JP3901970B2 - 板状フィルター、表示装置、フィルターの位置合わせ方法、及びフィルターの位置合わせ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、視差情報を伴う画像を立体的に見ることを可能とさせ、或いは1つの表示面から多画面を表示する倍画面表示が可能となる表示装置、さらにはそのような表示装置に使用される板状フィルター、フィルターの位置合わせ方法、及びフィルターの位置合わせ装置に関するものであり、特に最適な立体画像若しくは倍画面画像の表示を図るために、板状フィルターを高精度に取り付けるためのフィルター位置の調整方法や調整装置に関するものである。
【従来の技術】
従来から3次元に画像を表現する技術については、古くから種々の試みがなされており、写真,映画,テレビジョン等多くの分野で3次元画像に関する表示方法が研究され、実用化されてきている。3次元画像の表示方式としてはメガネ式とメガネ無し式とに大別されるが、どちらの方式も両眼視差のある画像を観察者の左右の眼に入力し立体映像として見ることができるものである。メガネ式の代表的なものとしては、いわゆる赤、青メガネを着用するアナグリフ方式や偏光メガネ方式がある。アナグリフなどの色分離方式は色表現の困難及び視野の劣化が生じるなど品質的に不利な点が多く、また偏光メガネ方式では一般的には2台の投影装置を用いる必要がある等の問題があったが、近年直視型の1つの表示装置にて立体表示を可能とする方法が提唱されている。
【0002】
その偏光メガネ方式を用いる立体画像表示装置の概要を図16に示す。立体画像表示装置200は、液晶パネル部201と、該液晶パネル部201に取り付けられた分割波長板フィルター202とからなる構造を有している。液晶パネル部201は、一対の偏光板203、207の間に一対の透明支持基体204、206が形成され、その間にRGBの画素が形成された画素液晶部205が設けられている。この液晶パネル部201の表面には、分割波長板フィルター202が設けられており、例えば1ライン置きに分割波長板208を透明保護基板209の片面に配設した構造を有している。分割波長板フィルター202はマイクロポール(μ−Pol)やマイクロポーラライザー(micropolarizer)とも称される。
【0003】
このような構造の立体画像表示装置200は、液晶パネル部201から出た直線偏光の方向を回転させることにより表示画面の偶数ラインと奇数ラインからの直線偏光を互いに直交するものに変換している。すなわち偶数ラインからは液晶パネルからの直線偏光がそのまま出射され、奇数ラインでは分割波長板208の作用によりこれと直交する直線偏光とされる。この表示装置の光を互いに直交する偏光方向のメガネ210にて観測することにより、右眼には右眼用画像の光が入射し、左眼には左眼用画像の光が入射する。このメガネ210で見ることで、フルカラーでちらつきのない立体画像を観測することが可能となる。
【0004】
また、前述のような波長板フィルターを効果的に利用して観察者がメガネを着用する必要がないメガネ無し式の立体画像表示装置についても、考案されているものがある(特開平10−63199号公報参照)。更に、上記波長板フィルターを効果的に利用したものとして1つの表示面から多画面を表示する倍画面表示(特開平11−249593号公報参照)など、潜在的に画像分離機構を持つ1つの表示面にて2つ以上の混合画を表示し画像分離機構により所定の元画像を其々取り出されるシステムについても本発明者らにより考案されている。
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記分割波長板フィルター202を液晶パネル部201などを有する表示装置に装着する際には、その設置位置が表示装置の所定領域(画素位置)と対応した位置に確実に固定されていなくてはならず、それが容易ではないために、次のような問題が発生する。
【0005】
問題点の1つめは分割波長板フィルターを取り付ける際の問題である。上記表示方式は上記表示面を所定領域毎に分割して使用する方式の為、解像度を出す為に可能な限り上記分割領域を細かく入れ子状にすることが有効である。そして高解像度化が進む表示面の画素の微細化が進んでいることから高精細なパネルの入手は可能であるが、対応する高精細な上記波長板フィルターを製作し、上記別工程で製作された分割波長板フィルターを上記所定領域に相当する画素に対応して精度よく固定化するのは非常に困難である。
【0006】
仮に、分割波長板フィルターを精度良く取り付けることができた場合であっても、一般的に固定化は樹脂などで行われ、一旦位置を調整してもその後樹脂が硬化するまでの固定化期間に位置ずれが発生し易い。また運搬の際の振動や熱などの諸要因によっても、往々にして位置ずれが生じてしまう。分割波長板フィルターは所定領域の精度を保つために製造上の問題により一般にガラス基板が用いられることが多く、特にその自重により位置ずれが生じる要因となっている。他にも固定化剤の劣化など耐久性諸条件によってもフィルターの位置ずれが生じることがあり、硬化した樹脂がずれるとその後の補正は非常に困難であり、比較的コスト高な表示パネルが全くの無駄となってしまう。
【0007】
更に、この立体画像表示方式では、観賞時に観察者の目の位置高さによってフィルターの最適配設位置が決定されるという特徴を持つ。その為予め固定していた位置がその観測時での最適位置になっているとは限らないという問題がある。
図17にその様子を示す。図17の表示装置220は透明支持基体221、222に挟持された画素部223と、分割波長板フィルター225とから構成される。ここで図中、観察位置αにいる観察者に最適な波長板フィルターの配設位置は実線で示した波長板フィルターの位置となるが、観察者の位置が観察位置βの場合は同様に図中破線で示す波長板フィルターの位置となる。このように図17からも明らかなように、観賞時に観察者の目の位置高さなどによって、或いは液晶パネルやモニターの角度などによっても、フィルターの最適配設位置が決定されるので、分割波長板フィルターを予め固定していた位置がその観測時での最適位置になっているとは限らないという問題がある。
【0008】
さらに以上のような要因により分割波長板フィルターが画素に対して数〜数十%(上記例では数十μm)ずれるとそのズレが画素間のクロストークとして大きく観測されてしまうと言う問題がある。正しく設置されているときには、対応する画素からの光線は必ず対応する波長板領域を透過し、対応する画素以外の画素からの光線は対応する波長板領域を透過することがない。しかしながら分割波長板フィルターが傾いている場合では、それが画素の僅かな数〜数十%程度であってズレの絶対量は例えば50μm程度であっても、両端での垂直方向ズレ量としては大きくなり、対応する画素からの光線に対応する波長板領域を透過しないものが出てきてしまうことがある。その結果、各画像のクロストークが発生し、良好な立体画像を表示できないと言う問題が生ずる。
【0009】
従来、この波長板フィルター部の取り付けにおいては、通常と同様の立体表示用の合成画像を画面上に表示させ、偏光メガネを装着して見て、現実に立体に見えるかどうかで分割波長板フィルターの位置を決定している。しかし、この立体に見えるかどうかの判断は、極めて曖昧であり、より正確な手法を用いて分割波長板フィルターの位置決めができることが要望されている。
【0010】
そこで、本発明は上述の技術的な課題に鑑み、分割波長板フィルターを取り付けた場合であっても確実に視差情報を伴う画像を立体的に見ることのできる表示装置、或いは1つの表示面から多画面を確実に表示する倍画面表示ができる表示装置、そのような表示装置に使用される板状フィルター、及びフィルターの位置合わせ方法及び位置合わせ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するため、本発明の板状フィルターは、画像情報を第1の区分と第2の区分に表示させる画像表示部に重ねて使用されるフィルター部と、該フィルター部の周囲に一体に配設されるフィルター枠体部とを備え、前記フィルター部は、前記画像表示部の前記第1の区分に対応する領域に、前記第1の区分からの画像情報の偏光方向を前記第2の区分からの画像情報の偏光方向とは異なる方向に回転させる第1の波長板を備えてなり、前記フィルター枠体部には、偏光方向を回転する第2の波長板による位置合わせ用マークが形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の板状フィルターによれば、フィルター部に前記第1の区分からの画像情報の偏光方向を前記第2の区分からの画像情報の偏光方向とは異なる方向に回転させる第1の波長板が設けられていることから、偏光メガネなどを介して表示装置を見ることで偏光方向に応じて両眼で異なる区分の画像情報を受けとるように制御することができる。このため立体的に感じられる画像の表示や倍画面表示が容易に実現されることになる。フィルター枠体部は、フィルター部の周囲に一体に配設されることから、該フィルター枠体部の位置を移動させることで、フィルター部全体の位置を移動させることが可能であり、フィルター枠体部は直接的には画像表示部とならないことから、このような位置合わせ用のマークを設けても画像表示部における表示能力を何ら損なわせるものではなく、確実で且つ高精度なフィルター部と画像表示部の間の位置合わせが可能となる。
【0012】
また、本発明の表示装置は、画像情報を第1の区分と第2の区分に表示させる画像表示部と、前記画像表示部の周囲に一体に配設される画像表示枠体部と、前記画像表示部に重ねて使用され前記画像表示部の前記第1の区分に対応する領域に前記第1の区分からの画像情報の偏光方向を前記第2の区分からの画像情報の偏光方向とは異なる方向に回転させる第1の波長板を有するフィルター部と、該フィルター部の周囲に一体に配設されるフィルター枠体部と有し、前記フィルター枠体部にはマークを通過する光の偏光方向を回転する第2の波長板による第1の位置合わせ用マークが形成され、前記画像表示枠体部には前記第1の位置合わせ用マークに対応して第2の位置合わせ用マークが形成されることを特徴とする。
【0013】
本発明の表示装置は、前述の板状フィルターに、画像表示部と、その画像表示部の周囲に一体に配設される画像表示枠体部とを有している。前述の板状フィルターと画像表示部の組み合わせから、立体的に感じられる画像の表示や倍画面表示が容易に実現される。画像表示枠体部には、前記フィルター枠体部に形成される第1の位置合わせ用マークに対応する形で、第2の位置合わせ用マークが形成される。それぞれ対応させた第1、第2の位置合わせ用マークを併用することで、同じ撮像手段やその他の位置検出手段によって両方の位置合わせマークを同時に捕らえることが可能となり、板状フィルターと画像表示部の位置をそれぞれ合わせて行くことができる。従って、より高精度な位置合わせが実装時に行われることになる。
【0014】
本発明のフィルターの位置合わせ方法は、画像情報を第1の区分と第2の区分に表示させる画像表示部と前記画像表示部の周囲に一体に配設される画像表示枠体部と有する表示パネルに対して、前記画像表示部に重ねて使用され前記画像表示部の前記第1の区分に対応する領域に前記第1の区分からの画像情報の偏光方向を前記第2の区分からの画像情報の偏光方向とは異なる方向に回転させる第1の波長板を有するフィルター部及び該フィルター部の周囲に一体に配設されるフィルター枠体部を有する板状フィルターを、前記第1の波長板の位置が前記第1の区分に対応して位置するように配置させるフィルターの位置合わせ方法において、前記フィルター枠体部にマークを通過する光の偏光方向を回転する第2の波長板による第1の位置合わせ用マークを形成すると共に前記画像表示枠体部に前記第1の位置合わせ用マークに対応して第2の位置合わせ用マークを形成し、前記画像表示部に前記板状フィルターを重ねた状態で前記画像表示枠体部に形成された第2の位置合わせ用マークを用いて前記表示パネルの位置を検出し、前記画像表示部に前記板状フィルターを重ねた状態で前記フィルター枠体部に形成された第1の位置合わせ用マークを用いて前記板状フィルターの位置を検出し、その検出された前記表示パネル及び前記板状フィルターの位置情報に基づいて前記板状フィルターの位置と前記画像表示部の位置の間のずれを求め、その求めた値より前記画像表示部に対する前記板状フィルターの位置を修正することを特徴とする。
【0015】
本発明のフィルターの位置合わせ方法によれば、先ずフィルター枠体部に形成された位置合わせ用マークを用いて前記板状フィルターの位置が検出される。フィルター枠体部は板状フィルターの一部を構成することから、フィルター枠体部に位置合わせ用マークを形成することで、板状フィルターの位置を把握することが可能となり、また、フィルター枠体部に位置合わせ用マークを形成することによって、位置合わせ用マークが立体画像の表示への妨げになることはない。その検出された板状フィルターの位置情報に基づいて板状フィルターの位置と画像表示部の位置の間のずれが計算などの方法で求められる。その求めた値より前記画像表示部に対する前記板状フィルターの位置を修正する。この場合、既に板状フィルターの位置が把握されており、その板状フィルターの位置と画像表示部の位置の間のずれを減少させる方向に、板状フィルターや画像表示部或いは表示パネルを移動させることで位置の修正が施される。
【0017】
本発明のフィルターの位置合わせ方法においては、フィルター枠体部に第1の位置合わせ用マークが形成されると共に画像表示枠体部に前記第1の位置合わせ用マークに対応して第2の位置合わせ用マークが形成されることから、位置の検出を画像表示枠体部すなわち表示パネルとフィルター枠体部すなわち板状フィルターの両方について個別に行うことができ、より精度の高い板状フィルターの位置合わせが可能となる。
【0018】
本発明のフィルターの位置合わせ装置は、上述の如きフィルターの位置合わせ方法を実現するための装置であり、画像情報を第1の区分と第2の区分に表示させる画像表示部に、前記画像表示部に重ねて使用され前記画像表示部の前記第1の区分に対応する領域に前記第1の区分からの画像情報の偏光方向を前記第2の区分からの画像情報の偏光方向とは異なる方向に回転させる第1の波長板を有するフィルター部及び該フィルター部の周囲に一体に配設されるフィルター枠体部を有する板状フィルターを、前記画像表示部に該板状フィルターを重ねた状態で移動可能に支持するフィルター支持手段と、前記フィルター枠体部にマークを通過する光の偏光方向を回転する第2の波長板によって形成された位置合わせ用マークを用いて前記板状フィルターの位置を検出するフィルター位置検出手段と、検出された前記板状フィルターの位置情報に基づいて前記板状フィルターの位置と前記画像表示部の位置の間のずれを求め、その求めた値より前記画像表示部に対する前記板状フィルターの位置を修正するように前記フィルター支持手段を作動させる制御手段とを有することを特徴とする。
【0019】
本発明のフィルターの位置合わせ装置では、板状フィルターの位置を検出するフィルター位置検出手段がフィルター枠体部に形成された位置合わせ用マークを用いて板状フィルターの位置の検出を行う。この状態で、板状フィルターはフィルター支持手段によって支持されており、検出された位置情報に基づいてそれぞれの支持手段を制御手段からの信号によって制御することができ、確実に板状フィルターや表示パネルの各位置を合わせることができる。
【0020】
また、本発明の他のフィルターの位置合わせ装置は、画像情報を第1の区分と第2の区分に表示させる画像表示部と該画像表示部の周囲に一体に配設され第2の位置合わせ用マークが形成される画像表示枠体部とを具備する表示パネルを移動可能に支持する表示パネル支持手段と、前記画像表示部に重ねて使用され前記画像表示部の前記第1の区分に対応する領域に前記第1の区分からの画像情報の偏光方向を前記第2の区分からの画像情報の偏光方向とは異なる方向に回転させる第1の波長板を有するフィルター部及び該フィルター部の周囲に一体に配設されマークを通過する光の偏光方向を回転する第2の波長板による第1の位置合わせ用マークが形成されるフィルター枠体部を有する板状フィルターを、前記画像表示部に該板状フィルターを重ねた状態で移動可能に支持するフィルター支持手段と、前記画像表示部に前記板状フィルターを重ねた状態で前記画像表示枠体部に形成された第2の位置合わせ用マークを用いて前記表示パネルの位置を検出する表示パネル位置検出手段と、前記画像表示部に前記板状フィルターを重ねた状態で前記フィルター枠体部に形成された第1の位置合わせ用マークを用いて前記板状フィルターの位置を検出するフィルター位置検出手段と、検出された前記表示パネル及び前記板状フィルターの位置情報に基づいて前記板状フィルターの位置と前記画像表示部の位置の間のずれを求め、その求めた値より前記画像表示部に対する前記板状フィルターの相対位置を修正するように前記フィルター支持手段及び前記表示パネル支持手段の少なくとも一方を作動させる制御手段とを有することを特徴とする。
【0021】
このようなフィルターの位置合わせ装置では、板状フィルターの位置を検出するフィルター位置検出手段がフィルター枠体部に形成された位置合わせ用マークを用いて板状フィルターの位置の検出を行い、且つ表示パネル位置検出手段が画像表示枠体部に形成された第2の位置合わせ用マークを用いて表示パネルの位置の検出を行う。この状態で、板状フィルターや表示パネルはそれぞれの支持手段によって支持されており、検出された位置情報に基づいてそれぞれの支持手段を制御手段からの信号によって制御することができ、確実に板状フィルターや表示パネルの各位置を合わせることができる。
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態では、視差を有する画像情報を表示する立体画像表示装置について主に説明するが、同様の構造によって倍画面表示も可能であり、倍画面表示方式の表示装置についても同様に構成することができるものである。
【0022】
本発明の一実施形態の立体画像表示装置10を分解して示す概略構成を図1に示す。本実施形態の立体画像表示装置10は、ノート型コンピューター11と、該ノート型コンピューター11に実装される板状フィルターとして分割波長板フィルター12とが設けられ、さらにその外側に支持フレーム27が配される構成を有している。
【0023】
ノート型コンピューター11は、画像表示部である液晶表示部28を有する折りたたみ構造の液晶パネル部22を有しており、この液晶パネル部22から視差を含む画像を表示することができる。液晶パネル部22自体は、後述するように通常のノート型コンピューター11の液晶表示パネルで良く、例えば、立体画像を表示するためのアプリケーションが開いる場合では、動画並びに静止画を表示することが可能である。この液晶パネル部22は、画像表示部である液晶表示部28の周囲に画像表示枠体部29が一体的に形成された構成とされる。画像表示枠体部29は液晶パネル部22の表面の透明基体が延長された周辺領域であり、画素部が形成されていない領域である。後述するように、この画像表示枠体部29に図1で省略する位置合わせマークが形成されている。
【0024】
液晶パネル部22と対向する側には、英数字やひらがな、カタカナに対応したキーや各種制御キーなどからなるキーボード部21が形成されており、このキーボード部21に連続する形で使用者の手前側にはパームレスト部23が設けられており、このパームレスト部23の略中央部にはポインターパッド部24が形成されている。このキーボード部21などは液晶パネル部22にヒンジ部25、25を介して接続され、液晶パネル部22はヒンジ部25、25を中心に回動可能とされる。従って、立体画像の観賞者は、液晶パネル部22の角度をヒンジ部25、25を回動中心として操作できる。ノート型コンピューター11のハードディスク内には、位置調整パターン表示プログラムを格納することもでき、そのプログラムがCPUに読み込まれ実行されることによって、液晶パネル部22に位置調整パターンが表示されるようにすることも可能である。
【0025】
このような液晶パネル部22には、分割波長板フィルター12が取り付けられ、その外側に表示パネルと分割波長板フィルター12を保持する例えば合成樹脂製の支持フレーム27が周囲に設けられる。分割波長板フィルター12は、板状フィルターとして機能する部材であり、略中央部にフィルター部13が形成され、その外枠としてフィルター枠体部14が形成される。分割波長板フィルター12のフィルター部13は、後述するように、画素の1水平ライン置きに帯状の半波長板を配設した偏光制御部であり、特に分割波長板フィルター12の周囲には、外枠としてフィルター枠体部14が形成される。このフィルター枠体部14に、画像表示枠体部29に位置合わせマークと対応する板状フィルターとしての分割波長板フィルター12の位置合わせマークが形成される。
【0026】
図2は本実施形態の立体画像表示装置の表示構造を説明するための分解斜視図である。液晶パネル側の構成と、分割波長板フィルターの構成が合わされて、立体表示が可能となる。先ず、液晶パネル側の構造は、一対の透明支持基体31、33の間に、液晶の画素部32が配設される構造とされ、液晶の画素部32はそれぞれ赤色画素部32R、緑色画素部32G、青色画素部32Bの組み合わせからなり、これら3色からなる画素部分がマトリクス状に配列される構造を有している。画素部32には、所要の電気配線が施され単純マトリクス構造若しくはアクティブマトリクス構造等とされて、立体画像の表示の際には視差に対応した画像情報を表示する。なお、本実施形態では、画像表示部として液晶パネルを採用した例について説明しているが、本発明の立体画像表示装置の画像表示部は、発光素子アレイ表示装置、有機エレクトロルミネセンス表示装置、陰極線管、プラズマ表示装置などの各種画像表示装置によって構成することができ、前記分割波長板フィルターはこれら各種の画像表示装置と組み合わせて動作させることができるものである。
【0027】
透明支持基体33の観賞者側には、偏光板34が配設される。偏光板34を通過した光は直線偏光となり、その直線偏光の光が分割波長板フィルターに到達する。分割波長板フィルターはガラスなどからなる透明支持基体41の片面、本例においては液晶パネル側に各帯状の分割波長板42が形成されている。分割波長板42はそれぞれ長手方向を水平方向とするように延在されており、その帯状の幅は前述の液晶の画素部32の画素ピッチと同程度である。分割波長板42の数は、液晶の画素部32の垂直方向の画素数の半分である。
【0028】
各帯状の分割波長板42は液晶の画素部32の画素ピッチで1ライン置きに形成されている。従って右眼用の立体画像若しくは左眼用の立体画像のどちらか一方が分割波長板42を通過することで、その偏光方向が90度回転することになり、分割波長板42を通過しない側の立体画像は、その偏光方向が回転せずにそのまま射出する。なお、本実施形態では、分割波長板42は1ライン置きに水平方向に延在された構造を有するが、各ラインにそれぞれ右眼用の立体画像と左眼用の立体画像の間で偏光方向を異ならせるように分割波長板42を形成しても良く。分割波長板42の延長方向も水平方向に限定されず、垂直方向や斜め方向とすることも可能である。また、分割波長板42もライン毎ではなく、エリア毎のものでも良い(例えば、Faris U.S.Pat.No.5,327,285)。本実施形態では、分割波長板42は透明支持基体41の液晶パネル側の面に形成されているが、鑑賞者側に分割波長板42を形成することも可能である。
【0029】
立体表示を行うためには、ライン毎で異なる偏光方向に制御され、分割波長板42を透過した時点では、直交する2種類の直線偏光が混在するものとなる。鑑賞者は(B)に示すような偏光メガネ51をかけて右眼用の立体画像及び左眼用の立体画像を選択的に両眼で受け取るが、それぞれメガネのレンズ部分52R、52Lは偏光フィルターであり、直線偏光との角度が合わない場合は、立体画像が見え難くなる。そこで、本実施形態では、さらに分割波長板フィルターの外側部分に、4分の1波長板45が形成され、直線偏光を円偏光に変換し、偏光メガネ51の表面にも4分の1波長板53を貼り付けることで、再度円偏光を直線偏光に変えて偏光メガネ51を透過するようにしている。このような一対の4分の1波長板45、53を設けることで、多少偏光方向がずれるような場合であっても、立体画像を確実に見ることができる。
【0030】
次に、図3及び図4を参照しながら、本実施形態の立体画像表示装置における画像情報について簡単に説明する。本実施形態の立体画像表示装置では、図3に示すような画像信号が用いられる。すなわち、水平同期信号のパルスで区切られた水平走査期間は、ライン毎に交互に右眼用画像データと左眼用画像データが送られるようになっている。
【0031】
図4は画像表示部60に表示される画像データの区分を示しており、前述のように、図3のライン毎に交互に右眼用画像データRと左眼用画像データLに従って右眼用の第1の区分61と左眼用の第2の区分62がライン毎に交互に並ぶことになる。従って、液晶パネルのある画素ラインが右眼用画像データRを表示するものである場合、次の画素ラインは左眼用画像データLを表示するものとなり、以下、右眼用の第1の区分61と左眼用の第2の区分62がライン毎に交互に繰り返されて、全体として立体画像が表示されることになる。
【0032】
分割波長板フィルターを通常の液晶パネルなどに装着することで、簡単に立体画像を観賞することができる。ところが、表示装置の画素部と分割波長板フィルターの位置関係が正しく調整されていない場合には、典型的には、図5に示すように、表示装置の画素部32と分割波長板42の如き関係となり、分割波長板42を形成した分割波長板フィルターが僅かに傾いていても垂直方向のズレ量z1が画素の数〜数十%ずれていると、そのズレの絶対量が例えば画素250μmとして50μm程度であっても本来対応する画素からの光線に前記所定の分割波長板42を透過しないものが出てきてしまい、その結果各画像のクロストークが発生してしまうことがある。
【0033】
このようなクロストークの発生を抑制することが、最適な立体画像を表示するために必要となり、そのために実装時において精度の高い位置調整作業が必要となる。図6は位置調整作業によって、正しい位置に位置合わせされたところを示す図であり、図6に示すように、表示装置の画素部32の画素ライン上に丁度重なるように帯状に形成された分割波長板42が配設され、分割波長板42に対応した画素部32からの光線は、必ず対応する分割波長板42の区分を透過し、上記対応画素部以外の画素からの光線は分割波長板42内の領域を透過することがない。このためクロストークが発生せずに、良好な立体画像が表示されることになる。
【0034】
ここで実装時に、精度の高い位置合わせを図るための構造について、図7乃至図14を参照しながら説明する。図7は、板状フィルターである分割波長板フィルター81と、表示パネルである液晶パネル部82の画像表示側の分解斜視図である。分割波長板フィルター81は図1の分割波長板フィルター12に、液晶パネル部82は図1の液晶パネル部22にそれぞれ対応する。
【0035】
分割波長板フィルター81は、略矩形状の平板ガラスなどからなる透明支持基体をエッチングなどの微細加工によって波長板となるように構成した構造を有し、画素ライン上で偶数ラインは右目若しくは左目用の画像を透過させ、奇数ラインは逆に左目若しくは右目用の画像を透過させる。分割波長板フィルター81は、外枠となるフィルター枠体部84を有し、このフィルター枠体部84に囲まれた矩形状の領域が液晶パネル部82の画素領域に対応したフィルター部83である。フィルター部83は、たとえば偶数ラインが透過光に位相差0を与える帯状の領域であり、奇数ラインが透過光に位相差π(すなわち90度)を与える帯状の領域となる。
【0036】
フィルター枠体部84には、それぞれ辺の中央付近と角部に4つずつの位置合わせマーク85、86が形成されている。位置合わせマーク85、86は、分割波長板フィルター81と液晶パネル部82の位置を正確に位置決めするための目印である。位置合わせマーク85は例えば星形の平面形状を有し、特に本実施形態においては透過光に位相差π(すなわち90度)を与える波長板によって形成されている。この波長板による位置合わせマーク85の形成は、フィルター部83の帯状領域の形成と同時に行うことができる。具体的には、フィルター部83の帯状領域には、ガラス材などの透明支持基体を削ることにより波長板がエッチングにより形成されることから、そのフォトリソグラフィーの際のマスクを当該位置合わせマーク85に対応する領域でも開口するようにしながら、同じエッチングにより位置合わせマーク85を形成することができる。位置合わせマーク86は例えば十字形の平面形状を有し、特に本実施形態においては透過光に位相差0を与える波長板すなわち偏光方向を変えずにそのまま透過させるように形成されている。なお、位置合わせマーク85、86の平面形状は、検出し易い形状であれば特に限定されるものではなく、また、その位置も周縁部に沿って合計8個形成するパターンに限らず、2個以上設けられるようであれば位置決めが可能となる。
【0037】
分割波長板フィルター81と重ねられる液晶パネル部82には、送られた映像信号に基づいてマトリクス状に配列された各画素を制御して所要の静止画及び動画の表示を行う液晶表示部87がその略中央部に形成されている。この液晶パネル部82の表面側には、液晶部分を挟むように形成された透明な支持基板の一方が配設されており、この支持基板の一方に前記分割波長板フィルター81の裏面が直接的に若しくは間接的に接触する。マトリクス状に配列された画素領域からなる液晶表示部87の周囲には、同じ透明支持基板の一方が連続してなる画像表示枠体部88が形成される。この画像表示枠体部88は、分割波長板フィルター81のフィルター枠体部84に対応した領域であり、フィルター枠体部84の各位置合わせマーク85、86に対応したそれぞれ辺の中央付近と角部に4つずつ位置合わせマーク89、90が形成されている。
【0038】
本実施形態において、位置合わせマーク89、90は、フィルター枠体部84の各位置合わせマーク85、86とそれぞれ同じ平面形状の星形、十字型に設定されている。これら位置合わせマーク89、90は平面形状の星形、十字型の形状のパターンの光を透過するように例えば遮光膜をそれら星形、十字型の形状に開口したものからなる。フィルター枠体部84の各位置合わせマーク85、86と同形状とすることで、フィルター枠体部84の各位置合わせマーク85、86と画像表示枠体部88の位置合わせマーク89、90の間で共通の検出手段や同じ形状認識のプログラムを活用しながら、マークの位置を容易に検出できる。なお、位置合わせマーク89、90の平面形状も検出し易い形状であれば特に限定されるものではなく、また、その位置についても任意に設定できるものであるが、フィルター枠体部84の各位置合わせマーク85、86に対応した位置とすることで、共通の検出手段での位置を容易に検出可能となる。位置合わせマーク89、90を形成する場所は、一般には液晶パネル部82の分割波長板フィルター81側の透明基板の裏面であるが、光を透過できる他の部分に形成しても良い。また、液晶パネル部82の一対のガラス板で液晶部を挟持する場合に用いられるガラス板の位置合わせ用のマークをそのまま用いることができる。
【0039】
図8は位置合わせマークの形状の他の例である。図8の(a)は十字形の細い形状であり、水平線と垂直線の交点のずれを検出可能とさせる。(b)は円形のパターンであり、位置のずれがある場合は、月の満ち欠けの如きパターンが現れる。(c)〜(e)は外側の円形が液晶パネル部82の位置合わせマーク89、90の形状であり、その内側に表れるスポットがフィルター枠体部84の位置合わせマーク85、86の形状とされる。(c)は内側のスポットが1つであり、(d)は内側のスポットが2つであり、(e)は内側のスポットが3つである例である。これらの位置合わせマークの形状は例示に過ぎず任意の形状を選ぶことができる。
【0040】
次に、図9を参照しながら、実装時の位置合わせ機構について説明する。図9の装置は、板状フィルターである分割波長板フィルター81と、表示パネルである液晶パネル部82とを重ねて、これら分割波長板フィルター81と液晶パネル部82の間の位置を合わせる装置である。分割波長板フィルター81が液晶パネル部82の下側に位置するように構成されている。一対の撮像手段として垂直に延びたアーム93の下端に固体撮像素子のような撮像部94が形成されており、これら撮像部94の撮像面は前記液晶パネル部82と対峙する。アーム93は水平方向及び垂直方向に移動可能であり、撮像部94で捕らえられた画像信号はアーム93を介してCPUなどからなる制御部に送られる。
【0041】
これら分割波長板フィルター81と液晶パネル部82の重ね合わせた部分の前記撮像部94の反対側すなわち装置の底部側には、前記撮像部94に対応するように一対の平行バックライト光源92が設けられており、この平行バックライト光源92から上向きに平行光線を射出するように構成されている。分割波長板フィルター81は当該分割波長板フィルター81を移動可能とする図示しないフィルター支持部若しくは可動台に固定されており、液晶パネル部82は当該液晶パネル部82を支持する図示しない表示板支持部に固定されている。撮像部94と液晶パネル部82の間の空隙には、所要の角度に偏光した光を透過させる上側偏光板96が配設されており、この偏光板96は撮像部94と液晶パネル部82の間の空隙で出没自在とされる。上側偏光板96は分割波長板フィルター81の位置合わせマーク85、86で直線偏光された光が透過してきているか否かを検出するのに用いられ、制御部によって出没する位置が制御される。上側偏光板96は例えば図示しない軸回りに回動可能とされ、その軸回りの位置を制御することで下側偏光板96の出没動作が制御される。平行バックライト光源92と分割波長板フィルター81の間の空隙には、その空隙に固定される形で下側偏光板95が配されており、平行バックライト光源92からの光を直線偏光の光に変換する。
【0042】
図10は実装時の位置合わせ機構の要部斜視図である。平行バックライト光源92からの光は下側偏光板95を通過して分割波長板フィルター81の位置合わせマーク85に入射する。平行バックライト光源92の位置は、上側に配置される撮像部94の位置と光軸方向である垂直方向に対応しており、液晶パネル部82を透過した光が撮像部94に到達する。分割波長板フィルター81には後述するフィルター移動機構102の一部である支持部材96、97に接しており、これら支持部材96、97が制御部からの信号によってX方向、Y方向にそれぞれ移動し、分割波長板フィルター81の位置を微調整する。同様に、液晶パネル部82も後述する表示パネル移動機構101の一部である支持部材98に接しており、支持部材98が制御部からの信号によって移動して液晶パネル部82の位置を微調整する。なお、分割波長板フィルター81や液晶パネル部82の位置を微調整するための支持部材96、97、98は例示であり、その個数や形状などは分割波長板フィルター81や液晶パネル部82の位置を微調整することが可能な機構であれば任意のものを選ぶことができ、たとえば2軸や3軸のテーブルを使用することも可能である。この場合には、光を一部で透過する必要が有る時では、その光透過部分を切り欠いたり、ガラスや透明樹脂材などの光を透過する機能を有する部材を用いても良い。
【0043】
このような位置合わせ装置は、図11から図13に示す工程から分割波長板フィルター81と液晶パネル部82の間の位置合わせをすることができる。また、この位置合わせ作業の流れ図を図14に示す。図14は当位置合わせ作業を手順S11からS19の操作によって進めることを示している。
【0044】
図11に示すように、分割波長板フィルター81と液晶パネル部82の間の位置合わせをする場合には、先ず分割波長板フィルター81をフィルター移動機構102にセットし、液晶パネル部82を表示パネル移動機構101にセットする(手順S11)。この段階で液晶パネル部82と分割波長板フィルター81は重ね合わされており、制御部100より回動操作される上側偏光板96が撮像部94と平行バックライト光源92の間の光路から退いた状態に制御される。
【0045】
この状態で、平行バックライト光源92から光を出力し、平行バックライト光源92からの光は下側偏光板95によって一様に直線偏光した光103となる。この直線偏光した光が分割波長板フィルター81と液晶パネル部82を通過して撮像部94に到達する。撮像部94では、透過した光によって液晶パネル部82の位置合わせマーク89が把握され(手順S12)、その画像が制御部100に画像信号として送られる(手順S13)。
【0046】
制御部100では、撮像部94からの信号に基づいて液晶パネル部82の位置合わせマーク89の位置を検出する。続いて制御部は、図12に示すように下側偏光板96を液晶パネル部82の位置合わせマーク89に重なるように移動し、回動操作させて、撮像部94で撮像する。(手順S14、S15)。分割波長板フィルターの位置合わせマーク85は、前述のように波長板により形成されていることから、当該位置合わせマーク85の領域を通過した光104は、その偏光方向が90度回転している。一方、当該位置合わせマーク85の波長板がない領域を通過した光はその偏光方向は変化しない。よって、偏光板96を通して撮像部94で認識される画像は、液晶パネル部82の位置合わせマーク89に加えて分割波長板フィルター81の位置合わせマーク85が映し出されたものであり、例えばマーク89が不透明な場合には、マーク89は常に黒(不透明)であるが、マーク85は偏光板96の回転によりコントラストが反転して映し出される。このため撮像部94を介して制御部100ではパターン認識により予め前記で検出された液晶パネル部82の位置情報に加えて、同じくコントラストが変化している部分のパターン認識により分割波長板フィルター81の位置合わせマーク85の位置合わせ情報も同時に把握されることになり、位置の検出を迅速に進めることができる。
【0047】
この段階で、撮像部94の検出結果から、液晶パネル部82と分割波長板フィルター81の位置を認識し(手順S16)、その位置情報に基づいて液晶パネル部82と分割波長板フィルター81の位置を比較し、その比較結果からずれ量を求める(手順S17)。ここずれ量がゼロになれば、位置合わせ作業が終了したことを意味し、処理を終了する。ずれ量がゼロでない場合には、そのずれ量に応じて制御部100からの信号によって表示パネル移動機構101やフィルター移動機構102を作動させ、所要に位置に液晶パネル部82、分割波長板フィルター81を移動させる(手順S19)。液晶パネル部82、分割波長板フィルター81を移動させた後では、再び手順S15に戻って位置の検出と修正を繰り返し、最終的にはずれ量をゼロにして処理を終了する。
【0048】
本実施形態では、液晶パネル部82の位置合わせマーク89に加えて分割波長板フィルター81の位置合わせマーク85もほぼ同時に検出することができ、相対位置を求める場合に迅速な処理が可能である。また、位置の検出に用いる撮像部94も共通化することができ、同じ位置合わせ形状とすることで位置合わせマークの認識プログラムの共通化も可能である。この分割波長板フィルター81の位置合わせマーク85の検出には、位置合わせマーク85が波長板を含む構成であることを利用して、容易にコントラストの変化するパターンとして把握することができ、液晶パネル部82の位置合わせパターンとの明暗コントラストから、確実なマークの位置検出が実現される。分割波長板フィルター81に、波長板を含む位置合わせマーク85を形成することは、単に当該分割波長板フィルター81の製造時のマスクパターンを位置合わせマーク85や位置合わせマーク86を含む形状に代えるだけで良く、工程数の増加とはならないため、非常に有効である。
【0049】
なお、本実施形態では、液晶パネル部82の位置合わせマークを上側偏光板96を配置しないで検出するようにしているが、上側偏光板96を配置したままでも、平行バックライト光源92からの光を偏光板45を用いて直線偏光とせずに、分割波長板フィルター81の位置合わせマーク85をそのまま透過するように配置した状態において、ライト側偏光板95を挿入して、偏光方向を回動して、液晶パネル部82の位置合わせマーク89、90を検知するようにしても良い。
【0050】
図15は、位置合わせ装置の別の例であり、液晶パネル部82がXYステージ110の上に載置される例である。この装置では、液晶パネル部82の上に分割波長板フィルター81が位置することになり、分割波長板フィルター81は支持部材111、112によって移動制御可能とされる。この装置では、XYステージ110を介して光が透過することから、光透過部分を切り欠いた構造若しくはガラスや透明樹脂材などの光を透過する構造が採用される。液晶パネル部82の上に分割波長板フィルター81が位置することは、前述の液晶パネル部82と分割波長板フィルター81の位置関係を逆にしているが、このような逆配置でも良い。
【0051】
なお、上述の実施形態においては、表示パネルとして、液晶により画像表示する液晶表示パネルについて説明したが、本発明の表示装置としては、他の画像表示装置、たとえば、LEDアレイや、有機EL、プラズマディスプレイ、陰極線管、その他の各種画像表示装置についても適用できる。また、本実施形態においては、フィルターが波長板を有する構造の位置合わせマークを形成しており、位置合わせマークによって位置の検出を行わずに分割波長板フィルターのフィルター部の分割波長板を直接位置合わせに使用することも可能である。この場合において、分割波長板の検知は、位置合わせマークと同様に、偏光した光を照射してフィルター部を偏光板を介して観察することでも検知することができ、さらには分割波長板の設けられている側から、フィルター部までの距離を測定したり、フィルターの厚みを測定することによって分割波長板を検出するようにすることも可能である。
【0052】
また、上述の実施形態では、1つの表示面で左右の画像を立体的に表示させる装置について説明したが、同じ分割波長板フィルター部を有する構造の表示装置はそのまま1面の表示画面に2面分またはそれ以上の画像を表示する表示装置にも適用でき、前述の位置合わせ装置によって位置の調整を容易に行うことができる。
【発明の効果】
上述のように、本発明の表示装置によれば、分割波長板フィルターなどの板状フィルターを取り付けた場合であっても確実に視差情報を伴う画像を立体的に見ることが可能な装置を提供することが可能であり、画像表示部の位置合わせマークに加えて板状フィルターの位置合わせマークもほぼ同時に検出することができ、相対位置を求める場合に迅速な処理が可能である。
【0053】
また、本発明の表示装置によれば、位置の検出手段に用いるも共通化することができ、同じ位置合わせ形状とすることで位置合わせマークの認識プログラムの共通化も可能である。さらに、この位置合わせマークの検出には、位置合わせマークを波長板を含む構成とすることで、容易に暗いパターンとして把握することができ、明暗コントラストから確実なマークの位置検出が実現される。特に板状フィルターに、波長板を含む位置合わせマークを形成することは、単に板状フィルターの製造時のマスクパターンを代えるだけで良く、工程数の増加とはならないため、非常に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる立体画像表示装置の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる立体画像表示装置の画素部と分割波長板フィルターの構造を示す分解模式図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる立体画像表示装置に用いられる画像信号の一例を示す波形図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる立体画像表示装置の画像パターンを示す模式図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる立体画像表示装置の位置調整前の状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかる立体画像表示装置の位置調整済みの状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態にかかる立体画像表示装置の液晶パネル部と分割波長板フィルターを示す分解斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態にかかる立体画像表示装置の液晶パネル部と分割波長板フィルターに形成される位置合わせマークの他の例を示す平面図である。
【図9】本発明の表示装置を実装する際に使用される位置合わせ装置の概略斜視図である。
【図10】図9の位置合わせ装置の要部斜視図である。
【図11】本発明の表示装置の液晶パネル部と分割波長板フィルターの位置を合わせて実装する際の工程断面図であり、液晶パネル部の位置検出工程を説明する断面図である。
【図12】本発明の表示装置の液晶パネル部と分割波長板フィルターの位置を合わせて実装する際の工程断面図であり、分割波長板フィルターの波長板を解した位置検出工程を説明する断面図である。
【図13】本発明の表示装置の液晶パネル部と分割波長板フィルターの位置を合わせて実装する際の工程断面図であり、液晶パネル部と分割波長板フィルターの位置の合わせ込み工程を説明する断面図である。
【図14】本発明の表示装置の液晶パネル部と分割波長板フィルターの位置を合わせて実装する際の位置合わせ作業を説明するフローチャートである。
【図15】 本発明の表示装置を実装する際に使用される位置合わせ装置の他の一例の概略斜視図である。
【図16】従来の立体画像表示装置の画素部と分割波長板フィルター部の構造を示す分解模式図である。
【図17】従来の立体画像表示装置の分割波長板フィルター部の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
10 立体画像表示装置
11 ノート型コンピューター
12 分割波長板フィルター
22 液晶パネル部
81 分割波長板フィルター
82 液晶パネル部
83 フィルター部
84 フィルター枠体部
85、86 位置合わせマーク
87 液晶表示部
88 画像表示枠体部
89、90 位置合わせマーク
92 平行バックライト光源
94 撮像部
95 下側偏光板
96 上側偏光板
100 制御部
101 表示パネル移動機構
102 フィルター移動機構
Claims (28)
- 画像情報を第1の区分と第2の区分に表示させる画像表示部に重ねて使用されるフィルター部と、該フィルター部の周囲に一体に配設されるフィルター枠体部とを備え、前記フィルター部は、前記画像表示部の前記第1の区分に対応する領域に、前記第1の区分からの画像情報の偏光方向を前記第2の区分からの画像情報の偏光方向とは異なる方向に回転させる第1の波長板を備えてなり、前記フィルター枠体部には、偏光方向を回転する第2の波長板による位置合わせ用マークが形成されていることを特徴とする板状フィルター。
- 前記位置合わせ用マークは前記フィルター枠体部の複数箇所に形成されていることを特徴とする請求項1記載の板状フィルター。
- 前記位置合わせ用マークを構成する第2の波長板は、前記フィルター部における第1の波長板の形成時に同時に形成されるものであることを特徴とする請求項1記載の板状フィルター。
- 前記第1の区分と前記第2の区分はライン状に分割した偶数番目のラインと奇数番目のラインとからなることを特徴とする請求項1記載の板状フィルター。
- 前記フィルター部におけるライン毎の分割方向は水平方向若しくは垂直方向であることを特徴とする請求項4記載の板状フィルター。
- 前記位置合わせ用マークは、前記画像表示部の周囲に一体に配設される画像表示枠体部の一部に形成された他の位置合わせ用マークとの相対位置を検出するものであることを特徴とする請求項1記載の板状フィルター。
- 画像情報を第1の区分と第2の区分に表示させる画像表示部と、前記画像表示部の周囲に一体に配設される画像表示枠体部と、前記画像表示部に重ねて使用され前記画像表示部の前記第1の区分に対応する領域に前記第1の区分からの画像情報の偏光方向を前記第2の区分からの画像情報の偏光方向とは異なる方向に回転させる第1の波長板を有するフィルター部と、該フィルター部の周囲に一体に配設されるフィルター枠体部と有し、
前記フィルター枠体部にはマークを通過する光の偏光方向を回転する第2の波長板による第1の位置合わせ用マークが形成され、前記画像表示枠体部には前記第1の位置合わせ用マークに対応して第2の位置合わせ用マークが形成されることを特徴とする表示装置。 - 前記第1及び第2の位置合わせ用マークは前記フィルター枠体部及び前記画像表示枠体部の複数箇所に形成されていることを特徴とする請求項7記載の表示装置。
- 前記第1の位置合わせ用マークを構成する第2の波長板は、前記フィルター部における第1の波長板の形成時に同時に形成されるものであることを特徴とする請求項7記載の表示装置。
- 画像情報を第1の区分と第2の区分に表示させる画像表示部に、前記画像表示部に重ねて使用され前記画像表示部の前記第1の区分に対応する領域に前記第1の区分からの画像情報の偏光方向を前記第2の区分からの画像情報の偏光方向とは異なる方向に回転させる第1の波長板を有するフィルター部及び該フィルター部の周囲に一体に配設されるフィルター枠体部を有する板状フィルターを、前記第1の波長板の位置が前記第1の区分に対応して位置するように配置させるフィルターの位置合わせ方法において、
前記画像表示部に前記板状フィルターを重ねた状態で前記フィルター枠体部にマークを通過する光の偏光方向を回転する第2の波長板によって形成された位置合わせ用マークを用いて前記板状フィルターの位置を検出し、その検出された前記板状フィルターの位置情報に基づいて前記板状フィルターの位置と前記画像表示部の位置の間のずれを求め、その求めた値より前記画像表示部に対する前記板状フィルターの位置を修正することを特徴とするフィルターの位置合わせ方法。 - 前記板状フィルターの位置の検出は、前記位置合わせ用マークを透過させる光を偏光させて行われることを特徴とする請求項10記載のフィルターの位置合わせ方法。
- 前記板状フィルターの位置の検出は、前記位置合わせ用マークを透過させた光と、位置合わせ用マークを透過していない前記板状フィルターの透過光とを比較することで行われることを特徴とする請求項10記載のフィルターの位置合わせ方法。
- 前記位置合わせ用マークは前記フィルター枠体部の複数箇所に形成され、それぞれの前記位置合わせ用マークにおいて前記画像表示部に対する前記板状フィルターの位置の修正が行われることを特徴とする請求項10記載のフィルターの位置合わせ方法。
- 前記位置合わせ用マークは波長板により構成され、該波長板は前記フィルター部における前記第1の波長板の形成時に同時に形成されるものであることを特徴とする請求項10記載のフィルターの位置合わせ方法。
- 前記第1の区分と前記第2の区分はライン状に分割した偶数番目のラインと奇数番目のラインとからなることを特徴とする請求項10記載の位置合わせ方法。
- 前記フィルター部におけるライン毎の分割方向は水平方向若しくは垂直方向であることを特徴とする請求項15記載のフィルターの位置合わせ方法。
- 画像情報を第1の区分と第2の区分に表示させる画像表示部と前記画像表示部の周囲に一体に配設される画像表示枠体部と有する表示パネルに対して、前記画像表示部に重ねて使用され前記画像表示部の前記第1の区分に対応する領域に前記第1の区分からの画像情報の偏光方向を前記第2の区分からの画像情報の偏光方向とは異なる方向に回転させる第1の波長板を有するフィルター部及び該フィルター部の周囲に一体に配設されるフィルター枠体部を有する板状フィルターを、前記第1の波長板の位置が前記第1の区分に対応して位置するように配置させるフィルターの位置合わせ方法において、
前記フィルター枠体部にマークを通過する光の偏光方向を回転する第2の波長板による第1の位置合わせ用マークを形成すると共に前記画像表示枠体部に前記第1の位置合わせ用マークに対応して第2の位置合わせ用マークを形成し、前記画像表示部に前記板状フィルターを重ねた状態で前記画像表示枠体部に形成された第2の位置合わせ用マークを用いて前記表示パネルの位置を検出し、前記画像表示部に前記板状フィルターを重ねた状態で前記フィルター枠体部に形成された第1の位置合わせ用マークを用いて前記板状フィルターの位置を検出し、その検出された前記表示パネル及び前記板状フィルターの位置情報に基づいて前記板状フィルターの位置と前記画像表示部の位置の間のずれを求め、その求めた値より前記画像表示部に対する前記板状フィルターの位置を修正することを特徴とするフィルターの位置合わせ方法。 - 前記板状フィルターの位置の検出は、前記第1及び第2の位置合わせ用マークを透過させる光を偏光させて行われることを特徴とする請求項17記載の位置合わせ方法。
- 前記板状フィルターの位置の検出は、前記位置合わせ用マークを透過させた光と、位置合わせ用マークを透過していない前記板状フィルターの透過光とを比較することで行われることを特徴とする請求項17記載のフィルターの位置合わせ方法。
- 前記第1及び第2の位置合わせ用マークは前記フィルター枠体部及び前記画像表示枠体部の複数箇所にそれぞれ形成され、それぞれの前記位置合わせ用マークにおいて前記画像表示部に対する前記板状フィルターの位置の修正が行われることを特徴とする請求項17記載のフィルターの位置合わせ方法。
- 前記第1の位置合わせ用マークは波長板により構成され、該波長板は前記フィルター部における前記第1の波長板の形成時に同時に形成されるものであることを特徴とする請求項17記載のフィルターの位置合わせ方法。
- 前記第1の区分と前記第2の区分はライン状に分割した偶数番目のラインと奇数番目のラインとからなることを特徴とする請求項17記載の位置合わせ方法。
- 前記フィルター部におけるライン毎の分割方向は水平方向若しくは垂直方向であることを特徴とする請求項22記載のフィルターの位置合わせ方法。
- 画像情報を第1の区分と第2の区分に表示させる画像表示部に、前記画像表示部に重ねて使用され前記画像表示部の前記第1の区分に対応する領域に前記第1の区分からの画像情報の偏光方向を前記第2の区分からの画像情報の偏光方向とは異なる方向に回転させる第1の波長板を有するフィルター部及び該フィルター部の周囲に一体に配設されるフィルター枠体部を有する板状フィルターを、前記画像表示部に該板状フィルターを重ねた状態で移動可能に支持するフィルター支持手段と、
前記フィルター枠体部にマークを通過する光の偏光方向を回転する第2の波長板によって形成された位置合わせ用マークを用いて前記板状フィルターの位置を検出するフィルター位置検出手段と、
検出された前記板状フィルターの位置情報に基づいて前記板状フィルターの位置と前記画像表示部の位置の間のずれを求め、その求めた値より前記画像表示部に対する前記板状フィルターの位置を修正するように前記フィルター支持手段を作動させる制御手段を有することを特徴とするフィルターの位置合わせ装置。 - 前記板状フィルターの位置の検出は、前記位置合わせ用マークを透過させる光を偏光させて行われることを特徴とする請求項24記載のフィルターの位置合わせ装置。
- 前記板状フィルターの位置の検出は、前記位置合わせ用マークを透過させた光と、位置合わせ用マークを透過していない前記板状フィルターの透過光とを比較することで行われることを特徴とする請求項24記載のフィルターの位置合わせ装置。
- 前記フィルター位置検出手段は前記位置合わせ用マークを透過させる光を照射する照射手段と、前記位置合わせ用マークを透過した光を受光する撮像手段とからなることを特徴とする請求項24記載のフィルターの位置合わせ装置。
- 画像情報を第1の区分と第2の区分に表示させる画像表示部と該画像表示部の周囲に一体に配設され第2の位置合わせ用マークが形成される画像表示枠体部とを具備する表示パネルを移動可能に支持する表示パネル支持手段と、
前記画像表示部に重ねて使用され前記画像表示部の前記第1の区分に対応する領域に前記第1の区分からの画像情報の偏光方向を前記第2の区分からの画像情報の偏光方向とは異なる方向に回転させる第1の波長板を有するフィルター部及び該フィルター部の周囲に一体に配設され、マークを通過する光の偏光方向を回転する第2の波長板による第1の位置合わせ用マークが形成されるフィルター枠体部を有する板状フィルターを、前記画像表示部に該板状フィルターを重ねた状態で移動可能に支持するフィルター支持手段と、
前記画像表示部に前記板状フィルターを重ねた状態で前記画像表示枠体部に形成された第2の位置合わせ用マークを用いて前記表示パネルの位置を検出する表示パネル位置検出手段と、
前記画像表示部に前記板状フィルターを重ねた状態で前記フィルター枠体部に形成された第1の位置合わせ用マークを用いて前記板状フィルターの位置を検出するフィルター位置検出手段と、
検出された前記表示パネル及び前記板状フィルターの位置情報に基づいて前記板状フィルターの位置と前記画像表示部の位置の間のずれを求め、その求めた値より前記画像表示部に対する前記板状フィルターの相対位置を修正するように前記フィルター支持手段及び前記表示パネル支持手段の少なくとも一方を作動させる制御手段とを有することを特徴とするフィルターの位置合わせ装置。
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