JP3576114B2 - 食品素材及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、γ−アミノ酪酸(以下、GABAと略記)を高濃度に含有する食品素材及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特許第2590423号公報には、米胚芽、胚芽を含む米糠、胚芽米、小麦胚芽及び小麦胚芽を含む麩の中の少なくとも一種を所定の条件下で水に浸漬して得た、GABAを富化した食品素材が開示されている。GABAは血圧を下げる効果を有しているため、前記食品素材は高血圧症の治療に効果があると期待されている。
【0003】
一方、特許第3108759号公報には、米に由来し、重量平均分子量が500万〜760万の大分子集団と重量平均分子量が30〜110万の小分子集団を含む多糖で、主としてグルコースの重合物からなり、冷水および熱水に易溶であり、加水率25〜200%のとき粘性を呈する植物グリコーゲンが開示されている。この植物グリコーゲンは、微粉状の米を水または水を含む溶媒に浸漬後、固−液分離して得た抽出液から加熱による凝固物と蛋白質を除いた液層を得、これを有機溶媒に注加し、生じた白濁を回収し、必要に応じて精製して得られる。この植物グリコーゲンは、かかる特性を利用することによって、食品素材として飲食品、代用乳、その他様々な食品に添加して用いられるほか、生体機能調整品、医用薬品、医用外薬品、増量剤等として、さらには、糊料、接着剤、固結剤等の粘性材料として用いられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、特許第2590423号公報と同様に玄米及び部分搗精米を所定の条件下で水に浸漬した場合にも、高濃度にGABAを含有した食品素材を得られることを見出した。ところが、こうして得られた玄米、胚芽米及び部分搗精米をそのまま炊いて食した場合、従来の玄米、胚芽米及び部分搗精米と同様に食味の点で白米に比べて劣るという問題があった。
【0005】
一方、特許第3108759号公報に開示される植物グリコーゲンは、通常一般に用いられている製粉機で粉砕された米粉からでも重量比で数%程度しか水に溶出しない。このように、米の中に含まれる植物グリコーゲンは溶出しにくく、体内での吸収効率が悪いという問題があった。
【0006】
本発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、GABAを高濃度に含有するとともに食味にも優れ、しかもグリコーゲンが溶出しやすい食品素材及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、食品素材にかかる請求項1に記載の発明は、水の温度が20℃以下の場合は、1〜72時間、20℃を超える場合は、30分〜10時間水を含浸させた玄米、胚芽米及び部分搗精米から選ばれる少なくとも一種を主原料とし、水分含有量が12〜16%となるよう乾燥させ、粉砕された主原料を70〜100℃、4.9〜9.8MPaの条件下でエクストルーダによる膨化処理をして形成したことを要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の食品素材において、0.5mmメッシュの篩を通過できる程度に粉砕され、10倍量の水に浸漬して10分間振盪したときに、水に溶出されるグリコーゲンの量は、前記玄米、胚芽米及び部分搗精米が粳米の場合にはグリコーゲンの溶出量が20〜50g/100g、糯米の場合にはグリコーゲンの溶出量が40〜80g/100gであることを要旨とする。
【0009】
食品素材の製造方法にかかる請求項3に記載の発明は、玄米、胚芽米及び部分搗精米から選ばれる少なくとも一種を水の温度が20℃以下の場合は、1〜72時間、20℃を超える場合は、30分〜10時間水に含浸させ、それを水分含有量が12〜16%となるよう乾燥させ、粉砕して、70〜100℃、4.9〜9.8MPaの条件下でエクストルーダを用いて膨化処理することを要旨とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の食品素材は、水を含浸させた玄米、胚芽米及び部分搗精米から選ばれる少なくとも一種を主原料とし、膨化処理して形成したものである。ここで、玄米とは、籾米から籾殻を除いたものをいい、胚芽米とは、可能な限り胚芽を残すように玄米を精白したものをいう。また、部分搗精米とは、五分搗き、七分搗き等、白米に至らない程度に玄米を精白したものをいう。尚、ここで用いられる米の品種は特に限定されず、糯米でも粳米でもよい。
【0012】
食品素材の形状は特に限定されるものでなく、例えばフレーク状、プレート状等の形状が可能である。また、膨化処理して形成されているため、その形態は細かな気泡を多く含んだ多孔質をなしている。
【0013】
この食品素材には、高濃度のGABAが含有されている。その量は、原料である玄米、胚芽米又は部分搗精米に含まれるGABAの3〜30倍量が好ましく、10〜20倍量がより好ましい。また、食品素材に含まれるGABAの量は、同じ食品素材に含まれるグルタミン酸の1倍量以上であることが好ましい。なお、食品素材中に含まれるGABAは、原料中に元々含まれるGABAの他、製造の過程でグルタミン酸からグルタミン酸脱炭酸酵素の作用を受けて生合成されるGABAも含む。
【0014】
また、上記食品素材は、グリコーゲンが溶出しやすい特性を有している。この食品素材のグリコーゲンの溶出量は、原料として用いられる玄米、胚芽米及び部分搗精米が粳米である場合には20〜50g/100g、糯米である場合には40〜80g/100gである。尚、グリコーゲン溶出量とは、0.5mmメッシュの篩を通過できる程度に粉砕されたサンプルをおよそ10倍量の水に浸漬して約10分間振盪したときに、そのサンプルから水に溶出されるグリコーゲンの量をいう。溶出したグリコーゲンの量(重量)は、固液分離によって得られる上澄に除タンパク等の精製操作を加えた後、エタノール等の有機溶媒を加えることにより沈殿物としてグリコーゲンを回収することで測定される。
【0015】
次に、上記のように構成された食品素材の製造方法について説明する。
上記の食品素材を製造する場合には、まず、原料として玄米、胚芽米及び部分搗精米から選ばれる少なくとも一種を水に浸漬して水を含浸させる。この過程で、原料中に内在するグルタミン酸脱炭酸酵素の作用によってグルタミン酸からGABAが生合成される。
【0016】
このとき、原料を浸漬させる水の温度は、4〜60℃が好ましく、8〜55℃がより好ましい。この温度が4℃未満では、酵素活性が低下するためにGABAを効率的に生成させることが困難となる。逆に60℃を超えると、酵素が失活してしまうため好ましくない。また水に浸漬する時間は、水の温度が20℃以下の場合は、1〜72時間が好ましく、2〜48時間がより好ましい。この時間が1時間未満では、十分量のGABAを生成させることが徐々に困難になる。逆に72時間を超えると生産性が徐々に低下するので好ましくない。一方、20℃を超える水に浸漬する場合は、30分〜10時間が好ましく、1〜6時間がより好ましい。30分未満では十分量のGABAを生成させることが困難であり、逆に10時間を超えると、生産性が徐々に低下するとともに雑菌が繁殖するおそれがあるので好ましくない。
【0017】
次に、原料を水から取り出して所定の水分含有量となるように乾燥させる。この乾燥は、乾燥後の水分含有量が、好ましくは12〜16%、より好ましくは12〜13%の範囲となるように行われる。この水分含有量が12%未満又は16%を超えた場合は、後述するエクストルーダでの膨化処理が困難となって食感が低下するおそれがあるため好ましくない。
【0018】
続いて、乾燥後の原料を粉砕して粉末状とする。この粉砕は、粉砕後の原料が、好ましくは20メッシュの篩を通過(パス)するように、より好ましくは50メッシュの篩を通過するように行われる。さらには、粉砕後の原料の大きさが50〜80メッシュの範囲となるように行うのが特に好ましい。これが20メッシュ未満であると、得られる食品素材にザラツキがあって食感が悪くなる場合がある。また、80メッシュを超えるとコストが著しく増すため好ましくない。
【0019】
次いで、粉砕後の原料を、エクストルーダを使って膨化処理する。ここで用いるエクストルーダとしては、原料の特性に影響されることなく均一な品質の製品を得られる点で二軸エクストルーダが好ましい。エクストルーダに供給された原料は、高温高圧に保たれたバレル内においてスクリューで混練された後、ダイから押出される。このとき、高圧下にあるバレル内から大気圧又はそれ以下の低圧下に押出されることで、原料中の水分が急激に膨張し、その結果膨化した実施形態の食品素材が得られる。なお、ダイの形状を変えることで、所望の形状、例えばフレーク状、プレート状等の形状をなす食品素材を得ることができる。
【0020】
バレル内の温度は、好ましくは70〜100℃、より好ましくは80〜85℃の範囲に設定される。また、バレル内の圧力は、好ましくは4.9〜9.8MPa、より好ましくは7.4〜8.3MPaの範囲に設定される。
【0021】
以上詳述した本実施形態によれば次のような効果が発揮される。
・ 実施形態の食品素材は原料である玄米、胚芽米又は部分搗精米に比べて高濃度にGABAを含有している。このため、この食品素材の摂取によってGABAを効率的に摂取することが可能である。よって、高血圧症の治療に有効である。
【0022】
・ 実施形態の食品素材は旨味成分やGABA等の栄養成分が吸収されやすい状態となっている。これは、膨化処理の過程で細胞壁が破壊されて旨味成分や栄養成分が細胞内から放出されるためである。従って、旨味成分によって食味を向上させることができるとともに、GABAをはじめとする栄養成分の吸収効率を高めることができる。
【0023】
同様に、膨化処理の過程でデンプン粒が破壊されて、そのデンプン粒の中からグリコーゲンが放出される。このため、本実施形態の食品素材は、原料として用いられる玄米、胚芽米及び部分搗精米が粳米の場合にはグリコーゲンの溶出量が20〜50g/100g、糯米の場合にはグリコーゲンの溶出量が40〜80g/100gと、自身に含まれるグリコーゲンを容易に溶出することができる。従って、体内でのグリコーゲンの吸収効率を高めることができる。
【0024】
・ 実施形態の食品素材は細かな気泡を多く含んだ多孔質であるため、優れた吸水性、吸脂性を有している。このため、食品素材として加工の幅を広げることができ、様々な食品に利用することができる。また、口溶けがよいので嚥下性を高めることもできる。
【0025】
・ 食品素材を製造する際、原料を浸漬させる水の温度を4〜60℃とすることによりGABAを効率的かつ確実に生成させることができる。また、8〜55℃とすることにより、その効果を一層向上させることができる。さらには20℃以下とすることにより、雑菌の繁殖を抑えることができる。
【0026】
・ 原料を水に浸漬する際、その水の温度が20℃以下の場合は、浸漬時間を1〜72時間とすることにより、生産性を落とすことなく十分量のGABAを生成させることができる。また、2〜48時間とすることによりその効果を一層向上させることができる。一方20℃を超える水に浸漬する場合は、浸漬時間を30分〜10時間とすることにより、生産性を落とすことなく十分量のGABAを生成させることができるうえに、雑菌の繁殖を抑えることもできる。また、1〜6時間とすることにより、その効果を一層向上させることができる。
【0027】
・ 水に浸漬させた後の原料を水分含有量が12〜16%となるように乾燥させることにより、エクストルーダを使って確実に膨化処理を行うことができる。・ 乾燥後に原料を20メッシュの篩を通過するように粉砕することにより、ザラツキのない食感の優れた食品素材を得ることができる。
【0028】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(比較例1)
粳玄米(岐阜県産コシヒカリ)について、GABAの含有量、グルタミン酸(Glu)の含有量、含有するGABAとグルタミン酸の重量比、グリコーゲンの溶出量、水分の含有量、一般生菌数を測定した。その結果を表1に示す。
【0029】
(比較例2)
水洗した比較例1の粳玄米30kgを20℃の水50リットルに10時間浸漬した後、80℃の温風で水分含有量が13%となるまで乾燥を行った。この乾燥後の粳玄米について、比較例1と同様にGABAの含有量、グリコーゲンの溶出量等の測定を行った。その結果を表1に示す。
【0030】
(実施例1)
比較例2で得られた乾燥後の粳玄米を、二軸エクストルーダを用いて膨化処理して食品素材を得た。このとき、二軸エクストルーダのバレル内の温度は80℃、圧力は5.9MPaに設定した。得られた食品素材について、比較例1と同様にGABAの含有量、グリコーゲンの溶出量等測定した。その結果を表1に示す。また、食味について、外観、食感、においの3点から総合的に判断して、優(◎)、良(○)、可(△)、不可(×)の4段階で官能評価を行った。その結果も表1に併せて示す。
【0031】
(比較例3)
水洗した比較例1の粳玄米30kgを30℃の水50リットルに10時間浸漬した後、80℃の温風で水分含有量が14.0%となるまで乾燥を行った。この乾燥後の粳玄米について、比較例1と同様にGABAの含有量、グリコーゲンの溶出量等の測定を行った。その結果を表1に示す。
【0032】
(実施例2)
比較例3で得られた乾燥後の粳玄米を、二軸エクストルーダを用いて膨化処理して食品素材を得た。このとき、二軸エクストルーダのバレル内の温度は80℃、圧力は5.9MPaに設定した。得られた食品素材について、比較例1と同様にGABAの含有量、グリコーゲンの溶出量等の測定をするとともに、実施例1と同様に食味の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0033】
(比較例4)
水洗した比較例1の粳玄米30kgを20℃の水50リットルに10時間浸漬した後、80℃の温風で水分含有量が17.5%となるまで乾燥を行った。この乾燥後の粳玄米について、比較例1と同様にGABAの含有量、グリコーゲンの溶出量等の測定を行った。その結果を表1に示す。
【0034】
(実施例3)
比較例4で得られた乾燥後の粳玄米を、二軸エクストルーダを用いて膨化処理して食品素材を得た。このとき、二軸エクストルーダのバレル内の温度は80℃、圧力は4.9MPaに設定した。得られた食品素材について、比較例1と同様にGABAの含有量、グリコーゲンの溶出量等の測定をするとともに、実施例1と同様に食味の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0035】
(比較例5)
水洗した比較例1の粳玄米30kgを8℃の水50リットルに24時間浸漬した後、80℃の温風で水分含有量が14.2%となるまで乾燥を行った。この乾燥後の粳玄米について、比較例1と同様にGABAの含有量、グリコーゲンの溶出量等の測定を行った。その結果を表1に示す。
【0036】
(実施例4)
比較例4で得られた乾燥後の粳玄米を、二軸エクストルーダを用いて膨化処理して食品素材を得た。このとき、二軸エクストルーダのバレル内の温度は80℃、圧力は4.9MPaに設定した。得られた食品素材について、比較例1と同様にGABAの含有量、グリコーゲンの溶出量等の測定をするとともに、実施例1と同様に食味の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0037】
(実施例5)
水洗した比較例1の粳玄米30kgを20℃の水50リットルに10時間浸漬した後、80℃の温風で水分含有量が11.0%となるまで乾燥を行った。そして、乾燥後の粳玄米を、二軸エクストルーダを用いて膨化処理した。
【0038】
【表1】
表1の結果より、実施例1〜4で得られる食品素材はGABAを高濃度に含有しており、膨化処理によってもGABAが損耗されないことが示された。また、膨化処理によって食品衛生上好ましい程度にまで滅菌が可能であることも示された。また、実施例1〜4で得られる食品素材は、比較例1〜5に比べてグリコーゲン溶出量が多い(約20倍)ことも示された。しかも、食味の点でも可(△)以上と優れていた。
【0039】
加えて、原料を30℃の水に浸漬させた場合(実施例2)には食感にやや劣ること、また乾燥後の水分含有量が17.5%(実施例3)の場合にも膨化が不十分となって食感にやや劣ることがわかり、これらの場合には食味が落ちることが示された。
【0040】
尚、実施例5の場合も、表1には示さないが、実施例1〜4の場合と同様、GABAを高濃度に含有すると共にグリコーゲンの溶出量が多いという結果を得られた。食味に関しても、乾燥後の水分含有量が低い(11.0%)ために膨化が不十分となって食感にやや劣るものの、可(△)と評価された。
【0041】
(比較例6)
粳胚芽米(岐阜県産コシヒカリ)について、比較例1と同様にGABAの含有量、グリコーゲンの溶出量等を測定した。その結果を表2に示す。
【0042】
(比較例7)
水洗した比較例6の粳胚芽米30kgを20℃の水50リットルに10時間浸漬した後、80℃の温風で水分含有量が13.5%となるまで乾燥を行った。この乾燥後の粳胚芽米について、比較例1と同様にGABAの含有量、グリコーゲンの溶出量等の測定を行った。その結果を表2に示す。
【0043】
(実施例6)
比較例7で得られた乾燥後の粳胚芽米を、二軸エクストルーダを用いて膨化処理して食品素材を得た。このとき、二軸エクストルーダのバレル内の温度は80℃、圧力は7.4MPaに設定した。得られた食品素材について、比較例1と同様にGABAの含有量、グリコーゲンの溶出量等の測定をするとともに、実施例1と同様に食味の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
表2の結果より、原料として粳胚芽米を用いた場合であっても、粳玄米の場合と同様にGABAを高濃度に含有するとともに食味にも優れ、しかもグリコーゲン溶出量の多い(約18倍)食品素材(実施例6)を得られることが示された。
【0045】
(比較例8)
糯玄米(岐阜県産)について、比較例1と同様にGABAの含有量、グリコーゲンの溶出量等を測定した。その結果を表3に示す。
【0046】
(比較例9)
水洗した比較例8の糯玄米30kgを20℃の水50リットルに10時間浸漬した後、80℃の温風で水分含有量が13%となるまで乾燥を行った。この乾燥後の糯玄米について、比較例1と同様にGABAの含有量、グリコーゲンの溶出量等の測定を行った。その結果を表3に示す。
【0047】
(実施例7)
比較例9で得られた乾燥後の糯玄米を、二軸エクストルーダを用いて膨化処理して食品素材を得た。このとき、二軸エクストルーダのバレル内の温度は85℃、圧力は6.0MPaに設定した。得られた食品素材について、比較例1と同様にGABAの含有量、グリコーゲンの溶出量等の測定をするとともに、実施例1と同様に食味の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0048】
【表3】
表3の結果より、原料として糯玄米を用いた場合であっても、粳玄米及び粳胚芽米の場合と同様にGABAを高濃度に含有するとともに食感にも優れ、しかもグリコーゲン溶出量の多い(13.6倍)食品素材(実施例7)を得られることが示された。しかも、グリコーゲン溶出量に関しては粳玄米及び粳胚芽米から製造された食品素材(実施例1〜6)と比較しておよそ2倍の数値を示しており、グリコーゲン溶出量が極めて多いことが示された。
【0049】
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・ 食味を損なわない範囲であれば、玄米、胚芽米、部分搗精米以外のものを原料に加えてもよい。例えば、カルシウムを2%程度加えることにより、食感を向上させることができる。また、大麦、小麦、きび等を加えてもよい。特に、きびを加えることで歯に付着しにくくすることができる。
【0050】
・ 実施形態では原料を水に浸漬することで水を含浸させるようにしたが、原料に水を噴霧して与える等、原料に水を含浸させることができる方法であればよく、その方法は特に限定されない。
【0051】
・ 膨化処理の後、得られたフレーク状、プレート状等、所定の形状をなす食品素材を粉砕して粉末状としてもよい。
【0052】
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記膨化処理を、二軸エクストルーダを用いて行うことを特徴とする請求項3に記載の食品素材の製造方法。このように構成した場合、原料の特性に影響されることなく均一な品質の食品素材を得ることができる。
【0053】
・ 乾燥後における玄米、胚芽米及び部分搗精米から選ばれる少なくとも一種の水分含有量が12〜16%であることを特徴とする請求項3に記載の食品素材の製造方法。このように構成した場合、エクストルーダを使って確実に膨化処理を行うことができ、また食感を向上させることができる。
【0054】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1及び請求項2に記載の発明によれば、GABAの含有量及びグリコーゲンの溶出量を高め食味も向上させた食品素材を得ることができる。
【0055】
請求項3に記載の発明によれば、GABAを高濃度に含有するとともに食味にも優れ、しかもグリコーゲンの溶出が容易な食品素材を得ることができる。
できる。
Claims (3)
- 水の温度が20℃以下の場合は、1〜72時間、20℃を超える場合は、30分〜10時間水を含浸させた玄米、胚芽米及び部分搗精米から選ばれる少なくとも一種を主原料とし、水分含有量が12〜16%となるよう乾燥させ、粉砕された主原料を70〜100℃、4.9〜9.8MPaの条件下でエクストルーダによる膨化処理をして形成したことを特徴とする食品素材。
- 0.5mmメッシュの篩を通過できる程度に粉砕され、10倍量の水に浸漬して10分間振盪したときに、水に溶出されるグリコーゲンの量は、前記玄米、胚芽米及び部分搗精米が粳米の場合にはグリコーゲンの溶出量が20〜50g/100g、糯米の場合にはグリコーゲンの溶出量が40〜80g/100gであることを特徴とする請求項1に記載の食品素材。
- 玄米、胚芽米及び部分搗精米から選ばれる少なくとも一種を水の温度が20℃以下の場合は、1〜72時間、20℃を超える場合は、30分〜10時間水に含浸させ、それを水分含有量が12〜16%となるよう乾燥させ、粉砕して、70〜100℃、4.9〜9.8MPaの条件下でエクストルーダを用いて膨化処理することを特徴とする食品素材の製造方法。
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