JP2016220676A - 小麦ふすま加工品の製造方法 - Google Patents

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学人 池田
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裕美 林田
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寛 青山
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Abstract

【課題】ふすま臭を効果的に低減することができ、且つ、小麦ふすま中の、不快臭等の原因となる脂肪酸の量も大幅に低減することができ、さらに、小麦ふすまを食した際に口中に感じるざらつき感及びパサつき感のいずれも低減することができる、風味と食感に優れた小麦ふすま加工品の製造方法を提供する。【解決手段】二軸エクストルーダーを用いて小麦ふすまを処理する小麦ふすま加工品の製造方法であって、二軸エクストルーダーのバレル内の温度を60〜200℃とし、該バレル内に、脂質含有量が5.0質量%以下の小麦ふすまと、該小麦ふすま100質量部に対して15〜95質量部の水とを投入し、投入物を該バレル内で混練することを含む、製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、小麦ふすま加工品の製造方法に関する。
小麦ふすまは主に粉砕された小麦の外皮からなり、不溶性食物繊維、ビタミン、ミネラル等を豊富に含むことから、健康食品素材として注目されている。しかし、小麦ふすまは組織が強靭で、食せば硬く舌上にふすま粒の残留感を感じ、また吸水性が高いためにパサついた食感が口中に残り、しかも特有の臭気(いわゆるふすま臭)を有するために、小麦ふすま配合食品は一般に食味に劣る。
そのため、小麦ふすまの食味を改善するために種々の手法が開発されてきている。例えば、特許文献1には、小麦ふすまを脱脂した後、焙焼し、次いで粉砕することを特徴とする微粉砕小麦ふすまの製造方法が記載され、当該製造方法により、食感のざらつきがなく、また保存安定性にも優れた微粉砕小麦ふすまが、容易かつ効率的に得られたことが記載されている。
また、特許文献2には、加水した小麦ふすまを、二軸型エクストルーダーにより加圧加熱処理することにより、小麦ふすまのふすま臭を低減し、のどごしも改善したことが記載されている。
特開平11−103800号公報 特開昭62−96049号公報
上記特許文献1及び2に記載の発明では、小麦ふすまの欠点とされる食感ないし臭気をある程度改善しうるものの、そのレベルは十分とはいえない。
本発明は、ふすま臭を効果的に低減することができ、且つ、小麦ふすま中の、不快臭等の原因となる脂肪酸の量も大きく低減することができ、さらに、小麦ふすまを食した際に口中に感じるざらつき感及びパサつき感のいずれも低減することができる、風味と食感に優れた小麦ふすま加工品の製造方法の提供に関する。
本発明者らは、小麦ふすまと水を共存させて二軸エクストルーダーを用いて混練するに際し、前記小麦ふすまとして脂質含有量が特定量以下の小麦ふすまを用い、当該小麦ふすまと水との混合比を特定比とし、さらにバレル内温度を特定温度として二軸スクリューの回転により混練することにより、小麦ふすまのふすま臭を効果的に低減することができ、さらに、小麦ふすま中の、不快臭等の原因となる脂肪酸も大きく低減でき、風味に優れた小麦ふすま加工品が得られることを見い出した。しかも、当該小麦ふすま加工品は、小麦ふすまを食した際に通常感じるざらつき感及びパサつき感がいずれも低減され、食感も改善されていた。
本発明はこれらの知見に基づき完成されるに至ったものである。
本発明は、二軸エクストルーダーを用いて小麦ふすまを処理する小麦ふすま加工品の製造方法であって、二軸エクストルーダーのバレル内の温度を60〜200℃とし、該バレル内に、脂質含有量が5.0質量%以下の小麦ふすまと、該小麦ふすま100質量部に対して15〜95質量部の水とを投入し、投入物を該バレル内で混練することを含む製造方法を提供するものである。
本発明の小麦ふすま加工品の製造方法によれば、原料として用いる小麦ふすまのふすま臭を効果的に低減することができ、且つ、小麦ふすま中に含まれる、不快臭等の原因となる脂肪酸も大幅に低減することができ、さらに、食した際のざらつき感及びパサつきのいずれも低減することができるため、風味と食感に優れた、食しやすい小麦ふすま加工品を得ることができる。
図1は、本発明に用いる二軸エクストルーダーの説明図である。図1(a)は平断面図、図1(b)は側断面図である。図1において、スクリュー以外の構造の壁部は線で示し、断面を省略した。
本発明の小麦ふすま加工品の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」という)の好ましい実施形態について説明する。
本発明の製造方法に用いる二軸エクストルーダーとは、二軸スクリューが配設された空間であるバレル、バレル内に原料を投入するためのフィーダー、バレル内で混練、剪断された試料を所望の形状で排出するため排出口を有するダイプレート等から構成されている。二軸エクストルーダーは、所望の加熱、加圧条件下で、スクリューの回転によりスクリュー間の試料にせん断力や圧力を印加し、試料を混合しながら排出口へと連続的に押し出す。二軸エクストルーダーは、装置自体は公知であり、食品等の製造装置として広く利用されている。本発明においては公知の二軸エクストルーダーを広く利用することができる。
本発明に用いうる二軸エクストルーダーの一例を、図面を用いて簡単に説明する。図1(a)に二軸エクストルーダー(10)の平断面を、図1(b)に二軸エクストルーダー(10)の側断面を模式的に示す。図1に示されるように、二軸エクストルーダー(10)は、試料を投入するフィーダー(5)、互いに溝と羽を噛み合わせて配設された2本のスクリュー(2、2)が設置されたバレル(1)、スクリューの回転によりバレル内で混練された試料が排出される排出口(4)を有するダイプレート(3)を備える。バレル(1)及びダイプレート(3)は、図示していないヒーターにより、それぞれ独立に、所望の温度に調節可能である。これにより、バレル内における試料の混練や排出の際の温度を所望の温度で行うことができる。
また、スクリューの回転速度やダイプレートの開口面積(排出口の開口面積)等を調節することにより、バレル内の圧力を調節することができる。本発明において、バレル内の圧力は、排出口に取り付けた図示していない圧力計により測定される。
本発明に用いる二軸エクストルーダーとしては市販品を用いることができる。市販品としては例えば、二軸エクストルーダーEA−20(商品名、スエヒロEPM社製)、深溝型二軸混練押出機KEXDエクストルーダ(商品名、クリモト社製)が挙げられる。
続いて本発明の製造方法における工程について、その好ましい実施形態を順に説明する。
本発明の製造方法では、フィーダー(5)に、脂質含有量が5.0質量%以下の小麦ふすまと水を投入する。当該小麦ふすまと水は、予め混合してフィーダー(5)に投入してもよいし、別々に投入し、バレル(1)内で両者が混合される形態としてもよい。
小麦ふすまとしては、小麦の外皮を焙煎し、粉砕したものが市販され、各種食品の原料として広く利用されている。小麦ふすまの脂質含有量が5.0質量%以下であれば、当該小麦ふすまはそのまま本発明の製造方法の原料として用いることができる。一方、小麦の外皮は、通常は脂質含有量が5.0質量%を超える。したがって、本発明の製造方法では通常、小麦の外皮を焙煎し、粉砕して得た小麦ふすまを、さらに脱脂処理に付し、脂質含有量を5.0質量%以下にまで低減したものを原料として用いる。
小麦ふすまの脱脂処理の方法に特に制限はなく、例えば、有機溶剤中に小麦ふすまを浸漬させて脱脂することができる。当該有機溶剤としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチルエーテル、アセトン、ヘキサン及び二塩化エチレンから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。なかでも油脂製造時の抽出溶剤として汎用されるヘキサンを用いることで、小麦ふすまをより効率的に脱脂することができる。脱脂した小麦ふすまは、乾燥して有機溶剤を蒸発させた後、本発明の製造方法に用いる。
本発明の製造方法において、フィーダーに投入される小麦ふすま(水と混合される前の小麦ふすま、以下同様。)の脂質含有量は、ふすま臭低減及び酸価維持率低減の観点から、4.8質量%以下が好ましい。当該脂質含有量の下限値に制限はないが、小麦ふすまから脂質を完全に取り除くことは通常困難であり、本発明の製造方法においては、フィーダーに投入される小麦ふすま中の脂質含有量を0.5質量%以上とすることが実際的である。
フィーダーに投入される上記小麦ふすま(水と混合する前の小麦ふすま)は、その含水率が3.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下がさらに好ましい。
本発明の製造方法において、原料として用いる脂質含有量が5.0質量%以下の小麦ふすまとしては、市販品を用いることもできる。当該市販品としては、例えば、ウィートブランDF(商品名、日清ファルマ社製)、を挙げることができる。
本発明において脂質含有量の測定方法は、後述する実施例に記載の方法で測定される。
本発明の製造方法において、フィーダー(5)に投入する上記小麦ふすまと水の量比は、小麦ふすま100質量部に対して水を15〜95質量部とする。さらに本発明の製造方法では、混練時のバレル(1)内の温度を60〜200℃とする。すなわち、フィーダー(5)に投入した上記小麦ふすまと水(以下、「投入試料」という)を、該フィーダー(5)に連結し、60〜200℃に温度調節されたバレル(1)内に搬送し(バレル(1)内に投入し)、バレル(1)内に配設されたスクリュー(2、2)の回転により投入試料を混練しながら排出口(4)側へと送り出す。本発明において「混練」とは、2つのスクリューの回転による混練、剪断、粉砕等を含む意味に用いる。
小麦ふすまとして脂質含有量が5.0質量%以下の小麦ふすまを用いて、該小麦ふすまと水の量比を、該小麦ふすま100質量部に対して水を15〜95質量部とし、且つ、バレル(1)内の温度を60〜200℃として投入試料を混練することにより、得られる小麦ふすま加工品のふすま臭を効果的に低減でき、さらに、当該混練により、小麦ふすま中に存在する脂肪酸の量も大きく低減させることができる。脂肪酸は、不快臭の原因として知られており、この脂肪酸の量を減らすことで、不快臭を低減し、小麦ふすまの風味を向上させることができる。脂肪酸の量は、食品の品質管理上重要な指標であり、当該脂肪酸を低減することにより、食品の風味の低下を防ぐことができる。
さらに、本発明の製造方法により得られる小麦ふすま加工品は、加工前に比べて食した際のざらつき感(舌上に感じるふすま粒の残留感)が低減され、且つ、口中にパサつき(唾液の吸収感)も感じにくい。
後述する実施例にも示されるように、小麦ふすまとして脂質含有量が5.0質量%以下の小麦ふすまを用いることにより、二軸エクストルーダーを用いた上記混練によって、小麦ふすま中の油脂の酸価(油脂の分解により生じた脂肪酸量の指標)を、混練前における油脂の酸価に比べて大幅に低減することができる。つまり、本発明の製造方法によれば、脂質含有量の少ない小麦ふすまを用いている上に、さらに、小麦ふすま中の脂肪酸を、通常の小麦ふすま(脂質含有量5質量%超)を同様の混練処理に付した場合に比べて格段に高い効率で取り除くことができる。したがって、得られる小麦ふすま加工品中に含まれる不快臭の原因物質(脂肪酸)の量を、通常の小麦ふすまよりも格段に低減できる。さらに、高温高圧条件下での混練によりリパーゼが失活することも相俟って、本発明の製造方法で得られる小麦ふすま加工品は、経時的な不快臭の発生(脂肪酸の発生)も大きく抑えられ、保存安定性にも優れる。
かかる本発明の作用効果は、混練、剪断を伴わない単なる湿熱処理(例えばオートクレーブ等)で得ることはできない。
ふすま臭低減、酸価維持率低減、及びざらつき低減の観点から、フィーダー(5)に投入する上記小麦ふすまと水の量比を、小麦ふすま100質量部に対して水を20質量部以上とすることが好ましく、25質量部以上とすることがより好ましく、30質量部以上とすることがさらに好ましく、40質量部以上とすることがさらに好ましい。また、ふすま臭低減及びざらつき低減の観点から、小麦ふすま100質量部に対して水を90質量部以下とすることが好ましく、85質量部以下とすることがより好ましく、80質量部以下とすることがさらに好ましく、75質量部以下とすることがさらに好ましく、70質量部以下とすることがさらに好ましく、65質量部以下とすることがさらに好ましい。
また、ざらつき低減の観点から、本発明の製造方法においてバレル(1)内の温度を180℃以下とすることが好ましく、160℃以下とすることがより好ましく、150℃以下とすることがさらに好ましく、140℃以下とすることがさらに好ましく、130℃以下とすることがさらに好ましい。また、本発明の効果をより高める観点から、バレル(1)内の温度は70℃以上とすることが好ましく、80℃以上とすることがより好ましく、90℃以上とすることがさらに好ましく、100℃以上とすることがさらに好ましく、110℃以上とすることがさらに好ましい。
バレル(1)内の温度は、バレル(1)の外周に接して設置され、あるいはバレル(1)を形成するシリンダー内に組み込まれるなどして配設されたヒーターにより調節することができる。
本発明において、バレル(1)内の温度を60〜200℃とする、とは、バレル(1)内のすべての領域の温度を60〜200℃とすることが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で、バレル内の一部の温度が60〜200℃の範囲外となっていてもよい。例えば、フィーダー(5)との連結部分及びその近傍のバレル内においては、投入された試料が低温であると、バレル内の当該部位の温度は設定温度よりも低くなり得るが、この形態も本発明の製造方法に包含される。本発明においては、バレル(1)内の少なくとも、バレル(1)のスクリュー軸方向における中央から下流に向けてすべての領域の温度を、60〜200℃とすることが好ましく、バレル(1)内の、フィーダーとの連結部位よりも下流の領域のすべてを60〜200℃とすることがより好ましい。このことは、バレル(1)内温度を上述の好ましい温度範囲とする場合においても同様である。すなわち、バレル(1)内温度を上述の好ましい温度範囲とする、とは、バレル(1)内のすべての領域の温度を当該温度範囲内とすることが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で、バレル(1)内の一部の温度が当該温度範囲外となっていてもよい。ここで、「下流」との用語は、試料が送り出される方向に対して用いられ、バレル内の特定の位置から下流の領域とは、当該特定の位置から排出口側(ダイプレートとの接触面まで)の領域を意味する。また「上流」は、「下流」とは反対の方向を意味する。
また、本発明の製造方法においては、バレル(1)内のすべての領域を同一温度とする必要もない。例えば、バレル(1)の中間ゾーンに配設されたヒーターによりバレル(1)内の温度を調節する場合、ヒーターが設置された中間ゾーン以外の部分のバレル温度は中間ゾーンの温度(ヒーターの設定温度)よりも低くなり得る。ここで「バレル(1)の中間ゾーン」とは、バレル(1)のスクリュー軸方向における中央部及びその近傍を意味する。
本発明の製造方法では、バレル(1)内の圧力を1.5〜10MPaとして、投入試料を、スクリューの回転によりバレル(1)内で混練することが好ましい。投入する小麦ふすまと水の量比を本発明の規定内とし、且つバレル内温度を本発明の規定内とすることにより、バレル(1)内の圧力を1.5〜10MPaにまで安定的に高めることができる。かかる条件下、二軸スクリュー間で小麦ふすまを剪断することにより、ふすま臭、並びにふすま中の脂肪酸量を効果的に低減できる。さらに、小麦ふすまのざらつき感及びパサつき感のいずれについても、より効果的に低減することができる。上記の各効果が得られる理由は定かではないが、以下のように推定される。
すなわち、上記特定量の水と混合された小麦ふすまを、上記特定の温度条件で、且つ1.5〜10MPaという従来に比べて格段に高い圧力条件下で、二軸スクリューの回転により混練することにより、小麦ふすま中の澱粉粒をより短時間にアルファー化することができ、これにより小麦ふすまの多孔質構造が素早く閉塞され、小麦ふすまの吸水性を短時間に、効果的に低減することができると考えられる。また、多孔質構造の閉塞に加え、上記混練によって小麦ふすまの強靭な組織を効果的に破壊することができ、ざらつき感も低減すると考えられる。ここで小麦ふすまと混合する水の量が本発明で規定するよりも多いと、十分な加圧条件下での混練を安定的に維持できない場合がある。
また、上記特定量の水と混合された小麦ふすまを、上記特定の温度条件で、且つ1.5〜10MPaという従来に比べて格段に高い圧力条件下で、二軸スクリューの回転により混練することにより、小麦ふすま臭や、脂肪酸を、当該水へと、より短時間に、より効率的に移行させることができ、さらに二軸エクストルーダーから混練物が排出された際には、水分が素早く蒸散し、この水分の蒸散に伴い小麦ふすま臭や脂肪酸由来の不快臭を効果的に取り除くことができる。ここで、小麦ふすまと混合する水の量が本発明で規定するよりも少ないと、臭気を水に十分に移行させることが難しくなり、風味を十分に改善することが困難となる。
本発明の効果をより高める観点から、投入試料の混練時において、バレル(1)内の圧力は2.0MPa以上とすることが好ましく、2.5MPa以上とすることがより好ましく、3.0MPa以上とすることがさらに好ましく、3.5MPa以上とすることがさらに好ましい。また同様の観点から、投入試料の混練時のバレル内の圧力は9.0MPa以下とするのが好ましく、8.0MPa以下とすることがより好ましく、7.0MPa以下とすることがさらに好ましい。
バレル内の圧力は、スクリュー(2、2)の回転速度、バレル(1)内温度、開口部(4)の開口径、水分量等を適宜に調節することにより、調節することができる。
バレル内の圧力は、排出口(4)に圧力計を設置して測定される。
本発明の製造方法において、バレル内で混練されて排出口側へと搬送された投入試料は排出口から排出される。その際、排出口の温度は105℃以上とすることが好ましい。排出口の温度を105℃以上とすることにより、本発明の効果をより高めることができる。また、熱変性による風味劣化を考慮すると、排出口の温度を140℃以下とすることが好ましく、130℃以下とすることがより好ましく、120℃以下とすることがさらに好ましい。
排出口の温度は、ダイプレートに設置され、あるいは組み込まれたヒーターにより調節することができる。
投入試料の滞留時間(バレル(1)内に投入されてから排出口(4)から排出されるまでの時間)は、本発明の効果をより高める観点からは0.1〜30分とすることが好ましく、0.1〜10分とすることがより好ましい。また、当該滞留時間は0.3〜8分とすることも好ましく、0.5〜6分とすることも好ましく、0.7〜4分とすることも好ましい。
投入試料のフィード流量は、バレル内容積、滞留時間、バレル内圧力等を考慮し適宜に調節されるものであるが、5〜500kg/時間(hr)とするのが好ましく、7〜450kg/hrとするのがより好ましく、10〜400kg/hrとするのが更に好ましい。
本発明の製造方法によれば、他の湿熱処理装置(オートクレーブ等)に比べて、短時間に、且つ連続的に、所望の特性を有する小麦ふすま加工品を得ることができる。
排出口(4)から排出された投入試料は、そのまま小麦ふすま加工品として用いてもよいが、通常は乾燥処理に付される。流通性、加工性等の点から、乾燥後の試料を粉砕し、紛体ないしは粒状とすることが好ましい。
本発明の小麦ふすま加工品を粉体ないしは粒状とする場合、その粒径は0.1mm以上とすることが好ましい。各種食品への配合のしやすさの観点から、本発明の小麦ふすま加工品は、より好ましくは粒径を0.2mm以上、さらに好ましくは0.3mm以上とする。また、同様の観点から、本発明の小麦ふすま加工品の粒径を3.0mm以下とすることが好ましく、2.0mm以下とすることがさらに好ましく、1.5mm以下とすることがさらに好ましく、1.0mm以下とすることがさらに好ましい。
小麦ふすま加工品の粒径は、粉砕の程度やその後の分級により適宜調整することができる。粉砕の程度による調整は、用いる粉砕機の使用法に従えばよく、分級による調整は、空気分級や篩い分け等、慣用の手段により行うことができる。篩い分けの場合、用いる篩いの網目の大きさ(メッシュ)により調整することができる。例えば、粒径0.5〜1.0mmの小麦ふすま加工品とする場合、16メッシュの篩を通過し、30メッシュの篩を通過しない画分を採取する。なお、ここでいうメッシュの番手は、日本工業規(JISZ8801-1966)のものである。
本発明の製造方法で得られる小麦ふすま加工品は、その含水率を通常は1質量%以上とする。防腐防黴の観点から、本発明の小麦ふすま加工品の含水率を20質量%以下とすることが好ましく、13質量%以下とすることがより好ましく、10質量%以下とすることがさらに好ましく、6質量%以下とすることがさらに好ましい。また、吸水性を抑える観点から、本発明の小麦ふすま加工品の含水率を2質量%以上とすることが好ましく、2.5質量%以上とすることがより好ましく、3質量%以上とすることがさらに好ましく、4質量%以上とすることがよりさらに好ましい。
本明細書において含水率は、赤外線水分計(FD−720,ケツト科学社製)を用いて測定することができる。すなわち、小麦ふすま加工品1gを試料皿に量り取り、赤外線照射によって105℃で加熱乾燥させ、含まれていた水分の蒸発による質量変化から水分量を求める。質量変化は30秒毎に測定し、変動幅が0.05%以内となったときの質量変化から、小麦ふすま加工品中に含まれていた水分量を求め、含水率(質量%)を算出する。
本発明の製造方法により得られる小麦ふすま加工品は、小麦ふすま配合食品の原料として好適に用いることができる。本発明の製造方法により得られる小麦ふすま加工品を食品原料として用いることにより、小麦ふすま臭、油脂の酸化劣化に伴う不快臭、ざらつき感、パサつき感をほとんど感じずに、小麦ふすまが有する不溶性食物繊維をはじめ、各種の栄養素を効率的に摂取することが可能となる。
上述した実施形態に関し、本発明は以下の小麦ふすま加工品の製造方法を開示する。
<1>
二軸エクストルーダーを用いて小麦ふすまを処理する小麦ふすま加工品の製造方法であって、
二軸エクストルーダーのバレル内の温度を60〜200℃とし、該バレル内に、脂質含有量が5.0質量%以下の小麦ふすまと、該小麦ふすま100質量部に対して15〜95質量部の水とを投入し、投入物を該バレル内で混練することを含む、製造方法。
<2>
前記の脂質含有量が5.0質量%以下の小麦ふすまが、好ましくは、小麦ふすまを有機溶剤中に浸漬して脱脂したものである、前記<1>に記載の製造方法。
<3>
前記有機溶剤が、好ましくは、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチルエーテル、アセトン、ヘキサン及び二塩化エチレンから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはヘキサンである、前記<2>に記載の製造方法。
<4>
前記の脂質含有量が5.0質量%以下の小麦ふすまが、好ましくは、脂質含有量が4.8質量%以下の小麦ふすまである、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の製造方法。
<5>
前記の脂質含有量が5.0質量%以下の小麦ふすまが、好ましくは、脂質含有量が0.5質量%以上の小麦ふすまである、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の製造方法。
<6>
前記の脂質含有量が5.0質量%以下の小麦ふすまが、好ましくは、脂質含有量が0.5〜4.8質量%の小麦ふすまである、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の製造方法。
<7>
前記の脂質含有量が5.0質量%以下の小麦ふすまの含水率が、好ましくは3.0質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下である、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の製造方法。
<8>
前記バレル内への前記水の投入量を、前記の脂質含有量が5.0質量%以下の小麦ふすま100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは25質量部以上、さらに好ましくは30質量部以上、特に好ましくは40質量部以上とする、前記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の製造方法。
<9>
前記バレル内への前記水の投入量を、前記の脂質含有量が5.0質量%以下の小麦ふすま100質量部に対して、好ましくは90質量部以下、より好ましくは85質量部以下、さらに好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは75質量部以下、さらに好ましくは70質量部以下、特に好ましくは65質量部以下とする、前記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の製造方法。
<10>
前記バレル内への前記水の投入量を、前記の脂質含有量が5.0質量%以下の小麦ふすま100質量部に対して、好ましくは20〜90質量部、より好ましくは25〜85質量部、さらに好ましくは30〜80質量部、さらに好ましくは40〜75質量部、さらに好ましくは40〜70質量部、特に好ましくは40〜65質量部とする、前記<1>〜<9>のいずれか1つに記載の製造方法。
<11>
前記バレル内の温度を、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは90℃以上、さらに好ましくは100℃以上、特に好ましくは110℃以上として、前記投入物を前記バレル内で混練する、前記<1>〜<10>のいずれか1つに記載の製造方法。
<12>
前記バレル内の温度を、好ましくは180℃以下、より好ましくは160℃以下、さらに好ましくは150℃以下、さらに好ましくは140℃以下、特に好ましくは130℃以下として、前記投入物を前記バレル内で混練する、前記<1>〜<11>のいずれか1つに記載の製造方法。
<13>
前記バレル内の温度を、好ましくは70〜180℃、より好ましくは80〜160℃、さらに好ましくは90〜150℃、さらに好ましくは100〜140℃、特に好ましくは110〜130℃として、前記投入物を前記バレル内で混練する、前記<1>〜<12>のいずれか1つに記載の製造方法。
<14>
前記バレル内の圧力を、好ましくは1.5MPa以上、より好ましくは2.0MPa以上、さらに好ましくは2.5MPa以上、さらに好ましくは3.0MPa以上、特に好ましくは3.5MPa以上として、前記投入物を前記バレル内で混練する、前記<1>〜<13>のいずれか1つに記載の製造方法。
<15>
前記バレル内の圧力を、好ましくは9.0MPa以下、より好ましくは8.0MPa以下、さらに好ましくは7.0MPa以下として、前記投入物を前記バレル内で混練する、前記<1>〜<14>のいずれか1つに記載の製造方法。
<16>
二軸エクストルーダーの排出口の温度を、好ましくは105℃以上として、前記バレル内で混練した前記投入物を前記排出口から排出する、前記<1>〜<15>のいずれか1つに記載の製造方法。
<17>
二軸エクストルーダーの排出口の温度を、好ましくは140℃以下、より好ましくは130℃以下、さらに好ましくは120℃以下として、前記バレル内で混練した前記投入物を前記排出口から排出する、前記<1>〜<16>のいずれか1つに記載の製造方法。
<18>
二軸エクストルーダーの排出口の温度を、好ましくは105〜140℃、より好ましくは105〜130℃、さらに好ましくは105〜120℃として、前記バレル内で混練した前記投入物を前記排出口から排出する、前記<1>〜<17>のいずれか1つに記載の製造方法。
<19>
前記投入物の滞留時間を、好ましくは0.1分以上、より好ましくは0.3分以上、さらに好ましくは0.5分以上、特に好ましくは0.7分以上とする、前記<1>〜<18>のいずれか1つに記載の製造方法。
<20>
前記投入物の滞留時間を、好ましくは30分以下、より好ましくは10分以下、さらに好ましくは8分以下、さらに好ましくは6分以下、特に好ましくは4分以下とする、前記<1>〜<19>のいずれか1つに記載の製造方法。
<21>
前記投入物の滞留時間を、好ましくは0.1〜30分、より好ましくは0.1〜10分、さらに好ましくは0.3〜8分、さらに好ましくは0.5〜6分、特に好ましくは0.7〜4分とする、前記<1>〜<20>のいずれか1つに記載の製造方法。
<22>
前記投入物のフィード流量を、好ましくは5kg/時間以上、より好ましくは7kg/時間以上、さらに好ましくは10kg/時間以上とする、前記<1>〜<21>のいずれか1つに記載の製造方法。
<23>
前記投入物のフィード流量を、好ましくは500kg/時間以下、より好ましくは450kg/時間以下、さらに好ましくは400kg/時間以下とする、前記<1>〜<22>のいずれか1つに記載の製造方法。
<24>
前記投入物のフィード流量を、好ましくは5〜500kg/時間、より好ましくは7〜450kg/時間、さらに好ましくは10〜400kg/時間とする、前記<1>〜<23>のいずれか1つに記載の製造方法。
<25>
前記小麦ふすま加工品の粒径が、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上、さらに好ましくは0.3mm以上である、前記<1>〜<24>のいずれか1つに記載の製造方法。
<26>
前記小麦ふすま加工品の粒径が、好ましくは3.0mm以下、より好ましくは2.0mm以下、さらに好ましくは1.5mm以下、特に好ましくは1.0mm以下である、前記<1>〜<25>のいずれか1つに記載の製造方法。
<27>
前記小麦ふすま加工品の粒径が、好ましくは0.1〜3.0mm、より好ましくは0.2〜2.0mm、さらに好ましくは0.3〜1.5mm、特に好ましくは0.3〜1.0mmである、前記<1>〜<26>のいずれか1つに記載の製造方法。
<28>
前記小麦ふすま加工品の含水率が、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは2.5質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上、特に好ましくは4質量%以上である、前記<1>〜<27>のいずれか1つに記載の製造方法。
<29>
前記小麦ふすま加工品の含水率が、好ましくは20質量%以下、より好ましくは13質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、特に好ましくは6質量%以下である、前記<1>〜<28>のいずれか1つに記載の製造方法。
<30>
前記小麦ふすま加工品の含水率が、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは2〜13質量%、さらに好ましくは2.5〜10質量%、さらに好ましくは3〜6質量%、特に好ましくは4〜6質量%である、前記<1>〜<29>のいずれか1つに記載の製造方法。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<小麦ふすま中の脂質含有量の測定方法>
小麦ふすま中の脂質含有量は酸分解法により測定した。詳細を以下に説明する。
(I)抽出用フラスコを、あらかじめ105℃に設定した乾燥器に入れ、乾燥器の表示温度で庫内温度が105℃であることを確認した後、1時間加熱し、デシケーターに移し替えて室温になるまで放冷した後、直ちに質量を測定した。この操作を繰り返し、恒量を求めた(W0)。
(II)測定試料約2g(S)をビーカーに量りとり、その質量を測定した。エタノールを加えて、ガラス棒でよく混和し、さらに塩酸を加えて充分に混和した後、時計皿で覆って80℃の電気恒温水槽上で、30分間、時々かき混ぜながら加温した。
(III)放冷後、内容物をマジョニア管に移しエーテル25mLを加えて振り混ぜた後、石油エーテル25mLを加え、同様に振り混ぜた。
(IV)上部が透明になるまで静置後、脱脂綿を詰めた漏斗でろ過し、105℃の電気乾燥機で1時間乾燥後、秤量したフラスコに集めた。
(V)混液を捕集したフラスコをロータリーエバポレーターに設置して溶媒を除去し、続いて105℃に設定した乾燥器に入れ、1時間加熱し、デシケーターに移し替えて室温になるまで放冷した後、直ちに質量を測定した(W)。
小麦ふすま中の脂質含有量は下記式から算出した。

脂質含有量(%)=100×(W−W0)/S

W:前記(V)で測定した抽出フラスコの質量(g)
W0:前記(I)で測定した抽出フラスコの質量(g)
S:前記(II)で秤取った測定試料の質量(g)
実施例1
市販の脱脂小麦ふすま(商品名:ウィートブランDF(脂質含有量4.5質量%、含水率1.5質量%以下)、日清ファルマ社製)を4.55kg量り取り、水2.45kgを加えて、縦型攪拌機(関東混合機工業社製HPi−60)を用いて3分間混合した。
得られた混合物を二軸エクストルーダーのフィーダー内に投入し、二軸エクストルーダー(スエヒロEPM社製EA−20型、ダイ径φ3mm×1)の中間バレルヒーターを120℃(すなわち混練時のバレル内温度:120℃)、フィード流量を20kg/hr、バレル内の圧力を4.8MPa(すなわち混練時のバレル内圧力:4.8MPa)、ダイプレートヒーターを120℃、メインスクリュー回転数200rpmとして、スクリューの回転により混合物を混練しながら押し出した。小麦ふすまのバレル内滞留時間は1.2分であった。排出口から排出された試料を、バキューム乾燥機を用いて60℃で24時間乾燥した。室温で24時間保管した後に含水率を測定した。
得られた乾燥品をブレンダーで粉砕し、16メッシュの篩を用いて、粒径1mm以下の小麦ふすま加工品を得た。なお、得られた小麦ふすま加工品の含水率は4.0質量%であった。
実施例2
上記実施例1において、メインスクリュー回転数を150rpmに変更し、表1に記載のとおりのバレル内温度及びバレル内圧力としたこと以外は、実施例1と同様にして小麦ふすま加工品(含水率4.0質量%)を得た。
実施例3
上記実施例1において、メインスクリュー回転数を150rpmに変更し、表1に記載のとおりのバレル内温度及びバレル内圧力としたこと以外は、実施例1と同様にして小麦ふすま加工品(含水率4.1質量%)を得た。
実施例4
上記実施例1において、メインスクリュー回転数を150rpmに変更し、表1に記載のとおりのバレル内圧力としたこと以外は、実施例1と同様にして小麦ふすま加工品(含水率4.0質量%)を得た。
実施例5
実施例1において、原料である脱脂小麦ふすまの使用量を5.6kg、この脱脂小麦ふすまと混合する水の量を1.4kgとし、メインスクリュー回転数を150rpmに変更し、表1に記載のとおりのバレル内圧力としたこと以外は、実施例1と同様にして小麦ふすま加工品(含水率4.3質量%)を得た。
実施例6
実施例1において、原料である脱脂小麦ふすまの使用量を3.85kg、この脱脂小麦ふすまと混合する水の量を3.15kgとし、メインスクリュー回転数を150rpmに変更し、表1に記載のとおりのバレル内圧力としたこと以外は、実施例1と同様にして小麦ふすま加工品(含水率4.2質量%)を得た。
実施例7
上記実施例1において、メインスクリュー回転数を100rpmに変更し、ダイ径を6mmに変更し、表1に記載のとおりのバレル内圧力としたこと以外は、実施例1と同様にして小麦ふすま加工品(含水率4.0質量%)を得た。
比較例1
実施例1において、原料として用いた市販の脱脂小麦ふすまに代えて、未脱脂小麦ふすま(商品名:ファインブラン(脂質含有量7.2質量%、含水率1.5質量%以下)、三輪社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして小麦ふすま加工品(含水率5質量%)を得た。
比較例2
実施例1において、原料である脱脂小麦ふすまの使用量を6.37kgとし、この脱脂小麦ふすまと混合する水の量を0.63kgとしたこと、表1に記載のとおりバレル内の圧力を変更したこと以外は、実施例1と同様にして小麦ふすま加工品(含水率5質量%)を得た。
なお、上記各実施例及び比較例において、バレル内における中間バレルヒーターの設置場所はバレル内のスクリュー軸方向における中央部分及びその近傍である。
比較例3
市販の脱脂小麦ふすま(商品名:ウィートブランDF(脂質含有量4.5質量%、含水率1.5質量%以下)、日清ファルマ社製)を32.5g量り取り、蒸留水17.5gを加えて混合した。得られた混合物を、オートクレーブを用いて120℃、5分間の湿熱処理に付した。湿熱処理後の小麦ふすまを、バキューム乾燥機を用いて60℃で24時間乾燥した。得られた乾燥品を、実施例1と同様にして粉砕し、16メッシュの篩を用いて、粒径1mm以下の小麦ふすま加工品(含水率5質量%以下)を得た。
なお、表1中、比較例3においては、「混練時のバレル内温度」及び「混練時のバレル内圧力」を、それぞれ「湿熱処理時の温度」及び「湿熱処理時の圧力」に読み替える。
上記各実施例及び比較例で得られた小麦ふすま加工品を25℃、55%RHで一晩静置したものを下記試験例に供した。
試験例1 ふすま臭の官能評価
上記各実施例及び比較例で得られた小麦ふすま加工品2.0gを口中に含んだ際に感じるふすま臭を、比較例1の小麦ふすま加工品を基準品とし、下記評価基準により相対評価した。下記評価基準において、「1」が最も低い評価で、「2」〜「5」に向けて順次評価が高くなり、「6」が最も優れた評価である。下表に示す評価結果は3人の専門パネルの評価数値の平均である。
− 評価基準 −
6:ふすま臭をほとんど感じない。
5:ふすま臭がより抑えられている。
4:基準品よりもふすま臭が弱い。
3:基準品と同等のふすま臭である。
2:基準品よりもふすま臭をやや強く感じる。
1:基準品よりもふすま臭を強く感じる。
試験例2 ざらつき感の官能評価
上記各実施例及び比較例で得られた小麦ふすま加工品2.0gを口中に含んだ際に感じるざらつき感を、実施例3の小麦ふすま加工品を基準品とし、下記評価基準により相対評価した。下記評価基準において、「1」が最も低い評価で、「2」〜「4」に向けて順次評価が高くなり、「5」が最も優れた評価である。下表に示す評価結果は3人の専門パネルの評価数値の平均である。
− 評価基準 −
5:ざらつき感を殆ど感じない。
4:基準品よりもざらつき感が弱い。
3:基準品と同等のざらつき感である。
2:基準品よりもざらつきをやや強く感じる。
1:基準品よりもざらつきを強く感じる。
試験例3 酸価維持率の測定
各実施例及び比較例において、原料として用いた小麦ふすま及びこれから得られた小麦ふすま加工品の各々から油脂成分を抽出し、抽出された各油脂成分の酸価を測定した。得られた値から、下記式により酸価維持率を求めた。酸価維持率が低いほど、脂肪酸が効率的に除去されていることを示す。
酸価維持率(%)=[小麦ふすま加工品から抽出した油脂成分の酸価]/[原料として用いた小麦ふすまから抽出した油脂成分の酸価]×100
油脂成分の抽出方法及び酸価の測定方法について以下に順に説明する。
− 油脂成分の抽出 −
クロロホルム・メタノール混液抽出法により油脂成分を抽出した。詳細を以下に説明する。
(I)試料約20gを三角フラスコに量りとり、クロロホルム・メタノール混液(2:1)を加え、65℃のウォーターバスにて加温し、フラスコ内に還流させ、1時間抽出操作を行った。
(II)クロロホルム・メタノール混液をエバポレーターにて留去させた。
(III)石油エーテル125mlを加え、内容物を溶解させ、さらに無水硫酸ナトリウムを5g加えて振り混ぜたのち、遠心分離を実施した。
(IV)上澄みを採取し、採取した上澄みを105℃の電気乾燥機を用いて1時間乾燥し、デシケーターに移し替え、室温になるまで放冷して油脂成分を得た。
− 酸価の測定方法 −
上記で抽出した油脂成分の酸価は、基準油脂分析試験法(2.3.1−1996 酸価)に従って測定した。
上記各実施例及び比較例並びに上記試験例の結果を、下記表1にまとめて示す。
Figure 2016220676
上記表1に示されるように、原料として脂質含有量が本発明で規定するよりも多い小麦ふすまを用いた比較例1では、二軸エクストルーダーを用いて本発明で規定する条件で混練しても、酸価維持率が高く、脂肪酸が除去されにくいことがわかった。
また、小麦ふすまに対する水の混合量が本発明で規定するよりも少ない比較例2では、比較例1よりもふすま臭を強く感じる結果となった。また、酸価維持率が高く、脂肪酸が除去されにくいこともわかった。
また、二軸エクストルーダーを用いずに、オートクレーブを用いて120℃、5分間、脱脂小麦ふすまを処理した比較例3では、比較例1よりもふすま臭を感じる結果となった。また、混合処理後において酸価が全く減少せず、脂肪酸を除去することができなかった。
これに対し、脂質含有量が5.0質量%以下の小麦ふすまを原料とし、二軸エクストルーダーを用いて、本発明で規定する条件下で混練した実施例1〜7では、比較例1よりもふすま臭を効果的に抑えることができた。また、酸価維持率も大きく低減させることができた。これらの結果から、本発明の製造方法により、小麦ふすま臭が低減され、且つ、油脂の酸化劣化に伴う不快臭も大きく低減され、保存安定性にも優れた小麦ふすま加工品が得られることがわかる。
また、実施例1〜7で得られた小麦ふすま加工品は、比較例2や3で得られた小麦ふすま加工品に比べざらつき感が低減されており、食した際に舌上に感じるふすま粒の残留感が少なく、さらに、原料として用いた小麦ふすまが有する唾液の吸収感も低減されており、口中にパサつきを感じにくいものであった。

Claims (6)

  1. 二軸エクストルーダーを用いて小麦ふすまを処理する小麦ふすま加工品の製造方法であって、
    二軸エクストルーダーのバレル内の温度を60〜200℃とし、該バレル内に、脂質含有量が5.0質量%以下の小麦ふすまと、該小麦ふすま100質量部に対して15〜95質量部の水とを投入し、投入物を該バレル内で混練することを含む、製造方法。
  2. 前記バレル内への前記水の投入量を、前記小麦ふすま100質量部に対して20〜95質量部とする、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記バレル内の圧力を1.5〜10MPaとして、前記投入物を前記バレル内で混練する、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記バレル内の圧力を3.0〜9.0MPaとして、前記投入物を前記バレル内で混練する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記投入物の滞留時間を0.1〜30分とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記投入物のフィード流量を5〜500kg/hrとする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
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