以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のモータ機構に使用されるモータ21は、振動モータとして、ステアリングホイールWに取付固定される。ステアリングホイールWは、図1〜3に示すように、振動モータ21を具備してなるモータ機構としての振動装置20と、ステアリングホイール本体1と、を備えて構成される。ステアリングホイール本体1は、運転者が操舵時に把持する略円環状のリング部Rと、リング部Rの中央に配置されてステアリングシャフトSSに締結されるボス部Bと、リング部Rとボス部Bとを連結する複数(実施形態では3本)のスポーク部Sと、を備えて構成される。また、ステアリングホイール本体1は、リング部R、ボス部B、及び、スポーク部Sを連結するように配設される芯金2を備えて構成される。芯金2は、ボス部Bに配置されるボス芯金部3、スポーク部Sに配置されるスポーク芯金部4、及び、リング部Rに配置されるリング芯金部9、を備えて構成される。
なお、このステアリングホイールWは、走行中の車両が走行レーンから逸脱する等したときに、リング部Rを把持した操舵中の運転者に危険を知らせるように、制御回路ECU(図14参照)により、振動装置20を作動させてリング部Rに振動を発生させる。
芯金2は、ボス芯金部3のボス3aが鋼製とし、他の部位、すなわち、ボス芯金部3のボス3aの周囲のボスプレート部3b、スポーク芯金部4、及び、リング芯金部9が、アルミニウム合金等の軽合金材料からダイカスト鋳造されて形成されている。なお、ボス芯金部3のボス3aは、ステアリングシャフトSSが挿通されて、ステアリングシャフトSSにナットNが締結されることにより、ステアリングシャフトSSと接続される。
スポーク芯金部4は、前側の左右二本のスポーク部SF,SFに配置されて、ボスプレート部3bから左右に延びる前側部4a,4aと、後側のスポーク部SBに配置される後側部4bと、を備えて構成される。後側部4bは、リング芯金部9の後端から前方に延びる本体部4cと、本体部4cの前端付近で、ボスプレート部3bの左右両側に分岐して連結される分岐部4d,4dと、本体部4c近傍の分岐部4d,4d相互を左右で連結するように、前後に配置される横杆部4e,4fと、を備えて構成される。
ステアリングホイール本体1は、リング芯金部9と、リング芯金部9の近傍のスポーク芯金部4の周囲に、被覆層12を配設させている。被覆層12は、ウレタン等の樹脂部12aと、樹脂部12aの外周面側に配置される皮革12bと、から構成されている。
ボス部Bの下部側には、合成樹脂製のロアカバー14が配設されるとともに、ボス部Bの上部側には、図示しないエアバッグ装置を設けたパッド16が配設される。
そして、後部側のスポーク部SBには、図3〜5に示すように、スポーク芯金部4の後側部4bにおける後方側の横杆部4fの下面側に、振動装置20を取り付ける取付座5が配設されている。取付座5は、車両の直進操舵時のボス3aの後方におけるリング部Rの左右方向の中央付近に配置されている。また、取付座5は、ステアリングシャフトSSやボス3aの軸心X0に沿って、ねじ孔からなる取付孔6b,7bを貫通させた座部6,7を左右両側に配置させ、座部6,7の間には、略直方体形状に下方に突出する振動受止座8を配設させている。また、右側の座部6には、円柱状の凸部6cが下方に突設されている。
座部6,7と振動受止座8のそれぞれの下面側の座面6a,7a,8aは、ボス3aの軸心X0と直交して、略円環状のリング部Rのリング形成面RPと、平行に配設されている。
振動装置20は、図4〜13に示すように、錘32を取り付けた振動モータ21と、取付ブラケット75と、を備えて構成され、さらに、実施形態では、振動モータ21と振動受止座8との間に介在されるスペーサ60と一体化された組付部材としてのクリップ40と、振動モータ21に電源(DC12V)を供給するリード線92(図1,6,7参照)を接続するためのコネクタ38を設けたプリント基板34と、を備えて構成されている。
振動モータ21は、直流ブラシモータであり、ケース22の一方の端面22bから回転駆動軸30を長く突出させて構成されている。ケース22は、外周面22aにおける回転駆動軸30の軸心X1と直交方向で対向する部位を平面状に切り欠いた断面長円形の略円柱状としている。すなわち、外周面22aには、二つの略円柱状の外周面を有した部位23,24と、平面状の部位25,26とが配設されている。略円柱状の外周面を有した部位23は、振動受止座8に接近する接近側部位23となり、他方の部位24は、振動受止座8から反対側に離れた離隔側部位24としている。
外周面22aにおける平面状の部位25は、図7に示すように、プリント基板34を組み付ける支持座25を構成し、ケース22の端面22c側の縁には、プリント基板34における直流電源供給用の端子37,37を嵌合させる端子孔25b,25bが形成されている。支持座25の座面25aは、平面状として、端子37,37を端子孔25bに嵌合させて、プリント基板34を組み付けた際、プリント基板34の裏面34bと座面25aとが相互に略全面を当接させる状態としている。
また、ケース22は、亜鉛メッキされた鋼板からなる導線性を有した金属部22Mと、端子孔25bの周縁を含んだ端面22c側に配置されるポリアセタール等の合成樹脂からなる絶縁性を有した樹脂部22Pと、から構成されている。
さらに、ケース22におけるモータ21の軸心X1に沿った両側の端面22b,22cには、柱状に突出する凸部としての軸支部27,28が形成されている。錘32から離れた側の端面22cの軸支部28は、回転駆動軸30を長く突設させた円柱状の軸支部27に比べて、外径寸法を大きくし、かつ、後側の外周面に面取り部28aを有した非円柱状の異形柱状としている。
回転駆動軸30に取り付けられる錘32は、略1/3円の厚みを有した板状として、偏心した位置に、回転駆動軸30と嵌合する嵌合孔32aが配設されている。
プリント基板34は、表面34a側に、モータ21への電源供給用のリード線92を接続するためのコネクタ38を有し、裏面34b側に、モータ21への電源供給用の一対の端子37,37を突設させ、さらに、図14に示すように、コネクタ38から端子37,37までの電源線に、モータ21から発生するノイズ除去用のフィルタ回路100を設けて構成されている。このフィルタ回路100は、コモンモードノイズ対策とノーマルモードノイズ対策をおこなえるように、YコンデンサC1,C2、XコンデンサC3、コモンモードチョークコイルLF1や、ダイオードD1を設けて構成されている。フィルタ回路100は、コネクタ38に接続されるリード線92により、車両側の制御回路ECUとバッテリBTに接続されることとなる。
さらに、プリント基板34には、車両のアース側となる芯金2の取付座5にアース接続させるための筐体アース34c,34dが配設されている。筐体アース34dは、モータ21のケース22の金属部22Mを介在させて、フィルタ回路100を取付座5側にアース接続させるもので、プリント基板34の裏面側に配置される裏側筐体アース(FG)としている。なお、実施形態の場合、ケース22の取付座5側へのアースは、図5に示すように、モータ21を取付座5に取付固定する板金製の取付ブラケット75が、取付座5の座部6,7に、ねじ11止めされて固定されることにより、おこなわれている。
この裏側筐体アース34dは、端子37,37の配置エリアを除いた裏面34bの略全面に、導電性を有した部材(例えば、銅箔や金箔等であり、実施形態では銅箔)を設けて形成され、さらに、実施形態の場合には、ケース22の金属部22Mの亜鉛メッキによる電食を防止するように、はんだメッキが施されて構成されている。そして、プリント基板34がケース22の支持座25に支持される際には、金属部22Mの支持座25の略全面に、裏側筐体アース34dが広い面積で接触する状態となる。実施形態の場合、筐体アース34dは、15×15mmの正方形形状としている。
筐体アース34cは、プリント基板34の表面側の両縁35,36に導電性を有した部材(例えば、銅箔や金箔等であり、実施形態では銅箔)を設けて形成されて、表側筐体アース(FG)を構成している。表側筐体アース34cは、図11と図5とに示すように、プリント基板34をモータ21に組み付ける組付部材としてのクリップ40の押圧片48,55に、押し付けられ、そして、クリップ40が、モータ21とともに取付座5に取付固定される際、クリップ40のスペーサ60の部位が取付座5の振動受止座8に当接することから、取付座5側にアース接続される。
裏側筐体アース34dと両縁35,36の表側筐体アース34c,34cとは、プリント基板34を貫通する導電材料(銅箔等)34eにより接続されて、相互に導通している(図11のB参照)。
なお、実施形態では、振動装置20を取付座5に取付固定する際、クリップ40の後述する組付板部46,53が取付ブラケット75の保持壁部79,81に当接し、また、モータ21のケース22の接近側部位23がクリップ40のスペーサ60に圧接されることから、裏側筐体アース34dは、ケース22とクリップ40のスペーサ60とを介して、取付座5側へのアースが確保されたり、表側筐体アース34cは、クリップ40と取付ブラケット75とを介して、取付座5側へのアースが確保されることとなる。
取付ブラケット75は、図4〜13,23,24に示すように、導電性を有した鋼等からなる板金製として、モータ21を、芯金2における取付座5の振動受止座8側に押圧可能に保持する保持部76と、保持部76の左右の両側から延びて、取付座5の座部6,7に取り付けられる取付片部84,88と、を備えて構成されている。
取付片部84は、座部6に対応するもので、取付片部84の座部6への取り付け時、固着手段としてのねじ11を取付孔6bに螺着する際に、ねじ11を挿通させる取付孔85を備え、さらに、凸部6cを嵌合させる嵌合孔86を備えている。取付片部88は、座部7に対応するもので、ねじ11を取付孔7bに螺着させる際に、そのねじ11を挿通させる取付孔89を備えて構成されている。
保持部76は、断面U字状に湾曲し、モータ21の回転駆動軸30の軸心X1に沿って左右方向で対向する保持壁部79,81と、保持壁部79,81を連結する連結壁部77と、を備えて構成される。連結壁部77は、ケース22の外周面22aにおける振動受止座8の反対側の離隔側部位24に当接する略長方形状の押圧面77aを、保持壁部79,81側の左右の縁から隆起させて、形成されている。
保持壁部79は、ケース22の端面22b側に配置される部位であり、錘32側の円柱状の軸支部27を組み付ける保持凹部80を備えている。保持凹部80は、保持壁部79の後縁から前方側に延びる挿入口部80aと、挿入口部80aの前端で直交方向の下方に屈曲する嵌合部80bと、を備えて構成されている。嵌合部80bは、下端を半円形として、下端側で軸支部27を嵌合させる寸法形状に形成されている。
保持壁部81は、ケース22の端面22c側に配置される部位であり、異形柱状の軸支部28を組み付ける保持凹部82を備えている。保持凹部82は、保持壁部81の後縁から前方側に延びる挿入口部82aと、挿入口部82aの前端で下方に屈曲し、軸支部28の前側の面取り部28aと摺動する平面部82cを有した嵌合部82bと、を備えて構成されている。嵌合部82bは、下端を、面取り部28aを有した異形柱状の軸支部28の下側領域の外形形状に対応する略半円形として、下端側で軸支部28を嵌合させる寸法形状に形成されている。
なお、保持凹部80,82は、モータ21の軸支部27,28を対応する嵌合部80b,82bに嵌合させると、ケース22の離隔側部位24が、保持部76における連結壁部77の押圧面77aに当接するように、構成されている。
クリップ40は、図4〜13、19〜22に示すように、厚さ寸法tを0.2mm程度とした導電性を有した薄い板ばね材を所定形状に打ち抜き、そして、曲げ加工されて形成されている。クリップ40は、モータ21の回転駆動軸30の軸心X1に沿って対向するように配設される組付板部46,53と、組付板部46,53相互を連結する連結板部41と、を備えた断面略U字状とし、さらに、組付板部46の上縁51から延びる湾曲した略長方形板状のスペーサ60を、一体化させて構成されている。
そして、このクリップ40は、端子孔25b,25bに端子37,37を嵌め、かつ、裏側筐体アース34dを支持座25に当接させた状態のプリント基板34を、端子37が端子孔25bから外れず、かつ、アース34dが支持座25から離れないように、支持座25側に押し付けるように、組み付ける機能を持つ。さらに、実施形態の場合には、クリップ40は、弾性変形するスペーサ60を利用して、モータ21と芯金2の振動受止座8と間に組付誤差があっても、その誤差を吸収して、モータ21の振動を振動受止座8に円滑に伝播させる機能を発揮するものである。
連結板部41は、モータ21に組み付けたプリント基板34を覆うように配設され、プリント基板34の各種部品を保護するように、上下の縁から庇部43,44を後方側に突設させている。また、連結板部41のコネクタ38の近傍の上縁側には、コネクタ38に接続するリード線92の接続作業の邪魔とならないように、凹部42が形成されている。
組付板部46は、ケース22の端面22b側に配置される部位であり、錘32側の軸支部27を組み付ける組付凹部47を備えている。組付凹部47は、組付板部46の後縁から前方側に延びる長孔状として、前端を半円形として、前端側で軸支部27を嵌合させる寸法形状に形成されている。また、組付板部46には、連結板部41の縁側に、後方側に向かって内側に切り起こされた略長方形板状の押圧片48が形成されている。この押圧片48は、モータ21に組み付けたプリント基板34の右縁35側の表側筐体アース34cの部位を支持座25側に押圧して、プリント基板34のモータ21からの外れを防止するものである。押圧片48の先端には、プリント基板34の表面34aにおける平面状の表側筐体アース34cを押圧し易いように、表面34aに沿う平板状の当接部48bが、元部側の本体部48aから屈曲して配設されている。
さらに、組付板部46には、後縁側の上下に、保持壁部79の係止部位としての後端面79aの上下に係止される係止爪49,50が、外側に屈曲して形成されている(図27参照)。
組付板部53は、ケース22の端面22c側に配置される部位であり、軸支部28を組み付ける組付凹部54を備えている。組付凹部54は、組付板部53の後縁から前方側に延びる長孔状として、前端を半円形として、前端側で軸支部28の面取り部28aと逆側とした前側の円柱状の部位を嵌合させる寸法形状に形成されている。また、組付板部53には、連結板部41の縁側に、後方側に向かって内側に切り起こされた略長方形板状の押圧片55が形成されている。この押圧片55は、押圧片48と同様に、モータ21に組み付けたプリント基板34の左縁36側の表側筐体アース34cの部位を支持座25側に押圧して、プリント基板34のモータ21からの外れを防止するものである。この押圧片55の先端にも、プリント基板34の表面34aの平面状の表側筐体アース34cを押圧し易いように、表面34aに沿う平板状の当接部55bが、元部側の本体部55aから屈曲して配設されている。
さらに、組付板部53には、後縁側の上下に、保持壁部81の後端面81aの上下に係止される係止爪56,57が、外側に屈曲して形成されている(図27参照)。
なお、クリップ40の押圧片48,55は、各組付板部46,53に設けられた組付凹部47,54の形成方向の前後方向における後側から前方に向かう方向と対向するように、当接部48b,55bを配置させ、係止爪49,50,56,57は、取付ブラケット75への組付完了時に係止部位の後端面79a,81aに係止される位置に配置されている。すなわち、押圧片48,55と係止爪49,50,56,57とは、組付凹部47,54の形成方向であるプリント基板34における端子37,37の端子孔25b,25bへの挿入方向となる前後方向に沿って、離隔されて配設されている。換言すれば、押圧片48,55の当接部48b,55bと係止爪49,50,56,57とは、前後方向で対向するように、配設されている。
また、組付板部53には、リード線92を保持するフック58が、上縁側に形成されている。
スペーサ60は、組付板部46の上縁51の後端側から、上方に延びて左方側に屈曲する断面L字状の連結部61を介在させて、左右方向に沿って左方の組付板部53側に延びるように、突設されている。スペーサ60は、芯金側当接部62,63、モータ側当接部70、脚部65,66、及び、モータ側当接部70から脚部65,66にかけて貫通する長方形状の開口の収納孔68、を備えて構成されている。
芯金側当接部62,63は、左右方向の両側に配置されて、振動受止座8の座面8aに当接されるように、平面状に形成されている。左右の脚部65,66は、芯金側当接部62,63の相互の接近した縁から、相互に接近しつつ、ケース22側に接近するような下方側に向いて延びるように、傾斜して形成されている。モータ側当接部70は、脚部65,66の先端65a,66a相互を連結するように配置されて、芯金側当接部62,63と略平行な平面状に形成されている。
収納孔68は、モータ側当接部70から両側の脚部65,66にかけて上下方向に沿って貫通されて、ケース22の接近側部位23の円柱状外周面23aの一部を収納可能に、上方から見て左右方向に短辺相互を対向させるような長方形状に開口されている。この収納孔68は、前後方向の中央を回転駆動軸30の軸心X1の直上に配置させるように構成され、そして、モータ側当接部70の収納孔68の周縁における回転駆動軸30の軸心X1と直交する方向で相互に対向する両縁が、それぞれ、収納孔68に収納されたケース22の接近側部位23の円柱状外周面23aに対して、回転駆動軸30の軸心X1に沿って当接して支持する支持縁71,72としている。
なお、クリップ40の組付板部46,53間の内側の長さ寸法(離隔寸法)L2は、組付板部46,53間にモータ21のケース22が嵌合するように、モータ21のケース22における端面22b,22c間の長さ寸法L1と略同等としている(図11のA参照)。また、取付ブラケット75の保持壁部79,81間の内側の長さ寸法(離隔寸法)L4は、ケース22を間に配置させたクリップ40の組付板部46,53が保持壁部79,81間に嵌合するように、ケース22を間に配置させたクリップ40の組付板部46,53の外側の長さ寸法L3と、略同等としている(図11のB参照)。
振動装置20の組立工程(組付工程)を説明すると、まず、図7,8,25に示すように、端子37,37を端子孔25b,25bに嵌めつつ、裏側筐体アース34dを金属部22Mに当接させるように、プリント基板34の裏面34bを支持座25の座面25aに当接させて、プリント基板34をモータ21のケース22の支持座25に組み付ける。
ついで、図7,8,25,26に示すように、プリント基板34を組み付けたモータ21に対し、クリップ40を組み付ける。この組付は、プリント基板34をクリップ40の連結板部41に対向させた状態で、クリップ40の組付板部46の組付凹部47内にモータ21の軸支部27を嵌め、かつ、クリップ40の組付板部53の組付凹部54内にモータ21の軸支部28を嵌めて、軸支部27と軸支部28とを、それぞれ、組付凹部47,54に嵌合させるように、前端まで押し込めば、モータ21にクリップ40を組み付けることができる。
この組付時、スペーサ60では、収納孔68内に、ケース22の接近側部位23の円柱状外周面23aが収納され、そして、支持縁71,72が円柱状外周面23aを軸心X1に沿って当接して支持する(図4のB参照)。この支持縁71,72の支持部23c,23dは、ケース22の接近側部位23の円柱状外周面23aの最も上方へ突出する突出頂部23bを間にした両側であり、スペーサ60は、支持縁71,72がケース22の突出頂部23b付近に係止された状態で、軸心X1の直交方向となる前後方向にずれずに、ケース22の接近側部位23と係合された状態となる。
ちなみに、収納孔68内にケース22の突出頂部23b付近を収納させる際、スペーサ60が、左右方向の一方側の芯金側当接部62だけを、連結部61を介在させて、一方の組付板部46だけに連結させている。そのため、スペーサ60が、図20の二点鎖線に示すように、連結部61を撓ませて、連結部61から離れた芯金側当接部63側を上方に変位させ、さらに、復元するように、変形し、容易に、ケース22の突出頂部23b付近を収納孔68内に収納させることができる。
また、この組付時、図11のBに示すように、クリップ40の組付板部46,53に配設された押圧片48,55が、先端の当接部48b,55bをプリント基板34の表面34a側の左右の縁35,36に圧接させ、プリント基板34のモータ21からの外れを防止する。
その後、図7,8,26,27のAに示すように、クリップ40を組み付けたモータ21を取付ブラケット75に組み付ける。まず、クリップ40の組付板部46の組付凹部47から突出する軸支部27を、取付ブラケット75の保持部76における保持凹部80の挿入口部80aに挿入させ、と同時に、反対側の軸支部28も、保持凹部82の挿入口部82aに挿入させる。そして、図27のBに示すように、軸支部27,28を、下方に移動させて、保持凹部80,82の嵌合部80b,82bに嵌合させれば、クリップ40を組み付けたモータ21を、取付ブラケット75に組み付けることができて、振動装置20の組立が完了する。
なお、この嵌合時には、クリップ40の組付板部46の係止爪49,50が、保持壁部79の後端面79aの上下に係止され、組付板部53の係止爪56,57が、保持壁部81の後端面81aの上下に係止される状態となり、クリップ40は、取付ブラケット75の保持部76に対し、回転駆動軸30の軸心X1の周方向の回転が規制されて、取付ブラケット75に組み付けられることなる。さらに、クリップ40は、係止爪49,50,56,57が、取付ブラケット75の係止部位としての後端面79a,81aに係止されれば、係止爪49,50,56,57と前後方向で対向する押圧片48,55の当接部48b,55bにより、プリント基板34の縁35,36をケース22側に強く圧接して、プリント基板34のモータ21からの外れを確実に防止する。
また、この組立完了時には、モータ21におけるケース22の離隔側部位24が、取付ブラケット75の保持部76における連結壁部77の押圧面77aに当接している。
その後、ステアリングホイールWを組み立てる場合には、取付ブラケット75の取付片部84を、ステアリングホイール本体1の取付座5の座部6に配置させ、取付片部88を座部7に配置させる。この時、取付片部84では、座部6の凸部6cを嵌合孔86に嵌合させて、取付孔85を取付孔6bに一致させ、取付片部88では、取付孔89を取付孔7bに一致させることとなる。
また、この時、クリップ40のスペーサ60の部位では、モータ側当接部70の支持縁71,72をケース22の接近側部位23の支持部23c,23dに当接させた状態で、芯金側当接部62,63がステアリングホイール本体1の取付座5の振動受止座8の座面8aに当接する(図4のB、図5のB参照)。
そして、各取付孔85,89を経て、固着手段としてのねじ11を取付孔6b,7bに螺合させれば、取付ブラケット75は、保持部76の連結壁部77の押圧面77aがモータ21(ケース22)の離隔側部位24に当接しており、モータ21(ケース22)の接近側部位23を振動受止座8側に押圧して、振動装置20をステアリングホイール本体1に取り付けることができる(図4のA、図4のBの二点鎖線、図5のC参照)。
また、この時、スペーサ60の部位では、ねじ11が締め付けられるに従って、脚部65,66が相互に拡開するように、上下方向に沿って撓み量e分、撓み、芯金側当接部62,63が振動受止座8の座面8aに強く圧接され、モータ21の振動を同期させて振動受止座8に伝播可能に、モータ21におけるケース22の接近側部位23を振動受止座8に接続させることができる。換言すれば、スペーサ60が、モータ21の振動では変形しない状態まで、上下方向に撓み量e分、大きく弾性変形されて、モータ21におけるケース22の接近側部位23を、直接的に接触させるように、振動受止座8に接続させることとなる。
振動装置20をステアリングホイール本体1に取り付けた後には、ステアリングホイール本体1における車両の制御回路ECUに接続されている図示しない中継器から延びるリード線92を、フック58に支持させつつコネクタ38に接続させる。また、ステアリングホイール本体1に、ロアカバー14を取り付けるとともに、所定のクルーズコントロール機器等の機能部品を搭載して、ボス3aにステアリングシャフトSSをナットN止めする。そして、パッド16を取り付ければ、ステアリングホイールWを車両に搭載することができる。
この時、芯金2の取付座5が、ステアリングシャフトSS側のアース側に接続されることから、プリント基板34のフィルタ回路100における裏側筐体アース34dは、モータ21のケース22と取付ブラケット75とを介し、さらに、取付座5を介して、車両のアース側に接続され、また、表側筐体アース34cも、クリップ40と取付座5を介して、車両のアース側に接続されることとなる。
ステアリングホイールWの車両搭載後、所定の警報装置が車両の走行レーンからの逸脱を検知すれば、制御回路ECUが、リード線92を介して、振動装置20のモータ21に、回転駆動軸30を回転させるように電源を供給する。すると、偏心した錘32が回転駆動軸30とともに回転し、モータ21が振動することから、モータ21の振動を伝播された振動受止座8も同期して振動して、リング部Rを振動させる。その結果、リング部Rを把持した運転者は、その振動により、走行レーンの逸脱を認識することができる。
そして、実施形態のモータ機構としての振動装置20では、組付部材としてのクリップ40により、プリント基板34の裏面34b側をモータ21のケース22における支持座25に組み付け、そして、モータ21を取付座5に取付固定し、さらに、所定の制御回路ECUから延びるリード線92をコネクタ38に接続させれば、モータ21が制御されて回転駆動可能となる。その際、フィルタ回路100の銅箔等の導電性を有した部材からなる裏側筐体アース34dを、モータ21のケース22を介在させて、アース側の取付座5にアース接続させることができることから、インピーダンスを増加させるようなリード線を介在させずに、フィルタ回路100の裏側筐体アース34dをアース接続させることができて、効果的にノイズを除去できる。そして、この筐体アース34dのケース22へ接続させる圧接方向が、モータ21への電源供給用の端子37を端子孔25bへ挿入する方向と一致しており、組付部材としてのクリップ40は、その一方向を確保できるように、換言すれば、実施形態では後方側へ押圧を確保できるように、プリント基板34を支持座25に組み付ければよく、簡便にプリント基板34をモータ21に組み付けることができる。
したがって、実施形態のモータ機構としての振動装置20では、簡便な構成として、ノイズ除去を効果的に行なうことができる。
また、実施形態のモータ機構としての振動装置20では、プリント基板34が、表面34a側に、銅箔等の導電性を有した部材から構成される表側筐体アース34cを配設させて構成され、組付部材としてのクリップ40が、導電性を有した弾性変形可能な板金素材から形成されるとともに、表側筐体アース34cをモータ21側に押圧可能な押圧片48,55と、取付座5若しくはケース22の少なくとも一方と接触可能な接触部としてのスペーサ60と、を有して、モータ21に組み付けられる構成としている。そして、モータ21の取付座5への取付固定時、表側筐体アース34cが、組付部材としてのクリップ40のスペーサ60を介して、取付座5にアース接続される構成としている。
そのため、実施形態では、プリント基板34の裏面側の筐体アース(裏側筐体アース)34dが、モータ21のケース22を介在させて、また、プリント基板34の表側筐体アース34cが、クリップ40を介在させて、共に、取付座5側にアース接続させることから、二系統でアースを確保できて、安定したノイズ除去効果を得ることができる。
また、組付部材としてのクリップ40が、弾性変形可能な板金素材から形成されて、押圧片48,55を表側筐体アース34cに圧接させれば、プリント基板34をモータ21のケース22の支持座25側に押圧できて、裏側筐体アース34dのケース22への圧接も行なえる。そのため、クリップ40としては、押圧片48,55を表側筐体アース34cに当接させた状態で、すなわち、押圧片48,55と支持座25との間に、プリント基板34を介在させた状態で、モータ21に組み付けられる構成とすればよく、簡便に構成できる。
この場合、実施形態のモータ機構としての振動装置20では、プリント基板34が、表面34a側の左右両縁35,36に、それぞれ、表側筐体アース34cを配設させて構成され、組付部材としてのクリップ40が、両縁の表側筐体アース34cをそれぞれモータ21側に押圧可能に、押圧片48,55を配設させている。
そのため、実施形態では、プリント基板34の表面側の両縁の表側筐体アース34cが、それぞれ、対応する押圧片48,55により、モータ21側に押圧されることから、プリント基板34が、左右両縁35,36をバランスよく押圧されて、安定して、モータ21の支持座25側に圧接されつつ、モータ21に組み付けられることとなり、アース接続や端子37の接続を、より確実に行える。
なお、押圧片は、表側筐体アースが、例えば、プリント基板の中央の一箇所に設けられる構成では、押圧片は、その表側筐体アースをモータの支持座側に押圧できて、プリント基板をモータ側に組み付けることができれば、一つとしてもよい。勿論、表側筐体アースがプリント基板の表面側の両縁でなく、片側の縁付近の1箇所に配設される構成であっても、押圧片は、プリント基板の両縁をモータ側に押圧できるように構成して、片縁側の表側筐体アースに対し、片側の押圧片だけを接触させるように、構成してもよい。
また、実施形態のモータ機構としての振動装置20では、プリント基板34が、裏面側に設けられた裏側筐体アース34dと表側筐体アース34cとを、導電材料34eにより、相互に導通させるように接続させて、配設させている。
そのため、実施形態では、裏側筐体アース34dと表側筐体アース34dとが、モータ21のケース22や組付部材としてのクリップ40を利用して、相互に導通状態とした一体的に、アース側に接続されることから、より安定したノイズ除去効果を得ることができる。
さらに、実施形態のモータ機構として振動装置20では、取付座5が、車両のステアリングホイールWの芯金2に設けられる構成として、モータ21が、回転駆動軸30に偏心した錘32を取り付けられて構成され、作動時、ステアリングホイールWを振動させる振動モータとして、取付座5に取付固定される構成としている。
そのため、実施形態では、モータ21自体が振動しても、組付部材としてのクリップ40により、安定して、プリント基板34が裏側筐体アース34dをモータ21の支持座25に圧接させ、かつ、電源供給用の端子37,37を端子孔25b,25bに挿入させた状態を維持できる。すなわち、実施形態では、プリント基板34とモータ21とを、リード線を利用して、ねじ止めやはんだ止めするような接続方法に比べて、安定して接続させた状態を維持でき、耐久性を有してノイズ除去効果とモータ21への電源供給とを確保できる。
なお、実施形態では、クリップ40が、板ばね材から構成されて、プリント基板34における端子37の端子孔25bへの挿入方向に沿って、プリント基板34を押圧する押圧部としての押圧片48,55と、押圧片48,55におけるプリント基板34への押圧方向と対向する側で、クリップ40の取付ブラケット75への組付時、取付ブラケット75に係止される係止部としての係止爪49,50,56,57と、を備えて構成されている(図11参照)。
そのため、実施形態では、クリップ40は、まず、押圧部としての押圧片48,55を、プリント基板34における端子37の端子孔25bへの挿入方向(前方から後方に向かう方向)に沿って、プリント基板34を押圧できる位置に配置させて、ケース22に組み付ける(図7,8,25参照)。ついで、クリップ40は、係止部としての係止爪49,50,56,57を、押圧片48,55におけるプリント基板34への押圧方向と対向する側(前方から後方に向かう側)で、取付ブラケット75に係止させて(図27参照)、クリップ40をケース22とともに、取付ブラケット75に組み付けている。この時、クリップ40は、板ばね材から構成されているため、係止爪49,50,56,57を取付ブラケット75に係止させれば、押圧片48,55を、弾性変形させて(図11のB参照)、端子37の端子孔25bからの抜け方向に対向して、プリント基板34を押圧させて、円滑に、プリント基板34のケース22からの外れを防止する。そのため、クリップ40は、押圧片48,55の反発力と係止爪49,50,56,57との係止とにより、取付ブラケット75に対して、外れることなく、円滑に組み付けられ、かつ、強固に、プリント基板34をモータ21に組み付けることができる。
なお、実施形態では、クリップ40の係止部としての係止爪49,50,56,57を取付ブラケット75に係止させ、取付ブラケット75を利用して、クリップ40がプリント基板34をモータ21に組み付ける構成としたが、クリップ40の係止部をケース22側、例えば、支持座25と反対側の平面状部位26、に係止させて、クリップ40単体で、プリント基板34をモータ21に組み付けても良い。
また、実施形態では、クリップ40が、対向する組付板部46,53の一方の組付板部46から延設されて、取付ブラケット75の取付片部84,88をステアリングホイール本体1の取付座5に取り付ける際、ケース22における連結壁部77から離れた外周面22aの接近側部位23と取付座5の振動受止座8とに圧接されるスペーサ60、を備えて構成されている。そして、実施形態では、クリップ40を組み付けたモータ21の両端の軸支部27,28を取付ブラケット75の各保持壁部79,81における保持凹部80,82の挿入口部80a,82aを経て嵌合部80b,82bに嵌合させれば、保持部76の連結壁部77にケース22の外周面22aの離隔側部位24を当接支持させることができる。そして、その状態で、取付ブラケット75の取付片部84,88をステアリングホイール本体1の取付座5の座部6,7に取り付ければ、図4のB、図5のB,Cに示すように、連結壁部77に当接支持されたケース22が、ステアリングホイール本体1の取付座5の振動受止座8に対して、弾性変形させたスペーサ60を介在させて、当接させることができる。すなわち、実施形態では、ケース22の外周面22aとステアリングホイール本体1の取付座5の振動受止座8との間に、寸法誤差による隙間が大小あっても、スペーサ60が、撓み量e分、弾性変形して、その隙間を埋めることができ、かつ、円滑に、モータ21の振動を取付座5の振動受止座8に伝播させることが可能となる。
そのため、実施形態では、錘32の回転によるモータ21の振動を、直接的に、リング部Rに連なる芯金2の取付座5に伝播させることができて、リング部Rを効率的に振動させることができる。
なお、このようなスペーサ60を設けずに、クリップ40は、モータ21のケース22にプリント基板34を組み付ける機構だけを備えて、取付ブラケット75は、モータ21のケース22を取付座5に当接させて、モータ21を取付座5に取付固定させるように構成してもよい。
さらに、この場合、プリント基板34をモータ21に組み付けるクリップ40自体を、モータ21を保持して取付座5に接触させるように取付固定する構成としてもよい。
また、実施形態では、クリップ40に、ケース22の外周面22aとステアリングホイール本体1の取付座5の振動受止座8との間に介在されるスペーサ60を一体化した構成を例示した。しかし、このような構成とせずに、ケース22の離隔側部位24を振動受止座8側に押圧する保持部を備えた取付ブラケットを使用して、ケース22の接近側部位23を、振動受止座8に、直接、当接させて、モータ21の振動を振動受止座8に伝播できれば、スペーサは設けなくともよい。
さらに、実施形態では、モータ機構として、自動車の操作に使用するステアリングホイールを振動させる振動装置20を例示したが、他に、自動車に搭載されるドアミラーに使用するモータ機構、ドアロックに使用するモータ機構、あるいは、ヘッドのライトの光軸を変えるモータ機構等に、本発明を適用できる。