JP2016222980A - プラズマ成膜装置及びプラズマ成膜方法 - Google Patents

プラズマ成膜装置及びプラズマ成膜方法 Download PDF

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弘幸 橋富
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Daigo Yamamoto
大悟 山本
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俊成 道元
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Abstract

【課題】マイクロ波導入部の導入面への膜成分の付着量を低減させることができるプラズマ成膜装置及びプラズマ成膜方法を提供する。
【解決手段】プラズマ成膜装置10は、チャンバー1と、チャンバー内部に原料ガスを供給する原料ガス供給部15と、チャンバー内部のガスを排出するガス排出部16と、マイクロ波を発生させるマイクロ波発振器4と、マイクロ波発振器で発生したマイクロ波をチャンバー内部に導入するマイクロ波導入部2と、被加工材3を含む導電体に負バイアス電圧を印加する電圧印加部5と、を備え、被加工材表面に原料ガス由来の被膜を形成するプラズマ成膜装置であって、更に、マイクロ波導入部のチャンバー内部に対面している導入面21に、非原料ガスを供給する導入面ガス供給部7を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマCVD法を用いたプラズマ成膜装置及びプラズマ成膜方法に関する。
金属材料の表面にDLC(ダイモンドライクカーボン)膜を形成する方法としては、プラズマCVD(化学蒸着)法が用いられる。プラズマCVD法としては、特許文献1に開示された方法が採用されている。特許文献1のプラズマ成膜方法では、導電性の被加工材をチャンバー内に収容する。チャンバー内に成膜用の原料ガスを供給するとともに、被加工材に負バイアス電圧を印加させることによりシース領域が形成され、このシース領域にマイクロ波導入部を通じて被加工材にマイクロ波を照射することにより、被加工材表面付近のプラズマが促進されて高密度プラズマとなり、被加工材の表面にDLC膜が形成される。
また、特許文献2には、炭素棒からなるターゲット、及び被加工材をチャンバー内部に配置し、ターゲットに負バイアス電圧を印加させ、マイクロ波導入部を通じてターゲットにマイクロ波を照射させて、ターゲットの表面付近に高密度プラズマを生成させてスパッタリングを行い、スパッタリングで生成したDLC成分を被加工材表面に付着させることが開示されている。
しかしながら、特許文献1、2のプラズマ成膜方法では、成膜加工を行っている際に、マイクロ波導入部のチャンバー内部に対面している導入面にDLC膜の膜成分が付着して、安定なプラズマが生成されない。導入面に付着した膜成分は、適正なDLC処理を阻害する一因となっている。
これを解消するために、マイクロ波の出力を大きくしたり、シース電圧を大きくしたりすることが考えられる。しかし、多大なエネルギーを必要とし、製造コストが高くなってしまう。
そこで、特許文献3では、マイクロ波導入部の導入面を囲み、導入面よりもマイクロ波が伝播する伝播方向へ突出する包囲壁部を設けることが提案されている。この包囲壁部により導入面側が閉塞された包囲空間が形成されて包囲空間への原料ガスの供給を低減させ、マイクロ波導入部の導入面への膜成分の付着量を低減させる。
特許第4973887号 特許第4152135号 特開2014−189900号公報
しかしながら、特許文献3のプラズマ成膜装置では、マイクロ波導入部の導入面からの包囲壁部の突出量が30mm以上であり、包囲壁部と中心導体である被加工材との間の隙間は2mm以下とされている。この隙間は、被加工材の軸方向に沿って長く、且つ、非常に狭い。このため、被加工材が包囲壁部に対して僅かでも傾斜して配置された場合には、被加工材が包囲壁部と接触してしまう。また、被加工材は被膜加工中に高温になり、熱膨張して、被加工材と包囲壁部とが接触してしまうおそれもある。このため、電気的短絡が生じるおそれがある。
本発明者は、特許文献3とは異なる方法で、マイクロ波導入部の導入面への膜成分の付着量を低減させることを鋭意探求した。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、マイクロ波導入部の導入面への膜成分の付着量を低減させることができるプラズマ成膜装置及びプラズマ成膜方法を提供することを課題とする。
本発明のプラズマ成膜装置は、チャンバーと、前記チャンバー内部に原料ガスを供給する原料ガス供給部と、前記チャンバー内部のガスを排出するガス排出部と、マイクロ波を発生させるマイクロ波発振器と、前記マイクロ波発振器で発生したマイクロ波を前記チャンバー内部に導入するマイクロ波導入部と、導電性を有する被加工材を含む導電体に負バイアス電圧を印加する電圧印加部と、を備え、前記被加工材表面に前記原料ガス由来の被膜を形成するプラズマ成膜装置であって、更に、前記マイクロ波導入部の前記チャンバー内部に対面している導入面に、非原料ガスを供給する導入面ガス供給部を備えていることを特徴とする。
本発明のプラズマ成膜装置は、チャンバーと、前記チャンバー内部にプラズマ生成ガスを供給するプラズマ生成ガス供給部と、前記チャンバー内部のガスを排出するガス排出部と、マイクロ波を発生させるマイクロ波発振器と、前記マイクロ波発振器で発生したマイクロ波を前記チャンバー内部に導入するマイクロ波導入部と、導電性を有するターゲットを含む導電体に負バイアス電圧を印加する電圧印加部と、を備え、前記ターゲットから生成した膜成分からなる被膜を被加工材表面に形成するプラズマ成膜装置であって、更に、前記マイクロ波導入部の前記チャンバー内部に対面している導入面に、非原料ガスを供給する導入面ガス供給部を備えていることを特徴とする。
本発明のプラズマ成膜方法は、チャンバーと、前記チャンバー内部に原料ガスを供給する原料ガス供給部と、前記チャンバー内部のガスを排出するガス排出部と、マイクロ波を発生させるマイクロ波発振器と、前記マイクロ波発振器で発生したマイクロ波を前記チャンバー内部に導入するマイクロ波導入部と、導電性を有する被加工材を含む導電体に負バイアス電圧を印加する電圧印加部と、を備えるプラズマ成膜装置を用いて、前記被加工材表面に前記原料ガス由来の被膜を形成する成膜工程をもち、前記成膜工程は、前記マイクロ波導入部の前記チャンバー内部に対面している導入面に、非原料ガスを供給する第1供給工程をもつことを特徴とする。
本発明のプラズマ成膜方法は、チャンバーと、前記チャンバー内部にプラズマ生成ガスを供給するプラズマ生成ガス供給部と、前記チャンバー内部のガスを排出するガス排出部と、マイクロ波を発生させるマイクロ波発振器と、前記マイクロ波発振器で発生したマイクロ波を前記チャンバー内部に導入するマイクロ波導入部と、導電性を有するターゲットを含む導電体に負バイアス電圧を印加する電圧印加部と、を備えるプラズマ成膜装置を用いて、ターゲットから生成した膜成分からなる被膜を被加工材表面に形成する成膜工程をもち、前記成膜工程は、前記マイクロ波導入部の前記チャンバー内部に対面している導入面に、非原料ガスを供給する第1供給工程をもつことを特徴とする。
本発明によれば、導入面ガス供給部から、マイクロ波導入部のチャンバー内部に対面している導入面に非原料ガスが供給される。非原料ガスは、被膜の原料を含まないガスをいう。導入面に非原料ガスを供給すると、導入面に膜成分が付着することが低減される。このため、導入面への膜成分の付着量を低減させることができる。
本発明の第1実施形態のプラズマ成膜装置の断面説明図である。 第1実施形態の酸素流入治具の平面図である。 マイクロ波導入部及びワッシャーの斜視図である。 プラズマ成膜方法を示すフローチャートである。 プラズマ成膜方法C1を行った後のワッシャーの表面状態を示す説明図である。 プラズマ成膜方法E1を行った後のワッシャーの表面状態を示す説明図である。 プラズマ成膜方法E2を行った後のワッシャーの表面状態を示す説明図である。 ワッシャー内周端部からの距離と炭素原子量との関係を示す図である。 第2実施形態のプラズマ成膜装置の断面説明図である。
(第1実施形態)
本発明の実施形態に係るプラズマ成膜装置及びプラズマ成膜方法について図面を用いて詳細に説明する。
図1に示すように、プラズマ成膜装置10は、チャンバー1と、原料ガス供給部15と、ガス排出部16と、マイクロ波導入部2と、導電体としての被加工材3と、マイクロ波発振器4と、電圧印加部5と、酸素流入治具6とを備えている。
チャンバー1は、ステンレス製であり、気密構造を有する。チャンバー1は、円筒形状の側壁11と、側壁11の軸方向の上下両端に設けられた上壁12及び下壁13とを有する。チャンバー1の内径は350mmであり、高さは400mmである。チャンバー1内部には、チャンバー1内部の温度を調整する図略の温度制御手段が設置されている。
原料ガス供給部15は、チャンバー1内部に原料ガス、不活性ガス及び水素ガスを供給する。原料ガス供給部15は、チャンバー1の側壁11の上側に配設されている。原料ガスとしては、TMS(テトラメチルシラン:Si(CH34)、及びメタン(CH)を用いる。不活性ガスとしては、アルゴン(Ar)を用いる。
ガス排出部16は、図略の真空ポンプと接続されていて、チャンバー1内部のガスをチャンバー1外部に排出する。ガス排出部16は、チャンバー1の側壁11の下側に配設されている。
マイクロ波導入部2は、チャンバー1の下壁13に形成された開口14を塞いでいる。マイクロ波導入部2は、誘電体からなり、例えば、石英が用いられる。チャンバー1の開口14の下方には、マイクロ波発振器4が配置されている。マイクロ波発振器4は、例えば周波数2.45GHz、50Wのマイクロ波を発振する。なお、マイクロ波発振器4から発せられるマイクロ波の周波数は、2.45GHzに限らず、0.3GHz〜50GHzであってもよい。
マイクロ波導入部2は、チャンバー1内部側に対面している導入面21を有する。マイクロ波発振器4から発振されたマイクロ波は、同軸アンテナ41を通じてマイクロ波導入部2に入力される。マイクロ波は、マイクロ波導入部2を透過して導入面21からチャンバー1内部に供給される。
マイクロ波導入部2の上面は円形であり、その中央に凹状の保持部22が形成されている。保持部22の周囲には、リング形状の導入面21が設けられている。導入面21の内側には、被加工材3を保持する凹状の保持部22が隣接している。保持部22には被加工材3の下端部が嵌合されて、被加工材3は、チャンバー1内部に側壁11とほぼ平行に立設される。被加工材3の先端は、負バイアス電源である電圧印加部5に接続する。チャンバー1は、導電性材料からなり、アース部18に接続されている。
電圧印加部5は、導電性の被加工材3に対して、負のバイアス電圧パルスを印加する。電圧印加部5は、チャンバー1に対して絶縁されている。電圧印加部5は、バイアス電圧を0Vから−500Vに変化させ、その後、−500Vから0Vまで変化させ、これを500Hzの周期で繰り返す。負に帯電した被加工材3表面近傍には、シース層が形成される。被加工材3に印加される負バイアス電圧値は−500Vであるがシース層が形成される電圧あれば特に指定はない。シース層は電子密度が低い層、即ち、正極性であって、マイクロ波の周波数帯においてはほぼ比誘電率ε≒1の層である。印加する負のバイアス電圧の絶対値を例えば−100Vの絶対値よりも大きくすることによりシース層の厚さを厚くすることができる。このシース層が、プラズマとプラズマに接する物体との界面に表面波を伝播させる誘電体として作用する。
マイクロ波導入部2の導入面21から被加工材3に向けて供給されたマイクロ波は、シース層とプラズマとの界面に沿って表面波として伝播する。この結果、被加工材3の表面に沿って表面波に基づく高密度励起プラズマが発生して、被加工材3表面にDLC膜が生成される。
DLC膜の生成に伴い、マイクロ波導入部2の導入面21が、黒く汚れてくる。黒い汚れは、以下の原理により生成される。マイクロ波により被加工材3近傍にプラズマが発生する。これにより、原料ガスであるTMS及びメタンがイオン分解されて、導入面21に膜成分として炭素単体や炭化水素化合物の炭化物(煤)が付着する。
導入面21への膜成分付着を防止するために、以下の述べる酸素流入治具6の導入面ガス供給部7から酸素含有ガスを導入面21に向けて供給する。
酸素流入治具6は、チャンバー1内部に配置され、チャンバー1の下壁13に固定されている。酸素流入治具6は、挿入穴67を形成する被覆壁61をもつ。挿入穴67にはマイクロ波導入部2が挿入されている。マイクロ波導入部2は、下端部が拡径した段形状の側面27をもつ。挿入穴67の被覆壁61は、マイクロ波導入部2の側面27に沿った形状をなして、マイクロ波導入部2の側面27を保持する。被覆壁61の上側には、被覆壁61の延長線上の上側に周壁62が延びている。周壁62は、マイクロ波導入部2の上側の包囲空間60を囲む。包囲空間60の中央には、被加工材3が配置される。周壁62には、導入面ガス供給部7が設けられている。
周壁62の高さHは16mmであり、導入面ガス供給部7は、導入面21からの高さhが2mmの位置に配置されている。
マイクロ波導入部2において導入面21に隣接して被加工材3を保持する保持部22が設けられている場合、被加工材3と周壁62との間の間隙Lは、2mmを超えて大きいことがよい。本実施形態では、被加工材3と周壁62との間の間隙Lは、5mmである。被加工材3と周壁62とが接触して短絡することを防止し、またマイクロ波をチャンバー1内部に十分に供給するためである。
図2に示すように、導入面ガス供給部7は、周壁62に設けられた開口穴である。導入面ガス供給部7は、周壁62に1つ又は複数設けられている。本実施形態では、導入面ガス供給部7は、周壁62に8個設けられている。各導入面ガス供給部7は、周壁62の周方向に均等に配置されている。各導入面ガス供給部7は、酸素含有ガスを包囲空間60の中心に向けて径方向に放射状に供給する。
図1に示すように、導入面ガス供給部7は、供給管71の先端に形成されている。供給管71は、酸素流入治具6の内部に埋設された埋設部72と、埋設部72からチャンバー1の外側に向けて延びる延長部73とを有する。供給管71の延長部73は、チャンバー1の外部において、酸素源74に接続されている。酸素源74は、適時に所定量の酸素含有ガスを導入面ガス供給部7に向けて供給させる。
(プラズマ成膜方法C1)
本プラズマ成膜方法C1では、上記実施形態のプラズマ成膜装置10を用いて、被加工材3にDLC膜を形成した。被加工材3は、直径10mm、高さ300mmのステンレス丸棒材である。
本プラズマ成膜方法C1では、図3に示すように、上記実施形態のプラズマ成膜装置10の導入面21の上に、膜成分分析用のワッシャー25を載せた。ワッシャー25は、マイクロ波導入部2と同様に石英からなり、マイクロ波を透過させる。ワッシャー25の上面は、導入面210である。本プラズマ成膜方法においては、この導入面210は、マイクロ波導入部2の導入面21に相当する。ワッシャー25は、直径16mm、厚み1mmである。ワッシャー25の中央には、保持部22と同じ大きさの貫通穴26が開いている。被加工材3は、貫通穴26を通じて保持部22に保持される。図4は、DLC膜の製造過程を示すフローチャートである。
まず、S1において、真空ポンプを作動させてガス排出部16からチャンバー1内部のガスを排気させ、チャンバー1内の気圧を1Pa以下まで下げた。
S2において、温度制御手段によりチャンバー1内部を500℃まで昇温させた。原料ガス供給部15から10〜200sccmの水素ガスを供給した。更に、マイクロ波発振器4を作動させて、マイクロ波を、マイクロ波導入部2を通じてチャンバー1内に供給した。マイクロ波供給条件は、電力1300kW、パルス周期2ミリ秒、パルス印加時間1ミリ秒とした。パルス印加時間は、10〜90%がよい。これと同時に、電圧印加部5により、導電性の被加工材3に負のバイアス電圧を印加した。負のバイアス電圧は、オンとオフが所定間隔で繰り返されるパルス信号として被加工材3に印加した。負のバイアス電圧値は−300〜−800Vがよく、本例においては、−500Vとした。負のバイアス電圧のパルス間隔は2ミリ秒、パルス印加時間は0.6ミリ秒とした。パルス印加時間は、10〜90%がよい。負バイアス電圧パルスとマイクロ波パルスとは、同期させた。
S3において、マイクロ波の供給は停止させ、負バイアス電圧は印加しつづけた。原料ガス供給部15から窒素ガス及び水素ガスを供給した。窒素ガスの供給量は100sccmとし、水素ガスの供給量は100sccmとした。
S4において、マイクロ波の供給を再開し、負バイアス電圧は印加しつづけた。窒素ガスの供給を停止させ、プラズマ生成ガスとしてのアルゴンガス及び水素ガスを300秒間供給した。アルゴンガスの供給量は70sccmとし、水素ガスの供給量は20sccmとした。アルゴンガスは、マイクロ波によりプラズマ化され、被加工材3表面に衝突して、被加工材3表面をスパッタリングした。これにより、被加工材3は表面粗化された。
次に、S5において、被加工材3表面にDLC膜を形成した。DLC膜形成のために、原料ガス供給部15により、原料ガス及び水素ガスの供給を開始した。原料ガスは、TMS及びメタンである。各種ガスのチャンバー1内部への流量は、TMS:20sccm、メタン:200sccm、アルゴン:40sccmとした。また、マイクロ波発振器4からのマイクロ波の発振を持続させ、マイクロ波を、マイクロ波導入部2を通じてチャンバー1内に供給した。マイクロ波供給条件は、S2のマイクロ波供給条件と同様とした。負バイアス電圧パルスとマイクロ波パルスとは、同期させた。
負バイアス電圧印加により、被加工材3表面にシース層が生成した。チャンバー1内部に供給されたマイクロ波は、シース層とプラズマとの界面に沿って伝播し、被加工材3の表面に沿って高密度励起プラズマが発生した。被加工材3表面付近に原料ガス由来のプラズマが生成した。被加工材3表面にDLC膜が生成された。
S6において、成膜終了後に、原料ガス供給を停止し、マイクロ波の発振を停止し、負バイアス電圧の印加を停止した。そして、チャンバー1内部を放冷させた。
本プラズマ成膜方法C1では、導入面ガス供給部7から導入面21に向けた酸素含有ガスの供給はしなかった。図5に示すように、S1〜S5後に、導入面は、真っ黒の膜成分で汚れた。
(プラズマ成膜方法E1)
本プラズマ成膜方法E1は、導入面ガス供給部7から導入面21に向けて酸素含有ガスを供給した点を除いて、プラズマ成膜方法C1と同様である。
酸素含有ガス全体を100体積%としたとき、酸素含有ガス中の酸素ガスの含有量は1体積%以上100体積%以下であり、25体積%以上であるとよく、更に50体積%以上であることが好ましい。本方法では、酸素含有ガスは高純度酸素ガスであり、酸素含有ガス中の酸素ガス含有量は99.999体積%以上とした。
酸素流入治具6の周壁62に設けられた8個の導入面ガス供給部7からの酸素供給量の合計は10sccmとした。ワッシャー25の導入面210の単位面積当たりに供給される酸素含有ガス供給量は、0.04sccm/mmとした。ここで、「酸素含有ガス供給量」とは、酸素含有ガスの供給量をいう。酸素含有ガスに酸素以外のガスが含まれている場合にも、酸素以外のガスを含んだガス全体の供給量をいう。ワッシャー25の導入面210の単位面積当たりの酸素供給量は、導入面21の単位面積当たりの酸素供給量に相当する。
酸素含有ガスの供給は、S4終了後、即ち原料ガス供給と同時に開始した。なお、酸素含有ガスの供給を、S4のアルゴンスパッタリングのときに行うと、被加工材3表面がスパッタリングされにくくなり、その後にS5を行ってもDLC膜が被加工材3表面に殆ど形成されない。
酸素含有ガスの供給は、S5のDLC膜形成後に停止させた。
本プラズマ成膜方法E1を行った結果、図6に示すように、導入面には、薄黒に膜成分が付着したが、プラズマ成膜方法C1よりも付着量は少なかった。これは、チャンバー内の温度上昇、又は/及び、マイクロ波発振及び負バイアス電圧印加による酸素ガス活性化により、酸素ガスが導入面に付着した煤と反応して煤が分解されたためである。
また、プラズマ成膜方法E1を行った後では、導入面210の中でも、被加工材3を挿通させる貫通穴26に近接した部分は、貫通穴26から遠方の部分よりも膜成分の付着量が多かった。これは、以下の理由によるものと考えられる。即ち、被加工材3には負バイアス電圧及びマイクロ波が供給されているため、被加工材3の表面は高密度なプラズマが発生している。このため、導入面210の中でも被加工材3に近い部分は、高密度なプラズマに晒されて、空間中の原料ガスが分解して原料ガス由来の煤(膜成分)が付着しやすいからであると考えられる。
(プラズマ成膜方法E2)
本プラズマ成膜方法E2は、8個の導入面ガス供給部7からの酸素供給量の合計を5sccmとした点で、プラズマ成膜方法E1と相違する。プラズマ成膜方法E2では、導入面210の単位面積当たりの酸素含有ガス供給量は、0.02sccm/mmとした。
図7に示すように、プラズマ成膜方法E2を行った後の導入面に付着した膜成分は、プラズマ成膜方法E1を行った後の導入面よりも多かったが、プラズマ成膜方法C1を行った後の導入面の汚れよりも薄かった。また、導入面の中でも径方向外側の周方向に点在して白い部分があった。点在する白い部分は、導入面ガス供給部7の直近部分である。点在する白い部分は、導入面ガス供給部7から供給された酸素との接触が多く、付着した煤が効果的に燃焼除去されたものと考えられる。
なお、上記のプラズマ成膜方法C1、E1、E2における各工程のガス供給量及び各種条件を表1に示した。
<実験1>
未使用のワッシャー、S4実施後のワッシャー、プラズマ成膜方法C1、及びプラズマ成膜方法E1を行った後のワッシャーについて、それぞれの導入面のSEM−EDS(走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光法)分析を行った。SEM−EDS分析の条件を以下に示す。
・SEM−EDS分析の条件
・装置:JSM-6610LA
・加速電圧10kV 倍率1000倍
図3に示すように、各ワッシャー25の導入面210の内周端部211から径方向外側に向かってA:0.5mm、B:2.5mm、C:3.5mm離れた位置での炭素(C)原子量を測定した。測定結果を図8に示した。図8の横軸は、ワッシャー25の内周端部からの距離を示し、縦軸は鉄、炭素、酸素、及びシリコンを100原子量%としたときの炭素の原子量%を示す。
プラズマ成膜方法C1の導入面210では、圧倒的に多量の炭素が検出された。特に、導入面210の内周端部211に近い部分で炭素が多く検出された。プラズマ成膜方法E1を行った後の導入面210は、未使用のワッシャー25の導入面210と同程度に炭素の検出量が少なかった。
<実験2>
本実験2では、プラズマ成膜方法C1、E1及びE2による成膜可能時間を測定した。測定では、プラズマ成膜方法C1、E1及びE2の各方法で、DLC膜形成を繰り返した。1回の成膜処理では、被加工材3への負バイアス電圧の印加時間は300秒とした。1回ごとに被加工材3を新品に取り換えた。被加工材3にDLC膜が形成されなくなるときまで各プラズマ成膜方法を複数回繰り返した。成膜不能となったときまでの負バイアス電圧の印加時間の合計を測定し、これを成膜可能時間とした。結果を表2に示した。
成膜可能時間については、プラズマ成膜方法E1,E2では1500秒間以上と長かったが、プラズマ成膜方法C1では、45〜120秒と短かった。
本実施形態のプラズマ成膜装置10を用いたプラズマ成膜方法E1、E2では、図1に示すように、導入面ガス供給部7から導入面210に向けて酸素含有ガスを供給している。酸素含有ガス中の酸素は、プラズマにより活性化されて、導入面210に付着した膜成分の炭化水素化合物を燃焼(酸化反応)させる。このため、導入面210への膜成分の付着量を低減させることができる。ゆえに、安定なプラズマが生成され、適正な成膜処理を行うことができる。マイクロ波導入部2を取り換えることなく長時間成膜を行うことができる。
また、周壁62と被加工材3との間の隙間Lを広くすることができ、周壁62と被加工材3との間での電気的な短絡を防止できる。
また、導入面210上の包囲空間60は、周壁62により囲まれており、包囲空間60に導入面ガス供給部7から酸素が供給される。このため、酸素は、導入面210上に留まり、導入面210上に堆積した膜成分と接触する機会が多く、効率よく膜成分を燃焼させ、導入面21から炭素を除去することができる。
プラズマ成膜方法E1、E2では、導入面210の単位面積当たりの酸素含有ガス供給量は0.04sccm/mm、0.02sccm/mmとしたが、0.01〜0.12sccm/mmであることがよい。
プラズマ成膜方法E1、E2では、原料ガス供給部15からチャンバー1への原料ガスの供給と同時に導入面ガス供給部7から導入面210への酸素含有ガスの供給を開始した。しかし、酸素含有ガスの供給の開始は、S5の工程中であればよく、原料ガス供給の開始よりも後であってもよい。
更に、S5の後にも、原料ガスの供給は停止させて、更に酸素含有ガスの導入面への供給を維持させてもよい。この場合には、チャンバー内の温度上昇、又は/及び、マイクロ波発振及び負バイアス電圧印加による酸素ガス活性化により、導入面上に堆積した膜成分を酸素含有ガスの酸素で燃焼除去させることができる。これにより、膜成分を除去した導入面をもつマイクロ波導入部を備えたプラズマ成膜装置を用いて、再度、被加工材にDLC膜を形成する工程を行うことができる。
また、S5の成膜工程において酸素含有ガスを導入面に供給しなくても、S5の後に、原料ガスの供給は停止させて、マイクロ波発振及び負バイアス電圧印加は維持しつつ、更に酸素含有ガスの導入面への供給を開始させてもよい。この場合には、導入面上に堆積した膜成分を酸素含有ガスの酸素で燃焼させて確実に除去させることができる。
本実施形態においては、プラズマ成膜方法E1、E2では、チャンバー内部の温度が、S2〜S5で500℃まで昇温させたが、これはチャンバー内部に高密度プラズマが発生したためである。この温度で、導入面に付着した膜成分が燃焼した。本実施形態においては、導入面をヒータで加熱させなくても、プラズマにより活性化された酸素により、導入面に付着した膜成分が燃焼除去された。
本実施形態においては、導入面21の上に、ワッシャー25を配置している。このため、DLC成膜時に、ワッシャー25が膜成分で汚れることはあっても、マイクロ波導入部2自体は汚れない。ワッシャー25を導入面21に配置してDLC成膜を行うことで、マイクロ波導入部2の汚れを防止でき、マイクロ波導入部2の交換の手間を防止できる。
(第2実施形態)
第2実施形態のプラズマ成膜装置10は、図9に示すように、チャンバー1内部に被加工材3だけでなくターゲット39も配設している。
第2実施形態のプラズマ成膜装置10では、ターゲット39が炭素棒である。ターゲット39は、電圧印加部5に接続されていて、電圧印加部5により負バイアス電圧が印加されている。ターゲット39は、マイクロ波導入部2のリング状の導入面21の中央に隣接する凹状の保持部22に立設されている。ターゲット39の先端は、チャンバー1の開口から外部に突出している。ターゲット39の先端は、チャンバー1の開口の周縁に設けられた絶縁材17により気密に保持されていて、チャンバー1内部を閉塞している。
チャンバー1内部には、円筒状の被加工材3が図略の支持手段により配設される。被加工材3はアルミニウム、銅、鉄などの導電性材料からなる。被加工材3は、ターゲット39と同軸状に、且つターゲット39を同軸的に包囲して配置されている。
チャンバー1の下壁13の下側であって同軸アンテナ41の径方向外側には、プラズマ励起用マグネットコイル又は永久磁石の配列8を配置することができる。
チャンバー1の側壁11の下方には、プラズマ生成ガス供給部19が設けられている。プラズマ生成ガス供給部19は、プラズマ生成ガスとしてのアルゴンガス、及び窒素ガスをチャンバー1に供給する。また、チャンバー1の側壁11の上方には、ガス排出部16が設けられている。ガス排出部16は、チャンバー1内部のガスを外部に排出して、チャンバー1内部を所定の気圧、例えば真空に近い気圧に維持している。第2実施形態のプラズマ成膜装置のその他の点は、第1実施形態と同様である。
上記のプラズマ成膜装置10を用いて被加工材3に成膜を行うに当たっては、第1実施形態と同様にS1〜S6の各工程を行う。D5の成膜工程では、ターゲット39にマイクロ波供給及び負バイアス電圧印加が行われる。負バイアス電圧を印加された前記ターゲットの表面に沿ってシース層が形成され、ターゲット39の表面に沿ってアルゴンガス由来の高密度プラズマが促進されて、ターゲット39にスパッタリングが行われる。ターゲット39から生成した膜成分が被加工材3表面に付着して、被加工材3表面にDLC膜が形成される。
ここで、第1実施形態のプラズマ成膜方法C1のように導入面ガス供給部7から酸素含有ガスを供給しない場合には、成膜工程を行っていると、次第に、マイクロ波導入部2の導入面21が黒く汚れてくる。導入面21上の黒い汚れは、ターゲット39がスパッタリングされて生成した膜成分である。
第1実施形態のプラズマ成膜方法E1及びE2のように導入面ガス供給部7から酸素含有ガスを供給すると、ターゲット39のスパッタリングにより生じた膜成分が、酸素含有ガス中の酸素により燃焼して、導入面21から除去される。このため、導入面21への膜成分の付着量を低減させることができる。ゆえに、安定なプラズマが生成され、被加工材表面にDLC膜を適正に形成することができる。マイクロ波導入部2を取り換えることなく、長時間成膜を行うことができる。
第1、第2実施形態では、導入面ガス供給部7が、酸素含有ガスを導入面21の面方向と平行に向けて包囲空間60に供給しているが、導入面ガス供給部7の開口を傾斜させてもよい。導入面ガス供給部7の開口を径方向内側に対して下側に傾斜させることが好ましい。この場合には、導入面21のうち膜成分が堆積しやすい被加工材3近傍に効果的に酸素が供給されて、導入面21における被加工材3近傍の膜成分を効果的に燃焼除去することができる。また、導入面ガス供給部7の開口を周壁62の周方向に向けてもよい。
第1、第2実施形態では、導入面21を周壁62により囲み、周壁62に設けた導入面ガス供給部7から導入面21に向けて酸素を供給したが、これに限定されない。たとえば、チャンバー1の下側に設けた導入面ガス供給部7から導入面21に向けて酸素を供給してもよい。
第1、第2実施形態では、被加工材3の表面にDLC膜を形成したが、DLC膜形成後に、原料ガス供給部15からの原料ガス供給を停止して、導入面ガス供給部7から酸素を供給してもよい。この場合、酸素により導入面に付着した膜成分を完全に燃焼除去することができる。導入面に付着した膜成分を燃焼除去させるために、酸素の供給とともにマイクロ波発振器からのマイクロ波の供給と導電体への負バイアス電圧の印加を行って酸素を活性化したり、チャンバー内部の温度を上昇させて酸素で膜成分を燃焼させたりしてもよい。たとえば、図4のS5とS6の間に、ワッシャー25に付着した膜成分を除去する工程を設けてもよい。
第1、第2実施形態では、被加工材3としてステンレス丸棒材を用いたが、導電性であればこれに限定されない。被加工材3の材質は、銅、アルミニウム等であってもよい。また、被加工材3の形状は棒材であるが、これに限定されず、パイプ、板状体であってもよい。
第1、第2実施形態では、被加工材表面に形成する被膜はDLC膜であったが、DLC膜の下地処理を行っても良い。例えば、被加工材表面に形成するDLC膜の下地としてCr膜、Ti膜等の金属膜を成膜してもよい。
第1、第2実施形態では、原料ガスはTMS及びメタンであったが、これに限らず、炭素を含む成分ガスであればよく、その他、アセチレン、ベンゼン等を用いることも可能である。
第2実施形態では、ターゲットは、炭素棒であったが、これに限らず、Cr、Ti等の金属ターゲットであってもよい。
第1、第2実施形態では、マイクロ波導入部2の導入面21はリング状であり、第1実施形態では、導入面21の中央に隣接して被加工材3を保持する保持部22を設けており、また、第2実施形態では、導入面21の中央に隣接してターゲット39を保持する保持部22を設けている。しかし、保持部22は、導入面21に隣接していなくてもよく、例えば、マイクロ波導入部2以外のチャンバーなどの部材により保持されていてもよい。
また、第1、第2実施形態において、被加工材3をチャンバー1に固定するために、導電性の保持具を用いてもよい。この場合、保持具は、例えば、マイクロ波導入部2の保持部22に保持する。被加工材3、及び場合によって保持具には、負のバイアス電圧が印加されるため、チャンバー1と絶縁させて固定されれば、その固定方法は特に限定されない。
第2実施形態において、ターゲット39をチャンバー1に固定するために、導電性の保持具を用いてもよい。この場合、保持具は、例えば、マイクロ波導入部2の保持部22に保持する。ターゲット39、及び場合によって保持具には、負のバイアス電圧が印加されるため、チャンバー1と絶縁させて固定されれば、その固定方法は特に限定されない。
第1、第2実施形態では、導入面ガス供給部7から導入面21に向けて酸素含有ガスを供給したが、膜成分となる原料ガスを含まない非原料ガスであれば特に限定されない。非原料ガスとは、被加工材表面に形成される被膜の膜成分となる原料を含まないガスをいう。膜成分となる原料を含むガス(例えば、メタンガス)を導入面に供給すると、ガスの燃焼により煤が生じて導入面に煤が付着して導入面が却って汚れてしまうおそれがあるので、当該膜成分となる原料ガスを除く。例えば、酸素含有ガスとともに又は酸素含有ガスに代えて、非炭化水素系ガスを導入面21に供給してもよい。非炭化水素系ガスは、炭化水素系化合物を含まない非炭化水素系ガスである。非炭化水素系ガスは、例えば、水素ガス、窒素ガス、二酸化炭素ガス、空気、及びハロゲンガスの中から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。これらのガスは、導入面に付着した膜成分を燃焼除去させることはできなくても、導入面21への原料ガスの接触が妨げられ、導入面に膜成分が付着することを防止できる。したがって、導入面への膜成分の付着量を低減させることができる。
(1)本発明のプラズマ成膜装置10は、チャンバー1と、チャンバー1内部に原料ガスを供給する原料ガス供給部15と、チャンバー1内のガスを排出するガス排出部16と、マイクロ波を発生させるマイクロ波発振器4と、チャンバー1に固定されマイクロ波発振器4で発生したマイクロ波をチャンバー1内部に導入するマイクロ波導入部2と、被加工材3を含む導電体に負バイアス電圧を印加する電圧印加部5と、を備え、被加工材3表面に原料ガス由来の被膜を形成するプラズマ成膜装置10であって、更に、マイクロ波導入部2のチャンバー1内部に対面している導入面21に、非原料ガスを供給する導入面ガス供給部7を備えていることを特徴とする。
上記プラズマ成膜装置10は、負バイアス電圧を印加された被加工材の表面に沿ってシース領域を形成させる。マイクロ波導入部を通じてマイクロ波を被加工材に供給することで、被加工材の表面に沿って高密度プラズマが促進される。原料ガスがプラズマ化され、原料ガス由来の被膜が被加工材表面に形成される。
ここで、プラズマ成膜装置10は、マイクロ波導入部2の導入面21に、非原料ガスを供給する導入面ガス供給部7を備えている。導入面ガス供給部7から、マイクロ波導入部2のチャンバー1内部に対面している導入面21に非原料ガスが供給される。非原料ガスは、被膜の原料を含まないガスをいう。導入面21に非原料ガスを供給すると、導入面21に膜成分が付着することが低減される。このため、導入面への膜成分の付着量を低減させることができる。マイクロ波導入部2を取り換えることなく、長時間成膜を行うことができる。
(2)本発明のプラズマ成膜装置10は、チャンバー1と、チャンバー1内部にプラズマ生成ガス(アルゴンガス)を供給するプラズマ生成ガス供給部と、チャンバー1内部のガスを排出するガス排出部16と、マイクロ波を発生させるマイクロ波発振器4と、マイクロ波発振器4で発生したマイクロ波をチャンバー1内部に導入するマイクロ波導入部2と、導電性を有するターゲット39を含む導電体に負バイアス電圧を印加する電圧印加部5と、を備え、ターゲット39から生成した膜成分からなる被膜を被加工材3表面に形成するプラズマ成膜装置10であって、更に、マイクロ波導入部2のチャンバー1内部に対面している導入面21に、非原料ガスを供給する導入面ガス供給部7を備えていることを特徴とする。
上記プラズマ成膜装置10は、マイクロ波導入部2の導入面21に、非原料ガスを供給する導入面ガス供給部7を備えている。導入面ガス供給部7から、マイクロ波導入部2のチャンバー1内部に対面している導入面21に非原料ガスが供給される。導入面21に非原料ガスを供給すると、導入面21への膜成分の付着を抑制できる。このため、導入面への膜成分の付着量を低減させることができる。マイクロ波導入部2を取り換えることなく、長時間成膜を行うことができる。
(3)マイクロ波導入部2は、導入面21に隣接した部分に、導電体を保持する保持部22を有することが好ましい。
保持部22に導電体を保持したときに、導入面21は導電体に近接するため、多くの膜成分が付着する傾向にある。この場合にも、導入面ガス供給部7により導入面21に非原料ガスを供給することで、導入面21に付着した膜成分を燃焼除去できる。
(4)チャンバー1は、導電体と包囲空間60を隔てて配置され導入面21を囲む周壁62を有し、周壁62に導入面ガス供給部7が設けられていることが好ましい。
周壁62は、導入面21を囲み、導電体と包囲空間60を隔てて配置されている。このため、非原料ガスは、導入面21に供給されると、周壁62で囲まれた包囲空間60に滞留しやすい。包囲空間6内の非原料ガスは、原料ガスが導入面21に付着することを確実に抑制できる。
(5)周壁62には、周方向に複数の導入面ガス供給部7が配設されていることが好ましい。
導入面21に均一に、非原料ガスを供給することができ、導入面21への膜成分の付着を均一に低減させることができる。
(6)本発明のプラズマ成膜方法は、チャンバー1と、チャンバー1内部に原料ガスを供給する原料ガス供給部15と、チャンバー1内部のガスを排出するガス排出部16と、マイクロ波を発生させるマイクロ波発振器4と、マイクロ波発振器4で発生したマイクロ波をチャンバー1内部に導入するマイクロ波導入部2と、導電性を有する被加工材3を含む導電体に負バイアス電圧を印加する電圧印加部5と、を備えるプラズマ成膜装置10を用いて、被加工材3表面に原料ガス由来の被膜を形成する成膜工程をもち、成膜工程は、マイクロ波導入部2のチャンバー1内部に対面している導入面21に、非原料ガスを供給する第1供給工程をもつことを特徴とする。
上記プラズマ成膜方法は、成膜工程において、マイクロ波導入部2の導入面21に酸素含有ガスを供給している。導入面21に非原料ガスを供給すると、導入面21への膜成分の付着が抑制される。このため、導入面への膜成分の付着量を低減させることができる。マイクロ波導入部2を取り換えることなく、長時間成膜を行うことができる。
(7)本発明のプラズマ成膜方法は、チャンバー1と、チャンバー1内部にプラズマ生成ガス(アルゴンガス)を供給するプラズマ生成ガス供給部19と、チャンバー1内部のガスを排出するガス排出部16と、マイクロ波を発生させるマイクロ波発振器4と、マイクロ波発振器4で発生したマイクロ波をチャンバー1内部に導入するマイクロ波導入部2と、導電性を有するターゲット39を含む導電体に負バイアス電圧を印加する電圧印加部5と、を備えるプラズマ成膜装置10を用いて、ターゲット39から生成した膜成分からなる被膜を被加工材3表面に形成する成膜工程をもち、成膜工程は、マイクロ波導入部2のチャンバー1内部に対面している導入面21に、非原料ガスを供給する第1供給工程をもつことを特徴とする。
上記プラズマ成膜方法は、成膜工程において、マイクロ波導入部2の導入面21に酸素含有ガスを供給している。導入面21に非原料ガスを供給すると、導入面21への膜成分の付着が抑制される。このため、導入面への膜成分の付着量を低減させることができる。マイクロ波導入部2を取り換えることなく、長時間成膜を行うことができる。
(8)成膜工程の後に、原料ガス供給部15からの原料ガスの供給を停止して、導入面ガス供給部7から導入面21に酸素含有ガスを供給する第2供給工程をもつことが好ましい。この場合には、成膜工程で導入面21に付着した膜成分が、酸素により燃焼される。これにより、導入面21の膜成分が除去される。マイクロ波導入部2は、マイクロ波を通過させることが可能となり、その後に、再度、成膜工程を行うことで被加工材3表面に被膜を形成できる。
(9)非原料ガスは、酸素含有ガスであることが好ましい。酸素含有ガスの中の酸素により、成膜工程で導入面21に付着した膜成分が燃焼されて、導入面21の膜成分が除去される。
(10)非原料ガスは、非炭化水素系ガスを含むことが好ましい。非炭化水素系ガスは、炭化水素系化合物を含まない非炭化水素系ガスである。非炭化水素系ガスを導入面21に供給することにより、導入面への原料ガスの接触が妨げられ、導入面に膜成分が付着することを防止できる。
(11)また、表面処理装置は、チャンバー1と、プラズマ生成ガスをチャンバー1に供給するプラズマ生成ガス供給部19と、チャンバー1内部のガスを排出するガス排出部16と、マイクロ波を発生させるマイクロ波発振器4と、マイクロ波発振器4で発生したマイクロ波をチャンバー1内部に導入するマイクロ波導入部2と、マイクロ波導入部2のチャンバー1内部に対面している導入面21と、チャンバー1内部に炭素を含む付着成分で被覆された被加工材3を保持する保持手段と、被加工材3に向けて、酸素含有ガスを供給する導入面ガス供給部7と、を備えていることを特徴とする。
上記表面処理装置は、酸素含有ガス中の酸素がプラズマにより活性化されて、被加工材3の表面の炭素を含む付着成分を燃焼させる。このため、被加工材3表面の付着成分を除去することができる。炭素を含む付着成分は、上記の膜成分と同様のものであり、例えば、炭化水素、炭素などである。被加工材3は、表面に炭素を含む汚れが付着したものを用いるとよい。たとえば、被加工材3は、上記(1)のプラズマ成膜方法を行って導入面21が汚れたマイクロ波導入部2であってもよい。プラズマ生成ガスは、例えば、アルゴンガスなどの不活性ガスが挙げられる。
(12)表面処理方法は、チャンバー1と、プラズマ生成ガスをチャンバー1に供給するプラズマ生成ガス供給部19と、チャンバー1内のガスを排出するガス排出部16と、マイクロ波を発生させるマイクロ波発振器4と、チャンバー1に固定されマイクロ波発振器4で発生したマイクロ波をチャンバー1内部に導入するマイクロ波導入部2と、チャンバー1内部に炭素を含む膜成分で被覆された被加工材3を保持する保持手段と、被加工材3に向けて、酸素含有ガスを供給する導入面ガス供給部7と、を備えた表面処理装置を用いて、導入面ガス供給部7から酸素含有ガスを被加工材3に向けて供給することで、被加工材3表面の付着成分を除去することを特徴とする。
上記表面処理方法は、酸素含有ガス中の酸素がプラズマ放電により活性化されて、被加工材3の表面の炭素を含む膜成分を燃焼させる。このため、被加工材3表面の被膜を除去することができる。炭素を含む付着成分は、例えば、炭化水素、炭素である。被加工材3は、表面に炭素を含む汚れが付着したものを用いるとよい。たとえば、被加工材3は、上記(8)又は(9)のプラズマ成膜方法を行って導入面21が汚れたマイクロ波導入部2であってもよい。
1:チャンバー、10:プラズマ成膜装置、15:原料ガス供給部、16:ガス排出部、19:プラズマ生成ガス供給部、2:マイクロ波導入部、21,210:導入面、25:ワッシャー、3:被加工材、39:ターゲット、4:マイクロ波発振器、5:電圧印加部、6:酸素流入治具、60:包囲空間、65:環状囲み部、66:リング部材、61:被覆壁、62:周壁、7:導入面ガス供給部。

Claims (10)

  1. チャンバーと、前記チャンバー内部に原料ガスを供給する原料ガス供給部と、前記チャンバー内部のガスを排出するガス排出部と、マイクロ波を発生させるマイクロ波発振器と、前記マイクロ波発振器で発生したマイクロ波を前記チャンバー内部に導入するマイクロ波導入部と、導電性を有する被加工材を含む導電体に負バイアス電圧を印加する電圧印加部と、を備え、前記被加工材表面に前記原料ガス由来の被膜を形成するプラズマ成膜装置であって、
    更に、前記マイクロ波導入部の前記チャンバー内部に対面している導入面に、非原料ガスを供給する導入面ガス供給部を備えていることを特徴とするプラズマ成膜装置。
  2. チャンバーと、前記チャンバー内部にプラズマ生成ガスを供給するプラズマ生成ガス供給部と、前記チャンバー内部のガスを排出するガス排出部と、マイクロ波を発生させるマイクロ波発振器と、前記マイクロ波発振器で発生したマイクロ波を前記チャンバー内部に導入するマイクロ波導入部と、導電性を有するターゲットを含む導電体に負バイアス電圧を印加する電圧印加部と、を備え、前記ターゲットから生成した膜成分からなる被膜を被加工材表面に形成するプラズマ成膜装置であって、
    更に、前記マイクロ波導入部の前記チャンバー内部に対面している導入面に、非原料ガスを供給する導入面ガス供給部を備えていることを特徴とするプラズマ成膜装置。
  3. 前記マイクロ波導入部は、前記導入面に隣接した部分に、前記導電体を保持する保持部を有する請求項1又は2に記載のプラズマ成膜装置。
  4. 前記チャンバーは、前記導電体と包囲空間を隔てて配置され前記導入面を囲む周壁を有し、前記周壁に前記導入面ガス供給部が設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載のプラズマ成膜装置。
  5. 前記周壁には、周方向に複数の前記導入面ガス供給部が配設されている請求項4に記載のプラズマ成膜装置。
  6. チャンバーと、前記チャンバー内部に原料ガスを供給する原料ガス供給部と、前記チャンバー内部のガスを排出するガス排出部と、マイクロ波を発生させるマイクロ波発振器と、前記マイクロ波発振器で発生したマイクロ波を前記チャンバー内部に導入するマイクロ波導入部と、導電性を有する被加工材を含む導電体に負バイアス電圧を印加する電圧印加部と、を備えるプラズマ成膜装置を用いて、前記被加工材表面に前記原料ガス由来の被膜を形成する成膜工程をもち、
    前記成膜工程は、前記マイクロ波導入部の前記チャンバー内部に対面している導入面に、非原料ガスを供給する第1供給工程をもつことを特徴とするプラズマ成膜方法。
  7. チャンバーと、前記チャンバー内部にプラズマ生成ガスを供給するプラズマ生成ガス供給部と、前記チャンバー内部のガスを排出するガス排出部と、マイクロ波を発生させるマイクロ波発振器と、前記マイクロ波発振器で発生したマイクロ波を前記チャンバー内部に導入するマイクロ波導入部と、導電性を有するターゲットを含む導電体に負バイアス電圧を印加する電圧印加部と、を備えるプラズマ成膜装置を用いて、前記ターゲットから生成した膜成分からなる被膜を被加工材表面に形成する成膜工程をもち、
    前記成膜工程は、前記マイクロ波導入部の前記チャンバー内部に対面している導入面に、非原料ガスを供給する第1供給工程をもつことを特徴とするプラズマ成膜方法。
  8. 前記成膜工程の後に、前記原料ガス供給部からの前記原料ガスの供給を停止して、前記導入面ガス供給部から前記導入面に、酸素含有ガスを供給する第2供給工程をもつ請求項6に記載のプラズマ成膜方法。
  9. 前記非原料ガスは、酸素含有ガスである請求項6〜8のいずれかに記載のプラズマ成膜方法。
  10. 前記非原料ガスは、非炭化水素系ガスを含む請求項6〜8のいずれかに記載のプラズマ成膜方法。
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