以下、この発明の加熱調理器を図示の実施の形態により詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1はこの発明の第1実施形態の加熱調理器の扉閉鎖時の概略正面図を示し、図2は上記加熱調理器の扉開放時の概略正面図を示している。
この第1実施形態の加熱調理器は、図1,図2に示すように、直方体形状の本体ケーシング1と、この本体ケーシング1内に設けられ、前側に開口部2aを有する加熱庫2と、加熱庫2の開口部2aを開閉する扉3とを備えている。
上記本体ケーシング1の上側かつ後側に、吹出口5aを有する排気ダクト5を設けている。また、本体ケーシング1の前面の下部に露受容器6を着脱可能に取り付けている。この露受容器6は、扉3の下側に位置し、扉3の後面(加熱庫2側の表面)や本体ケーシング1の前板55からの水滴を受けることができるようになっている。また、本体ケーシング1の前面の下部には、給水タンク26も着脱可能に取り付けられている。
上記扉3は、本体ケーシング1の前面側に下側の辺を軸に回動可能に取り付けられている。この扉3の前面(加熱庫2とは反対側の表面)には、耐熱性を有する透明な外ガラス7が設けられている。また、扉3は、外ガラス7の上側に位置するハンドル8と、外ガラス7の右側に設けられた操作パネル9とを有している。
上記操作パネル9は、カラー液晶表示部10およびボタン群11を有している。このボタン群11は、途中で加熱を止めるときなどに押す取り消しキー12と、加熱を開始するときに押すあたためスタートキー13とを含んでいる。また、操作パネル9には、スマートフォンなどからの赤外線を受ける赤外線受光部14が設けられている。なお、カラー液晶表示部10は表示部の一例である。
上記カラー液晶表示部10は、図示しないが、カラー液晶パネル上にタッチパネルを重ねて構成される。このカラー液晶パネルは、文字、数字、写真などをカラー表示できるものであり、加熱の種類、料理名、加熱時間、温度、料理の写真などを表示する。また、上記タッチパネルは、ユーザがタッチすると表面電荷を変化させる透明素材からなる静電容量方式のタッチパネルである。これにより、ユーザは、上記タッチパネルにタッチすることで、カラー液晶パネルに選択可能に表示されるソフトウェアキーを選択できるようになっている。また、上記ソフトウェアキーを選択すると、そのソフトウェアキーの色が変わるようになっている。すなわち、上記カラー液晶パネルに選択可能に表示されるソフトウェアキーは、選択されたときの色が、選択されていないときの色と異なるようになっている。なお、上記タッチパネルは、例えば、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式または電磁誘導方式のタッチパネルに換えてもよい。
上記加熱庫2内には被加熱物15が収容される。また、加熱庫2内への金属製の調理トレイ91,92(図3に示す)の出し入れが可能になっている。加熱庫2の左側部2b,右側部2cの内面には、調理トレイ91を支持する上棚受け16A,16Bが設けられている。また、加熱庫2の右側部2c,左側部2bの内面には、上棚受け16A,16Bよりも下側に位置するように、調理トレイ92を支持する下棚受け17A,17Bが設けられている。
図3は、上記加熱調理器の主要部の構成を説明するための模式図である。この図3では、加熱庫2を左側から見た状態が示されている。なお、図3において、図1,図2の構成部と同一の構成部には、図1,図2の構成部の参照番号と同一の参照番号を付している。
上記加熱調理器は、循環ダクト18と、循環ファン19と、上ヒータ20と、中ヒータ21と、下ヒータ22と、循環ダンパ23と、チューブポンプ25と、給水タンク26および蒸気発生装置70を備えている。この上ヒータ20、中ヒータ21および下ヒータ22は、それぞれ、例えばシーズヒータから成っている。なお、上ヒータ20、中ヒータ21および下ヒータ22は、それぞれ、加熱部の一例である。また、チューブポンプ25はポンプの一例であり、駆動方向によって給水動作と排水動作とを切り替え可能なポンプであればよい。
上記加熱庫2の上部2eは、水平方向に対して傾斜する傾斜部2fを介して加熱庫2の後部2dと連なっている。この傾斜部2fに、循環ファン19と対向するように複数の吸込口27を設けている(図2参照)。また、加熱庫2の上部2eに上吹出口28を複数設けている。また、加熱庫2の後部2dに、第1後吹出口29、第2後吹出口30および第3後吹出口31を、それぞれ、複数設けている(図2参照)。なお、図3では、複数の吸込口27のうちの1個だけを示している。また、図3では、第1後吹出口29、第2後吹出口30および第3後吹出口31は各1個だけを示している。
上記循環ダクト18は、吸込口27、上吹出口28および第1〜第3後吹出口29〜31を介して加熱庫2内と連通している。この循環ダクト18は、加熱庫2の上側から後側に亘って設けられて、逆L字形状を呈するように延在している。また、循環ダクト18の左右方向の幅は、加熱庫2の左右方向の幅より狭く設定されている。
上記循環ファン19は、遠心ファンであって、循環ファン用モータ56によって駆動される。この循環ファン用モータ56が循環ファン19を駆動すると、加熱庫2内の空気や飽和蒸気(以下、「空気など」と言う)は、複数の吸込口27から循環ダクト18内に吸い込まれ、循環ファン19の径方向外側に吹き出す。より詳しくは、循環ファン19の上側では、空気などは、循環ファン19から斜め上方に流れた後、後方から前方に向かって流れる。一方、循環ファン19の下側では、空気などは、循環ファン19から斜め下方に流れた後、上方から下方に向かって流れる。なお、上記空気などは熱媒体の一例である。
上記循環ダクト18内かつ循環ファン19の外側近傍には、温度センサの一例としての庫内温度センサ76(図7に示す)を配置している。この庫内温度センサ76により、加熱庫2内から吸込口27を介して吸い込まれた熱媒体の温度すなわち庫内温度を検出する。
上記上ヒータ20は、循環ダクト18内に配置され、加熱庫2の上部2eに対向している。この上ヒータ20は、上吹出口28へ流れる空気などを加熱する。
上記中ヒータ21は、環状に形成され、循環ファン19を取り囲んでいる。この中ヒータ21は、循環ファン19から上ヒータ20に向かう空気などを加熱したり、循環ファン19から下ヒータ22に向かう空気などを加熱したりする。
上記下ヒータ22は、循環ダクト18内に配置され、加熱庫2の後部2dに対向している。この下ヒータ22は、第2,第3後吹出口30,31へ流れる空気などを加熱する。
上記循環ダンパ23は、循環ダクト18内かつ中ヒータ21と下ヒータ22との間に回動可能に設けられている。この循環ダンパ23の回動は循環ダンパ用モータ59(図7に示す)によって行われる。
また、上記蒸気発生装置70は、上側開口を有する金属製の蒸気発生容器71と、その蒸気発生容器71の上側開口を覆う耐熱性樹脂(例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂)からなる蓋部72と、蒸気発生容器71の底部71aに鋳込まれたシーズヒータから成る蒸気発生用ヒータ73とを有する。この蒸気発生容器71の底部71a上には給水タンク26からの水が溜まり、熱源の一例としての蒸気発生用ヒータ73が蒸気発生容器71を介して上記水を加熱する。そして、蒸気発生用ヒータ73による加熱で発生した飽和蒸気は、樹脂製の蒸気チューブ35と金属製の蒸気管36とを流れて、複数の蒸気供給口37を介して加熱庫2内に供給される(図2参照)。なお、図3では、複数の蒸気供給口37のうちの1個だけを示している。また、蒸気発生用ヒータ73は加熱部の一例である。
また、上記加熱庫2内の飽和蒸気は、循環ファン19により上ヒータ20、中ヒータ21および下ヒータ22に送られ、上ヒータ20、中ヒータ21および下ヒータ22で加熱することにより、100℃以上の過熱蒸気となる。
また、上記蓋部72には、一対の電極棒75a,75bから成る水位センサ75が取り付けられている。この電極棒75a,75bの間が導通状態になったか否かに基づいて、蒸気発生容器71の底部71a上の水位が所定水位になったか否かが判定される。
上記チューブポンプ25は、シリコンゴム等からなる弾性変形可能な給排水チューブ40をローラ(図示せず)でしごいて、そのローラの駆動方向によって、給水タンク26内の水を蒸気発生装置70に流したり、蒸気発生装置70内の水を給水タンク26に流したりする。この給排水チューブ40は、給水経路の一例である。
上記給水タンク26は、給水タンク本体41および連通管42を有する。この連通管42の一端部が給水タンク本体41内に位置する一方、連通管42の他端部が給水タンク26外に位置する。給水タンク26がタンクカバー43内に収容されると、連通管42の他端部がタンクジョイント部44を介して給排水チューブ40に接続される。すなわち、給水タンク本体41内が連通管42などを介して蒸気発生装置70内と連通する。
上記チューブポンプ25と給水タンク26と給排水チューブ40とタンクカバー43とタンクジョイント部44で給水装置を構成している。
図4は上記加熱調理器の給気ユニット100を含む構成を説明するための模式図を示している。この図4でも、図3と同様に、加熱庫2を右側方から見た状態が示されている。なお、図4において、図3の構成部と同一の構成部には、図3の構成部の参照番号と同一の参照番号を付している。
また、上記加熱庫2の傾斜部2fに、給気ダンパ51で開閉される複数の給気口50を設けている(図2参照)。この複数の給気口50と給気ファン54を給気通路101を介して接続している。また、給気通路101の給気口50近傍から分岐する第1冷却通路102に冷却ダンパ52を設けている。例えば、給気ファン54はシロッコファンからなる。
また、上記加熱庫2の上部2eに設けられた凹部310に赤外線センサユニット300を配置している。
上記給気ファン54は、循環ファン用モータ56(図3に示す)と赤外線センサユニット300を冷却するための冷却ファンを兼ねている。また、上記給気ダンパ51は、給気口開閉部の一例である。また、冷却ダンパ52は、冷却通路開閉部の一例である。上記給気ダンパ51(給気口開閉部)と冷却ダンパ52(冷却通路開閉部)で切換機構を構成している。
図4の下側の円部分に赤外線センサユニット300の構成を示す模式図を示している。上記赤外線センサユニット300は、図4に示すように、加熱庫2の上部2eに設けられた凹部310に軸方向が前後方向かつ水平方向に取り付けられた筒状ハウジング301と、その筒状ハウジング301内に回動可能に支持された円筒状のセンサ保持部302と、そのセンサ保持部302に保持された赤外線センサ303と、筒状ハウジング301の前面側の一端に取り付けられ、センサ保持部302を駆動する赤外線センサ用モータ304とを有する。この実施形態では、赤外線センサ303は、縦8×横8の64領域の温度を検出するエリアセンサを用いたが、赤外線センサはこれに限らず、センサ部が直線状に並んだラインセンサでもよい。
なお、上記赤外線センサユニット300の下側に断熱材を設けてもよい。この場合、断熱材のないときよりも10℃〜15℃温度を低下させることができる。
この赤外線センサユニット300は、赤外線センサ用モータ304により円筒状のセンサ保持部302を回動させることにより、加熱庫2内に向かって赤外線センサ303の検出面を向けると共に、赤外線センサ303の検出面に垂直な軸を、本体ケーシング1の左右方向かつ垂直平面に沿って所定の角度範囲(例えば20度)内で回動させる(図5A〜図5D参照)。
図4では、給気ダンパ51が開いた状態で給気ファン54からの空気が複数の給気口50を介して加熱庫2内に供給される。このとき、冷却ダンパ52により第1冷却通路102を閉じている。また、加熱庫2内の余剰な空気などが、自然に、自然排気口45から第4風通路204へ流れ出る。
次に、給気ダンパ51が閉じて複数の給気口50が閉鎖され、冷却ダンパ52により第1冷却通路102を開くと、給気ファン54からの空気の一部が、給気通路101と第1冷却通路102を介して循環ファン用モータ56(図3に示す)に供給される。
さらに、給気ダンパ51を閉じることにより、給気ダンパ51近傍に設けられた第2冷却通路103が開いて、給気ファン54からの空気の残りが天面側に配置された赤外線センサユニット300に供給される。上記給気通路101と第1冷却通路102および第2冷却通路103で、循環ファン用モータ56(図3に示す)と赤外線センサ303を冷却するための冷却通路を構成している。
また、図5A〜図5Dは上記加熱調理器の赤外線センサ303の動作を説明するための模式図を示している。
図5A,図5Bは上段に載置された調理トレイ91上の被加熱物の温度を検出するときの赤外線センサユニット300の赤外線センサ303(図4に示す)による温度検出範囲を示している。図5Aに示す温度検出範囲は、正面視において調理トレイ91上の左側領域であり、図5Bに示す温度検出範囲は、正面視において調理トレイ91上の右側領域である。赤外線センサ用モータ304により赤外線センサ303を有する円筒状のセンサ保持部302を回動させて、赤外線センサ303の検出面を左右方向に振る。なお、この実施形態では、赤外線センサ303の温度検出範囲は、図5Aに示す左側領域と、図5Bに示す右側領域と、左側領域と右側領域との間の中央領域の3つの領域に分けられているが、4以上の複数の領域に分けてもよい。
また、図5C,図5Dは加熱庫2の底面上の被加熱物の温度を検出するときの赤外線センサユニット300の赤外線センサ303(図4に示す)による温度検出範囲を示している。図5Cに示す温度検出範囲は、正面視において加熱庫2の底面上の左側領域であり、図5Dに示す温度検出範囲は、正面視において加熱庫2の底面上の右側領域である。なお、この実施形態では、図5A,図5Bと同様に、赤外線センサ303の温度検出範囲は、図5Cに示す左側領域と、図5Dに示す右側領域と、左側領域と右側領域との間の中央領域の3つの領域に分けられているが、4以上の複数の領域に分けてもよい。
また、図6は、上記加熱調理器の排気ユニット200を含む構成を説明するための模式図を示している。この図6でも、図3と同様に、加熱庫2を右側方から見た状態が示されている。なお、図6において、201は第1風通路、202は第2風通路、203は第3風通路、207は希釈エリア部である。
上記加熱庫2の後部2dの下端部に自然排気口45を設けている(図2参照)。この自然排気口45は、排気ユニット200(図8に示す)の第4風通路204などを介して排気ダクト5に連通している。加熱庫2内の空気などが余剰になると、その余剰な空気などが、自然排気口45から第4風通路204へ自然に流れ出る。また、排気ファン47からの吹出空気の一部を、第3風通路203を介して本体ケーシング1(図1に示す)内の前面側に供給する。
また、上記加熱庫2の傾斜部2fに、排気ダンパ49で開閉される複数の強制排気口48を設けている(図2参照)。この強制排気口48は、排気ユニット200(図8に示す)を介して排気ダクト5に連通している。
また、上記排気ユニット200に湿度センサ53を取り付けている。この湿度センサ53は加熱庫2内の雰囲気の湿度を検出する。より詳しくは、湿度センサ53は、第2風通路202を流れる排気に含まれる蒸気の量を示す信号を制御装置90(図7に示す)へ送出する。これにより、制御装置90は、上記信号に基づいて、加熱庫2内の雰囲気の湿度を把握できるようになっている。
図7は上記加熱調理器の制御ブロック図を示している。
上記加熱調理器は、マイクロコンピュータと入出力回路などからなる制御装置90を備えている。この制御装置90には、上ヒータ20,中ヒータ21,下ヒータ22,蒸気発生用ヒータ73,循環ファン用モータ56,排気ファン用モータ57,給気ファン用モータ58,循環ダンパ用モータ59,排気ダンパ用モータ60,給気ダンパ用モータ61,冷却ダンパ用モータ62,操作パネル9,湿度センサ53,庫内温度センサ76,水位センサ75,チューブポンプ25,マグネトロン4,赤外線センサ303,赤外線センサ用モータ304などが接続されている。
上記庫内温度センサ76は、循環ファン19近傍に配置されて、循環ダクト18内の温度を検出する。この庫内温度センサ76により検出される循環ダクト18内の温度は、循環ファン19の駆動により吸込口27を介して吸い込まれた加熱庫2内の雰囲気の温度すなわち庫内温度と略同じとなる。
また、上記制御装置90は、状態判定部90a、選択枝表示部90bおよび加熱制御部90cを有し、後述する自動加熱制御を行う。この状態判定部90a、選択枝表示部90bおよび加熱制御部90cは、それぞれ、ソフトウェアで構成されている。
上記状態判定部90aは、赤外線センサ303で加熱庫2内の被加熱物15の温度を検出可能な状態であるか否かを判定する。より詳しくは、状態判定部90aは、庫内温度センサ76が検出した温度が所定温度以上である場合、赤外線センサ303で加熱庫2内の被加熱物15の温度を検出可能な状態ではないと判定する。すなわち、その場合、状態判定部90aは赤外線センサ303が加熱庫2内の被加熱物15の温度を検出不可能な状態であると判定する。
上記選択枝表示部90bは、赤外線センサ303で加熱庫2内の被加熱物15の温度を検出可能な状態ではないと判定された場合、被加熱物15の温度状態を示すための選択キー10a,10b,10c(図12に示す)を選択可能にカラー液晶表示部10に表示させる。ここで、被加熱物15の温度状態としては、被加熱物15の温度が例えば10℃以上である常温状態と、被加熱物15の温度が例えば0℃以上かつ10℃未満である冷蔵状態と、被加熱物15の温度が例えば0℃未満である冷凍状態とがある。
上記加熱制御部90cは、ユーザによって選択キー10a,10b,10cのうちの1つが選択されて、この選択が確定した場合、上記選択が確定した選択キーに基づいて、マグネトロン4、上ヒータ20、中ヒータ21、下ヒータ22、蒸気発生用ヒータ73などのうちの少なくとも1つを制御する。
また、上記加熱制御部90cは、上記選択が確定されていない場合、複数の選択キー10a,10b,10cに対応する複数の加熱出力のうちの最小の加熱出力となるように、マグネトロン4、上ヒータ20、中ヒータ21、下ヒータ22、蒸気発生用ヒータ73などのうちの少なくとも1つを制御する。この制御は、カラー液晶表示部10が複数の選択キー10a,10b,10cを選択可能に表示してから第1所定時間後に開始される。
上記制御装置90は、操作パネル9,湿度センサ53,庫内温度センサ76,水位センサ75,赤外線センサ303などからの信号に基づいて、上ヒータ20,中ヒータ21,下ヒータ22,蒸気発生用ヒータ73,循環ファン用モータ56,排気ファン用モータ57,給気ファン用モータ58,循環ダンパ用モータ59,排気ダンパ用モータ60,給気ダンパ用モータ61,冷却ダンパ用モータ62,チューブポンプ25,マグネトロン4,赤外線センサ用モータ304などを制御する。
また、図示しないが、制御装置90は、例えば不揮発性メモリからなる記憶部を有している。この記憶部には、常温保存されて例えば10℃以上の常温状態になった被加熱物15を適切に加熱するための加熱シーケンスと、冷蔵保存されて例えば0℃以上かつ10℃未満の冷蔵状態になった被加熱物15を適切に加熱するための加熱シーケンスと、冷凍保存されて例えば0℃未満の冷凍状態になった被加熱物15を適切に加熱するための加熱シーケンスとを予め記憶させている。なお、上記記憶部は、制御装置90内に設けられてもよいし、制御装置90外に設けられてもよい。
図8は本体ケーシング1(図1に示す)の上面と両側面を覆う上面板1aと裏面板(図示せず)を取り外した加熱調理器を後方かつ斜め上方から見た斜視図を示している。図8において、図1〜図7と同一の構成部には、同一参照番号を付している。
図8に示すように、加熱庫2の後側かつ左側(図8では右側)に給気ユニット100を設けている。この給気ユニット100は、下側に配置された給気ファン54と、その給気ファン54から上方に向かって延在する給気通路101と、給気通路101の上側から分岐して、加熱庫2の後側上部の中央に位置する循環ファン用モータ56に向かって延在する第1冷却通路102を有している。詳しくは、給気ユニット100は、給気ファン54から上方に逆L字形状を呈するように延在している。
また、加熱庫2の後側かつ右側(図8では左側)に排気ユニット200を設けている。この排気ユニット200は、排気ユニット用カバー220を含むハウジング210と、ハウジング210の下側に配置された排気ファン47とを有する。
上記排気ユニット200の上部の右側方(図8では左側)に排気ダンパ用モータ60を配置している。この排気ダンパ用モータ60により、排気ユニット200内の上部に設けられた排気ダンパ49(図6に示す)を開閉する。
上記加熱庫2の上部2eに、仕切板312を前後方向に立設している。この仕切板312によって、給気ダンパ51(図4に示す)近傍に設けられた第2冷却通路103(図4に示す)から赤外線センサユニット300の領域に流れる冷却風が本体ケーシング1内の左側面に流れないように遮っている。
また、図9は、上記循環ダクト18の接続部18b,後部18cを後方から見た概略図である。なお、図9において、18b−2は取付部、36は蒸気管、36Aは第1蒸気管である。
図9に示すように、循環ファンユニット80(図10に示す)は、金属製の取付部材82を介して循環ダクト18の接続部18bに取り付けられる。より詳しくは、循環ダクト18の接続部18bには、循環ファン19(図10に示す)が通過可能な開口部18b−1が設けられている。また、取付部材82は、開口部18b−1と重なる開口部82aを有する。また、開口部18b−1の内周縁部をかしめることにより、取付部材82は循環ダクト18の接続部18bに固定されている。そして、取付部材82に循環ファンユニット80をネジ96(図10に示す)で固定している。
図10は図9のX−X線矢視の概略断面図である。なお、図10では循環ファンユニット80の概略断面も示している。循環ファンユニット80は、循環ファン用モータ56を搭載するベース部材81を有している。この循環ファン用モータ56は、モータ本体83と、このモータ本体83のベース部材81側の端面から突出する回転軸(図示せず)とを有している。
上記循環ダクト18の接続部18bには、庫内温度センサ76が取り付けられる取付部18b−2が設けられている。また、接続部18bと庫内温度センサ76との間は樹脂製のシール部材86でシールされる。このとき、シール部材86は取付部18b−2に接触する。また、接続部18bの内面には金属製の遮熱板97が溶接されている。この遮熱板97は、取付部18b−2に対向する対向部97aを有している。
このように、庫内温度センサ76は、循環ファン19近傍で、特に中ヒータ21の端子近傍に配置されている。
また、上記接続部18bの取付部18b−2と遮熱板97の対向部97aとの間に空間が生じるように、取付部18b−2および対向部97aが形成されている。より具体的に言うと、取付部18b−2が加熱庫2とは反対側に突出するように形成されている。これにより、取付部18b−2と対向部97aの間に空間が生じている。
上記蒸気管36は、循環ダクト18外に配置された金属製の第1蒸気管36Aと、循環ダクト18内に配置され、第1蒸気管36Aと連通する金属製の第2蒸気管36Bとを有している。この第1蒸気管36Aは、循環ダクト18の接続部18bに設けられた取付部18b−3に取り付けられている。ここで、第1蒸気管36Aの取付は、例えば、第1蒸気管36Aの第2蒸気管36B側の端部をかしめることで行われる。一方、第2蒸気管36Bは、遮熱板97に設けられた取付部97bに取り付けられている。ここで、第2蒸気管36Bの取付は、例えば、第2蒸気管36Bの第1蒸気管36A側の端部をかしめることで行われる。また、第2蒸気管36Bの加熱庫2側の端と傾斜部2fとの間には隙間が設けられている。
次に、この第1実施形態の加熱調理器において、被加熱物15を例えばマグネトロン4で適切にあたためるための自動加熱制御について、図11A,図11Bのフローチャートにしたがって説明する。この自動加熱制御は、扉3が閉まっている状態で、ユーザがあたためスタートキー13を押すと開始する。
上記自動加熱制御が開始すると、まず、図11Aに示すように、ステップS101で、庫内温度センサ76で庫内温度を検出して、この庫内温度が所定温度(例えば120℃)以上になっているか否かを判定する。このステップS101で、上記庫内温度が所定温度以上になっていないと判定されると、ステップS102に進む。一方、ステップS101で、上記庫内温度が所定温度以上になっていると判定されると、ステップS111に進む。ここで、上記所定温度は、赤外線センサ303が加熱庫2内の高温雰囲気の影響を受けて加熱庫2内の被加熱物15の温度を検出するのが困難な場合の温度の下限値に相当する。
[ステップS101からステップS102に進んだ場合]
まず、ステップS102で、赤外線センサ303に被加熱物15の温度を検出させる。このとき、加熱庫2内に向かって赤外線センサ303の検出面を向けると共に、赤外線センサ303を所定角度の範囲内で回転させる。
次に、ステップS103で、この被加熱物15の温度に基づいて被加熱物15の温度状態を判定する。ここで、被加熱物15の温度状態としては、被加熱物15の温度が例えば10℃以上である常温状態と、被加熱物15の温度が例えば0℃以上かつ10℃未満である冷蔵状態と、被加熱物15の温度が例えば0℃未満である冷凍状態とがある。
次に、ステップS104で、マグネトロン4をオンにする。その後、被加熱物15の温度状態に対応する加熱シーケンスにしたがってマグネトロン4が制御される。例えば、被加熱物15の温度状態が冷凍状態と判定された後、マグネトロン4がオンされていれば、冷凍状態の被加熱物15を適切に加熱するための加熱シーケンスが用いられる。
次に、ステップS105で、加熱シーケンスの終了条件が満たされた否かを判定する。より詳しくは、湿度センサ53により検出された加熱庫2内の雰囲気の湿度が所定湿度に達したか否かを判定する。このステップS105は、上記湿度が所定湿度に達したと判定されるまで繰り返される。
最後に、ステップS106で、マグネトロン4をオフにする。これにより、上記自動加熱制御が終了する。
[ステップS101からステップS111に進んだ場合]
まず、ステップS111で、選択キー10a,10b,10cおよび確定キー10d(図12に示す)をカラー液晶表示部10に選択可能に表示させる。このとき、ユーザが、カラー液晶表示部10の表面にタッチすることにより、選択キー10a,10b,10cのいずれか1つを選択した後、確定キー10dを選択すると、選択キー10a,10b,10cのいずれか1つの選択が確定する。なお、この場合、例えば、ユーザが選択キー10a,10b,10cのいずれか1つを選択するように促す文章をカラー液晶表示部10に表示させてもよい。
次に、ステップS112で、選択キー10a,10b,10cのいずれか1つの選択が確定しているか否かを判定する。このステップS112で、選択キー10a,10b,10cのいずれか1つの選択が確定していると判定すると、ステップS113を行った後、ステップS105に進む一方、ステップS112で、選択キー10a,10b,10cのいずれの選択も確定していないと判定すると、図11Bに示すステップS121に進む。
上記ステップS113では、図11Aに示すように、マグネトロン4をオンにする。その後、上記選択が確定した選択キーに対応する加熱シーケンスにしたがってマグネトロン4が制御される。例えば、マグネトロン4をオンにするときに選択が確定している選択キーが選択キー10aであれば、常温状態の被加熱物15を適切に加熱するための加熱シーケンスが用いられる。
[ステップS112からステップS121に進んだ場合]
まず、ステップS121で、選択キー10a,10b,10cの表示から第1所定時間(例えば10秒)が経過したか否かを判定する。このステップS121で、選択キー10a,10b,10cの表示から第1所定時間が経過したと判定された場合、ステップS122に進む一方、選択キー10a,10b,10cの表示から第1所定時間が経過していないと判定された場合、図11Aに示すステップS112に戻る。
次に、図11Bに示すように、ステップS122で、マグネトロン4をオンにする。その後、複数の選択キー10a,10b,10cに対応する複数の加熱出力のうちの最小の加熱出力となるように、マグネトロン4を制御する。すなわち、冷凍状態の被加熱物15を適切に加熱するための加熱シーケンスにしたがってマグネトロン4を制御する。
次に、ステップS123で、選択キー10a,10b,10cの表示から、第1所定時間よりも長い第2所定時間(例えば30秒)が経過したか否かを判定する。このステップS123で、選択キー10a,10b,10cの表示から上記第2所定時間が経過したと判定された場合、図11Aに示すステップS105に進む一方、選択キー10a,10b,10cの表示から上記第2所定時間が経過していないと判定された場合、図11Bに示すステップS124に進む。
次に、ステップS124で、選択キー10a,10b,10cのいずれか1つの選択が確定しているか否かを判定する。すなわち、ステップS124で、ステップS112と同じ判定を行う。このステップS124で、選択キー10a,10b,10cのいずれか1つの選択が確定していると判定すると、ステップS125に進む一方、選択キー10a,10b,10cのいずれの選択も確定していないと判定すると、ステップS123に戻る。
次に、ステップS125で、ステップS122後から暫定的に用いている加熱シーケンスが、ステップS124で選択が確定していると判定した選択キーに対応しているか否かを判定する。このステップS124で、上記加熱シーケンスが上記選択キーに対応していると判定すると、図11Aに示すステップS105に進む一方、上記加熱シーケンスが上記選択キーに対応していないと判定すると、図11Bに示すように、ステップS126を行った後、図11Aに示すステップS105に進む。
上記ステップS126では、ステップS122後から暫定的に用いている加熱シーケンスを、ステップS124で選択が確定していると判定した選択キーに対応する加熱シーケンスに変更する。
このように、上記ステップS101で、上記庫内温度が所定温度以上になっていると判定された場合、赤外線センサ303は、加熱庫2内の高温雰囲気の影響を受けるため、加熱庫2内の被加熱物15の温度を検出するのは困難となる。そこで、図12に示すように、カラー液晶表示部10の表示を切り換えて、ユーザが加熱物15の温度状態を指定できるようにする。その結果、赤外線センサ303が加熱庫2内の被加熱物15の温度を検出できなくても、ユーザが加熱物15の温度状態を指定することにより、加熱物15を適切に加熱することができる。
また、上記庫内温度センサ76が検出した温度が上記所定温度以上である場合、赤外線センサ303は加熱庫2内の被加熱物15の温度を検出不可能であると状態判定部90aに判定させるので、この判定の信頼性は高い。
また、上記複数の選択キー10a,10b,10cの表示から上記第1所定時間が経過しても、選択キー10a,10b,10cのうちのいずれの選択も確定していなければ、マグネトロン4がオンされるので、被加熱物15の加熱開始が大きく遅れるのを防ぐことができる。
また、上記選択が確定していないことにより、マグネトロン4がオンされる場合、複数の選択キー10a,10b,10cに対応する複数の加熱出力のうちの最小の加熱出力となるように、マグネトロン4を制御する。これにより、被加熱物15が過剰に加熱されるのを防ぐことができる。
また、上記選択が確定していないことにより、マグネトロン4がオンされた後、複数の選択キー10a,10b,10cの表示から上記第2所定時間が経過する前に上記選択が確定すれば、ステップS125,S126によって、マグネトロン4の加熱出力を修正することができる。
また、上記複数の選択キー10a,10b,10cの表示から上記第2所定時間が経過した場合、マグネトロン4は最小の加熱出力から変化しないでオフされるので、被加熱物15が過剰に加熱されるのを防ぐことができる。
上記第1実施形態では、状態判定部90a、選択枝表示部90bおよび加熱制御部90cは、それぞれ、ソフトウェアで構成されていたが、少なくとも1つがハードウェアで構成されるようにしてもよい。
上記第1実施形態では、制御装置90の自動加熱制御は、被加熱物15の加熱を、マグネトロン4をオンにすることで行っていたが、上ヒータ20、中ヒータ21、下ヒータ22および蒸気発生用ヒータ73のうちの少なくとも1つをオンにすることで行ってもよい。
上記第1実施形態において、例えば、薄い透明のフィルム(以下、「ラップ」と言う)が被せられた被加熱物15をあたためるための第1あたためスタートキーと、ラップが被せられていない被加熱物15をあたためるための第2あたためスタートキーとを設けてもよい。この第1,第2あたためスタートキーのどちらが押されるかに応じて、加熱シーケンスの終了条件を変更することにより、被加熱物15の適切な加熱の確実性を高めることができる。
上記第1実施形態において、上記自動加熱制御が行われた後、図13に示すように、上記自動加熱制御の加熱と同じ加熱を開始させるための連続加熱キー10eをカラー液晶表示部10に表示させてもよい。この連続加熱キー10eをカラー液晶表示部10に表示させた場合、ユーザが上記タッチパネルにおいて連続加熱キー10eに重なる部分にタッチすれば、複数の選択キー10a,10b,10cのうちのいずれか1つを選択して、この選択を確定させなくても、前回の加熱シーケンスに対応するマグネトロン4の制御が即座に開始される。したがって、上記加熱調理器の使い勝手を向上させることができる。
上記第1実施形態では、選択キー10a,10b,10cのいずれか1つを選択した後、確定キー10dを選択すると、選択キー10a,10b,10cのいずれか1つの選択が確定していたが、選択キー10a,10b,10cのいずれか1つを選択すれば、この選択が確定するようにしてもよい。すなわち、確定キー10dを選択しなくても、選択キー10a,10b,10cのいずれか1つの選択が確定するようにしてもよい。
〔第2実施形態〕
図14は、この発明の第2実施形態の加熱調理器の制御ブロック図である。なお、図14において、上記第1実施形態の構成部と同一構成部は、上記第1実施形態の構成部の参照番号と同一参照番号を付している。また、以下の説明においても、上記第1実施形態の構成部と同一構成部は、上記第1実施形態の構成部の参照番号と同一参照番号を付している。
上記加熱調理器は、上記第1実施形態の加熱調理器と比べ、制御装置290を備えている点だけが異なっている。この制御装置290は、制御装置90とは一部が異なるが、制御装置90と同様に、マイクロコンピュータと入出力回路などからなる。
また、上記制御装置290は、状態判定部290a、選択枝表示部290bおよび加熱制御部290cを有し、後述する自動加熱制御を行う。この状態判定部290a、選択枝表示部290bおよび加熱制御部290cは、それぞれ、ソフトウェアで構成されている。
上記状態判定部290aは、赤外線センサ303で加熱庫2内の被加熱物15の温度を検出可能な状態であるか否かを判定する。より詳しくは、状態判定部290aは、赤外線センサ303がマイナス温度を検出しない場合、赤外線センサ303で加熱庫2内の被加熱物15の温度を検出可能な状態ではないと判定する。一方、状態判定部290aは、赤外線センサ303がマイナス温度を検出する場合、赤外線センサ303で加熱庫2内の被加熱物15の温度を検出可能な状態であると判定する。
上記選択枝表示部290bは、赤外線センサ303で加熱庫2内の被加熱物15のマイナス温度を検出可能な状態ではないと判定された場合、被加熱物15の分量を示すための選択キー10f,10g,10h(図16に示す)を選択可能にカラー液晶表示部10に表示させる。ここで、被加熱物15の分量としては、例えば150g未満の少量と、例えば150g以上かつ400g未満の標準量と、例えば400g以上の多量とがある。
上記加熱制御部290cは、ユーザによって選択キー10f,10g,10hのうちの1つが選択されて、この選択が確定した場合、上記選択が確定した選択キーに基づいて、マグネトロン4、上ヒータ20、中ヒータ21、下ヒータ22、蒸気発生用ヒータ73などのうちの少なくとも1つを制御する。
また、上記加熱制御部290cは、上記選択が確定されていない場合、複数の選択キー10f,10g,10hに対応する複数の加熱時間のうちの最短の加熱時間となるように、マグネトロン4、上ヒータ20、中ヒータ21、下ヒータ22、蒸気発生用ヒータ73などのうちの少なくとも1つを制御する。この制御は、カラー液晶表示部10が複数の選択キー10f,10g,10hを選択可能に表示してから第1所定時間後に開始される。
また、図示しないが、制御装置290は、例えば不揮発性メモリからなる記憶部を有している。この記憶部には、冷凍保存されていた少量(例えば150g未満の量)の被加熱物15を適切に加熱するための加熱シーケンスと、冷凍保存されていた標準量(例えば150g以上かつ400g未満の量)の被加熱物15を適切に加熱するための加熱シーケンスと、冷凍保存された多量(例えば400g以上の量)の被加熱物15を適切に加熱するための加熱シーケンスとを予め記憶させている。なお、上記記憶部は、制御装置290内に設けられてもよいし、制御装置290外に設けられてもよい。
次に、この第2実施形態の加熱調理器において、冷凍保存されていた被加熱物15つまり冷凍食材を例えばマグネトロン4で適切に解凍するための自動加熱制御について、図15A,図15Bのフローチャートにしたがって説明する。この自動加熱制御は、扉3が閉まっている状態で、ユーザが、カラー液晶表示部10に表示された自動解凍キーを選択した後、あたためスタートキー13を押すと開始する。
上記自動加熱制御が開始すると、まず、図15Aに示すように、ステップS201で、赤外線センサ303に被加熱物15の温度を検出させる。このとき、加熱庫2内に向かって赤外線センサ303の検出面を向けると共に、赤外線センサ303を所定角度の範囲内で回転させる。
次に、ステップS202で、赤外線センサ303がマイナス温度を検出したか否かを判定する。このステップS202で、赤外線センサ303がマイナス温度を検出したと判定されると、ステップS203に進む一方、赤外線センサ303がマイナス温度を検出していないと判定されると、ステップS211に進む。
[ステップS202からステップS203に進んだ場合]
まず、ステップS203で、被加熱物15の分量を判定する。この被加熱物15の分量の判定は、赤外線センサ303がセンシングする64領域のうち、マイナス温度が検出された領域の数を算出して、この算出した数に基づいて行われる。このとき、被加熱物15が例えば150g未満であれば、被加熱物15の分量は少量であると判定される。また、被加熱物15が例えば150g以上かつ400g未満であれば、被加熱物15の分量は標準量であると判定される。また、被加熱物15が例えば400g以上であれば、被加熱物15の分量は多量であると判定される。
次に、ステップS204で、マグネトロン4をオンにする。その後、被加熱物15の分量に対応する加熱シーケンスにしたがってマグネトロン4が制御される。例えば、被加熱物15の分量が少量と判定された後、マグネトロン4がオンされたなら、少量の被加熱物15を適切に解凍するための加熱シーケンスが用いられる。
次に、ステップS205で、加熱シーケンスの終了条件が満たされた否かを判定する。より詳しくは、マグネトロン4がオンされてから、加熱シーケンスに対応する所定時間が経過したか否かを判定する。このステップS205は、上記所定時間が経過したと判定されるまで繰り返される。
最後に、ステップS206で、マグネトロン4をオフにする。これにより、上記自動加熱制御が終了する。
[ステップS201からステップS211に進んだ場合]
まず、ステップS211で、選択キー10f,10g,10hおよび確定キー10d(図16に示す)をカラー液晶表示部10に選択可能に表示させる。このとき、ユーザが、カラー液晶表示部10の表面にタッチすることにより、選択キー10f,10g,10hのいずれか1つを選択した後、確定キー10dを選択すると、選択キー10f,10g,10hのいずれか1つの選択が確定する。なお、この場合、例えば、ユーザが選択キー10f,10g,10hのいずれか1つを選択するように促す文章をカラー液晶表示部10に表示させてもよい。
次に、ステップS212で、選択キー10f,10g,10hのいずれか1つの選択が確定しているか否かを判定する。このステップS212で、選択キー10f,10g,10hのいずれか1つの選択が確定していると判定すると、ステップS213を行った後、ステップS205に進む一方、ステップS212で、選択キー10f,10g,10hのいずれの選択も確定していないと判定すると、図15Bに示すステップS221に進む。
上記ステップS213では、図15Aに示すように、マグネトロン4をオンにする。その後、上記選択が確定した選択キーに対応する加熱シーケンスにしたがってマグネトロン4が制御される。例えば、マグネトロン4をオンにするときに選択キー10gの選択が確定していれば、標準量の被加熱物15を適切に解凍するための加熱シーケンスが用いられる。
[ステップS212からステップS221に進んだ場合]
まず、ステップS221で、選択キー10f,10g,10hの表示から第1所定時間(例えば10秒)が経過したか否かを判定する。このステップS221で、選択キー10f,10g,10hの表示から第1所定時間が経過したと判定された場合、ステップS222に進む一方、選択キー10f,10g,10hの表示から第1所定時間が経過していないと判定された場合、図15Aに示すステップS212に戻る。
次に、図15Bに示すように、ステップS222で、マグネトロン4をオンにする。その後、上記複数の選択キー10f,10g,10hに対応する複数の加熱時間のうちの最短の加熱時間となるように、マグネトロン4を制御する。すなわち、少量の被加熱物15を適切に加熱するための加熱シーケンスにしたがってマグネトロン4を制御する。
次に、ステップS223で、選択キー10f,10g,10hの表示から、第1所定時間よりも長い第2所定時間(例えば30秒)が経過したか否かを判定する。このステップS223で、選択キー10f,10g,10hの表示から上記第2所定時間が経過したと判定された場合、図15Aに示すステップS205に進む一方、選択キー10f,10g,10hの表示から上記第2所定時間が経過していないと判定された場合、図15Bに示すステップS231に進む。
次に、ステップS224で、選択キー10f,10g,10hのいずれか1つの選択が確定しているか否かを判定する。すなわち、ステップS224で、ステップS212と同じ判定を行う。このステップS224で、選択キー10f,10g,10hのいずれか1つの選択が確定していると判定すると、ステップS225に進む一方、選択キー10f,10g,10hのいずれの選択も確定していないと判定すると、ステップS223に戻る。
次に、ステップS225で、ステップS222の後から暫定的に用いている加熱シーケンスが、ステップS224で選択が確定していると判定した選択キーに対応しているか否かを判定する。このステップS224で、上記加熱シーケンスが上記選択キーに対応していると判定すると、図15Aに示すステップS205に進む一方、上記加熱シーケンスが上記選択キーに対応していないと判定すると、図15Bに示すように、ステップS226を行った後、図15Aに示すステップS205に進む。
上記ステップS226では、ステップS222の後から暫定的に用いている加熱シーケンスを、ステップS224で選択が確定していると判定した選択キーに対応する加熱シーケンスに変更する。
このように、上記ステップS202で、被加熱物15のマイナス温度が検出されていないと判定された場合、加熱庫2内の被加熱物15の分量の判定はできない。そこで、図16に示すように、カラー液晶表示部10の表示を切り換えて、ユーザが加熱物15の分量を指定できるようにする。したがって、加熱庫2内の被加熱物15の分量を判定できなくても、ユーザが加熱物15の分量を指定することにより、加熱物15を適切に加熱することができる。
また、上記赤外線センサ303がマイナス温度を検出しない場合、赤外線センサ303は冷凍食材である被加熱物15の温度を検出不可能であると状態判定部290aに判定させるので、この判定の信頼性を高めることができる。
また、上記複数の選択キー10f,10g,10hの表示から上記第1所定時間が経過しても、選択キー10f,10g,10hのうちの1つの選択が確定していなければ、マグネトロン4がオンされるので、被加熱物15の加熱開始が大きく遅れるのを防ぐことができる。
また、上記選択が確定していない場合、複数の選択キー10f,10g,10hに対応する複数の加熱時間のうちの最短の加熱時間となるように、マグネトロン4を制御する。これにより、被加熱物15が過剰に加熱されるのを防ぐことができる。
また、上記選択が確定していないことでマグネトロン4がオンされた後、複数の選択キー10f,10g,10hの表示から上記第2所定時間が経過する前に上記選択が確定すれば、ステップS225,226によって、マグネトロン4の加熱出力を修正することができる。
また、上記複数の選択キー10f,10g,10hの表示から上記第2所定時間が経過した場合、マグネトロン4は最短の加熱時間でオフになるので、被加熱物15が過剰に加熱されるのを確実に防ぐことができる。
上記第2実施形態では、状態判定部290a、選択枝表示部290bおよび加熱制御部290cは、それぞれ、ソフトウェアで構成されていたが、少なくとも1つがハードウェアで構成されるようにしてもよい。
上記第2実施形態では、制御装置290の自動加熱制御は、被加熱物15の解凍を、マグネトロン4をオンにすることで行っていたが、上ヒータ20、中ヒータ21、下ヒータ22および蒸気発生用ヒータ73のうちの少なくとも1つをオンにすることで行ってもよい。
上記第2実施形態において、例えば、ラップが被せられた被加熱物15をあたためるための第1あたためスタートキーと、ラップが被せられていない被加熱物15をあたためるための第2あたためスタートキーとを設けてもよい。この第1,第2あたためスタートキーのどちらが押されるかに応じて、加熱シーケンスの終了条件を変更することにより、被加熱物15の適切な加熱の確実性を高めることができる。
上記第2実施形態においても、上記自動加熱制御が行われた後、図13に示すように、上記自動加熱制御の加熱と同じ加熱を開始させるための連続加熱キー10eをカラー液晶表示部10に表示させてもよい。
ところで、上記加熱庫2内に水蒸気を供給することで蒸し調理を行った場合、赤外線センサ303の検出面(赤外線受光面)に水滴が付着することがある。また、上記赤外線センサ303の検出面には、被加熱物15の一部が異物として付着することがある。
このように、上記水滴や異物が赤外線センサ303の検出面に付着したままでは、赤外線センサ303は被加熱物15の温度を検出できない。
また、上記赤外線センサ用モータ304の故障で赤外線センサ303の検出面を加熱庫2内に向けることができないときも、赤外線センサ303は被加熱物15の温度を検出できない。
そこで、後述する第3実施形態の加熱調理器は、水滴や異物が赤外線センサ303の検出面に付着すること、赤外線センサ303の検出面を加熱庫2内に向けることができないことなどの原因により、赤外線センサ303が被加熱物15の温度を検出できなくても、被加熱物を適切に加熱することができるようにしたものである。
上記第2実施形態では、選択キー10f,10g,10hのいずれか1つを選択した後、確定キー10dを選択すると、選択キー10f,10g,10hのいずれか1つの選択が確定していたが、選択キー10f,10g,10hのいずれか1つを選択すれば、この選択が確定するようにしてもよい。すなわち、確定キー10dを選択しなくても、10f,10g,10hのいずれか1つの選択が確定するようにしてもよい。
〔第3実施形態〕
図17は、この発明の第3実施形態の加熱調理器の制御ブロック図である。なお、図17において、上記第1実施形態の構成部と同一構成部は、上記第1実施形態の構成部の参照番号と同一参照番号を付している。また、以下の説明においても、上記第1実施形態の構成部と同一構成部は、上記第1実施形態の構成部の参照番号と同一参照番号を付している。
上記加熱調理器は、上記第1実施形態の加熱調理器と比べ、制御装置390を備えている点だけが異なっている。この制御装置390は、制御装置90とは一部が異なるが、制御装置90と同様に、マイクロコンピュータと入出力回路などからなる。
また、上記制御装置390は、状態判定部390a、選択枝表示部90bおよび加熱制御部90cを有、後述する自動加熱制御を行う。この状態判定部390aは、選択枝表示部90bおよび加熱制御部90cと同様にソフトウェアで構成されている。
上記状態判定部390aは、赤外線センサ303で加熱庫2内の加熱物15の温度を検出可能な状態であるか否かを判定する。より詳しくは、状態判定部390aは、被加熱物15の加熱が第1所定時間行われても赤外線センサ303が検出した温度が加熱開始前の被加熱物15の温度に比べて変化しない場合、赤外線センサ303で加熱庫2内の被加熱物15の温度を検出可能な状態ではないと判定する。一方、状態判定部390aは、被加熱物15の加熱が第1所定時間行われて赤外線センサ303が検出した温度が加熱開始前の被加熱物15の温度に比べて変化する場合、赤外線センサ303で加熱庫2内の被加熱物15の温度を検出可能な状態であると判定する。なお、赤外線センサ303が検出した温度が変化しても、この変化がノイズまたは誤差によるものとみなせるときは、赤外線センサ303が検出した温度は変化していないと判定される。すなわち、赤外線センサ303が検出した温度が実質的に変化しているか否かが判定される。
また、図示しないが、制御装置390は、例えば不揮発性メモリからなる記憶部を有している。この記憶部には、上記第1実施形態の加熱シーケンスと同じ加熱シーケンスを予め記憶させている。なお、上記記憶部は、制御装置90内に設けられてもよいし、制御装置90外に設けられてもよい。
次に、この第3実施形態の加熱調理器において、被加熱物15を例えばマグネトロン4で適切にあたためるための自動加熱制御について、図18A,図18Bのフローチャートにしたがって説明する。この自動加熱制御は、扉3が閉まっている状態で、ユーザがあたためスタートキー13を押すと開始する。
上記自動加熱制御が開始すると、まず、図18Aに示すように、ステップS301で、赤外線センサ303に被加熱物15の温度を検出させる。このとき、加熱庫2内に向かって赤外線センサ303の検出面を向けると共に、赤外線センサ303を所定角度の範囲内で回転させる。
次に、ステップS302で、この被加熱物15の温度に基づいて加熱物15の温度状態を判定する。ここで、被加熱物15の温度状態としては、被加熱物15の温度が10℃以上である常温状態と、被加熱物15の温度が0℃以上かつ10℃未満である冷蔵状態と、被加熱物15の温度が0℃未満である冷凍状態とがある。
次に、ステップS303で、マグネトロン4をオンにする。その後、被加熱物15の温度状態に対応する加熱シーケンスにしたがってマグネトロン4が制御される。例えば、被加熱物15の温度状態が冷凍状態と判定された後、マグネトロン4がオンされていれば、冷凍状態の被加熱物15を適切に加熱するための加熱シーケンスが用いられる。
次に、ステップS304で、マグネトロン4がオンされてから、第1所定時間(例えば20秒)が経過したか否かを判定する。このステップS304は上記第1所定時間が経過したと判定されるまで繰り返される。
次に、ステップS305で、ステップS301のときと同様に赤外線センサ303を回転させながら、赤外線センサ303に被加熱物15の温度を検出させる。
次に、ステップS306で、マグネトロン4のオンにより被加熱物15の温度が実質的に変化したか否かを判定する。このステップS306で、被加熱物15の温度は実質的に変化していると判定されると、ステップS307に進む一方、被加熱物15の温度は実質的に変化していないと判定されると、図18Bに示すステップS311に進む。
[ステップS306からステップS307に進んだ場合]
まず、ステップS307で、加熱シーケンスの終了条件が満たされた否かを判定する。より詳しくは、湿度センサ53により検出された加熱庫2内の雰囲気の湿度が所定湿度に達したか否かを判定する。このステップS307は、上記湿度が所定湿度に達したと判定されるまで繰り返される。
最後に、ステップS308で、マグネトロン4をオフにする。これにより、上記自動加熱制御が終了する。
[ステップS306からステップS311に進んだ場合]
まず、図18Bに示すように、ステップS311で、選択キー10a,10b,10cおよび確定キー10d(図16に示す)をカラー液晶表示部10に選択可能に表示させる。このとき、ユーザが、カラー液晶表示部10の表面にタッチすることにより、選択キー10a,10b,10cのいずれか1つを選択した後、確定キー10dを選択すると、選択キー10a,10b,10cのいずれか1つの選択が確定する。なお、この場合、例えば、ユーザが選択キー10a,10b,10cのいずれか1つを選択するように促す文章をカラー液晶表示部10に表示させてもよい。
次に、ステップS312で、選択キー10a,10b,10cの表示から第2所定時間(例えば30秒)が経過したか否かを判定する。このステップS312で、選択キー10a,10b,10cの表示から上記第2所定時間が経過したと判定された場合、図18Aに示すステップS307に進む一方、選択キー10a,10b,10cの表示から上記第2所定時間が経過していないと判定された場合、図18Cに示すステップS313に進む。
次に、ステップS313で、選択キー10a,10b,10cのいずれか1つの選択が確定しているか否かを判定する。すなわち、ステップS313で、ステップS312と同じ判定を行う。このステップS313で、選択キー10a,10b,10cのいずれか1つの選択が確定していると判定すると、ステップS314に進む一方、選択キー10a,10b,10cのいずれの選択も確定していないと判定すると、ステップS312に戻る。
次に、ステップS314で、ステップS303以降用いている加熱シーケンスが、ステップS313で選択が確定していると判定した選択キーに対応しているか否かを判定する。このステップS314で、上記加熱シーケンスが上記選択キーに対応していると判定すると、図18Aに示すステップS307に進む一方、上記加熱シーケンスが上記選択キーに対応していないと判定すると、ステップS315を行った後、図18Aに示すステップS307に進む。
上記ステップS314では、図18Bに示すように、ステップS303以降用いている加熱シーケンスを、ステップS312で選択が確定していると判定した選択キーに対応する加熱シーケンスに変更する。
このように、上記ステップS306で、被加熱物15の温度が実質的に変化していない場合、水滴や異物が赤外線センサ303の検出面に付着しているか、赤外線センサ用モータ304の故障で赤外線センサ303の検出面を加熱庫2内に向けることができないかなどの理由で、赤外線センサ303で被加熱物15の温度を検出するのは困難である。そこで、図12に示すように、カラー液晶表示部10の表示を切り換えて、ユーザが加熱物15の温度状態を指定できるようにする。したがって、赤外線センサ303が加熱庫2内の被加熱物15の温度を検出できなくても、ユーザが加熱物15の温度状態を指定することにより、加熱物15を適切に加熱することができる。
また、上記被加熱物15の温度が実質的に変化していない場合、赤外線センサ303は加熱庫2内の被加熱物15の温度を検出不可能であると状態判定部390aに判定させるので、この判定の信頼性は高い。
また、上記ステップS306よりも前のステップS303で、マグネトロン4がオンされるので、被加熱物15の加熱開始が大きく遅れるのを防ぐことができる。
また、上記マグネトロン4がオンされた後、複数の選択キー10a,10b,10cの表示から上記第2所定時間が経過する前に上記選択が確定すれば、ステップS314,S315によって、マグネトロン4の加熱出力を修正することができる。
上記第3実施形態では、状態判定部390aは、ソフトウェアで構成されていたが、ハードウェアで構成されるようにしてもよい。
上記第3実施形態では、制御装置390の自動加熱制御は、被加熱物15の加熱を、マグネトロン4をオンにすることで行っていたが、上ヒータ20、中ヒータ21、下ヒータ22および蒸気発生用ヒータ73のうちの少なくとも1つをオンにすることで行ってもよい。
上記第3実施形態において、例えば、ラップが被せられた被加熱物15をあたためるための第1あたためスタートキーと、ラップが被せられていない被加熱物15をあたためるための第2あたためスタートキーとを設けてもよい。この第1,第2あたためスタートキーのどちらが押されるかに応じて、加熱シーケンスの終了条件を変更することにより、被加熱物15の適切な加熱の確実性を高めることができる。
上記第3実施形態では、加熱開始前の被加熱物15の温度と、加熱開始から第1所定時間後の被加熱物15の温度との比較において、赤外線センサ303で加熱庫2内の被加熱物15の温度を検出可能な状態であるか否かを判定していたが、加熱開始後に被加熱物15の温度検出を所定時間継続し、この所定時間中における被加熱物15の温度の変化に基づいて、赤外線センサ303で加熱庫2内の被加熱物15の温度を検出可能な状態であるか否かを判定してもよい。
上記第3実施形態においても、上記自動加熱制御が行われた後、図13に示すように、上記自動加熱制御の加熱と同じ加熱を開始させるための連続加熱キー10eをカラー液晶表示部10に表示させてもよい。
ところで、従来、加熱調理器としては、加熱庫内の被加熱物に照射するための高周波を発生するマグネトロンと、上記被加熱物の温度を検出する赤外線センサと、この赤外線センサによって検出された被加熱物の温度に基づいて、マグネトロンを制御する制御装置とを備えたものがある(例えば特開2014−9851号公報参照)。
しかしながら、上記従来の加熱調理器には、ラップをかけていないときと、被加熱物にラップをかけているときとで、被加熱物の加熱後の仕上がりが異なってしまうという問題がある。
そこで、後述する第4実施形態の加熱調理器は、被加熱物にラップをかけた状態で加熱を行っても、かけていない状態で加熱を行っても、被加熱物を同様に仕上げることができるようにしたものである。
〔第4実施形態〕
図19は、この発明の第4実施形態の加熱調理器の制御ブロック図である。なお、図19において、上記第1実施形態の構成部と同一構成部は、上記第1実施形態の構成部の参照番号と同一参照番号を付している。また、以下の説明においても、上記第1実施形態の構成部と同一構成部は、上記第1実施形態の構成部の参照番号と同一参照番号を付している。
上記加熱調理器は、上記第1実施形態の加熱調理器と比べ、制御装置490を備えている点だけが異なっている。この制御装置490は、制御装置90とは一部が異なるが、制御装置90と同様に、マイクロコンピュータと入出力回路などからなる。
また、上記制御装置490は、ラップ有無判定部490aおよび第1,第2加熱停止部490b,490cを有し、後述する自動加熱制御を行う。このラップ有無判定部490aおよび第1,第2加熱停止部490b,490cは、それぞれ、ソフトウェアで構成されている。
上記ラップ有無判定部490aは、マグネトロン4などによる被加熱物15の加熱が開始した後、赤外線センサ303が検出した温度と、湿度センサ53が検出した湿度とに基づいて、被加熱物15にラップがかけられているか否かを判定する。
上記第1加熱停止部490bは、被加熱物15にラップがかけられていないと判定された場合、湿度センサ53が検出した湿度が、予め定められた第1湿度(第1停止判定用湿度)以上になったとき、マグネトロン4などによる被加熱物15の加熱を停止させる。
上記第2加熱停止部490cは、被加熱物15にラップがかけられていると判定された場合、湿度センサ53が検出した湿度が、上記第1湿度よりも小さくなるように予め定められた第2湿度(第2停止判定用湿度)以上になったとき、マグネトロン4などによる被加熱物15の加熱を停止させる。
次に、この第4実施形態の加熱調理器において、被加熱物15にラップをかけていなくても、被加熱物15にラップをかけていても、被加熱物15を例えばマグネトロン4で適切にあたためるための自動加熱制御について、図20のフローチャートにしたがって説明する。この自動加熱制御は、扉3が閉まっている状態で、ユーザがあたためスタートキー13を押すと開始する。
上記自動加熱制御が開始すると、まず、ステップS401で、マグネトロン4をオンにし、被加熱物15にマイクロ波を照射する。
次に、ステップS402で、赤外線センサ303が検出した被加熱物15の温度が所定温度(例えば35℃)以上であるかを判定する。このとき、赤外線センサ303が検出した被加熱物15の温度が複数あり、この複数の温度が互いに異なっていれば、上記複数の温度のうちの最低温度が上記所定温度以上であるか否かが判定される。また、ステップS402は、上記最低温度が上記所定温度以上であると判定されるまで、繰り返される。
次に、ステップS403で、湿度センサ53が検出した加熱庫2内の雰囲気の湿度が所定湿度以下であるか否かを判定する。別の言い方をすれば、ステップS403では、湿度センサ53の出力ビット数が第1所定ビット(例えば5ビット)以下であるか否かを判定する。このステップS403で、湿度センサ53の出力ビット数が上記第1所定ビット以下でないと判定されたとき、ラップは被加熱物15にかけられていないものとみなし、ステップS404に進む。一方、ステップS403で、湿度センサ53の出力ビット数が上記第1所定ビット以下であると判定されたとき、ラップは被加熱物15にかけられているものとみなし、ステップS411に進む。
通常、上記被加熱物15の加熱が開始された後、被加熱物15の少なくとも一部の温度が上記所定温度以上になっていれば、被加熱物15から蒸気が放出される。これにもかかわらず、湿度センサ53の出力ビット数が上記第1所定ビットを超えないということは、ラップが被加熱物15にかけられているため、被加熱物15から放出された蒸気を湿度センサ53で検出できない可能性が高い。したがって、湿度センサ53の出力ビット数が上記第1所定ビットを超えているときは、ラップが被加熱物15にかけられていないとみなせる一方、湿度センサ53の出力ビット数が上記第1所定ビット以下であるとときは、ラップが被加熱物15にかけられているとみなせる。
上記ステップS403で、ラップは被加熱物15にかけられていないものとみなされて、ステップS404に進んだ場合、湿度センサ53が検出した被加熱物15の湿度が、予め設定された第1停止判定用湿度以上になっているか否かを判定する。別の言い方をすれば、ステップS404では、湿度センサ53の出力ビット数が第2所定ビット(例えば75ビット)以上であるか否かを判定する。このステップS404で、湿度センサ53の出力ビット数が上記第2所定ビット以上であると判定されたとき、被加熱物15の各部の温度は十分に上昇したものとみなし、ステップS405に進む。一方、ステップS404で、湿度センサ53の出力ビット数が上記第2所定ビット以上でないと判定されたとき、再び、ステップS404を行う。すなわち、ステップS404は、湿度センサ53の出力ビット数が上記第2所定ビット以上であると判定されるまで繰り返される。
最後に、ステップS406で、マグネトロン4をオフにする。これにより、上記自動加熱制御が終了する。
上記ステップS403で、ラップは被加熱物15にかけられているものとみなされて、ステップS411に進んだ場合、湿度センサ53が検出した被加熱物15の湿度が、上記第1停止判定用湿度よりも小さくなるように予め設定された第2停止判定用温度以上であるか否かを判定する。別の言い方をすれば、ステップS411では、湿度センサ53の出力ビット数が上記第2所定ビットよりも小さい第3所定ビット(例えば20ビット)以上であるか否かを判定する。このステップS411で、湿度センサ53の出力ビット数が上記第3所定ビット以上であると判定されたとき、被加熱物15の各部の温度は十分に上昇したものとみなし、ステップS405に進む。一方、ステップS411で、湿度センサ53の出力ビット数が上記第3所定ビット以上でないと判定されたとき、再び、ステップS411を行う。すなわち、ステップS411は、湿度センサ53の出力ビット数が上記第3所定ビット以上であると判定されるまで繰り返される。
このように、上記ステップS403の判定により、ラップが被加熱物15にかけられていないものとみなした場合、湿度センサ53の出力ビット数が第2所定ビット以上になれば、マグネトロン4がオフされる。このとき、上記第2所定ビットが上記第3所定ビットよりも大きいので、被加熱物15の加熱が不十分にならないようにして、被加熱物15の温度を例えば98℃にすることができる。
一方、上記ステップS403の判定により、ラップが被加熱物15にかけられているものとみなした場合、湿度センサ53の出力ビット数が第3所定ビット以上になれば、マグネトロン4がオフされる。このとき、上記第3所定ビットが上記第2所定ビットよりも小さいので、被加熱物15の加熱が過剰にならないようにして、被加熱物15の温度を例えば98℃にすることができる。
したがって、上記被加熱物15にラップをかけた状態で加熱を行っても、かけていない状態で加熱を行っても、被加熱物15を同様に仕上げることができる。
また、上記自動加熱制御によって、被加熱物15が冷凍食品であっても、被加熱物15を適切に加熱することができる。
図21,図23は、ラップをかけていない5個,15個の冷凍たこ焼きの加熱時間と、赤外線センサ303の出力温度との関係を示すと共に、その冷凍たこ焼きの加熱時間と、湿度センサ53の出力ビット数との関係を示すグラフである。なお、図21,図23では、赤外線センサ303の出力温度は、赤外線センサ303がセンシングする64領域のうち、被加熱物15に重なる5つの領域について示している。
図22,図24は、ラップをかけている5個,15個の冷凍たこ焼きの加熱時間と、赤外線センサ303の出力温度との関係を示すと共に、その5個,15個の冷凍たこ焼きの加熱時間と、湿度センサ53の出力ビット数との関係を示すグラフである。なお、図22,図24でも、赤外線センサ303の出力温度は、赤外線センサ303がセンシングする64領域のうち、被加熱物15に重なる5つの領域について示している。
図21,図23から明かなように、冷凍たこ焼きにラップをかけていない場合、赤外線センサ303の出力温度の上昇と同様に、加熱時間の経過に応じて湿度センサ53の出力ビット数も上昇する。一方、図22,図24から明かなように、冷凍たこ焼きにラップをかけている場合、加熱時間の経過に応じて赤外線センサ303の出力温度が上昇しても、湿度センサ53の出力ビット数はなかなか上昇せず、ある時点で急激に上昇する。すなわち、冷凍たこ焼きにラップをかけていない場合に比べて、冷凍たこ焼きにラップをかけている場合は、湿度センサ53の出力ビット数は上昇し難くい。したがって、ステップS403で、湿度センサ53が検出した加熱庫2内の雰囲気の湿度が所定湿度以下であるか否かを判定することにより、ラップの有無を判定することができる。
また、上記ラップの有無を判定することができるので、ユーザはラップの有無を設定するための操作を行わなくてもよい。
上記第4実施形態では、ラップ有無判定部490aおよび第1,第2加熱停止部490b,490cは、それぞれ、ソフトウェアで構成されていたが、少なくとも1つがハードウェアで構成されるようにしてもよい。
上記第4実施形態では、制御装置490の自動加熱制御は、被加熱物15の加熱を、マグネトロン4をオンにすることで行っていたが、上ヒータ20、中ヒータ21、下ヒータ22および蒸気発生用ヒータ73のうちの少なくとも1つをオンにすることで行ってもよい。
上記第4実施形態では、ステップS502で、赤外線センサ303が互いに異なる複数の温度を検出した場合、上記複数の温度のうちの最低温度が上記所定温度以上であるか否かを判定していたが、その場合、例えば、上記複数の温度のうちの高い方から例えば3番目の温度が上記所定温度以上であるか否かを判定してもよい。
上記第4実施形態において、ステップS401が行われる前に、図12に示す選択キー10a,10b,10cを選択可能にカラー液晶表示部10に表示させたり、図16に示す選択キー10f,10g,10hを選択可能にカラー液晶表示部10に表示させたりしてもよい。
ところで、従来、加熱調理器としては、加熱庫内にマイクロ波を放射するためのマグネトロンと、上記加熱庫内の雰囲気の湿度を検出する湿度センサと、この湿度センサが検出する上記湿度に基づいて、マグネトロンを制御する制御装置とを備えたものがある(例えば2012ー197999号公報参照)。
しかしながら、上記従来の加熱調理器では、加熱庫内のご飯にマイクロ波を放射して自動あたためを行う場合、例えば、湿度センサの出力ビット数が20ビットになるのに応じてマグネトロンをオフにすると、次のような問題が生じてしまう。
図25に示すように、上記加熱庫内に2杯分のご飯が入っている場合、湿度センサの出力ビット数が20ビットになるのは、加熱時間が110秒になったときである。このとき、ご飯の温度は80℃前後になる。
一方、上記加熱庫内に1杯分のご飯が入っている場合、湿度センサの出力ビット数が20ビットになるのは、加熱時間が82秒になったときである。このとき、ご飯の温度は100℃前後になってしまう。
このように、上記加熱庫内の被加熱物が軽負荷である場合、被加熱物の温度が大きく上昇しても、被加熱物15からは少しの蒸気しか発生しないため、湿度センサの出力ビット数が20ビットに達したときには、被加熱物15の温度は適温を大きく超えてしまっている。すなわち、上記被加熱物が過剰に加熱されてしまうという問題が起きてしまう。
上記問題が起きる原因は、自動あたためは、マグネトロンをオフにするときの湿度センサの出力ビット数を、ご飯が2杯分程度の標準的な負荷量に対応するように設定されているからである。
そこで、後述する第5実施形態の加熱調理器は、軽負荷の被加熱物が過剰に加熱されるのを防ぐことができるようにしたものである。
〔第5実施形態〕
図26は、この発明の第5実施形態の加熱調理器の制御ブロック図である。なお、図26において、上記第1実施形態の構成部と同一構成部は、上記第1実施形態の構成部の参照番号と同一参照番号を付している。また、以下の説明においても、上記第1実施形態の構成部と同一構成部は、上記第1実施形態の構成部の参照番号と同一参照番号を付している。
上記加熱調理器は、上記第1実施形態の加熱調理器と比べ、制御装置590を備えている点だけが異なっている。この制御装置490は、制御装置90とは一部が異なるが、制御装置90と同様に、マイクロコンピュータと入出力回路などからなる。
また、上記制御装置590は、負荷判定部590aおよび第1,第2加熱停止部590b,590cを有し、後述する自動加熱制御を行う。この負荷判定部590aおよび第1,第2加熱停止部590b,590cは、それぞれ、ソフトウェアで構成されている。
上記負荷判定部590aは、マグネトロン4などによる被加熱物15の加熱中に、赤外線センサ303が検出する温度の変化に基づいて、被加熱物15は、予め設定された標準負荷であるのか、標準負荷よりも軽い軽負荷であるのかを判定する。より詳しくは、マグネトロン4などによる被加熱物15の加熱の開始する前における被加熱物15の温度と、マグネトロン4などによる被加熱物15の加熱の開始から所定時間(例えば30秒)後における被加熱物15の温度との差が、所定値(例えば10)未満であれば、被加熱物15の負荷量は、予め設定された標準負荷量と判定される。また、上記差が上記所定値以上であれば、被加熱物15の負荷量は、上記標準負荷量よりも少なくなるように予め設定された軽負荷量と判定される。ここで、上記標準負荷量は2杯〜3杯のご飯の量に対応する。また、上記軽負荷量は2杯〜3杯のご飯の量に対応する。
上記第1加熱停止部590bは、被加熱物15は標準負荷であると判定された場合、湿度センサ53が検出する湿度が所定湿度(予め設定された停止判定用湿度)になったとき、マグネトロン4などによる被加熱物15の加熱を停止させる。
上記第2加熱停止部590cは、被加熱物15は軽負荷であると判定された場合、赤外線センサ303が検出する温度が所定温度(予め設定された停止判定用温度)になったとき、マグネトロン4などによる被加熱物15の加熱を停止させる。
次に、この第5実施形態の加熱調理器において、被加熱物15が標準負荷であっても、軽負荷であっても、被加熱物15を例えばマグネトロン4で適切にあたためるための自動加熱制御について、図27のフローチャートにしたがって説明する。この自動加熱制御は、扉3が閉まっている状態で、ユーザがあたためスタートキー13を押すと開始する。
上記自動加熱制御が開始すると、まず、ステップS501で、赤外線センサ303に被加熱物15の温度を検出させる。このとき、加熱庫2内に向かって赤外線センサ303の検出面を向けると共に、赤外線センサ303を所定角度の範囲内で回転させる。
次に、ステップS502で、マグネトロン4をオンにし、被加熱物15の加熱を開始する。
次に、ステップS503で、マグネトロン4のオンから所定時間(例えば30秒)が経過したか否かを判定する。このステップS503は、マグネトロン4のオンから所定時間が経過したと判定されるまで繰り返される。
次に、ステップS504で、ステップS501と同様に、赤外線センサ303に被加熱物15の温度を検出させる。
次に、ステップS505で、被加熱物15が、標準負荷であるか、軽負荷であるかを判定する。このとき、被加熱物15がどんな負荷であるかは、ステップS504で検出された被加熱物15の温度から、ステップS501で検出された被加熱物15の温度を引いた値に基づいて判定される。より詳しくは、ステップS505において、ステップS504で検出された被加熱物15の温度から、ステップS501で検出された被加熱物15の温度を引いた値が、所定値(例えば10)未満であれば、被加熱物15は標準負荷と判定し、ステップS506に進む。一方、ステップS505において、ステップS504で検出された被加熱物15の温度から、ステップS501で検出された被加熱物15の温度を引いた値が、上記所定値以上であれば、被加熱物15は軽負荷と判定し、ステップS511に進む。
上記ステップS505で、被加熱物15は標準負荷であると判定され、ステップS506に進んだ場合、湿度センサ53が検出した被加熱物15の湿度が、予め設定された停止判定用湿度以上になっているであるか否かを判定する。別の言い方をすれば、ステップS506では、湿度センサ53の出力ビット数が、標準負荷の被加熱物15を適切に加熱するための所定ビット(例えば20ビット)以上であるか否かを判定する。このステップS506で、湿度センサ53の出力ビット数が上記所定ビット以上であると判定されたとき、被加熱物15の各部の温度は十分に上昇したものとみなし、ステップS507に進む。一方、ステップS506で、湿度センサ53の出力ビット数が上記所定ビット以上でないと判定されたとき、再び、ステップS506を行う。すなわち、ステップS506は、湿度センサ53の出力ビット数が上記所定ビット以上であると判定されるまで繰り返される。
最後に、ステップS507で、マグネトロン4をオフにする。これにより、上記自動加熱制御が終了する。
上記ステップS503で、被加熱物15は軽負荷であると判定されて、ステップS511に進んだ場合、赤外線センサ303が検出した被加熱物15の温度が、予め設定された停止判定用温度(例えば60℃)以上であるか否かを判定する。このステップS511で、赤外線センサ303が検出した被加熱物15の温度が上記停止判定用温度以上であると判定されたとき、被加熱物15の各部の温度は十分に上昇したものとみなし、ステップS505に進む。一方、ステップS511で、赤外線センサ303が検出した被加熱物15の温度が上記停止判定用温度以上でないと判定されたとき、再び、ステップS511を行う。すなわち、ステップS511は、赤外線センサ303が検出した被加熱物15の温度が上記停止判定用温度以上であると判定されるまで繰り返される。
このように、上記ステップS505の判定により、被加熱物15が軽負荷であると判定された場合、赤外線センサ303が検出した被加熱物15の温度が上記停止判定用温度以上になれば、マグネトロン4がオフされる。したがって、図28に示すように、軽負荷の被加熱物15の加熱時間を81秒よりも短い61秒とすることができるので、軽負荷の被加熱物が過剰に加熱されるのを防ぐことができる。
上記第1実施形態の一変形例の加熱調理器では、ユーザが解凍メニューを選択して、あたためスタートキー13を押すと、冷凍食材である被加熱物15をマグネトロン4で適切にあたためるための自動加熱制御が開始する。
以下、上記変形例の加熱調理器の自動加熱制御について、図29のフローチャートにしたがって説明する。なお、図29において、ステップS101〜S106は、図11AのステップS101〜S106と同一であるので、説明を省略する。
上記自動加熱制御では、ステップS101で、庫内温度が所定温度以上になっていると判定されると、ステップS151に進む。ここで、上記所定温度は、赤外線センサ303が加熱庫2内の高温雰囲気の影響を受けて加熱庫2内の被加熱物15の温度を検出するのが困難な場合の温度の下限値に相当する。
上記ステップS151では、周囲と温度差が生じている領域を赤外線センサ303で検出する。このとき、上記領域が被加熱物15の領域に対応していると推定する。
次に、ステップS152で、上記領域の数に基づいて、被加熱物15の分量を判定する。このとき、被加熱物15が例えば150g未満であれば、被加熱物15の分量は少量であると判定される。また、被加熱物15が例えば150g以上かつ400g未満であれば、被加熱物15の分量は標準量であると判定される。また、被加熱物15が例えば400g以上であれば、被加熱物15の分量は多量であると判定される。
次に、ステップS153で、マグネトロン4をオンにする。その後、被加熱物15の分量に対応する加熱シーケンスにしたがってマグネトロン4が制御される。例えば、被加熱物15の分量が少量と判定された後、マグネトロン4がオンされたなら、少量の被加熱物15を適切に解凍するための加熱シーケンスが用いられる。
次に、ステップS154で、加熱シーケンスの終了条件が満たされた否かを判定する。より詳しくは、マグネトロン4がオンされてから、加熱シーケンスに対応する所定時間が経過したか否かを判定する。このステップS154は、上記所定時間が経過したと判定されるまで繰り返される。
このようなステップS151〜S154によって、選択キー10a,10b,10cを選択可能にカラー液晶表示部10に表示させなくても、被加熱物15を適切に加熱することができる。
また、上記ステップS151〜S154によって、被加熱物15にラップがかけられていても、いなくても、被加熱物15を適切に加熱することができる。
上記変形例の加熱調理器では、ユーザが解凍メニューを選択した後、あたためスタートキー13を押すと、自動加熱制御が開始するようにしていたが、ユーザが冷蔵状態または常温状態の被加熱物15を加熱するためのメニューを選択した後、あたためスタートキー13を押すと、自動加熱制御が開始するようにしてもよい。
すなわち、図29のフローチャートの自動加熱制御は、あたためスタートキー13が押される前に、加熱庫2内の被加熱物15の温度状態がユーザによって指定されていれば、被加熱物15を適切に加熱することができる。
ところで、上記加熱庫2内の雰囲気の湿度が一定の水準を超えなければ、湿度センサ53の出力ビット数は、加熱庫2内の雰囲気の湿度と比例するが、加熱庫2内の雰囲気の湿度が上記水準を超えて高くなると、加熱庫2内の雰囲気の湿度と比例しなくなる。このため、上記水準を超えた高い湿度は湿度センサ53での検出が困難となる。
一方、上記被加熱物15にラップをかけていない場合、被加熱物15の一部しか加熱できていなくても、被加熱物15から加熱庫2内に多量の蒸気が放出される。このため、加熱庫2内の雰囲気の湿度が上記水準を超えた高い湿度になるまで、被加熱物15を加熱すれば、未加熱の部分が被加熱物15に残る可能性を確実に下げることができる。
しかしながら、上記加熱庫2内の雰囲気の湿度が上記水準を超えた高い湿度になったか否かを、湿度センサ53の出力ビット数に基づいて判定するのは困難である。
このような問題は、上記第4実施形態の一変形例の加熱調理器で解決することができる。
以下、上記変形例の加熱調理器の自動加熱制御について、図30のフローチャートにしたがって説明する。なお、図30において、ステップS401〜S403,S405,S411は、図20のS401〜S403,S405,S411と同一であるので、説明を省略する。
上記自動加熱制御では、ステップS403で、湿度センサ53の出力ビット数が第1所定ビット(例えば5ビット)以下でないと判定すると、ステップS451に進む。
上記ステップS451では、湿度センサ53が検出した被加熱物15の湿度が、予め設定された第3停止判定用湿度以上になっているか否かを判定する。別の言い方をすれば、ステップS451では、湿度センサ53の出力ビット数が第4所定ビット(例えば30ビット)以上であるか否かを判定する。このステップS451で、湿度センサ53の出力ビット数が上記第4所定ビット以上であると判定されたとき、被加熱物15の少なくとも一部は加熱されたものとみなし、ステップS405に進む。一方、ステップS451で、湿度センサ53の出力ビット数が上記第4所定ビット以上でないと判定されたとき、再び、ステップS451を行う。すなわち、ステップS451は、湿度センサ53の出力ビット数が上記第4所定ビット以上であると判定されるまで繰り返される。なお、上記ステップS451で用いる第4所定ビットは、上記水準以下の湿度に対応するように、かつ、ステップS411で用いる第3所定ビットよりも大きくなるように設定される。
次に、ステップS452で、被加熱物15をより適切に加熱するための残り加熱時間を算出する。より詳しくは、上記残り加熱時間は、例えば、マグネトロン4をオンにしてから第4所定ビットに到達するまで時間に、10/16を掛けることにより、算出される。
次に、ステップS453で、湿度センサ53の出力ビット数が上記第4所定ビット以上であると判定されてから、上記残り加熱時間が経過したか否かを判定する。このステップS453は、湿度センサ53の出力ビット数が上記第4所定ビット以上であると判定されてから、上記残り加熱時間が経過したと判定されるまで繰り返される。
このようなステップS451〜S453によって、ステップS451で用いる第4所定ビットを80ビット以上に設定しなくても、被加熱物15をより適切に加熱することができる。
また、上記ステップS451〜S453は、ラップの有無の判定を行った後でなくとも、行うことができる。
この発明の加熱調理器では、オーブンレンジなどにおいて、過熱蒸気または飽和蒸気を用いることによって、ヘルシーな調理を行うことができる。例えば、この発明の加熱調理器では、温度が100℃以上の過熱蒸気または飽和蒸気を食品表面に供給し、食品表面に付着した過熱蒸気または飽和蒸気が凝縮して大量の凝縮潜熱を食品に与えるので、食品に熱を効率よく伝えることができる。また、凝縮水が食品表面に付着して塩分や油分が凝縮水と共に滴下することにより、食品中の塩分や油分を低減できる。さらに、加熱庫内は過熱蒸気または飽和蒸気が充満して低酸素状態となることにより、食品の酸化を抑制した調理が可能となる。ここで、低酸素状態とは、加熱庫内において酸素の体積%が10%以下(例えば0.5〜3%)である状態を指す。
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記第1〜第5実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、上記第1〜第5実施形態で記載した内容を適宜組み合わせたものを、この発明の一実施形態としてもよい。
この発明および実施形態をまとめると、次のようになる。
この発明の加熱調理器は、
被加熱物15を収容する加熱庫2と、
上記被加熱物15を加熱するための加熱部20,21,22,73と、
上記加熱庫2内の上記被加熱物15の温度を検出する赤外線センサ303と、
表示部10と、
制御装置90,290,390と
を備え、
上記制御装置90,290,390は、
上記赤外線センサ303で上記加熱庫2内の上記被加熱物15の温度を検出可能な状態であるか否かを判定する状態判定部90a,290a,390aと、
上記赤外線センサ303で上記加熱庫2内の上記被加熱物15の温度を検出可能な状態ではないと判定された場合、上記被加熱物15の温度状態または分量を示すための複数の選択キー10a,10b,10c,10f,10g,10hを選択可能に上記表示部10に表示させる選択枝表示部90b,290bと、
ユーザが上記選択キー10a,10b,10c,10f,10g,10hを選択して、この選択が確定した場合、上記選択が確定した上記選択キー10a,10b,10c,10f,10g,10hに基づいて、上記加熱部20,21,22,73を制御する加熱制御部90c,290cと
を有することを特徴としている。
上記構成によれば、上記赤外線センサ303で加熱庫2内の被加熱物15の温度を検出可能な状態ではないと判定された場合、被加熱物15の温度状態または分量を示す複数の選択キー10a,10b,10c,10f,10g,10hが表示部10に選択可能に表示される。これにより、ユーザは、表示部10に表示された複数の選択キー10a,10b,10c,10f,10g,10hの中から、加熱庫2内の被加熱物15の温度状態または分量に対応する選択キー10a,10b,10c,10f,10g,10hを選択することができる。
また、上記加熱庫2内の被加熱物15の温度状態または分量に対応する選択キー10a,10b,10c,10f,10g,10hの選択が確定すると、この選択キー10a,10b,10c,10f,10g,10hに基づいて、加熱部20,21,22,73が制御されるので、被加熱物15を適切に加熱することができる。
したがって、上記加熱調理器は、加熱庫2内の雰囲気温度が高温であっても、被加熱物15を適切に加熱することができる。
一実施形態の加熱調理器は、
上記加熱庫2内の雰囲気の温度を検出する温度センサ7676を備え、
上記状態判定部90aは、上記温度センサ76が検出する温度が所定温度以上になる場合、上記赤外線センサ303で上記加熱庫2内の上記被加熱物15の温度を検出可能な状態ではないと判定する。
上記実施形態によれば、上記温度センサ76が検出した温度が所定温度以上になる場合、赤外線センサ303で被加熱物15の温度を検出できない。そこで、その場合は、上記赤外線センサ303で加熱庫2内の被加熱物15の温度を検出可能な状態ではないと状態判定部90aに判定させることにより、この判定の信頼性を高めることができる。
一実施形態の加熱調理器では、
上記被加熱物15は冷凍食材であり、
上記状態判定部290aは、上記赤外線センサ303がマイナス温度を検出しない場合、上記赤外線センサ303で上記加熱庫2内の上記被加熱物15の温度を検出可能な状態ではないと判定する。
上記実施形態によれば、上記被加熱物15が冷凍食材であるのに、赤外線センサ303がマイナス温度を検出しない場合、赤外線センサ303が被加熱物15の温度を検出できない状態になっている可能性が高い。そこで、その場合は、上記赤外線センサ303で加熱庫2内の被加熱物15の温度を検出可能な状態ではないと状態判定部290aに判定させることにより、この判定の信頼性を高めることができる。
一実施形態の加熱調理器では、
上記状態判定部390aは、上記被加熱物15の加熱が所定時間行われても上記赤外線センサ303が検出する温度が変化しない場合、上記赤外線センサ303で上記加熱庫2内の上記被加熱物15の温度を検出可能な状態ではないと判定する。
ここで、「温度が変化しない」とは、温度が全く変化しない場合も意味するし、温度が実質的に変化していない場合も意味する。
上記実施形態によれば、上記被加熱物15の加熱が所定時間行われても赤外線センサ303が検出する温度が変化しない場合、赤外線センサ303が被加熱物15の温度を検出できない状態になっている可能性が高い。そこで、その場合は、上記赤外線センサ303で加熱庫2内の被加熱物15の温度を検出可能な状態ではないと状態判定部390aに判定させることにより、この判定の信頼性を高めることができる。
一実施形態の加熱調理器では、
上記加熱制御部90c,290cは、上記表示部10が上記複数の選択キー10a,10b,10c,10f,10g,10hを選択可能に表示した後、上記選択キー10a,10b,10c,10f,10g,10hに基づく制御が上記加熱部20,21,22,73に行われていない場合、上記複数の選択キー10a,10b,10cに対応する複数の加熱出力のうちの最小の加熱出力となるように、または、上記複数の選択キー10f,10g,10hに対応する複数の加熱時間のうちの最短の加熱時間となるように、上記加熱部20,21,22,73を制御する。
上記実施形態によれば、上記複数の選択キー10a,10b,10cに対応する複数の加熱出力のうちの最小の加熱出力となるように、加熱部20,21,22,73が制御されることにより、被加熱物15の加熱が進行しても、被加熱物15の過剰な加熱を防ぐことができる。
また、上記複数の選択キー10f,10g,10hに対応する複数の加熱時間のうちの最短の加熱時間となるように、加熱部20,21,22,73が制御されることによっても、上述と同様の作用効果を奏する。
一実施形態の加熱調理器では、
上記表示部10が上記複数の選択キー10a,10b,10c,10f,10g,10hを選択可能に表示した後、上記選択キー10a,10b,10c,10f,10g,10hに基づく制御が上記加熱部20,21,22,73に行われていない場合、上記加熱制御部90c,290cによる上記加熱部20,21,22,73の制御は、上記表示部10が上記複数の選択キー10a,10b,10c,10f,10g,10hを選択可能に表示してから所定時間後に開始される。
上記実施形態によれば、上記表示部10が複数の選択キー10a,10b,10c,10f,10g,10hを選択可能に表示しても、選択キー10a,10b,10c,10f,10g,10hの選択が迅速に行われないかもしれない。このような場合であっても、上記表示部10が複数の選択キー10a,10b,10c,10f,10g,10hを選択可能に表示してから所定時間後には、加熱部20,21,22,73による被加熱物15の加熱は開始するので、選択キー10a,10b,10c,10f,10g,10hの選択が遅くなっても、加熱部20,21,22,73による被加熱物15の加熱開始が大きく遅れないようにすることができる。
一実施形態の加熱調理器では、
上記表示部10は、ユーザによって選択された上記選択キー10a,10b,10c,10f,10g,10hに応じた加熱が上記被加熱物15に行われた後、上記加熱と同じ加熱を開始させるための連続加熱キー10eを選択可能に表示する。
上記実施形態によれば、ユーザは、連続加熱キー10eを選択することにより、表示部10に表示される複数の選択キー10a,10b,10c,10f,10g,10hの中から適切な選択キー10a,10b,10c,10f,10g,10hを選択しなくて済む。すなわち、同様の選択操作をユーザに何度も行わさなくてよい。したがって、上記加熱調理器の使い勝手を向上させることができる。
この発明の加熱調理器は、
被加熱物15を収容する加熱庫2と、
上記被加熱物15を加熱するための加熱部20,21,22,73と、
上記加熱庫2内の上記被加熱物15の温度を検出する赤外線センサ303と、
上記加熱庫2内の雰囲気の湿度を検出する湿度センサ53と、
制御装置490と
を備え、
上記制御装置490は、
上記加熱部20,21,22,73による上記被加熱物15の加熱が開始した後、上記赤外線センサ303が検出する上記温度と、上記湿度センサ53が検出する上記湿度とに基づいて、上記被加熱物15にラップがかけられているか否かを判定するラップ有無判定部490aと、
上記被加熱物15にラップがかけられていないと判定された場合、上記湿度センサ53が検出する上記湿度が、予め定められた第1湿度以上になったとき、上記加熱部20,21,22,73による上記被加熱物15の加熱を停止させる第1加熱停止部490bと、
上記被加熱物15にラップがかけられていると判定された場合、上記湿度センサ53が検出する上記湿度が、上記第1湿度よりも小さくなるように予め定められた第2湿度以上になったとき、上記加熱部20,21,22,73による上記被加熱物15の加熱を停止させる第2加熱停止部490cと
を有することを特徴としている。
上記構成によれば、上記被加熱物15にラップをかけていない場合、湿度センサ53が検出した湿度が第1湿度になるのに応じて、被加熱物15の加熱を停止させることにより、被加熱物15を適切に加熱することができる。一方、上記被加熱物15にラップをかけている場合、被加熱物15にラップをかけていない場合と同じように、湿度センサ53が検出した湿度が第1湿度になるのに応じて、被加熱物15の加熱を停止させると、被加熱物15が過剰に加熱されてしまう。そこで、上記被加熱物15にラップをかけている場合、湿度センサ53が検出した湿度が第1湿度よりも小さい第2湿度になったときに、被加熱物15の加熱を停止させることにより、被加熱物15を適切に加熱することができる。
したがって、上記被加熱物15にラップをかけた状態で加熱を行っても、かけていない状態で加熱を行っても、第1,第2加熱停止部490b,490cで被加熱物15を同様に仕上げることができる。
この発明の加熱調理器は、
被加熱物15を収容する加熱庫2と、
上記被加熱物15を加熱するための加熱部20,21,22,73と、
上記加熱庫2内の上記被加熱物15の温度を検出する赤外線センサ303と、
上記加熱庫2内の雰囲気の湿度を検出する湿度センサ53と、
制御装置590と
を備え、
上記制御装置590は、
上記加熱部20,21,22,73による上記被加熱物15の加熱中に、上記赤外線センサ303が検出する上記温度の変化に基づいて、上記被加熱物15は、予め設定された標準負荷であるのか、上記標準負荷よりも軽い軽負荷であるのかを判定する負荷判定部590aと、
上記被加熱物15は上記標準負荷であると判定された場合、上記湿度センサ53が検出する上記湿度が所定湿度になったとき、上記加熱部20,21,22,73による上記被加熱物15の加熱を停止させる第1加熱停止部590bと、
上記被加熱物15は上記軽負荷であると判定された場合、上記赤外線センサ303が検出する上記温度が所定温度になったとき、上記加熱部20,21,22,73による上記被加熱物15の加熱を停止させる第2加熱停止部590cと
を有することを特徴としている。
上記構成によれば、上記構成によれば、上記被加熱物15が軽負荷であると判定された場合、赤外線センサ303が検出する温度が所定温度になったとき、加熱部20,21,22,73による被加熱物15の加熱が停止する。したがって、上記標準負荷の被加熱物15に対応するように、上記所定湿度を設定していても、軽負荷の被加熱物15が過剰に加熱されるのを防ぐことができる。