JP2016175063A - 膜の再生方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】膜の分離性能をより容易に回復させる。【解決手段】本発明の膜の再生方法は、混合流体から所定の成分を分離するのに使用したDDR型ゼオライト膜を再生する再生方法であって、DDR型ゼオライト膜を、1℃/hr以上100℃/hr以下の所定の昇温速度で100℃以上550℃以下の所定の再生温度まで加熱し、この再生温度で1時間以上50時間以下の所定の保持時間のあいだ保持する再生工程を含む。再生工程は、大気雰囲気下で行うことが好ましい。【選択図】なし
Description
本発明は、膜の再生方法に関する。
従来、複数の成分を含む混合流体から所定の成分を選択的に分離する技術の一つとして、膜分離技術が知られている。こうした膜分離技術において、膜を長時間にわたって使用すると、混合流体に含まれる分離対象物質や不純物、これらに起因する物質、などといったファウリング物質が膜表面や細孔内に付着・堆積して混合流体が膜を透過しにくくなり(透過流束が低下し)、分離性能が低下することがあった。そこで、ファウリング物質などによって分離性能が低下した膜の分離性能を回復させる再生方法について、種々の検討がなされている(例えば特許文献1)。特許文献1では、洗浄前のセラミックフィルターの一次側の空間に洗浄用媒体を供給しながら、洗浄前のセラミックフィルターの二次側の空間を減圧することによって、洗浄前のセラミックフィルターに洗浄媒体を通し、洗浄前のセラミックフィルターを洗浄することが提案されている。
しかしながら、特許文献1では、洗浄用媒体などが必要であるため、そうした洗浄用媒体などを用いることなく、より容易に分離性能を回復させる再生方法が望まれていた。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、より容易に分離性能を回復させることのできる膜の再生方法を提供することを主目的とする。
上述の主目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、DDR型ゼオライト膜を、所定の条件で加熱すると、より容易に分離性能を回復させることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
本発明の膜の再生方法は、
混合流体から所定の成分を分離するのに使用したDDR型ゼオライト膜を再生する再生方法であって、
前記DDR型ゼオライト膜を、1℃/時間以上100℃/時間以下の所定の昇温速度で100℃以上550℃以下の所定の再生温度まで加熱し、該再生温度で1時間以上50時間以下の所定の保持時間のあいだ保持する再生工程を含むものである。
混合流体から所定の成分を分離するのに使用したDDR型ゼオライト膜を再生する再生方法であって、
前記DDR型ゼオライト膜を、1℃/時間以上100℃/時間以下の所定の昇温速度で100℃以上550℃以下の所定の再生温度まで加熱し、該再生温度で1時間以上50時間以下の所定の保持時間のあいだ保持する再生工程を含むものである。
本発明の膜の再生方法では、より容易に分離性能を回復させることができる。こうした効果が得られる理由は、膜を所定条件で加熱することによって、膜に付着した、透過流束を低下させる原因物質(例えば有機化合物など)を除去できるためと推察される。また、DDR型ゼオライト膜は、シリカアルミナ比(SiO2/Al2O3(モル比))が大きく、一般的なゼオライト膜に比べて耐熱性に優れており、加熱による劣化などが生じにくいためと推察される。
本発明の膜の再生方法は、混合流体から所定の成分を分離する膜分離に使用したDDR型ゼオライト膜を再生する再生方法であって、このDDR型ゼオライト膜を、所定条件で加熱する再生工程を含む。再生対象であるDDR型ゼオライト膜は、多孔質支持基体上に形成されていてもよい。図1は、DDR型ゼオライト膜45を備えた膜フィルタ41の構成の概略の一例を示す説明図であり、多孔質支持基体44上にDDR型ゼオライト膜45が形成されている。
DDR型ゼオライト膜45を用いた膜分離において処理対象となる混合流体は、特に限定されないが、例えば、水、有機化合物及び無機ガスを含むものとしてもよい。有機化合物としては、例えば、アルコール、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エーテル、エステル、アミン、ニトリル、直鎖飽和炭化水素、枝分れ飽和炭化水素、環状飽和炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール(IPA)等が挙げられる。ケトンとしては、例えば、アセトン、エチルメチルケトン(MEK)等が挙げられる。カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、酪酸、プロピオン酸等が挙げられる。直鎖飽和炭化水素としては、例えば、メタン、エタン等が挙げられる。芳香族炭化水素としては、例えば、フェノール、トルエン、ベンゼン等が挙げられる。これら有機化合物は液体であってもよいし、気体であってもよい。無機ガスとしては、例えば、水素、酸素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウム等が挙げられる。混合流体は、これらの水、有機化合物、無機ガスのうちの2種類以上を含むのとしてよい。混合流体は、液体であってもよいし、気体であってもよい。
膜フィルタ41は、図1に示すように、混合流体の流路となる複数のセル42を形成する基材としての多孔質支持基体44と、多孔質支持基体44の内表面に形成され混合流体の分離機能を有するDDR型ゼオライト膜45とを備えている。このように、DDR型ゼオライト膜45が多孔質支持基体44の表面に形成されることにより、DDR型ゼオライト膜45を薄膜としても、多孔質支持基体44に支えられてその形状を維持し破損等を防止することができる。この膜フィルタ41では、入口側(一次側)からセル42へ入った混合流体のうち、DDR型ゼオライト膜45を透過可能な分子サイズを有する流体(例えば水)が、DDR型ゼオライト膜45及び多孔質支持基体44を通過し、膜フィルタ41の側面(二次側)から排出される。一方、DDR型ゼオライト膜45を通過できない流体(例えば有機化合物)は、セル42の流路に沿って流通し、セル42の出口側から排出される。多孔質支持基体44は、複数のセル42を備えたモノリス構造を有しているものとしてもよい。その外形は、特に限定されないが、円柱状、楕円柱状、四角柱状、六角柱状などの形状とすることができる。あるいは、多孔質支持基体44は、円筒状、楕円筒状、断面多角形の管状としてもよい。この多孔質支持基体44は、気孔径の大きな粗粒部44aの表面に気孔径の小さな細粒部44bが形成された二層以上の多層構造を有しているものとしてもよい。粗粒部44aの気孔径は、例えば、0.1μm〜数100μm程度とすることができる。細粒部44bの気孔径は、粗粒部44aの気孔径に比して小さければよく、例えば、気孔径が0.001〜1μm程度のものとすることができる。こうすれば、多孔質支持基体44の透過抵抗を低減することができる。多孔質支持基体44を構成する材料としては、アルミナ(α−アルミナ、γ−アルミナ、陽極酸化アルミナ等)、シリカ、コージェライト、ムライト、チタニア、ジルコニア及び炭化珪素などのセラミック材料やステンレスなどの金属等を挙げることができる。このうち、基材の作製、入手の容易さの点から、アルミナが好ましい。アルミナとしては、平均粒径0.001〜30μmのアルミナ粒子を原料として成形、焼結させたものが好ましい。
DDR型ゼオライト膜45は、DDR型ゼオライトで構成された膜である。DDR型ゼオライトは、主成分がシリカからなる結晶であり、その細孔は酸素8員環を含む多面体によって形成されているとともに、酸素8員環の細孔径は4.4×3.6Åであることが知られている。DDR型ゼオライト膜は、主成分がシリカであり、SiO2/Al2O3のモル比率(以下シリカアルミナ比とも称する)が大きいため、耐熱性に優れている。また、DDR型ゼオライト膜は、強い親水性により水を選択的に透過させるA型ゼオライト膜などと異なり、分子篩効果によって混合物中の水を透過させるため、A型ゼオライト膜などに比して耐水性が高い。また、セラミックであるため、耐熱性が高い。シリカアルミナ比は50以上が好ましく、100以上がより好ましい。
DDR型ゼオライト膜45は、膜厚が0.1μm以上10μm以下であることが好ましく、0.5μm以上4.0μm以下であることがより好ましい。0.5μm以上であれば、膜形成が比較的容易である。また、4.0μm以下であれば、再生時における膜割れなどが生じにくい。膜割れが生じにくい理由は、膜の中での温度分布が大きくなりすぎないためと推察される。
DDR型ゼオライト膜45の製造方法は、特に限定されるものではなく、緻密なDDR型ゼオライト膜を形成できればよい。例えば、特開2010−158665号公報に記載のDDR型ゼオライト膜の製造方法のように、1−アダマンタンアミンとシリカとの含有割合(1−アダマンタンアミン/SiO2)がモル比で0.002〜0.5、水とシリカとの含有割合(水/SiO2)がモル比で10〜500、さらにエチレンジアミンと1−アダマンタンアミンとの含有割合(エチレンジアミン/1−アダマンタンアミン)がモル比で4〜35である原料溶液と、種結晶となるDDR型ゼオライト粉末とを用いて、水熱合成することにより形成したものとしてもよい。
DDR型ゼオライト膜45は、例えば、水と有機化合物とを含む混合溶液や混合溶液の蒸発物などの混合流体から水を選択的に透過させて分離する分離膜としてもよいし、また、例えば、水素、窒素、二酸化炭素、メタン及びエタンなどの混合ガスから特定のガスを選択的に透過させて分離する分離膜としてもよい。DDR型ゼオライト膜は、分子篩作用を有しており、ガス分離膜や浸透気化膜等の分離膜として好ましい。ここで、「水を選択的に分離する」とは、混合流体から純度100%の水を分離して取り出すだけでなく、混合流体の組成と比較して水の含有率が高くなった溶液または気体を分離して取り出すことも含む。例えば、純度90%以上の水や純度95%以上の水を分離して取り出すものとしてもよい。また、「脱水」というときは、水を選択的に分離することをいう。
本発明の膜の再生方法で再生対象となるのは、混合流体から所定の成分を分離する膜分離に使用したDDR型ゼオライト膜であるが、例えば、DDR型ゼオライト膜45を備えた膜フィルタ41を再生してもよい。なお、膜分離の方法は、混合流体を液体で供給し、二次側を減圧しDDR型ゼオライト膜45から水などの特定の成分を透過させる、浸透気化法(パーベーパレーション(Pervaporation)法,PVとも称する)としてもよい。また、混合流体を気体または超臨界ガスで供給し、一次側を加圧あるいは二次側を減圧しDDR型ゼオライト膜45から水や二酸化炭素などの特定の成分を透過させる、蒸気透過法(ベーパーパーミエーション(Vapor permeation)法,VPとも称する)、或いはガス透過法としてもよい。このような膜分離を継続して行うと、DDR型ゼオライト膜45の透過特性(特に水、二酸化炭素の透過流束)が低下するため、透過特性を回復させる再生処理が必要となる。
本発明の膜の再生方法では、再生対象となるDDR型ゼオライト膜を、1℃/hr以上100℃/hr以下の所定の昇温速度で100℃以上550℃以下の所定の再生温度まで加熱し、該再生温度で1時間以上50時間以下の所定の保持時間のあいだ保持する再生工程を含む。昇温速度が1℃/hr以上であれば昇温時間が長くなりすぎないし、昇温速度が100℃/hr以下であれば急激な熱膨張によるクラックの発生などを抑制できる。また、再生温度が100℃以上であれば透過流束を低下させる原因物質の除去が円滑に行われ、再生温度が550℃以下であれば熱膨張によるクラック発生などを抑制できる。また、保持時間が1時間以上であれば透過流束を低下させる原因物質の除去が十分に行われ、保持時間が50時間以下であれば熱膨張によるクラック発生などを抑制できる。
再生工程において、昇温速度は3℃/hr以上50℃/hr以下の範囲内であることが好ましく、6℃/hr以上25℃/hr以下の範囲内であることがより好ましい。また、再生温度は200℃以上500℃以下の範囲内であることが好ましく、300℃以上450℃以下の範囲内であることがより好ましい。また、保持時間は2時間以上30時間以下の範囲内であることがより好ましい。再生工程における雰囲気は、例えば、大気雰囲気や酸素雰囲気などの酸化性雰囲気とすることができる。また、上記保持後の降温速度は、例えば、1℃/hr以上100℃/hr以下の範囲内としてもよく、3℃/hr以上50℃/hr以下の範囲内であることが好ましく、6℃/hr以上25℃/hr以下の範囲内であることがより好ましい。降温速度が1℃/hr以上であれば降温時間が長くなりすぎないし、降温速度が100℃/hr以下であれば急激な熱収縮によるクラックの発生などを抑制できる。
以上説明した膜の再生方法によれば、DDR型ゼオライト膜45を、所定条件で加熱することで、膜に付着した、透過流束を低下させる原因物質を除去できるため、より容易に膜の分離性能を回復させることができる。また、DDR型ゼオライト膜は、シリカアルミナ比が大きく、一般的なゼオライト膜に比べて耐熱性に優れているため、加熱による劣化(クラックの発生など)が生じにくく、加熱再生に適している。また、多孔質支持基体44の表面にDDR型ゼオライト膜45が形成されているため、取扱いが容易である。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。例えば、上述した実施形態では、多孔質支持基体44の表面にDDR型ゼオライト膜45が形成された膜フィルタ41を再生するものとしたが、こうしたものに限定されない。例えば、DDR型ゼオライト膜は、多孔質支持基体44以外の多孔質支持基体の表面に形成されていてもよいし、多孔質支持基体以外の支持基体の表面に形成されていてもよいし、自立膜としてもよい。
以下では、本発明の再生方法を具体的に実施した例について説明する。なお、実験例1〜11、16〜18が本発明の実施例に相当し、実験例12〜15が比較例に相当する。また、本発明は、以下の実施例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
[実験例1]
(膜フィルタの作製)
多孔質支持基体として、直径30mm長さ160mmのモノリス形状でアルミナ製の多孔質支持基体を用意した。この多孔質支持基体の表面に以下のようにDDR型ゼオライト膜を形成し、膜フィルタを作製した。
(膜フィルタの作製)
多孔質支持基体として、直径30mm長さ160mmのモノリス形状でアルミナ製の多孔質支持基体を用意した。この多孔質支持基体の表面に以下のようにDDR型ゼオライト膜を形成し、膜フィルタを作製した。
まず、フッ素樹脂製のボトルに7.329gのエチレンジアミン(和光純薬工業社製)を入れた後、1.153gの1−アダマンタンアミン(アルドリッチ社製)を加え、1−アダマンタンアミンの沈殿が残らないように溶解した。別のボトルに115.97gの水を入れ、97.55gの30質量%シリカゾル(スノーテックスS:日産化学社製)を加えて軽く撹拌した後、これに上述のエチレンジアミンに1−アダマンタンアミンが溶解した溶液を加えて完全に溶解するまで約1時間攪拌混合し、原料溶液とした。
フッ素樹脂製内筒付きのステンレス製耐圧容器に原料溶液を入れ、この原料溶液にDDR型ゼオライト種結晶が付着しているモノリス形状多孔質支持基体を浸漬させて水熱合成を行った。水熱合成は120℃で84時間行った。水洗、乾燥した後、大気中、電気炉で0.1℃/minの速度で500℃まで昇温して50時間保持後、0.5℃/minの速度で室温まで冷却した。得られたDDR型ゼオライト膜の膜厚を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)により測定したところ、1〜2μmであった。
(分離試験)
上述のようにして得られた膜フィルタを用い、分離試験を実施した。液体混合物の分離試験では、分離対象流体として水を10質量%、エタノールを89質量%、油分を1質量%含む混合流体を用いて、分離試験を行った。分離試験は、110℃の温度条件下、膜フィルタの側面(二次側)から15torr(2.0kPa)の真空度で減圧し、パーベーパレーション法(PV)にて、100時間連続して行った。
上述のようにして得られた膜フィルタを用い、分離試験を実施した。液体混合物の分離試験では、分離対象流体として水を10質量%、エタノールを89質量%、油分を1質量%含む混合流体を用いて、分離試験を行った。分離試験は、110℃の温度条件下、膜フィルタの側面(二次側)から15torr(2.0kPa)の真空度で減圧し、パーベーパレーション法(PV)にて、100時間連続して行った。
(再生試験)
上述した分離試験後の膜フィルタを、窯へ入れて、大気雰囲気下、380℃まで15.2時間かけて昇温し(昇温速度25℃/hr)、380℃で8時間保持し、15.2時間かけて常温まで降温して(降温速度25℃/hr)、膜の再生を行った。
上述した分離試験後の膜フィルタを、窯へ入れて、大気雰囲気下、380℃まで15.2時間かけて昇温し(昇温速度25℃/hr)、380℃で8時間保持し、15.2時間かけて常温まで降温して(降温速度25℃/hr)、膜の再生を行った。
(脱水評価試験)
分離試験前(初期)、分離試験後再生試験前(分離後)、再生試験後(再生後)、のそれぞれの膜フィルタを用い、評価液として、水を50質量%、エタノールを50質量%含む混合流体を用いて、以下の脱水評価試験を行った。まず、膜フィルタをケーシングへセットし膜分離装置へ組み付けた。次に、評価液をポンプにて循環させながら昇温した。評価液の温度が50℃に到達したら、膜フィルタの2次側を真空ポンプにて50torrまで減圧し、膜フィルタの側面からの透過蒸気を冷却して捕集することにより、脱水を行った。脱水を50分間継続し、捕集した透過蒸気の液体物の質量から、単位時間あたりに単位面積の膜を透過した流体の量(透過Flux)(kg・m-2・h-1)を算出した。さらに、透過流体を数ccサンプリングし、ガスクロマトグラフィーにて組成を分析し、透過Fluxの値を用いて、水Flux(kgm-2h-1)とエタノールFlux(kg・m-2・h-1)を算出した。
分離試験前(初期)、分離試験後再生試験前(分離後)、再生試験後(再生後)、のそれぞれの膜フィルタを用い、評価液として、水を50質量%、エタノールを50質量%含む混合流体を用いて、以下の脱水評価試験を行った。まず、膜フィルタをケーシングへセットし膜分離装置へ組み付けた。次に、評価液をポンプにて循環させながら昇温した。評価液の温度が50℃に到達したら、膜フィルタの2次側を真空ポンプにて50torrまで減圧し、膜フィルタの側面からの透過蒸気を冷却して捕集することにより、脱水を行った。脱水を50分間継続し、捕集した透過蒸気の液体物の質量から、単位時間あたりに単位面積の膜を透過した流体の量(透過Flux)(kg・m-2・h-1)を算出した。さらに、透過流体を数ccサンプリングし、ガスクロマトグラフィーにて組成を分析し、透過Fluxの値を用いて、水Flux(kgm-2h-1)とエタノールFlux(kg・m-2・h-1)を算出した。
[実験例2〜5]
分離試験、再生試験において、分離対象流体及び分離条件、再生条件を、表1に示すものとした以外は、実験例1と同様の試験を行った。表1には、脱水評価試験結果も示した。表1において、Fluxは、初期値(kg・m-2・h-1)を1で規格化したときの値とした。総合評価では、再生後の水Fluxが初期の0.8倍以上かつ再生後の漏れFlux(エタノールFlux)が初期の2倍未満のものを「A(良)」、再生後の水Fluxが初期の0.7倍以上0.8倍未満かつ再生後の漏れFlux(エタノールFlux)が初期の2倍未満、あるいは、再生後の水Fluxが初期の0.8倍以上かつ再生後の漏れFluxが初期の2倍以上5倍未満のものを「B(可)」、再生後の水Fluxが初期の0.7倍未満、あるいは再生後の漏れFluxが初期の5倍以上のものを「C(不可)」、と判断した。
分離試験、再生試験において、分離対象流体及び分離条件、再生条件を、表1に示すものとした以外は、実験例1と同様の試験を行った。表1には、脱水評価試験結果も示した。表1において、Fluxは、初期値(kg・m-2・h-1)を1で規格化したときの値とした。総合評価では、再生後の水Fluxが初期の0.8倍以上かつ再生後の漏れFlux(エタノールFlux)が初期の2倍未満のものを「A(良)」、再生後の水Fluxが初期の0.7倍以上0.8倍未満かつ再生後の漏れFlux(エタノールFlux)が初期の2倍未満、あるいは、再生後の水Fluxが初期の0.8倍以上かつ再生後の漏れFluxが初期の2倍以上5倍未満のものを「B(可)」、再生後の水Fluxが初期の0.7倍未満、あるいは再生後の漏れFluxが初期の5倍以上のものを「C(不可)」、と判断した。
[実験例6〜15]
分離試験、再生試験において、分離対象流体、分離条件及び再生条件を表2に示すものとした以外は、実験例1と同様の試験を行った。表2には、脱水評価試験結果も示した。
分離試験、再生試験において、分離対象流体、分離条件及び再生条件を表2に示すものとした以外は、実験例1と同様の試験を行った。表2には、脱水評価試験結果も示した。
[実験例16]
(分離試験)
実験例1と同様に作製した膜フィルタを用いて、分離対象流体を気体混合物に変更して分離試験及び再生試験を実施した。気体混合物の分離試験では、分離対象流体として二酸化炭素を50体積%、メタンを49.8体積%、揮発性有機化合物を0.2体積%含む混合流体を用いた。分離試験は、25℃の温度条件下、膜の供給側圧力を0.4MPa(絶対圧)、膜の透過側圧力を大気圧とし、4時間連続して行った。
(分離試験)
実験例1と同様に作製した膜フィルタを用いて、分離対象流体を気体混合物に変更して分離試験及び再生試験を実施した。気体混合物の分離試験では、分離対象流体として二酸化炭素を50体積%、メタンを49.8体積%、揮発性有機化合物を0.2体積%含む混合流体を用いた。分離試験は、25℃の温度条件下、膜の供給側圧力を0.4MPa(絶対圧)、膜の透過側圧力を大気圧とし、4時間連続して行った。
(ガス透過性評価試験)
分離試験前(初期)、分離試験後再生試験前(分離後)、再生試験後(再生後)、のそれぞれの膜フィルタを用い、評価ガスとして、二酸化炭素を50体積%、メタンを50体積%含む混合流体を用いて、25℃の温度条件下、膜の供給側圧力を0.4MPa(絶対圧)、膜の透過側圧力を大気圧として試験した。透過ガスの流量をマスフローメーターにて測定し、透過ガスの一部をガスクロマトグラフで分析し、二酸化炭素透過量(mol・m-2・min-1)およびメタン透過量(mol・m-2・min-1)を算出した。
分離試験前(初期)、分離試験後再生試験前(分離後)、再生試験後(再生後)、のそれぞれの膜フィルタを用い、評価ガスとして、二酸化炭素を50体積%、メタンを50体積%含む混合流体を用いて、25℃の温度条件下、膜の供給側圧力を0.4MPa(絶対圧)、膜の透過側圧力を大気圧として試験した。透過ガスの流量をマスフローメーターにて測定し、透過ガスの一部をガスクロマトグラフで分析し、二酸化炭素透過量(mol・m-2・min-1)およびメタン透過量(mol・m-2・min-1)を算出した。
[実験例17〜18]
気体混合物の分離試験、再生試験において、分離対象流体、分離条件及び再生条件を表3に示すものとした以外は実験例16と同様の試験を行った。表3には、ガス透過性評価試験の結果を示した。表3において、各透過量は、初期値(mol・m-2・min-1)を1で規格化したときの値とした。総合評価では、再生後の二酸化炭素透過量が初期の0.8倍以上かつ再生後のメタン漏れ(メタン透過量)が初期の2倍未満のものを「A(良)」、再生後の二酸化炭素透過量が初期の0.7倍以上0.8倍未満かつ再生後のメタン漏れが初期の2倍未満、あるいは再生後の二酸化炭素の透過量が初期の0.8倍以上かつ再生後のメタン漏れが初期の2倍以上5倍未満のものを「B(可)」、再生後の二酸化炭素透過量が初期の0.7倍未満、あるいは再生後のメタン透過量が初期の5倍以上のものを「C(不可)」、と判断した。
気体混合物の分離試験、再生試験において、分離対象流体、分離条件及び再生条件を表3に示すものとした以外は実験例16と同様の試験を行った。表3には、ガス透過性評価試験の結果を示した。表3において、各透過量は、初期値(mol・m-2・min-1)を1で規格化したときの値とした。総合評価では、再生後の二酸化炭素透過量が初期の0.8倍以上かつ再生後のメタン漏れ(メタン透過量)が初期の2倍未満のものを「A(良)」、再生後の二酸化炭素透過量が初期の0.7倍以上0.8倍未満かつ再生後のメタン漏れが初期の2倍未満、あるいは再生後の二酸化炭素の透過量が初期の0.8倍以上かつ再生後のメタン漏れが初期の2倍以上5倍未満のものを「B(可)」、再生後の二酸化炭素透過量が初期の0.7倍未満、あるいは再生後のメタン透過量が初期の5倍以上のものを「C(不可)」、と判断した。
表1、2に示すように、分離試験における分離対象流体の種類や分離条件にかかわらず、再生試験(本発明の再生方法)によって初期値の0.7倍以上まで水Fluxが回復することが確認された。また、再生試験によって、エタノール漏れ(エタノールFlux)が増加することがあったが、エタノール漏れが初期値の5倍未満と小さいことが確認された。また、本実施例の分離条件においては、以下の再生条件が好ましいことがわかった。例えば、再生処理での昇温速度は、3〜100℃/hrの範囲が好ましく、3〜50℃/hrの範囲がより好ましかった。また、再生温度は、100〜550℃の範囲が好ましく、200〜500℃の範囲がより好ましかった。再生時間は、1〜8hrが好ましかった。これらの再生条件では、再生後の水FLuxが初期の0.7〜1.3倍の範囲、より好ましくは0.9〜1.2の範囲を示し、エタノールFluxが初期の0.9〜2.2倍の範囲、より好ましくは0.9〜1.5倍の範囲を示した。
また、表3に示すように、実験例16〜18では、再生後にガス透過性が十分回復していることがわかった。したがって、分離試験における分離対象流体が気体混合物であっても、再生試験(本発明の再生方法)が有効であることが確認された。
本発明は、分離膜を使用する技術分野に利用可能である。
41 膜フィルタ、42 セル、44 多孔質支持基体、44a 粗粒部、44b 細粒部、45 DDR型ゼオライト膜。
Claims (6)
- 混合流体から所定の成分を分離するのに使用したDDR型ゼオライト膜を再生する再生方法であって、
前記DDR型ゼオライト膜を、1℃/hr以上100℃/hr以下の所定の昇温速度で100℃以上550℃以下の所定の再生温度まで加熱し、該再生温度で1時間以上50時間以下の所定の保持時間のあいだ保持する再生工程を含む、膜の再生方法。 - 前記再生工程は、大気雰囲気下で行う、請求項1に記載の膜の再生方法。
- 前記昇温速度は3℃/hr以上50℃/hr以下の範囲内である、請求項1又は2に記載の膜の再生方法。
- 前記再生温度は200℃以上500℃以下の温度範囲内である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の膜の再生方法。
- 前記保持時間は2時間以上30時間以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の膜の再生方法。
- 前記DDR型ゼオライト膜は、多孔質支持基体上に形成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の膜の再生方法。
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JP2015058523 | 2015-03-20 | ||
JP2015058523 | 2015-03-20 |
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