JP2016217002A - 筐体 - Google Patents
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Abstract
Description
従来の地下構造物用筐枠体は、上面開口部を有し、地下構造物を内部に収納する本体と、この本体に着脱可能に取り付けて、基端側を中心とする回動により上面開口部を開閉する蓋体とを備える。また、本体は、横向き円柱状をなす一対の蝶着ピンを有している。蓋体は、僅かに横長な円形状の第1窪部と、僅かに横長な円形状であって連通部を形成する第2窪部とを有している。
そして、蓋体を本体に取り付ける場合には、蓋体の第1窪部内に一方の蝶着ピンを挿入した後、蓋体の第2窪部を他方の蝶着ピンに臨ませ、次いで、その他方の蝶着ピンを連通部から第2窪部内に挿入する。なお、蓋体を本体から取り外す際には、上記の取り付け作業とは逆の取外作業を行う。
ところで、筐体は、大雨などで、筐体内部に大量の水が浸入すると蓋体が浮き上がってしまう。特許文献2には、グレーチングの跳ね上がりを防止するロック部材の開示がある。また、特許文献3には、専用工具を用いて量水器箱の蓋体の施錠と開錠とが可能な量水器箱の記載がある。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、簡易に蓋の浮上防止が可能で蓋体の取付作業および取外作業が容易な筐体の提供を目的とする。
以下に本発明の第1実施形態の筐体1について図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態の筐体1の分解斜視図である。
本実施形態の筐体1は、蓋体4を上部に備える平面視矩形の箱型である。以下の説明において、筐体1の平面視において長辺が延びる方向を左右方向、短辺が延びる方向を前後方向として各部の説明を行う説明する。また、特に説明がない場合、蓋体4は本体3に取り付け閉状態とした姿勢で各方向(前後、左右、上下)を規定する。
筐体1は、地下に埋設して使用する。本実施形態において、筐体1は、量水器ボックスであり、内部に水道メータ(以下、量水器)を収容する。筐体1は、量水器ボックスとしての利用に限らず、ガスメータ、電気メータ等の地下構造物を収容し、地下構造物を保護する用途に使用できる。また、筐体1に収容する地下構造物は、上記メータ類に限らず、例えば、電気ケーブルや配管などでも良い。更に筐体1は、マンホールでも良い。筐体1がマンホールの場合の地下構造物は、マンホールから地下に降りるための梯子などを意味する。
以下、各部について詳細に説明する。
本体3は、底板33と枠体32と上枠31とを有し、これらを下側から順に組み立てて構成する有底筒状の箱である。本体3を構成する底板33と枠体32と上枠31とは、例えば合成樹脂で形成するが、一部またはすべてを金属で形成しても良い。
底面33aには、複数の貫通孔34を形成する。貫通孔34は、筐体1に侵入する水などの液体を筐体1外に逃がす水抜き孔である。また、貫通孔34は、筐体1に設置する地下構造物の設置台座の位置決めに使用できる。
周縁突出部33bの上面には、凸部33cを形成する。凸部33cは、枠体32の下面に形成する凹部(図示略)と嵌合する。これにより、底板33上に枠体32が組み付く。4つの周縁突出部33bのうち、左右に位置する2つの周縁突出部33bの略中央の上部には、半円状の管挿通用凹部35を形成する。
枠体32の上面には、凸部32cを形成する。凸部32cは、上枠31の下面に形成する凹部(図示略)と嵌合する。これにより、枠体32上に上枠31が組み付く。
図2、図3に示すように、上枠31は、内側面3aにからせり出す4つの棚部41、42、43、43と、棚部43の上側において左右の対向する内側面3aから突出する二組の対向する蝶着ピン51とを有する。
蝶着ピン51は、上枠31の左右の内側面3aから、それぞれ基準軸Jに沿って突出して形成する。蝶着ピン51は、上枠31の側棚部43と後棚部42との間の間隙60に位置して本体3の開口部7に臨んで形成する。2組の一対の蝶着ピン51は、互いに向かい合っている。蝶着ピン51は、例えば、それぞれの側棚部43を正面に見るときに左右対称の形状で形成する。
図6、図7に示すように、蝶着ピン51は、先端面55と上側斜面56と下側斜面57とを有する。上側斜面56は、蝶着ピン51の先端上部に位置する面であって、蝶着ピン51の根元側から先端側に向かって、斜め下方に傾斜する。下側斜面57は、蝶着ピン51の先端下部に位置する面であって、蝶着ピン51の根元側から先端側に向かって、斜め上方に傾斜する。上側斜面56および下側斜面57は、ともに、蝶着ピン51を先端側に向かって細める傾斜面である。上側斜面56は、下側斜面57と比較して傾斜角度が大きい。言い換えると、図6、図7に示すように、上側斜面56の水平方向に対する傾斜角度αは、下側斜面57の基準軸J(本実施形態において水平方向)に対する傾斜角度βよりも大きい。上側斜面56の傾斜角度αによって、蝶着ピン51は蓋体4の第1の凹状部12(又は第2の凹状部22)に円滑に挿入できる。
上側斜面56は、蓋体4を本体3に取り付ける際に、後段において説明する第1の係合部材(第1の係合部)71または第2の係合部材(第2の係合部)81と当接する面である。一方で、下側斜面57は、蓋体4を本体3から取り外す際に、第1の係合部材71または第2の係合部材81と当接する面である。
次に、蓋体4について具体的に説明する。図4は、蓋体4を斜め下方から見た斜視図である。図5(a)は、蓋体4を斜め上方から見た斜視図であり、図5(b)は、蓋体4の第1の摺動構造体66近傍の拡大図であり、図5(c)は、蓋体4の第2の摺動構造体68近傍の拡大図である。蓋体4は、板部材65と、一対の第1の摺動構造体66と一対の第2の摺動構造体68とを有する。
図6を基に、板部材65の摺動構造体取付部65aにおける第1の摺動構造体66の支持構造について説明する。なお、ここでは、第1の摺動構造体66について説明するが、第2の摺動構造体68も同様の方法で板部材65が支持する。
板部材65は、摺動構造体取付部65aにおいて、板部材65の下面から下方に延びる突出壁67を有する。また、板部材65は、摺動構造体取付部65aにおいて、スライドリブ64を有する。スライドリブ64は、板部材65の下面に向かって突出し、基準軸Jに沿って延びる。第1の係合部材71は、スライドリブ64が嵌る摺動溝74を形成する。これにより、第1の係合部材71は、基準軸J方向にのみ摺動して移動する。さらに、板部材65は、摺動構造体取付部65aにおいて、係止片63を有する。係止片63は、第1の摺動構造体66の左右方向外側の端部に位置する。係止片63は、第1の係合部材71の左右方向外側への移動範囲を制限する。
係合突起6は、蓋体4が閉状態において後方に向かって延び、上枠31の係合受け部48(図1参照)が係合突起6を収容する。閉状態の蓋体4は、係合受け部48が係合突起6を収容するため、自動車の通過などで衝撃が加わる場合でも、基端4b側の跳ね上がりを防止できる。
また、係合突起6は、蓋体4が開状態において下方に向かって延びる。したがって、蓋体4を開状態とした際には、係合受け部48は、係合突起6を収容しない。このため、筐体1は、本体3から蓋体4を開状態で取り外しできる。
本実施形態において、取外抵抗低減面17は、所定の曲率で湾曲した傾斜面であるが、直線的に面取りした傾斜面であってもよい。
図6に示すように、閉状態の蓋体4において、第1の凹状部12は、抜け防止面20が上側を向く姿勢となる。また、図7に示すように、開状態の蓋体4において、第1の凹状部12は、取外抵抗低減面17が上側を向く姿勢となる。
図6に示すように、本実施形態において、弾性部材72はコイルばねである。弾性部材72は、基準軸Jに沿う伸縮方向を有する。弾性部材72は、第1の係合部材71と板部材65の突出壁67との間で適度に圧縮した状態で介在する。第1の係合部材71には、第1の凹状部12と反対側の面に、弾性部材保持穴76を形成する。同様に、突出壁67は、第1の係合部材71と対向する面に弾性部材保持穴67aを有する。弾性部材保持穴76、67aは、基準軸Jに沿う方向に窪んで形成して弾性部材72が滑落しないように保持する。なお、弾性部材72は、付勢手段として使用できればその構成は限定しない。付勢手段としては、第1の係合部材71の一部を弾性変形可能な形状に形成しても良い。
カバー部材73は、第1の係合部材71と弾性部材72とを下方から覆う。カバー部材73は、図示しない係止片などによる係合やビスによって板部材65に固定する。カバー部材73は、第1の係合部材71を摺動可能に下方から保持する。
図4に示すように、カバー部材73には、基準軸Jに沿って、左右方向外側から内側に向かって延びる切欠部77を形成する。切欠部77の幅は、第1の係合部材71の係合突起6の摺動範囲よりも若干大きく形成する。切欠部77によって、第1の係合部材71は、基準軸Jに沿って移動するときに、係合突起6とカバー部材73とが干渉しない。また、切欠部77は、係合突起6を幅方向に挟むことで第1の係合部材71の移動をガイドする。さらに、切欠部77は、カバー部材73の内側に侵入する水分を排出すると共に、カバー部材73の内部の弾性部材72の状態を目視確認するときの点検窓の機能を有する。
上述したように蓋体4は、第1の凹状部12が一対の2組の蝶着ピン51のうち何れか一方の組の蝶着ピンを収容して、本体3に取り付く。また、蓋体4は、基端4b側を中心に回転し開閉する。これに対して、第2の凹状部22は、蓋体4の閉状態で、他方の組の蝶着ピン51を収容し、蓋体4の開状態では、蝶着ピン51を収容しない。すなわち、第2の凹状部22は、開閉に伴って蝶着ピン51が出入りする(図9(a)〜(c)および図10(a)〜(c))。蓋体4は、第2の凹状部22によって、不用意に蓋体4が開状態になったり不用意に外れたりすることを防止できる。また作業者は、蓋体4の開閉時にクリック感を検知できる。
次に、筐体1の作用等を説明する。まず、蓋体4を本体3に対して回動する場合について、図8を参照して説明する。図8(a)、(b)は、基準軸Jと直交し、蓋体4の第1の係合部材71を横切る面で断面を取った断面図である。図8(a)、(b)は、それぞれ蝶着ピン51を中心として拡大した図である。図8(a)は、蓋体4の閉状態を示し、図8(b)は、蓋体4の開状態を示す。
閉状態から開状態の移行において、第1の凹状部12が蝶着ピン51を遊嵌可能な寸法であるため、蝶着ピン51と第1の凹状部12とは当接せずに、蝶着ピン51に負荷が掛からない。
また、蝶着ピン51の突出高さによっては、蝶着ピン51の先端面55が第1の凹状部12の奥行面に当接する場合がある。この場合には、第1の係合部材71が基準軸Jに沿って左右方向に移動するため、蝶着ピン51への負荷が軽減する。このように、蓋体4は、閉状態から開状態への移行においても、蝶着ピン51に掛かる負荷を低減できる。
なお、この起立姿勢となった蓋体4の摺動面62は、側棚部43と案内部47との間の間隙60に入り込む。これにより、蓋体4は、安定して開状態を保持できる。
このように、蓋体4の開状態時および閉状態時のいずれにおいても、第1の凹状部12の収容する蝶着ピン51は遊嵌状態である。これにより、蝶着ピン51には負荷が掛かり難く、蝶着ピン51のクリープの発生を抑制できる。また、第1の凹状部12と蝶着ピン51とは、蓋体4の回動時においてもほとんど非接触であり回動時の蝶着ピン51の負傷も抑制できる。
図9(a)〜(c)は、第2の凹状部22に蝶着ピン51を収容した状態の断面図である。
図9(a)〜(c)は、蓋体4の閉状態から開状態に移行する際の状態を示す。また、図10(a)〜(c)は、蓋体4の開状態から閉状態に移行する際の状態を示す。
図9(a)、(b)に示すように、閉状態から開状態に移行する際に、第2の係合部材81が上方に移動する。
図9(b)に示すように、蓋体4の先端4aを上方に持ち上げる途中で、蓋体4の第2の係合部材81と蝶着ピン51とが当接する。より具体的には、第2の係合部材81の第2の凹状部22の内周面に設ける開抵抗低減面27と蝶着ピン51の下側斜面57とが当接する。開抵抗低減面27と下側斜面57とは、互いに同方向に傾いている。開抵抗低減面27と下側斜面57とが当接する状態で蓋体4がさらに持ち上がることにより、開抵抗低減面27と蝶着ピン51とは、円滑に滑り合って第2の係合部材81に内側に向かって移動する力を与える。これにより、第2の係合部材81は、弾性部材72の弾性力に抗して蓋体4の左右方向の内側へ移動して蝶着ピン51を第2の凹状部22の外側に案内する。
開抵抗低減面27と下側斜面57とは、第2の係合部材81を円滑に移動して蝶着ピン51に加わる負荷を低減する機能を果たす。なお、開抵抗低減面27と下側斜面57とをともに設けることが好ましいが、少なくとも開抵抗低減面27を設ければ、この機能を発揮できる。
図10(a)、(b)に示すように、蓋体4が開状態から閉状態に移行する際に、第2の係合部材81は、下降して蝶着ピン51に近づく。図10(b)に示すように、蓋体4の先端4aの降下途中で、蓋体4の第2の係合部材81と蝶着ピン51とが当接する。より具体的には、蓋体4の先端4aの降下途中で、第2の係合部材81の下側に位置する閉抵抗低減面26と蝶着ピン51の上側斜面56とが当接する。閉抵抗低減面26と上側斜面56とは、互いに同方向に傾いている。閉抵抗低減面26と上側斜面56とが当接した状態で、蓋体4がさらに降下すると、閉抵抗低減面26と上側斜面56とは、円滑に滑り合って第2の係合部材81に内側に向かって移動する力を与える。これにより、第2の係合部材81は、弾性部材72の弾性力に抗して蓋体4の左右方向の内側へ移動して蝶着ピン51を第2の凹状部22の内側に案内する。このように、閉抵抗低減面26は、蝶着ピン51を第2の凹状部22の内部に案内する。
次いで、蓋体4を本体3に対して取り付ける場合について、図11を参照して説明する。
図11(a)〜(c)は、蓋体4を本体3に取り付ける手順を示す図である。
まず、図11(a)に示すように、作業者は、本体3に向けて蓋体4の先端4a側を手で持ちながら、例えば蓋体4を開方向に約10度から約90度傾ける状態として、さらに蓋体4をゆっくりと降下する。
取付抵抗低減面16と上側斜面56とは、第1の係合部材71を円滑に移動して蝶着ピン51に加わる負荷を低減する機能を果たす。なお、取付抵抗低減面16と上側斜面56とは、ともに設けることが好ましいが、少なくとも取付抵抗低減面16を設ければこの機能を発揮できる。
なお、蓋体4に係合突起6を設けず、本体3に係合受け部48を設けない場合は、取り付けに際して、蓋体4を開方向に傾ける必要がない。したがって、この場合には、作業者は、蓋体4の姿勢を気にすることなく、蓋体4を本体3の開口部7に押し下げるのみで、蓋体4の第1の凹状部12に本体3の蝶着ピン51を挿入できる。
次いで、蓋体4を本体3から取り外す場合について、図12を参照して説明する。図12(a)〜(c)は、蓋体4を本体3から取り外す手順を示す図である。
取外抵抗低減面17と下側斜面57とは、第1の係合部材71を円滑に移動して蝶着ピン51に加わる負荷を低減する機能を果たす。なお、取外抵抗低減面17と下側斜面57とをともに設けることが好ましいが、少なくとも取外抵抗低減面17を設ければ、この機能を発揮できる。
このように、取外抵抗低減面17と抜け防止面20とは、蓋体4が、本体3に対して一定の角度で開状態にする場合にのみ、蓋体4の取り外しを許容する。
次いで、大雨時の洪水等により、冠水が発生した場合の筐体1の状態について、図13を参照して説明する。冠水が発生し筐体1が水没すると蓋体4に浮力が生じる場合がある。ここでは、蓋体4に浮力が生じる場合の蓋体4の第1の係合部材71における外れ防止機能および第2の係合部材81における簡易ロック機能について説明する。
筐体1が水没すると、蓋体4の簡易ロックである第2の凹状部22と蝶着ピン51との係合が外れて、開方向に回動(例えば90度未満)して、蓋体4の係合突起6が本体3の係合受け部48から離れて、蓋体4には浮上して第2の凹状部22と蝶着ピン51との係合を解除するような浮力が掛かる場合がある。この場合には、本体3の蝶着ピン51と蓋体4の抜け防止面20とが互いに当接する。第1の凹状部12の内周面の抜け防止面20は、取外抵抗低減面17に比べて曲率半径がかなり小さい。このため、筐体1は、本体3の蝶着ピン51と蓋体4の第1の凹状部12の抜け防止面20との当接によって、本体3から蓋体4の抜け出しを防止できる。
また、蓋体4の取付時には、取付抵抗低減面16と蝶着ピン51とが当接し、蓋体4の取外時には、取外抵抗低減面17と蝶着ピン51とが当接する。このため、蓋体4の取り付け作業および取り外し作業が容易である。
また、蓋体4の閉状態時および開状態時に第1の係合部材71と蝶着ピン51とが接触しても、第1の係合部材71が、左右方向に基準軸Jに沿って摺動するので互いに強く接触しない。このため、蓋体4の閉状態時および開状態時における本体3の蝶着ピン51の損傷を防止できる。
また、第1実施形態の筐体1は、第1の係合部材71を押圧する弾性部材72を有する。つまり、筐体1は、弾性部材72を筐体1の材質や設置場所に応じる押圧力を発揮する弾性部材72に変更できる。このため、筐体1は、蓋体4の不用意な抜け出しを防止できる。
蓋体4に浮力が掛かると、上述したように第1の係合部材71が蓋体4の基端4b側を係止しているために、蓋体4が開方向に回動しようとする力が生じる。本体3の蝶着ピン51と第2の係合部材81の開抵抗低減面27が互いに当接する。第2の係合部材81の開抵抗低減面27は傾斜しているために、上述の抜け防止面20と比較して、蝶着ピン51が抜け出しやすい。そのため、開抵抗低減面27の傾斜角度は、蓋体4の浮力に対して弾性部材72が撓んで第2の係合部材81が左右方向内側に移動するための応力を大きく設定することが好ましい。これにより、浮力による蓋体4の開きを抑制できる。また、蓋体4が開かないことで、蓋体4の係合突起6が本体3の係合受け部48から離れることがなく、蓋体4の離脱をさらに確実に防止できる。
以上に説明したように、本実施形態の筐体1によれば、第2の係合部材81の第2の凹状部22が、内側に移動して蝶着ピン51を収容する。第2の係合部材81は、蝶着ピン51と当接して弾性部材72に抗して移動する。これにより、簡易な構造による蓋体4の簡易ロックを実現する。
また、蓋体4の取付時には、取付抵抗低減面16と蝶着ピン51とが当接し、蓋体4の取外時には、取外抵抗低減面17と蝶着ピン51とが当接する。このため、蓋体4の取り付け作業および取り外し作業が容易である。
また、蓋体4の閉状態時および開状態時に第1の係合部材71又は第2の係合部材81と蝶着ピン51とが接触しても、左右方向に基準軸Jに沿って第1の係合部材71又は第2の係合部材81が移動するので互いに強く接触しない。このため、蓋体4の閉状態時および開状態時における蝶着ピン51の損傷を防止できる。
次に第2実施形態について説明する。第2実施形態として、図14(a)〜(c)を基に説明する。第2実施形態は、第1実施形態と比較して係合部材171を保持する他の構成を有する。
なお、上述の第1実施形態と同一態様の機能を有する構成要素については、同一名称を付し詳細な説明を省略する。
カバー部材173と固定板169とは、係合部材171および弾性部材172を囲み、これらを保持する。係合部材171は、カバー部材173および固定板169の内側において、左右方向に移動可能である。弾性部材172は、係合部材171を左右方向外側に付勢する。
一対の基板173aには、板部材165のねじ穴186に取り付けるねじ191を挿通する合計2つの孔174を形成する。また、一対の基板173aには、カバー部材173を固定板169に取り付けるねじ192が挿通する合計2つの孔175を形成する。
壁部173bの外周面には、本体3側の係合受け部48(図1参照)と係合する係合突起106を形成する。また、壁部173bの内周面には、摺動溝176を形成する。壁部173bは、左右方向外側から内側に向かって延びる切欠部177を形成する。
係合部材171は、第1実施形態の第1の係合部材71と同様に、取付抵抗低減面16、取外抵抗低減面17および抜け防止面20を形成する(図5(a)参照)。
次に第3実施形態について説明する。第3実施形態として、図15(a)、(b)を基に説明する。第3実施形態の第1の摺動構造体266は、第2実施形態と概略同様の構成を有するが、さらに、押圧力調整機構181を有する点が異なる。なお、上述の第1実施形態と同一態様の機能を有する構成要素については、同一名称を付し詳細な説明を省略する。
軸部183aは、ねじ孔185にねじ込んで、ロックナット184により固定する。押圧力調整機構181は、調整ねじ183のねじ込みにより受け面182の位置を調整することで、コイルバネ172の初期圧縮力を調整できる。すなわち、押圧力調整機構181は、調整ねじ183をねじ込んだり緩めたりして弾性部材172の押圧力を調整できる。
第1実施形態および第2実施形態と同様に、第2の摺動構造体は、係合部材の形状を除き第1の摺動構造体166と概略同様の構成を有しているため、ここでの説明を省略する。なお、押圧力調整機構181を第2の摺動構造体に設ける場合は、簡易ロックの強さを調整できるので、筐体1の設置場所に応じて、簡易ロックの強さを簡易に調整できる。
以下に本実施形態が含む発明について述べる。本実施形態の筐体は、内部に地下構造物を収納し上側に開口部を有する本体と、該本体に脱着可能に取り付けて基端側を中心とする回動により開口部を開閉する蓋体とを備え、蓋体は、基端側に位置し蓋体の外周の互いに逆側に開口する一対の第1の凹状部を形成する一対の第1の係合部と、他端側に位置し蓋体の外周の互いに逆側に開口する一対の第2の凹状部を形成する一対の第2の係合部とを有し、本体は、内側面から突出し互いに対向する2組の凸状部と、を有し、2組の凸状部のうち何れか一方は第1の凹状部と係合し蓋体の回動をガイドし、他方は第2の凹状部と係合し、第1の係合部および第2の係合部は、蓋体の外周に対し内側に移動可能であり、かつ外側に付勢する付勢手段を有し、凸状部と当接することで内側に移動し当接解除によって外側に移動する。
このため、筐体は、本体3に対する蓋体4の取付作業および取外作業を容易にでき、簡易に蓋体の浮上防止が可能である。また、蓋体の取り付け方向を選択できるため、蓋体は前棚部側を蓋体の基端側とすることも後棚部を蓋体の基端側とすることもできるので作業性が良い。
また、本実施形態の筐体は、蓋体が開状態および閉状態にあるとき、凸状部は、第1の凹状部又は第2の凹状部と互いに接触しないものであってもよい。このため、蓋体の閉状態時および開状態時における本体の蝶着ピンの損傷を防止できる。
また、本実施形態の筐体は、第1の係合部および第2の係合部の少なくともいずれか一方は、付勢手段の押圧力を調整する押圧力調整機構を備えてもよい。このため、設置場所に応じて付勢手段(弾性部材)の押圧力を調整して、軸の抜け防止や簡易ロックの強さを調整できる。
また、蓋体4は、本体3の係合受け部48と係合する係合突起6を有しない構成等でも良い。
さらに、本発明実施形態の本体3の蝶着ピン51は、例えば、蝶着ピン51は、蓋体4の左右方向に軸方向を有する弾性変形可能な軸部分を有する構成等としても良い。
Claims (10)
- 内部に地下構造物を収納し上側に開口部を有する本体と、該本体に脱着可能に取り付けて基端側を中心とする回動により前記開口部を開閉する蓋体とを備え、
該蓋体は、基端側に位置し前記蓋体の外周の互いに逆側に開口する一対の第1の凹状部を形成する一対の第1の係合部と、他端側に位置し前記蓋体の外周の互いに逆側に開口する一対の第2の凹状部を形成する一対の第2の係合部とを有し、
前記本体は、内側面から突出し互いに対向する2組の凸状部と、を有し、
2組の前記凸状部のうち何れか一方は第1の凹状部と係合し前記蓋体の回動をガイドし、他方は第2の凹状部と係合し、
前記第1の係合部および前記第2の係合部は、前記蓋体の外周に対し内側に移動可能であり、かつ外側に付勢する付勢手段を有し、前記凸状部と当接することで内側に移動し当接解除によって外側に移動する筐体。 - 前記第1の係合部は、前記第1の凹状部の外側から縁部に向かって傾斜する取付抵抗低減面を有する請求項1に記載の筐体。
- 前記第1の係合部は、前記第1の凹状部の内周面に、前記第1の凹状部の縁部に向かって傾斜する取外抵抗低減面を有する請求項1又は2に記載の筐体。
- 前記第1の係合部は、前記第1の凹状部の内周面に、前記取外抵抗低減面と周方向に互いに隣り合い、前記凸状部の突出方向と略平行に延びる抜け防止面とを有し、
前記取外抵抗低減面は、前記蓋体が開状態にあるときに上側を向き、前記抜け防止面は、前記蓋体が閉状態にあるときに上側を向く請求項3に記載の筐体。 - 前記第2の係合部は、前記第2の凹状部の外側から縁部に向かって傾斜する閉抵抗低減面と、内側から縁部に向かって傾斜する開抵抗低減面とを有する請求項1〜4の何れか一項に記載の筐体。
- 前記凸状部の上部には、根元側から先端側に向かって斜め下方に傾斜する上側斜面を有する請求項1〜5の何れか一項に記載の筐体。
- 前記凸状部の下部には、根元側から先端側に向かって斜め上方に傾斜する下側斜面を有する請求項1〜6の何れか一項に記載の筐体。
- 前記蓋体は、前記基端側に位置し前記蓋体の回動軸に対して直交する方向に延びる係合突起を有し、
前記本体は、内側面から外側に向かって窪む係合受け部を有し、
前記係合受け部は、前記蓋体が閉状態にあるとき前記係合突起を収容し、前記蓋体が開状態にあるとき前記係合受け部の収容を解除する請求項1〜7の何れか一項に記載の筐体。 - 前記蓋体が開状態および閉状態にあるとき、前記凸状部は、第1の凹状部又は第2の凹状部と互いに接触しない請求項1〜8の何れか一項に記載の筐体。
- 前記第1の係合部および前記第2の係合部の少なくともいずれか一方は、前記付勢手段の押圧力を調整する押圧力調整機構を備える請求項1〜9の何れか一項に記載の筐体。
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