JP2016212417A - 結像光学素子の評価方法および結像光学素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】面方向に並べられた複数枚のミラープレートを接合して得られる結像光学素子の評価を、簡易な手法により行なう結像光学素子の評価方法、を提供する。【解決手段】結像光学素子の評価方法は、複数枚のミラープレートをその面方向に並ぶように配置する工程と、複数枚のミラープレートの一方の面側に、コントラストの界面を有するチャートを配置することにより、複数枚のミラープレートの他方の面側にチャートの鏡映像551を形成する工程とを備える。鏡映像551として現れるコントラストの界面は、ミラープレート同士の接合部に対して非平行である。結像光学素子の評価方法は、複数枚のミラープレートによって形成されたチャートの鏡映像551の歪みを検出することにより、結像光学素子を評価する工程をさらに備える。【選択図】図12
Description
この発明は、結像光学素子の評価方法および結像光学素子の製造方法に関する。
従来の結像光学素子の製造方法に関して、たとえば、特開2013−101230号公報(特許文献1)には、大きな空間映像を表示可能な空間映像表示装置に必要な大型の反射型面対称結像素子を、簡単かつ高精度に製造することを目的とした、大型の反射型面対称結像素子の製造方法が開示されている。
特許文献1に開示された反射型面対称結像素子の製造方法は、複数の反射型面対称結像素子を、所定の基準面上に隣接させて平面板方向に二次元状に並べる第一の工程と、透明カバー層により、二次元状に並べられた複数の反射型面対称結像素子である反射型面対称結像素子群を、平面板方向に垂直な方向から挟み込むとともに、反射型面対称結像素子群の周囲を覆う第二の工程と、透明カバー層内の気圧を下げる第三の工程とを有する。
また、特開2013−88556号公報(特許文献2)および特開2013−195983号公報(特許文献3)には、一方の主面側にある被観察物の実像を他方の主面側の空間に結像させ、空中像の明るさを向上させることを目的とした、大型のリフレクタアレイ光学装置が開示されている。特許文献2および特許文献3に開示されたリフレクタアレイ光学装置は、同一平面上に並置される複数枚の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を有する。
また、特開2014−7517号公報(特許文献4)には、互いに組み合わされる複数の投射画像同士のずれを簡易に補正することを目的とした、プロジェクターが開示されている。特許文献4に開示されたプロジェクターは、投射スクリーンに第1の測定パターンを投射表示する第1のプロジェクターと、投射スクリーンに第2の測定パターンを投射表示する第2のプロジェクターとを有する。第2のプロジェクターは、各測定パターンの投射画像に映り込んでいる撮影画像を取得し、その撮影画像から、各測定パターンに示されている測定ポイントの座標を検出する。第2のプロジェクターは、検出された座標に基づいて、第1の測定パターンと第2の測定パターンとが所望の関係となるように、投射対象である画像を補正する。
上述の特許文献に開示されるように、空中映像デバイスの実現手段として、一方の面側に配置される被投影物の鏡映像を他方の面側の空間位置に結像させる結像光学素子が知られている。このような結像光学素子の製造において、面方向に並べられた複数枚のミラープレートを接合(タイリング)する手法がある。しかしながら、ミラープレート同士の接合部において反射面の相対的な角度ずれが発生すると、形成される鏡映像の歪みが生じる。より具体的には、各ミラープレートが作る鏡映像に位置ずれが生じ、鏡映像全体として映像に段差が生じる。
一方、上記のようなミラープレート同士の接合に起因した鏡映像の歪みを解消する手法として、接合されるミラープレート間の反射面の位置関係を測定する方法が考えられる。しかしながら、この場合、ミラープレート同士の接合部を拡大観察し、反射面の微小な変化を高精度に検出する必要があるため、顕微鏡等の観察機器を要する。さらに、ミラープレート同士の接合部を広範囲に観察するために、ミラープレートを移動させる手段や、複数の観察機器が必要になったりする。
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、面方向に並べられた複数枚のミラープレートを接合して得られる結像光学素子の評価を、簡易な手法により行なう結像光学素子の評価方法、および、そのような評価方法を利用した結像光学素子の製造方法を提供することである。
この発明に従った結像光学素子の評価方法は、一方の面側に配置される被投影物の鏡映像を他方の面側の空間位置に結像させるための結像光学素子の評価方法である。結像光学素子の評価方法は、複数枚のミラープレートをその面方向に並ぶように配置する工程と、複数枚のミラープレートの一方の面側に、コントラストの界面を有するチャートを配置することにより、複数枚のミラープレートの他方の面側にチャートの鏡映像を形成する工程とを備える。鏡映像として現れるコントラストの界面は、ミラープレート同士の接合部に対して非平行である。結像光学素子の評価方法は、複数枚のミラープレートによって形成されたチャートの鏡映像の歪みを検出することにより、結像光学素子を評価する工程を備える。
なお、ミラープレートとは、被投影物からの光を反射するための反射面を形成する板材である。
このように構成された結像光学素子の評価方法によれば、結像光学素子によって形成されたチャートの鏡映像の歪みを検出するため、簡易な手法により結像光学素子の評価を行なうことができる。
また好ましくは、ミラープレートは、被投影物からの光を反射する反射面を形成する第1光反射部と、第1光反射部により形成された反射面に直交し、第1光反射部からの光を反射する反射面を形成する第2光反射部とを有する。チャートの鏡映像を形成する工程時、チャートから第1光反射部に対して45°の角度で入射する光路を想定した場合に、チャートは、チャートから第1光反射部への光の進行方向に沿った縦方向に延び、コントラストの界面を形成する複数本の直線を含む。
また好ましくは、ミラープレートは、被投影物からの光を反射する反射面を形成する第1光反射部と、第1光反射部により形成された反射面に直交し、第1光反射部からの光を反射する反射面を形成する第2光反射部とを有する。チャートの鏡映像を形成する工程時、チャートから第1光反射部に対して45°の角度で入射する光路を想定した場合に、チャートは、チャートから第1光反射部への光の進行方向に直交する方向に沿った横方向に延び、コントラストの界面を形成する複数本の直線を含む。
このように構成された結像光学素子の評価方法によれば、第1光反射部および第2光反射部間における反射面の特定の位置関係のずれを、縦方向に延びる複数本の直線によって形成されるコントラストの界面のずれ、または、横方向に延びる複数本の直線によって形成されるコントラストの界面のずれとして検出することができる。
また好ましくは、複数本の直線は、周期的に目印が付された目盛状のパターンを有する。
このように構成された結像光学素子の評価方法によれば、複数本の直線によって形成されるコントラストの界面のずれ量を、簡易に把握することができる。
また好ましくは、コントラストの界面は、格子状に延びる。
このように構成された結像光学素子の評価方法によれば、第1反射面および第2反射面間の位置関係のずれを、より正確に検出することができる。
このように構成された結像光学素子の評価方法によれば、第1反射面および第2反射面間の位置関係のずれを、より正確に検出することができる。
この発明に従った結像光学素子の製造方法は、上述のいずれかに記載の結像光学素子の評価方法を用いた結像光学素子の製造方法である。結像光学素子の製造方法は、結像光学素子を評価する工程の後に、チャートの鏡映像の歪みを確認しながら、チャートの鏡映像がチャートの形状に対応するように、複数枚のミラープレートを相互に位置調整する工程をさらに備える。
このように構成された結像光学素子の製造方法によれば、簡易な手法により、ミラープレート同士の接合に起因する鏡映像の歪みが生じることのない結像光学素子を得ることができる。
以上に説明したように、この発明に従えば、面方向に並べられた複数枚のミラープレートを接合して得られる結像光学素子の評価を、簡易な手法により行なう結像光学素子の評価方法、および、そのような評価方法を利用した結像光学素子の製造方法を提供することができる。
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
(実施の形態1)
図1は、結像光学素子の使用形態を示す概略図である。図1を参照して、まず、結像光学素子510の基本的な構造について説明する。結像光学素子510は、被投影物513の鏡映像514を、結像光学素子510に対して面対称となる空間位置に結像する空中映像デバイスとして用いられる。
図1は、結像光学素子の使用形態を示す概略図である。図1を参照して、まず、結像光学素子510の基本的な構造について説明する。結像光学素子510は、被投影物513の鏡映像514を、結像光学素子510に対して面対称となる空間位置に結像する空中映像デバイスとして用いられる。
結像光学素子510は、一方の面510aと、一方の面510aの裏側に配置される他方の面510bとを有する平板(パネル)形状を有する。被投影物513は、結像光学素子510の一方の面510a側に、結像光学素子510の中心位置Pから偏心して配置され、鏡映像514は、結像光学素子510の他方の面510b側に、結像光学素子510に対して対称となる位置に結像される。図1中には、被投影物の一例としてリンゴが配置されているが、被投影物は、たとえば、被投影物となる画像を表示可能に構成される液晶ディスプレイであってもよい。
結像光学素子510は、平行配置された複数の反射面を有する2枚のミラープレートが、一方のミラープレートの反射面と、他方のミラープレートの反射面とが直交するように、ミラープレートの厚み方向に重ね合わされてなる積層タイプである。
図2は、結像光学素子を示す平面図である。図3から図6は、図2中の結像光学素子の製造方法の工程を示す平面図である。
図2から図6を参照して、結像光学素子510は、複数枚のミラープレート522を有する。結像光学素子510は、面方向に並べられた複数枚のミラープレート522が接合されることにより構成されている。複数枚のミラープレート522は、接着剤により接合されている。
本実施の形態では、複数枚のミラープレート522として、5枚のミラープレート522(ミラープレート522A,ミラープレート522B,ミラープレート522C,ミラープレート522D,ミラープレート522E)が用いられている。
ミラープレート522Aは、矩形形状の平面視を有する。ミラープレート522B,522C,522D,522Eは、直角三角形の平面視を有する。矩形形状の平面視を有するミラープレート522Aの一辺と、直角三角形の平面視を有するミラープレート522Bの斜辺とが、接合されている。同様の形態により、ミラープレート522Aの残る三辺と、ミラープレート522C,522D,522Eの斜辺とが、それぞれ、接合されている。
結像光学素子510は、全体として、矩形の平面視を有する。ミラープレート522Aと、ミラープレート522B、ミラープレート522C、ミラープレート522Dおよびミラープレート522Eとの間には、ミラープレート522同士の接合部527が形成されている。ミラープレート522同士の接合部527は、直線状に延びている。
図3および図4に示すように、結像光学素子510の製造時、2枚のミラープレート526(526P,526Q)を準備する。ミラープレート526は、ミラープレート522Aに対応する矩形形状の平面視を有する。
ミラープレート526は、複数の透明板材506と、複数の光反射部507とから構成されている。(以下、ミラープレート526Pを構成する光反射部507を、特に「第1光反射部507P」といい、ミラープレート526Qを構成する光反射部507を、特に「第2光反射部507Q」という。)
ミラープレート526は、光反射部507が形成された透明板材506が一方向に積層されることにより構成されている。透明板材506は、透明樹脂またはガラスにより形成されている。光反射部507は、反射面を形成する平面形状を有する。光反射部507は、たとえば、銀またはアルミニウム等の金属から形成されている。光反射部507は、透明板材506の互いに対向する2つの主面の少なくとも一方に形成されている。
ミラープレート526は、光反射部507が形成された透明板材506が一方向に積層されることにより構成されている。透明板材506は、透明樹脂またはガラスにより形成されている。光反射部507は、反射面を形成する平面形状を有する。光反射部507は、たとえば、銀またはアルミニウム等の金属から形成されている。光反射部507は、透明板材506の互いに対向する2つの主面の少なくとも一方に形成されている。
複数の透明板材506は、接着剤により互いに接合されている。光反射部507は、ミラープレート526の厚み方向と、その厚み方向に直交する方向とを含む平面形状を有する。複数の光反射部507は、互いに平行に配置されている。複数の光反射部507は、透明板材506の積層方向において互いに間隔を隔てて配置されている。複数の光反射部507は、等間隔に配置されている。
図5に示すように、ミラープレート526Pおよびミラープレート526Qを、ミラープレート526の厚み方向に重ね合わせる。この際、第1光反射部507Pおよび第2光反射部507Qが直交するように、ミラープレート526Pおよびミラープレート526Qを重ね合わせる。接着剤を用いて、重ね合わされたミラープレート526Pおよびミラープレート526Qを接合することによって、ミラープレート522Aを得る(クロス接合工程)。
上記の工程と同様に、直角三角形の平面視を有する2枚のミラープレート526(526P,526Q)をクロス接合することによって、ミラープレート522B、ミラープレート522C、ミラープレート522Dおよびミラープレート522Eを得る。
図6に示すように、ミラープレート522A、ミラープレート522B、ミラープレート522C、ミラープレート522Dおよびミラープレート522Eを、これらのミラープレート522の面方向に並ぶように配置する。接着剤を用いて、ミラープレート522Aと、ミラープレート522B、ミラープレート522C、ミラープレート522Dおよびミラープレート522Eとを接合することによって、図2中の結像光学素子510を得る(タイリング工程)。
このように構成された結像光学素子510においては、被投影物513からの光が反射面に対して45°の角度(図2中の矢印601に示す方向)で入射した場合に、鏡映像の視認性が最も良好となる。本実施の形態では、鏡映像の結像に寄与する結像光学素子上の領域を最大化するため、上記のミラープレート522Aと、ミラープレート522B、ミラープレート522C、ミラープレート522Dおよびミラープレート522Eとを接合する手法がとられている。
結像光学素子510の一方の面510a側には、ミラープレート526Pが配置され、結像光学素子510の他方の面510b側には、ミラープレート526Qが配置されている。代表的な光路の説明として、結像光学素子510の一方の面510a側に配置された被投影物からの光は、図2中の矢印601に示す方向に進行し、45°の角度で第1光反射部507Pに入射する。第1光反射部507Pが形成する反射面により反射された光は、第2光反射部507Qが形成する反射面によって反射され、結像光学素子510の他方の面510b側に鏡映像を形成する。
図7は、反射面の角度ずれによる鏡映像の歪み現象を説明するための図である。図7を参照して、コーナーミラー方式の結像光学素子においては、反射面の精度が結像性能に大きな影響を与える。たとえば、相互に直交関係にあるべき反射面同士に角度θの位置ずれが生じた場合、鏡映像の観察者までの距離Lに対して、結像の位置ずれΔxは、下記の式によって算出される。
Δx=L×tanθ
たとえば、数分オーダーの傾きと1mの観察距離との組み合わせでは、Δxの値は1mm弱ほどにもなり、被投影物としてディスプレイ等を用いた場合、これは数画素程度のずれに相当する。
たとえば、数分オーダーの傾きと1mの観察距離との組み合わせでは、Δxの値は1mm弱ほどにもなり、被投影物としてディスプレイ等を用いた場合、これは数画素程度のずれに相当する。
図8は、図2中の結像光学素子において、ミラープレート同士の接合部で起こり得る反射面同士の角度ずれを示す平面図である。図8中には、図2中の2点鎖線VIIIに示す範囲に対応する結像光学素子が示されている。
図9は、ミラープレート同士の接合部において反射面の角度ずれがない場合の鏡映像の一例を示す図である。図10は、ミラープレート同士の接合部において反射面の角度ずれがある場合の鏡映像の一例を示す図である。
図8から図10を参照して、上記のタイリング工程(図6中に示す工程)時、ミラープレート522同士の接合部527(図8中に示す範囲では、ミラープレート522Aおよびミラープレート522B間の接合部527)において、光反射部507により形成される反射面に相対的な角度ずれが起こり得る。この場合、形成される鏡映像が、ミラープレート522同士の接合部527に対応する位置で映像ずれを起こし、鏡映像の著しい品質劣化となる。
これに対して、この発明の実施の形態1における結像光学素子の評価方法においては、適切なチャートを被投影物として用い、そのチャートの鏡映像のずれを検出することによって、ミラープレート522同士の接合部527における反射面の相対的な位置関係を、広範囲かつ高精度に評価する。以下、本実施の形態における結像光学素子の評価方法について、より具体的に説明する。
図11は、この発明の実施の形態1における結像光学素子の評価方法において用いられるチャートの第1具体例と、そのチャートの鏡映像とを示す図である。図12は、図11中のチャートを用いた場合に検出される鏡映像の歪みを示す図である。
図13および図14は、図12中に示す鏡映像の歪みが生じる原理を説明するための図である。図13中には、反射面に相対的な角度ずれが存在しない場合の、結像光学素子における光の進行方向が示され、図14中には、反射面に相対的な角度ずれが存在する場合の、結像光学素子における光の進行方向が示されている。
図11から図14を参照して、本実施の形態における結像光学素子の評価方法は、複数枚のミラープレート522をその面方向に並ぶように配置する工程と、複数枚のミラープレート522の一方の面側に、コントラストの界面を有するチャート531を配置することにより、複数枚のミラープレート522の他方の面側にチャート531の鏡映像551を形成する工程とを備える。鏡映像551として現れるコントラストの界面は、ミラープレート522同士の接合部527に対して非平行である。結像光学素子の評価方法は、複数枚のミラープレート522によって形成されたチャート531の鏡映像551の歪みを検出することにより、結像光学素子510を評価する工程をさらに備える。
このような構成によれば、ミラープレート522同士の接合部527において、鏡映像として現れるコントラストの界面の連続性を確認することによって、鏡映像551の歪みを容易に検出することができる。
本具体例では、チャート531が、白地直線541と黒地直線542とが交互に並ぶラインチャートである。白地直線541および黒地直線542の境界により、白黒からなるコントラストの界面が形成されている。チャート531から第1光反射部507Pに対して45°の角度で入射する光路を想定した場合に、白地直線541および黒地直線542は、チャート531から第1光反射部507Pへの光の進行方向(図2中の矢印601に示す方向)に沿った縦方向に延びている。白地直線541および黒地直線542は、結像光学素子510を平面視した場合において、結像光学素子510の中心位置Pに対するチャート531の偏心方向(図1中の矢印600に示す方向)に沿った縦方向に延びている。言い換えれば、ミラープレート522の他方の面側にチャート531の鏡映像551を形成する工程時、白地直線541および黒地直線542が上記の縦方向に延びるように、チャート531をミラープレート522の一方の面側に配置する。白地直線541および黒地直線542は、結像光学素子510を平面視した場合において、第1光反射部507Pおよび第2光反射部507Qと45°の角度をなしている。
ミラープレート522同士の接合部527において、第1光反射部507Pにより形成される反射面と、第2光反射部507Qにより形成される反射面との間に折れ曲がり状態のずれ(より具体的には、ミラープレート522の厚み方向に延びる軸周りにおける、第2光反射部507Qにより形成される反射面の傾き)が生じると、コーナーミラーを形成するはずの反射面同士が90°の角度関係からずれた状態となり、その結果、観察者からは、結像位置の左右方向のずれとして観察される。このため、縦方向のラインチャートを用いることによって、図14中に示す折れ曲がり状態での反射面の相対的な角度ずれを、鏡映像として現れるコントラストの界面のずれとして検出することができる。
図15は、この発明の実施の形態1における結像光学素子の評価方法において用いられるチャートの第2具体例と、そのチャートの鏡映像とを示す図である。図16は、図15中のチャートを用いた場合に検出される鏡映像の歪みを示す図である。
図17および図18は、図16中に示す鏡映像の歪みが生じる原理を説明するための図である。図17中には、反射面に相対的な角度ずれが存在しない場合の、結像光学素子における光の進行方向が示され、図18中には、反射面に相対的な角度ずれが存在する場合の、結像光学素子における光の進行方向が示されている。
本具体例では、第1具体例におけるチャート531に替わって、チャート532が用いられる。複数枚のミラープレート522の一方の面側に、コントラストの界面を有するチャート532を配置することにより、複数枚のミラープレート522の他方の面側にチャート532の鏡映像552を形成する工程を実施する。
チャート532は、白地直線543と黒地直線544とが交互に並ぶラインチャートである。白地直線543および黒地直線544の境界により、白黒からなるコントラストの界面が形成されている。チャート531から第1光反射部507Pに対して45°の角度で入射する光路を想定した場合に、白地直線543および黒地直線544は、チャート532から第1光反射部507Pへの光の進行方向(図2中の矢印601に示す方向)に直交する方向に沿った横方向に延びている。白地直線543および黒地直線544は、結像光学素子510を平面視した場合において、結像光学素子510の中心位置Pに対するチャート531の偏心方向(図1中の矢印600に示す方向)に直交する方向に沿った縦方向に延びている。言い換えれば、複数枚のミラープレート522の他方の面側にチャート532の鏡映像552を形成する工程時、白地直線543および黒地直線544が上記の横方向に延びるように、チャート532を複数枚のミラープレート522の一方の面側に配置する。白地直線543および黒地直線544は、結像光学素子510を平面視した場合において、第1光反射部507Pおよび第2光反射部507Qと45°の角度をなしている。
ミラープレート522同士の接合部527において、第1光反射部507Pにより形成される反射面と、第2光反射部507Qにより形成される反射面との間に捻じれ状態のずれ(より具体的には、平面形状を有する光反射部507Qの長手方向に延びる軸周りにおける、光反射部507Qにより形成される反射面の傾き)が生じると、本来、結像光学素子510を挟んで面対称となる空間位置に結像するはずの鏡映像が、観察者からは、結像位置の上下方向のずれとして観察される。このため、横方向のラインチャートを用いることによって、図18中に示す捻じれ状態での反射面の相対的な角度ずれを、鏡映像として現れるコントラストの界面のずれとして検出することができる。
図19は、この発明の実施の形態1における結像光学素子の評価方法において用いられるチャートの第3具体例と、そのチャートの鏡映像とを示す図である。
図19を参照して、本具体例では、第1具体例におけるチャート531に替わって、チャート533が用いられる。複数枚のミラープレート522の一方の面側に、コントラストの界面を有するチャート533を配置することにより、複数枚のミラープレート522の他方の面側にチャート533の鏡映像553を形成する工程を実施する。
チャート533は、白地直線545と黒地直線546とが交互に並ぶラインチャートである。白地直線545および黒地直線546は、具体例1における白地直線541と黒地直線542と同様に、チャート533から第1光反射部507Pへの光の進行方向に沿った縦方向に延びている。複数本の黒地直線546は、周期的に目印が付された目盛状のパターンを有する。より具体的には、複数本の黒地直線546には、他の黒地直線546よりも太い黒地直線546jが設けられている。黒地直線546jは、5本おきに設けられている。
このような構成によれば、チャート533の鏡映像553を確認する際に、コントラストの界面のずれ量を、黒地直線546jを基準にして容易に把握することができる。たとえば、図19中に示す鏡映像553においては、コントラストの界面が、黒地直線546の1.3本分程度ずれていることを容易に把握することができる。
なお、本具体例における目盛状のラインチャートの構造を、図15中に示す横方向のラインチャートに適用してもよい。また、直線に周期的に付す目印は、線の太さに限られず、線種や線色等であってもよい。
図20は、この発明の実施の形態1における結像光学素子の評価方法において用いられるチャートの第4具体例と、そのチャートの鏡映像とを示す図である。
図20を参照して、本具体例では、第1具体例におけるチャート531に替わって、チャート534が用いられる。複数枚のミラープレート522の一方の面側に、コントラストの界面を有するチャート534を配置することにより、複数枚のミラープレート522の他方の面側にチャート534の鏡映像554を形成する工程を実施する。
チャート534は、コントラストの界面が縦方向および横方向に格子状に延びる模様を有する。より具体的には、チャート534は、矩形形状の白地ます547と、矩形形状の黒地ます548とが、縦方向および横方向に交互に並ぶ市松模様を有する。白地ます547および黒地ます548の境界により、白黒からなるコントラストの界面が形成されている。
このような構成によれば、図14中に示す折れ曲がり状態での反射面の相対的な角度ずれと、図18中に示す捻じれ状態での反射面の相対的な角度ずれとの双方を、鏡映像として現れるコントラストの界面のずれとして検出することができる。
なお、本具体例における市松模様のチャートに替わって、直線が縦方向および横方向に延びるラインチャートを用いてもよい。
また、以上に説明した具体例では、チャートが白黒からなるコントラストの界面を有する場合について説明したが、このような構成に限られず、色調や色の濃淡によって、コントラストの界面が構成されてもよい。
複数枚のミラープレート522によって形成されたチャートの鏡映像の歪みを検出することにより、結像光学素子510を評価する工程の後に、チャートの鏡映像の歪みを確認しながら、チャートの鏡映像がチャートの形状に対応するように、複数枚のミラープレート522を相互に位置調整する工程と、位置調整された複数枚のミラープレート522の位置を固定する工程とを実施してもよい。
より具体的には、ミラープレート522同士の接合部527における鏡映像の歪みが解消されるように、複数枚のミラープレート522を相互に位置調整する。予め各ミラープレート522の接合面に紫外線硬化性樹脂を塗布しておき、位置調整の工程の後に紫外線を照射することによって、ミラープレート522の相互の位置を固定する。
このように構成された、この発明の実施の形態1における結像光学素子の評価方法によれば、ミラープレート522同士の接合部527における反射面の角度ずれを、顕微鏡等による拡大観察、高精度計測によらず、チャートパターンの鏡映像のずれとして検出するため、結像光学素子510の評価を簡易に行なうことができる。さらにその後の位置調整工程においても、チャートパターンの鏡映像のずれを検出しながらミラープレート522を相互に位置調整するため、視野全域を高精度に調整することができる。
(実施の形態2)
図21は、結像光学素子を用いた空中映像表示装置を示す概略図である。図21を参照して、空中映像表示装置は、結像光学素子(マイクロミラーアレイ)10および表示部13を有する。
図21は、結像光学素子を用いた空中映像表示装置を示す概略図である。図21を参照して、空中映像表示装置は、結像光学素子(マイクロミラーアレイ)10および表示部13を有する。
表示部13は、たとえば、液晶ディスプレイであり、被投影物となる画像を表示可能に構成されている。表示部13に替わって、被投影物となる2次元または3次元の物体が配置されてもよい。結像光学素子10は、被投影物の鏡映像14を、結像光学素子10に対して面対称となる空間位置に結像する。結像光学素子10は、一方の面10aと、一方の面10aの裏側に配置される他方の面10bとを有する平板(パネル)形状を有する。被投影物は、結像光学素子10の一方の面10a側に配置され、鏡映像14は、結像光学素子10の他方の面10b側に結像される。
図22は、図21中の結像光学素子を示す斜視図である。図23は、図21中の結像光学素子の分解組み立て図である。
図22および図23を参照して、結像光学素子10は、ミラーシート21Pおよびミラーシート21Qを有する。ミラーシート21Pおよびミラーシート21Qは、互いに略同一の構成を有する(以下、ミラーシート21Pおよびミラーシート21Qを特に区別しない場合には、ミラーシート21という)。
ミラーシート21は、平板形状を有する。ミラーシート21は、矩形形状の平面視を有する。ミラーシート21は、複数枚のミラープレート22を有する。ミラーシート21は、複数枚のミラープレート22が面方向において接合されることにより、1枚の大型パネルとして構成されている。複数枚のミラープレート22は、接着剤により互いに接合されている。本実施の形態では、複数枚のミラープレート22として、4枚のミラープレート22(ミラープレート22A,ミラープレート22B,ミラープレート22C,ミラープレート22D)が用いられている。
ミラーシート21Pおよびミラーシート21Qは、ミラーシート21の厚み方向に重ね合わされている。ミラーシート21Pおよびミラーシート21Qは、ミラーシート21Pに形成された後述の光反射部7と、ミラーシート21Qに形成された後述の光反射部7とが互いに直交するように重ね合わされている。ミラーシート21Pおよびミラーシート21Qは、接着剤により互いに接合されている。
ミラープレート22A〜22Dは、互いに略同一の構成を有する。ミラープレート22A〜22Dの各ミラープレート22は、ミラーシート21をその平面視において4分割した構成を有する。ミラープレート22は、複数の透明板材6と、複数の光反射部7とを有する。ミラープレート22は、光反射部7が形成された透明板材6が一方向に積層されることにより構成されている。透明板材6は、透明樹脂またはガラスにより形成されている。光反射部7は、反射面を形成する平面形状を有する。光反射部7は、たとえば、銀またはアルミニウム等の金属から形成されている。光反射部7は、透明板材6の互いに対向する2つの主面の少なくとも一方に形成されている。
複数の透明板材6は、接着剤により互いに接合されている。光反射部7は、ミラープレート22の面内で一方向に延びている。複数の光反射部7は、互いに平行に延びている。複数の光反射部7は、透明板材6の積層方向において互いに間隔を隔てて配置されている。複数の光反射部7は、等間隔に配置されている。ミラープレート22A〜22Dは、これらミラープレート22間において、光反射部7が互いに平行となるように接合されている。
なお、ミラーシート21は、4枚以外の複数枚のミラープレート22が組み合わさって構成されてもよい。
続いて、図22中の結像光学素子10の製造装置について説明する。
図24は、図22中の結像光学素子の製造装置を示す側面図である。図24を参照して、結像光学素子の製造装置30は、移動側プレート支持部(プレート支持部)33と、被投影物32と、被投影物支持部31と、固定側プレート支持部34と、カメラ(撮像装置)37と、紫外線照射装置38とを有する。
図24は、図22中の結像光学素子の製造装置を示す側面図である。図24を参照して、結像光学素子の製造装置30は、移動側プレート支持部(プレート支持部)33と、被投影物32と、被投影物支持部31と、固定側プレート支持部34と、カメラ(撮像装置)37と、紫外線照射装置38とを有する。
移動側プレート支持部33は、ミラープレート22を移動可能に支持するように構成されている。本実施の形態では、移動側プレート支持部33として、ミラープレート22を、直交3軸であるX軸、Y軸およびZ軸方向に移動させる移動機構と、ミラープレート22を、X軸、Y軸およびZ軸周りの回転方向に移動させる移動機構とを備える6軸ステージが用いられている。移動側プレート支持部33は、エア吸着等の手段により、ミラープレート22を支持する。
固定側プレート支持部34は、ミラープレート22を支持するように構成されている。本実施の形態では、固定側プレート支持部34が、さらに後述する参照ミラープレート36を支持するように構成されている。
被投影物支持部31は、被投影物32を支持するように構成されている。被投影物支持部31としては、たとえば、磁力により被投影物32を支持するマグネットベースが用いられる。
移動側プレート支持部33、固定側プレート支持部34および被投影物支持部31は、定盤46に設置されている。
図25および図26は、図24中の結像光学素子の製造装置が備える被投影物の例を示す平面図である。図24から図26を参照して、被投影物32は、移動側プレート支持部33および固定側プレート支持部34により支持されたミラープレート22の一方の面側に配置されている。
図25中に示す例では、被投影物32として、複数本の第1直線が平行に延びるチャート(横チャート)が用いられている。図26中に示す例では、被投影物32として、複数本の第1直線と、複数本の第2直線とが直交して延びるチャート(クロスチャート)が用いられている。被投影物32は、このようなチャート(図表)に限られず、たとえば、写真や物体であってもよい。
図24を参照して、カメラ37は、複数枚のミラープレート22により結像される被投影物32の鏡映像50を撮像する撮像装置として設けられている。カメラ37は、移動側プレート支持部33および固定側プレート支持部34により支持されたミラープレート22の他方の面側に配置されている。カメラ37により撮像された鏡映像50は、別に設けられたディスプレイに表示される。
紫外線照射装置38は、移動側プレート支持部33および固定側プレート支持部34により支持されたミラープレート22に対して紫外線を照射可能に構成されている。
図27は、この発明の実施の形態2における結像光学素子の製造方法の工程を示す断面図である。続いて、この発明の実施の形態2における結像光学素子の製造方法について説明する。以下においては、代表的に、図24中の製造装置30を用いて図22中の結像光学素子10を製造する方法の工程について説明する。
図24および図27を参照して、まず、複数枚のミラープレート22をその面方向(図27中の矢印101に示す方向)に並ぶように配置する。
より具体的には、移動側プレート支持部33および固定側プレート支持部34によりミラープレート22を支持する。この際、移動側プレート支持部33により支持されたミラープレート22と、固定側プレート支持部34により支持されたミラープレート22との間で、光反射部7が平行に延びるようにミラープレート22を支持する。移動側プレート支持部33により支持されたミラープレート22を、固定側プレート支持部34により支持されたミラープレート22に対して近接移動させる。
ミラープレート22と略同一の構成を有する参照ミラープレート36を準備する。参照ミラープレート36をミラープレート22に対して重ね合わせる。
より具体的には、固定側プレート支持部34により参照ミラープレート36を支持し、移動側プレート支持部33および固定側プレート支持部34により支持されたミラープレート22に重ね合わせる。この際、参照ミラープレート36を、ミラープレート22に形成された光反射部7と、参照ミラープレート36に形成された光反射部7とが直交するように配置する。参照ミラープレート36を、移動側プレート支持部33により支持されたミラープレート22と、固定側プレート支持部34により支持されたミラープレート22との間に跨るように配置する。
次に、複数枚のミラープレート22により結像された鏡映像50を確認しながら、鏡映像50が被投影物32の形状に対応するように複数枚のミラープレート22を相互に位置決めする。
より具体的には、被投影物32からの光が、参照ミラープレート36に形成された光反射部7により反射され、その反射光が、2枚のミラープレート22に形成された光反射部7により反射されることにより、ミラープレート22の他方の面側に鏡映像50が形成される。鏡映像50は、一方のミラープレート22と参照ミラープレート36とで形成された映像と、他方のミラープレート22と参照ミラープレート36とで形成された映像とからなる。作業者は、カメラ37により撮像された鏡映像50をディスプレイにより確認しながら、鏡映像50が被投影物32の形状に対応するように、すなわち、2枚のミラープレート22でそれぞれ形成された鏡映像が一致し、被投影物32の形状が再現されるように、移動側プレート支持部33(本実施の形態では、6軸ステージ)を操作する。これにより、固定側プレート支持部34により支持されたミラープレート22と、移動側プレート支持部33により支持されたミラープレート22との相互の位置関係を調整する。
なお、ミラープレート22の他方の面側に透過型または反射型スクリーンを設置して、そのスクリーンに映った鏡映像50を確認してもよいし、ミラープレート22により結像された鏡映像50を肉眼により確認してもよい。
次に、相互に位置決めされた複数枚のミラープレート22の位置を固定する。
より具体的には、接着剤を用いて、固定側プレート支持部34により支持されたミラープレート22と、移動側プレート支持部33により支持されたミラープレート22とを接合する。本実施の形態では、接着剤として、紫外線硬化性接着剤を用いる。予め、ミラープレート22の接合面23に紫外線硬化性接着剤を塗布しておき、複数枚のミラープレート22を相互に位置決めした後に、紫外線照射装置38からミラープレート22の接合部に向けて紫外線を照射することにより、ミラープレート22同士を接合する。
より具体的には、接着剤を用いて、固定側プレート支持部34により支持されたミラープレート22と、移動側プレート支持部33により支持されたミラープレート22とを接合する。本実施の形態では、接着剤として、紫外線硬化性接着剤を用いる。予め、ミラープレート22の接合面23に紫外線硬化性接着剤を塗布しておき、複数枚のミラープレート22を相互に位置決めした後に、紫外線照射装置38からミラープレート22の接合部に向けて紫外線を照射することにより、ミラープレート22同士を接合する。
以上に説明した工程を繰り返すことによって、4枚のミラープレート22(ミラープレート22A,ミラープレート22B,ミラープレート22C,ミラープレート22D)からなる2組のミラーアセンブリ51を製造する。
次に、接着剤を用いて、2組のミラーアセンブリ51をミラープレート22の厚み方向(図27中の矢印102に示す方向)において接合する。
より具体的には、2組のミラーアセンブリ51を、これらの平面視において互いに重なり合うように積層する。この際、2組のミラーアセンブリ51が、それぞれ、図22中のミラーシート21Pおよびミラーシート21Qに対応するように、一方のミラーアセンブリ51に形成された光反射部7と、他方のミラーアセンブリ51に形成された光反射部7とを直交させる。
以上の工程により、図22中の結像光学素子10が完成する。
このような構成によれば、複数枚のミラープレート22により結像された鏡映像50を確認しながら、鏡映像50が被投影物32の形状に対応するように複数枚のミラープレート22を相互に位置決めすることによって、ミラープレート22同士の接合に起因する鏡映像の歪みが生じることのない結像光学素子10を製造することができる。
このような構成によれば、複数枚のミラープレート22により結像された鏡映像50を確認しながら、鏡映像50が被投影物32の形状に対応するように複数枚のミラープレート22を相互に位置決めすることによって、ミラープレート22同士の接合に起因する鏡映像の歪みが生じることのない結像光学素子10を製造することができる。
ミラープレート22同士を接合する接着剤としては、ミラープレート22の屈折率と略等しい屈折率を有する接着剤を用いることが好ましい。具体的には、ミラープレート22の屈折率nd(またはnD)がXである場合に、接着剤の屈折率が、X±0.01の範囲であることが好ましく、X±0.001の範囲であることがさらに好ましい。
ミラープレート22の接合面23は、鏡面であることが好ましい。隣り合うミラープレート22間の接着剤層の厚み(図27中の寸法b)は、10μm以下であることが好ましい。
このような構成によれば、結像光学素子10で得られる鏡映像において、ミラープレート22同士の接合部を目立たたなくすることができる。
ミラープレート22同士を接合する紫外線硬化性樹脂は、2%以下の硬化収縮率を有することが好ましい。
このような構成によれば、相互に位置決めされたミラープレート22同士の位置関係が、接着剤の硬化時に崩れることを抑制できる。
図28は、ミラープレートのミラー面接合の様子を示す斜視図である。図29は、ミラープレートの積層面接合の様子を示す斜視図である。
図28および図29を参照して、ミラープレート22の接合面23には、ミラー面23mおよび積層面23nがある。ミラー面23mは、透明板材6の積層方向に直交する平面であり、光反射部7が形成する反射面に平行な平面である。積層面23nは、ミラー面23mに直交する平面である。
上記の結像光学素子の製造方法の工程において、ミラープレート22のミラー面23m同士を接合する場合をミラー面接合といい、ミラープレート22の積層面23n同士を接合する場合を積層面接合という。
図28中には、基準となるミラープレート22Aに対してミラープレート22Bをミラー面接合する場合が示されている。さらに、接合するミラープレート22Aおよびミラープレート22Bの並び方向がY軸方向と示され、ミラープレート22の厚み方向がZ軸方向と示され、Y軸およびZ軸に直交する方向がX軸方向と示されている。X軸、Y軸およびZ軸周りの回転方向が、それぞれ、α方向、β方向およびθ方向と示されている。
図29中には、基準となるミラープレート22Aに対してミラープレート22Cを積層面接合する場合が示されている。さらに、接合するミラープレート22Aおよびミラープレート22Cの並び方向がY軸方向と示され、ミラープレート22の厚み方向がZ軸方向と示され、Y軸およびZ軸に直交する方向がX軸方向と示されている。X軸、Y軸およびZ軸周りの回転方向が、それぞれ、α方向、β方向およびθ方向と示されている。
60mm角の正方形の平面視を有するミラープレート22を用いて、ミラープレート22同士の接合部の状態と、鏡映像に歪みを生じさせない範囲との関係を検討したところ、以下の結果となった。
図28中のミラー面接合では、ミラープレート22Aに対するミラープレート22Bの位置決め精度が、Y軸(隙間)方向において、ミラープレート22間の隙間が0〜1.0mmとなる範囲であり、Z軸(段差)方向において、±0.05mmの範囲であり、α(ミラー面傾き)方向において、±0.025°の範囲であり、β(ミラー面ねじれ)方向において、±0.25°の範囲であり、θ(ミラー面回転)方向において、±0.025°の範囲であった。X軸(シフト)方向のずれは、ミラープレート22同士の接合部における鏡映像の歪みにほとんど影響しなかった。
図29中の積層面接合では、ミラープレート22Aに対するミラープレート22Cの位置決め精度が、Y軸(隙間)方向において、ミラープレート22間の隙間が0〜1.0mmとなる範囲であり、Z軸(段差)方向において、±0.05mmの範囲であり、α(ミラー面ねじれ)方向において、±0.25°の範囲であり、β(ミラー面傾き)方向において、±0.025°の範囲であり、θ(ミラー面回転)方向において、±0.025°の範囲であった。X軸(シフト)方向のずれは、ミラープレート22同士の接合部における鏡映像の歪みにほとんで影響しなかった。
以上の検討結果から分かるように、鏡映像に歪みを生じさせないためには、接合するミラープレート22間において光反射部7による反射面が平行関係にあることが特に重要である。反射面同士の傾きおよび回転のずれは、0.025°以内であることが好ましい。本実施の形態における結像光学素子の製造方法によれば、上記に説明したミラープレート22を相互に位置決めする工程の実施によって、要求される反射面の平行関係を得ることができる。
なお、ミラー面接合では、主に、α方向およびθ方向におけるミラープレート22の姿勢が、光反射部7による反射面の平行関係に影響を与え、積層面接合では、主に、β方向およびθ方向におけるミラープレート22の姿勢が、光反射部7による反射面の平行関係に影響を与える。しかしながら、ミラー面接合では、反射面に平行なミラープレート22のミラー面23m同士を接合するため、一般的には、θ方向におけるミラープレート22の姿勢の調整を経ることなく(つまり、α方向におけるミラープレート22の姿勢の調整のみで)、要求される反射面の平行関係を得ることができる。
図30および図31は、図25中の横チャートを用いた場合において、ミラー面の傾き調整の前後の鏡映像を示す図である。
図30および図31を参照して、図24中の被投影物32として、図25中の横チャート(ピッチ2.5mm、線幅1.125mm)を用い、2枚のミラープレート22をミラー面接合により接合した。α方向におけるミラープレート22の姿勢(ミラー面の傾き)を調整することにより、図30中の2点鎖線103により囲まれた範囲にある鏡映像50の歪みを解消することができた。
図32および図33は、図26中のクロスチャートを用いた場合において、ミラー面の傾き調整の前後の鏡映像を示す画像である。
図32および図33を参照して、図24中の被投影物32として、図26中のクロスチャート(ピッチ2.85mm、線幅0.3mm)を用い、2枚のミラープレート22をミラー面接合により接合した。α方向におけるミラープレート22の姿勢(ミラー面の傾き)を調整することにより、図32中の2点鎖線104により囲まれた範囲にある鏡映像50の歪みを解消することができた。
図30から図33を参照して、本実施の形態における結像光学素子の製造方法においては、図25および図26中のチャートを、鏡映像50として現れる複数本の直線がミラープレート22同士の接合部に対して非平行となるようにセッティングする。これにより、複数枚のミラープレート22によって形成される鏡映像50として現れる複数本の直線の連続性を確認することによって、鏡映像50がチャートの形状に対応するか否か容易に判断することができる。特に図26中のクロスチャートを用いた場合、クロスチャートを構成する縦線および横線がミラープレート22同士の接合部に交わるため、直交する2方向において鏡映像50のずれを認識することができる。これにより、複数枚のミラープレート22間において反射面の平行関係をより確実に得ることができる。
以上に説明した、この発明の実施の形態2における結像光学素子の製造方法および製造装置によれば、面方向に並べられた複数枚のミラープレート22を接合して得られる結像光学素子10において、ミラープレート22同士の接合に起因して鏡映像に歪みが生じることを防止できる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2における結像光学素子の製造方法の各種変形例について説明する。本実施の形態において説明する結像光学素子の製造方法は、実施の形態2における結像光学素子の製造方法と比較して、基本的には同様の工程を備える。以下、重複する工程については、その説明を繰り返さない。
本実施の形態では、実施の形態2における結像光学素子の製造方法の各種変形例について説明する。本実施の形態において説明する結像光学素子の製造方法は、実施の形態2における結像光学素子の製造方法と比較して、基本的には同様の工程を備える。以下、重複する工程については、その説明を繰り返さない。
図34は、この発明の実施の形態3において製造される結像光学素子の分解組み立て図である。
図34を参照して、本実施の形態において製造される結像光学素子110は、実施の形態2における結像光学素子10の構成に加えて、2枚の透明基材41をさらに有する。透明基材41は、主表面41aを有する平板形状を有する。透明基材41は、たとえば、透明樹脂またはガラスにより形成されている。
主表面41aには、接着剤を用いて、複数枚のミラープレート22(ミラーシート21)が接合される。透明基材41は、互いに重ね合わされたミラーシート21Pおよびミラーシート21Qを両側から挟み込むように設けられている。
図35は、実施の形態2における結像光学素子の製造方法の第1変形例の工程を示す断面図である。
図35を参照して、本変形例では、ミラープレート22を鏡映像の確認により位置決めしつつ、透明基材41の主表面41a上に配置する。
なお、本工程におけるミラープレート22および透明基材41の位置関係は特に限定されず、たとえば、ミラープレート22は、透明基材41に対して、鉛直上側から配置されてもよいし、鉛直下側から配置されてもよい(後述する第2変形例および第3変形例においても同様)。本明細書においては、特に「鉛直上側」または「鉛直下側」といわない限り、鉛直方向における上下関係を特定する記載ではない。
次に、透明基材41の主表面41a上に位置決めされたミラープレート22を、そのミラープレート22に隣り合って配置されたミラープレート22と、透明基材41の主表面41aとに接合する。
上記工程を繰り返すことによって、4枚のミラープレート22(ミラープレート22A,ミラープレート22B,ミラープレート22C,ミラープレート22D)と、透明基材41とからなる2組のミラーアセンブリ52を製造する。
次に、2組のミラーアセンブリ52をミラープレート22の厚み方向において接合する。
以上の工程により、図34中の結像光学素子110が完成する。
図36は、実施の形態2における結像光学素子の製造方法の第2変形例の工程を示す断面図である。
図36は、実施の形態2における結像光学素子の製造方法の第2変形例の工程を示す断面図である。
図36を参照して、本変形例では、ミラープレート22を鏡映像の確認により位置決めしつつ、複数枚のミラープレート22を互いに接合する(実施の形態2においてミラーアセンブリ51を製造する工程と同様)。
次に、互いに接合された複数枚のミラープレート22を透明基材41の主表面41aに接合する。これにより、4枚のミラープレート22(ミラープレート22A,ミラープレート22B,ミラープレート22C,ミラープレート22D)と、透明基材41とからなる2組のミラーアセンブリ53を製造する。
次に、2組のミラーアセンブリ53をミラープレート22の厚み方向において接合する。
以上の工程により、図34中の結像光学素子110が完成する。
図37は、実施の形態2における結像光学素子の製造方法の第3変形例の工程を示す断面図である。
図37は、実施の形態2における結像光学素子の製造方法の第3変形例の工程を示す断面図である。
図37を参照して、本変形例では、ミラープレート22を鏡映像の確認により位置決めしつつ、透明基材41の主表面41a上に配置する。次に、主表面41a上に位置決めされたミラープレート22を透明基材41の主表面41aに仮接合する。本工程では、ミラープレート22の表面に接着剤をスポット塗布する。これらの工程を繰り返すことによって、ミラープレート22A、ミラープレート22B、ミラープレート22Cおよびミラープレート22Dを、透明基材41の主表面41aに仮接合する。
次に、主表面41aに仮接合された複数枚のミラープレート22を互いに接合するとともに、透明基材41の主表面41aに接合する。本工程では、ミラープレート22同士の接合面と、ミラープレート22および透明基材41の主表面41aの接合面との全面に接着剤を塗布する。これにより、4枚のミラープレート22(ミラープレート22A,ミラープレート22B,ミラープレート22C,ミラープレート22D)と、透明基材41とからなる2組のミラーアセンブリ54を製造する。
次に、2組のミラーアセンブリ54をミラープレート22の厚み方向において接合する。
以上の工程により、図34中の結像光学素子110が完成する。
本実施の形態において説明した結像光学素子の製造方法において、接着剤として、ミラープレート22および透明基材41の屈折率と略等しい屈折率を有する接着剤を用いることが好ましい。具体的には、ミラープレート22および透明基材41の屈折率nd(またはnD)がXである場合に、接着剤の屈折率が、X±0.01の範囲であることが好ましく、X±0.001の範囲であることがさらに好ましい。
本実施の形態において説明した結像光学素子の製造方法において、接着剤として、ミラープレート22および透明基材41の屈折率と略等しい屈折率を有する接着剤を用いることが好ましい。具体的には、ミラープレート22および透明基材41の屈折率nd(またはnD)がXである場合に、接着剤の屈折率が、X±0.01の範囲であることが好ましく、X±0.001の範囲であることがさらに好ましい。
このように構成された、この発明の実施の形態3における結像光学素子の製造方法によれば、実施の形態2に記載の効果を同様に奏することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態2における結像光学素子の製造方法のさらに別の変形例について説明する。本実施の形態において説明する結像光学素子の製造方法は、実施の形態2における結像光学素子の製造方法と比較して、基本的には同様の工程を備える。以下、重複する工程については、その説明を繰り返さない。
本実施の形態では、実施の形態2における結像光学素子の製造方法のさらに別の変形例について説明する。本実施の形態において説明する結像光学素子の製造方法は、実施の形態2における結像光学素子の製造方法と比較して、基本的には同様の工程を備える。以下、重複する工程については、その説明を繰り返さない。
図38は、この発明の実施の形態4において製造される結像光学素子を示す斜視図である。
図38を参照して、本実施の形態において製造される結像光学素子120は、ミラーシート60を有する。
ミラーシート60は、ベース板63および複数の突出部62を有する。ベース板63は、主表面63aを有する平板形状を有する。複数の突出部62は、主表面63aから突出するように設けられている。複数の突出部62は、主表面63aを平面視した場合に、アレイ状(碁盤の目状)に配置されている。
ミラーシート60には、第1光反射部61aと、第2光反射部61bとが互いに直交する方向に延びて形成されている。第1光反射部61aおよび第2光反射部61bは、各突出部62において直交する側面として設けられている。複数の第1光反射部61aは、複数の突出部62間で互いに平行に配置され、複数の第2光反射部61bは、複数の突出部62間で互いに平行に配置されている。
ミラーシート60は、複数枚のミラープレート66を有する。ミラーシート60は、複数枚のミラープレート66が面方向に接合されることにより、1枚の大型パネルとして構成されている。複数枚のミラープレート66は、接着剤により互いに接合されている。本実施の形態では、複数枚のミラープレート66として、4枚のミラープレート66(ミラープレート66A,ミラープレート66B,ミラープレート66C,ミラープレート66D)が用いられている。
ミラープレート66A〜66Dは、互いに略同一の構成を有する。ミラープレート66A〜66Dの各ミラープレート66は、ミラーシート60をその平面視において4分割した構成を有する。ミラープレート66A〜66Dは、これらミラープレート66間において、第1光反射部61aが互いに平行に延び、第2光反射部61bが互いに平行に延びるように接合されている。
図39は、実施の形態2における結像光学素子の製造方法の第4変形例の工程を示す断面図である。
図39を参照して、本変形例では、まず、複数枚のミラープレート66をその面方向に並ぶように配置する。この際、複数枚のミラープレート66間で、第1光反射部61aが互いに平行となり、第2光反射部61bが互いに平行となるように複数枚のミラープレート66を配置する。
次に、複数枚のミラープレート66により結像された鏡映像を確認しながら、鏡映像が被投影物の形状に対応するように複数枚のミラープレート66を相互に位置決めする。なお、本変形例では、図24中の参照ミラープレート36をミラープレート66に重ね合わせて配置する必要がない。
次に、相互に位置決めされた複数枚のミラープレート66に位置を固定する。本変形例では、ベース板63の端面部が、ミラープレート66同士の接合面となる。
以上の工程により、図38中の結像光学素子120が完成する。なお、結像光学素子120が実施の形態3における透明基材41をさらに有する場合には、実施の形態3において説明した結像光学素子の製造方法を同様に適用することが可能である。
このように構成された、この発明の実施の形態4における結像光学素子の製造方法によれば、実施の形態2と同様の効果を奏することができる。
(実施例)
本実施例では、実施の形態3において説明した第3変形例の結像光学素子の製造方法に従って、結像光学素子を製造した。
本実施例では、実施の形態3において説明した第3変形例の結像光学素子の製造方法に従って、結像光学素子を製造した。
図40は、実施例で用いた透明基材、ミラープレート、参照ミラープレートおよび紫外線硬化性樹脂(UV接着剤)の種類および特性等をまとめた表である。図40を参照して、透明基材41として、ベースガラス(150mm角、厚み2.5mm)を用いた。ミラープレート22および参照ミラープレート36として、0.5mm厚のガラス板を積層したもの(60mm角、厚み1.5mm)を用いた。被投影物32として、図25中の横チャート(線幅0.45mm)を用いた。
図41は、実施例で用いた結像光学素子の製造装置を示す側面図である。図42は、実施例で用いた結像光学素子の製造装置を示す平面図である。
図41および図42を参照して、本実施例で用いた結像光学素子の製造装置では、透明基材41が水平方向に支持されている。その透明基材41に対して、参照ミラープレート36が鉛直上側から重ね合わされている。透明基材41の直上には、レーザオートコリメータ39が設置されている。
まず、透明基材41および参照ミラープレート36を製造装置にセッティングした。レーザオートコリメータ39により、透明基材41の主表面とミラープレート22との平行関係を確認しながら、紫外線硬化性樹脂を用いて、透明基材41に基準となるミラープレート22(ミラープレート22A)を接合した。この際、後に続いて接合するミラープレート22(ミラープレート22B〜22C)の姿勢の調整代を考慮して、接着剤層の厚みを0.1mmに設定した。
次に、以下に説明する工程により、ミラープレート22のアクティブアライメントを実施した。
(1)エア吸着により、ミラープレート22を移動側プレート支持部(6軸ステージ)33にセッティング。
(2)ミラープレート22の表面に紫外線硬化性樹脂をスポット塗布(4点)。
(3)ミラープレート22を基準となるミラープレート22Aに向けて近接移動。
(3)ミラープレート22を基準となるミラープレート22Aに向けて近接移動。
(4)移動側プレート支持部(6軸ステージ)33により、ミラープレート22の6軸を微調整し、鏡映像の歪みを解消。
(5)接着剤層の厚みが10μm以下となるように、移動側プレート支持部(6軸ステージ)33により、隣り合うミラープレート22間の隙間の大きさを調整。隙間が所定の大きさに設定された後、移動側プレート支持部(6軸ステージ)33をロック。
(6)紫外線を照射することにより、ミラープレート22を透明基材41の主表面41aに仮接合。この際、はみ出た接着剤が生じた場合には、溶剤(EE3310)による拭き取り。
(7)エア吸着によるミラープレート22の支持を解除。
以上の工程を3回繰り返すことによって、ミラープレート22B,22C,22Dを透明基材41の主表面41aに仮接合した。
以上の工程を3回繰り返すことによって、ミラープレート22B,22C,22Dを透明基材41の主表面41aに仮接合した。
次に、ミラープレート22同士の接合部と、ミラープレート22および透明基材41間の接合部とに紫外線硬化性樹脂を充填した。紫外線を照射することにより、ミラープレート22および透明基材41の本接合を行なった。
図43は、実施例において、ミラープレートの仮接合時の鏡映像を示す図である。図44は、実施例において、ミラープレートの本接合時の鏡映像を示す斜視図である。
図43を参照して、鏡映像を確認しながらミラープレート22のアクティブアライメントを実施することにより、ミラープレート22の接合に起因した歪みを解消することができた。図44を参照して、接着剤層の厚みを10μm以下とすることにより、ミラープレート22同士の接合部を目立たなくすることができた。
この発明に従った結像光学素子の製造方法は、一方の面側に配置される被投影物の鏡映像を他方の面側の空間位置に結像させる結像光学素子の製造方法である。結像光学素子の製造方法は、複数枚のミラープレートをその面方向に並ぶように配置する工程と、複数枚のミラープレートにより結像された鏡映像を確認しながら、鏡映像が被投影物の形状に対応するように複数枚のミラープレートを相互に位置決めする工程と、相互に位置決めされた複数枚のミラープレートの位置を固定する工程とを備える。
なお、ミラープレートとは、被投影物からの光を反射するための反射面を形成する板材である。
このように構成された結像光学素子の製造方法によれば、複数枚のミラープレートを相互に位置決めする工程時、鏡映像が被投影物の形状に対応するようにミラープレートの位置関係を調整する。これにより、ミラープレート同士の接合に起因する鏡映像の歪みが生じることのない結像光学素子を実現することができる。
また好ましくは、ミラープレートには、その面内において一方向に延びる光反射部が形成される。複数枚のミラープレートをその面方向に並ぶように配置する工程は、各ミラープレートの光反射部が互いに平行となるように複数枚のミラープレートを配置する工程を含む。複数枚のミラープレートを相互に位置決めする工程の前に、結像光学素子の製造方法は、面内において一方向に延びる光反射部が形成された参照ミラープレートを準備する工程と、ミラープレートに形成された光反射部と、参照ミラープレートに形成された光反射部とが直交し、かつ、参照ミラープレートが、少なくとも互いに隣り合うミラープレート間に跨るように、ミラープレートおよび参照ミラープレートを重ね合わせる工程とをさらに備える。
このように構成された結像光学素子の製造方法によれば、複数枚のミラープレートを相互に位置決めする工程時、被投影物からの光が、ミラープレートに形成された光反射部と、参照ミラープレートに形成された光反射部とに反射されることによって、被投影物の鏡映像を得ることができる。
また好ましくは、ミラープレートには、その面内において一方向に延びる光反射部が形成される。結像光学素子の製造方法は、複数枚のミラープレートをその面方向に並ぶように配置する工程、複数枚のミラープレートを相互に位置決めする工程および複数枚のミラープレートの位置を固定する工程の実施により、光反射部が互いに平行となるように接合された複数枚のミラープレートを含む第1ミラーアセンブリと、光反射部が互いに平行となるように接合された複数枚のミラープレートを含む第2ミラーアセンブリとを製造する工程と、第1ミラーアセンブリに形成された光反射部と、第2ミラーアセンブリに形成された光反射部とが直交するように、第1ミラーアセンブリおよび第2ミラーアセンブリを、ミラープレートの厚み方向において接合する工程とを備える。
このように構成された結像光学素子の製造方法によれば、第1ミラーアセンブリおよび第2ミラーアセンブリを、第1ミラーアセンブリおよび第2ミラーアセンブリに形成された光反射部が互いに直交するように接合して得られる結像光学素子において、鏡映像に歪みが生じることを防止できる。
また好ましくは、第1ミラーアセンブリおよび第2ミラーアセンブリは、複数枚のミラープレートが接合される主表面を有する透明基材をさらに含む。第1ミラーアセンブリおよび第2ミラーアセンブリを製造する工程は、ミラープレートを鏡映像の確認により位置決めしつつ、透明基材の主表面上に配置する工程と、透明基材の主表面上に位置決めされたミラープレートを、そのミラープレートに隣り合って配置されたミラープレートと、透明基材の主表面とに接合する工程とを含む。
このように構成された結像光学素子の製造方法によれば、ミラープレートを透明基材の主表面上に配置する工程時に、鏡映像が被投影物の形状に対応するようにミラープレートの位置関係を調整する。
また好ましくは、第1ミラーアセンブリおよび第2ミラーアセンブリは、複数枚のミラープレートが接合される主表面を有する透明基材をさらに含む。第1ミラーアセンブリおよび第2ミラーアセンブリを製造する工程は、ミラープレートを鏡映像の確認により位置決めしつつ、複数枚のミラープレートを互いに接合する工程と、互いに接合された複数枚のミラープレートを透明基材の主表面に接合する工程とを含む。
このように構成された結像光学素子の製造方法によれば、複数枚のミラープレートを互いに接合する工程時に、鏡映像が被投影物の形状に対応するようにミラープレートの位置関係を調整する。
また好ましくは、第1ミラーアセンブリおよび第2ミラーアセンブリは、複数枚のミラープレートが接合される主表面を有する透明基材をさらに含む。第1ミラーアセンブリおよび第2ミラーアセンブリを製造する工程は、ミラープレートを鏡映像の確認により位置決めしつつ、透明基材の主表面上に配置する工程と、透明基材の主表面上に位置決めされたミラープレートを、透明基材の主表面に仮接合する工程と、ミラープレートを透明基材の主表面に仮接合する工程の後、複数枚のミラープレートを互いに接合するとともに透明基材の主表面に接合する工程とを含む。
このように構成された結像光学素子の製造方法によれば、ミラープレートを透明基材の主表面上に配置する工程時に、鏡映像が被投影物の形状に対応するようにミラープレートの位置関係を調整する。
また好ましくは、結像光学素子の製造方法は、ミラープレートを透明基材の主表面上に配置する工程の前に、基準ミラープレートを、基準ミラープレートと透明基材の主表面との間に接着剤層を設けて透明基材の主表面に接合する工程をさらに備える。ミラープレートを透明基材の主表面上に配置する工程は、ミラープレートを基準ミラープレートに隣り合う位置に配置する工程と、基準ミラープレートおよびミラープレートにより結像される鏡映像を確認しながら、ミラープレートの姿勢を接着剤層の厚みの範囲内で調整する工程とを含む。
このように構成された結像光学素子の製造方法によれば、基準ミラープレートと透明基材の主表面との間の接着剤層を所定の厚みに設定することにより、ミラープレートの姿勢の調整を可能とできる。
また好ましくは、第1ミラーアセンブリおよび第2ミラーアセンブリを製造する工程は、ミラープレートを鏡映像の確認により位置決めしつつ、複数枚のミラープレートを互いに接合する工程を含む。
このように構成された結像光学素子の製造方法によれば、複数枚のミラープレートを互いに接合する工程時に、鏡映像が被投影物の形状に対応するようにミラープレートの位置関係を調整する。
また好ましくは、ミラープレートには、互いに直交する方向に延びる第1光反射部および第2光反射部が形成される。複数枚のミラープレートをその面方向に並ぶように配置する工程は、複数枚のミラープレート間で、第1光反射部が互いに平行となり、第2光反射部が互いに平行となるように複数枚のミラープレートを配置する工程を含む。
このように構成された結像光学素子の製造方法によれば、互いに直交する方向に延びる第1光反射部および第2光反射部が形成された複数枚のミラープレートを接合して得られる結像光学素子において、鏡映像に歪みが生じることを防止できる。
また好ましくは、複数枚のミラープレートを相互に位置決めする工程は、撮像装置を用いて、または、肉眼により、鏡映像を確認する工程を含む。
このように構成された結像光学素子の製造方法によれば、撮像装置を用いて、または、肉眼により、鏡映像を確認することによって、鏡映像が被投影物の形状に対応するようにミラープレートの位置関係を調整することができる。
また好ましくは、結像光学素子の一方の面側に配置される被投影物は、互いに平行な複数本の第1直線を含むチャートである。鏡映像として現れる複数本の第1直線は、ミラープレート同士の接合部に対して非平行である。
このように構成された結像光学素子の製造方法によれば、複数枚のミラープレートによって形成される鏡映像として現れる複数本の直線の連続性を確認することにより、鏡映像が被投影物の形状に対応するか否か容易に判断することができる。
また好ましくは、チャートは、複数本の第1直線に直交し、互いに平行な複数本の第2直線をさらに含む。鏡映像として現れる複数本の第2直線は、ミラープレート同士の接合部に対して非平行である。
このように構成された結像光学素子の製造方法によれば、鏡映像が被投影物の形状に対応するか否かさらに容易に判断することができる。
また好ましくは、複数枚のミラープレートの位置を固定する工程は、ミラープレートの屈折率と略等しい屈折率を有する接着剤を用いて、複数枚のミラープレートを互いに接合する工程を含む。
このように構成された結像光学素子の製造方法によれば、得られる鏡映像において、ミラープレート同士の接合部を目立たなくすることができる。
また好ましくは、複数枚のミラープレートの位置を固定する工程は、2%以下の硬化収縮率を有する紫外線硬化性接着剤を用いて、複数枚のミラープレートを互いに接合する工程を含む。
このように構成された結像光学素子の製造方法によれば、紫外線硬化性接着剤の硬化時に、複数枚のミラープレートの相互の位置関係が崩れることを抑制できる。
また好ましくは、複数枚のミラープレートの位置を固定する工程は、接着剤を用いて複数枚のミラープレートを互いに接合する工程を含む。隣り合うミラープレート間の接着剤層の厚みは、10μm以下である。
このように構成された結像光学素子の製造方法によれば、得られる鏡映像において、ミラープレート同士の接合部を目立たなくすることができる。
また好ましくは、ミラープレートには、その面内において一方向に延びる光反射部が形成される。光反射部は、上記一方向と、ミラープレートの厚み方向とを含む平面形状を有する。上記一方向に延びる軸周りにおける光反射部の姿勢を、光反射部の傾きといい、ミラープレートの厚み方向に延びる軸周りにおける光反射部の姿勢を、光反射部の回転という。その場合に、複数枚のミラープレートを相互に位置決めする工程は、基準となるミラープレートの光反射部に対する他のミラープレートの光反射部の傾きおよび回転のずれが±0.025°の範囲となるように、複数枚のミラープレートを相互に位置決めする工程を含む。
この発明に従った結像光学素子の製造装置は、面方向に並び、互いに接合された複数枚のミラープレートを有し、一方の面側に配置される被投影物の鏡映像を他方の面側の空間位置に結像させる結像光学素子の製造装置であって、結像光学素子の製造装置は、ミラープレートを移動可能なように支持するプレート支持部と、プレート支持部により支持されたミラープレートの一方の面側に設けられる被投影物と、プレート支持部により支持されたミラープレートの他方の面側に設けられ、複数枚のミラープレートにより結像された被投影物の鏡映像を撮像する撮像装置とを備える。
このように構成された結像光学素子の製造装置によれば、ミラープレート同士の接合に起因する鏡映像の歪みが生じることのない結像光学素子を実現することができる。
また好ましくは、プレート支持部は、ミラープレートを、直交3軸であるX軸、Y軸およびZ軸方向に移動させる移動機構と、ミラープレートを、X軸、Y軸およびZ軸周りの回転方向に移動させる移動機構とを備えた6軸ステージである。
このように構成された結像光学素子の製造装置によれば、ミラープレートの位置や姿勢を自在に調整することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、主に、空中映像表示装置に適用される。
6,506 透明板材、7,507 光反射部、10,110,120,510 結像光学素子、10a,510a 一方の面、10b,510b 他方の面、13 表示部、14,50,514,551,552,553,554 鏡映像、21,21P,21Q,60 ミラーシート、22,22A,22B,22C,22D,66,66A,66B,66C,66D,522,522A,522B,522C,522D,522E,526,526P,526Q ミラープレート、23 接合面、23m ミラー面、23n 積層面、30 製造装置、31 被投影物支持部、32,513 被投影物、33 移動側プレート支持部、34 固定側プレート支持部、36 参照ミラープレート、37 カメラ、38 紫外線照射装置、39 レーザオートコリメータ、41 透明基材、41a,63a 主表面、46 定盤、51,52,53,54 ミラーアセンブリ、61a,507P 第1光反射部、61b,507Q 第2光反射部、62 突出部、63 ベース板、527 接合部、531,532,533,534 チャート、541,543,545 白地直線、542,544,546,546j 黒地直線。
Claims (6)
- 一方の面側に配置される被投影物の鏡映像を他方の面側の空間位置に結像させるための結像光学素子の評価方法であって、
複数枚のミラープレートをその面方向に並ぶように配置する工程と、
複数枚の前記ミラープレートの一方の面側に、コントラストの界面を有するチャートを配置することにより、複数枚の前記ミラープレートの他方の面側に前記チャートの鏡映像を形成する工程とを備え、
鏡映像として現れる前記コントラストの界面は、前記ミラープレート同士の接合部に対して非平行であり、さらに、
複数枚の前記ミラープレートによって形成された前記チャートの鏡映像の歪みを検出することにより、前記結像光学素子を評価する工程を備える、結像光学素子の評価方法。 - 前記ミラープレートは、被投影物からの光を反射する反射面を形成する第1光反射部と、前記第1光反射部により形成された反射面に直交し、前記第1光反射部からの光を反射する反射面を形成する第2光反射部とを有し、
前記チャートの鏡映像を形成する工程時、前記チャートから前記第1光反射部に対して45°の角度で入射する光路を想定した場合に、前記チャートは、前記チャートから前記第1光反射部への光の進行方向に沿った縦方向に延び、前記コントラストの界面を形成する複数本の直線を含む、請求項1に記載の結像光学素子の評価方法。 - 前記ミラープレートは、被投影物からの光を反射する反射面を形成する第1光反射部と、前記第1光反射部により形成された反射面に直交し、前記第1光反射部からの光を反射する反射面を形成する第2光反射部とを有し、
前記チャートの鏡映像を形成する工程時、前記チャートから前記第1光反射部に対して45°の角度で入射する光路を想定した場合に、前記チャートは、前記チャートから前記第1光反射部への光の進行方向に直交する方向に沿った横方向に延び、前記コントラストの界面を形成する複数本の直線を含む、請求項1または2に記載の結像光学素子の評価方法。 - 複数本の前記直線は、周期的に目印が付された目盛状のパターンを有する、請求項2または3に記載の結像光学素子の評価方法。
- 前記コントラストの界面は、格子状に延びる、請求項1から4のいずれか1項に記載の結像光学素子の評価方法。
- 請求項1から5のいずれか1項に記載の結像光学素子の評価方法を用いた結像光学素子の製造方法であって、
前記結像光学素子を評価する工程の後に、前記チャートの鏡映像の歪みを確認しながら、前記チャートの鏡映像が前記チャートの形状に対応するように、複数枚の前記ミラープレートを相互に位置調整する工程をさらに備える、結像光学素子の製造方法。
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20190910 |
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