JP2016196591A - シリコーンゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
大気中で長期間に渡り曝された後も優れた圧縮永久ひずみ特性を有する硬化物となりえる組成物を提供すること。
【解決手段】
(A)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合するアルケニル基を含有し、25℃での粘度が10〜1000000mPa・sであるポリオルガノポリシロキサン、(B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合する水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、(C)BET比表面積が50m2/g以上のシリカ、(D)イオウ含有化合物と無機充填材を混合させて得られた無機充填材混合物、イオウ含有化合物と無機充填材を反応させて得られた無機充填材反応物、等からなるイオウ含有無機充填材、及び(E)付加反応触媒、を含有し、25℃でのせん断速度0.9s−1のときの粘度が50000〜5000000mPa・sであるシリコーンゴム組成物。
【選択図】なし
Description
特に液状シリコーンゴムは、射出成型による自動化、短時間成型による量産化、ならびに成型品の後加工が不要でノーバリ成形が可能となることから、近年、急速に需要が拡大しており、特に自動車防水シール用途における需要が増加している。更にシリコーンゴム中の低分子環状シロキサン量を予め低減し、二次硬化加熱処理の工程が省略可能な材料の需要が高まってきている。しかしながら、二次硬化加熱処理を省略した場合、シリコーンゴムの重要な特性である圧縮永久ひずみが十分なものが得られないという問題があった。この問題は近年さらに大きくなって来ており、シリコーンゴムを二次硬化加熱処理なしでの良好な圧縮永久ひずみが求められている。
成分(A)は、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合するアルケニル基を含有し、25℃での粘度が10〜1000000mPa・sであるポリオルガノポリシロキサンである。即ち、成分(A)は、室温(23℃±15℃、以下同様)で液状である。ここで、1分子中のケイ素原子と結合するアルケニル基の個数は、好ましくは2〜50個、より好ましくは2〜20個である。アルケニル基の炭素数は、好ましくは2〜8、より好ましくは2〜6であり、更に好ましくは2である。即ち、更に好ましいアルケニル基は、ビニル基である。
R1 aSiO(4−a)/2 (1)
式(1)中、R1は互いに同一又は異種の炭素数1〜10の非置換の又は置換された一価炭化水素基である。aは1.5〜2.8である。
R1の炭素数は、好ましくは、1〜8である。また、aは好ましくは1.8〜2.5、より好ましくは1.95〜2.05である。
また、置換された一価炭化水素基としては、上記非置換の一価炭化水素基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフロロプロピル基、シアノエチル基が挙げられる。上記R1で示される一価炭化水素基は、好ましくは全R1数の90%以上がメチル基であり、より好ましくはアルケニル基以外の全てのR1がメチル基である。
成分(B)は、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合する水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。成分(B)は、成分(B)のケイ素原子と結合する水素原子が成分(A)のアルケニル基と付加反応して、本発明の組成物をゴム弾性体又はゲル状物へと硬化させるための成分である。
成分(B)は、1分子中にケイ素原子と結合する水素原子(SiH基)を少なくとも2個、好ましくは3個以上、より好ましくは3〜200個、さらに好ましくは3〜100個、特に好ましくは4〜50個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。成分(B)は、上記オルガノハイドロジェンポリシロキサンの1種又は2種以上の混合物である。成分(B)は、分子中のSiH基が成分(A)及び成分(B)中のケイ素原子に結合したアルケニル基とヒドロシリル付加反応により架橋し、組成物を硬化させるための硬化剤として作用するものである。
R3 cHdSiO(4−c−d)/2 (2)
式(2)中、R3は互いに同一又は異種の炭素数1〜10の非置換の又は置換された一価炭化水素基である。cは0.7〜2.1、dは0.001〜1.0で、かつc+dは0.8〜3.0を満足する正数である。
式(2)中、R3は、炭素原子1〜8個を有することが好ましい。cは好ましくは0.8〜2.0、dは好ましくは0.01〜1.0、c+dは好ましくは1.0〜2.5である。
これらのうち、好ましい成分(B)は、(CH3)HSiO2/2単位を含有するポリメチルハイドロジェンシロキサン、(CH3)2SiO2/2単位を含有するポリメチルハイドロジェンシロキサン、(CH3)HSiO2/2単位を含有するポリメチルハイドロジェンシロキサン、(CH3)2SiO2/2単位を含有するポリメチルハイドロジェンシロキサン、及び(CH3)(C6H5)SiO2/2単位を含有するポリメチルフェニルハイドロジェンシロキサンである。
本発明においては、成分(A)中のアルケニル基の数に対する、成分(B)中のケイ素原子と結合水素原子(SiH基)の比率は、0.5〜10.0である。特に0.8〜5.0が好ましい。この比が上記範囲より小さいと、架橋が不十分になり、べたついたゴムになってしまうおそれがあり、上記範囲より大きいと、成形物に発泡が見られたり、金型からの離型が困難になる場合があり、更に硬化後の物性、特に耐熱性の変化が大きくなるからである。
成分(C)のシリカは、シリコーンゴムに十分な強度を与えるものである。成分(C)のシリカとしては、例えば、煙霧質シリカ(乾式シリカ)や湿式シリカが用いられる。このうち、湿式シリカは、圧縮永久ひずみ特性に優れるため好ましい。
成分(C)のシリカは、BET法による比表面積が、50m2/g以上、好ましくは100〜500m2/g、より好ましくは150〜300m2/gである。成分(C)の比表面積が50m2/gより小さいと十分な強度が得られなくなるおそれがある。
成分(C)のシリカは、そのまま用いてもかまわないが、表面疎水化処理剤で予め処理したものを用いたり、成分(A)との混練時に表面処理剤を添加することにより成分(C)のシリカの表面を処理したものを用いたりすることが好ましい。これら表面処理剤としては、アルキルアルコキシシラン、アルキルクロロシラン、アルキルシラザン、シランカップリング剤、チタネート系処理剤、脂肪酸エステル等の公知のものが用いられる。これらの表面処理剤は、1種で用いてもよく、また2種以上を同時に又は異なるタイミングで用いても構わない。
成分(D)は、イオウ含有化合物と無機充填材を混合させて得られた無機充填材混合物、イオウ含有化合物と無機充填材を反応させて得られた無機充填材反応物、または、無機充填材をイオウ含有化合物で表面処理した表面処理無機充填材、からなるイオウ含有無機充填材である。
成分(D)がイオウ含有化合物を含有もしくは反応物である理由を下記に説明する。
シリコーンゴムが硬化後に大気中で長期間に渡り曝された後も優れた圧縮永久ひずみ特性を有するには、硬化後の熱履歴に伴う付加反応触媒による追加的な架橋反応を抑制することが必要である。そのためには、一次硬化時には架橋反応に影響を与えず、二次効果あるいはその後の熱履歴において架橋反応を抑制する作用を有する成分が組成物中に含まれている場合にその目的が達成される。そのような作用をせしめるのがイオウ含有化合物である。
成分(D)の調製に用いられるイオウ含有化合物としては、通常用いられる化合物であればよく、種類は限定されない。例えば、チオール(メルカプタン、アルキルチオール、アリールチオール、メルカプト複素環、メルカプトイミダゾール、メルカプトベンゾイミダゾール)、ケテンアセタール、チオアセタール、スルファン(チオエーテル)、ジスルファン(ジチオエーテル)、ポリスルファン、チオアミド、チオ尿素、チウラム(チウラムモノスルフィド、ジスルフィド又はポリスルフィド、ビスチオカルバモイルモノスルファン、ジスルファン又はポリスルファン)、チウロニウム塩、チオカルバメート、ジチオカルバメート及びそのZn−塩、Fe−塩、Ni−塩、Co−塩又はCu−塩、チオシアネート、イソチオシアナート;チオアルデヒド、チオケトン、チオラクトン、チオカルボン酸等のチオカルボニル化合物;チオフェン、1,2−ジチオール、1,3−ジチオール、1,2−ジチオール−チオン、1,3−ジチオール−チオン、チアゾール、メルカプトチアゾール、メルカプトチアジアゾール、ベンゾ−ジチオール、ベンゾ−ジチオール−チオン、ベンゾチアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、フェノチアゾール、チアントレン等のチア−複素環化合物等の有機イオウ化合物が挙げられる。これらの中では、入手性がよく圧縮永久ひずみ特性の向上の点で特にチオール基化合物(メルカプト基含有化合物)、チオシアナト基含有化合物が好ましく、チオシアナト基含有アルコキシシラン化合物がより好ましい。
そのためには、イオウ含有化合物は無機充填剤の表面と化学結合を行うか、水素結合のような化学結合に準ずる結合を行う必要がある。無機充填剤の表面は多くの場合、極性の化学基、特に多くは水酸基で覆われているので、そのような結合を行わしめるためにはイオウ含有化合物にはそうした機能を有する化学構造を有している必要がある。
そのための化学結合は限定されないが、好ましくはアルコキシシリル基を有することである。すなわち、成分(D)に用いる最も好ましいイオウ含有化合物はイオウ含有アルコキシシランである。
(R5O)3−mR6 nSi−R7−SH (4)
[(R8O)3Si−R9−]2−Sn (5)
(R10O)3Si−R11−SCN (6)
R6 は、1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する非置換の又は置換された脂肪族飽和一価炭化水素基である。R6としては、例えば、アルキル基が用いられ、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシール基、シクロアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシール基、シクロヘプチル基、アリール基及びアルカリール基、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ベンジル基が用いられる。
R7としては、例えば、1〜10個の炭素原子、好ましくは、1〜6個の炭素原子を有する非置換の又は置換された、脂肪族飽和、及び二価炭化水素基が用いられる。この例は、R7の具体例としては、例えば、アルキレン基であり、好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、フェニレン基であり、より好ましくはプロピレン基である。
R8及びR10は、R5と同様の基である。R9、R11は、R7と同様の基である。
mは、0〜3、好ましくは、0.5〜2.5である。nは、n=1〜10、好ましくは、n=2又は4である。
なお、一次硬化のみでの圧縮永久ひずみ特性の低減効果としては、イオウ含有化合物を無機フィラーと混合、反応させた場合よりも、イオウ含有アルコキシシランで無機充填を表面処理した場合の方が、より高い効果を得られる。高温長時間での圧縮永久ひずみにおいては、充填材の表面と反応し、結合しているイオウ含有化合物が徐々に充填材表面から遊離し、付加硬化シリコーンゴムの熱履歴による架橋反応を抑制し、その結果、長期間に亘り圧縮永久ひずみ低減の効果を持続できると考えられる。
成分(E)の付加反応触媒、即ち、ヒドロシリル化付加反応触媒としては、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等が挙げられる。これらヒドロシリル化付加反応触媒の中で、好ましいものは、白金又は白金系化合物である。
なお、この付加反応触媒の配合量はいわゆる触媒量とすることができ、通常、白金族金属の質量換算で、成分(A)及び成分(B)の合計量に対し、0.1〜1000ppm、特に1〜500ppm程度である。
JIS K 6249(未硬化及び硬化シリコーンゴムの試験方法)に準拠して試験を行った。
JIS K 6249(未硬化及び硬化シリコーンゴムの試験方法)に準拠して、小形試験片(直径13.0mm、厚さ6.3mm)を使用し、25%圧縮にて試験を行った。圧縮永久ひずみは、150℃及び180℃で測定した。
両末端がそれぞれジメチルビニルシリル基で封鎖された25℃における粘度が20000mPa・sのポリジメチルシロキサン(成分(A))100部と、比表面積が200m2/gである湿式シリカ36部(成分(C))、ヘキサメチルジシラザン10部及びイオン交換水3部を常温で1時間撹拌混合を行なった後、150℃に昇温し、2時間加熱混合を行ない、ベースコンパウンドを得た。
常温まで冷却したベースコンパウンド100部に、(CH3)HSiO2/2単位と(CH3)2SiO2/2単位との比が33/67であり、25℃における粘度が150mPa・sのポリメチルハイドロジェンシロキサン(成分(B))を2.5部、チオシアナトプロピルトリエトキシシランで表面処理したシリカ充填材(成分(D))を0.2部、白金触媒(Pt濃度1質量%)(成分(E))を0.2部、更に硬化速度調整用添加剤としてアセチレンアルコール0.1部をそれぞれ添加し、均一になるまで混合し、本発明に係るシリコーンゴム組成物を調製した。
このシリコーンゴム組成物を170℃/5分のプレスキュアを行って、シリコーンゴム硬化物を得た。
この硬化物について、JIS K 6249に基づき、硬さ、及び圧縮永久ひずみを測定した結果を表1に示す。
両末端がそれぞれジメチルビニルシリル基で封鎖された25℃における粘度が20000mPa・sのポリジメチルシロキサン(成分(A))100部と、比表面積が200m2/gである煙霧質シリカ36部(成分(C))、ヘキサメチルジシラザン10部及びイオン交換水3重量部を常温で1時間撹拌混合を行なった後、150℃に昇温し、2時間加熱混合を行ない、ベースコンパウンドを得た。
常温まで冷却したベースコンパウンド100部に、(CH3)HSiO2/2単位と(CH3)2SiO2/2単位との比が33/67であり、25℃における粘度が150mPa・Sのポリメチルハイドロジェンシロキサン(成分(B))を2.5部、チオシアナトプロピルトリエトキシシランで表面処理したシリカ充填材(成分(D))を0.2部、白金触媒(Pt濃度1質量%)(成分(E))を0.2部、更に硬化速度調整用添加剤としてアセチレンアルコール0.1部をそれぞれ添加し、均一になるまで混合し、本発明に係るシリコーンゴム組成物を調製した。
このシリコーンゴム組成物を170℃/5分のプレスキュアを行って、シリコーンゴム硬化物を得た。
この硬化物について、JIS K 6249に基づき、硬さ、及び圧縮永久ひずみを測定した結果を表1に示す。
実施例1において、チオシアナトプロピルトリエトキシシランで表面処理したシリカ充填材(成分(D))を添加しない以外は、実施例1と同様にしてシリコーンゴム組成物を調製し、このシリコーンゴム組成物を170℃/5分のプレスキュアを行って、シリコーンゴム硬化物を得た。この硬化物について、JIS K 6249に基づき、硬さ、及び圧縮永久ひずみを測定した結果を表1に示す。
実施例2において、チオシアナトプロピルトリエトキシシランで表面処理したシリカ充填材(成分(D))を添加しない以外は、実施例1と同様にしてシリコーンゴム組成物を調製し、このシリコーンゴム組成物を170℃/5分のプレスキュアを行って、シリコーンゴム硬化物を得た。この硬化物について、JIS K 6249に基づき、硬さ、及び圧縮永久ひずみを測定した結果を表1に示す。
Claims (4)
- (A)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合するアルケニル基を含有し、25℃での粘度が10〜1000000mPa・sであるポリオルガノポリシロキサンを100質量部、
(B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合する水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを、成分(A)中のアルケニル基の数に対するケイ素原子結合水素原子の比率が0.5〜10.0となる量、
(C)BET法による比表面積が50m2/g以上のシリカを、5〜70質量部、
(D)イオウ含有化合物と無機充填材を混合させて得られた無機充填材混合物、イオウ含有化合物と無機充填材を反応させて得られた無機充填材反応物、または、無機充填材をイオウ含有化合物で表面処理した表面処理無機充填材、からなるイオウ含有無機充填材を、0.001〜5.0質量部、及び
(E)付加反応触媒を触媒量、
を含有し、25℃でのせん断速度0.9s−1のときの粘度が、50000〜5000000mPa・sであることを特徴とするシリコーンゴム組成物。 - 前記成分(D)に用いるイオウ含有化合物が、チオシアナト基含有化合物であることを特徴とする、請求項1に記載のシリコーンゴム組成物。
- 前記成分(D)に用いるイオウ含有化合物が、チオシアナト基含有アルコキシシラン化合物であることを特徴とする、請求項1に記載のシリコーンゴム組成物。
- 前記シリカ(C)が湿式シリカであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリコーンゴム組成物。
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Non-Patent Citations (2)
Title |
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Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2016162300A1 (en) | 2016-10-13 |
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