したがって、本発明は、特に、投薬インターフェースの弁配置で使用されるダイヤフラム弁などのダイヤフラム弁のための生体適合性ダイヤフラムを提供して、ダイヤフラム弁および/または投薬インターフェースの耐用年数を長くするという技術的問題に直面している。
本発明によれば、装置は、環状オレフィンポリマー材料または環状オレフィンコポリマー材料またはこれらの混合物から作られた本体部材と、ダイヤフラムを有するダイヤフラム弁とを含み、ダイヤフラムの少なくとも外側部材がダイヤフラム材料から作られ、前記ダイヤフラム材料がフルオロエラストマー材料またはパーフルオロエラストマー材料またはこれらの混合物から作られる。
装置は、薬作用物質(例えば薬剤の用量)を噴出するように構成された、点滴デバイスまたは注射デバイス、たとえば、インスリン注射ペンなどの医療デバイスのような薬物送達デバイスであってよい。注射デバイスは、医療従事者または患者自身によって使用され得る。例として、たとえば1日に1回または数回インスリン用量を注射することにより、患者自身で1型糖尿病および2型糖尿病を治療することができる。
たとえば、装置は、第1の薬剤および第2の薬剤のそれぞれを含む別個のリザーバから少なくとも2つの薬作用物質を噴出するように構成された医療デバイスであるが、これに限定されない。あるいは、医療デバイスは、たとえば、出願人のSolostar(登録商標)インスリン注射ペンなどの単一のリザーバから薬作用物質を噴出するように構成された従来の医療デバイスである。
あるいは、装置は、薬物送達デバイスなどの医療デバイスに取付け可能な使い捨て部材であってよい。たとえば、装置は、薬作用物質を噴出するように構成された医療デバイスに取付け可能な投薬インターフェースである。投薬インターフェースは、少なくとも1つの薬剤を含む医療デバイスの少なくとも1つのリザーバと流体連通するように構成されてよい。たとえば、投薬インターフェースは、少なくとも1つの薬剤が医療デバイスから退出できるようにする、あるタイプの出口である。
ダイヤフラム弁は弁本体およびダイヤフラムを含むことができる。弁本体は、弁チャンバと、弁チャンバの入口ポートおよび出口ポートとを含むことができる。たとえば、入口ポートは弁チャンバの側壁に配置される。入口ポートは、医療デバイスのリザーバなどの、流体を含むリザーバと流体連通することができる。弁チャンバの出口ポートは弁チャンバの凸状突起に配置されてよく、凸状突起は弁チャンバ内へ延びる。出口ポートは投薬インターフェースの出口と流体連通することができる。たとえば、入口ポートおよび/または出口ポートはそれぞれ、穿孔針の端部、流体溝の始点、セプタムなどの1つである。
ダイヤフラムは、入口ポートと出口ポートとの間に流体封止をもたらすように弁チャンバ内に配置されてよい。たとえば、ダイヤフラムの中心の突起は凸状突起の中心に位置する弁キャビティに配置され、ダイヤフラムは弁チャンバの入口ポートを弁チャンバの出口ポートから分離する。そのような配置では、ダイヤフラムが入口ポートと出口ポートとの間に流体封止をもたらし、ダイヤフラム弁が閉じる。
たとえば、ダイヤフラム側を向いた凸状突起の表面の面積は、凸状突起側を向いたダイヤフラムの表面の面積以上であってよく、ダイヤフラムが反転して(たとえば、凸状突起上に置かれて)、凸状突起に沿って存在する場合に、ダイヤフラム弁は少なくとも部分的に出口ポートを覆わず、入口ポートと出口ポートとの間に流体封止をもたらさず、ダイヤフラム弁が開いて、ダイヤフラムが入口ポートから出口ポートへの流体流を可能にするようになっている。
例として、弁チャンバは、少なくとも部分的に円形凹部およびカバーから形成されてよい。入口ポートはこの円形凹部に配置されてよく;出口ポートおよび凸状突起は、たとえば、このカバーに配置される。ダイヤフラムまたはダイヤフラムの縁は、たとえば凹部の円形セットバック上に存在し、ダイヤフラムが入口ポートと出口ポートとの間に流体封止をもたらして弁が閉じるようなっている。たとえば、カバーの凸状突起の弁キャビティは、ダイヤフラムの中心を弁チャンバ内に少なくとも部分的に固定することができ、たとえばダイヤフラムまたはダイヤフラムの縁を凹部の円形セットバックに押し付けて、ダイヤフラムが最初に弁チャンバ内で予応力状態になるようにする。
弁チャンバの入口ポート側を向いたダイヤフラムの表面に(流体)圧力が加わると、ダイヤフラムは予応力状態からさらなる応力状態(以下で応力状態と呼ぶ)に変化し得、あるいは、ダイヤフラムは非応力状態から応力状態に変化し得;開放圧力閾値が克服されると、ダイヤフラムは反転して、凸状突起に沿って存在する。入口ポートと流体連通する流体リザーバ内の圧力を増加させることによって、(流体)圧力を増加させることができる。したがって、応力状態では、ダイヤフラムが、入口ポートから出口ポートへの流体流を有効にすることができる。開放圧力閾値は、50ミリバール、100ミリバール、または150ミリバールなどの約25ミリバール〜200ミリバールの圧力に対応すると有利であり得るが、これに限定されない。
しかしながら、(流体)圧力が閉鎖圧力閾値よりも下がると、ダイヤフラムは初期形状に戻り得るため、入口ポートから出口ポートへの流体流が無効になる。弁チャンバの出口ポート側を向いたダイヤフラムの表面に加わる背圧は、たとえば、初期状態へのダイヤフラムの戻りを増幅させることができる。
開放圧力閾値は、ダイヤフラムの硬さに関連し得る。硬さは、応力による(弾性)変形に抵抗するダイヤフラムの物理的特性に関連するものと理解すべきである。
閉鎖圧力閾値は、ダイヤフラムの反転および/または弾性に応じたダイヤフラムの弾性反力に関連し得る。弾性は、ダイヤフラムを(弾性的に)変形させる応力が(部分的に)除去された後に初期形状に戻るダイヤフラムの物理的特性に関連するものと理解すべきである。
閉鎖圧力閾値は開放圧力閾値に等しくてよい。
本発明によれば、本体部材は、環状オレフィンポリマー材料または環状オレフィンコポリマー材料またはこれらの混合物から作られる。
ポリカーボネート(PC)またはポリメチルメタクリメート(PMMA)のような他の硬い剛性材料は、しばしば、高い吸水性を示すため、水および水溶性薬剤にはあまり適していない。特に、これらの材料は、吸水性により寸法が不安定になる傾向があり得る。
環状オレフィンポリマー材料、環状オレフィンコポリマー材料、またはこれらの混合物は、水および水溶性薬剤に対する耐性に関する良好な特性を有する。特に、これらは、低い吸水性と高い水蒸気バリア、すなわち良好な水分バリア特性を有し、寸法安定性がある。
また、環状オレフィンポリマー材料、環状オレフィンコポリマー材料、またはこれらの混合物は、良好なレーザ溶接能力を有するため、製造プロセスが容易になり、装置内、特に投薬インターフェース内の薬剤の漏損を最小限にすることができる。たとえば、環状オレフィンポリマー材料または環状オレフィンコポリマー材料またはこれらの混合物から作られた本体部材にレーザ溶接添加剤をドープして、レーザ光に対する本体部材の感度を高めることにより、レーザ溶接を容易にしてもよい。
環状オレフィンポリマー材料、環状オレフィンコポリマー材料、またはこれらの混合物の使用は、インスリンに接触するのに適した材料を提供するため、および装置の耐用年数を長くするために特に有利である。
環状オレフィンポリマー材料、環状オレフィンコポリマー材料、またはこれらの混合物の例として:Zeon Chemicals L.P.により提供されるZeonex(登録商標)またはTopas Advanced Polymers GmbHにより提供されるTopas(登録商標)COCがある。
しかしながら、環状オレフィンポリマー材料、環状オレフィンコポリマー材料、またはこれらの混合物から作られた本体部材の良好な特性は、ダイヤフラム弁のダイヤフラムにしばしば使用される材料によって阻止される(foiled)おそれがある。たとえば、可塑剤は、可塑剤を含む熱可塑性エラストマーから作られたダイヤフラムから浸出して、本体部材の環状オレフィンポリマーまたはコポリマー材料を軟化させ、これを変形させ得る。
本発明によれば、ダイヤフラムの少なくとも表面部分がダイヤフラム材料から作られ、前記ダイヤフラム材料がフルオロエラストマー材料またはパーフルオロエラストマー材料またはこれらの混合物である。
ダイヤフラムの表面部分は、ダイヤフラムの表面の少なくとも一部を形成するダイヤフラムの一部を意味するものと理解される。たとえば、ダイヤフラムの表面部分は全体としてダイヤフラムであってよく、すなわち、ダイヤフラムは完全にダイヤフラム材料から作られてよい。表面部分は、部分被覆または全体被覆であってもよい。特に、ダイヤフラムは、ダイヤフラム材料とは異なるコア材料から作られ得るコアと、ダイヤフラム材料から作られる被覆とを含むことができる。ダイヤフラムのコアを被覆するために使用できるダイヤフラム材料の例は、West Pharmaceutical Services, Inc.により提供されるFluroTec(登録商標)である。
フルオロエラストマー材料またはパーフルオロエラストマー材料またはこれらの混合物は、熱硬化性材料である。これらの材料の製造は、ポリマー鎖間の架橋が増加する加硫プロセスを伴う。これらの材料の架橋組成物により、良好な弾性と低い圧縮永久歪みとが得られる。特に、ダイヤフラム弁の長期耐用ダイヤフラムの材料の適切な特性である良好な弾性および圧縮永久歪み特性を達成するために可塑剤を添加する必要がない。
前記ダイヤフラム材料から作られた、または少なくとも部分的に作られたダイヤフラムは、熱可塑性エラストマーよりも少ない可塑剤を含んでよく、または可塑剤を含まなくてもよい。したがって、ダイヤフラムからの可塑剤の浸出、および変形を生じさせる本体部材材料の軟化を減らすことができ、または防止することもできる。したがって、ダイヤフラム材料として使用されるフルオロエラストマーまたはパーフルオロエラストマー材料またはこれらの混合物は、装置の本体部材に使用される環状オレフィンポリマー材料、環状オレフィンコポリマー材料、またはこれらの混合物との良好な適合性を有する。
加えて、フルオロエラストマー材料またはパーフルオロエラストマー材料またはこれらの混合物は、たとえば、インスリンベースの薬物において一般に防腐剤として使用されるm−クレゾールに対する耐性を含む、非常に良好な耐化学性を有する。したがって、ダイヤフラム材料は、ダイヤフラムが攻撃的な化学薬品、特に、m−クレゾールのような化学的に攻撃的な薬物成分に接触し得る装置におけるダイヤフラムに使用するのに適している。
ダイヤフラム材料としてのフルオロエラストマー材料またはパーフルオロエラストマー材料またはこれらの混合物の使用は、ダイヤフラム弁および/または装置の耐用年数を長くするために特に有利である。
フルオロエラストマー材料またはパーフルオロエラストマー材料またはこれらの混合物の例として:Dupont(商標) Elastomersにより提供されるViton(登録商標)、C. Otto Gehrckens GmbH & Co. KGにより提供されるPerlast(登録商標)、Trelleborg ABにより提供されるResifluor(商標)、またはWest Pharmaceutical Services, Inc.により提供されるFluroTec(登録商標)が挙げられる。
本発明によれば、装置の本体部材およびダイヤフラムのダイヤフラム弁のために2つの異なる材料が選択される:環状オレフィンポリマー材料または環状オレフィンコポリマー材料またはこれらの混合物が本体部材のために選択され、フルオロエラストマー材料またはパーフルオロエラストマー材料またはこれらの混合物がダイヤフラムまたはその少なくとも表面部分のためのダイヤフラム材料として選択される。この特定の材料の組合せは、装置の耐用年数を長くするという相乗効果を有する。一方で、本体部材のために寸法安定性のある材料を選択し、ダイヤフラムのために永続性の可撓性材料を選択して、これらの個々の部材の耐用年数を長くすることが有利であり得る。しかしながら、2つのそのような材料を不適切に組み合わせると、装置全体の耐用年数に好ましくない場合がある。他方で、本発明による材料の組合せは、2つの部材がそれらの耐用年数を互いに損なわないため、装置全体の耐用年数が長くなるというさらに有利な効果を有する。
以下で、前述した装置に当てはまるものと理解される本発明の特徴および実施形態(さらなる特徴を示す)について説明する。これらの単一の特徴/実施形態は、例示的で非限定的なものであり、前述した装置の他の開示された特徴/実施形態から独立してそれぞれ組合せ可能であるとみなされる。それにもかかわらず、これらの特徴/実施形態はまた、互いの、および前述した装置とのすべての可能な組合せにおいて開示されるものとみなされる。
本発明の実施形態によれば、前記ダイヤフラム材料は、10重量%未満、好ましくは5重量%未満、より好ましくは1重量%未満、特に0.5重量%未満の可塑剤含有量を有する。ダイヤフラム材料の可塑剤含有量が低いことにより、ダイヤフラム材料からの可塑剤の浸出および本体部材材料への拡散が少なくなる。本実施形態は、ダイヤフラム弁および/または装置の耐用年数を長くするために特に有利である。
本発明の実施形態によれば、前記ダイヤフラム材料は、可塑剤を含まないフルオロエラストマー材料または可塑剤を含まないパーフルオロエラストマー材料またはこれらの混合物である。可塑剤含有量が0.1重量%未満、好ましくは0.01重量%未満、より好ましくは0.001重量%未満、特に0.0001重量%未満である場合に、材料は可塑剤を含まないものと理解される。可塑剤を含まないダイヤフラム材料は、ダイヤフラム材料からの可塑剤の浸出および本体部材材料への拡散を防止する。本実施形態は、ダイヤフラム弁および/または装置の耐用年数を長くするために特に有利である。
本発明の実施形態によれば、ダイヤフラムは完全に前記ダイヤフラム材料から作られる。完全にダイヤフラム材料から作られたダイヤフラムは、可塑剤をほとんど含まないか、または全く含まなくてよい。これにより、ダイヤフラム全体からの可塑剤の浸出および本体部材材料への拡散を減らすことができ、または防止することができる。本実施形態は、ダイヤフラム弁および/または装置の耐用年数を長くするために特に有利である。
本発明の実施形態によれば、前記ダイヤフラム材料はFKM−ML−X18材料である。FKM−ML−X18は、市販の、基本的に可塑剤を含まないフルオロエラストマー材料である。FKM ML−X18が非常に良好なインスリン適合性を有することが実験からわかっている。さらに、FKM ML−X18は、ダイヤフラム弁に対する十分な閉鎖圧力および封止圧力を長い耐用年数にわたって達成するために、適切な低い圧縮永久歪み特性をもたらす。FKM ML−X18は、可塑剤を添加しなくてもこれらの特性をもたらすことができる。特に、FKM ML−X18は可塑剤を含まない。本実施形態は、インスリン薬物との良好な適合性を有する材料から作られたダイヤフラムを設けるために特に有利である。
本発明の実施形態によれば、ダイヤフラム弁は、本体部材によって少なくとも部分的に形成されたハウジング内に収容される。たとえば、ハウジングは、装置または装置の一部の外側ハウジングとして構成されてよい。ハウジングは、装置の別の外側ハウジング内に収容された、装置の内側ハウジングとして構成されてもよい。本実施形態は、薬剤の漏損を最小限にすることができる、装置の寸法安定性のあるハウジングを設けるために特に有利である。
本発明の実施形態によれば、本体部材はダイヤフラムに直接接触する。たとえば、本体は、ダイヤフラム弁の一部として、またはダイヤフラム弁を支承する部材、特にダイヤフラムを支承する部材として構成されてよい。可塑剤を含む熱可塑性エラストマーから作られたダイヤフラムは、ダイヤフラムに直接接触する本体部材を特に軟化させることによって変形を生じさせ得る。しかしながら、ダイヤフラムに直接接触する本体部材は、通常、ダイヤフラム弁および/または装置の機能および液密性にとって特に重要な部材である。したがって、本実施形態は、ダイヤフラム弁の長期耐用機能をもたらすために特に有利である。
本発明の実施形態によれば、装置は、第1の本体部材と、カバー部材として構成された第2の本体部材とを含み、前記第1の本体部材および前記第2の本体部材は、前記第1の本体部材の表面と前記第2の本体部材の表面との間に流体チャネルを少なくとも部分的に形成するように構成され、第1の本体部材および/または第2の本体部材は環状オレフィンポリマー材料または環状オレフィンコポリマー材料またはこれらの混合物から作られる。
ダイヤフラム弁を含む装置は、通常、特に流体をダイヤフラム弁へ、および/またはダイヤフラム弁から案内するための流体チャネルも含む。本実施形態による第1の本体部材および第2の本体部材は、たとえば射出成形などの成形によって、簡単に製造され得る。第1の本体部材および第2の本体部材を製造後に接合することによって、長さ対直径比が大きく、および/または形状が複雑で、および/または公差の厳しい流体チャネルを有する接合部材を形成することができる。したがって、本実施形態は、装置の簡単な製造を可能にするために特に有利である。
本発明の実施形態によれば、前記第1の本体部材は、凹部および第1の本体部材リザーバおよび/または第2の本体部材リザーバを含み、前記流体チャネルが前記第1の本体部材リザーバおよび/または前記第2の本体部材リザーバから前記凹部への流体連結をもたらし、前記第1の本体部材リザーバおよび/または第2の本体部材リザーバの少なくとも1つがダイヤフラム弁を受けるように構成される。
たとえば、凹部は流体チャネルの出口を画成し、第1の本体部材リザーバおよび第2の本体部材リザーバは、流体チャネルの第1の入口および第2の入口のそれぞれを画成する。
凹部は、用量ディスペンサの針の1つの近位端を少なくとも部分的に受けて、用量ディスペンサの針と流体連結するように構成されてもよい。たとえば、用量ディスペンサは標準のニードルアセンブリまたは両頭針アセンブリである。たとえば、針の遠位端が注射前に所望の注射部位に挿入される。
第1の本体部材リザーバおよび第2の本体部材リザーバは、それぞれの流体リザーバと流体連結するように構成されてよい。たとえば、第1の穿孔針および第2の穿孔針は、第1の本体部材リザーバおよび第2の本体部材リザーバのそれぞれの内部で終端する。特に、第1の穿孔針および第2の穿孔針は、薬剤リザーバ、カートリッジおよび/または容器などのそれぞれの流体リザーバのセプタムを穿孔して、流体リザーバと流体連結し、それぞれの流体リザーバと第1の本体部材リザーバおよび第2の本体部材リザーバとの間に流体連通をもたらすように構成され得る。第1の本体部材リザーバおよび第2の本体部材リザーバは、弁チャンバを少なくとも部分的に形成することができ、たとえば、第1の本体部材および第2の本体部材は、ダイヤフラム弁のダイヤフラムを少なくとも部分的に受けるように構成される。
たとえば、装置は、薬物送達デバイスの第1の流体リザーバおよび第2の流体リザーバから投薬インターフェースのニードルアセンブリへの流体連結をもたらす投薬インターフェースであり、たとえば、装置は、第1の本体部材リザーバおよび第2の本体部材リザーバ、流体チャネル、および凹部を介して流体連結をもたらす。たとえば、第1の流体リザーバおよび第2の流体リザーバからの流体は、それぞれの第1の本体部材リザーバおよび第2の本体部材リザーバ内に少なくとも部分的に配置されたそれぞれの第1のダイヤフラム弁および第2のダイヤフラム弁を介して流体チャネルに入る。
特に、第1のダイヤフラム弁のダイヤフラムおよび/または第2のダイヤフラム弁のダイヤフラムの少なくとも一部は、フルオロエラストマーまたはパーフルオロエラストマー材料またはこれらの混合物であるダイヤフラム材料から作られる。
本発明の実施形態によれば、前記第1の本体部材リザーバおよび/または第2の本体部材リザーバの少なくとも1つは、ダイヤフラム弁が前記装置の縦軸に平行な第1の平面に少なくとも実質的に配置されるように、ダイヤフラム弁を受けるよう構成される。たとえば、第1の本体部材リザーバおよび第2の本体部材リザーバは、第1のダイヤフラム弁および第2のダイヤフラム弁が装置の縦軸に平行な第1の平面に少なくとも実質的に配置されるように、第1のダイヤフラム弁および第2のダイヤフラム弁のそれぞれを受けるよう構成される。
平面により切断され、かつ/またはその縦軸(例えば、最大伸長方向に沿った軸)が平面と同一平面上にあるか、または少なくとも略同一平面上にあるものは、平面に少なくとも実質的に配置されるものと理解され得る。縦軸が平面に対して30°未満、好ましくは10°未満の角度を含む場合、縦軸は、たとえば平面と略同一平面上にある。
前述したように、第1の本体部材リザーバおよび第2の本体部材リザーバは、第1のダイヤフラム弁および第2のダイヤフラム弁のための弁チャンバを少なくとも部分的に形成することができる。たとえば、第1のダイヤフラム弁および第2のダイヤフラム弁は、第1の本体部材リザーバおよび第2の本体部材リザーバのそれぞれに少なくとも部分的に受けられてよい。
ダイヤフラム弁は、第1の平面に少なくとも実質的に配置される。たとえば、ダイヤフラム弁のダイヤフラムは、第1の平面がダイヤフラム弁を切断するように、第1の本体部材リザーバおよび/または第2の本体部材リザーバの1つに少なくとも部分的に受けられる。たとえば、ダイヤフラム弁の縦軸は、第1の平面と少なくとも略同一平面上にある。たとえば、ダイヤフラム弁の回転軸などの対称軸は第1の平面に対して傾斜し、たとえば、対称軸は第1の平面に対して60°以上、好ましくは80°以上の角度を含む。特に、対称軸は、第1の平面、ならびに/または第1の本体部材および/もしくは第2の本体部材に面するダイヤフラム弁の表面に垂直であってよい。
ダイヤフラム弁は少なくとも略平坦であり得る。縦軸方向の直径が縦軸の垂直方向の厚さの少なくとも2倍であるものは、略平坦であると理解され得る。たとえば、ダイヤフラム弁のダイヤフラムは全体として凸形状を有する。全体として凸形状のダイヤフラムの対称軸は、その頂点を通る中心線であってよく;全体として凸形状のダイヤフラムの縦軸は、対称軸に垂直であってよい。
装置の縦軸は、たとえば第1の平面が垂直平面であるように、装置の垂直中心線であってよい。たとえば、第1の平面は、第1の本体部材の表面と第2の本体部材の表面の接合領域と少なくとも部分的に同一平面上にある。第1の平面は、装置の縦軸から離間していてもよい。たとえば、第1の平面は、装置の対称面から離間しているが、対称面に平行である。あるいはまたは加えて、第1の平面は、装置の対称面に垂直であってよい。第1の平面は、装置を横方向に切断することができ、たとえば、第1の平面は、装置の対称面に平行な横平面である。たとえば、装置の対称面は、装置の縦軸と同一平面上にある。たとえば、第1の本体部材リザーバおよび/もしくは第2の本体部材リザーバならびに/または第1の穿孔針および/もしくは第2の穿孔針は、装置の対称面に配置されてよい。対称面は第1の本体部材リザーバおよび第2の本体部材リザーバを切断することができる。対称面は、第1の穿孔針および第2の穿孔針の縦軸と同一平面上にあってよい。
本実施形態は、流体チャネルが第1の平面に平行な横平面に少なくとも部分的に形成され得るように、第1の本体部材および第2の本体部材を配置できることが特に有利である。さらに、横方向に位置する、たとえば、第1の平面に対して傾斜した、または第1の平面に対して垂直なレーザによるレーザ溶接によって、第1の本体部材と第2の本体部材とを第1の平面に平行な横平面で接合できるようにすることが特に有利である。レーザを横方向に位置させることは、たとえば、そのような横位置から、レーザが、接合領域に少なくとも略均一な厚さを有する第2の本体部材を通過すればよいだけであるため有利である。これに対して、たとえば、第1の平面に垂直な縦位置からは、レーザは、一般的に、第2の本体部材を少なくとも部分的に覆う追加の部材を通過する必要があり得るため、レーザビームの望ましくない散乱および減衰が生じる。言い換えると、本実施形態は、第1の本体部材および第2の本体部材を、レーザが到達しやすい第1の本体部材の表面と第2の本体部材の表面との接合領域で接合できるようにするために特に有利である。
本発明の実施形態によれば、第1の本体部材および第2の本体部材の少なくとも1つは溝配置を含み、溝配置は、第1の本体部材および第2の本体部材の少なくとも1つの表面に配置される。
たとえば、溝配置は流体溝配置である。溝配置は、任意の数の溝を含むことができ、この溝は、表面に沿った流体の通過を可能にする、それぞれの部材の表面の窪みであってよい。
本発明の実施形態によれば、前記第1の本体部材は、前記装置の内側本体を画成し、前記第2の本体部材は、前記装置のマニホルドを画成する。
本発明の実施形態によれば、前記第2の本体部材は、上面に沿って設けられた少なくとも第1の弁キャビティを含み、第1の弁キャビティは、ダイヤフラム弁のダイヤフラムの突起を受けるように形成され、第1の弁キャビティは、ダイヤフラムの突起の頂点近くに位置する。
本発明の実施形態によれば、第1の本体部材の表面および第2の本体部材の表面は、接合領域、たとえば前述した接合領域で少なくとも略平坦である。たとえば、表面の接合領域は、第1の本体部材および第2の本体部材の少なくとも1つの外縁部、たとえば、第2の本体部材の表面の外縁部に沿って延びる。
表面の接合領域は、3次元構造の中心領域を囲むことのできる、少なくとも略平坦な周方向領域であってよい。たとえば、(3次元)溝配置は、接合領域で接合された表面が溝配置全体を封止できるように中心領域に完全に配置される。本実施形態は、接合領域での第1の本体部材の表面および第2の本体部材の表面による、流体チャネル(例えば、溝配置)の広範囲で密な封止を可能にするために特に有利である。
本発明の実施形態によれば、第1の本体部材の表面と第2の本体部材の表面は、接合領域、たとえば、前述した接合領域でレーザ溶接により接合される。第1の本体部材および/または第2の本体部材に使用される環状オレフィンポリマーまたは環状オレフィンコポリマー材料またはこれらの混合物は、非常に良好なレーザ溶接特性を有するため、密で耐久性のあるレーザ溶接を達成することができる。
特に、レーザ溶接はレーザ透過溶接であってよい。たとえば、レーザ溶接トラック(laser welding track)(たとえば、レーザ溶接線)は、第1の本体部材の表面と第2の本体部材の表面の接合領域を画成する。レーザ溶接トラックは、第1の本体部材の表面および第2の本体部材の表面上の閉鎖トラックであってよい。たとえば、レーザ溶接トラックは、第2の本体部材の表面の外縁部に沿って延びる。
溶接レーザは、ガスレーザまたはダイオードレーザなどの固体レーザであってよい。好ましくは、溶接レーザは、パルスファイバレーザであってよい。溶接レーザの波長は、100nm〜10μm、好ましくは900nm〜1100nm、特に1962nm、1062nm+/−3nmまたは1062nm+/−10nmの1つであってよい。
本実施形態は、流体チャネルの広範囲で密な封止を可能にするために有利である。特に、レーザ溶接接合部は、機械的に非常に応力耐性があり、圧力封止される。レーザ接合部は、しばしば基礎材料の強度に達する。また、レーザ接合は、非常に良好な表面の質をもたらし、特に、微粒子、接着剤の残留物、または表面粗さの増大が低レベルになるか、またはさらにはなくなる。
レーザ溶接は、手順の観点からも有利である。レーザ溶接プロセスは、非常に柔軟性があり、設計変更およびレーザパターンに容易に適応させることができる。さらに、溶接レーザの波長を選択することにより、溶接中に溶接される部材で生じる反応を選択することができる。レーザ溶接が非接触プロセスであるため、溶接される部材への機械エネルギーおよび/または熱エネルギーの投入が最小限になる。ダイヤフラム弁のダイヤフラムのような高感度の部材は、影響を受けないままとなる。
本発明の実施形態によれば、装置は医療デバイスまたは医療デバイスの一部である。
本発明の実施形態によれば、前記ダイヤフラム弁は、流体圧力閾値を前記ダイヤフラム弁に加える場合に流体流を有効にするように構成される。
本発明の実施形態によれば、装置は、薬剤を噴出するように構成された医療デバイスであり、ダイヤフラム弁は、薬物送達デバイスのリザーバおよび用量ディスペンサに含まれる薬剤の流体連通を制御するように構成される。
本発明の実施形態によれば、前記装置は前記ダイヤフラム弁の少なくとも2つを含み、医療デバイスはそれぞれ、前記リザーバの少なくとも2つを含む。
添付図面を適切に参照しながら以下の詳細な説明を読むことにより、本発明の様々な態様のこれらおよび他の利点が当業者に明らかになろう。
図1に示す薬物送達デバイスは、近位端16から遠位端15へ延びる主本体14を含む。遠位端15に、着脱可能な端部キャップまたはカバー18が設けられる。この端部キャップ18および主本体14の遠位端15は協働してスナップ嵌めを提供するか、または嵌め連結を形成し、カバー18が主本体14の遠位端15上に摺動すると、このキャップと主本体外面20との摩擦嵌めにより、カバーが不注意で主本体から落下することを防止する。
主本体14は、マイクロプロセッサ制御ユニット、電気機械駆動トレイン、および少なくとも2つの薬剤リザーバを含む。端部キャップまたはカバー18がデバイス10から取り外されると(図1に示すように)、投薬インターフェース200が主本体14の遠位端15に取り付けられ、用量ディスペンサ(例えば、ニードルアセンブリ)がインターフェースに取り付けられる。薬物送達デバイス10を使用して、第2の薬剤(二次薬物化合物)の計算された用量および第1の薬剤(一次薬物化合物)の可変用量を、両頭針アセンブリなどの単一のニードルアセンブリを通して投与することができる。
駆動トレインは、第1の薬剤および第2の薬剤の用量を排出するために、各カートリッジの栓のそれぞれに圧力を及ぼすことができる。たとえば、ピストンロッドが、薬剤の単一用量についての所定量に向けて、カートリッジの栓を押すことができる。カートリッジが空のときには、ピストンロッドが主本体14内に完全に後退されて、空のカートリッジを取り外すことができ、新しいカートリッジを挿入することができる。
コントロールパネル領域60が、主本体14の近位端近くに設けられる。好ましくは、このコントロールパネル領域60は、ユーザが組合せ用量を設定し注射するために操作可能な複数のヒューマンインターフェース要素を伴うデジタルディスプレイ80を含む。この配置では、コントロールパネル領域が、第1の用量設定ボタン62、第2の用量設定ボタン64、および「OK」の記号で示された第3のボタン66を含む。加えて、本体の最も近位端に沿って、注射ボタン74も設けられる(図1の斜視図では見えない)。薬物送達デバイスのユーザインターフェースは、「メニュー」ボタン、「戻る」ボタン、またはディスプレイの照明を付けるための「ライト」ボタンなどの追加のボタンを含むことができる。
カートリッジホルダ40は、主本体14に着脱可能に取り付けられ、少なくとも2つのカートリッジ保持具50、52を含むことができる。各保持具は、ガラスカートリッジなどの1つの薬剤リザーバを含むように構成される。好ましくは、各カートリッジが異なる薬剤を含む。
加えて、図1に示す薬物送達デバイスは、カートリッジホルダ40の遠位端に投薬インターフェース200を含む。図4に関連して説明するように、1つの配置では、この投薬インターフェース200が、カートリッジハウジング40の遠位端42に着脱可能に取り付けられる主外側本体212を含む。図1に見られるように、投薬インターフェース200の遠位端214は、好ましくはニードルハブ216を含む。このニードルハブ216は、従来のペン型注射ニードルアセンブリなどの用量ディスペンサを薬物送達デバイス10に着脱可能に取り付けることができるように構成され得る。
デバイスをオンにすると、図1に示すデジタルディスプレイ80が照明し、ユーザにあるデバイス情報、好ましくはカートリッジホルダ40に含まれる薬剤に関する情報を与える。たとえば、一次薬剤(薬物A)および二次薬剤(薬物B)の両方に関するある情報をユーザに与える。
図3に示すように、第1のカートリッジ保持具50および第2のカートリッジ保持具52はヒンジ付きカートリッジ保持具であってもよい。このようなヒンジ付き保持具により、ユーザはカートリッジに到達することができる。図3は、第1のヒンジ付きカートリッジ保持具50が開位置にある、図1に示すカートリッジホルダ40の斜視図である。図3は、ユーザが第1の保持具50を開き、第1のカートリッジ90に到達することにより、第1のカートリッジ90に到達できる様子を示す。
図1の説明のときに前述したように、投薬インターフェース200はカートリッジホルダ40の遠位端に連結される。図4は、カートリッジホルダ40の遠位端に連結されていない投薬インターフェース200の平坦図である。インターフェース200と共に使用され得る用量ディスペンサまたはニードルアセンブリ400も示され、保護外部キャップ420内に設けられる。
図5では、図4に示す投薬インターフェース200が、カートリッジホルダ40に連結されて示される。投薬インターフェース200とカートリッジホルダ40との軸方向取付手段48は、スナップロック、スナップ嵌め、スナップリング、キースロット、およびこのような連結の組合せを含む、当業者に公知の軸方向取付手段であってよい。投薬インターフェースとカートリッジホルダとの連結または取付けは、特定のハブを対応する薬物送達デバイスのみに確実に取付け可能にする、コネクタ、止め具、スプライン、リブ、溝、ピップ、クリップ、および同様の設計機能などの追加機能(図示せず)を含むこともできる。このような追加機能により、適切でない二次カートリッジを対応しない注射デバイスに挿入することを防止する。
図5はまた、インターフェース200のニードルハブに螺着され得る、投薬インターフェース200の遠位端に連結されたニードルアセンブリ400および保護カバー420を示す。図6は、図5の投薬インターフェース200に取り付けられた両頭針アセンブリ400の横断面図である。
図6に示すニードルアセンブリ400は、両頭針406およびハブ401を含む。両頭針またはカニューレ406が、ニードルハブ401に固定して取り付けられる。このニードルハブ401は、その周囲に沿って円周方向に垂下するスリーブ403を有する円形ディスク状要素を含む。このハブ部材401の内壁に沿って、ねじ山404が設けられる。このねじ山404により、1つの好ましい配置で遠位ハブに沿った対応する外ねじ山が設けられた投薬インターフェース200に、ニードルハブ401を螺着することができる。ハブ要素401の中心部に、突出部402が設けられる。この突出部402は、ハブからスリーブ部材の反対方向へ突出する。両頭針406が、突出部402およびニードルハブ401を通って中心に取り付けられる。この両頭針406は、両頭針の第1の穿孔端または遠位穿孔端405が、注射部位(例えば、ユーザの皮膚)を穿孔するための注射部材を形成するように取り付けられる。
同様に、ニードルアセンブリ400の第2の穿孔端または近位穿孔端408は、スリーブ403により同心に囲まれるように、円形ディスクの反対側から突出する。1つのニードルアセンブリ配置では、第2の穿孔端または近位穿孔端408がスリーブ403よりも短いため、このスリーブが後部スリーブの鋭い端部をある程度保護するようになっている。図4および図5に示すニードルカバーキャップ420は、ハブ401の外面403周りとのフォームフィットをもたらす。
次に図4〜図11を参照して、このインターフェース200の1つの好ましい配置について説明する。この1つの配置では、このインターフェース200は:
a.主外側本体210;
b.第1の内側本体220;
c.第2の内側本体230;
d.第1の穿孔針240;
e.第2の穿孔針250;
f.弁封止260;および
g.セプタム270を含む。
主外側本体210は、主本体近位端212と主本体遠位端214とを含む。外側本体210の近位端212で、連結部材が、投薬インターフェース200をカートリッジホルダ40の遠位端に取り付けることができるように構成される。好ましくは、連結部材は、投薬インターフェース200をカートリッジホルダ40に着脱可能に連結できるように構成される。1つの好ましいインターフェース配置では、インターフェース200の近位端が、少なくとも1つの凹部を有する上方へ延びる壁218により構成される。たとえば、図8からわかるように、上方へ延びる壁218は、少なくとも第1の凹部217および第2の凹部219を含む。
好ましくは、第1の凹部217および第2の凹部219は、この主外側本体壁内に位置して、薬物送達デバイス10のカートリッジハウジング40の遠位端近くに位置する外側突出部材と協働するようになっている。たとえば、カートリッジハウジングのこの外側突出部材48は、図4および図5に見られる。第2の同様の突出部材が、カートリッジハウジングの反対側に設けられる。このように、インターフェース200がカートリッジハウジング40の遠位端上を軸方向に摺動すると、外側突出部材が第1の凹部217および第2の凹部219と協働して、干渉嵌め、フォームフィット、またはスナップロックを形成する。あるいは、当業者が理解するように、投薬インターフェースおよびカートリッジハウジング40を軸方向に連結することのできる他の同様の連結機構を使用してもよい。
主外側本体210およびカートリッジホルダ40の遠位端は、カートリッジハウジングの遠位端上を軸方向に摺動し得る、軸方向に係合するスナップロックまたはスナップ嵌め配置を形成するように作用する。1つの代替配置では、投薬インターフェース200が、不注意による投薬インターフェースの交差使用を防止するように、コーディング機能を備えることができる。すなわち、ハブの内側本体が、1つまたはそれ以上の投薬インターフェースの不注意による交差使用を防止するように形状的に構成され得る。
取付けハブが投薬インターフェース200の主外側本体210の遠位端に設けられる。このような取付けハブは、ニードルアセンブリに解放可能に連結されるように構成され得る。単に一例として、この連結手段216は外ねじ山を含むことができ、この外ねじ山は、図6に示すニードルアセンブリ400などのニードルアセンブリのニードルハブの内壁面に沿って設けられた内ねじ山に係合する。スナップロック、ねじ山により解放されるスナップロック、バヨネットロック、フォームフィット、または他の同様の連結配置などの代わりの解放可能なコネクタを設けてもよい。
投薬インターフェース200は、第1の内側本体220をさらに含む。この内側本体のある詳細が図8〜図11に示される。好ましくは、この第1の内側本体220は、主外側本体210の伸長壁218の内面215に連結される。より好ましくは、この第1の内側本体220は、外側本体210の内面に、リブおよび溝のフォームフィット配置により連結される。たとえば、図9に見られるように、主外側本体210の伸長壁218は、第1のリブ213aおよび第2のリブ213bを備える。この第1のリブ213aは図10にも示される。これらのリブ213a、213bは、外側本体210の壁218の内面215に沿って位置し、第1の内側本体220の協働溝224a、224bとフォームフィットまたはスナップロック係合を作成する。好ましい配置では、これらの協働溝224a、224bが、第1の内側本体220の外面222に沿って設けられる。
加えて、図8〜図10に見られるように、第1の内側本体220の近位端近くの近位面226が、近位穿孔端部244を含む少なくとも第1の近位に位置する穿孔針240と共に構成されてもよい。同様に、第1の内側本体220が近位穿孔端部254を含む第2の近位に位置する穿孔針250と共に構成される。第1の針240および第2の針250の両方が、第1の内側本体220の近位面226に堅く取り付けられる。
好ましくは、この投薬インターフェース200は弁配置をさらに含む。このような弁配置は、第1のリザーバおよび第2のリザーバのそれぞれに含まれる第1の薬剤および第2の薬剤の交差汚染を防止するように構成され得る。好ましい弁配置は、第1の薬剤および第2の薬剤の逆流および交差汚染を防止するように構成されていてもよい。
1つの好ましいシステムでは、投薬インターフェース200は、弁封止260の形の弁配置を含む。そのような弁封止260は、保持チャンバ280を形成するように、第2の内側本体230により画成されたキャビティ231内に設けられてもよい。
好ましくは、キャビティ231は第2の内側本体230の上面に沿って存在する。この弁封止は、第1の流体溝264および第2の流体溝266の両方を画成する上面を含む。たとえば、図9は、第1の内側本体220および第2の内側本体230間に着座する弁封止260の位置を示す。注射工程中に、この封止弁260は、第1の経路内の一次薬剤が第2の経路内の二次薬剤へ移動することを防止し、かつ第2の経路内の二次薬剤が第1の経路内の一次薬剤へ移動することを防止するのを助ける。好ましくは、この封止弁260は、第1の逆止め弁262および第2の逆止め弁268を含む。このように、第1の逆止め弁262は、第1の流体経路264、たとえば封止弁260の溝に沿って移動する流体がこの経路264内に戻ることを防止する。同様に、第2の逆止め弁268は、第2の流体経路266に沿って移動する流体がこの経路266内に戻ることを防止する。
第1の溝264および第2の溝266は逆止め弁262、268のそれぞれに向かって合流して、出力流路または保持チャンバ280を提供する。この保持チャンバ280は、第2の内側本体の遠位端、第1の逆止め弁262および第2の逆止め弁268の両方、ならびに穿孔可能なセプタム270により画成された内部チャンバによって画成される。図示したように、この穿孔可能なセプタム270は、第2の内側本体230の遠位端部と、主外側本体210のニードルハブにより画成された内面との間に位置する。
保持チャンバ280はインターフェース200の出口ポートで終端する。この出口ポート290は、インターフェース200のニードルハブ中心に位置し、穿孔可能な封止270を静止位置に維持するのを助けることが好ましい。このようにして、両頭針アセンブリがインターフェースのニードルハブ(図6に示す両頭針など)に取り付けられると、出力流路により、取り付けられた針アセンブリに両方の薬剤を流体連通させることができる。
ハブインターフェース200は第2の内側本体230をさらに含む。図9からわかるように、この第2の内側本体230は凹部を画成する上面を有し、弁封止260がこの凹部内に位置する。したがって、インターフェース200が図9に示すように組み立てられると、第2の内側本体230が外側本体210の遠位端と第1の内側本体220との間に位置することになる。第2の内側本体230および主外側本体は共に、セプタム270を定位置に保持する。内側本体230の遠位端も、弁封止の第1の溝264および第2の溝266と流体連通するように構成され得るキャビティまたは保持チャンバを形成することができる。
主外側本体210を薬物送達デバイスの遠位端上で軸方向に摺動させることによって、投薬インターフェース200を多用途デバイスに取り付ける。このようにして、第1のカートリッジの一次薬剤および第2のカートリッジの二次薬剤のそれぞれを含む第1の針240および第2の針250間に、流体連通を作成することができる。
図11は、図1に示す薬物送達デバイス10のカートリッジホルダ40の遠位端42に取り付けられた後の投薬インターフェース200を示す。両頭針400もこのインターフェースの遠位端に取り付けられる。カートリッジホルダ40は、第1の薬剤を含む第1のカートリッジと第2の薬剤を含む第2のカートリッジとを有するものとして示される。
インターフェース200がカートリッジホルダ40の遠位端上に最初に取り付けられると、第1の穿孔針240の近位穿孔端244が第1のカートリッジ90のセプタムを穿孔することにより、第1のカートリッジ90の一次薬剤92と流体連通する。第1の穿孔針240の遠位端も、弁封止260により画成された第1の流路溝264と流体連通する。
同様に、第2の穿孔針250の近位穿孔端254が第2のカートリッジ100のセプタムを穿孔することにより、第2のカートリッジ100の二次薬剤102と流体連通する。この第2の穿孔針250の遠位端も、弁封止260により画成された第2の流路溝266と流体連通する。
図11は、薬物送達デバイス10の主本体14の遠位端15に連結されたこのような投薬インターフェース200の好ましい配置を示す。好ましくは、このような投薬インターフェース200が、薬物送達デバイス10のカートリッジホルダ40に着脱可能に連結される。
図11に示すように、投薬インターフェース200がカートリッジハウジング40の遠位端に連結される。このカートリッジホルダ40は、一次薬剤92を含む第1のカートリッジ90と二次薬剤102を含む第2のカートリッジ100とを含むものとして示される。投薬インターフェース200は、カートリッジハウジング40に連結されると、基本的に、第1のカートリッジ90および第2のカートリッジ100から共通の保持チャンバ280までの流体連通路を設けるための機構を提供する。この保持チャンバ280は、用量ディスペンサと流体連通するものとして示される。ここでは、図示したように、この用量ディスペンサが両頭針アセンブリ400を含む。図示したように、両頭針アセンブリの近位端がチャンバ280と流体連通する。
1つの好ましい配置では、投薬インターフェースは、1つの向きのみで主本体に取り付けられるように、すなわち、1方向のみで装着されるように構成される。このようにして、図11に示すように、投薬インターフェース200がカートリッジホルダ40に取り付けられると、一次針240を第1のカートリッジ90の一次薬剤92との流体連通のためだけに使用することができ、次針240を今度は第2のカートリッジ100の二次薬剤102との流体連通のために使用できるようにインターフェース200がホルダ40に再び取り付けられることが防止されるようになる。このような1方向連結機構により、2つの薬剤92、102間で起こり得る交差汚染を減らすのを助けることができる。
図12〜図17は、図7〜図11に示す投薬インターフェース200の実施形態に代わる投薬インターフェース2000の実施形態を示す。図12〜図17では、同様であり得る部材に対して図7〜図11と同一の参照符号を用いる。さらに、この点で、図7〜図11に示す投薬インターフェース200の実施形態の上記説明に主に言及し、基本的に違いのみを説明する。
以下でさらに詳細に説明するように、1つの好ましい配置では、図12〜図17に示す投薬インターフェース2000は:
a.主外側本体2100;
b.内側本体2200;
c.マニホルド2300;
d.第1の穿孔針240;
e.第2の穿孔針250;
f.ロックアウトばね2600;
g.第1のダイヤフラム弁2700;
h.第2のダイヤフラム弁2750;
i.フェルール2800;
j.外側セプタム270;および
k.ニードルガイド3000を含む。
投薬インターフェース200と投薬インターフェース2000との1つの例示的な違いは外形である。特に、投薬インターフェース2000は、薬物送達デバイスに少なくとも部分的に挿入可能な前述の軸方向取付手段によって薬物送達デバイスに取付け可能である。たとえば、投薬インターフェース2000が薬物送達デバイスの遠位端に取り付けられると、薬物送達デバイスの主本体の遠位端が投薬インターフェース2000の一部を覆う。
投薬インターフェース200と投薬インターフェース2000との1つのさらなる例示的な違いは、内側本体2200上に存在するマニホルド2300であり、マニホルド2300および内側本体2200の対向する面の間に「Y」字型流体チャネルが形成されるようになっている。
投薬インターフェース2200の第1のダイヤフラム弁2700および第2のダイヤフラム弁2750の機能は、投薬インターフェース200の第1の逆止め弁262および第2の逆止め弁264の機能に基本的に関連し得る。前述したように、そのような弁配置は、たとえば、第1のリザーバおよび第2のリザーバのそれぞれに含まれる第1の薬剤および第2の薬剤の逆流および/または交差汚染を防止するように構成され得る。
さらに、投薬インターフェース2000は、ロックアウトばね2600の形の投薬インターフェースロックアウト要素を含む。ロックアウト部材をインターフェース2000などの投薬インターフェースに組み入れることのできる1つの理由は、投薬インターフェースを薬物送達デバイスから取り外すと、確実に投薬インターフェースを再び取り付けることができず、2度使用することができなくするためである。再取付けを防止することによって、薬剤が投薬インターフェース2000にいつまでも存在して患者に送達される薬物を汚染することが確実にできなくなる傾向がある。
フェルール2800は、基本的に外側セプタム270を保持する機能を果たすことができ;投薬インターフェース2000のニードルガイド3000は、基本的に、外側セプタム270の穿孔前に、ニードルアセンブリの近位端を中心に置く機能を果たすことができる。
図14に示すように、マニホルド2300は、その上面2304に沿って設けられた第1の弁キャビティ2366および第2の弁キャビティ2372を含む。これらのキャビティ2366、2372は、略平坦で円形であり得る。第1の弁キャビティ2366は、第1のダイヤフラム2700の円形突起2710を受けるように構成される。同様に、第2の弁キャビティ2372は、第2のダイヤフラム2750の円形突起2760を受けるように形成される。
たとえば、図13に示す分解図では、第1のダイヤフラム2700および第2のダイヤフラム2750の両方の代替斜視図が提示される。この分解図からわかるように、第1のダイヤフラム弁2700は全体として凸形状を含み、この凸形状の頂点近くに円形突起2710を含む。同様に、第2のダイヤフラム弁2750は全体として凸形状を含み、この凸形状の頂点近くに円形突起2760を含む。
第1のダイヤフラム2700および/または第2のダイヤフラム2750は、フルオロエラストマー材料またはパーフルオロエラストマー材料またはこれらの混合物であるダイヤフラム材料から作られる。特に、ダイヤフラム材料はFKM ML−X18であってよい。
投薬インターフェース2000の好ましい配置では、マニホルド表面が、内側本体2200の略平坦面2040に沿って存在するように位置する。好ましくは、マニホルドと内側本体2200との間の封止をもたらすために、これらの2つの部材を共にレーザ溶接することができる。
そのようなレーザ溶接封止を容易にするために、1つの配置では、内側本体2200が、好ましくはレーザ溶接添加剤でドープされた環状オレフィンポリマー材料または環状オレフィンコポリマー材料またはこれらの混合物から作られてよい。そのようなレーザ溶接添加剤により、レーザ光に対する内側本体の感度を高めることができる。加えて、マニホルド2300は、光学的に透明な環状オレフィンポリマーまたは環状オレフィンコポリマーまたはこれらの混合物から作られてよく、溶接レーザがマニホルド2300を通過し、2つの部材間にある嵌合面領域を最小の干渉で起動できるようにする。
たとえば、内側本体2200およびマニホルド2300のそれぞれの表面2304、2040は、レーザ溶接トラックによって画成される接合領域(たとえば、嵌合面領域および/または嵌合面領域の一部)で接合される。
たとえば、図16および図17は、内側本体の平坦面に沿って設けられて、レーザ溶接トラック2394に沿ってレーザ溶接されるマニホルド2300を示す。図示したように、このレーザ溶接トラック2394は、マニホルド2300の外縁部に沿って延びる。マニホルドおよび内側本体2040のそれぞれの表面2304の大きく平坦な嵌合面領域は、溶接が作用する実質的な表面積を生じさせるのを助け、これは、これら2つの部材間に作成された封止を最大化しやすい。
特に、レーザ溶接トラック2394は閉じて、マニホルドおよび内側本体のそれぞれの表面2304、2040の略平坦な領域に沿って延びる。さらに、図16は、内側本体2200にレーザ溶接されたマニホルド2300の部分断面図である。図16に示すように、レーザ溶接トラック2394におけるマニホルド2300の厚さ2396は略均一である。これは、レーザ溶接トラックにより画成された接合領域における一定のレーザ溶接点および溶接レーザの一定の焦点距離を確保するために特に有利である。
前述したように、内側本体2200および/またはマニホルド2300が環状オレフィンポリマー材料または環状オレフィンコポリマー材料またはこれらの混合物から作られる場合、内側本体2200および/またはマニホルド2300は、高い寸法安定性をもたらす。特に、これらの材料は、吸水性による寸法の不安定が生じないように、耐水性がある。さらに、第1のダイヤフラム2700および/または第2のダイヤフラム2750が好ましくは可塑剤を含まないダイヤフラム材料から作られるため、内側本体2200および/またはマニホルド2300の材料は、第1のダイヤフラムおよび/または第2のダイヤフラムから経時的に漏れる可塑剤によって軟化されるおそれがなく、内側本体2200および/またはマニホルド2300は長期にわたって寸法安定性を保つことができる。たとえば主外側本体2100としての他の本体部材は、当然、同様にまたは代わりに環状オレフィンポリマー材料または環状オレフィンコポリマー材料またはこれらの混合物から作られてよい。したがって、ダイヤフラム材料から作られたダイヤフラムと特に組み合わせたこれらの材料の利点は、これらの他の本体部材に当てはまる。
好ましくは、マニホルド2300は、流体溝配置2318および矩形突起または充填ブロック2314をさらに含む。図示したように、図14〜図16を参照すると、溝配置2318および突起または充填ブロック2314の両方を、マニホルド上面2304に沿って設けることができる。突起2314はマニホルド2300の遠位端2302近くに設けられてよい。1つの好ましい配置では、この突起2314が矩形突起を含む。そのような矩形構成により、マニホルド2300が内側本体2200の平坦面2040に沿って組み立てられる(たとえば、レーザ溶接される)と、突起2314は内側本体2200の第3のキャビティまたは保持チャンバ280内に存在する。図示したように、矩形突起または充填ブロックは、第3のキャビティまたは保持チャンバの大部分を満たし、一方、流体流の方向をさらに変える。そのような構成の1つの利点は、投薬インターフェース2000の漏損を減らすことである。加えて、2つのレーザ溶接された部材間のキャビティとして流体溝配置2318を形成することにより、流体溝形状の大部分を極めて単純な工具を用いて成形することができる。その結果、極めて単純な工具の使用により、流体溝配置について、壊れやすいコアピンまたは分割ラインの必要性が減る。また、これにより、複雑な細工なしで、比較的複雑かつ厳しい公差の形状が可能になる。また、内側本体2200上の外側突起などの、同一部材上の鍵アセンブリスナップ機能の成形は、公差の重なりを減らすのを助け、また小さいニードルウェル(needle well)、およびこれによる、より少ない漏損を可能にしやすい。
加えて、タイプAのカニューレを方向付けるニードルガイド3000の使用は、針位置についてのいくつかの公差が減るため、カニューレを受けるチャネルがより小さくてよいことを意味する。また、投薬インターフェースを通る流路の心合わせは、ある特別な考慮を必要とする。1つの例示的な配置では、薬物送達デバイス内に含まれるカートリッジおよびニードルアセンブリの両方が、縦のデバイス中心線1162に沿って薬物送達デバイスの深さを通る単一平面に位置する。さらに、ダイヤフラム弁2700、2750ならびに第1のリザーバ2050および第2のリザーバ2054の入口を形成する第1の穿孔針240および第2の穿孔針250の縦軸は、この単一垂直平面に位置してよい。しかしながら、投薬インターフェース部材の一側上のダイヤフラム弁2700、2750および流体溝配置2318の位置決めにより、流体溝配置2318をこの中心線1162から離して動かす。特に、ダイヤフラム弁2700、2750は、第1のリザーバ2050および第2のリザーバ2054のそれぞれと流体溝配置2318との間に流体封止をもたらすことができるように配置されてよい。したがって、ダイヤフラム弁2700、2750は、縦デバイス中心線1162に沿って薬物送達デバイスの深さを通る単一平面から離間し、かつこの平面に平行な別の垂直平面に配置されてよい。また、ダイヤフラム弁2700、2750の出口を形成する流体溝配置2318は、縦デバイス中心線1162に沿って薬物送達デバイスの深さを通る単一平面から離間し、かつこの平面に平行な別の単一垂直平面に配置されてよい。
投薬インターフェース2000内におけるダイヤフラム弁2700、2750および流体溝配置2318の垂直配置は、(縦)デバイス中心線1162に沿って薬物送達デバイスの深さを通る第1の垂直平面に対して傾斜して(たとえば垂直に)位置するレーザによって、マニホルドと内側本体とを接合可能にするために特に有利である。レーザを第1の垂直平面に対して傾斜して(たとえば垂直に)位置させることは特に有利である。これは、レーザは、そのような水平位置から、レーザ溶接トラックで少なくとも略均一な厚さを有することのできるマニホルドを通過すればよいだけであり、一方、レーザは、垂直位置から、レーザ溶接トラックにおいて不均一な厚さを有する追加の部材を通過する必要があり得るからである。言い換えると、ダイヤフラム弁2700、2750および流体溝配置のこの垂直配置は、レーザにより容易に到達できる、垂直に向いた表面2304、2040の接合領域において、第1の本体部材および第2の本体部材をレーザ溶接によって接合可能にするために特に有利である。
取り付けられたニードルアセンブリを通って投薬する前に、溝配置2318を、内側本体2200内に成形された第3のキャビティまたは保持チャンバ280を使用して、中心線1162上に戻す。これらの要素は、投薬前に組み合わさって、投薬インターフェース1200を満たすために必要な液体または薬剤の体積を減らすことにより、用量精度を助ける。
図14によって示されたマニホルド2300の斜視図に戻ると、好ましくは、第1の弁キャビティ2366は、マニホルド2300の上面2304に沿って位置する第1の凸状突起2380の中心に位置する。そのような配置において、第1のダイヤフラム弁2700の円形突起2710を第1の弁キャビティ2366内に着座させるときに、ダイヤフラム弁2700は、内側本体2200によって画成された第1の円形凹部またはリザーバ2050と、マニホルド2300の上面に沿って設けられた流体溝配置2318との間に流体封止をもたらす。しかしながら、流体圧力を、第1のダイヤフラム弁2700に加える場合(たとえば、用量プライミングまたは用量注射工程中に)、第1の弁2700は、非応力状態から応力状態に変化する。応力状態において、流体圧力は、第1の弁2700の本来の凸形状を反転させて、第1の弁の凸状の性質が反転することにより第1の凸状突起2380の上面に沿って存在するようにする。この応力状態において、第1のダイヤフラム弁2700は、内側本体2200の第1のリザーバおよびマニホルド2300の流体溝配置2318からの流体流を可能にする。
同様に、第2の弁キャビティ2372も、第2の円形ダイヤフラム弁2750の円形突出部2760を受けるように形成される。さらに、この第2の弁キャビティ2372も、第2の凸状突起2390の頂点近くに位置する。第2のダイヤフラム弁は、流体圧力を加えると、第1のダイヤフラム弁と同様の方法で動作する。
以下でより詳細に説明するように、流体溝配置2318と合せた第1のダイヤフラム弁2700および第2のダイヤフラム弁2750の動作は、内側本体2200の第1のリザーバ2050および第2のリザーバ2054を、図1に示すデバイスなどの複数の薬剤薬物送達デバイス内に含まれる第1の薬剤および/または第2の薬剤のプライミングおよび用量投与のために使用可能にすることである。
前述したように、本明細書に開示された投薬インターフェース2000は、第1のダイヤフラム弁2700および第2のダイヤフラム弁2750を含む弁配置を含むことができる。そのようなダイヤフラム弁またはアンブレラ弁2700、2750を使用する1つの利点は、それらが特徴的に低いクラッキングまたは開放圧力を有する傾向があることである。そのような弁構造の別の利点は、開くときにそれらが低いまたは最小の流れ抵抗をもたらしやすく、また背圧に対して効果的に封止しやすいことである。これらの弁を、非常に小さいサイズに、たとえば、約3.5mm〜約4.5mmに設計してもよい。このようにして、これらの弁は、投薬インターフェース2000内の弁後漏損(post value ullage)を最小限にする傾向があり得る。しかしながら、他の弁配置を投薬インターフェース2000に使用してもよい。図15では、投薬インターフェース2000のマニホルド2300と内側本体2200との間に配置されたダイヤフラム弁2700、2750の概略横断面図が示される。
たとえば、第1の流体溝2320がマニホルド上面2304に沿って設けられる。この第1の流体溝2320は、第1の弁キャビティ2366近くに始点2321を有するが、この第1の流体溝2320はこの第1のキャビティとは流体連通していない。同様に、第2の流体溝2324は第2の弁キャビティ2372近くに始点2325を有するが、この第2のキャビティとは流体連通していない。図14に示すように、第1の流体溝2320および第2の流体溝2324は、T字形マニホルド2300の中央近くの、平坦面に沿った交点2336近くで出会うように構成されてよい。この交点2336で、第1の溝2320および第2の溝2324は第3の流体溝2328に出会う。この第3の溝2328は第4の流体溝2332と流体連通する。1つの好ましい配置では、この第4の流体溝2332は、マニホルド2300の底面に沿って設けられた矩形突起2314の外面に沿って設けられてよい。このように、マニホルド2300の上面2304は内側本体2200の略平坦面2040に沿って位置してレーザ溶接されると、マニホルド2300およびこれら複数の流体溝2320、2324、2328、2322(すなわち流体溝配置2318)により、内側本体2200の第1のリザーバ2050および第2のリザーバ2054と内側本体2200の保持チャンバとの流体連通が可能になる。
加えて、マニホルド2300の略平坦な底面は、第1の凸状突起2380および第2の凸状突起2390をさらに含む。好ましくは、第1の突起2380は、全体として凸形状を含み、第1の弁キャビティ2366をさらに画成する。同様に、第2の凸形状の突起は、第2の弁キャビティ2372を画成する。以下でより詳細に説明するように、マニホルド2300の上面が内側本体2200の平坦面に沿って組み立てられると、第1のダイヤフラム弁突起がこの第1の円形形状キャビティ内に配置され、第2のダイヤフラム弁突起がこの第2の円形形状キャビティ内に配置される。
図15の例示図では、ダイヤフラム弁2700は応力状態で示され、ダイヤフラム弁2750は非応力状態で示される。第1のダイヤフラム弁および第2のダイヤフラム弁は非応力位置において全体として凸形状を有するため、非応力状態では、ダイヤフラム弁の凸状の性質がマニホルドと内側本体との間に封止配置をもたらして、流体が内側本体の第1のキャビティから第1の溝を通って保持チャンバ内へ流れるのを防止する。しかしながら、凸状ダイヤフラム弁に圧力が及ぼされた応力状態または非定常状態では、弁は応力を受け、ダイヤフラム弁の非応力の凸状の性質が反転して、弁がマニホルドの凸状突起側に折り返される。したがって、この応力位置で、弁は内側本体の第1のリザーバと第1の流体溝の開始部分との間の流体連通を可能にし、流体は次にマニホルドの第3の溝2328および第4の溝2332を通って保持チャンバ側へ移動する。第2のダイヤフラム弁は同様の方法で動作して、内側本体の第2のリザーバから内側本体の保持チャンバへ流体が流れることができるようにする。
第1のダイヤフラム2700および/または第2のダイヤフラム2750が、フルオロエラストマー材料またはパーフルオロエラストマー材料またはこれらの混合物であるダイヤフラム材料から作られることにより、第1のダイヤフラム2700および/または第2のダイヤフラム2750は、応力状態の後に元の形状に戻る、適切な低い圧縮永久歪み特性を有する。これにより、長い耐用年数にわたって第1のダイヤフラム弁および/または第2のダイヤフラム弁の確実な閉鎖および十分な閉鎖および封止圧力が確保される。これらの特性を達成するために、可塑剤をダイヤフラム材料に添加する必要はない。したがって、ダイヤフラム材料は、特に可塑剤を含まなくてよいため、装置と共に使用される薬物の可塑剤汚染を防止することができる。さらに、ダイヤフラム材料はインスリンに対して不活性であり、インスリン薬物でしばしば使用されるm−クレゾールに対して良好な耐化学性を示す。
ダイヤフラム材料は、環状オレフィンポリマー材料、環状オレフィンコポリマー材料またはこれらの混合物から作られた本体部材、たとえば、内側本体2200またはマニホルド2300に対する不活性も示す。これらの本体部材は、寸法安定性が保たれ、可塑剤が第1のダイヤフラムおよび/または第2のダイヤフラムから浸出しないため軟化しない。
ダイヤフラムに使用される特定のフルオロエラストマーもしくはパーフルオロエラストマー材料もしくは混合物の好ましい選択、および/または本体部材に使用される特定の環状オレフィンポリマーもしくは環状オレフィンコポリマー材料もしくはこれらの混合物の好ましい選択は、装置と共に使用する薬物に応じて決まり得る。
たとえば、一部のフルオロエラストマーまたはパーフルオロエラストマー材料および一部の環状オレフィンポリマーまたは環状オレフィンコポリマー材料は、ある薬物に対してより良好な適合性を示し、他のこれらの材料はより低い適合性を示すことがある。しかしながら、他のこれらの材料が他の薬物に対してより良好な適合性を示すことがある。適合性を、各々の場合に実験によって判定することができる。
特に、フルオロエラストマーまたはパーフルオロエラストマー材料またはこれらの混合物のインスリン薬物との適合性を判定するために、試験シリーズが行われた。この試験シリーズでは、(パー)フルオロエラストマー材料FKM ML−X18が、非常に良好なインスリン適合性を有することがわかった。
環状オレフィンポリマーまたは環状オレフィンコポリマー材料またはこれらの混合物のインスリン薬物との適合性を判定するために、さらなる試験シリーズが行われた。この試験シリーズでは、Zeon Europe GmbHにより提供される環状オレフィンポリマー材料Zeonor(登録商標)1020Rが非常に良好なインスリン適合性を有することがわかった。
前記試験シリーズでは、第1の試験水溶液、第2の試験水溶液、および第3の試験水溶液を使用した。これらの試験溶液はすべて、以下の組成を有する:
インスリングラルギン:3.64mg/ml
リキシセナチド:0.40mg/ml
塩化亜鉛:30μg/ml
L−メチオニン:3.0mg/ml
グリセロール85%:20mg/ml
m−クレゾール:2.7mg/ml
NaOH/HCl1N、pH4.5まで
注射用水1mlまで(1.005gまで)
FKM ML−X18(MiniValeにより提供される)から作られたダイヤフラムが第2の試験溶液に加えられ、Zeonor 1020Rから作られた本体部材部分が第3の試験溶液に加えられた。第1の試験溶液は参考として使用された。
薬物溶液または第2/第3の試験溶液のそれぞれに対する本体部材材料のダイヤフラムの影響は、特に、溶液に接触する材料の表面の比に応じて決まる。試験シリーズで使用されるダイヤフラムの表面対体積比が、A/V≒2.9mm2/mm3となるように選択され、これは実際のデバイスにおけるダイヤフラムの実際値である。したがって、この試験シリーズの結果は、基本的に、実際の薬物送達デバイスについて予想される結果を反映したものとなるべきである。本体部材部分の表面対体積比はA/V≒1.5mm2/mm3となるように選択され、これは完全な本体部材の実際値よりも小さいが、それでもZeonor 1020Rの薬物適合性を良好に推定することができる。
3つの溶液はすべて、25℃の温度で14日間収納され、収納前(0日)、収納2日後、収納7日後、および試験シリーズ終了時の収納14日後に分析を行った。
FKM ML−X18およびZeonor 1020Rのインスリン適合性を判定するために、第1の試験溶液、第2の試験溶液、および第3の試験溶液は、高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)、より詳細にはサイズ排除クロマトグラフィによって分析され、以下の試験1〜6によって異なるパラメータが判定された:
試験1:試験溶液中のインスリングラルギン濃度を判定するインスリングラルギンアッセイ;
試験2:試験溶液中のM−クレゾール濃度を判定するM−クレゾールアッセイ;
試験3:リキシセナチド(AVE0010)に関連する不純物、すなわちリキシセナチドの分解産物の総量の判定;
試験4:インスリングラルギンに関連する不純物、すなわちインスリングラルギンの分解産物の総量の判定;
試験5:インスリングラルギンについての高分子量タンパク質(HMWP)の割合の判定;
試験6:pH値の判定。
以下の表1は分析結果を示す。第1の列は上記の試験番号を示す。第2の列は分析された試験溶液を示す。ここで、第1の試験溶液を「参考」とし、第2の試験溶液を「FKM ML−X18」とし、第3の試験溶液を「Zeonor 1020R」とする。
試験1および試験2の結果は、インスリングラルギンおよびm−クレゾールのそれぞれの元の量に関してパーセントで示される。試験3および試験4の結果は、試験中の成分、すなわちリキシセナチドまたはインスリングラルギンのそれぞれの総量に関してパーセントで示される。試験5の結果は、インスリングラルギンの総量に関して面積パーセントで示される。面積パーセントの結果は、HWPS信号の面積をインスリングラルギンの総量の面積の合計で割ることによって計算された。
試験1の結果によれば、FKM ML−X18を含む溶液およびZeonor 1020Rを含む溶液は、25℃で14日間の収納後もインスリングラルギンアッセイの大きな低下は見られなかった。インスリングラルギンの分解もFKM ML−X18およびZeonor 1020Rについては見られなかった。
高分子量タンパク質の増加(試験5)は、両方の材料について適度な許容レベルであった。
M−クレゾールが配合において防腐剤として使用される。FKM ML−X18を含む溶液について(試験2)、14日後にm−クレゾールアッセイの20%の低下が見られ、すなわちFKM ML−X18がm−クレゾールの一部を吸収した。しかしながら、14日後の20%の低下は許容できる値であり、特にこの値は、多くの他のエラストマーについての値よりも良好である。Zeonor 1020RのM−クレゾール吸収は非常に少ないことがわかった。
FKM ML−X18についてのリキシセナチド(AVE0010)(試験3)およびインスリングラルギン(試験4)に関連する不純物の増加は、他のエラストマーと比較して非常に適度であることがわかった。同様に、Zeonor 1020Rについての不純物レベルも同様に低かった。
インスリングラルギンは、完全に水溶性である酸性pH4で配合される。酸性溶質の皮下注射後、生理学的pH(約7.4)に達すると、pHの上昇によりインスリンが溶液から出て、インスリン六量体のより高次の凝集体が配合される。これにより、インスリングラルギンがその後すでに溶液中に沈殿することになるため、注射前にpHがアルカリ方向に変化しないことが非常に重要である。
FKM ML−X18の試験では、pH値が試験シリーズ中にわずかにより酸性の領域に変化した。この酸性変化によるインスリングラルギンまたはリキシセナチドへの大きな悪影響は見られなかった。有利なことに、FKM ML−X18を含む第2の試験溶液は、前述したようにインスリングラルギンの沈澱を生じさせ得るアルカリ領域へのpH値変化を示さなかった。
結論として、FKM ML−X18を含む溶液は、25℃で14日間収納した後に大きな分解を示さなかった。したがって、FKM ML−X18は、インスリン薬物に対する高い適合性を有することがわかったため、インスリン薬物用に指定された医療デバイスにおけるダイヤフラム弁のダイヤフラムに使用するのに好ましい材料である。
同様に、Zeonor 1020Rも、インスリン薬物との高い適合性を有することがわかったため、インスリン薬物用に指定された医療デバイスにおける本体部材に使用するのに好ましい材料である。
環状オレフィン(コ)ポリマー材料および(パー)フルオロエラストマー材料の材料適合性を分析するために、さらなる試験が行われた:
図12〜図17を参照して前述した内側本体2200、マニホルド2300、およびダイヤフラム2700と同様の内側本体、マニホルド、およびダイヤフラムが、図15に示すように組み立てられたが、内側本体およびマニホルドは恒久的に接合されず、締め付けられただけである。内側本体およびマニホルドはパーフルオロエラストマー材料(ML952 Rezlyn pale)から作られ、ダイヤフラムは環状オレフィンポリマー材料(Zeonor 1020R)から作られた。このアセンブリは、その後、試験を加速させるために、60℃の温度で186時間収納された。収納後、アセンブリが分解され、内側本体およびマニホルドとのダイヤフラムの接触面が光学および触覚検査により分析された。
接触面は材料の非適合性による機械的分解を示さないことがわかった。したがって、環状オレフィンポリマー材料は、パーフルオロエラストマー材料と適合性があることがわかった。
フルオロエラストマー材料(ML652 lilac)から作られたダイヤフラム弁を用いた試験によれば、接触面はまた、収納後に何ら変形を示さなかった。接触面はこの試験においてわずかに粘着性があるように思われるが、それでも全体としての適合性は許容できるものであることがわかった。
比較例として、環状オレフィンポリマー材料(Zeonor 1020R)から作られた内側本体およびマニホルドと熱可塑性エラストマー(Kraiburg TM5/6/7MED)から作られたダイヤフラムとを用いて、同一の試験が行われた。上記と同一条件での収納後、ダイヤフラムと内側本体およびマニホルドとの接触面が、かなりの変形を示した。したがって、これら2つの材料の組合せは漏れを生じさせ、ダイヤフラム弁の耐用年数を短くするおそれがある。
ダイヤフラム弁で使用する(パー)フルオロエラストマー材料の適合性を分析するために、さらなる試験が行われた。図15の文脈に示すアセンブリでは、ダイヤフラム弁がプレテンション状態で組み立てられる。これは、ダイヤフラム弁がパッシブ弁であるため、装置の非加圧状態であっても弁が確実に最小の封止圧力を生じさせるのに必要である。
ダイヤフラムについての弾性材料は、時間および温度と共に歪みを残しやすい。このいわゆる「圧縮永久歪み」は、弾性材料の恒久的な変形であり、したがって封止圧力および能力の損失である。
フルオロエラストマー材料またはパーフルオロエラストマー材料またはこれらの混合物から作られたダイヤフラムの圧縮永久歪みを分析するために、図15に示す、パーフルオロエラストマー材料(FFKM−ML952)およびフルオロエラストマー材料(FKM−ML−X18)から作られたダイヤフラム2700のようなダイヤフラムが、図15に示すように内側本体およびマニホルドのアルミニウムモックアップ内に配置された。材料アルミニウムは、弁および内側本体およびマニホルドの可能な材料相互作用による結果に悪影響を与えないように選択された。
ダイヤフラムの公称高さは1.25mmであった。試験のために、ダイヤフラムは3つの異なる圧縮高さ(0.95mm、0.85mm、0.75mm)に圧縮された。これらの圧縮高さは、実際の装置で考えられる異なる公差条件を表すように選択された。試験は60℃の温度で186時間行われた。ダイヤフラムの高さが試験前および試験後に測定された。これによる2つの測定値の差は、それぞれのダイヤフラムの圧縮永久歪みについての値とみなされる。圧縮永久歪みが小さいほど、ダイヤフラムの再封止能力が良好になる。
パーフルオロエラストマー材料から作られたダイヤフラムは、3つのすべての圧縮高さについて約0.07mm未満の圧縮永久歪みを示しただけである。同様に、フルオロエラストマー材料から作られたダイヤフラムは、3つのすべての圧縮高さについて約0.09未満の圧縮永久歪みを示しただけである。これらの結果から、(パー)フルオロエラストマー材料から作られたダイヤフラムは非常に良好な長期にわたる再封止能力をもたらすことがわかった。
また、圧縮高さ0.75mmで0.25〜0.4mmの圧縮永久歪みを示す熱可塑性エラストマー(Kraiburg TM5/6/7MED)から作られたダイヤフラムについて、比較試験が行われた。したがって、これらの材料は、(パー)フルオロエラストマー材料よりも低い再封止能力を有する。
環状オレフィン(コ)ポリマー材料のレーザ溶接性を分析するために、さらなる試験が行われた。環状オレフィンポリマー材料(Zeon 1020R)から作られた内側本体およびマニホルドがレーザ溶接された。接合部の一部は溶接のための自然な状態にあり、他の接合部はレーザ光吸収を高めるために黒色添加剤で強化された。接合部は、1060nmの波長の直接ダイオードレーザにより溶接された。
溶接されたアセンブリは、その後、12.2バールの圧力印加に等しい45Nで1mlカートリッジに対して20秒間加圧され、アセンブリの気密性が判定された。レーザ溶接されたアセンブリの大部分(90%)が、この漏れ試験に通った。したがって、環状オレフィン(コ)ポリマー材料は、良好なレーザ溶接性を有することがわかった。
結論として、前述した試験は、ダイヤフラムのためのフルオロエラストマー材料またはパーフルオロエラストマー材料またはこれらの混合物、および本体部材のための環状オレフィンポリマー材料または環状オレフィンコポリマー材料またはこれらの混合物を組み合わせることにより、長い耐用年数、および、特にインスリングラルギン薬物に対する良好な薬物適合性を有する装置が得られる。
また、本開示は以下の実施形態を含む:
1.高密度ポリエチレン(HDPE)材料から作られた本体部材と、ダイヤフラムを有するダイヤフラム弁とを含み、ダイヤフラムの少なくとも表面部分がダイヤフラム材料から作られ、前記ダイヤフラム材料が熱可塑性エラストマー(TPE)材料である装置。
2.前記ダイヤフラム材料は、10重量%未満、好ましくは5重量%未満、より好ましくは1重量%未満、特に0.5重量%未満の可塑剤含有量を有する、前記実施形態1に記載の装置。
3.前記ダイヤフラム材料は可塑剤を含まない熱可塑性エラストマー材料である、前記実施形態1または2に記載の装置。
4.ダイヤフラムは完全に前記ダイヤフラム材料から作られる、前記実施形態1〜3のいずれか1つに記載の装置。
5.ダイヤフラム弁は本体部材によって少なくとも部分的に形成されたハウジング内に収容される、前記実施形態1〜4のいずれか1つに記載の装置。
6.本体部材はダイヤフラムに直接接触する、前記実施形態1〜5のいずれか1つに記載の装置。
7.第1の本体部材と;カバー部材として構成された第2の本体部材とを含み、前記第1の本体部材および前記第2の本体部材は、前記第1の本体部材の表面と前記第2の本体部材の表面との間に流体チャネルを少なくとも部分的に形成するように構成され、第1の本体部材および/または第2の本体部材は高密度ポリエチレン材料から作られる、前記実施形態1〜6のいずれか1つに記載の装置。
8.前記第1の本体部材は:凹部;および第1の本体部材リザーバおよび/または第2の本体部材リザーバを含み、前記流体チャネルは前記第1の本体部材リザーバおよび/または前記第2の本体部材リザーバから前記凹部への流体連結をもたらし、前記第1の本体部材リザーバおよび/または第2の本体部材リザーバの少なくとも1つはダイヤフラム弁を受けるように構成される、前記実施形態7に記載の装置。
9.前記第1の本体部材は前記装置の内側本体を画成し、前記第2の本体部材は前記装置のマニホルドを画成する、前記実施形態7または8に記載の装置。
10.前記第2の本体部材は、上面に沿って設けられた少なくとも第1の弁キャビティを含み、第1の弁キャビティは、ダイヤフラム弁のダイヤフラムの突起を受けるように形成され、第1の弁キャビティは、ダイヤフラムの突起の頂点近くに位置する、前記実施形態7〜9のいずれか1つに記載の装置。
11.前記第1の本体部材の前記表面および前記第2の本体部材の前記表面は、接合領域でレーザ溶接により接合される、前記実施形態7〜10のいずれか1つに記載の装置。
12.装置は医療デバイスまたは医療デバイスの一部である、前記実施形態1〜11のいずれか1つに記載の装置。
13.前記ダイヤフラム弁は、流体圧力閾値を前記ダイヤフラム弁に加える場合に流体流を有効にするように構成される、前記実施形態1〜12のいずれか1つに記載の装置。
14.装置は、薬剤を噴出するように構成された医療デバイスであり、ダイヤフラム弁は、薬物送達デバイスのリザーバおよび用量ディスペンサに含まれる薬剤の流体連通を制御するように構成される、前記実施形態12に記載の装置。
15.前記装置は前記ダイヤフラム弁の少なくとも2つを含み、医療デバイスはそれぞれ、前記リザーバの少なくとも2つを含む、前記実施形態14に記載の装置。
これらの実施形態1〜15は、環状オレフィンポリマー材料または環状オレフィンコポリマー材料またはこれらの混合物から作られた本体部材と、ダイヤフラムを有するダイヤフラム弁とを含み、ダイヤフラムの少なくとも表面部分がダイヤフラム材料から作られ、前記ダイヤフラム材料がフルオロエラストマー材料またはパーフルオロエラストマー材料またはこれらの混合物から作られる前記装置の実施形態と同様の利点をもたらす。したがって、実施形態1〜15の利点およびさらなる特徴に関しては、前述した装置の実施形態の説明を参照する。
さらに、高密度ポリエチレン材料および熱可塑性エラストマー材料の使用により、材料費が安価になるため、より経済的な製造が可能になることが、実施形態1に記載の装置の利点である。
熱可塑性エラストマー材料のインスリン薬物との適合性を判定するために、試験シリーズが行われた。この試験シリーズでは、KRAIBURG TPE GmbH & Co. KGにより提供された熱可塑性エラストマー材料THERMOPLAST(登録商標) TM6MEDが非常に良好なインスリン適合性を有することがわかった。
高密度ポリエチレン材料のインスリン薬物との適合性を判定するために、さらなる試験シリーズが行われた。この試験シリーズでは、SABIC Deutschland GmbHにより提供される高密度ポリエチレン材料SABIC(登録商標) PCG80063が非常に良好なインスリン適合性を有することがわかった。
前記試験シリーズでは、第1の試験水溶液、第2の試験水溶液、および第3の試験水溶液を使用した。これらの試験溶液はすべて、以下の組成を有する:
インスリングラルギン:3.64mg/ml
リキシセナチド:0.40mg/ml
塩化亜鉛:30μg/ml
L−メチオニン:3.0mg/ml
グリセロール85%:20mg/ml
m−クレゾール:2.7mg/ml
NaOH/HCl1N、pH4.5まで
注射用水1mlまで(1.005gまで)
TPE TM6MED(MiniValeにより提供される)から作られたダイヤフラムが第2の試験溶液に加えられ、PCG80063から作られた本体部材部分が第3の試験溶液に加えられた。第1の試験溶液は参考として使用された。
薬物溶液または第2の試験溶液のそれぞれに対するダイヤフラムの影響は、特に、溶液に接触する材料の表面の比に応じて決まる。試験シリーズで使用されるダイヤフラムの表面対体積比が、A/V≒2.9mm2/mm3となるように選択され、これは実際のデバイスにおけるダイヤフラムの実際値である。したがって、この試験シリーズの結果は、基本的に、実際の薬物送達デバイスについて予想される結果を反映したものとなるべきである。本体部材部分の表面対体積比はA/V≒1.5mm2/mm3となるように選択され、これは完全な本体部材の値よりも小さいが、それでもPCG80063の薬物適合性を
良好に推定することができる。
3つの溶液はすべて、25℃の温度で14日間収納され、収納前(0日)、収納2日後、収納7日後、および試験シリーズ終了時の収納14日後に分析を行った。
TPE TM6MEDおよびPCG80063のインスリン適合性を判定するために、第1の試験溶液、第2の試験溶液、および第3の試験溶液は、高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)、より詳細にはサイズ排除クロマトグラフィによって分析され、以下の試験1〜6によって異なるパラメータが判定された:
試験1:試験溶液中のインスリングラルギン濃度を判定するインスリングラルギンアッセイ;
試験2:試験溶液中のM−クレゾール濃度を判定するM−クレゾールアッセイ;
試験3:リキシセナチド(AVE0010)に関連する不純物、すなわちリキシセナチドの分解産物の総量の判定;
試験4:インスリングラルギンに関連する不純物、すなわちインスリングラルギンの分解産物の総量の判定;
試験5:インスリングラルギンについての高分子量タンパク質(HMWP)の割合の判定;
試験6:pH値の判定。
表2は分析結果を示す。第1の列は上記の試験番号を示す。第2の列は分析された試験溶液を示す。ここで、第1の試験溶液を「参考」とし、第2の試験溶液を「TPE TM6MED」とし、第3の試験溶液を「PCG80063」とする。
試験1および試験2の結果は、インスリングラルギンおよびm−クレゾールのそれぞれの元の量に関してパーセントで示される。試験3および試験4の結果は、試験中の成分、すなわちリキシセナチドまたはインスリングラルギンのそれぞれの総量に関してパーセントで示される。試験5の結果は、インスリングラルギンの総量に関して面積パーセントで示される。面積パーセントの結果は、HWPS信号の面積をインスリングラルギンの総量の面積の合計で割ることによって計算された。
表2に示すこれらの試験結果の詳細な評価に関しては、表1の試験結果の説明を参照する。
結論として、TPE TM6MEDは、インスリン薬物に対する高い適合性を有することがわかったため、インスリン薬物用に指定された医療デバイスにおけるダイヤフラム弁のダイヤフラムに使用するのに好ましい材料である。
同様に、SABIC(登録商標) PCG80063も、インスリン薬物との高い適合性を有することがわかったため、インスリン薬物用に指定された医療デバイスにおける本体部材に使用するのに好ましい材料である。
熱可塑性エラストマー材料の材料適合性を分析するために、さらなる試験が行われた:
図12〜図17を参照して前述した内側本体2200、マニホルド2300、およびダイヤフラム2700と同様の内側本体、マニホルド、およびダイヤフラムが、図15に示すように組み立てられたが、内側本体およびマニホルドは恒久的に接合されず、締め付けられただけである。内側本体およびマニホルドは熱可塑性エラストマー材料(TPE TM6MED)から作られ、ダイヤフラムは高密度ポリエチレン材料(PCG80063)から作られた。このアセンブリは、その後、試験を加速させるために、60℃の温度で186時間収納された。収納後、アセンブリが分解され、内側本体およびマニホルドとのダイヤフラムの接触面が光学および触覚検査により分析された。
接触面は、TPE TM6MEDがPCG80063材料に接触することにより、わずかな残留物を示すことがわかった。しかしながら、接触面は、収納後に何ら変形を示さなかった。したがって、2つの材料の適合性は全体として良好であることがわかった。
ダイヤフラム弁で使用する熱可塑性エラストマー材料の適合性を分析するために、さらなる試験が行われた。図15の文脈に示すアセンブリでは、ダイヤフラム弁がプレテンション状態で組み立てられる。これは、ダイヤフラム弁がパッシブ弁であるため、装置の非加圧状態であっても弁が確実に最小の封止圧力を生じさせるのに必要である。
ダイヤフラムについての弾性材料は、時間および温度と共に歪みを残しやすい。このいわゆる「圧縮永久歪み」は、弾性材料の恒久的な変形であり、したがって封止圧力および能力の損失である。
熱可塑性エラストマー材料から作られたダイヤフラムの圧縮永久歪みを分析するために、図15に示す、熱可塑性エラストマー材料(TPE TM6MED)から作られたダイヤフラム2700のようなダイヤフラムが、図15に示すように内側本体およびマニホルドのアルミニウムモックアップ内に配置された。材料アルミニウムは、弁および内側本体およびマニホルドの可能な材料相互作用による結果に悪影響を与えないように選択された。
ダイヤフラムの公称高さは1.25mmであった。試験のために、ダイヤフラムは3つの異なる圧縮高さ(0.95mm、0.85mm、0.75mm)に圧縮された。これらの圧縮高さは、実際の装置で考えられる異なる公差条件を表すように選択された。試験は60°Cの温度で186時間行われた。ダイヤフラムの高さが試験前および試験後に測定された。これによる2つの測定値の差は、それぞれのダイヤフラムの圧縮永久歪みについての値とみなされる。圧縮永久歪みが小さいほど、ダイヤフラムの再封止能力が良好になる。
熱可塑性エラストマー材料から作られたダイヤフラムは、0.95mmの圧縮高さについて約0.11mm〜0.17mmの圧縮永久歪みを示し、0.85mmの圧縮高さについて約0.22〜0.25の圧縮永久歪みを示し、0.75mmの圧縮高さについて約0.31mm〜0.35mmの圧縮永久歪みを示した。
これらの結果は、熱可塑性エラストマー材料から作られたダイヤフラムが、(パー)フルオロエラストマー材料よりも低いが、それでも満足なレベルである、長期にわたる再封止能力をもたらすことを示す。
高密度ポリエチレン材料のレーザ溶接性を分析するために、さらなる試験が行われた。高密度ポリエチレン材料(PCG80063)から作られた内側本体およびマニホルドがレーザ溶接された。接合部の一部は溶接のための自然な状態にあり、他の接合部はレーザ光吸収を高めるために黒色添加剤で強化された。接合部は、1060nmの波長の直接ダイオードレーザにより溶接された。
溶接されたアセンブリは、その後、12.2バールの圧力印加に等しい45Nで1mlカートリッジに20秒間加圧され、アセンブリの気密性が判定された。レーザ溶接されたアセンブリの大部分が、この漏れ試験に通った。したがって、高密度ポリエチレン材料は、十分なレーザ溶接性を有することがわかった。
結論として、前述した試験は、ダイヤフラムのための熱可塑性エラストマー材料、および本体部材のための高密度ポリエチレン材料(PCG80063)を組み合わせることにより、十分に長い耐用年数、および、特にインスリングラルギン薬物に対する十分な薬物適合性を有する装置が得られる。
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり;分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖;システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり;それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され;これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり;αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(CH)と可変領域(VH)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し;重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリンドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン:1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき;軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終
的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。