JP6052002B2 - プロピレン製造用触媒の製造方法及びプロピレンの製造方法 - Google Patents

プロピレン製造用触媒の製造方法及びプロピレンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、エチレンを原料としてプロピレンを高い選択率で接触的に製造するための触媒の製造方法、及びこの触媒を用いてプロピレンを製造する方法に関する。
ナフサのスチームクラッキング法や減圧軽油の流動接触分解法によるプロピレンの製造法においては、エチレンが同時に生成し、この時エチレン/プロピレンの生成比率の調整範囲が一般的には狭いことから、プロピレンとエチレンの需給バランスの変化に対応するのは困難であるという問題があった。
これを解決するために、エチレンを原料としてプロピレンを製造する技術が開発され、これに用いる触媒が各種提案されている。
特許文献1及び2には、エチレンを原料としたプロピレンの製造方法で、0.5nm未満の細孔径を有するアルミノシリケートを触媒が開示され、また特許文献3においては、特定の中間細孔径のゼオライト含む触媒が製造され、これを用いて流動床反応を行うことでプロピレンを効率よく安定に製造できることが開示されている。
特開2007−291076号公報 WO2010/128644 WO2009/037992
本発明においては、上記の文献に記載された触媒の製造方法を更に改良して、エチレンを原料とするプロピレンの製造方法において、より高いプロピレン選択率が達成できるような触媒の製造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは前記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、8員環ゼオライト含有触媒として特定の条件で製造した触媒が、エチレンを原料としたプロピレンの製造において、流動床反応器へ適用可能で、かつプロピレンの選択率を向上することができることを見出して本発明を完成した。
すなわち本発明の要旨は、下記の通りである。
[1] エチレンを原料としてプロピレンを製造するための触媒の製造方法であって、以下の工程を順次経ることを特徴とする触媒の製造方法。
(1)8員環構造のゼオライトとシリカとを、ゼオライト/シリカの重量比率として、1/10〜10/1の範囲で混合してスラリー化するスラリー化工程
(2)前記スラリーを入口温度が140℃を超え400℃以下、出口温度が80℃を超え250℃以下(但し入口温度>出口温度)の温度条件で、供給スラリー中の水分/乾燥気流の重量比率が0.005〜0.2となるような範囲で噴霧乾燥する噴霧乾燥工程
(3)噴霧乾燥工程で得られた粉体を、400℃以上900℃以下で0.1〜10時間焼成する焼成工程
[2] (1)スラリー工程の後、(2)噴霧乾燥工程の前に、前記ゼオライトの少なくとも一部をシリル化処理する工程を行うことを特徴とする上記1に記載の触媒の製造方法。
[3] (2)噴霧乾燥工程の入り口温度と出口温度の差(△t)が、50℃を超え、300℃以下であることを特徴とする上記1又は2に記載の触媒の製造方法。
[4] (2)噴霧乾燥工程を回転円盤方式、二流体ノズル方式又は高圧ノズル方式の噴霧乾燥機を用いて行い、かつ乾燥空気を並流(パラレルフロー)方式又は向流(カウンターフロー)方式で流通させて乾燥を行うことを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の触媒の製造方法。
[5] 上記1〜4のいずれかに記載された方法で製造された触媒を用いることを特徴とする、エチレンを原料とするプロピレンの製造方法。
本発明によれば、エチレンを原料とし、高い選択率でプロピレンを製造することができる。これによってエチレンの原料原単位が改善されるとともに反応生成物からのプロピレンの分離・回収に要する設備等の負担が軽減でき、また副反応による炭素質の生成やこれに伴う設備配管の管路狭窄や閉塞(いわゆる「コーキング」)の恐れも小さくできるので、連続運転可能期間が長くでき、かつ触媒再生コストも低減できるので、実用的には非常に有用性が高い。
以下に、本発明を実施するための代表的な態様を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の形態に限定されるものではない。
<ゼオライト触媒の製造方法>
1.原料
本発明のゼオライト系触媒の製造方法において使用する主な原材料は、ゼオライト、シリカ、及びその他の助剤類である。以下、個別に説明する。
(1)ゼオライト
本発明の触媒の製造方法に用いるゼオライトは8員環構造ゼオライト(酸素8員環構造ゼオライト)である。この8員環構造ゼオライトはゼオライトのもつ細孔がTO単位(TはSi、P、Ge、Al、Ga等)8個からなる環構造を意味する。このような構造を取ることにより、ゼオライトの細孔径がプロピレン選択率を高くできる範囲になると考えられる。
このように細孔が酸素8員環で構成されているゼオライトの骨格構造としては、International Zeolite Association(IZA)が規定するコードで表すと、例えば、AFX、CAS、CHA、DDR、ERI、ESV、GIS、GOO、ITE、JBW、KFI、LEV、LTA、MER、MON、MTF、PAU、PHI、RHO、RTE、RTH、等が挙げられる。
これらのうち、本発明に用いるゼオライトの骨格構造としては、AFX、CHA、DDR、ERI、LEV、RHO、RTHが好ましく、中でもCHA構造が特に好ましい。
上記ゼオライトの細孔(チャネル)の径は、一般には前記のInternational Zeolite Association(IZA)が定める結晶学的なチャネル直径(Crystalloghaphic free diameter of the channels)で示され、その好ましい範囲は、上限が0.5nm以下、より好ましくは0.4nm以下で、下限は0.2nm以上、より好ましくは0.3nm以上である。
ゼオライトの細孔径が0.5nmを超えると、プロピレン以外の副生成物(ブテン、ペンテン等)が多くなって、選択率が低下する傾向となる。一方、細孔径が前記0.2nm未満ではこの細孔をエチレンもプロピレンも通過できなくなってエチレンと触媒活性点と
の接触頻度が少なくなって反応速度が低下する傾向となる。
細孔径を上記範囲とすることにより、副反応が抑えられプロピレンの選択率を高くすることができる。
本発明に用いられるゼオライトのフレームワーク密度は特に限定されるものではないが、通常フレームワーク密度が、18.0T/nm以下であるゼオライトが好ましく、さらに好ましくは、17.0T/nm以下であり、通常13.0T/nm以上であり、好ましくは14.0T/nm以上である。
なおフレームワーク密度とは、ゼオライトの単位体積(1nm)当たりに存在するT原子(ゼオライトの骨格を構成する原子のうち、酸素以外の原子)の個数を意味し、この値はゼオライトの構造により決まるものである。
本発明に使用するゼオライトの平均粒子径は、通常0.05〜10μmであり、好ましくは0.5〜5μmであり、より好ましくは0.5〜4μmである。
ゼオライトの平均粒子径が10μmを超えると、触媒粒子の圧壊強度が小さくなって摩耗損失が大きくなる傾向がある。ゼオライトの平均粒子径が0.05μm未満ではゼオライトの結晶性が低下し、触媒活性が低下する傾向となる。
なお平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分布計により測定した値を用いる。また、粒子の形状観察は電子顕微鏡(SEM)により行うことができる。
本発明に用いられるゼオライトの骨格中には通常金属原子が含まれる。含まれる金属は、特に限定されるものではないが、通常アルミニウム、ガリウム、鉄、ホウ素等であり、好ましくはアルミニウムである。
また本発明のゼオライトを活性成分とする触媒は、通常、プロトン交換型となるが、その一部がナトリウム、カリウム等のアルカリ金属やマグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属に交換されていてもよい。
本発明に用いるゼオライトの SiO/Mモル比(Mはアルミニウム、ガリウム、鉄、ホウ素など3価の金属)は、特に限定されないが、通常5以上であり、好ましくは10以上である。SiO/Mモル比が前記下限未満では触媒の耐久性が低下する場合がある。SiO/Mのモル比の上限は、特に限定されないが通常1000以下である。SiO/Mのモル比が前記上限超過では触媒活性が低下する場合がある。
本発明に好ましく用いられるCHA構造のゼオライトとしては、構成元素がケイ素及びアルミニウムからなるアルミノシリケート、アルミニウム及びリンからなるアルミノホスフェート(ALPO)、ケイ素、アルミニウム及びリンからなるシリコアルミノホスフェート(SAPO)等が挙げられる。この中でもアルミノシリケートまたはシリコアルミノホスフェートが好ましく、アルミノシリケートがより好ましい。
なお、ゼオライト中のSiO/Alモル比についても、上記「SiO/Mモル比」で記載した範囲を用いればよい。好ましい範囲は15〜1000であり、
より好ましくは20〜500、更に好ましくは20〜300、特に好ましいのは20〜100である。
なお、このモル比が下限未満になると、炭素質の付着による失活が速くなったり、アルミニウムが骨格から抜けやすくなったり(いわゆる脱アルミニウム)、あるいは酸点当たりの酸強度が弱くなる傾向が顕著となる。またモル比が前記上限を超えて高くなると、酸量が少なくなってエチレンの転化率が低下する傾向となる。
なお、本発明に用いるゼオライトは、一般に用いられる水熱合成法により調製すること
が可能である。また水熱合成法にイオン交換、脱アルミニウム処理、含浸等で組成を変えたものも使用できる。
(2)シリカ
本発明のゼオライト系触媒の製造方法においては、上記ゼオライトとシリカとを特定の重量比率で混合して使用する。
本発明に用いるシリカは、一次粒子の平均粒子径が3〜50nmであるシリカを原料として用いることが好ましい。
なお、本明細書において「シリカ」とは8員環ゼオライト含有触媒の製造に用いられるシリカゾル等に含まれるシリカを指し、結晶性アルミノシリケートであるゼオライトの構成成分となるシリカを意味しない。
上記シリカの一次粒子の平均粒子径は、シリカ成形体の耐摩耗性や嵩密度に密接に関連し、平均粒子径が3nmから50nmの範囲にあると、ゼオライト粒子とシリカの充填状態がより均一で緻密になって、シリカ成形体の耐摩耗性が向上し、嵩密度も大きくなる傾向にある。より好ましいシリカ一次粒子の平均粒子径は、3〜30nm、更に好ましくは3〜20nmである。また、平均粒子径が50nm以下の複数種のシリカを混合して、一次粒子の粒径分布が広いシリカを用いることもできる。
本発明では、シリカはゼオライトと混合する際は、粉体状のシリカを用いてもよいが、予め水等の液状媒体と混合してシリカゾルとして使用すると、取扱いやすく、またより均一に混合しやすいので好ましい。
シリカゾルとしては、アンモニウムイオンやナトリウムイオン等で安定化させたアルカリ性シリカゾル又は酸性のシリカゾル、アミンで安定化させたシリカゾル等を用いることができる。中でもアンモニウムイオンで安定化させたシリカゾルが好ましい。
なお、シリカゾルは、アルミナ、チタニア、ジルコニア、カオリン、及び珪藻土などとともに用いることができ、これらを2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(3)その他の助剤類
本発明のゼオライト系触媒の製造方法においては、得られるゼオライト系触媒の強度を改良するために、バインダー成分やリン化合物を添加することができる。
本発明に用いることができるバインダー成分は、特に制限されるものではないが、例えば、シリカ、アルミナ、カオリンなどを使用することができ、これらのバインダーを単独、又は混合して使用することができる。これらのバインダー成分は通常粉体であるので、スラリー化工程において原料のゼオライトやシリカゾルと併せて添加・混合するのが好ましい。
リン化合物としては、例えばリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、リン酸一水素アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸三アンモニウム、過リン酸アンモニウム、次亜リン酸アンモニウム、五酸化リン、及びホスフィン類などが挙げられ、これらは単独又は二種以上の混合物、あるいはそれらの水溶液として用いることができる。
リンを含有することにより触媒の強度(耐摩耗性、圧壊強度)等が改良される理由は不明であるが、リン化合物がシリカ粒子に対して何らかの触媒作用を及ぼして、シラノール基の脱水縮合によるシリカ粒子同士の架橋や、乾燥時の液滴表層部分におけるシリカ層の形成、あるいは乾燥時の粉体粒子の破壊や開孔、陥没が抑制されて、表面が平滑で球状の粉体粒子が得られるためではないかと推定される。また焼成時のシリカゾル粒子同士の焼結促進にもリン化合物が作用して耐摩耗性の向上に寄与している可能性も考えられる。
また、上記ゼオライト含有触媒の原料混合物中に、そのpHを調整する目的で硫酸、塩酸、及び硝酸などの無機酸を加えてもよい。好ましくは硝酸である。なお、原料混合物のpHとしては、0.5〜10が好ましく、0.5〜4であるのがより好ましい。
更に、噴霧乾燥により得られるゼオライト触媒粒子の形状をより真球に近づけるために、原料混合物の表面張力を調整できる界面活性剤を加えてもよい。
2.製造工程
本発明のゼオライト系触媒の製造方法において実施する工程は、スラリー化工程、噴霧乾燥工程、及び焼成工程である。また、これらの工程に加えて、スラリー化工程の後にシリル化工程を、また別工程として使用済み触媒の再生工程などがある。以下、個別に説明する。
(1)スラリー化工程
本発明の触媒の製造方法では、使用する原材料はスラリー化工程において混合・分散され、液状媒体中に固体成分が分散したスラリーが製造される。
固体成分としては、上記のゼオライトおよびシリカが挙げられ、液状媒体は通常水である。この他に、上述したリン化合物その他の助剤類が、液状媒体に可溶性のものは液状媒体に溶解して、不溶性のものは分散させてスラリー中に含有される。
以下、液状媒体として水を用いた場合を例にとって説明する。
主な固体成分の一つであるシリカは、前記の通りシリカ粉体を水に分散させたシリカゾルとして取り扱うことが混合性も良好となり好ましい。もう一つの固体成分であるゼオライトは、粉体のままでも、水又はシリカゾルの一部に分散・懸濁させたスラリーとして用いても構わない。
両者の混合方法としては、シリカゾルにゼオライトを添加してもよいし、ゼオライトにシリカゾルを加えてもよい。
いずれの場合も、両者の混合比率は、ゼオライト/シリカの重量比率として1/10〜10/1の範囲となるように用いる。
また、リン化合物やその他の助剤類はそのまま用いても、予め水などに溶解・分散させた上で用いてもよい。
これらの原料は、一般に撹拌機を備えた槽状の容器に投入され、撹拌・混合が行われて、均一なスラリーが調製される。
スラリー中の固形分濃度(ゼオライトとシリカとの合計濃度)としては、通常5〜70質量%であり、より好ましくは10〜50質量%である。
上記の濃度範囲とすることで、混合・撹拌を適切に行うことができ、またスラリーの取扱い性も良くなる。固形分濃度を調整するためには、必要に応じて水を加えればよい。
スラリー調製のための撹拌時間としては、通常0.5〜50時間、好ましくは1〜5時間である。撹拌時の混合物の温度としては、通常10〜90℃、好ましくは15〜70℃、より好ましくは15〜40℃である。必要に応じて加熱・冷却することによりスラリーの粘度を調節してもよい。
(2)噴霧乾燥工程
噴霧乾燥工程は、上記スラリー化工程で製造したスラリーを噴霧乾燥して乾燥粉体を得る工程である。
スラリー工程で製造されたスラリーは調製後直ちに噴霧乾燥しても、あるいは調製後にゼオライトへの助剤等の吸着量を制御するために所定時間混合・撹拌を行った後に噴霧乾燥してもよい。
噴霧乾燥工程におけるスラリーの噴霧は、回転円盤方式、二流体ノズル方式又は高圧ノズル方式等の方法を採用することができるが、回転円盤方式又は二流体ノズル方式で行うことが好ましい。
乾燥熱源は、水蒸気や電気ヒーター等によって加熱された空気を用いることが好ましい。乾燥機入口の乾燥気流の温度(以下「入口温度」と記す)は、140℃を超えて400℃以下とすることが必要である。より好ましい入口温度は150℃以上、350℃以下である。
乾燥気流の流通方式は並流(パラレルフロー)方式でも、向流(カウンターフロー)方式でもよいが、乾燥効率や乾燥機内壁への付着防止等の観点から、並流(パラレルフロー)方式が好ましい。
また、乾燥機出口の乾燥気流の温度(以下「出口温度」と記す)は、80℃を超えて250℃以下とすることが必要で、より好ましくは90℃〜200℃である。なお、当然のことながら、入口温度は出口温度より高くなる。
乾燥機入口温度又は出口温度が上記範囲よりも低い場合は、乾燥が不十分となって感応機内壁に付着物ができたり、あるいは粒子が相互に融着したような異形粒子が生成したり、あるいは得られる粒子の強度が不十分となって、使用時に粉化が著しくなることがある。一方、上記範囲を超えて乾燥機の入口温度又は出口温度が上記範囲を超えて高い場合は、エネルギー的に不利となる。
上記入口温度と出口温度との温度差(△t)は、50℃を超えて300℃以下であることが好ましく、より好ましい温度差は80℃以上、250℃以下である。この温度差が50℃以下では乾燥効率が低く、設備能力を十分活用できないという問題点があり、一方300℃を超える場合は、触媒の熱履歴が過剰となって、得られる触媒が流動に適さない形状になる恐れがある。
乾燥を良好に行い、流動床反応器に用いるために好適な形状及び強度の触媒粒子とするために、噴霧乾燥工程における供給スラリー中の水分と乾燥気流との重量比率は、0.005〜0.2となるように乾燥を行う必要がある。この範囲未満では乾燥気流が多量に必要となりエネルギー効率が低下し、この範囲を超えて水分量が多くなると乾燥が十分進まず、乾燥機内への付着生成や、得られる粒子の強度不足などの問題が発生することがある。
噴霧乾燥を行う装置の形状に特に制限はないが、一般には上部が円筒形の直胴部となり、下部が逆円錐状のコーン部となる形状のものが、乾燥粒子が取り出しやすく、また噴霧液滴の乾燥もしやすいので好ましい。またその垂直方向の最大長と水平方向の最大長の比(垂直方向最大長/水平方向最大長)の範囲(以下「L/D」と記す)は、0.001〜100である。L/Dがこの範囲を外れると設備の製造が難しくなったり、運転や設備の保守・管理に手間が掛かったりするようになる。
従来法において、スラリーを噴霧乾燥する際に、乾燥された粉体粒子の破壊や粒子表面の開孔、陥没が生じ、形状が不定で脆弱な粒子となる場合があることが知られている。これは、液滴からの液体の蒸発により液滴が収縮する一方、液滴表面が固化が進行して、液滴内部の液体の圧が高くなり、突沸するような形での蒸発が起こって粒子の破壊(割れ、欠け)や粒子表面の開孔が生じたり、粉体粒子の表面が陥没したりするためであると考えられている。
本発明においては、8員環ゼオライトを用いて、特定の原材料及び組成のスラリーを所定の条件で噴霧乾燥を行うため、ゼオライトとシリカゾル中のシリカ粒子とが緊密に接触
して噴霧乾燥された触媒粒子全体の強度が向上するため、上記のような問題が起きにくくなる。
(3)焼成工程
焼成工程は上記噴霧乾燥工程で得られた乾燥粉体を加熱して、触媒を賦活したり、また粒子の硬度を向上して耐摩耗性を付与したりする工程である。
焼成工程は、マッフル炉、回転炉、トンネル炉、管状炉、又は流動焼成炉などを用いて行うことができる。
焼成温度は400〜900℃であり、好ましくは500〜800℃、より好ましくは550〜700℃である。焼成温度が上記範囲未満では触媒の活性化が不十分となって、プロピレンの選択率が不足したり、エチレンの転化率が低下したりすることがある。焼成温度が上記範囲を超えて高くなると、賦活効果の向上は見られず、一方で触媒粒子の部分溶融によるシンタリングが起きて、触媒性能が低下してしまうことがある。
焼成時間は0.1〜10時間である。焼成時間が0.1時間未満では十分な焼成効果が得られないことがある、一方焼成時間が10時間を超えても触媒性能の向上は見られず、生産性が低下することとなる。
焼成工程は、酸素雰囲気下、大気雰囲気下、イナート雰囲気下、及び真空下等のいずれの条件下でも実施することができる。
焼成工程は反復して実施してもよい。
また、本発明の8員環ゼオライト含有触媒を調製する場合、焼成工程の有無を問わず、製造された触媒におけるゼオライト/シリカ重量比率及びゼオライトのSiO/Alモル比は、いずれも概ね仕込みの組成を維持する。
(4)その他の工程
本発明においては、上記必須の工程の他に、必要に応じて以下の工程を実施してもよい。
(4−1)シリル化工程
シリル化工程は、ゼオライトの表面をシリル化することで表面の酸点を少なくして望ましくない副反応を抑制するために行われることがある。
シリル化はアルコキシシランを用いる液相シリル化やクロロシランを用いる気相シリル化があるが、いずれも常法に従って行えばよい。
例えば液相シリル化は、テトラエトキシシラン等を所望の溶媒に溶解するかまたはそのままゼオライトに対して0.1〜3重量倍程度添加し、20〜140℃で0.5〜24時間程度処理することで行うことができる。
また気相シリル化はテトラクロロシラン等を用いて、20〜400℃程度の条件で蒸着シリカ量が1〜20質量%程度となるように行えばよい。
(4−2)洗浄工程
本発明において、リン化合物や界面活性剤等の助剤を用いる場合は、上記の焼成工程終了後、助剤又はその焼成残分を除去するために、水又は熱水で洗浄を行うことが好ましい。
(4−3)触媒再生工程
本発明の触媒製造方法とは直接関係しないが、本発明の方法で製造した触媒を長期間使用して所望の反応成績を得ることが難しくなった場合は、例えば使用済みの触媒又は使用中の触媒の一部を系から抜き出した触媒を、必要に応じて水素及び/又は酸素含有ガスに接触させ、ゼオライト含有触媒に付着した炭素質化合物を燃焼させることにより、触媒を再賦活化することができる。
再賦活化を行うための燃焼炉としては、例えば流動焼成炉、回転炉、トンネル炉、管状炉、あるいはマッフル炉等が例示できるが、運転効率の点で流動焼成炉が好ましい。
処理温度としては、前記焼成工程で用いた温度と同様な温度を用いることができ、例えば400〜800℃の範囲、好ましくは500〜700℃の温度範囲が挙げられる。供給するガスとしては、水素、空気、酸素、窒素、あるいは二酸化炭素を用いることが好ましいが、水蒸気、一酸化炭素、炭化水素化合物、などを用いることもできる。これらのガスは単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。また供給するガスの圧力は通常0.05〜1.0MPa(絶対圧)であり、好ましくは0.05〜0.5MPa(絶対圧)である。
<ゼオライト触媒の特性>
1.組成
本願発明において用いる、8員環ゼオライト触媒におけるゼオライトとシリカ(シリカゾル由来のシリカを意味することは前記の通り)との比率は、ゼオライト/シリカの重量比率として、1/10〜10/1である。
この比率を上記範囲とすることで噴霧乾燥して得られた触媒粒子が、噴霧乾燥中に割れたり凹んだりせず、流動床反応器用触媒として使用するのに十分な強度を有するようになる。
なお、上記比率が1/10未満の場合は触媒の形状が球形から外れる傾向となり流動性が低下するだけでなく、有効成分であるゼオライトの触媒中の含有量が低くなって反応性も低くなる。より好ましい範囲は、1/5〜2/1である。
また上記8員環ゼオライト含有触媒がリンを含有する場合には、リンの含有量はゼオライトに対して5質量%以下とすることが好ましい。
リンの含有量が5質量%を超えて多くなっても、含有量の増加に見合う噴霧乾燥後の触媒粒子の強度改良効果の増大は得られず、逆に粒子形状が悪化したり、触媒としての活性が低下したりすることがある。リンの含有量はゼロ、即ち無添加でも構わない。
2.平均粒子径、嵩密度、圧壊強度
本発明の製造方法で得られる8員環構造のゼオライト含有触媒(以下「本発明の触媒」と略記することがある)は、50質量%の触媒粒子の平均粒子径が35〜100μmの範囲にあることが、流動性の観点から好ましく、また95質量%以上の触媒粒子の粒子径は15〜150μmの範囲にあることが好ましい。
平均粒子径はレーザー回折・散乱式粒度分布計を用いて測定することができる。
また、本発明の方法で製造される8員環ゼオライト含有触媒の嵩密度は0.6〜1.1g/cm3の範囲であることが好ましく、0.7〜1.0g/cm3の範囲であることがより好ましい。嵩密度を上記範囲とすることにより、流動床反応器に用いた場合、良好な流動性を維持することができる。
また本発明の製造方法で得られる8員環ゼオライト含有触媒は、触媒損失の低減の観点から、粒子径が30〜70μmの範囲にある触媒粒子の平均圧壊強度が15MPa以上であることが好ましく、かつ90%以上の粒子の圧壊強度が10MPa以上であることが好ましい。
3.安息角
本発明の触媒の安息角は、良好な流動床適性を得るために20〜35°であることが好ましい。安息角が20°未満になると、流動性が過剰となるため、取り扱い性が悪化する傾向となる。一方安息角が35°を超えると、流動性が低下し粒子間のブリッジングが発
生し易くなる傾向にある。
4.細孔容積
本発明の触媒は、細孔半径が2000〜20000nmの範囲の細孔容積が0.050cc/g以下であることが好ましく、より好ましい細孔容積は0.040cc/g以下、更に好ましくは0.030cc/g以下である。
細孔半径が2000〜20000nmの範囲の細孔容積が0.050cc/gを超えると触媒の摩耗損失が大きくなりやすい。
<プロピレンの製造方法>
本発明方法で製造した8員環構造のゼオライトを含有する触媒を用いて、エチレンを原料としてプロピレンを製造する方法を、以下簡単に説明する。
1.原料
本発明の触媒を用いてプロピレンを製造するための原料はエチレンである。
触媒に供給される仕込原料中の炭化水素化合物を基準としたエチレン換算含有率は特に限定されないが、生産性の観点から、エチレン換算含有率が20質量%以上が好ましく、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上である。
上記仕込み原料中には、エチレンの他に、メタン、エタン、プロパン等のアルカン類及びプロピレン、ブテン、ヘキセン等のオレフィン類等が含まれていてもよく、この他にもアセチレン等のアルキン類、アルコール類、エーテル類等が含まれていてもよい。
その他、水(水蒸気)、水素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素等も、本発明の触媒の性能を阻害しない限り、含まれていてもよい。
2.プロピレンの製造方法
本発明の触媒を使用してプロピレンを製造するに際しては、該触媒を装入した流動床反応器に上記のエチレン又はエチレンを含有する原料混合物を供給して、接触的にエチレンをプロピレンに転化する方法を用いるのが好ましい。
このような製造方法を例として、以下本触媒を用いるプロピレンの製造方法について説明する。
(1)触媒の水蒸気処理
エチレンの供給を開始する前に、本発明の触媒を300〜900℃の温度で水蒸気分圧0.01気圧以上の条件で水蒸気処理することが好ましい。この水蒸気の存在下での加熱処理では、水蒸気以外のガス成分として窒素及び/又は酸素等を含んでいてもよい。
水蒸気処理を行うことにより、本発明の触媒を用いたプロピレンの製造において、触媒への炭素質成分の沈着(コーキング)による触媒の劣化を抑制することができ、プロピレン収率・収量を向上させることができる。
(2)反応条件
本発明の触媒を用いるプロピレンの製造方法における反応温度は、好ましくは300〜650℃の範囲で、500〜600℃の範囲であることがより好ましい。また反応圧力は、好ましくは、0.01〜3MPa(絶対圧)の範囲で、0.03〜1MPa(絶対圧)の範囲であることがより好ましい。
反応器へのエチレンの供給速度は、本発明の触媒の質量基準の空間速度(WHSV)として、好ましくは0.05〜20Hr−1であり、0.1〜10Hr−1とすることがより好ましい。
上記の条件で、流動床反応器におけるガスの流通速度を、0.1〜1.5m/秒、好ましくは0.1〜1.0m/秒、より好ましくは0.2〜1.0m/秒の範囲とすることに
より、プロピレンを効率よく安定に製造することができる。
(3)流動床反応器
本発明の触媒を用いるプロピレンの製造方法においては、反応器として流動床反応器を用いることが好ましい。
流動床反応器としてはフルードベッド型反応器とライザー型反応器とがあり、そのいずれも用いることができるが、触媒の分離・回収やプロピレンを効率よく安定に製造する観点から、フルードベッド型反応器を用いることが好ましい。
フルードベッド型反応器の構造としては、原料ガス供給のためのガス分散管を反応器底部及び/又は反応器下部に有し、触媒の濃厚層と希薄層に必要に応じて徐熱用の冷却コイルを有し、また、反応ガスと触媒を分離するためのサイクロンを反応器内の上部に有する反応器が挙げられる。また、サイクロンは反応器の外部に設置することもできる。
(4)エチレン転化率
本発明の触媒を用いるプロピレンの製造方法におけるエチレンの転化率はガスクロマトグラフィーを用いて生成物を分析し、下記式(1)によって求めることができる。
エチレン転化率(%)=〔[反応器入口エチレン(モル)― 反応器出口エチレン(モ
ル)]/反応器入口エチレン(モル)〕×100 (1)
(5)選択率
本発明の触媒を用いるプロピレンの製造方法において、選択率はガスクロマトグラフィーを用いて生成物を分析し、各成分ごとに下記式(2)によって求めることができる。
なお、下記の式(2)において、プロピレン、ブテン、C+,パラフィンまたは芳香族化合物由来カーボン(モル)は、各成分を構成する炭素原子のモル数を意味する。また、パラフィンは炭素数1から3のパラフィンの合計、芳香族化合物はベンゼン、トルエン、キシレンの合計、C+は前記芳香族化合物を除いたC以上の炭化水素の合計値である。
プロピレン選択率(%)=
〔 反応器出口プロピレン由来カーボン(モル)/[反応器出口総カーボン(モル)
― 反応器出口エチレン由来カーボン(モル)]〕×100
ブテン選択率(%)=
〔 反応器出口ブテン由来カーボン(モル)/[反応器出口総カーボン(モル)― 反応器出口エチレン由来カーボン(モル)]〕×100
+選択率(%)=
〔 反応器出口C+由来カーボン(モル)/[反応器出口総カーボン(モル)― 反応器出口エチレン由来カーボン(モル)]〕×100
パラフィン選択率(%)=
〔 反応器出口パラフィン由来カーボン(モル)/[反応器出口総カーボン(モル)
― 反応器出口エチレン由来カーボン(モル)]〕×100
芳香族化合物選択率(%)=
〔 反応器出口芳香族化合物由来カーボン(モル)/[反応器出口総カーボン(モル
)― 反応器出口エチレン由来カーボン(モル)]〕×100 (2)
なお本明細書において、「収率」は、前記エチレン転化率と、生成した各成分の選択率との積により求められ、例えばプロピレン収率は次の式(3)により算出できる。
プロピレン収率(%)=
(エチレン転化率(%)×プロピレン選択率(%))/100 (3)
(6)原料の回収・再使用
本発明の触媒を用いるプロピレンの製造方法においては、反応器からの流出ガスからプロピレンを分離した後のガス流は一部の高沸点成分を除去した上で、反応器に循環して再使用することが好ましい。
流動床反応器の流出ガスからプロピレンを分離する方法としては、蒸留分離等を用いればよく、またプロピレンを分離した後のガス流はエチレン等の低沸成分及びブテン等の高沸成分を含んでいるので、これらは一部の更に沸点の高い成分を除去した上で原料ガスの一部として上記流動床反応器に循環・再使用することが効率的である。
なお、再使用する量や比率については特に限定されず、プロピレンの生産量に応じて調整すれば十分である。
以下実施例を用いて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
1.触媒の調製
(1)ゼオライト
(1−1)シリル化処理ゼオライト(以下「ゼオライト1」と記す)
米国特許第4,544,538号に記載の方法で合成したCHA構造を有するプロトン型のアルミノシリケート(SiO/Al=25、ゼオライト)2.71kgにトルエン28.0kgを加え、室温で1時間撹拌した後、水0.271kgを加え、更に室温で15分間撹拌した。その後、テトラエトキシシラン6.30kgを加え、70℃で4時間加熱することでシリル化処理を行った。処理後、ろ過・洗浄を行い、得られたアルミノシリケートを80℃で減圧乾燥した。
(1−2)シリル化処理しないゼオライト(以下「ゼオライト2」と記す)
米国特許第4,544,538号に記載の方法で合成したCHA構造を有するプロトン型のアルミノシリケート(SiO/Al=25、ゼオライト)をそのまま使用した。
(1−3)ZSM−5ゼオライト(以下「ゼオライト3」と記す)
Zeolyst製 ZSM−5 CBV2314(SiO/Al=23、MFI型10員環ゼオライト)
(2)触媒
(触媒1)
前記「ゼオライト1」をそのまま「触媒1」として使用した。
触媒1の安息角は41°で、平均粒子径が40.3 μmであった。流動床触媒としては
使用困難と考えられた。
(触媒2)
前記「ゼオライト1」に、シリカゾルとしてスノーテックスNXS(日産化学(株)製、スラリー濃度 14.5質量%)およびリン酸(和光純薬(株)製、試薬1級)を、ゼ
オライト/シリカ/リン=1/1/0.024の組成となるように添加してスラリーを調製し、ニロアトマイザー社製モービルマイナー型スプレードライヤー(噴霧方式:回転円盤式)を使用して入口ガス温度250℃、出口ガス温度150℃の条件で噴霧乾燥を行った後、550℃で8時間焼成を行ない、8員環ゼオライト含有触媒(触媒2)を調製した。なお、供給スラリー中の水分/乾燥気流の重量比率は、0.06であった。
この触媒2の安息角は30°、平均粒子径は55.4μmであり、流動床反応器に用いる触媒として好適な触媒となっていた。
(触媒3)
「ゼオライト1」に代えて前記「ゼオライト2」を使用し、ゼオライト/シリカ/リン
=1.5/1/0.036の組成となるように添加量を変更したこと以外は上記触媒2と同様にして噴霧乾燥及び焼成を行なって8員環ゼオライト含有触媒(触媒3)を調製した。
触媒3の安息角は28°、平均粒子径は49.6μmであり、流動床触媒として好適な触媒となっていた。
(触媒4)
噴霧乾燥の入口ガス温度を130℃、出口ガス温度を80℃に変更したこと以外は、触媒2と同様にして8員環ゼオライト含有触媒(触媒4)を調製した。
噴霧乾燥時、温度が低いためか比較的大きい液滴は十分に乾燥せず、スプレードライヤー壁面に付着し、結果として平均粒子径の小さな触媒しか回収できなかった。
得られた触媒4の安息角は29°、平均粒子径は32.4μmで、流動床触媒としては好ましくないものとなっていた。
(触媒5)
前記ゼオライト2を「触媒5」とした。
この触媒5の安息角は47 °、平均粒子径は16.9μmで、流動床触媒としては好
ましくないものであった。
(触媒6)
前記「ゼオライト3」を550℃で8時間焼成を行ない、プロトン型ゼオライト触媒(触媒6)を調製した。
この触媒6の安息角は 46°、平均粒子径は5.3μmで、流動床触媒としては好ま
しくないものであった。
(触媒7)
前記「ゼオライト3」を使用し、ゼオライト/シリカ/リン=1.5/1/0.036の組成となるように添加量を変更したこと以外は上記触媒2と同様にして噴霧乾燥及び焼成を行なってプロトン型ゼオライト含有触媒(触媒7)を調製した。
この触媒7の安息角は27°、平均粒子径は54.1μmであった。
2.分析、測定及び評価方法
(1)安息角
安息角は、三輪式円筒回転形流動表面角測定器(筒井理化学器機株式会社製)を用い、回転数10rpmで、造粒便覧(日本粉体工業協会編、オーム社)に記載されている傾斜角法を用いて測定した。
(2)平均粒子径
平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分布計(株式会社セイシン企業製LMS−24)を用い、50質量%の触媒粒子の平均粒子径として測定した。
(3)生成物の分析
株式会社島津製作所製GC14B(検出器:FID)、GC14B(検出器:TCD)、及びGC8A(検出器:TCD)の各装置を用いて、ガスクロマトグラフィー法により生成物の分析を行った。
(4)流動床適性
焼成後の触媒粒子の安息角が20°〜35°、平均粒子径が35〜100μmのものが、流動床反応器用の触媒として好適なものであるとして「○」と評価した。
なお、両者のいずれか一方のみを満たすものは「△」、両方とも好適範囲を外れているものは「×」とした。
3.プロピレンの製造
(実施例1)
常圧固定床流通反応装置を用い、石英製反応管に前記「触媒2」を充填した。
エチレン30体積%、窒素70体積%の混合ガスをエチレンの重量空間速度が0.36hr−1(ゼオライト重量基準)になるように反応器に供給し、350℃、0.1MPaの条件で反応を行った。
ガスクロマトグラフィーにより反応開始200分後の生成物を分析したところ、エチレン転化率は24.3%、プロピレン選択率は92.3%であった。
(実施例2)
触媒として「触媒2」に代えて前記「触媒3」を用いたこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。
ガスクロマトグラフィーにより反応開始200分後の生成物を分析したところ、エチレン転化率は39.5%、プロピレン選択率は89.7%であった。
(比較例1)
触媒として「触媒2」に代えて前記「触媒1」を用いたこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。
ガスクロマトグラフィーにより反応開始200分後の生成物を分析したところ、エチレン転化率は37.0%、プロピレン選択率は90.5%であった。
(比較例2)
触媒として「触媒2」に代えて前記「触媒5」を用いたこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。
ガスクロマトグラフィーにより反応開始200分後の生成物を分析したところ、エチレン転化率は78.4%、プロピレン選択率は56.3%であった。
(比較例3)
上記「触媒4」の項で記載した通り、平均粒子径が流動床触媒としては好ましくない範囲にあったことを考慮して、触媒4の反応性の評価は実施しなかった。
(比較例4)
触媒として「触媒2」に代えて前記「触媒6」を用いたこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。
ガスクロマトグラフィーにより反応開始125分後の生成物を分析したところ、エチレン転化率は99.6%、プロピレン選択率は0.6%であった。
(比較例5)
触媒として「触媒2」に代えて前記「触媒7」を用いたこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。
ガスクロマトグラフィーにより反応開始125分後の生成物を分析したところ、エチレン転化率は99.3%、プロピレン選択率は8.9%であった。
4.結果の評価
上記実施例、比較例の条件及び結果をまとめて表1に示す。
Figure 0006052002
表1から以下の諸点が判明した。
(1)本願に規定する条件で製造された触媒は、実施例1、2に示す通り、良好な反応成績を示すと共に、優れた流動性を有していて流動床型の反応器に好適に使用できる。
(2)実施例1と実施例2、及び比較例1と比較例2を組み合わせて対比すると、シリ
ル化によってプロピレン選択率が向上することが明らかに見られている。
本願において特定のゼオライトを噴霧乾燥することによる効果の一つは、上記の組み合わせについて、噴霧乾燥有無に関して、実施例1と比較例1、実施例2と比較例2を対比すると更に明確になる。
実施例1と比較例1はいずれもシリル化を行った例であり、選択率の向上が見られているが、実施例2と比較例2のようにシリル化を行わなかった場合においても、特に顕著なPPY選択率の向上が達成されている点である。
実施例2の結果から判る通り、噴霧乾燥を行うことにより、煩雑なシリル化処理を行わなくても、プロピレンの選択率が大きく向上している。勿論、シリル化を行ったものには及ばないが、選択率の向上率は159.3%(89.7/56.3)と極めて大きいものがある。
(3)実施例2と比較例5を対比すると、8員環構造のゼオライトを用いた実施例2ではプロピレン選択率が約90%であるのに比べて、10員環構造のものを使用した比較例5では、流動床適性は問題ないもののプロピレンの選択率は10%以下と著しく劣っていることが判る。
(4)また噴霧乾燥条件として、本願の範囲を選定することによって、乾燥運転が安定化でき、良好な粒子形状の触媒が得られる点も、実施例1と比較例3を対比すれば確認することができる。
本発明の触媒の製造方法によれば、エチレンを原料として高い選択率で流動床反応器を用いてプロピレンを製造することができる触媒が提供される。

Claims (5)

  1. エチレンを原料としてプロピレンを製造するための触媒の製造方法であって、以下の工程を順次経ることを特徴とする触媒の製造方法。
    (1)8員環構造のゼオライトとシリカとを、ゼオライト/シリカの重量比率として、1/10〜10/1の範囲で混合してスラリー化するスラリー化工程
    (2)前記スラリーを入口温度が140℃を超え400℃以下、出口温度が80℃を超え250℃以下(但し入口温度>出口温度)の温度条件で、供給スラリー中の水分/乾燥気流の重量比率が0.005〜0.2となるような範囲で噴霧乾燥する噴霧乾燥工程
    (3)前記噴霧乾燥工程で得られた粉体を、400℃以上900℃以下で0.1〜10時間焼成する焼成工程
  2. (1)スラリー工程の後、(2)噴霧乾燥工程の前に、前記ゼオライトの少なくとも一部をシリル化処理する工程を行うことを特徴とする請求項1に記載の触媒の製造方法。
  3. (2)噴霧乾燥工程の入り口温度と出口温度の差(△t)が、50℃を超え、300℃以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の触媒の製造方法。
  4. (2)噴霧乾燥工程を回転円盤方式、二流体ノズル方式又は高圧ノズル方式の噴霧乾燥機を用いて行い、かつ乾燥空気を並流(パラレルフロー)方式又は向流(カウンターフロー)方式で流通させて乾燥を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の触媒の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載された方法で製造された触媒を用いることを特徴とする、エチレンを原料とするプロピレンの製造方法。
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