JP2024030633A - ゼオライトの製造方法、その方法により得られたゼオライト、およびゼオライトを備えたハニカム積層触媒 - Google Patents

ゼオライトの製造方法、その方法により得られたゼオライト、およびゼオライトを備えたハニカム積層触媒 Download PDF

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Abstract

【課題】MTO反応触媒やSCR用材料に用いることができ、優れた高温安定性や長期耐久性に優れ、かつ適切な活性点サイト量を有するゼオライトを収率よく製造する方法を提供する。【解決手段】シリカ源およびアルミナ源と、有機構造規定剤と、アルカリ金属水酸化物と、水とを少なくとも含む組成物を調製する工程、および前記組成物を水熱処理する工程を含むゼオライトの製造方法であって、有機構造規定剤として、N,N,N’,N’-テトラアルキルビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3:5,6-ジピロリジニウムおよび/またはN,N,N',N'-テトラアルキルビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3:5,6-ジピロリジニウムと、N,N,N-トリアルキル-1-アダマンタンアンモニウムヒドロキシドとを含む。【選択図】なし

Description

本発明は新規なゼオライトの製造方法に関し、より詳細には特定の有機構造規定剤を使用した新規ゼオライトの製造方法、当該方法により得られたゼオライト、およびゼオライトを備えたハニカム積層触媒に関する。
AFX型ゼオライトは、自動車排気ガス中の窒素酸化物を浄化するためのSCR(Selective Catalytic Reduction 選択触媒還元)用材料や炭素数1~4のアルコールをオレフィン化する触媒として有用である。AFX型ゼオライトの合成には、骨格構造形成のために構造規定剤が使用される。構造規定剤はOSDA(Organic Structure Directing Agents、有機構造規定剤)とも呼ばれ、例えば、N,N,N’,N’-テトラエチルビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3:5,6-ジピロリジニウムが知られている。N,N,N’,N’-テトラエチルビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3:5,6-ジピロリジニウム(以下、TEBOPと称する)は、AFX型ゼオライトに加え、MCM-68ゼオライトの調製時にもOSDAとして使用される有用な化合物である(例えば、特許文献1および2、非特許文献1参照)。そして、TEBOPをOSDAとしたゼオライトは結晶性が高いことから安定性が高いことが開示されている。また、特許文献3には、N,N,N’,N’-テトラエチルビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3:5,6-ジピロリジニウム(2+)(以下、H2TEBOPと称する)をAFX型ゼオライトのOSDAとして使用したことが開示されている。
また、SCR用材料としてチャバザイト(CHA)型ゼオライトも使用されており、例えば特許文献4には、FAU型ゼオライトを種晶とし、アダマンチルトリメチルアンモニウム水酸化物(TMAdaOH)をOSDAとして使用したCHA型ゼオライトの製造方法が開示されている。
さらに、特許文献5には、AFX構造とCHA構造との連晶構造を有するゼオライトを製造したことが開示されている。
米国特許出願公開第6049018号明細書 特開2016-169139号公報 国際公開2020-241202号パンフレット 特開2022-40056号公報 特開2017-65943号公報
N. Nakazawa et al., Adv. Porous Mater., 4 (2016) 219.
OSDAとして、TEBOPやH2TEBOPを用いたAFX型ゼオライトは、MTO(Methanol to Orefin)反応用触媒として優れた転化率を持つものの、本発明者らの検討により、これらAFX型ゼオライトは失活が早く触媒のライフが短いという課題を有していることが判明した。また、FAU型ゼオライトを種晶としOSDAとしてTMAdaOHを使用したCHA型ゼオライトもMTO反応触媒として優れた転化率を持つものの、AFX型ゼオライトと同様に失活が早く触媒のライフが短いという課題を有していることが判明した。さらに本発明者らは、AFX―CHAの連晶構造を持つ新規ゼオライトについても検討を行ったが、収率、触媒活性および触媒耐久性が未だ不十分であることが分かった。
したがって、本発明の目的は、MTO反応触媒やSCR用材料に用いることができ、優れた高温安定性や長期耐久性に優れ、かつ適切な活性点サイト量を有するゼオライトを収率よく製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、特定の構造を持つOSDAの組み合わせであれば、連晶(Intergrowth)構造を持つゼオライトを効率よく製造でき、かつMTO反応触媒や自動車排ガス用SCR材料として有用であることを見出した。即ち、本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] シリカ源およびアルミナ源と、有機構造規定剤と、アルカリ金属水酸化物と、水とを少なくとも含む組成物を調製する工程、および
前記組成物を水熱処理する工程、
を含む、ゼオライトの製造方法であって、
前記有機構造規定剤が、
下記式(1):
(式(1)R1~Rは、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基を表す。)
により表される化合物および/またはその塩、ならびに
下記式(2):
(式(2)R1~Rは、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基を表す。)
により表される化合物および/またはその塩、
から選択される少なくとも1種と、
下記式(3):
(式(3)R~Rは、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基を表す。)
により表されるN,N,N-トリアルキルアダマンチルアンモニウム塩と、
を含む、ゼオライトの製造方法。
[2] 前記式(1)および(2)において、R1~Rがエチル基である、[1]に記載の方法。
[3] 前記式(3)において、R~Rがメチル基である、[1]または[2]に記載の方法。
[4] 前記シリカ源およびアルミナ源がFAU型アルミノシリケートを含む、[1]~[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5] 前記アルカリ金属水酸化物が、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムから選択される少なくとも1種である、[1]~[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6]前記組成物中に、前記式(1)ならびに(2)から選択される少なくとも1種の化合物および/またはその塩と、前記式(3)の化合物とが、物質量基準において、1:10~10:1の割合で含まれる、[1]~[5]のいずれか一項に記載の方法。
[7] X線回折データが、以下の2θ値(°):7.50±0.2、8.77±0.3、11.62±0.2、12.95±0.1、15.65±0.12、17.96±0.1、20.35±0.1、21.83±0.1、23.91±0.1、26.06±0.1、28.10±0.2、30.50±0.1を含む、ゼオライト。
[8] 水以外の組成が、下記組成:
a/bSi48-cAl96
(式中、Mは金属カチオンまたは水素イオンを表し、aは1~10であり、bはMの価数であり、cは4~12である。)
により表される、[7]に記載のゼオライト。
[9] SAR(SiO/Al比)が、10以上16以下であり、
粉末X線回折分析によって得られるXRDチャートにおいて、2θ=12.95°±0.1°が最強線であり、
平均粒子径が、0.6μm以上であり、
遷移金属が担持された、
[7]または[8]に記載のゼオライト。
[10] ハニカム担体と、
前記ハニカム担体上に塗布された[7]~[9]のいずれか一項に記載のゼオライトと、
を備えたハニカム積層触媒。
[11] 炭素数1~4のアルコールをオレフィン化またはアルカン化するための、[10]に記載のハニカム積層触媒。
[12] [10]に記載のハニカム積層触媒を備えた、自動車排気ガス中の窒素酸化物を浄化するためのSCR用材料。
本発明によれば、特定の構造を持つOSDAの組み合わせることにより、MTO反応触媒やSCR用材料に用いることができ、優れた高温安定性や長期耐久性に優れ、かつ適切な活性点サイト量を有する連晶(Intergrowth)構造を持つゼオライトを収率よく製造する方法を提供することができる。
実施例1において得られたN,N,N’,N’-テトラエチルビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3:5,6-ジピロリジニウム二ヨウ化物のDO溶液の1HNMRスペクトルデータを示す図である。図中の※は、内部標準(4,4-ジメチル-4-シラペンタン-1-スルホン酸)のピークである。 実施例1において得られたN,N,N’,N’-テトラエチルビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3:5,6-ジピロリジニウム二ヨウ化物のDO溶液の13CNMRスペクトルデータを示す図である。図中の※は、内部標準(4,4-ジメチル-4-シラペンタン-1-スルホン酸)のピークである。 実施例1のAFX-CHA連晶ゼオライトのXRDチャートを示す図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はこれらに限定されるものではない。すなわち、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲内で任意に変更して実施することができる。なお、本明細書において、「~」を用いてその前後に数値または物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いる。例えば「1~100」との数値範囲の表記は、その上限値「100」および下限値「1」の双方を包含するものとする。また、他の数値範囲の表記も同様である。
[組成物の調製工程]
本発明による新規ゼオライトの製造方法は、シリカ源およびアルミナ源と、有機構造規定剤と、アルカリ金属水酸化物と、水とを少なくとも含む組成物を調製し、前記組成物を水熱処理することを含む。以下、組成物の調製工程について説明する。
<シリカ源およびアルミナ源>
原料として用いるシリカおよびアルミナ源としては、シリカアルミナ比(SiO/Al、以降において「SAR」と称する場合がある。)が2以上50未満のアルミノ珪酸塩(Si-Al元素源)を少なくとも含むものである限り、公知のものを特に制限なく用いることができる。その種類は特に限定されない。ここで、アルミノ珪酸塩とは、ケイ酸塩中のケイ素原子の一部がアルミニウム原子に置き換えられた構造を有するものである。また、シリカアルミナ源の結晶形態については、特に制限するものではないが、非晶質でもよいし、FAUのようなゼオライト構造を有していてもよい。なお、シリカアルミナ比は、5以上40未満が好ましく、より好ましくは10以上30以下である。なお、本明細書において、シリカアルミナ比は、蛍光X線分析から求められる値を意味する。具体的には、Axios(スペクトリシス社)を用いて、試料約5gを20tで加圧成型したサンプルを測定に供し、得られたAlおよびSiOの質量%の結果からSARを算出した。
シリカおよびアルミナ源としては、上述したSi-Al元素源を単独で使用可能であるが、Si元素源(ただし、前記Si-Al元素源に該当するものは除く。)やAl元素源(ただし、前記Si-Al元素源に該当するものは除く。)との併用であってもよく、また、Si元素源およびAl元素源の混合物をシリカおよびアルミナ源として用いることもできる。例えば、シリカおよびアルミナ源として、Si-Al元素源に、さらにSi元素源(但し、前記Si-Al元素源に該当するものは除く。)および/またはAl元素源(但し、前記Si-Al元素源に該当するものは除く。)を併用した態様であってもよい。これらの中でも、好ましくは、Si-Al元素源単独での使用である。
Si元素源としては、例えば、沈降シリカ、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、シリカゲル、ケイ酸ナトリウム(メタケイ酸ナトリウム、オルソ珪酸ナトリウム、珪酸ソーダ1号、2号、3号、4号等)、テトラエトキシシラン(TEOS)やトリメチルエトキシシラン(TMEOS)等のアルコキシシラン等が挙げられるが、これらに特に限定されない。但し、本明細書において、SARが2以上20未満のアルミノ珪酸塩は、上述したSi-Al元素源に該当し、このSi元素源には含まれないものとする。
なお、Si元素源は、1種を単独で、または2種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いることができる。
Al元素源としては、例えば、水酸化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、水酸化酸化アルミニウム、酸化アルミニウム等が挙げられるが、これらに特に限定されない。但し、本明細書において、SARが2以上50未満のアルミノ珪酸塩は、上述したSi-Al元素源に該当し、このAl元素源には含まれないものとする。
なお、Al元素源は、1種を単独で、または2種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いることができる。
本発明の製造方法得られるゼオライトのSARは、2以上50未満であることが好ましく、5以上40未満であることがより好ましく、10以上16以下であることがさらに好ましい。本発明の製造方法により得られるゼオライトのSARは、上述したように、AFX型ゼオライトの製造においてSARが2以上50未満の範囲のアルミノ珪酸塩(Si-Al元素源)を使用することにより、上記範囲に調整することができる。
<有機構造規定剤(OSDA)>
本発明のゼオライトの製造方法においては、有機構造規定剤(以下、OSDAと略す場合がある)として、上記式(1)および(2)から選択される少なくとも1種の化合物と、上記式(3)により表される化合物とを併用して用いる点に特徴がある。これまでも、特許文献5に記載のように、AFX構造とCHA構造との連晶構造を有するゼオライトの製造方法は知られているものの、ここで使用されているAFX構造に対応するSDA2源として用いられている1,3-ジ(1-アダマンチル)イミダゾリウムカチオン(DAdI)は1価のカチオンである。ゼオライト骨格にAl原子が取り込まれるためには電荷補償のために対応するカチオンが構造内に取り込まれることが必要である。カチオンはこの場合、アルカリ金属イオンおよびまたはSDAカチオンである。AFX構造の単位胞は4個のd6rユニット、2個のgmeユニットおよび2個のaftユニットから構成されている。このうち当該SDAを内部に取り込めるユニットは2個のaftユニットのみである。従って、単位胞あたりSDA2に対応するAl原子は最大2個まで取り込むことができる。
これに対して、本発明において使用するOSDAのうち、上記式(1)により表される化合物(即ち、N,N,N’,N’-テトラアルキルビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3:5,6-ジピロリジニウム)、または上記式(2)により表される化合物(即ち、N,N,N',N'-テトラアルキルビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3:5,6-ジピロリジニウム)は2価カチオンであるため、OSDA1分子につきAl2原子を取り込むことができる。この効果によって単位胞あたり2個のAl原子を余分に骨格内に取り込むことができる。例えば、単位胞に2個のOSDAと2個のアルカリ金属イオンが取り込まれた場合、DAdIカチオンの場合では計4個のAl原子が取り込まれる。単位胞のテトラヘドラル原子の数は48であるので、このときSi原子数は48-4=44個となり、SiO/Al比(SAR)は44/4×2=22となる。一方で、H2TEBOP2+ダイカチオンの場合は同様の状況下で6個のAl原子を単位胞に取り込むことができ、このときのSARは42/6×2=14となる。
上記のように、AFX構造に対応するOSDA源として用いられている1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]-オクタン-ジクアットジカチオン(DC42+)は、H2TEBOP2+と同様に2価カチオンであるが、AFX型ゼオライト合成に際して多くのアルカリ量が必要となる。例えば特許文献5の実施例1では、SiO単位物質量に対するアルカリ量はOH/SiO=0.8が必要であるが、このようにアルカリ量が多い場合にはSiO2の溶解度が増加し結果として収率が下がることが予想され、Al原子収率を最大の100%と見積もってもSi原子収率が30%以下に留まってしまうことが推定される。一方、特許文献5の実施例3では、得られるAFX-CHAの連晶のSARは4.2と低く、高温安定性や長期耐久性が充分でないことは推定できる。
上記式(1)において、R1~Rは、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基を表すが、同一のアルキル基であることが好ましい。また、アルキル基としては、炭素数1~4の直鎖状または分岐状のアルキル基を好適に挙げることができ、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。これらのアルキル基の中でも、炭素数1~3のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1~2のアルキル基である。具体的には、アルキル基としては、好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基であり、さらに好ましくはエチル基である。
上記式(1)により表される化合物は、公知の合成方法により製造することができ、その製造方法は特に限定されない。好ましい製造方法の一例としては、N,N’-ジアルキルビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3:5,6-ジピロリジンを、アルキル化試薬を用いてN-アルキル化することにより得ることができる。なお、N,N’-ジアルキルビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3:5,6-ジピロリジンは、N,N’-ジアルキルビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3:5,6-ジピロリジンを水素化することにより、製造することができる。具体的には、N,N’-ジアルキルビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3:5,6-ジピロリジンを、触媒の存在下または非存在下、水素源と反応させることにより製造される。
アルキル化試薬としては、N,N’-ジアルキルビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3:5,6-ジピロリジンの窒素をアルキル化するものであれば特に制限されず、例えば、R’-Xで表されるアルキル化試薬を挙げることができる。R’は、アルキル基であり、Xは、脱離基である。脱離基としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メチルスルホニル、トリフルオロメチルスルホニル、p-トルエンスルホニル等のスルホニル基;が好適に挙げられる。アルキル化試薬としては、好ましくはハロゲン化アルキルであり、より好ましくはハロゲン化メチル、ハロゲン化エチルである。
上記式(1)により表される化合物には塩の態様も含まれる。上記式(1)により表される化合物のアンモニウムカチオンと塩を形成するカウンターアニオンとしては、特に制限されず、無機アニオンであってもよく、有機アニオンであってもよい。本実施形態の塩を形成する際のカウンターアニオンとしては、例えば、水酸化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、ハロゲン化物イオン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ギ酸イオン、酢酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、シュウ酸イオン、フマル酸イオン、炭素数3~20の飽和または不飽和鎖状脂肪酸のアニオン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは水酸化物イオン、ハロゲン化物イオンである。すなわち、本実施形態の化合物の塩は、水酸化物、ハロゲン化物であることが好ましい。なお、本実施形態の化合物の塩は、2種以上の異なる塩の混合物であってもよい。
上記式(1)により表される化合物(塩)は、上述のようにして、アルキル化により得られる塩、すなわち、Xがカウンターアニオンである塩をゼオライトの合成にそのまま用いることができる。したがって、この場合は、水酸化物を調製する手間を省くことができ、ゼオライトの製造を効率的に行うことができる。また、例えば水酸化物として用いる場合には、従来と同様に、水酸化物型の陰イオン交換樹脂でイオン交換し、濃縮する等すればよい。
アルキル化試薬の使用量は、合成効率や純度等を考慮して適宜設定すればよく、特に限定されないが、式(2)で表される化合物の物質量に対し、通常2当量以上が目安とされ、好ましくは2~50当量であり、より好ましくは2~10当量である。
アルキル化試薬を用いたN-アルキル化反応は、溶媒の存在下、すなわち、湿式プロセス下で行ってもよい。溶媒は、出発物質であるN,N’-ジアルキルビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3:5,6-ジピロリジンを溶解できれば特に制限されず、反応温度や反応物等に応じて適宜選択すればよい。溶媒としては、例えば、水;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒;アセトニトリル、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒;テトラヒドロフラン(以下、THFとも記載する。)、ジエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒等が挙げられる。これら溶媒は、1種を単独であるいは2種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いることができる。これらの溶媒の中でも、好ましくはアルコール系溶媒である。
溶媒の使用の有無およびその使用量はその他の反応条件を考慮して適宜設定すればよく、特に制限されないが、式(2)で表される化合物の濃度を、反応混合物中、0.001~10mol/Lとすることが好ましく、0.01~5mol/Lとすることがより好ましく、0.01~3mol/Lとすることがさらに好ましい。
反応温度は、特に制限されないが、溶媒の種類等により適宜調整すればよい。反応温度は、通常20~200℃、好ましくは50~150℃、より好ましくは50~120℃の範囲である。また、反応は、溶媒が還流する温度で行ってもよい。
反応時間は、GC-MS等を用い反応の進行状況をモニタリングすることによって適宜調整すればよく、通常1分~100時間、好ましくは0.5時間~70時間、より好ましくは1時間~60時間である。
反応終了後の混合物は、上記反応で溶媒を用いる場合、得られた反応溶液を必要に応じて濃縮した後、残渣をそのまま原材料として使用してもよく、反応混合物を適宜後処理して上記式(1)で表される化合物を得てもよい。後処理の具体的な方法としては、水洗、ろ過、乾燥、抽出、蒸留、クロマトグラフィー等の公知の精製方法を挙げることができる。これらの精製方法は、2種以上を組み合わせて行ってもよい。また、後処理として、イオン交換樹脂等を用いることにより、カウンターアニオンの調整を行って、塩を得てもよい。具体的には、出発物質を、アルキル化試薬を用いてN-アルキル化する工程の後、得られた化合物を適宜溶媒に溶解し、イオン交換樹脂と接触させることにより、所望の塩とすることができる。
上記式(2)においても、R1~Rは、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基を表すが、同一のアルキル基であることが好ましい。また、アルキル基としては、炭素数1~4の直鎖状または分岐状のアルキル基を好適に挙げることができ、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。これらのアルキル基の中でも、炭素数1~3のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1~2のアルキル基である。具体的には、アルキル基としては、好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基であり、さらに好ましくはエチル基である。
上記式(2)により表される化合物は、公知の合成方法により製造することができ、その製造方法は特に限定されない。好ましい製造方法の一例としては、N,N’-ジアルキルビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3:5,6-ジピロリジンを、アルキル化試薬を用いてN-アルキル化する工程を含む製造方法が挙げられる。アルキル化試薬を用いたN-アルキル化反応は、上記した式(1)により表される化合物と共通するため説明を省略する。
上記式(2)により表される化合物には塩の態様も含まれる。上記式(2)により表される化合物のアンモニウムカチオンと塩を形成するカウンターアニオンとしては、特に制限されず、無機アニオンであってもよく、有機アニオンであってもよい。本実施形態の塩を形成する際のカウンターアニオンとしては、例えば、水酸化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、ハロゲン化物イオン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ギ酸イオン、酢酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、シュウ酸イオン、フマル酸イオン、炭素数3~20の飽和または不飽和鎖状脂肪酸のアニオン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは水酸化物イオン、ハロゲン化物イオンである。すなわち、本実施形態の化合物の塩は、水酸化物、ハロゲン化物であることが好ましい。なお、本実施形態の化合物の塩は、2種以上の異なる塩の混合物であってもよい。
上記式(2)により表される化合物(塩)は、上述のようにして、アルキル化により得られる塩、すなわち、Xがカウンターアニオンである塩をゼオライトの合成にそのまま用いることができる。したがって、この場合は、水酸化物を調製する手間を省くことができ、ゼオライトの製造を効率的に行うことができる。また、例えば水酸化物として用いる場合には、従来と同様に、水酸化物型の陰イオン交換樹脂でイオン交換し、濃縮する等すればよい。
本発明の製造方法に用いられる有機構造規定剤は、上記した式(1)の化合物および/またはその塩と、上記した式(2)の化合物および/またはその塩の両方が含まれることが好ましい。
上記式(3)により表される化合物(即ち、N,N,N-トリアルキル-1-アダマンタンアンモニウムヒドロキシド(以下、「TAAdOH」ともいう。)において、R~Rは、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基を表すが、同一のアルキル基であることが好ましい。また、アルキル基としては、炭素数1~4の直鎖状または分岐状のアルキル基を好適に挙げることができ、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。これらのアルキル基の中でも、炭素数1~3のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1~2のアルキル基である。具体的には、アルキル基としては、好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基であり、さらに好ましくはメチル基である。
上記式(3)により表される化合物は、公知の合成方法により製造することができ、その製造方法は特に限定されない。好ましい製造方法の一例としては、米国特許第4665110号明細書に記載されているように、1-アミノアダマンタンにトリブチルアミン存在下で3倍モルのメチルヨウ化物を反応させてN,N,N-トリメチル-1-アダマンタンアンモニウムヨウ化物を得た後、イオン交換樹脂を用いてイオン交換する方法によってN,N,N-トリメチル-1-アダマンタンアンモニウム水酸化物を製造することができる。
本発明の製造方法においては、上記した式(1)および/または(2)の化合物またはその塩と、上記式(3)の化合物とを併用するものであるが、式(3)の化合物(即ちTAAdOH)以外にも、N,N,N-トリアルキル-1-アダマンタンアンモニウム塩が含まれていてもよく、例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物、炭酸モノエステル塩、硫酸モノエステル塩、硝酸塩、硫酸塩が含まれていてもよい。
本発明において使用される有機構造規定剤は、組成物中に、前記式(1)ならびに(2)から選択される少なくとも1種の化合物および/またはその塩と、前記式(3)の化合物とが、質量基準において、10:1~1:10の割合で含むことが好ましく、2:1~1:2の割合で含むことがより好ましい。さらに、前記式(1)および/またはその塩と、前記式(3)の化合物とが、上記割合で含まれることが特に好ましい。
<アルカリ金属水酸化物>
アルカリ金属源としては、例えば、LiOH、NaOH、KOH、CsOH、RbOH等のアルカリ金属水酸化物、これらアルカリ金属のアルミン酸塩、上述したSi-Al元素源およびSi元素源中に含まれるアルカリ成分等が挙げられる。これらの中でも、NaOH、KOHが好適に用いられる。なお、組成物中のアルカリ金属は、無機構造指向剤としても機能し得るため、結晶性に優れるアルミノ珪酸塩が得られ易い傾向にある。なお、アルカリ金属源は、1種を単独で、または2種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いることができる。
<水>
本発明に製造方法において用いられる組成物に含まれる水は、水道水、RO水、脱イオン水、蒸留水、工業用水、純水、超純水等からを所望性能に応じたものを使用すればよい。また、組成物に対する水の配合方法は、上述した各成分とは別に配合してもよく、或いは、各成分と予め混合しておき、各成分の水溶液或いは分散液として配合してもよい。
本発明に製造方法において用いられる組成物は、シリカ源およびアルミナ源、各有機構造規定剤(OSDA)、アルカリ金属水酸化物、および水を混合することにより調製することができる。調製の際に必要に応じて、公知の混合機や攪拌機、例えばボールミル、ビーズミル、媒体撹拌ミル、ホモジナイザー等を用いて湿式混合することができる。なお、攪拌を行う場合、通常30~2000rpm程度の回転数で行うことが好ましく、より好ましくは50~1000rpmである。
組成物中の水の含有量は、反応性や取扱性等を考慮して適宜設定することができ、特に限定されないが、組成物の水シリカ比(HO/SiOモル比)が、通常5以上100以下であり、好ましくは6以上50以下、より好ましくは7以上40以下である。水シリカ比が上記好ましい範囲内にあることで、組成物の調製時或いは水熱合成による結晶化中の撹拌が容易となり、取扱性が高められるとともに、副生物や不純物結晶の生成が抑制されて高い収率が得られ易い傾向にある。なお、組成物に対する水の配合方法は、上述した各成分とは別に配合してもよく、或いは、各成分と予め混合しておき、各成分の水溶液或いは分散液として配合してもよい。
また、組成物中のシリカアルミナ比(SiO/Al)も、適宜設定することができ、特に限定されないが、通常5以上50以下であり、好ましくは7以上45未満、さらに好ましくは10以上16以下である。シリカアルミナ比が上記の好ましい範囲内にあることで、緻密な結晶が得られ易く、高温環境下或いは高温曝露後において熱的な耐久性に優れるアルミノ珪酸塩が得られ易い傾向にある。
一方、組成物中の水酸化物イオン/シリカ比(OH/SiOモル比)についても、適宜設定することができ、特に限定されないが、通常0.10以上0.90以下であり、好ましくは0.15以上0.50以下、さらに好ましくは0.20以上0.40以下である。水酸化物イオン/シリカ比が上記の好ましい範囲内にあることで、結晶化が進行し易く、高温環境下或いは高温曝露後において熱的な耐久性に優れるアルミノ珪酸塩が得られ易い傾向にある。
また、組成物中のアルカリ金属の含有量についても、適宜設定することができ、特に限定されないが、アルカリ金属(M)の酸化物換算のモル比、すなわちアルカリ金属酸化物/シリカ比(MO/SiOモル比)が、通常0.01以上0.50以下であり、好ましくは0.05以上0.30以下である。アルカリ金属酸化物/シリカ比が上記の好ましい範囲内にあることで、鉱化作用による結晶化が促進されるとともに、副生物や不純物結晶の生成が抑制されて高い収率が得られ易い傾向にある。
他方、組成物中の有機構造規定剤/シリカ比(有機構造規定剤/SiOモル比)についても、適宜設定することができ、特に限定されないが、通常0.05以上0.40以下であり、好ましくは0.07以上0.30以下、さらに好ましくは0.09以上0.25以下である。有機構造規定剤/シリカ比が上記の好ましい範囲内にあることで、結晶化が進行し易く、高温環境下或いは高温曝露後において熱的な耐久性に優れるアルミノ珪酸塩が低コストで得られ易い傾向にある。
本発明の製造方法に使用する組成物は、結晶化の促進や結晶粒径の制御の観点から、特定のアニオンを含有してもよい。例えば、特許文献2のように、特定のアニオンを加えずに式(1)で表される化合物の水酸化物のみからなるOSDAにより組成物を生成させると、AFX型とCHA型それぞれ単独相が得られやすい傾向がある。水酸化物イオン以外のアニオン例えばハロゲン化物イオンを共存させると連晶相ができやすくなる傾向があるが、増やしすぎるとAFX型やCHA型以外の副生相が得られやすくなる傾向がある。水酸化物イオン以外のアニオン/シリカ比については、通常0以上0.3以下であり、好ましくは0.05以上0.2以下である。水酸化物イオン以外のアニオンについては特に限定するものではないが。ハロゲン化物イオンが好ましく、臭化物イオン、ヨウ化物イオンがより好ましい。また、組成物中にハロゲン化物イオンを含むようにする方法としては、特に制限するものではなく、OSDAの対イオンとして加えてもよく、アルカリ金属の対イオンとして加えてもよく、遊離酸として加えてもよい。
また、上記組成物は、結晶化の促進等の観点から、所望の骨格構造を有するアルミノ珪酸塩のシード結晶(種晶)をさらに含有していてもよい。シード結晶を配合することにより、所望の骨格構造の結晶化が促進され、高品質なアルミノ珪酸塩が得られ易い傾向にある。ここで用いるシード結晶としては、所望の骨格構造を有するものである限り、特に限定されない。シード結晶としては、例えば、CHA、AEI、ERI、AFXの少なくとも一つの骨格構造を有するアルミノ珪酸塩のシード結晶を用いることができる。なお、シード結晶のシリカアルミナ比は任意であるが、組成物のシリカアルミナ比と同一または同程度であることが好ましく、かかる観点からは、シード結晶のシリカアルミナ比は、5以上50以下が好ましく、より好ましくは8以上40未満、さらに好ましくは10以上30未満である。
なお、ここで用いるシード結晶は、別途合成したアルミノ珪酸塩のみならず、市販のアルミノ珪酸塩を用いることができる。もちろん、天産品のアルミノ珪酸塩を用いることもでき、本発明により合成されたアルミノ珪酸塩をシード結晶として用いることもできる。なお、シード結晶のカチオンタイプは特に限定されず、例えばナトリウム型、カリウム型、アンモニウム型、プロトン型等を用いることができる。
シード結晶の粒子径(D50)は、特に限定されないが、所望の結晶構造の結晶化を促進する観点からは、比較的に小さい方が望ましく、通常0.5nm以上5μm以下、好ましくは1nm以上3μm以下、より好ましくは2nm以上1μm以下である。なお、シード結晶の配合量は、所望する結晶性に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、組成物中のSiOの質量を基準として、0.05~30質量%が好ましく、より好ましくは0.1~20質量%、さらに好ましくは0.5~10質量%である。
[水熱処理工程]
上記のようにした組成物を調製した後、水熱処理することによりゼオライトを得ることができる。
水熱合成で用いる反応容器は、水熱合成に用い得る密閉式の耐圧容器であれば公知のものを適宜用いることができ、その種類は特に限定されない。例えば、攪拌装置、熱源、圧力計、および安全弁を備えるオートクレーブ等の密閉式の耐熱耐圧容器が好ましく用いられる。なお、アルミノ珪酸塩の結晶化は、上記した組成物(原料組成物)を静置した状態で行ってもよいが、得られるアルミノ珪酸塩の均一性を高める観点から、原料組成物を攪拌混合した状態で行ってもよい。このとき、通常30~2000rpm程度の回転数で行うことが好ましく、より好ましくは50~1000rpmである。また、結晶粒径を制御する等の目的で、撹拌を断続的に行ってもよい。
水熱合成の処理温度(反応温度)は、特に限定されないが、得られるアルミノ珪酸塩の結晶性や経済性等の観点から、通常100℃以上200℃以下、好ましくは120℃以上190℃以下、より好ましくは150℃以上180℃以下である。
水熱合成の処理時間(反応時間)は、十分な時間をかけて結晶化させればよく、特に限定されないが、得られるアルミノ珪酸塩の結晶性や経済性等の観点から、通常1時間以上20日間以下、好ましくは4時間以上15日以下、より好ましくは12時間以上10日以下である。
水熱合成の処理圧力は、特に限定されず、反応容器内に投入した組成物を上記温度範囲に加熱したときに生じる自生圧力で十分である。このとき、必要に応じて、窒素やアルゴン等の不活性ガスを容器内に導入してもよい。
水熱処理を行うことで、結晶化したアルミノ珪酸塩を得ることができる。このとき、必要に応じて、固液分離処理、水洗処理、例えば大気中50~150℃程度の温度で水分を除去する乾燥処理等を常法にしたがって行ってもよい。
[ゼオライト]
本発明の製造方法により得られたゼオライトは、X線回折データが、以下の2θ値(°):7.50±0.2、8.77±0.3、11.62±0.2、12.95±0.1、15.65±0.12、17.96±0.1、20.35±0.1、21.83±0.1、23.91±0.1、26.06±0.1、28.10±0.2、30.50±0.1を含む。
また、本発明の製造方法により得られたゼオライトは、2θ=12.95°±0.1°が最強線となる。
得られたゼオライトは、水以外の組成が、下記組成:
a/bcSi48-dAl96
(式中、Mは金属カチオン、aは1~10、bはMの価数、Qは前記(1)で表される化合物および/またはその塩に由来するカチオン、cは0.5~2、dは4~12を表す。)により表されることが好ましい。
Mは、通常Naカチオンである。また、上記組成はゼオライトのユニットセルあたりの組成を表す。
本発明の製造方法により得られるゼオライトは、細孔内等に構造指向剤やアルカリ金属等を含んでいる場合がある。そのため、必要に応じて、これらを除去する除去工程を行うことが好ましい。有機構造規定剤やアルカリ金属等の除去は、常法にしたがい行うことができ、その方法は特に限定されない。例えば、酸性水溶液を用いた液相処理、アンモニウムイオンを含有する水溶液を用いた液相処理、有機構造規定剤の分解成分を含んだ薬液を用いた液相処理、レジン等を用いた交換処理、焼成処理等を行うことができる。これらの処理は、任意の組み合わせで行うことができる。これらの中でも、有機構造規定剤やアルカリ金属等の除去は、製造効率等の観点から、焼成処理が好ましく用いられる。
焼成処理における処理温度(焼成温度)は、使用原料等に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、結晶性を維持するとともに構造規定剤やアルカリ金属等の残存割合を低減する等の観点から、通常300℃以上1000℃以下、好ましくは400℃以上900℃以下、より好ましくは430℃以上800℃以下、さらに好ましくは480℃以上750℃以下である。なお、焼成処理は、酸素含有雰囲気で行うことが好ましく、例えば大気雰囲気で行えばよい。
焼成処理における処理時間(焼成時間)は、処理温度および経済性等に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、通常0.5時間以上72時間以下、好ましくは1時間以上48時間以下、より好ましくは3時間以上40時間以下である。
ゼオライトの平均粒子径は、0.6μm以上であることが好ましく、0.7μm以上であることがより好ましく、1.0μm以上であることがさらに好ましい。ゼオライトの平均粒子径の上限値は特に制限されないが、通常6.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは4.0μm以下であり、さらに好ましくは3.5μm以下である。なお、平均粒子径は、電子顕微鏡で任意の数の粒子の直径を観察し、それらの直径の平均値を指す。
なお、結晶化後のアルミノ珪酸塩は、そのイオン交換サイト上にアルカリ金属イオン等の金属イオンを有する場合がある。ここで所望する性能に応じて、イオン交換を行うイオン交換工程を行うことができる。このイオン交換工程では、常法にしたがってアンモニウムイオン(NH )やプロトン(H)等の非金属カチオンにイオン交換することができる。例えば、アルミノ珪酸塩に対して硝酸アンモニウム水溶液や塩化アンモニウム水溶液等のアンモニウムイオンを含有する水溶液を用いた液相処理を行うことでアンモニウム型にイオン交換することができる。また、アルミノ珪酸塩をアンモニアでイオン交換した後に焼成処理を行うことで、プロトン型にイオン交換することができる。上記の製造方法では、P担持処理において中和された処理液を用いて焼成処理や高温乾燥処理を省略する観点から、アンモニウムイオン(NH )型であることが好ましい。このようにして得られるアルミノ珪酸塩に、必要に応じて、さらに酸量の低下等の処理を行うこともできる。酸量の低下処理は、例えばシリル化、水蒸気処理、ジカルボン酸処理等により行えばよい。これら酸量の低下処理、組成の変更は、常法にしたがって行えばよい。
本発明においては、上記したアルミノ珪酸塩(遷移金属が未担持のアルミノ珪酸塩である)に必要に応じて遷移金属を担持することにより、遷移金属担持ゼオライトを得ることもできる。遷移金属の担持処理は、常法にしたがって行えばよい。このように遷移金属を担持することにより、各種用途における触媒として機能させることができる。ここで担持する遷移金属としては、例えば、銅(Cu)、鉄(Fe)、タングステン(W)等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
遷移金属の担持処理は、常法にしたがって行えばよい。例えば上述したアルミノ珪酸塩と遷移金属の単体や化合物或いは遷移金属イオン等とを接触させることにより行えばよい。この遷移金属の担持方法は、アルミノ珪酸塩のイオン交換サイトまたは細孔の少なくともいずれかに遷移金属が保持される方法であればよい。遷移金属は、遷移金属の無機酸塩、例えば遷移金属の硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、塩化物、酸化物、複合酸化物、および錯塩等として供給することができる。これらの中でも、P担持処理する場合、当該処理において中和された処理液を用いるため、硫酸塩、硝酸塩等の強酸無機塩として供給することが好ましい。具体的な方法としては、イオン交換法、蒸発乾固法、沈殿担持法、物理混合法、骨格置換法および含浸担持法等が挙げられるが、これらに特に限定されない。なお、遷移金属の担持処理の後、必要に応じて、固液分離処理、水洗処理、例えば大気中50~150℃程度の温度で水分を除去する乾燥処理等を常法にしたがって行うことができる。
なお、必要に応じて、プラチナ、パラジウム、ロジウム、イリジウム等の白金族元素(PGM:Platinum Group Metal)をアルミノ珪酸塩に担持させてもよい。貴金属元素や白金族元素の担持方法は、公知の手法を適用でき、特に限定されない。例えば、貴金属元素や白金族元素を含む塩の溶液を調製し、アルミノ珪酸塩にこの含塩溶液を含浸させ、その後に焼成することにより、貴金属元素や白金族元素の担持を行うことができる。含塩溶液としては、特に限定されないが、硝酸塩水溶液、ジニトロジアンミン硝酸塩溶液、塩化物水溶液等が好ましい。また、焼成処理も、特に限定されないが、350℃~1000℃で約1~12時間が好ましい。なお、高温焼成に先立って、真空乾燥機等を用いて減圧乾燥を行い、約50℃~180℃で約1~48時間程度の乾燥処理を行うことが好ましい。
次に、このようにして準備された遷移金属未担持ゼオライトや遷移金属担持ゼオライトについて説明する。この遷移金属未担持ゼオライトや遷移金属担持ゼオライトは、IZAにおいて各種構造コードでAFXの構造コードで分類される結晶性アルミノシリケートである。AFX型ゼオライトは、主な骨格金属原子がアルミニウム(Al)およびケイ素(Si)であり、これらと酸素(O)のネットワークからなる構造を有する。そして、その構造は、X線回折データにより特徴付けられる。
遷移金属未担持ゼオライトや遷移金属担持ゼオライトの粒子径は、合成条件等により変動し得るため、特に限定されないが、表面積や取扱性等の観点から、これらの平均粒子径(D50)は0.01μm~20μmが好ましく、0.6~6.0μmがより好ましく、0.7μm~4.0μmがさらに好ましく、1.0μm~3.5μmが特に好ましい。
遷移金属未担持ゼオライトや遷移金属担持ゼオライトのシリカアルミナ比は、適宜設定することができ、特に限定されないが、高温環境下或いは高温曝露後における熱的な耐久性や触媒活性等の観点から、7以上30以下が好ましく、より好ましくは8以上25以下、さらに好ましくは10以上20以下である。シリカアルミナ比が上記好ましい数値範囲内のアルミノ珪酸塩とすることで、熱的な耐久性および触媒活性が高次元でバランスした触媒或いは触媒担体が得られ易い傾向にある。
一方、遷移金属担持小孔径ゼオライトにおける、遷移金属の含有量は、特に限定されないが、総量に対して0.1~10質量%が好ましく、より好ましくは0.5~8質量%である。
また、遷移金属担持小孔径ゼオライト中の、遷移金属のアルミニウムに対する原子割合(遷移金属/アルミニウム)は、特に限定されないが、0.01~1.0が好ましく、より好ましくは0.05~0.7、さらに好ましくは0.1~0.5である。
上述のとおり、ゼオライトには遷移金属が担持されていてもよい。したがって、本実施形態のゼオライトの一つは、SAR(SiO/Al比)が、10以上16以下であり、粉末X線回折分析によって得られるXRDチャートにおいて、2θ=12.95°±0.1°が最強線であり、平均粒子径が、0.6μm以上であり、遷移金属が担持された、ゼオライトである。
<ハニカム積層触媒>
遷移金属が担持されたゼオライトはハニカム担体上に積層して、ハニカム積層触媒としてもよい。ハニカム積層触媒は、例えば、遷移金属が担持されたゼオライトをハニカム担体にウェット塗布し、100~150℃で乾燥し、200~800℃で焼成することにより製造することができる。このとき、ゼオライトの塗布量は、ハニカム担体1Lあたり通常10~1000gであり、好ましくは50~300gであり、より好ましくは80~200gである。
上記したハニカム積層触媒は、炭素数1~4のアルコールをオレフィン化またはアルカン化するための触媒や、自動車排気ガス中の窒素酸化物を浄化するためのSCR用材料として好適に使用することができる。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。すなわち、以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更することができる。
[実施例1]
<組成物の調製>
上記式(1)で表される化合物の塩として、N,N,N’,N’-テトラエチルビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3:5,6-ジピロリジニウム(H2TEBOP)二水酸化物溶液の合成を合成した。
先ず、特許文献2に準じて合成したN,N’-ジエチルビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3:5,6-ジピロリジン(TEBOP、分子量246.39)370.0gをイソプロピルアルコール(IPA)変成アルコール1,200mLに溶解し、5%パラジウム炭素触媒(エヌ・イーケムキャット社製 K-type含水品)を乾燥質量換算で31.08g(パラジウムとして基質の1.0mol%相当)を加え、50℃常圧の水素で190時間反応させた。ガスクロマトグラフィー(GC)による基質の転化率は99%以上であった。これを濾別して触媒を除いたあと、撹拌しながらヨウ化エチル516.0g(分子量155.11、2.2当量)を滴下した。窒素雰囲気下で16時間おだやかに還流した後、放冷後ろ過し、アセトンで洗浄して乾燥することで、目的物であるN,N,N’,N’-テトラエチルビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3:5,6-ジピロリジニウム二ヨウ化物の白色粉末703.0g(収率90%)を得た。
得られた白色粉末のH-NMRおよび13C-NMRを以下に示す。NMRの測定は、Ascend4000(BRUKER社製)を用い、H-NMRおよび13C-NMRは、試料を重水に溶解して測定した。
H-NMR (400MHz,DO)δ:3.82(dd,4H),3.49(q4,4H),3.38(q4,4H),3.33(d,4H),2.69(m,4H),1.80(s,2H),1.64(s,4H),1.36(t,6H),1.31(t,6H).
13C-NMR(100Hz,DO)δ:65.00(×4),58.51(×2),54.41(×2),40.11(×4),28.33(×2),14.86(×2),11.01(×2),10.17(×2)
なお、上記ガスクロマトグラフィーの条件は、以下のとおりであった。
装置名:GCMS-QP2010(島津製作所社製)
カラム:SHIMADZU製 SH-Rtx-200MS
キャリアガス:ヘリウム
全流量:98.9mL/min
カラム流量:2.56mL/min
温度:カラムオーブンを40℃から300℃まで10℃/minずつ昇温した。その後300℃の状態で10min間保持した。
N,N,N’,N’-テトラエチルビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3:5,6-ジピロリジニウム二ヨウ化物のDO溶液のH-NMRスペクトルデータを図1に示し、13C-NMRスペクトルデータを図2に示す。
OH形陰イオン交換樹脂ダイヤイオンSA10AOH(三菱ケミカル社製、イオン交換容量0.65mol/kg)2,480.0gを水2,100mlに懸濁し、得られたN,N,N’,N’-テトラエチルビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3:5,6-ジピロリジニウム二ヨウ化物(分子量558.62)372.0gを加えて、室温で72時間撹拌した。ろ過とリパルプ洗浄2回を行い、ろ液とリパルプ液を合せて濃縮し、24.04質量%N,N,N’,N’-テトラエチルビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3:5,6-ジピロリジニウム二水酸化物(分子量340.55)溶液943.2gを得た。
<ゼオライトの製造>
4.8質量%水酸化ナトリウム溶液5.1g、24.04質量%N,N,N’,N’-テトラエチルビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3:5,6-ジピロリジニウム二水酸化物溶液2.0g、N,N,N’,N’-テトラエチルビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3:5,6-ジピロリジニウム二ヨウ化物0.8g、25質量%トリメチルアダマンチルアンモニウム水酸化物(TAAdOH、分子量211.35)溶液(セイケム社製)1.9g、FAU型ゼオライトHSZ-350HUA(東ソー社製、シリカアルミナ比SAR11.1)2.6gおよび水9.0gをSUSビーカー内で16時間撹拌した。混合物の組成を表1に示す。上記混合物における各成分の数値は、SiOの物質量を1としたときの物質量比を意味する。
次いで、この原料組成物(混合物)を100cc内筒テフロンのステンレス製密閉耐圧容器に入れ、170℃で72時間静置保持した。この水熱処理後の生成物を固液分離し、得られた固相を十分量の水で洗浄し、105℃で乾燥し、次いで600℃で2時間焼成して生成物を得た。収量2.5g。粉末X線回折分析を行ったところ、生成物はAFX-CHA連晶ゼオライトであることが確認された。図3に実施例1により得られたAFX-CHA連晶ゼオライトのXRDチャートを示す。
なお、粉末X線回折の測定条件は、以下のとおりであった。
装置名:X’Pert Pro(スペクトリス株式会社製)
測定方法:粉末測定試料を溝のあるガラス試料板容器に充填し測定に供した。なお、X線源はCuKα線、管電圧は45kV、管電流は40mAにて測定を行った。
続いて、合成して得られたゼオライトのうち1.7gを、硝酸アンモニム(富士フイルム和光純薬社製)15.4gを300mlの水に溶解した溶液に加え、80℃で2時間撹拌保持した。冷却後ろ過し、再度硝酸アンモニム(富士フイルム和光純薬社製)15.4gを300mlの水に溶解した溶液に加え、80℃で2時間撹拌保持した。冷却後ろ過洗浄・乾燥ののち500℃で4時間焼成し、H形AFX-CHA連晶ゼオライトとした。
<MTO評価試験>
以下の反応条件で評価した。
装置:常圧固定床流通式反応装置
前処理:アルゴン流通下(30ml/分)、773K、2時間
触媒量:50mg
メタノール体積濃度:5%(アルゴンバランス)
W/F:34g-cath/mol-メタノール
温度:623K
その結果を表2に示す。
[実施例2]
特許文献2に準じて、N,N,N’,N’-テトラエチルビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3:5,6-ジピロリジニウム二ヨウ化物と同二水酸化物溶液(19.91質量%)を調製した。実施例1の<ゼオライトの製造>において、24.04質量%N,N,N’,N’-テトラエチルビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3:5,6-ジピロリジニウム二水酸化物溶液2.0gに代えて19.91質量%N,N,N’,N’-テトラエチルビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3:5,6-ジピロリジニウム二水酸化物溶液2.4gを、N,N,N’,N’-テトラエチルビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3:5,6-ジピロリジニウム二ヨウ化物0.8gに代えて同量のN,N,N’,N’-テトラエチルビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3:5,6-ジピロリジニウム二ヨウ化物を用い、水の量を8.6gとした以外は実施例1と同様にして、原料組成物を得た。混合物の組成を表1に示す。上記混合物における各成分の数値は、SiOの物質量を1としたときの物質量比を意味する。
次いで、この原料組成物(混合物)を100cc内筒テフロンのステンレス製密閉耐圧容器に入れ、170℃で72時間静置保持した。この水熱処理後の生成物を固液分離し、得られた固相を十分量の水で洗浄し、105℃で乾燥し、次いで600℃で2時間焼成して生成物を得た。収量2.5g。粉末X線回折分析を行ったところ、生成物はAFX-CHA連晶ゼオライトであることが確認された。
また、H形への変成とMTO評価試験は実施例1と同様にして行った。
[比較例1]
4.8質量%水酸化ナトリウム溶液5.1g、25質量%トリメチルアダマンチルアンモニウム水酸化物(TAAdOH、分子量211.35)溶液(セイケム社製)1.9g、FAU型ゼオライトHSZ-350HUA(東ソー社製、シリカアルミナ比SAR11.1)2.6gおよび水9.0gをSUSビーカー内で16時間撹拌した。混合物の組成は表1に示す。上記混合物における各成分の数値は、SiOの物質量を1としたときの物質量比を意味する。
次いで、この原料組成物(混合物)を100cc内筒テフロンのステンレス製密閉耐圧容器に入れ、170℃で72時間静置保持した。この水熱処理後の生成物を固液分離し、得られた固相を十分量の水で洗浄し、105℃で乾燥し、次いで600℃で2時間焼成して生成物を得た。収量2.5g。粉末X線回折分析を行ったところ、生成物はCHA型ゼオライトであることが確認された。
また、H形への変成とMTO評価試験は実施例1と同様にして行った。
[比較例2]
<AFX型ゼオライトの合成>
実施例1において、4.8質量%水酸化ナトリウム溶液の量を7.0g、25質量%トリメチルアダマンチルアンモニウム水酸化物溶液を用いず、水の量を8.6gとした以外は、実施例1と同様にしてAFX型ゼオライトを合成した。収量2.4g。粉末X線回折分析を行ったところ、生成物はAFX型ゼオライトであることが確認された。H形への変成とMTO評価試験は実施例1と同様にして行った。
[比較例3]
<AFXゼオライトの合成>
実施例2において、4.8質量%水酸化ナトリウム溶液の量を7.0g、25質量%トリメチルアダマンチルアンモニウム水酸化物溶液を用いず、水の量を8.2gとした以外は、実施例1と同様にしてAFX型ゼオライトを合成した。収量2.4g。粉末X線回折分析を行ったところ、生成物はAFX型ゼオライトであることが確認された。H形への変成とMTO評価試験は実施例1と同様にして行った。
Figure 2024030633000004
<MTO(メタノール to オレフィン転化反応)評価試験>
実施例1、比較例1~の4種のゼオライトを用いて、実施例1と同様にMTO評価試験を行った。評価結果は、下記表2に示されるとおりであった。
Figure 2024030633000005
[参考例]
<FAU型ゼオライトの脱アルミニウム化>
60質量%硝酸63gと水4,000gの混合溶液に、FAU型ゼオライトHSZ-350HUA(東ソー社製、シリカアルミナ比SAR11.1)400.0gを加え、24時間室温で撹拌し、ろ過、水洗後、105℃で乾燥を行い脱アルミニウムしたFAU型ゼオライトを得た。XRF分析の結果、SARは13.4であった。
[実施例3]
実施例1において、HSZ-35HUAに代えて、上記脱アルミニウムしたSAR13.4のFAU型ゼオライトを用いた以外は実施例1と同様にしてAFX-CHA連晶ゼオライトを得た。H形への変成とMTO評価試験は実施例1と同様にして行った。
[比較例4]
比較例1において、HSZ-35HUAに代えて、上記脱アルミニウムしたSAR13.4のFAU型ゼオライトを用いた以外は比較例1と同様にしてCHA型ゼオライトを得た。H形への変成とMTO評価試験は実施例1と同様にして行った。
[比較例5]
比較例1において、HSZ-35HUAに代えて、参考例1として調製した上記脱アルミニウム化したSAR13.4のFAU型ゼオライトを用いた以外は比較例2と同様にしてAFX型ゼオライトを得た。H形への変成とMTO評価試験は実施例1と同様にして行った。
Figure 2024030633000006
Figure 2024030633000007

Claims (12)

  1. シリカ源およびアルミナ源と、有機構造規定剤と、アルカリ金属水酸化物と、水とを少なくとも含む組成物を調製する工程、および
    前記組成物を水熱処理する工程、
    を含む、ゼオライトの製造方法であって、
    前記有機構造規定剤が、
    下記式(1):
    (式(1)R1~Rは、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基を表す。)
    により表される化合物および/またはその塩、ならびに
    下記式(2):
    (式(2)R1~Rは、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基を表す。)
    により表される化合物および/またはその塩、
    から選択される少なくとも1種と、
    下記式(3):
    (式(3)R~Rは、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基を表す。)
    により表されるN,N,N-トリアルキルアダマンチルアンモニウム塩と、
    を含む、ゼオライトの製造方法。
  2. 前記式(1)および(2)において、R1~Rがエチル基である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記式(3)において、R~Rがメチル基である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記シリカ源およびアルミナ源がFAU型アルミノシリケートを含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記アルカリ金属水酸化物が、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムから選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記組成物中に、前記式(1)ならびに(2)から選択される少なくとも1種の化合物および/またはその塩と、前記式(3)の化合物とが、物質量基準において、10:1~1:10の割合で含まれる、請求項1に記載の方法。
  7. X線回折データが、以下の2θ値(°):7.50±0.2、8.77±0.3、11.62±0.2、12.95±0.1、15.65±0.12、17.96±0.1、20.35±0.1、21.83±0.1、23.91±0.1、26.06±0.1、28.10±0.2、30.50±0.1を含む、ゼオライト。
  8. 水以外の組成が、下記組成:
    a/bSi48-cAl96
    (式中、Mは金属カチオンまたは水素イオンを表し、aは1~10であり、bはMの価数であり、cは4~12である。)
    により表される、請求項7に記載のゼオライト。
  9. SAR(SiO/Al比)が、10以上16以下であり、
    粉末X線回折分析によって得られるXRDチャートにおいて、2θ=12.95°±0.1°が最強線であり、
    平均粒子径が、0.6μm以上であり、
    遷移金属が担持された、
    請求項7に記載のゼオライト。
  10. ハニカム担体と、
    前記ハニカム担体上に塗布された請求項7に記載のゼオライトと、
    を備えたハニカム積層触媒。
  11. 炭素数1~4のアルコールをオレフィン化またはアルカン化するための、請求項10に記載のハニカム積層触媒。
  12. 請求項10に記載のハニカム積層触媒を備えた、自動車排気ガス中の窒素酸化物を浄化するためのSCR用材料。
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