそれらの誘導体もしくは類似体の分子(すなわちストランド)をいう。核酸塩基は、たとえば、DNA(アデニン「A」、グアニン「g」、チミン「T」、またはシトシン「C」)またはRNA(A、G、ウラシル「U」、またはC)に見い出される自然発生のプリンまたはピリミジン塩基を含む。用語「核酸」は、それぞれ用語「核酸」の亜属として、用語「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」を包含する。用語「オリゴヌクレオチド」は、約3〜約100の核酸塩基の長さの分子をいう。用語「ポリヌクレオチド」は、約100の核酸塩基の長さを超える、少なくとも1つの分子をいう。用語「核酸」は、ポリヌクレオチド、たとえば、デオキシリボヌクレオチド(DNA)、および適切な場合、リボヌクレオチド(RNA)も意味する。その用語は、等価物として、ヌクレオチドアナログから作られたRNAまたはDNAのいずれかのアナログ(類似体)、および記載される実施形態に適用できるので、一本鎖(センスまたはアンチセンス)および二本鎖ポリヌクレオチドも含むと理解すべきである。用語「ポリヌクレオチド配列」および「ヌクレオチド配列」は、本明細書において、交換可能にも用いられる。
本明細書に用いる場合、用語「遺伝子」は、エキソンおよび(任意に)イントロン配列の両方を含む、ポリペプチドをコードするオープン・リーディング・フレームを含む核酸いう。「遺伝子」は、遺伝子産物のコーディング配列、ならびに遺伝子産物の5'UTRおよび3'UTR領域、イントロン、およびプロモーターを含む、遺伝子産物の非コーディング領域いう。これらの定義は、一般に、一本鎖分子を指すが、特定の実施形態においては、一本鎖分子と、部分的に、実質的に、または完全に、相補的であるさらなる鎖も包含するであろう。これにより、核酸は、二本鎖分子、または分子を含む特定の配列の1または複数の相補鎖もしくは「補足物」を含む二本鎖分子を包含し得る。本明細書に用いる場合、一本鎖核酸は、接頭辞「ss」、二本鎖核酸は接頭辞「ds」、そして三本鎖核酸は接頭辞「is」として示し得る。用語「遺伝子」は、ポリペプチド鎖の生産に関連するDNAのセグメントをいい、それは、コーディング領域の前および後の領域、ならびに個々のコーディングセグメント(エキソン)の間の介入配列(イントロン)を含む。プロモーターは、転写の開始および比率を制御する核酸配列の領域である。それは、核酸配列の特定の転写を開始するために、調節タンパク質および分子が結合し得る要素、たとえば、RNAポリメラーゼおよび他の転写因子を含み得る。用語「エンハンサー」は、核酸配列の転写活性化に関連するシス作用調節配列をいう。エンハンサーは、いずれかの方向で機能し得、プロモーターの上流または下流であり得る。
本明細書に用いる場合、用語「遺伝子産物」は、遺伝子から転写されたRNA(たとえばmRNA)、または遺伝子によりコードされ、もしくはRNAから翻訳されたポリペプチドを含むとして用いられる。
用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、交換可能に用いられ、アミノ酸残基のポリマーをいい、最小の長さに限定されない。ペプチド、オリゴペプチド、二量体、および多量体等も、ペプチド結合により連結された直線的に配列されたアミノ酸から構成され、生物学的に、組換えにより、または合成的に生産されるか否か、自然発生または非自然発生アミノ酸から構成されるか否かにかかわらず、定義に含まれる。全長のタンパク質およびそのフラグメントの両方が定義に含まれる。その用語は、ポリペプチドの翻訳と同時の(たとえば配列番号:1のアミノ酸1〜25のリーダー配列切断)および翻訳後の改変、たとえば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、タンパク質分解切断(たとえば、フューリンまたはメタロプロテアーゼおよびプロホルモンコンバターゼ(PC)による切断)等も含む。さらに、本発明の目的のため、「ポリペプチド」は、そのタンパク質が要求される活性を維持する限り、ネイティブ配列に対する改変、たとえば、欠失、付加、および置換(一般に、当業者に知られているように事実上保存性であるもの)を含むタンパク質を包含する。これらの改変は、たとえば部位特異的変異誘発により、意図的であり得、または、たとえばタンパク質を生産する宿主の変異により、もしくはPCR増幅もしくは他の組換えDNA法によるエラーを介して、偶発的であり得る。ポリペプチドまたはタンパク質は、ペプチド結合により連結した直線的に配列されたアミノ酸から構成されるが、ペプチドと対照的に、十分に規定されたコンフォメーションを有する。タンパク質は、ポリペプチドと異なり、一般に、50またはそれを超えるアミノ酸の鎖からなる。本発明の目的のため、本明細書に用いる用語「ペプチド」は、典型的には、ペプチド結合により連結された、D-もしくはL-アミノ酸の一本鎖、またはD-もしくはL-アミノ酸の混合物から構成されるアミノ酸の配列をいう。一般に、ペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸残基を含み、約50未満のアミノ酸の長さである。
合成非ネイティブアミノ酸、置換されたアミノ酸、または1もしくは複数のD-アミノ酸を含む、非天然アミノ酸のペプチド(またはプロテアーゼ認識配列を除く他の組成物の成分)への組み込みが、特定の状況において要求される。D-アミノ酸含有ペプチドは、L-アミノ酸含有形態と比べて、インビトロまたはインビボにおいて増加した安定性を示す。これにより、D-アミノ酸を組み込むペプチドの構築は、より大きなインビボまたは細胞内の安定性が要求または必要とされる場合に特に有用であり得る。より詳しくは、D-ペプチドは、内因性ペプチダーゼおよびプロテアーゼに対して耐性であり、それにより、このような特性が要求される場合に、結合した薬剤およびコンジュゲートの優れた経口経上皮および経皮デリバリー、膜-持続性複合体の改良されたバイオアベイラビリティー(さらなる議論について後述)、ならびに延長された血管内および間質寿命を供する。D-異性体ペプチドの使用は、結合した薬剤および他のカーゴ分子の経皮および経口経上皮デリバリーを増強することもできる。さらに、D-ペプチドは、Tヘルパー細胞への主要組織適合複合体クラスII制限提示のために効率的に処理され得、それゆえ生物全体における液性免疫応答を誘導しにくい。それゆえ、ペプチドコンジュゲートは、たとえば、細胞浸透ペプチド配列のD-異性体型、切断部位のL-異性体型、および治療ペプチドのD-異性体型を用いて構築することができる。特定の実施形態において、組換えヒトMISタンパク質は、D-またはL-アミノ酸残基から構成される。自然発生のL-アミノ酸の使用はいずれの分解産物も細胞または生物に対して相対的に非毒性であるという利点を有するからである。
なおさらなる実施形態において、組換えヒトMISタンパク質またはそのフラグメントもしくは誘導体は、レトローインベルソ(retro-inverso)ペプチドであり得る。レトロ−インベルソペプチドは、少なくとも1つの位置での結合したペプチドの方向の逆転、すなわち、アミノ酸の側鎖に対するアミノ−およびカルボキシ−末端の逆転を伴うペプチドをいう。これにより、レトロ−インベルソアナログは、ネイティブペプチド配列と同様の側鎖のトポロジーを適切に維持しながら、反対の末端およびペプチド結合の反対方向を有する。レトロ−インベルソペプチドは、L-アミノ酸またはD-アミノ酸、またはL-アミノ酸およびD-アミノ酸の混合物を含み得、ここで、全てのアミノ酸がD-異性体であってもよい。部分的なレトロ−インベルソペプチドアナログは、配列の一部分のみが、反対であり、エナンチオマーのアミノ酸残基で置換されているポリペプチドである。このようなアナログのレトロ−反転した部分は反対のアミノおよびカルボキシ末端を有するので、レトロ−反転した部分に隣接したアミノ酸残基は、側鎖−類似のα−置換化ジェミナル−ジアミノメタンおよびマロネートによりそれぞれ置換される。細胞浸透ペプチドのレトロ−インベルソ型は、天然の形態と同様に膜を交差して転位するのに効率的に機能することが見いだされている。レトロ−インベルソペプチドアナログの合成は、Bonelli, F. et al., Int J Pept Protein Res. 24(6):553-6 (1984); Verdini, A and Viscomi, G. C., J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1:697-701 (1985); および米国特許第6,261,569号に記載され、これらは、引用により全体が本明細書に組み込まれる。部分的なレトロ−インベルソペプチドアナログの固相合成のための方法は、記載されており(EP 97994-B)、これも、引用により全体が本明細書に組み込まれる。
本明細書に用いるペプチド、ポリペプチド、または分子の「フラグメント」との用語は、その分子のいずれかの近接するポリペプチドのサブセットをいう。本明細書に用いる用語「タンパク質フラグメント」は、MISの自然発生のアミノ酸配列(配列番号:1)から誘導可能な合成および自然発生のアミノ酸配列の両方を含む。タンパク質は、それが組換えヒトMISタンパク質を断片化することにより得ることができるなら、またはそれが自然発生アミノ酸の配列もしくはこの配列をコードする遺伝材料(DNAまたはRNA)の知識に基づいて合成することができるなら、「組換えヒトMISタンパク質の自然発生アミノ酸配列から誘導可能」と言われる。したがって、分子の「フラグメント」は、その分子のいずれかのポリペプチドサブセットを指すことを意味する。特定の実施形態において、組換えヒトMISの機能的なフラグメントは、少なくともC末端ドメインと、少なくともN末端ドメインと、を含む。特定の実施形態において、機能的フラグメントは、組換えヒトMISタンパク質の、C末端の部分、および/またはN末端ドメインの部分(たとえば、フラグメント)を含む。本明細書に開示される配列番号:1の野生型MISタンパク質より大きい活性、または少なくともその活性を有し、可溶性である、組換えヒトMISタンパク質のフラグメントも、本発明における使用のために包含される。
組換えヒトMISタンパク質のフラグメント、たとえば、本明細書に開示される方法に役立つ配列番号:2または3の機能的フラグメントは、たとえば、実施例において本明細書に開示されるミュラー管退行バイオアッセイにおいてミュラー管退行を引き起こすために、インビボにおける配列番号:2または3のポリペプチドの活性の少なくとも30%の活性を有する。別の言い方をすれば、組換えヒトMISタンパク質の機能的フラグメントは、MISRIIに結合して活性化するか、または本明細書に開示されるミュラー管退行バイオアッセイ(図4)においてミュラー管退行を引き起こすために、単独でまたは融合タンパク質として、配列番号:2または3と同じ活性の少なくとも30%を引き起こし得る、フラグメントである。本明細書に開示されるフラグメントは、可溶性(すなわち、膜に結合しない)であり得る。「フラグメント」は、少なくとも約6、少なくとも約9、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約100、少なくとも約250、少なくとも約300の核酸またはアミノ酸、またはこれらの間のいずれかの整数であり得る。典型的なフラグメントは、C末端トランケーション、N末端トランケーション、またはCおよびN末端の両方トランケーション(たとえば、N末端、C末端、または両方から削除される、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、またはより多くのアミノ酸の欠失)を含む。当業者は、単純な欠失分析によりこのようなフラグメントを作り出すことができる。配列番号:2または3のこのようなフラグメントは、たとえば、配列番号:2または3のそれぞれのN末端および/またはC末端から削除された、1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9 または 10アミノ酸、または10を超えるアミノ酸、たとえば、15, 30, 50, 100、もしくは100を超えるアミノ酸であり得る。当業者は、配列番号:2または3からNおよび/またはC末端アミノ酸を連続的に欠失させ、または組換えヒトMISタンパク質からN末端およびC末端アミノ酸を連続的に欠失させ、単独でまたは切断した時に、得られたペプチドフラグメントの機能を評価することにより、本明細書に開示される方法および組成物、または本明細書に開示される融合タンパク質に役立つ配列番号:2または3の最小のペプチドフラグメントを容易に同定することができる。当業者は、複数のより小さなフラグメントで機能的フラグメントを形成することができる。これらは、ペプチドリンカーを架橋することにより結合させることができる。当業者は、野生型のコンフォメーションを維持するためにリンカーを直ちに選択することができる。当業者は、配列番号:2または3に対応する組換えヒトMISタンパク質と比べて、MISRIIを活性化するために本明細書に開示されるような、または本明細書に開示されるミュラー管退行バイオアッセイにおいて、組換えヒトMISタンパク質の機能を容易に評価することができる。このようなインビボアッセイを用いて、組換えヒトMISタンパク質のフラグメントが本明細書に開示される配列番号:2または3に対応する組換えヒトMISタンパク質の生物学的活性の少なくとも30%を有するなら、そのフラグメントは有効な組換えヒトMISタンパク質フラグメントと考えられ、本明細書に開示される組成物および方法に用いることができる。特定の実施形態において、配列番号:2または3のフラグメントは、配列番号:2または3の200未満、または150未満、または100未満、または50未満、または20未満のアミノ酸であり得る。特定の実施形態において、配列番号:2または3のフラグメントは、100未満のペプチド長である。しかしながら、上述の通り、フラグメントは、少なくとも約6、少なくとも約9、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約100、少なくとも約250、少なくとも約500の核酸またはアミノ酸、またはこれらの間のいずれかの整数でなければならない。
本明細書に用いる用語「誘導体」は、たとえば、これらに限定されないが、ユビキチン化、ラベリング、ペグ化(ポリエチレングリコールでの誘導化)、または他の分子の付加により化学的に改変されているペプチドを指す。分子は、それがその分子の通常の部分でない付加的な化学成分を含む場合、別の分子の誘導体でもある。このような成分は、その分子の可溶性、吸収性、生物学的半減期等を改良することができる。その成分は、あるいは、分子の毒性を減少させ、分子の要求されない副作用等を除去または低減することができる。このような効果を媒介することができる成分は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th edition, A. R. Gennaro, Ed., MackPubl., Easton, PA (1990)に開示される。
「誘導体」、「バリアント」、または「フラグメント」とあわせて用いる場合の用語「機能的」は、それがその機能的な誘導体、バリアント、またはフラグメントであるポリペプチドの生物学的活性に実質的に類似する生物学的活性(機能的または構造的のいずれか)を有するポリペプチドをいう。機能的誘導体という用語は、分子のフラグメント、アナログ、または化学的誘導体を含むことを意図する。この文脈における「実質的に類似」は、生物学的活性、たとえばMISRIIの活性化が、引用ポリペプチド、たとえば対応する野生型MISポリペプチドまたは組換えヒトMISタンパク質の少なくとも25%、少なくとも35%、または少なくとも50%の活性であり、好ましくは、少なくとも60%の活性、70%の活性、80%の活性、90%の活性、95%の活性、100%の活性、またはさらにこれを超える(すなわち、バリアントまたは誘導体が野生型より大きい活性を有する)、たとえば、110%の活性、120%の活性、またはこれを超える活性であることを意味する。言い換えると、この文脈における組換えヒトMISタンパク質の「実質的に類似」する機能的フラグメントは、対応する組換えヒトMISタンパク質の関連するまたは要求される生物学的活性の少なくとも25%、少なくとも35%、少なくとも50%が維持されることを意味する。本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質の機能的フラグメントまたはペプチドの例(たとえば、配列番号:2または3)において、配列番号:2または3の機能的フラグメントは、MISRIIを活性化する、または実施例において本明細書に開示されるミュラー管退行バイオアッセイにおいて、活性を保持した配列番号:2または3の一部を含むタンパク質またはペプチド、好ましくは、MISRIIを活性化する、または本明細書に開示されるミュラー管退行バイオアッセイにおいてミュラー管退行を引き起こすために、全長の配列番号:2または3と比較して、少なくとも25%、少なくとも35%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、またはこれを超える(すなわち、バリアントまたは誘導体が配列番号:1の野生型MISまたは配列番号2もしくは3の組換えヒトMISタンパク質より大きい活性を有する)、たとえば、少なくとも110%、少なくとも120%、またはこれを超える活性であろう。別の例として、MISのフラグメント(たとえば、配列番号:1のアミノ酸26〜560)は、ミュラー管退行のための活性を保持した配列番号:1のアミノ酸26〜560の一部を含むタンパク質またはペプチドであろう。好ましくは、配列番号:1のアミノ酸26〜560のフラグメントは、実施例において本明細書に開示されるミュラー管退行バイオアッセイにおいてミュラー管退行を引き起こすために、配列番号:1の全長アミノ酸26〜560と比べて、少なくとも25%、少なくとも35%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、またはこれを超える(すなわち、バリアントまたは誘導体が野生型より大きい活性を有する)、たとえば、少なくとも110%、少なくとも120%、またはこれを超える活性を保持する。別の例として、配列番号:6のHSAリーダー配列のフラグメントは、たとえば引用により全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,759,802号に開示されるようなアッセイにより測定して、配列番号:6の全長HSA配列と比べて、少なくとも25%、少なくとも35%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、またはこれを超える(すなわち、バリアントまたは誘導体が野生型HSA配列より大きい活性を有する)、たとえば、少なくとも110%、少なくとも120%、またはこれを超える活性を保持する配列番号:6の一部を含むタンパク質またはペプチドであろう。
用語「機能的誘導体」および「模倣物」または「生物学的に活性なバリアント」または「生物学的に活性なフラグメント」は、交換可能に用いられ、その機能的誘導体である物質または分子(たとえば、組換えヒトMISタンパク質)の生物学的活性に実質的に類似する生物学的活性(機能的または構造的のいずれか)を有する化合物をいう。機能的誘導体との用語は、分子のフラグメント、バリアント、アナログ、または化学的誘導体を含むことを意図する。
用語「機能的誘導体」は、分子の「フラグメント」、「バリアント」、「アナログ」、または「化学的誘導体」を含むことを意図する。分子は、両方の分子が実質的に類似する構造を有するなら、または両方の分子が類似する生物学的活性を有するなら、他方の分子と「実質的に類似」すると呼ばれる。これにより、2つの分子が類似する活性を有するなら、それらはバリアントであると考えられる。なぜなら、この用語は、分子の一方の構造が他方に見いだされない場合でさえ、またはアミノ酸残基の配列が同一でない場合でさえ、本明細書において用いられるからである。組換えヒトMISタンパク質の「アナログ」は、全体の分子またはそのフラグメントに機能において実質的に類似する分子を指すことを意味する。本明細書に用いる場合、分子は、それが分子の通常の部分でない更なる化学成分を含む場合に別の分子の「化学的誘導体」であると呼ばれる。このような成分は、分子の可溶性、吸収性、生物学的半減期等を改良することができる。成分は、あるいは、分子の毒性を減少させ、分子の要求されない副作用等を除去または減衰させることができる。このような効果を媒介することができる成分は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th edition, A. R. Gennaro, Ed., MackPubl., Easton, PA(l990)に開示される。
組換えヒトMISタンパク質の「バリアント」は、全体の分子またはそのフラグメントのいずれかに構造および機能において実質的に類似する分子を指すことを意味する。したがって、本明細書に記載される用語「バリアント」は、1または複数のアミノ酸または核酸の欠失、付加、置換、または側鎖修飾により自然発生ポリペプチドまたは核酸から異なるが、なお、自然発生分子の1または複数の特定の機能または生物学的活性を保持するペプチドまたは核酸をいう。アミノ酸置換は、アミノ酸が、異なる自然発生または非従来的なアミノ酸残基で置換される変更を含む。このような置換は、ポリペプチドに含まれるアミノ酸残基が、極性、側鎖官能性、または大きさのいずれかに関して類似する特性の別の自然発生アミノ酸で置換される場合に「保存性」として分類することができる。本発明により包含される置換は、ペプチド中に存在するアミノ酸残基が、異なる特性を有するアミノ酸、たとえば、異なる基からの自然発生アミノ酸で置換される場合(たとえば、荷電または疎水性アミノ酸のアラニンでの置換)、または自然発生アミノ酸が非従来的アミノ酸で置換される場合に「非保存性」でもあり得る。特定の実施形態において、アミノ酸置換は保存性である。ポリヌクレオチドまたはポリペプチドを引用して用いる場合にバリアントとの用語には、引用ポリヌクレオチドまたはポリペプチドのそれぞれと比べて(たとえば、野生型ポリヌクレオチドまたはポリペプチドと比べて)、一次、二次、または三次構造において変化し得るポリヌクレオチドまたはポリペプチドが含まれる。組換えヒトMISタンパク質の「バリアント」は、構造および機能において実質的に類似する、すなわち機能がMISRIIを活性化する能力である、分子をいう。
たとえば、組換えヒトMISタンパク質のバリアントは、配列番号:2または3において引用アミノ酸から異なる変異または改変を含み得る。特定の実施形態において、配列番号:2または3のバリアントは、本明細書に開示される配列番号:2または3のフラグメントである。特定の実施形態において、バリアントは、配列番号:2または3の異なるアイソフォームであり得、異なる異性体アミノ酸を含み得る。バリアントは、当該技術分野において公知である方法を用いて単離また生産された、自然発生、合成、組換え、または化学的に改変されたポリヌクレオチドまたはポリペプチドであり得る。バリアントは、後述のような保存性または非保存性アミノ酸変化を含み得る。ポリヌクレオチドの変化は、引用配列によりコードされるポリペプチドにおいて、アミノ酸置換、付加、欠失、融合、およびトランケーションを生じ得る。バリアントは、バリアントの基になるペプチド配列において通常、発生しないアミノ酸および他の分子の挿入および置換、たとえば、これに限られないが、ヒトタンパク質において通常、発生しないオルニチンの挿入を含む、アミノ酸の挿入、欠失、または置換を含み得る。
ポリペプチドを記述する場合の用語「保存性置換」は、ポリペプチドの活性を実質的に変化させないポリペプチドのアミノ酸組成の変化をいう。たとえば、保存性置換は、類似する化学特性を有する異なるアミノ酸残基にアミノ酸残基を置換することをいう。保存性アミノ酸置換は、イソロイシンもしくはバリンでのロイシンの置換、グルタミン酸でのアスパラギン酸の置換、またはセリンでのトレオニンの置換を含む。「保存性アミノ酸置換」は、1つのアミノ酸を、類似する構造的および/または化学特性を有する別のもので置換することにより行われる。たとえば、イソロイシンもしくはバリンでのロイシンの置換、グルタミン酸でのアスパラギン酸の置換、またはセリンでのトレオニンの置換である。これにより、特定のアミノ酸配列の「保存性置換」は、ポリペプチド活性に重要でないこれらのアミノ酸の置換、または重要なアミノ酸の置換でさえペプチドの活性(すなわち、本明細書に開示されるような、T-reg細胞を削減し、および/または炎症性サイトカインを減少させるペプチドの能力)を減少させないような、類似する特性(たとえば、酸性、塩基性、正または負電荷、極性または非極性等)を有する別のアミノ酸でのアミノ酸の置換をいう。機能的に類似するアミノ酸を供する保存性アミノ酸の表は当該技術分野において公知である。たとえば、以下の6つの群それぞれが、互いについて保存性置換であるアミノ酸を含む:1) アラニン (A), セリン (S), トレオニン (T); 2) アスパラギン酸 (D), グルタミン酸 (E); 3) アスパラギン (N), グルタミン (Q); 4) アルギニン (R), リジン (K); 5) イソロイシン (I), ロイシン (L), メチオニン (M), バリン (V); および 6) フェニルアラニン (F), チロシン (Y), トリプトファン (W)(Creighton, Proteins, W. H. Freeman and Company (1984)も参照のこと)。特定の実施形態において、単一アミノ酸または少しの割合のアミノ酸を変化させ、付加し、または欠失する、個々の置換、欠失、または付加も、その変化がMISの活性(すなわち、本明細書に開示されるミュラー管退行バイオアッセイを用いて決定することができる、インビボでミュラー管退行を引き起こす組換えヒトMISタンパク質またはバリアントの能力)を削減しないなら、「保存性置換」と考えることもできる。挿入または置換は、典型的には、約1〜5の範囲のアミノ酸である。保存性アミノ酸の選択は、ペプチドにおいて置換すべきアミノ酸の位置に基づいて、たとえば、アミノ酸がペプチドの外側にあり、溶媒に暴露されるか、または内部にあり溶媒に暴露されないか、に基づいて行うことができる。
別の実施形態において、当業者は、存在するアミノ酸の位置、すなわちその溶媒への暴露(すなわち、アミノ酸が溶媒に露出されるか、または溶媒に露出されない内部に位置したアミノ酸と比べてペプチドまたはポリペプチドの外部表面にあるか)に基づいて存在するアミノ酸を置換するであろうアミノ酸を選択することができる。このような保存性アミノ酸置換の選択は当該技術分野において公知であり、たとえば、Dordo et al, J. Mol Biol, 1999, 217, 721-739、およびTaylor et al, J. Theor. Biol. 119(1986);205-218、およびS. French and B. Robson, J. Mol. Evol. 19(1983)171に開示される。したがって、当業者は、タンパク質またはペプチドの外側のアミノ酸(すなわち、溶媒に暴露されたアミノ酸)に適した保存性アミノ酸置換を選択することができる。たとえば、これらに限らないが、以下の置換を用いることができる:YをFで, TをSまたはKで, PをAで, EをDまたはQで, NをDまたはGで, RをKで, GをNまたはAで, TをSまたはKで, DをNまたはEで, IをLまたはVで, FをYで, SをTまたはAで, RをKで, GをNまたはAで, KをRで, AをS, KまたはPでの置換。
別の実施形態において、当業者は、タンパク質またはペプチドの内側のアミノ酸に適した保存性アミノ酸置換を選択することもできる。たとえば、タンパク質またはペプチドの内側のアミノ酸(すなわち、アミノ酸は溶媒に暴露されない)について適切な保存性置換を用いることができる。たとえば、これらに限らないが、以下の保存性置換を用いることができる: YをFで, TをAまたはSで, IをLまたはVで, WをYで, MをLで, NをDで, GをAで, TをAまたはSで, DをNで, IをLまたはVで, FをYまたはLで, SをAまたはTで、およびAをS, G, TまたはVでの置換。特定の実施形態において、非保存性アミノ酸置換もバリアントの範囲に含まれる。組換えヒトMISタンパク質のバリアント、たとえば、配列番号:2または3のバリアントは、配列番号:2もしくは3の全体の分子、またはそのフラグメントのいずれかに、構造および機能において実質的に類似するいずれかの分子をいう。
用語「相同性」、「同一性」、および「類似性」は、2つのペプチド間、または最適に整列された核酸分子間の配列類似性の程度をいう。相同性および同一性は、比較の目的のために整列させることができるそれぞれの配列において位置を比較することにより、それぞれ決定することができる。たとえば、それは、デフォルト位置で標準相同性ソフトウエア、たとえばBLAST, version 2.2.14の使用に基づく。比較した配列における等価の位置が同じ塩基またはアミノ酸により占有される場合、分子はその位置において同一である。等価の位置が類似するアミノ酸(たとえば、立体構造および/または電気的性質が類似、たとえば、保存性アミノ酸置換)により占有される場合、分子はその位置で相同(類似)であるとして言及することができる。相同性/類似性または同一性のパーセンテージとしての表現は、それぞれ、比較した配列により共有される位置における類似するまたは同一のアミノ酸の数の関数を意味する。「無関係」または「非相同」である配列は、40%未満の同一性を有する。好ましくは、それは、本明細書に開示される配列と25%未満の同一性である。
本明細書に用いる場合、用語「配列同一性」は、2つのポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列が比較窓上で同一(すなわち、ヌクレオチドごとに、または残基ごとに同一)であることを意味する。用語「配列同一性の割合(パーセンテージ)」は、比較の窓上の2つの最適に整列させた配列を比較し、同一の核酸塩基(たとえば、A, T. C, G. U. またはI)または残基が両方の配列にある位置の数を決定して、一致した位置の数を算出し、比較窓内(すなわち窓サイズ)の一致した位置の数を位置の総数で割り、そしてその結果を100倍して配列同一性の割合(パーセンテージ)を算出することにより計算される。
本明細書に用いる用語「実質的同一」は、そのポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列が、少なくとも18ヌクレオチド(6アミノ酸)位置の比較窓上で、頻繁には24〜48ヌクレオチド(8〜16アミノ酸)位置上で、引用配列と比べて、少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90〜95%の配列同一性、より通常は少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む、ポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列の特徴をいう。ここで、その配列同一性の割合は、比較窓上で引用配列の全体の20%またはそれ未満の欠失または付加を含み得る配列に対して、引用配列を比較することにより計算される。引用配列は、より大きな配列のサブセットであり得る。ポリペプチドを記述するのに用いる場合の用語「類似性」は、1つのポリペプチドのアミノ酸配列および保存性アミノ酸置換を第2のポリペプチドの配列と比較することにより決定される。
本明細書に用いる場合、用語「相同」または「相同体(ホモログ)」は、交換可能に用いられ、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドを記述するのに用いる場合、2つのポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、または指定されたその配列が、たとえばデフォルトのパラメータのBLAST, version 2.2.14を用いて、任意に整列、比較させた場合に、ヌクレオチドの少なくとも70%、通常、ヌクレオチドの約75〜99%、より好ましくはヌクレオチドの少なくとも約98〜99%において、適切なヌクレオチド挿入もしくは欠失、またはアミノ酸挿入もしくは欠失を伴って、同一であることを示す。本明細書に用いる用語「ホモログ」または「相同」は、構造および/または機能に関する相同も意味する。配列相同性に関して、それらが少なくとも50%,少なくとも60%,少なくとも70%,少なくとも80%,少なくとも90%,少なくとも95%、少なくとも97%、または少なくとも99%、同一であるなら、配列は相同である。本発明の遺伝子またはペプチドの相同体の決定は、当業者が容易に行うことができる。
用語「実質的に相同」は、少なくとも90%, 少なくとも95%, 少なくとも96%, 少なくとも97%, 少なくとも98%、または少なくとも99%、同一である配列をいう。相同な配列は、異なる種において同じ機能的遺伝子であり得る。本発明の遺伝子またはペプチドの相同体の決定は、当業者が容易に行うことができる。
両分子が実質的に類似する構造を有する場合、または両分子が類似する生物学的活性を有する場合、たとえば、両分子がMISRIIを活性化することができる場合、分子は「実質的に類似」すると呼ばれる。これにより、2つの分子は類似する活性を有するなら(すなわち、配列番号:1に対応するMISタンパク質または配列番号:2もしくは3に対応する組換えヒトMISタンパク質と類似するMISRIIを活性化することができる組換えヒトMISタンパク質のバリアント)、分子の一方の構造が他方に見出されなくても、またはアミノ酸残基の配列が同一でなくても、それらはバリアントであると考えられ、本明細書に開示される使用にために包含される。これにより、2つの分子が類似する生物学的活性を有するなら、分子の一方の構造が他方に見出されなくても、またはアミノ酸残基の配列が同一でなくても、本明細書においてその用語は用いられるので、それらはバリアントであると考えられる。特に、用語「実質的類似」は、配列番号:2または3によりコードされる組換えヒトMISタンパク質と比較した組換えヒトMISタンパク質の機能的バリアントを含む組換えヒトMISタンパク質を定義するのに用いる場合、特定の対象の配列、たとえば、組換えヒトMISタンパク質のバリアントまたは誘導体配列が、その正味の効果は本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質において見出される生物学的活性の少なくともいくらかを保持することであるが、1または複数の置換、欠失、または付加により、配列番号:1の天然(または野生型)MISまたは(すなわち、配列番号:2または3によりコードされる)組換えヒトMISタンパク質の配列から異なることを意味する。または、組換えヒトMISタンパク質とより少ない類似性を有するが、これに匹敵する生物学的活性を有する核酸およびアミノ酸配列は、等価であると考えられる。ポリヌクレオチド配列の決定において、実質的に類似するアミノ酸配列をコードすることができるすべての対象ポリヌクレオチド配列は、コドン配列における差異にかかわらず、引用ポリヌクレオチド配列と実質的に類似すると考えられる。ヌクレオチド配列は、(a)ヌクレオチド配列が天然MIS核酸のコーディング領域にハイブリダイズする場合、(b)ヌクレオチド配列が、中程度のストリンジェント条件下で配列番号:4または5によりコードされる組換えヒトMISタンパクのヌクレオチド配列にハイブリダイズすることができ、かつ、組換えヒトMISタンパク質に類似する生物学的活性有する場合、または(c) (a) or (b)に定義されるヌクレオチド配列に対して、遺伝コードの結果として縮重したヌクレオチド配列である場合に、本明細書に開示される配列番号:4または5の特定の核酸配列に「実質的に類似」する。実質的に類似するタンパク質は、典型的には、ネイティブタンパク質の対応する配列に対して約80%を超える類似性を有するであろう。
ペプチド配列の文脈で用いる用語「実質的類似」は、ポリペプチドが、約10〜20アミノ酸残基の比較窓上で、引用配列に対して少なくとも約60%の配列同一性、または引用配列に対して70%、80%、もしくは85%の配列同一性、または最も好ましくは90%の同一性を有する配列を含むことを示す。アミノ酸配列の文脈において、「実質的類似」は、アミノ酸の保存性置換をさらに含む。これにより、ポリペプチドは、たとえば、2つのペプチドが1または複数の保存性置換により異なる場合、第2のポリペプチドに実質的に類似する。
一実施形態において、用語「ヒト相同体(ホモログ)」は、ヒトまたは動物、たとえばマウスまたはトランスジェニック動物のゲノムによりコードされるような組換えMISタンパク質遺伝子の配列の全長ヌクレオチド配列に対して、少なくとも約55%の相同性を有するDNA配列をいう。一実施形態において、組換えヒトMISタンパク質と関連するとして同定されたタンパク質に対する用語「ヒト相同体」は、本発明のトランスジェニック動物のゲノムによりコードされるような組換えヒトMISタンパク質と関連するとして同定されたタンパク質の全長アミノ酸配列と40%の相同性を有するアミノ酸配列をいう。より好ましくは、少なくとも約50%、より好ましくは、少なくとも約60%、より好ましくは、少なくとも約70%、より好ましくは、少なくとも約75%、より好ましくは、少なくとも約80%、より好ましくは、少なくとも約85%、より好ましくは、少なくとも約90%、より好ましくは、少なくとも約95%の相同性である。上述の通り、相同性は、少なくとも約50%〜100%、および間のすべての区間(すなわち、55%, 60%, 70%, 75%, 80%, 85%, 90%, 95%, 98%等)である。本発明の遺伝子のヒト相同体の決定は、当業者が容易に行うことができる。
ポリペプチドを記述する場合の用語「保存性置換」は、ポリペプチドの活性を実質的に変化させないポリペプチドのアミノ酸組成の変化をいう。これにより、特定のアミノ酸配列の「保存性置換」は、ポリペプチド活性に重要でないこれらのアミノ酸の置換、または重要なアミノ酸の置換でさえ活性を実質的に変化させないような、類似する特性(たとえば、酸性、塩基性、正または負電荷、極性または非極性等)を有する別のアミノ酸でのアミノ酸の置換をいう。機能的に類似するアミノ酸を供する保存性アミノ酸の表は当該技術分野において公知である。たとえば、以下の6つの群それぞれが、互いについて保存性置換であるアミノ酸を含む:1) アラニン (A), セリン (S), トレオニン (T); 2) アスパラギン酸 (D), グルタミン酸 (E); 3) アスパラギン (N), グルタミン (Q); 4) アルギニン (R), リジン (K); 5) イソロイシン (I), ロイシン (L), メチオニン (M), バリン (V); および 6) フェニルアラニン (F), チロシン (Y), トリプトファン (W)(Creighton, Proteins, W. H. Freeman and Company (1984)も参照のこと)。さらに、コードされる配列において単一アミノ酸または少しの割合のアミノ酸を変化させ、付加し、または欠失する、個々の置換、欠失、または付加も、「保存性置換」である。
本明細書に用いる場合、用語「非保存性」は、異なる化学特性を有する異なるアミノ酸残基でアミノ酸を置換することをいう。非保存性置換は、これらに限らないが、アスパラギン酸(D)のグリシン(G)での置換; アスパラギン(N)のリジン(K)での置換; またはアラニン(A)のアルギニン(R)での置換を含む。
配列の比較のため、典型的には、1つの配列は、テスト配列が比較される引用配列として機能する。配列比較アルゴリズムを用いる場合、テストおよび引用配列は、コンピュータにインプットされ、必要に応じて、サブ配列コーディネートが指定され、そして、配列アルゴリズムプログラムが指定される。次に、配列比較アルゴリズムは、指定されたプログラムパラメータに基づいて、引用配列に対するテスト配列の同一性の割合(パーセンテージ)を計算する。
比較のための配列の最適な配置(アラインメント)は、たとえば、Smith and Watermanの局所相同性アルゴリズム (引用により本明細書に組み込まれるAdv. Appl. Math. 2:482 (1981))により、Needleman and Wunschの相同性アラインメントアルゴリズム (引用により本明細書に組み込まれるJ. Mol. Biol. 48:443-53 (1970))により、Pearson and Lipmanの類似性のためのサーチ方法 (引用により本明細書に組み込まれるProc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444-48 (1988))により、これらのアルゴリズムのコンピュータでの実行(たとえば、 Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, Wis.における、GAP, BESTFIT, FASTA, および TFASTA )により、または視覚的な検査(全般、Ausubel et al. (eds.), Current Protocols in Molecular Biology, 4th ed., John Wiley and Sons, New York (1999)を参照)により、行うことができる。
有用なアルゴリズムの一例は、PILEUPである。PILEUPは、配列同一性の割合を示すために、進行的な(progressive)対での(pairwise)アラインメントを用いて、関連配列の群からの多重配列アラインメントを作り出す。それは、アラインメントを作り出すために用いられるクラスタリング関係を示す系図または樹状図もプロットする。PILEUPは、Feng and Doolittleのプログレッシブアラインメント方法(引用により本明細書に組み込まれるJ. Mol. Evol. 25:351-60 (1987))の単純化を用いる。用いる方法は、Higgins and Sharpにより記載される方法 (引用により本明細書に組み込まれるComput. Appl. Biosci. 5:151-53 (1989))に類似する。プログラムは、それぞれ5,000ヌクレオチドまたはアミノ酸の最大の長さで、300までの配列をアラインすることができる。多重アラインメント手順は、2つの最も類似する配列の対でのアラインメントで始まり、2つのアラインした配列のクラスターを作り出す。次に、このクラスターは、次の最も関連する配列またはアラインした配列のクラスターにアラインされる。配列の2つのクラスターは、2つの個々の配列の対でのアラインメントの単純な延長によりアラインされる。最終的なアラインメントは、一連の進行的な対でのアラインメントにより達成される。プログラムは、特定の配列およびそれらのアミノ酸またはヌクレオチドの配置を配列比較の領域のために指定することにより、およびプログラムパラメータを指定することにより、実行される。たとえば、引用配列は、以下のパラメータ:default gap weight (3.00), default gap length weight (0.10), および weighted end gapsを用いて、配列同一性関係のパーセンテージを決定するために、他のテスト配列と比較することができる。
配列同一性および配列類似性の割合を決定するために適したアルゴリズムの別の例は、Altschul et al.によるBLASTアルゴリズム(引用により本明細書に組み込まれるJ. Mol. Biol. 215:403-410 (1990)を参照)。(引用により本明細書に組み込まれるZhang et al., Nucleic Acid Res. 26:3986-90 (1998); Altschul et al., Nucleic Acid Res. 25:3389-402 (1997)も参照)。BLAST分析を行うためのソフトウエアは、National Center for Biotechnology Informationのインターネットウエブサイトで利用できる。このアルゴリズムは、データベース配列において同じ長さのワードでアラインした場合にいくつかの正の値の閾値スコアTと適合または満足する、クエリ配列において長さWの短いワードを同定することにより、高スコア配列対(HSPs)を最初に同定することに関連する。Tは、近隣ワードスコア閾値とも呼ばれる (Altschul et al. (1990), 前掲)。これらの最初の近隣ワードのヒットは、それらを含むより長いHSPsを見出すためにサーチを開始するための種として機能する。次に、ワードのヒットは、累積のアラインメントスコアが増加する限り、それぞれの配列に沿って両方向に広げられる。それぞれの方向におけるワード・ヒットの延長は次の場合に中断する:累積アラインメントスコアがその最大の達成した値から量Xだけ低下した場合;累積スコアが1または複数の負のスコアの残基アラインメントの蓄積により0またはそれより低くなった場合;またはいずれかの配列の端に到達した場合。BLASTアルゴリズムパラメータW,T,およびXは、アラインメントの感度および速度を決定する。BLASTプログラムは、デフォルトとして、wordlength (W) of 11, the BLOSUM62 scoring matrix (引用により本明細書に組み込まれるHenikoff and Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915-9 (1992)を参照) alignments (B) of 50, expectation (E) of 10, M=5, N=-4, および両鎖の比較を用いる。
配列同一性の割合を計算することに加えて、BLASTアルゴリズムは、2つの配列の間の類似性の統計的分析も行う(たとえば、引用により本明細書に組み込まれるKarlin and Altschul, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-77 (1993)を参照)。BLASTアルゴリズムにより供される類似性の一基準は、最小合計確率(smallest sum probability(P(N))であり、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列の間の適合が偶然に発生するであろう確率の目安を供する。たとえば、核酸は、テスト核酸の引用核酸との比較における最小合計確率が、約0.1未満、より典型的には約0.01未満、最も典型的には約0.001未満である場合に、引用配列に類似すると考えられる。
用語「挿入」または「欠失」は、典型的には、約1〜5アミノ酸の範囲にある。許容されるバリエーションは、組換えDNA技術を用いて配列中にヌクレオチドの挿入、欠失、または置換を体系的に作り出しながら、ペプチドを合成して作り出すことにより、実験的に決定することができる。
ペプチドを引用する場合の用語「置換」は、異なる物質、たとえば別のアミノ酸またはアミノ酸成分への、アミノ酸における変更をいう。置換は、保存性または非保存性置換であり得る。
分子の「類似体(アナログ)」、たとえば組換えヒトMISタンパク質、たとえば配列番号:2または3は、全体の分子またはそのフラグメントのいずれかと機能において類似する分子をいう。用語「類似体」は、対立遺伝子の、種の、および誘導されたバリアントも含むことを意図する。アナログは、典型的には、しばしば保存性置換の観点により、1つまたは数個の位置において自然発生ペプチドから異なる。アナログは、典型的には、天然ペプチドと少なくとも80%または90%の配列同一性を示す。特定のアナログは、非天然アミノ酸またはNまたはC末端アミノ酸の修飾も含む。非天然アミノ酸の例は、たとえば、これらに限定されないが、アセジ置換化(acedisubstituted)アミノ酸、N-アルキルアミノ酸、乳酸、4-ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン、ε-N,N,N-トリメチルリジン、ε-N-アセチルリジン、O-ホスホセリン、N-アセチルセリン、N-ホルミルメチオニン、3-メチルヒスチジン、5-ヒドロキシリジン、δ-N-メチルアルギニンである。フラグメントおよびアナログは、後述の通り、トランスジェニック動物モデルにおいて予防または治療効能についてスクリーニングすることができる。
「共有結合」は、共有化学結合により、直接的または間接的に(たとえばリンカーを介して)連結することを意味する。
本明細書に用いる用語「融合タンパク質」は、2つまたはこれを超えるタンパク質の組換えタンパク質をいう。融合タンパク質は、たとえば、すべての意図したタンパク質を有する単一のポリペプチドに細胞内で翻訳され得る単一のオープン読み枠を構成するように、1つのタンパク質をコードする核酸配列を別のタンパク質をコードする核酸に連結することにより、生産することができる。タンパク質の配置の順番は、多様である。非限定的例として、組換えヒトMIS融合タンパク質をコードする核酸配列は、第1の融合パートナー、たとえばIgG1 Fcフラグメントをコードする遺伝子の5'または3'末端のいずれかの端に枠内で融合した、組換えヒトMISタンパク質またはその機能的誘導体、フラグメント、もしくはバリアントをコードするヌクレオチド配列から得られる。この方法において、遺伝子の発現に基づいて、組換えヒトMISタンパク質またはその機能的誘導体、フラグメント、もしくはバリアントは機能的に発現され、IgG1 FcのN末端またはC末端に融合される。特定の実施形態において、組換えヒトMISタンパク質またはその機能的誘導体、フラグメント、もしくはバリアントの機能性が、第1の融合パートナー、たとえばIgG1 Fcへの融合により、生物学的活性の点で実質的に影響されないように、ポリペプチドプローブの改変が行われる。
「特異的に結合」または「特異的結合」は、要求されるポリペプチドを認識しそれに結合するが、試料、たとえば本発明のポリペプチドを自然に含む生物学的試料中の別の分子を実質的に認識・結合しない化合物または抗体を意味する。
「実質的に純粋」は、自然に伴う構成物から分離されている核酸または他の分子を意味する。典型的には、ポリペプチドは、自然に関連するタンパク質および自然発生有機分子を含まずに、少なくとも約60重量%, 少なくとも約70重量%, 少なくとも約80重量%, 少なくとも約90重量%, 少なくとも約95重量%, または少なくとも約99重量%である場合、実質的に純粋である。たとえば、実質的に純粋なポリペプチドは、天然ソースからの抽出により、そのタンパク質を通常、発現しない細胞における組換え核酸の発現により、または化学合成により、得ることができる。
「タンパク質分解安定性の増強」は、同じ条件(たとえば、インビボまたはインビトロシステム、たとえば細胞または細胞溶解物内)下においてコントロール配列と比較した、少なくとも約2%,少なくとも約5%,少なくとも約10%,少なくとも約20%,少なくとも約30%,少なくとも約40%,少なくとも約50%,少なくとも約60%,少なくとも約70%,少なくとも約80%,少なくとも約85%,少なくとも約90%,少なくとも約95%,少なくとも約98%, または少なくとも約99%のペプチド配列のタンパク質分解の比率または程度の減少を意味する。タンパク質分解安定性の増強を伴うペプチドは、いずれかの修飾、たとえば、特定部位においてタンパク質分解切断に関わる部位を削除または除去する、挿入、欠失、または点変異誘発を含み得る。タンパク質分解切断の部位は、周知の標的配列に基づいて、またはコンピュータソフトウエア(たとえば、Gasteiger et al., Protein Identification and Analysis Tools on the ExPASy Server. In John M. Walker, ed. The Proteomics Protocols Handbook, Humana Press (2005)に記載されるソフトウエア).を用いて、同定することができる。あるいは、タンパク質分解部位は、たとえば、細胞系または細胞ライゼートにおける発現またはインキュベーションの後のタンパク質についてのウエスタンブロットにより、次の切断部位を決定するための同定されたフラグメントの配列決定により、実験的に決定することができる。
核酸分子を記述するのに本明細書に用いる用語「組換え」は、その起源または操作の観点において自然に関連するポリヌクレオチドの全部または一部と関連しない、ゲノム、cDNA、ウイルス、半合成、および/または合成源を意味する。タンパク質またはポリペプチドに関して用いる組換え、との用語は、組換えポリヌクレオチドの発現により生産されたポリペプチドを意味する。宿主細胞に関して用いる組換え、との用語は、組換えポリヌクレオチドが導入されている宿主細胞を意味する。組換えは、その材料が異種材料(たとえば、細胞、核酸、タンパク質、またはベクター)の導入により改変されている材料(たとえば、細胞、核酸、タンパク質、またはベクター)をいうのにも本明細書において用いられる。
用語「対象」および「個体」は、本明細書において交換可能に用いられ、本発明による薬学的組成物での、予防的治療を含む、治療が供される、動物、たとえば、ヒトをいう。本明細書に用いる用語「対象」は、ヒトおよび非ヒト動物をいう。用語「非ヒト動物」および「非ヒト哺乳動物」は、本明細書において交換可能に用いられ、すべての脊椎動物、たとえば哺乳動物、たとえば非ヒト霊長類(特に高等霊長類)、ヒツジ、イヌ、げっ歯動物(たとえばマウスまたはラット)、モルモット、ヤギ、ブタ、ネコ、ウサギ、ウシ、および非哺乳動物、たとえば鳥類、両生類、は虫類等を含む。一実施形態において、対象は人である。別の実施形態において、対象は、実験動物または疾患モデルとしての動物代替物である。その用語は特定の年齢または性別をいわない。これにより、生体および新生の対象、ならびに胎児は、男性または女性にかかわらず、包含される。対象の例は、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、およびマウスを含む。対象、との用語は、トランスジェニック種を含むことを意図する。対象、との用語は、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質を含む組成物での治療、たとえば治療的処置および/または予防的処置が供される、哺乳動物、たとえばヒトも含む。
用語「組織」は、完全な細胞、血液、血液調製物、たとえば血漿および血清、骨、関節、筋肉、平滑筋、および器官を含むことを意図する。
用語「疾患」または「障害」は、本明細書において交換可能に用いられ、機能のパフォーマンスを中断または妨げる、および/または症状、たとえば不快、不全、苦痛、または死を患うヒトまたはヒトと接触したヒトに引き起こす、体または器官のいくつかの状態のいずれかの変化をいう。疾患または障害は、ジステンバー、病的な状態(ailing)、疾患(ailment、amlady)、障害(disorder)、不健康(sickness, illness)、障害(complaint, inderdisposion, affection)を含む。
用語「悪性(腫瘍)」および「癌」は、本明細書において交換可能に用いられ、細胞の制御できない異常な増殖を特徴とする疾患をいう。癌細胞は、局所的に、または血流およびリンパ系を介して体の他の部分に広がり得る。その用語は、その組織において正常または異常な細胞の不十分に制御された、または制御されない増加を特徴とする哺乳動物における器官または組織のいずれかの疾患、およびその全体としての体への効果を含むことも意図する。定義の範囲に含まれる癌の疾患は、良性新生物、形成異常、過形成、ならびに転移性増殖もしくは他の変化、たとえば癌の発生にしばしば先んじる白斑症を含む。
本明細書に用いる場合、用語「腫瘍」は、少なくとも一部、血管由来の脈管構造を含むことを特徴とする形質転換した細胞の集団をいう。形質転換した細胞は、新しい増殖を開始する刺激が止まった後でさえ、迅速かつ連続する新生物の未制御の細胞増加を特徴とする。用語「腫瘍」は、腫瘍実質細胞集団に浸透する血管由来の血管を含む、腫瘍実質細胞および支持間質を含むとして広く用いられる。腫瘍は、一般に、悪性腫瘍、すなわち、転移する能力を有する癌(すなわち、転移性腫瘍)であるが、腫瘍は、非悪性(すなわち、非転移性腫瘍)でもあり得る。腫瘍は、癌の特徴、致命的である自然の過程、新形成疾患である。癌細胞は、侵襲および転移の特性を示し、高度に未分化である。
本明細書に用いる場合、用語「転移性」または「転移性腫瘍」は、原発性腫瘍から体の中の他所に分かれて増殖し、原発性腫瘍が固形腫瘍である場合、引き離され、輸送された細胞から生ずる二次性腫瘍をいう。本明細書に用いる場合、原発性腫瘍は、存在する位置または器官において組織化しており、別の位置からその位置に転移しなかった腫瘍をいう。本明細書に用いる場合、「悪性腫瘍」は、侵襲および転移の特性を有し、高程度の退形成を示すものである。退形成は、細胞の未成熟またはより分化していない形態への逆転であり、ほとんどの悪性腫瘍で発生する。
本明細書に用いる用語「治療耐性癌」は、少なくとも2つの異なる抗癌剤、たとえば、化学療法剤に対して耐性または抵抗性である対象に存在する癌をいい、典型的には、本明細書の用語の定義において、対象が、有効な治療を供しない少なくとも2つの異なる抗癌剤で治療されていることを意味する。
用語「感作」は、本明細書において交換可能に用いられ、他の二次剤、たとえば他のプロドラッグまたは他の環境的効果、たとえば放射線等に対して細胞を感受性または感応性にすることをいう。
本明細書に用いる場合、用語「治療」または「処置」は、治療的処置および予防的または防止的処置の両方をいう。ここで、その目的は、疾患の発達を防ぐまたは遅くすること、たとえば、腫瘍の発達、癌の広がり、または不適切な増殖もしくは細胞集団、たとえば癌に関連する状態、疾患、もしくは障害の少なくとも1つの効果または症状を削減することである。治療は、本明細書に定義される場合、一般に、1または複数の症状または臨床的なマーカーが削減されるなら、「有効」である。あるいは、治療は、疾患の進行が削減または停止されるなら「有効」である。すなわち、「治療」は、症状またはマーカーの改善ばかりでなく、疾患または障害(たとえば癌)の1または複数の症状または測定可能なマーカーの測定可能な低下、および/または治療の欠如で予期されるであろう症状の進行または悪化の少なくとも緩徐化の停止も含む。測定可能な低下は、測定可能なマーカーまたは症状におけるいずれかの統計的に有意な下降を含む。有益なまたは要求される臨床結果は、これらに限らないが、検出可能か検出不可能であるかにかかわらず、1または複数の症状の軽減、疾患の程度の減少、疾患の安定化(すなわち悪化でない)状態、疾患進行の遅延または減速、疾患状態の緩和または軽減、および(部分的か全体かにかかわらず)寛解を含む。「治療」は、治療を行わない場合に予測される生存時間と比べて延長された生存時間も意味し得る。治療の必要な人は、癌とすでに診断されている者、および転移により二次腫瘍を進展させる可能性がある者を含む。特定の実施形態において、治療は、予防的処置であり得る。
本明細書に用いる用語「有効量」は、疾患または障害の少なくとも1または複数の症状を軽減するための、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質の量をいい、要求される効果を供するための薬学的組成物の十分な量に関する。本明細書に用いる用語「治療的有効量」、たとえば、本明細書に開示される少なくとも1の組換えヒトMISタンパク質を含む薬学的組成物の治療的有効量は、いずれかの医療的治療に適用可能な合理的な利益/リスク比率で、疾患を治療するための組成物の十分な量を意味する。それゆえ、用語「治療的有効量」は、癌または癌が媒介する状態に関連する症状または臨床的マーカーにおいて、治療的または予防的に有意な削減をもたらすのに十分である、本明細書に開示される組成物の量をいう。
症状の治療的または予防的に有意な削減は、コントロールまたは治療していない対象と比べて、測定したパラメータにおいて、たとえば、少なくとも約10%,少なくとも約20%,少なくとも約30%,少なくとも約40%,少なくとも約50%,少なくとも約60%,少なくとも約70%,少なくとも約80%,少なくとも約90%,少なくとも約100%,少なくとも約125%,少なくとも約150% またはこれを超える。測定されたまたは測定可能なパラメータは、疾患の臨床的に検出可能なマーカー、たとえば、生物学的マーカーのレベルの上昇または下降、ならびに、症状の臨床的に許容されるスケールに関連するパラメータまたは疾患もしくは障害のためのマーカーである。しかしながら、本明細書に開示される組成物または製剤の全体の毎日の用法は、健全な医療判断の範囲内で主治医である医師により決定されよう。要求される正確な量は、治療すべき疾患のタイプ等の要因により、種々である。
本明細書に開示される少なくとも1の組換えヒトMISタンパク質を含む薬学的組成物での癌を有する対象の治療に関して、用語「治療的有効量」は、癌患者において腫瘍の発達および更なる増殖または転移の広がりを防止しまたは遅延させるのに安全かつ十分な量をいう。これにより、その量は、癌を治療しまたは沈静化し、癌の進行の過程を遅くし、腫瘍増殖を遅くしまたは阻害し、腫瘍転移を遅くしまたは阻害し、転移部位における二次腫瘍の確立を遅くしまたは阻害し、または新しい腫瘍転移の形成を阻害することができる。癌の治療のための有効量は、治療すべき腫瘍、腫瘍の重症度、腫瘍の薬剤耐性レベル、治療すべき種、対象の年齢および一般的な状態、投与の態様等に依存する。これにより、正確な「有効量」を特定することはできない。しかしながら、いずれかの所定の場合のために、適切な「有効量」は、慣用的な実験のみを用いて当業者により決定され得る。治療の効能は、当業者により判断され得、たとえば、効能は、癌および腫瘍の動物モデルにおいて評価され得る。たとえば、癌を有するげっ歯動物の治療、および癌の少なくとも1の症状の減少、たとえば、腫瘍の大きさの削減または腫瘍の増殖の速度の減速もしくは休止を導くいずれかの治療または組成物もしくは製剤の投与が、有効な治療を示す。組成物を癌の治療に用いる実施形態において、組成物の効能は、癌の実験動物モデル、たとえば、野生型マウスまたはラット、または好ましくは腫瘍細胞の移植を用いて判断することができる。実験動物モデルを用いる場合、治療の効能は、癌の症状の削減、たとえば、腫瘍の大きさの削減または腫瘍の増殖の速度の減速もしくは休止が、治療していない動物に対して治療した動物においてより早く起こる場合に、証明される。「より早く」は、たとえば、腫瘍のサイズの減少が、少なくとも5%早い、より好ましくは、たとえば1日早い、2日早い、3日早い、またはこれより早いことを意味する。
本明細書に用いる場合、癌治療を引用する場合の用語「治療」は、癌の症状および/または生化学的マーカーの削減をいうのに用いられる。たとえば、少なくとも1の癌の生化学的マーカーの有意な削減は、有効な治療と考えられよう。癌のこのような生化学的マーカーの例は、CD44, テロメラーゼ, TGF-α, TGF-β, erbB-2, erbB-3, MUC1, MUC2, CK20, PSA, CA125 および FOBTを含む。少なくとも約10%の癌細胞の増殖の比率の削減も、本発明に開示される方法による有効な治療と考えられるであろう。別の例として、癌の症状の削減、たとえば、少なくとも約10%の癌の増殖の速度の減速、または腫瘍サイズの増加の停止、または少なくとも約10%の腫瘍のサイズの削減、または少なくとも約10%の腫瘍の広がり(すなわち、腫瘍転移)の削減も、本発明に開示される方法による有効な治療と考えられるであろう。特定の実施形態において、治療剤が実際に腫瘍を殺すことは、好ましいが、要求されることではない。
用語「予防的有効量」は、要求される予防結果を達成するため、たとえば、癌を進行させるリスクがある対象において癌の発現を防止するために、必要な投与量および器官において、有効である組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントもしくはバリアントの量をいう。典型的には、組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントもしくはバリアントの予防的投与量は、癌の前、もしくは初期段階の対象に、または癌になる遺伝的素因を有する対象に、たとえば、これに限らないが、卵巣癌になる対象の可能性を増加させる遺伝子の変異を有する対象に、投与される。特定の実施形態において、予防的有効量は、治療的有効量より少ない。組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントもしくはバリアントの予防的有効量は、化合物のいずれかの毒性または有害な効果を有益な効果が上回る量でもある。
本明細書に用いる場合、用語「予防」および「防止」は、疾患または障害、たとえば自己免疫疾患も1または複数の症状または測定可能なマーカーの兆候の回避または遅延をいう。症状またはマーカーの兆候の遅延は、疾患または障害を進展させる類似する可能性または感受性を有する、コントロールまたは未処置の対象においてこのような症状またはマーカーが現れる時間に対する遅延である。用語「防止」および「予防」は、疾患の症状またはマーカーの回避または防止を含むだけでなく、疾患もしくは障害を進展させる類似する可能性または感受性を有するコントロールもしくは個体におけるこれらの症状もしくはマーカーに対する、または疾患もしくは障害により影響を受ける集団の歴史的または統計的基準に基づいて生じやすい症状もしくはマーカーに対する、疾患の症状またはマーカーのいずれか1つの重症度または程度の削減も含む。「重症度の削減」は、コントロールまたは引用標準に対して、症状または測定可能な疾患マーカーも重症度または程度の少なくとも10%削減、たとえば、少なくとも15%, 20%, 30%, 40%, 50%, 60%, 70%, 80%, 90%, 95%, 99% または 100% (すなわち、症状または測定可能なマーカーがない状態)の削減を意味する。
本明細書に用いる場合、用語「投与」および「導入」は、本明細書において交換可能に用いられ、要求される部位における組換えヒトMISタンパク質の少なくとも部分的な局在化を生じる方法または経路による、対象に本発明の代謝レギュレーターの剤の配置をいう。本発明の化合物は、対象において有効な治療を生じるいずれかの適切な経路により投与することができる。特定の実施形態において、癌の治療のために、組換えヒトMISタンパク質は、腫瘍の部位に直接もしくはその近くに置き、または全身に投与することができる。
「組成物」または「薬学的組成物」は、本明細書において交換可能に用いられ、賦形剤、たとえば当該技術分野において慣用的であり、細胞への投与に適した薬学的に許容可能な担体を通常含む組成物をいう。細胞は、たとえば治療、診断、または予防目的のために、対象の部分であり得る。細胞は培養も行うことができ、たとえば、潜在的な薬学的組成物をスクリーニングするためのアッセイの部分としての細胞であり得、細胞は、調査目的のためのトランスジェニック動物の部分でもあり得る。組成物は、本発明の代謝レギュレーターをコードするポリペプチドまたはポリヌクレオチドが細胞中または細胞培地中に存在する、細胞培養物でもあり得る。さらに、局所的(たとえば、口粘膜、呼吸器粘膜)および/または経口投与のための組成物は、当該技術分野で周知であり、本明細書に記載される、溶液、懸濁液、錠剤、ピル、カプセル、徐放性製剤、含嗽液、または粉体を形成し得る。さらに、局所的(たとえば、口粘膜、呼吸器粘膜)および/または経口投与のための組成物は、液、懸濁液、錠剤、ピル、カプセル、徐放性製剤を形成し得る。組成物は、安定化剤および保存剤を含み得る。担体、安定化剤、およびアジュバントの例は、University of the Sciences in Philadelphia (2005) Remington: The Science and Practice of Pharmacy with Facts and Comparisons, 21st Ed.に開示される。
本明細書に用いる用語「非経口投与」および「非経口的に投与」は、腸内および局所投与以外の、通常、注入による、投与の態様を意味し、これらに限らないが、静脈内、筋内、動脈内、鞘内、脳室内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮膚内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、髄腔内、脳室脊髄内、および胸骨内注射および注入を含む。本明細書に用いる用語「全身投与」、「全身的に投与」、「末梢投与」、および「末梢的に投与」は、それが動物の系に入り、これにより代謝および他の同様の系に入るような組換えヒトMISタンパク質の投与、たとえば皮下投与を意味する。
用語「薬学的に許容可能」は、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは面倒な事態なしに、人間および動物の組織に接触して用いるのに適した、健全な医療判断の範囲内にある、これらの化合物、材料、組成物、および/または投与形態が、合理的な利益/リスク比と釣り合うことをいうのに本明細書において用いられる。
本明細書に用いる用語「薬学的に許容可能な担体」は、1つの器官、または体の部分から、別の器官または体の部分に対象の剤の活性を維持し、それを運び、または輸送することに関連する、薬学的に許容可能な材料、組成物、またはビヒクル、たとえば、液体または固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、またはカプセル化材料を意味する。本明細書に定義される場合の「薬学的に許容可能」であることに加えて、それぞれの担体は、製剤の他の成分と適合可能であるという意味で「許容可能」でなければならない。薬学的製剤は、1または複数の薬学的に許容可能な成分と組み合わせて、本発明の化合物を含む。担体は、固体、半固体、または液体希釈剤、クリーム、またはカプセルの形態であり得る。これらの薬学的調製物は、本発明のさらなる対象である。通常、活性化合物の量は、0.1〜95重量%の調製物、好ましくは、非経口的使用のために調製物中0.2〜20重量%、好ましくは経口投与のために調製物中1〜50重量%である。本発明の方法の臨床的使用のため、本発明の標的化デリバリー組成物は、非経口投与、たとえば、静脈内、粘膜、たとえば、鼻内、腸内、たとえば経口、局所、たとえば経皮、眼、たとえば角膜乱切を介して、または他の投与の態様のための薬学的組成物または薬学的製剤に製剤化される。
本明細書に用いる用語「癌遺伝子(オンコジーン)」は、優性の様式で増殖の通常の制限から細胞を解放し、これにより単独でまたは他の変化と共同して細胞に腫瘍形成能を与える、正常な遺伝子の変異したおよび/または過剰発現した型のポリペプチドをコードする核酸配列をいう。「癌遺伝子」の例は、gp40 (v-fms); p21 (ras); p55 (v-myc); p65 (gag-jun); pp60 (v-src);, v-abl; v-erb; v-erba; v-fos 等を含む。プロトオンコジーンは、癌遺伝子の正常な細胞等価物を発現する核酸の正常な発現をいい、典型的には、これらの遺伝子は、通常、細胞増殖の信号伝達または制御に関連する遺伝子である。
本明細書に用いる用語「再生」は、細胞集団、器官、または組織の再成長を意味し、特定の実施形態において、疾患または外傷の後のものである。
用語「ベクター」は、連結された別の核酸を輸送することができる核酸をいう。プラスミドは「ベクター」により包含される属の種である。用語「ベクター」は、典型的には、複製の起源、ならびに宿主細胞における複製および/または維持のための他の物質を含む核酸配列をいう。作用可能に連結された遺伝子および/または核酸配列の発現を指図することができるベクターは、「発現ベクター」として本明細書において言及される。一般に、有用性のある発現ベクターは、しばしば、そのベクター形態において、染色体に結合せず、典型的には、安定化もしくは一時的な発現のための物質またはコードされたDNAを含む、環状二本鎖DNAループを指す「プラスミド」の形態である。他の発現ベクターは、本明細書に開示される方法に用いることができ、たとえば、これらに限らないが、プラスミド、エピソーム、細菌の人工染色体、酵母の人工染色体、バクテリオファージ、またはウイルスベクターであり、このようなベクターは、宿主のゲノムに組み込まれ、特定の細胞内で自動的に複製することができる。ベクターは、DNAまたはRNAであり得る。等価な機能を供する当業者に知られた発現ベクターの他の形態も用いることができ、たとえば、自己複製染色体外ベクターまたは宿主ゲノムに組み込まれるベクターである。好ましいベクターは、自主的な複製および/または連結した核酸の発現を行うことができるものである。作用可能に連結した遺伝子の発現を指図することができるベクターは、本明細書において「発現ベクター」として言及される。発現ベクターは、DNAの安定または一時的な発現を引き起こし得る。本発明に用いるための典型的な発現ベクターはpcDNA3.1である。
用語「ウイルスベクター」は、ウイルスとしての使用、または細胞への核酸構成物のキャリアとしてのウイルス関連ベクターをいう。構成物は、細胞への感染または形質導入のために、非複製性の欠損ウイルスゲノム、たとえば、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス(AAV)、または単純ヘルペスウイルス(HSV)、または他のもの、たとえば、レトロウイルスおよびレンチウイルスベクターに組み込み、パッケージングすることができる。ベクターは、細胞ゲノムに組み込んでもそうでなくてもよい。構成物は、必要に応じて、トランスフェクションのためのウイルス配列を含み得る。あるいは、構成物は、エピソームの複製を行うことができるベクター、たとえば、EPVおよびEBVベクターに組み込むことができる。
本明細書に用いる場合、交換可能に用いられる用語「プロモーター」、「プロモーター領域」、または「プロモーター要素」は、作用可能に連結された核酸配列の転写を制御する、核酸配列のセグメント、典型的にはこれらに限らないが、DNAもしくはRNAまたはそれらのアナログをいう。プロモーター領域は、RNAポリメラーゼ認識、結合、および転写開始のために十分である特定の配列を含む。プロモーター領域のこの部分は、プロモーターとして言及される。さらに、プロモーター領域は、RNAポリメラーゼの認識、結合、および転写開始を調節する配列を含む。これらの配列は、シス作用性であっても、トランス作用因子に対して応答性であってもよい。プロモーターは、制御の性質に依存して、構成的であっても、制御されてもよい。
用語「調節配列」は、本明細書において「調節要素」と交換可能に用いられ、作用可能に連結された核酸配列の転写を調節し、これにより転写モジュレーターとして機能する、核酸のセグメント、典型的にはこれらに限らないが、DNAもしくはRNAまたはそれらのアナログをいう。調節配列は、作用可能に連結された遺伝子および/または核酸配列の発現を調節する。調節配列は、しばしば、転写結合ドメインである核酸配列であり、転写タンパク質および/または転写因子、リプレッサー、またはエンハンサーの核酸結合ドメインにより認識される、「調製因子」を含む。典型的には、調節配列は、これらに限らないが、転写プロモーター、誘導可能プロモーター、および転写因子、転写を制御するための任意的作動配列、適切なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、ならびに転写および/または翻訳の終了を制御するための配列を含む。調節配列は、単一の調節配列または多重の調節配列、または改変された調節配列またはそのフラグメントであり得る。改変された調節配列は、核酸配列が特定の手段、たとえばこれらに限らないが、変異、メチル化等により、変化または改変されている調節配列である。
本明細書に用いる用語「作用可能に連結」は、ヌクレオチドの調節配列、たとえば、プロモーター、エンハンサー、転写および翻訳停止部位、および他のシグナル配列との、核酸配列の機能的な関係をいう。たとえば、核酸配列、典型的にはDNAの、調節配列またはプロモーター領域への作用的連結は、DNAの転写が、そのDNAを特異的に認識し、結合し、および転写するRNAポリメラーゼにより、調節配列またはプロモーターから開始されるような、DNAと調節配列またはプロモーターとの間の物理的および機能的関係を指す。発現および/またはインビトロ転写を最適化するために、発現される細胞型における核酸またはDNAの発現のための調節配列を改良することが必要であり得る。このような改良の要求または必要性は、経験的に決定することができる。エンハンサーは、それらが増強するコーディング配列に近接して位置する必要はない。さらに、第2のプロモーターにより転写される因子によりトランスで制御されるプロモーターから転写される遺伝子は、第2のプロモーターに作用可能に連結されるということができる。このような場合、第1の遺伝子の転写は、第1のプロモーターに作用可能に連結されるといい、第2のプロモーターにも作用可能に連結されるという。
本明細書に用いる場合、用語「生物学的試料」は、細胞もしくは細胞の集団、または対象からの特定量の組織もしくは流体もいう。しばしば、試料は、対象から除去されているが、用語「生物学的試料」は、インビボで分析され、すなわち対象から除去されていない、細胞または組織を指すこともできる。しばしば、「生物学的試料」は、対象からの細胞を含むであろうが、その用語は、タンパク質リン酸化レベルを測定するのに用いることができる、非細胞の生物学的試料、たとえば、血液、唾液、または尿の非細胞画分も指すことができる。特定の実施形態において、「生物学的試料」または「組織試料」は、個体から単離された組織または流体の試料を指し、たとえばこれらに限らないが、血液、血漿、血清、腫瘍バイオプシー、尿、便、痰、髄液、胸膜液、乳頭吸引液、リンパ液、皮膚の外部切片、気道、腸管、尿生殖管、涙、唾液、乳液、細胞(これに限らないが、血液細胞を含む)、腫瘍、器官、ならびにインビトロ細胞培養成分の試料も含む。特定の実施形態において、生物学的試料は、切除、気管支鏡バイオプシー、または原発性、二次性、もしくは転移性腫瘍のコアニードルバイオプシー、または胸膜液からのセルブロックからのものである。さらに、細かい針の吸引生物学的試料も有用である。特定の実施形態において、生物学的試料は、一次腹水細胞である。試料は、新鮮な、凍結した、固定した、または任意にパラフィン包埋したものであり得、または、他の組織保存法、たとえば、生物学的試料中にポリペプチドのリン酸化状態を保存するための方法にかけられ得る。生物学的試料は、タンパク質または細胞を含む、生物学的組織または流体の試料も意味し得る。このような試料は、これらに限らないが、対象または動物から単離された組織を含む。生物学的試料は、組織の切片、たとえば、バイオプシーおよびオートプシー(剖検)試料、組織学的目的のために採取した凍結切片、血液、血漿、血清、痰、便、涙、粘液、髪、および皮膚も含み得る。生物学的試料は、患者組織から得られた外植片および一次および/または形質転換細胞培養物も含む。生物学的試料は、対象から細胞の試料を除去することにより供することができるが、以前に単離された細胞(たとえば、別の時間に別の人により単離されたもの、および/または別の目的のためのもの)を用いることにより、またはインビボで本発明の方法を行うことにより、達成することもできる。アーカイバル組織、たとえば、治療または結果履歴を有するものも用いることができる。生物学的試料は、これらに限らないが、組織バイオプシー、スクレイプ(たとえば頬側の摩擦片)、全血、血漿、血清、尿、唾液、細胞培養物、または脳脊髄液を含む。生物学的試料は、組織バイオプシー、細胞培養物も含む。生物学的試料は、対象から細胞の試料を除去することにより得ることができるが、以前に単離された細胞(たとえば、別の人により単離されたもの)を用いることにより、またはインビボで本発明の方法を行うことにより、達成することもできる。このような試料は、これらに限らないが、とりわけ、全血、培養細胞、一次細胞調製物、痰、羊水、組織または微細針バイオプシー試料、腹水を含む。特定の実施形態において、生物学的試料は、ヒト患者から採取され、別の実施形態において、生物学的試料は、いずれかの哺乳動物、たとえば、げっ歯動物、疾患の動物モデル、商用動物、コンパニオンアニマル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、およびブタ等から採取される。生物学的試料は、必要に応じて適切な緩衝溶液で希釈または濃縮することにより、貯蔵または保存のために必要に応じて前処理することができる。生理学的pHにおいて、種々の緩衝液の1つ、たとえば、リン酸、Tris等を用いて、いくつかの標準的な水性緩衝溶液のいずれかを用いることができる。生物学的試料は、本明細書に開示されるアッセイに用いる前に、使用のため、特定の環境で保存することができる。このような保存は、+4℃で、または、細胞を解凍したときに細胞生存性を維持するのに適切な低温保存剤を用いる限り、凍結、たとえば-20℃または-80℃にすることができる。
本明細書に用いる用語「削減」、「減少」、または「低下」は、一般に、引用に対して統計的に有意な量だけの減少を意味する。しかしながら、疑念を避けるため、本明細書において定義する場合、「削減」は、引用レベルと比べて少なくとも10%の統計的に有意な減少、たとえば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ超、100%未満または100%(すなわち、引用試料と比べて非存在のレベル)の減少、または引用レベルと比べて10〜100%のいずれかの減少を意味する。遺伝子の発現または活性のレベルの文脈において用いる用語「減少」または「阻害」は、細胞、細胞抽出物、または細胞上清においてタンパク質または核酸レベルまたは活性の減少をいう。たとえば、このような減少は、RNA安定性、転写、または翻訳の減少、タンパク質分解の増加、またはRNA干渉により起こり得る。好ましくは、この減少は、コントロール条件下での発現または活性のレベルの少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%である。
本明細書に用いる用語「低い」は、一般に、統計的に有意な量だけ、より低いことを意味する。疑念を避けるため、「低い」は、引用レベルより少なくとも10%低い統計的に有意なレベル、たとえば、引用レベルより少なくとも20%低いレベル、引用レベルより少なくとも30%低いレベル、引用レベルより少なくとも40%低いレベル、引用レベルより少なくとも50%低いレベル、引用レベルより少なくとも60%低いレベル、引用レベルより少なくとも70%低いレベル、引用レベルより少なくとも80%低いレベル、引用レベルより少なくとも90%低いレベル、引用レベルより100%未満、および100%(すなわち、引用試料と比べて非存在のレベル)低いレベルを意味する。
本明細書に用いる用語「増加」または「増加する」は、一般に、統計的に有意な量の増加を意味する。疑念を避けるため、本明細書に定義する場合、「増加」は、引用レベルと比べて少なくとも10%の統計的に有意な増加、たとえば、引用レベルと比べて、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%またはこれを超える増加、たとえば、引用レベルと比べて、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、またはこれを超える増加を意味する。遺伝子またはタンパク質の発現または活性の文脈で用いられる用語「増加」は、細胞、細胞抽出物、または細胞上清におけるタンパク質または核酸レベルまたは活性のポジティブな変化を意味する。たとえば、このような増加は、RNA安定性、転写、または翻訳の増加、タンパク質分解の減少により起こり得る。好ましくは、この増加は、コントロール条件下での発現または活性のレベルを超えて、少なくとも5%、少なくとも約10%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約100%、少なくとも約200%、または少なくとも約500%またはこれを超える増加である。
本明細書に用いる用語「高い」は、一般に、引用に対して、統計的に有意な量だけ、より高いことを意味する。疑念を避けるため、「高い」は、引用レベルより少なくとも10%高い統計的に有意なレベル、たとえば、引用レベルと比べて、少なくとも20%高い、少なくとも30%高い、少なくとも40%高い、少なくとも50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも2倍高い、少なくとも3倍高い、少なくとも4倍高い、少なくとも5倍高い、少なくとも10倍高い、またはそれを超えるレベルを意味する。
冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、本明細書において、1つ、または冠詞の文法の目的の1つより多く(すなわち、少なくとも1つ)を指すのに用いられる。たとえば、「要素」は、1つの要素または1つの要素より多くを意味する。
実施例以外で、または他に示さない限り、本明細書に用いられる成分または反応条件の量を表現するすべての数字は、すべての場合において用語「約」により修飾されるものとして理解されるべきである。用語「約」は、パーセンテージとあわせて用いる場合、±1%を意味し得る。本発明は、さらに、以下の例により詳細に説明されるが、本発明の範囲はこれに限定されるべきではない。
本発明は、本明細書に記載される、特定の方法、プロトコル、および試薬等に限られず、多様であり得ることが理解されるべきである。本明細書に用いられる用語は、特定の実施例を記述する目的のみのためであり、請求項によってのみ定義される、本発明の範囲を限定することを意図しない。本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになろう。
ミュラー管抑制物質(MIS)
理論に結びつけることを意図しないが、ミュラー管抑制物質(MIS)は、糖タンパク質のTGFβ多重遺伝子族の一因である。この遺伝子族のタンパク質は、全てが二量体の前駆体として生産され、切断および解離を要求する活性化のための転写後プロセッシングを行って生物活性C末端フラグメントを遊離する。MISは、それぞれが57kDaのN末端ドメインおよび12.5kDaのカルボキシ末端(C末端)から構成される、同一の70kDaジスルフィド結合したモノマーからなる140kDaのダイマーである。これにより、MISは、2つの同一のモノマー(これにより、「ホモダイマー」と呼ばれる)を含み、それぞれのモノマーは、非共有結合で保持された2つのドメイン、N末端およびC末端ドメインを含む。精製されたC末端ドメインは、生物学的に活性な成分であり、活性のために切断が要求される。N末端ドメインは、インビボでタンパク質のフォールディングを助け、C末端ペプチドのそのレセプター、たとえばMISRIおよびMISRIIへのデリバリーを容易にする。MISの非切断変異体は生物学的に不活性である。
カルボキシ末端の活性ドメインは、TGFb族メンバー、たとえばTGF-B 1, 2, および3、インヒビン、アクチビン、および骨形成タンパク質、ならびに成長および分化因子(GDFs)のメンバーとアミノ酸相同性を有する。MISカルボキシ末端ドメインの構造は、分子モデリング(Lorenzo, Donahoe, et al., 未公開)を用いて、TGFbの三次元構造に対する相同性により明らかなように、その構造的安定性を導く、分子内および分子間ジスルフィド架橋の両方に関連する7つのシステインにより支持される。
他のTGFb族メンバーと同様に、MISは、プラスミンにより切断されて、そのアミノ末端およびカルボキシ末端ドメインを形成する。このタンパク質分解過程は、その生理学的活性のために要求され、TGFbの配列において見出された二塩基切断部位に類似する位置の部位において起こる。得られた産物は、低pHにおいて解離する非共有結合複合体において密接に会合される。それゆえ、プラスミン処理および分子サイズ排除クロマトグラフィーを伴う技術的に複雑かつ時間を要求するプロトコルが、アミノ末端からのカルボキシ末端の分離を増強または完了するために要求される。
MISは、プラスミンに対してセンシティブである2つの主要な切断部位を含む。第1の一塩基部位は、(本明細書の配列番号:1のアミノ酸451〜452に対応する)ヒト野生型MISのアミノ酸位置426〜427に位置する。MISの活性カルボキシ末端ドメインを遊離させるこの部位での切断は、コンセンサス・フリン切断部位に似ている。MISフラグメントのアミノ末端配列決定により同定された(「R/S」としても示される)第2の切断部位は、(本明細書の配列番号:1のアミノ酸254〜255に対応する)野生型MISのアミノ酸末端ドメインの残基229〜230に位置する。この部位は、R/Sを含むが、フリン切断のためのコンセンサス・Arg-X-(Arg/Lys)-Argに従わない。外因性プラスミンでの消化の後のアミノ末端MISからの精製されたカルボキシ末端の分離は、酸性条件下で分子サイズ排除クロマトグラフィーを以前は用いていた。この技術は、MIS消化を制御するために極めて注意を要する。なぜなら、プラスミン中でのMISの長いインキュベーションは、第1および第2の部位の両方の切断のため、カルボキシ末端MISドメインと22および34kDaの他のフラグメントとを作り出し、サイズ排除により互いから分離するのは極めて困難だからである。カルボキシ末端ドメインを除いて、プラスミン消化後に形成されたすべてのフラグメントはグリコシル化されるので、MISのカルボキシ末端ドメインを精製するためにサイズクロマトグラフィーの代わりにコムギ胚芽レクチンアフィニティーを用いることができる。プラスミン切断後、得られたフラグメントは、引用により全体が本明細書に組み込まれるLorenzo et al., J. Chromatography, (2001), 776; 89-98に開示されるように、アミノ末端およびカルボキシ末端ドメインを解離させるために、pH3.5でコムギ胚芽レクチンカラムにかけることができる。
したがって、MISのフラグメント、たとえば、第1および第2部位の両方の切断によるカルボキシ末端MISドメイン+22および34 kDaフラグメントの生産を避けることに関するいくつかの問題を克服するため、本発明者は、(本明細書の配列番号:1のアミノ酸451〜452に対応する)ヒト野生型MISのアミノ酸位置426〜427における第1の切断部位を改変した。コムギ胚芽レクチンアフィニティーまたはサイズクロマトグラフィーカラムを用いる複雑な方法を必要とせず、C末端ドメインの精製を助けるため、最もフレキシブルなC末端のドメイン、本発明者らは、C末端ドメインのN末端に、タグを含めた。
さらに、野生型MISタンパク質は、配列番号:1のアミノ酸残基1〜25に対応する、N末端リーダー配列を含むプロホルモンとして生産される。成熟ホルモンMISタンパク質のプロセッシングは、リーダー配列(たとえば、配列番号:1のアミノ酸1〜25)の切断および除去、N末端およびC末端ドメインを生産するための第1の部位におけるMISタンパク質の切断、ならびに生物活性ホモダイマーMISタンパク質を形成するための同一のモノマーへの鎖内および鎖間ジスルフィド結合により連結するジスルフィドである、モノマーへのこれらドメインの形成に関連し得る。
リーダー配列
理論につなげることを意図しないが、リーダー配列は、宿主細胞における問題のポリペプチドの発現および/分泌を改善し、タンパク質の組換え生産のために有用である。一般に、遺伝子操作手順により要求されるタンパク質をスクリーニングするための効率的な方法として、要求されるタンパク質(たとえば、MIS)およびプレプロペプチド(シグナルペプチド+プロペプチド)を含む融合タンパク質を宿主細胞内で発現させ、次に、その宿主の酵素により細胞内で切断(プロセッシング)し、次に、細胞外に分泌させる方法が知られている。しかしながら、この方法に従って、融合タンパク質は、成熟タンパク質になるために宿主の酵素により2回、切断されなければならず、成熟タンパク質の収率の低下および残留した融合タンパク質を伴う成熟タンパク質のコンタミネーションを引き起こす。
したがって、分泌されたタンパク質は、分泌経路に入るのを確実にするリーダー配列を含む前駆体形態において最初に細胞に発現される。シグナルペプチドとも呼ばれるこのようなリーダー配列は、その発現された産物を、小胞体(ER)の膜を横切って方向付ける。シグナルペプチドは、一般に、ERへのトランスロケーションの間、シグナルペプチダーゼにより切断される。分泌経路に入った後、タンパク質は、ゴルジ装置に輸送される。ゴルジから、タンパク質は、細胞空胞もしくは細胞膜のようなコンパートメントに導く異なる経路に従うことができ、またはそれは外部媒体に分泌されるように細胞の外に送られ得る(Pfeffer and Rothman (1987) Ann. Rev. Biochem. 56:829-852)。
分泌されるタンパク質の工業生産のため、生産すべきタンパク質は、宿主細胞または宿主生物から効率的に分泌される必要がある。シグナルペプチドは、たとえば、生産すべきタンパク質のネイティブのシグナルペプチド、異種シグナルペプチド、またはネイティブおよび異種シグナルペプチドのハイブリッドであり得る。しかしながら、現在、知られているシグナルペプチドの使用にはいくつかの問題がある。非ヒト宿主細胞または生物からヒトタンパク質を生産する場合にしばしば発生する1つの問題は、ネイティブシグナルペプチドが、効率的なトランスロケーションおよび/またはシグナルペプチドの切断を確実にしないことである。これは、低いタンパク質分泌の速度、および/またはシグナルペプチドの不正確な切断によるN末端延長を示す成熟タンパク質の分泌を導く。これにより、シグナルペプチドの選択は、タンパク質の工業生産のために極めて重要なものである。
タンパク質の分泌を方向付けるリーダー配列の付加において、前駆体形態は、成熟化の間に切断される補足的なリーダー配列を含み得る。プロペプチドと呼ばれるこれらの補足的リーダーペプチドは、通常、シグナルペプチドの次にある。実質的に、すべてのペプチドホルモン、多数の生物活性タンパク質(たとえば、成長因子、レセプター、および細胞接着分子、およびMIS等)、ならびに多くの細菌毒素、およびウイルスエンベロープ糖タンパク質は、成熟および生物学的に活性名タンパク質を生産するために翻訳後に切除されるプロペプチドを含む(Seidah and Chretien (1999) Brain Res. 848:45-62)。
ペプチドは、さらに、プロタンパク質コンバターゼと呼ばれる酵素により切断される。哺乳動物のプロタンパク質コンバターゼは、たとえば、サブチリシンコンバターゼ、PCSK1、 PCSK2、およびフリンを含む。フリンは、広範に発現され、トランス−ゴルジネットワークに位置する。フリンは、分泌経路コンパートメントにおいて多数のプロタンパク質基質を活性化する (Thomas (2002) Nat Rev Mol Cell Biol. 3:753-766)。より詳しくは、フリンは、細胞構造、エンドソーム、リソソーム、および分泌顆粒を含む、分泌経路タンパク質をそれらの最終的な目的地に仕分ける原因である後期ゴルジ構造であるトランスゴルジネットワークに局在化する。フリンが切断する部位は広範囲に研究されている。切断部位は、コンセンサス配列R-X-L/R-R(式中、Xはいずれかのアミノ酸を示し得る。(Nakayama (1997) Biochem. J 327:625-635))のカルボキシ末端のアルギニンの後に位置する。切断効率は、Xがリジン、バリン、イソロイシン、またはアラニンである場合に増加する(Watanabe et al (1992) J Biol. Chem. 267:8270-8274)。
特定の実施形態において、組換えヒトMISタンパク質は、配列番号:1のMISタンパク質の野生型リーダー配列に代わりに改変されたリーダー配列を含む。特定の実施形態において、配列番号:1のアミノ酸残基1〜25のネイティブリーダー配列は、非MISリーダー配列、例えばこれらに限らないが、アルブミンリーダー配列またはその機能的フラグメントで置換される、特定の実施形態において、非MISリーダー配列は、ヒト血清アルブミン配列(HSA)、たとえば、配列番号:7に対応する核酸によりコードされる配列番号:6に対応するリーダー配列である。
特定の実施形態において、HAS配列は、配列番号:6の機能的フラグメント、たとえば、配列番号:6の少なくとも23、少なくとも22、少なくとも21、少なくとも20、少なくとも19、少なくとも18、少なくとも17、少なくとも16、少なくとも15、少なくとも14、少なくとも13、少なくとも12、少なくとも11、少なくとも10、または10未満の連続または非連続アミノ酸である。HASリーダー配列の改変型も本発明における使用に含まれ、引用により全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,759,802号に開示される。特定の実施形態において、HSAリーダー配列の機能的フラグメントは、引用により全体が本明細書に組み込まれる欧州特許EP2277889に開示される
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またはその変異体である。HSAシグナル配列(
Figure 2016518325
)のプレプロ領域は、フラグメント、たとえば、HSAシグナル配列のプレプロ領域(
Figure 2016518325
)またはその変異体、たとえば
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を含む。
特定の実施形態において、リーダー配列は、配列番号:6のアミノ酸残基と、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、同一である。
本明細書に用いるHASリーダー配列は、組換えヒトMISタンパク質の予期される収率の増加(より高い濃度およびより高い生産の両方)を引き起こした(図2および3を参照)。しかしながら、HSAリーダー配列の存在は、(配列番号:1の451/452(または野生型MISタンパク質の慣用的なアミノ酸命名法の426/427)の切断部位に対応する)第1の切断部位からの切断において、驚くべきかつ予期されない増加を引き起こした(図2および3を参照)。この増加した収率および増加した切断は、驚くべきものであった。なぜなら、収率の増加(およびそれゆえ、細胞により生産されるより多くのタンパク質)に伴い、利用できる切断酵素の活性が飽和し拡大しすぎるにつれて、切断の減少が予測されるからである。しかしながら、そうではなく、実際に、タンパク質生産の増加に伴い、第1の切断部位からの切断が増加するというまさに反対の結果が起きた。
他のリーダー配列も、たとえば、配列番号:1のアミノ酸1〜25を置換するために、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質における使用のために含まれる。このようなリーダー配列は当業者に公知であり、引用により全体が本明細書に組み込まれるUS 2007/0141666に開示されるような、組織型プラスミノーゲンアクティベータープロペプチドに融合したイムノグロブリンシグナルペプチド(IgSP-tPA)を含むリーダー配列を含む。分泌されるタンパク質の生産のために多数の他のシグナルペプチドが用いられる。それらの一つはネズミイムノグロブリンシグナルペプチド (IgSP, EMBL Accession No. M13331)である。IgSPは、1983にLoh et al.により最初に同定された(Cell. 33:85-93)。IgSPは、哺乳動物細胞においてすぐれた発現を引き起こすことが知られている。たとえば、欧州特許第0382762号は、IgSPとセイヨウワサビペルオキシダーゼとの間の融合ペプチドを構築することにより、セイヨウワサビペルオキシダーゼを生産する方法を開示する。
他のリーダー配列は、例えばこれらに限らないが、MPIF-1シグナル配列(たとえば、GenBank Accession number AAB51134のアミノ酸1〜21)
Figure 2016518325
;スタニオカルシン(stanniocalcin)シグナル配列
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; インベルターゼシグナル配列
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; 酵母接合因子アルファシグナル配列(たとえば、 K. lactis キラートキシンリーダー配列); ハイブリッドシグナル配列
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; HSA/MFα-1 ハイブリッドシグナル配列 (HSA/kex2としても知られる)
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; K. lactis キラー/ MFα-1 融合リーダー配列
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; イムノグロブリンIgシグナル配列
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フィブリン B 前駆体シグナル配列
Figure 2016518325
; クラステリン前駆体シグナル配列
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; およびインスリン様成長因子結合タンパク質 4 シグナル配列
Figure 2016518325
を含む。
細菌系において組換えMISを生産することが要求される場合、リーダー配列は、米国出願US Application 2011/0020868に開示されるような、細菌のリーダー配列を含み得る。組換えポリペプチドまたはタンパク質を発現するのに用いるためのいくつかの他の分泌シグナルが記載されている。たとえば、引用により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,914,254号、米国特許第4,963,495号、欧州特許第0 177 343号、米国特許第5,082,783号、PCT公開番号WO 89/10971号、米国特許第6,156,552号、米国特許第6,495,357; 6,509,181; 6,524,827; 6,528,298; 6,558,939; 6,608,018; 6,617,143号、米国特許第5,595,898; 5,698,435; および6,204,023号、米国特許第6,258,560号、PCT公開番号WO 01/21662, WO 02/068660、および米国出願公報第2003/0044906号、米国特許第5,641,671号、および欧州特許第 EP 0 121 352号である。
改変切断部位
本明細書に議論されるように、前臨床的使用のためのMISタンパク質の調製は、複雑かつ非効率的である。ヒトMISタンパク質は、リーダー配列を含むプレプロタンパク質から生産される。リーダー配列(配列番号:1のアミノ酸1〜25)が切除され、配列番号:1のアミノ酸26〜560に対応する(しばしば「ホロ-ヒトMIS」と呼ばれる)残りのタンパク質は、さらに、翻訳後に切断され、N末端およびC末端ドメインを生じる。これらのN末端およびC末端ドメインはモノマーを形成し、(NおよびC末端ドメインを含む)2つの同一のモノマーが一緒に、ホモダイマーを形成する。ホロ-ヒトMISは、最も有望なのは、生殖腺において発現される、フリンまたは関連プロホルモンコンバターゼPC5により、NおよびC末端ドメインに切断される。切断は、MIS切断部位を一塩基性であるがよりfurin/hexコンセンサスにする+1部位においてセリンを有するR-4 XXR-1を特徴とするkex様部位で最初に起こる。精製されたC末端ドメインは、生物学的に活性な成分で有り、生物学的活性のために切断が要求される。その重要性が知られていない第2の切断部位は、(配列番号:1のアミノ酸254〜255に対応する)残基229〜230において、より頻度は低いが観察される。MISの非切断変異体は、生物学的に活性ではなく、カルボキシ末端ドメインをトランケートしたヒト遺伝子における変異体は、持続性ミュラー管症候群を導く。CHO細胞により組換え発現されたMISタンパク質の切断は、不完全かつ非効率的であり、これにより、生物活性を増強するために、外因性セリンプロテアーゼ、たとえばプラスミンでの切断が要求される。
ここで、本発明者らは、一塩基性MIS切断部位をよりコンセンサスKex/Furin認識部位様にする、-2部位にRを有するR-4 XXR-1を特徴とするkex様部位を改変した。特に、一実施形態において、組換えヒトMISタンパク質は、配列番号:1の位置450のアミノ酸残基がQ(グルタミンまたはGln)からR(アルギニンまたはArg)に変更されているプロタンパク質から生産される。この変異は、配列番号:1のアミノ酸Q450Rと示すことができる。これは、リーダー配列の後に最初の番号のアミノ酸が始まる、慣用的なタンパク質ナンバリングでナンバリングされた、MISのアミノ酸残基425の変更(Q425R)に対応する。
この配列番号:1のQ450Rのアミノ酸配列の変更は、完全な生物活性を有するヒトMISタンパク質の高度に精製された切断された調製物の生産を許容する。
別の実施形態において、MISタンパク質における第1の切断部位、たとえば、(本明細書において配列番号:1のアミノ酸451〜452に対応する)ヒト野生型MISのアミノ酸位置426〜427に位置する一塩基部位は、異なる切断酵素により認識されるアミノ酸認識部位に改変することができる。たとえば、MISタンパク質における第1の切断部位、たとえば、アミノ酸位置426〜427に位置する一塩基部位は、プロテアーゼまたはペプチダーゼ、たとえば、プロホルモンコンバターゼ(PC's)、または細胞により発現され周囲組織中に見出され、もしくは哺乳動物において感染を確立することができる微生物により生産される、他の切断剤により認識されるアミノ酸配列に改変することができる。酵素切断可能なペプチドは、要求はされないが、アミノ酸認識配列に加えて1または複数のアミノ酸を含み得る。その付加的なアミノ酸は、認識配列のアミノ末端、カルボキシ末端、またはアミノおよびカルボキシ末端の両方に付加することができる。たとえば自動化ペプチドシンセサイザにおいて、アミノ酸配列にアミノ酸を付加する手段、およびたとえばこのような切断のアミノ酸産物のためのクロマトグラフィー分析による、ペプチドの切断を検出する手段は、本発明の技術に関わる当業者に公知である。
プロホルモンコンバターゼは、細菌スブチリシンおよび酵母ケクシン(kexin)に構造的に関連するセリンプロテアーゼのファミリーを構成する。この族のいくつかの真核生物メンバーが、現在、知られている。プロホルモンコンバターゼ(PC's)は、最もしばしば、選択された対の塩基性残基の後に、特定の塩基性残基において前駆体ポリペプチドを切断し、生物活性ペプチドおよびタンパク質を生成する。タンパク質のインスリンファミリーの多くのメンバー(たとえば、インスリン、Igf-1)PC'sのための基質である。
精製を増強するためのタグ
特定の実施形態において、組換えヒトMISタンパク質は、少なくとも1つの内部標識または「タグ」を含む。特定の実施形態において、タグは、たとえば、c-myc、ポリヒスチヂン、またはFLAGタグであり得る。特定の実施形態において、タグは、FLAGタグ、たとえば、配列番号:8のFLAGタグである。FLAGタグは、配列番号:9の核酸によりコードされ得る。
特定の実施形態において、組換えヒトMISタンパク質上のタグは、切断部位からすぐ下流のカルボキシ末端において内部にある。それはC末端の最もフレキシブルな部分である、レセプターへの結合および特異性の決定に関連しないので、C末端の「フィンガーチップ」である(Papakostas et al, 2010, Lorenzo et al, 2002)。特定の実施形態において、この部位での標識化は、生物学的活性を保存する可能性が最も高い。特定の実施形態において、タグ、たとえばFLAGタグは、第1の切断部位の後に、たとえば、(慣用的なタンパク質命名法のアミノ酸残基425に対応する)配列番号:1のアミノ酸450の後に、位置する。特定の実施形態において、タグは、(MISタンパク質の通常のアミノ酸命名法下でアミノ酸残基427および428に対応する)配列番号:1のアミノ酸452と453との間に位置する。
別の実施形態において、タグまたは標識は、配列番号:1のアミノ酸450および560の間のいずれかの位置に位置する。特定の実施形態において、タグは、配列番号:1の位置450において改変アミノ酸の後2アミノ酸残基に挿入される。しかしながら、MISのC末端ドメインのN末端のタグの位置が好ましい。なぜなら、C末端ドメインのC末端の位置は、C末端ドメインを全体的に不活性にし、MISタンパク質の生物活性を大きく減少させるからである。
特定の実施形態において、組換えMISタンパク質は、1より多いタグ、たとえば少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、または4を超えるタグを含む。特定の実施形態において、タグは、連続的(たとえば、次々に)である、特定の実施形態において、それらは、組換えヒトMISタンパク質において、分散(たとえば、断続的に)である。好ましくは、タグは、MISRIIへの結合および活性化において組換えMISタンパク質機能の生物活性を妨害または実質的に影響を与えない。特定の実施形態において、組換えMISタンパク質が1を超えるタグを含む場合、タグは、同じタグである。別の実施形態において、組換えMISタンパク質が1を超えるタグを含む場合、タグは、異なるタグであり、たとえば、組換えMISタンパク質は、FLAGタグおよびヒスチジンタグを含み得る。Flagタグの小さなサイズは、それが、C末端のフレキシブルな非結合N末端ドメインに含まれるのを許容する。したがって、特定の実施形態において、当業者に知られたいずれかのタグを、Flagタグの代わりに用いることができ、たとえば、約5〜10アミノ酸、約10〜15アミノ酸、約15〜20アミノ酸、約20〜30アミノ酸、約30〜50アミノ酸のタグである。特定の実施形態において、タグは、50アミノ酸を超える長さのタグは推奨されない。なぜなら、タグは、C末端ドメインのフレキシブルなN末端を立体的に妨害し、これにより組換えMISタンパク質の生物活性を阻害し得るからである。
特定の実施形態において、タグで標識化、たとえばFLAGで標識した組換えヒトMISタンパク質、たとえば、本明細書に開示されるLRF組換えヒトMISタンパク質(図1参照)は、完全な生物活性を伴って、高度に精製された効率的に切断された調製物を生産するために、単一ステップにより溶出することができる。スケール・アップする場合、組換えヒトMISタンパク質のこの精製は、臨床適用に適するであろう。さらに、それは、臨床および実験の両方において、種々の結合アッセイに有用であろう。翻訳の間のMISの内部ラベリングは、タンパク質の精製後のラベリングより有効である。なぜなら、ヨウ素化またはビオチン化がMIS生物活性を大きく減少させるからである。驚くことに、本発明者らは、LRF組換えヒトMISタンパク質構成物が、野生型MISより生物活性が高いことを発見した。FLAGタグ配列の挿入は、いくつかの他の明確な利点を有する。第1に、その特有のアミノ酸ドメインは、(マウス脳ホスファターゼを除き)いずれの他の遺伝子にも存在しないので、高FLAG抗体を極めて特異的にする。第2に3xFLAGペプチドでのタンパク質の溶出は、FLAG MISに特異的であり、アガロースビーズに非特異的に結合する他のタンパク質に特異的でない。
驚くことに、ネイティブMIS、または先に調製された未標識のRAQR/R(配列番号:28)MISと比べた場合、FLAGで標識された、切断最適化組換えヒトMIS(たとえば、RF組換えヒトMISまたはRARR/S(配列番号:27)FLAG MIS)は生物活性であったが、FLAGで標識した非切断最適化組換えヒトMIS(たとえば、RAQR/R(配列番号:28)FLAG MIS)はそうでなかった。酸性FLAGタグの切断部位近くの存在は、切断の程度を損なう可能性があるので、活性の損失を引き起こし得る。これにより、本発明者らは、Flagタグの付加での切断の増強を予期しなかった。さらに、CHO(またはHEK)細胞中のホロRAQR/R FLAG MIS (配列番号:28に開示される"RAQR/R")調製物は生物活性でない。なぜなら、その構成物がFLAGタグを欠いた場合のKurian (Cancer Res., 1995. 1;343-349)により報告されたものと対照的に、RAQR/R(配列番号:28)切断部位で内因性プロセッシングが起こらないからである。他方、位置428でのセリンの保持および(慣用的なタンパク質命名法を用いてアミノ酸位置425のQ>R、または配列番号:1の位置450のQ>Rに対応する)一塩基部位の二塩基への変換は、内因性切断部位をより効率的かつ極めて特異的にする。さらに、FLAG MISのようなタグは、結合研究のための強力なツールであり、架橋なしで内因性MISRIIを免疫沈降させるのに用いることができる。したがって、特定の実施形態において、標識化組換えヒトMISタンパク質、たとえば、内部FLAGを有するMISは、MIS結合研究のためおよび薬物動態研究において追跡するために、前臨床および臨床的使用のためにスケール・アップのために用いることができる、MISの高度に純粋かつ生物学的に活性な内部標識形態を生産するための効率的な方法において有用である。
ヒト組換えMISタンパク質のバリアント
特定の実施形態において、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質は、コアMISタンパク質配列、たとえば、配列番号:1のアミノ酸残基26〜560内の修飾(配列番号:1のQからRへのアミノ酸残基450の修飾を含む)および/またはC末端ドメインの最初におけるタグの挿入を有し得る。このようなバリアントは、野生型MISタンパク質と相同であると考えられる。
本明細書に用いる場合、用語「ポリペプチド」は、アミノ酸のポリマーおよびその等価物をいい、その産物の特定の長さを指さない。これにより、ペプチド、オリゴペプチド、およびタンパク質が、ポリペプチドの定義に含まれる。誘導体は、別の配列と比べて保存性アミノ酸置換を有するポリペプチドである。誘導体は、さらに、タンパク質の別の修飾、たとえば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化等の修飾を含む。
特定の実施形態において、組換えヒトMISタンパク質は、相同な組換えヒトMISタンパク質と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の類似性である。本明細書に用いる場合、2つのポリペプチド配列の文脈における「類似性」または「類似性割合(パーセンテージ)」は、以下の配列比較アルゴリズムの一つを用いて、または視覚的検査により測定して、最大の一致のために比較および整列させた場合に、同じであるか、または同じであるアミノ酸残基もしくはその保存性置換の特定の割合を有する、2またはそれを超える配列またはサブ配列をいう。たとえば、第1の配列に含まれる数と等しい数のアミノ酸と比べた時に、または後述のような当該技術分野において知られているコンピュータ類似性プログラムにより整列されているポリペプチドのアラインメントと比べた時に、第1のアミノ酸配列が、第2のアミノ酸配列に対して、少なくとも50%, 60%, 70%, 75%, 80%, 90%, または 95%、同一であるか、保存的に置換されている場合、その第1のアミノ酸配列は第2のアミノ酸配列に類似すると考えることができる。
配列番号:1のMISの相同体ならびに機能的誘導体および機能的フラグメントも本発明における使用に含まれ、たとえば、発現ライブラリからのMISの発現により、同定することもできる(たとえば、Sambrook et al. (2001). Molecular cloning: a laboratory manual, 3rd ed. (Cold Spring Harbor, N.Y., Cold Spring Harbor Laboratory Press); Ausubel et al., 前掲も参照)。変異した内因性遺伝子配列は、異種トランスジーンということができる。たとえば、自然発生ゲノム内で知られていないMISにおける変異をコードするトランスジーンは、ネズミおよび非ネズミ、たとえば、ヒト種に関して異種トランスジーンである。MISタンパク質、たとえば、米国特許第5,427,780, 5,359,033, および 5,661,126号(引用により全体が本明細書に組み込まれる)に開示されるもの。
コアヒトMISタンパク質配列の一次構造におけるバリエーション(たとえば、(配列番号:1のQからRへのアミノ酸残基450の改変を含む)配列番号:1のアミノ酸26〜560、および/またはC末端ドメインのN末端の始まりにおけるタグの挿入)、またはその機能的フラグメントもしくは相同体は、本発明における使用のために包含され、たとえば、欠失、付加、および置換を含む。置換は、保存性であっても、非保存性であってもよい。組換えヒトMISタンパク質とバリアントとの間の差は、一般に、要求される特性を保存し、不要な特性を軽減しもしくは除去し、および要求されるまたは新しい特性を付加する。たとえば、組換えヒトMISタンパク質のバリアントは、野生型MISタンパク質と比べて優れた活性を有し得る。
本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質のコアヒトMISタンパク質配列(たとえば、配列番号:1のアミノ酸残基26〜560)は、タンパク質のアミノ酸配列を変更するよう直ちに操作することができる。MISタンパク質またはその機能的フラグメント、相同体、もしくはバリアントをコードする遺伝子は、インビトロ変異誘発のための種々の公知の技術により、とりわけ、本明細書においてバリアントまたはムテインとして言及される、自然発生ヒトタンパク質またはそのフラグメントのバリアントを生産するため、操作することができ、本発明にしたがって用いることができる。
組換えヒトMISタンパク質への他の改変
本発明に役立つ組換えヒトMISタンパク質は、たとえば、それらの親水性を増加させるように、それらのアミノ末端において改変することもできる。疎水性の増加は、親ペプチド−脂質コンジュゲートが組み込まれている脂質ベースの担体の表面上のペプチドの暴露を増強する。それらの親水性を増加させるようにペプチドへの結合に適した極性基は、公知であり、たとえばこれらに限らないが、アセチル("Ac")、3-シクロヘキシルアラニル("Cha")、アセチル-セリン("Ac Ser")、アセチル-セリル-セリン("Ac-Ser-Ser-")、スクシニル("Suc")、スクシニル-セリン("Suc-Ser")、スクシニル-セリル-セリン("Suc-Ser-Ser")、メトキシスクシニル("MeO-Suc")、メトキシスクシニル-セリン("MeO-Suc-Ser")、メトキシスクシニル-セリル-セリン("MeO-Suc-Ser-Ser")、およびセリル-セリン("Ser-Ser-")基、ポリエチレングリコール("PEG")、ポリアクリルアミド、ポリアクリロモルフォリン、ポリビニルピロリドン、ポリヒドロキシ基、ならびにカルボキシ糖類、たとえば、ラクトビオニック(lactobionic)、N-アセチルノイラミン酸、およびシアル酸基を含む。これらの基のカルボキシ基は、アミド結合を介してペプチドのN末端に連結されよう。現在、好ましいN末端改変は、メトキシ−スクシニル修飾である。
特定の実施形態において、組換えヒトMISタンパク質は、1または複数の融合パートナーに融合させることができる。特定の実施形態において、融合パートナーの1つはFcタンパク質(たとえば、マウスFcまたはヒトFc)である。融合タンパク質は、さらに、第2の融合パートナー、たとえば精製または検出タグ、たとえば、直接的または間接的に検出可能なタンパク質(たとえば、緑色蛍光タンパク質、ヘマグルチニン、またはアルカリフォスファターゼ)、DNA結合ドメイン(たとえば、GAL4またはLexA)、遺伝子活性化ドメイン(たとえば、GAL4またはVP16)、精製タグ、または分泌シグナルペプチド(たとえば、プレプロトリプシンシグナルペプチド)を含み得る。
一実施形態において、本明細書に開示される方法および組成物に役立つ組換えヒトMISタンパク質融合タンパク質は、ヒトFcタンパク質またはその機能的フラグメントを含み得る。したがって、一実施形態において、本明細書に開示される方法および組成物に役立つ組換えヒトMISタンパク質融合タンパク質は、第1の融合パートナーとしてヒトFc分子を含む。ここで、そのFcフラグメントは、配列番号:10またはその機能的バリアントもしくは機能的誘導体であり得る。配列番号:10は以下の通りである。
Figure 2016518325
組換えヒトMISタンパク質およびベクターへのバリエーションおよび改変を用いて、組換えヒトMISタンパク質発現を増加または減少させ、および標的化するための手段を供することができる。たとえば、組換えヒトMISタンパク質は、癌細胞または卵巣細胞を標的にするために分子標的化分子に連結させ、それぞれ癌に特異的または卵巣に組織特異的な組換えヒトMISタンパク質を作成することができる。
一実施形態において、組換えヒトMISタンパク質は、第2の融合パートナー、たとえば、バイオアベイラビリティーを増強するために担体分子に融合される。このような担体は、当該技術分野において知られており、ポリ(アルキル)グリコ−ル、たとえば、ポリエチレングリコール(PEG)を含む。血清アルブミンへの融合は、治療ペプチドの血清半減期を増加させることもできる。
特定の実施形態において、組換えヒトMISタンパク質は、第2の融合パートナー、たとえば、要求される位置に産物を標的化するポリペプチド、または、たとえば、必要に応じて精製を容易にするタグに融合させることもできる。特定の実施形態において、タグおよび融合パートナーは、必要に応じて切断可能であるようにデザインすることができる。特に考慮される別の修飾は、ポリマーへの結合、たとえば共有結合である。一態様において、ポリマー、たとえばポリエチレングリコール(PEG)またはメトキシポリエチレングリコール(mPEG)は、それらが結合したタンパク質のインビボ半減期を増加させることができる。ポリペプチド剤のPEG化の方法は、当業者に公知であり、たとえば、いかにおおきなPEGポリマーを用いるかが考慮される。
特定の実施形態において、組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントは、投薬、薬剤投与および効能に影響を与える、適切な循環半減期を達成するように改変される。生物学的治療薬の半減期を増加させる目的で多くのアプローチが行われている。60kD未満の小さなタンパク質は、腎臓により迅速に除去され、それゆえ、それらの標的に到達しない。これは、効能に達するために高い投与量が必要とされることを意味する。循環におけるタンパク質の半減期を増加させるための本発明の方法に含まれる組換えヒトMISタンパク質およびそのフラグメントへの改変は、PEG化;タンパク質、たとえばトランスフェリン(WO06096515A2)、アルブミン、成長ホルモン(US2003104578AA)とのコンジュゲーションまたは遺伝子融合;セルロースとのコンジュゲーション(Levy and Shoseyov, 2002);Fcフラグメントとのコンジュゲーションまたは融合;グリコシル化および変異誘発アプローチ(Carter, 2006)を含み、これらは、引用により全体が本明細書に組み込まれる。
PEG化の場合、ポリエチレングリコール(PEG)は、組換えヒトMISタンパク質またはフラグメントに結合され、それは、たとえば、血漿タンパク質、抗体、または抗体フラグメントであり得る。抗体のPEG化の効果に関する最初の研究は、1980年代に行われた。コンジュゲーションは、酵素によりまたは化学的に行うことができ、当該技術分野で十分に確立されている (Chapman, 2002; Veronese and Pasut, 2005)。PEG化に伴い、全体のサイズが増加し、腎臓ろ過の機会を減少させる。PEG化は、さらに、タンパク質分解デグラデーションから保護し、血液からのクリアランスを遅くする。さらに、PEG化は免疫原性をを減少させ、可溶性を増加させることができることが報告されている。PEGの付加による薬物動態の改善は、いくつかの異なるメカニズムによる。それは、分子のサイズの増加、タンパク質分解からの保護、抗原性の減少、および細胞レセプターからの特定配列のマスキングである。抗体フラグメント(Fab)の場合、PEG化により血漿半減期の20倍増加が達成されている(Chapman, 2002)。
今日まで、いくつかの認可されたPEG化薬が存在し、たとえば、2000年に指定されたPEG-インターフェロン・アルファ2b (PEG-INTRON)および2002年に指定されたアルファ2a (Pegasys)である。CimziaまたはCertolizumab Pegolと呼ばれるTNFアルファに対するPEG化抗体フラグメントが、2007年にクローン病の治療のためにFDA認可の申請がされており、2008年4月22日に認可されている。PEG化の制限は、特に1000kDを超えるPEG鎖が必要とされる場合に、長い単分散種を合成する困難性である。多くの適用のために、10000kDを超える鎖長の単分散PEGが用いられ、異なる長さのPEG鎖を有するコンジュゲートの集団を生じ、これは、生産ごとに等価のバッチを確実にするために広範囲の分析を必要とする。PEG鎖の異なる長さは、異なる生物活性を生じ、それゆえ異なる薬物動態を生じ得る。PEG化の別の制限は、アルファ-インターフェロンPegasysで観察されているような、アフィニティーまたは活性の減少であり、それは、ネイティブの抗ウイルス活性の7%だけであるが、血漿半減期の増加により改善した薬物動態を有する。
特定の実施形態において、組換えヒトMISタンパク質またはそのフラグメントは、長寿命のタンパク質、たとえば、67kDでありヒトで19日の血漿半減期を有するアルブミンと結合される (Dennis et al., 2002)。アルブミンは、血漿中で最も豊富なタンパク質で有り、血漿pH制御に関与するが、血漿中で物質の担体としても機能する。CD4の場合、血漿半減期の増加は、それをヒト血清アルブミンに融合した後に達成されている(Yeh et al., 1992)。融合タンパク質の別の例は、インスリン、ヒト成長ホルモン、トランスフェリン、およびサイトカインである (Ali et al., 1999; Duttaroy et al., 2005; Melder et al., 2005; Osborn et al., 2002a; Osborn et al., 2002b; Sung et al., 2003、 ならびに引用により全体が本明細書に組み込まれる、US2003104578A1, WO06096515A2, および WO07047504A2を参照)。
血漿半減期およびタンパク質活性へのグリコシル化の効果は、広範囲に研究されている。組織プラスミノーゲンアクティベーター(tPA)の場合、新しいグリコシル化部位の付加は、血漿クリアランスを減少させ、効力を改善した (Keyt et al., 1994)。いくつかのタンパク質およびイムノグロブリンについて糖鎖工学が成功して適用されている(Elliott et al., 2003; Raju and Scallon, 2007; Sinclair and Elliott, 2005; Umana et al., 1999)。さらに、グリコシル化は、イムノグロブリンの安定性に影響を与える(Mimura et al., 2000; Raju and Scallon, 2006)。
特定の実施形態において、組換えヒトMISタンパク質またはそのフラグメントは、IgGのFcフラグメントに融合させることができる(Ashkenazi and Chamow, 1997)。Fc融合アプローチは、たとえば、Regeneronにより開発されたTrap Technology(たとえばIL1 trap and VEGF trap)において利用されている。ペプチドの半減期を延長させるためのアルブミンの使用は、US2004001827A1に記載されている。アルブミンのポジティブな効果は、FabフラグメントおよびscFv-HSA融合タンパク質についても報告されている(Smith et al., 2001)。延長されたアルブミンの血清半減期は、FcRnにより媒介される再循環プロセスのためであることが証明されている(Anderson et al., 2006; Chaudhury et al., 2003; Smith et al., 2001)。
特定の実施形態において、組換えヒトMISタンパク質は、引用により全体が本明細書に組み込まれる米国出願第2010/0209424号に開示されるような、ビオチン化Fcタンパク質にコンジュゲートされる。
本明細書に用いる場合、用語「コンジュゲート」または「コンジュゲーション」は、1つの物質を形成するための2つまたはこれを超える物質の結合をいう。たとえば、本発明の方法は、別の物質、たとえば、組換えヒトMISタンパク質を安定にする第1の融合パートナーのような成分、たとえば、Ig担体粒子、たとえば、IgG1 Fcと連結した、組換えヒトMISタンパク質(すなわち、配列番号:2もしくは3またはそのフラグメント、誘導体もしくはバリアント)のコンジュゲーションを供する。その結合は、リンカー、化学修飾、ペプチドリンカー、化学リンカー、共有もしくは非共有結合、またはタンパク質融合により、または当業者に知られたいずれかの手段により、行うことができる。その連結は、永久的であっても可逆的であってもよい。特定の実施形態において、コンジュゲート中のそれぞれのリンカーおよびそれぞれのタンパク質の要求される特性を利用するために、いくつかのリンカーを含めることができる。フレキシブルなリンカーおよびコンジュゲートの可溶性を増加させるリンカーは、単独で、または本明細書に開示される他のリンカーとともに、考慮される。ペプチドリンカーは、コンジュゲート中の1または複数のタンパク質へのリンカーをコードするDNAを発現することにより、連結させることができる。リンカーは、酸開裂、光切断、および熱感受性リンカーであり得る。コンジュゲーションのための方法は、当業者に公知であり、本発明における使用のために包含される。
本発明によれば、組換えヒトMISタンパク質(すなわち、配列番号:2もしくは3、またはそのフラグメント、誘導体、もしくはバリアント)は、当該技術分野において知られているように、いずれかの適切な手段により、第1の融合パートナーに連結させることができる(たとえば、引用により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第4,625,014, 5,057,301 および 5, 514,363を参照)。たとえば、組換えヒトMISタンパク質は、直接的に、または1もしくは複数のリンカーを介して、IgG1 Fcに共有結合させることができる。一実施形態において、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質は、第1の融合パートナー(たとえば、Fc)に直接、コンジュゲートされ、別の実施形態において、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質は、リンカー、たとえば、輸送増強リンカーを介して、第1の融合パートナー(たとえば、IgG1 Fc)にコンジュゲートさせることができる。
第1の融合パートナー(たとえば、Fc)との本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質のコンジュゲーションのための多種多様な方法が当該技術分野において知られている。このような方法は、たとえば、引用により全体が本明細書に組み込まれる、Hermanson (1996, Bioconjugate Techniques, Academic Press)、米国特許第U.S. 6,180,084、およびU.S. 6,264,914号に記載されており、たとえば、適用される免疫学において慣用的に用いられるような担体にハプテンを連結するのに用いる方法を含む(Harlow and Lane, 1988, "Antibodies: A laboratory manual", Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NYを参照)。特定の場合、組換えヒトMISタンパク質は、たとえば、それに利用したコンジュゲーション手順または化学基に依存して、コンジュゲーションにより効力または機能性を失い得ることが認められている。しかしながら、多種多様なコンジュゲーションのための方法を考えれば、当業者は、コンジュゲートすべき組換えヒトMISタンパク質のような、物質の効力または機能性に影響を与えない、または最も影響の少ないコンジュゲーション法を見出すことができる。
第1の融合パートナー(たとえば、Fc)との本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質のコンジュゲーションのための適切な方法は、たとえば、カルボジイミドコンジュゲーション(Bauminger and Wilchek, 1980, Meth. Enzymol. 70: 151-159)を含む。あるいは、引用により全体が本明細書に組み込まれる、Nagy et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:7269-7273 (1996), および Nagy et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:1794-1799 (1998)により記載されるように、成分を標的化剤に連結させることができる。用いることができるコンジュゲーションのための別の方法は、たとえば、過ヨウ素酸ナトリウム酸化、ならびに次の適切な反応物の還元的アルキル化およびおよびグルタルアルデヒド架橋である。
当業者は、第1の融合パートナー(たとえば、Fc)、たとえば、これらに限らないが、アミノカプロン酸セイヨウワサビペルオキシダーゼ (HRP)またはヘテロ二官能性架橋剤、たとえば、カルボニル反応性およびスルフヒドリル反応性架橋剤に本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質をコンジュゲーとする多様な方法を用いることができる。ヘテロ二官能性架橋剤は、通常、ホモ二官能性架橋剤の使用にしばしば関連する重合化の程度を制限し得る、2または3ステップの過程においてタンパク質および他の高分子への2つの異なる機能標的に結合することができる2つの反応基を含む。このような多重ステップのプロトコルは、コンジュゲートのサイズおよび構成物のモル比の大きな制御を供し得る。
用語「リンカー」または「架橋剤」は、2またはこれを超える物質、たとえば、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質を第1の融合パートナー(たとえば、Fc)と連結するいずれかの手段をいう。リンカーは、共有結合リンカーでも非共有結合リンカーでもよい。共有結合リンカーの例は、共有結合、または結合すべき1もしくは複数のタンパク質に共有結合したリンカー成分を含む。リンカーは、非共有結合リンカー、たとえば、金属中心、たとえば白金原子を介する有機金属結合でもよい。共有結合のために、多様な官能性を用いることができる。たとえば、アミド基、たとえば、カルボン酸誘導体、エーテル、エステル、たとえば、有機および無機エステル、ウレタン、尿素等である。結合を供するために、エフェクター分子および/またはプローブを、酸化、水酸化、置換、還元等により修飾して、結合のための部位を供することができる。本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質または第1の融合パートナー(たとえば、Fc)の機能を有意に減少させない修飾が好ましいと認められよう。
標的化
特定の実施形態において、本明細書に開示される方法および組成物に用いるための組換えヒトMISタンパク質、またはその機能的フラグメントもしくは相同体は、標的化リガンドを介して癌または卵巣細胞に標的化(ターゲティング)することができる。標的化リガンドは、標的、たとえば、予め選択された細胞上の細胞表面マーカー、たとえば、細胞表面タンパク質、たとえばいずれの他の体組織上よりその予め選択された細胞標的上で大きい程度で存在するレセプターに高アフィニティーで特異的に結合する分子、たとえば、小分子、タンパク質またはそのフラグメントである。したがって、特定の実施形態において、本明細書に開示される方法および組成物に用いるための組換えヒトMISタンパク質は、Fcに融合することができ、および/または任意に、標的化分子にも融合することができる。特定の実施形態において、標的化リガンドをコードする核酸分子は、組換えヒトMISタンパク質、またはそのフラグメント、相同体、もしくはバリアントをコードするヌクレオチドに融合することができる。標的化リガンドの別の例は、ヒトカドヘリンからのカドヘリンドメインの群である。組換えヒトMISタンパク質に結合した標的化リガンド構成物は、予め選択された標的細胞に結合することができる、自然発生、組換え、または操作したリガンドまたはそのフラグメントを含む。
標的化リガンドのさらなる例は、これらに限らないが、高アフィニティーで予め選択された表面タンパク質に特異的に結合する抗体およびその一部も含む。「高アフィニティー」は、当該技術分野において知られているアッセイ方法、たとえば、BiaCore分析により決定して、少なくともモル濃度(molar)の平衡解離定数を意味する。一実施形態において、標的化リガンドは、所定の組織特異的表面タンパク質または標的組織特異的レセプターに対して生じた抗体から単離された1または複数のイムノグロブリン結合ドメインも含み得る。本明細書に用いる用語「イムノグロブリン」または「抗体」は、本発明の場合は、組織特異的表面タンパク質、組織特異的レセプター、またはそれらの一部である、抗原に特異的に結合して認識する、イムノグロブリン遺伝子からのフレームワーク領域を含む、ヒトを含む哺乳動物のペプチドまたはそのフラグメントをいう。哺乳動物治療剤として意図した標的化融合ポリペプチドが使用されるであろうなら、イムノグロブリン結合領域は、対応する哺乳動物イムノグロブリンから得られるべきである。標的化融合ポリペプチドが非治療的使用、たとえば、診断およびELISAを意図するなら、イムノグロブリン結合領域は、ヒトまはた非ヒト、たとえばマウスのいずれかから得ることができる。ヒトイムノグロブリン遺伝子または遺伝子フラグメントは、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン、およびミュー定常領域、ならびに無数のイムノグロブリン可変領域遺伝子を含む。軽鎖は、カッパまたはラムダのいずれかに分類することができる。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、またはイプシロンに分類することができ、これらは、イムノグロブリンのクラス、IgG, IgM, IgA, IgD,および IgEをそれぞれ規定する。それぞれのIgGクラスにおいては、異なる異性体(たとえば IgG1, IgG2等)が存在する。典型的には、抗体の抗原結合領域は、結合の特異性およびアフィニティーを決定するのに最も重要であろう。
ヒトIgGの典型的なイムノグロブリン(抗体)構造単位は、テトラマーを含む。それぞれのテトラマーは、2つの同一のポリペプチド鎖の対から構成され、それぞれの対は、1つの軽鎖(約25kD)および1つの重鎖(約50〜70kD)を有する。それぞれの鎖のN末端は、抗原認識のための主な原因である約100〜110またはより多くのアミノ酸の可変領域を規定する。用語「可変軽鎖」(VL)および「可変重鎖」(VH)は、それぞれこれらの軽鎖および重鎖をいう。抗体は、完全なイムノグロブリンとして、または多様なペプチダーゼでの消化により生産されたいくつかの十分にキャラクタライズされたフラグメントとして存在する。たとえば、ペプシンは、それ自体がジスルフィド結合によりVH-CHに連結した軽鎖であるFabのダイマーである、F(ab)'2を生産するために、ヒンジ領域においてジスルフィド架橋の下で抗体を消化する。F(ab)'2は、ヒンジ領域においてジスルフィド架橋を破壊するためにマイルドな条件下で還元し、それによりF(ab)'2ダイマーをFab'モノマーに変換することができる。Fab'モノマーは、本質的に、ヒンジ領域の部分を伴うFabである。完全な抗体の消化に関して多様な抗体フラグメントが規定されるが、当業者は、このようなフラグメントを、化学的に、または組換えDNA技術を用いることにより、新たに合成することができると認めるであろう。これにより、本明細書に用いるイムノグロブリンまたは抗体との用語は、完全な抗体の改変により生産された抗体フラグメント、または組換えDNA技術を用いて新しく合成されたもの(たとえば、一本鎖Fv(scFv))、またはファージディスプレイライブラリーを用いて同定されたもの(たとえば、McCafferty et al. (1990) Nature 348:552-554を参照)も含む。さらに、本発明の融合ポリペプチドは、イムノグロブリンの重鎖(VH)または軽鎖(VL)の可変領域、ならびに組織特異的表面タンパク質およびその標的レセプター結合部分を含む。このような可変領域を生産する方法は、Reiter, et al. (1999) J. Mol. Biol. 290:685-698に記載されている。
抗体を調製するための方法は、当該技術分野において知られている(たとえば、Kohler & Milstein (1975) Nature 256:495-497; Harlow & Lane (1988) Antibodies: a Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Lab., Cold Spring Harbor, NYを参照)。問題の抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子は、細胞からクローン化することができる。たとえば、モノクローナル抗体をコードする遺伝子は、ハイブリドーマからクローン化して、組換えモノクローナル抗体を生産するのに用いることができる。モノクローナル抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子ライブラリーも、ハイブリドーマまたは形質細胞から作ることができる。重鎖および軽鎖遺伝子産物のランダムな組み合わせは、異なる抗原特異性の抗体の大きなプールを作り出す。一本鎖抗体または組換え抗体の生産のための技術(米国特許第4,946778号; 米国特許第4,816,567号)は、融合ポリペプチドおよび本発明の方法に用いる抗体を生産するために、適合させることができる。また、トランスジェニックマウス、または他の生物、たとえば、他の哺乳動物は、ヒトまたはヒト化抗体を発現するために用いることができる。あるいは、ファージディスプレイ技術は、抗体、抗体フラグメント、たとえば、可変ドメイン、および所定の抗原に特異的に結合するヘテロマーのFabフラグメントを同定するのに用いることができる。
好ましいイムノグロブリン(たとえば、抗体)のスクリーニングおよび選択は、当該技術分野において知られた多様な方法により行うことができる。組織特異的または標的レセプターに特異的なモノクローナル抗体の存在についての最初のスクリーニングは、たとえば、ELISAベースの方法またはファージディスプレイの使用を介して行うことができる。第2のスクリーンは、好ましくは、本発明の組織特異的融合ポリペプチドの構築に用いるために要求されるモノクローナル抗体を同定および選択するために行われる。第2のスクリーニングは、当該技術分野において知られたいずれかの適切な方法で行うことができる。「Biosensor Modification- Assisted Profiling」 ("BiaMAP") (米国特許出願公報2004/101920)と呼ばれる1つの方法は、要求される特徴を有するモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマクローンの迅速な同定を可能にする。より詳しくは、モノクローナル抗体は、抗体−抗原相互作用の評価に基づいて異なるエピトープ関連群に分類される。
組換えヒトMISタンパク質の精製
本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質、ならびにその機能的フラグメントおよび誘導体は、いずれかの適切な方法により得ることができる。たとえば、ポリペプチドは、慣用的な組換え核酸技術、たとえばDNAまたはRNA、好ましくはDNAを用いて生産することができる。組換えDNA技術を用いるポリペプチドの生産のための方法および材料に関するガイダンスおよび情報は、多数の論文およびレファレンスマニュアルにおいて見出すことができる。たとえば、 Sambrook et al, 1989, Molecular Cloning - A Laboratory Manual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Press; Ausubel et al. (eds.), 1994, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc.; Innis et al. (eds.), 1990 PCR Protocols, Academic Pressを参照。
あるいは、組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントは、化学合成により、たとえば、ベンダーの説明にしたがって市販のペプチドシンセサイザを用いることにより、直接的に得ることができる。ポリペプチドの化学合成のための方法および材料は、当該技術分野において公知である。たとえば、Merrifield, 1963, "Solid Phase Synthesis," J. Am. Chem. Soc. 83:2149 -2154を参照。
特定の実施形態において、組換えヒトMISタンパク質、またはその機能的フラグメント、誘導体、もしくはバリアントは、たとえば、本明細書に開示される慣用的な発現ベクターにおいて、またはカテーテルにより、またはエクスビボで核酸で形質転換され対象に移植された細胞により、タンパク質をコードするDNA、たとえば、ヒトMISタンパク質、またはその相同体もしくは機能的フラグメントをコードする核酸の導入後に、細胞内で発現させることができる。
組換えヒトMISタンパク質の活性を決定するためのアッセイ
一実施形態において、器官培養アッセイシステム(Organ Culture Assay System)を用いて、本明細書に開示されるヒト組換えMISタンパク質の生物活性をアッセイすることができる。用いるアッセイシステムは、ミュラー管抑制器官培養アッセイである、Donahoe et al, J. Surg. Res., 23, 141-148, 1977に記載されている。14日雌ラットの胎仔から尿生殖隆線を切除し、器官培養皿に移した(Falcon, 3010)。標本を2%寒天の薄層でコートしたステンレススチールのグリッド上に置き、2mLの培養培地[10%胎仔ウシ血清、1%ペニシリン(10,000 units/ml)を含むCMRL 1066]または培養培地および上清またはテストすべき勾配画分の1:1混合物上で、5%CO2および95%空気中で37℃で72時間、インキュベートした。そのインキュベートされた組織を、次に、2%寒天およびアルブミンの混合物で44℃でコートし、緩衝化ホルムアルデヒド中に固定し、エタノール中で脱水し、キシレン中で洗浄し、そしてパラフィンに包埋した。光学顕微鏡で見るために、8マイクロメーターの連続切片をヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。ミュラー管の頭部の端からの切片にコードナンバーを割り当て、OからVのスケールで退行について等級分けした(Donahoe et al, Biol. Reprod., 15, 329-334, 1976)。それぞれのアッセイについて、スライド当たり6〜8の切片で5つのスライドを読んだ。活性のグレードは、平均に最も近い整数としてリストした。分別手順のためのテストグループは、少なくとも10のアッセイを示す。平均が2つの数字の間の中にある場合、両方の数字をリストした。グレード0は退行がないことを示す。その核が基部の方向を有する、円柱上皮細胞が並んでいるミュラー管は、広く開存性のルーメンを有する。グレードIは、最小の退行である。管は少し小さく、周囲の間充織は、可塑性切片において見られるように、管の周囲に凝集されるか、またはパラフィン切片において見られるように、管の周囲に透明な領域が存在する。グレードIIは、穏やかな退行をいう。管はより小さく、間充織の凝集または管の周囲の透明な領域がより明白である。より短い上皮細胞の核は、その基部の方向を失う。グレードIIIは、中程度の退行である。管は極めて小さく、無秩序である。尿生殖隆線の先端は、ウォルフ管に対して遠位に不十分に発達する。グレードIVは激しい退行である。管は細胞の渦巻に置き換わっている。グレードVは、完全な退行を指す。管の残遺物は観察することはできない。胎仔の精巣を用いる陽性組織コントロール、およびミュラー管を単独でまたは筋肉と共にインキュベートした陰性組織コントロールをそれぞれの実験に含めた。ミュラー管を、非精巣組織からの抽出物に、不活性な精巣画分に、または生化学的コントロールとして供される生理食塩水に、暴露した。すべての画分のアリコートを蒸留水に対して透析し、凍結乾燥し、そしてタンパク質成分を測定した。
組換えヒトMISタンパク質のデリバリー
組換えヒトMISタンパク質および/またはそれをコードする核酸の治療的デリバリー(送達)のための当該技術分野において知られた方法を、対象において、疾患または障害、たとえば癌を治療するために用いることができる。たとえば、細胞トランスフェクション、遺伝子療法、デリバリービヒクルまたは薬学的に許容可能な担体での直接的投与、本発明の標的化融合ポリペプチドをコードする核酸を含む組換え細胞を供することによる間接的デリバリーである。
特定の実施形態において、組換えヒトMISタンパク質は、それぞれN末端ドメインおよびC末端ドメインからなる、2つの同一のモノマーを含む、MISの生物活性ハロ-ダイマーを形成するために、インビトロで切断され、次に対象に投与される。
多様なデリバリーシステムが知られており、(その生物活性型に切断される前または後に)対象に組換えヒトMISタンパク質を投与するのに用いることができる。たとえば、リポソームでの被包、マイクロ粒子、マイクロカプセル、化合物を発現することができる組換え細胞、レセプターが媒介するエンドサイトーシス(たとえば、Wu and Wu, 1987, J. Biol. Chem. 262:4429-4432を参照)、レトロウイルスまたは他のベクターの部分としての核酸の構築等である。導入の方法は、経腸または非経口であり得、これらに限らないが、皮内、筋内、腹腔内、静脈内、皮下、肺、鼻内、眼内、硬膜外、および経口経路を含み得る。組換えヒトMISタンパク質は、いずれかの慣用的な経路により、たとえば、注入またはボーラス注入により、上皮または皮膚粘膜裏層(たとえば、口粘膜、直腸および腸の粘膜等)を介した吸収により、投与することができ、他の生物学的活性剤と一緒に投与することができる。投与は、全身であっても局所的であっても良い。さらに、いずれかの適切な経路、たとえば、脳室内および鞘内注入により、中枢神経系に、その生物活性型への切断の前または後に、組換えヒトMISタンパク質を含む薬学的組成物を導入することが要求され得る。脳室内注入は、たとえば、リザーバ、たとえばOmmayaリザーバにつなげた、脳室内カテーテルにより容易にすることができる。肺の投与も、たとえば、吸入器または噴霧器の使用、およびエアロゾル化剤での製剤化により、用いることができる。
増殖性疾患および癌を治療するための方法
本発明の一態様は、対象において、癌、たとえば、MISRIIを発現する癌を治療するための方法を供する。したがって、本発明の一態様は、広くは、増殖性疾患または障害を治療する方法に関する。ここで、その増殖性疾患または障害は、MISレセプターを発現する細胞、たとえば、MISRIIを発現する細胞に関連する。特定の実施形態において、増殖性疾患または障害は癌である。ここで、その癌または癌細胞は、すくなくとも1のMISレセプターを発現する。たとえば、MISRIIを発現する癌または癌細胞である。本発明の方法は、本明細書に開示される有効量の組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントの、増殖性障害を有する対象への投与を含む。ここで、その増殖性障害に関連する細胞は、少なくとも1のMISレセプターを発現する。たとえば、その細胞は、MISRIIを発現する。たとえば、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントの有効量が、少なくとも1のMISレセプター、たとえば、MISRIIを発現する癌を有する対象に投与される。これにより、本発明の方法を用いることにより、増殖性疾患、たとえば、癌に介入し、症状を緩和し、そして、特定の場合、疾患を治癒することができる。特定の実施形態において、増殖性疾患および癌を治療するために用いることができる組換えヒトMISタンパク質は、配列番号:2のアミノ酸配列残基25〜559またはそのフラグメントを含む。
少なくとも1のMISレセプター、たとえばMISRIIを発現する細胞の増殖が疾患の原因であるこのような疾患の例は、癌、たとえば、子宮頸癌および卵巣癌である。特定の実施形態において、少なくとも1のMISレセプター、たとえば、MISRIIを発現する癌は、癌細胞である。特定の実施形態において、少なくとも1のMISレセプター、たとえばMISRIIを発現するこのような癌細胞は、たとえば、これらに限らないが、卵巣癌細胞、外陰表皮癌細胞、子宮頸癌細胞、子宮内膜腺癌細胞、卵巣腺癌である。
別の実施形態において、少なくとも1のMISレセプター、たとえば、MISRIIを発現する癌は、たとえば、これらに限らないが、乳癌、肺がん、頭部および頸部癌、膀胱癌、胃癌、神経系の癌、骨肉腫、骨髄癌、脳腫瘍、結腸癌、食道癌、子宮内膜癌、胃腸癌、生殖器−尿癌、胃癌、リンパ腫、メラノーマ、グリオーマ、膀胱癌、膵臓癌、歯肉癌、腎臓癌、網膜癌、肝臓癌、鼻咽頭癌、卵巣癌、口癌、膀胱癌、血液学的新生物、濾胞性リンパ腫、子宮頸がん、多発性骨髄腫、骨肉腫、甲状腺癌、前立腺癌、直腸癌、前立腺癌、皮膚癌、胃癌、精巣癌、舌癌、または子宮癌である。
別の実施形態において、本発明は、いずれかの障害の治療のための、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質、またはその機能的フラグメント、誘導体、もしくはバリアントの使用に関する。ここで、MISタンパク質またはMISタンパク質をコードする核酸の投与、またはMISRIIの活性化は、治療計画の全部または一部である。
特定の実施形態において、癌は、MIS応答性癌、たとえば、これらに限らないが、卵巣がんおよび子宮頸がんである。特定の実施形態において、癌は、MISRIIを発現する癌、たとえば、これらに限らないが、卵巣癌および子宮頸癌である。特定の実施形態において、障害は、たとえば、引用により全体が本明細書に組み込まれる引用により全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,673,352号に開示されるような、過剰なアンドロゲン状態に関連する障害である。特定の実施形態において、本発明の方法は、前立腺癌、多嚢胞卵巣障害、良性前立腺肥大、および思春期早発の治療に用いられる。
特定の実施形態において、癌は、化学療法耐性または多剤耐性癌、たとえば、癌が、パクリタキセル、シスプラチン、ラパマイシン、ピラゾロアントロン(pyrazoloanthrone)、またはドキソルビシン耐性癌である場合である。
関連する実施形態において、治療すべき組織は、少なくとも1の、MISレセプター、たとえば対象のMISRIIを発現する腫瘍組織である。たとえば、腫瘍組織は、これらに限らないが、固形腫瘍、転移、皮膚癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、血管種、または血管線維種等の癌である。本発明の薬学的組成物により治療可能な典型的な固形腫瘍組織は、たとえば、これらに限らないが、肺、膵臓、胸、腸、喉頭、卵巣等の組織の腫瘍を含む。特定の実施形態において、発明の方法により治療可能な固形腫瘍組織は、甲状腺であり、癌の型は、甲状腺髄様癌である。
関連する実施形態において、本発明は、他の療法、たとえば固形腫瘍に対する慣用的な化学療法と組み合わせて、および転移の確立を抑制するため、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質、またはその機能的フラグメントを含む組成物を投与する方法の実施を考慮する。たとえば、化学療法に用いる化学療法剤は、これらに限らないが、パクリタキセル、シスプラチン、ドキソルビシン、ラパマイシン、ピラゾロアントロン(pyrazoloanthrone)、たとえばこれらに限らないが、アントラ(1,9-cd)ピラゾール-6(2H)-オン (SP600125) もしくは N1-メチル-1,9-ピラゾロアントロン (M-SP600125)、またはこれらの機能的誘導体もしくはアナログを含む。特定の実施形態において、化学療法剤は、放射線治療剤である。本明細書に開示される化合物の投与は、典型的には、化学療法の前、同時、および/または後に行われる。ただし、腫瘍組織への血液供給および栄養素の供給により回復するように血管形成を誘導することにより腫瘍組織が毒性攻撃に対して応答するであろう時に、化学療法の計画の後に細胞増殖を阻害することも本発明の範囲に含まれる。さらに、対象が癌を進展させるリスクを有することについて同定されている場合、たとえば、癌細胞または腫瘍のバイオマーカーについて陽性である対象に、増殖性疾患、たとえば、癌の治療のための本発明の薬学的組成物は、予防的に、および/または腫瘍の発達の前に、投与することができる。本方法を細胞増殖の阻害に適用する限り、その方法は、腫瘍組織増殖の阻害に、腫瘍転移形成の阻害に、および確立された腫瘍の退行に適用することもできる。
特定の実施形態において、ミュラー管抑制物質(MIS)レセプターの発現は、対象から得られた生物学的試料、たとえば、癌または腫瘍組織試料または癌細胞または腫瘍細胞、たとえば、バイオプシー組織試料において測定される。
血液のような流体中の細胞におけるMISRIIの存在は、癌の存在を示し得る。流体または腫瘍の近くでない部位におけるMISRIIの存在は、転移を示し得る。特定の実施形態において、本発明の化合物は、対象に投与され、特定の実施形態において、本発明の化合物は、1または複数の治療剤を含む薬学的組成物において対象に投与される。
本明細書に開示される本発明の方法は、このような治療の必要がある対象への、他の薬学的組成物と組み合わせた、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質、またはその機能的フラグメント、もしくは誘導体の非経口および経口投与を提供する。非経口投与は、これらに限らないが、静脈内(IV)、筋内(IM)、皮下(SC)、腹腔内(IP)、鼻腔内,および吸入ルートを含む。本発明の方法において、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質、またはその機能的フラグメントもしくはアナログは、好ましくは、経口的に投与される。IV, IM, SC, およびIP投与は、ボーラスまたは注入によるものであってよく、徐放性移植可能デバイス、たとえば、これらに限らないが、ポンプ、徐放性製剤、および機械的な装置によるものであってもよい。投与の処方、ルート、および方法、ならびに投与量は、治療すべき障害および対象の医療履歴に依存するであろう。一般に、皮下注入により投与される投与量は、静脈内または筋内で与えられる治療に等価な投与量より多いであろう。好ましくは、本発明の化合物の投与量は、約0.1mg〜約250 mgの投与量で投与されよう。特定の実施形態において、本発明の化合物の投与量は、約1mg〜約60mgであろう。
少なくとも1のMISレセプター、たとえばMISRIIを発現する癌を治療するための本発明の方法は、増殖が起こっている組織または起こるリスクがある組織に、治療有効量の本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントを接触させる段階を含む、少なくとも1のMISレセプター、たとえばMISRIIを発現する癌に関連する、増殖に関連する疾患または障害の治療に有用である。
特定の実施形態において、多くの実施形態において本発明の方法により治療される対象は、ヒト対象である。ただし、本発明の原理は、本発明がすべての哺乳動物に対して有効であることを示すことが理解されるはずである。この文脈において、哺乳動物は、癌または増殖関連障害に関連する疾患の治療が要求されるいずれかの哺乳動物種、特に農業および家畜哺乳動物種、ならびにトランスジェニック動物を含むと理解される。
使用
別の実施形態において、本発明は、本発明の組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントの有効量を、必要とする対象に投与することにより、多様な状態を治療するための方法を供する。本発明の化合物またはそれを含む薬学的組成物により治療することができる状態は、MISの投与またはMISシグナル伝達の活性化もしくはMISRIIの活性化によりその症状が治療されまたは軽減され、それにより、組換えヒトMISタンパク質またはその機能的誘導体の投与から利益を得るいずれかの状態を含む。この点に関して代表的な状態は、たとえば、これらに限らないが、MISレセプターを発現する癌、たとえば、MISRIIを発現する癌、たとえば、これらに限らないが、卵巣癌、子宮頸癌、および子宮内膜癌を含む。MISで治療することができる、またはMISシグナル伝達の活性化が症状を軽減する他の状態は、たとえば、関節リウマチ、増殖性疾患、たとえば、癌、前立腺癌の治療、多嚢性卵巣疾患、良性前立腺肥大、および性的早熟、ならびに他の高アンドロゲン疾患、たとえば、精巣中毒症である。
したがって、本発明は、いずれかの障害の治療のための組換えヒトMISタンパク質またはその機能的誘導体の使用に関する。ここで、MISタンパク質またはMISタンパク質もしくはその機能的誘導体をコードする核酸の投与またはMISRIIの活性化は、治療計画の全体または一部である。特定の実施形態において、用いることができる組換えヒトMISタンパク質は、配列番号:2のアミノ酸残基25〜559またはその機能的フラグメントを含む。
特定の実施形態において、本発明の方法は、組換えヒトMISタンパク質またはその機能的誘導体の、他の治療剤、たとえば、化学療法剤との使用に関する。ここで、化学療法剤、たとえば、パクリタキセルまたはMISは、より低い投与量で用い、これにより副作用を減少させることができる。
過剰アンドロゲン状態の治療のための組換えヒトMISタンパク質またはその機能的誘導体もしくはアナログの使用
別の実施形態において、組換えヒトMISタンパク質またはその機能的誘導体もしくは類似体は、対象における過剰なアンドロゲン生産に関連する障害の治療のために用いることができる。本発明者らは、引用により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,673,352号および米国特許出願第10/683,346号に開示されるように、MISタンパク質および/またはMIS核酸の投与が、対象においてアンドロゲンのレベルを減少させ、対象においてアンドロゲンの血清レベルを減少させることを先に証明している。MISを過剰発現するトランスジェニックマウスは、減少した血清テストステロン濃度を有することも示されており、MISの投与が血清テストステロンレベルを減少させる(Sriraman et al., J Androl. 2001, 22(5):750-8 and Trbovich et al., PNAS, 2001 Mar 13;98(6):3393-7)。MISは、細胞のアンドロゲンで刺激された増殖およびアンドロゲン依存性の生存の両方を抑制することも証明されており、MISは、精巣テストステロン合成を抑制することにより前立腺成長を制御し、また、細胞レベルにおいて前立腺におけるアンドロゲン誘導性遺伝子発現および成長を直接的に制御する (Trann et al, Mol Endocrinol. 2006, 20(10):2382-91)。
アンドロゲンは、アンドロゲンレセプターに結合することにより脊椎動物において男性的特徴の発達および維持を刺激または制御する。アンドロゲンは、アンドロゲンホルモンまたはテストイドとしても知られ、女性ホルモンであるエストロゲンの前駆体である。主要な最も知られたアンドロゲンはテストステロンである。
理論に結びつけることを意図しないが、副腎および/または卵巣による過剰なアンドロゲン生産は、アンドロゲン過剰を引き起こし、循環するアンドロゲンに対する局所組織の感受性の増加から起こり得る。アンドロゲン過剰は、異なる組織および器官系に影響を及ぼし、アクネから多毛症の範囲の臨床状態を明白な男性化にし得る。
アンドロゲンおよびその前駆体の過剰生産および分泌を指す、高アンドロゲン血症は、再生産年齢の女性に共通した、および時折深刻な内分泌障害である。過剰なアンドロゲンおよび前駆体は、種々の割合で副腎および卵巣から生じ、過剰なアンドロゲンの量に依存して、種々の効果を顕在化する。臨床的な兆候は、多毛症(アクネを時折ともなう、男性型の過剰な毛の成長)から男性化(陰核肥大、一時的なハゲ、声の深化、または筋肉組織の増強)の範囲である。
高アンドロゲン血症は、広範囲の疾患の兆候の一部として起こる。たとえば、多毛症、不妊症、肥満症、インスリン抵抗性、および多嚢胞性卵巣の可変的な組み合わせである、多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS)、HAIR-AN 症候群 (高アンドロゲン血症、インスリン抵抗性、および黒色表皮症)、卵巣膜細胞増殖症 (卵巣間質に黄体化卵胞膜細胞腫を伴うHAIR-AN)、および他の高卵巣内アンドロゲン濃度の兆候(たとえば、卵胞成熟拘束、閉鎖症、無排卵、月経困難症、機能不全性子宮出血、不妊症)、アンドロゲン生産性腫瘍(男性化卵巣または副腎腫瘍)である。
多毛症は、アンドロゲンに感受性の領域において終毛の数および長さの増加を特徴とする過剰な認識可能な毛の成長である。人種、家系、遺伝、および民族、全てが多毛症の発生に影響を与える。多毛症は、定量化するのが困難である、体全体が検査される必要があり、その発見は、注意深く記録されなければならない、顎、唇、サイドバーン、胸および胸骨、へそと恥骨との間の正中線、ならびに大腿部に特に注意を向けるべきである。
FerrimanおよびGallweyは、多毛症を段階付けするための格付けスケールを公開しており、これは、当業者に一般に知られている。このシステムは最も広く用いられ、それぞれ0〜4のスコアで「なし」から「激しい」までの多毛症について体の領域を評価する。8およびこれを超えるスコアは多毛症の診断と一致する。このスケールは、毛の厚みを基準にせず、過剰な毛を客観的に評価する別の方法である。スコアリングシステムは、多毛症を定量化することにおいて、および治療応答を評価することにおいて役立つ助けになる。8を超えるスコアでさえ、患者は、定義を与える。臨床的観点から、患者は、彼または彼女が差異に気づくか否かを決定することができる。写真は記録のため、および治療の過程をフォローするために役立つ。
男性化は、相対的に珍しい。それは、際だった高アンドロゲン血症で起こる、男性化は、一時的なハゲ、乳房萎縮、アンドロゲン性筋肉発達、陰核肥大、無月経、声の深化、および際だった多毛を特徴とする。
女性のための現在の医療的治療は、副腎、卵巣、およびアンドロゲンレセプターに対するものである。グルココルチコイド療法は、副腎に対するものであるが、特定の場合、コルチゾール合成の要求されない抑制により、限定される。GnRH療法は、卵巣に対するものであるが、高価であり、その長期の効果は未知である。さらに、経口避妊薬を用いる療法は、ほとんどがアンドロゲン活性とともにプロゲスチンを含むので不適切であり得る。
アンドロゲンの異常な生産は、許容可能な治療が存在しない多くの疾患および/または障害の経路と関連しているので、治療および/または予防にために哺乳動物においてゴナドトロピンおよび/またはアンドロゲンの生産を阻害する小分子を見出す必要性が存在する。
したがって、一実施形態において、組換えヒトMISタンパク質またはその機能的誘導体もしくはアナログは、対象において過剰なアンドロゲン生産に関連する障害の治療のために用いることができる。特定の実施形態において、用いることができる組換えヒトMISタンパク質は、配列番号:2のアミノ酸残基25〜559またはその機能的フラグメントを含む。
用語「アンドロゲン」は、男性の特徴の発達を促すステロイドを意味し、アンドロスタンのステロイド誘導体、たとえば、テストステロン、アンドロスタンジオンおよび、アナログを含むとして本明細書に用いられる。
本明細書に用いる場合、「アンドロゲン依存性」を特徴とする疾患状態または障害は、不十分な、過剰な、不適切な、または制御されないアンドロゲン生産により増悪された、またはそれにより引き起こされた、疾患状態である。男性におけるこのような疾患の例は、これらに限らないが、BPH、転移性前立腺癌、精巣癌、アンドロゲン依存性アクネ、男性型ハゲ、および少年の思春期早発を含む。女性におけるこのような疾患の例は、これらに限らないが、高アンドロゲン血症、多毛症、男性化、POCS, HAIR-AN症候群、卵胞膜細胞増殖症、卵胞成熟抑止、閉鎖症、無排卵、月経困難症、機能不全性子宮出血、不妊症、アンドロゲン生産性細胞を含む。
本明細書に用いる場合、「アンドロゲン阻害」は、本明細書に定義されるような、ピラゾロアントロンまたはその機能的誘導体もしくはアナログ、たとえばSP600125の有効量を指す。それは、過剰な、または制御されないアンドロゲン生産により増悪された、またはそれにより引き起こされた、疾患状態の予防または治療のために対象に投与した時に、アンドロゲンのインビボレベルを正常または正常以下に減少させるであろう。
特定の実施形態において、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質またはその機能的誘導体もしくはアナログは、前立腺癌を治療するのに用いることができる。アンドロゲンの前立腺癌への影響が知られており、アンドロゲン遮断およびアンドロゲン合成の阻害を含む、アンドロゲン欠乏による前立腺癌の治療がある (Huggins et al.,Archs. Surg., Vol. 43, pp. 209-223 (1941); J.Steroid Biochem. Molec. Biol., Vol. 37, pp.349-362 (1990))。さらに、ステロイドホルモンは、避妊薬として広く用いられている。抗精子形成剤は、その過程は成熟精子を導く精子形成を阻害する男性の避妊薬である。この過程を妨害する薬剤は、アンドロゲン類および抗アンドロゲン類を含む。本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質またはその機能的誘導体もしくはアナログの抗アンドロゲン効果は可逆的なので、組換えヒトMISタンパク質は、男性の避妊剤としても用いることができる(Korolkovas, A., Essentials Of Medicinal Chemistry, Second Edition, pp.1032 (1988))。
特定の実施形態において、他の剤を、対象における過剰なアンドロゲンの治療のため、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質またはその機能的誘導体もしくはアナログを含む薬学的組成物と組み合わせて用いることができる。特定の実施形態において、その剤は、無血清アンドロゲンレベルを低下させ、末梢のアンドロゲン作用を遮断するよう機能する。このような剤の例は、これらに限らないが、エストロゲンおよび/またはプロゲスチン(すなわち、避妊用ピル)またはGnRHアゴニストの投与による卵巣アンドロゲンの抑制および加減エストロゲン療法、グルココルチコイド(たとえば、デキサメタゾン、プレドニソロン)、抗アンドロゲン剤(たとえば、スピロノラクトン、フルタミド、シプロテロン・アセテート)、5α-レダクターゼインヒビター(たとえば、フィナステリド)、ブロモクリプチン、およびインスリン感受性薬剤(たとえば、メトホルミン、チアゾリジンジオン)の投与による副腎アンドロゲンの抑制を含む。
本明細書に開示される方法による組換えヒトMISタンパク質またはその機能的誘導体もしくはアナログでの治療を受け入れられる対象は、過剰なアンドロゲンレベルに関連する疾患または障害、たとえば、障害、たとえば、これらに限らないが、BPH、前立腺癌、良性前立腺肥大、精巣癌、アンドロゲン依存性アクネ、男性型はげ頭症、思春期早発症、高アンドロゲン血症、多毛症、男性化、POCS、HIAR-AN症候群、卵巣卵胞膜細胞増殖症、卵胞成熟抑止、閉鎖症、無排卵、月経困難症、機能不全性子宮出血、不妊症、およびアンドロゲン生産性腫瘍を含む群から選択される疾患または障害を有するが同定されている対象である。
特定の実施形態において、本明細書に開示される方法による組換えヒトMISタンパク質またはその機能的誘導体もしくはアナログでの治療を受け入れられる対象は、類遺伝子性副腎皮質過形成(congenical adrenal hyperplasma)を有する対象である。それは、当業者により一般に、同定され得る。CAHは、最も典型的には、酵素21-ヒドロラーゼが欠如し、または機能的に欠損している常染色体劣性障害である。あるいは、CAHを有する対象は、11α-ヒドロラーゼ酵素および/または3α-ヒドロキシ-ステロイドデヒドロゲナーゼ酵素の機能の喪失および/または削減を有し得る。これらの酵素が欠如するか、または低レベルで機能する場合、体は、適切な量の副腎ステロイドホルモン、コルチゾールおよびアルドステロンを作ることができない。副腎皮質過形成ならびにコルチゾールおよびアルドステロン合成のためのアンドロゲン前駆体の過剰分泌を刺激する高レベルのACTHが続く。CAHは、子宮内で現れ、または生後に発達し得る。生まれたときに、偽雌雄同体が存在し得る。
21-ヒドロラーゼ欠損は、最も一般的な常染色体劣性障害(嚢胞性線維症より一般的)であり、それ自体、高レベルの17-ヒドロキシプロゲステロンとともに現れる。11a-ヒドロキシラーゼ欠損は、高レベルの11-デオキシ-コルチゾール(化合物S)を特徴とし、ミネラルコルチコイドである、高レベルのデオキシコルチコステロン(DOC)を生ずる。高血圧および低カリウム血症は、11a-ヒドロキシラーゼ欠損の突出した特徴であり得る。CHの別の形態、3a-ヒドロキシ-ステロイドデヒドロゲナーゼ欠損は、高レベルのプレグネノロン、17-ヒドロキシ-プレグネノロン、およびDHEAを生ずる。この状態は、コルチコステロイドが合成されないので、検出されなければ致命的である。
思春期後に顕在化する上述の酵素の部分欠損は、同じメカニズムを介して高レベルの副腎ステロイドを引き起こす。その上昇は、先天性症状に伴うものほど著しくはなく、この状態は、非古典的(成人型または後期発症)CAHと呼ばれる。したがって、特定の実施形態において、本明細書に開示される方法による組換えヒトMISタンパク質またはその機能的誘導体もしくはアナログでの治療を受け入れられる対象は、非古典的(成人型または後期発症)CAHの対象である。
特定の実施形態において、本明細書に開示される方法による組換えヒトMISタンパク質またはその機能的誘導体もしくはアナログでの治療を受け入れられる対象は、約2.0 ng/mL (200 ng/dL, 8.92 nmol/L)もしくはこれを超えるテストステロンレベル、または標準範囲の上限の少なくとも約2.5倍のテストステロンレベルの女性の対象である。特定の実施形態において、このような対象は、セルトリ-ライディッヒ細胞腫、門細胞腫、およびリポイド細胞(副副腎)腫を有し、これらが最も一般的得ある。セルトリ-ライディッヒ細胞腫は、臨床的診断の時に触知可能な大きさに到達するが、門細胞腫、およびリポイド細胞腫は、それらの小さな大きさのためいずれの手段でも検出するのが難しい。
特定の実施形態において、本明細書に開示される方法による組換えヒトMISタンパク質またはその機能的誘導体もしくはアナログでの治療を受け入れられる対象は、上昇レベルのアンドロゲンを分泌する副腎の腫瘍(アデノーマ、カルシノーマ)を有する対象である。このような実施形態において、本明細書に開示される方法による治療を受け入れられる対象は、約7 μg/mL (18 μmol/L)またはこれを超えるDHEASレベルを有することにより同定することができる。
本明細書に開示される過剰なアンドロゲン状態の治療の方法を受け入れられる他の対象は、たとえば、古典的または非古典的(後期発症)CAH、クッシング症候群(クッシング症候群の対象は上昇アンドロゲンを分泌する)、高アンドロゲン血症、インスリン抵抗性、および黒色表皮症を含む。特定の実施形態において、本明細書に開示される過剰なアンドロゲン状態の治療の方法を受け入れられる他の対象は、たとえば、マイルドなアンドロゲン障害、たとえば、これらに限らないが、排卵PCOS (超音波検査法において多嚢胞性卵巣を有する排卵高アンドロゲン対象)、突発性高アンドロゲン血症(排卵抗アンドロゲン対象であるが、超音波検査法において正常な卵巣を有する対象)、突発性多毛症(正常なアンドロゲンのアンドロゲン表現型の対象)の患者を含む。
参照テストステロンレベルおよびDHEASレベルは当業者に広く知られており、引用により全体が本明細書に組み込まれるGuay et al, International Journal of Impotence Research (2004) 16, 112-120に開示される。要約すると、20〜49歳の年齢の女性の正常なアンドロゲンレベルは、次の範囲にある:DHEAS; 約195.6〜140.4 ug/dl; 血清テストステロン約51.5〜33.7 ng/dl および遊離テストステロン 1.51〜1.03pg/ml。したがって、本明細書に開示される方法によるピラゾロアントロンまたはその機能的誘導体もしくはアナログの治療を受け入れられる対象は、DHEAS (195.6μg/dl), 血清テストステロン (51.5ng/dl), 遊離テストステロン (1.51 pg/ml)についての正常値の最も高い範囲の値と比べて、DHEAS、血清テストステロン、または遊離テストステロンにおいて、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、またはこれを超える増加を有する。特定の実施形態において、本明細書に開示される方法によるピラゾロアントロンまたはその機能的誘導体もしくはアナログの治療を受け入れられる対象は、DHEAS (195.6μg/dl), 血清テストステロン (51.5ng/dl), 遊離テストステロン (1.51 pg/ml)についての正常値の最も高い範囲の値と比べて、DHEAS、血清テストステロン、または遊離テストステロンにおいて、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、またはこれを超える増加を有する。
DHEASは、Diagnostic Products Corporation of Los Angeles, California, USAによるキットを用いて当業者により測定され得る。交差反応性は、DHEASを100%として先に測定されている:0.121%(アンロステンジオン)、15%(9-ヒドロキシアンドロステンジオン)、0.046%(エストロン3スルフェート)、0.55%(アンドロステロン・スルフェート)、 0.5%(DHEA)、およびすべての他のテストしたステロイドは無視できる範囲。遊離テストステロンは、Coat a Count Kits of Diagnostic Products Corporation, Los Angeles, California, USA.を用いて当業者により測定され得る。交差反応性は、以前に測定されている: 0.41%(ジヒドロテストステロン)、0.01%(アンドロステンジオン)、0.10%(メチルテストステロン)、および0.01%(すべての他のテストしたステロイド)。全体の血清テストステロンレベルは、Immunochem serum testosterone kit of ICN Biomedicals Inc., Diagnostic Division of Costa Mesa, California, USAを用いて、当業者により測定され得る。
血清プレグネノロンおよび17-ヒドロキシプレグネノロンを測定するためのアッセイは、Quest Laboratory in Tarzana, California, USAからのキットを用いて、当業者が行うことができる。遊離アンドロゲンインデックス(FAI)は、次式を用いて計算することができる: (全テストステロン ng/dl x 0.0347)/(SHBG nmol/l) x100 = FAI.
薬学的組成物の投与
組換えヒトMISタンパク質もしくはその誘導体もしくは機能的フラグメントは、当該技術分野で知られた、または本明細書に記載されたいずれかの経路により、たとえば、経口、非経口(たとえば、静脈内または筋内)、腹腔内、直腸、皮膚、鼻、膣、吸入、皮膚(パッチ)、または眼により投与することができる。組換えヒトMISタンパク質またはその誘導体もしくは機能的フラグメントは、いずれかの投与量または投薬計画で投与することができる。
本発明の治療方法に関して、組換えヒトMISタンパク質またはこのような組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントをコードするポリヌクレオチドの投与を、特定の投与の形態、投与量、または投与の頻度に限定することを意図しない。本発明は、全ての投与の形態、たとえば、筋内、静脈内、腹腔内、小胞内、動脈内、病巣内、皮下、または本明細書に開示される自己免疫疾患もしくは免疫関連疾患を治療するのに適した投与量を供するのに十分ないずれかの他の経路を考慮する。組換えヒトMISタンパク質の有効量、たとえば、治療有効量は、単一投与または複数投与で患者に投与することができる。多重投与量が投与される場合、その投与量は、たとえば、1時間、3時間、6時間、8時間、1日、2日、1週間、2週間、または1ヶ月だけ、互いから分離され得る。たとえば、組換えヒトMISタンパク質剤を含む組成物は、たとえば、2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 10, 15, 20週間、またはこれを超える週の間、投与することができる。いずれかの特定の対象のために、個々の必要性およびその組成物の投与を管理または指導する人の専門家の判断にしたがって、特定の投薬計画は、経時的に調節すべきである。たとえば、より低い投与量が十分な治療活性を供しないなら、治療剤の投与量を増加することができる。
主治医は、適切な量および投与計画を最終的には決定するであろうが、組換えヒトMISタンパク質またはその誘導体もしくは機能的フラグメントの有効量は、0.0001, 0.01, 0.01 0.1, 1, 5, 10, 25, 50, 100, 500, または 1,000 mg/kgの投与量で供することができる。有効な投与量は、インビトロまたは動物モデルのテストバイオアッセイまたはシステムから得られる投与量応答曲線から推定することができる。特定の実施形態において、組換えヒトMISタンパク質の投与量は、約 1pg/kg 〜 10mg/kg (患者の体重)であるが、より低いまたはより高い投与量も投与することができる。
特定の実施形態において、組換えヒトMISの投与量についての参照範囲は、米国における引用グループから評価され、Antimullerian Hormone (AMH), Serum from Mayo Medical Laboratories. Retrieved April 2012に記載される。特定の実施形態において、女性の対象は、以下の組換えヒトMISの投与量で投与することができる:5 ng/mL未満(24ヶ月より若い女性)、10 ng/mL未満(24ヶ月〜12歳の女性)、1 〜 10 ng/mL(13〜45歳の女性)、1 ng/mL超(45歳を超える女性)。特定の実施形態において、男性の対象は、組換えヒトMISの以下の投与量を投与することができる:15 〜 500 ng/m(24ヶ月より若い男性)、7 〜 240 ng/mL (24ヶ月〜12歳の男性)、0.7 〜 20 ng/mL 1 ng/mL超(12歳を超える男性)。測定される人がビタミンD欠損である場合、MIS測定はより正確でなくなり得る。
さらに、加算性、相乗効果、または競合が、MISおよびラパマイシン、AzadC、ドキソルビシン、シスプラチン、およびパクリタキセルで証明されているので、本明細書に開示される組換えヒトMISは、選択的標的化療法と組み合わせて、たとえば、組換えヒトMISまたは化学療法剤の単独での使用より卵巣癌に対して大きな活性を達成するために、投与することができる。
特定の患者または対象のための投与量は、慣用的な考慮すべき事項を用いて(たとえば、適切な慣用的な薬学的プロトコルにより)、当業者が決定することができる。医師は、たとえば、最初に相対的に低い投与量を処方し、次に、適切な応答が得られるまで投与量を増加させることができる。患者に投与される投与量は、適応に依存して、経時的に患者に有益な治療応答をもたらす、または、たとえば、症状もしくは他の適切な活性を削減するのに十分なものである。投与量は、特定の処方の効能、および本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質またはその機能的誘導体もしくはフラグメントの活性、安定性、もしくは血清半減期、ならびに、患者の状態、治療すべき自己免疫疾患、ならびに治療すべき患者の体重および表面領域により決定される。投与のサイズは、特定の対象において特定のベクター、製剤等の投与に伴ういずれかの不都合な副作用の存在、性質、および程度によっても決定される。組換えヒトMISタンパク質またはその機能的誘導体もしくは機能的フラグメントを含む治療用組成物は、任意に、当該技術分野において公知である方法にしたがって、効率的な組織代謝を確認するため、および投与量を評価するため、1または複数の適切なインビトロおよび/またはインビボの疾患の動物モデル、たとえば、実施例において本明細書に開示され。当業者に知られているミュラー管退行バイオアッセイにおいて、テストされる。特に、投与量は、関連アッセイにおいて、治療対非治療の活性、安定性、または他の適切な基準(たとえば、処理したvs処理していない細胞または動物モデルの比較)により、最初に決定され得る。製剤は、関連製剤のLD50、および/または、患者の大部分または全体的な健康に適用されるような、種々の濃度での組換えヒトMISタンパク質またはその機能的誘導体もしくは機能的フラグメントのいずれかの副作用の観察結果により決定された比率で投与される。投与は、単一でまたは分割した投与量で行うことができる。
病気の治療または予防において投与されるべき組換えヒトMISタンパク質またはその機能的誘導体もしくは機能的フラグメントの有効量の決定において、医師は、循環血漿レベル、製剤毒性、および疾患の進行を評価する。選択される投与レベルは、多様な因子、たとえば、用いる本発明の特定の化合物またはそのエステル、塩、もしくはアミドの活性、投与のルート、投与の時間、用いる特定の化合物の排出の速度、治療の持続時間、用いる特定の化合物と組み合わせて用いる化合物および/または材料、年齢、性別、体重、状態、全般の健康、および治療する患者の以前の医療履歴等、ならびに医療の分野で公知の因子等に依存するであろう。
特定の実施形態において、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質は、個々の患者の臨床条件、投与の部位および方法、投与のスケジュール、患者の年齢、性別、体重、および医療実施者に知られた他の因子を考慮して、優れた医療実施にしたがった投与量で投与することができる。
本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントもしくはバリアントを含む組成物の投薬計画は最適な要求される応答(たとえば、治療または予防応答)を供する様に調節することができる。たとえば、単一ボーラスを投与することができ、いくつかに分割した投与量を経時的に投与することができ、または投与は、治療状況の緊急性により示されるように比例的に減少もしくは増加させることができる。投与の容易さおよび投与の均一性のため、投与単位形態において非経口的組成物を調剤することが特に有利である。
さらに、薬学的組成物中の組換えヒトMISタンパク質の実際の投与量レベルは、対象に毒性でなく、特定の対象のための要求される治療応答、組成、および投与の態様を達成するために有効である活性成分の量を得るように、多様であり得る。本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントもしくはバリアントを含む薬学的組成物は、「治療有効量」および/または「予防有効量」であり得る。一般に、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントもしくはバリアントを含む組成物の適切な毎日の投与量は、本明細書に開示される増殖性障害または癌の症状の削減のような、治療効果を得るのに有効な最も低い投与量である、組換えヒトMISタンパク質の量であろう。このような有効量は、一般に、上述の因子に依存するであろう。
必要に応じて、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントもしくはバリアントを含む組成物の有効な毎日の投与量は、任意に単位投与形態で、その日を通じて適切な間隔で、別個に、2、3、4、5、6、またはこれを超えるサブ投与で投与することができる。
対象に投与される投与レベルは、要求される期間、たとえば、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも1年、または少なくとも5年に渡って一定であり得る。あるいは、対象に投与される投与レベルは、治療される状態の進行に依存して多様であり得る。
投与量の値は、軽減すべき癌の型および重症度により多様であり得る。いずれかの特定の対象のために、特定の投与計画は、個人の必要性、ならびに組成物の投与を管理および指導する人の専門家の判断にしたがって、経時的に調節されるべきであること、ならびに、本明細書に記載される投与範囲は典型例のみであり、本発明の範囲および実施を限定することを意図しないことがさらに理解されるべきである。
化合物の効能および毒性は、細胞培養または実験動物において、標準的な薬学的手順、たとえばED50 (投与が集団の50%で有効)およびLD50 (投与が集団の50%で致死的)により決定することができる。治療効果に対する毒性の投与比率は、治療指数といい、それは、LD50/ED50の比率で表現することができる。大きな治療指数を示す薬学的組成物が好ましい。用いることができる適切な実験モデルは、実施例において本明細書に開示されるミュラー管退行バイオアッセイの使用、または当業者に広く知られているインビボ癌モデルであり得る。インビボ癌モデルは、引用により全体が本明細書に組み込まれる、Frese et al.,"Maximizing mouse cancer models" Nat Rev Cancer. 2007 Sep;7(9):645-58 およびSantos et al., Genetically modified mouse models in cancer studies. Clin Transl Oncol. 2008 Dec;10(12):794-803, および "Cancer stem cells in mouse models of cancer", 6th Annual MDI Stem Cell Symposium, MDI Biological Lab, Salisbury Cove, ME, August 10-11, 2007"において議論されている。
たとえば、治療有効量は、細胞培養アッセイにおいて、または動物モデル、通常は、マウス、ウサギ、イヌ、もしくはブタにおいて、最初に評価することができる。動物モデルは、投与の要求される濃度範囲およびルートを達成するためにも用いられる。次に、このような情報は、他の対象において投与のための有用な投与量およびルートを決定するのに用いることができる。一般に、治療有効量は、要求される治療効果に依存する、たとえば、組換えヒトMISタンパク質の治療有効量は、癌のマウスモデルにおいて、または実施例および図4において本明細書に開示されるミュラー管退行バイオアッセイ(Mullerian Duct Regression bioassay)を用いて、評価することができる。
当業者である医師または獣医は、要求される薬学的組成物の有効量を直ちに決定し、処方することができる。たとえば、医師または獣医は、要求される治療効果を達成するために要求される量より低いレベルにおいて、医薬組成物に用いる本発明の化合物の投与量を開示し、要求される効果が達成されるまで、投与量を次第に増加させることができよう。ヒトは、本明細書で例示されるマウスまたは他の実験動物より一般に長く治療されることにも注意される。その治療は、疾患の過程および薬剤の有効性の長さに比例する長さを有する。投与量は、数日の期間にわたって、単一投与であっても多重投与であってもよいが、単一投与が好ましい。
特定の実施形態において、組換えヒトMISタンパク質(たとえば、タンパク質、または組換えヒトMISタンパク質もしくはそのフラグメントをコードする核酸)は、いずれかの適切な投与のルート、たとえば、経口、鼻により、たとえば、噴霧、直腸、膣内、非経口的、嚢内、および局所的に、粉体、軟膏、またはドロップ、たとえば、口内および舌下により、治療のためのヒトおよび他の動物に投与することができる。
要求される投与量での薬学的に許容可能な担体での調剤の後、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントもしくはバリアントを含む薬学的組成物を対象に投与することができる。組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントもしくはバリアントを含む薬学的組成物は、いずれかの適切な手段を用いて、対象に投与することができる。一般に、投与の適切な手段は、これらに限らないが、局所、経口、非経口(たとえば、静脈内、皮下、または筋内)、直腸、嚢内、膣内、腹腔内、眼、または鼻のルートを含む。
特定の実施形態において、組換えヒトMISタンパク質を含む薬学的組成物を、治療の必要な領域に、投与することが要求され得る。これは、たとえば、これらに限らないが、手術中の局所注入により、局所的適用、たとえば、注入により、カテーテルにより、またはインプラントにより達成することができる。ここで、そのインプラントは、膜、たとえば、シラスティック(sialastic)膜、線維、または市販の皮膚代替物を含む、多孔質、非多孔質、またはゼラチンの材料、から作られ得る。特定の実施形態において、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質は、局所クリーム、パッチ、筋肉内注射等を用いて筋肉に適用することができる。
特定の実施形態において、組換えヒトMISタンパク質は、対象に、経口的に(たとえば、カプセル、懸濁液、または錠剤において)、または非経口投与により投与することができる。経口投与のための慣用的な方法は、以下のいずれか1つにおいて組換えヒトMISタンパク質を投与することを含む:錠剤、懸濁液、溶液、エマルション、カプセル、粉体、シロップ等が利用できる。組換えヒトMISタンパク質を経口的にまたは静脈内に送達し、生物学的活性を保持する周知の技術が好ましい。非経口投与は、たとえば、筋内、静脈内、関節内、動脈内、鞘内、皮下、または腹腔内投与を含み得る。組換えヒトMISタンパク質は、経口的、経皮的、局所的、吸入(気管支内、鼻内、口内吸入または鼻内ドロップ)により、または直腸で投与することもできる。投与は、示されるような局所的または全身的であり得る。剤、たとえば、組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントをコードする核酸は、当業者に公知である方法により、ベクター、たとえば、ウイルスベクターを用いて送達することもできる。
本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントもしくはバリアントを含む組成物を非経口的に投与する場合、それは、一般に、単位投与量注入可能な形態(たとえば、溶液、懸濁液、エマルション)に調剤されよう。注入のために適した薬学的製剤は、滅菌水溶液または分散液、および滅菌注入可能溶液または分散液への再構成のための滅菌粉末を含む。担体は、たとえば、水、エタノール、ポリオール(たとえば、グリコール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)、それらの適切な混合物、および植物油を含む、溶媒または分散媒体であり得る。
本明細書に用いる用語「投与単位」形態は、治療すべき哺乳動物対象のための単位の投薬量として適した物理的に別個の単位をいう。ここで、それぞれの単位は、要求される薬学的担体を関連して要求される治療効果を作り出すよう計算された所定量の活性化合物を含む。本発明の投与単位形態のための詳細は、(a)本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントもしくはバリアントの特有の特徴、および達成すべき特定の治療または予防効果、ならびに、(b) 組換えヒトMISタンパク質を個体における感受性の治療のための活性剤に合成する技術分野に固有の制限、により決定され、またはそれに直接、依存する。
本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントもしくはバリアントを含む薬学的に許容可能な組成物は、水性ビヒクル中に懸濁し、慣用的な皮下注射針を介して、または注入ポンプを用いて、導入することができる。
薬学的組成物
特定の実施形態において、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントもしくはバリアントは、いずれかの適切な手段において、たとえば、滅菌注入可能溶液において調剤することができる。それは、たとえば、必要に応じて、種々の他の成分とともに要求される量の適切な溶媒中に組換えヒトMISタンパク質を組み込むことにより、調製することができる。
本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントもしくはバリアントを含む組成物の薬学的製剤は、いずれかの適合可能な担体、たとえば、多様なビヒクル、アジュバント、添加物、および希釈剤を含む注入可能製剤において患者に投与することができる。あるいは、本発明において利用される化合物は、徐放性皮下インプラント、または標的化デリバリーシステム、たとえば、モノクローナル抗体、誘導(vectored)デリバリー、イオン泳動、ポリマーマトリクス、リポソーム、およびミクロスフィアの形態で非経口的に投与することができる。本発明に有用なデリバリー(送達)システムの例は、米国特番号:5,225,182; 5,169,383; 5,167,616; 4,959,217; 4,925,678; 4,487,603; 4,486,194; 4,447,233; 4,447, 224; 4,439,196 および 4,475,196に供されるものを含む。他のこのようなインプラント、デリバリーシステム、およびモジュールは当業者に公知である。
適切な流動性は、たとえば、コーティング、たとえばレシチンの使用により、分散液の場合は要求されるサイズの維持により、および界面活性剤の使用により、維持することができる。非水性ビヒクル、たとえば、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、大豆油、コーン油、ヒマワリ油、またはピーナッツ油、およびエステル、たとえば、ミリスチン酸イソプロピルも、化合物組成物のための溶媒システムとして用いることができる。さらに、組成物の安定性、滅菌性、および等張性を増強する種々の添加物、たとえば、抗微生物保存剤、酸化防止剤、キレート化剤、および緩衝液を添加することができる。微生物の作用の防止は、種々の抗細菌および抗真菌剤、たとえば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、およびソルビン酸により確実にすることができる。多くの場合、等張剤、たとえば、糖、塩化ナトリウム等を含めることが要求されよう。注入可能な薬学的形態の延長された吸収は、吸収を遅らせる剤、たとえば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によりもたらされ得る。しかしながら、本発明によれば、用いるいずれかのビヒクル、希釈剤、または添加物は、本化合物と適合可能でなければならないであろう。
別の実施形態において、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントもしくはバリアントを含む組成物は、脂質ベースの製剤を含み得る。周知の脂質ベースの薬剤デリバリーシステムのいずれも、本発明の実施に用いることができる。たとえば、多小胞体リポソーム、多重膜リポソーム、および単層リポソームは、すべて、被包された活性化合物の徐放比率を確立することができる限り、用いることができる。制御された放出の多小胞リポソーム薬デリバリーシステムを作成する方法は、引用により全体が本明細書に組み込まれる、PCT出願公開WO 9703652, WO 9513796, およびWO 9423697に記載される。
合成膜ベシクルの組成は、通常、リン脂質の組み合わせ、通常、ステロイド、特にコレステロールとの組み合わせである。他のリン脂質または他の脂質を用いることもできる。合成膜ベシクル生産に役立つ脂質の例は、ホスファチジルグレセロール、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴ脂質、セレブロシド、およびガングリオシド、好ましい実施形態では、たとえば、ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアリルホスファチジルコリン、ジオレイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、およびジオレイルホスファチジグリセロールを含む。
組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントもしくはバリアントを含む脂質ベースのベシクルの調製において、変量、たとえば、活性化合物被包の効能、活性化合物の唇音性、得られるベシクルの集団の均一性およびサイズ、活性化合物対脂質比、透過性、調製物の不安定性、ならびに製剤の薬学的許容性を考慮すべきである。
別の実施形態において、組換えヒトMISタンパク質は、ベシクル、特にリポソーム(Langer (1990) Science 249:1527-1533を参照)において送達することができる。さらに別の実施形態において、組換えヒトMISタンパク質は、制御された放出システムで送達することができる。一実施形態において、ポンプを用いることができる(Langer (1990) 前掲を参照)。別の実施形態において、ポリマー材料を用いることができる(Howard et al. (1989) J. Neurosurg. 71:105を参照)。本発明の活性剤が組換えヒトMISタンパク質をコードする核酸である別の実施形態において、その核酸は、それが、たとえば、レトロウイルスの使用により(たとえば、米国特許No. 4,980,286を参照)、または直接の注入により、または微粒子照射の使用により(たとえば、遺伝子ガン、Biolistic, Dupont)、または脂質もしくは細胞表面レセプターもしくはトランスフェクト剤でのコーティングにより、またはそれを核に入ることが知られているホモボックス様ペプチドに連結させて投与すること等により(たとえば、Joliot et al., 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:1864-1868を参照)、細胞内になるように、適切な核酸発現ベクターの一部としてそれを構築し、それを投与することにより、それにコードされたタンパク質の発現を促進するようにインビボで投与することができる。
導入の前に、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントもしくはバリアントを含む組成物は、当該技術分野の多数の利用できる技術のいずれかにより、たとえば、ガンマ照射または電子ビーム滅菌で、滅菌することができる。
本発明の別の実施形態において、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントもしくはバリアントは、いずれかの他の治療剤と連動して(たとえば、組み合わせて)投与および/または調剤することができる。投与の目的のため、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントもしくはバリアントは、好ましくは、薬学的組成物として調剤される。本発明の薬学的組成物は、本発明の化合物、および薬学的に許容可能な担体を含み、ここで、その化合物は、問題の状態を治療するのに役立つ量で組成物中に存在する。適切な濃度および投与量は当業者が直ちに決定することができる。
薬学的に許容可能な担体は、当業者に知られている。液体溶液として調剤された組成物のために、許容可能な担体は、塩類および滅菌水を含み、任意に、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤、および他の添加物を含み得る。組成物は、ピル、カプセル、粒子、または錠剤としても調剤することができ、それは、本発明の化合物に加えて、希釈剤、分散および表面活性剤、バインダー、および潤滑剤を含む。当業者は、適切な様式で、およびたとえば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Gennaro, Ed., Mack Publishing Co., Easton, Pa. 1990に開示されるような許容される実施にしたがって、本発明の化合物をさらに調剤することができる。
本発明の組成物は、いずれかの形態であり得る。これらの形態は、これらに限らないが、本発明の1または複数のレゾルビン(resolvin)および/またはプロテクチン(protectin)、またはそれらのアナログを含む、溶液、懸濁液、分散液、軟膏(口の軟膏を含む)、クリーム、ペースト、ゲル、粉末(歯磨き粉)、練り歯磨き、ロゼンジ、軟膏剤、チューインガム、口スプレー、香錠、香粉(sachets)、マウスウォッシュ、エアロゾル、錠剤、カプセル、経皮パッチを含む。
本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントもしくはバリアントを含む組成物の調剤は、当業者に知られたいくつかの手段により調製することができる。特定の実施形態において、製剤は、たとえば、(i)複数の治療に有効な投与量を供するのに十分な量の本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントもしくはバリアント、(ii)その製剤のそれぞれを安定化するのに有効な量の水の添加、(iii)エアロゾルカニスターからの複数の投与を噴霧するのに十分な量の噴霧剤、および(iv)いずれかの更なる任意成分、たとえば、共溶媒としてのエタノールを組み合わせ、化合物を分散させることにより、エアロゾル製剤としての投与のために調製することができる。それら成分は、慣用的なミキサーもしくはホモジェナイザーを用いて、振とうにより、または超音波エネルギーにより分散させることができる。バルク製剤は、バルブ−バルブ移動法、圧送注入を用いて、または慣用的なcold-fill法により、より小さな個々のエアロゾルバイアルに移すことができる。懸濁エアロゾル製剤に用いる安定化剤を噴霧剤中に可能化させることは要求されない。十分に可溶性ではないものは、適切な量で薬剤粒子上に被覆することができ、次にその被覆された粒子を、上述の通り製剤に組み込むことができる。
特定の実施形態において、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質を含む組成物は、薬学的に許容される担体とともに薬学的組成物として対象に投与することができる。特定の実施形態において、これらの薬学的組成物は、任意に、1または複数のさらなる治療剤をさらに含む。特定の実施形態において、その追加的な治療剤は、自己免疫疾患薬、たとえば、免疫抑制剤等である。特定の実施形態において、追加的治療剤は、コルチコステロイドである。特定の実施形態において、追加的治療剤は、Prednisone, methylprednisolone, Kenalog, Medrol Oral, Medrol (Pak) Oral, Depo-Medrol Inj, prednisolone Oral, Solu-Medrol Inj, hydrocortisone Oral, Cortef Oral, Solu-Medrol IV, cortisone Oral, Celestone Soluspan Inj, Orapred ODT Oral, Orapred Oral, Prelone Oral, methylprednisolone acetate Inj , Prednisone Intensol Oral, betamethasone acet & sod phos Inj, Veripred, Celestone Oral, methylprednisolone sodium succ IV, methylprednisolone sodium succ Inj, Millipred Oral, Solu-Medrol (PF) Inj, Solu-Cortef Inj, Aristospan Intra-Articular Inj, hydrocortisone sod succinate Inj, prednisolone sodium phosphate Oral, methylprednisolone sod suc(PF) IV, Solu-Medrol (PF) IV, triamcinolone hexacetonide Inj, A-Hydrocort Inj, A-Methapred Inj, Millipred DP Oral, Flo-Pred Oral, Aristospan Intralesional Inj, betamethasone Oral, methylprednisolone sod suc(PF) Inj, hydrocortisone sod succ (PF) Inj, Solu-Cortef (PF) Inj, prednisolone acetate Oral, dexamethasone in 0.9 % NaCl IV, Rayos, levothyroxineからなる群から選択される。もちろん、このような治療剤は、当業者に知られており、当業者は直ちに置換することができる。これらは、排他的または限定的なものと解釈すべきでない。
湿潤剤、乳化剤、および潤滑剤、たとえば、ラウリル硫酸ナトリウム、およびステアリン酸ナトリウム、ならびに、着色剤、解離剤、コーティング剤、甘味料、香料、芳香剤、防腐剤、および酸化防止剤も本組成物中に存在し得る。薬学的に許容される酸化防止剤の例は、水溶性酸化防止剤、たとえば、アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等、油溶性酸化防止剤、たとえば、アスコルビン酸パルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール (BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン (BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ−トコフェロール等、ならびに金属キレート化剤、たとえば、クエン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸 (EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等を含む。
本発明の製剤は、静脈内、経口、鼻、局所、経皮、頬、舌下、直腸、膣、および/または非経口投与のために適したものを含む。その製剤は、便利には、単位投与形態で供することができ、医薬の当業者に公知のいずれかの方法により調整することができる。単一投与形態を生産するために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、一般に、治療有効量を作り出す化合物の量であろう。一般に、百パーセントの中から、この量は約1パーセント〜約99パーセントの活性成分、好ましくは約5パーセント〜約70パーセント、最も好ましくは約10パーセント〜約30パーセントの範囲であろう。
経口投与に適した本発明の製剤は、カプセル、ピル、錠剤、ロゼンジ(味の付いたもの、通常、スクロースおよびアカシアまたはトラガカントを用いる)、粉末、粒子、または水性もしくは非水性の液体の溶液もしくは懸濁液、水中油もしくは油中水の液体エマルション、エリキシルもしくはシロップ、または香錠(不活性のもの、たとえば、ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアを用いる)、および/またはマウスウォッシュ等の形態であり得、それぞれが、活性成分として本発明の化合物の所定量を含む。本発明の化合物は、ボーラス、舐剤、またはペーストとしても投与することができる。
経口投与のための本発明の固体投与形態(カプセル、錠剤、ピル、ドラジェー、粉末、粒子等)において、活性成分は、1または複数の薬学的に許容される担体、たとえば、クエン酸ナトリウム、リン酸二カルシウム、および/または以下の成分と混合される:充填剤または増量剤、たとえば、スターチ、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸、バインダー、たとえば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、および/またはアカシア、保湿剤、たとえば、グリセロール、崩壊剤、たとえば、寒天、炭酸カルシウム、ポテトまたはタピオカスターチ、アルギン酸、特定のシリケート、および炭酸ナトリウム、溶液緩染剤、たとえば、パラフィン、吸収アクセラレーター、たとえば、四級アンモニウム化合物、湿潤剤、たとえば、セチルアルコール、およびグリセロールモノステアレート、吸収剤、たとえば、カオリンおよびベントナイト粘土、潤滑剤、たとえば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物、ならびに着色剤。カプセル、錠剤、およびピルの場合、薬学的組成物は、環状剤も含み得る。類似するタイプの固体組成物は、ラクトースもしくはミルクのような賦形剤、ならびに高分子量ポリエチレングリコール等を用いて、軟質および硬質充填ゼラチンカプセルにおける充填剤として用いることもできる。
錠剤は、任意に1または複数の補助成分とともに、圧縮またはモールディングにより作ることができる。圧縮錠剤は、バインダー(たとえば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、保存料、崩壊剤(たとえば、グリコール酸ナトリウムスターチ、または架橋カルボキシメチルセルロース)、表面活性または分散剤を用いて調製することができる。モールディング錠剤は、適切な機械で、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末状化合物を成形することにより、作ることができる。
本発明の薬学的組成物の錠剤および他の固体投与形態、たとえば、ドラジェー、カプセル、ピル、および粒子は、任意に、コーティングおよびシェル、たとえば、腸溶コーティングおよび薬学製剤技術において公知である他のコーティングを付与し、またはそれとともに調製することができる。それらは、たとえば、要求される放出プロフィールを供するために種々の割合のヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリクス、リポソーム、および/またはミクロスフィアを用いて、その中の活性成分の徐放または制御された放出を供するように調剤することもできる。それらは、たとえば、細菌保持フィルターを介するろ過により、または滅菌水に溶解することができる滅菌固体組成物の形態に滅菌剤を組み込むことにより、または、いくつかの他の使用直前に滅菌注入可能な媒体により、滅菌することができる。これらの組成物は、任意に不透明化剤も含み得、それらが、単独でまたは好ましくは胃腸管の特定の部分において、任意に遅延様式で、活性成分の放出する組成物であり得る。用いることができる包埋組成物の例は、ポリマー物質およびワックスを含む。活性成分は、適切なら、1または複数の上述の賦形剤を含む、マイクロカプセル化形態でもあり得る。
本発明の化合物の経口投与のための液体投与形態は、薬学的に許容可能なエマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシルを含む。
活性成分に加えて、液体投与形態は、当該技術分野において一般に用いられる不活性な希釈剤、たとえば、水または溶媒、可溶化剤および乳化剤、たとえば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、オイル (特に、綿実油、ラッカセイ、コーン、胚芽、オリーブ、ひまし油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物を含み得る。不活性希釈剤の他に、経口組成物は、アジュバント、たとえば、湿潤剤、乳化および懸濁剤、甘味料、香味料、着色料、香料および保存剤も含み得る。
懸濁液は、活性化合物に加えて、懸濁剤、たとえば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにそれらの混合物を含み得る。
特定の例において、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントもしくはバリアントを含む組成物は、直腸または膣投与に適した製剤、たとえば、本発明の1または複数の化合物を、たとえば、ココアバター、ポリエチレングリコール、坐剤ワックス、またはサリチル酸塩を含み、室温で固体であるが、体温で液体であり、それにより活性化合物を放出する、1または複数の適切な非刺激性の賦形剤または担体と混合することにより、調製することができる、坐剤として、適した製剤であり得る。このような投与のための適切な担体および製剤は当該技術分野で知られている。
本発明の組換えヒトMISタンパク質の局所的または経皮投与のため、たとえば、筋肉投与のための投与形態は、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ、および吸入薬を含む。本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントもしくはバリアントは、滅菌条件下において、薬学的に許容可能な担体と、および要求され得るいずれかの保存剤、緩衝液、または推進薬と、混合することができる。
軟膏、ペースト、クリーム、およびゲルは、本発明の活性化合物に加えて、賦形剤、たとえば、動物および植物油、ワックス、パラフィン、スターチ、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、および酸化亜鉛、ならびにこれらの混合物を含み得る。粉末およびスプレーは、本発明の化合物に加えて、賦形剤、たとえば、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、およびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物を含み得る。スプレーは、さらに、慣用的な推進剤、たとえば、クロロフルオロヒドロカーボン、および揮発性非置換炭化水素、たとえばブタンおよびプロパンを含み得る。
経皮パッチは、体への、本発明の組換えヒトMISタンパク質の制御された送達を供するさらなる利点を有する。このような投与形態は、適切な媒体中に化合物を溶解し、または分散させることにより、作ることができる。吸収エンハンサーは、皮膚を横切る化合物の流動を増加させるのに用いることもできる。このような流動の速度は、速度制御膜を供することにより、またはポリマーマトリクスもしくはゲルに活性化合物を分散させることにより、制御することができる。
非経口投与に適した本発明の薬学的組成物は、1または複数の本発明の化合物を、1または複数の薬学的に許容可能な滅菌等張水性または非水性溶液、分散液、懸濁液、もしくはエマルション、または使用直前に滅菌注入可能溶液もしくは分散液に再構成することができる滅菌粉末と組み合わせて含む。それは、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤、製剤を意図した受容者の血液と等張にする溶質、または懸濁もしくは増粘剤を含み得る。
本発明の薬学的組成物中に用いることができる適切な水性および非水性担体の例は、水、エタノール、ポリオール(たとえば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、およびそれらの適切な混合物、植物油、たとえば、オリーブ油、ならびに注入可能有機エステル、たとえば、オレイン酸エチルを含む。適切な流動性は、たとえば、コーティング材料、たとえばレシチンの使用により、分散液の場合は要求される粒子サイズの維持により、および界面活性剤の使用により、維持することができる。
これらの組成物は、アジュバント、たとえば、保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤も含み得る。微生物の作用の防止は、種々の抗細菌および抗真菌剤、たとえば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸等を含めることにより確実になり得る。等張剤、たとえば、糖、塩化ナトリウム等を組成物に含めることも要求され得る。さらに、注入可能薬学的形態の延長された吸収は、吸収を遅らせる剤、たとえば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含めることにより、もたらされ得る。
特定の場合、薬剤の効果を延長させるために、皮下または筋内注入からの薬剤の吸収を遅くすることが要求される。これは、水溶性の乏しい結晶性または非結晶性材料の水性懸濁液の使用により達成することができる。薬剤の吸収の速度は、結晶サイズおよび結晶形態に依存し得る、その溶解の速度に依存する。あるいは、非経口投与の薬剤形態の遅延された吸収は、その薬剤を油ビヒクルに溶解および懸濁することにより、達成される。
注入可能デポー(depot)形態は、生分解性ポリマー、たとえば、ポリラクチド−ポリグリコリドにおいて対象化合物のマイクロカプセル化マトリクスを形成することにより作られる。ポリマーに対する薬剤の比率、および用いる特定のポリマーの性質に依存して、薬剤放出の速度を調節することができる。他の生分解性ポリマーの例は、ポリ(オルトエステル)およびポリ(アンヒドリド)を含む。デポー注入可能製剤は、体組織と適合可能なリポソームまたはマイクロエマルションに薬剤を封入することによっても調製される。
特定の実施形態において、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントもしくはバリアントは、本明細書に記載され、または当業者に知られた1または複数の精製法により、単離され、および/または精製され、または実質的に精製され得る。一般に、その純度は、少なくとも90%、特に95%、しばしは99%を超える。特定の実施形態において、自然発生化合物は、より広い属の全般的記載から排除される。
特定の実施形態において、本組成物は、少なくとも1つの組換えヒトMISタンパク質を、薬学的に許容可能な担体を組み合わせて含む。薬学的に許容可能な担体として機能し得る材料の特定の例は、これらに限らないが、糖、たとえば、ラクトース、グルコース、およびスクロース、スターチ、たとえばコーンスターチおよびポテトスターチ、セルロース、およびその誘導体、たとえば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、およびセルロースアセテート、粉末化トラガカント、モルト、ゼラチン、タルク、賦形剤、たとえば、ココアバターおよび坐剤ワックス、オイル、たとえば、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、およびダイズ油、グリコール、たとえば、プロピレングリコール、ポリオール、たとえば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコール、エステル、たとえば、オレイン酸エチル、ラウリル酸エチル、寒天、緩衝剤、たとえば、水酸化マグネシウム、および水酸化アルミニウム、アルギン酸、パイロジェンを含まない水、等張性塩類溶液、リンガー液、エチルアルコール、リン酸緩衝液、ならびに薬学的製剤に用いられる他の非毒性適合可能物質を含む。
特定の実施形態において、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントもしくはバリアントを含む組成物は、1または複数の酸性官能基を含み得、これにより、薬学的に許容可能な塩基とともに薬学的に許容可能な塩を形成することができる。本明細書に用いる用語「薬学的に許容可能な塩、エステル、アミド、およびプロドラッグ」は、本発明の化合物のこれらのカルボン酸塩、アミノ酸付加塩、エステル、アミド、およびプロドラッグをいう。それは、過度な毒性、刺激、アレルギー反応等なく、合理的な利益/リスク比と釣り合った、本発明の化合物の意図した使用に有効な、患者の組織と接触した使用に適した、健全な医療判断の範囲内にあるものである。用語「塩」は、本発明の化合物の相対的に非毒性の無機および有機酸付加塩をいう。
これらの塩は、その化合物の最終的な単離および精製の間、インサイチューで、または遊離塩形態の精製された化合物を、適切な有機もしくは無機酸と別個に反応させ、これにより形成された塩を単離することにより、調製することができる。これらは、アルカリ金属およびアルカリ土類金属、たとえば、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等に基づくカチオン、ならびに、非毒性アンモニウム、四級アンモニウム、およびアミンカチオン、たとえば、これらに限らないが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン等 (たとえば、引用により全体が本明細書に組み込まれる、Berge S. M., et al., "Pharmaceutical Salts," J. Pharm. Sci., 1977;66:1-19 を参照)を含み得る。
用語「薬学的に許容されるエステル」は、本発明の化合物の、相対的に非毒性のエステル化された産物をいう。これらのエステルは、その化合物の最終的な単離および精製の間、インサイチューで、または遊離酸形態もしくはヒドロキシルの精製された化合物を、適切なエステル化剤と別個に反応させることにより、調製することができる。カルボン酸は、触媒の存在下でアルコールでの処理を介してエステルに変換することができる。その用語は、さらに、生理条件下で溶媒化され得る低級炭化水素基、たとえば、アルキルエステル、メチル、エチル、およびプロピルエステルを含むことを意図する。
本明細書に用いる場合、「薬学的に許容される塩またはプロドラッグ」は、過度な毒性、刺激、アレルギー反応等なく、合理的な利益/リスク比と釣り合った、意図した使用に有効な、患者の組織と接触した使用に適した、健全な医療判断の範囲内にある、塩またはプロドラッグである。これらの化合物は、可能なら本発明のr化合物の、両性イオン形態を含む。
用語「塩」は、本発明の化合物の相対的に非毒性の無機および有機酸付加塩をいう。これらの塩は、その化合物の最終的な単離および精製の間、インサイチューで、または遊離塩基形態の精製された化合物を、適切な有機もしくは無機酸と別個に反応させ、これにより形成された塩を単離することにより、調製することができる。これらは、アルカリ金属およびアルカリ土類金属、たとえば、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等に基づくカチオン、ならびに、非毒性アンモニウム、四級アンモニウム、およびアミンカチオン、たとえば、これらに限らないが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン等 (たとえば、引用により全体が本明細書に組み込まれる、Berge S. M., et al., "Pharmaceutical Salts," J. Pharm. Sci., 1977;66:1-19 を参照)を含み得る。
用語「プロドラッグ」は、インビボで迅速に変換されて、活性な組換えヒトMISタンパク質、たとえば、生物学的に活性名または機能的に活性なMISタンパク質または機能的に活性なMISタンパク質をコードする核酸(たとえば、mRNA, DNA, MOD-RNA)を生成する化合物または剤をいう。特定の実施形態において、組換えヒトMISタンパク質プロドラッグは、たとえば、リーダー配列の切断、またはインスリンがプロタンパク質から活性インスリンタンパク質へ活性化されるのと同様に、生物活性MISタンパク質の生産のためのN末端およびC末端ドメインを生じる第1の切断部位の切断を介して、血中での加水分解により活性化され得る。詳細な議論は、T. Higachi and V. Stella, "Pro-drugs as Novel Delivery Systems," Vol. 14 of the A.C.S. Symposium Series, and in Bioreversible Carriers in: Drug Design, ed. Edward B. Roche, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987 (両方とも、引用により全体が本明細書に組み込まれる)に供される。本明細書に用いる場合、プロドラッグは、インビボ投与により、代謝され、またはその化合物の生物学的、薬学的、または治療的に活性な形態に変換される化合物である。プロドラッグは、副作用もしくは毒性を遮断するため、または組換えヒトMISタンパク質の他の特徴もしくは特性を変えるために、組換えヒトMISタンパク質の代謝安定性または輸送特性を変えるようデザインされ得る。
インビボのMISの薬物動力学的プロセスおよび薬剤代謝または翻訳後タンパク質プロセッシングの知識に基づいて、薬学的に活性な活性化合物が同定されると、当業者は、一般的に、対象において生物活性MISタンパク質のレベルを増加させるためにインビボで活性化され得る組換えヒトMISタンパク質プロドラッグをデザインすることができる(たとえば、Nogrady (1985) Medicinal Chemistry A Biochemical Approach, Oxford University Press, N.Y., pages 388-392を参照)。適切なプロドラッグの選択および調製のための慣用的な手順は、たとえば、"Design of Prodrugs," ed. H. Bundgaard, Elsevier, 1985に記載される。プロドラッグの適切な例は、対応する酸のメチル、エチル、およびグリセロールエステルを含む。
本明細書に議論されるように、特定の実施形態において、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントもしくはバリアントを含む組成物は、それらの組織特異性、および細胞、たとえば筋肉細胞への標的化を増加させるために、標的化剤にコンジュゲートまたは共有結合させることができる。標的化剤は、たとえば、これらに限らないが、「標的化」のセクションで議論されるような、抗体、サイトカイン、およびレセプターリガンドを含み得る。特定の実施形態において、標的化剤は、標的化されるべき細胞、たとえば、非筋肉細胞と比べて筋肉細胞上で過剰発現される。
選択された投与のルートにかかわらず、適切な水和物形態で用いることができる本発明の化合物、および/または本発明の薬学的組成物は、当業者に知られた慣用的な方法により、薬学的に許容可能な投与形態に調剤される。
遺伝子療法
特定の実施形態において、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントをコードする核酸は、ベクター、たとえば、ウイルスベクターとして適切に投与することができる。
特定の実施形態において、組換えヒトMISタンパク質をコードする核酸は、遺伝子療法による治療に有効に用いることができる。たとえば、全般的に、引用により全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,399,346号に参照。一般的な原理は、患者における標的細胞にそのポリヌクレオチドを導入することであり、そこで、それはタンパク質に転写される。
細胞への移行は、当該技術分野で知られた適切な技術により、たとえば、適切なベクターの形態でポリヌクレオチドを供することにより、またはポリヌクレオチドをリポソームで被包することにより、容易にすることができる。
遺伝子療法の要求される態様は、細胞内で複製し、要求される効果を増強および延長するような方法で、ポリヌクレオチドを供することである。これにより、ポリヌクレオチドは、適切なプロモーター、たとえば、対応する遺伝子の天然のプロモーター、肝臓、神経、骨、筋肉、皮膚、関節、もしくは軟骨細胞中で内因的に活性である異種プロモーター、または適切な剤により誘導することができる異種プロモーターに、作用可能に連結される。
真核生物細胞と適合可能な発現ベクター、好ましくは、脊椎動物細胞と適合可能なものは、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質、またはその機能的誘導体、機能的バリアント、もしくは機能的フラグメントのための組換え構成物を作成するために用いることができる。真核生物細胞発現ベクターは、当該技術分野で公知であり、いくつかの商用ソースから利用できる。典型的には、このようなベクターは、要求されるDNAセグメントの挿入のための便利な認識部位を含むように供される。これらのベクターは、ウイルスベクター、たとえば、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ポックスウイルス、たとえば、オルソポックス(ワクシニアおよび弱毒化ワクシニア)、アビポックス、レンチウイルス、ネズミモロニー白血病ウイルス等であり得る。
あるいは、特定の実施形態において、プラスミド発現ベクターを用いることができる。プラスミド発現ベクターは、これらに限らないが、以下のものを含む:pcDNA3.1, pET ベクター (Novagen (r)), pGEX ベクター (GE Life Sciences), および pMAL ベクター (New England labs. Inc.) (大腸菌宿主細胞、たとえば、BL21, BL21(DE3) および AD494(DE3)pLysS, Rosetta (DE3), および Origami(DE3) におけるタンパク質発現のため) ( Novagen (r)); 強力CMV プロモーターベース pcDNA3.1 ( Invitrogen (tm) Inc.) および pCIneo ベクター (Promega) (哺乳動物細胞系、たとえばCHO, COS, HEK-293, Jurkat, および MCF-7における発現のため); 複製インコンピテントアデノウイルスベクター pAdeno X, pAd5F35, pLP-Adeno-X-CMV ( Clontech (r)), pAd/CMV/V5-DEST, pAd-DEST ベクター ( Invitrogen (tm) Inc.) (哺乳動物細胞におけるアデノウイルス媒介遺伝子転移および発現のため); pLNCX2, pLXSN, および pLAPSN レトロウイルス(哺乳動物細胞におけるレトロウイルス媒介遺伝子転移および発現のためのClonetechからのRetro-X (tm) システムでの使用のためのレトロウイルスベクター); pLenti4/V5-DEST(tm), pLenti6/V5-DEST(tm), および pLenti6.2/V5-GW/lacZ (INVITROGEN(tm) Inc.) (哺乳動物細胞におけるレンチウイルス媒介遺伝子転移および発現のため); アデノ関連ウイルス発現ベクター、たとえば、 pAAV-MCS および pAAV-IRES-hrGFP (哺乳動物細胞におけるアデノ関連ウイルス媒介遺伝子転移および発現のため); BACpak6 バキュロウイルス ( Clontech (r)) および pFastBac(tm) HT ( Invitrogen (tm) Inc.) (スポドプテラ・フルギペルダ(Spodopera frugiperda) 9 (Sf9) および Sf11 昆虫細胞系における発現のため); pMT/BiP/V5-His ( Invitrogen (tm) Inc.) (ショウジョウバエ(Drosophila) Schneider S2 細胞における発現のため); Pichia 発現ベクター pPICZα , pPICZ, pFLDα および pFLD ( Invitrogen (tm) Inc.) (ピキア・パストリス(Pichia pastoris)における発現のため)、ベクター pMETα and pMET(P.メタノリカ(P. methanolica)における発現のため); pYES2/GS and pYD1 (Invitrogen (tm) Inc.) ベクター(酵母サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)における発現のため)。コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)における大規模発現異種タンパク質における最近の進展が、Griesbeck C. et. al. 2006 Mol. Biotechnol. 34:213-33 and Fuhrmann M. 2004, Methods Mol Med. 94:191-5に記載される。外来性異種コーディング配列は、異種組換えにより、核、葉緑体、およびミトコンドリアのゲノムに挿入される。スペクチノマイシンまたはストレプトマイシンに対する耐性を与える最も多用途の葉緑体選択マーカーアミノグリコシドアデニルトランスフェラーゼ(aadA)を有する葉緑体発現ベクターp64は、葉緑体において外来タンパク質を発現するのに用いることができる。微粒子銃(biolistic)遺伝子銃法は、ベクターを藻類に導入するのに用いられる。葉緑体への移入により、外来DNAは、遺伝子銃粒子から放出され、相同組換えにより葉緑体ゲノムに組み込まれる。
本発明に利用できるウイルスベクター系は、これらに限らないが、(a) アデノウイルスベクター; (b) レトロウイルスベクター; (c) アデノ関連ウイルスベクター; (d) 単純ヘルペスウイルスベクター; (e) SV 40 ベクター; (f) ポリオーマウイルスベクター; (g) パピローマウイルスベクター; (h) ピコルナウイルスベクター; (i) ポックスウイルスベクター、たとえば、オルソポックス、たとえばワクシニアウイルスベクターまたはアビポックス、たとえば、カナリア痘、または鶏痘、および (j) ヘルパー依存またはガトレス(gutless)アデノウイルスを含む。好ましい実施形態において、ベクターは、アデノウイルスである。複製欠損ウイルスも遊離であり得る。
ベクターは、細胞ゲノムに組み込んでもそうでなくてもよい。その構成物は、必要に応じて、トランスフェクションのためのウイルス配列を含み得る。あるいは、構成物は、エピソーム複製の可能なベクター、たとえば、EPVおよびEBVベクターに組み込まれ得る。
本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質をコードする核酸の発現のための構成物、たとえば、DNA, MOD-RNA または RNAaは、一般に、調節配列、たとえば、プロモーター、エンハンサー等に作用可能に連結させて、標的細胞中でのその構成物の発現を確実にすることができる。ベクターおよび他の構成物の他の詳細は以下にさらに詳細に記載される。
典型的な調節配列は、これらに限らないが、転写プロモーター、誘導可能プロモーター、および転写要素、転写を制御するための任意的な作動配列、適切なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、転写および/または翻訳の終了を制御するための配列を含む。用語「調節要素」には、それらが作用可能に連結したタンパク質コーディング配列の転写を誘導または制御する核酸、たとえば、開始シグナル、エンハンサーおよびプロモーター、が含まれる。特定の例において、組換え遺伝子の転写は、発現を意図した細胞型において組換え遺伝子の発現を制御するプロモーター配列(または他の転写制御配列)の制御下にある。組換え遺伝子は、自然発生型のタンパク質の転写を制御するこれらの配列と同じまたはそれらから異なる転写制御配列の制御下にあり得ることも理解されよう。特定の例において、プロモーター配列は、特定遺伝子の転写を開始するために要求される、細胞の合成機構、または導入された合成機構により認識される。
調節配列は、単一の調節配列、もしくは複数の調節配列、もしくは改変された調節配列、またはそれらのフラグメントであり得る。改変された調節配列は、その核酸が特定の手段、たとえば、これらに限らないが、変異、メチル化等により変更または改変されている、調節配列である。本明細書に開示される方法に有用な調節配列は、プロモーター依存性遺伝子発現を、細胞型特異的、組織特異的のために制御可能、または外部シグナルまたは剤(たとえば、エンハンサーまたらレプレッサー)により誘導可能にするのに十分であるプロモーター要素である。このような要素は、ネイティブ遺伝子の5'または3'領域内、またはイントロン内に位置し得る。
本明細書に用いる場合、用語「組織特異的プロモーター」は、プロモーターとして機能する、すなわち、プロモーターに作用可能に連結した選択された核酸配列の発現を制御する、および、組織の特定の細胞、たとえば、卵巣起源の細胞において選択された核酸配列の発現に選択的に影響を与える、核酸配列を意味する。
用語「構成的活性プロモーター」は、所定の細胞内で常に発現される遺伝子のプロモーターをいう。哺乳動物細胞に用いるための典型的なプロモーターは、サイトメガロウイルス(CMV)を含み、原核細胞に用いるためのものは、バクテリオファージT7およびT3プロモーター等を含む。用語「誘導可能プロモーター」は、所定のシグナル、たとえば、剤の付加または削減に応答して発現され得る遺伝子のプロモーターをいう。誘導可能なプロモーターの非限定的な例は、「tet-on」および「tet-off」プロモーター、または特定の組織型において制御されるプロモーターである。
特定の実施形態において、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質またはその機能的フラグメントをコードする核酸配列、たとえば、DNA, MOD-RNA または RNAaを含むウイルスベクターを用いることができる。たとえば、レトロウイルスベクターを用いることができる (Miller et al., Meth. Enzymol. 217:581-599 (1993)を参照)。これらのレトロウイルスベクターは、ウイルスゲノムの正確なパッケージングおよび宿主細胞DNAへの組み込みのために必要な構成物を含む。組換えヒトMISタンパク質をコードする核酸配列は、1または複数のベクターにクローン化され、それは、遺伝子の患者へのデリバリーを容易にする。レトロウイルスベクターについてのより詳細は、Boesen et al., Biotherapy 6:291-302 (1994)に見出すことができ、それは、幹細胞を化学療法に対してより耐性にするために、造血幹細胞にmdrl遺伝子を送達するためのレトロウイルスベクターの使用を記載する。遺伝子療法におけるレトロウイルスベクターの使用を詳述する他の参照文献は、Clowes et al., J. Clin. Invest. 93:644-651 (1994); Kiem et al., Blood 83:1467-1473 (1994); Salmons and Gunzberg, Human Gene Therapy 4:129-141 (1993); and Grossman and Wilson, Curr. Opin. in Genetics and Devel. 3:110-114 (1993)である。
問題の遺伝子を有する組換えレトロウイルスベクターの生産は、典型的には、2段階で行われる。第1に、組換えヒトMISタンパク質、またはその機能的誘導体、機能的バリアント、もしくは機能的フラグメントをコードする配列は、単独で、または-Fcと融合させて、(ウイルスの末端反復配列(LTRs)により、または内部プロモーター/エンハンサーおよび関連するスプライシングシグナルにより、供され得る、プロモーターおよび/またはエンハンサー要素を含む)代謝レギュレーター、ウイルスRNAの感染性ビリオン(たとえば、パッケージングシグナル(Psi)、tRNA プライマー結合部位 (-PBS)、逆転写のために要求される3'調節配列 (+PBS)、およびウイルスLTRsへの効率的なパッケージングのために要求される配列)の効率的な発現のために必要な配列を含むレトロウイルスベクターに挿入することができる。LTRは、ウイルスゲノムRNA、逆転写酵素、およびインテグラーゼ機能の会合のために要求される配列、ならびに、ゲノムRNAの発現をウイルス粒子内にパッケージングさせることに関連する配列を含む。
組換えレトロウイルスベクターの作成の後、ベクターDNAは、パッケージング細胞系に導入される。パッケージング細胞系は、要求される宿主範囲を有するウイルス粒子へのウイルスゲノムRNAのパッケージングのためにトランスにおいて要求されるウイルスタンパク質(たとえば、ウイルス・コード・コア(gag)、ポリメラーゼ(pol)およびエンベロープ(env)タンパク質)を供する。宿主範囲は、部分的に、ウイルス粒子の表面上で発現されるエンベロープ遺伝子産物のタイプによって制御される。パッケージング細胞系は、エコトロピック、アンホトロピック、またはゼノトロピック(ecotrophic, amphotropic or xenotropic)エンベロープ遺伝子産物を発現し得る。あるいは、パッケージング細胞系は、ウイルスエンベロープ(env)タンパク質をコードする配列を欠如し得る。この場合、パッケージング細胞系は、ウイルスゲノムを、膜関連タンパク質(たとえば、envタンパク質)を欠如する粒子にパッケージングすることができる。ウイルスの細胞への移入を許容する膜関連タンパク質を含むウイルス粒子を生産するために、レトロウイルス配列を含むパッケージング細胞系は、膜関連タンパク質(たとえば、水疱性口内炎ウイルス(VSV)のGタンパク質)をコードする配列でトランスフェクトすることができる。トランスフェクトされたパッケージング細胞系は、次に、そのトランスフェクトされたパッケージング細胞系により発現された膜関連タンパク質を含むウイルス粒子を生産することができる。別のウイルスのエンベロープタンパク質によりキャプシド形成された1つのウイルス由来のウイルスゲノムRNAを含むこれらのウイルス粒子は、偽型ウイルス粒子と呼ばれる。
アデノウイルスは、遺伝子療法に用いることができる他のウイルスベクターである。アデノウイルスは、呼吸上皮に遺伝子を送達するための特に魅力あるビヒクルである。アデノウイルスは、自然に呼吸上皮に感染し、マイルドな疾患を引き起こす。アデノウイルスベースのデリバリーシステムのための他の標的は、肝臓、中枢神経系、内皮細胞、および筋肉である。アデノウイルスは、非分割細胞に感染することができる利点を有する。Kozarsky and Wilson, Current Opinion in Genetics and Development 3:499-503 (1993) は、アデノウイルスベースの遺伝子療法のレビューを供する。Bout et al., Human Gene Therapy 5:3-10 (1994) は、アカゲザルの呼吸上皮に遺伝子を移送するためのアデノウイルスベクターの使用を証明している。別の好ましいウイルスベクターは、ポックスウイルス、たとえば、ワクシニアウイルス、たとえば、弱毒化ワクシニア、たとえば、Modified Virus Ankara (MVA) または NYVAC、アビポックス、たとえば、鶏痘またはカナリア痘である。遺伝子療法におけるアデノウイルスの使用の他の例は、Rosenfeld et al., Science 252:431-434 (1991); Rosenfeld et al., Cell 68:143-155 (1992); Mastrangeli et al., J. Clin. Invest. 91:225-234 (1993); PCT公開WO94/12649; およびWang, et al., Gene Therapy 2:775-783 (1995)に見出すことができる。別の実施形態において、レンチウイルスベクター、たとえば、引用により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許番号6,143,520; 5,665,557; および 5,981,276に記載されるHIVベースのベクターが用いられる。特定の実施形態において、ウイルスベクター、たとえば、アデノ関連ウイルス(AAV)ベクターが用いられる。典型的なAAVベクターは、Walsh et al., Proc. Soc. Exp. Biol. Med. 204:289-300 (1993); 引用により全体が本明細書に組み込まれる米国特許番号5,436,146; Gao et al., Gene Therapy 2005, 5, 285-297; Vandenberghe et al., Gene Therapy 2009, 16, 311-319; Gao et al., PNAS 2002, 99, 11854-11859; Gao et al., PNAS 2003, 100, 6081-6086; Gao et al., J. of Virology 2004, 78, 6381-6388; Molecular Cloning: A Laboratory Manual (4th edition) ed. by M. Green and J. Sambrookに開示される。特定の実施形態において、AAVベクターは、AAV1, AAV2, AAV4, AAV5, AAV6, AAV7, AAV8, AAV9, AAVrh.10, AAV2.5である。特定の型のAAVベクターの選択は標的組織に依存し得ることに注意すべきである。
特定の実施形態において、ウイルスベクターによりコードされる組換えヒトMISタンパク質が、対象において内因的に発現される場合、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質の発現レベルは、要求される期間、たとえば、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも1年、または少なくとも5年にわたって一定であり得る。特定の実施形態において、本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質の発現は、要求される期間にわたって、治療に有効なレベルで、またはそれを超えて、維持され得る。
遺伝子療法への別のアプローチは、エレクトロポレーション、リポフェクション、リン酸カルシウム毎回トランスフェクション、またはウイルス感染のような方法により、組織培養において、遺伝子を細胞に移すことに関する。通常、転移の方法は、選択マーカーを細胞に移すことを含む。次に細胞は、取り上げられ、転移された遺伝子を発現するこれらの細胞を単離するために、選択下に置かれる。次に、これらの細胞は患者に送達される。
米国特許番号5,676,954 (引用により全体が本明細書に組み込まれる)は、マウスへのカチオンリポソーム担体と複合体化した遺伝材料の注入に関して報告する。米国特許番号4,897,355, 4,946,787, 5,049,386, 5,459,127, 5,589,466, 5,693,622, 5,580,859, 5,703,055, および国際公開番号WO 94/9469 (引用により全体が本明細書に組み込まれる)は、DNAを細胞および哺乳動物にトランスフェクトするのに用いるためのカチオン脂質を供する。米国特許番号5,589,466, 5,693,622, 5,580,859, 5,703,055, および国際公開番号 WO 94/9469 (引用により全体が本明細書に組み込まれる)はDNA-カチオン脂質複合体を、哺乳動物に送達するための方法を供する。このようなカチオン脂質複合体またはナノ粒子も、タンパク質を送達するのに用いることができる。
遺伝子または核酸配列は、いずれかの適切な方法により、標的細胞に導入することができる。たとえば、組換えヒトMISタンパク質構成物は、トランスフェクション (たとえば、リン酸カルシウムまたはDEAE-デキストラン媒介トランスフェクション)、リポフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション(たとえば、裸のDNAの直接の注入による)、微粒子銃(biolistics)、筋肉関連トランスジーンを含むウイルスベクターでの感染、細胞融合、染色体媒介遺伝子転移、ミクロセル媒介遺伝子転移、核移植等により細胞に導入することができる。組換えヒトMISタンパク質をコードする核酸は、エレクトロポレーション (たとえば、 Wong and Neumann, Biochem. Biophys. Res. Commun. 107:584-87 (1982)を参照) および微粒子銃 (biolistics) (たとえば、遺伝子銃; Johnston and Tang, Methods Cell Biol. 43 Pt A:353-65 (1994); Fynan et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:11478-82 (1993))により細胞に導入することができる。
特定の実施形態において、組換えヒトMISタンパク質をコードする遺伝子または核酸配列は、トランスフェクションまたはリポフェクションにより標的細胞に導入することができる。トランスフェクションまたはリポフェクションのための適切な剤は、たとえば、リン酸カルシウム、DEAEデキストリン、リポフェクチン、リポフェクタミン、 DIMRIE C, Superfect, および Effectin (Qiagen), ユニフェクチン、マキシフェクチン、DOTMA, DOGS (Transfectam; ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン), DOPE (1,2-ジオレイル-sn-グレセロ-3-ホスホエタノールアミン), DOTAP (1,2-ジオレイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン), DDAB (ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド), DHDEAB (N,N-ジ-n-ヘキサデシル-N,N-ジヒドロキシエチルアンモニウムブロミド), HDEAB (N-n-ヘキサデシル-N,N-ジヒドロキシエチルアンモニウムブロミド), ポリブレン, ポリ(エチレンイミン) (PEI)等 (たとえば Banerjee et al., Med. Chem. 42:4292-99 (1999); Godbey et al., Gene Ther. 6:1380-88 (1999); Kichler et al., Gene Ther. 5:855-60 (1998); Birchaa et al., J. Pharm. 183:195-207 (1999)を参照)を含む。
タンパク質および/または核酸のような剤の治療デリバリーのための当該技術分野で知られた方法は、組換えヒトMISタンパク質をコードするポリペプチドまたは核酸の対象へのデリバリーのために用いることができる。たとえば、細胞トランスフェクション、遺伝子療法、デリバリービヒクルまたは薬学的に許容可能な担体での直接の投与、本発明の標的化融合ポリペプチドをコードする核酸を含む組換え細胞を供することによる間接的なデリバリーである。
多様なデリバリーシステムが知られており、組換えヒトMISタンパク質のような治療用ポリペプチド、および/または本明細書に開示される組換えヒトMISタンパク質をコードする核酸を、直接、投与するのに用いることができる。たとえば、リポソームでの被包、マイクロ粒子、マイクロカプセル、その化合物を発現することがきる組換え細胞、およびレセプター媒介エンドサイトーシスである (たとえば、Wu and Wu, 1987, J. Biol. Chem. 262:4429-4432を参照)。導入の方法は、腸または非経口であり得、これらに限らないが、皮内、筋内、腹腔内、静脈内、皮下、肺、鼻内、眼内、硬膜内、および経口ルートを含む。剤は、いずれかの慣用的なルート、たとえば、注入またはボーラス注入により、上皮または皮膚粘膜ライニング(たとえば、口粘膜、直腸および腸粘膜等)を介する吸収により、投与することができ、他の生物学的に活性な剤とともに投与することができる。投与は、全身的であっても、局所的であってもよい。
特定の実施形態において、治療の必要な領域に本発明の薬学的組成物を局所的に投与することが要求され得る。これは、たとえば、これらに限らないが、術中の局所的注入、局所的適用、たとえば、注入により、カテーテルにより、またはインプラントにより、行うことができる。インプラントは、シアラスティック(sialastic)膜、線維または、商用の皮膚代替物のような膜を含む、多孔質、非多孔質、またはゼラチン材料のものである。
別の実施形態において、活性剤は、ベシクル、特に、リポソームにおいて送達することができる(Langer (1990) Science 249:1527-1533を参照)。さらに別の実施形態において、活性剤は、制御放出システムにおいて送達することができる。一実施形態において、ポンプを用いることができる ( Langer (1990) 前掲を参照)。別の実施形態において、ポリマー材料を用いることができる (Howard et al. (1989) J. Neurosurg. 71:105を参照)。
これにより、広範囲の種々の遺伝子転移/遺伝子療法ベクターおよび構成物が当該技術分野で知られている、これらのベクターは、本発明の方法に用いるために直ちに適合される。作用可能に連結した組換えヒトMISタンパク質をコードする核酸セグメントを、選択された発現/デリバリーベクターに挿入するための組換えDNA/分子生物学の技術を用いる適切な操作により、本明細書に開示される方法の実施のための多くの等価なベクターを作り出すことができる。
クローン化遺伝子は、タンパク質のアミノ酸配列を変更するよう操作され得ることが当業者に認められよう。組換えヒトMISタンパク質のためのクローン化遺伝子は、インビトロ変異誘発のための種々の公知の技術により、とりわけ、本明細書に開示される方法および組成物にしたがって用いることができる組換えヒトMISタンパク質のムテイン、バリアント、または変異体としても言及される、自然発生ヒトタンパク質のバリアントを生産するために、操作することができる。
本発明に役立つ組換えヒトMISタンパク質のムテインの一次構造のバリエーションは、たとえば、欠失、付加、および置換を含む。置換は、保存性または非保存性であり得る。天然タンパク質およびムテインの間の差は、一般に、要求される特性を保存し、不要な特性を軽減または除去し、そして要求されるまたは新しい特性を加える。
Remington's Pharmaceutical sciences Ed. Germany, Merk Publishing, Easton, PA, l 995 (引用により全体が本明細書に組み込まれる)は、薬学的組成物を調剤するのに用いる種々の担体、およびその調製のための知られた技術を開示する。薬学的に許容可能な担体として機能し得る材料の特定の例は、これらに限らないが、糖、たとえば、ラクトース、グルコース、およびスクロース、スターチ、たとえばコーンスターチおよびポテトスターチ、セルロース、およびその誘導体、たとえば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、およびセルロースアセテート、モルト、ゼラチン、タルク、賦形剤、たとえば、ココアバターおよび坐剤ワックス、オイル、たとえば、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、およびダイズ油、グリコール、たとえば、プロピレングリコール、エステル、たとえば、オレイン酸エチル、ラウリル酸エチル、寒天、緩衝剤、たとえば、水酸化マグネシウム、および水酸化アルミニウム、水、等張性塩類溶液、リンガー液、エチルアルコール、およびリン酸緩衝液、ならびに他の非毒性適合可能潤滑剤、たとえば、ラウリル硫酸ナトリウムおよび硫酸マグネシウム、ならびに着色剤、解離剤、コーティング剤、甘味料、香料、芳香剤、防腐剤、および酸化防止剤を含み、調剤者の判断にしたがって、本組成物中に存在し得る。
キット
本発明は、増殖性の疾患または障害、たとえば、本明細書に開示される癌または過剰なアンドロゲンの疾患の予防および/または治療に用いるための、組換えヒトMISタンパク質またはその機能的バリアント、機能的フラグメント、または融合タンパク質を含むキットまたは薬学的パッケージも供する。キットは、たとえば、錠剤、カプセル、または凍結乾燥粉末の形態で組換えヒトMISタンパク質組成物を含み得、任意に、癌またはアンドロゲン依存性に関連する疾患の治療のための組換えヒトMISタンパク質を用いるための説明書を含み得る。組換えヒトMISタンパク質またはその機能的バリアント、機能的フラグメント、または融合タンパク質を含む組成物は、ボトルまたは別の適切な形態(たとえば、ブリスターパック)においてキットまたはパッケージにおいて供することができる。任意に、キットまたは薬学的パッケージは、他の薬学的に活性な剤(たとえば、上述の剤、たとえば、自己免疫の病気および疾患の治療のために用いる他の剤)、および/または薬剤の投与に用いる材料、たとえば、希釈剤、針、シリンジ、アプリケーター等も含み得る。
開示される種々の実施形態は、それぞれの従属請求項が先の従属請求項および独立請求項のそれぞれの限定を組み込む多重従属請求項であるので、請求項に記載される種々の要素の並べ替えも含み得る。このような並べ替えは、表現上、本開示の範囲内にある。
本発明は、特にいくつかの実施形態を引用して開示および記載されているが、その形態および詳細の変更は、本発明の精神および範囲から離れることなく本明細書に開示される種々の実施形態に行われ得ることが当業者に理解されよう。そして、本明細書に開示される種々の実施形態は、請求項の範囲を限定することを意図したものでないことも理解されよう。本明細書に記載されるすべての引用は、それら全体が引用により組み込まれる。
本明細書に記載される出願および特許のそれぞれ、ならびに出願および特許のそれぞれに記載されるそれぞれの文献または引用(それぞれの発行された特許の遂行の間「出願文献」を含む)、ならびにこれらの出願および特許のいずれかに対応する、および/またはそれから優先権を主張するPCTおよび外国出願もしくは特許、ならびにそれぞれの出願に引用される文献において記載または引用される文献のそれぞれは、明示的に、引用により本明細書に組み込まれ、本発明の実施に用いることができる。より一般的には、文献または引用は、請求項の前の引用文献のリスト(Reference List)において、または本明細書において引用され、これらの文献および引用(本明細書の引用文献)のそれぞれ、ならびに本明細書の引用文献のそれぞれにおいて引用されるそれぞれの文献または引用(いずれかの製造元の明細書、説明書等を含む)は、明示的に引用により本明細書に組み込まれる。
本発明の特定の実施形態を以下の項に列記する。
1.改変のないものと比べて切断を増加させるために、配列番号:1の残基448〜452の間の少なくとも1つのアミノ酸の改変を含む組換えミュラー管抑制物質(MIS)タンパク質。
2.配列番号:1のアミノ酸1〜25のMISリーダー配列の代わりの非MISリーダー配列またはその機能的フラグメントをさらに含む、項1の組換えMISタンパク質であって、該組換えMISタンパク質が、配列番号:1のアミノ酸残基に対応する野生型MISタンパク質と比べて、インビトロにおいて、増加した切断および増加した生産の収率を有する、組換えMISタンパク質。
3.前記組換えMISタンパク質が、タグ(Tag)タンパク質をさらに含む、項1または2記載の組換えMISタンパク質。
4.前記非MISリーダー配列が、アルブミンリーダー配列またはその機能的フラグメントである、項2記載の組換えMISタンパク質。
5.前記アルブミンリーダー配列が、ヒト血清アルブミン(HSA)リーダー配列またはその機能的フラグメントである、項4記載の組換えMISタンパク質。
6.前記HSAリーダー配列が、配列番号:6またはそれに少なくとも80%相同であるバリアントのアミノ酸配列を含む、項5記載の組換えMISタンパク質。
7.前記HSAリーダー配列のフラグメントが、配列番号:6またはそれに少なくとも80%相同であるバリアントの少なくとも10アミノ酸を含む、項5記載の組換えMISタンパク質。
8.前記HSAリーダー配列が、配列番号:6またはそれに少なくとも80%相同であるバリアントの少なくとも15アミノ酸を含む、項5記載の組換えMISタンパク質。
9.前記HSAリーダー配列が、配列番号:6またはそれに少なくとも80%相同であるバリアントの少なくとも11アミノ酸を含む、項5記載の組換えMISタンパク質。
10.前記HSAリーダー配列のフラグメントが、
Figure 2016518325
からなる群から選択される、項5記載の組換えMISタンパク質。
11.前記非MISリーダー配列が、組織型プラスミノーゲンアクティベータープロペプチドに融合したイムノグロブリンシグナルペプチド(IgSP-tPA)、ネズミイムノグロブリンシグナルペプチド(IgSP)、MPIF-1シグナル配列
Figure 2016518325
、スタニオカルシン(stanniocalcin)シグナル配列
Figure 2016518325
、インベルターゼシグナル配列
Figure 2016518325
、酵母接合因子アルファシグナル配列(K. lactis キラートキシンリーダー配列)、ハイブリッドシグナル配列
Figure 2016518325
、HSA/MFα-1 ハイブリッドシグナル配列
Figure 2016518325
、K. lactis キラー/ MFα-1融合リーダー配列
Figure 2016518325
、イムノグロブリンIgシグナル配列
Figure 2016518325
、フィブリンB前駆体シグナル配列
Figure 2016518325
、クラステリン前駆体シグナル配列
Figure 2016518325
、およびインスリン様成長因子結合タンパク質4シグナル配列
Figure 2016518325
、またはこれらのフラグメントからなる群から選択される、項2記載の組換えMISタンパク質。
12.その改変がないものと比べて切断を増加させるためにQからRへの配列番号:1のアミノ酸450の改変を含む、項1記載の組換えMISタンパク質。
13.その改変がないものと比べて切断を増加させるためにSからRへの配列番号:1のアミノ酸452の改変をさらに含む、項1記載の組換えMISタンパク質。
14.前記タグがFLAGタグである、項3記載の組換えMISタンパク質。
15.前記FLAGタグが、アミノ酸配列:DYKDDDDK (配列番号:8)、またはその機能的フラグメントもしくはバリアントを含む、項14記載の組換えMISタンパク質。
16.前記FLAGタグが、配列番号:1のアミノ酸残基452の後、配列番号:1のアミノ酸残基453の前に位置する、項14記載の組換えMISタンパク質。
17.前記FLAGタグが、配列番号:1のアミノ酸残基452〜453の間に位置する、項14記載の組換えMISタンパク質。
18.配列番号:2のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを含む、項1記載の組換えMISタンパク質。
19.配列番号:3のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを含む、項1記載の組換えMISタンパク質。
20.配列番号:4の核酸配列によりコードされる、項18記載の組換えMISタンパク質。
21.配列番号:5の核酸配列によりコードされる、項19記載の組換えMISタンパク質。
22.項1〜21のいずれか一項記載の組換えMISタンパク質と、薬学的に許容可能な担体と、を含む薬学的組成物。
23.項1〜21のいずれか一項記載の組換えMISタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
24.前記ヌクレオチドが、配列番号:4、または配列番号:4の核酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチドに対応する、項23記載のポリヌクレオチド。
25.前記ヌクレオチドが、配列番号:5、または配列番号:5の核酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチドに対応する、項23記載のポリヌクレオチド。
26.項23〜25のいずれか一項記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
27.前記ベクターがウイルスベクターまたは発現ベクターである、項26記載のベクター。
28.前記発現ベクターが、pcDNA3.1または細菌(たとえば大腸菌)もしくはバクテリオファージのためのcDNAもしくはゲノムベクターである、項27記載のベクター。
29.前記ウイルスベクターが、アデノウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、およびレンチウイルスベクターからなる群から選択される、項27記載のベクター。
30.前記ウイルスベクターがアデノ関連ウイルスベクター(AAV)である、項27記載のベクター。
31.前記AVVがAVV9である、項30記載のベクター。
32.前記核酸配列が、配列番号:4または配列番号:5の核酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有する組換えMISタンパク質またはその機能的フラグメントをコードし、かつ、前記核酸配列が、組織または細胞型特異的プロモーターに作用可能に連結されている、項26〜31のいずれか一項記載のベクター。
33.項1記載の組換えヒトMISタンパク質の翻訳後プロセッシングにより生産されたヒトMISタンパク質。
34.項26〜32のいずれか一項記載のベクターを含む宿主細胞。
35.項26〜32のいずれか一項記載のベクターと、薬学的に許容可能な担体と、を含む薬学的組成物。
36.項1〜21のいずれか一項記載の組換えヒトMISタンパク質から生産されたヒトMISタンパク質の精製された調製物。
37.癌を有する対象を治療するための方法であって、該方法は、組換えMISタンパク質を含む組成物を投与する段階を含み、ここで、該組換えMISタンパク質は、改変のないものと比べて切断を増加させるために、配列番号:1の残基448〜452の間の少なくとも1つのアミノ酸の改変を含む、方法。
38.前記組換えMISタンパク質が、配列番号:1のアミノ酸残基に対応する野生型MISタンパク質と比べて、インビトロにおいて、増加した切断および増加した生産の収率を有する、項37記載の方法。
39.前記組換えMISタンパク質が、配列番号:1のアミノ酸1〜25のMISリーダー配列の代わりの非MISリーダー配列またはその機能的フラグメントを含むプレプロタンパク質から生産される、項37記載の方法。
40.前記組換えMISタンパク質が、タグタンパク質をさらに含む、項37記載の方法。
41.前記非MISリーダー配列が、アルブミンリーダー配列またはその機能的フラグメントである、項39記載の方法。
42.前記アルブミンリーダー配列が、ヒト血清アルブミン(HSA)リーダー配列またはその機能的フラグメントである、項41記載の方法。
43.前記組換えMISタンパク質が、その改変がないものと比べて切断を増加させるためにQからRへの配列番号:1のアミノ酸450の改変を含む、項37記載の方法。
44.前記タグが、配列番号:8のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを含むFLAGタグである、項40記載の方法。
45.前記組換えMISタンパク質が、配列番号:2のアミノ酸残基25〜559またはその機能的フラグメントを含む、項37記載の方法。
46.前記組換えMISタンパク質が、配列番号:3のアミノ酸残基25〜567またはその機能的フラグメントを含む、項37記載の方法。
47.前記癌が、MIS応答性II癌である、項37記載の方法。
48.前記癌が、卵巣癌である、項37記載の方法。
49.前記癌が、化学療法耐性または多剤耐性癌である、項37記載の方法。
50.前記組換えMISタンパク質の投与が、付加的な剤の投与または癌治療の前、間または後に行われる、項37記載の方法。
51.前記癌が、ミュラー管阻害物質レセプターII(MISRII)を発現する、項37記載の方法。
52.前記ミュラー管阻害物質(MIS)レセプターの発現が、前記対象から得られた生物学的試料において測定される、項51記載の方法。
53.前記生物学的試料が、癌もしくは腫瘍組織試料または癌細胞もしくは腫瘍細胞である、項52記載の方法。
54.前記生物学的試料が、バイオプシー組織試料である、項52記載の方法。
55.前記癌が、卵巣癌細胞、外陰上皮癌細胞、子宮頸癌細胞、子宮内膜腺癌細胞、および卵巣腺癌細胞である、項37記載の方法。
56.前記癌が、乳癌、肺がん、頭部および頸部癌、膀胱癌、胃癌、神経系の癌、骨肉腫、骨髄癌、脳腫瘍、結腸癌、食道癌、子宮内膜癌、胃腸癌、歯肉癌、腎臓癌、肝臓癌、鼻咽頭癌、卵巣癌、前立腺癌、皮膚癌、胃がん、精巣癌、舌癌、メラノーマ、眼メラノーマ、または子宮癌からなる群から選択される、項37記載の方法。
57.前記癌が、パクリタキセルまたはドキソルビシン耐性癌である、項49記載の方法。
58.前記投与が、静脈内、皮膚内、筋肉内、動脈内、病巣内、経皮、もしくは皮下であるか、またはエアロゾル投与による、項37記載の方法。
59.前記投与が予防的投与である、項37記載の方法。
60.前記投与が治療的投与である、項37記載の方法。
61.前記対象が哺乳動物である、項37記載の方法。
62.前記対象がヒトである、項61記載の方法。
63.少なくとも1つの付加的な剤が、前記組換えヒトMISの投与と組み合わせて(たとえば前、間、または後に)、対象に投与される、項37記載の方法。
64.前記付加的な剤が、治療剤または化学療法剤である、項63記載の方法。
65.前記化学療法剤が、パクリタキセル、シスプラチン、ドキソルビシン、ラパマイシン、およびピラゾロアントロンからなる群から選択される、項64記載の方法。
66.前記化学療法剤が、放射線治療剤である、項64記載の方法。
67.前記化学療法剤が、ピラゾロアントロンである、項64記載の方法。
68.前記ピラゾロアントロンが、アントラ(1,9-cd)ピラゾール-6(2H)-オン(SP600125)またはその機能的誘導体もしくは機能的類似体である、項67記載の方法。
69.癌の治療のための化学療法剤の投与量を減少させる方法であって、該方法は、治療的有効量の組換えMISタンパク質を対象に投与する段階を含み、ここで、該組換えMISタンパク質は、配列番号:1のアミノ酸450のQからRへの改変を含み、かつ、該組換えMISタンパク質の存在下での化学療法剤の治療的有効量が、該化学療法剤のみの治療的有効量と比べて少ない、方法。
70.前記組換えMISタンパク質が、タグタンパク質をさらに含む、項69記載の方法。
71.癌を治療するための薬剤の製造のための組換えMISタンパク質の使用であって、該組換えMISタンパク質は、配列番号:1のアミノ酸450のQからRへの改変を含み、かつ、前記癌が、ミュラー管抑制物質(MIS)レセプターを発現する、使用。
72.前記組換えMISタンパク質が、タグタンパク質をさらに含む、項71記載の使用。
73.前記ミュラー管阻害物質(MIS)レセプターが、MISタイプIIレセプターまたはその相同体もしくは機能的フラグメントである、項71記載の使用。
74.パッケージング材料と、項1〜21のいずれか一項記載の組換えMISタンパク質を含む薬学的組成物と、を含む製造品であって、該パッケージング材料は、該薬学的組成物が、ミュラー管阻害物質(MIS)レセプターを発現する癌を治療し、またはそのリスクを軽減するために、十分な投与量で十分な期間、投与することができることを示すラベルを含む、製造品。
75.癌を患う対象を治療する方法であって、該方法は、対象から得られた生物学的試料においてミュラー管阻害物質レセプターII(MISRII)の発現および/または活性を評価する段階を含み、ここで、臨床医がその結果を検討し、その結果がMISRIIの発現および/または活性の存在を示す場合に、臨床医が項22または35記載の薬学的組成物での治療を対象に指示する、方法。
76.前記生物学的試料が、組織試料である、項75記載の方法。
77.前記組織試料が、癌もしくは腫瘍組織試料または癌細胞もしくは腫瘍細胞である、項76記載の方法。
78.前記生物学的試料が、バイオプシー組織試料である、項76記載の方法。
79.前記癌が、卵巣癌細胞、外陰上皮癌細胞、子宮頸癌細胞、子宮内膜腺癌細胞、および卵巣腺癌細胞である、項75記載の方法。
80.前記癌が、乳癌、肺がん、頭部および頸部癌、膀胱癌、胃癌、神経系の癌、骨肉腫、骨髄癌、脳腫瘍、結腸癌、食道癌、子宮内膜癌、胃腸癌、歯肉癌、腎臓癌、肝臓癌、鼻咽頭癌、卵巣癌、前立腺癌、皮膚癌、胃がん、精巣癌、舌癌、メラノーマ、眼メラノーマ、または子宮癌である、項75記載の方法。
81.必要とする対象において1または複数のアンドロゲンの血漿血清レベルを減少させるための組換えMISタンパク質の使用であって、該組換えMISタンパク質は、配列番号:1のアミノ酸450のQからRへの改変を含む、使用。
82.前記組換えMISタンパク質が、タグタンパク質をさらに含む、項81記載の使用。
83.1または複数のアンドロゲンがテストステロンである、項81記載の使用。
84.前記必要とする対象が、良性前立腺肥大を有する、項81記載の使用。
85.前記必要とする対象が、前立腺癌を有する、項81記載の使用。
86.前記必要とする対象が、多嚢胞卵巣疾患、および/または思春期早発症を有する、項81記載の使用。
87.前記必要とする対象が、良性前立腺過形成(BPH)、前立腺癌、精巣癌、アンドロゲン依存性アクネ、男性型はげ頭症、思春期早発症、高アンドロゲン血症、多毛症、男性化、多嚢胞性卵巣症候群(POCS)、高アンドロゲン血症(HA)、およびインスリン抵抗性(IR)、ならびに黒色表皮(AN) (HIAR-AN)症候群、卵巣卵胞膜細胞増殖症、卵胞成熟抑止、閉鎖症、無排卵、月経困難症、機能不全性子宮出血、不妊症、ならびにアンドロゲン生産性腫瘍からなる群から選択される疾患または障害を有する、項81記載の使用。
88.アンドロゲン依存性を特徴とする疾患または障害を治療するための方法であって、該方法は、項22または35記載の薬学的組成物の有効量を対象に投与する段階を含み、ここで、該薬学的組成物は、対象の血漿血清中の少なくとも1のアンドロゲンのレベルを減少させ、アンドロゲン依存性を特徴とする疾患または障害の少なくとも1の症状の減少を引き起こす、方法。
89.対象において1または複数のアンドロゲンの血漿レベルを減少させるための方法であって、該方法は、有効量の組換えMISタンパク質を投与する段階を含み、ここで、該組換えMISタンパク質は、配列番号:1のアミノ酸450のQからRへの改変を含み、ここで、該組換えMISタンパク質は、対象において1または複数のアンドロゲンの血漿血清レベルを減少させる、方法。
90.前記組換えMISタンパク質が、タグタンパク質をさらに含む、項89記載の方法。
91.前記対象が、アンドロゲン依存性を特徴とする疾患または障害を有する、項89記載の方法。
92.前記疾患または障害が、良性前立腺過形成(BPH)、前立腺癌、精巣癌、アンドロゲン依存性アクネ、男性型はげ頭症、思春期早発症、高アンドロゲン血症、多毛症、男性化、多嚢胞性卵巣症候群(POCS)、高アンドロゲン血症(HA)、およびインスリン抵抗性(IR)、ならびに黒色表皮(AN) (HIAR-AN)症候群、卵巣卵胞膜細胞増殖症、卵胞成熟抑止、閉鎖症、無排卵、月経困難症、機能不全性子宮出血、不妊症、ならびにアンドロゲン生産性腫瘍からなる群から選択される、項89〜91のいずれか一項記載の方法。
93.項1〜21のいずれか一項記載の組換えMISタンパク質と、薬学的に許容可能な担体と、含むキット。
94.癌の治療またはアンドロゲン依存性疾患の治療のための組換えMISタンパク質の使用の説明書を任意にさらに含む、項93記載のキット。
本発明は、以下の詳細な記載および詳細な実施例を引用して、より十分に理解され得る。これらは、本発明の非限定的実施例を例証することを意図する。
以下の実施例は、詳述する目的のみのために供され、発明の範囲を限定することを意図しない。
本発明の記載は、詳述および記載の目的のために供されているが、本発明を網羅およびその開示される形態に限定することを意図しない。本発明の範囲は、以下の請求項の範囲にのみ限定される。多くの改変およびバリエーションが当業者に明らかであろう。図に記載され、示される実施形態は、本発明の原理、実際の適用を最も良く説明するため、ならびに、考慮される特定の用途に適合するような種々の改変を加えて種々の実施形態について当業者が本発明を理解するために選択され、記載される。
材料および方法
構成物およびプラスミドのクローニング
MISのゲノム配列を伴うWT-MIS: pBG311 ベクター。そのベクターは、先に記載される(Cate et al, 1986)ように作成した。要約すると、ヒトMISのゲノム配列は、ウシcDNAプローブを用いてヒトコスミドライブラリから単離されたchMIS33からのpBG311発現ベクターにサブクローン化した (Cate et al. 1986)。
ネイティブMISリーダー配列、改変切断部位、およびflagを伴うMIS cDNAを含むRF-MIS: pcDNA 3.1 および pAAV-IRES-NEO ベクター。先に記載(Papakostas et al, 2010)されるFLAG標識化全長ヒトMIS cDNA配列を含むpcDNA3.1ベクター中に存在するMISのコーディング配列を、ECORV部位で pAAV-IRES-Neo発現ベクターにサブクローン化した。そのコーディング配列は、位置428(RARR/S) (配列番号:27)において改変切断部位の後に挿入されたFLAGエピトープを含む(Papakostas et al, 2010)。
ヒト血清アルブミンリーダー配列および改変切断部位を伴うMIS cDNAを含むLR-MIS: pcDNA 3.1 ベクター。先に記載(Papakostas et al, 2010)されるような、改変切断部位を含む全長ヒトMIS cDNA配列を含むpcDNA3.1ベクターを、アルブミンリーダー配列を組み込むために用いた。アルブミンリーダーは、EcoRV部位を含むフォワードプライマー:
Figure 2016518325
(太線で示すリーダー配列をコードする核酸を伴う)およびMISの位置451〜432のバックワードプライマー:
Figure 2016518325
を用いてMISリーダーの場所にクローン化した。
ヒト血清アルブミンリーダー配列、改変切断部位、およびFlagタグを伴う、MIS cDNAを含むLRF-MIS: pcDNA 3.1 ベクター。先に記載(Papakostas et al, 2010)されるような、改変切断部位およびflagタグを含む全長ヒトMIS cDNA配列を含むpcDNA3.1 ベクターを上述のように、アルブミンリーダー配列を組み込むために用いた。
トランスフェクションおよびクローニング
Wild-type MIS (WT-MIS)。pSV2DHFRを伴うWT-MIS 構成物 (pBG311) を、DHFR-CHO細胞中に先にトランスフェクトし、B9クローンを、先に記載(Cate et al, 1986)されるように、最も高い発現体(expresser)として選択した。
RARR/S-Flag MIS (RF-MIS) (配列番号:27に開示される"RARR/S"): RF-MIS 構成物 (pAAV-IRES-NEO内) を、製造元のプロトコルにしたがって、Fugene 6 (Roche)を用いてCHO-S 細胞にトランスフェクトし、クローンを安定に発現する CHO93 を、ウエスタンブロットにより決定した最も高い発現体としてジェネテシン選択 (550ug/ml) 下で選択した。
LR-MIS。The LR-MIS 構成物 (pcDNA3.1内)を、製造元のプロトコルにしたがって、lipofectamine 2000 (invitrogen)を用いて、 CHO-K1 細胞にトランスフェクトした。クローンを 800ug/ml のジェネテシン中で選択し、ウエスタンブロットにより決定した最も高い発現体 (LR8, 11 および 22) をさらなる研究のために選択した。
LRF-MIS。LRF-MIS 構成物(pcDNA3.1中)を、製造元のプロトコルにしたがって、lipofectamine 2000 (invitrogen)を用いて、 CHO-K1 細胞にトランスフェクトした。クローンを800ug/ml のジェネテシン中で選択し(G418)、ウエスタンブロットで決定した最も高い発現体 (LRF8, 18 および 22) をさらなる研究のために選択した。
培地および培養条件
B9 クローン。B9は、培地を3〜4日ごとに収集しながら、37Cで5% CO2中で数ヶ月、コンフルエントに維持した、5%メス胎仔ウシ血清(FFCS) (Biologos)、0.24μM メトトレキセート、2nM グルタミン、100U/ml ペニシリン、および100ug/ml ストレプトマイシン (Invitrogen) を補給した250ml のアルファ MEM-を含むローラーボトル(1700cm2)中で増殖させる。産物をモニターおよび測定するために、培地をウエスタンおよびMIS ELISAによりスクリーニングする。
CHO93 クローン。CHO93 は、培地を3〜4日ごとに収集しながら、37Cで5% CO2中で数ヶ月、コンフルエントに維持した、10% FFCS , 550ug/ml のジェネテシン、2nM グルタミン、100U/ml ペニシリン、および100ug/ml ストレプトマイシン (Invitrogen) を補給した250ml のDMEM:F12を含むローラーボトル(1700cm2)中で増殖させる。産物をモニターおよび測定するために、培地をウエスタンおよびMIS ELISAによりスクリーニングする。
LR8, 11, 22 および LRF8, 18, 22 クローン。LR および LRF クローンの両方は、培地を7日ごとに収集しながら、37Cで5% CO2中で数ヶ月、コンフルエントに維持した、10% FFCS , 800ug/ml のジェネテシン、2nM グルタミン、100U/ml ペニシリン、および100ug/ml ストレプトマイシン (Invitrogen) を補給した250ml のDMEMを含むローラーボトル(1700cm2)中で増殖させる。産物をモニターおよび測定するために、培地をウエスタンおよびMIS ELISAによりスクリーニングする。
MISの精製
イムノアフィニティー抗Flagビーズを用いる精製。Flagタグを含むRF-MISおよびLRF-MISは、上述の通り、CHO (CHO93, LRF8, LRF18, LRF22)の安定に発現するクローンのローラーボトルから収集された血清含有培地から単離される。収集された培地は、死んだ細胞を捨てるために遠心沈殿させ、その上清は500mL容器に収集され、精製まで-20Cで保存される。精製のため、培地は4Cで一晩、解凍され、次に、抗FLAGアガロースビーズ(SIGMA, 500μl パックビーズ/500ml 培地)とともにインキュベートされ、4Cで一晩、回転しながら混合される。次に、ビーズは13000rpm、10秒で、沈殿され、冷たい1X Tris緩衝塩類溶液(TBS)(SIGMA)で広範(7X)に洗浄される。すべての試薬は氷上に維持される。RF-MISおよびLRF-MISは、回転しながら、45分、25Cで1X TBS中の50μg の 3X FLAG ペプチド (SIGMA)/500μl ビーズで溶出される。ビーズは、3000 rpm,、10秒、室温で遠心沈降され、FLAG MISを含む上清が収集され、等分され、後の使用のため-80Cで、低タンパク質結合エッペンドルフチューブ(VWR)内で保存される。
抗MIS 6E11イムノアフィニティーカラムを用いる精製
6E11 MIS モノクローナル抗体カラムを、先に記載(Ragin et al, 1992)されるように作成した。要約すると、5ml イムノアフィニティーカラムを、製造元の説明にしたがって、5mL充填Affigel-10アガロース樹脂(Biorad Laboratories, Richmont, CA)に共有結合させた、先に記載[Ragin 1992, Hudson 1990]された約50mg のプロテイン A -セファロース (Sigma Chemical Co., St Louis, MO)- 精製マウスモノクローナル抗体抗ヒトrhMIS 抗体を用いて作成した(約80%カップリング効率)。そのカラムを、エタノールアミンで遮断し、50ml の 20mM 4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(Hepes), pH 7.4 で平衡化し、200 ml 濃縮 (10X, 無血清) 馴化培地を4oCで1 カラム vol/hでロードした。ローディングの後、カラムを10 カラム容量の20mM Hepes, pH 7.4で洗浄した。プレ溶出ステップは、 0.5M NaCl in 20mM Hepes, pH 7.4を含む1 カラム容量を用いた。結合したrhMISの溶出は、 20mM Hepes, pH 3.0中の1M酢酸を用いて行った。rhMISの大部分は、2mL空隙容量画分の後、2〜5mL画分中に溶出した。溶出された rhMIS は、NaOHでpH7.0〜7.4に直ちに中和した。酸で溶出された画分は、0.02M Hepes, pH7.4に対して一晩、透析した。得られた rhMIS を、Bradford 法 (Bradford, 1976)により全タンパク質について、酵素連結イムノアッセイ (Hudson 1990)によりrhMIS濃縮について分析し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(Weber 1969)、ウエスタンブロット分析(Towbin 1979)、インビトロミュラー管退行バイオアッセイおよび腫瘍抗増殖アッセイ (Chin 1991)により検査した。
電気泳動およびウエスタンブロット
サンプルを、1x Laemmli 緩衝液 (0.0625mM Tris pH 6.8, 2% (w/v) SDS stock, 10% (v/v) グリセロール, 0.002% (w/v) ブロモフェノールブルー) 中の100mM ジチオトレイトールで還元し、70 °C で10分、サーモブロック(thermoblock)上で熱変性させた。サンプルを、1X MES ランニング緩衝液 (Invitrogen)で130Vで、4〜12% Tris-Bis NuPage Novex "mini" ゲル (Invitrogen)を走らせた。ゲルをクーマシィー染色(H2O中0.3% ブリリアントブルー R-250, 45% メタノール, 10% 酢酸)で室温で15分、撹拌しながら染色した。次に、それらを、脱染色液(H2O中20%メタノール, 10% 酢酸)とともに、室温で一晩、撹拌した。
ウエスタンブロット分析のため、ゲルを、先に25Vで45分、さらに35Vで45分、12% (v/v)メタノールを含む1x NuPage転移緩衝液(Invitrogen)で平衡化したPVDF (Millipore)膜に移した。膜を、室温で30分、5%の脂肪のないドライミルクを含む1x PBS, 0.1% Tween-20 でブロックし、セイヨウワサビペルオキシダーゼ接合マウスモノクローナルanti-FLAG M2 抗体 (SIGMA) (1:1000), ヤギ C20 抗-MIS c-末端抗体 (Santa Cruz) (1:200) またはウサギ MGH4 抗-MIS n-末端 MIS 抗体 (custom) (1:1000)で探索した。ブロットを1x PBS, Tween-20 0.1%で、それぞれ5分、室温で2回、洗浄し、必要に応じて適切な二次抗体とともにインキュベートし、そして、3回(5分)、洗浄した。タンパク質のバンドを、ECLキット検出システム(Perkin-Elmer)でKodak Biomax MR フィルム上に可視化した。
動物および器官培養
ミュラー管阻害物質(MIS)のための標準的な器官培養バイオアッセイは、先に記載(Donahoe, 1977)されるように行った。要約すると、E14.5 (Harlan)において時間指定の妊娠したラットからのメスの尿生殖隆線を切断し、10% FFCS (オス血清中のウシMISの効果を避けるため), 1% ペニシリン/ストレプトマイシン, 1% L-グルタミン, 1% Fungizone (Invitrogen), および 1 nM テストステロン (Sigma)を補給した強化Cambridge Medical Research Laboratories (CMRL) 1066 培地 (Life Technologies)上にマウントした寒天コートステンレススチールグリッド上で培養した。37°Cでの加湿5% CO2中で72時間のインキュベーションの後、試料をZamboni 緩衝液 (15% ホルムアルデヒド溶液, および 5% ピクリン酸)中に固定化し、パラフィン中に包埋し、頭端の8-um 切片をヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。次にその切片を2人の経験豊富な観察者により、0 (退行なし)〜5 (完全な退行)まで、スコアリングした。培養は、5μg/mlの最終濃度で、精製RF-MIS, LRF-MIS または WT-MISで、ならびに3, 2, および 1μg/mlのより低い投与量で行った。
実施例1
前臨床の効能のためのミュラー管阻害物質(MIS)タンパク質の精製(Pieretti-Vanmarcke et al. 2006)は、主に、ゲノムクローンをトランスフェクトしたCHO細胞からの馴化培地から行われている(Cate et al. 1986)。次に、その培地を、マウスモノクローナル抗体(Hudson et al. 1990)を用いてイムノアフィニティー精製し(Ragin et al. 1992)、または連続的なクロマトグラフィーにより精製した(Lorenzo et al. 2002)。生物学的活性を、胚器官培養ミュラー管退行アッセイ(Donahoe et al. 1977)において検出し、免疫活性を、ヒトMISに対して生じたモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体を用いて、ELISAにより検出した(Hudson et al. 1990)。つぎに、トランスフェクトしたCHO細胞を無血清条件および懸濁培養(MacLaughlin/Stafford/Dean, Donahoe unpublished)に順応させ、上述の通り、クローン選択し、スケールし、精製した。ウエスタン分析は、ホモダイマー化したC末端生物活性成分を作り出す25〜30%の切断を確認した。その成分は、アミノ酸残基426〜427のKex様第1切断部位、およびアミノ酸位置229〜230の第2切断部位での切断を伴い、ホモダイマー化したN末端と非共有結合での会合において維持された。70, 55, 34, 24, および 12.5 kDaにおける還元電気泳動ゲル上のバンドは、すべて、アミノ酸配列決定(Ragin et al. 1992; Lorenzo et al. 2002)により決定して、予想されるKexおよび二塩基切断産物を代表する、MISフラグメントであった。
アミノ酸位置427における切断および第1切断部位を最適化するために、その認識配列を、二塩基切断部位:RAQR/R (配列番号:28)を形成するために変異誘発した。そのバリアントは生物活性であった (Kurian et al, 1994)。次に、位置425 (配列番号:1のアミノ酸残基450に対応)を、よりコンセンサスなKex切断部位(Nachtigal & Ingraham 1996) (Hosaka et al. 1991):RARR/S (配列番号:27)を形成するために変異誘発した。8アミノ酸Flag (DYKDDDDK) (配列番号:8)タグを、検出および精製において補助するためにC末端における第1のセリンのすぐ下流に加えた。このバリアントの発現は、改良された切断および増加した生物活性を引き起こした。比較により、C末端アルギニン(Kurian et al 1994)の後にFlagがあった場合、この構成物により生産されたタンパク質は生物不活性であった(Papakostas et al 2010)。これにより、セリンは生物活性の保存ために重要であるようであった。RARR/S (配列番号:27) Flag 構成物 (Papakostas et al 2010) をCHO 細胞にトランスフェクトし、切断の改良および生物活性の保存を確認した (Papakostas et al, 2010)。切断部位の改変は、切断を50〜-60%にわたって増加させた(Papakostas et al, 2010)。
発現をスケールするため、MIS RARR/S (SEQ ID NO: 27) Flag 構成物を、内因性MISリーダー配列をヒト血清アルブミン(HSA)のものに置換するよう、さらに改変した。HASは、血漿内で最も豊富なタンパク質であり、肝臓内で極めて高比率で生産され、3.4 〜 5.4g/dL の範囲の血中濃度を達成する(Farrugia 2010)。HASの生産およびプロセッシングは、細かく調製されて、効率的な成熟化およびタンパク質の分泌を可能にする。HASは、MISと同様に、成熟化の間に後に切断されるリーダー配列を含むプレプロタンパク質として合成される。このHASリーダー配列は、24AAのみからなり、ヒトにおいて免疫原性でなく、タンパク質のプロセッシングの間に除去される。本明細書において、本発明者らは、MISリーダー配列のHSAのものでの置換が、組換えヒトMIS産物の能力の増加と相関して、生産を増加させ、予期せぬことに、切断を増加させることを証明する。
実施例2
ヒト組換えMISの生産をスケール・アップするための以前の努力は、pcDNA3.1 (Papakostas et al, 2010)に挿入された位置427/428における改変された切断部位でhMISのcDNAを特徴づける新しい構成物の開発を導いた。内因性RAQR/S (配列番号:26) (構成物中 R として示す)を改変RARR/S (配列番号:27)で置換し、Flagタグを切断部位(構成物中 F として示す)のすぐ下流に挿入することにより(表1)(図1)、本発明者らは、標識されたC末端の切断の増加を証明した(Papakostas et al, 2010)。さらに、組換え RARR/S-Flag MIS (配列番号:27に開示される"RARR/S") (本明細書において"RF-MIS"として記す)タンパク質は、胎仔ラット尿生殖隆線アッセイにおいて生物活性を保持した (Papakostas et al, 2010)。低い発現収率を克服するため、RF-MISのバックボーンベクターを、pAAV-IRES-Neoに切り替え、CHO-S細胞にクローン化し、高ジェネテシン(Geneticin)濃度下でスクリーニングした。得られた発現ベクターは、多シストロン性であり、MISの下流のネオマイシン耐性カセットの発現を駆動して、高発現体(high expressers)のより優れた選択を許容する、内部リボソーム侵入部位(IRES)を含む。最も高い発現クローン、CHO93を、次に、ローラーボトルを用いる生産のためにスケール・アップし、組換え RF-MISを、高flag M2イムノアフィニティービーズを用いて精製した(表2)。しかしながら、RF-MISは、活性C末端の切断を増加させ、重要なのは、内部の潜在的な切断をより少なくした(図2)(図3)が、cDNAクローンCHO93の収率および生産(0.16pg/cell/day)はゲノムクローンB9(10.59pg/cell/day)のそれよりかなり低いままであった(表3)。ただし、これが、発現ベクター、CHO細胞、薬剤選択の性質、または生産されたメッセージのタイプ(cDNA対ゲノムMIS)のせいであるか否かは不明である。
生産を改良するため、pcDNA3.1ベクター中のもとの R-MIS および RF-MIS 構成物を、HSAリーダー配列(プレプロペプチド)(構成物中Lとして示す)の24AAを、MISリーダーの25AAに置換することにより改変し、"LR" および "LRF"構成物を作り出した(表1)(図1)。
(表1)MIS野生型配列への改変および対応する命名のリスト
Figure 2016518325
HSA リーダー配列融合物は、組換えインターロイキン(Carter et al, 2010) および TNF-アルファ (Maeda Y et al 1997)の生産を増加させることが示されており、発現およびスケールするのが困難な場合にタンパク質を生産するための方法として示唆されている。さらに、HSAは、Pichia pastorisとの酵母発現系におけるヒトリゾチームのような融合タンパク質の分泌を増強することも知られている(Xiong et al, 2008)。CHOK1における3つの最も高い安定して発現するクローンをさらなる分析のために選択した: LR8/11/18 および LRF8/18/22 (図2)。クローニング効率および発現レベルの両方が、LRFクローンよりもLRクローンについて大きく、このことは、Flagが、発現をより非効率的にし得ることを示唆する。CHO93と同様に、すべてのLRおよびLRFクローンは、B9により生産された野生型(WT-MIS)と比べた場合、位置299における内部的な潜在的な切断からのペプチドフラグメントを減少させた。予期せぬことに、それらは、切断されたC末端のより大きな割合を有するようでもある(図2および3)。この増加した切断は、トランス・ゴルジ網および分泌ベシクルへの輸送における効率的なプロセッシングのためのアルブミンリーダーへの強力な進化的圧力によって説明することができよう。なぜなら、アルブミンは、MISよりかなり高い比率で内因的に分泌されるからである (Rothschild et al. 1988)。LRF18をキャラクタリゼーションのために選択した。なぜなら、それは、最も高く発現するLRFクローンであり、Flagタグを用いて精製および追跡できるからである(表2)。
(表2)MISを生産する構成物および細胞系クローン、ならびに対応する精製法のリスト
Figure 2016518325
フラスコ内で24時間、培養した後、MISの濃度は、ELISAにより検出して、クローンの培地における濃度(LR8: 3.04μg/ml; LR11: 11.66μg/ml; LR22: 6.28μg/ml)よりも、B9 (WT-MIS)の培地(15μg/ml)においてより高い(表3)。LRの最も高く生産するクローンLR11は、3.24pg/細胞/日でMISを分泌し、WT クローン B9 は、10.58pg/細胞/日を生産した。しかしながら、LR11細胞は、かなりよりコンパクトな様式で増殖し、逆に、LRFの最も高く発現するクローンLRF18は、(0.67μg/ml) および (0.15pg/c細胞/日)のRF-MIS (CHO93) より高い濃度 (1.1μg/ml) およびより高い生産 (0.26pg/細胞/日) を有する(表3)。これにより、HSAリーダーの付加は、flag標識化MISの生産は増加させるが、非標識産物はそうでない。しかしながら、flag標識化構成物は、明らかに、非標識のものほど多くを生産しないので、flagタグは、タンパク質安定性または発現を妨害し得る。クーマシー染色およびウエスタンブロットは、抗flagイムノアフィニティー精製によりLRF18から精製された産物は、抗MISアフィニティー精製を用いてWT-MIS(B9)から精製されたMISより、内部切断(Ragin 1992)の代表的なバンドが少ないことを示す(図3)。
(表3)種々の構成物からのMISからの精製収率
Figure 2016518325
MISのC末端は以前に活性成分であることが示されている (Pepinski 1988, Maclaughlin et al 1992)ので、増加した切断は、ラットUGRアッセイにおけるより大きい生物活性と相関するはずである。本明細書において、本発明者らは、LRF-MISが、5μg/ml (35μM)でミュラー管を十分に退行させることができ、部分的な退行しか示さないこれらの濃度のRF-MISおよびWT-MISより大きい活性を示すことを証明する(図4)。さらに、LRF-MISは、その濃度ではWT-MISはもはやいずれの活性もしめさない2μg/mlまで低い、より低い投与量でさえ、十分な退行を示し続ける(データなし)。したがって、LRF-MIS組換えヒトMISタンパク質におけるリーダー配列(L)の存在は、RF-MIS構成物と比べて、ミュラー管の退行を投与量依存での減少を引き起こし、このことは、この構成物が、RF-MIS構成物より高い能力を有し、より活性であることを示す。
まとめると、本発明者らは、本明細書において、LR産物が、増加した切断およびより高い生物活性または能力を有し、より高い生産の収率を引き起こすことを証明する。
したがって、本発明者らは、HSAリーダー配列が、驚くことに、組換えヒトMISタンパク質の増加した収率(より高い濃度およびより高い生産の両方)を引き起こしたことを証明する(図2および3を参照)。さらに、HASリーダー配列の存在は、(配列番号:1の451/452の切断(または野生型ヒトMISタンパク質の慣用的なアミノ酸命名法の426/427)に対応する)第1切断部位からの切断の予期せぬ増加も引き起こした(図2および3を参照)。収率が増加すると(それゆえ、より多くのタンパク質が細胞により生産されると)、利用できる切断酵素の活性が飽和して拡大しすぎるため切断は減少するであろうと予想されるので、この増加した収率および増加した切断は驚きであった。しかしながら、そうではなく、実際に、予想と反対に、タンパク質生産の増加とともに、第1切断部位からの切断の増加が起こった。
リーダー配列は、典型的には、プロタンパク質MISの翻訳後切断の前に最初に切断されるので、MISの第1切断部位の切断部位の近くのいずれの場所にも位置しないリーダー配列の効果が、増加した切断に効果を有すると予測されなかったので、これは特に予想されないことである。
さらに、リーダー配列は、(通常の野生型MISナンバリングのアミノ酸残基229/230の間に位置する、または配列番号:1の残基254/255に対応する)第2の切断部位からの切断の減少も引き起こす。これも、第2の切断部位への改変は存在しないことを考えると、驚くべきことである。
さらに、リーダー配列の存在は、FLAGタグが組換えヒトMISタンパク質中に存在する場合でさえ、生産および収率を増加させた。(FLAGタグは、表3に示すように、収率を有意に減少させる)。これもまた、リーダー配列はFLAGタグの近くのどこにも位置しないので、驚くべき発見であった。リーダー配列へのこのような改変が、FLAGタグを含むタンパク質の生産収率を増加させることは予測されないことであろう。
実施例3
LR11は、250mLのDMEMを有する5層フラスコ中、または37Cで5% CO2中で数ヶ月間、コンフルエントに維持した10% FFCS、800ug/ml のジェネテシン(geneticin)、 2nM グルタミン、100U/ml ペニシリン、および100ug/ml ストレプトマイシン (Invitrogen)を補給した500ml 培地を含む10層フラスコ中で増殖させる。1週間後に、培地を、72時間、FFCSを除きそれを非必須アミノ酸 (NEAA) およびITS (インスリン、トランスフェリン(transferring)、セレン)補給物で置き換えた無血清培地に置き換える。次に、培地を、接線流浸透膜を用いて10倍に濃縮する、これらの方法を用いて、4〜5ug/mlの培地を、25〜50ug/mlに濃縮する。LR-MISの有効な精製収率は約30%に達する。
(表4)新しい無血清培地精製プロトコルを用いる種々の構成物からのMISからの精製収率
Figure 2016518325
参照文献
本明細書に引用される出願および特許のそれぞれ、ならびに(それぞれの発行された特許の遂行の間を含む)その出願および特許の各々において引用されるそれぞれの文献および引用、ならびにこれらの出願および特許のいずれかに対応する、および/またはそれから優先権を主張するPCTおよび外国出願もしくは特許、ならびにそれぞれの出願に引用される文献において記載または引用される文献のそれぞれは、明示的に、引用により本明細書に組み込まれ、本発明の実施に用いることができる。より一般的には、文献または引用は、請求項の前の参照文献のリスト(Reference List)において、または本明細書において引用され、これらの文献および引用(本明細書の引用文献)のそれぞれ、ならびに本明細書の引用文献のそれぞれにおいて引用されるそれぞれの文献または引用(いずれかの製造元の明細書、説明書等を含む)は、明示的に引用により本明細書に組み込まれる。
Figure 2016518325
Figure 2016518325
配列表:
配列番号:1 MIS(560AA)-アミノ酸配列(下線はネイティブMISリーダー配列を示す)
Figure 2016518325
配列番号:2 LR(559AA)-太字はアルブミンリーダー配列を示し、下線は改変切断部位を示す。
Figure 2016518325
配列番号:3 LRF(567AA)-イタリックはFLAGタグ(DYKDDDDK(配列番号:8))を示す。
Figure 2016518325
配列番号:4 LR-核酸配列
Figure 2016518325
配列番号:5 LRF-核酸配列
Figure 2016518325
配列番号:6 HSAリーダー配列(アミノ酸配列)
Figure 2016518325
配列番号:7 HSAリーダー配列(核酸配列)
Figure 2016518325
配列番号:8 FLAGタグ(アミノ酸配列)
Figure 2016518325
配列番号:9 FLAGタグ(核酸配列)
Figure 2016518325

Claims (89)

  1. 改変のないものと比べて切断を増加させるために、配列番号:1のアミノ酸1〜25のMISリーダー配列の代わりの非MISリーダー配列またはその機能的フラグメントと、配列番号:1の残基447〜451の間の少なくとも1つのアミノ酸の改変と、の組み合わせを含む組換えミュラー管抑制物質(MIS)タンパク質であって、該組換えMISタンパク質が、配列番号:1のアミノ酸残基に対応する野生型MISタンパク質と比べて、インビトロにおいて、増加した切断および増加した生産の収率を有する、組換えMISタンパク質。
  2. 前記組換えMISタンパク質が、タグタンパク質をさらに含む、請求項1記載の組換えMISタンパク質。
  3. 前記組換えMISタンパク質が、改変のないものと比べて切断を増加させるために、配列番号:1のアミノ酸1〜25のMISリーダー配列の代わりの少なくとも非MISリーダー配列またはその機能的フラグメントと、配列番号:1の残基447〜451の間の少なくとも1つのアミノ酸の改変と、を含む、請求項1記載の組換えMISタンパク質。
  4. 前記非MISリーダー配列が、アルブミンリーダー配列またはその機能的フラグメントである、請求項1記載の組換えMISタンパク質。
  5. 前記アルブミンリーダー配列が、ヒト血清アルブミン(HSA)リーダー配列またはその機能的フラグメントである、請求項4記載の組換えMISタンパク質。
  6. 前記HSAリーダー配列が、配列番号:6またはそれに少なくとも80%相同であるバリアントのアミノ酸配列を含む、請求項5記載の組換えMISタンパク質。
  7. 前記HSAリーダー配列のフラグメントが、配列番号:6またはそれに少なくとも80%相同であるバリアントの少なくとも10アミノ酸を含む、請求項5記載の組換えMISタンパク質。
  8. 前記HSAリーダー配列が、配列番号:6またはそれに少なくとも80%相同であるバリアントの少なくとも15アミノ酸を含む、請求項5記載の組換えMISタンパク質。
  9. 前記HSAリーダー配列が、配列番号:6またはそれに少なくとも80%相同であるバリアントの少なくとも11アミノ酸を含む、請求項5記載の組換えMISタンパク質。
  10. 前記HSAリーダー配列のフラグメントが、
    Figure 2016518325
    からなる群から選択される、請求項5記載の組換えMISタンパク質。
  11. 前記非MISリーダー配列が、組織型プラスミノーゲンアクティベータープロペプチドに融合したイムノグロブリンシグナルペプチド(IgSP-tPA)、ネズミイムノグロブリンシグナルペプチド(IgSP)、MPIF-1シグナル配列
    Figure 2016518325
    、スタニオカルシン(stanniocalcin)シグナル配列
    Figure 2016518325
    、インベルターゼシグナル配列
    Figure 2016518325
    、酵母接合因子アルファシグナル配列(K.ラクティス(K. lactis) キラートキシンリーダー配列)、ハイブリッドシグナル配列
    Figure 2016518325
    、HSA/MFα-1 ハイブリッドシグナル配列
    Figure 2016518325
    、K. lactis キラー/ MFα-1融合リーダー配列
    Figure 2016518325
    、イムノグロブリンIgシグナル配列
    Figure 2016518325
    、フィブリンB前駆体シグナル配列
    Figure 2016518325
    、クラステリン前駆体シグナル配列
    Figure 2016518325
    、およびインスリン様成長因子結合タンパク質4シグナル配列
    Figure 2016518325
    、またはこれらのフラグメントからなる群から選択される、請求項1記載の組換えMISタンパク質。
  12. その改変がないものと比べて切断を増加させるためにQからRへの配列番号:1のアミノ酸449の改変を含む、請求項1記載の組換えMISタンパク質。
  13. その改変がないものと比べて切断を増加させるためにSからRへの配列番号:1のアミノ酸451の改変をさらに含む、請求項1記載の組換えMISタンパク質。
  14. 前記タグがFLAGタグである、請求項1記載の組換えMISタンパク質。
  15. 前記FLAGタグが、アミノ酸配列
    Figure 2016518325
    、またはその機能的フラグメントもしくはバリアントを含む、請求項14記載の組換えMISタンパク質。
  16. 前記FLAGタグが、配列番号:1のアミノ酸残基451の後、配列番号:1のアミノ酸残基452の前に位置する、請求項14記載の組換えMISタンパク質。
  17. 前記FLAGタグが、配列番号:1のアミノ酸残基451〜452の間に位置する、請求項14記載の組換えMISタンパク質。
  18. 配列番号:2のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを含む、請求項1記載の組換えMISタンパク質。
  19. 配列番号:3のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを含む、請求項1記載の組換えMISタンパク質。
  20. 配列番号:4の核酸配列によりコードされる、請求項18記載の組換えMISタンパク質。
  21. 配列番号:5の核酸配列によりコードされる、請求項19記載の組換えMISタンパク質。
  22. 請求項1〜21のいずれか一項記載の組換えMISタンパク質と、薬学的に許容可能な担体と、を含む薬学的組成物。
  23. 請求項1〜21のいずれか一項記載の組換えMISタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
  24. 前記ヌクレオチドが、配列番号:4、または配列番号:4の核酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチドに対応する、請求項23記載のポリヌクレオチド。
  25. 前記ヌクレオチドが、配列番号:5、または配列番号:5の核酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチドに対応する、請求項23記載のポリヌクレオチド。
  26. 請求項23〜25のいずれか一項記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  27. 前記ベクターがウイルスベクターまたは発現ベクターである、請求項26記載のベクター。
  28. 前記発現ベクターが、pcDNA3.1または細菌(たとえば大腸菌)もしくはバクテリオファージのためのcDNAもしくはゲノムベクターである、請求項27記載のベクター。
  29. 前記ウイルスベクターが、アデノウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、およびレンチウイルスベクターからなる群から選択される、請求項27記載のベクター。
  30. 前記核酸配列が、配列番号:4または配列番号:5の核酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有する組換えMISタンパク質またはその機能的フラグメントをコードし、かつ、前記核酸配列が、組織または細胞型特異的プロモーターに作用可能に連結されている、請求項26〜29のいずれか一項記載のベクター。
  31. 請求項1記載の組換えヒトMISタンパク質の翻訳後プロセッシングにより生産されたヒトMISタンパク質。
  32. 請求項26〜30のいずれか一項記載のベクターを含む宿主細胞。
  33. 請求項26〜30のいずれか一項記載のベクターと、薬学的に許容可能な担体と、を含む薬学的組成物。
  34. 請求項1〜21のいずれか一項記載の組換えヒトMISタンパク質から生産されたヒトMISタンパク質の精製された調製物。
  35. 癌を有する対象を治療するための方法であって、該方法は、組換えMISタンパク質を含む組成物を投与する段階を含み、ここで、該組換えMISタンパク質は、改変のないものと比べて切断を増加させるために、配列番号:1のアミノ酸1〜25のMISリーダー配列の代わりの非MISリーダー配列またはその機能的フラグメントと、配列番号:1の残基447〜451の間の少なくとも1つのアミノ酸の改変と、の組み合わせを含み、かつ、該組換えMISタンパク質は、配列番号:1のアミノ酸残基に対応する野生型MISタンパク質と比べて、インビトロにおいて、増加した切断および増加した生産の収率を有する、方法。
  36. 前記組換えMISタンパク質が、タグタンパク質をさらに含む、請求項35記載の方法。
  37. 前記組換えMISタンパク質が、改変のないものと比べて切断を増加させるために、配列番号:1のアミノ酸1〜25のMISリーダー配列の代わりの少なくとも非MISリーダー配列またはその機能的フラグメントと、配列番号:1の残基447〜451の間の少なくとも1つのアミノ酸の改変と、を含む、請求項35記載の方法。
  38. 前記非MISリーダー配列が、アルブミンリーダー配列またはその機能的フラグメントである、請求項35記載の方法。
  39. 前記アルブミンリーダー配列が、ヒト血清アルブミン(HSA)リーダー配列またはその機能的フラグメントである、請求項38記載の方法。
  40. 前記組換えMISタンパク質が、その改変がないものと比べて切断を増加させるためにQからRへの配列番号:1のアミノ酸449の改変を含む、請求項35記載の方法。
  41. 前記タグが、配列番号:8のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを含むFLAGタグである、請求項35記載の方法。
  42. 前記癌が、MIS応答性II癌である、請求項35記載の方法。
  43. 前記癌が、卵巣癌である、請求項35記載の方法。
  44. 前記癌が、化学療法耐性または多剤耐性癌である、請求項35記載の方法。
  45. 前記組換えMISタンパク質の投与が、付加的な剤の投与または癌治療の前、間または後に行われる、請求項35記載の方法。
  46. 前記癌が、ミュラー管阻害物質レセプターII(MISRII)を発現する、請求項35記載の方法。
  47. 前記ミュラー管阻害物質(MIS)レセプターの発現が、前記対象から得られた生物学的試料において測定される、請求項46記載の方法。
  48. 前記生物学的試料が、癌もしくは腫瘍組織試料または癌細胞もしくは腫瘍細胞である、請求項47記載の方法。
  49. 前記生物学的試料が、バイオプシー組織試料である、請求項47記載の方法。
  50. 前記癌が、卵巣癌細胞、外陰上皮癌細胞、子宮頸癌細胞、子宮内膜腺癌細胞、および卵巣腺癌細胞である、請求項35記載の方法。
  51. 前記癌が、乳癌、肺がん、頭部および頸部癌、膀胱癌、胃癌、神経系の癌、骨肉腫、骨髄癌、脳腫瘍、結腸癌、食道癌、子宮内膜癌、胃腸癌、歯肉癌、腎臓癌、肝臓癌、鼻咽頭癌、卵巣癌、前立腺癌、皮膚癌、胃がん、精巣癌、舌癌、メラノーマ、眼メラノーマ、または子宮癌からなる群から選択される、請求項35記載の方法。
  52. 前記癌が、パクリタキセルまたはドキソルビシン耐性癌である、請求項44記載の方法。
  53. 前記投与が、静脈内、皮膚内、筋肉内、動脈内、病巣内、経皮、もしくは皮下であるか、またはエアロゾル投与による、請求項35記載の方法。
  54. 前記投与が予防的投与である、請求項35記載の方法。
  55. 前記投与が治療的投与である、請求項35記載の方法。
  56. 前記対象が哺乳動物である、請求項35記載の方法。
  57. 前記対象がヒトである、請求項56記載の方法。
  58. 少なくとも1つの付加的な剤が、前記組換えヒトMISの投与と組み合わせて(たとえば前、間、または後に)、対象に投与される、請求項35記載の方法。
  59. 前記付加的な剤が、治療剤または化学療法剤である、請求項58記載の方法。
  60. 前記化学療法剤が、パクリタキセル、シスプラチン、ドキソルビシン、ラパマイシン、およびピラゾロアントロンからなる群から選択される、請求項59記載の方法。
  61. 前記化学療法剤が、放射線治療剤である、請求項59記載の方法。
  62. 前記化学療法剤が、ピラゾロアントロンである、請求項59記載の方法。
  63. 前記ピラゾロアントロンが、アントラ(1,9-cd)ピラゾール-6(2H)-オン(SP600125)またはその機能的誘導体もしくは機能的類似体である、請求項62記載の方法。
  64. 癌の治療のための化学療法剤の投与量を減少させる方法であって、該方法は、治療的有効量の組換えMISタンパク質を対象に投与する段階を含み、ここで、該組換えMISタンパク質は、配列番号:1のアミノ酸449のQからRへの改変と、配列番号:1のアミノ酸1〜25のMISリーダー配列の代わりの非MISリーダー配列またはその機能的フラグメントと、の組み合わせを含み、かつ、該組換えMISタンパク質の存在下での化学療法剤の治療的有効量が、該化学療法剤のみの治療的有効量と比べて少ない、方法。
  65. 前記組換えMISタンパク質が、タグタンパク質をさらに含む、請求項64記載の方法。
  66. 癌を治療するための薬剤の製造のための組換えMISタンパク質の使用であって、該組換えMISタンパク質は、配列番号:1のアミノ酸449のQからRへの改変と、配列番号:1のアミノ酸1〜25のMISリーダー配列の代わりの非MISリーダー配列またはその機能的フラグメントと、の組み合わせを含み、かつ、前記癌が、ミュラー管抑制物質(MIS)レセプターを発現する、使用。
  67. 前記組換えMISタンパク質が、タグタンパク質をさらに含む、請求項66記載の使用。
  68. 前記ミュラー管阻害物質(MIS)レセプターが、MISタイプIIレセプターまたはその相同体もしくは機能的フラグメントである、請求項66記載の使用。
  69. パッケージング材料と、請求項1〜21のいずれか一項記載の組換えMISタンパク質を含む薬学的組成物と、を含む製造品であって、該パッケージング材料は、該薬学的組成物が、ミュラー管阻害物質(MIS)レセプターを発現する癌を治療し、またはそのリスクを軽減するために、十分な投与量で十分な期間、投与することができることを示すラベルを含む、製造品。
  70. 癌を患う対象を治療する方法であって、該方法は、対象から得られた生物学的試料においてミュラー管阻害物質レセプターII(MISRII)の発現および/または活性を評価する段階を含み、ここで、臨床医がその結果を検討し、その結果がMISRIIの発現および/または活性の存在を示す場合に、臨床医が請求項22または33記載の薬学的組成物での治療を対象に指示する、方法。
  71. 前記生物学的試料が、組織試料である、請求項70記載の方法。
  72. 前記組織試料が、癌もしくは腫瘍組織試料または癌細胞もしくは腫瘍細胞である、請求項71記載の方法。
  73. 前記生物学的試料が、バイオプシー組織試料である、請求項71記載の方法。
  74. 前記癌が、卵巣癌細胞、外陰上皮癌細胞、子宮頸癌細胞、子宮内膜腺癌細胞、および卵巣腺癌細胞である、請求項70記載の方法。
  75. 前記癌が、乳癌、肺がん、頭部および頸部癌、膀胱癌、胃癌、神経系の癌、骨肉腫、骨髄癌、脳腫瘍、結腸癌、食道癌、子宮内膜癌、胃腸癌、歯肉癌、腎臓癌、肝臓癌、鼻咽頭癌、卵巣癌、前立腺癌、皮膚癌、胃がん、精巣癌、舌癌、メラノーマ、眼メラノーマ、または子宮癌である、請求項70記載の方法。
  76. 必要とする対象において1または複数のアンドロゲンの血漿血清レベルを減少させるための組換えMISタンパク質の使用であって、該組換えMISタンパク質は、配列番号:1のアミノ酸449のQからRへの改変と、配列番号:1のアミノ酸1〜25のMISリーダー配列の代わりの非MISリーダー配列またはその機能的フラグメントと、の組み合わせを含む、使用。
  77. 前記組換えMISタンパク質が、タグタンパク質をさらに含む、請求項76記載の使用。
  78. 1または複数のアンドロゲンがテストステロンである、請求項76記載の使用。
  79. 前記必要とする対象が、良性前立腺肥大を有する、請求項76記載の使用。
  80. 前記必要とする対象が、前立腺癌を有する、請求項76記載の使用。
  81. 前記必要とする対象が、多嚢胞卵巣疾患、および/または思春期早発症を有する、請求項76記載の使用。
  82. 前記必要とする対象が、良性前立腺過形成(BPH)、前立腺癌、精巣癌、アンドロゲン依存性アクネ、男性型はげ頭症、思春期早発症、高アンドロゲン血症、多毛症、男性化、多嚢胞性卵巣症候群(POCS)、高アンドロゲン血症(HA)、およびインスリン抵抗性(IR)、ならびに黒色表皮(AN) (HIAR-AN)症候群、卵巣卵胞膜細胞増殖症、卵胞成熟抑止、閉鎖症、無排卵、月経困難症、機能不全性子宮出血、不妊症、ならびにアンドロゲン生産性腫瘍からなる群から選択される疾患または障害を有する、請求項76記載の使用。
  83. アンドロゲン依存性を特徴とする疾患または障害を治療するための方法であって、該方法は、請求項22または33記載の薬学的組成物の有効量を対象に投与する段階を含み、ここで、該薬学的組成物は、対象の血漿血清中の少なくとも1のアンドロゲンのレベルを減少させ、アンドロゲン依存性を特徴とする疾患または障害の少なくとも1の症状の減少を引き起こす、方法。
  84. 対象において1または複数のアンドロゲンの血漿レベルを減少させるための方法であって、該方法は、有効量の組換えMISタンパク質を投与する段階を含み、ここで、該組換えMISタンパク質は、配列番号:1のアミノ酸449のQからRへの改変と、配列番号:1のアミノ酸1〜25のMISリーダー配列の代わりの非MISリーダー配列またはその機能的フラグメントと、の組み合わせを含み、ここで、該組換えMISタンパク質は、対象において1または複数のアンドロゲンの血漿血清レベルを減少させる、方法。
  85. 前記組換えMISタンパク質が、タグタンパク質をさらに含む、請求項84記載の方法。
  86. 前記対象が、アンドロゲン依存性を特徴とする疾患または障害を有する、請求項84記載の方法。
  87. 前記疾患または障害が、良性前立腺過形成(BPH)、前立腺癌、精巣癌、アンドロゲン依存性アクネ、男性型はげ頭症、思春期早発症、高アンドロゲン血症、多毛症、男性化、多嚢胞性卵巣症候群(POCS)、高アンドロゲン血症(HA)、およびインスリン抵抗性(IR)、ならびに黒色表皮(AN) (HIAR-AN)症候群、卵巣卵胞膜細胞増殖症、卵胞成熟抑止、閉鎖症、無排卵、月経困難症、機能不全性子宮出血、不妊症、ならびにアンドロゲン生産性腫瘍からなる群から選択される、請求項84〜86のいずれか一項記載の方法。
  88. 請求項1〜21のいずれか一項記載の組換えMISタンパク質と、薬学的に許容可能な担体と、含むキット。
  89. 癌の治療またはアンドロゲン依存性疾患の治療のための組換えMISタンパク質の使用の説明書を任意にさらに含む、請求項88記載のキット。
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