図1〜図3に示す本発明の好ましい一実施形態に係る歯ブラシ10は、把持部12と植毛台11とこれらを連結する首部13とからなる歯ブラシ本体の植毛台11に設けられた複数の植毛穴14a,14bに、複数本のブリッスル16a,16bを束ねて形成された毛束(タフト)15a,15bを、各々植設(植毛)することによって構成される。本実施形態の歯ブラシ10は、複数本の毛束15a,15bの先端によるブラシ面を、歯列に沿った形状となるようにすることに加えて、テーパーブリッスル16aを撓み難くすることにより、歯ブラシ10を大きなストロークで歯列に沿って動かして、複数の歯をまとめ磨きする場合でも、歯面部、及び歯間部や歯と歯茎の境目部分に、磨き残しが生じるのを効果的に抑制できるようにする機能を備えている。
そして、本実施形態の歯ブラシ10は、先端に向かって断面積が減少するテーパー形状部分を先端側に備える複数本のテーパーブリッスル16aと、テーパーブリッスル16aよりも低い毛丈の複数本の支持ブリッスル16bとが、植毛台11に設けられた複数の植毛穴14a,14b(図3参照)に植毛されている。支持ブリッスル16bは、植毛穴14b側の基端部から、テーパーブリッスル16aのテーパー開始部17aを超える高さまで、柱状の形状を備えるブリッスルとなっており(図2参照)、テーパーブリッスル16aは、植毛台11に分散配置されて、支持ブリッスル16bに混在した状態で植毛されている(図3参照)。支持ブリッスル16bの先端を連ねた仮想の支持ブラシ面18bが、植毛台11の短手方向Y(図3参照)から見て、植毛台11の長手方向Xの中央部分に谷部が形成された凹形状を有している(図2参照)。
また、本実施形態では、好ましくはテーパーブリッスル16aの先端を連ねた仮想のテーパーブラシ面18aもまた、植毛台11の短手方向Yから見て、植毛台11の長手方向Xの中央部分に谷部を備える凹形状を有している。
さらに、本実施形態では、テーパーブリッスル16aを束ねて形成された複数のテーパー毛束15aと、支持ブリッスル16bを束ねて形成された複数の支持毛束15bとが、別々の毛束として、植毛台11に設けられた複数の植毛穴14a,14bに各々植設されていることで、テーパーブリッスル16aが、植毛台11に分散配置されて、支持ブリッスル16bに混在した状態で植毛されている(図3参照)。
さらにまた、本実施形態では、植毛台11の長手方向Xの両側の端部から中央部分に向けて、支持ブリッスル16bの毛丈が低くなっている(図2参照)。これによって、支持ブリッスル16bの先端を含む仮想の支持ブラシ面18bが、植毛台11の短手方向Yから見て、植毛台11の長手方向Xの中央部分に谷部が形成された凹形状を有している。さらに本実施形態のように、植毛台11の長手方向Xの両側の端部から中央部分に向けて、テーパーブリッスル16aについても、毛丈が低くなっていることが好ましい(図2参照)。これによって、仮想の支持ブラシ面18bとともに仮想のテーパー16aの先端を含む仮想のテーパーブラシ面18aもまた、植毛台11の短手方向Yから見て、植毛台11の長手方向Xの中央部分に谷部を備える凹形状を有している。
また、本実施形態では、植毛台11の長手方向Xの先端側の先端側植毛領域20に植毛されたブリッスル16a,16bは、長手方向Xの基端側の基端側植毛領域21に植毛されたブリッスル16a,16bに対して、傾倒角度θで基端側に傾いて植毛されている(図2参照)。これによって、本実施形態では、仮想のテーパーブラシ面18a及び仮想の支持ブラシ面18bが、植毛台11の短手方向Yから見て、植毛台11の長手方向Xの中央部分に谷部が形成された凹形状を有している。
さらに、本実施形態では、植毛台11の長手方向Xの先端側の先端側植毛領域20に植毛されたブリッスル16a,16bは、好ましくは植毛台11の長手方向Xの先端側の先端側植毛領域20が、長手方向Xの基端側の基端側植毛領域21に対して、基端側に傾斜角度θ’で傾斜して設けられていることにより、長手方向Xの基端側の基端側植毛領域21に植毛されたブリッスル16a,16bに対して、傾斜角度θ’と同様の傾倒角度θで基端側に傾いて植毛されている。
本実施形態では、歯ブラシ本体は、例えばポリプロピレン、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合体等の合成樹脂を用いて、公知の成形方法により成形することができる。歯ブラシ本体の先端部分を構成する植毛台11は、好ましくは、平面視においてトラック円形状の植毛面11aを備えており、植毛面11aに開口して、毛束15a,15bが植設される複数の植毛穴14a,14bが形成されている(図3参照)。
また、本実施形態では、植毛台11の植毛面11aは、長手方向Xの中央部分を挟んで、先端側と基端側が折れ曲がった形状を備えており、折れ曲がった部分よりも先端側が先端側植毛領域20、折れ曲がった部分よりも基端側が基端側植毛領域21となっている。これによって、先端側植毛領域20は、基端側植毛領域21に対して、傾斜角度θ’(折曲り角度)で基端側に傾斜して設けられる。またこれによって、先端側植毛領域20及び基端側植毛領域21の各々に、後述するテーパーブリッスル16aを束ねて形成されたテーパー毛束15aや、支持ブリッスル16bを束ねて形成された支持毛束15bを、これらの植毛領域20,21の植毛面11aに対して垂直に植設することで、先端側植毛領域20に植毛されたブリッスル16a,16bを、基端側植毛領域21に植毛されたブリッスル16a,16bに対して、傾斜角度θ’と同様の傾倒角度θで基端側に傾けて植毛することが可能になる。
本実施形態では、複数の植毛穴14a,14bは、図3に示すように、先端側植毛領域20及び基端側植毛領域21の各々の領域において、植毛台11の長手方向Xに所定の中心間ピッチで、各々直線状に連設して、植毛台11の幅方向Yに複数列(本実施形態では7列)に配置されて設けられている。複数の植毛穴14a,14bは、テーパー毛束15a(テーパーブリッスル16a)を分散して配置しやすくし、且つテーパー毛束15a(テーパーブリッスル16a)があらゆる方向において支持毛束14b(支持ブリッスル16b)により支持されることで清掃性能を向上させる観点から、幅方向に隣接する各一対の穴列において、植毛台11の長手方向Xに半ピッチ分ずれて設けられていることが好ましく、千鳥状に配置されていることが好ましい。
複数の植毛穴14a,14bは、本実施形態では、例えば0.8〜1.6mm程度の直径を有する、円形の植毛穴となっており、先端側植毛領域20及び基端側植毛領域21の各々の領域において、植毛台11の長手方向Xに例えば1.5〜3.0mm程度の等しい中心間ピッチで配置されていると共に、植毛台11の幅方向に隣接する各一対の穴列が、幅方向に例えば2.5〜4.0mm程度の等しい中心間ピッチで配置されている。また、ブラッシングする際に、テーパー毛束15aが支持毛束15bと一体になり、テーパー毛束15aが支持毛束15bに支持されやすくなる観点から、テーパー毛束15aが植設される植毛穴14aと支持毛束15bが植設される植毛穴14bの外縁間の最短距離は、好ましくは1.5mm以下であり、より好ましくは1.2mm以下である。植毛穴14aと植毛穴14bの外縁間の最短距離は、0.5mm以上であってもよく、0.6mm以上であってもよく、0.8mm以上であってもよい。また、同様の観点から、植毛穴14aと植毛穴14bの外縁間の最短距離は、好ましくは0.5〜1.5mmであり、より好ましくは0.6〜1.2mmであり、さらに好ましくは0.8〜1.2mmである。
また、本実施形態では、先端側植毛領域20において、植毛台11の幅方向に7列に対称に配置された穴列のうち、中央の第1穴列は、5箇所の植毛穴14a,14bによって構成されており、第1穴列の植毛台11の長手方向Xの先端側から1番目及び4番目の植毛穴は、テーパー毛束15aが植設されるテーパー植毛穴14a(二重丸参照)となっている。先端側から2番目、3番目、及び5番目の植毛穴は、支持毛束15bが植設される支持植毛穴14a(白丸参照)となっている。
先端側植毛領域20において、中央の第1穴列に隣接する、これの両側の一対の第2穴列は、各々5箇所の植毛穴14a,14bによって構成されており、第2穴列の植毛台11の長手方向Xの先端側から2番目及び5番目の植毛穴は、テーパー毛束15aが植設されるテーパー植毛穴14aとなっている。先端側から1番目、3番目、及び4番目の植毛穴は、支持毛束15bが植設される支持植毛穴14aとなっている。
先端側植毛領域20において、一対の第2穴列の外側に各々隣接する、一対の第3穴列は、各々4箇所の植毛穴14a,14bによって構成されており、第3穴列の植毛台11の長手方向Xの先端側から3番目の植毛穴は、テーパー毛束15aが植設されるテーパー植毛穴14aとなっている。先端側から1番目、2番目、及び4番目の植毛穴は、支持毛束15bが植設される支持植毛穴14aとなっている。
先端側植毛領域20において、一対の第3穴列のさらに外側に各々隣接する、最外側列である一対の第4穴列は、各々3箇所の植毛穴14a,14bによって構成されており、第4穴列の植毛台11の長手方向Xの先端側から3番目の植毛穴は、テーパー毛束15aが植設されるテーパー植毛穴14aとなっている。先端側から1番目及び2番目の植毛穴は、支持毛束15bが植設される支持植毛穴14aとなっている。
基端側植毛領域21において、植毛台11の幅方向に7列に対称に配置された穴列のうち、中央の第1穴列は、5箇所の植毛穴14a,14bによって構成されており、第1穴列の植毛台11の長手方向Xの基端側から2番目及び5番目の植毛穴は、テーパー毛束15aが植設されるテーパー植毛穴14a(二重丸参照)となっている。基端側から1番目、3番目、及び4番目の植毛穴は、支持毛束15bが植設される支持植毛穴14a(白丸参照)となっている。
基端側植毛領域21において、中央の第1穴列に隣接する、これの両側の一対の第2穴列は、各々5箇所の植毛穴14a,14bによって構成されており、第2穴列の植毛台11の長手方向Xの基端側から1番目及び4番目の植毛穴は、テーパー毛束15aが植設されるテーパー植毛穴14aとなっている。基端側から2番目、3番目、及び5番目の植毛穴は、支持毛束15bが植設される支持植毛穴14aとなっている。
基端側植毛領域21において、一対の第2穴列の外側に各々隣接する、一対の第3穴列は、各々5箇所の植毛穴14a,14bによって構成されており、第3穴列の植毛台11の長手方向Xの基端側から2番目及び5番目の植毛穴は、テーパー毛束15aが植設されるテーパー植毛穴14aとなっている。基端側から1番目、3番目、及び4番目の植毛穴は、支持毛束15bが植設される支持植毛穴14aとなっている。
先端側植毛領域20において、一対の第3穴列のさらに外側に各々隣接する、最外側列である一対の第4穴列は、各々3箇所の植毛穴14a,14bによって構成されており、第4穴列の植毛台11の長手方向Xの基端側から2番目の植毛穴は、テーパー毛束15aが植設されるテーパー植毛穴14aとなっている。先端側から1番目及び3番目の植毛穴は、支持毛束15bが植設される支持植毛穴14aとなっている。
テーパー植毛穴14aに植設されるテーパー毛束15aは、例えば8〜60本程度、好ましくは20〜60本程度の複数本のテーパーブリッスル16aを束ねて形成される。テーパーブリッスル16aは、先端に向かって断面積が減少するテーパー形状部分17を先端側に備えていることで、毛先部分が先細りに形成されている。テーパーブリッスル16aは、好ましくは合成樹脂からなる。テーパーブリッスル16aを形成する合成樹脂としては、ブリッスルに用いられている公知の各種のものを、特に制限なく用いることができ、例えば、ナイロン(登録商標)等のポリアミド、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリオレフィン等が挙げられ、好ましくはポリブチレンテレフタレートを用いることができる。
テーパーブリッスル16aは、好ましくは円形の断面形状を有しており、テーパーブリッスル16aのテーパー形状部分17を除いた部分(円柱状の部分)の直径は、例えば130〜230μmとなっており、好ましくは150〜200μmとなっている。テーパーブリッスル16aのテーパー形状部分17は、ブリッスルの先端部分を公知の研磨装置を用いて研磨することでテーパー状に先鋭加工したり、ブリッスルの先端部分を公知の溶解溶媒中に所定の深さまで浸漬することでテーパー状に先鋭加工したりすることによって、容易に設けることができる。テーパーブリッスル16aは、好適にはブリッスルの先端部分を溶解溶媒に浸漬して加工して設ける。テーパーブリッスル16aにおけるテーパー形状部分17の長さは、5〜10mmとなっていることが好ましく、6〜8mmとなっていることがさらに好ましい。
また、テーパー毛束15aは、後述する公知の植毛方法によって、植毛台11の植毛面11aからテーパーブリッスル16の先端までの高さ(植毛高さ)が、各々の毛束15ごとの平均高さとして、例えば10〜14mmとなるようにテーパー植毛穴14aに植設することができ、11〜13mmとなるように植設することが好ましい。テーパー毛束15aは、毛束15aごとのブラッシング圧のばらつきを防止する観点から、植毛台11の植毛面11aからテーパーブリッスル16aの先端までの高さの毛束15aごとの平均高さが、当該毛束15aごとの平均高さの最小値と最大値との差が3mm以下となるように植設されていることが好ましく、最小値と最大値との差が2.5mm以下となるように植設されていることがより好ましく、最小値と最大値との差が2mm以下となるように植設されていることがさらに好ましい。テーパー毛束15aは、テーパーブリッスル16aのテーパー形状部分17が撓むのを防止する観点から、植毛台11の植毛面11aに対して垂直又は略垂直な、90度±10度の角度で立設して植設されていることが好ましい。
本実施形態では、支持植毛穴14bに植設される支持毛束15bは、例えば8〜60本程度の複数本の支持ブリッスル16bを束ねることによって形成される。支持ブリッスル16bは、テーパーブリッスル16aと同様に、好ましくは合成樹脂からなる。支持ブリッスル16bを形成する合成樹脂としては、テーパーブリッスル16aと同様に、ブリッスルに用いられている公知の各種のものを、特に制限なく用いることができ、例えば、ナイロン(登録商標)等のポリアミド、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリオレフィン等が挙げられ、好ましくはナイロンを用いることができる。
支持ブリッスル16bは、好ましくは円形の断面形状を有しており、好ましくは毛先が球状に加工されていることで、先端球状部19を備えている。支持ブリッスル16bの先端球状部19を除いた部分の直径は、例えば130〜230μmとなっており、好ましくは150〜200μmとなっている。すなわち、支持ブリッスル16bは、植毛穴14b側の基端部から、先端部の先端球状部19に至る高さまで、同様の断面積を有する、柱状の形状を備えるブリッスルとなっている。ここで、柱状とは、円柱状、四角柱状、多角柱状等が挙げられ、好ましくは円柱状である。同様の断面積とは、断面積が、植毛台11の表面(植毛面11a)における基端部の断面積に対して、±5%以内の相違に納まる断面積であり、より好ましくは±2%以内の相違に納まる断面積である。
支持ブリッスル16bの先端球状部19は、例えば植毛前にブリッスル一本一本を熱溶融する方法により、毛先を球状に加工することによって、支持ブリッスル16bの先端部に容易に設けることができる。なお、支持ブリッスル16bは、先端球状部19を備える場合には、先端球状部19の近傍の断面積が小さくなる場合もあるが、先端球状部19の近傍まで柱状である(同様の断面積である)ことが好ましく、先端球状部19から2mm離れた部分まで柱状であることが好ましい。支持ブリッスル16bが先端球状部19を備える場合には、テーパーブリッスル16aを十分に支持する観点から、柱状のブリッスルの先端を加工して先端球状部19が形成されたものであることが好ましい。
また、支持毛束15bは、後述する公知の植毛方法によって、テーパー毛束15aよりも低い植毛高さとなるように、植毛台11の植毛面11aに植設されていると共に、先端球状部19が設けられた支持ブリッスル16bの先端が、テーパー毛束15aのテーパーブリッスル16aのテーパー開始部17aを超える高さに配置されるように植設されている。これによって、支持毛束15bを形成する支持ブリッスル16bは、植毛穴14b側の基端部から、テーパー毛束15aのテーパーブリッスル16aのテーパー開始部17aを超える高さまで、柱状の形状を備えるブリッスルとなっている。
支持ブリッスル16bの柱状の形状を備える部分が、テーパー毛束15aのテーパーブリッスル16aのテーパー開始部17aを超える高さは(テーパー開始部17aよりも高い領域の長さは)、テーパー毛束15aを十分に支持しながら、支持毛束15bによる歯面の清掃性能を確保する観点から、好ましくは2.5mm以上であり、より好ましくは3mm以上であり、さらに好ましくは3.5mm以上であり、またテーパー毛束15aによる清掃性能を向上する観点から、好ましくは6.5mm以下であり、より好ましくは6mm以下であり、さらに好ましくは5.5mm以下である。また、テーパー開始部17aの高さ(植毛台11の表面からの高さ)は、好ましくは5mm以上であり、より好ましくは5.5mm以上であり、さらに好ましくは6mm以上であり、テーパー毛束15aがしなりながら清掃性能を発揮する観点から、好ましくは9mm以下であり、より好ましくは8.5mm以下であり、さらに好ましくは8mm以下である。
ここで、支持毛束15bは、テーパー毛束15aよりも例えば0.5〜4mm低い植毛高さとなるように植設されており、テーパー毛束15aよりも1〜3mm低い植毛高さとなるように植設されていることが好ましい。これによって、テーパー毛束15aは、支持毛束15bに支持させつつ、テーパーブリッスル16aの先端を歯の表面に接触させやすくすることが可能になる。
また、本実施形態では、支持毛束15bを形成する支持ブリッスル16bは、好ましくは毛先の高さがばらついた状態で植設されている。毛先の高さがばらついた状態とは、最も高いブリッスルの毛先と最も低いブリッスルの毛先が、好ましくは3mm以内の高さの相違で高さが異なっている状態であり、より好ましくは2mm以内の高さの相違で高さが異なっている状態である。あるいは、支持毛束15bを形成する支持ブリッスル16bは、各々の支持毛束15bごとの支持ブリッスル16bの高さ平均に対して、好ましくは±1.5mmの範囲で、より好ましくは±1mmの範囲で高さが異なるばらついた状態で植設されていることが好ましい。支持ブリッスル16bが、毛先の高さがばらついた状態で植設されていることにより、複数の支持ブリッスル16bの先端からなるブラシ面で同時にブラッシング圧を支えることになるのを抑制して、歯間への浸入性を向上させ、歯の曲面への追随性を向上させることが可能になる。
本実施形態では、各々の植毛穴14a,14bに毛束15a,15bを植設する方法としては、公知の各種の植毛方法を採用することができる。例えば、(1)毛束を平線で2つ折りにして打ち込む方法、(2)毛束の片端部を加熱して溶融塊を形成した後、その溶融塊を配置した金型内に溶融樹脂を注入して植毛台を射出形成する方法、(3)植毛孔(貫通孔)を有する植毛基部の該植毛孔に毛束を挿入する挿入工程、該植毛孔から突出する毛束の片端部を加熱して溶融塊を形成する熱加工工程、及び該溶融塊を被覆する被覆工程を経て、毛束が植設された状態の植毛台や歯ブラシを得る方法等を用いることができる。
そして、本実施形態では、テーパーブリッスル16aを束ねて形成された複数のテーパー毛束15aと、支持ブリッスル16bを束ねて形成された複数の支持毛束15bとが、植毛台11に設けられた複数の植毛穴14a,14bに各々植設されていることで、テーパーブリッスル16aが、植毛台11に分散配置されて、支持ブリッスル16bに混在した状態で植毛されており、かつ、支持ブリッスル16bの先端を連ねた仮想の支持ブラシ面18bが、植毛台11の短手方向Yから見て、植毛台11の長手方向Xの中央部分に谷部が形成された凹形状を有している。好ましくは、仮想のテーパー16aの先端を含む仮想のテーパーブラシ面18aもまた、植毛台11の短手方向Yから見て、植毛台11の長手方向Xの中央部分に谷部を備える凹形状を有している。
また、本実施形態では、テーパーブリッスル16a(テーパー毛束15a)は、外周部分の毛束(テーパー毛束15a及び毛束15b)によって周囲を囲まれる植毛台11の内側領域30(図3参照)に分散配置されて、支持ブリッスル16b(支持毛束15b)の間に混在した状態で植毛されている。
ここで、テーパーブリッスル16aが、植毛台11に分散配置されて、支持ブリッスル16bに混在した状態で植毛されているとは、テーパーブリッスル16aが、大きな集合として1箇所又は数箇所に偏在していることなく、支持ブリッスル16bと入り混じった状態で植毛されていることであり、複数本のテーパーブリッスル16aがテーパー毛束15aとして、支持毛束16aの中に入り混じって混在している状態も含まれる。
また、植毛台11に分散配置されたテーパーブリッスル16aの本数は、顎模型実験で示したように、歯面部と歯間部の歯垢除去性能を両立するという観点から、テーパーブリッスル16a及び支持ブリッスル16bの全体の本数の20〜80%の本数となっていることが好ましい。さらに、植毛台11に分散配置されたテーパーブリッスル16aの本数は、歯間部の垢除去性能が顎模型実験の最大値に対して50%以上を維持するという観点から、テーパーブリッスル16a及び支持ブリッスル16bの全体の本数の30%以上の本数となっていることがより好ましい。さらにまた、植毛台11に分散配置されたテーパーブリッスル16aの本数は、歯面部の垢除去性能が顎模型実験の最大値に対して50%以上を維持するという観点から、テーパーブリッスル16a及び支持ブリッスル16bの全体の本数の25%以下の本数となっていることがより好ましい。
本実施形態では、テーパーブリッスル16a(テーパー毛束15a)は、植毛台11の先端側植毛領域20及び基端側植毛領域21において、植毛面11aから垂直又は略垂直に、植毛台11の長手方向Xの両側の端部から中央部分に向けて毛丈が低くなるように植毛(植設)されており、また先端側植毛領域20が、基端側植毛領域21に対して基端側に傾斜角度θ’で傾斜して折れ曲がって設けられている。これらによって、テーパーブリッスル16aの先端を連ねた仮想のテーパーブラシ面18aは、植毛台11の短手方向Yから見て、植毛台11の長手方向Xの中央部分に、先端側植毛領域20の傾斜角度θ’(傾倒角度θ)よりも大きな角度を180°から差し引いた内角θ”を有する谷部が形成された、V字形状の凹形状を有している(図2参照)。
本実施形態では、支持ブリッスル16b(支持毛束15b)もまた、植毛台11の先端側植毛領域20及び基端側植毛領域21において、植毛面11aから垂直又は略垂直に、植毛台11の長手方向Xの両側の端部から中央部分に向けて毛丈が低くなるように植毛(植設)されており、また先端側植毛領域20が、基端側植毛領域21に対して基端側に傾斜角度θ’で傾斜して折れ曲がって設けられている。これらによって、支持ブリッスル16bの先端を連ねた仮想の支持ブラシ面18bは、植毛台11の短手方向Yから見て、植毛台11の長手方向Xの中央部分に、先端側植毛領域20の傾斜角度θ’(傾倒角度θ)よりも大きな角度を180°から差し引いた内角θ”を有する谷部が形成された、V字形状の凹形状を有している。
ここで、仮想のテーパーブラシ面18a及び仮想の支持ブラシ面18bの、植毛台11の短手方向Yから見た凹形状は、V字形状の凹形状である必要は必ずしも無く、例えば円弧状に湾曲する凹形状であっても良い。円弧状に湾曲する凹形状の場合、谷部の内角θ”は、先端側植毛領域20及び基端側植毛領域21の各々の領域において、円弧状に湾曲する仮想のテーパーブラシ面18a及び仮想の支持ブラシ面18bの、各一対の弦方向の間の内角である。
また、仮想のテーパーブラシ面18a及び仮想の支持ブラシ面18bの、凹形状の谷部の内角θ”は、歯列のカーブに密着してブリッスル16a,16bが万遍なく当たるという観点から、150〜176°となっていることが好ましく、160〜172°となっていることがより好ましい。
さらに、本実施形態では、仮想のテーパーブラシ面18a及び仮想の支持ブラシ面18bの、先端側植毛領域20及び基端側植毛領域21の各々の領域における、端部側の植毛面11aからの高さが最も高い位置と、中央部分側の最も低い位置との差は、同じく歯列のカーブに密着してブリッスル16a,16bが万遍なく当たるという観点から、0.3〜1.5mmとなっていることが好ましく、0.5〜1.2mmとなっていることがより好ましい。
さらにまた、本実施形態では、植毛台11の先端側植毛領域20に植毛されたブリッスル16a,16bが、基端側植毛領域21に植毛されたブリッスル16a,16bに対して、基端側に傾いて植毛されている傾倒角度θは、曲面モデル実験で示したように、歯列の曲面に対してより密着性を高めるという観点から、2〜10°となっていることが好ましく、2〜5°となっていることがより好ましい。
本実施形態では、図3に示すように、支持毛束15bは、テーパー毛束15aの周囲に隣接して配置されており、各々のテーパー毛束15aの周囲に隣接する、テーパー毛束15a及び支持毛束15bの数の総和に対する、各々のテーパー毛束15aの周囲に隣接する、支持毛束15bの数の総和の割合(テーパー毛束分散率)が、60%以上となるように、テーパー毛束15aが分散して植毛台11の植毛面11aに植設されている。
テーパー毛束分散率は、テーパー毛束15aを支持毛束15b,15cによって効果的に支持できるようにする観点から、好ましくは60%以上であり、より好ましくは65%以上であり、さらに好ましくは68%以上である。またテーパー毛束分散率は、100%以下であり、歯ブラシの設計性の観点から、好ましくは85%以下である。
具体的には、図4(a)に示す本実施形態の歯ブラシ10の場合は、各々のテーパー毛束15aが植設される22個のテーパー植毛穴14a(数字が書き込まれた丸参照)の周囲に隣接する、テーパー植毛穴14a及び支持毛束15bが植設される支持植毛穴14bの数の総和は、132個となっており、したがって、各々のテーパー毛束15aの周囲に隣接する、テーパー毛束15a,15c及び支持毛束15bの数の総和もまた、132束となっている。
っている。
ここで、植毛穴14a,14bが千鳥状に配置されている場合、各々のテーパー植毛穴14aの周囲を囲んで隣接する植毛穴14a,14bの数は、通常は各々6個となるが、テーパー植毛穴14aが植毛台11の外周部分に配置されていると、テーパー植毛穴14aの外側の周囲には、隣接する植毛穴14a,14bが存在しないことになる。このため、外周部分のテーパー植毛穴14aの外側に隣接させて、仮想のテーパー植毛穴14c(点線の丸参照)を配置した上で、これらの外周部分のテーパー植毛穴14aの外側に隣接する仮想の植毛穴14cを含めた数として、各々のテーパー毛束15aの周囲に隣接する、テーパー植毛穴14a,14c及び支持植毛穴14bの数の総和を算出するようになっている。なお、図4(a)において、テーパー植毛穴14aを示す丸に書き込まれた数字は、各々のテーパー毛束15aの周囲に隣接するテーパー植毛穴14a,14c及び支持植毛穴14bの数を表している。
一方、本実施形態では、図4(b)に示すように、各々のテーパー毛束15aが植設されるテーパー植毛穴14a(数字が書き込まれた丸参照)の周囲に隣接する、支持毛束15bが植設される支持植毛穴14bの数の総和は、94個となっており、したがって、各々のテーパー毛束15aの周囲に隣接する、支持毛束15bの数の総和もまた、94束となっている。
ここで、仮想のテーパー植毛穴14cに植設されるテーパー毛束15cは無視して、各々のテーパー毛束15aの周囲に隣接する、支持毛束15bの数の総和を算出することができる。なお、図4(b)において、テーパー植毛穴14aを示す丸に書き込まれた数字は、各々のテーパー毛束15aの周囲に隣接する支持植毛穴14bの数を表している。
したがって、本実施形態では、各々のテーパー毛束15aの周囲に隣接する、テーパー毛束15a,15c及び支持毛束15bの数の総和に対する、各々のテーパー毛束15aの周囲に隣接する、支持毛束15bの数の総和の割合(94/132)は、71%であることから、各々のテーパー毛束15aの周囲に隣接する、テーパー毛束15a.15c及び支持毛束15bの数の総和に対する、各々のテーパー毛束15aの周囲に隣接する、支持毛束15bの数の総和の割合であるテーパー毛束分散率が、好ましくは60%以上となるように、テーパー毛束15aが分散して植設されていることになる。
また、本実施形態では、植毛台11の植毛面11aに、複数の植毛穴14a,14bが、植毛台11の幅方向Yに7列に配置されており、これらの植毛穴14a,14bにテーパー毛束15a及び支持毛束15bが植設されることによって、テーパーブリッスル16a及び支持ブリッスル16bが、植毛台11に、植毛台11の長手方向Xから見て10〜15mmの広い幅の領域B(幅領域、図3参照)に植毛されていることが好ましい。これによって、ブラッシング時の歯ブラシ10によるブラシ面に、上顎の歯の際と下顎の歯の際に跨ることが可能な相当の広さの幅領域Bを確保して、歯ブラシ10を大きなストロークで歯列に沿って動かして、複数の歯をまとめ磨きする際に、上下の歯を同時に効率良く刷掃することが可能になる。
このような観点から、植毛台11に植毛されたテーパーブリッスル16a及び支持ブリッスル16bの、植毛台11の長手方向Xから見た幅領域Bは、11〜13mmとなっていることがより好ましい。
そして、上述の構成を備える本実施形態の歯ブラシ10によれば、大きなストロークで歯列に沿って直線状に動かして、複数の歯をまとめ磨きする場合でも、歯面部、及び歯間部や歯と歯茎の境目部分に、磨き残しが生じるのを効果的に抑制することが可能になる。
すなわち、本実施形態の歯ブラシ10によれば、先端に向かって断面積が減少するテーパー形状部分を先端側に備える複数本のテーパーブリッスル16aと、テーパーブリッスル16aよりも低い毛丈の複数本の支持ブリッスル16bとが、植毛台11に設けられた複数の植毛穴14a,14bに植毛されており、支持ブリッスル16bの先端を連ねた仮想の支持ブラシ面18bが、植毛台11の短手方向Yから見て、植毛台11の長手方向Xの中央部分に谷部が形成された凹形状を有しているので、形成された凹形状により、湾曲する歯列の連設している歯面に沿って、歯ブラシ10のブラシ面18a,18bが当たりやすくなる。これによって、大きなストロークで歯列に沿って歯ブラシ10を直線状に繰り返し動かして、複数の歯をまとめ磨きする場合でも、特に歯面部に磨き残しが生じるのを、効果的に抑制することが可能になる。
また、支持ブリッスル16bは、植毛穴14b側の基端部から、テーパーブリッスル16aのテーパー開始部17aを超える高さまで、柱状の形状を備えるブリッスルとなっており、テーパーブリッスル16aは、植毛台11に分散配置されて、支持ブリッスル16bに混在した状態で植毛されているので、テーパーブリッスル16aが支持ブリッスル16bと隣接している割合が高くなっている。これによって、歯ブラシ10による刷掃時に、図5に示すように、支持ブリッル16bがブリッスル16aを逃がさないように抱え込むことが可能になる。また、テーパーブリッスル16aの植毛高さが支持ブリッスル16bの植毛高さよりも高くなっていることで、テーパーブリッスル16aのテーパー形状部分17の先細りの毛先部分のみを、テーパーブリッスル16aが抱え込まれた支持ブリッスル16bの上端部から突出させた状態で、歯を刷掃することが可能になる。これによって、テーパーブリッスル16aのテーパー形状部分17が撓むのを効果的に抑制して、テーパー形状部分17の先細りの毛先部分を歯にしっかりと当てることが可能になるので、大きなストロークで歯列に沿って歯ブラシ10を直線状に繰り返し動かして、複数の歯をまとめ磨きする場合でも、歯間部や歯と歯茎の境目部分の奥まで毛先を届かせることで、これらの部分に磨き残しが生じるのを効果的に抑制することが可能になる。
また、本実施形態の歯ブラシ10によれば、テーパー毛束15aやテーパーブリッスル16aの数が適度に多く、かつ、テーパー毛束15aを囲むようにして支持毛束15bが配置されると共に、テーパー毛束15aが分散して配置されている。これによって、テーパー毛束15aと支持毛束15bが交差しながら、一体となってテーパー毛束15aを支持することになる。またこれによって、テーパーブリッスル16aが必要以上に広がることを防止し、テーパーブリッスル16aの毛先部分が束となることで、複数の歯をまとめ磨きする場合でも、歯間部や歯と歯茎の境目部分の奥まで毛先を届かせやすくなって、これらの部分に磨き残しが生じるのを効果的に抑制することが可能になる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、複数のテーパー毛束と複数の支持毛束とが、別々の毛束として、複数の植毛穴に各々植設されていることにより、テーパーブリッスルが、支持ブリッスルに混在した状態で植毛されている必要は必ずしも無く、一部又は全部の毛束を、テーパーブリッスルと支持ブリッスルとを混在させた毛束として、これらの毛束を複数の植毛穴に植設することで、テーパーブリッスルが、支持ブリッスルに混在した状態で植毛されるようにすることもできる。テーパーブリッスルや支持ブリッスルが植毛される植毛穴は、植毛台に千鳥状に配置されている必要は必ずしも無く、格子状等のその他の形状に配置されていても良い。植毛穴の開口形状は、円形の他、楕円形やトラック円形等のその他の種々の形状であっても良い。支持ブリッスルの毛先の加工は、ラウンド形状、フラット形状、ヘラ形状、球状の他、テーパーブリッスル16aのテーパー形状よりも緩い、具体的には1mm以内の高さの範囲のテーパー形状等が挙げられ、ラウンド形状、又は球状に加工されていることが好ましい。テーパーブリッスルや支持ブリッスルの植毛台の表面における基端部の断面形状は、円形、矩形、楕円等であっても良いが、好ましくは円形である。
以下、実施例及び比較例により、本発明の歯ブラシをさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例及び比較例の記載によって何ら制限されるものではない。
〔実施例1〜実施例5の歯ブラシ〕
テーパーブリッスル及び支持ブリッスルの全体の本数に対するテーパーブリッスルの本数の割合であるテーパーブリッスル率と、先端側植毛領域に植毛されたブリッスルの基端側植毛領域に植毛されたブリッスルに対する傾倒角度θと、植毛台の先端側植毛領域の基端側植毛領域に対する傾斜角度θ’と、仮想想のテーパーブラシ面及び仮想の支持ブラシ面の凹形状の谷部の内角θ”とが表1に示すような値となっている、表1の図の欄に示す形態の歯ブラシを、実施例1〜実施例5の歯ブラシとした。表1の図の欄の平面図において、黒丸はテーパーブリッスルを束ねて形成されるテーパー毛束を、白丸は支持ブリッスルを束ねて形成される支持毛束を各々示している。
〔比較例1〜比較例3の歯ブラシ〕
テーパーブリッスル率と、先端側植毛領域に植毛されたブリッスルの傾倒角度θと、植毛台の先端側植毛領域の傾斜角度θ’と、仮想想のテーパーブラシ面及び仮想の支持ブラシ面の谷部の内角θ”がと表2に示すような値となっている、表2の図の欄に示す形態の歯ブラシを、比較例1〜比較例3の歯ブラシとした。表1の図の欄の平面図において、黒丸はテーパーブリッスルを束ねて形成されるテーパー毛束を、白丸は支持ブリッスルを束ねて形成される支持毛束を各々示している。
実施例1〜実施例3の歯ブラシ、及び比較例1の歯ブラシについて、図6に示すブラッシングマシーンを用いた以下の方法によって、歯列への密着性を評価した。また、実施例1、実施例4、実施例5の歯ブラシ、及び比較例2、比較例3の歯ブラシについて、同様のブラッシングマシーンを用いた以下の方法によって、歯列における汚れの落ち方を評価した。
〔歯列への密着性の評価〕
歯列モデルとして、R32の曲面プレートの表面に、ビデイテープを貼り付けて、ビデオテープ磁性層を形成したものを使用した。図6(a)に示すように、ブラッシングマシーンを用いて、実施例1〜実施例3の歯ブラシ、及び比較例1の歯ブラシにより、歯列モデルの表面を刷掃した。刷掃荷重を200gf、振幅を15mm、刷掃速度を120rpm、刷掃回数を2000回とし、歯磨剤として、商品名「ガードハローC」(花王株式会社製)を使用した。歯列モデルの表面からビデオテープ磁性層が剥離した状況を観察した。また、実施例1の歯ブラシによるビデオテープ磁性層の剥離面積を100%とし、その他の歯ブラシについて剥離面積相対値(%)を算出した。これらによって、歯列への密着性を評価した。評価結果を図7に示す。
〔歯列における汚れの落ち方の評価〕
歯列モデルとして、犬歯から第2大臼歯までの顎模型の表面に、ホワイトボード用赤インクを塗布したもの(図8参照)を使用した。ブラッシングマシーンを用いて、実施例1、実施例4、実施例5の歯ブラシ、及び比較例2、比較例3の歯ブラシにより、歯列モデルの表面を刷掃した。刷掃荷重を300gf、振幅を30mm、刷掃速度を90rpm、刷掃回数を5回とし、歯磨剤は使用しなかった。図8に示す顎模型の歯面部について、比較例2の歯ブラシによるホワイトボード用赤インクの剥離面積を100%として、その他の歯ブラシによるモデル除去率相対値(%)を算出すると共に、図8に示す顎模型の歯間部について、実施例5の歯ブラシによるホワイトボード用赤インクの剥離面積を100%として、その他の歯ブラシによるモデル除去率相対値(%)を算出した。これらによって、歯列における汚れの落ち方の評価を評価した。評価結果を図9(a)に示す。また、ブラッシングマシーンを用いて、実施例1の歯ブラシ及び比較例3の歯ブラシにより顎模型の歯列モデルの表面を刷掃した際の、ホワイトボード用赤インクが剥離した状況(図9(b)参照)を観察した。
図7に示す歯列への密着性の評価結果によれば、本発明に係る実施例1〜実施例3の歯ブラシは、いずれも歯列への密着性が高いことが判明する。 図9(a)、(b)に示す歯列における汚れの落ち方の評価結果によれば、本発明に係る実施例1、実施例4、実施例5の歯ブラシは、いずれも歯面部と歯間部の除去性能が両立できていることが判明する。