JP2016204203A - カーボンナノチューブ含有組成物の分散液および導電性成形体 - Google Patents

カーボンナノチューブ含有組成物の分散液および導電性成形体 Download PDF

Info

Publication number
JP2016204203A
JP2016204203A JP2015088053A JP2015088053A JP2016204203A JP 2016204203 A JP2016204203 A JP 2016204203A JP 2015088053 A JP2015088053 A JP 2015088053A JP 2015088053 A JP2015088053 A JP 2015088053A JP 2016204203 A JP2016204203 A JP 2016204203A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon nanotube
containing composition
dispersion
weight
dispersant
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2015088053A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016204203A5 (ja
Inventor
中村 友彦
Tomohiko Nakamura
友彦 中村
尚代 岡本
Hisayo Okamoto
尚代 岡本
佐藤 謙一
Kenichi Sato
謙一 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2015088053A priority Critical patent/JP2016204203A/ja
Publication of JP2016204203A publication Critical patent/JP2016204203A/ja
Publication of JP2016204203A5 publication Critical patent/JP2016204203A5/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)
  • Non-Insulated Conductors (AREA)
  • Manufacturing Of Electric Cables (AREA)

Abstract

【課題】導電性に優れたカーボンナノチューブ含有組成物の分散液および導電性成形体を提供する。
【解決手段】
カーボンナノチューブ含有組成物、エーテル化度が0.4以上0.7未満であるカルボキシメチルセルロースまたはその塩からなる分散剤および分散媒を含むカーボンナノチューブ含有組成物の分散液および、基材上に導電層が形成された導電性成形体であって、該導電層がカーボンナノチューブ含有組成物およびエーテル化度が0.4以上0.7未満であるカルボキシメチルセルロースまたはその塩からなる分散剤を含む導電性成形体。
【選択図】なし

Description

本発明はカーボンナノチューブ含有組成物の分散液およびそれを基材に塗布して得られる導電性成形体とその製造方法に関する。
カーボンナノチューブは実質的にグラファイト1枚面を巻いて筒状にした形状を有したナノ物質であり、1層に巻いたものを単層カーボンナノチューブ、多層に巻いたものを多層カーボンナノチューブ、中でも特に2層に巻いたものを2層カーボンナノチューブという。カーボンナノチューブは、それ自体が優れた真性の導電性を有し、導電性材料として使用されることが期待されている。
カーボンナノチューブの導電性を利用した用途として、例えば、クリーンルーム用部材や、ディスプレイ用部材、自動車用部材などがあり、制電、導電、電波吸収、電磁波遮蔽、近赤外カット性付与に用いられる。カーボンナノチューブはアスペクト比が高く少量で導電パスを形成できるため、従来のカーボンブラック等の導電性微粒子と比べ光透過性、耐脱落性に優れた導電性材料となりうる。例えば、カーボンナノチューブを用いて光学用透明導電性薄膜として用いることが公知である。
カーボンナノチューブを用いて光透過性に優れた導電性フィルムを得るには、数10本のカーボンナノチューブからなる太いバンドル(束)や強固な凝集を解し、カーボンナノチューブを高分散させ、少ないカーボンナノチューブの本数で効率良く導電パスを形成する必要がある。このような導電性フィルムを得る手段としては、例えばカーボンナノチューブを溶媒中に高分散させた分散液を基材に塗布する方法などが知られている。カーボンナノチューブを溶媒中に高分散させるためには、分散剤を用いて分散させる手法がある。中でも、カーボンナノチューブをより高度に分散させるためには、水性溶媒中、水に親和性のある親水性基およびカーボンナノチューブと親和性の高い疎水性基をもつ分散剤、例えばカルボキシメチルセルロースを用いて分散させる方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
国際公開第2014/002885号
特許文献1に記載の技術においては、カーボンナノチューブを分散させるのにカーボンナノチューブ含有組成物100重量部に対し分散剤を250重量部必要としていた。分散剤であるカルボキシメチルセルロースは絶縁物であるため、カーボンナノチューブ含有組成物の分散液を基材上に塗布して得られる導電性成形体に含まれる分散剤が多くなり、カーボンナノチューブの導電ネットワークが阻害されることがある。そのため、多量のカルボキシメチルセルロースなどの分散剤を含むカーボンナノチューブ薄膜は導電性が劣るという問題があった。
本発明は、上記問題、状況を鑑みてなされたものであり、その解決課題は、量産性に優れた簡便な方法で、導電性成形体としたときに、透明かつ導電性に優れた導電性成形体とすることができるカーボンナノチューブ含有組成物の分散液を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、分散剤としてエーテル化度が0.4以上0.7未満のカルボキシメチルセルロースを分散剤として用いることで、少量の分散剤で分散性にすぐれたカーボンナノチューブ含有組成物の分散液を得ることができ、このような分散剤を使用した分散液を用いることで、導電性成形体としたときに、透明かつ導電性に優れることを見出し、本発明に至ったものである。
すなわち本発明は、下記を特徴とする。
<1>カーボンナノチューブ含有組成物、エーテル化度が0.4以上0.7未満であるカルボキシメチルセルロースまたはその塩からなる分散剤および分散媒を含むカーボンナノチューブ含有組成物の分散液。
<2>前記カーボンナノチューブ含有組成物100重量部に対し、前記分散剤10重量部以上200重量部以下を含む<1>に記載のカーボンナノチューブ含有組成物の分散液。
<3>前記カルボキシメチルセルロースまたはその塩のゲルパーミエーションクロマトフラフィーで測定した重量平均分子量が5千以上6万以下である<1>または<2>に記載のカーボンナノチューブ含有組成物の分散液。
<4>基材上に導電層が形成された導電性成形体であって、該導電層がカーボンナノチューブ含有組成物およびエーテル化度が0.4以上0.7未満であるカルボキシメチルセルロースまたはその塩からなる分散剤を含む導電性成形体。
<5>前記カーボンナノチューブ含有組成物100重量部に対し、前記分散剤10重量部以上200重量部以下を含む<4>に記載の導電性成形体。
<6>前記導電層の全光線透過率が85%以上であり、かつ表面抵抗値が10Ω/□以上10Ω/□以下である<4>または<5>に記載の導電性成形体。
<7>前記導電層の全光線透過率が85%以上であり、かつ表面抵抗値が10Ω/□以上10Ω/□以下である<4>〜<6>のいずれかに記載の導電性成形体。
<8>請求項1〜3のいずれかに記載のカーボンナノチューブ含有組成物の分散液を基材に塗布した後、分散媒を除去する導電性成形体の製造方法。
本発明によれば、エーテル化度0.4以上0.7未満のカルボキシメチルセルロースまたはその塩を分散剤に用いることで、カーボンナノチューブ含有組成物を分散性よく分散させた分散液を得ることができる。エーテル化度がこの範囲のカルボキシメチルセルロースまたはその塩を分散剤とすることで、分散剤の量を少なくすることができるためカーボンナノチューブ含有組成物の分散液を用いて得られる導電性成形体は、透明かつ導電性が高いものが得られる。
以下に、本発明について、望ましい実施の形態とともに、詳細に説明する。
本発明に関わるカーボンナノチューブ含有組成物の分散液では、カーボンナノチューブ含有組成物、カルボキシメチルセルロースまたはその塩と分散媒を含み、カルボキシメチルセルロースまたはその塩のエーテル化度が0.4以上0.7未満であることが特徴である。エーテル化度がこの範囲のカルボキシメチルセルロースまたはその塩を分散剤とすることで、その含有量がカーボンナノチューブ含有組成物100重量部に対して10重量部以上200重量部未満ですぐれた分散性を有する分散液を得ることができる。このカーボンナノチューブ含有組成物の分散液は、分散性に優れ、かつ分散液を使用して導電性成形体を形成した場合、透明導電性に優れた導電性成形体を得ることができる。この導電性成形体形成時の透明導電性を向上させる効果は、カーボンナノチューブ含有組成物の分散液中に含まれるカルボキシメチルセルロースまたはその塩の量を削減したことにより、絶縁物量が減少し、導電性成形体の体積抵抗値が低下したことで達成されたものと考えられる。また、カーボンナノチューブ含有組成物の分散液に含まれるカルボキシメチルセルロースまたはその塩の量を減少しても高分散性を維持する効果は、カルボキシメチルセルロースまたはその塩のエーテル化度が0.4以上0.7未満と低いことにより、疎水性となってカーボンナノチューブ含有組成物との親和性が向上したことで達成されたものと考えられる。
[カーボンナノチューブ]
本発明では導電性材料としてカーボンナノチューブを用いる。本発明においてカーボンナノチューブ含有組成物とは、複数のカーボンナノチューブを含む総体を意味する。カーボンナノチューブ含有組成物中の、カーボンナノチューブの存在形態は、特に限定されず、それぞれが独立、束状、あるいは絡まり合うなどの形態あるいはこれらの混合形態で存在していてもよい。また、種々の層数または直径のものが含まれていてもよい。また、分散液や他の成分を配合した組成物中、あるいは他の成分と複合した複合体中に含まれる場合でも、複数のカーボンナノチューブが含まれていれば、カーボンナノチューブ含有組成物が含まれていると解する。カーボンナノチューブ含有組成物には、カーボンナノチューブ製造法由来の不純物(例えば触媒やアモルファスカーボン)を含み得る。
カーボンナノチューブはグラファイトの1枚面を巻いて筒状にした形状を有しており、1層に巻いたものを単層カーボンナノチューブ、2層に巻いたものを2層カーボンナノチューブ、3層以上に巻いたものを多層カーボンナノチューブという。
カーボンナノチューブ含有組成物の分散液およびそれによって得られる導電体には、求められる用途特性に応じて、単層、2層、多層のいずれのカーボンナノチューブも用いることができる。単層〜2層と層数の少ないカーボンナノチューブを用いれば導電性がより高く、光透過性も高い導電体を得ることができる。光透過性の高い導電体を得るには、好ましくは、層数が単層から2層であるカーボンナノチューブが100本中50本以上含まれることが好ましく、特に2層カーボンナノチューブがカーボンナノチューブ100本中50本以上であると導電性ならびに分散性が極めて高く好ましい。3層以上の多層カーボンナノチューブは一般に結晶化度が低く導電性が低いうえ、単層〜2層カーボンナノチューブと比較して1本あたりの光吸収率が大きく、透明導電性が低くなる。
カーボンナノチューブの層数は、例えば以下のようにサンプルを作製し測定できる。
カーボンナノチューブが液などの媒体中に分散した組成物である場合、溶媒が水系の場合は組成物を水で見えやすい濃度に適宜希釈しコロジオン膜上に数μL滴下し風乾させた後、直接透過型電子顕微鏡でコロジオン膜上のカーボンナノチューブを調べる。溶媒が非水系の場合は、一度乾燥により溶媒を除去した後、再度水中で分散させてから適宜希釈してコロジオン膜上に数μL滴下し風乾させた後、透過型電子顕微鏡で観察する。導電体中のカーボンナノチューブの層数は、塗布前の組成物を同様にして観察することができる。導電体からカーボンナノチューブを採取する際は、エポキシ樹脂で包埋した後、ミクロトームなどを用いて0.1μm以下に薄く切断した切片を観察することによって、導電体を透過型電子顕微鏡で調べることができる。また、溶媒でカーボンナノチューブを抽出し、組成物の場合と同様にして高分解能透過型電子顕微鏡で観察することによって調べることもできる。コロジオン膜上に滴下する液のカーボンナノチューブ濃度は、カーボンナノチューブを一本一本観察できる濃度であればよいが、例えば0.001重量%である。
上記カーボンナノチューブの層数の測定は、例えば、次のようにして行う。透過型電子顕微鏡を用いて25万倍で観察し、75nm四方の視野の中で、視野面積の10%以上がカーボンナノチューブである視野中から任意に抽出した100本のカーボンナノチューブについて層数を測定する。一つの視野中で100本の測定ができない場合は、100本になるまで複数の視野から測定する。このとき、カーボンナノチューブ1本とは、視野中で一部カーボンナノチューブが見えていれば1本と計上し、必ずしも両端が見えている必要はない。また視野中で2本と認識されても視野外でつながって1本となっていることもあり得るが、その場合は2本と計上する。
カーボンナノチューブの直径は、特に限定はないが,上記好ましい範囲の層数のカーボンナノチューブの外径の平均値は1nm〜10nmであり、特に1〜3nmの範囲内であるものが好ましく用いられる。この外径の平均値は、上記透過型電子顕微鏡を用いて25万倍で観察し、75nm四方の視野の中で、視野面積の10%以上がカーボンナノチューブである視野中から任意に抽出した100本のカーボンナノチューブについて層数を測定するのと同様の方法でサンプルを観察し、カーボンナノチューブの外径を測定したときの算術平均値である。
カーボンナノチューブは表面や末端が官能基やアルキル基で修飾されていてもよく、また硝酸やアルカリ金属、ハロゲンでドーピングされていてもよい。例えば酸中で加熱することにより、カルボキシル基、水酸基で官能基化させてもよい。ドーピングすることによりカーボンナノチューブの導電性が向上し好ましい。
カーボンナノチューブの長さは特に限定はないが、短すぎると効率的に導電性パスを形成できないため0.5μm以上であることが好ましく、より好ましくは1μm以上である。上限は長すぎると分散性が低下する傾向にあるため10μm以下であることが好ましい。
カーボンナノチューブの長さは、後述するように原子間力顕微鏡を用いて調べることができる。組成物の場合には、マイカ基板上に数μL滴下し風乾させた後、原子間力顕微鏡で調べることができる。滴下するカーボンナノチューブ含有組成物の濃度は、カーボンナノチューブが一本一本観察できる濃度が好ましく適宜希釈すれば良いが、例えば0.003重量%である。
導電体からカーボンナノチューブを採取する際は、導電体から溶媒を用いてカーボンナノチューブを抽出してから組成物と同様の方法で観察することができる。
カーボンナノチューブの長さについては、上記方法で試料を作製し、原子間力顕微鏡で観察し、30μm四方の視野の中で10本以上のカーボンナノチューブが含まれるところで写真を撮り、各カーボンナノチューブの長さを測定する。視野中から任意に抽出した100本のカーボンナノチューブの長さを長さ方向に沿って測定する。一つの視野中で100本の測定ができない場合は、100本になるまで複数の視野から測定する。合計100本のカーボンナノチューブについて長さを測定することによって100本中に含まれるカーボンナノチューブの長さとその本数を確認することができる。本発明においては、長さが0.5μm以下の範囲にあるカーボンナノチューブが100本中30本以下であれば、接点抵抗を低減でき、光透過率を向上することができ好ましく、さらに1μm以下の範囲にあるカーボンナノチューブが100本中30本以下であるとより好ましい。さらに、本発明においては、長さが10μm以上の範囲にあるカーボンナノチューブが100本中30本以下であると分散性が向上でき好ましい。カーボンナノチューブの長さが長く、視野内で全体の長さが見えていない場合は、視野内のカーボンナノチューブの長さを測定し、10μm以内であれば測定値の長さと見なし、10μmより大きければ10μm超の長さと見なして0.5〜10μmの範囲にあるカーボンナノチューブの本数を数えることとする。
また、透明導電性に優れた導電体を得るには、結晶化度の高い高品質のカーボンナノチューブを用いることが好ましい。結晶化度の高いカーボンナノチューブは、それ自体電気伝導性に優れる。しかし、このような高品質のカーボンナノチューブは、結晶化度の低いカーボンナノチューブと比べより強固にバンドルや凝集体を形成しているため、一本一本を解し安定に高分散させるのは非常に困難である。そのため、結晶化度の高いカーボンナノチューブを用いて、より導電性の高い導電体を得るには、カーボンナノチューブの分散技術が非常に重要である。
本発明で用いるカーボンナノチューブは、特に限定されないが、直線性があり結晶化度が高いカーボンナノチューブであることが導電性が高く好ましい。直線性のよいカーボンナノチューブとは、欠陥が少なくカーボンナノチューブ結晶化度が高いカーボンナノチューブである。カーボンナノチューブの結晶化度は、ラマン分光分析法により評価が可能である。ラマン分光分析法で使用するレーザー波長は種々あるが、ここでは532nmを利用する。ラマンスペクトルにおいて1590cm−1付近に見られるラマンシフトは、グラファイト由来のGバンドと呼ばれ、1350cm−1付近に見られるラマンシフトはアモルファスカーボンやグラファイトの欠陥に由来のDバンドと呼ばれる。すなわち、GバンドとDバンドのピーク高さの比であるG/D比が高いカーボンナノチューブほど、直線性、かつ結晶化度が高く、高品質である。
本発明で用いるカーボンナノチューブにおいて、ラマンG/D比を評価するときは波長532nmを用いる。G/D比は高いほど良いが、30以上であれば高品質カーボンナノチューブと言うことができる。好ましくは40以上、さらに好ましくは50以上である。上限は特にないが、通常200以下である。またカーボンナノチューブのような固体のラマン分光分析法はサンプリングによってばらつくことがある。そこで少なくとも3カ所、別の場所をラマン分光分析し、その相加平均をとるものとする。
ラマン分光分析は、共鳴ラマン分光計(ホリバ ジョバンイボン製 INF−300)に粉末試料を設置し、532nmのレーザー波長を用いて測定を行う。測定に際しては3ヶ所、別の場所にて分析を行い、Gバンド、Dバンドの高さを測定し、それぞれの高さの比でG/D比を求め、その相加平均を表す。
本発明で用いるカーボンナノチューブ含有組成物は、例えば以下のように製造される。
マグネシアに鉄を担持した粉末状の触媒を、縦型反応器中、反応器の水平断面方向全面に存在させ、該反応器内にメタンを鉛直方向に流通させ、メタンと上記触媒を500〜1200℃で接触させ、カーボンナノチューブを製造した後、カーボンナノチューブを酸化処理することにより得られる。すなわち上記カーボンナノチューブの合成法により、単層〜2層のカーボンナノチューブを含有するカーボンナノチューブ含有組成物を得ることができる。
カーボンナノチューブの酸化処理として硝酸や混酸、過酸化水素で処理することが挙げられる。カーボンナノチューブを過酸化水素で処理するとは、上記カーボンナノチューブ含有組成物を例えば市販の34.5%過酸化水素水中に0.01重量%〜10重量%になるように混合し、0〜100℃の温度にて0.5〜48時間反応させることを意味する。またカーボンナノチューブを混酸で処理するとは、上記カーボンナノチューブ含有組成物を例えば濃硫酸/濃硝酸(3/1)混合溶液中に0.01重量%〜10重量%になるように混合し、0〜100℃の温度にて0.5〜48時間反応させることを意味する。混酸の混合比としては生成したカーボンナノチューブ中の単層カーボンナノチューブの量に応じて濃硫酸/濃硝酸の比を1/10〜10/1とすることも可能である。カーボンナノチューブを硝酸で処理するとは、上記カーボンナノチューブ含有組成物を例えば市販の硝酸40〜80重量%中に0.01重量%〜10重量%になるように混合し、60〜150℃の温度にて0.5〜48時間反応させることを意味する。
また、カーボンナノチューブの酸化処理は、例えば焼成処理する方法により行われる。焼成処理の温度は本発明で用いるカーボンナノチューブが得られる限り、特に限定されないが、通常、300〜1000℃の範囲で選択される。酸化温度は雰囲気ガスに影響されるため、酸素濃度が高い場合には比較的低温で、酸素濃度が低い場合には比較的高温で焼成処理することが好ましい。カーボンナノチューブの焼成処理としては、例えば大気下、カーボンナノチューブの燃焼ピーク温度±50℃の範囲内で焼成処理をする方法が挙げられるが、酸素濃度が大気よりも高い場合はこれよりも低目の温度範囲、低い場合には高めの温度範囲が選択されるのが通常である。特に大気下で焼成処理を行う場合は燃焼ピーク温度±15℃の範囲で行うことが好ましい。
このような酸化処理を行うことで、生成物中のアモルファスカーボンなどの不純物および耐熱性の低い単層CNTを選択的に除去することが可能となり、単層から2層、特に2層カーボンナノチューブの純度を向上することができる。それと同時にカーボンナノチューブの表面が官能基化されることにより、分散媒および添加剤との親和性が向上するため分散性が向上する。これらの酸化処理のなかでも、硝酸を用いて処理することが特に好ましい。
これら酸化処理はカーボンナノチューブ合成直後に行っても良いし、別の精製処理後に行っても良い。例えば触媒として鉄/マグネシアを用いる場合、先に塩酸等の酸により触媒除去のための精製処理を行った後に酸化処理してもよいし、酸化処理を行った後にさらに触媒除去のための精製処理を行っても良い。
[カーボンナノチューブ含有組成物の分散]
本発明において、カーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層は、カーボンナノチューブ含有組成物の分散液を塗布して形成することができる。カーボンナノチューブ含有組成物の分散液を得るには、カーボンナノチューブ含有組成物を分散媒とともに、混合分散機や超音波照射装置によって分散処理を行うことが一般的であり、さらにカルボキシメチルセルロースまたはその塩からなる分散剤を添加する。
カーボンナノチューブ含有組成物の分散液の分散剤として、分散性のよい分散剤を用いることで、カーボンナノチューブのバンドルを解して透明導電性を向上させることができる点から、イオン性官能基を有する多糖類であるカルボキシメチルセルロースおよびその誘導体、およびその塩を用いる。
このとき分子量が小さすぎると、分散剤とカーボンナノチューブの相互作用が弱まるためにカーボンナノチューブのバンドルを十分に解すことができない。一方、分子量が大きすぎると、ポリマー鎖のカーボンナノチューブへの絡みつきが強くなりすぎることで過剰な分散剤の除去工程において分散剤が除去しきれず、導電性悪化の原因となってしまう。分散剤として使用するポリマーの重量平均分子量の範囲は5千以上6万以下が好ましく、特に1万以上6万以下であることが好ましく、さらに好ましくは、2万以上6万以下である。前記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法を用い、ポリエチレングリコールによる校正曲線と対比させることにより算出された重量平均分子量を指す。
カルボキシメチルセルロースのエーテル化度とは、セルロースの無水グルコース単位あたり3つ存在する水酸基のうち、カルボキシメチル基に置換された数を示す。カルボキシメチルセルロースのエーテル化度は、理論上0〜3の値となる。本発明において、カルボキシメチルセルロースのエーテル化度は、0.4以上0.7未満である必要がある。さらに0.4以上0.6以下であることが好ましい。また、それらの置換基のうち、末端がカルボン酸であるカルボキシメチル基と、カルボン酸塩であるカルボキシメチル基とを混在していてもよい。エーテル化度がこの範囲のカルボキシメチルセルロースまたはその塩を分散剤とすることで、カーボンナノチューブ含有組成物の分散液に含まれる分散剤の量が少なくても十分な分散性を発揮することができ、導電性成形体としたときに含まれる分散剤の量を少なくすることができるため、透明かつ導電性に優れた導電性成形体を得ることができる。
ここで、カルボキシメチルセルロースまたはその塩のエーテル化度は以下の方法で測定した値である。
カルボキシメチルセルロースまたはその塩1gとイオン交換水200gを三角フラスコに量り取り、これに0.05mol/L硫酸(和光純薬工業(株)社製)5mLを加えて10分間煮沸した。これを冷却した後、1.0wt%フェノールフタレインエタノール溶液(和光純薬工業(株)社製)を3滴加え、0.1mol/L水酸化カリウム水溶液(和光純薬工業(株)社製)で滴定した。また、同時にカルボキシメチルセルロースを加えずに同様の操作を行う空実験を行い、以下の式によってアルカリ度または酸度を算出した。
アルカリ度=(B−S)f
B:空試験時の0.1mol/L水酸化カリウム水溶液の滴下量(mL)
S:カルボキシメチルセルロースを含む場合の0.1mol/L水酸化カリウム水溶液の滴下量(mL)
:0.1mol/L水酸化カリウム水溶液の力価
なお、(B−S)f値がマイナスのときはアルカリ度を酸度とした。
次に、カルボキシメチルセルロース0.7gをろ紙で包み、磁製ルツボに入れ、700℃で1時間加熱した。冷却した後、この磁製ルツボをビーカーに移し、イオン交換水250gと0.05mol/L硫酸(和光純薬工業(株)社製)35mLを加えて30分間煮沸した。これを再度冷却した後、1.0wt%フェノールフタレインエタノール溶液(和光純薬工業(株)社製)を3滴加え、0.1mol/L水酸化カリウム水溶液(和光純薬工業(株)社製)で逆滴定して以下の式によってエーテル化度を算出した。
エーテル化度=162×A/(10000−80A)
A=(35×f−bf)/0.7−アルカリ度(または+酸度)
b:0.1mol/L水酸化カリウム水溶液の滴下量(mL)
:0.1mol/L水酸化カリウム水溶液の力価
:0.05mol/L硫酸の力価
カーボンナノチューブ含有組成物の分散液に含まれるカーボンナノチューブのバンドルを十分に解すためには、カーボンナノチューブ含有組成物の分散に適した分散剤を、適切な量必要とする。この適切な量は、分散剤の種類によって異なり、本発明ではエーテル化度が0.4以上0.7未満と小さいカルボキシメチルセルロースまたはその塩を用いるため、カーボンナノチューブ含有組成物100重量部に対し、分散剤を10重量部以上200重量部以下とすることができる。過剰な分散剤は絶縁物として導電阻害が大きく、形成されるカーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の表面抵抗値は悪くなってしまう。一方、分散液に含まれる分散剤量が少ない過ぎる場合にはカーボンナノチューブのバンドルを完全に解すことはできない。
すなわち、本発明のカーボンナノチューブ含有組成物の分散液に含まれる分散剤の量はカーボンナノチューブに吸着される以上に過剰であり、かつ導電性を阻害しない量であることが好ましく、具体的にはカーボンナノチューブ含有組成物100重量部に対して分散剤が10重量部以上200重量部未満であることが好ましく、さらに25重量部以上150重量部以下であることが好ましい。最も好ましくは50重量部以上100重量部以下である。
本発明において、カルボキシメチルセルロースの塩を用いる場合、塩を構成するカチオン性の物質としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属のカチオン、カルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属のカチオン、アンモニウムイオン、あるいはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、エチルアミン、ブチルアミン、ヤシ油アミン、牛脂アミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ポリエチレンイミン等の有機アミンのオニウムイオン、または、これらのポリエチレンオキシド付加物を用いることができる。この中でも特に好ましいのは、水系溶媒に対して溶解度の高いリチウム、ナトリウム、カリウム等アルカリ金属のカチオン、またはアンモニウムイオンであり、さらにカチオン性物質の共役塩基が揮発性であるアンモニウムイオンが好ましい。
本発明ではカーボンナノチューブ含有組成物、分散剤および分散媒を用いてカーボンナノチューブ含有組成物の分散液を調製する。この分散液はさらにその他添加剤を含むことができ、液体形状でもペーストやゲルのような半固形状でもかまわないが、液体形状が好ましい。本発明において分散液とは、得られた組成物が目視において沈降物や凝集物がなく、少なくとも24時間静置後においても目視において沈降物や凝集物がない状態の液をいう。また、分散液全体に対するカーボンナノチューブ含有組成物の量は0.01重量%以上、20重量%以下であることが好ましく、0.01〜10重量%であることが好ましい。
本発明の分散液に含まれる分散媒としては、水系溶媒が好ましい。本発明で用いる水系溶媒は、分散剤を溶解し、カーボンナノチューブが分散するものであれば限定はなく、水および水と混和する溶媒類を用いることができる。溶媒としては、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ等)、エーテルアルコール(エトキシエタノール、メトキシエトキシエタノール等)、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、フェノール等)、低級カルボン酸(酢酸等)、アミン類(トリエチルアミン、トリメタノールアミン等)、窒素含有極性溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、ニトロメタン、N−メチルピロリドン、アセトニトリル等)、硫黄化合物類(ジメチルスルホキシド等)などを用いることができる。これらのなかでも特に、水、アルコール、エーテルおよびそれらを組み合わせた溶媒を含有することがカーボンナノチューブ分散性から好ましい。さらに、カルボキシメチルセルロースの溶解性とカーボンナノチューブの分散性の点から、水を用いることが最も好ましい。
カーボンナノチューブ含有組成物の分散液のpHの範囲は弱酸性からアルカリ性であることが好ましく、さらにpH6〜12であることが好ましく、特にpH6〜8であることが好ましい。カーボンナノチューブ含有組成物の分散液のpHは、アレニウスの定義による酸性物質や塩基性物質をカーボンナノチューブ含有組成物の分散液に添加することで調整できる。酸性物質は、例えば、プロトン酸としては、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、ホウフッ化水素酸、フッ化水素酸、過塩素酸等の無機酸や、有機カルボン酸、有機スルホン酸等が挙げられる。さらに、有機カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、ショウ酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ニトロ酢酸、トリフェニル酢酸等が挙げられる。有機スルホン酸としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンジスルホン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物、メラミンスルホン酸ホルマリン重縮合物、ナフタレンジスルホン酸、ナフタレントリスルホン酸、ジナフチルメタンジスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、アントラキノンジスルホン酸、アントラセンスルホン酸、ピレンスルホン酸などが挙げられる。この中でも好ましいのは、塗布乾燥時に揮発する揮発酸であり、例えば硝酸、塩酸などである。
塩基性物質としては、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどが挙げられる。この中でも好ましいのは、塗布乾燥時に揮発する揮発塩基であり、例えばアンモニアである。
カーボンナノチューブ含有組成物の分散液のpH調整は、pHを測定しながら、上記酸性物質および/または塩基性物質を所望のpHとなるまで添加することで行う。pH測定法としては、リトマス試験紙などのpH試験紙を用いる方法、水素電極法、キンヒドロン電極法、アンチモン電極法、ガラス電極法などが挙げられるが、この中でもガラス電極法が簡便であり、必要な精度を得られるため好ましい。具体的には、pHメーター(東亜電波工業社製、HM−30S)などにより測定される。また、酸性物質、あるいは、塩基性物質を過剰に添加して所望のpH値を越えてしまった場合には、逆の特性を持つ物質を添加してpHを調整すればよい。かかる調整に適用する酸性物質としては硝酸が、塩基性物質としてはアンモニアが好ましい。
カーボンナノチューブ含有組成物の分散液の調製方法としては、カーボンナノチューブ含有組成物と分散剤および分散媒を塗料製造用の一般的な混合分散機(例えば超音波ホモジナイザー、振動ミル、ジェットミル、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、ロールミル、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、超音波装置、アトライター、デゾルバー、ペイントシェーカー等)を用いて混合し、分散液を製造することができる。中でも、超音波を用いて分散することで、カーボンナノチューブ含有組成物の分散性が向上し好ましい。分散させるカーボンナノチューブ含有組成物は乾燥状態であっても、溶媒を含んだ状態でもよいが、精製後乾燥させずに溶媒を含んだ状態で分散させることが、分散性が向上するために好ましい。
カーボンナノチューブ含有組成物の分散液は、上記分散剤、カーボンナノチューブ含有組成物以外に、例えば無機塩やカルボン酸塩、スルホン酸塩などの各種塩、界面活性剤や、導電性もしくは非導電性高分子など各種高分子材料等をその他の添加剤として含んでいてもかまわない。添加剤としては、導電性成形体を形成したときに残存しないことが好ましく、例えば炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硝酸アンモニウムなどの揮発性塩を好適に用いることができる。また、添加剤の含有量は、本発明の効果を阻害しない範囲で添加でき、好ましくはカーボンナノチューブ含有組成物100重量部に対して2000重量部以下である。さらに、1000重量部以下が好ましい。添加剤を配合する場合の好ましい下限はカーボンナノチューブ含有組成物100重量部に対して50重量部である。
カーボンナノチューブ含有組成物の分散液の分散性評価方法は、その導電性評価の他に、例えば分散液中での分散体の粒径の評価を行うことができる。本発明においては、サブミクロン以下の測定に適した動的光散乱法の粒度分布計を用いる。本粒度分布計は微粒子のブラウン運動の大きさから粒径を算出する。粒径の小さな粒子ではブラウン運動が大きく、一方、粒径の大きな粒子ではブラウン運動が小さいという原理を応用しているので、分散性が向上してカーボンナノチューブの凝集が小さくなれば、カーボンナノチューブのブラウン運動が大きくなり、粒径は相対的に小さくなったと判断することができる。一般的に、粒径は分散体の分散度の指標として用いられており、粒径が小さい方が高度に分散してよい分散体といえる。カーボンナノチューブにおいても高度に分散していればいるほど分散体の粒径が小さい。一方で、分散時にカーボンナノチューブの切断や損傷が起こると、同様に粒径は小さくなる。そのため、本発明において、導電性が高く、分散安定性に優れた分散液を得るためには、分散体の平均粒径は200nm以上2000nm以下であることが好ましい。より好ましくは300nm以上1500nm以下、さらに好ましくは400nm以上1000nm以下である。平均粒径がこの範囲にあると、カーボンナノチューブは高分散しながらも、よりネットワークをとりやすい状態になっており、分散液を塗布して導電性成形体としたときに、高い透明導電性を得ることができる。
また、カーボンナノチューブ含有組成物の分散液の特性評価として、分散液の粘度を指標に用いることもできる。分散液の粘度は、特に限定されず、目的とする用途によって選択することができる。
[基材]
本発明では、カーボンナノチューブ含有組成物の分散液は後述の方法により塗布して導電体を形成することができる。
本発明のカーボンナノチューブ含有組成物の分散液を塗布して得られる導電体の製造に用いる基材は、カーボンナノチューブ含有組成物の分散液が塗布でき、得られる導電層が固定できれば形状、サイズ、および材質は特に限定されず、目的とする用途によって選択でき、例えばフィルム、シート、板、紙、繊維、粒子状であってもよい。材質は例えば、有機材料であれば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、アクリル、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、セルロース、トリアセチルセルロース、非晶質ポリオレフィンなどの樹脂、無機材料であればステンレス、アルミ、鉄、金、銀などの金属、ガラスおよび炭素材料等から選択できる。基材に樹脂フィルムを用いた場合は、接着性、延伸追従性、柔軟性に優れた導電性フィルムを得ることができ好ましい。その際の好ましい基材の厚みは、特に限定されず中程度の厚さから非常に薄い厚さまで種々の範囲をとることができる。例えば、前記基材は約1〜約1000μmの間の厚さとしうる。好ましい実施形態では基材の厚さは約5〜約500μmとなりうる。別の好ましい実施形態では基材の厚さは約10〜約200μmである。
基材は必要に応じ、コロナ放電、グロー放電、プラズマ放電処理やオゾン処理等の表面親水化処理を施してあってもよい。あるいはアンダーコート層を設けてあっても良い。アンダーコート層の素材としては親水性の高い素材であることが好ましい。
また、基材はカーボンナノチューブ含有組成物の分散液を塗布する反対面に耐摩耗性、高表面硬度、耐溶剤性、耐汚染性、耐指紋性等を付与したハードコート処理が施されているものも併せて用いることができる。
また、基材として透明性がある基材を用いることにより透明性・導電性に優れた導電体を得ることができ好ましい。透明性がある基材とは、全光線透過率が50%以上であることを示す。
[カーボンナノチューブ含有組成物の分散液の塗布]
本発明では、カーボンナノチューブ含有組成物の分散液を塗布する方法は特に限定されない。公知の塗布方法、例えばワイヤーバーコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、マイクログラビアコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、スピンコーティング、ドクターナイフコーティング、キスコーティング、スリットコーティング、スリットダイコーティング、ブレードコーティング、押出コーティングや、スクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷、パット印刷、他の種類の印刷などが利用できる。また塗布は、何回行ってもよく、異なる2種類の塗布方法を組み合わせても良い。最も好ましい塗布方法は、ワイヤーバーコーティング、ダイコーティングである。
塗布厚み(ウェット厚)は塗布した分散液の濃度にも依存するため、望む導電性が得られれば特に規定する必要はない。しかしその中でも0.01μm〜50μmであることが好ましい。さらに好ましくは0.1μm〜20μmである。
塗布厚み(ドライ厚)は導電体断面を観察することで測定でき、例えば、透過型顕微鏡において観察でき、必要であれば染色してもよい。好ましいドライ厚は望む導電性が得られれば規定はないが、好ましくは、0.001μm〜5μmである。さらに好ましくは、0.001〜1μmである。
カーボンナノチューブ含有組成物の分散液が水系分散液であるとき、基材上に塗布する時、組成物中に濡れ剤を添加しても良い。非親水性の基材へは特に界面活性剤やアルコール等の濡れ剤を組成物中に添加することで、基材に組成物がはじかれることなく塗布することができる。中でもアルコールが好ましく、アルコールの中でもメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールが好ましい。メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコールは揮発性が高いために塗布後の基材乾燥時に容易に除去可能である。場合によってはアルコールと水の混合液を用いても良い。
このようにしてカーボンナノチューブ含有組成物の分散液を基材に塗布した後、風乾、加熱、減圧などの方法により不要な分散媒を除去し、形成される導電層を乾燥させることが好ましい。それによりカーボンナノチューブは、3次元編目構造を形成し基材に固定化される。中でも加熱による乾燥が好ましい。乾燥温度は溶媒が除去可能であり基材の耐熱温度以下であればよく、樹脂製基材の場合は、好ましくは0℃〜250℃であり、さらに好ましくは、15℃〜150℃である。
上記導電層に過剰な分散剤が含まれている場合、過剰な分散剤を除去してもよい。この操作により、電荷の分散が容易になり導電性複合体の導電性が向上する。過剰な分散剤を除去する方法としては、導電層を乾燥後、溶媒中へ浸漬させる、あるいは溶媒を導電層へ噴霧させるなどして分散剤を洗浄する方法がある。洗浄のための溶媒としては除去したい透明導電性を低下させる成分、例えば添加剤や余剰量の分散剤を溶解し、かつカーボンナノチューブを除去しないものであれば特に制限はない。具体的には水やアルコール類、アセトニトリルが挙げられる。しかし、この方法ではリンス工程が必須であり、このことは、量産性、量産安定化の大きな課題となりうる。
その他の除去方法としては、過剰な分散剤を吸着することができる分散剤吸着層を予め基材に設けておく方法がある。分散剤吸着層としては、親水性無機酸化物を用いることが好ましい。より好ましくは、シリカ、チタニア、アルミナである。これらの物質は、表面に親水基であるヒドロキシル基を有しており、高い親水性が得られるため好ましい。さらに分散剤吸収層はこれらの無機酸化物と樹脂複合体でも良く、例えばシリカ微粒子とポリシリケートの複合物が挙げられる。分散剤吸着層によって分散剤が除去できる理由は定かではないが、以下のようなことが考えられる。すなわち、カーボンナノチューブの分散剤としてイオン性分散剤のような親水性基を有する分散剤を用いた場合、カーボンナノチューブ自身よりも分散剤の方が分散剤吸着層との親和性が高いため、カーボンナノチューブ含有組成物の分散液を塗布すると同時に過剰な分散剤が分散剤吸着層に選択的に移動するため、カーボンナノチューブの周囲から局所的に分散剤を除去することができるためではないかと考えられる。
[カーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率]
本発明のカーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率は、カーボンナノチューブ含有組成物の分散液を塗布して得られる、カーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率である。カーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率は、基材にカーボンナノチューブ含有組成物の分散液を塗布したときの全光線透過率/基材の全光線透過率×100から算出した。導電層のカーボンナノチューブ含有組成物の含有量が増加するとカーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率は低下する。カーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率85%以上とするためには、導電層のカーボンナノチューブ含有量は20mg/m以下程度であってよい。さらには、10mg/m以下であってもよい。
ここで全光線透過率は、ヘイズメーターで測定して得られる値である。
[オーバーコート層]
本発明のカーボンナノチューブ含有組成物とカルボキシメチルセルロースを導電層に含む導電体を形成後、有機または無機透明被膜を形成しうるバインダー材料でオーバーコーティングすることも好ましい。オーバーコーティングすることにより、さらなる電荷の分散や、移動に効果的である。また、上記導電体は、カーボンナノチューブ含有組成物の分散液中に有機または無機透明被膜を形成しうるバインダー材料を含有させ、基材に塗布後、必要により加熱して塗膜の乾燥ないし焼付(硬化)を行っても得ることができる。その際の加熱条件は、バインダー種に応じて適当に設定する。バインダーが光硬化性または放射線硬化性の場合には、加熱硬化ではなく、塗布後直ちに塗膜に光または放射線を照射することにより塗膜を硬化させる。放射線としては電子線、紫外線、X線、ガンマー線等のイオン化性放射線が使用でき、照射線量はバインダー種に応じて決定する。
上記バインダー材料としては、導電性塗料に使用されるものであれば特に制限はなく、各種の無機および有機バインダー、すなわち透明な無機ポリマーまたはその前駆体(以下「無機ポリマー系バインダー」と称する場合もある)または有機ポリマーまたはその前駆体(以下「有機ポリマー系バインダー」と称する場合もある)が使用できる。無機ポリマー系バインダーの例としては、シリカ、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の金属酸化物のゾル、あるいは無機ポリマーの前駆体となる加水分解または熱分解性の有機金属化合物(有機リン化合物、有機ボロン化合物、有機シラン化合物、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、有機鉛化合物、有機アルカリ土類金属化合物など)がある。加水分解性または熱分解性の有機金属化合物の具体的例は、アルコキシドまたはその部分加水分解物、酢酸塩などの低級カルボン酸塩、アセチルアセトンなどの金属錯体である。
これらの無機ポリマー系バインダーを焼成すると、酸化物または複合酸化物からなるガラス質の無機ポリマー系透明被膜もしくはマトリックスを形成することができる。無機ポリマー系マトリックスは、一般にガラス質であり、高硬度で耐擦過性に優れ、透明性も高い。
有機ポリマー系バインダーは熱可塑性、熱硬化性、あるいは紫外線、電子線などの放射線硬化性のいずれであってもよい。適当な有機バインダーの例としては、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン11、ナイロン66、ナイロン6,10等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、シリコーン樹脂、ビニル樹脂(ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリスチレン誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール等)、ポリケトン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリアセタール、フッ素樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、セルロース系ポリマー、蛋白質類(ゼラチン、カゼイン等)、キチン、ポリペプチド、多糖類、ポリヌクレオチドなどの有機ポリマー、ならびにこれらのポリマーの前駆体(モノマーまたはオリゴマー)がある。これらは単に溶剤の蒸発により、あるいは熱硬化または光もしくは放射線照射による硬化により、透明被膜もしくはマトリックスを形成することができる。
有機ポリマー系バインダーとして好ましいのは、放射線もしくは光によりラジカル重合硬化可能な不飽和結合を有する化合物であり、これはビニル基ないしビニリデン基を有するモノマー、オリゴマー、あるいはポリマーである。この種のモノマーとしては、スチレン誘導体(スチレン、メチルスチレン等)、アクリル酸もしくはメタクリル酸またはそれらの誘導体(アルキルアクリートもしくはメタクリレート、アリルアクリレートもしくはメタクリレート等)、酢酸ビニル、アクリロニトリル、イタコン酸等がある。オリゴマーあるいはポリマーは、主鎖に二重結合を有する化合物または直鎖の両末端にアクリロイルもしくはメタクリロイル基を有する化合物が好ましい。この種のラジカル重合硬化性バインダーは、高硬度で耐擦過性に優れ、透明度の高い被膜もしくはマトリックスを形成する
ことができる。
バインダーの使用量は、オーバーコートをするのに十分な量、もしくは、液中に配合する場合には塗布に適した粘性を得るのに十分な量であればよい。少なすぎると塗布がうまくいかず、多すぎても導電性を阻害し良くない。オーバーコート層の厚みは1nm以上1000nm以下が好ましく、さらに好ましくは10nm以上500nm以下である。
[粘着層]
本発明では、カーボンナノチューブ含有組成物を導電層に含む導電体を形成後、導電層を有する面に、粘着層を貼り合わせてもよい。粘着層とは、粘着剤を含み、導電体の導電面を別の光学部材、例えば異なる導電体やカバーガラスなどと、貼り合わせるために用いる。例えばスマートフォンなどに用いられる静電容量式タッチパネルでは、導電体の導電面に透明粘着剤を粘着層として貼り合わせ、その粘着層の導電体と接着していない面に、粘着層を介してさらに導電体を貼り合わせる必要がある。粘着層の厚みは1μm以上1000μm以下が好ましく、さらに好ましくは5μm以上100μm以下である。
粘着層に用いる粘着剤としては、ビニル重合系、ゴム系、縮合重合系、熱硬化性樹脂系、シリコーン系などの粘着剤を用いることができる。この中で、ビニル重合系の粘着剤としては、アクリル系、スチレン系、酢酸ビニル−エチレン共重合体系、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系などを挙げることができる。ゴム系の粘着剤としては、ブタジエン−スチレン共重合体系(SBR)、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体系(NBR)、クロロプレン重合体系、イソブチレン−イソプレン共重合体系(ブチルゴム)などを挙げることができる。また、縮合重合系の粘着剤としては、ポリエステル系を挙げることができる。さらに熱硬化樹脂系の粘着剤としては、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、ホルマリン樹脂系などを挙げることができる。これらの中でも透明性に優れ、耐候性、耐熱性、耐湿熱性、基材密着性等を考慮すると、アクリル系粘着剤が好適に用いられる。さらに、粘着剤成分中に酸が含まれていないものを用いることが好ましい。
[導電性成形体]
本発明の導電性成形体は、基材上に導電層が形成された導電性成形体であって、導電層がカーボンナノチューブ含有組成物およびエーテル化度が0.4以上0.7未満であるカルボキシメチルセルロースまたはその塩からなる分散剤を含むものである。カーボンナノチューブ含有組成物100重量部に対するエーテル化度が0.4以上0.7未満であるカルボキシメチルセルロースまたはその塩の含有量は10重量部以上200重量部以下であることが好ましい。カーボンナノチューブの含有量が多いと、表面抵抗値は低くなり、含有量が多いと表面抵抗値は高くなる傾向にあるため、含有量により導電性成形体の表面抵抗値も容易に調整可能である。ただし、カーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率と表面抵抗値は、カーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率を上げるためにカーボンナノチューブ含有量を減らすと表面抵抗値は上昇し、表面抵抗値を下げるために含有量を増やすとカーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率が減少するといった、相反する値である。本発明では、エーテル化度が特定範囲のカルボキシメチルセルロースまたはその塩を分散剤とすることで、少量の分散剤でカーボンナノチューブ含有組成物を分散させることができるので、カーボンナノチューブの分散性を維持しつつ、絶縁物である分散剤の含有量が少なく、優れた導電性および透明性を有する導電性成形体が得られる。その結果、表面抵抗値が10Ω/□以上10Ω/□未満、かつカーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率が85%以上である導電性成形体を得ることが可能である。さらに表面抵抗値が10Ω/□以上10Ω/□未満、かつカーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率が85%以上である導電性成形体を得ることも可能である。
[用途]
本発明では、エーテル化度が0.4以上0.7未満であるカルボキシメチルセルロースまたはその塩を分散剤とするため、カーボンナノチューブ含有組成物100重量部に対して分散剤の含有量が10〜200重量部と少ない分散液を得ることができるため、このような分散液を用いて得られた導電性成形体は、高導電性であり、過剰な分散剤の除去工程等も必要としないため、設備変更等なく導電性部材として利用できる。例えば、制電靴や、制電板などのクリーンルーム用部材や、電磁波遮蔽、近赤外カット、透明電極、タッチパネル、電波吸収などのディスプレイ用、自動車用部材として使える。中でも主に表面の平滑性が要求されるタッチパネル、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス、電子ペーパーなどのディスプレイ関連の透明電極として特に優れた性能を発揮する。特に光学フィルター用プラスチックフィルムは、貼合することにより、ディスプレイ装置として用いることができる。またカーボンナノチューブは伸縮、屈曲による抵抗値上昇が小さく、分散剤の含有量も少ないため、フレキシブル用途として特に優れた効果を発揮する。例えば、3D成形タッチパネル、3D成形タッチスイッチ、伸縮性電極として利用できる。イオン性分散剤は吸湿性をもつため、その含有量が少ないことで、耐湿熱性に優れ、抵抗値安定性が高い。導電部材に使用するための導電性インクとして、そのものの導電性、安定性に優れることは極めて重要であり、多様な導電部材用途として優れた効果を発揮する。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下のようにカーボンナノチューブ含有組成物を得た。
(参考例1)
[カーボンナノチューブ用触媒調製例]
約24.6gのクエン酸鉄(III)アンモニウムをイオン交換水6.7kgに溶解した。この溶液に、酸化マグネシウムを約1kg加え、撹拌機で撹拌処理した後に、懸濁液を10Lのオートクレーブ容器中に導入した。密閉した状態で200℃に加熱し2時間保持した。その後オートクレーブ容器を放冷し、容器からスラリー状の白濁物質を取り出し、過剰の水分を吸引濾過により濾別し、濾取物中に少量含まれる水分は120℃の乾燥機中で加熱乾燥した。得られた固形分は篩い上で、10〜20メッシュの範囲の粒径を回収した。左記の顆粒状の触媒体を電気炉中に導入し、大気下600℃で6時間加熱した。
[カーボンナノチューブ含有組成物製造工程]
上記の触媒を用い、カーボンナノチューブを合成した。固体触媒132gをとり、鉛直方向に設置した反応器の中央部の石英焼結板上に導入することで触媒層を形成した。反応管内温度が約860℃になるまで、触媒体層を加熱しながら、反応器底部から反応器上部方向へ向けて窒素ガスを16.5L/minで供給し、触媒体層を通過するように流通させた。その後、窒素ガスを供給しながら、さらにメタンガスを0.78L/minで60分間導入して触媒体層を通過するように通気し、反応させた。メタンガスの導入を止め、窒素ガスを16.5L/min通気させながら、石英反応管を室温まで冷却して触媒付きカーボンナノチューブ組成物を得た。この触媒付きカーボンナノチューブ組成物を128g用いて4.8Nの塩酸水溶液400mL中で1時間撹拌することで触媒金属である鉄とその担体であるMgOを溶解した。得られた黒色懸濁液は濾過した後、濾取物は再度4.8Nの塩酸水溶液400mLに投入し脱MgO処理をし、濾取した。この操作を3回繰り返し、触媒が除去されたカーボンナノチューブ組成物を得た。
[カーボンナノチューブの精製工程:液相酸化処理+アンモニア処理+再硝酸処理]
得られたウェット状態のカーボンナノチューブ含有組成物の乾燥重量分に対して、約300倍の重量の60%濃硝酸を添加した。その後、約140℃に加熱したオイルバスで約24時間攪拌しながら加熱還流した。加熱還流後、室温まで放冷し、カーボンナノチューブ含有組成物を含む硝酸溶液をミリポア社製オムニポアメンブレンフィルターをしいた濾過器を用いて吸引濾過した。イオン交換水で濾取物の懸濁液が中性となるまで水洗後、水を含んだウェット状態のままカーボンナノチューブ組成物を得た。得られたカーボンナノチューブ含有組成物を含むウェットケークを28%アンモニア水溶液0.3Lに添加し、室温下で1時間撹拌した。その後、該溶液をミリポア社製オムニポアメンブレンフィルターをしいた濾過器を用いて吸引濾過した。その後メンブレンフィルター上のウェットケークが中性付近になるまでイオン交換水で洗浄し、水を含んだウェット状態のままカーボンナノチューブ組成物を得た。
得られたカーボンナノチューブ含有組成物の含むウェットケークを60%硝酸水溶液0.3L中に添加した。室温で24時間撹拌した後にミリポア社製オムニポアメンブレンフィルターをしいた濾過器を用いて吸引濾過した。その後メンブレンフィルター上のウェットケークが中性付近になるまでイオン交換水で洗浄した。水を含んだウェット状態のままカーボンナノチューブ含有組成物を保存した。このカーボンナノチューブ含有濾取物の一部を採取し、乾燥後の重量からウェット中のカーボンナノチューブ含有組成物の濃度を算出した。
得られたウェット状態のカーボンナノチューブ含有組成物全体の重量にカーボンナノチューブ含有組成物濃度をかけて算出したカーボンナノチューブ含有組成物の乾燥重量(触媒体100g当たり)は0.257gであった。
カーボンナノチューブ組成物の波長532nmによるラマン分光分析の結果、カーボンナノチューブ含有組成物のG/D比は61であった。また波長633nmによるカーボンナノチューブ含有組成物のG/D比は60であった。
(参考例2)
[分散剤吸着層作製例]
以下の操作によりポリシリケートをバインダーとし、直径30nmの親水シリカ微粒子が表出する分散剤吸着層を作製した。
約30nmの親水シリカ微粒子とポリシリケートを固形分濃度で1質量%含むメガアクア親水DMコート((株)菱和社製、DM−30−26G−N1)をシリカ膜作製用塗液として用いた。
ワイヤーバー#4を用いてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に前記シリカ膜作製用塗液を塗布した。塗布後、120℃の乾燥機内で1分間乾燥させ、アンダーコート層を設けたPETフィルム基材を作製した。
(参考例3)
[エーテル化度の測定方法]
カルボキシメチルセルロースのエーテル化度は以下のようにして測定した。カルボキシメチルセルロース(第一工業製薬(株)社製、セロゲン(登録商標)5A(重量平均分子量:80000、分子量分布(Mw/Mn):1.6、エーテル化度カタログ値:0.7))1gとイオン交換水200gを三角フラスコに量り取り、これに0.05mol/L硫酸(和光純薬工業(株)社製)5mLを加えて10分間煮沸した。これを冷却した後、1.0wt%フェノールフタレインエタノール溶液(和光純薬工業(株)社製)を3滴加え、0.1mol/L水酸化カリウム水溶液(和光純薬工業(株)社製)で滴定した。また、同時にカルボキシメチルセルロースを加えずに同様の操作を行う空実験を行い、以下の式によってアルカリ度または酸度を算出した。
アルカリ度=(B−S)f
B:空試験時の0.1mol/L水酸化カリウム水溶液の滴下量(mL)
S:カルボキシメチルセルロースを含む場合の0.1mol/L水酸化カリウム水溶液の滴下量(mL)
:0.1mol/L水酸化カリウム水溶液の力価
なお、(B−S)f値がマイナスのときはアルカリ度を酸度とした。
次に、カルボキシメチルセルロース0.7gをろ紙で包み、磁製ルツボに入れ、700℃で1時間加熱した。冷却した後、この磁製ルツボをビーカーに移し、イオン交換水250gと0.05mol/L硫酸(和光純薬工業(株)社製)35mLを加えて30分間煮沸した。これを再度冷却した後、1.0wt%フェノールフタレインエタノール溶液(和光純薬工業(株)社製)を3滴加え、0.1mol/L水酸化カリウム水溶液(和光純薬工業(株)社製)で逆滴定して以下の式によってエーテル化度を算出した。
エーテル化度=162×A/(10000−80A)
A=(35×f−bf)/0.7−アルカリ度(または+酸度)
b:0.1mol/L水酸化カリウム水溶液の滴下量(mL)
:0.1mol/L水酸化カリウム水溶液の力価
:0.05mol/L硫酸の力価
なお、カルボキシメチルセルロースのエーテル化度は加水分解の前後で変わらず0.7で、カタログ値と一致していた。
(参考例4)
[エーテル化度0.55のカルボキシメチルセルロースの加水分解]
3質量%カルボキシメチルセルロースアンモニウム(ダイセルファインケム(株)社製、DN−10L(重量平均分子量:250000、分子量分布(Mw/Mn):2.4、エーテル化度カタログ値:0.55))水溶液500gをナス型フラスコに加えて、1級硫酸(キシダ化学(株)社製)を用いて、水溶液をpH2に調整した。この容器を120℃に昇温したオイルバス中に移し、加熱還流下で攪拌しながら13.5時間加水分解反応を行った。ナス型フラスコを放冷後、28%アンモニア水溶液(キシダ化学(株)社製)を用いて、水溶液をpH7に調整し、反応停止した。加水分解後のカルボキシメチルセルロースナトリウムの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法を用い、ポリエチレングリコールによる校正曲線と対比させて分子量を算出した。その結果、重量平均分子量は約47000であり分子量分布(Mw/Mn)は1.3であった。また収率は95%であった。なお、参考例3で得られた結果を参考に、カルボキシメチルセルロースのエーテル化度は、カタログ値と一致し、加水分解の前後で変わらないものとした。
(参考例5)
[エーテル化度0.7のカルボキシメチルセルロースの加水分解]
10質量%カルボキシメチルセルロースナトリウム(第一工業製薬(株)社製、セロゲン(登録商標)5A(重量平均分子量:80000、分子量分布(Mw/Mn):1.6、エーテル化度カタログ値:0.7))水溶液500gをナス型フラスコに加えて、1級硫酸(キシダ化学(株)社製)を用いて、水溶液をpH2に調整した。この容器を120℃に昇温したオイルバス中に移し、加熱還流下で攪拌しながら9時間加水分解反応を行った。ナス型フラスコを放冷後、28%アンモニア水溶液(キシダ化学(株)社製)を用いて、水溶液をpH7に調整し、反応停止した。加水分解後のカルボキシメチルセルロースナトリウムの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法を用い、ポリエチレングリコールによる校正曲線と対比させて分子量を算出した。その結果、重量平均分子量は約35000であり分子量分布(Mw/Mn)は1.5であった。また収率は97%であった。なお、カルボキシメチルセルロースのエーテル化度は加水分解の前後で変わらず0.7であった。
(参考例6)
[エーテル化度1.3のカルボキシメチルセルロースの加水分解]
5質量%カルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセルファインケム(株)社製、ダイセル1330(重量平均分子量:550000、分子量分布(Mw/Mn):3.3、エーテル化度カタログ値:1.3))水溶液300gをナス型フラスコに加えて、1級硫酸(キシダ化学(株)社製)を用いて、水溶液をpH1.5に調整した。この容器を120℃に昇温したオイルバス中に移し、加熱還流下で攪拌しながら13.5時間加水分解反応を行った。ナス型フラスコを放冷後、28%アンモニア水溶液(キシダ化学(株)社製)を用いて、水溶液をpH7に調整し、反応停止した。加水分解後のカルボキシメチルセルロースナトリウムの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法を用い、ポリエチレングリコールによる校正曲線と対比させて分子量を算出した。その結果、重量平均分子量は約38000であり分子量分布(Mw/Mn)は1.4であった。また収率は96%であった。なお、参考例3で得られた結果を参考に、カルボキシメチルセルロースのエーテル化度は、カタログ値と一致し、加水分解の前後で変わらないものとした。
(実施例1)エーテル化度0.55、カルボキシメチルセルロース100重量部
[カーボンナノチューブ含有組成物の分散液の調製]
カーボンナノチューブ含有組成物15mg(乾燥質量換算で15mgのカーボンナノチューブ含有組成物を含有する参考例1で得られたカーボンナノチューブ含有組成物)、3質量%カルボキシメチルセルロースアンモニウム(ダイセルファインケム(株)社製、参考例4で得られたDN−10Lの加水分解物(重量平均分子量47000))水溶液500mg(カーボンナノチューブ含有組成物100重量部に対して100重量部)を量りとり、蒸留水を加え10gにし、分散前のカーボンナノチューブ混合液を調製した。1質量%アンモニア水溶液(キシダ化学(株)社製)を用いてpH7にあわせ、超音波ホモジナイザー出力20W、1.5分間で氷冷下分散し、カーボンナノチューブ分散液を調製した。
[カーボンナノチューブ含有組成物の分散液の評価]
前記分散液の特性は、分散液中の分散体の平均粒径、粘度について評価した。平均粒径は、前記分散液をイオン交換水で50倍に希釈して、ナノ粒子粒径測定器ELS−Z2(大塚電子(株)社製)で測定した。その際、水の屈折率および粘度をあらかじめ入力し、25℃設定で3回測定を行った。キュムラント法による解析を行い、得られた3回の測定の平均値を平均粒径とした。前記分散液中の分散体の平均粒径は770nmであった。粘度は、前記分散液1mLをE型粘度計TVE−22H(東機産業(株)社製)に充填し、10rpmで10分間測定した。前記分散液の粘度は74mPa・sであった。
[カーボンナノチューブ含有組成物の分散液塗布]
前記分散液にイオン交換水を添加して、0.04質量%に調整後、参考例2で得られたアンダーコート層を設けた基材またはPETフィルム基材にワイヤーバー#3、#4、#5、#7を用いて塗布、140℃乾燥機内で1分間乾燥させカーボンナノチューブ組成物を固定化した(以降、カーボンナノチューブ組成物を固定化したフィルムを、カーボンナノチューブ塗布フィルムと記す。)。このとき、フィルム表面温度は90℃であった。なお、カーボンナノチューブの塗布量は1.8mg/m、2.4mg/m、3.0mg/m、4.2mg/mと算出された。また、同様に前記分散液にイオン交換水を添加して、0.08質量%に調整し、#7、#10、#20で基材に塗布、140℃乾燥機内で1分間乾燥させカーボンナノチューブ組成物を固定化した。カーボンナノチューブの塗布量は8.4mg/m、12.0mg/m、24.0mg/mと算出された。
[カーボンナノチューブ塗布フィルムの評価]
前記カーボンナノチューブ塗布フィルムの特性は、カーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率、表面抵抗値について評価した。カーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率は、前記カーボンナノチューブ塗布フィルムの全光線透過率/基材の全光線透過率×100から算出した。全光線透過率は、ヘイズメーターNDH4000(日本電色工業(株)社製)にサンプルを装填し、測定した。また、参考例2で作製したPETフィルム基材の全光線透過率は92.0%である。表面抵抗値は、前記カーボンナノチューブ塗布フィルムをJIS K7194(1994年度制定)準拠の4探針法を用い、ロレスタGP MCP−T610(三菱化学(株)社製)を用いて測定した。前記カーボンナノチューブ塗布フィルムのカーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率96%における表面抵抗値は320Ω/□であった。また、カーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率87%における表面抵抗値は80Ω/□であった。
[カーボンナノチューブ塗布フィルムのリンス]
実施例1で得られたカーボンナノチューブ塗布フィルム上の過剰な分散剤を、イオン交換水に20秒間浸漬することで、洗浄除去した。カーボンナノチューブ塗布フィルムをイオン交換水から取り出した後、冷風をあてて乾燥した。リンス後のカーボンナノチューブ塗布フィルムのカーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率96%における表面抵抗値は300Ω/□であった。
(実施例2)エーテル化度0.55、カルボキシメチルセルロース75重量部
分散剤として参考例4で得られたカルボキシメチルセルロースアンモニウムをカーボンナノチューブ含有組成物100重量部に対して75重量部用いた以外は、実施例1と同様の操作でカーボンナノチューブ分散液を得た。該分散液中の分散体の平均粒径は890nmであった。また、該分散液の粘度は106mPa・sであった。このカーボンナノチューブ分散液を用いて、実施例1と同様の操作で、カーボンナノチューブ塗布フィルムを得た。該カーボンナノチューブ塗布フィルムのカーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率96%における表面抵抗値は350Ω/□であった。また、カーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率87%における表面抵抗値は80Ω/□であった。
(実施例3)エーテル化度0.55、カルボキシメチルセルロース50重量部
分散剤として参考例4で得られたカルボキシメチルセルロースアンモニウムをカーボンナノチューブ含有組成物100重量部に対して50重量部用い、pH調製後超音波分散前に、炭酸アンモニウムをカーボンナノチューブ含有組成物100重量部に対し600重量部添加した以外は、実施例1と同様の操作でカーボンナノチューブ分散液を得た。該分散液中の分散体の平均粒径は870nmであった。また、該分散液の粘度は113mPa・sであった。このカーボンナノチューブ分散液を用いて、実施例1と同様の操作で、カーボンナノチューブ塗布フィルムを得た。該カーボンナノチューブ塗布フィルムのカーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率96%における表面抵抗値は370Ω/□であった。また、カーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率87%における表面抵抗値は80Ω/□であった。
(比較例1)エーテル化度0.7、カルボキシメチルセルロース100重量部
分散剤として参考例5で得られたカルボキシメチルセルロースナトリウムをカーボンナノチューブ含有組成物100重量部に対して100重量部用いた以外は、実施例1と同様の操作でカーボンナノチューブ含有組成物の分散液を得た。該分散液中の分散体の平均粒径は1160nmであった。また、該分散液の粘度は224mPa・sであった。このカーボンナノチューブ含有組成物の分散液を用いて、実施例1と同様の操作で、カーボンナノチューブ塗布フィルムを得た。該カーボンナノチューブ塗布フィルムのカーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率96%における表面抵抗値は480Ω/□であった。また、カーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率87%における表面抵抗値は100Ω/□であった。このカーボンナノチューブ塗布フィルムを実施例1と同様の操作でリンスした。リンス後のカーボンナノチューブ塗布フィルムのカーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率96%における表面抵抗値は480Ω/□であった。
(比較例2)エーテル化度0.7、カルボキシメチルセルロース250重量部
分散剤として参考例5で得られたカルボキシメチルセルロースナトリウムをカーボンナノチューブ含有組成物100重量部に対して250重量部用いた以外は、実施例1と同様の操作でカーボンナノチューブ含有組成物の分散液を得た。該分散液中の分散体の平均粒径は610nmであった。また、該分散液の粘度は61mPa・sであった。このカーボンナノチューブ含有組成物の分散液を用いて、実施例1と同様の操作で、カーボンナノチューブ塗布フィルムを得た。該カーボンナノチューブ塗布フィルムのカーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率96%における表面抵抗値は330Ω/□であった。また、カーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率87%における表面抵抗値は100Ω/□であった。このカーボンナノチューブ塗布フィルムを実施例1と同様の操作でリンスした。リンス後のカーボンナノチューブ塗布フィルムのカーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率96%における表面抵抗値は330Ω/□であった。また、カーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率87%における表面抵抗値は80Ω/□であった。
(比較例3)エーテル化度0.7、カルボキシメチルセルロース400重量部
分散剤として参考例5で得られたカルボキシメチルセルロースナトリウムをカーボンナノチューブ含有組成物100重量部に対して400重量部用いた以外は、実施例1と同様の操作でカーボンナノチューブ含有組成物の分散液を得た。該分散液中の分散体の平均粒径は730nmであった。また、該分散液の粘度は62mPa・sであった。このカーボンナノチューブ含有組成物の分散液を用いて、実施例1と同様の操作で、カーボンナノチューブ塗布フィルムを得た。該カーボンナノチューブ塗布フィルムのカーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率96%における表面抵抗値は350Ω/□であった。また、カーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率87%における表面抵抗値は150Ω/□であった。このカーボンナノチューブ塗布フィルムを実施例1と同様の操作でリンスした。リンス後のカーボンナノチューブ塗布フィルムのカーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率96%における表面抵抗値は310Ω/□であった。
(比較例4)エーテル化度1.3、カルボキシメチルセルロース250重量部
分散剤として参考例6で得られたカルボキシメチルセルロースナトリウムをカーボンナノチューブ含有組成物100重量部に対して250重量部用いた以外は、実施例1と同様の操作でカーボンナノチューブ含有組成物の分散液を得た。該分散液中の分散体の平均粒径は1670nmであった。また、該分散液の粘度は168mPa・sであった。このカーボンナノチューブ含有組成物の分散液を用いて、実施例1と同様の操作で、カーボンナノチューブ塗布フィルムを得た。該カーボンナノチューブ塗布フィルムのカーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率96%における表面抵抗値は3600Ω/□であった。このカーボンナノチューブ塗布フィルムを実施例1と同様の操作でリンスした。リンス後のカーボンナノチューブ塗布フィルムのカーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率96%における表面抵抗値は1800Ω/□であった。
(比較例5)エーテル化度1.3、カルボキシメチルセルロース400重量部
分散剤として参考例6で得られたカルボキシメチルセルロースナトリウムをカーボンナノチューブ含有組成物100重量部に対して400重量部用いた以外は、実施例1と同様の操作でカーボンナノチューブ含有組成物の分散液を得た。該分散液中の分散体の平均粒径は590nmであった。また、該分散液の粘度は166mPa・sであった。このカーボンナノチューブ含有組成物の分散液を用いて、実施例1と同様の操作で、カーボンナノチューブ塗布フィルムを得た。該カーボンナノチューブ塗布フィルムのカーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率96%における表面抵抗値は600Ω/□であった。また、カーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率87%における表面抵抗値は400Ω/□であった。このカーボンナノチューブ塗布フィルムを実施例1と同様の操作でリンスした。リンス後のカーボンナノチューブ塗布フィルムのカーボンナノチューブ含有組成物を含む導電層の全光線透過率96%における表面抵抗値は380Ω/□であった。
以上の結果をまとめて表1に示す。
Figure 2016204203

Claims (8)

  1. カーボンナノチューブ含有組成物、エーテル化度が0.4以上0.7未満であるカルボキシメチルセルロースまたはその塩からなる分散剤および分散媒を含むカーボンナノチューブ含有組成物の分散液。
  2. 前記カーボンナノチューブ含有組成物100重量部に対し、前記分散剤10重量部以上200重量部以下を含む請求項1記載のカーボンナノチューブ含有組成物の分散液。
  3. 前記カルボキシメチルセルロースまたはその塩のゲルパーミエーションクロマトフラフィーで測定した重量平均分子量が5千以上6万以下である請求項1または2に記載のカーボンナノチューブ含有組成物の分散液。
  4. 基材上に導電層が形成された導電性成形体であって、該導電層がカーボンナノチューブ含有組成物およびエーテル化度が0.4以上0.7未満であるカルボキシメチルセルロースまたはその塩からなる分散剤を含む導電性成形体。
  5. 前記カーボンナノチューブ含有組成物100重量部に対し、前記分散剤10重量部以上200重量部以下を含む請求項4記載の導電性成形体。
  6. 前記導電層の全光線透過率が85%以上であり、かつ表面抵抗値が10Ω/□以上10Ω/□以下である請求項4または5に記載の導電性成形体。
  7. 前記導電層の全光線透過率が85%以上であり、かつ表面抵抗値が10Ω/□以上10Ω/□以下である請求項4〜6のいずれかに記載の導電性成形体。
  8. 請求項1〜3のいずれかに記載のカーボンナノチューブ含有組成物の分散液を基材に塗布した後、分散媒を除去する導電性成形体の製造方法。
JP2015088053A 2015-04-23 2015-04-23 カーボンナノチューブ含有組成物の分散液および導電性成形体 Withdrawn JP2016204203A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015088053A JP2016204203A (ja) 2015-04-23 2015-04-23 カーボンナノチューブ含有組成物の分散液および導電性成形体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015088053A JP2016204203A (ja) 2015-04-23 2015-04-23 カーボンナノチューブ含有組成物の分散液および導電性成形体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016204203A true JP2016204203A (ja) 2016-12-08
JP2016204203A5 JP2016204203A5 (ja) 2018-06-07

Family

ID=57486715

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015088053A Withdrawn JP2016204203A (ja) 2015-04-23 2015-04-23 カーボンナノチューブ含有組成物の分散液および導電性成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016204203A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021057271A (ja) * 2019-09-30 2021-04-08 日本ゼオン株式会社 分散液およびその製造方法、並びに、複合体
JP2021057560A (ja) * 2019-10-02 2021-04-08 北越コーポレーション株式会社 電磁波シールドシートの製造方法、および電磁波シールドシート
WO2021220773A1 (ja) 2020-04-27 2021-11-04 東洋インキScホールディングス株式会社 導電材分散液及びその製造方法、並びにそれを用いた二次電池電極用組成物、電極膜、二次電池、車両
WO2022070810A1 (ja) * 2020-09-29 2022-04-07 日本製紙株式会社 分散液、非水電解質二次電池用電極組成物、非水電解質二次電池用電極、非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池用電極の製造方法
CN115939389A (zh) * 2022-11-24 2023-04-07 福建蓝海黑石新材料科技有限公司 一种导电材料组合物、导电浆料及其制备方法和应用
WO2023058312A1 (ja) 2021-10-04 2023-04-13 大日精化工業株式会社 カーボン材料分散液及びその使用

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008189901A (ja) * 2007-01-11 2008-08-21 Honda Motor Co Ltd 熱輸送流体およびその製造方法
WO2014002885A1 (ja) * 2012-06-26 2014-01-03 東レ株式会社 カーボンナノチューブ含有組成物の分散液および導電性成形体
JP2014028935A (ja) * 2012-06-26 2014-02-13 Toray Ind Inc カルボキシメチルセルロースの製造方法、カルボキシメチルセルロースおよびカーボンナノチューブ含有組成物の分散剤
WO2014128190A1 (de) * 2013-02-22 2014-08-28 Bayer Materialscience Ag Kohlenstoffnanoröhren-haltige dispersion und ihre verwendung in der herstellung von elektroden

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008189901A (ja) * 2007-01-11 2008-08-21 Honda Motor Co Ltd 熱輸送流体およびその製造方法
WO2014002885A1 (ja) * 2012-06-26 2014-01-03 東レ株式会社 カーボンナノチューブ含有組成物の分散液および導電性成形体
JP2014028935A (ja) * 2012-06-26 2014-02-13 Toray Ind Inc カルボキシメチルセルロースの製造方法、カルボキシメチルセルロースおよびカーボンナノチューブ含有組成物の分散剤
WO2014128190A1 (de) * 2013-02-22 2014-08-28 Bayer Materialscience Ag Kohlenstoffnanoröhren-haltige dispersion und ihre verwendung in der herstellung von elektroden

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021057271A (ja) * 2019-09-30 2021-04-08 日本ゼオン株式会社 分散液およびその製造方法、並びに、複合体
JP7427900B2 (ja) 2019-09-30 2024-02-06 日本ゼオン株式会社 分散液およびその製造方法、並びに、複合体
JP2021057560A (ja) * 2019-10-02 2021-04-08 北越コーポレーション株式会社 電磁波シールドシートの製造方法、および電磁波シールドシート
JP7402651B2 (ja) 2019-10-02 2023-12-21 北越コーポレーション株式会社 電磁波シールドシート
WO2021220773A1 (ja) 2020-04-27 2021-11-04 東洋インキScホールディングス株式会社 導電材分散液及びその製造方法、並びにそれを用いた二次電池電極用組成物、電極膜、二次電池、車両
KR20230007337A (ko) 2020-04-27 2023-01-12 토요잉크Sc홀딩스주식회사 도전재분산액 및 그의 제조방법, 그리고 그것을 이용한 이차전지 전극용 조성물, 전극막, 이차전지, 차량
WO2022070810A1 (ja) * 2020-09-29 2022-04-07 日本製紙株式会社 分散液、非水電解質二次電池用電極組成物、非水電解質二次電池用電極、非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池用電極の製造方法
WO2023058312A1 (ja) 2021-10-04 2023-04-13 大日精化工業株式会社 カーボン材料分散液及びその使用
KR20240064021A (ko) 2021-10-04 2024-05-10 다이니치 세이카 고교 가부시키가이샤 카본 재료 분산액 및 그의 사용
CN115939389A (zh) * 2022-11-24 2023-04-07 福建蓝海黑石新材料科技有限公司 一种导电材料组合物、导电浆料及其制备方法和应用
CN115939389B (zh) * 2022-11-24 2024-03-15 福建蓝海黑石新材料科技有限公司 一种导电材料组合物、导电浆料及其制备方法和应用
WO2024109809A1 (zh) * 2022-11-24 2024-05-30 福建蓝海黑石新材料科技有限公司 一种导电材料组合物、导电浆料及其制备方法和应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6274309B2 (ja) カーボンナノチューブ分散液および導電性フィルムの製造方法
JP6217395B2 (ja) カーボンナノチューブ含有組成物の分散液および導電性成形体
JP2016204203A (ja) カーボンナノチューブ含有組成物の分散液および導電性成形体
JP6079138B2 (ja) カーボンナノチューブ分散液
KR20190002447A (ko) 카본 나노튜브 분산액, 그의 제조 방법 및 도전성 성형체
JP2010163568A (ja) 導電性組成物および導電性複合体
US9922745B2 (en) Aggregate of carbon nanotubes, and production method therefor
KR102329706B1 (ko) 도전성 필름, 및 도전성 필름의 제조 방법
JP2016122570A (ja) 導電性複合体およびその製造方法
CN110720129B (zh) 导电膜的制造方法、导电膜和金属纳米线墨
KR101938341B1 (ko) 전자파 차폐용 옻칠 도료 조성물 및 이의 제조방법
US11450446B2 (en) Carbon nanotube based hybrid films for mechanical reinforcement of multilayered, transparent-conductive, laminar stacks
JP6398344B2 (ja) カーボンナノチューブ集合体およびその製造方法
JP2016012159A (ja) 導電性積層体の製造方法
JP2012240889A (ja) カーボンナノチューブ膜およびカーボンナノチューブ膜の製造方法
JP5570446B2 (ja) 導電体およびその製造方法
JP2016134215A (ja) 導電積層体および導電積層体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180416

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180416

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181225

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20190121

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190122