JP2010274174A - 炭素膜複合体および分離膜モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】 各種の混合流体から特定成分を分離するに際して、耐水性、耐薬品性に優れ、透過速度が大きい炭素膜複合体および分離膜モジュールを提供する。
【解決手段】 セラミック多孔質基体1上に、炭素粒子からなる中間層2を介して、ガラス状炭素からなる炭素被覆層3を形成してなる炭素膜複合体Aであり、この炭素膜複合体Aを収納容器10内に収納し、収納容器10内に、炭素膜複合体Aの炭素被覆層3側に2種以上の気体または2種以上の液体を含有する混合流体が導入される混合流体導入室11と、該混合流体導入室11の混合流体のうち分子直径の小さい気体または液体だけが炭層被覆層3を透過し、中間層2を介してセラミック多孔質基体1側に導出される流体分離室12とを設けて、分離膜モジュールが構成される。
【選択図】 図1
【解決手段】 セラミック多孔質基体1上に、炭素粒子からなる中間層2を介して、ガラス状炭素からなる炭素被覆層3を形成してなる炭素膜複合体Aであり、この炭素膜複合体Aを収納容器10内に収納し、収納容器10内に、炭素膜複合体Aの炭素被覆層3側に2種以上の気体または2種以上の液体を含有する混合流体が導入される混合流体導入室11と、該混合流体導入室11の混合流体のうち分子直径の小さい気体または液体だけが炭層被覆層3を透過し、中間層2を介してセラミック多孔質基体1側に導出される流体分離室12とを設けて、分離膜モジュールが構成される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、炭素膜複合体および分離膜モジュールに関し、特に、含水アルコールの脱水濃縮、天然ガス分離、石油プラントにおける異性体分離等の技術において有用な炭素膜複合体および分離膜モジュールに関するものである。
従来より、各種ガスを含有する混合気体中から特定ガスを分離するフィルタや、含水アルコールから水分を除去するフィルタ、触媒を担持したメンブレンリアクター等が用いられているが、安全かつ簡便なことからその適用範囲が拡がり、今やこれらの分離濃縮技術は各種燃焼機関をはじめ、食品工業や医療用機器、化学プラントや石油精製プラントの蒸留の一部代替、更には溶剤の回収処理、廃棄物処理等の分野でも注目されている。
例えば、水素ガスを分離するフィルタとしては、石油精製プラントにおいて発生するオフガスや、アンモニア合成プラントにおいて発生するパージガスからの水素ガスの回収などに、また二酸化炭素を分離するフィルタとしては、燃費の向上およびパイプラインの腐食防止を目的に天然ガスに含まれる二酸化炭素の除去への応用が研究されている。さらに、酸素を分離するフィルタとしては、医療機器、スポーツ機器、各種燃焼機関用として応用されている。
従来、この種の分離膜としては、有機樹脂等の高分子膜や、ゼオライト、ガラスあるいはシリカ膜等の無機多孔質膜からなるものが使用されてきた。しかしながら、高分子膜は一般に分離係数は大きいが、ガスの透過速度が小さく、またフィルタの耐熱性および耐食性が悪いために酸性やアルカリ性のガスを含む混合ガスや高温のガスに対しては使用することが困難であるといった欠点があった。一方無機多孔質膜は、高分子膜に比べフィルタの耐熱性および耐食性が向上しガス分離特性は大きくなったものの、実際のプラントに適用するには耐水性、耐薬品性が十分でなく、その適用には多大の制約を伴うといった問題があった。
近年、耐水性、耐薬品性が大幅に改善され、かつガス透過特性の優れた膜として炭素からなる分離膜が特に注目されるようになり種々検討されている。そして炭素被覆層を欠陥なく薄く作製するために、多孔質基体と炭素被覆層との間に、種々の中間層を介装してなる炭素膜複合体が提案されている。
例えば、特許文献1には、気孔率30〜80%のセラミック多孔質基体表面にシリカゾル、アルミナゾルなどのコーティング層を形成し、その表面に密着した、炭素含有量80%以上で、細孔直径1nm以下の多数の細孔が存在する分子ふるい炭素膜が開示されている。また、非特許文献1には、直径3μmのグラファイト粒子とポリアミドイミド樹脂を混合して作製したペーストを、ナイフを用いて研磨した炭素からなる多孔質基体表面に塗布し、多孔質基体表面の小さなクラックを覆い隠すことで、その上に無欠陥の炭素被覆層を形成できることが開示されている。
カーボン(CARBON)、第37巻、1999年発行、p.679−684
炭素被覆層を担持するための中間層は、例えば特許文献1ではシリカゾルまたはアルミナゾルの溶液にセラミック多孔質基体を浸漬後乾燥して作製している。しかしながら特許文献1に開示された中間層では、炭素被覆層自身のピンホール等の欠陥は抑えられるものの、中間層が熱処理後にそれぞれアモルファスシリカ、γ−アルミナとなるため、その上に形成される炭素被覆層と比べ、耐水性、耐薬品性の点で劣り、結果として高温高湿度下、または酸性、塩基性下、または種々の溶剤、薬品の存在下での分離・濃縮工程には適用し難い炭素膜複合体になってしまうという問題があった。
一方、非特許文献1ではグラファイト粒子とポリアミドイミド樹脂を混合して作製したペーストを、ナイフを用いて研磨した炭素からなる多孔質基体表面に塗布し、多孔質基体表面の小さなクラックを覆い隠すことで、その上に無欠陥の炭素被覆層を担持できることが開示されているが、この非特許文献1の炭素膜複合体は、理由は明確ではないが、透過速度が小さいという問題があった。
本発明は上記の課題に鑑みなされたもので、各種の混合流体から特定成分を分離するに際して、耐水性、耐薬品性に優れ、透過速度が大きい炭素膜複合体および分離膜モジュールを提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題に対して鋭意研究を重ねた結果、セラミック多孔質基体上に、炭素粒子を中間層として担持し、その上に炭素被覆層を形成することにより、各種気体や各種液体の混合流体から特定成分を分離するに際して、耐水性、耐薬品性に優れ、透過速度を大きくできることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の炭素膜複合体は、セラミック多孔質基体上に、炭素粒子からなる中間層を介して、ガラス状炭素からなる炭素被覆層を形成してなることを特徴とする。
このような炭素膜複合体では、中間層として炭素粒子を用いることで、中間層自身も炭素被覆層と同等の耐水性、耐薬品性を有することとなり、結果として高温高湿度下、または酸性、塩基性下、または種々の溶剤、薬品の存在下での分離・濃縮工程に適用できる。また、理由は明確ではないが、非特許文献1より透過速度を大きくできる。さらに、セラミック多孔質基体は炭素多孔質基体とは異なり、親水性溶液によるスピンコートやディップコートが可能なことから、厚みを薄く制御した中間層、炭素被覆層を容易に作製できる。
また、本発明の炭素膜複合体は、前記中間層の炭素粒子の平均粒径が0.5μm以下であることを特徴とする。このような炭素膜複合体では、平均粒径が0.5μm以下の炭素粒子を用いて中間層を形成するため、炭素被覆層の厚みを、非特許文献1より薄くすることができ、気体または液体の炭素被覆層における透過速度を大きくできる。
また、本発明の炭素膜複合体は、前記中間層の炭素の密度Dpが、前記炭素被覆層の炭素の密度Dg以下であることを特徴とする。このような炭素膜複合体では、炭素被覆層の炭素密度よりも中間層の炭素密度が低いため、炭素被覆層を透過した気体または液体は、中間層をスムーズに透過でき、炭素膜複合体の透過速度をさらに大きくできる。
本発明の分離膜モジュールは、収納容器内に請求項1乃至3のうちいずれか記載の炭素膜複合体を収納し、前記収納容器内に、前記炭素膜複合体の前記炭素被覆層側に2種以上の気体または2種以上の液体を含有する混合流体が導入される混合流体導入室と、該混合流体導入室の混合流体のうち分子直径の小さい前記気体または前記液体だけが前記炭層被覆層を透過し、前記中間層を介して前記セラミック多孔質基体側に導出される流体分離室とを設けたことを特徴とする。
このような分離膜モジュールでは、炭素膜複合体が高い耐水性、耐薬品性を有し、また透過速度も大きいため、過酷な条件下において優れた分離性能を発揮できる。
本発明の炭素膜複合体では、中間層として炭素粒子を用いることで、中間層自身も炭素被覆層と同等の耐水性、耐薬品性を有することとなり、結果として高温高湿度下、または酸性、塩基性下、または種々の溶剤、薬品の存在下での分離・濃縮工程に適用できるとともに、透過速度の大きな炭素膜複合体を得ることができる。
本発明の分離膜モジュールでは、炭素膜複合体を過酷な条件下で用いることができ、また透過速度も大きいため、過酷な条件下において優れた分離性能を発揮できる。
以下、本発明の炭素膜複合体について詳述する。本発明の炭素膜複合体Aは、図1に示すように、セラミック多孔質基体1上に、炭素粒子からなる中間層2を介して、ガラス状炭素からなる炭素被覆層3を形成してなるものである。
セラミック多孔質基体1としてはアルミナ、ムライト、コージェライト、ジルコニア、マグネシア、炭化珪素、窒化珪素などを好適に用いることができる。このようなセラミック多孔質基体1を用いることにより、中間層2および炭素被覆層3との熱膨張差、耐熱性、機械的強度、耐摩耗性、耐熱衝撃性、耐薬品性、耐蝕性を向上できる。
また、セラミック多孔質基体1の気孔率は、気体または液体である流体の透過速度を大きくし、セラミック多孔質基体1の機械的強度を高く維持するという点から30〜60%、より好ましくは30〜50%とされている。気孔率は、水銀圧入法で求めることができる。
中間層2は炭素粒子からなるもので、中間層2自身も炭素被覆層3と同等の耐水性、耐薬品性を有することとなり、その結果、高温高湿度下、または酸性、塩基性下、または種々の溶剤、薬品の存在下での分離・濃縮工程に適用しうる炭素膜複合体になる。
また中間層2の炭素粒子2aの平均粒径は0.5μm以下とされている。中間層2の炭素粒子2aの平均粒径が0.5μm以下と小さいため、中間層2上面に形成する炭素被覆層3の厚みを薄くすることができ、透過速度の大きな炭素膜複合体とすることができる。中間層2の炭素粒子2aの平均粒径は、中間層2をディッピングやスピンコート等で作製する場合、粒子の凝集を抑制するという観点から、0.02μm以上であることが望ましい。中間層2の炭素粒子2aの平均粒径は、炭素膜複合体Aの断面の走査型電子顕微鏡(SEM)の写真から、例えば、インターセプト法により測定することができる。
中間層2に用いる炭素粒子2aとしては、カーボンブラック、グラファイト、煤、木炭、竹炭、種々の活性炭、高分子材料の炭化物を適宜粉砕、分級して用いることができる。セラミック多孔質基体1の表面に担持する方法としては、例えば、粉砕、分級した炭素粒子を親水性の分散剤を用いて水に分散させ、例えばディップコート法(浸漬塗布法)で担持する。
中間層2の炭素の密度Dpは、炭素被覆層3の炭素の密度Dg以下であることが望ましい。これにより、炭素被覆層3の炭素の密度Dgよりも中間層2の炭素の密度Dpが小さいため、炭素被覆層3を透過した気体または液体は、中間層2をスムーズに透過でき、炭素膜複合体Aの透過速度をさらに大きくできる。
中間層2の炭素の密度Dpを低く制御するには、カーボンブラックやグラファイトよりも、煤や活性炭等の密度の低い炭素粒子を用いるとよい。煤を用いる場合は、墨汁が簡便で好適である。炭素被覆層3と中間層2の炭素の密度比を測定するには、エネルギー分散型X線分析(EDS)による面分析が好適である。例えば、炭素膜複合体Aの断面にPtを蒸着し、3000〜5000倍の倍率で、炭素被覆層3と中間層1を同一観測視野内に入れ、両者を同一面積でEDS分析し、それぞれの領域における白金のピーク強度に対する炭素のピーク強度比を比較することで両者の炭素の密度比を得ることができる。
また高分子材料の炭化物として、後述する炭素被覆層3と同一の原料からなる炭化物を用いてもよい。同一の原料を用い、炭素被覆層3を作製するときと同じ熱処理条件で炭化すれば、得られた炭素粒子2aによる中間層2は炭素被覆層3と同等の分離特性を示し、中間層2の存在による透過速度への影響を小さくすることができる。この場合には、中間層2の炭素密度Dpは、炭素被覆層3の炭素密度Dgとほぼ同一であるか、僅かに大きくなる。
中間層2の厚みは、セラミック多孔質基体1の表面凹凸を中間層2で覆うことができればよく、中間層2の厚みは、ピンホール等の表面欠陥を無くし、透過速度を大きくするという点から、セラミック多孔質基体1表面を構成するセラミック粒子の平均粒径の1倍以上5倍以下が好ましい。
中間層2の上面に形成される炭素被覆層3はガラス状炭素からなるもので、芳香族ポリイミド、ポリピロロン、ポリフルフリルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、フェノール樹脂等を溶媒に溶かし、例えば、中間層2上にディプコートして乾燥後、非酸化性雰囲気または真空下で、作製することができる。
ガラス状炭素とは、光学顕微鏡レベルで観察した時、粒界等の内部構造をもたず均一な外観からなる炭素で定義でき、炭素粒子とは全く異なる。
気体または液体からなる流体の分子直径の小さいものは、ガラス状炭素からなる炭素被覆層3の細孔を透過することになる。
炭素被覆層3の厚みとしては、ピンホール等の欠陥発生を抑制し、透過速度を大きくするという点から、0.1μm以上、5μm以下が望ましく、特には0.2μm以上、3μm以下が望ましい。
本発明の炭素膜複合体Aの製法について説明する。先ず、セラミック多孔質基体1を準備し、このセラミック多孔質基体1に、例えば、平均粒径0.5μm以下の炭素粒子からなる中間層2を形成する。中間層2は、カーボンブラック、グラファイト、煤、木炭、竹炭、種々の活性炭、高分子材料の炭化物を適宜粉砕、分級した、平均粒径0.5μm以下のものを、例えば親水性の分散剤を用いて水に分散させ、例えばディップコート法(浸漬塗布法)で塗布し、乾燥させる。
この乾燥膜上に、溶媒に溶かした芳香族ポリイミド、ポリピロロン、ポリフルフリルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、フェノール樹脂、リグニン誘導体、木タール、竹タール等をディプコートして乾燥後、非酸化性雰囲気または真空下で、550〜800℃の温度で加熱して作製することができる。
また、本発明の分離膜モジュールは、図2に示すように、収納容器10内に上記炭素膜複合体Aを収納して構成されている。
このような分離膜モジュールでは、収納容器10内に上記炭素膜複合体Aを収納し、収納容器A内に、炭素膜複合体Aの炭素被覆層3側に2種以上の気体または2種以上の液体を含有する混合流体が導入する混合流体導入室11と、該混合流体導入室11の混合流体のうち分子直径の小さい気体または液体だけが炭層被覆層Aを透過し、中間層2を介してセラミック多孔質基体1側に導出される流体分離室12とを設けて構成されている。
このような分離膜モジュールでは、炭素複合膜Aの炭素被覆層3側に導入管13を介して2種以上の気体または2種以上の液体を含有する混合流体を混合流体導入室11内に導入し、分子直径の小さい気体または液体だけを炭層被覆層3を透過させ、中間層2を介してセラミック多孔質基体1側に透過させて流体分離室12内に導出し、導出管15から導出するとともに、分子直径が大きく炭層被覆層3を透過できない気体または液体は導出孔17から導出され、分子直径の大小で気体または液体を分離することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
中間層の原料として市販の墨汁を用い、この墨汁にアルミナ多孔質管(外径3mm、内径2mm、長さ10mm、気孔率35%、平均細孔径0.1μm、京セラ製)を浸漬し、10mm/分で引上げて、アルミナ多孔質管の外表面に炭素粒子からなる被膜を形成し、90℃で1時間乾燥した。一方、フェノール樹脂粉末(KM−450、京セラケミカル製)をテトラヒドロフランに溶解し35%溶液を作製した。この溶液に炭素粒子からなる被膜が形成されたアルミナ多孔質管を浸漬し、10mm/分で引上げて、表面にフェノール樹脂の被膜を形成し、90℃で1時間乾燥後、100℃で3時間真空乾燥した。その後窒素雰囲気下650℃で20分熱処理し、炭素膜複合体を作製した。炭素膜複合体の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真からインターセプト法で求めた平均粒径は0.03μmであった。
気体分離性能の評価結果を表1に示す。なお、気体分離性能の評価は真空タイムラグ法、すなわち測定装置のセルに管状の炭素膜複合体を装着し、その透過側の面に繋がる一定容積の容器を予め減圧した上で、供給側の面に一定圧力の試験ガスを供給して、透過してくるガス量を圧力変化から測定する方法で行った。室温T(℃)、容器の容積V(cm3)、容器の透過側に時間t(s)で気体が透過することによって透過側の圧力がp(torr)増加したとして、標準状態に換算すると、この単位時間当たりの透過量q(cm3(STP)/s)は、
q=(dp/dt)・(V・273)/(T+273)
となる。高圧側P1と低圧側P2の圧力差△p(cmHg)、有効膜面積A(cm2)のとき気体透過速度Rは、
R=q/(A・△p) (cm3(STP)/cm2・s・cmHg)
で求められる。本実施例では試験ガスとして、He、H2、CO2、O2、N2、CH4の純ガスを用い、その透過速度を、50℃、圧力差1気圧の条件で求めた。
q=(dp/dt)・(V・273)/(T+273)
となる。高圧側P1と低圧側P2の圧力差△p(cmHg)、有効膜面積A(cm2)のとき気体透過速度Rは、
R=q/(A・△p) (cm3(STP)/cm2・s・cmHg)
で求められる。本実施例では試験ガスとして、He、H2、CO2、O2、N2、CH4の純ガスを用い、その透過速度を、50℃、圧力差1気圧の条件で求めた。
また、炭素膜複合体の断面にPtを蒸着し、4000倍の倍率で、炭素被覆層3と中間層1を同一観測視野内に入れ、両者を同一面積でエネルギー分散型X線分析(EDS)により面分析し、それぞれの領域における白金のピーク強度に対する炭素のピーク強度比を比較することで両者の炭素密度比を算出し、表1に記載した。
この表1から、H2の透過速度が310GPU(1GPU=1×10-6cm3(STP)/cm2・s・cmHg)と大きく、理想分離係数もα(H2/N2)=134、α(O2/N2)=9.4と高い分離性能が示された。また、炭素被覆層と中間層のそれぞれの領域における白金のピーク強度に対する炭素のピーク強度比は、8.8および8.0となり、中間層/炭素被覆層の炭素の密度比は0.91となり、中間層の炭素の密度Dpが炭素被覆層の炭素の密度Dgよりも小さかった。
予めフェノール樹脂粉末(KM−450)を窒素雰囲気下650℃で20分熱処理し、溶融させ、冷却した。それを乳鉢で粉砕して平均粒径を0.4μmに調整した炭素粒子を中間層の原料として使用する以外は、実施例1と同様な条件で炭素膜複合体を作製した。その気体分離性能の評価結果を表1に示した。表1からH2の透過速度が278GPUと大きく、理想分離係数もα(H2/N2)=132、α(O2/N2)=8.9と高い分離性能が示された。測定終了後、断面をEDS面分析した結果、中間層/炭素被覆層の炭素密度比は1.01となり、中間層の炭素の密度Dpが炭素被覆層の炭素の密度Dgよりも僅かに大きかった。
やしがら活性炭を粉砕し、平均粒径を0.5μmに調整した炭素粒子を中間層の原料として使用する以外は、実施例1と同様な条件で炭素膜複合体を作製した。その気体分離性能の評価結果を表1に示す。H2の透過速度が265GPUと大きく、理想分離係数もα(H2/N2)=125、α(O2/N2)=7.8と高い分離性能が示された。
また、本発明者は、炭素粒子からなる中間層を形成しないアルミナ多孔質管を用いる以外は、実施例1と同様な条件で比較例の炭素膜複合体を作製した。その気体分離性能の評価結果を表1に示す。H2の透過速度が156GPUと小さくなり、理想分離係数もα(H2/N2)=8.5、α(O2/N2)=1.6と低い分離性能しか示されなかった。
A・・・炭素膜複合体
1・・・セラミック多孔質基体
2・・・中間層
2a・・・炭素粒子
3・・・炭素被覆層
10・・・収納容器
11・・・混合流体導入室
12・・・流体分離室
1・・・セラミック多孔質基体
2・・・中間層
2a・・・炭素粒子
3・・・炭素被覆層
10・・・収納容器
11・・・混合流体導入室
12・・・流体分離室
Claims (4)
- セラミック多孔質基体上に、炭素粒子からなる中間層を介して、ガラス状炭素からなる炭素被覆層を形成してなることを特徴とする炭素膜複合体。
- 前記中間層の炭素粒子の平均粒径が0.5μm以下であることを特徴とする請求項1記載の炭素膜複合体。
- 前記中間層の炭素の密度Dpが、前記炭素被覆層の炭素の密度Dg以下であることを特徴とする請求項1または2記載の炭素膜複合体。
- 収納容器内に請求項1乃至3のうちいずれか記載の炭素膜複合体を収納し、前記収納容器内に、前記炭素膜複合体の前記炭素被覆層側に2種以上の気体または2種以上の液体を含有する混合流体が導入される混合流体導入室と、該混合流体導入室の混合流体のうち分子直径の小さい前記気体または前記液体だけが前記炭層被覆層を透過し、前記中間層を介して前記セラミック多孔質基体側に導出される流体分離室とを設けたことを特徴とする分離膜モジュール。
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---|---|---|---|---|
JP2016117043A (ja) * | 2014-12-22 | 2016-06-30 | 聡 安斎 | オゾンを含む液体の製造装置 |
US10105683B2 (en) * | 2013-02-22 | 2018-10-23 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Porous member and catalyst member |
JP2018165509A (ja) * | 2017-03-28 | 2018-10-25 | 京セラ株式会社 | 分離膜付き燃料タンク |
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2009
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