JP6317199B2 - 除湿剤 - Google Patents

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Description

本発明は、除湿剤に関するものであり、より詳細には、Y型ゼオライトの変性物からなる除湿剤に関するものである。
従来、半導体などの製造装置が収容された各種の工場内や一般家庭では、空気中の水分を一定量に保つために除湿剤が使用されている。このような除湿剤としてはシリカゲルや各種のゼオライトが知られている。
特にゼオライトは、シリカゲルに比して吸湿性に優れており、工業的な用途に広く使用されている。例えば、特許文献1には複数種のゼオライト粒子が分散されている除湿層を備えた除湿ロータが開示されている。
また、特許文献2にはゼオライトを酸処理して非晶質化した変性アルミノケイ酸を乾燥剤として用いることが提案されている。
しかしながら、特許文献1に開示されているように、ゼオライトをそのまま除湿剤として用いた場合、吸湿後のゼオライトから水分を放出せしめ、再び水分の吸着に再利用するためには、約500℃程度の高温に加熱することが必要であり、このため一般家庭などでの使用が大きく制限されていた。即ち、再生のための加熱時に火災等を引き起こし易いからである。
一方、特許文献2で提案されている変性アルミノケイ酸はゼオライトに比して吸着水分を容易に放出することができるという利点を有しているが、吸着性能が大きく低下してしまうという問題があり、このため、除湿剤としての使用が実質上困難である。このような処理により得られる、通称USY(Ultra Stable Y)の製品として、COSMO社(韓国)の10Mなどが市販されている。また、一般的にUSYは石油化学系製品用の触媒であるので、比較的高価になる当該のような作業でも工業的に生産する価値が高いが、除湿剤はより安価が求められるため実質的に使用が困難といえる。
更に、特許文献3には、FAU型ゼオライトのアルミニウム硫酸塩処理物(ゼオライト変性物)からなる除湿剤が本出願人により提案されている。かかる除湿剤は、水分の吸着性に優れているばかりか、吸着水分の放出を低温で行うことができるという利点を有している。
しかしながら、特許文献3のゼオライト変性物からなる除湿剤においても、吸着水分の低温放出性については更なる向上が求められている。
さらに、本出願人は、先に、X型ゼオライトの変性物からなる除湿剤を提案した(特願2013−187569号)。このX型ゼオライト変性物は、SiO/Al(モル比)が2.0〜3.0、Na/Alモル比が0.15〜0.65及び結晶度が10〜80%の範囲にあり、吸着水分の低温放出性に特に優れているのであるが、低湿度下(例えば30%)での吸着性が十分でない。
特開2007−167838号公報 特開平6−277440号公報 特開2012−71278号公報
従って、本発明の目的は、低湿度下での水分の吸着性に優れているばかりか、低温での吸着水分の放出性にも優れた除湿剤を提供することにある。
本発明者等は、ゼオライトの吸湿性能について多くの実験を行った結果、Y型ゼオライトの結晶構造を適度に変性させることにより、吸着した水分を低温で放出することが可能で、かつ、低湿度での吸着性能、特に湿度30%程度での水分吸着性にも優れる変性物が得られるという知見を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、SiO/Al(モル比)が3.0より大きく4.0以下であり、Na/Alモル比が0.25〜0.60及び結晶度が40〜90%であるY型ゼオライト変性物からなることを特徴とする除湿剤が提供される。
本発明の除湿剤においては、
(1)Y型ゼオライト変性物の、水蒸気BET法で測定した親水性比表面積が900m/g以上であること、
(2)水蒸気吸着等温線のP/P=0.9以上から求められる全細孔容積が0.30cm/g以上であること、
が好ましい。
このようなY型ゼオライト変性物は、Y型ゼオライトをアンモニウムイオン交換した後に焼成することで得られる。
本発明によれば、また、上記除湿剤が担体に担持された除湿用部材が提供される。
かかる除湿用部材において、担体は、ハニカム構造を有していることが好ましい。
さらに、本発明によれば、上記除湿剤を使用したヒートポンプ或いはデシカント除湿機が提供される。
本発明の除湿剤は、従来公知のY型ゼオライトと同程度の吸湿性能を有しており、低湿度下での水分吸着性に優れているばかりか、低温下での吸着水分の放出性にも優れている。例えば、後述する実施例に示されているように、水蒸気吸着等温線を測定した際の湿度30%(P/P=0.3)での水分吸着容量はいずれも20質量%以上であり、60℃での吸着水分放出量は、11質量%以上である。
因みに、前述した特許文献3で提案されている除湿剤(比較例5)では、湿度30%での水分吸着容量は、約25質量%と高いが、60℃での水分放出量は約6質量%程度であり、本発明の約半分程度に過ぎない。また、本出願人が提案した特願2013−187569号のX型ゼオライト変性物の除湿剤(比較例6)では、低温下での吸着水分放出性は極めて良好で、60℃で約13質量%であるが、低湿度下での水分吸着性が低く、湿度30%での水分吸着容量が約16質量%程度に過ぎない。
このように、本発明の除湿剤は、湿度60%以下、特に30%程度の低湿度下での水分吸着性に優れているばかりか、60℃程度の低温でも多量の吸着水分を放出することができるため、吸着水分の放出のために高温に加熱する必要がなく、容易に再生して再利用することができ、特に、一般家庭での使用には最適である。
ところで、本発明のような多孔質材料は、その材が持つ細孔により水分を吸着している。細孔が水分を吸着する湿度は、その細孔の持つ直径に依存しており、小さい細孔ほど低湿度側で水分を吸着し、大きい細孔ほど高湿度側で水分を吸着する。この関係にはケルビンの方程式が成立している。
例えば、図2のような水蒸気吸着等温線と合わせて考えると、本発明の出発物質であるY型ゼオライトは、均一で数Åの非常に小さな細孔を持つため、極めて低湿度側で水分が吸着された後は、ほとんど水分の吸着が起きない。なお、一般的なゼオライトの再生に数百度という高温が必要であるのも、細孔が小さいほど吸着水分の放出にエネルギーが必要であるためであると理解される。
これに対し、本発明の材は、適切なアンモニウムイオン交換と焼成により、ゼオライトの持つ細孔が拡大されており、原料となるY型ゼオライトのSiO/Al(モル比)が低くなるほど調製後の材の持つ細孔が大きくなっているため、水蒸気吸着等温線に変化をもたらし、さらには、大きい細孔の方が水分を放出しやすいため、低温での吸着水分放出性にも優れる。
後述する図3で示された窒素吸着法による細孔分布の測定で示されるように、SiO/Al(モル比)が小さくなるほど(実施例4、実施例3、実施例2、実施例1の順で)、細孔の分布が大きい方にシフトしており、このことも上記した材の細孔変化に関すると考えられる。
即ち、本発明において、除湿剤として用いるY型ゼオライトの変性物は、SiO/Al(モル比)が、3.0より大きく且つ4.0以下である。これよりもモル比が低い場合、低湿度下での水分吸着性が不満足となってしまい、この範囲よりもモル比が高くなると、低温での吸着水分放出性が低下してしまう。
また、この除湿剤はNa/Alモル比が0.25〜0.60(特に0.35〜0.45)の範囲にある。このことは、当該変性処理に伴いY型ゼオライトのNaがイオン交換されて一部除去されていることを示している。
また、上記Y型ゼオライトの変性物は、結晶度が40〜90%(特に40〜70%)の範囲にある。このことは、Y型ゼオライトに特有のX線回折ピーク強度が適度に減少し、結晶構造が適度に変性されていることを意味する。ところで、このような変性は水溶液中でアンモニウムイオン交換された後、焼成でなされる。即ち、Y型ゼオライトは一般的に耐熱性が高く、イオン交換を行わない場合は800℃の温度で焼成してもほとんど変性が見られない。
このため、Y型ゼオライトを焼成により変性せしめるためには、前段階で水溶液中でのアンモニウムイオン交換による、一部Naイオンの除去が必要であり、かつ350〜600℃程度の焼成が必要なわけである。なお公知のように900℃程度の焼成を行うと、Y型ゼオライトは相転移を起こし、吸放湿性をほとんど持たない非晶質になってしまう。
こうして、イオン交換と焼成の工程を経たY型ゼオライトは、結晶構造の適度な変性がもたらされることにより、そのY型ゼオライトの優れた吸湿性能をある程度維持したまま低温で吸着した水分を放出する能力が向上するものと思われる。
Y型ゼオライトの吸湿性が大きく低下していない証明として、本発明のY型ゼオライト変性物は、水蒸気BET法で測定した親水性比表面積が900m/g以上(特に900〜1200m/g)の範囲にあり、かつ水蒸気吸着等温線のP/P=0.9以上から求められる全細孔容積が0.30cm/g以上である。この親水性比表面積は、一般的に比表面積測定に利用される窒素吸着の代わりに水蒸気吸着を利用して測定したものであり、この方法により測定された比表面積は、親水性や水分吸着性と密接に関係する。即ち、この比表面積が上記範囲内にあることは、このY型ゼオライト変性物が、未変性のY型ゼオライトと同等レベルの水分吸着性を有していることを示しており、Y型ゼオライトの吸着性能がほとんど低下していないことを裏付けている。
このように、除湿剤として用いる本発明のY型ゼオライト変性物は、Y型ゼオライトの構造をある程度維持したまま、水分放出に寄与する細孔部分に変化がもたらされていると考えられ、この結果、水分吸着性に優れているばかりか、低温での水分放出性も改善されているわけである。
本発明のゼオライト変性物(実施例1)およびY型ゼオライト標準物質のX線回折像。 本発明のゼオライト変性物(実施例4)、未処理Y型ゼオライト(比較例1)、SiO/Al(モル比)=4.8のゼオライト変性物(比較例4)およびSiO/Al(モル比)=2.5のゼオライト変性物(比較例6)の水蒸気吸着等温線。 本発明のゼオライト変性物(実施例1〜4)および未処理Y型ゼオライト(比較例1)の窒素吸着法による細孔分布。
<Y型ゼオライトの変性>
本発明の除湿剤は、Y型ゼオライトの変性物であるが、この変性物は、Y型ゼオライトを水溶液中でイオン交換した後、焼成することにより得られる。
Y型ゼオライト;
変性に供されるY型ゼオライトとしては、それ自体公知のものの中でも水分吸着性に優れたものが使用される。このようなY型ゼオライトは、例えば特許第4589044号等により所謂Na−Y型ゼオライトとして公知であるが、その代表的組成等は、以下のとおりである。
SiO/Al(モル比):3.0〜5.5
NaO:10.0〜16.0質量%
強熱減量(1050℃):12.0〜19.0質量%
親水性比表面積(水蒸気BET法):1050〜1200m/g
全細孔容積(水蒸気吸着等温線P/P=0.9以上):
0.30〜0.40cm/g
本発明では、上記のY型ゼオライトの中から、SiO/Al(モル比)が前述した範囲(3.0より大きく且つ4.0以下)の範囲にあるものを選択し、これを後述するイオン交換に供する。
例えば、酸処理などによってモル比の調整を行った場合には、一般的に脱アルミニウムと呼ばれる構造破壊が起き、さらに本願のように、比較的モル比の低いゼオライトを酸処理に供ずると、骨格の破壊が起きてしまい、目的とする変性物を得ることが困難である。
イオン交換;
焼成に先立って行われるイオン交換は、Y型ゼオライト中のNaイオンを水溶液中でアンモニウムイオンに交換するものである。即ち、Na‐Y型ゼオライトは耐熱性に優れているため、これを焼成によって変性するには、焼成温度を著しく高い温度とすることが必要であり、Y型ゼオライトの結晶構造を大きく破壊せずに水分吸着性を維持し得る程度の適度な変性が困難となってしまう。しかるに、Naイオンをアンモニウムイオンに交換しておけば、加熱によってアンモニウムイオンが分解した部分の細孔を、後述するように焼成で容易に変性することが出来るため、Y型ゼオライトを適度に変性することが可能となる。
このようなイオン交換は、SiO及びAlの合計量当りのNaO含量がNa/Alモル比が0.25〜0.60、特に0.30〜0.50となる程度に行われる。Naイオンが多く残存すると、後述する焼成による適度な変性が困難となってしまう。
また、かかるイオン交換処理は、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩の水溶液を使用し、上述したY型ゼオライトと該水溶液とを、室温で撹拌混合すればよいが、この際60℃程度に加熱するとイオン交換をより迅速に行うことも可能である。処理時間は、アンモニウム塩の種類や水溶液のアンモニウム塩濃度によっても異なるが、一般に、2〜40質量%の塩化アンモニウム水溶液を用いた場合で0.5〜24時間程度である。
焼成;
上記のようにしてイオン交換処理が行われた後は、ろ過及び水洗を行い、未反応の塩化アンモニウムや生成したNa塩を除去した後、焼成を行い、Y型ゼオライトの適度な変性を行う。
焼成は、Y型ゼオライトの結晶構造を大きく破壊せずに、細孔構造を適度に変える程度、すなわち、水分吸着性を維持し得る程度に行われるものであり、具体的には、結晶度が40〜90%、特に40〜70%に低下する程度に焼成が行われる。
なお、本発明において結晶度とは、X線回折において、標準物質(触媒学会のJRC−Z−Y4.8)の特定の5つの面指数のピーク強度の和を100%とし、このピーク強度の和に対する変性ゼオライトのピーク強度の和の相対比である。
即ち、結晶度が上記範囲よりも大きいと、変性が十分に行われておらず、従ってY型ゼオライトの構造がほとんど変化しておらず、このため、低温での水分放出性を向上させるという本発明の目的を達成することができない。また、結晶度が上記範囲よりも小さくなるまで焼成が行われると、Y型ゼオライトの結晶構造が大きく破壊され、非晶質化が進行しすぎてしまい、この結果、水分に対する吸着性及び放出性の何れもが大きく損なわれてしまうこととなる。
上記のような結晶度の範囲にするための適度な焼成は、一般に、350〜600℃、特に400〜500℃程度の焼成温度で行われ、それ自体公知の焼成炉を用いて行われる。焼成時間は、用いる焼成炉の構造や焼成温度によっても異なり、一概に規定することはできないが、一般的には3〜12時間程度である。例えば、前述したNa−Y型ゼオライトをイオン交換せずにそのまま焼成に供した場合、上記のような温度範囲での焼成では結晶度はほとんど低下せず、さらに高温にしなければ変性することができない。
以上のようにして適度な焼成が行われて得られるY型ゼオライトの変性物は、適宜、粒度調整を行うことにより、本発明の除湿剤として使用される。
<除湿剤>
上記のような適度な焼成によって得られたY型ゼオライトの変性物は、SiO/Al(モル比)が3.0より大きく且つ4.0以下の範囲にあり、出発原料として用いたY型ゼオライトと実質的に同じモル比である。即ち、この変性物は、Y型ゼオライトに特有の結晶構造はある程度維持されており、その結晶度は、焼成の項でも説明したように、40〜90%、特に40〜70%の範囲にある。
このように、原料のY型ゼオライトの構造がある程度維持されていることから、この変性物の水蒸気BET法で測定した親水性比表面積が900m/g以上、特に900〜1200m/gの範囲にあり、かつ水蒸気吸着等温線のP/P=0.9以上から求められる全細孔容積が0.30cm/g以上である。即ちこの変性物の親水性比表面積は、変性前のY型ゼオライトと同程度の範囲に維持され、このことから、この変性物は、変性前のY型ゼオライトと同等レベルの水分吸着性を有していることが判る。
また、このY型ゼオライトの変性物は、Na−Y型ゼオライトのイオン交換を介して得られたものであることから、Na/Alモル比が0.25〜0.60の範囲にある。
本発明において、上述したY型ゼオライト変性物は、一般に、レーザ回折散乱法により測定した中位径(D50)が0.5〜3.5μmの範囲となるように粒度調整されていることが除湿剤として用いる際の成形性や作業性等の点で好ましい。
かかるY型ゼオライト変性物からなる除湿剤は、粒状物の使用に供することもできるし、樹脂バインダと混合し、所定の形状に成形して使用に供することもできる。
かかる除湿剤は、水分に対して優れた吸着性を示すばかりか、低温での吸着水分の放出性が向上しており、低温領域での加熱により吸着水分を放出せしめて再生することができる。従って、一般家庭の空調用として好適使用することができ、例えば、特許文献1の除湿ロータなどに設けられている除湿層中に配合して使用することが可能である。或いは、除湿剤を担体に担持して除湿用部材として用いる事もでき、担体はハニカム構造を有していることが好適である。
また、この除湿剤は、水分の吸着及び脱着の何れもが容易に行われるため、空気を利用した蓄熱システム(例えばヒートポンプ)に用いる吸着剤などの用途にも使用することができる。
さらに、この除湿剤は、湿度調節用シートまたは湿度調節壁材として使用することも可能である。
本発明の優れた効果を、次の実施例で説明する。
なお、実施例における各種試験は下記の方法で行った。
(1)化学組成;
元素分析については、(株)リガク製Rigaku RIX2100を用い、ターゲットはRh、分析線はKαで、その他は以下の条件で測定を行った。
なお、試料は110℃で3時間乾燥した物を基準とする。
(2)結晶度
相対湿度90%に調湿済みのデシケーター中に乾燥試料を入れ、室温下で48時間以上静置し、水分を飽和量吸着させる。取出した試料を、X線回折測定する。同一条件で測定した標準物質(触媒学会のJRC−Z−Y4.8)のXRDにおいて、ICDD39−1380で(331)、(440)、(533)、(642)、(555)と示される5つの面指数のピーク強度の和を100%とした時の、測定試料の同一面指数ピーク強度の和の相対比を結晶度とする。
なお、X線回折測定はリガク社製のultima4を用いて、Cu−Kαにて下記の条件で測定を行った。
ターゲット:Cu
フィルター:湾曲結晶グラファイトモノクロメーター
検出器:SC
電圧:40kV
電流:40mA
ステップサイズ:0.02°
計数時間:0.6sec/step
スリット:DS2/3° RS0.3mm SS2/3°
(3)親水性比表面積
日本ベル社のBelsorp Maxを用いて測定を行った。前処理は、真空条件下で200℃、3時間の条件で行った。平衡判定時間は300秒とし、吸着温度は25℃とした。また、吸着質は脱泡処理を施した脱イオン水とした。親水性比表面積を測定するに当たり、BET法の適用範囲はP/P=0.01〜0.1とし、解析ソフトBel Masterを用いた。
(4)全細孔容積
上記Belsorp Maxの測定の、P/P=0.90〜0.92の範囲における吸着容量から、解析ソフトBel Masterにより全細孔容積を求めた。
(5)30%湿度の吸着容量
上記Belsorp Maxの測定の、P/P=0.29〜0.31の範囲における測定点の吸着容量を、湿度30%における吸着容量とした。
(5)吸着容量の評価
まず、事前に110℃で1時間乾燥したシャーレΦ100mmの質量を測定する(w1)。このシャーレに、約2gの除湿剤を測り取り、イオン交換水を10ml加えてスラリー化する。このスラリーを、予め150℃に温めておいた卓上乾燥機で、2時間前処理乾燥する。乾燥後、シャーレと除湿剤の合計質量(w2)を測定し、硫酸希釈液により、25℃でRH=90%となるように調節したデシケーター内で16時間以上かけ飽和吸湿させる。吸湿16時間後のシャーレと除湿剤の合計質量(w3)を測定し、以下の式により吸着容量(150℃ 乾燥質量基準)を求めた。
吸着容量[質量%]=(w3−w2)/(w2−w1)×100
(6)放出量の評価
吸着容量の評価を前処理とする。飽和吸湿したシャーレと除湿剤を、あらかじめ60℃に温めておいた卓上乾燥機で、90分間乾燥する。この乾燥したシャーレと除湿剤の合計質量(w4)を測定する。同様に90℃、110℃、150℃の順で同様の操作を繰り返し、それぞれの質量を測定する(w5、w6)。以下の式により、それぞれの温度で、吸湿した水分の放出量(RH=90%吸湿質量基準)を求めた。
放出量(60℃)[質量%]=(w3−w4)/(w3−w1)×100
放出量(90℃)[質量%]=(w3−w5)/(w3−w1)×100
放出量(110℃)[質量%]=(w3−w6)/(w3−w1)×100
放出量(150℃)[質量%]=(w3−w7)/(w3−w1)×100
(実施例1)
(Y型ゼオライトの合成)
従来公知の方法で、Y型ゼオライトの合成を行った。なお、原料は3号ケイ酸ソーダ(SiO=22.9質量%、NaO=7.4質量%、HO=69.7質量%)、アルミン酸ソーダ(Al=23.0質量%、NaO=19.2質量%、HO=57.8質量%)、49質量%NaOHおよび水を使用し、反応液の組成はSiO:Al:NaO:HO=4:1:3.8:197.6となるように調整した。反応にはステンレス容器を使用し、卓上乾燥機を熱源として95℃、18時間、静置反応することでSiO/Al(モル比)=3.1のY型ゼオライトを得た。
(アンモニウムイオン交換工程)
合成したSiO/Al(モル比)=3.1のY型ゼオライト200g(110℃乾燥質量)に対して1800gの水を加えて10%スラリーとし、100gの塩化アンモニウムを加え、撹拌しながら室温で3時間イオン交換反応を行った。その後、濾過水洗を行った後に110℃で一晩乾燥し一部を乳鉢と乳棒で粉砕した。
(焼成工程)
粉砕品20gを蒸発皿に測り取り、電気炉で450℃、3時間焼成することで除湿剤を得た。
(実施例2)
合成反応液の組成をSiO:Al:NaO:HO=4:1:3.3:202.1、焼成を400℃とした以外は、実施例1と同様の操作でSiO/Al(モル比)=3.2の除湿剤を得た。
(実施例3)
合成反応液の組成をSiO:Al:NaO:HO=8:1:5.6:240.8とした以外は、実施例1と同様の操作でSiO/Al(モル比)=3.5の除湿剤を得た。
(実施例4)
合成反応液の組成をSiO:Al:NaO:HO=8:1:5.2:239.2とした以外は、実施例1と同様の操作でSiO/Al(モル比)=3.7の除湿剤を得た。
(比較例1)
水澤化学工業株式会社製Na−Y型ゼオライトであるミズカシーブスY−400(SiO/Al=3.8)を使用した。この結晶度は104.0%であった。なお、ミズカシーブスは水澤化学工業株式会社の登録商標である。
(比較例2)
焼成温度を700℃とした以外は、実施例1と同様の操作で除湿剤を得た。
(比較例3)
Na−Y型ゼオライトとして水澤化学工業株式会社製ミズカシーブスY−500(SiO/Al=4.8)を使用した。Y型ゼオライト200g(110℃乾燥質量)に対して1800gの水を加えて10%スラリーとし、200gの塩化アンモニウムを加え、撹拌しながら室温で3時間イオン交換反応を行った。その後、濾過水洗を行った後に110℃で一晩乾燥し一部を乳鉢と乳棒で粉砕した。粉砕品20gを蒸発皿に測り取り、電気炉で500℃、3時間焼成することで除湿剤を得た。
(比較例4)
焼成温度を700℃とした以外は比較例3と同様の操作で除湿剤を得た。
(比較例5)
特許文献3の実施例1に従い、除湿剤を得た。
(比較例6)
5Lのステンジョッキに、655gの3号ケイ酸ソーダ(SiO=22.9mass%、NaO=7.4mass%、HO=69.7mass%)を測り取り、718gの水を加えてシリカ側原料とした。3Lポリジョッキに382gのアルミン酸ソーダ(Al=23.0mass%、NaO=19.2mass%、HO=57.8mass%)を測り取り、191gの49mass%NaOHおよび718gの水を加えてアルミ側原料を調整した。なお、仕込み原料のSiO/Al(モル比)は2.9である。シリカ側原料とアルミ側原料を室温で混合し、この混合液を1時間撹拌した。撹拌終了後95℃まで昇温し、撹拌を止めて95℃で18時間反応し、濾過水洗した。得られたケーキを110℃で一晩乾燥することで、X型ゼオライトを得た。
得られたX型ゼオライトの化学組成解析を行ったところ、SiO/Alは2.5であり、結晶度は102.4%だった。
このゼオライト200g(110℃乾燥質量)に対して1800gの水を加えて10%スラリーとし、116gの塩化アンモニウムを加え、撹拌しながら室温で3時間イオン交換反応を行った。その後、濾過水洗を行った後に110℃で一晩乾燥を行った。最後に、乾燥品20gを蒸発皿に測り取り、電気炉で400℃、3時間焼成することで除湿剤を得た。
かかる、除湿剤の組成と物性を表2に、吸湿能力と低温での脱着量についての試験結果を表3にそれぞれ示す。

Claims (8)

  1. SiO/Al(モル比)が3.0より大きく4.0以下であり、Na/Alモル比が0.25〜0.60及び結晶度が40〜90%であるY型ゼオライト変性物からなることを特徴とする除湿剤。
  2. Y型ゼオライト変性物の、水蒸気BET法で測定した親水性比表面積が900m/g以上である請求項1に記載の除湿剤。
  3. 水蒸気吸着等温線のP/P=0.9以上から求められる全細孔容積が0.30cm/g以上である請求項1または2に記載の除湿剤。
  4. Y型ゼオライト変性物が、Y型ゼオライトをアンモニウムイオン交換した後に焼成することで得られる請求項1〜3のいずれか1項に記載の除湿剤。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の除湿剤が担体に担持されている除湿用部材。
  6. 前記担体が、ハニカム構造である請求項5記載の除湿用部材。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の除湿剤を使用するヒートポンプ。
  8. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の除湿剤を使用するデシカント除湿機。
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