JP6656615B2 - アルミニウムケイ酸塩複合体及びその製造方法 - Google Patents

アルミニウムケイ酸塩複合体及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、次世代の産業を支える重要な基盤技術として実用化が強く期待されているナノテクノロジーの技術分野において、その特異な形状に起因する微細構造により吸着能等に優れた特性を示し、革新的な機能性材料としての応用が期待されている物質に関するものであり、特に、中湿度領域にて優れた水蒸気吸放湿特性を有するアルミニウムケイ酸塩複合体及びその製造方法に関するものである。
ナノサイズの細孔を有する多孔質無機材料は、その特異な微細構造に基づいて、各種物質を吸着することができる特性を有することから、様々な用途に利用されている。また、多孔質無機材料は優れた水蒸気吸着性能を有することから、ヒートポンプ熱交換材、結露防止剤、自律的調湿材料などの応用が期待されている。
特に、デシカント空調では外気から導入される空気中の湿分を取り除くことが目的であるため、夏場の高湿度の空気からでも効率的に湿分を取り除けることが必要とされているばかりでなく、様々な空気の状態においても空気中の湿分を取り除く必要があるため、どの湿度領域においても水蒸気を吸着できる物質が求められている。
その一方でデシカント空調においては、吸着した水蒸気を脱離させるために加熱した空気を送り込み再生を行うが、この送り込む再生空気の温度が高いと、空気を暖めるのに必要なエネルギーが余計にかかってしまう。これまでは再生空気の温度として80℃以上を必要としていたが、未利用熱源の利用等を考慮すると、60℃程度さらには40℃程度の低温の空気にて再生が可能な素材が求められている。
上記背景の中、デシカント空調システムとしての性能向上のため、特に低温再生が可能な高性能水蒸気吸着剤の開発が行われた。そのような中で、非晶質アルミニウムケイ酸塩と低結晶性層状粘土鉱物との複合体からなる物質(特許文献1、2参照)が開発され、特に、特許文献2では、原料に安価な水ガラスと硫酸アルミニウム水溶液を用いて、従来の無機材料では達し得なかった、水蒸気吸着等温線における吸着時の相対湿度60%と脱離時の相対湿度10%の差において吸着量が30wt%以上の値を有し、かつ水蒸気吸着等温線において、相対湿度と水蒸気吸着量とが直線的な関係を有する無機材料が開発された。
しかしながら、非晶質アルミニウムケイ酸塩と低結晶性層状粘土鉱物との複合体(以下、単に「アルミニウムケイ酸塩複合体」ということもある。)からなる物質では、水蒸気吸着等温線における吸着時の相対湿度60%と脱離時の相対湿度10%の差において吸着量が33wt%を超えることはなかった。
国際公開第2009/084632号 特許第5495054号
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、従来と同等の低コストでの合成が可能であり、かつ中湿度領域において優れた水蒸気吸着性能を有するアルミニウムケイ酸塩複合体及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記目的を達成すべく検討を重ねた結果、原料に水ガラスを用いるとともに、水ガラスと硫酸アルミを混合した際のpHを制御することによって、CP/MAS法による29Si固体NMRスペクトルにおいてOH−Si−(OAl)に起因するピークと、そのピークから14ppm小さいピークを有する新規なアルミニウムケイ酸塩複合体を大量に製造できること、及び得られた新規なアルミニウムケイ酸塩複合体が中湿度領域において優れた水蒸気吸着性能を有することを見いだした。
本発明は、これらの知見に基づいて完成に至ったものであり、以下のとおりである。
[1]低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩からなるアルミニウムケイ酸塩複合体であって、水ガラスと硫酸アルミニウム水溶液からなる生成物のSi/Alモル比が0.7〜1.3で、かつCP/MAS法による29Si固体NMRスペクトルにおいてOH−Si−(OAl)に起因するピークと、そのピークから14ppm小さいピークを有するアルミニウムケイ酸塩複合体。
[2]吸着時の相対湿度60%における吸着量と脱着時の相対湿度10%における吸着量との差が33wt%以上の水蒸気吸着性能を有することを特徴とする前記[1]に記載のアルミニウムケイ酸塩複合体。
[3]低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩からなるアルミニウムケイ酸塩複合体の製造方法であって、水ガラスと硫酸アルミニウム水溶液を、Si/Alモル比が0.7〜1.3かつ混合時のpHが3.5〜4.8となるように混合し、攪拌した後、これにアルカリを添加してpH6〜10に調整し、脱塩処理及び120〜300℃での加熱処理を行うことを特徴とするアルミニウムケイ酸塩複合体の製造方法。
[4]前記[1]又は[2]に記載のアルミニウムケイ酸塩複合体を有効成分とする吸着剤。
[5]前記[1]又は[2]に記載のアルミニウムケイ酸塩複合体を有効成分とするデシカント空調用吸着剤。
本発明においては、水ガラスと硫酸アルミニウムを原料に用い、さらに水ガラスと硫酸アルミニウム水溶液を混合した際のpHを制御することにより、中湿度領域において優れた吸着挙動を有する新規なアルミニウムケイ酸塩複合体を提供することができる。そして、本発明の方法により得られたアルミニウムケイ酸塩複合体は、従来のアルミニウムケイ酸複合体より高性能な水蒸気吸着性能を有し、特に、優れた性能を有するデシカント空調用吸着剤を提供することができる。
実施例1及び実施例2で得られた生成物の粉末X線回折図形を示す図。 実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2で得られた生成物の水蒸気吸着等温線を示す図。 実施例1で得られた生成物のCP/MAS法による29Si固体NMRスペクトルを示す図。 比較例2で得られた生成物のCP/MAS法による29Si固体NMRスペクトルを示す図。 実施例3における、水ガラスと硫酸アルミニウム水溶液を混合した際のpHと水蒸気吸着性能の関係を示す図。 実施例4における、Si/Alモル比と水蒸気吸着性能の関係を示す図。 実施例5における、水酸化ナトリウム水溶液滴下後のpHと水蒸気吸着性能の関係を示す図。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明の低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩からなるアルミニウムケイ酸塩複合体は、水ガラスと硫酸アルミニウム水溶液からなる生成物のSi/Alモル比が0.7〜1.3で、かつCP/MAS法による29Si固体NMRスペクトルにおいてOH−Si−(OAl)に起因するピークと、そのピークから14ppm小さいピークを有するものであり、吸着時の相対湿度60%と脱離時の相対湿度10%の差において吸着量が33wt%以上の優れた水蒸気吸着性能を有している。
本発明における上記の低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩からなるアルミニウムケイ酸塩複合体は、主な構成元素をケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、酸素(O)及び水素(H)とし、多数のSi−O−Al結合で組み立てられた水和ケイ酸アルミニウムである。
本発明では、このアルミニウムケイ酸塩複合体を、水ガラスと硫酸アルミニウム水溶液からなる溶液を混合して、ケイ素とアルミニウムの重合化と脱塩処理及び加熱熟成を施すことにより製造するものである。
本発明では、合成により得られる低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩からなるアルミニウムケイ酸塩複合体は、水蒸気吸着等温線における吸着時の相対湿度60%と脱離時の相対湿度10%の差において吸着量が33wt%以上の水蒸気を吸着する性能を有することが必要であるばかりでなく、安価な試薬から低コストで合成されることが必要である。
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、原料として安価な試薬からなる水ガラスと硫酸アルミニウムを用い、水ガラスと硫酸アルミニウム水溶液をSi/Alモル比が0.7〜1.3かつ混合時のpHが3.5〜4.8となるように混合し、攪拌した後、これにアルカリを添加してpH6〜10に調整し、脱塩処理及び120〜300℃での加熱処理を行うことにより、水蒸気吸着等温線における吸着時の相対湿度60%と脱離時の相対湿度10%の差において吸着量が33wt%以上となるアルミニウムケイ酸塩複合体が得られる。
本発明においては、水ガラスと硫酸アルミニウム水溶液を、ケイ素/アルミニウムモル比が0.7〜1.6、好ましくは0.9〜1.2であり、かつ混合時のpHが3.5〜4.8となるように混合することが必要である。
上記の所定の範囲になるように混合するための方法は特に限定されないが、水ガラス及び硫酸アルミニウムについて、それぞれ所定の濃度の溶液となるように溶液を調製した後、これらを混合するのが好ましい。
具体的には、硫酸アルミニウムについては、純水に溶解させることにより、所定の濃度の水溶液を調製する。また、水ガラスについては、該硫酸アルミニウム水溶液と混合した際に、pHが3.5〜4.8となるように、純水及び/又は水酸化ナトリウムにて希釈させるか、あるいは純水で濃度調整した水酸化ナトリウム水溶液にて希釈させることにより、所定の濃度の溶液を調製する。
水ガラス中のケイ素の濃度は1〜3000mmol/Lで、硫酸アルミニウム水溶液中のアルミニウムの濃度は1〜3000mmol/Lであるが、好適な濃度としては1〜1500mmol/Lのケイ素化合物溶液と、1〜1500mmol/Lのアルミニウム化合物溶液を混合することが好ましい。
こうして調製された所定濃度の水ガラスの水溶液と硫酸アルミニウム水溶液を混合時のpHが3.5〜4.8となるように混合した後、均一な溶液が得られるまで攪拌を行う。
攪拌後、この溶液をアルカリにてpH6〜10に調製し、脱塩処理及び120〜300℃で加熱熟成させる加熱処理を行い、乾燥させた固形分が目的のアルミニウムケイ酸塩複合体である。
本発明における脱塩処理とは、生成物の洗浄により溶液中の共存イオンを取り除く処理であり、その方法は特に限定されないが、好ましくは、脱水及び/又は洗浄により行う方法が好ましい。具体的には、遠心分離やフィルタープレスなどで、固形分と溶液とに分離させることにより、相当量の塩を含んだ溶液として塩を取り除くことができる。また、遠心分離における洗浄としては、この操作の際に分離された固形分に純水を加え、攪拌し再度遠心分離を行うことにより、さらに固形分に含まれる塩の量が減少するとともに、その分の塩を溶液として取り除くことができる。
また、本発明において、120〜300℃での加熱処理とは、非晶質ケイ酸アルミニウムケイ酸塩から、低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩からなるアルミニウムケイ酸塩複合体にするための処理である。加熱温度は、処理時間にもよるが、温度をあげることで処理時間を短縮することができ、例えば120℃で加熱することにより、アルミニウムケイ酸塩複合体を2日で合成することが可能となり、180℃では3時間で合成することができる。
また、本発明において、前記脱塩処理及び前記加熱処理の工程は、その順序と回数は限定されるわけではなく、例えば、脱塩処理工程→加熱処理工程、又は脱塩処理工程→加熱処理工程→脱塩処理工程なども含まれる。
次に、本発明を実施例及び比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
Si濃度が500mmol/Lになるように、水ガラスを20%水酸化ナトリウム水溶液で希釈した水ガラス溶液100mLを調製した。また、これとは別に、硫酸アルミニウムを純水に溶解させ、Al濃度が435mmol/Lの硫酸アルミニウム水溶液100mLを調製した。次に、水ガラス溶液に硫酸アルミニウム水溶液を混合し、攪拌機にて撹拌した。このときのケイ素/アルミニウムモル比は1.15、攪拌30分後のpHは4.0であった。更に、この混合溶液に、20%水酸化ナトリウム水溶液12.5mLを添加しpHを7.0とした。このようにして生成させた懸濁液を遠心分離にて3回脱塩処理を行った。脱塩処理後回収物を純水に分散させ全体で200mLとなるようにした後、1時間攪拌し懸濁液を作成した。この調整した懸濁液のうち70mLを、100mL用テフロン(登録商標)製容器に測り取った後、ステンレス製回転反応容器に設置し200℃で16時間加熱を行った。反応後遠心分離により脱水処理後、60℃で1日乾燥させた。
(実施例2)
Si濃度が500mmol/Lになるように、水ガラスを20%水酸化ナトリウム水溶液で希釈した水ガラス溶液100mLを調製した。また、これとは別に、硫酸アルミニウムを純水に溶解させ、Al濃度が435mmol/Lの硫酸アルミニウム水溶液100mLを調製した。次に、水ガラス溶液に硫酸アルミニウム水溶液を混合し、攪拌機にて撹拌した。このときのケイ素/アルミニウムモル比は1.15、攪拌30分後のpHは4.0であった。更に、この混合溶液に、20%水酸化ナトリウム水溶液12.5mLを添加しpHを7.0とした。このようにして生成させた懸濁液を遠心分離にて3回脱塩処理を行った。脱塩処理後回収物を純水に分散させ全体で200mLとなるようにした後、1時間攪拌し懸濁液を作成した。この調整した懸濁液のうち70mLを、100mL用テフロン(登録商標)製容器に測り取った後、ステンレス製回転反応容器に設置し120℃で4日間加熱を行った。反応後遠心分離により脱水処理後、60℃で1日乾燥させた。
(比較例1)
Si濃度が500mmol/Lになるように、純水で希釈した水ガラス溶液100mLを調製した。また、これとは別に、硫酸アルミニウムを純水に溶解させ、Al濃度が435mmol/Lの硫酸アルミニウム水溶液100mLを調製した。次に、水ガラス溶液に硫酸アルミニウム水溶液を混合し、攪拌機にて撹拌した。このときのケイ素/アルミニウムモル比は1.15、攪拌30分後のpHは3.4であった。更に、この混合溶液に、20%水酸化ナトリウム水溶液33.4mLを添加しpHを7.0とした。このようにして生成させた懸濁液を遠心分離にて3回脱塩処理を行った。脱塩処理後回収物を純水に分散させ全体で200mLとなるようにした後、1時間攪拌し懸濁液を作成した。この調整した懸濁液のうち70mLを、100mL用テフロン(登録商標)製容器に測り取った後、ステンレス製回転反応容器に設置し200℃で16時間加熱を行った。反応後遠心分離により脱水処理後、60℃で1日乾燥させた。
(比較例2)
比較例2として、上記特許文献2の実施例2にて示された物質について、以下のように、本発明の製造方法に準拠して合成を行った。
Si濃度が、405mmol/Lになるように、純水で希釈した水ガラス溶液100mLを調製した。また、これとは別に、硫酸アルミニウムを純水に溶解させ、Al濃度が368mmol/Lの硫酸アルミニウム水溶液100mLを調製した。次に、硫酸アルミニウム溶液に水ガラス溶液を混合し、攪拌機にて撹拌した。このときのケイ素/アルミニウムモル比は1.10である。撹拌後、この混合溶液に、1N水酸化ナトリウム水溶液3.1mLを添加しpHを7とした。このようにして生成させた懸濁液を遠心分離にて1回脱塩処理を行った。脱塩処理後回収物を純水に分散させ全体で200mLとなるようにした及び後、1時間攪拌し懸濁液を作成した。この調整した懸濁液のうち70mLを、100mL用テフロン(登録商標)製容器に測り取った後、ステンレス製回転反応容器に設置し180℃で18時間加熱を行った。反応後遠心分離により2回洗浄処理後、60℃で1日乾燥させた。
(粉末X線回折)
実施例1及び実施例2で得られた生成物について、粉末X線回折による測定を行った。
図1に、実施例1及び実施例2で得られた生成物の粉末X線回折図形を示す。図1に見られるように、2θ=20、26、35、39°付近にブロードなピークが見られる。このうち20及び35°に見られるピークは、層状粘土鉱物のhk0面の反射から得られるものであり、層状粘土鉱物に一般的に見られる00l反射が見られないことから、積層方向の厚さがほとんどない低結晶性の層状粘土鉱物であると推定される。また2θ=26、39°付近のブロードなピークは非晶質なアルミニウムケイ酸塩に特徴的なピークである。以上の結果から実施例1及び実施例2の物質は低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩からなることが確認された。
(組成分析)
実施例1及び実施例2で得られた生成物について、走査型電子顕微鏡装置に設置されているエネルギー分散型X線分光法により組成分析を行ったところ、実施例1のSi/Alモル比は1.15、実施例2のSi/Alモル比は1.14と、溶液混合時のSi/Alモル比とほぼ同じであることが確認された。
(水蒸気吸着評価)
実施例1、実施例2、比較例1、及び比較例2にて得られた生成物において、日本ベル社製Belsorp−Aquaにより測定を行った水蒸気吸着等温線から水蒸気吸着評価を行った。図2に、その結果を示す。
図2に示すように、本発明における実施例1のアルミニウムケイ酸塩複合体は、吸着時の相対湿度60%時の吸着量が49.4wt%であり、脱着時の相対湿度10%の吸着量が16.1wt%であるので、相対湿度10〜60%において33.3wt%の水蒸気吸着量の差を有していた。
また実施例2のアルミニウムケイ酸塩複合体は、吸着時の相対湿度60%時の吸着量が48.9wt%であり、脱着時の相対湿度10%の吸着量が15.7wt%であるので、相対湿度10〜60%において33.2wt%の水蒸気吸着量の差を有していた。
これに対し、比較例1の生成物は、吸着時の相対湿度60%時の吸着量が29.4wt%であり、脱着時の相対湿度10%の吸着量が13.2wt%であるので、相対湿度10〜60%において16.2wt%の水蒸気吸着量の差を有しており、また比較例2のアルミニウムケイ酸塩複合体は、吸着時の相対湿度60%時の吸着量が45.6、脱着時の相対湿度10%の吸着量が15.4wt%であるので、相対湿度10〜60%において30.2wt%の水蒸気吸着量の差を有していた。
本実施例の結果、本発明の方法により得られたアルミニウムケイ酸塩複合体は、吸着時の相対湿度60%における吸着量と脱着時の相対湿度10%における吸着量との差が33wt%以上という、従来のアルミニウムケイ酸塩複合体では得られなかった優れた吸着性能を有しており、従来のアルミニウムケイ酸塩複合体とは明らかに異なるものが得られていることが示された。
29Si固体NMR測定)
実施例1、比較例2にて得られた生成物において、29Si固体NMR測定を行った。
実施例1のCP/MAS法による29Si固体NMRスペクトルを図3に、比較例2のCP/MAS法による29Si固体NMRスペクトルを図4に示す。
図3に示すスペクトルでは、−76ppm以外に、−90ppm付近にピークが見られた。一方、図4に示すスペクトルにおいては、−78ppm、−91ppm、−103ppm、−108ppm付近にピークが見られた。図3に見られる−76ppmのピーク、及び図4に見られる−78ppmのピークは、いずれもOH−Si−(OAl)に起因するスペクトルのピークである。なお、両者の「−78」と「−76」の差は、測定に用いた基準の違いによるものと判断される。
以上のとおり、CP/MAS法による29Si固体NMRスペクトルにおいて、実施例1で得られた物質は、OH−Si−(OAl)に起因するピークの他に、これよりも14ppm小さいピークを有しており、一方、比較例2で得られた物質は、OH−Si−(OAl)に起因するピークと、これより13ppm、25ppm、30ppm小さいピークを有しており、両者が異なることがわかる。
また、上記の特許文献1には、得られたアルミニウムケイ酸塩複合体が、OH−Si−(OAl)に起因する−78ppmのスペクトルと、これよりも8ppm、13ppm小さいピークを有することが記載されており、前記の実施例1で得られたものとは異なることがわかる。
(実施例3)
本実施例では、実施例1のアルミニウムケイ酸塩複合体の製造方法において、水ガラスと硫酸アルミニウム水溶液を混合した際のpHを、pH3.3〜5.0の範囲にて条件を変えて実験を行い、得られた生成物の評価を行った。
生成物の評価は、水蒸気吸着評価試験により行った。評価方法は、秤量瓶に約0.3gの試料を入れ、100℃で1時間乾燥させた際の重量を乾燥重量とし、その後25℃相対湿度60%における恒温恒湿槽に1時間入れ水蒸気を吸着させた後の吸着量から、水蒸気吸着率を求めた。なおpH5.0の条件では、混合後溶液が固まってしまい、実験が不可能であった。
実施例3の結果を図5に示す。図5に示すように水酸化ナトリウム水溶液添加後のpHが3.5〜4.8において、高い水蒸気吸着性能を有することが示された。
(実施例4)
本実施例では、実施例1のアルミニウムケイ酸塩複合体の製造方法において、Si/Alのモル比を0.7〜1.6の範囲にて条件を変えて実験を行い、得られた生成物の評価を行った。生成物の評価は、実施例3と同じである。
実施例4の結果を図6に示す。図6に示すようにSi/Alモル比が0.7〜1.3、好ましくは0.9〜1.2において、高い水蒸気吸着性能を有することが示された。
(実施例5)
本実施例では、実施例1のアルミニウムケイ酸塩複合体の製造方法において、水酸化ナトリウム水溶液添加後のpHをpH4〜10の範囲にて条件を変えて実験を行い、得られた生成物の評価を行った。生成物の評価は、実施例3と同じである。
実施例5の結果を図7に示す。図7に示すように、水酸化ナトリウム水溶液添加後のpHが6〜10において、高い水蒸気吸着性能を有することが示された。
本発明は、中湿度領域において高性能な吸着性を有するアルミニウムケイ酸塩複合体及びその製造方法に関するものであり、本発明のアルミニウムケイ酸塩複合体は、自律的調湿調節剤やデシカント空調用の除湿剤として有用である。また、本発明の製造方法は、上記特性を有するアルミニウムケイ酸塩複合体を、大量にかつ低コストでかつ容易に合成することを可能とするものである。

Claims (5)

  1. 低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩からなるアルミニウムケイ酸塩複合体であって、水ガラスと硫酸アルミニウム水溶液からなる生成物のSi/Alモル比が0.7〜1.3で、かつCP/MAS法による29Si固体NMRスペクトルにおいてOH−Si−(OAl)に起因するピークと、そのピークから14ppm小さいピークを有するアルミニウムケイ酸塩複合体。
  2. 吸着時の相対湿度60%における吸着量と脱着時の相対湿度10%における吸着量との差が33wt%以上の水蒸気吸着性能を有することを特徴とする請求項1に記載のアルミニウムケイ酸塩複合体。
  3. 低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩からなるアルミニウムケイ酸塩複合体の製造方法であって、水ガラスと硫酸アルミニウム水溶液を、Si/Alモル比が0.7〜1.3かつ混合時のpHが3.5〜4.8となるように混合し、攪拌した後、これにアルカリを添加してpH6〜10に調整し、脱塩処理及び120〜300℃での加熱処理を行うことを特徴とするアルミニウムケイ酸塩複合体の製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載のアルミニウムケイ酸塩複合体を有効成分とする吸着剤。
  5. 請求項1又は2に記載のアルミニウムケイ酸塩複合体を有効成分とするデシカント空調用吸着剤。
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