以下、図面を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明が図示されるものに限られないことは勿論である。
図1は、本発明に係る舗装用材料押圧貼着装置の一例を示す左側面図である。図1において、1は舗装用材料押圧貼着装置であり、2は押圧貼着輪、3は前輪、4は側輪、5、6は一対の連結支持板、7は側柱、8は回転ローラ、9は操作桿取付部、Bは水平面である。
一対の連結支持板5、6の後端部5r、6rの間には押圧貼着輪2が回動自在に取り付けられ、一対の連結支持板5、6の前端部には前輪3が回動自在に取り付けられている。また、連結支持板5の側部には側柱7が取り付けられ、側柱7の下端部には側輪4が回動自在に取り付けられている。なお、舗装用材料押圧貼着装置1は、舗装用材料の押圧貼着時には前輪3の方向に進行するので、本明細書においては前輪3が位置する方向を前方、押圧貼着輪2が位置する方向を後方と呼ぶものとする。
図2は図1に示す舗装用材料押圧貼着装置1の正面図、図3は背面図である。図2及び図3に示すとおり、一対の連結支持板5、6は互いに平行で鉛直方向から45度傾いており、側柱7とその下端に取り付けられている側輪4によって支えられている。また、一対の連結支持板5、6の間には複数個の回転ローラ8が、連結支持板5、6の双方に垂直に、かつ、連結支持板5、6に対して回転自在に取り付けられている。10はガイドローラ、11は押圧貼着輪2の支持軸であり、ガイドローラ10及び支持軸11は、回転ローラ8と同様に、連結支持板5、6の双方に垂直に取り付けられている。なお、一対の連結支持板5、6の鉛直方向からの傾き角は45度に限られるものではないが、押圧貼着輪2を施工面の入隅に確実に当接させるためには、入隅の角度にも依るが、一対の連結支持板5、6の鉛直方向からの傾き角は通常40〜50度であるのが好ましく、45度がより好ましい。
図4は、押圧貼着輪2だけを取り出して示す図であり、図4(a)は押圧貼着輪2の正面図、図4(b)は左側面図、図4(c)は右側面図である。図4(a)〜(c)に示すとおり、押圧貼着輪2は、底面半径r1及びr2が同じ(すなわちr1=r2)である2つの円錐台21及び22をその底面の中心c1、c2を一致させて底面同士で接合した外形形状を有している。21s、22sは、それぞれ円錐台21及び円錐台22の側面であり、側面21sと側面22sの接合部には稜となる角部12が円形に形成されている。131及び132は、それぞれ円錐台21及び22の上面である。
h1、h2は、それぞれ円錐台21及び円錐台22の高さであり、本例の場合、h1はh2よりも大きく、h1>h2であるが、対象とする断面L字型の施工面の大きさや貼り付ける舗装用材料の種類等によっては、h1<h2であっても良く、h1=h2であっても良い。なお、H1、H2は、図中破線で示す円錐台21及び22をそれぞれの底面に平行な平面で切り出す前の円錐E1及び円錐E2の高さであり、本例の場合、H1とH2は等しくH1=H2であるが、H1とH2とは異なっていても良い。
α1は円錐台21の底面と側面21sとの間の角度であり、α2は円錐台22の底面と側面22sとの間の角度である。角度α1と角度α2と和は押圧貼着輪2の角部12の角度に相当し、舗装用材料押圧貼着装置1が適用される断面L字型の施工面の入隅の角度に合わせて適宜選択される。例えば、対象となる断面L字型の施工面が、水平面からほぼ直角に立ち上がる立ち上がり面を有し、入隅の角度が90度又は略90度である場合には、α1とα2との和を90度又は略90度に設定すれば良く、入隅の角度が90度未満で水平面から鋭角に立ち上がる立ち上がり面を有する施工面の場合には、α1とα2との和を前記鋭角に、また、入隅の角度が90度超で、水平面から鈍角で立ち上がる立ち上がり面を有する施工面の場合には、α1とα2との和を前記鈍角に設定すれば良い。なお、α1とα2とは同じであっても異なっていても良い。
なお、押圧貼着輪2は、底面半径が同じ2つの円錐台21及び円錐台22をその底面の中心c1及びc2を一致させて底面同士で接合した外形形状を有しておれば良く、そのような外形形状を有している限り、中実な2つの円錐台21及び円錐台22をその底面同士で接合したものであっても良いし、内部が中空な円錐台形の2つの部材をその底面同士で接合したものであっても良い。押圧貼着輪2が、内部が中空な円錐台形の2つの部材をその底面同士で接合したものである場合には、接合面に相当する底面部分又は円錐台の上面部分は存在しなくても良い。また、円錐台の上面131及び132が存在する場合、上面131及び132は平坦であっても平坦でなくても良く、突出していても凹んでいても良い。
また、押圧貼着輪2は、テープ状の舗装用材料をその角部12に当接させて折り曲げ、断面L字型の施工面における水平面及び立ち上がり面の双方に押圧、貼着することができる限り、どのような材料から構成されていても良く、例えば、ゴム、合成樹脂、金属など適宜の材料を用いて構成することが可能である。ただし、断面L字型の施工面が、通常、多少の凹凸を有していることを考慮すると、押圧貼着輪2は、少なくともその表面が弾性を有する天然又は人工のゴム、例えばウレタンゴムなどで構成されているのが望ましい。
図5は図1に示す舗装用材料押圧貼着装置1の平面図、図6は図2と同じく図1に示す舗装用材料押圧貼着装置1の正面図であるが、説明の便宜上、図5及び図6においては押圧貼着輪2、前輪3、及び側輪4だけを抜き出して示してある。
図5及び図6において、R1は第1回転軸である。第1回転軸R1は押圧貼着輪2の外形を構成する円錐台21及び円錐台22の底面の中心c1及びc2をとおり前記底面に垂直であり、押圧貼着輪2は第1回転軸R1の回りに回転自在に軸支されている。R2は前輪3がその回りに回転自在に軸支されている第2回転軸、R3は側輪4がその回りに回転自在に軸支されている第3回転軸である。
図5及び図6に示すとおり、第1回転軸R1と第2回転軸R2とは互いに平行であり、いずれも水平から角度βだけ傾いている。また、図6に示すとおり、前輪3は、その幅方向の中心3cが、押圧貼着輪2の外形を構成する円錐台21と円錐台22の底面同士の接合面を含む平面P上に位置するように押圧貼着輪2に対して配置されている。
なお、図5、図6に図示される第2回転軸R2は一例に過ぎず、第2回転軸R2の水平からの傾き角度は、必ずしも、第1回転軸R1の水平からの傾き角度βと同じでなくても良い。すなわち、前輪3は、舗装用材料押圧貼着装置1の進行中、舗装用材料押圧貼着装置1の荷重の少なくとも一部を支えることができれば良く、第2回転軸R2との水平からの傾き角度は0°以上90°未満の範囲で適宜の角度に設定することができる。さらに、図5、図6の例では、前輪3の回転軸である第2回転軸R2は、押圧貼着輪2の回転軸である第1回転軸R1と同じ側に傾いているが、第2回転軸R2は第1回転軸R1と反対側に傾いていいても良い。いずれにせよ、第2回転軸R2は鉛直でなければよく、水平面に対し0°以上90°未満の範囲で適宜の傾き角とすることが可能であるが、舗装用材料押圧貼着装置1の進行中、舗装用材料押圧貼着装置1の荷重をほどよく分担し、舗装用材料押圧貼着装置1を断面L字型の施工面にそってスムースに進行させる上では、第2回転軸R2の水平からの傾き角度は0°であるか、或いは、第1回転軸R1の水平からの傾き角度βと同じであるのが好ましい。
また、前輪3を構成する材料には特段の制限はなく、断面L字型の施工面の入隅に沿って進行することができる限り、前輪3はどのような材料で構成されていても良い。前輪3は、例えば、ゴム、合成樹脂、金属など適宜の材料を用いて構成することが可能であるが、断面L字型の施工面が、通常、多少の凹凸を有していることを考慮すると、押圧貼着輪2と同様に、少なくともその表面が弾性を有する天然又は人工のゴム、例えばウレタンゴムなどで構成されているのが望ましい。
一方、側輪4は、図5及び図6に示すとおり、押圧貼着輪2の外形を構成する円錐台21と円錐台22の底面同士の接合面を含む平面Pに対し、平面Pが傾いている側に位置している。図6においては、平面Pは図中左側に傾いているので、側輪4は平面Pに対して左側に配置されているが、平面Pが図6中、右側に傾いている場合には、側輪4は平面Pに対して右側に配置されることになる。また、側輪4がその回りに回転自在に軸支される第3回転軸R3は、第1回転軸R1と第2回転軸R2との間にあり、第1回転軸R1と平行な鉛直面Q上に位置しており、かつ、水平である。
上記のとおり、本例の舗装用材料押圧貼着装置1においては、押圧貼着輪2、前輪3、及び側輪4が三角形を形成するように配置され、舗装用材料押圧貼着装置1の重心の水平面B上での位置が前記三角形のほぼ中心にくるように全部材が配置されるので、舗装用材料押圧貼着装置1は極めて安定している。なお、本例において、側輪4は1個しか設けられていないが、必要であれば、平面Pが傾いている側に2個以上の側輪4を配置しても良い。その場合においても、舗装用材料押圧貼着装置1の重心の水平面B上での位置が、押圧貼着輪2、前輪3、及び側輪4が形成する4角形又は5角形以上の多角形のほぼ中心にくるように他の部材が配置されることは勿論である。
なお、図5、図6に示す例においては、第3回転軸R3は、第1回転軸R1と第2回転軸R2との間に配置されているが、第3回転軸R3は、押圧貼着輪2、前輪3、及び側輪4とによって舗装用材料押圧貼着装置1を安定に支持することができる限り、必ずしも第1回転軸R1と第2回転軸R2との間に位置する必要はなく、舗装用材料押圧貼着装置1の重心の水平面B上での位置にも依るが、例えば、第1回転軸R1と同一平面上、又は第2回転軸R2と同一平面上にあってもよい。さらに、舗装用材料押圧貼着装置1の重心の水平面B上での位置を押圧貼着輪2、前輪3、及び側輪4を結ぶ多角形の中に収めることができ、舗装用材料押圧貼着装置1が安定して自立できる場合には、第3回転軸R3は第1回転軸R1よりも進行方向後方側又は第2回転軸R2よりも進行方向前方側に配置されていても良い。例えば側輪4を2つ設け、一方の側輪4の第3回転軸R3を第1回転軸R1よりも進行方向後方側に配置し、他方の側輪4の回転軸R3を第2回転軸R2よりも進行方向前方側に配置しても良い。このような第3回転軸R3回りに回転する側輪4は、舗装用材料押圧貼着装置1の荷重の一部を受けつつ、施工面の入隅に沿って水平面上を回転することが可能である。
側輪4を構成する材料にも特段の制限はなく、施工面上を進行することができる限り、側輪4はどのような材料で構成されていても良いが、例えば、ゴム、合成樹脂、金属など適宜の材料を用いて構成される。
図7は、図2のI−I切断面であって、舗装用材料押圧貼着装置1を前記2つの円錐台21及び円錐台22の接合面を含む平面Pで切断した状態を連結支持板6の側からみた図である。便宜上、前輪3の側から順に、複数の回転ローラ8に8a、8b、8c・・・8hの符号を付してある。図7に示すとおり、連結支持板5、6間に回転自在に取り付けられる複数個の回転ローラ8a〜8hは、それぞれの回転中心が略等間隔で、Cを中心とする同一円弧上に位置するように配置されており、複数個の回転ローラ8a〜8hと、複数個の回転ローラ8a〜8hによって連結支持板5上に画される破線で囲った円形の領域γとが、ロール状に巻回されたテープ状の舗装用材料を保持する舗装用材料保持部5hを構成している。なお、円形の領域γの半径が、舗装用材料保持部5hに保持させる舗装用材料のロールの想定される最大半径よりも大きく設定されることは勿論である。また、図7に示すとおり、舗装用材料保持部5hは、押圧貼着輪2よりも前輪3側に位置している。
本例においては、回転ローラ8eと回転ローラ8fとの間の間隙が、舗装用材料保持部5hから押圧貼着輪2に向かってテープ状の舗装用材料を送り出す舗装用材料送出口15となっている。16は舗装用材料送出口15の近傍に設けられたガイド部材、10は、前述したとおり、ガイドローラである。
図8は、舗装用材料保持部5hにロール状に巻回されたテープ状の舗装用材料Tを保持させた状態を示す図である。上述したとおり、円形の領域γの半径は、舗装用材料保持部5hに保持させる舗装用材料のロールの想定される最大半径よりも大きく設定されているので、巻回されたテープ状の舗装用材料Tのロールは、領域γ内に収まり、そのロールの最外面で回転ローラ8a〜8hのうちのいずれか複数と接することになる。この状態で、巻回されたテープ状の舗装用材料Tの端部をロールから引きはがし、回転ローラ8eと回転ローラ8fとの間隙である舗装用材料送出口15から押圧貼着輪2の方向に引き出すと、ロール状の舗装用材料Tは図中大きな矢印で示す反時計方向に回転する。なお、各回転ローラの表面をポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂で形成したり、各回転ローラの表面に凹凸を設けて舗装用材料Tとの接触面積を小さくしたりすることにより、舗装用材料Tの回転ローラ8a〜8hの表面への貼り付きをより確実に防止することができる。また、ロール状に巻回されたテープ状の舗装用材料Tが複数個の回転ローラ8a〜8hの表面を滑らかに滑って回転することができる場合には、回転ローラ8a〜8hは一対の連結支持板5、6間に回転自在に支持されていなくても良く、固定されていても良い。
舗装用材料送出口15の近傍にはガイドローラ10が設けられており、舗装用材料送出口15から繰り出されるテープ状の舗装用材料Tは、ガイドローラ10と接触し、その進行方向がやや下方に押し下げられる。このため、舗装用材料送出口15から繰り出される舗装用材料Tと、ロール状の舗装用材料Tの回転に伴い図中小さな矢印で示す時計方向に回転する回転ローラ8fとの接触が防止され、舗装用材料Tを舗装用材料送出口15からスムースに繰り出すことができる。また、舗装用材料送出口15の近傍にはガイド部材16が設けられているので、舗装用材料送出口15から送出されるテープ状の舗装用材料Tは、その下側側部がガイド部材16と当接し、重力によりその位置が斜め下方にずれることが防止される。
図9は、図8に示す状態、すなわち、舗装用材料保持部5hにロール状に巻回されたテープ状の舗装用材料Tを保持させた状態の舗装用材料押圧貼着装置1の背面図である。図9に示すとおり、一対の連結支持板5、6間の間隔は、舗装用材料保持部5hに保持させる舗装用材料のロールの想定される最大幅よりも大きく設定されており、ロール状に巻回されたテープ状の舗装用材料Tは、そのロールの下側側面を連結支持板5の前記円形の領域γに当接させた状態で、一対の連結支持板5、6間に保持される。また、図9に示すとおり、押圧貼着輪2の外形を構成する2つの円錐台21及び22の接合面を含む平面Pは、ロール状に巻回されたテープ状の舗装用材料Tの幅内に位置している。この状態で、巻回されたテープ状の舗装用材料Tの端部をロールから引きはがし、回転ローラ8eと回転ローラ8fとの間隙である舗装用材料送出口15から押圧貼着輪2の方向に引き出すと、前述したとおり、ロール状の舗装用材料Tは引っ張られ、連結支持板5の領域γ及び回転ローラ8a〜8hのいずれか複数個と当接しながら、連結支持板5の面に垂直な軸の回りに回転する。押圧貼着輪2の支持軸11は、連結支持板5、6に対して垂直に取り付けられているので、押圧貼着輪2がその回りに回転自在に軸支されている第1回転軸R1と、ロール状に巻回されているテープ状の舗装用材料Tの回転軸とは平行である。
なお、本例においては、舗装用材料保持部5hは、領域γと複数個の回転ローラ8a〜8hから構成されているが、舗装用材料保持部5hは、ロール状に巻回されたテープ状の舗装用材料Tを、その端部をロールから剥がして押圧貼着輪2の方向に順次引き出すことができるように保持できる構造であれば良く、本例のものに限られない。例えば、複数個の回転ローラ8a〜8hに代えて、ロール保持軸を連結支持板5に垂直に取り付けて、そのロール保持軸と連結支持板5の内側側面とで舗装用材料保持部5hを構成しても良い。この場合、ロール状に巻回されたテープ状の舗装用材料Tを舗装用材料保持部5hに保持させるには、例えば、連結支持板6を一時的に取り外して、ロール保持軸にロール状に巻回されたテープ状の舗装用材料Tの中心孔を貫通させれば良い。また、この場合、ロール保持軸下側の一対の連結支持板5、6間の適宜の位置に、ロールから剥がされたテープ状の舗装用材料Tの先端部を通過させる一対の案内ロールを設けて、その間隙を舗装用材料送出口とすれば良い。
上記のとおり、舗装用材料押圧貼着装置1を構成する押圧貼着輪2、前輪3、側輪4、及び舗装用材料保持部5hは、一対の連結支持板5、6によって一体に連結されており、一対の連結支持板5、6が舗装用材料押圧貼着装置1の本体を構成していることになる。
次に、図10〜図12を用いて、図1〜図9に示した舗装用材料押圧貼着装置1の動作を説明する。
図10は、断面L字型の施工面の一例を示す断面図である。図10において、Shは水平面、Svは水平面Shからほぼ垂直に立ち上がる立ち上がり面である。δは水平面Shと立ち上がり面Svとの交わり部である入隅の角度であり、図10の場合、入隅の角度δは略90度である。この断面L字型の施工面に舗装用材料Tを押圧、貼着するには、まず、入隅近傍の大きな凹凸を事前に取り除いた後、水平面Sh及び立ち上がり面Svを清掃し、必要に応じて、水平面Sh及び立ち上がり面Svにプライマを塗布する。
プライマの塗布が完了すると、舗装用材料押圧貼着装置1を断面L字型の施工面にセットする。図11は、図10に示す施工面にセットされた状態の舗装用材料押圧貼着装置1の背面図である。本例の舗装用材料押圧貼着装置1においては、一対の連結支持板5、6は鉛直方向から45度傾いており、押圧貼着輪2の支持軸11、換言すると第1回転軸R1は、一対の連結支持板5、6の双方に垂直であるので、押圧貼着輪2の外形を構成する2つの円錐台21及び22の底面の接合面を含む平面Pは鉛直方向から45度傾いている。また、2つの円錐台21及び22における底面と側面との角度α1及びα2は共に等しく45度であるので、図11に示すように、押圧貼着輪2の角部12を施工面の入隅にぴったりとあてがい、かつ、押圧貼着輪2の外形を構成する2つの円錐台21及び22の側面を水平面Sh及び立ち上がり面Svのそれぞれと当接させた状態に、舗装用材料押圧貼着装置1をセットすることができる。
次いで、舗装用材料押圧貼着装置1の舗装用材料保持部5hに保持されているテープ状の舗装用材料Tの先端部をロールから剥がし、舗装用材料送出口15を通して引き出して、所定の箇所で折り曲げ、折り曲げた角部が入隅にはまり込むように、押圧貼着輪2の前方に位置する水平面Sh及び立ち上がり面Svの双方に押圧、貼着する。テープ状の舗装用材料は、通常、その片面に剥離シートを有し、剥離シートの側を内側にして多層に巻回積層されているので、舗装用材料送出口15を通して引き出したテープ状の舗装用材料Tは、剥離シートが上側、剥離シートのない貼着面が下側となり、水平面Sh及び立ち上がり面Svの双方に押圧、貼着することができる。
ここまでの押圧、貼着作業は人力によって行う。最初に押圧、貼着するテープ状の舗装用材料Tの長さに特段の制限はないが、舗装用材料送出口15と押圧貼着輪2との間で、5〜15cm程度の部分を水平面Sh及び立ち上がり面Svの双方に押圧、貼着すれば十分である。なお、テープ状の舗装用材料Tが折り曲げ用の凹部を有している場合には、テープ状の舗装用材料Tを極めて容易に所定の箇所で折曲げることができるので便利である。
テープ状の舗装用材料Tの先端部分の押圧、貼着が完了すると、舗装用材料押圧貼着装置1を徐々に前輪3の方向に進行させ、既に押圧、貼着されている舗装用材料Tの上に押圧貼着輪2を移動させる。図12は、この状態にある舗装用材料押圧貼着装置1の背面図である。
図12に示すとおり、先に人力で押圧、貼着された舗装用材料Tの上に押圧貼着輪2は位置しており、この状態から、例えば、操作桿取付部9に図中破線で示す操作桿17を取り付け、この操作桿17に力を加えて、舗装用材料押圧貼着装置1を前輪3の方向に進行させれば良い。舗装用材料押圧貼着装置1が前輪3の方向に進行するに連れて、押圧貼着輪2によってテープ状の舗装用材料Tは、順次、折れ曲がりながら水平面Sh及び立ち上がり面Svの双方に押圧貼着されていく。この押圧貼着に伴い、舗装用材料保持部5hに保持されているテープ状の舗装用材料Tは舗装用材料送出口15から次々と引き出され、舗装用材料Tのロールは舗装用材料保持部5h上で回転する。このとき、押圧貼着輪2の外形を構成する2つの円錐台21及び22のうち、下側に位置する円錐台21の高さh1が、上側に位置する円錐台22の高さh2より大きく、すなわち、h1>h2に設定されているので、舗装用材料Tを、立ち上がり面Svに対するよりも幅広く水平面Shに押圧、貼着することができる。水平面Shに対するよりも幅広く立ち上がり面Svに舗装用材料Tを押圧、貼着したい場合には、h1<h2に設定すれば良い。
以上の動作によって、テープ状の舗装用材料Tは、次々と折れ曲がりながら、断面L字型の施工面の水平面Sh及び立ち上がり面Svの双方に押圧、貼着されることになる。作業者は、押圧、貼着開始時に、テープ状の舗装用材料Tの先端部分を舗装用材料送出口15から取り出して、所定の箇所で折り曲げ、水平面Shと立ち上がり面Svの双方に押圧、貼着するだけで、後は、操作桿17を介して舗装用材料押圧貼着装置1を前輪3の方向に進行させれば良いので、舗装用材料Tの押圧貼着作業を非常に効率良く、速やかに行うことができる。また、操作桿17の長さにも依るが、作業者は立ったままの姿勢で操作桿17に力を加えて舗装用材料押圧貼着装置1を進行させ押圧、貼着作業を行うことができるので、これまでは、中腰やしゃがんだ状態で行わざるを得なかった過酷な重労働から解放されるという利点が得られる。
なお、上記押圧貼着動作の説明は、入隅の角度δが90度又は略90度の施工面についてのものであるが、入隅の角度δが鋭角又は鈍角の場合には、押圧貼着輪2の角部12の角度(すなわち、角度α1と角度α2との和)を対象となる施工面の入隅の角度δと一致させれば良く、舗装用材料押圧貼着装置1の押圧貼着動作は基本的に同様である。また、対象となる施工面の入隅の角度δが鋭角又は鈍角の場合にも、一対の連結支持板5、6の鉛直方向からの傾き角度は45度のままであっても良いし、入隅の角度δの1/2に変更しても良い。
図13は、本発明の舗装用材料押圧貼着装置の他の一例を示す平面図であり、押圧貼着輪2、前輪3、及び側輪4だけを取り出して示したものである。
図13に示すとおり、本例の舗装用材料押圧貼着装置1においては、側輪4は、上述した第3回転軸R3からずれた第4回転軸R4の回りに回転自在に軸支されている。すなわち、側輪4は、第3回転軸R3を、側輪4を挟んで、押圧貼着輪2を構成する2つの円錐台21及び22の接合面を含む平面Pから遠い側が近い側よりも進行方向前方に位置する向きにずらした水平な第4回転軸R4の回りに回転する。
また、本例の舗装用材料押圧貼着装置1においては、前輪3は、上述した第2回転軸R2からずれた第5回転軸R5の回りに回転自在に軸支されている。すなわち、前輪3は、第2回転軸R2を、前輪3を挟んで押圧貼着輪2を構成する2つの円錐台21及び22の接合面を含む平面Pが傾いている側が反対側よりも進行方向前方に位置する向きにずらした第5回転軸R5の回りに回転する。
側輪4及び/又は前輪3の回転軸が、第3回転軸R3を上記のようにずらした第4回転軸R4であるか、第2回転軸R2を上記のようにずらした第5回転軸R5である場合には、舗装用材料押圧貼着装置1を前輪3の方向に進行させることによって、舗装用材料押圧貼着装置1は、自然と、断面L字型の施工面の入隅に押しつけられ、入隅に沿って進行するので、舗装用材料Tの押圧、貼着をより確実に行うことができるという利点が得られる。なお、上記のような回転軸のずらしは、前輪3又は側輪4についてだけ行っても良いし、前輪3及び側輪4の双方について行っても良い。
なお、前輪3の回転軸である第2回転軸R2の水平面からの傾き角度が押圧貼着輪2の回転軸である第1回転軸R1の水平面からの傾き角度βと異なる場合であっても、上述したと同様に、前輪3の回転軸である第2回転軸R2を上記のようにずらした第5回転軸R5とすることによって、舗装用材料押圧貼着装置1の進行に伴い、舗装用材料押圧貼着装置1を、自然と、断面L字型の施工面の入隅に押しつけることができる。また、側輪4の回転軸である第3回転軸R3が第1回転軸R1と第2回転軸R2の間に位置しない場合であっても、上述したと同様に、側輪4の回転軸である第3回転軸R3を上記のようにずらした第4回転軸R4とすることによって、舗装用材料押圧貼着装置1の進行に伴い、舗装用材料押圧貼着装置1を、自然と、断面L字型の施工面の入隅に押しつけることができる。
図14に本発明の舗装用材料押圧貼着装置の更に他の例を示す。図14は、図7と同様、舗装用材料押圧貼着装置1を2つの円錐台21及び円錐台22の接合面を含む平面で切断した状態を連結支持板6の側から見た図である。本例においては、連結支持板5には、回転ローラ8a〜8hの回転中心が配置される円弧の中心Cを通り、連結支持板5を貫通し、縦方向に延びる長孔5iが設けられている。
図15は、図14に示される舗装用材料押圧貼着装置1の連結支持板5に取り付けられて使用されるロール保持軸50の一例を示す図である。図15(a)はロール保持軸50の左側面図、図15(b)はロール保持軸50の一部切り欠き正面図、図15(c)はロール保持軸50の右側面図である。
ロール保持軸50は、一端にボルト等の係合軸51が同軸となるように設けられるとともに他端に平板状のつまみ部52が設けられた軸体53と、自身の内側に貫通孔54を有し、図示しない軸受を介して軸体53に回転自在に支持される回転ローラ55とから構成されている。回転ローラ55の一端側端面からは係合軸51及び軸体53の一部が突出している。また、回転ローラ55の貫通孔54の他端側の内径は、貫通孔54の内部でつまみ部52を回転させることができる大きさとされ、つまみ部52は回転ローラ55内に収容されている。回転ローラ55の長さは、共に使用するテープ状の舗装用材料の幅とほぼ一致する長さに設定されている。また、回転ローラ55の外径は、共に使用するテープ状の舗装用材料の中心孔の内径とほぼ一致する径に設定されている。
本例においては、長孔5iを有し、その上に載置されたロール状に巻回された舗装用材料を保持する連結支持板5、回転ローラ8d〜8f、及び連結支持板5に取り付けられるロール保持軸50が、ロール状に巻回されたテープ状の舗装用材料を保持する舗装用材料保持部5hを構成する。
図16は、ロール状に巻回されたテープ状の舗装用材料Tの一例を示す図である。図16に示されるとおり、ロール状に巻回されたテープ状の舗装用材料Tは保管時又は輸送時の圧力や衝撃等によりいびつに変形する場合があり、このようにいびつに変形した舗装用材料Tであっても、図14及び図15に示した部材から構成される舗装用材料保持部5hは、スムースに回転自在に保持することができる。
すなわち、ロール状に巻回されたテープ状の舗装用材料Tの中心孔Thにロール保持軸50の回転ローラ55を挿入する。このとき、回転ローラ55の長さは上述のとおり舗装用材料Tの幅とほぼ一致しているので、回転ローラ55の他端側をロール状に巻回されたテープ状の舗装用材料Tの他端側の面とほぼ面一状態とすると、ロール状に巻回されたテープ状の舗装用材料Tの一端側の面からは係合軸51及び軸体53の一部のみが突出した状態となる。また、回転ローラ55の外径は中心孔Thの内径とほぼ一致しているので、回転ローラ55を中心孔Thにぴったりと嵌るように挿入することができ、中心孔Thと回転ローラ55との間にずれが生じないようにすることができる。続いて係合軸51を連結支持板6側から長孔5iに挿入し、長孔5iの反対側から突出した係合軸51に図示しないナット等の取付部材を係合回転させ、ロール保持軸50を連結支持板5に取り付ける。なお、軸体53につまみ部52が取り付けられているので、つまみ部52を指でつまむことにより軸体53を回転しないように保持しつつ、ナット等の取付部材を回転させて、ロール保持軸50を舗装用材料Tとともに、連結支持板5の長孔に取り付けることができる。
なお、ロール保持軸50を取り付ける連結支持板5に設けられた孔が縦方向に延びる長孔であるので、ロール保持軸50の取付け位置を自在に変更することが可能であり、巻回半径の大きさに制限されずに、ロール保持軸50を介して舗装用材料Tを連結支持板5の適宜の位置に取り付けることができるという利点が得られる。また、ロール保持軸50を連結支持板5に固く取り付けずに、長孔に沿って自在に移動できる程度に取り付けて、テープ状の舗装用材料Tの繰り出しに伴い、舗装用材料Tの巻回半径が減少するにつれて、ロール保持軸50の取付位置が長孔に沿って下方に移動するようにしても良い。
本例の舗装用材料押圧貼着装置1によれば、ロール状に巻回され略円筒形状に成型されたテープ状の舗装用材料Tはもちろん、略円筒形状に成型された後、保管時又は輸送時等に外部から圧力や衝撃を受けていびつに変形した舗装用材料Tを用いる場合にも、舗装用材料保持部5h上でスムースに回転させ、舗装用材料送出口15から舗装用材料Tを送出することができる。
図17〜図19に本発明の舗装用材料押圧貼着装置のさらに他の例を示す。図17は舗装用材料押圧貼着装置1の左側面図、図18はその正面図、図19はその背面図である。本例の舗装用材料押圧貼着装置1は、図1〜6に示される舗装用材料押圧貼着装置1と基本的な構成が共通しており、同じ部材には同じ符号が付されている。以下、本例の舗装用材料押圧貼着装置1を図1〜6に示される舗装用材料押圧貼着装置1と異なる構成を中心に説明する。
本例の押圧貼着輪2は、その角部12が一対の連結支持板5、6のうち連結支持板6に近くなるように設けられている点で図1〜図6に示す例の押圧貼着輪2とは異なるが、底面半径が同じ2つの円錐台をその底面の中心を一致させて底面同士で接合した外形形状を有し、前記底面の中心をとおり前記底面に垂直で水平から傾いた第1回転軸R1の回りに回転する点では変わりはない。
また、本例の前輪3は、その幅方向の中心が、押圧貼着輪2の外形を構成する2つの円錐台の底面同士の接合面を含む平面上にはなく、当該平面が傾いている側にずれた位置にある点で図1〜図6に示す例の前輪3とは異なるが、前記第1回転軸R1に平行な第2回転軸R2の回りに回転する点では変わりはない。
また、本例の側輪4は、ブラケット20を介して連結支持板5に取り付けられている点で図1〜図6に示す例とは異なるが、第1回転軸R1と第2回転軸R2との間にあり、前記第1回転軸R1に平行な鉛直面上に位置する水平な第3回転軸R3の回りに回転する点では変わりはない。
ただし、本例の舗装用材料押圧貼着装置1においては、一対の連結支持板5、6のうち下側に位置する連結支持板5の下端5eを含む下部が、送出されるテープ状の舗装用材料の下側側部と当接するガイド部材を兼ねており、このガイド部材が施工面上の凹凸と接触して変形したり損傷を受けたりするのを防止するために、連結支持板5にガイド部材保護部材21が取り付けられている。
ガイド部材保護部材21は、連結支持板5の下端5eよりもそれ自身の下端が下側に位置するように、ブラケット22を介して連結支持板5に取り付けられており、本例においてガイド部材保護部材21はボール23及びボール23を転動自在に且つ脱落しないように保持しつつボール23の下端をその下側から突出させる筐体24で構成されている。
このため、本例の舗装用材料押圧貼着装置1によれば、水平な施工面上に凸部があっても、ガイド部材である連結支持板5の下端5eよりも先に、ガイド部材保護部材21が当該凸部に当接し、ガイド部材保護部材21が取り付けられている連結支持板5を上方に持ち上げるので、ガイド部材を兼ねている連結支持板5の下端5eが施工面上の凸部と接触することが未然に防止され、ガイド部材を兼ねている連結支持板5の下端5eが変形したり、損傷を受けたりすることが防止される。また、ガイド部材保護部材21は、施工面の凸部に当接して施工面上を転動することができるので、ガイド部材保護部材21の下端が施工面の凸部と当接しても、舗装用材料押圧貼着装置1は何らの支障なく施工面上を進行することができる。なお、本例においては、ガイド部材保護部材21として、施工面と当接したときに、その下端が施工面上を転動するガイド部材保護部材21を例示しているが、これに代えて、施工面と当接したときに、その下端が施工面上を摺動するガイド部材保護部材21であっても良い。
なお、本例において前輪3は、その幅方向の中心が一対の連結支持板5、6の間に配置されているが、その幅方向の中心が一対の連結支持板5、6のうち下側の連結支持板5の下側に位置するように前輪3を配置しても良い。このような位置に設けられていても舗装用材料押圧貼着装置1の荷重の一部を受けることができるとともに進行方向前方に向けて回転することができる。更に前輪3の形状を円錐台としてその側面が水平面に当接して回転するようにしても良い。この場合、前輪3の回転軸である第2回転軸R2は水平から傾いた軸となる。
また、舗装用材料押圧貼着装置1を断面L字型の施工面における入隅に沿ってスムースに進行させるために必要ならば、舗装用材料押圧貼着装置1の適切な位置、例えば連結支持板6の進行方向前側に、鉛直な回転軸回りに回転し、立ち上がり面上を転がる補助輪を設けてもよい。
図20〜図22に本発明の舗装用材料押圧貼着装置の更に他の例を示す。図20は舗装用材料押圧貼着装置1を断面L字状の施工面に接地した状態の正面図、図21は図20のII−II断面図、図22(a)は図21のIII−III断面図、図22(b)は図21のIV−IV断面図、図22(c)は図21のV−V断面図である。なお、図20においては説明の便宜上前輪3は描かれていない。
本例においては、押圧貼着輪2の外形を構成する2つの円錐台21及び22のうち、下側に位置する円錐台21の高さh1よりも、上側に位置する円錐台22の高さh2が大きく、すなわち、h1<h2に設定されているので、舗装用材料Tを、水平面Shに対するよりも幅広く立ち上がり面Svに押圧、貼着することができる。なお、本例においては、円錐台21及び22の底面同士の接合面を含む平面Pは舗装用材料押圧貼着装置1を正面から見て右側に傾いている。
また、本例においては、回転ローラ8aと回転ローラ8bとの間に舗装用材料送出口15が設定されており、舗装用材料送出口15と押圧貼着輪2との間には、ガイドローラ10、折曲当接片25、折曲補助部材26、支持部材27が備えられている。以下、これらの部材について詳細に説明する。
ガイドローラ10は、舗装用材料送出口15から繰り出されるテープ状の舗装等材料Tを、折曲当接片25の下端と折曲補助部材26の間に導くためのローラであり、一対の連結支持板5、6の間に回転自在に取り付けられている。舗装用材料送出口15から繰り出されるテープ状の舗装等材料Tは、ガイドローラ10の下面と当接後に折曲当接片25の下端と折曲補助部材26の間に導かれる。
折曲当接片25は、押圧貼着輪2と舗装用材料送出口15との間に位置し、一対の連結支持板5、6間にブラケット等の図示しない取り付け具を介して取り付けられている。本例において、折曲当接片25は、断面が三角形の薄いくさび状の部材であり、断面L字状の施工面の入り隅の方向に向いた線状の下端部を有しており、当該線状の下端部は、押圧貼着輪2を構成する2つの円錐台の接合面を含む平面P上に位置している。また、折曲当接片25はその前端、すなわち舗装用材料送出口15側の端部が、後端、すなわち押圧貼着輪2側の端部よりも高い位置にあり、加えて、折曲当接片25は前端及び後端は、舗装用材料Tの受け入れ及び送り出しをスムースに行えるように、下側が丸められている。
一方、折曲補助部材26は、支持部材27に取り付けられたガイドローラ28〜33で構成されている。支持部材27は、押圧貼着輪2を構成する2つの円錐台の接合面を含む平面P上に幅方向の中心が位置するとともに、押圧貼着輪2と舗装用材料送出口15との間で、折曲当接片25の下端部よりも下側に位置するように、一対の連結支持板5、6間にブラケット等の図示しない取り付け具を介して取り付けられている。また、支持部材27は、折曲当接片25と同様に、その前端、すなわち舗装用材料送出口15側の端部が、その後端、すなわち押圧貼着輪2側の端部よりも高い位置にあり、舗装用材料押圧貼着装置1の進行方向後方ほど低くなるように傾斜して配置されている。ただし、その傾斜の角度は折曲当接片25の傾斜角度よりも緩やかで、折曲当接片25の下端部と、支持部材27との間の距離は、押圧貼着輪2に近づくほど短くなっている。
ガイドローラ28〜33は、ガイドローラ28と29、30と31、及び32と33が、それぞれ一対となって、折曲当接片25を挟んでV字状となるように、それぞれ、支持部材27の異なる位置に、支持部材27に対して直角に取り付けられている。換言すれば、折曲補助部材26を構成する3対のガイドローラ28と29、30と31、32と33は、断面V字状に交差する2枚の平面上に配置されており、その2枚の平面の交線は、押圧貼着輪2を構成する2つの円錐台の接合面を含む平面P上にあり、かつ折曲当接片25の下端部よりも下方に位置している。また、支持部材27は、前記2枚の平面の交線上に配置されており、前記2枚の平面の交線と、折曲当接片25の下端部との距離は、舗装用材料送出口15から押圧貼着輪2へと向かうにつれて次第に短くなっている。このため、前述したとおり、折曲当接片25の下端部と支持部材27との間の距離は、押圧貼着輪2に近づくほど短くなっている。また、ガイドローラ28〜33は、支持部材27に対して直角に取り付けられているので、ガイドローラ28〜33の各回転軸は、支持部材27に対して直交している。
図21及び図22に示すように、折曲当接片25を挟んでV字状となるように取り付けられている各一対のガイドローラ28と29、30と31、及び32と33のそれぞれが形成するV字状の開き角度は、舗装用材料送出口15側から押圧貼着輪2側に向かうに連れて、次第に狭くなっている。V字状の開き角度とは、ガイドローラ28〜33のそれぞれの回転軸R28〜R33と前記平面Pとの間の角度をそれぞれθ28、θ29、θ30、θ31、θ32、θ33とした場合、θ28+θ29、θ30+θ31、又はθ32+θ33を意味し、(一対のガイドローラ28と29のV字状の開き角度=θ28+θ29)>(一対のガイドローラ30と31のV字状の開き角度=θ30+θ31)>(一対のガイドローラ32と33のV字状の開き角度=θ32+θ33)の関係にある。換言すれば、折曲補助部材26を構成する3対のガイドローラ28と29、30と31、32と33がその上に存在する断面V字状に交差する2枚の平面の交差角度は、舗装用材料送出口15側から押圧貼着輪2側に向かうに連れて、次第に狭くなっている。
上記のような折曲当接片25及びガイドローラ28〜33から構成される折曲補助部材26が設けられている本例の舗装用材料押圧貼着装置1において、舗装用材料送出口15からテープ状の舗装用材料Tが送り出されると、テープ状の舗装用材料Tは、ガイドローラ10の下面と当接しながら、折曲当接片25と折曲補助部材26との間に導かれ、舗装用材料Tの上面は、折曲当接片25の下端部と線状に接触するとともに、舗装用材料Tの下面は、折曲当接片25の下端部の両側で折曲補助部材26を構成するガイドローラ28〜33に接触する。
ガイドローラ28〜33は、折曲当接片25の下端部よりも下側に位置する支持部材27に、折曲当接片25を挟んでV字状となるように取り付けられており、しかも、そのV字状の開き角度は押圧貼着輪2側に向かうに連れて次第に狭くなり、かつ、折曲当接片25の下端部と支持部材27との距離も押圧貼着輪2側に向かうに連れて次第に短くなっているので、折曲当接片25と折曲補助部材26との間に導かれたテープ状の舗装用材料Tは、上面が折曲当接片25の下端部と線状に接触し、下面が折曲当接片25の下端部の両側でガイドローラ28〜33と接触することによって次第に施工面の形状に合ったL字型に折り曲げられ、押圧貼着輪2の下方に供給されることになる。
上述した例においては、折曲補助部材26を構成するガイドローラ28〜33は3対であるが、その数は3対には限られず、1対、2対又は4対以上であっても良い。また、ガイドローラ28〜33に代えて、自身は回転せず、テープ状の舗装用材料Tがその上を滑らかに摺動しながら通過する平面又は曲面を有する棒状、平板状等の部材を、折曲当接片25を挟んでV字状に配置して、折曲補助部材26を構成しても良い。いずれにせよ、折曲補助部材26は、断面V字状に交差する2枚の平面であって、その交線が押圧貼着輪2を構成する2つの円錐台の接合面を含む平面P上にあり、かつ前記交線が折曲当接片25の前記下端部よりも下方に位置している2枚の平面上に配置されておれば良く、その具体的な形状、構造等は適宜変更可能である。ただし、通常粘着性を有するテープ状の舗装用材料の下面と当接して、これを折り曲げる上では、上述したガイドローラ28〜33で折曲補助部材26を構成するのが好ましい。
図23〜図25に本発明の舗装用材料押圧貼着装置の更に他の例を示す。図23は舗装用材料押圧貼着装置1の平面図、図24はその左側面図、図25は図23のVI−VI矢視部分断面図である。先に示した例と同じ部材には同じ符号が付されている。
本例では、押圧貼着輪2、前輪3、側輪4、及び舗装用材料保持部5hを一体に連結する本体が、本体前部18と本体後部19とで構成されており、これらが連結部材60で連結されている。連結部材60は、本体前部18に取り付けられている前板61、本体後部19に取り付けられている後板62、鉛直棒63、前板61及び鉛直棒63に固定されている複数の前側連結板64、及び後板62に取り付けられているとともに鉛直棒63を回動自在に挿通させる開口を有する複数の後側連結板65から構成されている。本例の舗装用材料押圧貼着装置1のその他の構成は、先に説明した舗装用材料押圧貼着装置1と同様である。
本例の舗装用材料押圧貼着装置1は、その本体が本体前部18と本体後部19とに分割され、かつ連結部材60で連結されているので、本体前部18と本体後部19とは鉛直な軸である鉛直棒63の回りに互いに回動自在である。
したがって、本例の舗装用材料押圧貼着装置1によれば、断面L字型の施工面における立ち上がり面Svが仮に左右にカーブしていても、本体前部18と本体後部19とが鉛直な軸の回りに回動することによって、前輪3及び押圧貼着輪2を水平面Shと立ち上がり面Svとが形成する入隅に良く追従させることができ、カーブした施工面にテープ状の舗装用材料Tを押圧貼着し、確実に貼り付けることができるという利点が得られる。
なお、本例においては、舗装用材料押圧貼着装置1の本体は、鉛直な軸の回りに互いに回動自在に連結された本体前部18と本体後部19の2つの部分から構成されているが、鉛直な軸の回りに互いに回動自在に連結された3つ以上の部分から構成されていても良い。
図26は、押圧貼着輪2の他の例を示す図であり、図26(a)は押圧貼着輪2の左側面図、図26(b)は正面図、図26(c)は背面図である。
図26(a)に示すとおり、本例の押圧貼着輪2は、底面半径が同じ2つの円錐台21及び22をその底面の中心を一致させて底面同士で接合した外形形状のうち、少なくとも、その回転軸(第1回転軸R1)を含む鉛直面Dのうちその回転軸よりも下側と、その回転軸(第1回転軸R1)を含み鉛直面Dと直交する平面Eのうちその回転軸よりも進行方向前側とで囲まれる部分であって、鉛直面Dを起点として、前輪3の方向に、中心角θが90度以下、好ましくは45度以上90度以下の部分の外形形状と、2つの円錐台21及び22のそれぞれの側面21s及び22sと鉛直面Dとの交線から、それぞれ、前記2つの円錐台21及び22の底面の接線方向に延びる2枚の平面A1、A2を備えた外形形状を有している。このような形状の押圧貼着輪2であっても、押圧貼着輪2が舗装用材料Tが有する剥離シート上を摺動することができる場合には、舗装用材料Tを折り曲げるとともに断面L字型の施工面に押圧し、貼り付けることが可能である。
図27は押圧貼着輪2のさらに他の例を示す正面図である。この例において押圧貼着輪2は、図1〜図9に示した例における押圧貼着輪2と外形形状は同じであるが、素材の構成が異なる。すなわち、第1の素材からなる第1層L1と、第1の素材よりも柔軟な第2の素材からなり第1層L1を挟み込む一対の第2層L2を第1回転軸R1の方向に積層してなる積層体で形成されている。第1の素材は例えば中実のウレタンゴムとし、第2の素材は例えばスポンジ状の発泡ウレタンゴムとすることができる。押圧貼着輪2がこのようなものである場合には、水平面Sh及び/又は立ち上がり面Svが凹凸を有している場合にも、その凹凸に応じて柔軟な第2層が変形することができるので、凸部に局所的に押圧力が加わることが無く、舗装用材料Tの貼付面全体を均等に押圧することができる。