JP2016191722A - 偏光板および表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】偏光子の両側または片側に偏光板保護フィルムを有する偏光板であって、上記偏光板保護フィルムが下記一般式(I)または(II)で表される化合物を含有し、上記偏光子がヨウ素を含有し、上記偏光子中の上記ヨウ素の含有量が4.0質量%以上である、偏光板。
【選択図】図1
Description
このようななか、本発明者らが特許文献1を参考に偏光板を作製したところ、その耐久性は、今後さらに高まると予測される要求水準を考慮すると、必ずしも十分ではないことが明らかになった。
すなわち、本発明者は、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
上記偏光板保護フィルムが、後述する一般式(I)または(II)で表される化合物を含有し、
上記偏光子が、ヨウ素を含有し、上記偏光子中の上記ヨウ素の含有量が、4.0質量%以上である、偏光板。
(2) 上記偏光板保護フィルムが、セルロースアシレートを含有する、上記(1)に記載の偏光板。
(3) 上記(1)または(2)に記載の偏光板を少なくとも1枚含む、表示装置。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明の偏光板は、偏光子の両側または片側に偏光板保護フィルムを有する偏光板であって、上記偏光板保護フィルムが、後述する一般式(I)または(II)で表される化合物を含有し、上記偏光子がヨウ素を含有し、上記偏光子中の上記ヨウ素の含有量が4.0質量%以上である。
本発明の偏光板はこのような構成をとることにより、所望の効果が得られるものと考えられる。その理由は明らかではないが、およそ以下のとおりと推測される。
一方、上述のとおり、偏光板を高温環境下や湿熱環境下で長期間使用すると、偏光板中の偏光子の劣化により偏光度が変化してしまう。このような偏光子の劣化は、浸入した水などの影響により、偏光子中の樹脂とヨウ素とのネットワークが破壊され、ヨウ素の配向性が低下することに起因するものと考えられる。
上述のとおり、本発明では、偏光子に隣接して、後述する一般式(I)または(II)で表される化合物(以下、特定化合物とも言う)を含有する偏光板保護フィルムを備える。ここで、上記特定化合物は偏光板保護フィルムから偏光子へと移動し、偏光子中の樹脂同士を化学的に架橋するものと推測される。結果として、上記のようなネットワークの破壊が抑制され、ヨウ素の配向性が維持されるものと考えられる。
さらに、本発明では、偏光子中のヨウ素の含有量が所定値以上である点に特徴がある。すなわち、偏光子中のヨウ素の含有量が所定値以上であると、上述した特定化合物による架橋反応がヨウ素によって促進される。すなわち、偏光子中のヨウ素は架橋促進剤としても機能すると考えらえる。その結果、上述したネットワークは極めて安定したものになり、高温・湿熱環境下に晒しても、偏光度の変化が極めて小さい偏光板になるものと推察される。
以上のことは、後述する比較例が示すように、偏光板保護フィルムが上述した特定化合物を含有しない場合(比較例1、3)や、特定化合物を含有しても偏光子中のヨウ素含有量が所定値に満たない場合(比較例2)には、偏光板の耐久性が不十分になることからも推測される。
<特定化合物>
本発明の偏光板に使用される偏光板保護フィルム(以下、本発明の偏光板保護フィルムとも言う)は、下記一般式(I)または一般式(II)で表される化合物(特定化合物)(以下、偏光子耐久性改良剤とも言う)を含有する。特定化合物は、1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい
アシル基のうち、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基が好ましい。
形成された環は、置換基を有してもよく、このような置換基としては置換基Sから選択される基が挙げられる。
なお、Zがベンゼン環である場合、一般式(I)は下記式(I−1)で表される。また、Zがシクロヘキサン環である場合、一般式(I)は下記式(I−2)で表される。
m1が2以上の整数である場合、複数のR1が互いに結合して環を形成してもよい。
m21が2以上の整数である場合、複数のR21が互いに結合して環を形成してもよい。m22が2以上の整数である場合、複数のR22が互いに結合して環を形成してもよい。
本発明においては、これらの組み合わせが全て好ましい。
なお、下記表1では、上記の基本骨格とアセタール部分(X1〜X3)を表にして、具体例を示したものである。
偏光板保護フィルム中の特定化合物の含有量は、偏光板保護フィルムを構成する樹脂100質量部に対し、0.1〜50質量部の範囲で配合するのが好ましく、1〜30質量部の範囲で配合するのがより好ましく、1.5〜20質量部の範囲で配合するのがさらに好ましい。
以下に、本願明細書における、置換基Sについて説明する。
置換基Sとしては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20で、例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、2−エチルヘキシル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、エチニル、2−プロピニル、2−ブチニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20で、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20で、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数0〜20のヘテロ環基で、環構成ヘテロ原子が酸素原子、窒素原子、硫黄原子が好ましく、5員環または6員環でベンゼン環やヘテロ環で縮環していてもよく、この環は飽和環、不飽和環、芳香環であってもよく、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20で、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、
例えば、アルキル基にアリール基が置換したアラルキル基(例えば、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル)、アルキル基にアルコキシカルボニル基やシアノ基が置換した基(例えば、ベンゾイルメチル)、アルキル基にフッ素原子が置換したトリフルオロメチルのようなパーフルオロアルキル基、アリール基に上記の置換基Sが置換した置換アリール基などが挙げられる。また、活性メチンもしくは活性メチレン構造を有する基(電子求引性基が置換したアルキル基、電子求引性基にメチンもしくはメチレンが結合した部分を有する基または電子求引性基に挟まれたメチンもしくはメチレン部を有する基)も好ましく挙げられる。
本発明の偏光板保護フィルムは、樹脂を含有してなり、フィルム状であることが好ましい。
偏光板保護フィルムに用いられる樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に制限はない。樹脂としてはセルロースアシレート樹脂、アクリル樹脂、シクロオレフィン系樹脂を挙げられる。これらの樹脂のうち、アクリル樹脂とセルロースアシレート樹脂が好ましく、上述した特定化合物との相溶性に優れるという観点でセルロースアシレート樹脂がなかでも好ましい。
これらの樹脂は1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよいが、2種以上を併用する場合は樹脂成分中最も多く含有される成分を主成分とする。
上記セルロースアシレート樹脂(セルロースアシレート)は、1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。例えば、セルロースアシレートは、アシル置換基としてアセチル基のみからなるセルロースアセテートであっても、複数の異なったアシル置換基を有するセルロースアシレートを用いてもよく、異なったセルロースアシレートの混合物であってもよい。なお、主成分とは、フィルムもしくは層を構成する樹脂成分において、セルロースアシレートが50質量%以上含有されているものを意味し、樹脂成分中のセルロースアシレートの含有量は60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
本発明では、特に、セルロースアシレートのアシル基はアセチル基1種であるものが好ましい。
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離のヒドロキシ基を有している。セルロースアシレートは、これらのヒドロキシ基の一部または全部をアシル基によりアシル化した重合体(ポリマー)である。
アシル置換度は、2位、3位および6位に位置するセルロースのヒドロキシ基のアシル化の度合いを示すものであり、全てのグルコース単位の2位、3位および6位のヒドロキシ基がいずれもアシル化された場合、総アシル置換度は3である。例えば、全てのグルコース単位で、6位のみが全てアシル化された場合、総アシル置換度は1である。同様に、全グルコースの全ヒドロキシ基において、各々のグルコース単位で、6位か、2位のいずれか一方の全てがアシル化された場合も、総アシル置換度は1である。
すなわち、グルコース分子中の全ヒドロキシ基が全てアシル化された場合を3として、アシル化の度合いを示すものである。
アシル置換度の測定方法の詳細については、手塚他,Carbohydrate.Res.,273,83−91(1995)に記載の方法やASTM−D817−96に規定の方法に準じて測定することができる。
点から好ましく、20〜99質量%含むことがより好ましく、50〜95質量%含むことが特に好ましい。
本発明の偏光板保護フィルム中、上述した特定化合物とともに、特にセルロースアシレートフィルム中には、レターデーション調整剤(レターデーション発現剤およびレターデーション低減剤)や、可塑剤として、重縮合エステル化合物(ポリマー)、多価アルコールの多価エステル、フタル酸エステル、リン酸エステル、糖エステルなど、さらには、紫外線吸収剤、酸化防止剤、マット剤などの添加剤を加えることもできる。
なお、本明細書では、化合物群を標記するのに、例えば、リン酸エステル系化合物のように、「系」を組み込んで記載することがあるが、これは、上記の場合、リン酸エステル化合物と同じ意味である。
偏光板保護フィルムには、ラジカル捕捉剤を含むことが好ましい。ラジカル捕捉剤として、HALS類、レダクトン類が好ましく用いられる。
HALS類は、特に、2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン環を有する化合物が好ましく、ピペリジンの1位が、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、オキシラジカル基(−O・)、アシルオキシ基、アシル基であるものが好ましく、4位は水素原子、ヒドロキシ基、アシルオキシ基、置換基を有してもよいアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基であるものがより好ましい。また分子中に2〜5個の2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン環を有するものも好ましい。
このような化合物としては、例えば、Sunlizer HA−622(商品名、株式会社ソート製)、CHIMASSORB 2020FDL、TINUVIN 770DF、TINUVIN 152、TINUVIN 123、FLAMESTAB NOR 116 FF〔商品名、いずれもBASF社(旧チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社)製〕、サイアソーブUV−3346、サイアソーブUV−3529(商品名、いずれもサンケミカル株式会社製)が挙げられる。
また、アスコルビン酸、エリソルビン酸の油溶化誘導体を好ましく用いることができ、ステアリン酸L−アスコルビルエステル、テトライソパルミチン酸L−アスコルビルエステル、パルミチン酸L−アスコルビルエステル、パルミチン酸エリソルビルエステル、テトライソパルミチン酸エリソルビルエステルなどが挙げられる。なかでも、アスコルビン酸骨格を有するものが好ましく、L−アスコルビン酸のミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステルが特に好ましい。
偏光板保護フィルム中のラジカル捕捉剤の含有量は、偏光板保護フィルムを構成する樹脂100質量部に対して、0.001〜2.0質量部が好ましく、さらに好ましくは、0.01〜1.0質量部である。
偏光板保護フィルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加してもよい。また、紫外線吸収剤も劣化防止剤の1つである。これらの劣化防止剤などは、特開昭60−235852号、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号、同6−118233号、同6−148430号、同7−11056号、同7−11055号、同7−11056号、同8−29619号、同8−239509号、特開2000−204173号、特開2006−251746号の各公報に記載されているものが好ましい。
また、2個以上のアミノ基を有する多価アミン類を用いることも好ましく、多価アミンとしては、第一級または第二級のアミノ基を2個以上有しているものが好ましい。2個以上のアミノ基を有する化合物としては、含窒素ヘテロ環化合物(ピラゾリジン環、ピペラジン環などを有する化合物)、ポリアミン系化合物(鎖状もしくは環状のポリアミンで、例えば、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、N,N’−ビス(アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタキス(2−ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン、ポリエチレンイミン、変性ポリエチレンイミン、シクラムを基本骨格して含む化合物)等が挙げられる。
偏光板保護フィルム中の劣化防止剤の含有量は、質量ベースで1ppm〜10%が好ましく、1ppm〜5.0%がより好ましく、10ppm〜1.0%がさらに好ましい。
偏光板保護フィルムは公知の剥離促進剤を添加してもよい。
剥離促進剤は、有機酸、多価カルボン酸誘導体、界面活性剤またはキレート剤が好ましい。例えば、特開2006−45497号公報の段落番号0048〜0081に記載の化合物、特開2002−322294号公報の段落番号0077〜0086に記載の化合物、特開2012−72348号公報の段落番号0030〜0056に記載の化合物、国際公開第2014/034709号パンフレットの段落番0206〜0216に記載の化合物等を、好ましく用いることができる。偏光板保護フィルム中の剥離促進剤の含有量は、質量ベースで1ppm〜5.0%が好ましく、1ppm〜2.0%がより好ましい。
本発明の偏光板保護フィルムでは、マット剤として微粒子を加えることが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムおよびリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが、濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットルが好ましく、100〜200g/リットルがさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
本発明の偏光板保護フィルムは下記一般式(A)で表される化合物を用いることが好ましい。特に、偏光板保護フィルムを構成する樹脂がセルロースアシレートである場合に好
ましい。なお、下記一般式(A)で表される化合物は、多くの機能を発現することが可能で、例えば、偏光板の光もしくは熱、湿熱に対する耐久性の改良や偏光板保護フィルムの硬度の向上などに有効である。
芳香族炭化水素基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜16がより好ましく、6〜12がさらに好ましい。芳香族炭化水素基としては、フェニル、ナフチルが好ましく、フェニルがより好ましい。
芳香族複素環基としては、5または6員環が好ましく、ベンゼン環やヘテロ環が縮環していてもよい。芳香族複素環基の複素環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好ましく、炭素数は0〜20が好ましく、1〜16がより好ましく、3〜12がさらに好ましい。このようなヘテロ環としては、例えば、ピロール環、チオフェン環、フラン環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、インドール環が
挙げられる。
ここで、水溶性基は、化合物の水への溶解性を高める基であり、アニオンまたはカチオンの基、もしくは解離してアニオン化できる基(例えば、pKaが、10以下が好ましい。)である。
このような基としては、スルホ基もしくはその塩、カルボキシ基もしくはその塩、リン酸基もしくはその塩、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、オニオ基(好ましくは、アンモニオ基)、スルホンアミド基、アシルスルファモイル基、アルキルもしくはアリールのスルホニルスルファモイル基、活性メチンもしくはメチレン構造を有する基が挙げられる。
RA1、RA3およびRA5が各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基または芳香族基であって、これらのアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基および芳香族基は置換基を有してもよく、好ましい置換基として、置換基Sのうち、上記の水溶性基以外の置換基を有する化合物である。
上記の各基が有してもよい置換基は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、芳香族基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル基、シリル基、ハロゲン原子が好ましい。
このような環としては、脂肪族炭化水素環、芳香族炭化水素環が好ましく、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、ベンゼン環、ナフタレン環がより好ましく、シクロヘキサン
環、ベンゼン環がさらに好ましい。
環状の基または環構造を有する基としては、なかでも、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基が好ましい。
置換基の組み合わせ、分子量をこのような好ましい範囲にすることで、一般式(A)で表される化合物が偏光板保護フィルムから揮散しにくくなって、偏光板保護フィルム中に保持することが可能となり、透明性の高いフィルムを得ることができる。
この態様は、極性効果を利用するものであり、第一の態様とは逆に、拡散性も考慮するものである。
RA1およびRA3が各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基または芳香族基であり、RA5が水素原子または置換基であり、1)RA1、RA3およびRA5のいずれかが水溶性基もしくは水溶性基を含む基である化合物、2)分子量が128以上250未満である化合物、または/および、3)RA1、RA3およびRA5のいずれか1つまたは2つが水素原子である化合物である。
また、特開2011−118135号公報、なかでも段落番号0030〜0033に記載の化合物、および特開2011−126968号公報、なかでも段落番号0017〜0025に記載の化合物、国際公開第2014/034709号パンフレット、なかでも段落番号0024〜0050に記載の化合物、特開2014−194529号公報、なかでも段落番号0014〜0037に記載の化合物も、上述した特定化合物と組み合わせて使用することが好ましい。
下記に示すPhはフェニル基、cHexはシクロヘキシル基、cC5H11は、シクロペンチル基、C6H4は、フェニレン基を表し、C6H4(p−CH3)のような( )の基は、フェニル基への置換基を表し、「p−」は、p位であることを示す。
また、*は、結合手である。
また、縮合に用いるマロン酸は、無置換のものでも置換基を有するものでもよく、RA5に相当する置換基を有するマロン酸を用いれば、バルビツール酸を構築することにより、一般式(A)で表される化合物を合成することができる。また、無置換のマロン酸と尿素誘導体を縮合させると5位が無置換のバルビツール酸が得られるので、これを修飾することにより、一般式(A)で表される化合物を合成してもよい。
好ましく用いることができる。例えば亜鉛による還元方法が、Tetrahedron Letters,第44巻,2203頁(2003年)に、接触還元による還元方法がTetrahedron Letters,第42巻,4103頁(2001年)やJournal of the American Chemical Society,第119巻,12849頁(1997年)に、NaBH4による還元方法が、Tetrahedron Letters,第28巻,4173頁(1987年)などにそれぞれ記載されている。これらは何れも、5位にアラルキル基を有する場合やシクロアルキル基を有する場合に好ましく用いることができる合成方法である。
なお、一般式(A)で表される化合物の合成法は上記に限定されるものではない。
一般式(A)で表される化合物の添加量を上記の範囲とすることで、透湿度を効果的に下げることが可能となり、またヘイズの発生が抑えられる。
本発明の偏光板保護フィルムは下記一般式(B−I)で表される化合物または後述の一般式(B−II)で表される化合物を用いることも好ましい。下記一般式(B−I)で表される化合物または後述の一般式(B−II)で表される化合物はフィルムの硬度を高める効果や偏光子の湿熱経時における性能劣化を抑制する効果があり好ましい。特に、偏光板保護フィルムを構成する樹脂がセルロースアシレートである場合に好ましい。
RB1、RB2、XB1、RBaの各基は、さらに置換基を有してもよく、このような置換基としては、一般式(A)におけるRA1、RA3およびRA5の各基がさらに置換基で置換してもよい置換基群に加え、カルバモイルオキシ基(アルキルカルバモイルオキシ基、アリールカルバモイルオキシ基を含み、好ましくは炭素数2〜20で、例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N、N−ジメチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ、N−メチル−N−フェニルカルバモイルオキシ等)、カルバモイルアミノ基(アルキルカルバモイルアミノ基、アリールカルバモイルアミノ基を含み、好ましくは炭素数2〜20で、例えば、N−メチルカルバモイルアミノ、N、N−ジメチルカルバモイルアミノ、N−フェニルカルバモイルアミノ、N−メチル−N−フェニルカルバモイルアミノ等)、アルコキシカルカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20で、例え
ば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、2−エチルヘキシルオキシカルボニルアミノ等)、アリールオキカルカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、ナフトキシカルボニルアミノ等)が挙げられる。
なお、式中、*は−YB1−C(=O)−、−YB2−C(=O)−中のYB1、YB2との結合する位置を示す。
ZB1およびZB2は−O−が好ましい。
例えば、アルキルまたはアリールイソシアネートへのアルコールの付加反応、あるいはアミンとカーボネートの縮合反応などにより得ることができる。
アルキルもしくはアリールイソシアネートへのアルコールの付加反応の際、触媒を用いることも好ましい。このような触媒として、アミン類、亜鉛、スズなどの金属有機酸塩もしくは金属キレート化合物、亜鉛、スズ、ビスマスなどの有機金属化合物などの従来公知のウレタン化触媒を使用できる。ウレタン化触媒としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテートなどが好ましく用いられる。
特開2013−127058号公報と同じく、段落番号0112〜0115に記載の例示化合物1〜31が本発明でも好ましい化合物である。
本発明の偏光板保護フィルムは下記一般式(E)で表される化合物を用いることも好ましい。下記一般式(E)で表される化合物はフィルムの硬度を高める効果や偏光子の湿熱経時における性能劣化を抑制する効果があり好ましい。特に、偏光板保護フィルムを構成する樹脂がセルロースアシレートである場合に好ましい。
アシル基は、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、シクロアルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロ環カルボニル基を表し、アルキルカルボニル基は炭素数2〜20が好ましく、アルケニルカルボニル基は、炭素数3〜20が好ましく、シクロアルキルカルボニル基は炭素数4〜20が好ましく、アリールカルボニル基は炭素数7〜20が好ましく、ヘテロ環カルボニル基は、炭素数1〜20が好ましい。
これらの基は、例えば、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、ミリストイル、アクリロイル、メタクリロイル、シクロプロピルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル、ベンゾイル、ナフトイル、ニコチノイル等が挙げられる。
以下に、一般式(E)で表される化合物の具体例を示すが、本発明は、これらに限定されるものではない。
本発明の偏光板保護フィルムは、溶液流延製膜方法により製造することができる。以下、偏光板保護フィルムの製造方法について、主成分の樹脂としてセルロースアシレートを用いた態様を例に挙げて説明するが、その他の樹脂を用いた場合も同様に偏光板保護フィルムを製造することができる。
これらのエーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。また、エーテル、ケトンおよびエステルが有する官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。
有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、炭素数は1〜12が好ましく、3〜12がより好ましい。
10〜40質量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースアシレートの量は、10〜30質量%がさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、任意の添加剤を添加しておいてもよい。
偏光板保護フィルムの樹脂原料の一例であるセルロースアシレート溶液に対し、上述した特定化合物等の添加剤を添加するタイミングは、製膜される時点で添加されていれば特に限定されない。例えば、セルロースアシレートの合成時点で添加してもよいし、ドープ調製時にセルロースアシレートと混合してもよい。
本発明の偏光板保護フィルムには、延伸処理を行うこともできる。延伸処理により偏光板保護フィルムに所望のレターデーションを付与することが可能である。セルロースアシレートフィルムの延伸方向は幅方向、長手方向のいずれでも好ましい。
幅方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号などの各公報に記載されている。
偏光板保護フィルムやその積層体はアルカリ鹸化処理することによりPVA(ポリビニルアルコール)のような偏光子の材料との密着性を付与し、偏光板保護フィルムとして用いることができる。
鹸化の方法については、特開2007−86748号公報の段落番号0211および段落番号0212に記載されている方法を用いることができる。
本発明の偏光板保護フィルムである樹脂フィルムの膜厚は、1μm以上40μm以下が好ましく、1μm以上30μm以下がより好ましく、3μm以上25μm以下がさらに好ましい。
偏光板保護フィルムの膜厚を1μm以上40μm以下にすることで、フィルム製造および偏光板作製時における搬送工程で、フィルムや偏光板を安定に搬送させることが可能となる。
しかも、本発明では、上記のように膜厚が薄い場合に、効果的に本発明の効果を奏することが可能となる。
本発明の偏光板が有する偏光板保護フィルムの少なくとも1枚がセルロースアシレートを含有するのが好ましい。
偏光板保護フィルムは、透湿度が低く、ヌープ硬度、鉛筆硬度などの硬度が高く、紫外線透過率、ヘイズが低いことが好ましい。
本発明の偏光板保護フィルムは、40℃、相対湿度90%、24時間経時における、透湿度が1050g/m2以下が好ましく、990g/m2以下がより好ましい。透湿度を上記範囲にすることにより、本発明の偏光板保護フィルムを組み込んだ偏光板の高温高湿環境下における偏光性能劣化をより小さくすることができる。
本明細書中における透湿度の値は、JIS Z0208の透湿度試験(カップ法)に準じて、温度40℃、相対湿度90%の雰囲気中、試料を24時間に通過する水蒸気の質量(g)を測定し、試料面積1m2あたりの値に換算した値である。
(1)ヌープ硬度
本発明の偏光板保護フィルムは、押し込み荷重50mNでヌープ圧子を用いて測定した表面硬度は、185N/mm2以上が好ましい。より好ましくは、JIS Z 2251の方法に準じて押し込み荷重50mNで、同じ押し込み位置においてヌープ圧子を回転させて測定されるヌープ硬度の最小値が210N/mm2以上である。表面硬度(ヌープ硬度)は、ナノインデンテーション法により測定される。なお、JIS Z 2251はISO4545を基に作成した日本工業規格である。例えば、同じ押し込み位置においてヌープ圧子を10°ずつ回転させて測定される合計18方位のヌープ硬度の最小値が210N/mm2以上である。偏光板保護フィルムの表面硬度は220N/mm2以上が好ましく、230N/mm2以上がより好ましい。
偏光板保護フィルムの表面硬度は、添加剤の種類および添加量、樹脂の重合度、ドープ溶媒組成、およびフィルムの延伸処理等により調整することができる。
本発明の偏光板保護フィルムは、鉛筆硬度も高いことが好ましい。
鉛筆硬度は、JIS K 5400に記載の鉛筆硬度評価に基づいて行われるものである。具体的には、偏光板保護フィルムを温度25℃、相対湿度60%で2時間調湿した後、JIS S 6006に規定する3Hの試験用鉛筆を用いて、500gの荷重での評価を20回繰り返して評価する。
実用的には、3H以上の結果が必要となる。
本発明の偏光板保護フィルムは、紫外線による偏光子や液晶セル内の駆動液晶の劣化を防止するため、紫外線を遮蔽する能力が高いことが好ましい。このため、波長290〜300nmの領域の紫外線透過率は、10%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。波長290〜300nmの領域の紫外線の透過率を10%以下にすることで、波長290〜300nm付近に吸収極大を有するI3 −などの光励起を抑制することにより、光による偏光性能の劣化をより効率的に抑制できる。
本発明の偏光板保護フィルムのヘイズは0.01〜1.00%が好ましい。より好ましくは0.05〜0.80%である。ヘイズが1.00%以下であると液晶表示装置のコントラストが高くなり好ましい。
ヘイズの測定は、ヘイズメーター、例えば、ヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)を使用し、JIS K−7136に従って測定して求めることができる。
測定する偏光板保護フィルムもしくはその積層体を40mm×80mmの大きさにして、25℃、相対湿度60%の条件で測定する。
本発明の偏光板において、偏光板保護フィルム上に所望により目的に応じた機能性層を設けることができる。
機能性層としては、ハードコート層、反射防止層、光散乱層、防汚層、帯電防止層、接着層、染料層、アンチハレーション層、アンチグレア(防眩)層、ガスバリア層、反射防止層、滑り層、紫外線吸収層、偏光層等が挙げられ、これらは一層で複数の機能を兼ねていてもよい。
本発明の偏光板に使用される偏光子(以下、本発明の偏光子とも言う)は、少なくとも樹脂とヨウ素とからなる。また、後述するとおり、偏光子中のヨウ素の含有量は、4.0質量%以上である。
本発明の偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましく用いられる。本発明における偏光子は、ポリビニルアルコール樹脂を主成分とするものであり、通常は、偏光子の80質量%以上を占める。ポリビニルアルコールは通常、ポリ酢酸ビニルをケン化したものであるが、例えば、不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のように酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有しても構わない。また、アセトアセチル基、スルホ基、カルボキシ基、オキシアルキレン基等を含有する変性ポリビニルアルコール系樹脂も用いることができる。
このような範囲とすることで、延伸後のシワ発生抑制効果に優れ、十分な強度を有するポリビニルアルコール系樹脂フィルムを製造することができる。
上述のとおり、本発明の偏光子は、ヨウ素を含有する。ヨウ素はヨウ素イオンであることが好ましく、I3 −やI5 −などの高次のヨウ素イオンであることがより好ましい。
高次のヨウ素イオンは、例えば、永田良編,「偏光板の応用」,CMC出版や工業材料,第28巻,第7号,p.39〜p.45に記載されているようにヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液および/またはホウ酸水溶液にポリビニルアルコールを浸漬し、ポリビニルアルコールに吸着・配向した状態で生成することができる。
本発明の偏光子の製造方法としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂をフィルム化した後、ヨウ素を導入して偏光子を構成することが好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの製造は、特開2007−86748号公報の段落番号0213〜0237に記載の方法、特許第3342516号公報、特開平09−328593号公報、特開2001−302817号公報、特開2002−144401号公報等を参考にして行うことができる。
キャストドラムの幅は2〜6mが好ましく、3〜5mがより好ましく、4〜5mが特に好ましい。
キャストドラムの回転速度は2〜20m/分が好ましく、4〜12m/分がより好ましく、5〜10m/分が特に好ましい。
キャストドラムのキャストドラム表面温度は40〜140℃が好ましく、60〜120℃がより好ましく、80〜100℃であることが特に好ましい。
T型スリットダイ出口の樹脂温度は40〜140℃が好ましく、60〜120℃がより
好ましく、80〜100℃が特に好ましい。
また、得られたフィルムの長さについても特に制限はなく、2000m以上、好ましくは4000m以上の長尺のフィルムとすることができる。フィルムの幅についても、特に制限はないが、2〜6mが好ましく、3〜5mがより好ましい。
なお、特許第3145747号公報に記載されているように、染色液にホウ酸、ホウ砂等のホウ素系化合物を添加してもよい。
本発明の偏光板には、本発明の偏光板保護フィルムを有する面とは反対の面に、25℃、相対湿度60%の環境下における波長590nmの面内レターデーション(Re590)が−5〜5nm、厚み方向のレターデーション(Rth590)が−30〜30nmである位相差フィルムを有することが好ましい。このような構成とすることで、IPS(In−Place−Switching)モード用液晶表示装置に組み込んだ時に、より効果的に本発明の効果が発揮される。Re590は0〜3nmの範囲が好ましく、0〜2nmの範囲であることがさらに好ましい。また、Rth590は−20〜20nmの範囲が好ましく、−10〜10nmの範囲がさらに好ましい。
このような位相差フィルムとしては、特開2014−41371号公報の段落番号0066〜0068に記載のフィルム等が挙げられる。
また、他の駆動モードについても液晶セルの駆動モードやレターデーションが考慮され
た光学補償能を有する位相差フィルムを有してもよい。
本発明の偏光板の形状は、表示装置にそのまま組み込むことが可能な大きさに切断されたフィルム片の態様の偏光板のみならず、連続生産により、長尺状に作製され、ロール状に巻き上げられた態様(例えば、ロール長2500m以上や3900m以上の態様)の偏光板も含まれる。大画面液晶表示装置用とするためには、偏光板の幅は1470mm以上とすることが好ましい。
プロテクトフィルムおよびセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
本発明の偏光板の製造方法は、上記にて得られた偏光子の少なくとも一方の面に、少なくとも1枚の本発明の偏光板保護フィルムを積層する。
本発明の偏光板の製造方法では、偏光板保護フィルム面をアルカリ処理し、PVAフィルムをヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の少なくとも一方の面、好ましくは両面に、完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法により作製することが好ましい。
偏光板保護フィルムの処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、PVA、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
ここで、平行および直交については、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含む。例えば、平行、直交に関する厳密な角度から±10°未満の範囲内であることを意味し、厳密な角度との誤差は、5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましい。
また、偏光子の透過軸と偏光板保護フィルムの遅相軸についての直交とは、偏光板保護フィルムの主屈折率nxの方向と偏光板の透過軸の方向とが90°±10°の角度で交わっていることを意味する。この角度は、好ましくは90°±5°、より好ましくは90°±3°、さらに好ましくは90°±1°、最も好ましくは90°±0.1°である。上述のような範囲であれば、偏光板クロスニコル下における偏光度性能の低下が抑制され、光抜けが低減され好ましい。
本発明の偏光板は、ディスプレイの視認性向上のための反射防止フィルム、輝度向上フィルムや、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層等の機能層を有する偏光板保護フィルムと複合した機能化偏光板としても好ましく使用される。機能化のための反射防止フィルム、輝度向上フィルム、他の機能性光学フィルム、前方散乱層、アンチグレア層については、特開2007−86748号公報の段落番号0257〜0276に記載され、これらの記載を基に機能化した偏光板を作製することができる。
(偏光度)
本発明の偏光板は、偏光度95.0%以上が好ましく、98%以上がより好ましく、最も好ましくは99.5%以上である。
={(平行透過率−直交透過率)/(平行透過率+直交透過率)}1/2×100
本発明の偏光板は、湿熱経時条件下における耐久性に優れる。このため、後述する偏光板耐久性試験前後での偏光度の変化量は小さい。
本発明の偏光板は、日本分光(株)製自動偏光フィルム測定装置VAP−7070を用いて直交透過率および平行透過率を測定し、上記式により偏光度を算出し、特に、80℃、相対湿度90%の環境下で144時間保存した場合の偏光度変化が、2%未満が好ましい。
本発明では、偏光子を構成する樹脂がポリビニルアルコールであることが好ましく、ポリビニルアルコールで構成された偏光子の偏光板を、温度80℃、相対湿度90%で144時間経時させた後のポリビニルアルコールの結晶化指数は、0.05以下が好ましい。
本発明では、波数1134cm−1の吸光度を基準にして、下記式(α)から算出する。
ポリビニルアルコールの結晶化指数
={A(1141cm−1)−A(1134cm−1)}/A(1134cm−1)
このため、高温高湿下で保存後の偏光子表面の赤外吸収スペクトルを測定して、結晶化指数を求め、その効果を調べることができる。
本発明の偏光板のその他の好ましい光学特性等については特開2007−086748号公報の段落番号0238〜0255に記載されており、これらの特性を満たすことが好ましい。
本発明の表示装置は、上述した本発明の偏光板を少なくとも1枚含む。
本発明の表示装置について液晶表示装置を例として説明する。
本発明の液晶表示装置は、液晶セルと本発明の偏光板とを少なくとも有する。液晶表示装置では、第一偏光板および第二偏光板の様に2枚の偏光板の間に液晶セルを配置した構成を取る。液晶セルの駆動モードは特に限定されないが、TN(Twisted Nematic)、OCB(Optical Compensated Bend)、VA(Virtical Alignment)、IPS(In−Place−Switching)等の各駆動モードが一般的に用いられている。さらに、液晶セルの駆動モードに応じて光学補償を行う光学異方性層を用いることが好ましく、液晶セルと偏光板の間に配置される。なお、光学異方性層の機能を偏光板保護フィルムが有していてもよい。
以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す実施例によって、限定的に解釈されるべきものではない。
(1)偏光板保護フィルム101の作製
(セルロースアシレート溶液101の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液101を調製した。
セルロースアシレート溶液101の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
・アセチル置換度2.87のセルロースアセテート
100.0質量部
・偏光子耐久性改良剤(D−2) 7.0質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 389.0質量部
・メタノール(第2溶媒) 58.2質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液102を調製した。
マット剤溶液102の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
・平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、
日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 75.5質量部
・メタノール(第2溶媒) 11.3質量部
・セルロースアシレート溶液101 0.9質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記マット剤溶液102を1.3質量部と、セルロースアシレート溶液101を98.7質量部加えて、インラインミキサーを用いて混合し、樹脂溶液(ドープ)を調製した。バンド流延装置を用い、調製したドープをステンレス製の流延支持体(支持体温度22℃)に流延した。ドープ中の残留溶媒量が略20質量%になった時点で、形成されたフィルムを剥ぎ取った。剥ぎ取ったフィルムの幅方向の両端をテンターで把持し、残留溶媒量が5〜10質量%の状態のフィルムを、120℃の温度下で幅方向に1.10倍(10%)延伸しつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、更に乾燥し、偏光板保護フィルム101を得た。得られた偏光板保護フィルム101の厚みは25μm、幅は1480mm、巻き長さは2700mであった。また、1m2あたりの含有量(添加量)は3.6mmolであった。
偏光板保護フィルム101の作製において、偏光子耐久性改良剤の種類および添加量を後述の表2に記載のように変更した以外は偏光板保護フィルム101と同様の手順に従って、偏光板保護フィルム102〜107およびc01〜c02をそれぞれ作製した。なお、偏光板保護フィルムc01では偏光子耐久性改良剤を添加しなかった。
(セルロースアシレート溶液301の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液301を調製した。
セルロースアシレート溶液301の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
・アセチル置換度2.87のセルロースアセテート
100.0質量部
・添加剤E−1 8.0質量部
・シプロ化成(株)製SEESORB706(商品名)
4.0質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 389.0質量部
・メタノール(第2溶媒) 58.2質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液302を調製した。
マット剤溶液302の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
・平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、
日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 75.5質量部
・メタノール(第2溶媒) 11.3質量部
・セルロースアシレート溶液301 0.9質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、バルビツール酸系添加剤溶液303を調製した。
バルビツール酸系添加剤溶液303の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
・添加剤A−3 20.0質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 69.6質量部
・メタノール(第2溶媒) 10.4質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記マット剤溶液302の1.3質量部と、バルビツール酸系添加剤溶液303の3.
4質量部をそれぞれ濾過後にインラインミキサーを用いて混合し、さらにセルロースアシレート溶液301を95.3質量部加えて、インラインミキサーを用いて混合し、樹脂溶液(ドープ)を調整した。バンド流延装置を用い、調製したドープをステンレス製の流延支持体(支持体温度22℃)に流延した。ドープ中の残留溶媒量が略20質量%の状態になった時点で、形成されたフィルムを剥ぎ取った。剥ぎ取ったフィルムの幅方向の両端をテンターで把持し、残留溶媒量が5〜10質量%の状態のフィルムを、120℃の温度下で幅方向に1.15倍(15%)延伸しつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、セルロースアシレートフィルムS01を得た。得られたセルロースアシレートフィルムS01の厚みは25μm、幅は1480mm、巻き長さは2700mであった。
セルロースアシレートフィルムS01の作製において、添加剤E−1を添加剤B−97に置き換えた以外はセルロースアシレートフィルムS01と同様にしてセルロースアシレートフィルムS02を作製した。
セルロースアシレートフィルムS01の作製において、添加剤E−1を添加剤B−97に置き換え、添加剤A−3を添加しなかったこと以外はセルロースアシレートフィルムS01と同様にしてセルロースアシレートフィルムS03を作製した。
(1)偏光子Aの作製
平均重合度2400、けん化度99.9%以上のPVAの粉体を純水に溶解し、PVAが10質量%になるように調整した。得られたPVA水溶液を、ポリエステルフィルム上に塗布して40℃、3時間乾燥した後、さらに110℃、60分乾燥を行ない、厚み44μmのPVAフィルムを得た。得られたPVAフィルムを30℃の温水で1分間膨潤させ、30℃のヨウ化カリウム/ヨウ素(質量比10:1)の水溶液に浸漬して1.5倍に縦一軸延伸した。なお、使用したヨウ化カリウム/ヨウ素(質量比10:1)の水溶液の濃度は、ヨウ素の濃度が、0.38質量%である。次いで、縦一軸延伸したPVAフィルムを50℃の4.25%のホウ酸水溶液に浸漬して、このホウ酸水溶液中で、さらにPVAフィルムの総延伸倍率が7倍になるように縦一軸延伸した。延伸されたPVAフィルムを取り出し、30℃の水浴に浸漬することで、PVAフィルムを水洗し、50℃、4分間乾燥して、厚み11μmの偏光子Aを得た。
・試料燃焼温度:900℃
・吸収液条件:300ppm過酸化水素水溶液+3.6ppm酒石酸(内部標準)+100倍希釈溶離液/3ml
・カラム:AS12A
・溶離液:2.7mmol/LNa2CO3+0.3mmol/L NaHCO3
・流量:1.5ml/min
・カラム温度:35℃
・吸入液注入量:100μl
厚み、および、ヨウ素含有量が、表2に示される値になるように条件を変更した以外は偏光子Aと同様の手順に従って、偏光子B〜Cを作製した。
上記で作製した偏光板保護フィルム101〜107、c01〜c02およびセルロースアシレートフィルムS01〜S03をそれぞれ、2.3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で3分間浸漬した。その後、室温(25℃)の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温(25℃)の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、偏光板保護フィルム101〜107、c01〜c02およびセルロースアシレートフィルムS01〜S03に対して、フィルム表面の鹸化処理を行った。
(1)偏光板H01の作製
鹸化処理した偏光板保護フィルム101を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記にて製造した偏光子Aの片側に貼り付けた。さらに、偏光板保護フィルム101と偏光子を挟んで反対側に鹸化処理したセルロースアシレートフィルムS01を貼り付けた。この際、偏光子の透過軸と作製した偏光板保護フィルムおよびセルロースアシレートフィルムの幅方向とが平行になるように配置した。
このようにして、本発明の偏光板H01を作製した。
偏光板H01の作製において、偏光板保護フィルム、セルロースアシレートフィルム、および偏光子を下記表2に記載のものに変更した以外は偏光板H01と同様にして、本発明の偏光板H02〜H11、比較の偏光板Hc1〜Hc3を作製した。
上記で作製した各偏光板に対して、日本分光(株)製自動偏光フィルム測定装置VAP−7070を用いて直交透過率および平行透過率を測定し、以下の式により偏光度を算出した。
={(平行透過率−直交透過率)/(平行透過率+直交透過率)}1/2×100
経時前後の偏光度の変化量が小さいほど好ましく、ランクC以上が実用レベルである。
B:経時前後の偏光度変化が1%以上2%未満
C:経時前後の偏光度変化が2%以上5%未満
D:経時前後の偏光度変化が5%以上
偏光板H05とH09との対比から、特定化合物の含有量が、偏光子保護フィルム1m2あたり5.0mmol以上の偏光板H09は、より優れた耐久性を示した。
一方、偏光板保護フィルムが特定化合物を含有しない偏光板Hc1〜Hc2や、偏光板保護フィルムが特定化合物を含有するが偏光子中のヨウ素含有量が所定値に満たない偏光板Hc3は、いずれも耐久性が不十分であった。
2 上側偏光板吸収軸の方向
3 液晶セル上電極基板
4 上基板の配向制御方向
5 液晶層
6 液晶セル下電極基板
7 下基板の配向制御方向
8 下側偏光板
9 下側偏光板吸収軸の方向
10 液晶表示装置
Claims (3)
- 偏光子の両側または片側に偏光板保護フィルムを有する偏光板であって、
前記偏光板保護フィルムが、下記一般式(I)または(II)で表される化合物を含有し、
前記偏光子が、ヨウ素を含有し、前記偏光子中の前記ヨウ素の含有量が、4.0質量%以上である、偏光板。
一般式(II)中、Xは、下記一般式(I−A−3)で表される基を表す。R21およびR22は、それぞれ独立に、置換基を表す。n21およびn22は、それぞれ独立に、1〜5の整数を表す。m21およびm22は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
一般式(I)中、複数存在するXは、同一であっても異なってもよい。m1が2以上の整数である場合に複数存在するR1は、同一であっても異なってもよい。
一般式(II)中、複数存在するXは、同一であっても異なってもよい。m21が2以上の整数である場合に複数存在するR21は、同一であっても異なってもよい。m22が2以上の整数である場合に複数存在するR22は、同一であっても異なってもよい。
- 前記偏光板保護フィルムが、セルロースアシレートを含有する、請求項1に記載の偏光板。
- 請求項1または2に記載の偏光板を少なくとも1枚含む、表示装置。
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