JP2017048106A - リンを含有するcha型ゼオライトおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リンを含み、SiO2/Al2O3比が16以上50以下であることCHA型ゼオライト。このようなCHA型ゼオライトは、シリカ源、アルミナ源、ホスホニウムカチオン源及びアンモニウムカチオン源を含む組成物を結晶化する結晶化工程、を有する製造方法により得ることが好ましい。
【選択図】図2
Description
例えば、オレフィン製造用触媒に適したCHA型ゼオライトとして、N−メチル−3−キヌクリジノール、N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウム、又はN,N,N−トリメチルエキソアミノノルボルネンなどを構造指向剤として得られたCHA型ゼオライトが報告されている(特許文献1)。
また、CHA型ゼオライトに銅を含有させ、窒素酸化物の選択還元触媒として使用することが検討されている(特許文献2)。銅を含有するCHA型ゼオライトを直接得るため、銅アミン錯体を構造指向剤として使用して得られたCHA型ゼオライトが報告されている(非特許文献1)。
これら以外にも、オレフィン合成用触媒や脱硝触媒として使用されるCHA型ゼオライトを目的として、ベンジルトリメチルアンモニウム(非特許文献2)、コリン(非特許文献3)、テトラエチルホスホニウム(非特許文献4)、又はテトラエチルアンモニウム(非特許文献5)を構造指向剤として得られた合成CHA型ゼオライトが報告されている。
すなわち、本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1]リンを含み、SiO2/Al2O3比が16以上50以下であることを特徴とするCHA型ゼオライト。
[2]リンを細孔内に含む上記[1]に記載のCHA型ゼオライト。
[3]骨格金属に対するリンのモル比が0.001以上、0.05以下である上記[1]又は[2]に記載のCHA型ゼオライト。
[4]アルミナに対するシリカのモル比が20以上、35以下である上記[1]乃至[3]のいずれかに記載のCHA型ゼオライト。
[5]結晶粒径が4μm以下である上記[1]乃至[4]のいずれかに記載のCHA型ゼオライト。
[6]銅又は鉄の少なくともいずれかを含む上記[1]乃至[5]のいずれかに記載のCHA型ゼオライト。
[7]シリカ源、アルミナ源、ホスホニウムカチオン源及びアンモニウムカチオン源を含む組成物を結晶化する結晶化工程、を有する、上記[1]乃至[6]のいずれかに記載のCHA型ゼオライトの製造方法。
[8]上記ホスホニウムカチオン源が、テトラエチルホスホニウム水酸化物、テトラエチルホスホニウムブロミド、テトラエチルホスホニウムクロライド及びテトラエチルホスホニウムヨージドからなる群の少なくとも1種である上記[7]に記載の製造方法。
[9]上記アンモニウムカチオン源が、トリメチル−1−アダマンタンアンモニウム水酸化物、トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムブロミド、トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムクロライド及びトリメチル−1−アダマンタンアンモニウムヨージドからなる群の少なくとも1種である上記[7]又は[8]に記載の製造方法。
[10]上記シリカ源及びアルミナ源が結晶性アルミノシリケートである上記[7]乃至[9]のいずれかに記載の製造方法。
[11]上記シリカ源及びアルミナ源がFAU型ゼオライトである上記[7]乃至[10]のいずれかに記載の製造方法。
[12]上記[1]乃至[6]のいずれかに記載のCHA型ゼオライトを含む触媒。
[13]上記[1]乃至[6]のいずれかに記載のCHA型ゼオライトを使用する窒素酸化物の還元方法。
本発明のCHA型ゼオライトは、CHA構造を有する。CHA構造は、国際ゼオライト学会で定義される構造コードでCHA構造となる結晶構造である。
また、本発明のCHA型ゼオライトは、CHA構造を有する結晶性アルミノシリケートである。結晶性アルミノシリケートは、骨格金属(以下、「T原子」ともいう。)がアルミニウム(Al)とケイ素(Si)であり、これら骨格金属と酸素(O)のネットワークからなる骨格構造を有する。したがって、CHA構造を有し、なおかつ、そのT原子にリン(P)を含むネットワークからなる骨格構造を有するアルミノフォスフェートやシリコアルミノホスフェートなどのゼオライト類縁物質と、本発明のCHA型ゼオライトとは異なる。
本発明のCHA型ゼオライトに含有されるリンの状態は、リン酸イオン又はリン化合物のなくともいずれかであることが挙げられる。
なお、本発明のCHA型ゼオライトの組成はICP法により測定することができる。
ランタン−アリザリンコンプレキソン吸光光度法など、通常の組成分析法により得られる測定値の測定限界を考慮すると、本発明のCHA型ゼオライトのフッ素含有量は100ppm以下、更には50ppm以下であればよい。
なお、本発明において結晶粒径は走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」ともいう。)観察により確認することができる。すなわち、本発明のCHA型ゼオライトの結晶粒子は、略立方体形状又は略立方体の双晶形状の少なくともいずれかの形状を有する。結晶粒径は、これら結晶粒子の辺の長さを観察することで確認できる。
ここで、高温高湿雰囲気として、900℃で、10体積%のH2Oを含む空気を300mL/分で流通させた雰囲気を挙げることができる。当該雰囲気に晒される時間が長くなることで、ゼオライトへの熱負荷が大きくなる。一般的には高温高湿下に晒される時間が長くなるほど、脱アルミニウムをはじめとする、ゼオライトの結晶性の低下が生じやすくなる。
本発明のCHA型ゼオライトは、シリカ源、アルミナ源、ホスホニウムカチオン源、及びアンモニウムカチオン源を含む組成物(以下、「原料組成物」ともいう。)を結晶化する結晶化工程、を有する製造方法により得られる。
特に好ましいホスホニウムカチオン源として、テトラエチルホスホニウム水酸化物(以下、「TEPOH」ともいう。)、テトラエチルホスホニウムブロミド(以下、「TEPBr」ともいう。)、テトラエチルホスホニウムクロライド(以下、「TEPCl」ともいう。)、及びテトラエチルホスホニウムヨージド(以下、「TEPI」ともいう。)からなる群の少なくとも1種、更にはTEPOHを挙げることができる。
結晶性アルミノシリケートのSiO2/Al2O3比として1.25以上、更には10以上、更には20以上が挙げられる。一方、SiO2/Al2O3比は100以下、更には50以下であればよい。好ましい結晶性アルミノシリケートのSiO2/Al2O3比として18以上40以下、更には20以上40以下を挙げることができる。
アルカリ源は、アルカリ金属を含む水酸化物を挙げることができる。より具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムの群からなる少なくとも1種を含む水酸化物であり、更にはナトリウム又はカリウムの少なくともいずれかを含む水酸化物であり、また更にはナトリウムを含む水酸化物である。また、シリカ源及びアルミナ源がアルカリ金属を含む場合、当該アルカリ金属もアルカリ源とすることができる。
水は純水を使用してもよいが、各原料を水溶液として使用してもよい。
SiO2/Al2O3比 =18以上、50以下
アルカリ/SiO2比 =0.01以上、0.3以下
P−SDA/SiO2比 =0.01以上、0.5以下
N−SDA/SiO2比 =0.01以上、0.5以下
N−SDA/SDA比= =0.01以上、0.9以下
OH/SiO2比 =0.1以上、0.5以下
H2O/SiO2比 =3以上、20以下
なお、本発明の原料組成物の組成は、ICP法により測定することができる。
結晶化温度は80℃以上であれば、原料組成物の結晶化が結晶化する。温度が高いほど、結晶化が促進される。そのため、結晶化温度は100℃以上、更には120℃以上であることが好ましい。原料組成物が結晶化すれば、必要以上に結晶化温度を高くする必要はない。そのため、結晶化温度は200℃以下、更には160℃以下、また更には150℃以下であればよい。また、結晶化は原料組成物を攪拌した状態、又は静置した状態のいずれの状態で行うことができる。
収率(%) =(WCHA/Wraw)×100
上記式において、WCHAは得られたCHA型ゼオライトの乾燥重量(g)及び、Wrawは原料組成物中のSiをSiO2として換算した重量と、AlをAl2O3として換算した重量との合計重量(g)である。
WCHAは、得られたCHA型ゼオライトを大気中、50℃以上90℃以下、6時間以上24時間以下で乾燥し、その重量を求めることができる。また、Wrawは、ICP等により原料組成物中のSi及びAlを求め、これをそれぞれ換算して求めることができる。
本発明の製造方法では、結晶化工程の後、洗浄工程、乾燥工程及びイオン交換工程の少なくともいずれか(以下、「後処理工程」とする。)を含んでいてもよい。
金属含有工程は、CHA型ゼオライトのイオン交換サイト又は細孔の少なくともいずれかに銅又は鉄の少なくともいずれかが含有される方法であればよい。具体的な方法として、イオン交換法、蒸発乾固法及び含浸担持法からなる群の少なくとも1種を挙げることができ、含浸担持法、更には遷移金属化合物を含む水溶液とCHA型ゼオライトとを混合する方法であることが好ましい。
銅化合物等は、銅又は鉄の少なくともいずれかを含む無機酸塩、更には銅又は鉄の少なくともいずれかを含む硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩及び塩化物からなる群の少なくとも1種を挙げることができる。
洗浄工程は、不純物等が除去されれば、任意の洗浄方法を用いることができる。例えば、金属含有工程後のCHA型ゼオライトを十分量の純水で洗浄することが挙げられる。
乾燥工程は水分を除去すればよく、大気中で、100℃以上、200℃以下で処理することが例示できる。
活性化工程は有機物を除去する。金属含有CHA型ゼオライトを、大気中、200℃を超え、600℃以下で処理することが例示できる。
(結晶構造の同定)
一般的なX線回折装置(装置名:Mini Flex、リガク社製)を使用し、試料のXRD測定をした。線源にはCuKα線(λ=1.5405Å)を用い、測定範囲は2θとして5°から50°の範囲で測定した。
得られたXRDパターンと、非特許文献1のFig.1(f)に記載のXRDパターンとを比較することで、試料の構造を同定した。
フッ酸と硝酸の混合水溶液に試料を溶解して試料溶液を調製した。一般的なICP装置(装置名:OPTIMA5300DV、PerkinElmer社製)を使用して、当該試料溶液を誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP−AES)で測定した。
得られたSi、Al及びPの測定値から、試料のSiO2/Al2O3比、P/Al比を求めた。
CHA型ゼオライトの収率は、以下の式から求めればよい。
収率(%) =(WCHA/Wraw)×100
WCHAは、得られたCHA型ゼオライトを大気中、70℃×12時間で乾燥し、その重量を測定した。また、Wrawは、原料組成物に含まれるシリカ源及びアルミナ源であるFAU型ゼオライトの重量である。
純水、水酸化ナトリウム、FAU型ゼオライト(Y型、カチオンタイプ:プロトン型、SiO2/Al2O3比=32)及び25%TMAdaOH水溶液を、40%TEPOH水溶液に添加し、これを混合して以下の組成を有する原料組成物を得た。
SiO2/Al2O3比 =32
Na/SiO2比 =0.1
TEP/SiO2比 =0.05
TMAda/SiO2比 =0.25
N−SDA/SDA比 =0.83
OH/SiO2比 =0.4
H2O/SiO2比 =5
得られた原料組成物を密閉容器内に充填し、この容器を10rpmで回転させた状態で150℃、7日間の条件で原料組成物を結晶化させた。結晶化後の原料組成物を固液分離し、純水で洗浄した後、70℃で乾燥して本実施例のゼオライトを得た。当該ゼオライトは、CHA構造の単一相からなるCHA型ゼオライトであり、なおかつ、SiO2/Al2O3比=24、P/Al比=0.02、及びP/T比=0.015であった。また、収率は90%であった。
原料組成物の主な組成及び本実施例のCHA型ゼオライトの評価結果を表1に示した。また、本実施例のCHA型ゼオライトのXRDパターンを図1に、SEM写真を図2に示した。図2より、本実施例のCHA型ゼオライトの一次粒子は1μm以下であることが確認できた。
原料組成物を以下の組成としたこと以外は、実施例1と同様の方法で本実施例のゼオライトを得た。
SiO2/Al2O3比 =32
Na/SiO2比 =0.1
TEP/SiO2比 =0.1
TMAda/SiO2比 =0.2
N−SDA/SDA比 =0.67
OH/SiO2比 =0.4
H2O/SiO2比 =5
当該ゼオライトは、CHA構造の単一相からなるCHA型ゼオライトであった。組成は、SiO2/Al2O3比=22、P/Al比=0.05、P/T比=0.042であった。また、収率は90%であった。
原料組成物の主な組成及び本実施例のCHA型ゼオライトの評価結果を表1に示した。
原料組成物を以下の組成としたこと以外は、実施例1と同様の方法で本実施例のゼオライトを得た。
SiO2/Al2O3比 =32
Na/SiO2比 =0.1
TEP/SiO2比 =0.15
TMAda/SiO2比 =0.15
N−SDA/SDA比 =0.50
OH/SiO2比 =0.4
H2O/SiO2比 =5
当該ゼオライトは、CHA構造の単一相からなるCHA型ゼオライトであった。組成は、SiO2/Al2O3比=22、P/Al比=0.06、P/T比=0.005であった。また、収率は90%であった。
原料組成物の主な組成及び本実施例のCHA型ゼオライトの評価結果を表1に示した。
原料組成物を以下の組成としたこと以外は、実施例1と同様の方法で本実施例のゼオライトを得た。
SiO2/Al2O3比 =32
Na/SiO2比 =0.1
TEP/SiO2比 =0.2
TMAda/SiO2比 =0.1
N−SDA/SDA比 =0.33
OH/SiO2比 =0.4
H2O/SiO2比 =5
当該ゼオライトは、CHA構造の単一相からなるCHA型ゼオライトであった。組成は、SiO2/Al2O3比=22、P/Al比=0.12、P/T比=0.010であった。また、収率は90%であった。
原料組成物の主な組成及び本実施例のCHA型ゼオライトの評価結果を表1に示した
原料組成物を以下の組成としたこと以外は、実施例1と同様の方法で本実施例のゼオライトを得た。
SiO2/Al2O3比 =32
Na/SiO2比 =0.1
TEP/SiO2比 =0.25
TMAda/SiO2比 =0.05
N−SDA/SDA比 =0.17
OH/SiO2比 =0.4
H2O/SiO2比 =5
当該ゼオライトは、CHA構造の単一相からなるCHA型ゼオライトであった。組成は、SiO2/Al2O3比=22、P/Al比=0.19、P/T比=0.016であった。また、収率は85%であった。
原料組成物の主な組成及び本実施例のCHA型ゼオライトの評価結果を表1に示した。
また、本実施例のCHA型ゼオライトのSEM写真を図3に示した。図3より、本実施例のCHA型ゼオライトの一次粒子は1μm以下であることが確認できた。
原料組成物を以下の組成としたこと以外は、実施例1と同様の方法で本実施例のゼオライトを得た。
SiO2/Al2O3比 =32
Na/SiO2比 =0.1
TEP/SiO2比 =0.27
TMAda/SiO2比 =0.03
N−SDA/SDA比 =0.1
OH/SiO2比 =0.4
H2O/SiO2比 =5
当該ゼオライトは、CHA構造の単一相からなるCHA型ゼオライトであった。組成は、SiO2/Al2O3比=22、P/Al比=0.47、P/T比=0.038であった。また、収率は90%であった。
原料組成物の主な組成及び本実施例のCHA型ゼオライトの評価結果を表1に示した。
従来のCHA型ゼオライトの合成として、原料組成物を以下の組成としたこと以外は、実施例1と同様の方法で本比較例のゼオライトを得た。
SiO2/Al2O3比 =32
Na/SiO2比 =0.1
TEP/SiO2比 =0
TMAda/SiO2比 =0.3
OH/SiO2比 =0.4
H2O/SiO2比 =5
当該ゼオライトは、CHA構造の単一相からなるCHA型ゼオライトであった。組成は、SiO2/Al2O3比=24、P/Al比=0、P/T比=0であった。また、収率は100%であった。
原料組成物の主な組成及び本比較例のCHA型ゼオライトの評価結果を表1に示した。
原料組成物を以下の組成としたこと以外は、実施例1と同様の方法で本比較例のゼオライトを得た。
SiO2/Al2O3比 =32
Na/SiO2比 =0.1
TEP/SiO2比 =0.15
TMAda/SiO2比 =0
OH/SiO2比 =0.25
H2O/SiO2比 =5
当該ゼオライトは、AEI型ゼオライトとMFI型ゼオライトの混合物であった。本比較例より、TEPが少ない場合、CHA型ゼオライトが得られないことが確認できた。
非特許文献4を参照し、リンを含有するCHA型ゼオライトを製造した。すなわち、原料組成物を以下の組成としたこと以外は、実施例1と同様の方法で本比較例のゼオライトを得た。
SiO2/Al2O3比 =32
Na/SiO2比 =0.4
TEP/SiO2比 =0.2
TMAda/SiO2比 =0
OH/SiO2比 =0.6
H2O/SiO2比 =5
当該ゼオライトは、CHA構造の単一相からなるCHA型ゼオライトであった。組成は、SiO2/Al2O3比=13、P/Al比=0.55、P/T比=0.071であった。また、収率は50%であった。これより、非特許文献4で開示された製造方法では、得られるCHA型ゼオライトのSiO2/Al2O3比が低くなる傾向があり、また、本発明の製造方法と比べ、収率が著しく低くなることが確認できた。
なお、本比較例のCHA型ゼオライトのSiO2/Al2O3比をEDX(装置名:S−4800、日立製作所製)によって測定したところ、SiO2/Al2O3比は15.6であった。
また、比較例2及び3より、SDAがTEPのみであると、SiO2/Al2O3比の低いCHA型ゼオライトしか製造できず、また、リン含有量が低いCHA型ゼオライトが得られないことが分かった。
実施例5のCHA型ゼオライト、及び、比較例1のCHA型ゼオライトを、それぞれ、空気中600℃で6時間焼成してSDAを除いた後、塩化アンモニウム水溶液でイオン交換してアンモニア型とした。その後空気中550℃で1時間焼成してプロトン型のCHA型ゼオライトとした。
得られたプロトン型のCHA型ゼオライトを空気中1,050℃で1時間焼成し、焼成後の粉末X線回折測定を行った。結果を図4に示す。図4中、a)は実施例5のXRDパターンで、b)は比較例1のXRDパターンである。
図4より、実施例5のCHA型ゼオライトは、1,050℃の熱処理後であってもCHA構造を維持していることが確認できた。一方、比較例1のCHA型ゼオライトは1,050℃の焼成でCHA型構造が崩壊していることが確認できた。このように、リンを含む本発明のCHA型ゼオライトは900℃を超える温度による熱処理後であっても結晶構造が崩壊することがなく、耐熱性が高いことが確認できた。
実施例3のCHA型ゼオライトを、大気中、600℃で10時間焼成した後、塩化アンモニウム水溶液を用いてイオン交換して、NH4型のゼオライトとした。NH4型ゼオライト1.3gに硝酸銅水溶液を添加し、これを乳鉢で混合した。なお、硝酸銅水溶液は硝酸銅3水和物60mgを純水0.5gに溶解して硝酸銅水溶液を調製したものを使用した。
混合後の試料を110℃で一晩乾燥した後、空気中、550℃で1時間焼成し、これを本実施例の銅含有CHA型ゼオライトとした。評価結果を表2に示す。
実施例5のCHA型ゼオライトを使用したこと以外は、実施例7と同様な方法で本比較例の銅含有CHA型ゼオライトを得た。評価結果を表2に示す。
実施例6のCHA型ゼオライトを使用したこと以外は、実施例7と同様な方法で本比較例の銅含有CHA型ゼオライトを得た。評価結果を表2に示す。
比較例1のCHA型ゼオライトを使用したこと以外は、実施例7と同様な方法で本比較例の銅含有CHA型ゼオライトを得た。評価結果を表2に示す。
純水、水酸化ナトリウム、及びFAU型ゼオライト(Y型、カチオンタイプ:プロトン型、SiO2/Al2O3比=23)を40%TEPOH水溶液に添加し、これを混合して以下の組成を有する原料組成物を得た。
SiO2/Al2O3比 =23
Na/SiO2比 =0.1
TEP/SiO2比 =0.2
N−SDA/SDA比 =0
OH/SiO2比 =0.3
H2O/SiO2比 =5
得られた原料組成物を密閉容器内に充填し、この容器を静置した状態で150℃、7日間の条件で原料組成物を結晶化させた。結晶化後の原料組成物を固液分離し、純水で洗浄した後、70℃で乾燥して本実施例のゼオライトを得た。当該ゼオライトは、AEI構造の単一相からなるAEI型ゼオライトであった。
得られたAEI型ゼオライトをプレス成形後、凝集径12メッシュ〜20メッシュの凝集粒子とした。得られた凝集粒子3gを常圧固定床流通式反応管に充填し、水素5容量%、窒素95容量%のガスを500mL/分流通下、750℃で1時間熱処理してリン量を調整した。熱処理後、空気雰囲気、600℃で2時間焼成してSDAを除去した。焼成後のAEI型ゼオライトを20%塩化アンモニウムで処理した後、大気中110℃で1晩乾燥した。これにより、NH4型のAEI型ゼオライトとした。
得られたNH4型AEI型ゼオライト2gに硝酸銅水溶液を添加し、これを乳鉢で混合した。なお、硝酸銅水溶液は硝酸銅3水和物139mgを純水0.5gに溶解して硝酸銅水溶液を調製したものを使用した。
混合後の試料を110℃で一晩乾燥した後、空気中、550℃で1時間焼成し、これを本比較例のAEI型ゼオライトとした。評価結果を表2に示す。
実施例8乃至9及び比較例4の銅含有CHA型ゼオライトを、それぞれ8時間の水熱耐久処理を施した。水熱耐久処理前後の窒素酸化物還元特性の評価結果を表3に示す。
(水熱耐久処理)
試料をプレス成形後、凝集径12メッシュ〜20メッシュの凝集粒子とした。得られた凝集粒子3mLを常圧固定床流通式反応管に充填し、これに10体積%のH2Oを含む空気を300mL/分で流通させて水熱耐久処理を行った。水熱耐久処理は、900℃で行った。
試料の窒素酸化物還元率は、以下に示すアンモニアSCR方法により測定した。
すなわち、試料をプレス成形した後、凝集径12〜20メッシュの凝集粒子とした。得られた凝集粒子体を1.5mL量りとり、これを反応管に充填した。その後、150℃、200℃、300℃、400℃及び500℃のいずれかの温度で、窒素酸化物を含む以下の組成からなる処理ガスを当該反応管に流通させた。処理ガスの流量は1.5L/分、及び空間速度(SV)は60,000h−1として測定を行った。
<処理ガス組成>
NO :200ppm
NH3 :200ppm
O2 :10容量%
H2O :3容量%
残部 :N2
反応管に流通させた処理ガス中の窒素酸化物濃度(200ppm)に対する、触媒流通後の処理ガス中の窒素酸化物濃度(ppm)を求め、以下の式に従って、窒素酸化物還元率を求めた。
窒素酸化物還元率(%)={1−(接触後の処理ガス中の窒素酸化物濃度/接触前の処理ガス中の窒素酸化物濃度)}×100
実施例7乃至9の銅含有CHA型ゼオライトを、それぞれ4時間の水熱耐久処理を施した。水熱耐久処理後の窒素酸化物還元特性の評価結果を表4に示す。
実施例8及び比較例5の銅含有ゼオライトを使用したこと、処理温度を150℃としたこと、並びに、処理時間を1、4及び8時間のいずれかとしたこと以外は測定例2と同様な方法で水熱耐久処理を施した。水熱耐久処理前後の窒素酸化物還元特性の評価結果を表5に示す。
Claims (13)
- リンを含み、SiO2/Al2O3比が16以上50以下であることを特徴とするCHA型ゼオライト。
- リンを細孔内に含む請求項1に記載のCHA型ゼオライト。
- 骨格金属に対するリンのモル比が0.001以上、0.05以下である請求項1又は2に記載のCHA型ゼオライト。
- アルミナに対するシリカのモル比が20以上、35以下である請求項1乃至3のいずれかに記載のCHA型ゼオライト。
- 結晶粒径が4μm以下である請求項1乃至4のいずれかに記載のCHA型ゼオライト。
- 銅又は鉄の少なくともいずれかを含む請求項1乃至5のいずれかに記載のCHA型ゼオライト。
- シリカ源、アルミナ源、ホスホニウムカチオン源及びアンモニウムカチオン源を含む組成物を結晶化する結晶化工程、を有する、請求項1乃至5のいずれかに記載のCHA型ゼオライトの製造方法。
- 上記ホスホニウムカチオン源が、テトラエチルホスホニウム水酸化物、テトラエチルホスホニウムブロミド、テトラエチルホスホニウムクロライド及びテトラエチルホスホニウムヨージドからなる群の少なくとも1種である請求項7に記載の製造方法。
- 上記アンモニウムカチオン源が、トリメチル−1−アダマンタンアンモニウム水酸化物、トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムブロミド、トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムクロライド及びトリメチル−1−アダマンタンアンモニウムヨージドからなる群の少なくとも1種である請求項7又は8に記載の製造方法。
- 上記シリカ源及びアルミナ源が結晶性アルミノシリケートである請求項7乃至9のいずれかに記載の製造方法。
- 上記シリカ源及びアルミナ源がFAU型ゼオライトである請求項7乃至10のいずれかに記載の製造方法。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載のCHA型ゼオライトを含む触媒。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載のCHA型ゼオライトを使用する窒素酸化物の還元方法。
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