JP2000073175A - 表面処理装置 - Google Patents

表面処理装置

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JP2000073175A
JP2000073175A JP10257644A JP25764498A JP2000073175A JP 2000073175 A JP2000073175 A JP 2000073175A JP 10257644 A JP10257644 A JP 10257644A JP 25764498 A JP25764498 A JP 25764498A JP 2000073175 A JP2000073175 A JP 2000073175A
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Japan
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microwave
cavity resonator
substrate
plasma
processing container
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JP10257644A
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English (en)
Inventor
Hisaaki Sato
久明 佐藤
Kojin Nakagawa
行人 中川
Etsuo Wani
悦夫 和仁
Kozo Miura
好三 三浦
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Canon Anelva Corp
Original Assignee
Anelva Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 300MHz〜1GHzの低UHF帯のマイ
クロ波を使用することにより、広い領域に均一なプラズ
マを生成して、大面積の基板に均一な表面処理を行な
う。 【解決手段】 ガス供給系5からガスを供給しながら、
排気系6で排気して、処理容器3内を所定の圧力に保
つ。マイクロ波発生器1で低UHF帯のマイクロ波を発
生させ、空洞共振器2内でTM010モードで共振させ
る。隔壁板20に形成された長孔25を通してマイクロ
波を放電室4内に放射し、プラズマを形成する。このプ
ラズマを利用して基板30の表面に、エッチングやCV
Dなどの処理を行なう。隔壁板20の底面は上に凸状に
窪んでいて、隔壁板20と基板載置台31との間のギャ
ップは、基板30の中心から半径方向に離れるほど狭く
なっている。これにより、プラズマが均一になり、処理
も均一になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ドライエッチン
グや化学的気相蒸着(CVD)などのようにプラズマを
利用して被処理体の表面に所定の処理を施す表面処理装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】プラズマを用いて被処理体の表面に処理
を施すことは、LSI(大規模集積回路)のような半導
体素子や、LCD(液晶ディスプレイ)のような表示装
置を製作する際に頻繁に使用されている。プラズマは、
大まかには、非平衡プラズマと平衡プラズマに分類され
る。平衡プラズマは、プラズマを構成している電子、イ
オン及び中性粒子(分子または原子)の温度がほぼ等し
く、熱平衡状態にあるプラズマである。一方、非平衡プ
ラズマは、電子の平均エネルギーがイオンや中性粒子の
平均エネルギーよりも大きな状態にあるプラズマであ
る。非平衡プラズマは荷電粒子(電子及びイオン)の熱
運動がクーロン力による運動に比べて無視できる程度に
小さいため、「低温プラズマ」と呼ばれることもある。
非平衡プラズマないしは低温プラズマは、高いエネルギ
ーの電子によって原料ガスを分解して必要なラジカルや
イオンを生成することができる。このため、このような
ラジカルやイオンを利用した微細加工や薄膜作成等の表
面処理に盛んに応用されている。
【0003】このような非平衡プラズマないしは低温プ
ラズマを形成する方式として、高周波を利用する方式が
従来より採用されている。高周波を用いてプラズマを形
成する表面処理装置のひとつの例として、マイクロ波を
利用するものが従来より開発されている。この場合、電
子にエネルギーを注入する方法として、電子が磁場の作
用によりサイクロトロン運動をするときの周波数を、マ
イクロ波の周波数と合致させて、共鳴状態にする方法
と、マイクロ波を空洞共振器に導入してその振幅を大き
くする方法とがある。以下、本願発明に関係する後者の
方式の従来装置について述べる。
【0004】空洞共振器を使用する表面処理装置の従来
例としては、まず、特開昭56-96841号公報に示
されたものがある。図6は、この公報に記載された従来
の表面処理装置の正面断面図である。この表面処理装置
では、マイクロ波発生器1で発生した周波数2.45G
Hzのマイクロ波が空洞共振器2に導入されて共振す
る。これによって形成されたプラズマにより、処理容器
3内の基板載置台31に載置された基板30の表面処理
が行われる。処理容器3には、ガス供給口32及び排気
口33が設けられている。処理容器3内にガスが導入さ
れ、このガスにマイクロ波のエネルギーが与えられて上
記プラズマが形成される。
【0005】この図6に示す従来の表面処理装置では、
空洞共振器2の内部でプラズマが形成されるため、プラ
ズマの影響により空洞共振器2の共振条件が変化してし
まう。その結果、プラズマが不安定であるという欠点が
あった。この欠点を解決するために次に登場したのが、
特開平8-246146号公報あるいは特開平8-314
44号公報に示された装置である。図7は、一例とし
て、特開平8-31444号公報に示された従来の表面
処理装置を示す正面断面図である。
【0006】この図7に示す従来の表面処理装置では、
空洞共振器2と処理容器3の間に誘電体板41が設けら
れていて、両者を区画している。処理容器3の上端開口
の縁には、容器フランジ34が設けられている。ガス供
給口32は、この容器フランジ34に形成されている。
空洞共振器2の下端開口の縁は、この容器フランジ34
に接続されている。両者の接続部分はOリングのような
シール部材9で真空シールされている。
【0007】誘電体板41は、その周囲が金属製フラン
ジ42で保持されている。金属製フランジ42と誘電体
板41はろう付けにより気密に接合されている。容器フ
ランジ34と金属製フランジ42との間には環状の隙間
43が形成されている。この隙間43は、ガス供給口3
2から供給されるガスのガス溜めである。ガス供給口3
2から供給されるガスは上記隙間43を満たすことにな
る。
【0008】誘電体板41の下側には、ガス拡散板50
が設けられている。ガス拡散板50の内部にはガスの通
路が形成されていて、ガス拡散板50の下面にはガスの
噴き出し孔が多数開口している。上記隙間43に入った
ガスは、このガス拡散板50を経由して処理容器3内に
噴き出す。
【0009】誘電体板41の処理容器3側の表面には、
図8に示すように、金属メッキ膜21が形成されてい
る。この金属メッキ膜21には2.45GHzのマイク
ロ波の波長の半分以上の長さのスリット21cが形成さ
れている。空洞共振器2内で共振するマイクロ波は、金
属メッキ膜21のスリット21cを通して処理容器3内
に放射される。そして、処理容器3内のガス雰囲気中で
プラズマが形成される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】最近の表面処理装置へ
の要請のひとつに、処理領域の大面積化が挙げられる。
この要請は、半導体素子の製作の場合には、一枚の大き
な半導体ウェハから作られる半導体回路素子の数をでき
るだけ多くする必要性から生じる。LCDのような表示
装置の場合には、大画面の表示装置を作るのに大型の基
板を必要とするので、大きな処理領域が必要になってく
る。
【0011】マイクロ波を利用してプラズマを生成する
上述のような表面処理装置においては、処理領域を大き
くしようとした場合、マイクロ波の周波数を従来の2.
45GHzより低くした方が好ましいと考えられる。こ
れは、以下のような理由による。
【0012】空洞共振器の大きさは、処理領域の面積に
合うように決定される。すなわち、処理領域が大きくな
るに従って、空洞共振器の直径も大きくなる。この場
合、高い周波数のマイクロ波を使うと、空洞共振器の大
きさで定まる基本モードの共振周波数と比較して、マイ
クロ波の波長が相対的に短くなる。つまり、空洞共振器
内では、高次モード(電界の山谷がたくさん形成された
状態)でマイクロ波が共振することになる。このような
高次モードで共振するマイクロ波を用いてプラズマを生
成すると、空洞共振器の動作が不安定になり易くなる。
したがって、処理領域が大きくなるに従い、より低い周
波数のマイクロ波を用いることで、基本モードであると
ころのTM010モードで共振させるようにしたほうが、
安定性が高まることになる。
【0013】このような理由から、本願の発明者は、上
述した従来の2.45GHzのマイクロ波よりも波長が
長い低UHF帯(300MHz〜1GHz)の方が有利
であると考えて、このような帯域のマイクロ波を使用す
る表面処理装置を試作した。図9は、低UHF帯のマイ
クロ波を使用するものとして発明者が試作した表面処理
装置の構造を示す正面断面図である。
【0014】図9に示す表面処理装置は、低UHF帯の
マイクロ波を発生させるためのマイクロ波発生器1を有
する。マイクロ波発生器1で発生したマイクロ波は、同
軸線路11及びループ12を介して空洞共振器2に導入
される。空洞共振器2には、誘電体板41を介在させて
処理容器3が接続されている。処理容器3にはガス供給
口32があり、ガス供給系5から処理容器3内にガスを
供給できる。さらに、処理容器3には排気口33があ
り、排気系6によって処理容器3内を排気できる。処理
容器3内には基板載置台31が設けられている。
【0015】空洞共振器2は、マイクロ波がTM010
ード(TM:Transverse Magnetic)で共振する円筒形
の共振器である。円筒の軸は紙面の上下方向であり、基
板30と同軸すなわち基板30の中心を垂直に貫く軸と
一致している。TM010モードでは電磁界の分布がほぼ
完全な軸対称になるので、中心軸に対して垂直な面内に
軸対称性の良いプラズマが生成される。この「中心軸に
対して垂直な面」に平行に基板30を載置することによ
り、基板30の表面に軸対称性の良い処理を行なうこと
ができる。
【0016】図9に示す装置では、空洞共振器2から処
理容器3にマイクロ波を放射する構造が図7に示す装置
とは異なっている。誘電体板41の空洞共振器2側に
は、空洞共振器2の下壁部を構成する放射板22が設け
られている。放射板22は金属製の板であり、軸対称状
に複数の円形の孔23が形成されている。空洞共振器2
内で共振するマイクロ波は、この円形の孔23(以下、
放射孔と呼ぶ)を通過すると共に誘電体板41を透過し
て、処理容器3内に放射される。そして、放射されたマ
イクロ波は、処理容器3内でプラズマを発生させる。
【0017】図9に示したような試作した表面処理装置
では、発明者の検討の結果、以下のような二つの問題点
があることが判明した。第1の問題点は、表面処理の面
内分布(例えばエッチングレートの分布)が中央凸状の
分布になり、基板の面内の表面処理の均一性が悪いこと
である。第2の問題点は、プラズマの点火性が悪いこと
である。
【0018】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、その目的は、低UHF帯のマイ
クロ波を使用することにより、広い領域に均一なプラズ
マを生成して、大面積の被処理体に均一な表面処理を行
なうことができる実用的な表面処理装置を提供すること
にある。
【0019】
【課題を解決するための手段】発明者の考察によれば、
上述の二つの問題点の原因として以下の点を指摘でき
る。第1の問題点である中央凸状のエッチングレート分
布に対しては、第1の原因として放電室内の電界分布を
指摘できる。被処理体が円形の基板であると仮定する
と、放電室内のマイクロ波の電界分布は、次の(1)式
のようになり、本質的に、基板の中央で強く周辺部で弱
くなる。そして、この傾向は、基板の半径が大きいほ
ど、また、マイクロ波の周波数fが高いほど、顕著にな
る。
【数1】E=E00(kr) …(1) ここで、E0=定数 J0はベッセル関数 k=ω/c=2πf/c (fは周波数、cは光速) rは基板の中心からの半径方向の位置
【0020】例えば、周波数が60MHz、300MH
z、500MHzの三つの場合について、半径150m
m以内の電界分布を計算した例を図10のグラフに示
す。このグラフから分かるように、周波数500MHz
の場合には中央凸状の傾向が顕著である。
【0021】さらに、図9において、空洞共振器2から
処理容器3内に放射されたマイクロ波は、基板30の上
方の空間のみならず、基板載置台31の側方及び下方に
まで侵入するため、プラズマ領域が広がってしまい、特
に基板30の外周付近でのプラズマ密度が低下すること
が考えられる。
【0022】第1の問題点の第2の原因としては、放射
孔の形状を指摘できる。放射孔23が円孔であるため、
放電空間に放射されるマイクロ波の電力分布が、基板の
外周付近で弱い傾向になっているためと考えられる。
【0023】また、第2の問題点であるプラズマの点火
性が悪いことについては、プラズマが無いときの放電室
の電界が弱いことが原因として考えられる。
【0024】これらの原因への対策として、発明者は次
のように考えた。第1の問題点については、基板30と
放射板22とで形成される平行平板形のギャップを、基
板中心から離れるにつれて狭くすることにより、外周付
近での電界強度の低下を防止できる。また、放射孔を円
弧状の長孔にして、その形成位置を基板30の外形寸法
よりも大きい位置に移すことにより、マイクロ波が処理
容器3の外周付近から放射されることになり、これによ
ってエッチングレートが基板の外周付近で落ち込むこと
を防ぐことができる。
【0025】第2の問題点については、円筒形の放電室
の寸法をTM010モードで共振するような寸法にして、
プラズマが点火する前の放電室の電界を強くする。これ
によりプラズマの点火性が改善する。放電室の内径をD
(mm)、マイクロ波の周波数をf(MHz)とすれば、T
010モードの共振条件は、次の(2)式で与えられ
る。
【数2】D=(2.3×105)/f …(2)
【0026】ただし、実際には、放電室には基板を搬送
するための出し入れ口があけられるため共振周波数は上
述の理論値よりも若干低下する。したがって、この低下
分を見込んで、Dを次の(3)式の範囲内に設定するの
がよい。
【数3】D=[(2.0〜2.3)×105]/f …(3)
【0027】上述の第1の問題点を解決するために、請
求項1の発明に係る表面処理装置は、300MHzから
1GHzの範囲の低UHF帯のマイクロ波を発生させる
マイクロ波発生手段と、このマイクロ波発生手段で発生
したマイクロ波がTM010モードで共振するように形成
された円筒形の空洞共振器と、マイクロ波発生手段から
空洞共振器にマイクロ波を導入するマイクロ波導入手段
と、空洞共振器からマイクロ波が放射されるように空洞
共振器に接続された気密な処理容器と、処理容器内にガ
スを供給するガス供給系と、処理容器を排気する排気系
と、処理容器内に配置されて被処理体を保持する保持手
段とを備え、処理容器の内部の放電室が実質的に円筒形
状であり、この円筒形状の放電室の、被処理体に対向す
る端面の中央部分が、外周付近よりも、被処理体から離
れる方向に窪んでいることを特徴としている。これによ
り、放電室内の半径方向の電界分布が一様になる。な
お、この明細書において、円筒形の空洞共振器とは、完
全な円筒形の空洞共振器のほかに、その他の軸対称の空
洞共振器も含むものとする。したがって、本発明におけ
る円筒形の空洞共振器には、リエントラント形の空洞共
振器(くぼみ形空洞共振器)も含まれる。
【0028】放電室のギャップについて、より具体的に
は、放電室の前記端面と被処理体との距離が、被処理体
の中心からの半径方向の位置rに応じて、J0(kr)に
ほぼ比例して変化するようにする。ここで、J0はベッ
セル関数、kは半径方向の伝搬定数でk=ω/c、ωは
マイクロ波の角周波数、cは光速である。
【0029】放電室の前記端面は、空洞共振器と処理容
器とを隔てる隔壁板の処理容器側の面で構成することが
でき、その場合に、この隔壁板の空洞共振器側の面を、
中央部分が外周付近よりも被処理体から離れる方向に突
き出すようにすることで、隔壁板の厚さを実質的に均一
にできる。
【0030】さらに、空洞共振器と処理容器とを隔てる
隔壁板にはマイクロ波放射用の複数の円弧状の長孔を形
成する。これらの長孔は被処理体の外形よりも外側の位
置に形成し、これらの長孔は誘電体の板で気密に覆うよ
うにしている。
【0031】そして、上述の第2の問題点を解決するた
めに、放電室の内径D(mm)は、マイクロ波の周波数f
(MHz)に応じて、D=[(2.0〜2.3)×105]/f
の関係を満足するように設定している。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。図1は、この発明の第1の
実施形態の正面断面図である。図1において、この表面
処理装置は、低UHF帯のマイクロ波を発生させるマイ
クロ波発生器1を有する。マイクロ波発生器1で発生し
たマイクロ波はマイクロ波導入手段10により空洞共振
器2に導入される。空洞共振器2は、気密な処理容器3
に接続されている。処理容器3にはガス供給系5が接続
され、ガス供給口32から処理容器3内にガスを供給で
きる。処理容器3には排気系6が接続され、排気口33
から処理容器3内を排気できる。処理容器3には搬送口
35が形成され、基板30を処理容器3から出し入れで
きる。処理容器3の内部には、基板30を載置する基板
載置台31がある。
【0033】マイクロ波発生器1としては、固体素子が
通常採用され、その周波数は低UHF帯、例えば500
MHzである。具体的には、電界効果トランジスタ(F
ET)を使用した素子を使用できる。このような固体素
子としては、例えばモトローラ社製のMRF−393等
が市販されている。この実施形態では、マイクロ波発生
器1の出力は2kWである。
【0034】マイクロ波導入手段10は、マイクロ波発
生器1と空洞共振器2とをつなぐ同軸線路11と、同軸
線路11の空洞共振器2への接続部分に設けられたルー
プ12とから主に構成されている。同軸線路11は、マ
イクロ波を伝送する二線回路であり、内導体とこれを取
り囲む同軸状の外導体とからなる。内導体と外導体との
間には、必要に応じて誘電体が設けられる。
【0035】同軸線路11によって伝送されたマイクロ
波は、ループ12を介して磁界結合方式により空洞共振
器2内に導入される。ループ12により生じた磁界を基
にして、空洞共振器2内には周状に磁界が発生し、マイ
クロ波の電磁界が空洞共振器2内で共振する。
【0036】空洞共振器2は、アルミニウムまたはステ
ンレスのような金属でできた円筒形またはリエントラン
ト形(例えば、くぼみ形空洞共振器)の容器である。こ
の空洞共振器2は、マイクロ波発生器1が発生させるマ
イクロ波が最低次のTM010モードで共振するような共
振器である。この基本モードの共振周波数f0は、aを
空洞半径として、およそ次の(4)式で計算できる。こ
こで、λ0はマイクロ波の波長、cは真空中の光速であ
る。
【数4】λ0=2.61a=c/f0 …(4)
【0037】この(4)式から、例えばa=200mm
のとき、f0=575MHzとなる。なお、空洞共振器
2の軸方向の長さは半径aと同程度でよく、例えば17
5mmである。
【0038】図1に示した空洞共振器2はリエントラン
ト形である。すなわち、純粋な円筒形空洞共振器の上部
と下部に、円柱状の上部中心導体45と下部中心導体4
6とを設けたものである。中心導体45、46の軸方向
の長さは100mm程度で、直径は70mmである。中
心導体45、46の軸方向の長さを調節することで、空
洞共振器2の共振周波数を調整することができる。中心
導体45、46の材質は空洞共振器2と同様の金属であ
る。
【0039】次に、空洞共振器2と処理容器3とを隔て
る隔壁板20の構造を説明する。図2(A)は隔壁板2
0の断面図(図2(B)のA−A線断面図)であり、図
2(B)は隔壁板20を下から見た底面図である。この
隔壁板20はアルミニウム製であり、円弧状の6個の長
孔25が同一円周上に等間隔に形成されている。長孔2
5の幅は10mm程度、長さは100mm程度である。
長孔25の形成位置は、空洞共振器の中心軸から160
mm程度離れた半径方向位置にあり、基板の半径(15
0mm)よりも外側に位置している。長孔25は隔壁板
20を貫通していて、この長孔25は空洞共振器から処
理容器へとマイクロ波を放射する役割を果たしている。
隔壁板20の下面(基板に対向する面)は上に凸状に窪
んでいる。この窪み26の形状は、断面が三角形でも台
形でもその他の多角形でもよい。図面に示す実施形態で
は窪み26の断面形状は台形になっている。一番厚い部
分の厚さは約20mmであり、一番薄い部分の厚さは約
5mmである。隔壁板20の上面には、大径の誘電体リ
ング24が、長孔25を覆うように、Oリングを挟んで
気密に取り付けられている。誘電体リング24は石英ま
たはアルミナセラミック等で形成されている。この誘電
体リング24により、空洞共振器と処理容器は気密に隔
てられている。空洞共振器内で共振するマイクロ波は、
誘電体リング24を透過し、さらに長孔25を通過し
て、処理容器内に放射される。放射されたマイクロ波
は、処理容器内でプラズマを発生させる。
【0040】図1に戻って、処理容器3の上端開口の縁
には容器フランジ34が設けられており、この容器フラ
ンジ34に隔壁板20がOリングを挟んで気密に取り付
けられている。図2に示すように、ガス供給口32は隔
壁板20の外周面に接続されている。ガス供給口32か
ら供給されるガスは、隔壁板20の内部に形成された通
路27を通って環状空間28に入り、多数のガス噴き出
し孔29から処理容器内に噴き出す。
【0041】図1に戻って、ガス供給系5は、ガスボン
ベ53と流量調整器54とバルブ52とそれらをつなぐ
配管51とを備えている。排気系6は、処理容器3の底
面の排気口33に接続されていて、ターボ分子ポンプの
ような真空ポンプを備えている。この排気系6は、ガス
供給系5から処理容器3にガスを供給している状態で、
処理容器3内を1Torr〜10-3Torr程度の圧力
に排気できる。
【0042】処理容器3内のほぼ中央には、プラズマに
よって処理される位置に基板載置台31が設けられてい
る。この基板載置台31は、被処理体である基板30を
保持する保持手段である。基板載置台31は、ステンレ
スのような金属製であり、支柱311によって支えられ
ている。支柱311は処理容器3の底面を気密に貫通し
ている。
【0043】この基板載置台31は、基板30に一定の
バイアス電位を印加する電極の役割を兼ねている。基板
載置台31には、処理容器3の外部に設けられた高周波
電源7が接続されている。高周波電源7が印加する高周
波電圧とプラズマとの相互作用によって、基板載置台3
1上の基板30にはプラズマに対して負のバイアス電位
が発生する。基板載置台31及び支柱311の周囲を覆
うようにして絶縁体312が設けられており、この絶縁
体31は処理容器3(接地されている)から基板載置台
31を電気的に絶縁している。
【0044】絶縁体312の周囲には金属製のシールド
部品313が装着されている。シールド部品313の上
端部と処理容器3の間にはバッフル板314があり、シ
ールド部品31の上端はバッフル板314と処理容器3
を介して接地されている。バッフル板314は金属製で
あり、多数の小孔が上下方向に貫通するように形成され
ている。このバッフル板314は放電室4の形状を円筒
形状に限定している。放電室4の上方の境界は隔壁板2
0であり、下方の境界はバッフル板314とシールド部
品313の上端と絶縁体312の上端と基板載置台31
であり、側面の境界は処理容器3の内壁である。この円
筒状の放電室4の内径D(mm)は、マイクロ波の周波数
f(MHz)に対応して、D=[(2.0〜2.3)×1
5]/f の関係を満足するように設定されている。例
えば、周波数が500MHzの場合には、放電室4の内
径Dは440mmとなる。これにより、プラズマが発生
する前において、放電室がTM010モードの共振条件を
満足するようになり、電界強度が大きくなって、プラズ
マの点火性が改善する。
【0045】次に、図1の装置の動作を説明する。基板
30を搬送口35を通して処理容器3内に搬入し、基板
載置台31上に載置する。基板載置台31内には必要に
応じて静電吸着機構が設けられ、基板30を静電吸着す
る。ガス供給系5によってガス供給口32を通して処理
容器3内に所定のガスを供給しながら、排気系6によっ
て処理容器3内を排気し、処理容器3内を所定の圧力に
保つ。この状態で、マイクロ波発生器1で低UHF帯の
マイクロ波を発生させる。マイクロ波は同軸線路11に
よって伝送されて、ループ12を介して空洞共振器2に
導入される。
【0046】マイクロ波は空洞共振器2内でTM010
ードで共振しながら、隔壁板20に形成された長孔25
を通して放電室4内に放射される。放射されたマイクロ
波は、放電室4内に供給されたガスにそのエネルギーを
注入して、プラズマを形成する。そして、このプラズマ
を利用して基板30の表面に所望の処理が施される。例
えば、プラズマ反応イオンエッチングを行なう場合に
は、プラズマ中で活性種例えばフッ素系活性種を生成す
るガスを供給し、活性種で基板30をエッチングする。
また、プラズマCVDを行なう場合は、プラズマ中で分
解反応する原料ガスを供給し、基板30上に所望の薄膜
を堆積させる。
【0047】本実施形態で使用しているような低温プラ
ズマでは、プラズマの電子温度は低く、基板30に入射
するイオンの加速電圧となるプラズマ電位も通常20〜
30V程度である。この場合、高周波電源7によって基
板30に負のセルフバイアス電圧を発生させると、プラ
ズマ中からイオンが引き出されて基板30へ衝突するの
が促進される。このような構成は、比較的大きなエネル
ギーを必要とするリアクティブイオンエッチングの場合
に好適である。
【0048】上述した動作において、図1に示すよう
に、隔壁板20の底面は上に凸状に窪んでいる。したが
って、隔壁板20と基板載置台31との間の距離(ギャ
ップ)は、基板30の中心から半径方向に離れるほど狭
くなっている。これによる効果を以下に説明する。図3
(A)は隔壁板20の底面が平坦になっている場合にお
ける、隔壁板20と基板30との間のギャップと、そこ
での電界分布を示したものである。電界は矢印で模式的
に示してあり、矢印の密度が電界の強度を表わしてい
る。隔壁板20と基板30の間の距離はどこでも同じで
あり、電界分布は基板の中心付近で強く、外周付近で弱
くなっている。この電界分布は、上述の(1)式のE=
00(kr)で与えられるような中央凸状分布である。
【0049】これに対して、図3(B)は本実施形態の
ように隔壁板20の底面に窪みを設けた場合の電界分布
である。隔壁板20と基板30との距離は、基板の中心
付近で大きく、外周付近で小さくなっている。これによ
り、上述の中央凸状の電界分布が補正されて、基板の半
径方向においてほぼ均一な電界分布が得られる(図面に
示すように、電界を示す矢印の密度がほぼ一様であ
る)。ところで、プラズマ中のイオンは基板30に垂直
に入射する。本実施形態では、プラズマが径方向に均一
になることとあいまって、基板への電界が垂直になるこ
とから、基板30へのイオン入射量も径方向に均一にな
る。このような点は、例えば基板30の表面に形成され
た溝や穴の底部にイオンを多く到達させる必要がある場
合に特に有利である。
【0050】なお、図3に示した電界分布はプラズマが
発生する前の状態であり、プラズマが発生すると電界分
布は次のように変化すると考えられる。プラズマは導電
性であるから、電界はプラズマの内部には入っていけ
ず、基板とプラズマとの間にできるシース領域と、プラ
ズマと隔壁板との間にできるシース領域とにおいて、電
界分布が生じることになる。この場合、これらの二つの
シース領域を新たな平行平板ギャップとみなすことがで
きる。そして、図3(A)に示す従来技術では、二つの
シース領域における電界分布もまた、上述の(1)式の
E=E00(kr)で与えられるような中央凸状分布にな
ると考えられる。一方、図3(B)に示す本実施形態の
場合には、二つのシース領域における電界分布もまた、
基板の半径方向においてほぼ均一な電界分布になると考
えられる。
【0051】次に、本発明の第2の実施形態を説明す
る。図4は第2の実施形態の表面処理装置を示す正面断
面図である。この図4に示す装置は、図1の装置と比較
して、隔壁板20aの構造が異なっている。この隔壁板
20aは、底面に窪みが形成されているのは図1と同じ
であるが、隔壁板20の上面が図1では平坦であるのに
対して、図4では隔壁板20aの厚さが一様になるよう
に上面の中央部分が外周付近よりも基板30から離れる
方向に突き出している。こうすると、隔壁板20の中央
付近の厚さをあまり薄くせずにすみ、機械的強度を保つ
ことができる。さらに、隔壁板20aの厚さが均一にな
るので、図2に示した環状空間28を形成し易くなる。
【0052】次に、本発明の第3の実施形態を説明す
る。図5は第3の実施形態の表面処理装置を示す正面断
面図である。この5に示す装置も、図1の装置と比較し
て、隔壁板20bの構造が異なっている。この隔壁板2
0bは、その断面において、曲面状に上に凸に湾曲して
いる。こうすることにより、上述の理論式のE=E00
(kr)によって与えられる電界分布を理想的な形で補正
できる。
【0053】冒頭に述べたように、本発明は非平衡プラ
ズマいわゆる低温プラズマを用いて表面反応を進行させ
る場合に利用されるが、これに限られるものではなく、
その他のプラズマを用いたり、その他の表面処理を行な
う場合にも有効である。
【0054】また、被処理体であるところの基板は、円
形の場合に限らず、液晶基板のように矩形であってもよ
い。矩形の基板の場合には、矩形の対角線の長さと同等
かそれ以上の直径を有する空洞共振器を使用して、基板
の中心と空洞共振器の中心軸とを一致させる。なお、円
形や矩形以外の基板を被処理体としてもよいことはもち
ろんである。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、円筒状の放電室のギャ
ップが被処理体の中心から離れるにつれて狭くなってい
るので、ギャップが一様である場合に生じるような中央
凸状の電界分布が補正されて、電界の面内分布が一様に
なる。これにより、均一なプラズマによる均一な表面処
理が可能になる。また、空洞共振器と処理容器とを隔て
る隔壁板の底面の中央に窪みを設けることで上述のよう
なギャップを形成する場合に、隔壁板の上面も同様に変
化させることで隔壁板の厚さをほぼ一定にすれば、隔壁
板の機械的強度を保つことができる。さらに、マイクロ
波放射用の長孔を被処理体の外形よりも外側の位置に形
成することにより、マイクロ波を処理容器の外周部付近
から放射することができ、これにより例えばエッチング
レートの被処理体端部での落ち込みを防止できる。さら
に、放電室の内径をマイクロ波の周波数に応じて基本モ
ードで共振するように定めることにより、放電室内の電
界強度を高めて、プラズマの点火性を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態の正面断面図であ
る。
【図2】隔壁板の断面図と底面図である。
【図3】隔壁板と基板との間のギャップにおける電界分
布を説明する説明図である。
【図4】第2の実施形態の表面処理装置を示す正面断面
図である。
【図5】第3の実施形態の表面処理装置を示す正面断面
図である。
【図6】従来の表面処理装置の正面断面図である。
【図7】従来の表面処理装置の別の例の正面断面図であ
る。
【図8】従来の表面処理装置で使われている誘電体板の
平面図である。
【図9】発明者が試作した表面処理装置の正面断面図で
ある。
【図10】平行平板ギャップの電界分布を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
1 マイクロ波発生器 2 空洞共振器 3 処理容器 4 放電室 5 ガス供給系 6 排気系 10 マイクロ波導入手段 20 隔壁板 24 誘電体リング 25 長孔 26 窪み 30 基板 31 基板載置台
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/3065 H05H 1/46 B H05H 1/46 H01L 21/302 B (72)発明者 和仁 悦夫 東京都府中市四谷5丁目8番1号 アネル バ株式会社内 (72)発明者 三浦 好三 東京都府中市四谷5丁目8番1号 アネル バ株式会社内 Fターム(参考) 4K030 FA01 HA07 JA03 JA18 KA08 KA12 KA30 LA15 LA18 4K057 DA11 DD01 DG20 DM02 DM18 DM29 DM40 DN01 5C034 CC07 CD10 5F004 AA01 BA04 BB14 BD03 BD04 5F045 AA09 BB02 DP02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 300MHzから1GHzの範囲の低U
    HF帯のマイクロ波を発生させるマイクロ波発生手段
    と、このマイクロ波発生手段で発生したマイクロ波がT
    010モードで共振するように形成された円筒形の空洞
    共振器と、マイクロ波発生手段から空洞共振器にマイク
    ロ波を導入するマイクロ波導入手段と、空洞共振器から
    マイクロ波が放射されるように空洞共振器に接続された
    気密な処理容器と、処理容器内にガスを供給するガス供
    給系と、処理容器を排気する排気系と、処理容器内に配
    置されて被処理体を保持する保持手段とを備え、処理容
    器の内部の放電室が実質的に円筒形状であり、この円筒
    形状の放電室の、被処理体に対向する端面の中央部分
    が、外周付近よりも、被処理体から離れる方向に窪んで
    いることを特徴とする表面処理装置。
  2. 【請求項2】 放電室の前記端面と被処理体との距離
    が、被処理体の中心からの半径方向の位置rに応じて、
    0(kr)にほぼ比例して変化することを特徴とする請
    求項1記載の表面処理装置。ここで、J0はベッセル関
    数、kは半径方向の伝搬定数でk=ω/c、ωはマイク
    ロ波の角周波数、cは光速である。
  3. 【請求項3】 空洞共振器と処理容器は隔壁板で隔てら
    れており、この隔壁板の処理容器側の面が、放電室の前
    記端面を構成しており、この隔壁板の空洞共振器側の面
    は、その中央部分が外周付近よりも被処理体から離れる
    方向に突き出しており、これにより隔壁板の厚さが実質
    的に均一になっていることを特徴とする請求項1または
    2に記載の表面処理装置。
  4. 【請求項4】 空洞共振器と処理容器とは隔壁板で隔て
    られており、この隔壁板にはマイクロ波放射用の複数の
    円弧状の長孔が形成されていて、これらの長孔は被処理
    体の外形よりも外側の位置に形成され、かつ、これらの
    長孔は誘電体の板で気密に覆われていることを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面処理装置。
  5. 【請求項5】 放電室の内径D(mm)は、マイクロ波の
    周波数f(MHz)に応じて、D=[(2.0〜2.3)×
    105]/f の関係を満足するように設定されているこ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表
    面処理装置。
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