JP2016203208A - Au−Sn−Ag系はんだペースト並びにこのAu−Sn−Ag系はんだペーストを用いて接合もしくは封止された電子部品 - Google Patents

Au−Sn−Ag系はんだペースト並びにこのAu−Sn−Ag系はんだペーストを用いて接合もしくは封止された電子部品 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐酸化性、濡れ性に優れるとともに、高温用はんだとして適した融点を持ち、かつAu含有量がAu−Sn系はんだ等のAu系はんだに比較して格段に少なくよって非常に低コストであり、さらに、接合性、応力緩和性、信頼性等に優れる高温用PbフリーのAu−Sn−Ag系はんだペーストを提供する。【解決手段】 Snは38.0質量%を越え43.0質量%以下含有し、Agは12.0質量%を超え15.0質量%以下含有し、残部がAuから構成されることを特徴とするAu−Sn−Ag系はんだペースト。【選択図】なし

Description

本発明は高温用のPbフリーはんだペーストに関するものであり、特に高温用として好適なAuを主成分としたAu−Sn−Ag系はんだ合金とフラックスを混合して得られるAu−Sn−Ag系はんだペースト、及び該はんだペーストを用いて接合もしくは封止した電子部品に関する。
近年、環境に有害な化学物質に対する規制がますます厳しくなってきており、この規制は電子部品などを基板に接合する目的で使用されるはんだ材料に対しても例外ではない。はんだ材料には古くから鉛が主成分として使われ続けてきたが、すでにRohs指令などで規制対象物質になっている。このため、鉛(Pb)を含まないはんだ(以下、鉛フリーはんだ又はPbフリーはんだと称する)の開発が盛んに行われている。
電子部品を基板に接合する際に使用するはんだは、その使用限界温度によって高温用(約260℃〜400℃)と中低温用(約140℃〜230℃)に大別され、それらのうち、中低温用はんだに関してはSnを主成分とするもので鉛フリーが実用化されている。例えば、特許文献1には「Snを主成分とし、Agを1.0〜4.0重量%、Cuを2.0重量%以下、Niを1.0重量%以下含有することを特徴とする「はんだ合金」」が記載されており、また、特許文献2には「はんだ組成が、Agを0.5〜3.5重量%、Cuを0.5〜2.0重量%含有し、残部がSnからなる無鉛はんだ」が記載されている。
一方、高温用の鉛フリーはんだ材料に関しても、さまざまな機関で開発が行われている。例えば、特許文献3には、「はんだ付け接続部にBi組成比が30〜80at%である非共晶Ag−Bi合金、およびこの組成比のAg−Biが主成分であるAg−Bi−α(残部)合金が成膜されていることを特徴とする気密端子」が開示されており、その「気密端子のはんだ付接続部に350〜500℃の熱風を吹き付け、AgBi合金を溶かし接続すること」が開示されている。また、特許文献4には、「Biを含み2元共晶合金からなる第1金属成分」に、「2元共晶合金である第2金属成分」を加え、「第3金属成分を更に加え、融点が250〜300℃となるはんだ材料」の生産方法が開示されている。
高価な高温用の鉛フリーはんだ材料としては、すでにAu−Sn合金やAu−Ge合金などが水晶デバイス、SAWフィルター、そして、MEMS等で使用されている。
Au−20質量%Sn(80質量%のAuと20質量%のSnから構成されることを意味する。以下同様。)は共晶点の組成であり、その融点は280℃である。一方、Au−12.5質量%Geは共晶点の組成であり、その融点は356℃である。
Au−Sn合金とAu−Ge合金の使い分けは、まずはこの融点の違いによる。すなわち、高温用といっても比較的温度の低い箇所の接合に用いる場合はAu−Sn合金を用いる。そして、比較的高い温度の場合にはAu−Ge合金を用いる。更にAu系はんだ合金はPb系はんだ合金やSn系はんだ合金に比較して非常に硬い。特にAu−Ge合金はGeが半金属であることから、シート形状などに加工することが非常に難しい。従って、生産性や収率が悪く、コストアップの原因になっている。
Au−Sn合金もAu−Ge合金ほどではないにしても加工しづらく、プリフォーム材などへの加工時の生産性や収率は悪い。つまり、Au−20質量%Snは共晶点の組成であるとはいえ、金属間化合物から構成されている。従って、転位が移動しづらく、よって、変形しづらく、薄く圧延したり、プレスで打抜いたりするとクラックやバリが発生しやすい。
当然、Au系はんだ合金の場合、材料コストが他のはんだ材料と比較して、桁違いに高い。Au−Sn合金は、融点や加工性を活かし、特に高信頼性が要求される水晶デバイス封止用として多用されているが、このAu―Sn合金を安価で更に使い易くするように、例えば、次のようなAu系はんだが開発されている。特許文献5には、「比較的低融点で扱いやすく、強度、接着性に優れ、かつ安価であるろう材、及び圧電デバイスを提供する」ことを目的として、
「組成比(Au(wt%),Ag(wt%),Sn(wt%))が、
Au、Ag、Snの三元組成図において、
点A1(41.8, 7.6,50.5)、
点A2(62.6, 3.4,34.0)、
点A3(75.7, 3.2,21.1)、
点A4(53.6,22.1,24.3)、
点A5(30.3,33.2,36.6)
に囲まれる領域にあることを特徴とするろう材」が示されている。
特許文献6には、「Auの添加量が従来のAu-Sn共晶合金よりも少なくて済むばかりでなく、固相線温度が270℃以上である鉛フリーの高温はんだを提供する」ことを目的として、また、「容器本体と蓋部材間の接合部が耐ヒートサイクルや機械的強度に優れたパッケージを提供する」ことを目的として、「Ag2〜12質量%、Au40〜55質量%、残部Snからなることを特徴とする溶融封止用高温鉛フリーはんだ合金」が示されている。
また、特許文献7には、「280℃以下の低温で接合が可能なAu−Sn合金はんだペーストであって、且つこのペーストにより形成されたAu−Sn合金はんだは、Sn−Ag系鉛フリーはんだによるセカンドリフローでも再溶融しない低Au含有量のAu−Sn合金はんだペーストを提供する」ことを目的として、「(A)AuとSnとの合計100質量部に対して、Snを55〜70質量部含むAu−Sn混合粉末と、(B)フラックスとを含み、成分(A)が、(A1)AuとSnとの合計100質量部に対して、Snを18〜23.5質量部含むAu−Sn合金はんだ粉末、及び(A2)AuとSnとの合計100質量部に対して、Snを88〜92質量部含むAu−Sn合金はんだ粉末を含むことを特徴とするAu−Sn合金はんだペースト」が記載されている。
特開平11−077366号公報 特開平8−215880号公報 特開2002−160089号公報 特開2006−167790号公報 特開2008−155221号公報 特許第4305511号公報 特開2011−167761号公報
高温用のPbフリーはんだ材料に関しては、上記文献以外にもさまざまな機関で開発されてはいるが、未だ低コストで汎用性のあるはんだ材料は見つかっていない。即ち、一般的に電子部品や基板には、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などの比較的耐熱温度の低い材料が多用されているため、作業温度を400℃未満、望ましくは370℃以下にする必要がある。しかしながら、例えば特許文献3に開示されているBi/Agろう材では、液相線温度が400〜700℃と高いため、接合時の作業温度も400〜700℃以上になると推測され、接合される電子部品や基板の耐熱温度を超えてしまうことになる。
そして、高価なAu−Sn系はんだやAu−Ge系はんだの場合、水晶デバイス、SAWフィルター、及びMEMSなどの特に高い信頼性を必要とする箇所のはんだ付け用に実用化されてはいるものの、Au系はんだは非常に高価なAuを多量に使用するため、汎用のPb系はんだやSn系はんだなどに比較して非常に高価である。加えて、Au系はんだは非常に硬く、加工しづらいため、例えば、シート形状に圧延加工する際に時間がかかったり、ロールに疵のつきづらい特殊な材質のものを用いたりしなければならず、余分なコストがかかる。また、プレス成形時にもAu系はんだの硬くて脆い性質のため、クラックやバリが発生し易く、他のはんだに比較して収率が格段に低い。ワイヤ形状に加工する場合にも似たような深刻な問題があり、非常に圧力の高い押出機を使用しても硬いため押出速度がPb系はんだの数100分の1程度の生産性しかない。
以上のような問題を含め、Au系はんだは用途や使用時の形状等によってさまざまな問題があり、そのような課題を解決すべく、例えば、特許文献5に示すような技術が開示されている。即ち、特許文献5では、比較的低融点で扱いやすく、強度及び接着性に優れ、かつ安価であるろう材、及び圧電デバイスを提供する、と述べられている。さらに、Au、Sn、Agそれぞれの組成範囲を限定したことで、Au含有量を従来に比して減少させつつ、封止材として同等の特性が得られるようにしている、とも述べられている。
しかし、Agを添加することによってAu−Sn合金の強度や接着性が向上する理由が記載されていないだけではなく、封止材として同等の特性(Au−Ge合金と同等の特性と解釈できる)が得られる理由も記載されていない。即ち、Au−Ge共晶合金やAu−Sn共晶合金と同等の特性、例えば、同等の信頼性が得られる理由について記載が全くなく、発明の技術的根拠が不明である。そして以下に述べる理由により信頼性等を含め、特許文献5が示す広い組成範囲の全ての領域においてAu−Ge共晶合金やAu−Sn共晶合金と同等の同一の特性を得ることはできないと思われる。
以下、特許文献5の技術が同一の特性を得ることができないと考える理由について説明する。特許文献5は、組成比(Au(wt%),Ag(wt%),Sn(wt%))を
点A1(41.8, 7.6,50.5)、
点A2(62.6, 3.4,34.0)、
点A3(75.7, 3.2,21.1)、
点A4(53.6,22.1,24.3)、
点A5(30.3,33.2,36.6)
に囲まれる領域にある組成としているが、この領域はあまりにも高範囲すぎていて、このような広い組成範囲全ての領域において目的とする同一の特性を得ることは論理的に不可能である。例えば、点A3と点A5はAu含有量が45.4質量%も異なる。このようにAu含有量に大きな差があるのに、点A3と点A5で似たような特性が得られるとは到底考えられない。Au、Sn、Agの組成比が異なれば生成される金属間化合物は異なり、液相線温度や固相線温度も大きく異なる。最も酸化しづらいAuの含有量が45.4質量%も違えば当然、濡れ性も大きく変わることとなる。接合時に生成される金属間化合物の種類やその量も大きく異なり、特許文献5に示されるような広い範囲において加工性と応力緩和性について同じような優れた特性を実現できるものではない。
特許文献6に記載のろう材は、Agが2〜12質量%、Auが40〜55質量%で、残部がSnからなるはんだ合金が記載されている。この様なAu−Sn−Agからなるはんだ合金の場合、Ag含有量が2〜12質量%の範囲ではε相とδ相からなる比較的細かな金属組織を得ることができず、加工性や応力緩和性等などが不十分なはんだ合金となってしまう。更に液相線温度と固相線温度の差が広いため、接合時の溶け別れ現象を生じて、十分な接合信頼性を得ることができない場合がる。
特許文献7には、低Auで低コストのAuSn合金はんだペーストが記載されている。このようにAu系はんだにおいては低コスト化が重要な課題であり、この市場の要求に応えることは技術進歩のために非常に重要である。しかし、特許文献7に記載のはんだ粉末は2つの組成からなるAu−Sn合金を組み合わせて使用しているが、単にこれらのはんだ粉末を混ぜ合わせても個々の組成の合金粉末の融点が変わることはないためはんだ接合時に合金組成が十分に混ざり合わないと、(A2)(Sn=約90%)の低融点相が存在する場合があり、高温用はんだとして使用すると問題が生じる場合がある。特許文献7には「本発明の成分(A1)と成分(A2)を含むAu−Sn合金はんだペーストが、LED等の半導体素子と基板を接合するメカニズムは明確ではないが、260〜280℃での加熱により、まず、成分(A2)が溶融して、LED等の半導体素子、基板等の被着物を濡らし、この後、溶融した成分(A2)と成分(A1)との間の拡散により、成分(A2)と成分(A1)が混合したAu−Sn合金はんだが形成されると考えられる。このメカニズムにより、LED素子にやさしい280℃以下での加熱による接合が可能であり、かつ接合後に固相線温度が250℃以上であるAu−Sn合金はんだを形成することが可能なAu−Sn合金はんだペーストを実現することができる。」と記載されている。しかし、Snリッチである(A2)成分が、Au−Sn共晶点に近い成分(A1)と十分に拡散し接合した場合であっても、接合部のAu−Sn合金は共晶点の組成から大きく外れてしまうため、組織がラメラ組織ではなく、非常に硬くてもろい相から構成され、応力緩和性等がなく、接合信頼性も非常に低くなると考えられる。従って、Au含有量を下げてはんだペーストのコストを下げるという観点では非常に優れているものの、上記の理由により十分実用的な技術であるとは言い難い。
Au系はんだは、はんだペーストを含めて上記のとおり、様々な改善すべき課題があるが、本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、水晶デバイス、SAWフィルターやMEMS等の非常に高い信頼性を要求される接合や封止においても十分に使用できる各種特性に優れる高温用Au−Sn−Ag系はんだペースト、特に低コストで良好な濡れ性を有し、かつ応力緩和性、接合信頼性等に優れることを特徴とするPbフリーはんだペーストを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明によるPbフリーAu−Sn−Ag系はんだペーストは、はんだ合金粉末とフラックスとを混合してなるはんだペーストであって、該はんだ合金粉末はその合計を100質量%としたとき、Snは38.0質量%を越え43.0質量%以下含有し、Agは12.0質量%を超え15.0質量%以下含有し、残部が製造上、不可避に含まれる元素を除き、Auからなることを特徴とする。
また、本発明によるPbフリーAu−Sn−Ag系はんだペーストは、前記フラックスが、ロジンを含むことを特徴とする。
また、本発明によるPbフリーAu−Sn−Ag系はんだペーストは、Snは38.0質量%を越えて41.0質量%以下含有し、Agは12.5質量%以上14.5質量%以下含有し、残部が製造上、不可避に含まれる元素を除き、Auからなることを特徴とする。
また、本発明は、上記PbフリーAu−Sn−Ag系はんだペーストを用いて接合されていることを特徴とするSi半導体素子接合体を提供する。
また、本発明は、上記PbフリーAu−Sn−Ag系はんだペーストを用いて封止されていることを特徴とする水晶振動子封止素子を提供する。
本発明によれば、水晶デバイス、SAWフィルター、そして、MEMSなどの非常に高い信頼性を要求される箇所に使われるはんだペーストを従来のAu系はんだペーストよりも格段に安価に提供できる。更には、本発明のはんだペーストに使用されるはんだ合金は、比較的柔軟性の高いε相とδ相を基本としており、応力緩和性、接合信頼性に優れ、且つ、Au−Geはんだ合金とAu−Snはんだ合金の間という好ましい融点を有し、フラックスと混合してはんだペーストという形態にすることよって、より一層優れた濡れ性を有するAu系はんだペーストを提供できる。従って、工業的な貢献度は極めて高い。
Au−Sn−Ag三元系状態図を示す。 Ni層を有するCu基板上にはんだ合金をはんだ付けした濡れ性試験の実施形態を模式的に示す断面図である。 図2の濡れ性試験でのアスペクト比測定状態を模式的に示す側面図である。 Ni層を有するCu基板上にはんだ合金をはんだ付けし、更にはんだの上にSiチップを接合した接合体を模式的に示す断面図である。 水晶振動子パッケージの断面図である。
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、ε相(at%比でAu:Sn:Ag=16.1:21.5:62.4)とδ相(AuSn)を基本としているAu−Sn−Ag系はんだ合金であり、具体的にはSnを38.0質量%を超え43.0質量%以下含有し、Agを12.0質量%を超え15.0質量%以下含有し、残部が製造時不可避に含まれる元素を除きAuから構成される。
このはんだ組成範囲を満たすことによって、Au−Sn合金に比べて柔らかく、よって応力緩和性に優れ、かつ、高価なAuの一部をSnとAgで代替することによってAu含有量を約50質量%以下と大幅に下げてはんだ合金コストを下げ、更に、Au−Geはんだ合金とAu−Snはんだ合金の間という好ましい融点を有し、フラックスと混合してはんだペーストという形態をとることによって濡れ性、接合性に優れる接合剤とすることが可能となることを見出し、本発明に至った。
以下、本発明のAu−Sn−Ag系はんだペーストについて詳しく説明する。本発明のAu−Sn−Ag系はんだ合金の組成は、Snは38.0質量%を超え43.0質量%以下含有し、Agは12.0質量%を超え15.0質量%以下含有し、残部が製造上不可避に含まれる元素を除きAuから構成されることを特徴とする。
本発明のはんだペーストに使用するはんだ合金は、非常に高コストであるAu系はんだ合金のコストを大幅に下げるとともに、優れた柔軟性と応力緩和性を持たせるためにAuなどよりも伸び率の高い金属であるAgを含有させ、かつ比較的柔軟性のあるε相を構成要素の一つとしている。つまり本発明のAu−Sn―Ag系合金は、液体状態から冷却して固体になる際、まず液相からζ相(at%比でAu:Sn:Ag=30.1:16.1:53.8)が析出し、その後、冷却を進めると液相+ζ相からε相とδ相の2つの相が析出する。そして、液相線温度と固相線温度が比較的近いため、このε相とδ相から金属組織が比較的細かくなるのである。そして、ε相が比較的柔軟性を持つことも加わって、はんだ合金として加工性や応力緩和性等に優れる材料となるのである。そして、反応性の高いAgを含有させていることなどから濡れ性や接合性にも優れるはんだ合金となっているのである。そして、Au−Geはんだ合金とAu−Snはんだ合金の間という好ましい融点を有する。更に、フラックスと混ぜてはんだペーストとすることにより形状自由度が大きくなり、濡れ広がり性、接合信頼性等に優れる接合材となる。以下、本発明のはんだ合金に必須の元素、そしてフラックスについて、さらに詳しく説明する。
<Au>
Auは本発明のはんだ合金の主成分であり、当然、必須の元素である。Auは非常に酸化しづらいため、高い信頼性が要求される電子部品類の接合や封止用のはんだとして、特性面においては最も適している。このため、水晶デバイスやSAWフィルターの封止用としてAu系はんだが多用されており、本発明のはんだ合金もAuを基本とし、このような高信頼性を要求される技術分野に属するはんだを提供する。ただし、Auは非常に高価な金属であるため、コスト面からするとできるだけ使わない方がよく、Au含有量を1質量%でも下げたい。このため、一般的なレベルの信頼性を要求される電子部品にはほとんど使用されていない。本発明のはんだ合金は、濡れ性や接合性といった特性面ではAu−20質量%SnはんだやAu−12.5質量%Geはんだと同等以上であり、かつ、柔軟性、加工性を向上させ、加えてAu含有量を減らしてコストを下げるべく、主にε相とδ相から構成されるAu−Sn−Ag系合金としている。
<Sn>
Snは本発明のはんだにおいて必須の元素であり、基本を成す元素である。Au−Snはんだ合金は、通常、共晶点付近の組成、つまりAu−20質量%Sn付近の組成で使用される。これによって、固相線温度が280℃になり、かつ、結晶が微細化し、比較的柔軟性が得られるのである。しかし、共晶合金と言ってもAu−20質量%Sn合金は、AuSn金属間化合物とAuSn金属間化合物から構成されているため、硬くて脆い。このため、加工しづらく、例えば、圧延によってシート状に加工する際には少しずつしか薄くしていくことができず、生産性が悪かったり、圧延時に多数のクラックが入って収率が悪かったりするが、金属間化合物の硬くて脆い性質は一般的には変えることができない。このように硬くて脆い材料ではあるが、酸化しにくく濡れ性、信頼性に優れるため、高信頼性を要求される用途に使用されているのである。本発明のはんだ合金は、ε相(ε相はAu−Sn−Ag金属間化合物であり、その組成の比率はat%でAu:Sn:Ag=16.1:21.5:62.4である。参考文献:Ternary Alloys, A Comprehensive Compendium of Evaluated Constitutional Data and Phase Diagrams, Edited by G. Petzow and Effenberg, VCH)とδ相(AuSn金属間化合物)から構成される。このε相が比較的柔軟性を有すること、そして液相線温度と固相線温度が比較的近いことから、本発明のはんだ合金は加工性、応力緩和性等に優れることになるのである。そして融点も下げることができ、Au−Ge合金の共晶温度より低い351℃の固相線温度を有し、この温度はAu−Sn合金の共晶温度である280℃より高い。このAu−Ge合金の共晶温度とAu−Sn合金の共晶温度の間の融点を持つということは非常に重要な意味を持つ。つまり、従来、Au−GeはんだとAu−Snはんだの間の融点を持つはんだはPb系はんだしかない。そして用途によってこれらの間の融点を持つはんだ材料へのニーズがあり、環境面に配慮されたはんだは存在しないのである。このような高温用はんだ合金として優れた特徴を有する融点を持つことは、本発明のはんだ合金の大きな利点の一つである。更に、Au−Ge合金の共晶温度は361℃であるが、この温度より低い融点であることから、はんだ合金を製造する際低温で製造でき、コスト面や安全面でメリットがある。
Snの含有量は38.0質量%を越え43.0質量%以下である。38.0質量%以下であると結晶粒が大きくなってしまい柔軟性、加工性向上等の効果が十分に発揮されないうえ、液相線温度と固相線温度の差が大きくなりすぎて溶け別れ現象などが生じてしまう。さらにAu含有量も多くなり易くなるためコスト削減効果も限定されたものとなってしまう。一方、Snの含有量が43.0質量%を越えてしまうとε相とδ相の混合組成から外れすぎて結晶粒が粗大化してしまったり、液相線温度と固相線温度の差が大きくなってしまったりする問題が生じる。加えて、Sn含有量が多くなりすぎるため、酸化してしまう可能性が高くなり、Au系はんだの特徴である良好な濡れ性を失い、よって、高い接合信頼性を得ることが難しくなってしまうことがある。
Sn含有量が38.0質量%を越え41.0質量%以下であれば、一層、ε相とδ相が十分に混合した組成となり、結晶粒微細化効果が得られ、かつ液相線温度と固相線温度の差が小さいため溶け別れ現象などが生じづらくて好ましい。
<Ag>
Agは本発明のはんだにおいて必須の元素であり、融点を適切な温度に調整したり、濡れ性を確保したり、コスト低減に寄与するなどの重要な効果を有する元素である。本発明のAu−Sn−Ag系合金の組成範囲内とすることにより、はじめて優れた柔軟性や加工性、応力緩和性に適した融点等を得ることができ、かつ大幅にAu含有量を下げることが可能となり、よって大きなコスト削減を実現できる。既に述べたようにAgは濡れ性向上の効果も有する。即ちAgは基板等の最上面に使用されるCu、Niなどと反応性がよく、濡れ性を向上させることができる。当然、半導体素子の接合面によく使用されるAgやAuなどのメタライズ層との反応性に優れることは言うまでもない。
このように優れた効果を有するAgの含有量は12.0質量%を超え15.0質量%以下である。12.0質量%以下ではε相とδ相の混合相を形成する組成から外れすぎてしまい、液相線温度が高くなり過ぎたり、結晶粒が粗大化し過ぎてしまい、良好な接合を得ることが難しくなる。一方、15.0質量%を越えてしまった場合も、液相線温度が高くなり、溶け分かれ現象を生じたり、結晶粒の粗大化が問題になったりしてしまう。
12.5質量%以上14.5質量%以下であれば、ε相とδ相が十分に混合した組成となり、Agを含有させた効果がより一層現れて好ましい。
<フラックス>
本発明のはんだペーストに使用するフラックスの種類は特に限定がなく、例えば、樹脂系、無機塩化物系、有機ハロゲン化物系などを用いてよい。ここでは、最も一般的なフラックスである、ベース材にロジンを使用してこれに活性剤および溶剤を添加したものについて述べる。
例として示すこのフラックスは、フラックス全量を100質量%とした場合、ベース材であるロジンが20〜30質量%、活性剤が0.2〜1質量%、溶剤が70〜80質量%程度となるように配合することが好ましく、これにより良好な濡れ性および接合性を有するはんだペーストを得ることができ、またチキソ剤を含有させチキソ性を調整するとより一層使い易いはんだペーストとなり得る。ベース材としてのロジンには、例えばウッドレジンロジン、ガムロジン、トール油ロジンなどの天然の未変性なロジンを使用してもよいし、ロジンエステル、水素添加ロジン、ロジン変性樹脂、重合ロジンなどの変性ロジンを使用してもよい。
溶剤には、アセトン、アミルベンゼン、n−アミンアルコール、ベンゼン、四塩化炭素、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブチルアルコール、メチルエチルケトン、トルエン、テレピン油、キシレン、シクロヘキサン、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、四塩化炭素、トリクロロエタン、アルカンジオール、アルキレングリコール、ブタジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、テトラデカンなどを使用することができる。
活性剤には、リン酸、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化亜鉛、塩化第一錫、アニリン塩酸塩、ヒドラジン塩酸塩、臭化セチルピリジン、フェニルヒドラジン塩酸塩、テトラクロルナフタレン、メチルヒドラジン塩酸塩、メチルアミン塩酸塩、エチルアミン塩酸塩、ジエチルアミン塩酸塩、ブチルアミン塩酸塩、安息香酸、ステアリン酸、乳酸、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、ヒバシン酸、トリエタノールアミン、ジフェニルグアニジン、ジフェニルグアニジンHBr、エリトリトール、キシリトリトール、ソルボトール、リビトールなどを使用することができる。
またチキソ剤を含有させてチキソ性を調整するとより一層使い易いはんだペーストになり得、例えば、チキソ剤としてステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドを用いることができる。
これらの溶剤および活性剤の中から目的に合った物質を選択し、それらの添加量を適宜調整することによって好適なフラックスが得られる。例えば、はんだ合金や基板等の接合面の酸化膜が強固である場合は、ロジンや活性剤を多めに添加し、溶剤で粘性や流動性を調整するのが好ましい。
上記したはんだ合金とフラックスとを混合することによって得られるはんだペーストは、フラックスの作用によって非常に優れた濡れ性を備えている上、はんだ合金については加工に困難を伴うシート形状等に加工する必要がなく、加工しやすい粉末状で使用することができる。
そして、本発明の高温用Pbフリーはんだペーストを、電子部品と基板との接合に使用することによって、ヒートサイクルが繰り返される環境などの過酷な条件下で使用される場合であっても、耐久性のある信頼性の高い電子部品用基板を提供することができる。よって、この電子部品用基板を、例えば、サイリスタやインバータなどのパワー半導体装置、自動車などに搭載される各種制御装置、太陽電池などの過酷な条件下で使用される装置に搭載することによって、それら各種装置の信頼性をより一層高めることができる。そして、このように優れた本発明のはんだペーストは、水晶振動子の封止用としても非常に適するものであり、例えば図5に示すような水晶振動子パッケージの封止用として使用することができる。
以下、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
まず、原料としてそれぞれ純度99.99質量%以上のAu、SnおよびAgと、比較用のAu−Ge合金のためのGeを準備した。大きな薄片やバルク状の原料については、溶解後の合金においてサンプリング場所による組成のバラツキがなく均一になるように留意しながら切断、粉砕等を行い、3mm以下の大きさに細かくした。次に、高周波溶解炉用グラファイトるつぼに、これら原料から所定量を秤量して入れた。
原料の入ったるつぼを高周波溶解炉に入れ、酸化を抑制するために窒素を原料1kg当たり0.7L/分以上の流量で流した。この状態で溶解炉の電源を入れ、原料を加熱溶融させた。金属が溶融しはじめたら混合棒でよく攪拌し、局所的な組成のばらつきが起きないように均一に混ぜた。十分溶融したことを確認した後、高周波電源を切り、速やかにるつぼを取り出し、るつぼ内の溶湯をはんだ母合金の鋳型に流し込んだ。鋳型には、粉末を製造するための気相中アトマイズ用に直径160mmの円柱形状のものを使用した。
このようにして、原料の混合比率を変えた以外は上記と同様にして、試料1〜16のはんだ母合金を作製した。これらの試料1〜16の各はんだ母合金について、ICP発光分光分析器(SHIMAZU S−8100)を用いて組成分析を行った。得られた分析結果と母合金の形状を下記表1に示した。
Figure 2016203208
(注)表中の※を付した試料は比較例である。
<はんだ合金粉末の製造方法>
はんだペースト用合金粉末の製造方法は特に限定されないが、アトマイズ法により製造するのが一般的である。アトマイズ法は気相中、液相中どちらで行ってもよく、目的とするはんだ粉の粒径や粒度分布等を考慮し選定すればよい。本実施例では、生産性が高く、比較的細かい粉末の製造ができる気相中アトマイズ法によりはんだ合金の粉末を作製した。
具体的には、気相中アトマイズ装置(日新技研株式会社製)を用いて、高周波溶解方式によって気相中アトマイズを行った。まず、上記した試料1〜16のはんだ母合金をそれぞれ1ロットずつ粉末に加工していった。具体的には母合金の試料を高周波溶解るつぼに投入し、蓋をして密閉した後、窒素フローし、実質的に酸素が無い状態にした。試料排出口や回収容器部分も同様に窒素フローして酸素が無い状態にした。
この状態で高周波電源のスイッチを入れ、はんだ母合金を450℃以上に加熱し、合金が十分溶融した状態で溶融したはんだ母合金に窒素で圧力を加え、アトマイズした。このようにして作製されたはんだ微粉を容器に回収し、この容器中で十分に冷却してから大気中に取り出した。十分に冷却してから取り出す理由は、高温状態で取り出すと発火したり、はんだ微粉が酸化して濡れ性等の効果を下げてしまうからである。
このように製造した各粉末をそれぞれ目開きが20μmと50μmの篩で分級して、直径が20〜50μmの合金粉末試料を得た。
<はんだペーストの製造方法>
次に、はんだ母合金の試料からそれぞれ作製したはんだ微粉をそれぞれフラックスと混合し、はんだペーストを作製した。本発明においてフラックスは特に限定されないが、本実施例においてはフラックスには、ベース材として重合ロジンを、活性剤としてジエチルアミン塩酸塩((CNH・HCl)を、溶剤としてエチルアルコールを用いた。それぞれの含有量はフラックスを100質量%として、重合ロジンが23質量%、ジエチルアミン塩酸塩が0.3質量%、残部をエチルアルコールとした。このフラックスと上記はんだ微粉とをフラックス9.2質量%、はんだ微粉90.8質量%の割合で調合し、小型ブレンダーを用いて混合してはんだペーストとした。
このようにして、上記表1に示す試料1〜16のはんだ母合金からそれぞれ試料1〜16のはんだペーストを作製した。そして、これら試料1〜16のはんだペーストの各々に対して、下記に示す評価を行った。即ち、濡れ性の評価1として粉末のはんだ溶け残りの確認を行い、濡れ性の評価2として縦横比の測定を行い、接合性の評価1としてボイド率の測定を行い、接合性の評価2としてシェア強度の測定を行い、信頼性の評価としてヒートサイクル試験を行った。
<濡れ性の評価1(はんだ粉末の溶け残りの確認)>
濡れ性の評価1として、Ni層(層厚:約2.5μm)を形成させたCu基板(板厚:約0.70mm)上にマスクを使って、はんだペーストを直径2.0mm、厚さ150μmの形状に印刷し、そのはんだペーストが印刷された基板を以下のように加熱、接合して接合体を作り、光学顕微鏡ではんだ粉末の溶け残りが無いか確認した。まず、濡れ性試験機(装置名:雰囲気制御式濡れ性試験機)を起動し、加熱されるヒーター部分に2重のカバーをしてヒーター部の周囲4箇所から窒素を流した(窒素流量:各12L/分)。その後、ヒーター設定温度を各試料の融点より50℃高く設定して加熱した。ヒーター温度が設定温度で安定した後、はんだペーストを塗布したCu基板をヒーター部にセッティングし、25秒加熱した。その後、Cu基板をヒーター部から取り上げて、その横の窒素雰囲気が保たれている場所に一旦移して冷却した。十分に冷却した後、大気中に取り出した。はんだ粉末の溶け残りを確認するため接合体の洗浄等はあえて行わなかった。このようにして作った各接合体をはんだが接合された面と直角の方向から、そしてはんだが接合された面側から光学顕微鏡ではんだ粉末の溶け残りが無いか確認した。はんだ粉末が残っていた場合を「×」、はんだ粉末が残っておらずはんだ粉末が溶けてきれいな金属光沢のあるはんだが基板に濡れ広がっていた場合を「○」とした。
<濡れ性の評価2(縦横比の測定)>
濡れ性の評価2として、はんだ粉末の溶け残りの確認の際に作った接合体と同様の接合体を作り、その接合体をアルコールで洗浄、その後真空乾燥して、その基板に濡れ広がったはんだの縦横比を測定した。得られた接合体、即ち図2に示すようにCu基板のNi層上にはんだ合金が接合された接合体について、濡れ広がったはんだ合金の縦横比を求めた。具体的には、図3に示す最大のはんだ濡れ広がり長さである長径(X1)、最小のはんだ濡れ広がり長さである短径(X2)を測定し、下記計算式1により縦横比を算出した。計算式1の縦横比が1に近いほど基板上に円形状に濡れ広がっており、濡れ広がり性がよいと判断できる。1より大きくなるに従い、濡れ広がり形状が円形からずれていき、溶融はんだの移動距離にバラつきがでて反応が不均一になり、合金層の厚みや成分のバラつきが大きくなったりして、均一で良好な接合ができなくなってしまう。更に、ある方向に多くのはんだが流れるように広がってはんだ量が過剰な箇所とはんだが無い箇所がでてき、接合不良や場合よっては接合できなかったりしてしまう。接合体の縦横比の測定結果を表2に示す。
[計算式1]
縦横比=長径÷短径=X1÷X2
<接合性の評価1(ボイド率の測定)>
接合性の評価1として、はんだ粉末の溶け残りの確認の際に作った接合体と同様の接合体を作り、その接合体をアルコールで洗浄し、その後真空乾燥して、はんだの濡れ広がった接合体に関して以下のようにボイド率を測定した。
図2に示す接合体について、はんだ合金3が接合されたCu基板1のボイド率をX線透過装置(株式会社東芝製、TOSMICRON−6125)を用いて測定した。具体的には、はんだ合金3とCu基板1の接合面をはんだの接合された面の方向から、そしてはんだの接合された面側から垂直にX線を透過し、下記計算式2を用いてボイド率を算出した。かくして得られた接合体のボイド率の測定結果を表2に示す。
[計算式2]
ボイド率(%)=ボイド面積÷(ボイド面積+はんだ合金とCu基板の接合面積)×100
<接合性の評価2(シェア強度の測定)>
はんだの接合性を確認するため、はんだペースト試料を用いて図4に示すようなSiチップ4と、Niめっき(層厚:2.5μm)されたCu基板1(板厚:0.7mm)との接合体を作り、シャア強度を測定した。すなわち、Cu基板1のNiめっき2上に、マスクを使ってはんだペースト3を2.0mm×2.0mm、厚さ100μmの形状に印刷し、基板1を加熱後、溶融したはんだペースト3の上に2.0mm×2.0mmのSiチップ4を置き、そのまま加熱、接合してSiチップ接合体を作り、そのシェア強度を測定した。
具体的には、ダイボンダー(Westbond製、型式:3727C)を用いて接合体を形成した。まず装置のヒーター部に窒素ガスを流しながら、はんだ試料の融点より40℃高い温度になるようにした後、ヒーター部にはんだペーストを上記サイズに塗布したCu基板を乗せ35秒加熱し、溶融したはんだの上に上記サイズのSiチップ4を載せスクラブを5秒かけた。スクラブ終了後、接合体を速やかに窒素ガスの流れている冷却部に移し、室温まで冷却後、大気中に取り出した。各はんだ試料毎に、このようにして作製したSiチップ接合体に関してシェア強度を測定した。シェア強度は、接合体を装置に固定してSiチップを治具によって横方向から押すことにより生じるせん断力として計測された。はんだ接合体の強度が十分に高く、チップが破断してしまった場合は、はんだ接合体のシェア強度を計測できていないため、全て「チップ破断」とした。測定結果を表2に示す。
<信頼性の評価(ヒートサイクル試験)>
はんだ接合体の信頼性を評価するためにヒートサイクル試験を行った。なお、この試験は、はんだ粉末の溶け残りの確認の際に作った接合体と同様の接合体を作り、その接合体をアルコールで洗浄し、その後真空乾燥したものを用いて試験した。試験は、まず接合体に対して、−40℃の冷却と250℃の加熱を1サイクルとして、これを所定のサイクル繰り返し、その後、はんだ接合体をCu基板ごと樹脂に埋め込み、断面研磨を行い、SEM(日立製作所製S−4800)により接合面の観察を行った。接合面にはがれが生じたり、はんだにクラックが入っていたりした場合を「×」、そのような不良がなく、初期状態と同様の接合面を保っていた場合を「○」とした。300サイクルで「×」と評価された試料は、500サイクルの試験は行わなかった。結果を表2に示す。
Figure 2016203208
(注)表中の※を付した試料は比較例である。
上記表2から分かるように、本発明の試料1〜10のはんだ合金は、従来からあるAu系はんだ合金の試料15,16同様に、各評価項目において良好な特性を示している。即ち、濡れ性の評価1である粉末の溶け残りに関しては、全く溶け残りが無かった。濡れ性の評価2である縦横比の測定結果に関しては、縦横比が1.03以下であり円状に均一に濡れ広がっていた。接合性の評価1であるボイド率の測定結果に関しては、ボイドは0.4%以下と良好な結果が得られた。濡れ性の評価2であるシェア強度の測定結果に関しては、はんだの強度が高く全てチップで破断し、はんだ中での破壊は無かった。信頼性の評価であるヒートサイクル試験に関しては、500サイクルまで不良が発生しなかった。
このように、適正な組成範囲内のはんだ合金を用いて、本発明のはんだペーストを適切な条件で製造することにより、良好な結果を得ることができる。
一方、比較例である試料11〜14の各はんだ合金は、各特性において好ましくない結果となった。即ち、試料11〜14ではんだ粉末溶け残りが発生し、縦横比は1.30以上であった。更にシェア試験に関しては、試料11〜14においてチップで破断することなく、シェア強度は38〜53MPaと低い値であった。ボイド率に関しては、10〜23%程度とボイドがかなりの割合で発生する場合があった。そして信頼性の評価であるヒートサイクル試験では、試料11〜14全ての試料に関して300サイクルまでで不良が発生した。
本発明のはんだ合金はAu含有量が多くても48%程度であり、現在、実用化されている80質量%Au−20質量%合金や87.5質量%Au−12.5質量%Ge合金などよりも格段にAu含有量が少なく、よって非常に低コストであることが分かる。
以上述べたように、本発明のはんだペーストは従来のAu系はんだ同様の特性を示しながら、低コストを実現することができた。
1 Cu基板
2 Ni層
3 はんだ合金
4 Siチップ
5 水晶振動子
6 導電性接着剤
7 端子
8 封止用蓋
9 封止用容器

Claims (5)

  1. はんだ合金粉末とフラックスとを混合してなるはんだペーストであって、該はんだ合金粉末はその合計を100質量%としたとき、Snを38.0質量%を超え43.0質量%以下含有し、Agを12.0質量%を超え15.0質量%以下含有し、残部が製造上、不可避に含まれる元素を除き、Auからなることを特徴とするPbフリーAu−Sn−Ag系はんだペースト。
  2. 前記フラックスがロジンを含むことを特徴とする、請求項1に記載のPbフリーAu−Sn−Ag系はんだペースト。
  3. Snは38.0質量%を超え41.0質量%以下含有し、Agは12.5質量%以上14.5質量%以下含有し、残部が製造上、不可避に含まれる元素を除き、Auからなることを特徴とする請求項1又は2に記載のPbフリーAu−Sn−Ag系はんだペースト。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載のPbフリーAu−Sn−Ag系はんだペーストを用いて接合されていることを特徴とするSi半導体素子接合体。
  5. 請求項1乃至3の何れかに記載のPbフリーAu−Sn−Ag系はんだペーストを用いて封止されていることを特徴とする水晶振動子封止素子。
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