図1〜図3に示す本発明の好ましい一実施形態に係る歯ブラシ10は、把持部12と植毛台11とこれらを連結する首部13とからなる歯ブラシ本体の植毛台11に設けられた複数の植毛穴14a,14b,14cに、複数本のブリッスル16a,16b,16cを束ねて形成された毛束(タフト)15a,15b,15cを、各々植設(植毛)することによって構成される。本実施形態の歯ブラシ10は、テーパーブリッスル16aを束ねて形成されたテーパー毛束15aを、植毛台11に分散して配置すると共に、各々のテーパー毛束15aの周囲に隣接して支持毛束15b,15cを配置することで、刷掃時にテーパーブリッスル16aのテーパー形状部分17が撓むのを抑制して、テーパーブリッスル16aの先細の毛先部分によって、歯の表面の細かい凹凸溝に溜まった汚れを効果的に除去できるようにする機能を備えている。
そして、本実施形態の歯ブラシ10は、先端に向かって断面積が減少するテーパー形状部分17を先端側に備えるテーパーブリッスル16aを束ねて形成された、複数のテーパー毛束15aと、これらの複数のテーパー毛束15aの周囲に隣接して配置された、複数の支持毛束15b,15cとが、植毛台11に設けられた複数の植毛穴14a,14b,14c(図3参照)に各々植設されている歯ブラシである。支持毛束15b,15cは、テーパー毛束15aよりも低い植毛高さで植設されていると共に、支持毛束15b,15cを形成する支持ブリッスル16b,16cは、植毛穴14b,14c側の基端部から、テーパー毛束15aのテーパーブリッスル16aのテーパー開始部17a(図2参照)を超える高さまで、柱状の形状を備えるブリッスルとなっている。テーパー毛束15aが植設されるテーパー植毛穴14a(図3の二重丸参照)の植毛台11の表面における面積の和の、全ての植毛穴14a,14b,14cの植毛台11の表面における面積の総和に対する割合(テーパー毛束占有率)は20%以上となっており、かつ、各々のテーパー毛束15aの周囲に隣接する、テーパー毛束15a及び支持毛束15b,15cの数の総和に対する、各々のテーパー毛束15aの周囲に隣接する、支持毛束15b,15cの数の総和の割合(テーパー毛束分散率)が、60%以上となるように、テーパー毛束15aが分散して植設されている。
また、本実施形態では、好ましくは、複数の支持毛束15b,15cは、植毛高さが高い複数の長支持毛束15bと、植毛高さが低い複数の短支持毛束15cとを含んで構成されており、より好ましくは、長支持毛束15b(図3の白丸参照)は、植毛台11の外周部分に植設されており、短支持毛束15c(図3の×を描いた丸参照)は、外周部分に囲まれる植毛台11の内側領域に植設されている。
さらに、本実施形態では、支持毛束15b,15cを形成する支持ブリッスル16b,16cは、毛先の高さが、好ましくは3mm以内の高さの相違で高さが異なるばらついた状態で植設されており、より好ましくは2mm以内の高さの相違で高さが異なるばらついた状態で植設されている。あるいは、支持毛束15b,15cを形成する支持ブリッスル16b,16cは、各々の支持毛束15b,15cごとの支持ブリッスル16b、16cの高さ平均に対して、好ましくは±1.5mmの範囲で、より好ましくは±1mmの範囲で高さが異なるばらついた状態で植設されている。
さらにまた、本実施形態では、好ましくは、支持毛束15b,15cを形成する支持ブリッスル16b,16cは、毛先が球状に加工されていて、先端球状部18を備えている。
本実施形態では、歯ブラシ本体は、例えばポリプロピレン、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合体等の合成樹脂を用いて、公知の成形方法により成形することができる。歯ブラシ本体の先端部分を構成する植毛台11は、好ましくは平坦なトラック円形状の植毛面11aを備えており、植毛面11aに開口して、毛束15a,15b,15cが植設される複数の植毛穴14a,14b,14cが形成されている(図3参照)。
本実施形態では、複数の植毛穴14a,14b,14cは、図3に示すように、植毛台11の長手方向Xに所定の中心間ピッチで、各々直線状に連設して、植毛台11の幅方向に複数列(本実施形態では7列)に配置されて設けられている。複数の植毛穴14a,14b,14cは、前述のテーパー毛束分散率を向上しやすくし、且つテーパー毛束15aがあらゆる方向において支持毛束14b、14cにより支持されることで清掃性能を向上させる観点から、幅方向に隣接する各一対の穴列において、植毛台11の長手方向Xに半ピッチ分ずれて設けられていることが好ましく、千鳥状に配置されていることが好ましい。複数の植毛穴14a,14b,14cは、本実施形態では、例えば0.8〜1.6mm程度の直径を有する、円形の植毛穴となっており、植毛台11の長手方向Xに例えば1.5〜3.0mm程度の等しい中心間ピッチで配置されていると共に、植毛台11の幅方向に隣接する各一対の穴列が、幅方向に例えば2.5〜4.0mm程度の等しい中心間ピッチで配置されている。また、ブラッシングする際に、テーパー毛束15aが支持毛束15b、15cと一体になり、テーパー毛束15aが支持毛束15b、15cに支持されやすくなる観点から、テーパー毛束15aが植設される植毛穴14aと支持毛束15b、15cが植設される植毛穴14b、14cの外縁間の最短距離は、好ましくは1.5mm以下であり、より好ましくは1.2mm以下である。植毛穴14aと植毛穴14b、14cの外縁間の最短距離は、0.5mm以上であってもよく、0.6mm以上であってもよく、0.8mm以上であってもよい。また、同様の観点から、植毛穴14aと植毛穴14b、14cの外縁間の最短距離は、好ましくは0.5〜1.5mmであり、より好ましくは0.6〜1.2mmであり、さらに好ましくは0.8〜1.2mmである。
また、本実施形態では、植毛台11の幅方向に7列に対象に配置された穴列のうち、中央の第1穴列は、7箇所の植毛穴14a,14b,14cによって構成されており、第1穴列の植毛台11の長手方向Xの両端の植毛穴は、長支持毛束15bが植設される長支持植毛穴14b(白丸参照)となっている。両端から2番目の植毛穴は、テーパー毛束15aが植設されるテーパー植毛穴14a(二重丸参照)となっている。両側の2番目のテーパー植毛穴14aの間の、残りの3箇所の植毛穴は、短支持毛束15cが植設される短支持植毛穴14c(×を描いた丸)となっている。
中央の第1穴列に隣接する、これの両側の一対の第2穴列は、各々8箇所の植毛穴14a,14b,14cによって構成されており、第2穴列の植毛台11の長手方向Xの両端の植毛穴は、テーパー毛束15aが植設されるテーパー植毛穴14aとなっている。両端から2番目の植毛穴は、長支持毛束15bが植設される長支持植毛穴14bとなっている。両端から3番目の植毛穴は、短支持毛束15cが植設される短支持植毛穴14cとなっている。両側の3番目の短支持植毛穴14cの間の、残りの2箇所の植毛穴は、テーパー毛束15aが植設されるテーパー植毛穴14aとなっている。
一対の第2穴列の外側に各々隣接する、一対の第3穴列は、各々7箇所の植毛穴14a,14b,14cによって構成されており、第3穴列の植毛台11の長手方向Xの両端の植毛穴は、中央の第1穴列と同様に、長支持毛束15bが植設される長支持植毛穴14bとなっている。両端から2番目の植毛穴は、中央の第1穴列と同様に、テーパー毛束15aが植設されるテーパー植毛穴14aとなっている。両側の2番目のテーパー植毛穴14aの間の、残りの3箇所の植毛穴は、中央の第1穴列と同様に、短支持毛束15cが植設される短支持植毛穴14cとなっている。
一対の第3穴列のさらに外側に各々隣接する、最外側列である一対の第4穴列は、各々4箇所の植毛穴14a,14bによって構成されており、第4穴列の植毛台11の長手方向Xの両端の植毛穴は、長支持毛束15bが植設される長支持植毛穴14bとなっている。両端の長支持植毛穴14bの間の、残りの2箇所の植毛穴は、テーパー毛束15aが植設されるテーパー植毛穴14aとなっている。
本実施形態では、テーパー植毛穴14aに植設されるテーパー毛束15aは、例えば8〜60本程度、好ましくは20〜60本程度の複数本のテーパーブリッスル16aを束ねて形成される。テーパーブリッスル16aは、先端に向かって断面積が減少するテーパー形状部分17を先端側に備えていることで、毛先部分が先細に形成されている。テーパーブリッスル16aは、好ましくは合成樹脂からなる。テーパーブリッスル16aを形成する合成樹脂としては、ブリッスルに用いられている公知の各種のものを、特に制限なく用いることができ、例えば、ナイロン(登録商標)等のポリアミド、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリオレフィン等が挙げられ、好ましくはポリブチレンテレフタレートを用いることができる。
テーパーブリッスル16aは、好ましくは円形の断面形状を有しており、テーパーブリッスル16aのテーパー形状部分17を除いた部分(円柱状の部分)の直径は、例えば130〜230μmとなっており、好ましくは150〜200μmとなっている。テーパーブリッスル16aのテーパー形状部分17は、ブリッスルの先端部分を公知の研磨装置を用いて研磨することでテーパー状に先鋭加工したり、ブリッスルの先端部分を公知の溶解溶媒中に所定の深さまで浸漬することでテーパー状に先鋭加工したりすることによって、容易に設けることができる。テーパーブリッスル16aは、好適にはブリッスルの先端部分を溶解溶媒に浸漬して加工して設ける。テーパーブリッスル16aにおけるテーパー形状部分17の長さは、5〜10mmとなっていることが好ましく、6〜8mmとなっていることがさらに好ましい。
また、テーパー毛束15aは、後述する公知の植毛方法によって、植毛台11の植毛面11aからテーパーブリッスル16の先端までの高さ(植毛高さ)が、各々の毛束15ごとの平均高さとして、例えば10〜14mmとなるようにテーパー植毛穴14aに植設することができ、11〜13mmとなるように植設することが好ましい。テーパー毛束15aは、毛束15aごとのブラッシング圧のばらつきを防止する観点から、植毛台11の植毛面11aからテーパーブリッスル16aの先端までの高さの毛束15aごとの平均高さが、当該毛束15aごとの平均高さの最小値と最大値との差が3mm以下となるように植設されていることが好ましく、最小値と最大値との差が2.5mm以下となるように植設されていることがより好ましく、最小値と最大値との差が2mm以下となるように植設されていることがさらに好ましい。テーパー毛束15aは、テーパーブリッスル16aのテーパー形状部分17が撓むのを防止する観点から、植毛台11の植毛面11aに対して90度±10度の角度で立設して植設されていることが好ましい。
本実施形態では、長支持植毛穴14b及び単支持植毛穴端14cに植設される支持毛束15b,15cは、例えば8〜60本程度の複数本の支持ブリッスル16b,16cを束ねることによって形成される。支持ブリッスル16b,16cは、テーパーブリッスル16aと同様に、好ましくは合成樹脂からなる。支持ブリッスル16b,16cを形成する合成樹脂としては、テーパーブリッスル16aと同様に、ブリッスルに用いられている公知の各種のものを、特に制限なく用いることができ、例えば、ナイロン(登録商標)等のポリアミド、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリオレフィン等が挙げられ、好ましくはナイロンを用いることができる。
支持ブリッスル16b,16cは、好ましくは円形の断面形状を有しており、支持ブリッスル16b,16cの先端球状部18を除いた部分の直径は、例えば130〜230μmとなっており、好ましくは150〜200μmとなっている。すなわち、支持ブリッスル16b,16cは、植毛穴14b,14c側の基端部から、先端部の先端球状部18に至る高さまで、同様の断面積を有する、柱状の形状を備えるブリッスルとなっている。ここで、柱状とは、円柱状、四角柱状、多角柱状等が挙げられ、好ましくは円柱状である。同様の断面積とは、断面積が、植毛台11の表面(植毛面11a)における基端部の断面積に対して、±5%以内の相違に納まる断面積であり、より好ましくは±2%以内の相違に納まる断面積である。支持ブリッスル16b,16cの先端球状部18は、例えば植毛前にブリッスル一本一本を熱溶融する方法により、毛先を球状に加工することによって、支持ブリッスル16b,16cの先端部に容易に設けることができる。なお、支持ブリッスル16b、16cは、先端球状部18を備える場合には、先端球状部18の近傍の断面積が小さくなる場合もあるが、先端球状部18の近傍まで柱状である(同様の断面積である)ことが好ましく、先端球状部18から2mm離れた部分まで柱状であることが好ましい。支持ブリッスル16b、16cが球状部18を備える場合には、テーパーブリッスル16aを十分に支持する観点から、柱状のブリッスルの先端を加工して先端球状部18が形成されたものであることが好ましい。
また、支持毛束15b,15cは、後述する公知の植毛方法によって、テーパー毛束15aよりも低い植毛高さとなるように、植毛台11の植毛面11aに植設されていると共に、先端球状部18が設けられた支持ブリッスル16b,16cの先端が、テーパー毛束15aのテーパーブリッスル16aのテーパー開始部17aを超える高さに配置されるように植設されている。これによって、支持毛束15b,15cを形成する支持ブリッスル16b,16cは、植毛穴14b,14c側の基端部から、テーパー毛束15aのテーパーブリッスル16aのテーパー開始部17aを超える高さまで、柱状の形状を備えるブリッスルとなっている。支持ブリッスル16b,16cの柱状の形状を備える部分が、テーパー毛束15aのテーパーブリッスル16aのテーパー開始部17aを超える高さは(テーパー開始部17aよりも高い領域の長さは)、テーパー毛束15aを十分に支持しながら、支持毛束15b,15cによる歯面の清掃性能を確保する観点から、好ましくは2.5mm以上であり、より好ましくは3mm以上であり、さらに好ましくは3.5mm以上であり、またテーパー毛束15aによる清掃性能を向上する観点から、好ましくは6.5mm以下であり、より好ましくは6mm以下であり、さらに好ましくは5.5mm以下である。また、テーパー開始部17aの高さ(植毛台11の表面からの高さ)は、好ましくは5mm以上であり、より好ましくは5.5mm以上であり、さらに好ましくは6mm以上であり、テーパー毛束15aがしなりながら清掃性能を発揮する観点から、好ましくは9mm以下であり、より好ましくは8.5mm以下であり、さらに好ましくは8mm以下である。
ここで、支持毛束15b,15cは、テーパー毛束15aよりも例えば0.5〜4mm低い植毛高さとなるように植設されており、テーパー毛束15aよりも1〜3mm低い植毛高さとなるように植設されていることが好ましい。これによって、テーパー毛束15aは、支持毛束15b、15cに支持させつつ、テーパーブリッスル16aの先端を歯の表面に接触させやすくすることが可能になる。
また、本実施形態では、支持毛束15b,15cとして、植毛高さが高い長支持毛束15bと、植毛高さが低い短支持毛束15cとが用いられている。長支持毛束15bは、植毛台11の植毛面11aに形成された複数の長支持植毛穴14bに、各々植設されるようになっており、短支持毛束15cは、植毛台11の植毛面11aに形成された複数の短支持植毛穴14cに、各々植設されるようになっている。長支持毛束15bと短支持毛束15cとの植毛高さの差は、例えば0.5〜3mmとすることができ、好ましくは0.5〜2mmとすることができる。植毛高さが高い長支持毛束15bと、植毛高さが低い短支持毛束15cとによって支持毛束15b,15cを構成することにより、長支持毛束15bの先端によるブラシ面と短支持毛束15c先端によるブラシ面とによって同時にブラッシング圧を支えることになるのを抑制して、歯列の様々な凸凹にフィットしやすくすることが可能になる。
さらに、本実施形態では、長支持毛束15bが植設される複数の長支持植毛穴14bは、植毛台11の植毛面11aの外周部分に配置されており、短支持毛束15cが植設される複数の短支持植毛穴14cは、植毛台11の植毛面11aの外周部分によって囲まれる内側領域に配置されている。これによって、複数の長支持毛束15bは、植毛台11の外周部分に植設され、複数の短支持毛束15cは、外周部分に囲まれる植毛台11の内側領域に植設されていることになる。複数の長支持毛束15bが植毛台11の外周部分に植設され、複数の短支持毛束15cが植毛台11の内側領域に植設されていることにより、前歯の裏側や奥歯の奥にブリッスル16a,16b,16cを届きやすくすることが可能になるとともに、ブラシ面の凹んだ内側領域にハミガキ剤を保持しやすくすることが可能になる。
さらにまた、本実施形態では、長支持毛束15bを形成する長支持ブリッスル16bや、短支持毛束15cを形成する短支持ブリッスル16cは、毛先の高さがばらついた状態で植設されている。毛先の高さがばらついた状態とは、最も高いブリッスルの毛先と最も低いブリッスルの毛先が、好ましくは3mm以内の高さの相違で高さが異なっている状態であり、より好ましくは2mm以内の高さの相違で高さが異なっている状態である。長支持ブリッスル16bや短支持ブリッスル16cが、毛先の高さがばらついた状態で植設されていることにより、複数のブリッスル16b,16cの先端からなるブラシ面で同時にブラッシング圧を支えることになるのを抑制して、歯間への浸入性を向上させ、歯の曲面への追随性を向上させることが可能になる。
本実施形態では、各々の植毛穴14a,14b,14cに毛束15a,15b,15cを植設する方法としては、公知の各種の植毛方法を採用することができる。例えば、(1)毛束を平線で2つ折りにして打ち込む方法、(2)毛束の片端部を加熱して溶融塊を形成した後、その溶融塊を配置した金型内に溶融樹脂を注入して植毛台を射出形成する方法、(3)植毛孔(貫通孔)を有する植毛基部の該植毛孔に毛束を挿入する挿入工程、該植毛孔から突出する毛束の片端部を加熱して溶融塊を形成する熱加工工程、及び該溶融塊を被覆する被覆工程を経て、毛束が植設された状態の植毛台や歯ブラシを得る方法等を用いることができる。
そして、本実施形態では、テーパー毛束15aが植設されるテーパー植毛穴14aの植毛台11の表面(植毛面11a)における面積の和の、全ての植毛穴14a,14b,14cの植毛台11の表面(植毛面11a)における面積の総和に対する割合(テーパー毛束占有率)は20%以上となっており、かつ、各々のテーパー毛束15aの周囲に隣接する、テーパー毛束15a及び支持毛束15b,15cの数の総和に対する、各々のテーパー毛束15aの周囲に隣接する、支持毛束15b,15cの数の総和の割合(テーパー毛束分散率)が、60%以上となるように、テーパー毛束15aが分散して植設されている。
ここで、テーパー毛束占有率は、歯の表面に存在する周波条のような細かい凹凸溝等にテーパーブリッスルの毛先部分を効率よく入り込ませて清掃性能を高める観点から、20%以上であり、好ましくは22.5%以上である。またテーパー毛束占有率は、テーパー毛束分散率や、植毛穴14a,14b,14cの大きさのバランス等の観点から、好ましくは60%以下であり、より好ましくは55%以下であり、さらに好ましくは45%以下である。
テーパー毛束分散率は、テーパ毛束15aを支持毛束15b,15cによって効果的に支持できるようにする観点から、60%以上であり、好ましくは65%以上であり、さらに好ましくは68%以上である。またテーパー毛束分散率は、100%以下であり、歯ブラシの設計性の観点から、好ましくは85%以下である。
具体的には、本実施形態では、植毛台11の植毛面11aに設けられた植毛穴14a,14b,14cの全数は、合計45個となっており、このうちのテーパー植毛穴14aの数は18個となっている。また植毛穴14a,14b,14cは、同様の開口面積で、植毛台11の表面(植毛面11a)に開口している。したがって、植毛穴14a,14b,14cの全ての面積の総和に対する、テーパー植毛穴14aの面積の総和の割合(18×(植毛穴の面積−平線の面積))/(45×(植毛穴の面積−平線の面積))であるテーパー毛束占有率は、40%であることから、テーパー植毛穴14aの面積の和は、植毛穴14a,14b,14cの全植毛穴の面積の総和に対して20%以上となっている。なお、植毛穴の面積とは、植毛台11の表面(植毛面11a)における植毛穴の面積であり、平線を用いて植毛している場合には、植毛穴の面積から平線の面積を削除して植毛穴の面積とする。
また、図4(a)に示す本実施形態の歯ブラシ10の場合は、各々のテーパー毛束15aが植設されるテーパー植毛穴14a(数字が書き込まれた丸参照)の周囲に隣接する、テーパー植毛穴14a及び支持毛束15b,15cが植設される支持植毛穴14b、14cの数の総和は、108個となっており、したがって、各々のテーパー毛束15aの周囲に隣接する、テーパー毛束15a及び支持毛束15b,15cの数の総和もまた、108束となっている。
ここで、植毛穴14a,14b,14cが千鳥状に配置されている場合、各々のテーパー植毛穴14aの周囲を囲んで隣接する植毛穴14a,14b,14cの数は、通常は各々6個となるが、テーパー植毛穴14aが植毛台11の外周部分に配置されていると、テーパー植毛穴14aの外側の周囲には、隣接する植毛穴14a,14b,14cが存在しないことになる。このため、外周部分のテーパー植毛穴14aの外側に隣接させて、仮想のテーパー植毛穴19(点線の丸参照)を配置した上で、これらの外周部分のテーパー植毛穴14aの外側に隣接する仮想の植毛穴19を含めた数として、各々のテーパー毛束15aの周囲に隣接する、テーパー植毛穴14a,19及び支持植毛穴14b,14cの数の総和を算出するようになっている。なお、図4(a)において、テーパー植毛穴14aを示す丸に書き込まれた数字は、各々のテーパー毛束15aの周囲に隣接するテーパー植毛穴14a,19及び支持植毛穴14b、14cの数を表している。
一方、本実施形態では、図4(b)に示すように、各々のテーパー毛束15aが植設されるテーパー植毛穴14a(数字が書き込まれた丸参照)の周囲に隣接する、支持毛束15b,15cが植設される支持植毛穴14b、14cの数の総和は、76個となっており、したがって、各々のテーパー毛束15aの周囲に隣接する、支持毛束15b,15cの数の総和もまた、76束となっている。
ここで、仮想のテーパー植毛穴19に植設される毛束は無視して、各々のテーパー毛束15aの周囲に隣接する、支持毛束15b,15cの数の総和を算出することができる。なお、図4(b)において、テーパー植毛穴14aを示す丸に書き込まれた数字は、各々のテーパー毛束15aの周囲に隣接する支持植毛穴14b、14cの数を表している。
したがって、本実施形態では、各々のテーパー毛束15aの周囲に隣接する、テーパー毛束15a及び支持毛束15b,15cの数の総和に対する、各々のテーパー毛束15aの周囲に隣接する、支持毛束15b,15cの数の総和の割合(76/108)は、70%であることから、各々のテーパー毛束15aの周囲に隣接する、テーパー毛束15a及び支持毛束15b,15cの数の総和に対する、各々のテーパー毛束15aの周囲に隣接する、支持毛束15b,15cの数の総和の割合であるテーパー毛束分散率は、60%以上となるように、テーパー毛束15aが分散して植設されていることになる。
そして、上述の構成を備える本実施形態の歯ブラシ10によれば、テーパー毛束15aを形成するテーパーブリッスル16aのテーパー形状部分17が撓むのを抑制して、先細の毛先部分を凹凸溝に入り込み易くすることで、歯の表面の細かい凹凸溝に溜まった汚れを効果的に除去することが可能になる。
すなわち、本実施形態の歯ブラシ10によれば、支持毛束15b,15cは、テーパー毛束15aよりも低い植毛高さで植設されていると共に、支持毛束15b,15cを形成する支持ブリッスル16b,16cは、植毛穴14b,14c側の基端部から、テーパー毛束15aのテーパーブリッスル16aのテーパー開始部17aを超える高さまで、同様の断面積を有する柱状の形状を備えるブリッスルとなっている。またテーパー毛束15aが植設されるテーパー植毛穴14aの植毛台11の表面における面積の和は、全ての植毛穴14a,14b,14cの植毛台11の表面における面積の総和の20%以上となっており、かつ、各々のテーパー毛束15aの周囲に隣接する、テーパー毛束15a及び支持毛束15b,15cの数の総和に対する、各々のテーパー毛束15aの周囲に隣接する、支持毛束15b,15cの数の総和の割合が、60%以上となるように、テーパー毛束15aが分散して植設されている。
したがって、本実施形態の歯ブラシ10によれば、テーパー毛束15aの分散率が高くなっていることで、言い換えると、テーパー毛束15aが支持毛束15b,15cと隣接している割合が高くなっていることで、歯ブラシ10による歯の表面の刷掃時に、図6に示すように、支持毛束15b,15cがテーパー毛束15aを逃がさないように抱え込むことが可能になる。また、テーパー毛束15aの植毛高さが支持毛束15b,15cの植毛高さよりも高くなっていることで、テーパーブリッスル16aのテーパー形状部分17の先細の毛先部分のみを、テーパー毛束15aが抱え込まれた支持毛束15b,15cの上端部から突出させた状態で、歯の表面を刷掃することが可能になる。これによって、テーパーブリッスル16aのテーパー形状部分17が撓むのを効果的に抑制して、テーパー形状部分17の先細の毛先部分を歯の表面にしっかりと当てることが可能になって、凹凸溝の奥まで毛先を届かせることで、歯の表面の細かい凹凸溝に溜まった汚れをしっかりと除去することが可能になる。さらに、テーパーブリッスル16aがまとまりやすいため、1本1本ではかき取る力の弱いテーパーブリッスル16aでも、束になることで、歯の表面のミクロな凸凹溝の汚れをしっかり落とすことが可能になる。
一方、従来のテーパー毛束を用いた歯ブラシのように、テーパー毛束の分散率が低いと、テーパーブリッスルを抱えてくれる支持毛束が近くに無いため、テーパーブリッスルのテーパー形状部分が歯の表面に当たりにくくなり、脇に逃げてしまい易くなる。また、たとえ逃げなくても、1本1本のテーパーブリッスルがばらつくため、ブラッシング圧をテーパーブリッスルの先端まで伝えにくくなり、テーパーブリッスルが束になって歯の表面のミクロな凸凹溝に入りこみにくくなるので、ミクロな凸凹溝の汚れを落とし切れず、磨き残しを生じ易くなる。
また、本実施形態の歯ブラシ10によれば、テーパー毛束15aやテーパーブリッスル16aの数が適度に多く、かつ、テーパー毛束15aを囲むようにして支持毛束15b,15cが配置されると共に、テーパー毛束15aが分散して配置されている。これによって、テーパー毛束15aと支持毛束15b,15cが交差しながら、一体となってテーパー毛束15aが支持されることになるため、テーパーブリッスル16aが必要以上に広がることを防止し、テーパーブリッスル16aの毛先部分が束となって、歯の表面に存在する、周波条のようなミクロな凹凸溝に溜まった汚れまでを掻き取ることを可能として、刷掃後に歯の表面がツルツルになったという実感を得ることが可能になる。
さらに、本実施形態の歯ブラシ10によれば、テーパー毛束15aの占有率が高い一方で、テーパー毛束15aの分散率が高いことから、歯ブラシ10の使用者は支持毛束15b、15cによる清掃感を実感しながら、テーパーブリッスル15aによってミクロな凸凹溝の汚れを除去できるため、歯ブラシ10による刷掃を初めてから早い時期に、清掃効果を得ることができる。従って、歯ブラシ10の使用者は、歯ブラシが効果的に清掃しているという清掃感と、現実に磨きあがったあとのツルツルした歯の表面を感じるという清掃実効感の両方を感じることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、テーパー毛束や支持毛束が植設される植毛穴は、植毛台に千鳥状に配置されている必要は必ずしも無く、格子状等のその他の形状に配置されていても良い。植毛穴の開口形状は、円形の他、楕円形やトラック円形等のその他の種々の形状であっても良い。支持毛束を形成する支持ブリッスルは、毛先の高さがばらついていなくても良いが、ばらついていることが好ましい。、支持ブリッスルの毛先の加工は、ラウンド形状、フラット形状、ヘラ形状、球状の他、テーパーブリッスル16aのテーパー形状よりも緩い、具体的には1mm以内の高さの範囲のテーパー形状等が挙げられ、ラウンド形状、又は球状に加工されていることが好ましい。テーパーブリッスルや支持ブリッスルの植毛台の表面における基端部の断面形状は、円形、矩形、楕円等であっても良いが、好ましくは円形である。
以下、実施例及び比較例により、本発明の歯ブラシをさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例及び比較例の記載によって何ら制限されるものではない。
〔実施例1〜10の歯ブラシ〕
図6(a)に示すような形態で、植毛台に配置された植毛穴にテーパー毛束、長支持毛束、及び短支持毛束が植設された、上記実施形態の歯ブラシ10と同様の構成を備える歯ブラシを、実施例1の歯ブラシとした。なお、図6(a)〜(f)及び図7(a)〜(d)の上段部の要部略示平面図において、二重丸は、テーパー毛束が植設されるテーパー植毛穴を、白丸は、長支持毛束が植設される長支持植毛穴を、×を描いた丸は、短支持毛束が植設される短支持植毛穴を各々示している。
図6(b)に示すような形態で、植毛台に配置された植毛穴にテーパー毛束、長支持毛束、及び短支持毛束が植設された歯ブラシを、実施例2の歯ブラシとした。図6(c)に示すような形態で、植毛台に配置された植毛穴にテーパー毛束、及び支持毛束が植設された歯ブラシを、実施例3の歯ブラシとした。実施例3の歯ブラシでは、支持毛束として、長支持毛束のみが植設されている。図6(d)に示すような形態で、植毛台に配置された植毛穴にテーパー毛束、及び支持毛束が植設された歯ブラシを実施例4の歯ブラシとした。実施例4の歯ブラシでは、支持毛束として、長支持毛束のみが植設されている。図6(e)に示すような形態で、植毛台に配置された植毛穴にテーパー毛束、長支持毛束、及び短支持毛束が植設された歯ブラシを実施例5の歯ブラシとした。図6(f)に示すような形態で、植毛台に配置された植毛穴にテーパー毛束、長支持毛束、及び短支持毛束が植設された歯ブラシを実施例6の歯ブラシとした。
図7(a)に示すような形態で、植毛台に配置された植毛穴にテーパー毛束、長支持毛束、及び短支持毛束が植設された歯ブラシを、実施例7の歯ブラシとした。図7(b)に示すような形態で、植毛台に配置された植毛穴にテーパー毛束、長支持毛束、及び短支持毛束が植設された歯ブラシを実施例8の歯ブラシとした。図7(c)に示すような形態で、植毛台に配置された植毛穴にテーパー毛束、長支持毛束、及び短支持毛束が植設された歯ブラシを実施例9の歯ブラシとした。図7(d)に示すような形態で、植毛台に配置された植毛穴にテーパー毛束、及び支持毛束が植設された歯ブラシを実施例10の歯ブラシとした。実施例10の歯ブラシでは、支持毛束として、長支持毛束のみが植設されている。
実施例1〜10の歯ブラシにおける、テーパー毛束、長支持毛束、及び短支持毛束の、ブリッスルの太さ、ブリッスルの植毛高さ、毛先形状、毛束の植毛面積を、各々表1に示す。また、実施例1〜10の歯ブラシについて、上述の実施形態の歯ブラシ10と同様の方法にしたがって、テーパー毛束が植設される植毛穴の数の、植毛穴の全数に対する割合を算出すると共に、各々のテーパー毛束の周囲に隣接する、テーパー毛束及び支持毛束の数の総和に対する、各々のテーパー毛束の周囲に隣接する、支持毛束の数の総和の割合を算出した。算出結果を各々表1に示す。
なお、表1に示された毛の長さは最大長さであり、毛先形状に「ばらつき有」と記載している場合は、最大長さから2mmの範囲内で歯ブラシの高さをばらつかせている。また、テーパーブリッスルのテーパー部分は、先端から6〜8mmである。
〔比較例1〜5の歯ブラシ〕
図8(a)に示すような形態で、植毛台に配置された植毛穴に支持毛束が植設された歯ブラシを、比較例1の歯ブラシとした。図8(b)に示すような形態で、植毛台に配置された植毛穴にテーパー毛束が植設された歯ブラシを、比較例2の歯ブラシとした。図8(c)に示すような形態で、植毛台に配置された植毛穴にセミテーパー毛束が植設された歯ブラシを、比較例3の歯ブラシとした。図8(d)に示すような形態で、植毛台に配置された植毛穴に支持毛束が植設された歯ブラシを比較例4の歯ブラシとした。図8(e)に示すような形態で、植毛台に配置された植毛穴にテーパー毛束、及び支持毛束が植設された歯ブラシを比較例5の歯ブラシとした。なお、図8(a)〜(e)の上段の要部略示平面図において、二重丸は、テーパー毛束又はセミテーパー毛束が植設されるテーパー植毛穴を、白丸は、支持毛束が植設される支持植毛穴を各々示している。
比較例1〜5の歯ブラシにおける、テーパー毛束、セミテーパー毛束、及び支持毛束の、ブリッスルの太さ、ブリッスルの植毛高さ、毛先形状、毛束の植毛面積を、各々表1に示す。また、比較例2、3、5の歯ブラシについて、テーパー毛束が植設される植毛穴の数の、植毛穴の全数に対する割合を算出すると共に、各々のテーパー毛束の周囲に隣接する、テーパー毛束及び支持毛束の数の総和に対する、各々のテーパー毛束の周囲に隣接する、支持毛束の数の総和の割合を算出した。算出結果を各々表1に示す。
なお、比較例5の歯ブラシにおいては、テーパー毛束や支持毛束が植設される植毛穴は、千鳥状に配置されておらず、格子状に配置されている。このため、図9(a)に示すように、外周部分のテーパー毛束が植設される植毛穴(テーパー植毛穴)の外側に隣接させて、仮想のテーパー植毛穴(点線の丸参照)を配置した上で、これらの外周部分のテーパー植毛穴の外側に隣接する仮想のテーパー-植毛穴を含めた数として、各々のテーパー植毛穴の周囲に隣接する、テーパー植毛穴及び支持植毛穴の数の総和を算出した。また図9(b)に示すように、仮想のテーパー植毛穴に植設される毛束は無視して、各々のテーパー毛束の周囲に隣接する、支持毛束の数の総和を算出した。
また、例えば図10(a)に示す、テーパー植毛穴が外寄りに配置されている、比較例5の歯ブラシ(テーパー植毛穴が内寄りに配置されている。)と同様の歯ブラシにおいても、外周部分のテーパー毛束が植設される植毛穴(テーパー植毛穴)の外側に隣接させて、仮想のテーパー植毛穴(点線の丸参照)を配置した上で、これらの外周部分のテーパー植毛穴の外側に隣接する仮想のテーパー植毛穴を含めた数として、各々のテーパー植毛穴の周囲に隣接する、テーパー植毛穴及び支持植毛穴の数の総和を算出することが可能である。また図10(b)に示すように、仮想のテーパー植毛穴に植設される毛束は無視して、各々のテーパー毛束の周囲に隣接する、支持毛束の数の総和を算出することが可能である。
さらに、例えば図11(a)に示す、千鳥状の配置と格子状の配置が複合した形態で植毛穴が配置されている歯ブラシにおいては、図11(a)に示すように、外周部分のテーパー毛束が植設されるテーパー植毛穴の外側に隣接させて、仮想のテーパー植毛穴(点線の丸参照)を配置した上で、これらの外周部分のテーパー植毛穴の外側に隣接する仮想のテーパー-植毛穴を含めた数として、各々のテーパー植毛穴の周囲に隣接する、テーパー植毛穴及び支持植毛穴の数の総和を算出することが可能である。また図11(b)に示すように、仮想のテーパー植毛穴に植設される毛束は無視して、各々のテーパー毛束の周囲に隣接する、支持毛束の数の総和を算出することが可能である。
〔歯の表面の細かい凹凸溝の汚れ落し効果(汚れ除去率)の評価試験〕
図12(a)に示すような装置を使用して、実施例1〜6、10の歯ブラシ、及び比較例1〜5の歯ブラシについて、歯の表面の細かい凹凸溝の汚れ落し効果(汚れ除去率)の評価試験を行った。
(1)歯の表面の細かい凹凸溝モデル
板状の基材(ステンレス製、厚み3mm、縦15mm、横15mm)の片面に、幅100μm×深さ100μmの縦方向に延びる直線状の溝状凹部54を、隣り合う溝状凹部54の間隙を0.62mmとして複数形成し、歯の表面の細かい凹凸溝モデル55とした(図12(b)参照)。
(2)凹凸溝モデルを用いた汚れ除去試験
得られた凹凸溝モデル55を用い、形成された溝状凹部54にモデル汚れ物質53としてアイライナー(サナ スーパークイックアイライナーEX 01、常盤製薬工業社製)を擦り込んだ。次に、溝状凹部54以外の表面に残ったモデル汚れ物質53、及び溝状凹部54から表面よりも突出しているモデル汚れ物質53をヘラで擦り除去した(図12(b)参照)。次に、図12に示す試験台にアルミ板(30mm×80mm×5mm)56を配置し、かかるアルミ板56の中央に設けた15mm×15mm×3mmの正方形の凹部に凹凸溝モデル55を嵌め込んで固定し、さらに、モデル汚れ物質53が埋め込まれている凹凸溝モデル55の表面に歯磨剤(クリアクリーンEX、花王社製)を2g塗布し、各歯ブラシにより、以下の条件下で刷掃した。なお、アルミ板56の中央の正方形の凹部は、正方形の角部の外側に、試験板を取り出し容易にするための凹部が設けられている。
刷掃条件:荷重200gと400gについて行い、速度120rpm、振幅30mm、刷掃回数往復30回
刷掃方向:溝状凹部が延びる縦方向に対して垂直な方向
(3)汚れ除去率の評価
凹凸溝モデル55をアルミ板56から取り出し、凹凸溝モデル55の表面に残留している歯磨剤を水で洗い流し、凹凸溝モデル55の表面をコピー用紙(PPC用紙A4サイズ、コクヨ)の表面にスライドさせて、表面の残った歯磨剤を除去し、汚れ除去試験後の凹凸溝モデル55を得た(図12(b)参照)。次に、汚れ除去試験後の凹凸溝モデル55を、3Dマイクロスコープ(KEYENCE VR3100 3D Measurement Macroscope)で測定し、溝状凹部54に残ったモデル汚れ物質53の3D映像により、溝状凹部54に残ったモデル汚れ物質53を含めた凹凸溝モデル55の全体の体積を得ることによって、以下の式から汚れ除去率を求めた(図12(b)参照)。
汚れ除去率=(溝状凹部54をモデル汚れ物質53で埋めた状態の刷掃前の凹凸溝モデル55の全体積−刷掃後の溝状凹部54に残ったモデル汚れ物質53を含めた凹凸溝モデル55の体積)/溝状凹部54の体積=モデル汚れ物質の除去量/溝状凹部54の体積
実施例1〜6、10の歯ブラシ、及び比較例1〜5の歯ブラシについて得られた、汚れ除去率の試験結果を、表2の上段の欄に示す。また、比較例3の歯ブラシによる汚れ除去率を1.0としたときの、実施例1〜6、10の歯ブラシ、及び比較例1,2,4,5の歯ブラシによる汚れ除去率の割合を、表2の下段の欄に示す。
表2に示すように、本発明に係る実施例1〜4の歯ブラシは、荷重が軽い200g、及び荷重が重い400gのいずれにおいても、比較例1〜5の歯ブラシと比較して、細かい凹凸溝に対する高い汚れ除去性能が認められた。荷重が軽い場合と荷重が重い場合を平均すると、あるいは荷重が軽い場合と荷重が重い場合を総合すると、実施例1〜6、10の歯ブラシは、比較例1〜5の歯ブラシに比べて高い汚れ除去性能が認められることから、本発明に係る実施例1〜6、10の歯ブラシは、現実の様々なブラッシング圧で行われるブラッシングにおいても、歯の表面のミクロな凹凸溝に対して、高い汚れ除去性能を示すことが確認できる。
表2に示すように、本発明に係る実施例1〜6の歯ブラシは、荷重が軽い200g、及び荷重が重い400gのいずれにおいても、比較例1〜5の歯ブラシと比較して、細かい凹凸溝に対する高い汚れ除去性能が認められた。荷重が軽い場合と荷重が重い場合を平均すると、さらに比較例1〜5の歯ブラシに比べて高い汚れ除去性能が認められることから、本発明に係る実施例1〜6の歯ブラシは、現実の様々なブラッシング圧で行われるブラッシングにおいても、歯の表面のミクロな凹凸溝に対して、高い汚れ除去性能を示すことが確認できる。