JP2016188304A - セルロースエステル樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】構成成分のブリード(ブリードアウト)が生じにくく、吸水性(吸湿性)が低減され、かつ良好な成形性(特に成膜性)を有し、特に、偏光子保護フィルムの構成材料として使用することで液晶ディスプレイの額縁故障を低減できるセルロースエステル組成物を提供する。
【解決手段】セルロースエステルと、テルペン系樹脂及び芳香族系石油樹脂からなる群より選択される少なくとも一種とを含有することを特徴とするセルロースエステル樹脂組成物。上記セルロースエステルは、アセチル置換度2.1以上3.0以下のセルロースアセテートであってもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、セルロースエステルを含む樹脂組成物(セルロースエステル樹脂組成物)に関する。より詳しくは、特に、液晶ディスプレイ用の偏光子保護フィルムの構成材料として好ましく使用できるセルロースエステル樹脂組成物に関する。
従来、液晶ディスプレイ用の偏光子保護フィルム等の光学フィルムには、主に、セルローストリアセテートの流延フィルムが使用されてきた。しかしながら、セルローストリアセテートフィルムは、偏光子保護フィルムとして液晶ディスプレイに組み込まれた後に、液晶ディスプレイの設置環境の湿度によりディスプレイのパネルの端面から浸入した水分を吸収しやすいため、この水分を吸収した部分の光学特性が変化し、画像表示上の欠陥、詳しくは、液晶ディスプレイの黒表示中に額縁状に明るくなる光漏れ故障を生じる。この現象自体は、額縁故障として知られている(例えば、特許文献1参照)。
このため、偏光子保護フィルムの吸水性(吸湿性)を低減させることが検討されている。例えば、偏光子保護フィルムのベース樹脂であるセルロースエステル樹脂に、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオールと安息香酸とを反応させて得られるエステル化合物を添加して、耐透湿性を付与する手法が提案されている(特許文献2参照)。
国際公開第2010/082411号 特開2003−096236号公報
しかしながら、特許文献2に開示された方法では、偏光子保護フィルムの吸水性を十分に低減させることができず、また、上記エステル化合物の添加量を増量して吸水性をより低減しようとした場合には、上記エステル化合物がブリードしてしまうという問題が生じた。
ところで、セルロースアセテート系樹脂は、一般に可塑剤の添加無しでは良好な可とう性を有する成形物を得ることが難しく、成形性(特に成膜性)に劣る。従って、従来は可塑剤の種類と量とを選択することによって、様々な物理的特性(強靱性、柔軟性、寸法安定性、耐水性、耐油性等)の改善が試みられてきた。しかしながら、従来のセルロースアセテート系樹脂においては、可塑剤を使用した場合であっても吸湿性を十分に低減することができず、また、寸法安定性にも劣る等の問題があった。また、吸湿性をより低くするために可塑剤を多く使用すると、ブリードするという問題があった。
従って、本発明の目的は、構成成分のブリード(ブリードアウト)が生じにくく、吸水性(吸湿性)が低減され、かつ良好な成形性(特に成膜性)を有し、特に偏光子保護フィルムの構成材料として使用することで液晶ディスプレイの額縁故障を低減できるセルロースエステル組成物を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、セルロースエステルと特定の添加剤とを必須成分として含む樹脂組成物(セルロースエステル樹脂組成物)が、構成成分のブリードが生じにくく、吸水性(吸湿性)が低減され、かつ良好な成形性(特に成膜性)を有し、特に偏光子保護フィルムの構成材料として使用することで液晶ディスプレイの額縁故障を低減できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、セルロースエステルと、テルペン系樹脂及び芳香族系石油樹脂からなる群より選択される少なくとも一種とを含有することを特徴とするセルロースエステル樹脂組成物を提供する。
セルロースエステルは、アセチル置換度2.1以上3.0以下のセルロースアセテートであってもよい。
セルロースエステルは、アセチル置換度とプロピオニル置換度の和が2.1以上3.0以下のセルロースアセテートプロピオネートであってもよい。
セルロースエステルは、アセチル置換度とブチリル置換度の和が2.1以上3.0以下のセルロースアセテートブチレートであってもよい。
セルロースエステルは、セルロースアセテート又はセルロースアセテートアシレートであって、アセチル基の置換度x、下記式(1)
Figure 2016188304
[式中、Rは、炭素数2以上のアルキル基、不飽和結合を有するアルキル基、又は、置換若しくは無置換の芳香族基を示す。]
で表されるアシル基の置換度y、及び未置換度zが、下記式(a)、式(b)、及び式(c)を満たすセルロースエステルであってもよい。
2.1≦ x ≦3 (a)
0≦ y ≦0.9 (b)
z = 3−x−y (c)
Rは炭素数4以上21以下のアルキル基であってもよい。
本発明のセルロースエステル樹脂組成物は上記構成を有するため、構成成分のブリードが生じにくく、吸水性(吸湿性)が低減されており、良好な成形性(特に成膜性)を有する。このため、本発明のセルロースエステル樹脂組成物は特に偏光子保護フィルムの構成材料として好ましく使用でき、本発明のセルロースエステル樹脂組成物より形成した偏光子保護フィルムを用いることによって、液晶ディスプレイにおける額縁故障が低減される。
<セルロースエステル樹脂組成物>
本発明のセルロースエステル樹脂組成物は、セルロースエステルと、テルペン系樹脂及び芳香族系石油樹脂からなる群より選択される少なくとも一種とを必須成分として含有する組成物(樹脂組成物)である。本発明のセルロースエステル樹脂組成物は、上述の必須成分以外の成分(任意の成分)を含有していてもよい。なお、本明細書において、本発明のセルロースエステル樹脂組成物の必須成分であるセルロースエステルを「成分A」と称する場合があり、テルペン系樹脂及び芳香族系石油樹脂からなる群より選択される少なくとも一種を「成分B」と称する場合がある。
[セルロースエステル(成分A)]
本発明のセルロースエステル樹脂組成物の必須成分であるセルロースエステル(成分A)としては、公知乃至慣用のセルロースエステルを使用することができ、特に限定されないが、例えば、セルロースアセテート(酢酸セルロース)、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロース混合アシレート(例えば、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等のセルロースアセテートC2-30アシレート等)等の有機酸エステル;硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロース等の無機酸エステル;硝酸酢酸セルロース等の有機酸無機酸混酸エステル等が挙げられる。なお、上記セルロースアセテートには、セルローストリアセテート(アセチル置換度2.6〜3)、セルロースジアセテート(アセチル置換度2以上2.6未満)、セルロースモノアセテートが含まれる。
中でも、成分Aとしては、有機酸エステル(セルロース有機酸エステル)が好ましく、特に、樹脂組成物の光学特性及び機械特性の観点から、セルロースアセテート、セルロース混合アシレート(特に、セルロースアセテートアシレート)が好ましい。
セルロースアセテートとしては、特に、成分Bとの相溶性、樹脂組成物の光学特性の観点から、アセチル置換度2.1〜3.0(2.1以上3.0以下)のセルロースアセテートが好ましく、より好ましくはアセチル置換度2.4〜3.0のセルロースアセテート、さらに好ましくはアセチル置換度2.8〜3.0のセルロースアセテートである。
なお、セルロースアセテートのアセチル置換度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験方法)における酢化度の測定法に準じて求めた酢化度を次式で換算することにより求められる。これは、最も一般的なセルロースアセテートの置換度の求め方である。
DS=162.14×AV×0.01/(60.052−42.037×AV×0.01)
DS:アセチル置換度
AV:酢化度(%)
まず、乾燥したセルロースアセテート(試料)500mgを精秤し、超純水とアセトンとの混合溶媒(容量比4:1)50mlに溶解した後、0.2N−水酸化ナトリウム水溶液50mlを添加し、25℃で2時間ケン化する。次に、0.2N−塩酸50mlを添加し、フェノールフタレインを指示薬として、0.2N−水酸化ナトリウム水溶液(0.2N−水酸化ナトリウム規定液)で、脱離した酢酸量を滴定する。また、同様の方法によりブランク試験(試料を用いない試験)を行う。そして、下記式にしたがってAV(酢化度)(%)を算出する。
AV(%)=(A−B)×F×1.201/試料重量(g)
A:0.2N−水酸化ナトリウム規定液の滴定量(ml)
B:ブランクテストにおける0.2N−水酸化ナトリウム規定液の滴定量(ml)
F:0.2N−水酸化ナトリウム規定液のファクター
セルロースアセテートのアセチル置換度は、上記滴定法のほか、13C−NMR、1H−NMRにより測定することもできる。
なお、アセチル置換度とは、セルロースの繰り返し単位(グルコピラノース単位)あたりの水酸基(2位、3位、及び6位の水酸基)の水素原子を置換するアセチル基の数(平均値)を示す。プロピオニル置換度等のその他のアシル基の置換度も同様であり、これらその他のアシル基の置換度についてもそれぞれ、ASTM:D−817−91に準ずる方法や、13C−NMR、1H−NMRにより測定できる。
セルロース混合アシレートとしては、セルロースアセテートプロピオネートを好ましく使用できる。特に、成分Bとの相溶性、樹脂組成物の光学特性の観点から、アセチル置換度とプロピオニル置換度の和が2.1〜3.0のセルロースアセテートプロピオネートが好ましく、より好ましくは上記和が2.5〜2.9のセルロースアセテートプロピオネートである。セルロースアセテートプロピオネートにおけるアセチル置換度は、特に限定されないが、0を超え2.0以下が好ましく、より好ましくは0.1〜1.0である。また、セルロースアセテートプロピオネートにおけるプロピオニル置換度は、特に限定されないが、0.1〜2.9が好ましく、より好ましくは2.0〜2.8である。アセチル置換度及びプロピオニル置換度を上記範囲に制御することにより、成分Bとの相溶性がより高くなり、樹脂組成物の光学特性がいっそう向上する傾向がある。
また、セルロース混合アシレートとしては、セルロースアセテートブチレートも好ましく使用できる。特に、成分Bとの相溶性、樹脂組成物の光学特性の観点から、アセチル置換度とブチリル置換度の和が2.1〜3.0のセルロースアセテートブチレートが好ましく、より好ましくは上記和が2.5〜2.9のセルロースアセテートブチレートである。セルロースアセテートブチレートにおけるアセチル置換度は、特に限定されないが、0.1〜2.5が好ましく、より好ましくは1.5〜2.2である。また、セルロースアセテートブチレートにおけるブチリル置換度は、特に限定されないが、0.1〜2.9が好ましく、より好ましくは0.2〜1.0である。アセチル置換度及びブチリル置換度を上記範囲に制御することにより、成分Bとの相溶性がより高くなり、樹脂組成物の光学特性がいっそう向上する傾向がある。
また、成分Aとしては、セルロースアセテート又はセルロースアセテートアシレートであって、アセチル基の置換度(アセチル置換度)x、下記式(1)で表されるアシル基の置換度y、及び未置換度z(セルロースの繰り返し単位あたりの未置換の水酸基の平均値)が、下記式(a)、式(b)、及び式(c)を満たすセルロースエステルを好ましく使用できる。
Figure 2016188304
2.1≦ x ≦3 (a)
0≦ y ≦0.9 (b)
z = 3−x−y (c)
式(1)中、Rは、炭素数2以上のアルキル基、不飽和結合を有するアルキル基、又は、置換若しくは無置換の芳香族基を示す。炭素数2以上のアルキル基は、直鎖、分岐鎖、環状のいずれであってもよく、例えば、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、2−メチルペンタン−3−イル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、ラウリル基、ミリスチル基、セチル基、ステアリル基等の直鎖又は分岐鎖状アルキル基(例えば、炭素数2〜30の直鎖又は分岐鎖状アルキル基等);シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基等の環状アルキル基(例えば、炭素数3〜20の環状アルキル基等)等が挙げられる。上述の不飽和結合を有するアルキル基としては、上述のアルキル基の鎖中に二重結合等の不飽和結合を少なくとも1個有する基が挙げられ、例えば、アルケニル基(例えば、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、ノナニル基、デセニル基等)、アルカジエニル基(例えば、1,3−ブタジエニル基、2,4−ブタジエニル基、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエニル基等)、アルカトリエニル基等が挙げられる。上述の芳香族基としては、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基等の炭素数6〜14のアリール基等)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル基、3−ナフチルプロピル基等の炭素数7〜12のアラルキル基等)の芳香族炭化水素基;フリル基、チエニル基、ピリジル基等の芳香族複素環基等が挙げられる。なお、上述の芳香環基が有していてもよい置換基としては、例えば、炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、アルキレンジオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、ヒドラジノ基、シアノ基、ニトロ基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシ基、保護基で保護されていてもよいカルボキシ基、スルホニルアミノ基、スルホ基、リン酸アミド基、置換シリル基等が挙げられる。なお、上記芳香族基における置換基の置換位置は、特に限定されないが、例えば、芳香環(芳香族炭化水素環、芳香族複素環)を構成する炭素原子に結合した水素原子と置換するものであってもよい。
特に、式(1)におけるRとしては、成分Bとの相溶性、樹脂組成物の光学特性及び機械特性、吸水性の観点から、炭素数4〜21のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数4〜21の直鎖又は分岐鎖状アルキル基である。特に吸水性の低減を重視する場合には、炭素数8〜21の直鎖又は分岐鎖状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数10〜21の直鎖又は分岐鎖状アルキル基である。
上記式(1)で表される基を有するセルロースエステルは、式(1)で表される基を一種のみ有するものであってもよいし、式(1)で表される基を二種以上有するものであってもよい。
上記式(a)は、アセチル置換度(x)が2.1〜3であることを示す。上記セルロースエステルが式(1)で表される基(アシル基)を有する場合、xは、2.1〜2.9が好ましく、より好ましくは2.1〜2.7である。特に、式(1)におけるRが炭素数8以上の直鎖又は分岐鎖状アルキル基(例えば、炭素数10〜21の直鎖又は分岐鎖状アルキル基)の場合には、xは、樹脂組成物の光学特性の観点で、2.2以上(例えば、2.2〜2.7)であることが好ましい。
上記式(b)は、式(1)で表される基の置換度(y)が0〜0.9であることを示す。上記セルロースエステルが式(1)で表される基を有する場合、yは、0.1〜0.9が好ましく、より好ましくは0.2〜0.8である。
上記セルロースエステル(セルロースアセテート又はセルロースアセテートアシレート)としては、より具体的には、例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートラウレート、セルロースアセテートステアレート、セルロースアセテートベンゾエート等が挙げられる。
成分Aの重合度(あるいは、粘度平均重合度)は、特に限定されないが、成分Bとの相溶性の観点で、150〜400が好ましい。成分Aの重合度は、サイズ排除クロマトグラフィー分析(GPC−光散乱法)により求められる。
成分Aの重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、樹脂組成物の成形性(例えば、成膜性等)及び機械特性等の点から、30000〜300000が好ましく、より好ましくは60000〜200000である。また、成分Aの分子量分散度(Mw/Mn)は、特に限定されないが、 1.5〜4が好ましく、より好ましくは2〜3である。成分Aの重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分子量分散度(Mw/Mn)は、高速液体クロマトグラフィーを用いて公知の方法で求められる。
本発明のセルロースエステル樹脂組成物において成分Aは、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。また、成分Aは、周知慣用の方法により製造して得ることもできるし、市販品を入手することも可能である。
本発明のセルロースエステル樹脂組成物における成分Aの含有量(配合量)は、特に限定されないが、セルロースエステル樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、40〜98重量%が好ましく、より好ましくは50〜95重量%、さらに好ましくは60〜90重量%である。成分Aの含有量を40重量%以上とすることにより、樹脂組成物の光学特性及び機械特性がより向上する傾向がある。一方、成分Aの含有量を98重量%以下とすることにより、樹脂組成物の吸水性がより低減し、成形性(特に成膜性)がより向上する傾向がある。
[テルペン系樹脂及び芳香族系石油樹脂からなる群より選択される少なくとも一種(成分B)]
本発明のセルロースエステル樹脂組成物における成分Bは、上述のように、テルペン系樹脂及び芳香族系石油樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の成分である。成分Bは、成分Aとの相溶性が良好であり、ブリードを生じさせることなく、樹脂組成物の吸水性(吸湿性)を効率的に低減させることができ、さらに、その成形性(特に成膜性)を効率的に向上させることができる。
(テルペン系樹脂)
上記テルペン系樹脂としては、公知乃至慣用のテルペン系樹脂を使用することができ、特に限定されないが、例えば、テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、芳香族変性水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水添テルペンフェノール樹脂等が挙げられる。
上記テルペン樹脂としては、例えば、モノテルペン(例えば、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン、リモネン、カンフェン等)、セスキテルペン(例えば、ファルネセン、セドレン等)、ジテルペン(例えば、アビエチン酸等)、セステルテルペン、トリテルペン、テトラテルペン等のテルペン類の重合物が挙げられる。なお、上記テルペン樹脂は、テルペン類の単独重合物(単独重合体)、共重合物(共重合体)のいずれであってもよい。上記テルペン樹脂としては、例えば、商品名「YSレジンPX」(ヤスハラケミカル(株)製)等の市販品を入手可能である。
上記水添テルペン樹脂としては、例えば、上述のテルペン樹脂を水素添加(水添)して得られるものが挙げられる。上記水添テルペン樹脂における水素添加の程度(水添率)は、特に限定されず、適宜選択可能である。上記水添テルペン樹脂としては、例えば、商品名「クリアロンP」(ヤスハラケミカル(株)製)等の市販品を入手可能である。
上記芳香族変性テルペン樹脂としては、例えば、テルペン類と、芳香族ビニル化合物(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルフェノール、インデン等)とを共重合させて得られるものが挙げられる。上記芳香族変性テルペン樹脂のモノマー成分としてのテルペン類、芳香族ビニル化合物は、それぞれ、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。上記芳香族変性テルペン樹脂としては、例えば、商品名「YSレジンTO」、「YSレジンTR」(以上、ヤスハラケミカル(株)製)等の市販品を入手可能である。
上記芳香族変性水添テルペン樹脂としては、例えば、上述の芳香族変性テルペン樹脂を水素添加(水添)して得られるものが挙げられる。上記芳香族変性水添テルペン樹脂における水素添加の程度(水添率)は、特に限定されず、適宜選択可能である。上記芳香族変性水添テルペン樹脂としては、例えば、商品名「クリアロンM」、「クリアロンK」(以上、ヤスハラケミカル(株)製)等の市販品を入手可能である。
上記テルペンフェノール樹脂としては、例えば、テルペン類とフェノール類(例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、プロピルフェノール、ノニルフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、メトキシフェノール、ブロモフェノール、ビスフェノールA、ナフトール、メチルナフトール、ジヒドロキシナフタレン等)とを共重合させて得られるものが挙げられる。上記テルペンフェノール樹脂のモノマー成分としてのテルペン類、フェノール類は、それぞれ、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。上記テルペンフェノール樹脂としては、例えば、商品名「YSポリスターU」、「YSポリスターT」、「YSポリスターS」、「YSポリスターG」、「YSポリスターN」、「YSポリスターTH」(以上、ヤスハラケミカル(株)製)等の市販品を入手可能である。
上記水添テルペンフェノール樹脂としては、例えば、上述のテルペンフェノール樹脂を水素添加(水添)して得られるものが挙げられる。上記水添テルペンフェノール樹脂における水素添加の程度(水添率)は、特に限定されず、適宜選択可能である。上記水添テルペンフェノール樹脂としては、例えば、商品名「YSポリスターUH」(ヤスハラケミカル(株)製)等の市販品を入手可能である。
中でも、テルペン系樹脂としては、成分A(特に、好ましいものとして上述した成分A)との相溶性の観点で、芳香族変性テルペン樹脂、芳香族変性水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水添テルペンフェノール樹脂が好ましく、より好ましくはテルペンフェノール樹脂、芳香族変性水添テルペン樹脂である。
上記テルペン系樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、500〜2000が好ましく、より好ましくは600〜1800である。重量平均分子量を上記範囲とすることにより、樹脂組成物からのブリードがいっそう抑制され、また、樹脂組成物の光学特性(例えば、透明性)がより向上する傾向がある。なお、上記重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定される標準ポリスチレン換算の分子量から算出される。
本発明のセルロースエステル樹脂組成物においてテルペン系樹脂は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
(芳香族系石油樹脂)
上記芳香族系石油樹脂は、分解油留分のうちC9留分(例えば、ビニルトルエン、インデン等)を主要なモノマーとして重合(単独重合又は共重合)して得られる樹脂(「C9系石油樹脂」と称する場合もある)、当該樹脂を水素添加したもの、又は上記樹脂の変性物である。上記C9系石油樹脂としては、例えば、C5留分(例えば、ペンタン、イソプレン、シクロペンタジエン等)とC9留分との共重合樹脂も使用できる。上記C9系石油樹脂としては、例えば、商品名「ペトロジン」(三井化学(株)製)、商品名「ペトライト」(ミクニ化学(株)製)、商品名「日石ネオポリマー」(JX日鉱日石エネルギー(株)製)、商品名「ペトコ−ル」、「ペトロタック」(以上、東ソー(株)製)等の市販品が入手可能である。
上述のように、上記芳香族系石油樹脂としては、上記C9系石油樹脂を水素添加(水添)して得られる水添石油樹脂も使用できる。上記水添石油樹脂における水素添加の程度(水添率)は、特に限定されず、適宜選択可能である。上記水添石油樹脂としては、例えば、商品名「アルコンP」、「アルコンM」(以上、脂環族飽和炭化水素樹脂、荒川化学(株)製)等の市販品が入手可能である。
また、上記芳香族系石油樹脂としては、上記C9系石油樹脂を変性したもの(変性石油樹脂)も使用できる。上記変性石油樹脂としては、例えば、不飽和脂環式化合物で変性したC9系石油樹脂、水酸基を有する化合物で変性したC9系石油樹脂、不飽和カルボン酸化合物で変性したC9系石油樹脂等が挙げられる。
上記不飽和脂環式化合物としては、例えば、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、シクロペンタジエン/メチルシクロペンタジエン共二量化物等が挙げられる。C9系石油樹脂の変性に用いる不飽和脂環式化合物の量は特に限定されず、適宜選択可能である。不飽和脂環式化合物で変性したC9系石油樹脂としては、例えば、商品名「日石ネオポリマー130S」(ジシクロペンタジエン変性C9系石油樹脂、JX日鉱日石エネルギー(株)製)等の市販品が入手可能である。
上記水酸基を有する化合物としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノ−ル、イソプロパノ−ル、2−メチル−2−プロパノ−ル、シクロヘキサノール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、グリセリン等)やフェノール類(例えば、上述のフェノール類等)等が挙げられる。C9系石油樹脂の変性に用いる水酸基を有する化合物の量は特に限定されず、適宜選択可能である。水酸基を有する化合物で変性したC9系石油樹脂としては、例えば、商品名「日石ネオポリマーE−130」(JX日鉱日石エネルギー(株)製)等の市販品が入手可能である。
上記不飽和カルボン酸化合物としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、アクリル酸、メタクリル酸、シトラコン酸等が挙げられる。C9系石油樹脂の変性に用いる不飽和カルボン酸化合物の量は特に限定されず、適宜選択可能である。不飽和カルボン酸化合物で変性したC9系石油樹脂としては、例えば、商品名「ネオポリマー160」(JX日鉱日石エネルギー(株)製)等の市販品が入手可能である。
中でも、芳香族系石油樹脂としては、成分A(特に、好ましいものとして上述した成分A)との相溶性の観点で、C9系石油樹脂、フェノール変性C9系石油樹脂(フェノール類で変性したC9系石油樹脂)が好ましい。
本発明のセルロースエステル樹脂組成物において芳香族系石油樹脂は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
なお、本発明のセルロースエステル樹脂組成物は、成分Bとして、テルペン系樹脂と芳香族系石油樹脂のいずれか一方のみを有していてもよいし、テルペン系樹脂と芳香族系石油樹脂との両方を有していてもよい。
本発明のセルロースエステル樹脂組成物における成分Bの含有量(配合量)は、特に限定されないが、セルロースエステル樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、1〜60重量%が好ましく、より好ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは15〜40重量%である。成分Bの含有量を1重量%以上とすることにより、樹脂組成物の吸水性(吸湿性)がいっそう低減し、成形性(特に成膜性)がより向上する傾向がある。一方、成分Bの含有量を60重量%以下とすることにより、樹脂組成物の光学特性及び機械物性がより向上する傾向がある。
本発明のセルロースエステル樹脂組成物に含まれる成分Aの全量100重量部に対する成分Bの割合は、特に限定されないが、5〜100重量部が好ましく、より好ましくは15〜80重量部、さらに好ましくは25〜60重量部である。成分Bの割合を5重量部以上とすることにより、樹脂組成物の吸水性(吸湿性)がいっそう低減し、成形性(特に成膜性)がより向上する傾向がある。一方、成分Bの含有量を100重量部以下とすることにより、樹脂組成物の光学特性及び機械物性がより向上する傾向がある。
本発明のセルロースエステル樹脂組成物(100重量%)における成分Aと成分Bの総量の割合は、樹脂組成物の光学特性及び機械特性の観点で、特に限定されないが、70重量%以上(例えば、70〜100重量%)が好ましく、より好ましくは80重量%以上(例えば、80〜98重量%)、さらに好ましくは90重量%以上である。
[その他の成分]
本発明のセルロースエステル樹脂組成物は、上述の成分A及び成分B以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、可塑剤、無機粉体、熱安定剤、劣化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、溶剤等の慣用の添加剤が挙げられる。これらその他の成分のそれぞれの含有量は、特に限定されないが、セルロースエステル樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、10重量%以下(例えば、0.1〜10重量%)が好ましく、より好ましくは5重量%以下(例えば、0.5〜5重量%)である。
本発明のセルロースエステル樹脂組成物は、周知慣用の製造方法により製造することができ、例えば、成分A、成分B、及び必要に応じてその他の成分を、必要に応じて加熱しながら、湿式又は乾式で混合することにより製造できる。より詳しくは、例えば、上述の成分A及び成分B等を溶剤存在下で混合し(例えば、溶液や分散液等の形態で混合し)、さらに必要に応じて溶剤を除去することによって、本発明のセルロースエステル樹脂組成物を製造できる。溶剤としては、成分Aや成分Bの種類等に応じて公知乃至慣用の溶媒から適宜選択でき、特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、メチルt−ブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の鎖状又は環状エーテル;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。また、例えば、上述の成分A及び成分B等を、二軸押出機、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、ニーダー等を用いて混合(例えば、溶融混合)することによっても、本発明のセルロースエステル樹脂組成物を製造できる。
本発明のセルロースエステル樹脂組成物の含水率(平衡含水率)は、特に限定されないが、1.8重量%未満(例えば、0重量%以上、1.8重量%未満)が好ましく、より好ましくは1.0重量%未満、さらに好ましくは0.2重量%未満である。含水率を1.8重量%未満とすることにより、例えば、偏光子保護フィルムの構成材料として使用した場合の液晶ディスプレイの額縁故障がいっそう低減される傾向がある。なお、上記含水率は、実施例に記載の方法により測定される値である。
本発明のセルロースエステル樹脂組成物の用途は特に限定されず、例えば、各種成形品として使用できる。本発明のセルロースエステル樹脂組成物の成形品は、例えば、OA・家電機器分野、電気・電子分野、通信機器分野、サニタリー分野、自動車等の輸送車両分野、家具・建材等の住宅関連分野、雑貨分野等の各パーツ、ハウジング、ケーシング、筐体等の各種用途に使用できる。上記成形品の形状や形態は、特に限定されず、フィルム状(シート状を含む)、板状、繊維状等のいずれであってもよい。成形方法も特に限定されず、公知乃至慣用の方法が適用可能である。
本発明のセルロースエステル樹脂組成物をフィルム状の成形品とすることにより、例えば、光学フィルム(特に、偏光子保護フィルム)として好ましく使用できる。上記光学フィルム(特に、偏光子保護フィルム)の厚みは、特に限定されず、例えば、0.1〜2000μmの範囲から適宜選択可能である。上記光学フィルムは、例えば、ソルベントキャスト法(流延法)により製造できる。上記光学フィルムを偏光子保護フィルムとして使用して偏光板(偏光子と偏光子保護フィルムとを少なくとも有する偏光板)が得られる。当該偏光板を用いて製造される液晶ディスプレイは、上記偏光子保護フィルムの構成材料として本発明のセルロースエステル樹脂組成物を用いているため、額縁故障の発生が低減され、優れた品質を有する。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、表1における「−」は、当該成分の配合を行わなかったことを意味する。
実施例では、下記のセルロースエステルを使用した。
(1)アセチル置換度が2.9のセルロースアセテート:(株)ダイセル製、LT−55
(2)アセチル置換度が2.5のセルロースアセテート:従来公知の方法により合成したもの
(3)アセチル置換度が2.4のセルロースアセテート:(株)ダイセル製、L−50
(4)アセチル置換度が2.2のセルロースアセテート:(株)ダイセル製、LM−80
(5)セルロースアセテートプロピオネート:イーストマン社製、CAP−482−0.5
(6)セルロースアセテートブチレート:イーストマン社製、CAB−171−15
(7)セルロースアセテートラウレート(アセチル置換度2.4、ラウリル置換度0.6):合成例1により合成したもの
(8)セルロースアセテートベンゾエート(アセチル置換度2.4、ベンゾイル置換度0.6):合成例2により合成したもの
(9)セルロースアセテートステアレート(アセチル置換度2.4、ステアリル置換度0.6):合成例3により合成したもの
(10)セルロースアセテートステアレート(アセチル置換度2.2、ステアリル置換度0.7):合成例4により合成したもの
合成例1
[セルロースアセテートラウレート(アセチル置換度2.4、ラウリル置換度0.6)の合成]
撹拌機及び冷却管を備えた3L丸底フラスコに、ピリジン1600gを入れ、攪拌を開始した。ここに、(株)ダイセル製の酢酸セルロース[商品名L−50、アセチル置換度2.4の酢酸セルロースを105℃で2時間乾燥し、水分量を0.5重量%以下としたもの]275g(1.04mol)を加え、シリコーン油浴で60℃まで昇温し、溶解するまで攪拌した。攪拌を継続しながら、ラウリン酸クロリド[東京化成工業(株)製、商品コードD0972]260g(1.19mol)を60分かけて滴下した後、80℃に昇温し、4時間攪拌を継続した。その後、得られた反応混合物にメタノールを加え、沈澱を形成させた。脱液したウェットケーキを60℃のエタノールで洗浄し、セルロースアセテートラウレートを得た。
合成例2
[セルロースアセテートベンゾエート(アセチル置換度2.4、ベンゾイル置換度0.6)の合成]
撹拌機及び冷却管を備えた3L丸底フラスコに、ピリジン1600gを入れ、攪拌を開始した。ここに、(株)ダイセル製の酢酸セルロース[商品名L−50、アセチル置換度2.4の酢酸セルロースを105℃で2時間乾燥し、水分量を0.5重量%以下としたもの]275g(1.04mol)を加え、シリコーン油浴で60℃まで昇温し、溶解するまで攪拌した。攪拌を継続しながら、塩化ベンゾイル[東京化成工業(株)製、商品コードB0105]167g(1.19mol)を60分かけて滴下した後、80℃に昇温し、4時間攪拌を継続した。その後、得られた反応混合物にメタノールを加え、沈澱を形成させた。脱液したウェットケーキを60℃のエタノールで洗浄し、セルロースアセテートベンゾエートを得た。
合成例3
[セルロースアセテートステアレート(アセチル置換度2.4、ステアリル置換度0.6)の合成]
撹拌機及び冷却管を備えた3L丸底フラスコに、ピリジン1600gを入れ、攪拌を開始した。ここに、(株)ダイセル製の酢酸セルロース[商品名L−50、アセチル置換度2.4の酢酸セルロースを105℃で2時間乾燥し、水分量を0.5重量%以下としたもの]275g(1.04mol)を加え、シリコーン油浴で60℃まで昇温し、溶解するまで攪拌した。攪拌を継続しながら、ステアリン酸クロリド[東京化成工業(株)製、商品コードS0404]360g(1.19mol)を60分かけて滴下した後、80℃に昇温し、4時間攪拌を継続した。その後、得られた反応混合物にメタノールを加え、沈澱を形成させた。脱液したウェットケーキを60℃のエタノールで洗浄し、セルロースアセテートステアレート370gを得た。
合成例4
[セルロースアセテートステアレート(アセチル置換度2.2、ステアリル置換度0.7)の合成]
撹拌機及び冷却管を備えた3L丸底フラスコに、ピリジン1600gを入れ、攪拌を開始した。ここに、(株)ダイセル製の酢酸セルロース[商品名LM−80、アセチル置換度2.2の酢酸セルロースを105℃で2時間乾燥し、水分量を0.5重量%以下としたもの]265g(1.04mol)を加え、シリコーン油浴で60℃まで昇温し、溶解するまで攪拌した。攪拌を継続しながら、ステアリン酸クロリド[東京化成工業(株)製、商品コードS0404]243g(0.80mol)を60分かけて滴下した後、80℃に昇温し、4時間攪拌を継続した。その後、得られた反応混合物にメタノールを加え、沈澱を形成させた。脱液したウェットケーキを60℃のエタノールで洗浄し、セルロースアセテートステアレート395gを得た。
実施例1〜13、比較例1〜9
セルロースエステルと添加剤とを含有する樹脂組成物(セルロースエステル樹脂組成物)を用いて、一般的なソルベントキャスト法で樹脂シート(フィルム)を作製した。具体的な操作は以下の通りである。
まず、表1に示す組成で、セルロースエステル100重量部と添加剤(表1に記載の量)とを500重量部の塩化メチレンに溶解させ、ドープを調製した。このドープをガラス板上に流し、バーコーターで流延した。40℃で30分乾燥させ、ガラス板からシートを剥離し、80℃でさらに30分乾燥させ、厚さ400μmの樹脂シートを得た。
実施例では、下記の添加剤を使用した。
添加剤1:テルペンフェノール樹脂、ヤスハラケミカル(株)製、YSポリスターK140
添加剤2:芳香族変性水添テルペン樹脂、ヤスハラケミカル(株)製、クリアロンM125
添加剤3:C9系石油樹脂、東ソー(株)製、ペトコ−ル130
添加剤4:フェノール変性C9系石油樹脂、JX日鉱日石エネルギー(株)製、日石ネオポリマー130S
添加剤5:トリフェニルホスフェート
添加剤6:ジブチルフタレート
[評価]
実施例及び比較例で得た樹脂シートを試料として用い、以下の評価を行った。
(ブリードの評価)
試料を幅手方向50mm×長手方向150mmのサイズに断裁し、23℃、55%RHの恒温恒湿槽に24時間保管した後、60℃、90%RHの恒温恒湿槽に保管した。14日後、28日後の時点での試料(樹脂シート)の表面を観察し、以下の基準に従ってブリードアウト性を評価した。結果を表1に示す。
○(ブリードが生じにくい):28日後でも試料表面に粉体、油分等が発生していない
△(ブリードが生じやすい):14日後では試料表面に粉体、油分等が発生していないが、28日後に試料表面に粉体、油分等が発生している
×(ブリードが非常に生じやすい):14日後に試料表面に粉体、油分等が発生している
(含水率の測定方法)
23℃、50%RHの環境条件下で調湿した試料について、40℃、5kPa以下の条件で3時間真空乾燥を行い、重量(W0)を測定した。
次いで、上記試料を40℃、90%RHの恒温恒湿槽に48時間保管した後、重量(W1)を測定した。そして、下記計算式により試料の平衡含水率(含水率)を算出した。結果を表1に示す。
平衡含水率(%) = {(W1−W0)/W0}×100
Figure 2016188304
実施例で得られた樹脂組成物は、いずれも良好な成形性(特に成膜性)を有しており、また、構成成分(特に、成分B)のブリードが生じず、吸水性(吸湿性)が低減されたものであった。
一方、成分Bの代わりに他の添加剤(可塑剤)を用いた場合(比較例)は、可塑剤のブリードを生じない特性と低吸水性とが両立されなかった。

Claims (6)

  1. セルロースエステルと、テルペン系樹脂及び芳香族系石油樹脂からなる群より選択される少なくとも一種とを含有することを特徴とするセルロースエステル樹脂組成物。
  2. セルロースエステルが、アセチル置換度2.1以上3.0以下のセルロースアセテートである請求項1に記載のセルロースエステル樹脂組成物。
  3. セルロースエステルが、アセチル置換度とプロピオニル置換度の和が2.1以上3.0以下のセルロースアセテートプロピオネートである請求項1に記載のセルロースエステル樹脂組成物。
  4. セルロースエステルが、アセチル置換度とブチリル置換度の和が2.1以上3.0以下のセルロースアセテートブチレートである請求項1に記載のセルロースエステル樹脂組成物。
  5. セルロースエステルが、セルロースアセテート又はセルロースアセテートアシレートであって、アセチル基の置換度x、下記式(1)
    Figure 2016188304
    [式中、Rは、炭素数2以上のアルキル基、不飽和結合を有するアルキル基、又は、置換若しくは無置換の芳香族基を示す。]
    で表されるアシル基の置換度y、及び未置換度zが、下記式(a)、式(b)、及び式(c)を満たすセルロースエステルである請求項1に記載のセルロースエステル樹脂組成物。
    2.1≦ x ≦3 (a)
    0≦ y ≦0.9 (b)
    z = 3−x−y (c)
  6. Rが炭素数4以上21以下のアルキル基である請求項5に記載のセルロースエステル樹脂組成物。
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