JP7033184B2 - 小麦ふすま加工品の製造方法 - Google Patents

小麦ふすま加工品の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7033184B2
JP7033184B2 JP2020208345A JP2020208345A JP7033184B2 JP 7033184 B2 JP7033184 B2 JP 7033184B2 JP 2020208345 A JP2020208345 A JP 2020208345A JP 2020208345 A JP2020208345 A JP 2020208345A JP 7033184 B2 JP7033184 B2 JP 7033184B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wheat bran
barrel
temperature
present
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020208345A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021040660A5 (ja
JP2021040660A (ja
Inventor
裕美 林田
学人 池田
哲也 阿部
寛 青山
あさこ 三谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP2020208345A priority Critical patent/JP7033184B2/ja
Publication of JP2021040660A publication Critical patent/JP2021040660A/ja
Publication of JP2021040660A5 publication Critical patent/JP2021040660A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7033184B2 publication Critical patent/JP7033184B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Cereal-Derived Products (AREA)

Description

本発明は、小麦ふすま加工品の製造方法に関する。
小麦ふすまは主に粉砕された小麦の外皮からなり、不溶性食物繊維、ビタミン、ミネラル等を豊富に含むことから、健康食品素材として注目されている。しかし、小麦ふすまは組織が強靭で、食せば硬く舌上にふすま粒の残留感を感じ、また吸水性が高いためにパサついた食感が口中に残り、しかも特有の臭気(いわゆるふすま臭)を有する。したがって、小麦ふすま配合食品は一般に食味に劣る。
穀物ふすまの食味を改善するために種々の手法が開発されてきている。例えば、特許文献1には、小麦ふすまを二軸型エクストルーダーにより加圧加熱処理することにより、小麦ふすまのふすま臭を低減し、のどごしも改善したことが記載されている。
また、特許文献2には、穀物ふすまを100℃以上で加熱、混練、剪断、造粒した後、粉砕することにより、ふすま特有の不快臭や雑菌を抑え、良好な食感をもつ適度な粒径のふすま粉末を収率良く、簡便に製造できることが記載されている。この特許文献2には、上記の加熱、混練、剪断、造粒を、エクストルーダーを用いて行うことが記載されている。
特開昭62-96049号公報 特開2012-110237号公報
上記特許文献1及び2に記載の発明では、小麦ふすまの欠点とされる臭気や食感をある程度改善しうるものの、そのレベルは十分とはいえない。
本発明は、小麦ふすま特有の臭気を大きく低減することができ、さらに小麦ふすまを食した際に舌上に感じるふすま粒の残留感も大幅に低減することができ、しかも、小麦ふすまの吸水性をも低減して食した際にパサつきを感じにくくすることができる、小麦ふすま加工品の製造方法の提供に関する。
本発明者らは、小麦ふすまと水を共存させて二軸エクストルーダーを用いて混練するに際し、小麦ふすまと水との混合比を特定比とし、さらにバレル内温度を特定温度とし、且つ、バレル内の圧力を高度に高めることにより、小麦ふすまの臭気を大きく低減することができ、食した際の舌上に感じるふすま粒の残留感も大幅に低減でき、しかも小麦ふすまの吸水性も効果的に低減することができ、風味と食感をより高度なレベルで改善した食しやすい小麦ふすま加工品が得られることを見い出した。
本発明はこれらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成されるに至ったものである。
本発明は、二軸エクストルーダーを用いて小麦ふすまを処理する小麦ふすま加工品の製造方法であって、二軸エクストルーダーのバレル内の温度を105~150℃とし、該バレル内に、小麦ふすまと、小麦ふすま100質量部に対して15~95質量部の水とを投入し、バレル内の圧力を1.5~10MPaとして、投入物をバレル内で混練することを含む製造方法を提供するものである。
本発明の小麦ふすま加工品の製造方法によれば、小麦ふすま特有の臭気を大きく低減することができ、さらに小麦ふすまを食した際の舌上に感じるふすまの残留感も大幅に低減でき、しかも小麦ふすまの吸水性をも効果的に低減することができる。すなわち、小麦ふすまの風味と食感をより高度なレベルで改善した食しやすい小麦ふすま加工品を得ることができる。
図1は、本発明に用いる二軸エクストルーダーの説明図である。図1(a)は平断面図、図1(b)は側断面図である。図1において、スクリュー以外の構造の壁部は線で示し、断面を省略した。
本発明の小麦ふすま加工品の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」という)の好ましい実施形態について説明する。
本発明の製造方法に用いる二軸エクストルーダーとは、二軸スクリューが配設された空間であるバレル、バレル内に原料を投入するためのフィーダー、バレル内で混練、剪断された試料を所望の形状で排出するため排出口を有するダイプレート等から構成されている。二軸エクストルーダーは、所望の加熱、加圧条件下で、スクリューの回転によりスクリュー間の試料にせん断力や圧力を印加し、試料を混合しながら排出口へと連続的に押し出す。二軸エクストルーダーは、装置自体は公知であり、食品等の製造装置として広く利用されている。本発明においては公知の二軸エクストルーダーを広く利用することができる。
本発明に用いうる二軸エクストルーダーの一例を、図面を用いて簡単に説明する。図1(a)に二軸エクストルーダー(10)の平断面を、図1(b)に二軸エクストルーダー(10)の側断面を模式的に示す。図1に示されるように、二軸エクストルーダー(10)は、試料を投入するフィーダー(5)、互いに溝と羽を噛み合わせて配設された2本のスクリュー(2、2)が設置されたバレル(1)、スクリューの回転によりバレル内で混練された試料が排出される排出口(4)を有するダイプレート(3)を備える。バレル(1)及びダイプレート(3)は、図示していないヒーターにより、それぞれ独立に、所望の温度に調節可能である。これにより、バレル内における試料の混練や排出の際の温度を所望の温度で行うことができる。
また、スクリューの回転速度やダイプレートの開口面積(排出口の開口面積)を調節することにより、バレル内の圧力を調節することができる。本発明において、バレル内の圧力は、排出口に取り付けた図示していない圧力計により測定される。
本発明に用いる二軸エクストルーダーとしては市販品を用いることができる。市販品としては例えば、二軸エクストルーダーEA-20(商品名、スエヒロEPM社製)、深溝型二軸混練押出機KEXDエクストルーダ(商品名、クリモト社製)が挙げられる。
続いて本発明の製造方法における工程について、その好ましい実施形態を順に説明する。
本発明の製造方法では、フィーダー(5)に、小麦ふすまと水を投入する。小麦ふすまと水は、予め混合してフィーダー(5)に投入してもよいし、別々に投入し、バレル(1)内で両者が混合される形態としてもよい。
上記小麦ふすまとしては、小麦の外皮を粉砕したものを用いることが好ましい。通常は小麦の外皮を焙煎し、粉砕したものを用いる。本発明の製造方法に用いる小麦ふすまとして、食品原料として市販されているものを広く用いることができる。
フィーダー(5)に投入する小麦ふすまと水の量比は、小麦ふすま100質量部に対して水を15~95質量部とする。バレル(1)内の温度と圧力を本発明の規定内とした上で、投入する小麦ふすまと水の量比を上記範囲内とすることにより、ふすま臭や舌上への残留感をより大きく低減することができ、さらに小麦ふすまの吸水性も効果的に低減することができる。本発明の効果をより高める観点から、投入する小麦ふすまと水の量比を、小麦ふすま100質量部に対して水を20質量部以上とすることが好ましく、25質量部以上とすることがより好ましく、30質量部以上とすることがさらに好ましい。また同様の観点から、小麦ふすま100質量部に対して水を90質量部以下とすることが好ましく、85質量部以下とすることがより好ましく、80質量部以下とすることがさらに好ましく、75質量部以下とすることがさらに好ましく、70質量部以下とすることがさらに好ましく、65質量部以下とすることがさらに好ましい。
本発明の製造方法では、バレル(1)内の温度を105~150℃とする。フィーダー(5)に投入した小麦ふすまと水(以下、「投入試料」という)を、該フィーダー(5)に連結し、105~150℃に温度調節されたバレル(1)内に搬送し(バレル(1)内に投入し)、バレル(1)内に配設されたスクリュー(2、2)の回転により投入試料を混練しながら排出口(4)側へと送り出す。本発明において「混練」とは、2つのスクリューの回転による混練、剪断、粉砕等を含む意味に用いる。投入試料の小麦ふすまと水の量比を本発明の規定内とし、且つバレル(1)内の圧力を本発明の規定内とした上で、バレル(1)内の温度を105~150℃として投入試料を混練することにより、ふすま臭や舌上への残留感を大きく低減することができ、さらに小麦ふすまの吸水性も効果的に低減することができる。
小麦ふすまの熱変性を抑える観点から、バレル(1)内の温度は140℃以下とすることが好ましく、130℃以下とすることがより好ましく、120℃以下とすることがさらに好ましい。また、本発明の効果をより高めるために、バレル(1)内の温度は110℃以上とすることが好ましく、115℃以上とすることがより好ましい。
バレル(1)内の温度は、バレル(1)の外周に接して設置され、あるいはバレル(1)を形成するシリンダー内に組み込まれるなどして配設されたヒーターにより調節することができる。
本発明において、バレル(1)内の温度を105~150℃とする、とは、バレル(1)内のすべての領域の温度を105~150℃とすることが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で、バレル内の一部の温度が105~150℃の範囲外となっていてもよい。例えば、フィーダー(5)との連結部分及びその近傍のバレル内おいては、投入された試料が低温であると、バレル内の当該部位の温度は設定温度よりも低くなり得るが、この形態も本発明の製造方法に包含される。本発明においては、バレル(1)内の少なくとも、バレル(1)のスクリュー軸方向における中央から下流に向けてすべての領域の温度を、105~150℃とすることが好ましく、バレル(1)内の、フィーダーとの連結部位よりも下流の領域のすべてを105~150℃とすることがより好ましい。ここで、「下流」との用語は、試料が送り出される方向に対して用いられ、バレル内の特定の位置から下流の領域とは、当該特定の位置から排出口側(ダイプレートとの接触面まで)の領域を意味する。また「上流」は、「下流」とは反対の方向を意味する。
また、本発明の製造方法においては、バレル(1)内のすべての領域を同一温度とする必要もない。例えば、バレル(1)の中間ゾーンに配設されたヒーターによりバレル(1)内の温度を調節する場合、ヒーターが設置された中間ゾーン以外の部分のバレル温度は中間ゾーンの温度(ヒーターの設定温度)よりも低くなり得る。ここで「バレル(1)の中間ゾーン」とは、バレル(1)のスクリュー軸方向における中央部及びその近傍を意味する。
本発明の製造方法では、バレル(1)内の圧力を1.5~10MPaとして、投入試料を、スクリューの回転によりバレル(1)内で混練する。投入する小麦ふすまと水の量比を本発明の規定内とし、且つバレル内温度を本発明の規定内とした上で、バレル(1)内の圧力を1.5~10MPaとすることにより、ふすま臭や舌上への残留感を大きく低減することができ、さらに小麦ふすまの吸水性も効果的に低減することができる。
ふすま臭と舌上の残留感をより抑える観点から、投入試料の混練時のバレル(1)内の圧力は2.0MPa以上とすることが好ましく、2.5MPa以上とすることがより好ましく、3.0MPaとすることがさらに好ましく、3.5MPaとすることがさらに好ましい。また同様の観点から、投入試料の混練時のバレル内の圧力は9.0MPa以下とするのが好ましく、8.0MPa以下とすることがより好ましい。
バレル内の圧力は、スクリュー(2、2)の回転速度、バレル(1)内温度、開口部(4)の開口径等を適宜に調節することにより、調節することができる。
バレル内の圧力は、排出口(4)に圧力計を設置して測定される。
本発明者らは、小麦ふすまの吸水性の低減には、熱履歴に加え、圧力が大きく影響すること、すなわち、二軸エクストルーダーを用いて、本発明で規定する特定温度下、圧力を本発明で規定する範囲内にまで高度に高めて混練することにより、吸水性を効果的に低減できることを見い出した。上記特定量の水と混合された小麦ふすまを、上記特定の温度条件で、且つ従来に比べて格段に高い圧力条件下で、スクリュー回転によりせん断することにより、小麦ふすま中の澱粉粒をより短時間にアルファー化することができ、小麦ふすまの多孔質構造を素早く閉塞し、その吸水性を短時間に、効果的に低減することができる。ここで、小麦ふすまと混合する水の量が本発明で規定するよりも多いと、加圧が不十分になることがあり好ましくない。
また、本発明者らは、小麦ふすま臭の低減にも、通常の高温、高圧条件下における水との混練だけでは十分でなく、本発明で規定する特定温度下、圧力を本発明で規定する範囲内にまで高度に高めて混練することが重要であることを見い出した。本発明で規定する特定温度条件で、且つ従来に比べて格段に高い圧力条件下で混練することにより、小麦ふすま臭を水へと短時間に、効率的に移行させることができ、さらに二軸エクストルーダーから混練物が排出された際には、水分が素早く蒸散し、この水分の蒸散に伴い小麦ふすま臭を効果的に取り除くことができる。ここで、小麦ふすまと混合する水の量が本発明で規定するよりも少ないと、臭気を水に十分に移行させることが難しくなり、小麦ふすま臭を十分に低減させることが困難となる。
さらに小麦ふすま粒の残留感もまた、本発明で規定する特定温度条件で、且つ従来にない高度な圧力条件下で混練することにより、短時間に、効果的に低減できる。
本発明の製造方法において、バレル内で混練されて排出口側へと搬送された投入試料は排出口から排出される。その際、排出口の温度は105℃以上とすることが好ましい。排出口の温度を105℃以上とすることにより、本発明の効果をより高めることができる。また、熱変性による風味劣化を考慮すると、排出口の温度を140℃以下とすることが好ましく、130℃以下とすることがより好ましく、120℃以下とすることがさらに好ましい。
排出口の温度は、ダイプレートに設置され、あるいは組み込まれたヒーターにより調節することができる。
本発明において、ふすま臭と舌上に感じる残留感をより低減する観点から、排出口(4)の温度をバレル(1)内の温度より低くすることが好ましい。ここで「排出口(4)の温度をバレル(1)内の温度より低くする」とは、ダイプレートヒーターの設定温度をバレルヒーターの設定温度よりも低くすることを意味する。すなわち、ダイプレートからその上流のバレル内におけるバレルヒーター設置領域に向けて、温度が低下する領域がないことを意味する。なかでもバレル(1)内の温度から排出口(4)の温度を差し引いた値を5℃以上とすることがより好ましく、10~20℃とすることがさらに好ましい。ここで、「バレル(1)内の温度から排出口(4)の温度を差し引いた値」とは、すなわち、バレルヒーターの設定温度からダイプレートヒーターの設定温度を差し引いた値とする。
投入試料の滞留時間(バレル(1)内に投入されてから排出口(4)から排出されるまでの時間)は、ふすま臭と舌上に感じる残留感をより低減し、且つ、吸水性も効果的に低減する観点からは0.1~30分とすることが好ましく、0.1~10分とすることがより好ましい。ふすま臭と舌上に感じる残留感をさらに低減する観点から、投入試料がバレル内に滞留する時間を0.3~8分とすることが好ましく、0.5~6分とすることがより好ましく、0.7~4分とすることがさらに好ましい。
投入試料のフィード流量は、バレル内容積、滞留時間、バレル内圧力等を考慮し適宜に調節されるものであるが、5~500kg/時間(hr)とするのが好ましく、7~450kg/時間(hr)とするのがより好ましく、10~400kg/時間(hr)とするのが更に好ましい。
排出口(4)から排出された投入試料は、そのまま小麦ふすま加工品として用いてもよいが、通常は乾燥処理に付される。流通性、加工性等の点から、乾燥後の試料を粉砕し、紛体ないしは粒状とすることが好ましい。
本発明の小麦ふすま加工品を粉体ないしは粒状とする場合、その粒径は0.1mm以上とすることが好ましい。各種食品への配合のしやすさの観点から、本発明の小麦ふすま加工品は、より好ましくは粒径を0.2mm以上、さらに好ましくは0.3mm以上とする。また、同様の観点から、本発明の小麦ふすま加工品の粒径を3.0mm以下とすることが好ましく、2.0mm以下とすることがさらに好ましく、1.5mm以下とすることがさらに好ましく、1.0mm以下とすることがさらに好ましい。
小麦ふすま加工品の粒径は、粉砕の程度やその後の分級により適宜調整することができる。粉砕の程度による調整は、用いる粉砕機の使用法に従えばよく、分級による調整は、空気分級や篩い分け等、慣用の手段により行うことができる。篩い分けの場合、用いる篩いの網目の大きさ(メッシュ)により調整することができる。例えば、粒径0.5~1.0mmの小麦ふすま加工品とする場合、16メッシュの篩を通過し、30メッシュの篩を通過しない画分を採取する。なお、ここでいうメッシュの番手は、日本工業規(JISZ8801-1966)のものである。
本発明の製造方法で得られる小麦ふすま加工品は、その含水率を通常は2.5質量%以上とする。防腐防黴の観点から、本発明の小麦ふすま加工品の含水率を20質量%以下とすることが好ましく、13質量%以下とすることがより好ましく、10質量%以下とすることがさらに好ましく、6質量%以下とすることがさらに好ましい。また、吸水性を抑える観点から、本発明の小麦ふすま加工品の含水率を3質量%以上とすることが好ましく、4質量%以上とすることがより好ましい。
本明細書において含水率は、赤外線水分計(FD-720,ケット科学社製)を用いて測定することができる。すなわち、小麦ふすま加工品1gを試料皿に量り取り、赤外線照射によって105℃で加熱乾燥させ、含まれていた水分の蒸発による質量変化から水分量を求める。質量変化は30秒毎に測定し、変動幅が0.05%以内となったときの質量変化から、小麦ふすま加工品中に含まれていた水分量を求め、含水率(質量%)を算出する。
本発明の製造方法により得られる小麦ふすま加工品は、小麦ふすま配合食品の原料として好適に用いることができる。本発明の製造方法により得られる小麦ふすま加工品を食品原料として用いることにより、小麦ふすま臭や、舌上に感じるふすまの残留感、口中のパサつき感をほとんど感じずに、小麦ふすまが有する不溶性食物繊維をはじめ、各種の栄養素を効率的に摂取することが可能となる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
市販の焙煎小麦ふすま(商品名:ファインブラン(脂質含有量7.2質量%、糖質含有量25.8%、食物繊維含有量43.6%)、三輪社製)を5kg量り取り、水4.1kgを加えて、縦型攪拌機(関東混合機工業社製HPiー60)を用いて3分間混合した。
得られた混合物を二軸エクストルーダーのフィーダー内に投入し、二軸エクストルーダー(スエヒロEPM社製EA-20型、ダイ径φ3mm×1)の中間バレルヒーターを130℃、フィード流量を20kg/hr、バレル内の圧力を3.4MPa、ダイプレートヒーターを110℃、滞留時間1.2分として、スクリューの回転により混合物を混練しながら押し出した。排出口から排出された試料を、バキューム乾燥機を用いて60℃で24時間乾燥した。
得られた乾燥品をブレンダーで粉砕し、16メッシュの篩を用いて、粒径1mm以下の小麦ふすま加工品を得た。なお、得られた小麦ふすま加工品の含水率は5質量%以下であった。
実施例2~6、比較例1、2、4及び5
上記実施例1において、小麦ふすまと混合する水の量、中間バレルヒーター温度、ダイプレートヒーター温度、バレル内の圧力を下表に示す通りに変更したこと以外は、実施例1と同様にして小麦ふすま加工品を得た。なお、滞留時間は、実施例2~6及び比較例1では1.2分であり、比較例2では0.9分、比較例4では0.5分、比較例5では0.6分であった。
なお、下表には、中間バレルヒーターの設置領域における温度の実測値も併せて示す。
なお、上記各実施例及び比較例において、バレル内における中間バレルヒーターの設置場所は排出口側の領域よりも上流(すなわち、バレル内のスクリュー軸方向における中央部分及びその近傍)にあり、バレル内の、フィーダーよりも下流部分は、どの部分においても、温度がダイプレートの温度よりも5℃以上高かった。
比較例3
市販の小麦ふすま(商品名:ファインブラン(脂質含有量7.2質量%、糖質含有量25.8%、食物繊維含有量43.6%)、三輪社製)を30g量り取り、蒸留水20gを加えて混合した。得られた混合物を、オートクレーブを用いて90℃、30分間の湿熱処理に付した。湿熱処理後の小麦ふすまを、バキューム乾燥機を用いて60℃で24時間乾燥した。得られた乾燥品を、実施例1と同様にして粉砕し、16メッシュの篩を用いて、粒径1mm以下の小麦ふすま加工品を得た。
試験例1 吸水性試験
底部にメッシュを張った円筒型容器(φ26mm×高さ50mm)に、上記各実施例及び比較例で調製した小麦ふすま加工品を容器底部から3cm高さまでタッピングしながら充填した。小麦ふすま加工品を充填した円筒型容器を吊り下げ、底部から1cmの高さまで容器ごと水に浸漬させ、底部から水を吸収させた。ここで、水を充填した容器の底部から、小麦ふすま加工品を充填した円筒型容器の底部までは0.5cmとした。吸水開始から1分後、2分後、3分後、4分後(これを測定時間tとする)に、円筒型容器ごと試料の質量を測定した。得られた質量から、円筒型容器と吸水前の小麦ふすま加工品の合計質量を減じ、得られた値を吸水前の小麦ふすま加工品の絶乾質量で除することにより、吸水量V’(g/g-小麦ふすま加工品)を算出した。このとき、測定時間tと吸水量V’は次式で表され、Kは吸水速度となる。吸水開始から1分後、2分後、3分後、4分後の吸水量である4点のプロットから近似式を算出し、この傾きをKとした。

V’=K(t)0.5+V (V:粗さ指数)

小麦ふすま加工品の吸水速度Kを、上記と同様にして算出した未処理の小麦ふすまの吸水速度Kで除し、得られた値に100を乗じた値を吸水性指標とした。

吸水性指標(%)=100×(小麦ふすま加工品のK)/(未処理小麦ふすまのK

この吸水性指標が71%以上であると、食した際の口中のパサつき感がさほど改善されない。したがって、この吸水性指標は71%未満とすることが好ましく、65%以下とすることで小麦ふすまの食感をより効果的に改善することができる。
試験例2 官能試験
上記各実施例及び比較例で得られた小麦ふすま加工品0.5gを口中に含んだ際の小麦ふすま特有の臭気の度合い、及び、飲み込んだ後の舌上へのふすま粒の残留感を、未処理の小麦ふすまを基準品とし、下記評価基準により相対評価した。下記評価基準において、「1」が最も低い評価で、「2」~「4」にかけて順次評価が高くなり、「5」が最も優れた評価である。下表に示す評価結果は3人の専門パネルの評価数値の平均である。
-小麦ふすま特有の臭気-
5:臭気をほとんど感じない
4:臭気がより抑えられている
3:基準品よりも臭気が弱い
2:基準品と同等である
1:基準品よりも臭気を強く感じる
-小麦ふすまの残留感-
5:小麦ふすま粒を舌上にほとんど感じない
4:小麦ふすま粒を舌上にわずかに感じるが、あまり気にならない
3:基準品よりも、舌上に感じる小麦ふすま粒の残留感が少ない
2:基準品と同等である
1:基準品よりも舌上に感じる小麦ふすま粒の残留感が強い
Figure 0007033184000001
上記の表1に示されるように、小麦ふすまに対する水の量比が本発明で規定するよりも高いと、吸水性を十分に低下させることができず、また、小麦ふすまの残留感が、未処理の小麦ふすまよりも高まる結果となった。また、小麦ふすま臭も十分に低減することができなかった(比較例1)。逆に小麦ふすまに対する水の量比が本発明で規定するよりも低い場合には、小麦ふすま臭が、未処理の小麦ふすまよりも強まる結果となった(比較例2)。
また、バレル内圧力を本発明で規定するよりも低い条件とした場合には、吸水性、小麦ふすま臭及び小麦ふすまの残留感のいずれも、十分に改善するには至らなかった(比較例4、5)。
さらに、二軸エクストルーダーを使用せずに、オートクレーブにより高温高圧処理を施した場合もまた、吸水性、小麦ふすま臭及び小麦ふすまの残留感のいずれも、十分に改善するには至らなかった(比較例3)。
これに対し、本発明の製造方法により得られた小麦ふすま加工品は、いずれも小麦ふすま臭が大きく低減され、且つ、小麦ふすまの残留感をほとんど感じないか、感じてもわずかであり、さらに、吸水性も効果的に抑えることができた(実施例1~6)。

Claims (3)

  1. 二軸エクストルーダーを用いて小麦ふすまを処理する小麦ふすま加工品の製造方法であって、
    二軸エクストルーダーの排出口の温度を105℃以上とし、二軸エクストルーダーのバレル内の温度を115140℃とし、前記バレル内に、小麦ふすまと、前記小麦ふすま100質量部に対して3065質量部の水とを投入し、前記バレル内の圧力を4.88.0MPaとして、前記バレル内で前記投入物を混練する際の、前記バレル内の温度から前記排出口の温度を差し引いた値を5℃以上として、前記投入物を、前記バレル内の滞留時間を0.7~4分として混練することを含
    前記小麦ふすまを、有機酸により処理せずに、かつ有機酸の金属塩と混合せずに、前記バレル内に投入する、小麦ふすま加工品の製造方法。
  2. 前記バレル内で前記投入物を混練する際の、前記バレル内の温度から前記排出口の温度を差し引いた値を10℃以上とする、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記投入物のフィード流量を5~500kg/hrとする、請求項1又は2に記載の製造方法。
JP2020208345A 2020-12-16 2020-12-16 小麦ふすま加工品の製造方法 Active JP7033184B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020208345A JP7033184B2 (ja) 2020-12-16 2020-12-16 小麦ふすま加工品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020208345A JP7033184B2 (ja) 2020-12-16 2020-12-16 小麦ふすま加工品の製造方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019148010A Division JP2019187452A (ja) 2019-08-09 2019-08-09 小麦ふすま加工品の製造方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2021040660A JP2021040660A (ja) 2021-03-18
JP2021040660A5 JP2021040660A5 (ja) 2022-02-04
JP7033184B2 true JP7033184B2 (ja) 2022-03-09

Family

ID=74862508

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020208345A Active JP7033184B2 (ja) 2020-12-16 2020-12-16 小麦ふすま加工品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7033184B2 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS611360A (ja) * 1984-06-14 1986-01-07 Kyodo Shiryo Kk フスマ加工食品の製造方法
US4759942A (en) * 1985-09-19 1988-07-26 General Foods Corporation Process for producing high fiber expanded cereals
JPS6296049A (ja) * 1985-09-30 1987-05-02 Tech Res Assoc Extru Cook Food Ind 食用に適した穀物▲ふ▼の製造法
JP3155345B2 (ja) * 1992-06-05 2001-04-09 日本製粉株式会社 フスマ加工品の製造法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Cereal Chem., Vol.83, No.2, pp.157-160

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021040660A (ja) 2021-03-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2540220B2 (ja) ねり粉、特にねり粉製品を製造するための混練り装置および方法
EP2404506A1 (en) Instant dry noodles and method for producing same
CN102726814A (zh) 膨化玉米粕的制造方法
JPS6131042A (ja) 湿潤野菜又は動物製品の価値を高める方法及び同方法で製造された栄養製品
CN101019620A (zh) 全谷玉米片的生产方法
RU2389346C1 (ru) Способ производства экструдированных текстуратов
EP3079494B1 (en) Extruded flakes and manufacturing method
TWI767940B (zh) 寵物食品粒體、其製造方法與製造裝置、以及寵物食品
JP7033184B2 (ja) 小麦ふすま加工品の製造方法
EP3073841B1 (en) Extruded flakes and manufacturing method
JPH0380462B2 (ja)
JP2016220676A (ja) 小麦ふすま加工品の製造方法
JP2023058622A (ja) 加熱調理用でんぷん含有固形状組成物の製造方法
RU2313953C1 (ru) Способ производства экструдированного продукта
WO2010046451A2 (de) Verfahren und vorrichtung zur herstellung von teig
JP2019187452A (ja) 小麦ふすま加工品の製造方法
AU2004253444A2 (en) Beta-glucan-containing products, methods of making same, and uses therefor
JPS6255067A (ja) 二軸型エクストル−ダを利用した可食性生地の製造方法及び装置
RU2610805C2 (ru) Способ производства кормов
JP4413502B2 (ja) おから成形品の製造方法
JP2016178902A (ja) 小麦ふすま加工品の製造方法
Rolfe et al. The effect of processing conditions on the quality of extruded catfish feed
JP6920781B2 (ja) エクストルーダー処理したα化デュラム小麦粒を使用した蒸しケーキの製造方法
JPH05123121A (ja) 即席食品およびその製造法
KR101335697B1 (ko) 기능성 시리얼의 제조방법

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210115

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210115

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220127

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220222

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220225

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7033184

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151