JP5354561B2 - プロトイモゴライトとリン酸の複合化物からなる非晶質物質並びにそれを用いたデシカント空調用吸着剤及び結露防止剤 - Google Patents

プロトイモゴライトとリン酸の複合化物からなる非晶質物質並びにそれを用いたデシカント空調用吸着剤及び結露防止剤 Download PDF

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Description

本発明は、次世代の産業を支える重要な基盤技術として、実用化が強く期待されているナノテクノロジーの技術分野において、その特異な形状に起因する微細構造により、高比表面積、高細孔容積、イオン交換能、及び吸着能等に優れた物理化学的な特性を示し、革新的な機能性材料としての応用が期待されている物質に関するものであり、特に、中湿度および高湿度領域において優れた吸着性能を有する吸着剤に関するものである。
ナノサイズのチューブ状アルミニウムケイ酸塩は、例えば、天然において、イモゴライトとして産出するが、このイモゴライトは、土壌中に存在し、主に火山灰由来の土壌に産する。また、天然のイモゴライトは、類縁鉱物であるアロフェンと並んで、土壌における養分や水分の移動及び植物への供給、更に、有害な汚染物質の集積や残留等に対して影響を与えるものである。このチューブ状アルミニウムケイ酸塩は、主な構成元素をケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、酸素(O)及び水素(H)とし、多数のSi−O−Al結合で組み立てられた水和珪酸アルミニウムであって、外径が2.2〜2.8nm、内径が0.5〜1.2nm、長さが10nm〜数μmのチューブ状の形態を有し、天然には、火山灰及び軽石等の降下火山噴出物を母材とする土壌に分布している粘土成分である。
プロトイモゴライトは、前記イモゴライトの前駆体物質であり、水溶液中に分散したこの前駆体を100℃程度で加熱することによりイモゴライトとなる、イモゴライト形成過程途中の物質をプロトイモゴライトと呼ぶ。プロトイモゴライトは、イモゴライトの構造に由来する性質を有しているため、29Si固体NMRでは、イモゴライトと同じ−78ppmにピークを示し、ケイ素はOH−Si−(OAl)3の配位を有している。
プロトイモゴライトは、結晶性のイモゴライトのように比較的長いチューブ状の形態にまでは成長していないが、イモゴライトの構造をそれなりに有しているので、水蒸気吸着特性においてもイモゴライトとプロトイモゴライトとは相対湿度20%以下における吸着挙動がほぼ同じであり、低湿度領域においてはイモゴライトと同様な吸着剤の性質を有している。
このような、ナノサイズのチューブ状アルミニウムケイ酸塩であるイモゴライト及びその前駆体であるプロトイモゴライトの特異な形状及び物性は、工業的にも有用であると考えられる。すなわち、イモゴライトは、その特異な微細構造に基づいて、各種物質を吸着することができる特性を有することから、例えば、有害汚染物質吸着剤、脱臭剤、さらには二酸化炭素やメタンなどのガス貯蔵剤等としての利用可能性については、従来から言及されている。また、優れた水蒸気吸着性能を有することから、ヒートポンプ熱交換材、結露防止剤、自律的調湿材料などの応用として期待されている。
特に、デシカント空調では外気から導入される空気中の湿分を取り除くことが目的であるため、夏場の高湿度の空気からでも効率的に湿分を取り除けることが必要とされており、そのためデシカント空調において求められる吸着剤は、一般的に相対湿度が5%程度から60%における吸着量が多いことであるとされているが、それ以上の高湿度域での吸着量も多いことが望ましい。
さらに、結露防止剤においては、相対湿度90%以上で水蒸気を多量に吸着し、湿度が低下するとともに脱着する物質が求められている。
そのような背景から中湿度領域あるいは高湿度領域においても水蒸気を吸着できる物質の合成が必要となる。
このような中で、チューブ状アルミニウムケイ酸塩の上記特性を有しつつ、中湿度域及び高湿度域においても水蒸気を多量に吸着できる物質を工業的に安価で大量に合成することが求められており、イモゴライト及びプロトイモゴライトの特異な細孔を利用した吸着剤の開発が行なわれてきた。
しかしながら、チューブ状アルミニウムケイ酸塩であるイモゴライトにおいては、そのアスペクト比が約1000程度と比較的チューブの長さが長いことから、低湿度領域および相対湿度90%以上の高湿度領域においては高性能な物質であるが(特許文献1参照)、中湿度領域においては吸着量が少ないという欠点があった。
また、非晶質イモゴライトの特異な細孔を利用した吸着剤の開発も行なわれている(特許文献2参照)が、しかしながら、従来の方法では、相対湿度60%において、30wt%の吸着量を有することはできなかった。
さらに、プロトイモゴライトから得られた吸着剤は、相対湿度10%〜60%において水蒸気吸着量が20wt%以上であって、前述のイモゴライトおよび非晶質イモゴライトから得られる吸着剤に比較して高性能なものであることが知られているが(特許文献3参照)、それでも30wt%の吸着量を有することはできなかった。
特開2001−064010号公報 特開2004−059330号公報 特開2006−240956号公報
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであって、中湿度領域のみならず高湿度領域においても優れた吸着性能を有する材料、及びその優れた吸着性能を有する吸着剤、特にデシカント空調用吸着剤および結露防止剤を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記目的を達成すべく検討を重ねた結果、イモゴライト前駆体であるプロトイモゴライトを生成した後に、リン酸を適量添加し加熱することを検討した結果、中湿度領域および高湿度領域において優れた吸着性能を有する、プロトイモゴライトとリン酸の複合化物からなる非晶質物質の合成法を開発することに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題を解決するための本発明は、以下のとおりである。
(1)プロトイモゴライトとリン酸の複合化物からなる非晶質物質。
(2)相対湿度10〜60%の中湿度領域及び相対湿度60%以上の高湿度領域において水蒸気吸着性能を有し、相対湿度60%における水蒸気吸着量と相対湿度95%における水蒸気吸着量の差が200wt%以上であることを特徴とする(1)の非晶質物質。
(3)モノケイ酸水溶液とアルミニウム溶液をSi/Al比が0.35〜0.55となるように混合し、これに酸又はアルカリを添加してpH6〜8に調製し、その後脱塩処理したものに、リン酸を添加した後、加熱することによって得られる、(1)又は(2)の非晶質物質。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかの非晶質物質からなる吸着剤。
(5)上記(1)〜(3)のいずれかの非晶質物質からなるデシカント空調用吸着剤。
(6)上記(1)〜(3)のいずれかの非晶質物質からなるデシカント結露防止剤。
本発明により得られる、プロトイモゴライトとリン酸の複合化物からなる非晶質物質は、相対湿度10〜60%の中湿度領域及び相対湿度60%以上の高湿度領域において優れた吸着性能を有し、特に、相対湿度60%以上における吸着量と相対湿度95%における吸着量の差が200wt%以上であるという優れた吸着性能を有するものであるため、その特性を用いたデシカント空調用吸着剤及び結露防止剤を提供することができ、さらには、有害汚染物質吸着剤、脱臭剤、二酸化炭素やメタンなどのガス貯蔵剤を提供できるという格別の効果が奏される。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明におけるプロトイモゴライトは、構成元素をケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、酸素(O)及び水素(H)とし、多数のSi−O−Al結合で組み立てられた水和ケイ酸アルミニウムである。プロトイモゴライトは、100℃程度で加熱することによりイモゴライトになる前駆体物質を指すが、イモゴライトの一部の構造を有している物質である。
このプロトイモゴライトからなるアルミニウムケイ酸塩は、無機ケイ素化合物溶液と無機アルミニウム化合物溶液からなる溶液を混合し、ケイ素とアルミニウムの重合化そして脱塩処理を施した後、加熱熟成により人工的に得ることが可能である。
本発明における、プロトイモゴライトとリン酸の複合化物からなる非晶質物質は、相対湿度60%において30wt%以上の水蒸気を吸着する性能を有するものであり、従来公知のチューブ状アルミニウムケイ酸塩であるイモゴライトや非晶質イモゴライトとは異なる高吸着性物質である。
すなわち、本発明らが鋭意検討を重ねた結果、プロトイモゴライト生成後にリン酸を添加し加熱することにより、プロトイモゴライトとリン酸による複合化を行うことで、従来では得られなかった、相対湿度10〜60%の中湿度領域及び相対湿度60%以上の両領域において優れた吸着性能を有する物質を提供しうる非晶質物質が得られるものであり、特に、相対湿度60%における吸着量と相対湿度95%における吸着量との差が200wt%以上ある、優れた吸着特性を有するものである。
本発明において、プロトイモゴライトの調製には、原料として、通常、無機ケイ素化合物と無機アルミニウム化合物が用いられる。ケイ素源として使用される試剤は、モノケイ酸であればよく、具体的には、オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、無定形コロイド状二酸化ケイ素(エアロジル等)等が好適なものとして挙げられる。また、上記ケイ酸塩分子と結合させるアルミニウム源は、アルミニウムイオンであればよく、具体的には、例えば、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムおよびアルミン酸ナトリウム等のアルミニウム化合物が挙げられる。これらのケイ素源及びアルミニウム源は、上記の化合物に限定されるものではなく、それらと同効のものであれば同様に使用することができる。
これらの原料を適切な水溶液に溶解させ、所定の濃度の溶液を調製する。本目的を満たす優れた吸着挙動を示すには、ケイ素/アルミニウム比は0.35〜0.55となるように混合することが必要である。溶液中のケイ素化合物の濃度は1〜1000mmol/Lで、アルミニウム化合物の溶液の濃度は1〜1000mmol/Lであるが、好適な濃度としては1〜100mmol/Lのケイ素化合物溶液と、1〜300mmol/Lのアルミニウム化合物溶液を混合することが好ましい。これらの比率及び濃度に基づいて、アルミニウム化合物溶液にケイ素化合物溶液を混合し、酸又はアルカリにてpH6〜8に調製して前駆体を形成した後、遠心分離、濾過、膜分離等により、溶液中の共存イオンを取り除き、その後、回収した前駆体を弱酸性〜弱アルカリ性水溶液に分散させたものが、プロトイモゴライトを含む懸濁液である。
このプロトイモゴライトを含む懸濁液に、リン酸を添加し100℃程度で加熱することにより、プロトイモゴライトとリン酸を複合化することができ、目的の中湿度および高湿度領域において優れた吸着剤を得ることができる。
次に、本発明を実施例及び比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
Si源として0.06mol/Lのオルトケイ酸ナトリウム水溶液125mLと、Al源として0.15mol/Lの塩化アルミニウム水溶液125mLを用いた。塩化アルミニウム水溶液にオルトケイ酸ナトリウム水溶液を加え、約10分間攪拌を行った。このときのSi/Al比は0.40である。攪拌後混合溶液がほぼ透明になったことを確認し、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を1mL/分の速さで滴下し、pHが7.5になるまで添加した。水酸化ナトリウム水溶液の滴下量は26mLであった。このようにして生成させた前駆体懸濁液を遠心分離にて3回脱塩処理を行った。脱塩処理は遠心分離機を用いて、回転速度3000rpm、時間10分で行った。脱塩処理後前駆体を純水に分散させ全体で1Lとなるようにし、10分攪拌を行った。さらにこの1Lの前駆体分散溶液を2Lの純水に分散させた後、1Nの塩酸を15mL添加し、約1時間攪拌を行い、プロトイモゴライト懸濁液を作成した。
調整した3Lのイモゴライト前駆体懸濁液を、500mL用テフロン(登録商標)製容器6本に500mLずつ測り取った。そのうち1本はリン酸を添加しない溶液とし、残りの5本については加熱前の段階で0.5Nのリン酸を0.5mL、1mL、1.5mL、2mL、2.5mLをそれぞれ添加し、98℃の恒温槽にて1週間加熱を行った。
評価は60℃で乾燥させた6試料について、簡便な水蒸気吸着評価を行った。秤量瓶に約0.3gの試料を入れ、100℃の恒温槽にて1時間加熱後秤量を行い、次に25℃60%の恒温恒湿槽にて1時間静置させ吸着後秤量を行った。100℃における乾燥重量を基にして吸着率を求めた結果、吸着率はリン酸添加なしが17.9mass%、0.5mL添加の場合14.6mass%、1mL添加で13.4mass%、1.5mL添加で19.9mass%、2mL添加で28.5mass%、2.5mL添加で23.7mass%と、リン酸2mL添加において最も吸着率が高かった。
前記リン酸0.5〜2.5mL添加で得られた生成物について、X線回折および原子間力顕微鏡による観察を行った。いずれのリン酸添加量においても同様なX線回折図形および同様な電子間力顕微鏡画像が得られたが、リン酸2.0mL添加の生成物を代表とした。図1にリン酸2.0mL添加によって得られた生成物の粉末X線回折図形を示す。図1に見られるように、2θ=27°と40°付近にブロードなピークが見られ、非晶質なアルミニウムケイ酸塩に特徴的なピークが観察された。この結果から実施例1の物質は非晶質物質であることが確認された。
またリン酸2.0mL添加によって得られた生成物の原子間力顕微鏡画像を図2に示す。図2に見られるように、実施例1の物質は粒子の形態を有しており、イモゴライトのようなチューブ状の形態を有してないことが確認された。
(比較例1:イモゴライトの調製)
チューブ状アルミニウムケイ酸塩(イモゴライト)を以下のようにして得た。
Si濃度が60mmol/Lになるように純水で希釈したオルトケイ酸ナトリウム水溶液200mlを調整した後。また、これとは別に塩化アルミニウムを純水に溶解させ、Al濃度が150mmol/L水溶液200mlを調整した。塩化アルミニウム水溶液にオルトケイ酸ナトリウム水溶液を混合し、マグネティックスターラーで撹拌した。このときのケイ素/アルミニウム比は0.4である。この混合溶液に、1N水酸化ナトリウム水溶液44.8mlを滴下しpHを6とした。この溶液から遠心分離により前駆体を回収し、更に、純水で前駆体を2回遠心分離により洗浄した後、2Lの純水中に分散させた。この前駆体の懸濁液2Lに、1N塩酸を10ml加えpHを4.2とした後、室温下で1時間攪拌した後、テフロン(登録商標)製の2L密閉容器に移し替え、恒温槽にて100℃で4日間加熱を行った。こうしてイモゴライトを含む水溶液を得た。冷却後、この水溶液を60℃で乾燥させた後、孔径0.2μmのフィルターを用いて洗浄を行った。
得られた生成物について、そのX線回折パターンを解析した。
図3に得られた生成物の粉末X線回折図形を示す。図3からわかるように、得られた生成物は、粉末X線回折において2θ=4,9.5,14,27,40°付近にピークを有し、チューブ状アルミニウムケイ酸塩特有のX線回折パターンを示した。
(比較例2:非晶質イモゴライトの調製)
非晶質アルミニウムケイ酸塩(非晶質イモゴライト)を以下のようにして得た。
Si濃度が60mmol/Lになるように純水で希釈したオルトケイ酸ナトリウム水溶液200mlを調整した後。また、これとは別に塩化アルミニウムを純水に溶解させ、Al濃度が150mmol/L水溶液200mlを調整した。塩化アルミニウム水溶液にオルトケイ酸ナトリウム水溶液を混合し、マグネティックスターラーで撹拌した。このときのケイ素/アルミニウム比は0.4である。この混合溶液に、1N水酸化ナトリウム水溶液44.8mlを滴下しpHを6とした。この溶液から遠心分離により前駆体を回収し、更に、純水で前駆体を2回遠心分離により洗浄した後、2Lの純水中に分散させた。この前駆体の懸濁液2Lに、1N塩酸を20ml加えpHを3.7とした後、室温下で1時間攪拌した後、テフロン(登録商標)製の2L密閉容器に移し替え、恒温槽にて100℃で2日間加熱を行った。こうして非晶質イモゴライトを含む水溶液を得た。冷却後、この水溶液を60℃で乾燥させた後、孔径0.2μmのフィルターを用いて洗浄を行った。
得られた生成物について、そのX線回折パターンを解析した。
図4に得られた生成物の粉末X線回折図形を示す。図4からわかるように、得られたアルミニウムケイ酸塩は、特定のピークのない非晶質であることを示すX線回折パターンを示した。
(比較例3:プロトイモゴライトの調製)
プロトイモゴライトを以下のようにして得た。
Si濃度が60mmol/Lになるように純水で希釈したオルトケイ酸ナトリウム水溶液200mlを調整した後。また、これとは別に塩化アルミニウムを純水に溶解させ、Al濃度が150mmol/L水溶液200mlを調整した。塩化アルミニウム水溶液にオルトケイ酸ナトリウム水溶液を混合し、マグネティックスターラーで撹拌した。このときのケイ素/アルミニウム比は0.4である。この混合溶液に、1N水酸化ナトリウム水溶液44.8mlを滴下しpHを6とした。この溶液から遠心分離により前駆体を回収し、更に、純水で前駆体を2回遠心分離により洗浄した後、2Lの純水中に分散させた。この前駆体の懸濁液2Lに、1N塩酸を10ml加えpHを4.2とした後、室温下で1時間攪拌した後、この水溶液を60℃で6日間乾燥させた。
得られた生成物について、そのX線回折パターンを解析した。
図5に得られた生成物の粉末X線回折図形を示す。図5からわかるように、得られたアルミニウムケイ酸塩は、特定のピークのない非晶質であることを示すX線回折パターンを示した。
(水蒸気吸着評価)
実施例1において、リン酸の添加量2mLで得られたプロトイモゴライトとりん酸の複合化物からなる非晶質物質、比較例1で得られたイモゴライト、比較例2で得られた非晶質イモゴライト、及び比較例3で得られたプロトイモゴライトについて、日本ベル社製Belsorp18により測定を行った水蒸気吸着等温線から水蒸気吸着評価を行った。図6に、その結果を示す。図中、◆、◇、▲及び△は、それぞれ、本発明のプロトイモゴライトとリン酸の複合化物からなる非晶質物質、イモゴライト、非晶質イモゴライト、及びプロトイモゴライトの結果を示している。
一般的にデシカント空調における作動範囲は相対湿度10〜60%の範囲とされており、図6において、相対湿度10%における吸着量と相対湿度60%における吸着量の差は、実施例では30.2wt%であるのに対し、比較例1のイモゴライトでは約13wt%、比較例2の非晶質イモゴライトでは約7wt%、比較例3のプロトイモゴライトでは約22wt%の増加にとどまっている。
また、本実施例のプロトイモゴライトとリン酸の複合化物からなる非晶質物質は、相対湿度60%以上の高湿度領域における吸着量は、相対湿度の上昇とともに増加し、相対湿度60%における吸着量と相対湿度95%における吸着量の差は、247wt%であるのに対し、イモゴライトでは約53%、非晶質イモゴライトでは約6wt%、プロトイモゴライトでは約65wt%であった。
以上の結果より、本実施例のプロトイモゴライトとリン酸の複合化物からなる非晶質物質は、相対湿度10〜60%の中湿度領域と相対湿度60%以上の高湿度領域の両方の領域において優れた吸着特性を有し、特に、相対湿度60%以上における吸着量と相対湿度95%における吸着量との差が200wt%以上であるという、優れた吸着特性を有するものであることが明らかとなった。
本発明は、中湿度および高湿度領域において高性能な吸着性を有するプロトイモゴライトとリン酸の複合化物からなる非晶質物質であり、デシカント空調用の除湿剤や結露防止剤のみならず、有害汚染物質吸着剤、脱臭剤、さらには二酸化炭素やメタンなどのガス貯蔵剤を提供するものとして有用である。
実施例1の粉末X線回折図形。 実施例1の原子間力顕微鏡画像。 比較例1の粉末X線回折図形。 比較例2の粉末X線回折図形。 比較例3の粉末X線回折図形。 実施例1、及び比較例1〜3について水蒸気吸着等温線の結果を示す図。

Claims (6)

  1. プロトイモゴライトとリン酸の複合化物からなる非晶質物質。
  2. 相対湿度10〜60%の中湿度領域及び相対湿度60%以上の高湿度領域において水蒸気吸着性能を有し、相対湿度60%における水蒸気吸着量と相対湿度95%における水蒸気吸着量の差が200wt%以上であることを特徴とする請求項1に記載の非晶質物質。
  3. モノケイ酸水溶液とアルミニウム溶液をSi/Al比が0.35〜0.55となるように混合し、これに酸又はアルカリを添加してpH6〜8に調製し、その後脱塩処理したものに、リン酸を添加した後、加熱することによって得られる、請求項1又は2に記載の非晶質物質。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の非晶質物質からなる吸着剤。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の非晶質物質からなるデシカント空調用吸着剤。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の非晶質物質からなる結露防止剤。
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