JP2016203156A - 強化中空繊維膜およびそれを調製するための方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】1)セルロースアセテートフィラメントおよび合成繊維フィラメントを二重にすることにより生成される複合フィラメントを使用して、二次元編組技術により、中空繊維膜の強化材として中空管状編組を生成するステップ、2)非溶媒誘起相分離法におけるキャスト溶液配合方法に従って、分離層のキャスト溶液を、膜形成ポリマーとしてのセルロースアセテートと配合するステップ、3)分離層のキャスト溶液を、ステップ1)において得られた中空管状編組の表面上に、同心円コーティング技術によってコーティング装置を用いて一様にコーティングし、空隙および凝固浴に通過させ、それにより強化中空繊維膜を得るステップを含む。
【選択図】図1
Description
本発明の別の目的は、層間に高密度層がないことにより高い界面結合強度、高い透過物流束を有し、MBRにおける使用に好適である強化中空繊維膜を提供することである。
好ましくは、強化中空繊維膜は、1.2〜3.5mmの外径、20〜80MPaの引張強度、0.5〜2MPaの破裂強度、および50〜300L/(m2・時)の純水透過流束を有する。
1)強化材を調製するステップであり、二次元編組技術を用いて、中空管状編組が複合フィラメントを使用することにより形成され、中空管状編組は1〜3mmの外径を有し、中空管状編組は中空繊維膜の強化材として使用され、
複合フィラメントは、セルロースアセテートフィラメントおよび合成繊維フィラメントを0.5〜4:1の総繊度の比で二重にすることにより生成され、合成繊維フィラメントは、ポリエステルフィラメント、ポリアミドフィラメント、ポリプロピレンフィラメントおよびポリアクリロニトリルフィラメントのうちの任意の1つであるステップと、
2)分離層のキャスト溶液を調製するステップであり、分離層のキャスト溶液は、非溶媒誘起相分離法におけるキャスト溶液配合方法に従って、膜形成ポリマーとしてセルロースアセテートを用いて配合されるステップと、
3)強化中空繊維膜を調製するステップであり、ステップ2)において得られた分離層のキャスト溶液は、ステップ1)において得られた中空管状編組の表面上に、同心円コーティング技術(concentric circles coating technique)によって20〜80℃でコーティング装置により一様にコーティングされ、1〜50cmの空隙に通過させられ、次いでワイヤガイドローラーの引き出し下で5〜50℃の凝固浴中に浸漬され、それにより強化中空繊維膜が得られるステップと
を含む方法を提供する。
好ましくは、ステップ2)における分離層のキャスト溶液は、6〜20質量%のセルロースアセテート、2〜30質量%の添加剤、および50〜92質量%の溶媒を、機械的撹拌下、30〜90℃で2〜5時間ブレンドし、脱気することにより調製される。
好ましくは、添加剤は、水、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、グリセロール、Tween、およびホルムアミドからなる群から選択される少なくとも1つを含み、溶媒は、セルロースアセテートの良好な溶媒である。
好ましくは、溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、アセトン、氷酢酸、およびテトラヒドロフランからなる群から選択される少なくとも1つを含む。
好ましくは、セルロースアセテートのアセチル含量は、38〜41.5%であり、セルロースアセテートの分子量は、30,000〜100,000である。
好ましくは、ワイヤガイドローラーの巻き取り速度は、0.5〜5m/分である。
先行技術と比較して、本発明の調製方法は、均一強化法および不均一強化法を組み合わせ、すなわち、強化材は、キャスト溶液中の膜形成材料と同じ物質(セルロースアセテート)およびキャスト溶液中の膜形成材料とは異なる物質(合成ポリマー)の両方を含有する。中空管状編組および分離層中のセルロースアセテートの間の共溶媒および区別されない適合性が存在し、合成繊維は、キャスト溶液中での編組の膨潤または溶解の程度を低減する。前者は、調製された強化中空繊維膜に良好な界面結合状態を持たせ、一方後者は、良好な透過性を維持させる。さらに、本発明の調製方法は、プロセスが単純であり、制御が容易であり、工業生産に好適である。一方、調製された強化中空繊維膜は、例えば精密濾過、限外濾過、ナノ濾過等の多くの態様に適用可能であり、その適用範囲は極めて広い。
「フィラメント」という用語は、本明細書において使用される場合、「複数のモノフィラメントを有するマルチフィラメント」を意味する。
強化中空繊維膜を調製するための方法は、
(1)300D/60Fセルロースアセテートフィラメントおよび150D/60Fポリアクリロニトリルフィラメントを二重にするステップであり、次いでそこから16スピンドル2D編組機により、1.5mmの外径を有する中空管状編組が強化材として生成されるステップと、
(2)14質量%(質量分率)のセルロースアセテート(39.8%のアセチル含量、60,000の分子量)、20質量%のポリエチレングリコール2000および2質量%の水を、64質量%のN,N−ジメチルアセトアミドにブレンドし、それらを70℃で4時間撹拌によって溶解し、それにより、脱気のために静置した後にセルロースアセテート溶液を得るステップと、
(3)図1に示されるように、ステップ2)において得られたセルロースアセテート溶液を、ステップ1)において得られた中空管状編組の表面上に、同心円技術によって70℃でコーティング装置により一様にコーティングし、次いで、ワイヤガイドローラーの引き出し下で10cmの空隙に通過させ、次いで25℃の水中に浸漬し、それにより強化中空繊維膜を得るステップであり、ワイヤガイドローラーの巻き取り速度は1m/分であるステップと
を含む。
強化中空繊維膜を調製するための方法は、
(1)450D/90Fセルロースアセテートフィラメントを167D/96Fポリエステルフィラメントで二重にし、次いでそれを、強化材として、2D編組機の16スピンドルにより、2.0mmの外径を有する中空管状編組にするステップと、
(2)8質量%のセルロースアセテート(39.8%のアセチル含量、80,000の分子量)、4質量%のポリビニルピロリドンK30および2質量%のTween 80を、86質量%のジメチルスルホキシドにブレンドし、それらを70℃で3時間撹拌によって溶解し、それにより、脱気のために静置した後にセルロースアセテート溶液を得るステップと、
(3)図1に示されるように、ステップ2)において得られたセルロースアセテート溶液を、ステップ1)において得られた中空管状編組の表面上に、同心円技術によって60℃でコーティング装置により一様にコーティングし、次いで、ワイヤガイドローラーの引き出し下で15cmの空隙に通過させ、次いで25℃の水中に浸漬し、それにより強化中空繊維膜を得るステップであり、ワイヤガイドローラーの巻き取り速度は1.5m/分であるステップと
を含む。
強化中空繊維膜を調製するための方法は、
(1)300D/60Fセルロースアセテートフィラメントおよび128D/36Fポリプロピレンフィラメントを二重にするステップであり、次いでそこから16スピンドル2D編組機により、1.6mmの外径を有する中空管状編組が強化材として生成されるステップと、
(2)10質量%のセルロースアセテート(38.5%のアセチル含量、60,000の分子量)、および10質量%のポリエチレングリコール6000を、80質量%のN,N−ジメチルホルムアミドにブレンドし、それらを70℃で3時間撹拌によって溶解し、それにより、脱気のために静置した後にセルロースアセテート溶液を得るステップと、
(3)図1に示されるように、ステップ2)において得られたセルロースアセテート溶液を、ステップ1)において得られた中空管状編組の表面上に、同心円技術によって60℃でコーティング装置により一様にコーティングし、次いで、ワイヤガイドローラーの引き出し下で20cmの空隙に通過させ、次いで30℃の水中に浸漬し、それにより強化中空繊維膜を得るステップであり、ワイヤガイドローラーの巻き取り速度は2m/分であるステップと
を含む。
強化中空繊維膜を調製するための方法は、
(1)300D/60Fセルロースアセテートフィラメントおよび150D/60Fポリアクリロニトリルフィラメントを二重にするステップであり、次いでそこから16スピンドル2D編組機により、1.6mmの外径を有する中空管状編組が強化材として生成されるステップと、
(2)9質量%のセルロースアセテート(38.5%のアセチル含量および60,000の分子量)、および15質量%のポリエチレングリコール6000を、76質量%のジメチルスルホキシドにブレンドして、それらを70℃で3時間攪拌によって溶解し、それにより、脱気のために静置した後にセルロースアセテート溶液を得るステップと、
(3)図1に示されるように、ステップ2)において得られたセルロースアセテート溶液を、ステップ1)で得られた中空管状編組の表面上に、同心円技術によって60℃でコーティング装置により一様にコーティングし、次いで、ワイヤガイドローラーの引き出し下で10cmの空隙に通過させ、次いで25℃の水中に浸漬し、それにより強化中空繊維膜を得るステップであり、ワイヤガイドローラーの巻き取り速度は1.5m/分であるステップと
を含む。
強化中空繊維膜を調製するための方法は、
(1)300D/60Fセルロースアセテートフィラメントおよび128D/36Fポリプロピレンフィラメントを二重にするステップであり、次いでそこから16スピンドル2D編組機により、1.7mmの外径を有する中空管状編組が強化材として生成されるステップと、
(2)18質量%のセルロースアセテート(38.5%のアセチル含量および60,000の分子量)、および5質量%のポリエチレングリコール2000を、77質量%の氷酢酸にブレンドして、それらを70℃で3時間攪拌によって溶解し、それにより、脱気のために静置した後にセルロースアセテート溶液を得るステップと、
(3)図1に示されるように、ステップ2)において得られたセルロースアセテート溶液を、
ステップ1)で得られた中空管状編組の表面上に、同心円技術によって70℃でコーティング装置により一様にコーティングし、次いで、ワイヤガイドローラーの引き出し下で15cmの空隙に通過させ、次いで25℃の水中に浸漬し、それにより強化中空繊維膜を得るステップであり、ワイヤガイドローラーの巻き取り速度は1m/分であるステップと
を含む。
強化中空繊維膜を、実施例1と同様の様式で調製したが、但しステップ(1)を以下のように変更した:450D/180Fポリアクリロニトリルフィラメントを使用して、16スピンドル2D編組機により、1.6mmの外径を有する中空管状編組を強化材として生成する。残りのステップは、実施例1と同じであった。強化材において使用されたフィラメントの化学組成は、分離層において使用された膜形成材料とは完全に異なるため、この比較例において使用された強化法は、「不均一強化」法である。この強化法の主な問題は、低い適合性に起因する強化材と分離層との間の低い界面結合状態である。
強化中空繊維膜を、実施例1と同様の様式で調製したが、但しステップ(1)を以下のように変更した:450D/90Fセルロースアセテートフィラメントを使用して、16スピンドル2D編組機により、1.5mmの外径を有する中空管状編組を強化材として生成する。残りのステップは、実施例1と同じである。強化材において使用されたフィラメントの化学組成は、分離層において使用された膜形成材料と完全に同一であるため、この比較例において使用された強化法は、「均一強化」法である。この強化法の主な問題は、強化材中のセルロースアセテート繊維がキャスト溶液により容易に膨潤し得、したがってそれらが互いに付着して高密度領域を形成し、それにより水透過性を低減することである。
2 テンスレーター
3 キャスト溶液
4 循環水
5 凝固浴
6 洗浄浴
7 引き出しローラー
8 強化中空繊維膜
Claims (10)
- 強化材と、強化材の表面上にコーティングされた分離層とを備える強化中空繊維膜であって、強化材は、0.5〜4:1の総繊度の比で二重に形成したセルロースアセテートフィラメントと合成繊維フィラメントから成る、1〜3mmの外径を有する中空管状編組であり、合成繊維フィラメントは、ポリエステルフィラメント、ポリアミドフィラメント、ポリプロピレンフィラメントおよびポリアクリロニトリルフィラメントのうちの任意の1つであり、
分離層は、膜形成ポリマーとしてセルロースアセテートを含むことを特徴とする、強化中空繊維膜。 - 1.2〜3.5mmの外径、20〜80MPaの引張強度、0.5〜2MPaの破裂強度、および50〜300L/(m2・時)の純水透過流束を有することを特徴とする、請求項1に記載の強化中空繊維膜。
- 請求項1または2に記載の強化中空繊維膜を調製するための方法であって、
1)強化材を調製するステップであり、複合フィラメントを使用して、二次元編組技術を用いることにより1〜3mmの外径を有する中空管状編組が生成され、中空管状編組は、中空繊維膜の強化材として使用され、
複合フィラメントは、セルロースアセテートフィラメントおよび合成繊維フィラメントを、合成繊維フィラメントは、ポリエステルフィラメント、ポリアミドフィラメント、ポリプロピレンフィラメントおよびポリアクリロニトリルフィラメントのうちの任意の1つであるステップと、
2)分離層のキャスト溶液を調製するステップであり、分離層のキャスト溶液は、非溶媒誘起相分離法におけるキャスト溶液配合方法に従って、膜形成ポリマーとしてセルロースアセテートを使用して配合されるステップと、
3)強化中空繊維膜を調製するステップであり、ステップ2)において得られた分離層のキャスト溶液を、ステップ1)において得られた中空管状編組の表面上に、同心円コーティング技術によって20〜80℃でコーティング装置により一様にコーティングし、1〜50cmの空隙に通過させ、次いでワイヤガイドローラーの引き出し下で5〜50℃の凝固浴中に浸漬し、それにより強化中空繊維膜を得るステップと
を含むことを特徴とする方法。 - 強化中空繊維膜をアニールするステップであり、緩和状態にあるステップ3)において得られた強化中空繊維膜は、50℃〜90℃の水浴中に0.5〜60分間浸漬されるステップであるステップ4)をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
- ステップ2)における分離層のキャスト溶液が、6〜20質量%のセルロースアセテート、2〜30質量%の添加剤、および50〜92質量%の溶媒を、機械的撹拌下、30〜90℃で2〜5時間ブレンドし、脱気することにより調製されることを特徴とする、請求項3または4に記載の方法。
- 添加剤が、水、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、グリセロール、Tween、およびホルムアミドからなる群から選択される少なくとも1つを含み、溶媒が、セルロースアセテートの良好な溶媒であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
- 溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、アセトン、氷酢酸、およびテトラヒドロフランからなる群から選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項5または6に記載の方法。
- セルロースアセテート中のアセチル含量が、38〜41.5%であり、セルロースアセテートの分子量が、30,000〜100,000であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
- ステップ3)における凝固浴が、純水またはステップ2)における分離層のキャスト溶液の配合に使用される溶媒の水溶液を含み、使用される溶媒の濃度は、60質量%以下であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
- ワイヤガイドローラーの巻き取り速度が、0.5〜5m/分であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
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