JP2016215126A - 非晶質アルミニウムケイ酸塩の造粒体に吸湿性の塩を担持させた水蒸気吸着材 - Google Patents
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Description
特に、デシカント空調では外気から導入される空気中の湿分を取り除くことが目的であるため、夏場の高湿度の空気からでも効率的に湿分を取り除けることが必要とされているばかりでなく、様々な空気の状態においても空気中の湿分を取り除く必要があるため、どの湿度領域においても水蒸気を吸着できる物質が求められている。
そこで、本発明者らが検討した結果、非晶質アルミニウムケイ酸塩に吸湿性の塩を担持させて得られた粉体、或いは非晶質アルミニウムケイ酸塩と結晶性層状粘土鉱物との複合体に吸湿性の塩を担持させて得られた粉体(上記特許文献8)を造粒すると、乾燥時あるいは水蒸気吸着時に膨張し崩壊してしまい、繰り返し吸脱着が可能な造粒体を作製することは不可能であることが判明した。
(1)非晶質アルミニウムケイ酸塩のマクロ細孔を有する造粒体に、吸湿性の塩を担持させたことを特徴とする水蒸気吸着材。
(2)前記吸湿性の塩が、塩化マグネシウム及び/又は塩化カルシウムであることを特徴とする(1)に記載の水蒸気吸着材。
(3)前記非晶質アルミニウムケイ酸塩が、ガラスと硫酸アルミニウム水溶液をSi/Alモル比が0.8より大きく、1.2以下となるように混合し、これに酸またはアルカリを添加してpH6〜10に調整した後、加熱して得られたものであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の水蒸気吸着材。
(4)非晶質アルミニウムケイ酸塩を用いて、マクロ細孔を有する造粒体を製造した後、該造粒体に、吸湿性の塩を担持させることを特徴とする水蒸気吸着材の製造方法。
(5)前記吸湿性の塩が、塩化マグネシウム及び/又は塩化カルシウムであることを特徴とする(4)に記載の水蒸気吸着材の製造方法。
(6)ガラスと硫酸アルミニウム水溶液をSi/Alモル比が0.8より大きく、1.2以下となるように混合し、これに酸またはアルカリを添加してpH6〜10に調整した後、加熱して、前記非晶質アルミニウムケイ酸塩を製造することを特徴とする(4)又は(5)に記載の水蒸気吸着材の製造方法。
本発明において基材となる非晶質物質は、構成元素をケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、酸素(O)及び水素(H)とし、多数のSi−O−Al結合で組み立てられた水和ケイ酸アルミニウムである。
この非晶質アルミニウムケイ酸塩は、無機ケイ素化合物溶液と無機アルミニウム化合物溶液をSi/Al比が0.8〜1.2となるように混合し、酸又はアルカリを添加してpHを5〜9に調整し、その後脱塩処理したものを95℃程度にて加熱することにより人工的に得ることが可能である。
すなわち、非晶質アルミニウムケイ酸塩を用いてマクロ細孔を有する造粒体を作成し、吸湿性の塩を担持させることにより、従来では得られなかった、優れた水蒸気吸湿挙動を有する造粒体の提供が可能となったものである。
ケイ素源として使用される試剤は、ケイ酸水溶液であればよく、具体的には、オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、水ガラス、無定形コロイド状二酸化ケイ素(エアロジル等)、等が好適なものとして挙げられる。
また、上記ケイ酸塩分子と結合させるアルミニウム源は、アルミニウムイオンであればよく、具体的には、例えば、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウムおよびアルミン酸ナトリウム等のアルミニウム化合物が挙げられる。これらのケイ素源及びアルミニウム源は、上記の化合物に限定されるものではなく、それらと同効のものであれば同様に使用することができる。
この非晶質アルミニウムケイ酸塩に添加するバインダーの種類は、特に限定されないが、好ましくは有機系バインダーのメチルセルロースが用いられる。またこの非晶質アルミニウムケイ酸塩から造粒体を作製する方法は、特に限定されないが、好ましくは押出造粒が用いられる。
無機バインダーとしては、無機ゾルや粘土系バインダーが挙げられる。無機ゾルとしては、例えばアルミナゾル、シリカゾル、チタニアゾル、セピオライトゾル、アタパルジャイトゾル、水ガラスなどが挙げられる。粘土系バインダーとしては、白土、カオリナイト、モンモリロナイト、蛙目粘土、セピオライト、アタパルジャイトなどが挙げられる。
有機バインダーとしては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルメロース(カルボキシシメチルセルロース)等のセルロース系バインダー、アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸系バインダー、澱粉、小麦粉、ブリティシュガム、キサンタンガム、デキストリン、デキストラン、プルラン等の多糖類系バインダー、ゼラチン等の動物系バインダー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等のビニル系バインダー、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル等のアクリル系バインダー、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレングリコール等のその他樹脂系バインダーなどが挙げられる。
これらのバインダーの一種または二種以上を混合して用いてもよい。
上記の造粒体に吸湿性塩を担持させる方法は、特に限定されないが、好ましくは、非晶質アルミニウムケイ酸塩からなる造粒体に、吸湿性塩の溶液を含漬させる方法が用いられる。
具体的には、非晶質アルミニウムケイ酸塩からなる造粒体を、塩化カルシウムなどの吸湿性塩の溶液にひたし攪拌の後、100℃にて1日乾燥させることによって、目的の水蒸気吸着特性において優れた吸着剤を得ることができる。
本発明における水蒸気吸着材の基材となる非晶質アルミニウムケイ酸塩を、以下のように合成した。
Si源としてSi濃度が0.41mol/Lの水ガラス水溶液1000mLと、Al源としてAl濃度が0.45mol/Lの硫酸アルミニウム水溶液1000mLを用いた。硫酸アルミニウム水溶液に水ガラス水溶液を加え、約15分間攪拌を行った。このときのSi/Al比は0.91である。攪拌後、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pHが7程度になるまで添加した。水酸化ナトリウム水溶液の滴下量は18mLであった。このようにして生成させた懸濁液を1時間攪拌し前駆体懸濁液を作成した。
調整した1Lの前駆体懸濁液を、2000mL用の耐熱容器に入れ、98℃で18時間加熱を行った。反応後、遠心分離にて3回洗浄し、60℃で1日乾燥させた。
実施例1にて得られた非晶質アルミニウムケイ酸塩に塩化カルシウムあるいは塩化マグネシウムを含浸させた造粒体について、40〜100℃の各温度にて乾燥機で18時間乾燥後、温度25℃湿度60%の条件にて恒温恒湿槽で6時間水蒸気を吸着させ、それぞれの重量変化から、水蒸気吸着量を求め、水蒸気吸着性能評価を行った。このとき塩を担持させていない造粒体、シリカゲル、ゼオライト13Xを比較試料とした。
5mol/L塩化カルシウム水溶液に浸漬させた水蒸気吸着率の結果を図1に、5mol/L塩化カルシウム水溶液に浸漬させた結果を図2に示す。また比較試料と合わせた結果を表1に示す。
また、図2及び表1に示すように、5mol/L塩化マグネシウム水溶液に浸漬させた造粒体の水蒸気吸着率は、40℃乾燥で26.9wt%、60℃乾燥で37.4wt%、100℃乾燥で48.3wt%であった。
実施例1の押出造粒により得られた造粒体において、薄片試料を光学顕微鏡にて観察した写真を図3に示す。図3に示されるように、サブミクロン〜マイクロメートルオーダーのマクロ細孔が存在することが確認された。
実施例1と同じ非晶質アルミニウムケイ酸塩粉体を用いて、非晶質アルミニウムケイ酸塩5kgに、メチルセルロースを0.2kg、水を6.5kg添加し、機械による混練後、押出造粒機により押出造粒を行った。生成されたひも状の成型体を切断し、80℃で1日乾燥することにより、目的の造粒体を得た。このときに得られた造粒体の嵩密度は0.44g/mLであった。
実施例2にて得られた非晶質アルミニウムケイ酸塩に塩化カルシウムを含浸させた造粒体について、40〜100℃の各温度にて乾燥機で18時間乾燥後、温度25℃湿度60%の条件にて恒温恒湿槽で6時間水蒸気を吸着させ、それぞれの重量変化から、水蒸気吸着量を求め、水蒸気吸着性能評価を行った。
5mol/L塩化カルシウム水溶液に浸漬させた水蒸気吸着率の結果を図4に示す。
図4に示すように、5mol/L塩化カルシウム水溶液に浸漬させた造粒体の水蒸気吸着率は、40℃乾燥で29.4wt%、60℃乾燥で40.7wt%、100℃乾燥で50.6wt%であった。
実施例1にて作製した5mol/L塩化カルシウム水溶液に浸漬させた造粒体の構造安定性の評価を行うため、乾燥・吸着を120回繰り返す耐久性試験を行った。そのときの水蒸気吸着性能結果を図5に示す。
このように120回乾燥・吸着を繰り返しても、水蒸気の吸着性能は変化しないことから、塩化カルシウム水溶液に浸漬させた造粒体であっても構造劣化が生じないことが明らかとなった。
実施例1および2にて用いた非晶質アルミニウムケイ酸塩粉体を、5mol/L塩化カルシウム水溶液に浸漬して乾燥させた紛体5kgに、メチルセルロースを0.2kg、水を2kg添加し、機械による混練後、押出造粒機により押出造粒を行った。生成されたひも状の成型体を切断し、80℃で1日乾燥したところ、成型体は崩壊し造粒体を作製することはできなかった。
Claims (6)
- 非晶質アルミニウムケイ酸塩のマクロ細孔を有する造粒体に、吸湿性の塩を担持させたことを特徴とする水蒸気吸着材。
- 前記吸湿性の塩が、塩化マグネシウム及び/又は塩化カルシウムであることを特徴とする請求項1に記載の水蒸気吸着材。
- 前記非晶質アルミニウムケイ酸塩が、ガラスと硫酸アルミニウム水溶液をSi/Alモル比が0.8より大きく、1.2以下となるように混合し、これに酸またはアルカリを添加してpH6〜10に調整した後、加熱して得られたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水蒸気吸着材。
- 非晶質アルミニウムケイ酸塩を用いて、マクロ細孔を有する造粒体を製造した後、該造粒体に、吸湿性の塩を担持させることを特徴とする水蒸気吸着材の製造方法。
- 前記吸湿性の塩が、塩化マグネシウム及び/又は塩化カルシウムであることを特徴とする請求項4に記載の水蒸気吸着材の製造方法。
- ガラスと硫酸アルミニウム水溶液をSi/Alモル比が0.8より大きく、1.2以下となるように混合し、これに酸またはアルカリを添加してpH6〜10に調整した後、加熱して、前記非晶質アルミニウムケイ酸塩を製造することを特徴とする請求項4又は5に記載の水蒸気吸着材の製造方法。
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