JP2016502996A - ナイーブな対象のためのワクチン組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、小児などのナイーブな対象において有効な経鼻投与ワクチン組成物に関する。さらに、前記ワクチン組成物はパンデミック期間中に一般集団にワクチン接種するのに適している。本発明の一局面は、小児において有効な季節性インフルエンザウイルス株ワクチンを含む本発明のワクチンの小児科的使用に関する。本発明のさらなる局面は、前記組成物がパンデミック用の場合、全年齢群の対象に関する。

Description

発明の分野
本発明は、小児などのナイーブな対象において有効な経鼻投与ワクチン組成物に関する。さらに、このワクチン組成物は、パンデミック期間中に一般集団にワクチン接種するのに適している。
発明の背景
現在、一般に用いられているインフルエンザワクチンは生ウイルスまたは不活化ウイルスをベースとしており、不活化ウイルスワクチンは、全ウイルス、「スプリット」ウイルス、サブユニットタンパク質、または精製された表面抗原(赤血球凝集素およびノイラミニダーゼを含む)をベースとしうる。
インフルエンザの社会経済的影響および健常若年小児におけるインフルエンザの医学的負担がますます認識されるようになっている。さらに、小児は流行期間中のインフルエンザ発病率が最も高く、生活共同体内のインフルエンザウイルスを他のリスク群に伝染させる。
健常若年小児には十分に発達した免疫系がないのでインフルエンザ感染リスクが高い。乳幼児は、生後3ヶ月間においては、これより年上の個体では稀な感染症(例えば、ストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae))にかかりやすく、生後数ヶ月間は母親由来抗体に頼っている。乳幼児はある特定のワクチンには成人と同じように応答せず、5歳ごろまで多糖類抗原に対する有効な抗体を産生することができない。免疫系は小児と共に成長および発達し、性ホルモンが小児免疫系の完全成熟を担うと考えられる思春期になるまで成人免疫系と完全には類似しない。
予防接種の実施に関する米国諮問委員会(ACIP)は、6〜23ヶ月の小児はインフルエンザに関連する入院のリスクがかなり高く、24〜59ヶ月の小児はインフルエンザに関連する診療所および救急部で診察を受けるリスクが高いことから、6〜59ヶ月の小児全員が年一回、インフルエンザワクチン接種を受けることを勧告している。この勧告は、季節性インフルエンザワクチン接種の場合は禁忌のない6ヶ月以上の人全員に広げられている。米国食品医薬品局は以下の年齢範囲に従って小児科部分母集団を分類する。新生児集団は出生から月齢1ヶ月である。乳幼児集団は1ヶ月〜2歳である。小児集団は2歳〜12歳である。青少年集団は12〜21歳である。欧州では、一部の国はACIPと同様の勧告を出しているが、若年小児に対して広く行われる免疫化(universal immunization)についてより限定的な立場をとっている。欧州医薬品庁(European Medicines Agency)は以下の集団に従って小児医学を分類する。新生児集団は早産児から正期産児および28日までを含む。乳幼児集団は1ヶ月〜23ヶ月である。小児集団は2歳〜11歳である。青少年は12歳〜18歳である。
研究から、従来の非経口ワクチンは、未感作の(ナイーブな)小児、特に、非常に幼い小児において、満足の行く防御免疫を誘導する能力が十分でないことが分かっている。ACIPは、免疫学的にナイーブな非常に幼い小児では2回ワクチン接種レジメンを勧告しているが、8歳までの集団を防御するためには2回の投与が必要なことを示す証拠が蓄積されてきたので、最近になってこのような勧告は8歳までの小児に広げられた。
パンデミックとパンデミックの間の期間、循環しているインフルエンザウイルスは、前に起こった流行からのインフルエンザウイルスと関係がある。ウイルスは、人生の早い時点での感染から様々な程度の免疫をもつ人の間で蔓延する。このような循環は抗原ドリフトとして知られる現象であり、通常、2〜3年にわたり、一般集団間で再流行を引き起こすのに十分な程変化した新株の選択を促進する。ドリフト変種は、任意の1年では、異なる生活共同体、地域、国、または大陸において異なる影響を及ぼしうるが、数年を通しては、全体的な影響は似ていることが多い。典型的なインフルエンザ流行は、入院率および死亡率の増加によって証明されるように肺炎および呼吸器下部疾患の発生率を増加させる。
予測不可能な間隔を開けて、「抗原シフト」として知られるプロセスによって新たなインフルエンザウイルスが現れ、パンデミックを引き起こすことができる。抗原シフトは、2つ以上の異なるウイルス株が組み合わさって、2種以上のオリジナル株の表面抗原の混合物を有する新たなサブタイプを形成するプロセスである。抗原シフトは、表現型変異を付与する再集合またはウイルスシフトの具体例である。従って、ヒト集団に既存の免疫がない新たなインフルエンザウイルスが現れたときにインフルエンザパンデミックが起こる。抗原シフトが起こったとき、一般集団は新たなウイルス株に対してナイーブであると考えられる。
抗原シフトは、免疫の消失またはワクチン不適合につながりうる、既知インフルエンザ株の経時的な自然変異である抗原ドリフトとは異なる。抗原ドリフトは、インフルエンザウイルスA、インフルエンザB、およびインフルエンザCを含む全てのタイプのインフルエンザにおいて発生する。しかしながら、抗原シフトはインフルエンザウイルスAにしか起こらない。なぜなら、インフルエンザウイルスAはヒト以外にも感染するからである。
パンデミックの期間中、抗ウイルス薬は、潜在的に生命を脅かすインフルエンザ疾患のリスクのある個体のニーズおよび数をカバーするに十分でもなく有効でもない。免疫学的にナイーブな対象において防御抗体レベルを実現するためには適切なワクチンの開発が不可欠である。
これらの問題は、アジュバント添加および/または最適ワクチン送達によって対処される場合がある。アジュバント添加および/または最適ワクチン送達の目的は、抗原含有量を減らし、従って、利用可能なワクチン投与の数を増やすことができるようにワクチンの免疫原性を高めることである。アジュバントの使用はまた、特定のインフルエンザ株に対する既存の免疫がない集団において、抗原に対して免疫系を初回刺激するのを助けることができる。アジュバントはまたワクチン送達を強化し、それによって、免疫応答を誘導するのに必要な抗原量を減らすこともできる。ワクチン送達および/またはワクチン接種経路は極めて重要でありうる。ほとんどのインフルエンザワクチンは非経口送達され、従って、主に、血中でインフルエンザに対する免疫を誘導する。しかしながら、インフルエンザウイルスは鼻または口、すなわち、粘膜から体内に入る。インフルエンザワクチンを鼻に送達することによって、粘膜内および血中の両方でインフルエンザ特異的免疫を誘導することができる。これは、特に、インフルエンザワクチン株に対する以前の免疫のない、またはいかなるインフルエンザに対しても以前の免疫のない個体において、インフルエンザに対する防御免疫を誘導することを目的としているときに有益でありうる。
ワクチン抗原に対する既存の免疫がない個体においてインフルエンザ疾患に対する防御免疫を誘導することができる新しい非生ワクチン、例えば、不活化全ウイルスをベースとする、または不活化ウイルスに由来する一部分をベースとするワクチンが必要とされている。インフルエンザに対する十分な既存の免疫がない、および/または免疫状態が弱まっている個体には、免疫無防備状態の個体、若年小児、高齢者、およびパンデミックの場合には世界中の集団の大部分(または全て)が含まれる。本発明は、特に、ウイルス抗原に対する既存の免疫が限定的である、またはウイルス抗原に対する既存の免疫がない小児に関する。特に、この群は、免疫学的応答、例えば、インフルエンザに対する免疫学的応答を初回刺激することができる安全な非生ワクチンを必要とする。パンデミック宣言の前またはパンデミック宣言の際にパンデミック株に対して免疫学的にナイーブな集団を初回刺激するためのペリパンデミック(peri-pandemic)ワクチンとして使用することができる新しいワクチンも必要とされる。本発明は特に、ナイーブな集団を対象とし、とりわけ、経鼻投与用に製剤化されており、不活化ウイルスまたはウイルスの一部分しか含有せず、従って、医学的な訓練を受けた人を必要としないので容易に投与することができる。ワクチン抗原と強力なアジュバントとの製剤は免疫応答を増強することができる。
本発明の目的は、ワクチン株に対する既存の免疫がない対象において、季節性ウイルス株およびパンデミックウイルス株ならびに他の病原性生物に対する免疫応答を初回刺激し、防御免疫を提供することができるワクチンを提供することである。本発明の一局面は、小児において有効な季節性インフルエンザウイルス株のワクチンを含む本発明のワクチンの小児科的使用に関する。本発明のさらなる局面は、前記組成物がパンデミック用の場合、全年齢群の対象に関する。
本発明の第1の局面は、
i)1種または複数種の非生抗原、および
ii)1種または複数種のカルボン酸と、水性媒体と、任意で1種または複数種のモノグリセリドとを含む、アジュバント
を含む、ナイーブな対象において使用する鼻腔内投与ワクチンとして使用するための組成物に関する。
前記組成物は、全ての適切な病原体に対するワクチンとして使用するために製剤化することができる。従って、前記組成物は、任意の適切なウイルス株または細菌のワクチンとして製剤化することができる。前記組成物は、鼻腔内投与用のインフルエンザワクチンとして使用するために製剤化することができる。本発明は、ワクチン株に対する既存の免疫が限定的である、またはワクチン株に対する既存の免疫がない対象における、病原体感染に対する、例えば、インフルエンザに対する鼻腔内免疫化用のワクチンとして使用するために開発された。
本発明の第2の局面は、
1種または複数種の非生インフルエンザウイルス抗原、および
1種または複数種のカルボン酸と、水性媒体と、任意で1種または複数種のモノグリセリドとを含む、アジュバント
を含む、免疫無防備状態の小児科対象への鼻腔内投与ワクチンとして使用するための組成物に関する。
本発明の第3の局面は、
i)1種または複数種の非生抗原、および
ii)1種または複数種のカルボン酸と、水性媒体と、任意で1種または複数種のモノグリセリドとを含む、アジュバント
を含む、免疫無防備状態のナイーブな患者において使用する鼻腔内投与ワクチンとして使用するための組成物に関する。
本発明のさらなる局面は、
i)1種または複数種の肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)抗原、および
ii)1種または複数種のカルボン酸と、水性媒体と、任意で1種または複数種のモノグリセリドとを含む、アジュバント
を含む、肺炎連鎖球菌感染の予防または肺炎連鎖球菌感染に関連した症状の重篤度の低下のために、ナイーブな対象および/または免疫無防備状態の患者において使用する鼻腔内投与ワクチンとして使用するための組成物に関する。
H1N1 A/Ned/602/09(A)に対するHI抗体価の発生。群1、群3〜群6のフェレットには0日目、21日目、および42日目に点鼻によって鼻腔内接種し、群2のフェレットには21日目および42日目に皮下注射した。0日目、21日目、および42日目に免疫化前に収集した血清ならびに64日目および70日目に最後の免疫化後に収集した血清のHI抗体価を求めた。群1(対照、i.n.食塩水)、群2(s.c. TIV)、群3(5μg HA のi.n. Endocine(商標)アジュバント添加スプリット抗原)、群4(15μg HA のi.n. Endocine(商標)アジュバント添加スプリット抗原)、群5(30μg HA のi.n. Endocine(商標)アジュバント添加スプリット抗原)、および群6(15μg HA のi.n. Endocine(商標)アジュバント添加不活化全ウイルス抗原)。バーは、95%CIで一群あたり6匹の動物の幾何平均を表す(GMT+/-CI95)。 遠縁ウイルス(distant virus)に対するHI力価。群1、群3〜群6のフェレットには0日目、21日目、および42日目に点鼻によって鼻腔内接種し、群2のフェレットには21日目および42日目に皮下注射した。0日目、21日目、および42日目に免疫化前に収集した血清ならびに64日目および70日目に最後の免疫化後に収集した血清のHI抗体価を求めた。群1(対照、i.n. 食塩水)、群2(s.c. TIV)、群3(5μg HA のi.n. Endocine(商標)アジュバント添加スプリット抗原)、群4(15μg HA のi.n. Endocine(商標)アジュバント添加スプリット抗原)、群5(30μg HA のi.n. Endocine(商標)アジュバント添加スプリット抗原)、および群6(15μg HA のi.n. Endocine(商標)アジュバント添加不活化全ウイルス抗原)。バーは、95%CIで一群あたり6匹の動物の幾何平均を表す(GMT+/-CI95)。GMT計算のために、≦5の値を絶対値5で置き替えた。A: H1N1 A/Swine/Ned/25/80に対する抗体価。B: H1N1 A/Swine/Italy/14432/76に対する抗体価。C: H1N1 A/New Jersey/08/76に対する抗体価。 H1N1 A/Ned/602/09に対するVN抗体価の発生。群1、群3〜群6のフェレットには0日目、21日目、および42日目に点鼻によって鼻腔内接種し、群2のフェレットには21日目および42日目に皮下注射した。0日目、21日目、および42日目に免疫化前に収集した血清ならびに64日目および70日目に最後の免疫化後に収集した血清のVN抗体価を求めた。群1(対照、i.n. 食塩水)、群2(s.c. TIV)、群3(5μg HA のi.n. Endocine(商標)アジュバント添加スプリット抗原)、群4(15μg HA のi.n. Endocine(商標)アジュバント添加スプリット抗原)、群5(30μg HA のi.n. Endocine(商標)アジュバント添加スプリット抗原)、および群6(15μg HA のi.n. Endocine(商標)アジュバント添加不活化全ウイルス抗原)。バーは、95%CIで一群あたり6匹の動物の幾何平均を表す(GMT+/-CI95)。 インフルエンザに対してナイーブなフェレットにおける、15ug HAスプリットインフルエンザ抗原および20mg/ml(2%)Endocine(商標)を含む本発明のワクチンImmunose(商標)FLUと他のアジュバント添加ワクチン製品FluMist(弱毒生ワクチン)および注射用ワクチンとの比較。 表3:臨床パラメータ、ウイルス学パラメータ、および肉眼所見パラメータによって証明された、Endocine(商標)を用いて製剤化された2009 H1N1ワクチンのフェレットにおける効力。群1(対照、i.n. 食塩水)、群2(s.c. TIV)、群3(5μg HAのi.n. Endocine(商標)アジュバント添加スプリット抗原)、群4(15μg HAのi.n. Endocine(商標)アジュバント添加スプリット抗原)、群5(30μg HAのi.n. Endocine(商標)アジュバント添加スプリット抗原)、および群6(15μg HAのi.n. Endocine(商標)アジュバント添加不活化全ウイルス抗原)。臨床スコア:生存率、4dpiまで生存した動物の数;発熱(℃)、最大温度上昇を平均と標準偏差で示し、発熱が観察された動物の数を括弧内に示した。(*)、群4の1匹の動物の体温は記録計の動作不良により入手できなかった。0〜4dpiでの%体重減少を平均と標準偏差で示し、体重が減少した動物の数を括弧内に示した。ウイルス学:鼻スワブ試料および咽頭スワブ試料におけるウイルス排出、1〜4dpiでの滴定結果の曲線下面積(AUC)。1または複数のウイルス陽性スワブを示した動物の数を括弧内に示した;4dpiでの肺および鼻甲介におけるウイルス量(log10TCID50/g)を平均と標準偏差で示した。万一、群の動物が全てウイルス陰性であった場合には検出下限を示した。肺/鼻甲介ウイルスがあった動物の数を括弧内に示した。肉眼所見:4dpiでの屍検中に肉眼検査によって見積もられた罹患肺実質の%を平均と標準偏差で示した。罹患肺を有する動物の数を括弧内に示した;4dpiでの肺/体重比(x102)を平均と標準偏差で示した。 表4:4dpiでの病理組織学的パラメータの半定量スコアリング。a:群1(対照、i.n.食塩水)、群2(s.c. TIV)、群3(5μg HAのi.n. Endocine(商標)アジュバント添加スプリット抗原)、群4(15μg HAのi.n. Endocine(商標)アジュバント添加スプリット抗原)、群5(30μg HAのi.n. Endocine(商標)アジュバント添加スプリット抗原)、および群6(15μg HAのi.n. Endocine(商標)アジュバント添加不活化全ウイルス抗原)。組織病理学:4dpiでの病理組織学的パラメータの半定量スコアリング。肺胞炎/肺胞損傷の程度、スコア:0、0%;1、25%;2、25〜50%;3、>50%;肺胞炎の重篤度、スコア:炎症細胞なし(0);少数の炎症細胞(1);中程度の数の炎症細胞(2);多数の炎症細胞(3);肺胞浮腫、肺胞出血、およびII型肺細胞過形成を陽性スライドとしてスコア付けした(なし=0、あり=1);組織病理学結果を全て平均と標準偏差で表した。
発明の詳細な説明
本発明の態様の説明では、理解しやすくするために特定の用語が用いられる。しかしながら、本発明は、そのように選択された特定の用語に限定されることは意図されず、それぞれの特定の用語は、同様の目的を達成するために同様に働く全ての技術的同等物を含むことが理解される。
「ナイーブな対象」という用語は、病原体に対して免疫学的にナイーブな対象、すなわち、ある特定の病原体のワクチンが接種されたことのない、またはある特定の病原体に曝露されたことのない、従って、その病原体に対する既存の免疫がない対象を意味する。
「インフルエンザに対してナイーブな対象」という用語は、ある特定のインフルエンザウイルスに対して免疫学的にナイーブな対象、すなわち、ある特定のインフルエンザのワクチンが接種されたことのない、またはある特定のインフルエンザに曝露されたことのない、従って、そのインフルエンザ株に対する既存の免疫がない対象を意味する。インフルエンザの場合、この用語は、季節性インフルエンザのワクチン接種の場合には乳幼児および小児を意味し、ペリパンデミック期およびパンデミック期の場合には、乳幼児、小児、成人、および高齢者を含む全集団を意味する。
「小児科対象」という用語は21歳以下の小児を指し、以下の部分母集団:出生日〜1ヶ月の新生児集団、1ヶ月〜2歳の乳幼児、2歳〜12歳の小児、および12歳〜21歳の青少年を含む。
「ペリパンデミック期」という用語はパンデミック前後の期間を指す。パンデミックがWHOによって公的に認定された期間だとしたら、この用語は、パンデミックが公認される直前の期間とパンデミック直後の期間を指し、この期間中にワクチン接種が推奨される。
「非生抗原」という用語は、ウイルス、例えば、不活化全ウイルスを含む不活化非生病原体に由来する抗原、スプリット抗原、サブユニット抗原、組換え抗原もしくはペプチド、または細菌もしくは寄生生物を指す。
「Immunose(商標)FLU」という用語は、非生インフルエンザ抗原とEndocine(商標)とを含む組成物を指す。
「Endocine(商標)」という用語は、等モル量のモノオレイン酸グリセロールとオレイン酸とを含むアジュバントを指す。
本発明の組成物中の1種または複数種の非生インフルエンザウイルス抗原は、A株、B株、および/またはC株の1種または複数種のインフルエンザ株に由来してもよい。パンデミックインフルエンザ株に対する免疫応答を初回刺激し、防御免疫を提供することができるワクチン組成物は、通常、1種のインフルエンザA株に由来する抗原しか含まないが(一価)、季節性インフルエンザ株に対する免疫応答を初回刺激し、防御免疫を提供することができるワクチン組成物は、通常、3種以上の異なる株(三価または四価)、最も一般的には、2種の異なるインフルエンザA株および1種または複数種のインフルエンザB株に由来する抗原を含む。
本発明は、インフルエンザウイルス株に対してナイーブな対象、例えば、小児(8歳より若年の小児)およびペリパンデミック期またはパンデミック期の人に極めて有効であることが驚くべきことに見出されたワクチン組成物に関する。小児は、季節循環しているインフルエンザ株に対してナイーブなことが多いのに対して、パンデミックの期間中は全ての人がナイーブだと考えられる。
さらに、本発明は、本発明の組成物を含むワクチン組成物を鼻腔内投与する工程を含む、エピデミック期もしくはパンデミック期の前またはエピデミック期もしくはパンデミック期の期間中に免疫性を与える方法に関し、本発明の組成物を含むワクチン組成物を鼻腔内投与する工程を含む、小児科対象に免疫性を与える方法、なおさらに、本発明の組成物を含むワクチン組成物を鼻腔内投与する工程を含む、ナイーブな対象に免疫性を与える方法に関する。
乳幼児集団、小児集団、および青少年集団は、ナイーブな場合、一般的なワクチン戦略に関して言うと応答性が低いので、本発明はこれらの集団を対象とする。乳幼児および小児の免疫系は十分に発達しておらず、従って、従来の非経口ワクチン戦略に対して、あまり効率的でない免疫応答を展開する。しかしながら、上気道にある独特のリンパ系組織が出生時に存在し、小児期初期によく発達するので、本発明は乳幼児および小児に特別な機会を提供する。アデノイド(または鼻咽頭扁桃)として知られる咽頭リンパ系組織は小児の咽頭に位置しており、鼻咽頭扁桃(アデノイド)、一対の口蓋扁桃、一対の耳管扁桃および舌扁桃を含むワルダイエル輪の一部分である。アデノイドは免疫系の発達において活発であり、青年期には消失し始める。従って、経鼻ワクチン送達は乳幼児および小児にとって特に有利でありうる。小児科部分母集団は米国食品医薬品局によって定義されるものでもよく、欧州医薬品庁によって定義されるものでもよく、または2つの組み合わせによって定義されるものでもよい。
一態様において、前記組成物は、小児科的使用のための鼻腔内投与ワクチンとして使用するためのものである。一態様において、前記組成物は、新生児(日齢28日までの(正期産児および早産児))において鼻腔内投与ワクチンとして使用するためのものである。一態様において、前記組成物は、乳幼児(月齢1ヶ月〜月齢23ヶ月)において鼻腔内投与ワクチンとして使用するためのものである。一態様において、前記組成物は、小児(2歳〜11歳)において鼻腔内投与ワクチンとして使用するためのものである。一態様において、前記組成物は、青少年(12歳〜18歳)において鼻腔内投与ワクチンとして使用するためのものである。
既存の免疫が限定的である、または既存の免疫がない、例えば、インフルエンザに対する既存の免疫が限定的である、または既存の免疫がない小さな子供、および防御免疫、例えば、インフルエンザ疾患に対する防御免疫を誘導するナイーブな対象全般に適した、安全なワクチンが必要とされている。
弱毒生ウイルスワクチンには安全上の懸念が伴う。Flumist(登録商標)は、これらの安全上の問題のために、2歳未満の小さな子供における使用には認可されていない。逆説的ではあるが、これらは、多くの場合、インフルエンザに対して特に脆弱であり、インフルエンザの高リスク群に属するナイーブな対象である。Flumist(登録商標)は2歳以上の小児に対して認可されているが、弱毒生ウイルスワクチンである。
驚いたことに、ワクチン抗原に対する既存の免疫がないフェレットにおいて、アジュバント添加非生インフルエンザワクチンを鼻腔内投与すると非常に高い免疫応答が誘導され、その後に、インフルエンザ疾患からの完全な防御が誘導されることが見出された。全およびスプリット非生抗原ワクチンはいずれも、市販の注射用インフルエンザワクチンであるFluarix(登録商標)より優れた結果を示した。
本発明の組成物は弱毒生ウイルスではなく非生インフルエンザウイルス抗原を利用する。さらに、本発明の組成物は鼻腔内投与することができる。乳幼児および小児にはアデノイドとして知られる咽頭リンパ系組織が存在するので、鼻腔内投与は小児への投与に特に適している。本発明の組成物の鼻腔内投与によって、専門的な訓練なく一般に使用および投与すること、例えば、ペリパンデミック期およびパンデミック期に自己投与によって集団全体に使用および投与することが可能になる。非生インフルエンザウイルス抗原の使用によって、弱毒生ウイルスワクチンに伴う安全上の懸念なく小さな子供において使用することが可能になる。本発明者らは、鼻腔内投与することができ、それによって、上述の利点を有し、脆弱な集団および患者クラスにとって重要な要望を満たす、ナイーブな対象において有効なワクチンを開発した。
本発明は、第1の局面では、
i)1種または複数種の非生抗原、および
ii)1種または複数種のカルボン酸と、水性媒体と、任意で1種または複数種のモノグリセリドとを含む、アジュバント
を含む、ナイーブな対象において使用する鼻腔内投与ワクチンとして使用するための組成物に関する。
別の局面において、本発明は、
i)1種または複数種の非生ウイルス抗原、および
ii)1種または複数種のカルボン酸と、水性媒体と、任意で1種または複数種のモノグリセリドとを含む、アジュバント
を含む、ナイーブな対象において使用する鼻腔内投与ワクチンとして使用するための組成物に関する。
本発明の組成物は、感染性病原体、例えば、ウイルスおよび細菌のワクチンとして使用するのに適している。本発明の組成物は鼻腔内投与用インフルエンザワクチンに適している。本発明の組成物は、ナイーブな対象における鼻腔内免疫化用インフルエンザワクチンとしての使用に関する。
インフルエンザウイルスは3つの型A、B、およびCからなる。インフルエンザAウイルスは、ヒト、ウマ、ブタ、フェレット、およびニワトリを含む多種多様な鳥類および哺乳動物に感染する。インフルエンザBはヒト、フェレットおよびアザラシに存在し、インフルエンザCはヒト、イヌ、およびブタに存在する。インフルエンザAに感染した動物は、ヒト集団に伝播する遺伝的および抗原的に多様なウイルスのプールを生じることによってインフルエンザウイルスの保有宿主として働く場合が多い。伝播は、ヒトと感染動物が密接に接触することによって、例えば、家畜を手で触ることによって起こりうる。ヒトからヒトへの伝播は、密接に接触することによって、または咳もしくはくしゃみによって生じた飛沫を吸入することによって起こりうる。
インフルエンザAウイルス粒子の外面は、糖タンパク質である赤血球凝集素(HA)およびノイラミニダーゼ(NA)を含有する脂質エンベロープからなる。HA糖タンパク質は、HA1およびHA2と呼ばれる2つのサブユニットから構成される。HAは、上気道および下気道の上皮細胞の外膜に見られるシアル酸に結合し、受容体によって媒介されるエンドサイトーシスを介して細胞に吸収されるシアル酸結合部位を含有する。インフルエンザウイルス粒子は細胞内に入ると、そのゲノムを放出し、ゲノムは核に入り、新たなインフルエンザウイルス粒子の産生を開始する。NAも産生され、放出されたインフルエンザウイルス粒子の再捕捉を阻止するために細胞表面からシアル酸を切断する。ウイルスは短期間、典型的な例ではおおよそ5日間、潜伏するが、潜伏期はかなりの差がある場合がある。ウイルスは病気発症の約1日前に分泌され、典型的には3〜5日間まで続く。典型的な症状には、発熱、疲労、倦怠感、頭痛、痛みおよび疼痛、咳、ならびに咽喉痛が含まれる。いくつかの症状は、感染後、数週間持続することがある。
主としてHAおよびNA糖タンパク質の変異によって、異なるインフルエンザウイルス株が特徴付けられており、従って、HAおよびNAはウイルスサブタイプを特定するために用いられる(すなわち、H5N1はHAサブタイプ5およびNAサブタイプ1を示す)。従って、インフルエンザワクチンはHA分子およびNA分子を標的とする場合が多い。従来のインフルエンザウイルスワクチンは、適切なHA分子および/またはNA分子を有する不活化全ウイルスを利用する場合が多い。または、組換え型のHAタンパク質およびNAタンパク質またはそのサブユニットがワクチンとして用いられる場合が多い。ワクチン組成物中の抗原は、不活化抗原、例えば、不活化全ウイルス、スプリット抗原、サブユニット抗原、組換え抗原またはペプチドでもよい。「抗原」または「免疫原」という用語は、免疫応答の標的として働きうる全てのものと定義される。この用語はまた、タンパク質抗原、組換えタンパク質成分、ウイルス様粒子(VLP)、ならびに遺伝子操作されたRNAまたはDNAを含む。遺伝子操作されたRNAまたはDNAが身体の細胞に注入されると、宿主細胞の「内部機構(inner machinery)」がDNAを「読み取り」、それを用いて病原体のタンパク質を合成する。これらのタンパク質は宿主細胞によって処理され宿主細胞の表面に表示されたときに異物と認識されるので、免疫系は警戒態勢をとり、次いで、ある範囲の免疫応答を誘発する。この用語はまた、不活化された細菌もしくはウイルスまたはその一部分を模倣する物質も含む。免疫応答は細胞性および/または体液性であってもよく、全身区画および/または粘膜区画において認められうる。
しかしながら、インフルエンザはRNAウイルスであり、従って、頻繁な変異を受けやすく、その結果、ウイルスの抗原性組成物は常にかつ永久に変化する。抗原性組成物とは、免疫系によって認識されるポリペプチドの一部分、例えば、抗体結合エピトープを指す。抗原性組成物に対する小さく軽微な変化は抗原ドリフトと呼ばれることが多い。インフルエンザAウイルスはまた、再集合と呼ばれるプロセスにおいて他のサブタイプに由来する遺伝物質を「交換」し、その結果として抗原性組成物を大きく変えることもできる。これは抗原シフトと呼ばれる。ウイルス粒子に対する免疫応答は抗体とHAおよびNA糖タンパク質との結合に依存するので、これらの糖タンパク質が頻繁に変わると、インフルエンザウイルスに対して獲得した免疫応答の有効性は時間とともに低下し、最終的に免疫がなくなる。インフルエンザAは急速な抗原ドリフトおよび抗原シフトを起こすことができるので、新株に対する既存の免疫がないことによるインフルエンザ流行がしばしば誘発される。
予防接種の実施に関する米国諮問委員会(ACIP)は、6〜23ヶ月の小児はインフルエンザに関連する入院のリスクがかなり高く、24〜59ヶ月の小児はインフルエンザに関連する診療所および救急部で診察を受けるリスクが高いことから、6〜59ヶ月の小児全員が年一回、インフルエンザワクチン接種を受けることを勧告している。この勧告は、季節性インフルエンザワクチン接種の場合は6ヶ月以上の人全員に広げられている。従って、本発明の組成物は、18歳以下、特に、12歳以下の小児への鼻腔内投与用ワクチンとして使用するためのものである。典型的に、小児は8歳未満、例えば、6歳以下である。本発明のワクチンが意図する重要な患者クラスは、小児、特に2ヶ月〜9歳未満の小児であり、典型的には月齢3ヶ月〜9歳未満、例えば、月齢6ヶ月〜8歳未満、最も典型的には月齢6ヶ月〜7歳未満、例えば、月齢6ヶ月〜72ヶ月未満、または月齢6ヶ月〜60ヶ月、または月齢6ヶ月〜24ヶ月の小児である。本発明の組成物は、少なくとも部分的に、小児科的使用のためのワクチンとして意図される。
パンデミックアウトブレイクを引き起こす能力をインフルエンザウイルス株に与えるインフルエンザウイルス株の特徴は、最近循環している株の赤血球凝集素と比較して新しい赤血球凝集素を含有していること、これはノイラミニダーゼサブタイプの変化を伴ってもよく、伴っていなくてもよい;ヒト集団内で水平伝播できること;およびヒトに対する病原性があることである。新たな赤血球凝集素は、長期間、おそらく何十年にもわたってヒト集団内で明らかでなかったもの、例えば、H2でもよい。または、新たな赤血球凝集素は、以前にヒト集団内で循環していなかった赤血球凝集素、例えば、鳥類で発見されたH5、H9、H7、またはH6でもよい。いずれの場合でも、集団の大部分または少なくとも大きな割合、さらには集団全体がその抗原に以前に遭遇しておらず、その抗原に対して免疫学的にナイーブである。
乳幼児集団、小児集団、および青少年集団は、ナイーブな場合、一般的なワクチン戦略に関して言うと応答性が低いので、本発明はこれらの集団を対象とする。乳幼児および小児の免疫系は十分に発達しておらず、従って、従来の非経口ワクチン戦略に対して、あまり効率的でない免疫応答を展開する。しかしながら、上気道にある独特のリンパ系組織が出生時に存在し、小児期初期によく発達するので、本発明は乳幼児および小児に特別な機会を提供する。アデノイド(または鼻咽頭扁桃)として知られる咽頭リンパ系組織は小児の咽頭に位置しており、鼻咽頭扁桃(アデノイド)、一対の口蓋扁桃、一対の耳管扁桃および舌扁桃を含むワルダイエル輪の一部分である。アデノイドは免疫系の発達において活発であり、青年期には消失し始める。従って、経鼻ワクチン送達は乳幼児および小児にとって特に有利でありうる。小児科部分母集団は米国食品医薬品局によって定義されるものでもよく、欧州医薬品庁によって定義されるものでもよく、または2つの組み合わせによって定義されるものでもよい。
米国食品医薬品局は以下の年齢範囲に従って小児科部分母集団を分類する。新生児集団は出生から月齢1ヶ月である。乳幼児集団は1ヶ月〜2歳である。小児集団は2歳〜12歳である。青少年集団は12〜21歳である。欧州医薬品庁は以下の集団に従って小児医学を分類する。新生児集団は早産児から正期産児および28日までを含む。乳幼児集団は1ヶ月〜23ヶ月である。小児集団は2歳〜11歳である。青少年は12歳〜18歳である。
一態様において、前記組成物は、小児科的使用のための鼻腔内投与ワクチンとして使用するためのものである。一態様において、前記組成物は、新生児(日齢28日までの(正期産児および早産児))において鼻腔内投与ワクチンとして使用するためのものである、または出生日〜月齢1ヶ月の新生児において使用するためのものである。一態様において、前記組成物は、月齢1ヶ月〜23ヶ月または月齢1ヶ月〜2歳の乳幼児において鼻腔内投与ワクチンとして使用するためのものである。一態様において、前記組成物は、2歳〜11歳または2歳〜12歳の小児において鼻腔内投与ワクチンとして使用するためのものである。一態様において、前記組成物は、12歳〜18歳または12歳〜21歳の青少年において鼻腔内投与ワクチンとして使用するためのものである。
本発明のワクチンは特に、ナイーブな対象、例えば、季節性インフルエンザ流行中の8歳未満の小児を対象とする。本発明の組成物はまた、パンデミック期またはペリパンデミック期に全年齢群において使用するためのワクチンとして意図される。
従って、前記組成物は特に、ナイーブな対象を対象とする。ナイーブな対象は、18歳以下の小児、例えば、0歳〜18歳の小児、特に、12歳以下の小児でありうる。典型的に、小児は、8歳未満、例えば、6歳以下である。本発明のワクチンが意図する重要な患者クラスは特に2ヶ月〜9歳未満、典型的には月齢3ヶ月〜9歳未満、例えば、月齢6ヶ月〜8歳未満、最も典型的には月齢6ヶ月〜7歳未満、例えば、月齢6ヶ月〜72ヶ月未満、または月齢6ヶ月〜60ヶ月、または月齢6ヶ月〜24ヶ月の小児である。本発明の組成物は、少なくとも部分的に、小児科的使用のためのワクチンとして意図される。
前記組成物が、特に、パンデミック期またはペリパンデミック期の期間中に使用するためのワクチンを対象とする場合、ナイーブな対象は全年齢群のナイーブな対象でもよい。
鼻腔内投与は、任意の投与方法、例えば、鼻腔内へのワクチン噴霧、または鼻腔内もしくは鼻粘膜壁上へのワクチンの滴下によるピペットもしくは類似装置を介したワクチン投与による、鼻への投与を意味することが意図される。
有利なことに、前記組成物は、弱毒生ウイルスではなく1種または複数種の非生インフルエンザウイルス抗原を含む。述べられたように、これにより、患者クラスの選択だけでなく作製、配布、鼻投与、取扱い、および廃棄の点での安全上の懸念が回避される。非生インフルエンザウイルス抗原は、不活化全ウイルス、スプリットウイルス、サブユニットインフルエンザ抗原、および組換え抗原からなる群より選択されてもよい。組換えタンパク質の使用は、ウイルス抗原投与に対して産生される中和抗体の力価を高めるために使用することができる。HAのグリコシル化は、免疫応答が抗体応答を誘発する能力およびウイルスが免疫系を逃れる能力において重要な役割を果たしている。従って、免疫原性の高い異種の複合体型グリカンならびにモノグリコシル化組換えタンパク質または非グリコシル化組換えタンパク質を含有する、組換えHAタンパク質を作製することができる。
好ましくは、非生インフルエンザウイルス抗原はスプリット抗原またはサブユニットインフルエンザ抗原であり、より好ましくは、スプリット抗原である。
インフルエンザAゲノムは、8個のRNA断片上に、11個のタンパク質:赤血球凝集素(HA)、ノイラミニダーゼ(NA)、核タンパク質(NP)、M1、M2、NS1、NS2(NEP:核外輸送タンパク質)、PA、PB1(塩基性ポリメラーゼ1)、PB1-F2、およびPBをコードする11個の遺伝子を含む。非生インフルエンザウイルス抗原は、ウイルスからのいずれか1つのタンパク質またはタンパク質の組み合わせより選択されてもよい。
本発明の組成物は任意の不活化インフルエンザウイルスを含んでもよい。当業者に理解されるように、インフルエンザウイルスは季節ごとに異なり、インフルエンザウイルスが感染する地域および集団によっても異なる。本発明は、本発明のアジュバントと1種または複数種のインフルエンザウイルスからの非生インフルエンザウイルス抗原とを含むワクチンに関する。本発明のワクチン組成物において用いられる非生インフルエンザ抗原は、不活化インフルエンザウイルスに由来する任意の抗原性物質である。例えば、非生インフルエンザ抗原は不活化全ウイルス粒子を含んでもよい。または、非生インフルエンザ抗原は、例えば、免疫原性タンパク質、例えば、M2イオンチャンネルタンパク質または糖タンパク質が保持されている破壊されたウイルス(スプリットウイルス)を含んでもよい。ワクチン組成物中の抗原性物質として、インフルエンザ膜糖タンパク質、赤血球凝集素(HA)、および/またはノイラミニダーゼ(NA)の精製調製物が用いられてもよい。本発明によるワクチン組成物は1つまたは複数のタイプの抗原性物質を含んでもよい。もちろん、ワクチン組成物を調製するために用いられるインフルエンザ型ウイルスは、ワクチン接種者を防御しようとするときに対象となるインフルエンザによって決まる。
例えば、非生インフルエンザウイルス抗原は、1種または複数種の抗原、例えば、以下のインフルエンザウイルス: A/Ann Arbor/6/60(A/AA/6/60)、B/Ann Arbor/1/66ウイルス、FluMist MDV-A(ca A/Ann Arbor/6/60)、FluMist MDV-B(ca B/Ann Arbor/1/66)、A/Leningrad/17ドナー株バックボーン、およびPR8の1つまたは複数の遺伝子バックボーンの1種または複数種の抗原を含む。
別の具体例では、本発明のワクチン組成物は、以下: B/Yamanashi; A/New Caledonia; A/Sydney; A/Panama; B/Johannesburg; B/Victoria; B/Hong Kong; A/Shandong/9/93; A/Johannesburg/33/94; A/Wuhan/395/95; A/Sydney/05/97; A/Panama/2007/99; A/Wyoming/03/2003; A/Texas/36/91; A/Shenzhen/227/95; A/Beijing/262/95; A/New Caledonia/20/99; B/Ann Arbor/1/94; B/Yamanashi/166/98; B_Johannesburg.sub.--5.sub.--99; BVictoria/504/2000; B/Hong Kong/330/01; B_Brisbane.sub.--32.sub.--2002; B/Jilin/20/03;H1N1インフルエンザAウイルス、H3N2インフルエンザAウイルス、H9N2インフルエンザAウイルス、H5N1インフルエンザAウイルス、H7N9インフルエンザAウイルス;インフルエンザBウイルス;および(WHOによって指定された、またはヒト集団において循環していない)パンデミックインフルエンザ株の1つまたは複数からの非生インフルエンザウイルス抗原、例えば、HAポリペプチド配列もしくはNAポリペプチド配列である(またはこのような配列と少なくとも90%同一の、もしくは少なくとも95%同一の)非生インフルエンザウイルス抗原を含む。
一態様において、インフルエンザウイルス株は、2013/2014ワクチンに含まれる株、例えば、A/California/7/2009(H1N1)様ウイルス、細胞増殖性プロトタイプウイルスA/Victoria/361/2011またはA/Texas/50/2012に抗原的に類似する(H3N2)ウイルス、およびB/Massachusetts/2/2012様(Yamagata系統)ウイルスである1つまたは複数のインフルエンザウイルス株でもよい。
一態様において、インフルエンザウイルス株は、WHOによってインフルエンザワクチンにおける使用が以前に推奨された株である1つまたは複数のインフルエンザウイルス株でもよい。
一態様において、インフルエンザウイルス株は四価インフルエンザワクチンからの株でもよく、以下の5つのインフルエンザウイルス株;A/California/7/2009(H1N1)様ウイルス、細胞増殖性プロトタイプウイルスA/Victoria/361/2011またはA/Texas/50/2012に抗原的に類似する(H3N2)ウイルス、およびB/Massachusetts/2/2012様(Yamagata系統)ウイルス、B/Brisbane/60/2008様(Victoria系統)ウイルスのいずれか4つからの抗原を含んでもよい。
本発明の組成物のアジュバントは、鼻腔内投与に対する本発明の組成物の適合性および本発明の組成物の効力において極めて重要である。鼻腔内投与に適したアジュバントは、グリセロールモノエステルと脂肪酸との組み合わせを任意で含むアジュバントでもよく、脂肪酸の組み合わせでもよい。このようなアジュバントにおいて用いられるカルボン酸は、分枝または非分枝であってもよく、環式または非環式であってもよく、1つ、2つ、または複数の不飽和(二重結合または三重結合)を有してもよい長鎖(C4-C30)アルキル、アルケニル、またはアルキニルカルボン酸を含み、前記不飽和はさらに、異なる種類の不飽和であってもよい。
このようなアジュバントにおいて用いられるモノグリセリドはグリセリンのカルボン酸エステルでもよく、カルボン酸は、分枝または非分枝であってもよく、1つ、2つ、または複数の不飽和(二重結合または三重結合)を有してもよい長鎖(C4-C30)アルキル、アルケニル、またはアルキニルカルボン酸であってもよく、前記不飽和はさらに、異なる種類の不飽和であってもよい。
ワクチン組成物中のモノグリセリドの濃度は、例えば、約1〜約50mg/ml、例えば、約1〜約25mg/ml、約5〜約15mg/mlの範囲、または約10mg/mlでもよい。
ワクチン組成物中の脂肪酸の濃度は、例えば、約0.5〜約50mg/ml、例えば、約1〜約25mg/ml、約1〜約15mg/ml、約1〜約10mg/ml、約2〜約8mg/ml、または約6〜7mg/mlの範囲でもよい。一態様において、ワクチン組成物中の脂肪酸の濃度のモルベースはモノグリセリドの(モルベースでの)濃度に相当する。
モノグリセリドおよび脂肪酸について前述された濃度範囲の任意の組み合わせが本願の文脈の中にある。さらに、述べられた最も広い範囲が好ましい範囲を示し、そして、この範囲は最も好ましい範囲に狭められる。
本発明者らは、ワクチン接種が、経鼻経路を介して、例えば、鼻腔粘膜への投与を介して行われたときに、前記の、およびWO2012/042003(その全体が参照により本明細書に含まれる)に開示されたアジュバントが特に有用であることを見出した。本発明者らは、経鼻経路を介したワクチン接種において、このようなアジュバントを使用するとワクチン接種時の免疫応答が改善されることを見出した。本発明者らは、このようなアジュバントの使用が、ヒトを含むいくつかの種において安全かつ許容可能であることを見出した。
従って、前記組成物は、ラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C16)、パルミトオレイン酸(C16:1)、オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、ステアリン酸、ヘキサン酸、カプリル酸、デカン酸(カプリン酸)、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、α-リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、γ-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、エルカ酸、ネルボン酸からなる群より選択されるカルボン酸でモノエステル化されたグリセリドであるモノグリセリドを含んでもよい。
さらなる態様において、モノグリセリドは、パルミトオレイン酸(C16:1)、オレイン酸(C18:1)、およびリノール酸(C18:2)からなる群より選択されるカルボン酸でモノエステル化されたグリセリドである。
好ましくは、モノグリセリドは、オレイン酸でモノエステル化されたグリセリド(オレイン酸グリセリル)である。
アジュバントは、好ましくは、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、リノール酸、ステアリン酸、ヘキサン酸、カプリル酸、デカン酸(カプリン酸)、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、α-リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、γ-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、エルカ酸、およびネルボン酸からなる群より選択される1種または複数種のカルボン酸を含む。好ましくは、1種または複数種のカルボン酸はオレイン酸およびラウリン酸からなる群より選択される。
適切な態様の組み合わせにおいて、アジュバントは、オレイン酸グリセリル、オレイン酸、および水性媒体を含む。本発明のワクチン組成物はまた、さらなる薬学的賦形剤も含んでよい。このような薬学的賦形剤は以下でもよい:
1.ワクチンの張性/容量オスモル濃度を制御するための物質。このような物質は、例えば、塩化ナトリウムのような生理学的な塩である。他の生理学的な塩は、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、塩化マグネシウムなどである。このような薬剤は、イオン強度および安定性に影響を及ぼす他のイオン性物質でもよい。ワクチンの浸透圧モル濃度は、約200〜約400mOsm/kgの範囲、好ましくは、約240〜約360mOsm/kgの範囲の値に調節されてもよく、または浸透圧モル濃度は生理学的レベルに近くなければならない、例えば、約290〜約310mOsm/kgの生理学的範囲になければならない。
2.ワクチン組成物のpHを調節するための、またはワクチン組成物を緩衝するための物質。通常、ワクチン組成物のpHは約5〜約8.5の範囲にある。適切なpH調節剤または緩衝物質には、塩酸、水酸化ナトリウム(pHを調節する)、ならびにリン酸緩衝液、Tris緩衝液、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液など(ワクチンを緩衝する)が含まれる。
3.例えば、界面活性剤、酸化防止剤、キレート剤、抗菌剤、ウイルス失活因子、防腐剤、色素、消泡剤、安定剤もしくは界面活性剤、またはその組み合わせのような他の添加物。
界面活性剤は、親水性、不活性、および生体適合性の界面活性剤、例えば、ポロキサマー、例えば、PluronicF68またはPluronic127でもよい。
抗菌剤は、例えば、アンホテリシンまたはその任意の誘導体、クロロテトラサイクリン、ホルムアルデヒドもしくはホルマリン、ゲンタマイシン、ネオマイシン、ポリミキシンBもしくはその任意の誘導体、ストレプトマイシン、またはその任意の組み合わせでもよい。
酸化防止剤は、例えば、アスコルビン酸もしくはトコフェロールまたはその任意の組み合わせでもよい。
ウイルス失活因子は、例えば、ホルマリン、β-プロピオラクトン、紫外線、加熱、またはその任意の組み合わせでもよい。
防腐剤は、例えば、塩化ベンゼトニウム、EDTA、フェノール、2-フェノキシエタノール、もしくはチメロサール、またはその任意の組み合わせでもよい。EDTAはまたキレート剤、酸化防止剤、および安定剤であることも示されている。
色素は、例えば、任意の指示薬(例えば、フェノールレッド)もしくはブリリアントグリーンまたはその任意の組み合わせでもよい。
消泡剤は、例えば、ポリジメチルシロゾン(polydimethylsilozone)でもよい。
表面活性剤は、例えば、アニオン性、カチオン性、または非イオン性、または双性イオン性の表面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンおよびその誘導体、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20もしくはポリソルベート80)、Tween80、ポロキサマー(例えば、PluronicF68)、またはその任意の組み合わせでもよい。
典型的に、ワクチン組成物中のモノグリセリドの濃度は、ワクチン組成物100mLあたり約0.1g〜約5.0gの範囲、またはワクチン組成物100mLあたり約0.1g〜約2.0gの範囲、またはワクチン組成物100mLあたり約0.5g〜約2.0g、例えば、0.5g〜約1.5gの範囲の量である。
さらに、1種または複数種のカルボン酸の濃度は、ワクチン組成物100mLあたり約0.1g〜約5.0gの範囲、またはワクチン組成物100mLあたり約0.1g〜約2.0gの範囲、またはワクチン組成物100mLあたり約0.5g〜約2.0g、例えば、0.5g〜約1.5gの範囲の量である。
ワクチン組成物中の1種または複数種のモノグリセリドと1種または複数種のカルボン酸は、多くても10%w/v、または多くても5%w/v、または多くても4%w/v、または多くても3%w/v、または多くても2%w/v、または多くても1%w/v、または多くても0.5%w/v、または多くても0.1%w/v、または多くても0.05%w/vの量でもよい。
アジュバントは、モノオレイン、オレイン酸、ラウリン酸、およびダイズ油からなる群より選択される脂質の組み合わせを含んでもよい。適切な一態様において、アジュバントは、Tris緩衝液に溶解したオレイン酸、ラウリン酸を含む。適宜、この態様は、7〜15mLのTris緩衝液(pH7〜9)中に0.25g〜0.75gのオレイン酸、0.25g〜0.75gのラウリン酸を含む。具体例は、8〜10mLの0.1M Tris緩衝液(pH7〜9)中に0.4g〜0.5gのオレイン酸、0.3g〜0.4gのラウリン酸を含む。さらに適切な態様では、アジュバントは、Tris緩衝液中にオレイン酸およびモノオレインを含む。適宜、この態様は、7〜15mLのTris緩衝液中に0.25g〜0.75gのオレイン酸、0.25g〜0.75gのモノオレインを含む。具体例は、8〜10mLの0.1M Tris緩衝液(pH7〜9)中に0.3g〜0.4gのオレイン酸、0.4g〜0.5gのモノオレインを含む。さらなる態様は、7〜15mLのTris緩衝液中に0.5g〜0.25gのモノオレイン、0.5g〜0.25gのオレイン酸、および0.25g〜0.75gのダイズ油を含む。この態様の具体例は、8〜12mLのTris緩衝液(pH7〜9)中に0.1g〜0.2gのモノオレイン、0.8g〜1.5gのオレイン酸、および0.5g〜0.6gのダイズ油を含む。
以下の例では3つのタイプのアジュバントが首尾良く用いられた。8〜10mLの0.1M Tris緩衝液(pH7〜9)中に0.4g〜0.5gのオレイン酸、0.3g〜0.4gのラウリン酸を含む、アジュバント例A;8〜10mLの0.1M Tris緩衝液(pH7〜9)中に0.3g〜0.4gのオレイン酸、0.4g〜0.5gのモノオレインを含む、アジュバント例B;ならびに8〜12mLのTris緩衝液(pH7〜9)中に0.1g〜0.2gのモノオレイン、0.8g〜1.5gのオレイン酸、および0.5g〜0.6gのダイズ油を含む、アジュバント例C。これらのアジュバントは、典型的に、2〜12%脂質含有率(100mLあたり6g〜12g)、最も典型的には、3〜10%、例えば、4%、5%、6%、7、8%、または9%のw/v濃度で調製される。これらの濃度はアジュバントミックスそのものの濃度である。次いで、8%脂質濃度のアジュバントから開始したときに4%脂質含有率のワクチン組成物となるように、このアジュバントは抗原含有組成物と2:1〜1:8比、例えば、1:1比で混合される。典型的に、本発明のワクチン組成物中の脂質含有率は、0.5%〜6%w/v、典型的には1%〜6%w/v、より典型的には1%〜4%である。
例Bの組成物は、等モル量のモノオレイン酸グリセロールおよびオレイン酸を含むEndocine(商標)製剤であり、ナイーブな対象において群を抜いて有効なことが見出されている。極めて好ましい態様において、この8%脂質製剤は、1〜4%w/vの脂質濃度のワクチン組成物となるように抗原含有組成物で希釈される。
述べられたように、前記組成物は、本発明のワクチン組成物を鼻腔内投与する工程を含む、ペリパンデミック期またはパンデミック期の期間中に免疫性を与える方法において使用するのに適している。ペリパンデミック期またはパンデミック期の期間中に免疫性を与える方法は全年齢の対象に使用することができる。さらに、本発明は、説明されたようにワクチン組成物を鼻腔内投与する工程を含む、季節性流行の間に小児科対象に免疫性を与える方法に関する。
述べられたように、本発明は、ワクチン組成物を鼻腔内投与する工程を含む、ナイーブな対象に免疫性を与える方法に関する。
下記の実施例は、ナイーブな対象における、このワクチン組成物の効力を示す。
ナイーブな個体において免疫応答誘発に驚くべき効力があることは、本発明のワクチンが、強力な既存の免疫を個体がもっていない侵入病原体、例えば、ウイルスに応答できるという点から、免疫系が弱まっている個体において免疫応答を誘発できることを暗に示している。従って、本発明の組成物は、免疫無防備状態の個体に適している。従って、本発明のさらなる局面は、HIVをもつ人;免疫抑制剤を服用している対象、最近臓器移植を受けた人;未熟児、および術後患者を含む免疫無防備状態の小児科患者に鼻腔内投与される、アジュバント添加非生インフルエンザ抗原を含むワクチン組成物に関する。
この局面は、
i)1種または複数種の非生抗原、および
ii)1種または複数種のカルボン酸と、水性媒体と、任意で1種または複数種のモノグリセリドとを含む、アジュバント
を含む、免疫無防備状態の小児科患者において鼻腔内投与ワクチンとして使用するための組成物に関する。
免疫無防備状態の個体は、日和見病原体、例えば、インフルエンザウイルスに対する感受性が高く、インフルエンザによる入院および死亡のリスクが高い。免疫無防備状態の個体、特に、免疫無防備状態の小児科個体は、本発明の組成物によって免疫性を与えるのに適した患者クラスでもよい。従って、本発明の一態様は、
i)1種または複数種の非生インフルエンザウイルス抗原、および
ii)1種または複数種のカルボン酸と、水性媒体と、任意で1種または複数種のモノグリセリドとを含む、アジュバント
を含む、免疫無防備状態の小児科患者において鼻腔内投与ワクチンとして使用するための組成物でもよい。
実施例2によって例示される本発明の驚くべき効果は、本発明の組成物がウイルス排出を低減できることである。小児は免疫応答能力のある健常成人より多くのウイルスを排出し、そのため、近くにいる他の人へのウイルス蔓延が増加する。従って、本発明は、乳幼児、小児、および青少年などの小児科集団を治療するのに適切でありうる。本発明は、小児科集団によるウイルス蔓延を予防するのに適切でありうる。一態様において、本発明の組成物は、乳幼児、小児、および青少年などの小児科対象において使用するためのものである。一態様において、本発明の組成物は、ウイルス排出の低減のために、ナイーブな対象において使用するためのものである。一態様において、本発明の組成物は、ウイルス排出の低減のために、インフルエンザに対してナイーブな対象において使用するためのものである。さらに、本発明の組成物は、ウイルス蔓延を低減することによってパンデミックを封じ込めるのに特に適切でありうる。一態様において、本発明の組成物は、パンデミック地域におけるウイルス排出の低減のために、ナイーブな対象において使用するためのものである。一態様において、本発明の組成物は、ペリパンデミック期間中にウイルス排出を低減するために、ナイーブな対象において使用するためのものである。一態様において、本発明の組成物は、ペリパンデミック期間中にウイルス排出を低減するために、小児科対象において使用するためのものである。
前記のように組成物の鼻腔内投与によって免疫無防備状態の小児科患者においてインフルエンザに対する免疫性を与える方法は、驚くべき結果の興味深い側面である。
前記組成物は、典型的に、免疫無防備状態の小児科対象への鼻腔内投与インフルエンザワクチンとして使用するためのものである。免疫無防備状態の小児科対象は、HIVに感染した人;免疫抑制剤を服用している対象、例えば、最近臓器移植を受けた人;未熟児、および術後患者からなる群より適宜選択される。
本発明のさらなる局面は、ナイーブな対象および免疫無防備状態の小児科患者において使用するためのワクチンに関する。本発明のアジュバントは、インフルエンザに対してナイーブな対象において、その効力を証明した。これにより、前記ワクチンはナイーブな患者クラスおよび免疫無防備状態の小児科患者の両方で適切なものとなっている。
従って、本発明のさらなる局面は、
i)1種または複数種の非生抗原、および
ii)1種または複数種のカルボン酸と、水性媒体と、任意で1種または複数種のモノグリセリドとを含む、アジュバント
を含む、ナイーブな対象および免疫無防備状態の小児科患者において使用する鼻腔内投与ワクチンとして使用するための組成物に関する。
ナイーブな対象および免疫無防備状態の小児科患者に免疫性を与えるのに適したタイプのワクチンは、本発明によれば、ワクチンによって免疫化または治療されることが意図される、それぞれ関連する病原体の抗原を含む。これは、B型肝炎ウイルス、A型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、およびE型肝炎ウイルス、非A非B型肝炎ウイルス、ポックスウイルスおよび天然痘ウイルス、ポリオウイルス、麻疹ウイルス、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)、エンテロウイルス、レトロウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ロタウイルス、ヒトパピローマウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、黄熱病ウイルス、SARSウイルス、動物ウイルス、ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹、エプスタイン-バーウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、コクサッキーウイルス、ピコルナウイルス、ライノウイルス、風疹ウイルス、パポウイルス(papovirus)、およびムンプスウイルスからなる群より選択されるウイルスに由来する免疫原を含むが、これに限定されない。前述したインフルエンザウイルス抗原以外の公知のウイルス抗原の非限定的ないくつかの例は、以下:HIV-Iに由来する抗原、例えば、tat、nef、gp120またはgp1βO、gp40、p24、gag、env、vif、vpr、vpu、rev、またはその一部分および/もしくは組み合わせ;ヒトヘルペスウイルスに由来する抗原、例えば、gH、gL、gM、gB、gC、gK、gE、もしくはgD、またはその一部分および/もしくは組み合わせ、あるいは最初期タンパク質、例えば、HSV1またはHSV2に由来するICP27、ICP47、ICP4、ICP36;サイトメガロウイルス、特に、ヒトサイトメガロウイルスに由来する抗原、例えば、gBまたはその誘導体;エプスタイン-バーウイルスに由来する抗原、例えば、gp350またはその誘導体;水痘帯状疱疹ウイルスに由来する抗原、例えば、gp1、11、111、およびIE63;肝炎ウイルスに由来する抗原、例えば、B型肝炎ウイルス抗原、C型肝炎ウイルス抗原、またはE型肝炎ウイルス抗原(例えば、HCVのenvタンパク質E1またはE2、コアタンパク質、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、NS5b、p7、またはその一部分および/もしくは組み合わせ);ヒトパピローマウイルスに由来する抗原(例えばHPV6、11、16、18、例えば、L1、L2、E1、E2、E3、E4、E5、E6、E7、またはその一部分および/もしくは組み合わせ);他のウイルス病原体に由来する抗原、例えば、呼吸器合胞体ウイルスに由来する抗原(例えば、Fタンパク質およびGタンパク質もしくはその誘導体)、パラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、フラビウイルス(例えば、黄熱病ウイルス、デングウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス)に由来する抗原、またはその一部分および/もしくは組み合わせを含んでもよい。
本発明の組成物は、以下のウイルスの非生抗原:帯状疱疹、HIB、百日咳、ポリオ、破傷風、ジフテリア、A型肝炎、季節性インフルエンザ、インフルエンザA、インフルエンザB、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ヒトメタニューモウイルス(hMPV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、ロタウイルス、ノロウイルス、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)、単純ヘルペス、および/もしくはパラインフルエンザウイルス(OIV)、ライノウイルス、重症急性呼吸器症候群(SARS)、コロナウイルス、帯状疱疹/水痘、A〜E型肝炎、ハンタウイルス、および/もしくはサイトメガロウイルスに由来する非生抗原、またはその混合物を含んでもよいが、これに限定されない。
本発明の組成物は、以下の細菌の非生抗原:肺炎球菌、髄膜炎菌、インフルエンザ菌b(Haemophilus influenzae b)(Hib)、炭疽菌(Bacillus anthracis)、トラコーマクラミジア(Chlamydia trachomatis)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、ジフテリア、大腸菌(Escherichia coli)、群連鎖球菌(Group Streptococcus)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、百日咳菌(Bordetella pertussis)に由来する非生抗原またはその混合物を含んでもよいが、これに限定されない。
前記抗原は、例えば、非生全抗原、例えば、不活化全ウイルスでもよい。前記抗原はまた、病原体の一部分、例えば、不活化ウイルスの一部分でもよい。使用されうる抗原成分は、例えば、ウイルス抗原、細菌抗原、マイコバクテリア(mycobaterial)、または寄生生物抗原であるが、これに限定されない。細菌病原体は、例えば、結核およびハンセン病を引き起こすマイコバクテリア、肺炎球菌(pneumocci)、好気性グラム陰性またはグラム陽性桿菌、マイコプラズマ、ブドウ球菌感染、連鎖球菌感染、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、サルモネラ菌、百日咳菌、およびクラミジアでもよい。疾患はまた、細菌感染、例えば、結核およびハンセン病を引き起こすマイコバクテリア、肺炎球菌、好気性グラム陰性桿菌、マイコプラズマ、ブドウ球菌(staphyloccocal)感染、連鎖球菌感染、ヘリコバクター・ピロリ、サルモネラ菌、ジフテリア、百日咳を引き起こす百日咳菌、ならびにクラミジアによって引き起こされる感染でもよい。
ナイーブな対象および免疫無防備状態の患者に免疫性を与えるのに好ましいタイプのワクチンは、肺炎球菌ワクチン、A〜E型肝炎ワクチン、髄膜炎菌ワクチン、インフルエンザ菌b(Hib)ワクチン、ジフテリアワクチン、ならびにDTaPワクチン(ジフテリア、破傷風、および百日咳(pertussis)(百日咳(whooping cough))から防御する)からなる群より選択されてもよい。
疾患はまた、寄生生物性疾患、例えば、マラリア、リーシュマニア症、トリパノソーマ症、トキソプラズマ症、住血吸虫症、フィラリア症、または様々なタイプの癌、例えば、乳癌、胃癌、結腸癌、直腸癌、頭頚部癌、腎臓癌、悪性メラノーマ、喉頭癌、卵巣癌、子宮頚癌、前立腺癌でもよい。
疾患はまた、ハウスダスト、ダニ、花粉、および他の環境アレルゲンによるアレルギー、ならびに自己免疫疾患、例えば、全身性エリテマトーデスでもよい。
ワクチン組成物中の抗原は、非生全抗原、例えば、不活化全ウイルス、スプリット非生抗原、またはサブユニット非生抗原でもよい。熱不活化、紫外線による照射不活化、またはホルマリン不活化もしくはβ-プロピオラクトン処理による不活化などの不活化プロセスが当技術分野において周知である。
本発明の組成物は、ナイーブな対象および免疫無防備状態の小児科患者に免疫性を与えるためのワクチンとして使用するためのものである。免疫無防備状態の小児科患者は、HIVに感染した対象;免疫抑制剤を服用している対象、例えば、最近臓器移植を受けた人;未熟児、および術後患者である人からなる群より適宜選択される。ナイーブな対象は、18歳以下の小児、例えば、0〜18歳の小児、特に12歳以下の小児でもよい。典型的に、小児は、8歳未満、例えば、6歳以下である。本発明のワクチンが意図する重要な患者クラスは、特に2ヶ月〜9歳未満の小児、典型的には月齢3ヶ月〜9歳未満の小児、例えば、月齢6ヶ月〜8歳未満、最も典型的には月齢6ヶ月〜7歳未満、例えば、月齢6ヶ月〜72ヶ月未満、または月齢6ヶ月〜60ヶ月、または月齢6ヶ月〜24ヶ月の小児である。本発明の組成物は、少なくとも部分的に、小児科的使用のためのワクチンとして意図される。
前記組成物が、特に、パンデミック期またはペリパンデミック期の期間中に使用するためのワクチンに関する場合、ナイーブな対象は全年齢群の対象でもよい。
肺炎連鎖球菌は、全世界での罹病および死亡の主な原因の一つであり、毎年、推定160万人が侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)で死亡している(WHO, 2002)。IPDは、非常に幼い小児(<24ヶ月)および高齢者(>65歳)の間で最もよく発生する。高齢者のIPD死亡率が最も高い。現在、肺炎連鎖球菌感染予防のために4種類のワクチンを利用することができる。肺炎連鎖球菌の鼻腔内ワクチンは利用することができない。
本発明の興味深い一態様は、特に、乳幼児、小児、青少年、および他の肺炎連鎖球菌にナイーブな対象を対象とする、肺炎連鎖球菌感染を予防するための鼻腔内投与の選択肢に関する。本発明の組成物は弱毒生細菌ではなく非生肺炎連鎖球菌抗原を利用する。驚いたことに、本発明のワクチンの効力は、使用したアジュバントの結果であり、この驚くべき結果はナイーブな対象に特異的であった。免疫無防備状態の対象についても同様の結果が予想される。
従って、本発明のさらなる局面は、
i)1種または複数種の肺炎連鎖球菌抗原、および
ii)1種または複数種のカルボン酸と、水性媒体と、任意で1種または複数種のモノグリセリドとを含む、アジュバント
を含む、肺炎連鎖球菌感染の予防または肺炎連鎖球菌感染に関連した症状の重篤度の低下のための、ナイーブな対象および免疫無防備状態の小児科患者において使用する非生鼻腔内投与ワクチンとして使用するための組成物に関する。
免疫無防備状態の患者は、HIVに感染した対象;免疫抑制剤を服用している対象、例えば、最近臓器移植を受けた人;未熟児、および術後患者である、乳幼児、小児、および青少年からなる群より適宜選択される。
本発明の重要な態様は、気管支炎、肺炎、敗血症、心外膜炎、髄膜炎、および腹膜炎からなる群より選択される疾患状態を予防するための、ならびに/または当該疾患状態の症状を軽減するための肺炎球菌感染のワクチンに関する。
一態様は、小児科対象における、特に、生後4週間〜6歳の対象(例えば、肺炎球菌抗原に対して免疫学的にナイーブであり、免疫系が十分に発達していない対象)において使用するための肺炎球菌ワクチン、例えば、肺炎球菌多糖体ワクチン(PPV)の使用に関する。
本発明によるワクチン組成物は、薬学的に許容される賦形剤、例えば、PluronicF68またはPluronic127などのポロキサマーを含む親水性および不活性および生体適合性でありうる界面活性剤をさらに含む水性媒体でありうる媒体、をさらに含んでもよい。
本発明による肺炎球菌ワクチンは、本明細書に記載の抗菌剤、酸化防止剤、ウイルス失活因子、防腐剤、色素、安定剤、消泡剤、表面活性剤(非イオン性、アニオン性、もしくはカチオン性)、またはその任意の組み合わせをさらに含んでもよい。抗菌剤は、例えば、アンホテリシンもしくはその任意の誘導体、クロロテトラサイクリン、ホルムアルデヒドまたはホルマリン、ゲンタマイシン、ネオマイシン、ポリミキシンBもしくはその任意の誘導体、ストレプトマイシンまたはその任意の組み合わせでもよい。酸化防止剤は、例えば、アスコルビン酸もしくはトコフェロールまたはその任意の組み合わせでもよい。病原体失活因子、例えば、ウイルス失活因子および/または細菌失活因子は、例えば、ホルマリン、β-プロピオラクトン、紫外線、加熱、またはその任意の組み合わせでもよい。
本発明の態様の説明の際に、可能性のある全ての態様の組み合わせおよび並べ換えは明確には説明されなかった。しかしながら、ある特定の手段が、互いに異なる従属クレームに列挙されているか、または異なる態様に説明されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に使うことができないことを示すものではない。本発明は、説明された態様の可能性のある全ての組み合わせおよび並べ換えを想定する。
実施例1
目的
本研究の目的は、本発明に従って、鼻腔内投与された、アジュバントを用いて製剤化されたインフルエンザスプリット抗原およびアジュバントを用いて製剤化された不活化全インフルエンザウイルス抗原の、フェレットモデルにおける免疫原性および防御効力を調べることであった。
H1N1/California/2009スプリット抗原をベースとするワクチン(ワクチンA)は、5μg、15μg、または30μg HAの抗原用量を用いて研究した。H1N1/California/2009不活化全ウイルス抗原をベースとするワクチン(ワクチンB)は、15μg HAの抗原用量を用いて研究した。ワクチン効力は、野生型H1N1 A/The Netherlands/602/2009ウイルスを攻撃として用いて研究した。
Endocine(商標)アジュバントは、ワクチン組成物中に、等モル量のモノオレイン酸グリセロールおよびオレイン酸を最終濃度20mg/ml(2%)で含む。この実験では、Immunose(商標)FLUは、Endocine(商標)と混合した非生インフルエンザ抗原を意味する。
(表1)実験群の免疫化の様相
Figure 2016502996
ワクチンの調製および投与
食塩水:0.9%食塩水pH5〜5.5。
Fluarix(登録商標):非経口ワクチン(A/California/7/2009(H1N1)様、A/Perth/16/2009(H3N2)様、およびB/Brisbane/60/2008様ワクチン株から構成される。0.5ml中に各ワクチン株HAを15μg含む)。21日目および42日目に、群2の動物に0.5ml Fluarix(GlaxoSmithKline Biologicals)を皮下ワクチン接種した。
ワクチンA:インフルエンザワクチン点鼻、5μg、15μg、および30μg HA/0.2ml、ワクチン組成物中に等モル量のモノオレイン酸グリセロールおよびオレイン酸(pH8、Tris 0.1Mに溶解した)を最終濃度20mg/mlで含むEndocine製剤を含むアジュバント製剤。H1N1 /California/2009スプリット抗原。
ワクチンB:インフルエンザワクチン点鼻、15μg HA/0.2ml、ワクチン組成物中に等モル量のモノオレイン酸グリセロールおよびオレイン酸(pH8、Tris 0.1Mに溶解した)を最終濃度20mg/mlで含むEndocine製剤を含むアジュバント製剤。H1N1/California/2009不活化全ウイルス抗原。
フェレット
約12ヶ月齢、体重760〜1210g、かつ赤血球凝集抑制(HI)アッセイによる実証において循環インフルエンザウイルスB、A/H1N1、A/H3N2、およびA/pH1N1に対する抗体について血清陰性であった健常雌フェレット(Mustela putorius furo: 非近交系)を使用した。動物を、免疫化前段階には最大8匹の群で、免疫化段階には6匹の試験群で標準的なケージに入れた。抗原投与日に、陰圧がかかったグローブボックス隔離飼育ケージに試験群を移した。試験全体を通して、動物に市販のフードペレットおよび水を自由に与えた。
免疫化
0日目、21日目、および42日目に、6匹のフェレットの5つの群に、ケタミンおよびドミトール(domitor)による麻酔下で、3回の鼻腔内免疫化を(液滴: フィルターチップ付きピペットを用いて各外鼻孔に100μlずつ)行った。群1の動物には滅菌生理食塩水(0,9%食塩水pH5〜5,5)200μlを与えた。群3、群4、および群5をそれぞれ、5μg、15μg、および30μg HAを含有する、Endocine(商標)を用いて製剤化されたH1N1/California/2009スプリット抗原200μlで鼻腔内免疫化した。群6を、15μg HAを含有する、Endocine(商標)を用いて製剤化されたH1N1/California/2009全ウイルス抗原200μlで鼻腔内免疫化した。対照群1には鼻腔内に食塩水200μlを与えた。21日目および42日目に、6匹のフェレットの1つの群(群2)の皮下に、0.5mlのFluarix(登録商標)(GlaxoSmithKline Biologicals)(2010/2011シーズン、各ワクチン株HA 15μgを含有するアジュバント無添加三価インフルエンザワクチン(TIV))をワクチン接種した。
0日目、21日目、および42日目の免疫化前ならびに試験64日目および70日目の抗原投与前に、血清調製用の血液試料を収集した。
攻撃ウイルスの調製および投与
試験70日目に、全動物を、気管内経路によってインフルエンザウイルス(H1N1株A/The Netherlands/602/2009)野生分離株で抗原投与した。攻撃ウイルスを調製するために、H1N1 A/The Netherlands/602/2009攻撃ウイルスストック(7.8 log10 TCID50/ml)を3.3x105 TCID50/mlの濃度まで氷冷PBSで希釈した。全動物を、106 TCID50を含有する攻撃ウイルス調製物3mlで気管内に抗原投与した。攻撃ウイルス調製物を気管鏡を用いて小さなカテーテルで気管に投与し、分岐部のすぐ上で放出した。攻撃ウイルスの調製および投与はBSL3条件下で行った。抗原投与の1日後に、ウイルスの感染性を確かめるために、残っている攻撃ウイルス希釈液の試料をメディン・ダービー(Madin Darby)イヌ腎(MDCK)細胞において滴定した。接種して1日後の攻撃ウイルス希釈液の逆滴定から、この物質は依然として4.8 log10 TCID50を含んでいることが分かった。
処置および試料収集
実験中に、フェレットに対していくつかの処置を行った。温度センサー埋め込み、免疫化、ウイルス抗原投与、およびコンピュータ断層撮影(CT)イメージングのために、動物をケタミン(4〜8mg/kg: i.m.; Alfasan, Woerden, The Netherlands)およびドミトール(0.1mg/kg: i.m.; Orion Pharma, Espoo, Finland)のカクテルで麻酔した。サンプリング(血液、スワブ、および鼻洗浄液)ならびに放血による安楽死のために、動物をケタミンで麻酔した。実験開始の2週間前に、温度ロガー(DSTマイクロ-T超小型温度ロガー; Star-Oddi, Reykjavik, Iceland)をフェレット腹腔内に入れた。この装置は10分ごとに動物の体温を記録した。各免疫化の前に(0日目、21日目、および42日目)、ならびに抗原投与および安楽死の日(70日目および74日目)にフェレットを秤量した。64日目、71日目、72日目、73日目、および74日目に、群1、群2、および群4の動物をCTイメージングによってモニタリングした。0日目、21日目、および42日目、64日目の免疫化前に、ならびに70日目の抗原投与前に、血液試料を収集した。70日目の抗原投与前、および抗原投与後の毎日、鼻スワブおよび咽頭スワブを収集した。
血液試料および血清の収集
血液試料を収集し、2つの等しい体積に分けた。一方の体積をPBMC分離に使用し、すぐに、EDTA抗凝血剤含有チューブに移した。他方の体積を血清収集に使用し、凝血活性化剤含有セラムチューブに移した。セラムチューブを全て約2000xgで室温で10分間、遠心分離した。血清を0.1ml試料に分注し、約-80℃で保管した。
PBMCおよび血漿の単離
PBMCを分離するのに使用した血液試料を、すぐに、EDTA抗凝血剤含有チューブに移し、880xGで5分間、遠心分離し、血漿を約-80℃で保管した。細胞ペレットを3.5ml洗浄用緩衝液(D-PBS: lot#: RNBB7791, V-CMS: 10700395およびEDTA:lot#: 079K8712, V-CMS: 10700037)で再懸濁し、3mlリンホプレップ(lymphoprep)上に層状に積み重ね、800xGで30分間、遠心分離した。遠心分離後、細胞を含有する境界面を収集し、新たなチューブに移し、洗浄用緩衝液で4回洗浄した。後の洗浄工程には、600xg、465xg、および350xgで10分間、ならびに250xgで15分間の遠心分離が含まれた。最後の洗浄工程後に、細胞ペレットを再懸濁し、少なくとも10分間、氷上に置き、1ml氷冷凍結培地(RPMI lot#1MB078、20%FCS VC#201110194、10%DMSO VC#10700203)に再懸濁し、アンプルに移し、-80℃で保管した。
血清学
H1N1 A/The Netherlands/602/2009ならびに2種類の遠縁ウイルスH1N1 A/Swine/Ned/25/80およびH1N1 A/Swine/Italy/14432/76に対する抗体価を赤血球凝集抑制アッセイ(HI)およびウイルス中和アッセイ(VN)によって求めた。遠縁ウイルスH1N1 A/New Jersey/08/76に対する抗体価を赤血球凝集抑制アッセイによって求めた。
HIアッセイ
HIアッセイは、インフルエンザウイルス赤血球凝集素特異的抗体が赤血球のインフルエンザ誘導凝集をブロックする能力に基づく標準的な結合アッセイである。非特異的な抗赤血球凝集素活性を除去するために、試料をコレラ濾液(コレラ菌(Vibrio cholerae)培養物から入手した)で前処理した。37℃で16時間インキュベートした後に、試料を56℃で1時間インキュベートすることによってコレラ濾液を不活化した。試料の2倍段階希釈液を、(1:20の希釈度から開始して96ウェルプレート中で2回繰り返して)リン酸緩衝硫酸(phosphate buffered sulphate)(PBS)で作製し、試料が特異的赤血球凝集を示したときにシチメンチョウ赤血球で前処理した。これらの赤血球を除去した後に、試料を4赤血球凝集単位(hemagglutination unit)(HAU)の一定濃度の関係するインフルエンザウイルスと4℃で1時間インキュベートした。最後に、複数のプレートを独立に、赤血球沈降によって示される赤血球凝集の抑制についてスコア付けした。対応するフェレット対照血清を全測定に含めた。
VNアッセイ
VNアッセイは、インフルエンザウイルス特異的抗体のサブセットが、細胞培養物中のウイルス複製がなくなるようにウイルスを中和する能力に基づく、標準的なアッセイである。試料を56℃で30分間、熱失活させ、その後に、96ウェルプレート中で3回繰り返して、1:8の希釈度から開始して試料の2倍段階希釈液を感染培地(20mM Hepes、0.075%重炭酸ナトリウム、2mM L-グルタミン、100IU/mlのペニシリンおよびストレプトマイシン、17.5μg/mlトリプシン、ならびに2.3ng/mlアンホテリシンBを添加したイーグル最小必須培地)で作製した。次いで、試料希釈液を、25〜400 TCID50の関係するウイルスと5%CO2、37℃で1時間インキュベートした。1時間のインキュベーション期間が終了した後に、ウイルス-抗体混合物を、95〜100%コンフルエントなメディン・ダービーイヌ腎(MDCK)細胞培養単層を有するプレートに移した。次いで、これらのプレートを5%CO2、37℃で1時間インキュベートし、その後に、ウイルス-抗体混合物を除去し、感染培地と交換した。5%CO2、37℃で6日間のインキュベーション期間後に、インフルエンザウイルス赤血球凝集素の存在を検出するためにシチメンチョウ赤血球を用いてプレートを読み取った。VN力価は、Reed and Muench(Reed, L.J.; Muench, H. (1938). 「A simple method of estimating fifty percent endpoints」. The American Journal of Hygiene 27: 493-497)に記載の方法に従って計算した。
上気道および下気道におけるウイルス複製
抗原投与後、0日目、1日目、2日目、3日目、および4日目に、麻酔下の動物から鼻スワブおよび咽頭スワブを採取した。抗原投与して4日後に、フェレットを麻酔下で放血によって安楽死させ、この後に全身肉眼所見を行い、組織を収集した。右鼻甲介ならびに右肺全葉および副葉の試料を収集し、さらに処理するまで-80℃で保管した。鼻甲介および肺試料を秤量し、その後に、0.5%ラクトアルブミン、10%グリセロール、200U/mlペニシリン、200μg/mlストレプトマイシン、100U/mlポリミキシンB硫酸塩、250μg/mlゲンタマイシン、および50U/mlナイスタチン(ICN Pharmaceuticals, Zoetermeer, The Netherlands)を含有するハンクス液に溶解したFastPrep-24(MP Biomedicals, Eindhoven, The Netherlands)と一緒にホモジナイズし、短時間、遠心分離した後に、希釈した。
収集後、鼻スワブおよび咽頭スワブを、組織試料処理に使用したものと同じ培地に入れて-80℃で保管した。以前に述べられたように(Rimmelzwaan GF et al., J Virol Methods 1998 Sep;74(1)57-66)、肺上清およびスワブ上清の4つの同じ10倍段階希釈液を用いて、MDCK細胞コンフルエント層でのウイルス力価を求めた。
抗体価の結果
0日目、21日目、42日目、64日目、および70日目に、抗体の血清中濃度を各免疫化前に求めた。H1N1 A/The Netherlands/602/2009ならびに2種類の遠縁ウイルス(H1N1 A/Swine/Ned/25/80およびH1N1 A/Swine/Italy/14432/76)に対する力価を赤血球凝集抑制アッセイ(HI)およびウイルス中和アッセイ(VNT)によって求めた。遠縁ウイルス(H1N1 A/New Jersey/08/76)に対する抗体価を赤血球凝集抑制アッセイ(HI)によって求めた。
HI抗体価-同種: H1N1 A/The Netherlands/602/2009
幾何平均HI力価を図1に示した。幾何平均を計算するために、≦5の値を、対応する絶対値5で置き替えた。全ての前血清(0日目)がHI抗体陰性(力価:≦5)であった。
群ごとのHI力価の分析から以下の結果が明らかになった。
群1(食塩水;感染対照)
全血清試料がHI抗体陰性であった。
群2(Fluarix(登録商標); 非経口対照)
1回目の免疫化後(42日目)に収集した1個の血清試料が、低いHI抗体陽性であった(力価: 13)。2回目の免疫化後に、6匹の動物のうち5匹の血清中に低いHI力価(範囲13〜70)が検出された。
群3(ワクチンA、5μg HA; 鼻腔内)
1回目の免疫化後に収集した全試料がHI抗体陽性であった(21日目; GMT: 477、範囲160〜1120)。HI抗体価は、2回目の免疫化後(42日目; GMT: 1669、範囲1120〜2560)、および3回目の免疫化後にも6匹の動物のうち4匹(64日目; GMT: 2158、範囲1280〜3840)において大幅に増加した。70日目(抗原投与日)に収集した試料は、64日目に測定した試料に匹敵するHI力価を示した(70日目; GMT: 2103、範囲1120〜3840)。
群4(ワクチンA、15μg HA; 鼻腔内)
1回目の免疫化後に収集した6個の試料のうち5個がHI抗体陽性であった(21日目; GMT: 1130範囲、5〜5760)。2回目の免疫化後に収集した全試料がHI抗体陽性であった。HI抗体価は5匹の動物において大幅に増加した(42日目; GMT: 3673、範囲、1120〜5760)。3回目の免疫化によってHI抗体価は増加しなかった(64日目; GMT: 2386、範囲1920〜4480)。70日目(抗原投与日)に収集した試料は、64日目に測定した試料に匹敵するHI力価を示した(70日目; GMT: 2281、範囲1280〜2560)。
群5(ワクチンA、30μg HA; 鼻腔内)
1回目の免疫化後に収集した全試料がHI抗体陽性であった(21日目; GMT: 1249、範囲400〜3200)。HI抗体価は、2回目の免疫化後に6匹の動物のうち5匹(42日目; GMT: 1874、範囲640〜3840)、および3回目の免疫化後にも2匹の動物(64日目; GMT: 1837 範囲1280〜3200)において増加した。70日目(抗原投与日)に収集した試料は、64日目に測定した試料に匹敵するHI力価を示した(70日目; GMT: 1699、範囲640〜3200)。
群6(ワクチンB、15μg HA; 鼻腔内)
1回目の免疫化後に収集した6個の試料のうち5個がHI抗体陽性であった(21日目; GMT: 87、範囲5〜1280)。HI抗体価は、2回目の免疫化後に全動物(42日目;GMT: 577、範囲100〜2880)、および3回目の免疫化後にも2匹の動物(64日目; GMT: 626、範囲160〜2560)において大幅に増加した。70日目(抗原投与日)に収集した試料は、64日目に測定した試料に匹敵するHI力価を示した(70日目; GMT: 583、範囲160〜2240)。
異種:H1N1 A/Swine/Ned/25/80、H1N1 A/Swine/Italy/14432/76、およびH1N1 A/New Jersey/08/76
遠縁ウイルスH1N1 A/Swine/Ned/25/80、H1N1 A/Swine/Italy/14432/76、およびH1N1 A/New Jersey/08/76に対するHI抗体価を検出した。遠縁ウイルスに対する幾何平均HI力価を図2に示した。幾何平均を計算するために、≦5の値を、対応する絶対値5で置き替えた。全ての前血清(0日目)がHI抗体陰性(力価:≦5)であった。交差反応性HI抗体価は、同種H1N1 A/The Netherlands/602/2009 HI抗体価よりかなり低かった。
群ごとのHI力価の分析から以下の結果が明らかになった。
群1(食塩水;感染対照)
1個を除く全血清試料がHI抗体陰性であった。64日目に収集した1個の試料は、H1N1 A/Swine/Italy/14432/76に対して7.5という非常に低いHI抗体価を示した。
群2(Fluarix(登録商標); 非経口対照)
全試料がH1N1 A/Swine/Ned/25/80およびH1N1 A/Swine/Italy/14432/76 HI抗体陰性であった。1回目の免疫化後、42日目に収集した血清中に、6匹の動物のうち3匹においてH1N1 A/New Jersey/08/76に対する低いHI力価が検出された。
群3(ワクチンA、5μg HA; 鼻腔内)
全動物が3種類の遠縁ウイルスに対する交差反応性HI抗体を生じた。2回目および/または3回目の免疫化後に最も高い力価が測定された。21日目、42日目、64日目、および70日目のH1N1 A/Swine/Ned/25/80 HI抗体価(GMT)はそれぞれ、6(範囲5〜7.5)、24(範囲5〜60)、32(範囲20〜80)、および19(範囲5〜70)であった。21日目、42日目、64日目、および70日目のH1N1 A/Swine/Italy/14432/76 HI抗体価(GMT)はそれぞれ、16(範囲5〜50)、38(範囲10〜80)、63(範囲40〜160)、および42(範囲20〜120)であった。21日目、42日目、64日目、および70日目のH1N1 A/New Jersey/08/76 HI抗体価(GMT)はそれぞれ、5、26(範囲7.5〜70)、39(範囲5〜80)、および29(範囲20〜50)であった。
群4(ワクチンA、15μg HA; 鼻腔内)
全動物が2回目の免疫化後に3種類の遠縁ウイルスに対する交差反応性HI抗体を生じた。3回目の免疫化によってHI力価は増加しなかった。21日目、42日目、64日目、および70日目のH1N1 A/Swine/Ned/25/80 HI抗体価(GMT)はそれぞれ、42(範囲5〜90)、239(範囲20〜1120)、88(範囲50〜160)、および75(範囲40〜160)であった。21日目、42日目、64日目、および70日目のH1N1 A/Swine/Italy/14432/76 HI抗体価(GMT)はそれぞれ、78(範囲5〜280)、327(範囲35〜1280)、153(範囲80〜320)、および105(範囲70〜160)であった。21日目、42日目、64日目、および70日目のH1N1 A/New Jersey/08/76 HI抗体価(GMT)はそれぞれ、25(範囲5〜80)、176(範囲60〜400)、64(範囲40〜140)、および63(範囲40〜160)であった。
群5(ワクチンA、30μg HA;鼻腔内)
1匹を除く全動物がH1N1 A/Swine/Ned/25/80に対する交差反応性HI抗体を生じた。全動物がH1N1 A/Swine/Italy/14432/76およびH1N1 A/New Jersey/08/76に対する交差反応性HI抗体を生じた。2回目および/または3回目の免疫化後に最も高い力価が測定された。21日目、42日目、64日目、および70日目のH1N1 A/Swine/Ned/25/80 HI抗体価(GMT)はそれぞれ、23(範囲5〜80)、41(範囲5〜320)、42(範囲5〜320)、および34(範囲5〜320)であった。21日目、42日目、64日目、および70日目のH1N1 A/Swine/Italy/14432/76 HI抗体価(GMT)はそれぞれ、39(範囲5〜160)、54(範囲5〜640)、78(範囲20〜720)、50(範囲5〜480)であった。21日目、42日目、64日目、および70日目のH1N1 A/New Jersey/08/76 HI抗体価(GMT)はそれぞれ、9(範囲5〜30)、40(範囲5〜400)、35(範囲5〜160)、および27(範囲5〜160)であった。
群6(ワクチンB、15μg HA; 鼻腔内)
全動物がH1N1 A/Swine/Italy/14432/76に対する交差反応性HI抗体を生じた。1匹を除く全動物がH1N1 A/Swine/Ned/25/80に対する交差反応性HI抗体を生じ、1匹を除く全動物がH1N1 A/New Jersey/08/76に対する交差反応性HI抗体を生じた。2回目および/または3回目の免疫化後に最も高い力価が測定された。21日目、42日目、64日目、および70日目のH1N1 A/Swine/Ned/25/80 HI抗体価(GMT)はそれぞれ、7(範囲5〜40)、19(範囲5〜80)、15(範囲5〜80)、および9(範囲5〜40)であった。21日目、42日目、64日目、および70日目のH1N1 A/Swine/Italy/14432/76 HI抗体価(GMT)はそれぞれ、9(範囲5〜160)、32(範囲5〜160)、27(範囲5〜160)、15(範囲5〜80)であった。21日目、42日目、64日目、および70日目のH1N1 A/New Jersey/08/76 HI抗体価(GMT)はそれぞれ、8(範囲5〜80)、47(範囲10〜240)、19(範囲5〜140)、および13(範囲5〜80)であった。
VN抗体価:
同種: H1N1 A/The Netherlands/602/2009
全実験動物からの血清試料中のVN抗体価を測定した。幾何平均VN力価を図3に示した。全ての前血清(0日目)がVN抗体陰性であった(力価:≦8)。
群ごとのVN力価の分析から以下の結果が明らかになった。
群1(食塩水; 感染対照)
≦64と測定された42日目に収集した1個を除いて、全血清試料がVN抗体陰性であった。
群2(Fluarix(登録商標); 非経口対照)
全血清試料がVN抗体陰性であった。
群3(ワクチンA、5μg HA; 鼻腔内)
1回目の免疫化後に収集した6個の試料のうち4個が低いVN抗体陽性であった(21日目 ; GMT: 19 範囲、8〜64)。2回目の免疫化後に収集した全試料がVN抗体陽性であった。VN抗体価は、5匹の動物において2回目の免疫化後(42日目; GMT: 242、範囲、64〜859)および3回目の免疫化後(64日目; GMT: 995、範囲362〜2436)に大幅に増加した。70日目(抗原投与日)に収集した試料は、64日目に測定した試料と同等の、または64日目に測定した試料より低いVN力価を示した(70日目; GMT: 535、範囲304〜859)。
群4(ワクチンA、15μg HA; 鼻腔内)
1回目の免疫化後に収集した6個の試料のうち5個がVN抗体陽性であった(21日目; GMT: 147範囲、8〜724)。2回目の免疫化後に収集した全試料がVN抗体陽性であった。VN抗体価は、2回目の免疫化後に5匹の動物(42日目; GMT: 2376、範囲、64〜8192)および3回目の免疫化後に2匹の動物(64日目; GMT: 1688、範囲662〜4871)において大幅に増加した。70日目(抗原投与日)に収集した試料は、64日目に測定した試料に匹敵するVN力価を示した(70日目; GMT: 1581、範囲351〜3444)。
群5(ワクチンA、30μg HA; 鼻腔内)
1回目の免疫化後に収集した全試料がVN抗体陽性であった(21日目; GMT: 74、範囲11〜627)。VN抗体価は、2回目の免疫化後に6匹の動物のうち5匹(42日目; GMT: 504、範囲41〜3435)、3回目の免疫化後に6匹の動物のうち3匹(64日目; GMT: 1673 範囲724〜4884)において大幅に増加した。70日目(抗原投与日)に収集した試料は、64日目に測定した試料に匹敵するVN力価を示した(70日目; GMT: 1699、範囲304〜5793)。
群6(ワクチンB、15μg HA; 鼻腔内)
1回目の免疫化後に収集した6個の試料のうち2個が低いVN抗体陽性であった(21日目; GMT: 12、範囲8〜64)。2回目の免疫化後に収集した全試料がVN抗体陽性であった(42日目;GMT: 78、範囲32〜304)。VN抗体価は3回目の免疫化後に増加した(64日目; GMT: 242、範囲113〜747)。70日目(抗原投与日)に収集した試料は、64日目に測定した試料と同等の、または64日目に測定した試料より低いVN力価を示した(70日目; GMT: 177、範囲91〜362)。
異種: H1N1 A/Swine/Ned/25/80、H1N1 A/Swine/Italy/14432/76
遠縁ウイルスH1N1 A/Swine/Ned/25/80およびH1N1 A/Swine/Italy/14432/76に対するVN抗体価を試験した(データ示さず)。42日目、64日目、および70日目に、群3、群4、群5、および群6の全てが群1および群2より優れていた。
実施例2
全ての実験動物について、特定の臨床パラメータおよび病理学的パラメータ、すなわち、死亡率、体温、体重、含気肺容量(aerated lung volume)、鼻甲介および肺におけるウイルス量、上気道におけるウイルス排出、肺重量の肉眼による死後病理検査、肺組織病変部の平均パーセント、鼻甲介および肺の炎症パラメータの顕微鏡検査を測定した。動物群3、動物群4、および動物群5は、試験した全ての肉眼パラメータおよびほとんどの顕微鏡パラメータの点で群1および群2より優れていた(データ示さず)。
上気道および下気道におけるウイルス複製
抗原投与後、0日目、1日目、2日目、3日目、および4日目に、麻酔下の動物から鼻スワブおよび咽頭スワブを採取した。抗原投与して4日後に、フェレットを麻酔下で放血によって安楽死させ、この後に全身肉眼所見を行い、組織を収集した。右鼻甲介ならびに右肺全葉および副葉の試料を収集し、さらに処理するまで-80℃で保管した。鼻甲介および肺試料を秤量し、その後に、0.5%ラクトアルブミン、10%グリセロール、200U/mlペニシリン、200μg/mlストレプトマイシン、100U/mlポリミキシンB硫酸塩、250μg/mlゲンタマイシン、および50U/mlナイスタチン(ICN Pharmaceuticals, Zoetermeer, The Netherlands)を含有するハンクス液に溶解したFastPrep-24(MP Biomedicals, Eindhoven, The Netherlands)と一緒にホモジナイズし、短時間、遠心分離した後に、希釈した。
収集後、鼻スワブおよび咽頭スワブを、組織試料処理に使用したものと同じ培地に入れて-80℃で保管した。以前に述べられたように(Rimmelzwaan GF et al., J Virol Methods 1998 Sep;74(1)57-66)、肺上清およびスワブ上清の4つの同じ10倍段階希釈液を用いて、MDCK細胞コンフルエント層でのウイルス力価を求めた。
肉眼所見および組織病理学
以前に述べられたように(van den Brand JM et al., PLoS One 2012;7(8)e42343)、標準的なプロトコールに従って動物を屍検した。手短に言うと、胸膜腔を開き、罹患した肺実質の面積を目視により正確に定量するときに肺が収縮しないように、気管をクランプで締めた。左肺の組織学的検査のために試料を採取し、10%中性緩衝ホルマリン(ホルマリンをゆっくりと注入した後)に入れて保管し、パラフィン包埋し、4μm切片を作製し、光学顕微鏡による検査のためにヘマトキシリンおよびエオシン(HE)で染色した。試料は標準的なやり方で採取され、肉眼所見で観察された変化に左右されなかった。以前に述べられたように(表4)(Munster VJ et al., Science 2009 Jul 24;325(5939):481-3)、肺におけるインフルエンザウイルス関連炎症の半定量評価を行った。動物がどのようなものかも動物の処置も知らされることなく全スライドを検査した。
肺および上気道におけるウイルス量の結果
対照群1(i.n. 食塩水)および対照群2(非経口TIV)の全フェレットが、高力価の複製能力のあるウイルスを肺(平均力価;それぞれ、5.7および5.5 log10 TCID50/グラム組織)ならびに鼻甲介(平均力価:それぞれ、7.2および6.9 log10 TCID50/グラム組織)において示した(表3)。群3、群4、および群5(i.n. Endocine(商標)アジュバント添加スプリット抗原pH1N1/09ワクチン)のフェレットの肺および鼻甲介には、検出可能な感染性ウイルスがなかった。群6(15μg HA のi.n. Endocine(商標)アジュバント添加全ウイルス)のフェレットの肺には、検出可能な感染性ウイルスがなく、鼻甲介のウイルス力価は、対照群1と比較して平均力価4.1 log10 TCID50/グラム組織と有意に少なかった(p=0.02)。
Endocine(商標)アジュバント添加pH1N1/09ワクチンを用いた鼻腔内免疫化によって、鼻および咽頭から採取したスワブのウイルス力価は食塩水またはTIV投与と比較して低下した。1〜4dpiの間隔で、曲線下面積(AUC)で表した鼻スワブおよび咽頭スワブにおけるウイルス量を表3に示した。群3、群4、および群5(それぞれ、5μg HA、15μg HA、および30μg HAのi.n. Endocine(商標)アジュバント添加スプリット抗原)の鼻スワブにおけるウイルス量は群1より有意に少なかったが(群1対群3〜5;p≦0.03)、群2および群6の鼻スワブにおけるウイルス量は有意に少なくはなかった。群1および群2の咽頭スワブにおけるウイルス量は同等であったが、群3、群4、群5、および群6より有意に多かった(p≦0.03)。
肉眼所見および組織病理学の結果
Endocine(商標)アジュバント添加pH1N1/09ワクチンを用いて鼻腔内免疫化した群におけるウイルス複製の低下は肺の肉眼所見変化の低下と一致した(表3)。
肉眼で見える死後肺病変部は、実質の明確な発赤を特徴とする病巣性または多病巣性の肺硬化からなった。対照群1(i.n. 食塩水)および群2(非経口TIV)の全フェレットが罹患肺組織を示し、平均パーセントはそれぞれ50%および37%であり、それぞれ1.5および1.3の相対肺重量(RLW)平均と一致した(表3)。対照的に、群3、群4、群5、および群6(i.n. Endocine(商標)アジュバント添加pH1N1/09ワクチン)の肺の罹患はより小さく、罹患肺組織の平均パーセントは7〜8%であった。これらの4つのEndocine(商標)ワクチン接種群のRLWは、これらの観察と合致した(0.8〜0.9の狭い範囲内)。
肺硬化は顕微鏡検査時の急性気管支間質肺炎と一致した。これは肺胞の管腔および壁の中にある炎症細胞(主にマクロファージおよび好中球)の存在ならびに裏打ちしている肺胞細胞の膨張または消失を特徴とした。さらに、重篤度の高い肺胞炎症例では、タンパク質に富む浮腫液、肺胞腔内にあるフィブリン鎖および血管外遊出した赤血球、ならびにII型肺細胞過形成が一般に観察された。スコア付けした組織学的パラメータを表4にまとめた。重篤度が最も高い肺胞病変部が対照群1(i.n. 食塩水)および対照群2(非経口TIV)において見出された。肺胞病変部の全パラメータが群5で最低スコアを付けたが、実際には群3、群4、群5、および群6間の差は有意でなかった。
肺に関して、結論的に、このフェレットモデルにおけるH1N1インフルエンザA /Netherlands/602/2009ウイルスを用いた気管内抗原投与によって軽微〜重度の肺炎が生じた。しかしながら、全てワクチン接種群からの動物である一部の動物は、肉眼で識別可能な肺病変部に全く侵されていなかった。肺病変部の肉眼による死後評価(罹患した肺の推定%)に基づくと、ワクチン接種(ワクチン-A 15μg HA)群4およびワクチン接種(ワクチン-A 30μg HA)群5は同様に、いずれも7%という非常に低いスコアで最も小さな肺病変部に罹患し、そのすぐ後に、いずれも8%でワクチン接種(ワクチン-A 5μg HA)群3およびワクチン接種(ワクチン-B 15μg HA)群6が続いた。プラセボ-PBS処置群1の動物は50%という顕著な平均スコアで最も大きな肺病変部に罹患した。非経口ワクチン接種対照群2は、平均37%で、わずかに小さいものの依然として顕著な肺病変部に罹患した。相対肺重量(RLW)平均は、罹患肺組織のこれらの推定パーセントと明らかに一致した。これは、罹患肺組織のこれらの推定パーセントの妥当性を裏付けるものである。
肺顕微鏡検査の結果は、肺病変部の評価パラメータの大部分について、最大用量ワクチン接種(ワクチン-A 30μg HA)群5が最高スコアであったことを裏付け、呼吸器病変部の段階的な進行はワクチン-A(それぞれ、群3および群2)のHA用量の減少と相関関係にあった。ワクチン-B 15μg HAを用いたワクチン接種は最小用量ワクチン-A 5μg HA(群3)の結果と実質的に等しかった。プラセボ-PBS-処置(群1)は、評価した全病理組織学的パラメータにわたって圧倒的に最も悪いスコアであり、そのすぐ後に非経口ワクチン接種対照群2が続いた。注目すべきことに、鼻腔内ワクチン接種動物(群3、群4、群5、および群6)の全てが肺胞出血から保護された。
全体的な結論-従って結論としては、このフェレットウイルス抗原投与モデルにおける病変スコアの平均に基づくと、ワクチン-A 30μg HA(群5)を用いたワクチン接種は成績が最も良く、呼吸器病変部が最小であったのに対して、プラセボ-PBS-処置は成績が最も悪く、呼吸器病変部が最大であった。ワクチン-A 15μg HA(群4)を用いたワクチン接種の成績は群5と比較してわずかに悪く、この後にワクチン-A 5μg HA(群3)を用いたワクチン接種が続き、その成績はワクチン-B 15μg HA(群6)を用いたワクチン接種と比較して実質的に似ていた。鼻腔内ワクチン接種動物の全てが、ワクチンの用量およびタイプに関係なく肺胞出血から保護された。非経口対照ワクチン接種(群2)は成績が良くなく、著しい呼吸器病変部があり、プラセボ-PBS-処置(群1)と比較してわずかに優れていただけであった。
実施例3:
以下の表2および図4は、ナイーブなフェレットにおいて本発明のワクチンと他の製品FluMistおよび注射用ワクチンとを比較している。
(表2)
Figure 2016502996
* Baras et al. Vaccine 29 (2011) 2120-2126
# Chen et al. JID 2011:203
Figure 2016502996
Eurocineワクチン:本研究
GSK一価パンデミックワクチン(GSK H1N1)、Novartis三価不活化ワクチン(Novartis TIV)、GSK三価不活化ワクチン(GSK TIV)群の中和力価(NT)は15未満であった。
この結果から、本発明のワクチン組成物、この場合、15μg HAスプリットインフルエンザ抗原と20mg/ml(2%)Endocine(商標)とを含むImmunose(商標)FLUは、MedimmuneのパンデミックLAIVワクチンFluMistと同様の中和力価を示し(図5を参照されたい)、注射ワクチンより優れた力価を示したのに対して、アジュバント無添加TIVは十分な応答を示さないことが分かる。
実施例で使用した略語:
HA インフルエンザウイルス赤血球凝集素タンパク質
TCID50 50%組織培養感染量
PBMC 末梢血単核球
HI インフルエンザ赤血球凝集抑制アッセイ
SOP 標準操作手順
PBS リン酸緩衝食塩水
EDTA エチレンジアミン四酢酸
GMT 幾何平均力価(血清学的データを表すために使用した)
FCS ウシ胎仔血清(培養培地添加物)
VN ウイルス中和アッセイ
DMSO ジメチルスルホキシド
本発明のさらなる局面は、
i)1種または複数種の肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)抗原、および
ii)1種または複数種のカルボン酸と、水性媒体と、任意で1種または複数種のモノグリセリドとを含む、アジュバント
を含む、肺炎連鎖球菌感染の予防または肺炎連鎖球菌感染に関連した症状の重篤度の低下のために、ナイーブな対象および/または免疫無防備状態の患者において使用する鼻腔内投与ワクチンとして使用するための組成物に関する。
[本発明1001]
1種または複数種の非生抗原、および
1種または複数種のカルボン酸と、水性媒体と、任意で1種または複数種のモノグリセリドとを含む、アジュバント
を含む、ナイーブな対象において使用する鼻腔内投与ワクチンとして使用するための組成物。
[本発明1002]
ワクチンが小児科的使用のためのものである、前記本発明のいずれかの使用のための組成物。
[本発明1003]
ワクチンが、インフルエンザに対してナイーブな対象において使用するためのものである、前記本発明のいずれかの使用のための組成物。
[本発明1004]
ウイルス排出を低減するためにナイーブな対象において使用するためのものである、前記本発明のいずれかの使用のための組成物。
[本発明1005]
ワクチンが、小児において使用するためのものである、前記本発明のいずれかの使用のための組成物。
[本発明1006]
小児が8歳未満、例えば、6歳以下である、前記本発明のいずれかの使用のための組成物。
[本発明1007]
小児が2ヶ月〜9歳未満、例えば、6ヶ月〜8歳未満、好ましくは、6ヶ月〜7歳未満の小児である、前記本発明のいずれかの使用のための組成物。
[本発明1008]
インフルエンザワクチンとして使用するためのものである、前記本発明のいずれかの使用のための組成物。
[本発明1009]
ワクチンが、インフルエンザに対してナイーブな対象においてインフルエンザに対する免疫性を与えるためのものである、前記本発明のいずれかの使用のための組成物。
[本発明1010]
ナイーブな対象が、12歳未満の小児およびパンデミック地域にいるあらゆる年齢の人からなる群より選択される、前記本発明のいずれかの使用のための組成物。
[本発明1011]
ワクチンが、ペリパンデミック(peri-pandemic)感染性病原体またはパンデミック感染性病原体に対する免疫性を与えるためのものである、前記本発明のいずれかの使用のための組成物。
[本発明1012]
ワクチンが、乳幼児、小児、および成人においてパンデミック感染性病原体に対する免疫性を与えるためのものである、前記本発明のいずれかの使用のための組成物。
[本発明1013]
ワクチンが、乳幼児、小児、および成人において感染性病原体に対する免疫性を与えるためのものである、前記本発明のいずれかの使用のための組成物。
[本発明1014]
非生インフルエンザウイルス抗原が、不活化全ウイルス、スプリットウイルス、およびサブユニットインフルエンザ抗原からなる群より選択される、前記本発明のいずれかの使用のための組成物。
[本発明1015]
非生インフルエンザウイルス抗原がスプリット抗原である、前記本発明のいずれかの使用のための組成物。
[本発明1016]
1種または複数種のモノグリセリドが、ラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C16)、パルミトオレイン酸(C16:1)、オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、ステアリン酸、ヘキサン酸、カプリル酸、デカン酸(カプリン酸)、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、α-リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、γ-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、エルカ酸、ネルボン酸からなる群より選択されるカルボン酸でモノエステル化されたグリセリドである、前記本発明のいずれかの使用のための組成物。
[本発明1017]
1種または複数種のモノグリセリドが、パルミトオレイン酸(C16:1)、オレイン酸(C18:1)、およびリノール酸(C18:2)からなる群より選択されるカルボン酸でモノエステル化されたグリセリドである、前記本発明のいずれかの使用のための組成物。
[本発明1018]
1種または複数種のモノグリセリドが、オレイン酸でモノエステル化されたグリセリド(オレイン酸グリセリル)である、前記本発明のいずれかの使用のための組成物。
[本発明1019]
1種または複数種のカルボン酸が、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、リノール酸、ステアリン酸、ヘキサン酸、カプリル酸、デカン酸(カプリン酸)、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、α-リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、γ-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、エルカ酸、およびネルボン酸からなる群より選択される、前記本発明のいずれかの使用のための組成物。
[本発明1020]
1種または複数種のカルボン酸が、オレイン酸およびラウリン酸からなる群より選択される、前記本発明のいずれかの使用のための組成物。
[本発明1021]
カルボン酸がオレイン酸である、前記本発明のいずれかの使用のための組成物。
[本発明1022]
アジュバントがオレイン酸グリセリル、オレイン酸、および水性媒体を含む、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1023]
ワクチン組成物が、ワクチン組成物100mLあたり約0.1g〜約5.0gの範囲、またはワクチン組成物100mLあたり約0.1g〜約2.0g、またはワクチン組成物100mLあたり約0.5g〜約2.0g、例えば、0.5g〜約1.5gの範囲の量のモノグリセリドを含む、前記本発明のいずれかの使用のための組成物。
[本発明1024]
ワクチン組成物が、ワクチン組成物100mLあたり約0.1g〜約5.0gの範囲、またはワクチン組成物100mLあたり約0.1g〜約2.0gの範囲、またはワクチン組成物100mLあたり約0.5g〜約2.0g、例えば、0.5g〜約1.5gの範囲の量のカルボン酸を含む、前記本発明のいずれかの使用のための組成物。
[本発明1025]
アジュバントミックス中の1種または複数種のモノグリセリドおよび1種または複数種のカルボン酸が、ワクチンの多くても10%w/v、または多くても5%w/v、または多くても4%w/v、または多くても3%w/v、または多くても2%w/v、または多くても1%w/vである、前記本発明のいずれかの使用のための組成物。
[本発明1026]
本発明1001〜1025のいずれかの組成物を含む治療的有効量のワクチン組成物を鼻腔内投与する工程を含む、ペリパンデミック期またはパンデミック期の期間中に免疫性を与える方法。
[本発明1027]
本発明1001〜1025のいずれかの組成物を含む治療的有効量のワクチン組成物を鼻腔内投与する工程を含む、小児科対象に免疫性を与える方法。
[本発明1028]
本発明1001〜1025のいずれかの組成物を含む治療的有効量のワクチン組成物を鼻腔内投与する工程を含む、ナイーブな対象に免疫性を与える方法。
[本発明1029]
1種または複数種の非生インフルエンザウイルス抗原、および
1種または複数種のカルボン酸と、水性媒体と、任意で1種または複数種のモノグリセリドとを含む、アジュバント
を含む、免疫無防備状態の小児科対象への鼻腔内投与ワクチンとして使用するための組成物。
[本発明1030]
免疫無防備状態の小児科対象への鼻腔内投与インフルエンザワクチンとして使用するための、本発明1029の組成物。
[本発明1031]
免疫無防備状態の小児科対象が、HIVに感染した対象である人; 免疫抑制剤を服用している対象、最近臓器移植を受けた人; 未熟児、および術後患者からなる群より選択される、本発明1029または1030の組成物。
[本発明1032]
i)1種または複数種の非生抗原、および
ii)1種または複数種のカルボン酸と、水性媒体と、任意で1種または複数種のモノグリセリドとを含む、アジュバント
を含む、免疫無防備状態のナイーブな患者において使用する鼻腔内投与ワクチンとして使用するための組成物。
[本発明1033]
免疫無防備状態のナイーブな対象への鼻腔内投与インフルエンザワクチンとして使用するための、本発明1032の使用のための組成物。
[本発明1034]
免疫無防備状態の小児科対象が、HIVに感染した対象である人; 免疫抑制剤を服用している対象、最近臓器移植を受けた人; 未熟児、および術後患者からなる群より選択される、本発明1032または1033の使用のための組成物。
[本発明1035]
i)1種または複数種の肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)抗原、および
ii)1種または複数種のカルボン酸と、水性媒体と、任意で1種または複数種のモノグリセリドとを含む、アジュバント
を含む、肺炎連鎖球菌感染の予防または肺炎連鎖球菌感染に関連した症状の重篤度の低下のために、ナイーブな対象および/または免疫無防備状態の患者において使用する鼻腔内投与ワクチンとして使用するための組成物。

Claims (35)

1種または複数種の非生抗原、および
1種または複数種のカルボン酸と、水性媒体と、任意で1種または複数種のモノグリセリドとを含む、アジュバント
を含む、ナイーブな対象において使用する鼻腔内投与ワクチンとして使用するための組成物。
ワクチンが小児科的使用のためのものである、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
ワクチンが、インフルエンザに対してナイーブな対象において使用するためのものである、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
ウイルス排出を低減するためにナイーブな対象において使用するためのものである、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
ワクチンが、小児において使用するためのものである、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
小児が8歳未満、例えば、6歳以下である、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
小児が2ヶ月〜9歳未満、例えば、6ヶ月〜8歳未満、好ましくは、6ヶ月〜7歳未満の小児である、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
インフルエンザワクチンとして使用するためのものである、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
ワクチンが、インフルエンザに対してナイーブな対象においてインフルエンザに対する免疫性を与えるためのものである、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
ナイーブな対象が、12歳未満の小児およびパンデミック地域にいるあらゆる年齢の人からなる群より選択される、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
ワクチンが、ペリパンデミック(peri-pandemic)感染性病原体またはパンデミック感染性病原体に対する免疫性を与えるためのものである、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
ワクチンが、乳幼児、小児、および成人においてパンデミック感染性病原体に対する免疫性を与えるためのものである、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
ワクチンが、乳幼児、小児、および成人において感染性病原体に対する免疫性を与えるためのものである、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
非生インフルエンザウイルス抗原が、不活化全ウイルス、スプリットウイルス、およびサブユニットインフルエンザ抗原からなる群より選択される、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
非生インフルエンザウイルス抗原がスプリット抗原である、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
1種または複数種のモノグリセリドが、ラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C16)、パルミトオレイン酸(C16:1)、オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、ステアリン酸、ヘキサン酸、カプリル酸、デカン酸(カプリン酸)、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、α-リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、γ-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、エルカ酸、ネルボン酸からなる群より選択されるカルボン酸でモノエステル化されたグリセリドである、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
1種または複数種のモノグリセリドが、パルミトオレイン酸(C16:1)、オレイン酸(C18:1)、およびリノール酸(C18:2)からなる群より選択されるカルボン酸でモノエステル化されたグリセリドである、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
1種または複数種のモノグリセリドが、オレイン酸でモノエステル化されたグリセリド(オレイン酸グリセリル)である、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
1種または複数種のカルボン酸が、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、リノール酸、ステアリン酸、ヘキサン酸、カプリル酸、デカン酸(カプリン酸)、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、α-リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、γ-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、エルカ酸、およびネルボン酸からなる群より選択される、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
1種または複数種のカルボン酸が、オレイン酸およびラウリン酸からなる群より選択される、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
カルボン酸がオレイン酸である、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
アジュバントがオレイン酸グリセリル、オレイン酸、および水性媒体を含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
ワクチン組成物が、ワクチン組成物100mLあたり約0.1g〜約5.0gの範囲、またはワクチン組成物100mLあたり約0.1g〜約2.0g、またはワクチン組成物100mLあたり約0.5g〜約2.0g、例えば、0.5g〜約1.5gの範囲の量のモノグリセリドを含む、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
ワクチン組成物が、ワクチン組成物100mLあたり約0.1g〜約5.0gの範囲、またはワクチン組成物100mLあたり約0.1g〜約2.0gの範囲、またはワクチン組成物100mLあたり約0.5g〜約2.0g、例えば、0.5g〜約1.5gの範囲の量のカルボン酸を含む、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
アジュバントミックス中の1種または複数種のモノグリセリドおよび1種または複数種のカルボン酸が、ワクチンの多くても10%w/v、または多くても5%w/v、または多くても4%w/v、または多くても3%w/v、または多くても2%w/v、または多くても1%w/vである、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
請求項1〜25のいずれか一項記載の組成物を含む治療的有効量のワクチン組成物を鼻腔内投与する工程を含む、ペリパンデミック期またはパンデミック期の期間中に免疫性を与える方法。
請求項1〜25のいずれか一項記載の組成物を含む治療的有効量のワクチン組成物を鼻腔内投与する工程を含む、小児科対象に免疫性を与える方法。
請求項1〜25のいずれか一項記載の組成物を含む治療的有効量のワクチン組成物を鼻腔内投与する工程を含む、ナイーブな対象に免疫性を与える方法。
1種または複数種の非生インフルエンザウイルス抗原、および
1種または複数種のカルボン酸と、水性媒体と、任意で1種または複数種のモノグリセリドとを含む、アジュバント
を含む、免疫無防備状態の小児科対象への鼻腔内投与ワクチンとして使用するための組成物。
免疫無防備状態の小児科対象への鼻腔内投与インフルエンザワクチンとして使用するための、請求項29記載の組成物。
免疫無防備状態の小児科対象が、HIVに感染した対象である人; 免疫抑制剤を服用している対象、最近臓器移植を受けた人; 未熟児、および術後患者からなる群より選択される、請求項29または30記載の組成物。
i)1種または複数種の非生抗原、および
ii)1種または複数種のカルボン酸と、水性媒体と、任意で1種または複数種のモノグリセリドとを含む、アジュバント
を含む、免疫無防備状態のナイーブな患者において使用する鼻腔内投与ワクチンとして使用するための組成物。
免疫無防備状態のナイーブな対象への鼻腔内投与インフルエンザワクチンとして使用するための、請求項32記載の使用のための組成物。
免疫無防備状態の小児科対象が、HIVに感染した対象である人; 免疫抑制剤を服用している対象、最近臓器移植を受けた人; 未熟児、および術後患者からなる群より選択される、請求項32または33記載の使用のための組成物。
i)1種または複数種の肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)抗原、および
ii)1種または複数種のカルボン酸と、水性媒体と、任意で1種または複数種のモノグリセリドとを含む、アジュバント
を含む、肺炎連鎖球菌感染の予防または肺炎連鎖球菌感染に関連した症状の重篤度の低下のために、ナイーブな対象および/または免疫無防備状態の患者において使用する鼻腔内投与ワクチンとして使用するための組成物。
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