JP2016204245A - 微結晶afx型ゼオライト - Google Patents

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Abstract

【課題】細孔内拡散が律速となる触媒反応や、結晶外表面を利用した触媒反応等において有用な、平均粒径の小さい微結晶のAFX型ゼオライト、及びその製造方法を提供する。【解決手段】0.5μm以下の平均粒径及び0.20〜0.28cm3/gの細孔容積を有するAFX型ゼオライト。AFX型ゼオライトを粉砕して0.5μm以下の平均粒径を有する前駆物質を調製する工程、及び前記前駆物質を次の組成、SiO2/H2Oモル比=0.02〜0.05、Al2O3/H2Oモル比=0.00001〜0.00004、M2O/H2Oモル比=0.021〜0.025(Mはアルカリ金属)を有するアルミノシリケート溶液中で加熱して再結晶化する工程を含むAFX型ゼオライトの製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は平均粒径が小さい、微結晶のAFX型ゼオライトに関する。より詳細には、平均粒径が0.5μm以下のAFX型ゼオライトに関する。
AFX型ゼオライトは酸素8員環を有する小細孔ゼオライトである。これはMTO(メタノールのオレフィン転化)反応や、アンモニアを還元剤とする窒素酸化物の還元反応に用いられる触媒に適したゼオライトとして期待されている。
特許文献1では、有機構造指向剤(以下、「SDA」という。)としてキヌクリジン誘導体を含む原料から合成されたAFX型ゼオライトとして、SSZ−16が開示されている。
また特許文献2及び非特許文献1では、SDAとして、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン誘導体等を含む原料から合成されたSSZ−16が開示されている。非特許文献1で開示されたSSZ−16の平均粒径は約2.0μmである。
また非特許文献2では、SDAとして、イミダゾリウム誘導体を含む原料から合成されたSSZ−16が開示されている。非特許文献2で開示されたSSZ−16の平均粒径は約4.3μmである。
一方、平均粒径の小さいゼオライトの製造方法として、粉砕したゼオライトをアルミノシリケート溶液中で再結晶化する方法が知られている(特許文献3)。しかしながら、特許文献3に開示された条件によってAFX型ゼオライトを微細化できた例は、これまで報告されていない。
米国特許第4508837号明細書 米国特許第5194235号明細書 特開2011−246292号公報
The Journal of Physical Chemistry C 114 (2010) 1633−1640 ACS Catalysis 2 (2012) 2490−2495
本発明の課題は、細孔内拡散が律速となる触媒反応や、結晶外表面を利用した触媒反応等において有用な、平均粒径の小さい微結晶のAFX型ゼオライトを提供することである。本発明のもう1つの課題は、平均粒径の小さい微結晶のAFX型ゼオライトの製造方法を提供することである。
本発明者らは、AFX型ゼオライトの結晶化手法について検討した。その結果、AFX型ゼオライトを粉砕したものを前駆物質とし、これを特定の条件で再結晶化することにより、本発明のAFX型ゼオライトが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明(I)は、0.5μm以下の平均粒径及び0.20cm/g以上、かつ、0.28cm/g以下の細孔容積を有するAFX型ゼオライトである。
本発明(II)は、0.5μm以下の平均粒径及び0.20cm/g以上、かつ、0.28cm/g以下の細孔容積を有するAFX型ゼオライトを製造する方法であって、
AFX型ゼオライトを粉砕して0.5μm以下の平均粒径を有する前駆物質を調製する工程、及び
前記前駆物質を次の組成
SiO/HOモル比 = 0.02以上、かつ、0.05以下
Al/HOモル比 = 0.00001以上、かつ、0.00004以下
O/HOモル比 = 0.021以上、かつ、0.025以下
(ただし、Mはアルカリ金属を表す。)
を有するアルミノシリケート溶液中で加熱して再結晶化する工程
を含む方法である。
本発明は、次の態様[1]〜[7]を含む。
[1]0.5μm以下の平均粒径及び0.20cm/g以上、かつ、0.28cm/g以下の細孔容積を有するAFX型ゼオライト。
[2]0.04μm以上、かつ、0.2μm以下の平均粒径を有する[1]に記載のAFX型ゼオライト。
[3]アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属からなる群から選択される少なくとも1種を含有する[1]又は[2]に記載のAFX型ゼオライト。
[4]0.5μm以下の平均粒径及び0.20cm/g以上、かつ、0.28cm/g以下の細孔容積を有するAFX型ゼオライトを製造する方法であって、
AFX型ゼオライトを粉砕して0.5μm以下の平均粒径を有する前駆物質を調製する工程、及び
前記前駆物質を次の組成
SiO/HOモル比 = 0.02以上、かつ、0.05以下
Al/HOモル比 = 0.00001以上、かつ、0.00004以下
O/HOモル比 = 0.021以上、かつ、0.025以下
(ただし、Mはアルカリ金属を表す。)
を有するアルミノシリケート溶液中で加熱して再結晶化する工程
を含む方法。
[5]前記再結晶化する工程を50〜230℃の温度で行うことを特徴とする[4]に記載の方法。
[6]前記再結晶化する工程を密封耐圧容器中で120〜160℃の温度で行うことを特徴とする[4]に記載の方法。
[7]前記再結晶化する工程後にAFX型ゼオライトに金属を含有させる工程を含む[4]〜[6]のいずれかに記載の方法。
本発明のAFX型ゼオライトは平均粒径が極めて小さいことから、細孔内拡散が律速となる触媒反応や、結晶外表面を利用した触媒反応等に利用することができる。
本発明のAFX型ゼオライト(実施例1)のSEM観察結果である。 実施例1の原料ゼオライトのXRD測定結果である。 実施例1の粉砕後のゼオライトのXRD測定結果である。 実施例1の再結晶化後のゼオライトのXRD測定結果である。 本発明のAFX型ゼオライト(実施例3)のSEM観察結果である。 実施例3の粉砕後のゼオライトのXRD測定結果である。 実施例3の再結晶化後のゼオライトのXRD測定結果である。 原料ゼオライトのSEM観察結果である。 実施例4及び比較例1のイオン交換時間とCu/Alモル比との関係を示すグラフである。
以下、本発明のAFX型ゼオライトについて説明する。
本発明はAFX型ゼオライトに係る。AFX型ゼオライトとは、AFX構造を有するゼオライトであり、特にAFX構造を有するアルミノシリケートである。
AFX構造とは、国際ゼオライト学会(International ZeoliteAssociation;以下、「IZA」という。)のStructure Commissionが定めているIUPAC構造コードで、AFX型となる構造である。
本発明のAFX型ゼオライトは、平均粒径が0.5μm以下である。本明細書における「平均粒径」は次のように定義される。すなわち、走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」という。)により得られる観察像において、結晶の一次粒子の水平フェレ径を測定する。無作為に計測した30個以上の水平フェレ径の算術平均値を平均粒径とする。ここで一次粒子とは、単結晶が集合して形成された多結晶体の粒子であり、一次粒子の集合体である二次粒子とは異なる。通常、本発明のAFX型ゼオライトは、一次粒子がSEMにおいて観察される最小単位の粒子である。
本発明のAFX型ゼオライトは、平均粒径が0.2μm以下であることが好ましい。平均粒径は0.2μm以下、更には0.18μm以下、また更には0.15μm以下、また更には0.1μm以下であることが好ましい。これにより細孔内における分子及びイオンの拡散が有利になりやすい。また、結晶の比表面積における、外表面積の占める割合が大きくなるため、外表面を利用した触媒反応が有利になる。また、本発明のAFX型ゼオライトは、平均粒径が0.04μm以上、更には0.06μmであることが好ましい。これにより耐熱性が向上しやすい。
本発明のAFX型ゼオライトは、細孔容積が、好ましくは0.20cm/g以上、かつ、0.28cm/g以下であり、より好ましくは0.21cm/g以上、かつ、0.27cm/g以下であり、さらに好ましくは0.22cm/g以上、かつ、0.27cm/g以下である。
本発明のAFX型ゼオライトは、前駆物質の調製に供するAFX型ゼオライト(以下、「原料ゼオライト」ともいう。)に対し、50%以上の細孔容積を有していることが好ましく、更には70%以上、また更には80%以上、また更には90%以上の細孔容積を有していることが好ましい。
細孔容積が大きいほど、非晶質部分が少ないことを意味し、反応に有効に利用できる細孔が多いという利点がある。
なお、AFX型ゼオライトの水熱結晶化過程の初期において、本発明のAFX型ゼオライトと同様の平均粒径が小さいAFX型ゼオライトが存在することが理論的に考えられる。しかしながら、そのようなAFX型ゼオライトは非晶質原料の一部に微量存在するものであり、主成分は非晶質である。従ってその細孔容積は本発明のAFX型ゼオライトの細孔容積よりも著しく小さくなる。
本発明のAFX型ゼオライトはSiO/Alが5以上であることが好ましい。ゼオライトはSiO/Alが高い程耐熱性が向上し、かつ、疎水性となるため、SiO/Alは6以上、更には7以上であることが好ましい。ゼオライトはSiO/Alが低いと固体酸量が多くなり、触媒活性が向上し、親水性となるため、SiO/Alは12以下、10以下、9以下、また更には8以下が好ましい。
本発明のAFX型ゼオライトは、各種の触媒や吸着剤などの用途に応じて金属を含有していてもよい。AFX型ゼオライトが含有する金属はアルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属からなる群から選択される少なくとも1種を挙げることができ、遷移金属であることが好ましい。特に好ましい金属として白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、銀(Ag)、鉄(Fe)、銅(Cu)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)及びインジウム(In)を挙げることができる。本発明のAFX型ゼオライトを窒素酸化物還元触媒として使用する場合、鉄又は銅の少なくともいずれか、また更には実質的に銅を含有することが好ましい。
本発明のAFX型ゼオライトが含有する金属は、アルミニウムに対する金属のモル比として0.1以上、更には0.15以上、また更には0.2以上であることが好ましい。
次に、本発明のAFX型ゼオライトの製造方法について説明する。
本発明のAFX型ゼオライトは、原料ゼオライトを粉砕し、これをアルミノシリケート溶液中で再結晶化することにより製造することができる。
本発明(II)は、0.5μm以下の平均粒径及び0.20cm/g以上、かつ、0.28cm/g以下の細孔容積を有するAFX型ゼオライトを製造する方法であって、
AFX型ゼオライトを粉砕して0.5μm以下の平均粒径を有する前駆物質を調製する工程(以下「粉砕工程」ともいう。)、及び
前記前駆物質を次の組成
SiO/HOモル比 = 0.02以上、かつ、0.05以下
Al/HOモル比 = 0.00001以上、かつ、0.00004以下
O/HOモル比 = 0.021以上、かつ、0.025以下
(ただし、Mはアルカリ金属を表す。)
を有するアルミノシリケート溶液中で加熱して再結晶化する工程(以下「再結晶化工程」ともいう。)
を含む方法である。
原料ゼオライトはAFX型ゼオライトであり、これは公知の方法により得ることができる。例えば、非特許文献1に開示される方法により、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン−C4−ジクアットジブロミド(以下、「DC4Br」という。)をSDAとして、原料ゼオライトを合成することができる。
原料ゼオライトの組成は特に限定されないが、SiO/Alが5以上であることが好ましい。この範囲であれば、本発明の好ましいAFX型ゼオライトが得られやすい。また原料ゼオライトの組成はSiO/Alが12以下であることが好ましい。この範囲であれば、本発明の好ましいAFX型ゼオライトが得られやすい。
原料ゼオライトの平均粒径は、例えば、0.5μm超、更には1.0μm以上を挙げることができる。好ましくは、原料ゼオライトの平均粒径は0.5μm超、かつ、10μm以下、更には1.0μm以上、かつ、8.0μm以下、また更には3.0μm以上、かつ、6.0μm以下である。
原料ゼオライトの細孔容積は、0.22cm/g以上、かつ、0.30cm/g以下を挙げることができ、0.25cm/g以上、かつ、0.28cm/g以下であることが好ましい。
粉砕工程では、原料ゼオライトを粉砕して0.5μm以下の平均粒径を有する前駆物質を調製する。原料ゼオライトの粉砕は、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル又はジェットミル等を用いて行なうことができる。ゼオライトの微細化に適することから、ビーズミルが好ましい。
粉砕により平均粒径が0.04μm以上、かつ、0.5μm以下となった原料ゼオライトを前駆物質として、本発明のAFX型ゼオライトの製造に用いることができる。
粉砕工程を経たゼオライトは、その粉砕の程度に応じて不可避的に非晶質化し、細孔容積が低下する。特に、平均粒径が0.04μm以上、かつ、0.5μm以下、更には0.04μm以上、かつ、0.2μm以下となるまで粉砕したゼオライトは著しく非晶質化するため、前駆物質の細孔容積は0.1cm/g以下、更には0.05cm/g以下、また更には0.03cm/g以下である。粉砕のみによって本発明のAFX型ゼオライトを製造することはできない。
再結晶化工程では、前記前駆物質をアルミノシリケート溶液中で加熱して再結晶化する。ここで、アルミノシリケート溶液とは、溶解したアルカリ金属、ケイ素及びアルミニウムを含む水溶液をいう。アルミノシリケート溶液には未反応のSDAが含まれていてもよいが、アルカリ金属、ケイ素、アルミニウム及びSDA以外の物質を実質的に含まないことが好ましい。
アルミノシリケート溶液は、以下の組成を有するものを用いる。これにより、再結晶化が速やかに進行し、結晶性の高いAFX型ゼオライトが得られる。
SiO/HOモル比 = 0.02以上、かつ、0.05以下
Al/HOモル比 = 0.00001以上、かつ、0.00004以下
O/HOモル比 = 0.021以上、かつ、0.025以下
ただし、Mはアルカリ金属を表し、好ましくはナトリウムまたはカリウムであり、より好ましくはナトリウムである。
アルミノシリケート溶液は、好ましくは、以下の組成を有する。
SiO/HOモル比 = 0.03以上、かつ、0.045以下
Al/HOモル比 = 0.000015以上、かつ、0.000035以下
O/HOモル比 = 0.0215以上、かつ、0.024以下
アルミノシリケート溶液は、より好ましくは、以下の組成を有する。
SiO/HOモル比 = 0.035以上、かつ、0.042以下
Al/HOモル比 = 0.00002以上、かつ、0.000025以下
O/HOモル比 = 0.022以上、かつ、0.023以下
アルミノシリケート溶液は、MO、Al及びSiOを含む原料を、上記組成を与える混合比で水に溶かすことにより得られる。水温は通常50〜230℃程度が好ましい。
アルミノシリケート溶液による再結晶化の条件は以下のとおりである。
温度 : 50〜230℃、好ましくは120〜160℃
処理時間 : 1〜24時間、好ましくは4〜24時間
容器 : 特に制限は無いが、100℃以上の場合は密閉耐圧容器、例えば密封型オートクレーブを用いることが好ましい。
アルミノシリケート溶液中の原料ゼオライトの量は、100mLのアルミノシリケート溶液に対し、0.5〜10g程度が好ましい。
本発明でAFX型ゼオライトの合成及び再結晶化に用いる原料について説明する。
SiOを含む原料としては、シリカ又はその前駆体となるケイ素化合物であり、例えば、コロイダルシリカ、無定型シリカ、珪酸ナトリウム、テトラエチルオルトシリケート、沈殿法シリカ、ヒュームドシリカ、ゼオライト及びアルミノシリケートゲルからなる群の少なくとも1種を挙げることができる。
Alを含む原料としては、アルミナ又はその前駆体となるアルミニウム化合物であり、例えば、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミノシリケートゲル、ゼオライト及び金属アルミニウムからなる群の少なくとも1種を用いることができる。
Oを含む原料としては、アルカリ金属の水酸化物又はアルカリ金属のハロゲン化物であり、特に塩基性を示すアルカリ金属の水酸化物である。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムからなる群の少なくとも1種、並びに、SiOを含む原料及びAlを含む原料の少なくともいずれかに含まれるアルカリ成分を挙げることができる。
本発明のAFX型ゼオライトは平均粒径が極めて小さいことから、細孔内拡散が律速となる触媒反応や、結晶外表面を利用した触媒反応等に利用することができる。また触媒反応時におけるコーキングによる失活を低減することができる。
本発明のAFX型ゼオライトがアルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属からなる群の少なくとも1種を含有する場合、本発明の製造方法において、再結晶化工程後にAFX型ゼオライトに金属を含有させる工程を含んでいてもよい。当該工程においては、イオン交換等の公知の方法でこれらの金属を含有させればよい。金属を含有させる場合、必要に応じて、再結晶工程を経たAFX型ゼオライトを洗浄、乾燥、焼成してもよい。
本発明の製造方法により得られるAFX型ゼオライトは、従来のAFX型ゼオライトと比較して、より効率よく金属を含有させることができ、さらには、より多くの金属を含有させることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(粉末X線回折)
X線回折装置(装置名:Ultima IV diffractometer、Rigaku製)を使用し、試料のXRD測定を行った。結晶化度は、2θ=17.4°、21.8°、27.35°、31.65°、33.22°の各ピーク面積の和を、参照試料と対比し、百分率で求めた。
(組成分析)
ゼオライトについては蛍光X線分析装置(装置名:JEOL JSX−3400R II、JEOL製)を用いて、試料の組成分析を行った。
(平均粒径の測定)
電界放出型走査電子顕微鏡(装置名:S−4800、Hitachi製)を用いて、試料の観察を行った。無作為に計測した30個以上の一次粒子の水平フェレ径を測定し、その算術平均値を平均粒径とした。
(細孔容積の測定)
比表面積・細孔分布測定装置(装置名:Autosorb iQ、Quantachrome Instruments製)を用いて、試料の細孔容積を測定した。試料は空気中で550℃、10時間の焼成を行い、SDAを除去した後に測定に供した。
(粉砕)
ビーズミル(装置名:LMZ015、Ashizawa Finetech Ltd., Tokyo, Japan製)を用いて、試料の粉砕を行った。粉砕は300μm径のジルコニアビーズを用い、周速10m/sで30分又は2時間の処理を行った。
(DC4Brの合成)
非特許文献1を参照して、DC4Brを合成した。(A)1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン及び(B)1,4−ジブロモブタンの所定量をそれぞれメタノールに溶解させ、溶液(A)及び溶液(B)を調製した。溶液(A)に溶液(B)を滴下して得た白色沈殿をジエチルエーテルにより繰り返し洗浄し、乾燥してDC4Brを得た。合成したDC4Brを純水に溶解させ、DC4Br水溶液を調製した。
(AFX型ゼオライトの合成)
DC4Br水溶液にNaOH水溶液、純水、及びY型ゼオライト(商品名:HSZ−373HUA、東ソー株式会社製)を加え、撹拌混合した。得られた混合物の組成はモル比で以下のとおりであった。
SiO/Al = 29.0
NaOH/SiO = 0.85
DC4Br/SiO = 0.1
O/SiO = 18
得られた混合物を密閉式オートクレーブに移し、オートクレーブを回転させながら、140℃で2日間加熱して生成物を得た。
生成物を遠心分離し、上澄み液を分取した。生成物組成及び仕込み組成から計算された上澄み液の組成は以下のとおりであった。
SiO/HO = 0.0406
Al/HO = 0.000023
NaO/HO = 0.0225
固形分は洗浄し、80℃で乾燥した。XRD測定の結果、生成物はAFX型ゼオライトであることを確認した。平均粒径は4.5μmであった。SEM観察結果を図8に示す。また細孔容積は0.27cm/gであった。これを、以下の実施例の原料ゼオライトとして用いた。
実施例1
原料ゼオライトをビーズミルを用いて30分間粉砕した。粉砕後の試料はXRD測定の結果、結晶化度が大きく低下し、原料ゼオライトに対する結晶化度は約40%であった。細孔容積測定のために焼成した後の試料はほぼ非晶質であった。細孔容積は0.02cm/gであった。平均粒径は0.17μmであった。粉砕後の試料0.2gに、AFX型ゼオライトの合成の際に分取した上澄み液4gをアルミノシリケート溶液として加え、再び密閉式オートクレーブに移し、静置状態で140℃で4時間加熱して生成物を得た。XRD測定の結果、生成物はAFX型ゼオライトであった。生成物の原料ゼオライトに対する結晶化度は92%であり、再結晶化が確認された。生成物の細孔容積は0.22cm/gであり、原料ゼオライトの約81%であることを確認した。生成物の平均粒径は0.17μmであった。SEM観察結果を図1に示す。原料ゼオライトのXRD測定結果を図2に示す。粉砕後のゼオライトのXRD測定結果を図3に示す。再結晶化後のゼオライトのXRD測定結果を図4に示す。
実施例2
再結晶化の処理時間を24時間とした以外は、実施例1と同様の方法により再結晶化を行い、生成物を得た。XRD測定の結果、生成物はAFX型ゼオライトであった。生成物の細孔容積は0.25cm/gであり、原料ゼオライトの約95%であることを確認した。
実施例3
原料ゼオライトをビーズミルを用いて120分間粉砕した。粉砕後の試料はXRD測定の結果、結晶化度が大きく低下し、原料ゼオライトに対する結晶化度は約24%であった。細孔容積測定のために焼成した後の試料はほぼ非晶質であった。細孔容積は0.01cm/gであった。平均粒径は0.06μmであった。粉砕後の試料0.2gに、AFX型ゼオライトの合成の際に分取した上澄み液4gを加え、再び密閉式オートクレーブに移し、静置状態で140℃で24時間加熱して生成物を得た。XRD測定の結果、生成物はAFX型ゼオライトであった。生成物の原料ゼオライトに対する結晶化度は84%であり、再結晶化が確認された。生成物の細孔容積は0.22cm/gであり、原料ゼオライトの約81%であることを確認した。生成物の平均粒径は0.07μmであった。SEM観察結果を図5に示す。粉砕後のゼオライトのXRD測定結果を図6に示す。再結晶化後のゼオライトのXRD測定結果を図7に示す。
以上の結果を表1に示す。
表1のとおり、本発明のAFX型ゼオライトは極めて平均粒径が小さい。また、原料ゼオライトと比較して結晶化度及び細孔容積の低下が小さく、非晶質部分の殆ど無い良好な結晶であることがわかる。
実施例4
実施例2と同様な方法でAFX型ゼオライトを得た。得られたAFX型ゼオライトを550℃で10時間焼成した。次に、3重量%の酢酸銅水溶液6g及び0.1M HCl水溶液10gを純水84gと混合してイオン交換水溶液とした。当該イオン交換水溶液10gに対し、焼成後のAFX型ゼオライト0.1gを添加し、撹拌しながら室温でイオン交換したのち、遠心分離機により分離して銅含有AFX型ゼオライトを得た。イオン交換は処理時間を2分、6分及び30分として行った。
得られた各銅含有AFX型ゼオライトを組成分析した。得られた銅含有AFX型ゼオライトのCu/Alモル比を表2に、Cu/Alモル比をイオン交換時間に対してプロットした結果を図9に示す。
比較例1
原料ゼオライトを用いたこと以外は実施例4と同様の方法でイオン交換を行ない、銅含有AFX型ゼオライトを得た。得られた銅含有AFX型ゼオライトのCu/Alモル比を表2に、Cu/Alモル比をイオン交換時間に対してプロットした結果を図9に示す。
これらの実施例及び比較例よりも明らかなように、従来のAFX型ゼオライトと比べて本発明のAFX型ゼオライトは、より多くの金属を含有することができる。さらに、図9のとおり、本発明のAFX型ゼオライトは金属イオンの交換速度が早い。このような特性により、本発明のAFX型ゼオライトを触媒として用いる際には、より効率よくこれを製造することができるだけでなく、優れた触媒特性が期待できる。
本発明のAFX型ゼオライトは、例えばMTO反応触媒や、窒素酸化物浄化触媒として利用できる。

Claims (7)

  1. 0.5μm以下の平均粒径及び0.20cm/g以上、かつ、0.28cm/g以下の細孔容積を有するAFX型ゼオライト。
  2. 0.04μm以上、かつ、0.2μm以下の平均粒径を有する請求項1に記載のAFX型ゼオライト。
  3. アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属からなる群から選択される少なくとも1種を含有する請求項1又は2に記載のAFX型ゼオライト。
  4. 0.5μm以下の平均粒径及び0.20cm/g以上、かつ、0.28cm/g以下の細孔容積を有するAFX型ゼオライトを製造する方法であって、
    AFX型ゼオライトを粉砕して0.5μm以下の平均粒径を有する前駆物質を調製する工程、及び
    前記前駆物質を次の組成
    SiO/HOモル比 = 0.02以上、かつ、0.05以下
    Al/HOモル比 = 0.00001以上、かつ、0.00004以下
    O/HOモル比 = 0.021以上、かつ、0.025以下
    (ただし、Mはアルカリ金属を表す。)
    を有するアルミノシリケート溶液中で加熱して再結晶化する工程
    を含む方法。
  5. 前記再結晶化する工程を50〜230℃の温度で行うことを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 前記再結晶化する工程を密閉耐圧容器中で120〜160℃の温度で行うことを特徴とする請求項4に記載の方法。
  7. 前記再結晶化する工程後にAFX型ゼオライトに金属を含有させる工程を含む請求項4〜6のいずれか1項に記載の方法。
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