JP2015181965A - 再生方法及び再生装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】親水性官能基を有する有機化合物を含む混合流体の分離処理を行った炭素膜を十分に再生する。
【解決手段】本発明の再生方法は、親水性官能基を有する有機化合物を含む混合流体から所定の成分を分離するのに使用した炭素膜を再生するものである。この再生方法は、炭素膜の膜面に平行な方向に送風を行いながら再生温度A(℃)を150℃以上350℃未満の温度範囲とし再生時間B(時間)を10時間以上150時間以下の時間範囲として炭素膜を再生する送風加熱再生工程と、炭素膜の膜面への送風を行わずに再生温度A(℃)を200℃以上350℃未満の温度範囲とし再生時間B(時間)を10時間以上150時間以下の時間範囲として炭素膜を再生する定置加熱再生工程と、のうち少なくとも一方を含む。
【選択図】図3

Description

本発明は、再生方法及び再生装置に関し、より詳しくは、親水性官能基を有する有機化合物を含む混合流体から所定の成分を分離するのに使用した炭素膜を再生する再生方法及び再生装置に関する。
従来、この種の再生方法としては、特定濃度のNaClO溶液に濾過膜を特定時間接触させたあと低圧フラッシングを行うか逆洗処理を行う方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この再生方法では、未透過物質の付着により目詰まりを生じた濾過膜モジュールをNaClO溶液で洗浄することにより、濾過膜の透水性を回復することができるとしている。また、濾過膜モジュールの内外を清水又はそれに類する水で置換した状態で、薬液としての次亜塩素酸ナトリウム水溶液を膜の透過側から原水供給側に押し出して逆洗浄したあと、放置する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この再生方法では、透過量の回復が高い濾過膜を再生することができるとしている。
特開平8−141375号公報 特開2002−126470号公報
ところで、分離処理としては、親水性官能基を有する有機化合物を含む混合流体(例えば水溶液)を炭素膜を用いて行うことがある。この炭素膜は親水性を有することから、親水性官能基を有する有機化合物が炭素膜の表面に強く結合し、上述の洗浄による再生方法では、膜の透過性を回復しにくい、あるいは回復できないという問題があった。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、親水性官能基を有する有機化合物を含む混合流体の分離処理を行った炭素膜を十分に再生することができる再生方法及び再生装置を提供することを主目的とする。
上述した主目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、所定の温度範囲、時間範囲で加熱再生処理を行うものとすると、炭素膜を十分に再生することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の再生方法は、
親水性官能基を有する有機化合物を含む混合流体から所定の成分を分離するのに使用した炭素膜を再生する再生方法であって、
前記炭素膜の膜面に平行な方向に送風を行いながら再生温度A(℃)を150℃以上350℃未満の温度範囲とし、再生時間B(時間)を10時間以上150時間以下の時間範囲として前記炭素膜を再生する送風加熱再生工程と、
前記炭素膜の膜面への送風を行わずに再生温度A(℃)を200℃以上350℃未満の温度範囲とし、再生時間B(時間)を10時間以上150時間以下の時間範囲として前記炭素膜を再生する定置加熱再生工程と、のうち少なくとも一方を含むものである。
本発明の再生装置は、
親水性官能基を有する有機化合物を含む混合流体から所定の成分を分離するのに使用した炭素膜を再生する再生装置であって、
前記炭素膜の膜面に平行な方向に送風を行いながら再生温度A(℃)を150℃以上350℃未満の温度範囲とし、再生時間B(時間)を10時間以上150時間以下の時間範囲として前記炭素膜を再生する送風加熱再生手段と、
前記炭素膜の膜面への送風を行わずに再生温度A(℃)を200℃以上350℃未満の温度範囲とし、再生時間B(時間)を10時間以上150時間以下の時間範囲として前記炭素膜を再生する定置加熱再生手段と、のうち少なくとも一方を備えたものである。
本発明は、親水性官能基を有する有機化合物を含む混合流体の分離処理を行った炭素膜を十分に再生することができる。この理由は、以下のように推察される。例えば、炭素膜は加熱により分解するため、薬品を用いて洗浄することにより再生するのが一般的である。これに対して、本発明では、所定の温度範囲及び時間範囲に制限した加熱再生を行うことにより、この炭素膜の劣化を抑えつつ、炭素膜の表面に付着した有機化合物を除去することができるものと考えられる。
分離装置10の構成の概略を示す構成図。 炭素膜45を備えた炭素膜フィルタ41の構成の概略の一例を示す説明図。 再生装置50の構成の概略を示す構成図。 送風ありで加熱再生処理した実験例1〜21の評価結果。 送風なしで加熱再生処理した実験例22〜37の評価結果。
次に、本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態である分離装置10の構成の概略を示す構成図である。図2は、炭素膜45を備えた炭素膜フィルタ41の構成の概略の一例を示す説明図である。図3は、再生装置50の構成の概略を示す構成図である。
(分離装置)
分離装置10は、分離対象物である混合流体を収容する収容部20と、収容部20から供給された混合流体から所定の成分を分離する分離部40とを備えている。混合流体は、親水性官能基を有する有機化合物(以下、単に有機化合物と称する)と所定の成分(分離対象成分)を含む溶液である。有機化合物は、例えば、親水性官能基として、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、ケトン基からなる群より選ばれる1以上を有するものとしてもよい。具体的には、有機化合物は、プロピオングリコール、エチレングリコール、酢酸、アニリン、エチルメチルケトンからなる群より選ばれる1以上であるものとしてもよい。所定の成分は、親水性官能基を有する有機化合物よりも分子サイズの小さい物質としてもよく、例えば、水としてもよい。以下、所定の成分を水として説明する。なお、混合流体は、液体であってもよいし、気体であってもよい。
この分離装置10は、収容部20から分離部40を経て収容部20へ混合流体を流通する循環経路22を備えている。即ち、分離装置10は、混合流体を循環して水を分離するバッチ式分離装置として構成されている。循環経路22には、混合流体を流通させる循環ポンプ24と、循環経路22を流通する混合流体の温度を所定温度に調節する熱交換器26と、循環経路22を流通する混合流体の温度を検出する温度センサ13とが収容部20から分離部40への間に配設されている。熱交換器26は、接続された温度調節経路28を循環する熱媒体によって、循環経路22を流通する混合流体と熱媒体との熱交換を行う。混合流体から水を分離する分離温度は、温度センサ13による測定値としてもよい。また、分離装置10は、混合流体を収容する予備タンク11を備えており、この予備タンク11から送液ポンプ12により混合流体が収容部20へ送られる。
分離部40は、分離膜としての炭素膜45(図2参照)が形成された炭素膜フィルタ41が配設されている。また、分離部40は、分離物である水を収容する排水タンク35に分離経路29を介して接続されており、この分離経路29を介して、分離された水が排出される。この分離部40には、圧力センサ15が接続されており、この圧力センサ15により容器内の圧力が検出される。分離経路29には、経路内の圧力を検出する圧力ゲージ14と、チラー34と接続された冷却器32と、排水タンク35に入る前の水の温度を計測する温度センサ16とが配設されている。排水タンク35には、排水タンク35の圧力を検出する圧力ゲージ17と、真空ポンプ38が接続され排水タンク35や分離経路29を減圧する真空制御機36と、排水タンク35に収容された水を経路外へ送り出す送液ポンプ37とが配設されている。
炭素膜フィルタ41は、図2に示すように、混合流体の流路となる複数のセル42を形成する基材としての多孔質支持基体44と、多孔質支持基体44の内表面に設けられ混合流体の分離機能を有する炭素膜45とを備えている。このように、炭素膜45が多孔質支持基体44の表面に形成されることにより、炭素膜45を薄膜としても、多孔質支持基体44に支えられてその形状を維持し破損等を防止することができる。この炭素膜フィルタ41では、入口側からセル42へ入った混合流体のうち、炭素膜45を透過可能な分子サイズを有する水が、炭素膜45及び多孔質支持基体44を通過し、炭素膜フィルタ41の側面から排出される。一方、炭素膜45を通過できない流体は、セル42の流路に沿って流通し、セル42の出口側から排出される。多孔質支持基体44は、複数のセル42を備えたモノリス構造を有しているものとしてもよい。その外形は、特に限定されないが、円柱状、楕円柱状、四角柱状、六角柱状などの形状とすることができる。あるいは、多孔質支持基体44は、断面多角形の管状としてもよい。この多孔質支持基体44は、気孔径の大きな粗粒部44aの表面に気孔径の小さな細粒部44bが形成された二層以上の多層構造を有しているものとしてもよい。粗粒部44aの気孔径は、例えば、0.1μm〜数100μm程度とすることができる。細粒部44bの気孔径は、粗粒部44aの気孔径に比して小さければよく、例えば、気孔径が0.001〜1μm程度のものとすることができる。こうすれば、多孔質支持基体44の透過抵抗を低減することができる。多孔質支持基体44を構成する材料としては、アルミナ(α−アルミナ、γ−アルミナ、陽極酸化アルミナ等)、シリカ、コージェライト、ムライト、チタニア、ジルコニア及び炭化珪素などのセラミック材料やステンレスなどの金属等を挙げることができる。このうち、基材の作製、入手の容易さの点から、アルミナが好ましい。アルミナとしては、平均粒径0.001〜30μmのアルミナ粒子を原料として成形、焼結させたものが好ましい。
炭素膜45は、例えば、有機化合物及び水を含む混合溶液や混合溶液の蒸発物などの混合流体から選択的に水を分離する分離膜である。炭素膜は、分子篩作用を有しており、ガス分離膜や浸透気化膜等の分離膜として好ましい。ここで、「水を選択的に分離する」とは、混合流体から純度100%の水を分離して取り出すだけでなく、混合流体の組成と比較して水の含有率が高くなった溶液または気体を分離して取り出すことも含む。炭素膜45は、平均細孔径が0.2nm以上1.0nm以下であることが好ましい。平均細孔径が0.2nm以上では、水の透過量の低下をより抑制することができる。一方、平均細孔径が1.0nm以下では、分離対象物の選択性を向上することができる。この炭素膜の平均細孔径の測定方法は、例えば、ガス透過法により測定することができる。この炭素膜45の厚さは、0.01μm以上10μm以下であることが好ましく、0.01μm以上0.5μm以下であることがより好ましい。炭素膜の厚さが0.01μm以上では、選択性の低下が抑制され、機械的強度が向上する。一方、炭素膜の厚さが10μm以下では、分離対象成分の透過性の低下を抑制することができる。この炭素膜の厚さの測定方法は、例えば、走査型電子顕微鏡により測定することができる。
炭素膜45の作製方法としては、例えば、多孔質支持基体44をフェノール樹脂又はフェノール樹脂の前駆体を均一に溶解した溶液、又は、これらの懸濁液に浸漬させ、乾燥させてフェノール樹脂又はフェノール樹脂の前駆体からなる膜を成膜した後、熱処理して炭化させる方法などが挙げられる。なお、フェノール樹脂又はフェノール樹脂の前駆体を均一に溶解した溶液を用いる場合は、溶液の粘度が低くなるので、成膜回数を多くすればよい。一方、フェノール樹脂又はフェノール樹脂の前駆体を懸濁させた懸濁液を用いる場合には、フェノール樹脂又はフェノール樹脂の前駆体を多孔質支持基体の表面に堆積させて染み込みを防止することができ、成膜回数を減らすことができる。用いるフェノール樹脂は、質量平均分子量が3000以上10000以下であることが好ましく、4000以上であることがより好ましい。質量平均分子量がこの範囲では、選択性の高い炭素膜45を得ることができる。質量平均分子量が10000以内では、熱処理時や炭化時の膜の収縮によって生じうる欠陥の発生をより抑制することができ、選択性の低下をより抑制することができる。浸漬にフェノール樹脂又はフェノール樹脂の前駆体の懸濁液を用いる場合は、その濁度は1度以上1000度以下であることが好ましく、100度以上1000度以下であることがより好ましく、300度以上1000度以下であることが更に好ましい。なお、懸濁液の濁度は、透過散乱光測定方式の笠原理化工業社製の商品名「TR−55」を用いて測定することができる。溶液や懸濁液に用いる溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリジノンやエタノールなどの有機溶媒を用いることができる。浸漬する方法としては、例えば、多孔質支持基体44の細孔内に圧力を掛けながら浸漬するいわゆる加圧ディップ法で行うことが好ましい。この場合、圧力は1kPa以上1000kPa以下が好ましく、10kPa以上500kPa以下がより好ましく、50kPa以上100kPa以下が更に好ましい。乾燥処理は、例えば、90℃以上300℃以下の範囲、0.5時間以上60時間以下の条件で行うことができる。炭化させる熱処理は、例えば、非酸化雰囲気下で行うことが好ましい。非酸化雰囲気は、例えば、窒素、アルゴン等の不活性ガス中や真空中等の雰囲気をいう。熱処理は、例えば、400℃以上1200℃以下で行うことが好ましく、600℃以上900℃以下で行うことがより好ましい。400℃以上では、十分炭化し細孔を形成することができ、1200℃以下では強度低下をより抑制でき、膜が緻密化し過ぎるのをより抑制することができる。
分離部40では、セル42を介して循環経路22を混合流体が流通する原料側空間と、炭素膜フィルタ41から分離経路29へ分離後の流体が流通する透過側空間とに炭素膜45及び多孔質支持基体44により隔てられている。分離装置10では、真空ポンプ38で分離経路29(透過側空間)を減圧することにより、セル42から炭素膜45を経て分離経路29側へ分離対象成分(水)が透過し、冷却器32で冷却してこれを排水タンク35に回収する。このように構成された分離装置10では、分離部40は、水の分離処理を行ったあとの混合流体に含まれる水の到達脱水濃度が所定値に達すると、分離処理を終了する。所定の到達脱水濃度に達した循環経路22内の混合流体は、循環経路22に配設された送液経路23を介して図示しない次段階の装置(例えば更なる分離装置)へ送られる。
このような分離処理を継続して行うと、炭素膜45は、有機化合物と水との分離特性は低下しないものの、水の透過量、即ち透過特性は低下する。透過特性が低下した炭素膜45は、分離特性が低下しないよう透過特性を回復させる加熱再生処理が施される。なお、透過量は、単位時間あたりに炭素膜45を透過した透過蒸気の液体物の質量を炭素膜45の単位面積で除算することにより算出することができる。炭素膜45を透過した液体物の質量は、例えば、排水タンク35に収容された液体の増加量から求めてもよいし、収容部20に収容された液体の減少量から求めてもよい。また、分離特性は、炭素膜45を透過した分離物をガスクロマトグラフィーなどで分析し、その組成(水の濃度)により求めることができる。
(再生装置)
再生装置50は、図3に示すように、親水性官能基を有する有機化合物を含む混合流体から分離対象成分を分離するのに使用した炭素膜フィルタ41(炭素膜45)を加熱再生する装置である。この再生装置50は、導入管51に接続され炭素膜フィルタ41を収容する再生部52と、導入管51へ気体(大気)を送風する送風ポンプ53と、送風された大気や炭素膜フィルタ41の温度を所定の再生温度に調節する加熱部54と、再生部52からの排気を排出する排気管55と、再生処理の温度や送風のあるなしを制御する制御部58とを備えている。排気管55には、排気の温度を計測する温度センサ56が配設されている。加熱部54は、導入管51と、再生部52の内部且つ炭素膜フィルタ41の外周側とに配設されているが、加熱処理に応じてどちらか一方を省略するものとしてもよい。制御部58は、炭素膜45の膜面に平行な方向に送風を行いながら再生温度A(℃)を150℃以上350℃未満の温度範囲とし、再生時間B(時間)を10時間以上150時間以下の時間範囲として炭素膜45を再生する送風加熱再生処理を実行するよう送風ポンプ53や加熱部54を制御する(送風加熱再生手段)。また、制御部58は、炭素膜45の膜面への送風を行わずに再生温度A(℃)を200℃以上350℃未満の温度範囲とし、再生時間B(時間)を10時間以上150時間以下の時間範囲として炭素膜45を再生する定置加熱再生処理を実行するよう送風ポンプ53や加熱部54を制御する(定置加熱再生手段)。こうすれば、親水性官能基を有する有機化合物を含む混合流体の分離処理を行った炭素膜を十分に再生することができる。再生装置50により定置加熱再生処理を行う場合は、送風ポンプ53を動作させずに再生部52の内部に配設された加熱部54により炭素膜フィルタ41を加熱すればよい。
制御部58は、送風加熱再生処理では、炭素膜45の膜面に平行な方向に送風を行いながら、200℃以上300℃以下の温度範囲とし、15時間以上60時間以下の時間範囲に制御することが好ましい。こうすれば、この加熱再生処理を行ったあと、分離処理の時間経過に伴う透過量の低下をより抑制することができる。また、制御部58は、送風加熱再生処理において、再生温度A(℃)及び再生時間B(時間)が、2≦A×B/1000≦50を満たす条件に送風ポンプ53や加熱部54を制御することが好ましい。こうすれば、親水性官能基を有する有機化合物を含む混合流体の分離処理を行った炭素膜を十分に再生することができる。このとき、制御部58は、3≦A×B/1000≦15を満たす条件に送風ポンプ53や加熱部54を制御することがより好ましい。こうすれば、この加熱再生処理を行ったあと、分離処理の時間経過に伴う透過量の低下をより抑制することができる。
制御部58は、定置加熱再生処理では、200℃以上300℃以下の温度範囲とし、20時間以上100時間以下の時間範囲に制御することが好ましい。また、制御部58は、再生温度A(℃)及び再生時間B(時間)が、2.5≦A×B/1000≦50を満たす条件に送風ポンプ53や加熱部54を制御することが好ましい。こうすれば、親水性官能基を有する有機化合物を含む混合流体の分離処理を行った炭素膜を十分に再生することができる。また、制御部58は、3≦A×B/1000≦15を満たす条件に送風ポンプ53や加熱部54を制御することがより好ましい。加熱再生処理の終了は、制御部58により自動で行うものとしてもよい。加熱再生処理の終了を自動で行う際には、送風ポンプ53の送風や加熱部54の加熱を終了するよう制御部58が制御するものとすればよい。
(分離方法)
次に、本実施形態の分離方法について説明する。分離方法は、分離装置10を用いて行うものとしてもよいし、他の分離装置を用いて行うものとしてもよい。この分離方法は、親水性官能基を有する有機化合物と分離対象成分としての水とを含む混合流体から炭素膜を用いて水を分離する分離工程を含む。混合流体に含まれる有機化合物は、親水性官能基として、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、ケトン基からなる群より選ばれる1以上を有するものとしてもよい。具体的には、ヒドロキシル基を有する有機化合物として、メタノールやエタノール、プロパノールなどのアルコール類、プロピオングリコールやエチレングリコールなどのグリコール類、フェノールなどのフェノール類などが挙げられる。また、カルボキシル基を有する有機化合物として、ギ酸や酢酸、安息香酸などのカルボン酸類、シュウ酸やフタル酸などのジカルボン酸類などが挙げられる。アミノ基を有する有機化合物として、メチルアミンやアニリンなどのアミン類などが挙げられる。ケトン基を有する有機化合物として、アセトンやエチルメチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類などが挙げられる。
分離工程で用いる分離膜は、分離装置10で説明した炭素膜45を用いることができる。分離工程では、混合流体を液体で供給した場合は、透過側を減圧し炭素膜45から水を透過させる、浸透気化法(パーベーパレーション(Pervaporation)法)により行うことができる。また、混合流体を気体または超臨界ガスで供給した場合は、供給側を加圧あるいは透過側を減圧し炭素膜45から水を透過させる、蒸気透過法(ベーパーパーミエーション(Vapor permeation)法)により行うことができる。浸透気化法によれば、混合流体を高温に加熱することなく水を選択的に分離することができるため、エネルギーコスト的に有利である。一方、蒸気透過法によれば、加熱操作を多段でおこなう一般的な蒸留による分離方法などと比較して、やはりエネルギーコスト的に有利である。このうち、浸透気化法によって混合流体の分離を行う方がより好ましい。
分離工程では、分離温度としては、60℃以上120℃以下の温度で混合流体から水を分離するものとしてもよい。分離温度が60℃以上では、分離膜を水が透過する透過速度をより高めることができる。また、分離温度が120℃以下では、混合流体に含まれる有機化合物の炭素膜45の表面への付着をより抑制することができ、炭素膜45での透過速度の低下をより抑制することができる。この分離温度は、70℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましい。また、分離温度は、100℃以下であることがより好ましい。
分離工程は、混合流体を循環して水を分離するバッチ式分離方法としてもよいし、分離膜を介して次工程に混合流体を直接流通させる連続式分離方法としてもよい。バッチ式分離方法としたときには、所定の到達脱水濃度に達したあと、循環経路から混合流体を取り出すものとすればよい。この到達脱水濃度は、例えば、収容部20で減少した混合流体の量に基づいて求めるものとしてもよいし、分離膜を透過したあとの分離経路29で回収された分離物の量に基づいて求めるものとしてもよい。また、到達脱水濃度は、分離膜近傍の混合流体や分離膜を透過せずに通過した混合流体の組成分析を行うことにより求めるものとしてもよい。連続式分離方法としたときには、炭素膜45を透過せずに通過した混合流体の到達脱水濃度が所望の範囲となるよう、炭素膜45の面積や混合流体の流量、分離温度などを経験的に調整するものとすればよい。このような分離工程を継続して行うと、炭素膜45の透過特性が低下するため、透過特性を回復させる加熱再生処理が施される。
(加熱再生方法)
次に、加熱再生方法について説明する。加熱再生処理は、再生装置50を用いて行うものとしてもよいし、他の再生装置を用いて行うものとしてもよい。この加熱再生方法は、親水性官能基を有する有機化合物と水とを含む混合流体から水を分離するのに使用した炭素膜を加熱再生する方法である。加熱再生方法は、炭素膜の膜面に平行な方向に送風を行いながら再生温度A(℃)を150℃以上350℃未満の温度範囲とし、再生時間B(時間)を10時間以上150時間以下の時間範囲として炭素膜を再生する送風加熱再生工程を含むものとしてもよい。あるいは、加熱再生方法は、炭素膜の膜面への送風を行わずに再生温度A(℃)を200℃以上350℃未満の温度範囲とし、再生時間B(時間)を10時間以上150時間以下の時間範囲として炭素膜を再生する定置加熱再生工程を含むものとしてもよい。即ち、加熱再生方法は、送風加熱再生工程及び定置加熱再生工程のうち少なくとも一方を含む。なお、送風加熱再生工程及び定置加熱再生工程の両方を含む場合は、例えば、送風しながら所定時間にわたって炭素膜の再生を行い、その後送風せずに所定時間にわたって炭素膜の再生を行うものとしてもよいし、送風せずに所定時間にわたって炭素膜の再生を行い、その後送風しながら所定時間にわたって炭素膜の再生を行うものとしてもよい。
送風加熱再生工程では、炭素膜の膜面に平行な方向に送風を行いながら、200℃以上300℃以下の温度範囲とし、15時間以上60時間以下の時間範囲として炭素膜を再生することが好ましい。こうすれば、この加熱再生処理を行ったあと、分離処理の時間経過に伴う透過量の低下をより抑制することができる。また、送風加熱再生工程では、再生温度A(℃)及び再生時間B(時間)が、2≦A×B/1000≦50を満たす条件で炭素膜を再生することが好ましい。こうすれば、親水性官能基を有する有機化合物を含む混合流体の分離処理を行った炭素膜を十分に再生することができる。このとき、3≦A×B/1000≦15を満たす条件で炭素膜を再生することがより好ましい。こうすれば、この加熱再生処理を行ったあと、分離処理の時間経過に伴う透過量の低下をより抑制することができる。送風速度は、例えば、0.1m/s以上とすることが好ましく、1.0m/s以上とすることがより好ましい。また、送風速度は、供給量を考慮すると5.0m/s以下とすることが好ましい。
定置加熱再生工程では、200℃以上300℃以下の温度範囲とし、20時間以上100時間以下の時間範囲として炭素膜を再生することが好ましい。また、定置加熱再生工程では、再生温度A(℃)及び再生時間B(時間)が、2.5≦A×B/1000≦50を満たす条件で炭素膜を再生することが好ましい。こうすれば、親水性官能基を有する有機化合物を含む混合流体の分離処理を行った炭素膜を十分に再生することができる。また、定置加熱再生工程では、3≦A×B/1000≦15を満たす条件で炭素膜を再生することがより好ましい。この送風加熱再生工程及び定置加熱再生工程では、酸化雰囲気下で炭素膜を再生することが好ましく、大気雰囲気下で炭素膜を再生することがより好ましい。
以上説明した実施形態の再生装置及び再生方法によれば、所定の温度範囲及び時間範囲に制限した加熱再生処理を行うことにより、この炭素膜の劣化を抑えつつ、炭素膜の表面に付着した有機化合物を除去することができる。このため、親水性官能基を有する有機化合物を含む混合流体の分離処理を行った炭素膜を十分に再生することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、混合流体を循環し、水を分離するバッチ式の分離装置10として説明したが、特にこれに限定されず、分離膜を介して次工程に混合流体を直接流通させる連続式の分離装置としてもよい。
上述した実施形態では、制御部58が加熱再生処理を終了するよう送風ポンプ53や加熱部54を制御するものとしたが、特にこれに限定されず、作業者が手動で行ってもよい。加熱再生処理の終了を手動で行う際には、作業者が、再生温度や再生時間を温度センサ56や図示しない操作パネルなどで確認したのち、送風ポンプ53や加熱部54をオフするものとすればよい。
上述した実施形態では、フェノール樹脂を用いた炭素膜として説明したが、特にこれに限定されず、有機化合物と分離対象成分とを含む混合流体を分離可能な炭素膜であればよい。また、多孔質支持基体44に炭素膜45を形成した炭素膜フィルタ41として説明したが、炭素膜を有していればよく、多孔質支持基体44を省略してもよい。
以下には、本発明の再生方法を具体的に実施した例を実験例として説明する。分離装置は、図1に示した分離装置を実験用に小規模化したバッチ式の分離装置(例えば特開2010−99559号公報の図9参照)を用いた。なお、実験例1〜6、8〜15、23〜25、27〜32、38〜40が本発明の実施例に相当し、実験例7、16〜22、26、33〜37が比較例に相当する。
[分離膜の作製]
原料のフェノール樹脂の粉末(商品名「ベルパールS899」、エア・ウォーター社製)を、N−メチル−2−ピロリドンと質量比で10:90となるように混合し、25℃で24時間攪拌した。なお、27kgのN−メチル−2−ピロリドンをプロペラ攪拌機で攪拌しながら、3kgのフェノール樹脂の粉末を10g/minの投入速度でゆっくりと加えた。得られた懸濁液の一部をアドバンテック製の濾紙No.5A(孔径7μm)に通して溶け残りを除去し、濁度を1.5度とした。
直径3cm、長さ16cmで、平均粒径50μm、平均細孔径12μmのモノリス形状のアルミナ製多孔質支持基体上に、平均粒径3μmのアルミナ粒子をろ過製膜法により堆積した後、焼成して、厚み200μm、平均細孔径0.6μmの中間層(粗粒部)を形成した。この中間層の上に、更に平均粒径0.3μmのチタニア粒子をろ過製膜法により堆積した後(微粒部)、焼成して、厚み30μm、平均細孔径0.1μmの最表面を形成し、多孔質支持基体を得た。この多孔質支持基体上に、上述したフェノール樹脂の前駆体の懸濁液を加圧ディップ法により成膜し、乾燥した。乾燥した膜を更に大気雰囲気下にて200〜350℃で熱処理し、熱硬化により多孔質支持基体上に膜を成膜した。熱硬化後の膜の気密性をガス透過量で評価し、所定の気密性を超えるまで(ここでは4回)成膜を繰り返した。その後、真空中にて、700℃で炭化し、多孔質支持基体の表面に炭素膜を形成した。得られた炭素膜を水とエタノールの50%/50%溶液を用いて50℃で浸透気化を行った後、80℃で100時間加熱処理した。
[再生試験]
分離対象となる混合流体を、水と有機化合物とを所定の体積比で混合して作成した。上記作製した分離膜(炭素膜フィルタ)のセル内に上記作成した混合流体を1.0m/sの流速で流通させた。混合流体から水を分離する分離温度は、分離膜の入り口(図1の温度センサ13)で測定した値とし、70℃とした。炭素膜フィルタの側面から107hPaの真空度で減圧し、炭素膜フィルタの側面からの透過蒸気を液体窒素トラップによって捕集した。捕集した透過蒸気の液体物の質量から、単位時間あたりに単位面積の膜を透過した流体の量である透過量(kg/m2・h)を算出した。また、透過蒸気の液体物をガスクロマトグラフィー(GLサイエンス社製GC323)にて分析し、透過蒸気の組成を決定した。ガスクロマトグラフィーの検出部は、TCDとした。試験中、循環している混合流体を所定時間おきに数mLサンプリングし、ガスクロマトグラフィーにて組成を分析した。所定の分離時間を経過したのち、炭素膜フィルタを分離装置から取り出し、図3に示す再生装置にセットし、炭素膜フィルタの再生処理を行った。再生処理において、再生処理の温度は100℃〜350℃、再生処理の時間は5時間〜120時間、再生処理の雰囲気は大気雰囲気又は窒素雰囲気とし、送風はありなしとした。各実験例の再生処理の温度、時間、送風の有無などの条件は詳しくは後述する。再生処理を行った炭素膜フィルタを分離装置に装着し、上記分離処理と再生処理とを繰返し実施した。開始後60分までの透過量を初期値として100に規定し、各繰返し数での透過量の相対値を求め、繰返し数に応じた透過量の変化を検討した。
[実験例1]
水:酢酸が体積比で40:60となるように混合して作成した混合流体を用い、炭素膜フィルタによる水の分離処理を65時間にわたって行った。また、分離処理後に、再生処理の温度を200℃、再生時間を15時間、炭素膜の膜面に平行な方向への大気の送風ありの条件で再生処理を行った。これを実験例1とした。実験例1では、分離処理と再生処理とを8回繰り返した。
[実験例2〜7]
再生時間をそれぞれ20時間、30時間、60時間、120時間、10時間及び5時間とした以外は実験例1と同様の試験を行った測定結果をそれぞれ実験例2〜7とした。なお、実験例5、6では、分離処理、再生処理ののち更に2回目の分離処理を行った(表1参照)。2回目の分離処理は、30時間まで行った。
[実験例8〜13]
再生温度を250℃とし、再生時間をそれぞれ15時間、20時間、30時間、60時間、120時間及び10時間とした以外は実験例1と同様の試験を行った測定結果をそれぞれ実験例8〜13とした。
[実験例14〜16]
再生温度を150℃とし、再生時間をそれぞれ20時間、30時間及び5時間とした以外は実験例1と同様の試験を行った測定結果をそれぞれ実験例14〜16とした。
[実験例17〜20]
再生温度を100℃とし、再生時間をそれぞれ5時間、10時間、20時間及び25時間とした以外は実験例1と同様の試験を行った測定結果をそれぞれ実験例17〜20とした。
[実験例21〜22]
再生温度を350℃とした以外は実験例1と同様の試験を行った測定結果を実験例21とした。また、再生温度を350℃とし、再生処理の雰囲気を窒素ガスとした以外は実験例1と同様の試験を行った測定結果を実験例22とした。
[実験例23〜26]
分離処理後に、再生処理の温度を200℃、再生時間を100時間、炭素膜の膜面に平行な方向へ送風なしの条件で再生処理を行った結果を実験例23とした。実験例23では、再生時間及び送風なしの条件以外は基本的に実験例1と同様とした。再生時間をそれぞれ60時間、20時間及び10時間とした以外は実験例23と同様の試験を行った測定結果をそれぞれ実験例24〜26とした。なお、実験例23では、分離処理、再生処理ののち更に2回目の分離処理を行った(表1参照)。2回目の分離処理は、20時間まで行った。
[実験例27〜30]
分離処理後に、再生処理の温度を250℃、送風なしの条件で、更に、再生時間をそれぞれ100時間、60時間、20時間及び10時間とした以外は実験例23と同様の試験を行った測定結果をそれぞれ実験例27〜30とした。
[実験例31〜32]
分離処理後の再生処理の温度を300℃、送風なしの条件で、更に、再生時間をそれぞれ20時間及び10時間とした以外は実験例23と同様の試験を行った測定結果をそれぞれ実験例31〜32とした。
[実験例33〜34]
分離処理後の再生処理の温度を150℃、送風なしの条件で、更に、再生時間をそれぞれ20時間及び10時間とした以外は実験例23と同様の試験を行った測定結果をそれぞれ実験例33、34とした。
[実験例35〜37]
分離処理後の再生処理の温度を100℃、送風なしの条件で、更に、再生時間をそれぞれ100時間、20時間及び10時間とした以外は実験例23と同様の試験を行った測定結果をそれぞれ実験例35〜37とした。
[実験例38〜40]
水:エチレングリコールが体積比で80:20となるように混合して作成した混合流体を用い、炭素膜フィルタによる水の分離処理を100時間にわたって行った。また、分離処理後に、再生処理の温度を200℃、再生時間を15時間、炭素膜の膜面に平行な方向への大気の送風ありの条件で再生処理を行った。これを実験例38とした。実験例38では、混合流体の組成及び分離時間を変更した以外は実験例1と基本的に同様とした。水:アニリンが体積比で80:20となるように混合して作成した混合流体を用い、炭素膜フィルタによる水の分離処理を80時間にわたって行った以外は実験例38と同様の試験を行った測定結果を実験例39とした。水:メチルエチルケトンが体積比で70:30となるように混合して作成した混合流体を用い、炭素膜フィルタによる水の分離処理を70時間にわたって行った以外は実験例38と同様の試験を行った測定結果を実験例40とした。実験例38〜40では、分離処理と再生処理とを3回繰り返した。
(結果と考察)
実験例1〜40の測定結果をまとめて表1〜4に示す。表1には、分離処理及び再生処理を繰り返した実験例1,5,6,21〜23の測定結果をまとめた。表2には、送風ありである実験例1〜21の測定結果をまとめた。表3には、送風なしである実験例22〜37の測定結果をまとめた。表4には、混合流体の種類を変えた実験例1,38〜40の測定結果をまとめた。また、図4は、送風ありで再生処理した実験例1〜21の評価結果である。また、図5は、送風なしで再生処理した実験例22〜37の評価結果である。評価結果は、分離処理の初期の透過量を100としたときに、再生処理後に透過量が初期に対して30%に低下するまで50時間以上であるものを「◎」とし、30%に低下するまで50時間未満であるものを「○」とし、再生後に透過量が初期に対して80%以上に回復しないものを「×」とした。また、分離物の水分濃度は、98%以上が望ましいため98%未満であるものも「×」とした。但し、98%未満であっても実用上(要求仕様上)不都合が無い場合は使用可能である。
表1に示すように、実験例1では、8回目の再生処理後でも透過量が初期に対して95%であり、透過特性の低下が抑制されていた。また、再生時間の長い実験例5では、2回目の再生処理を行ったあとの分離処理において、30時間後に透過量が初期の35%となったが、炭素膜フィルタは十分再生されていることがわかった。再生時間の短い実験例6でも同様であった。一方、再生温度が350℃と高い実験例21では、1回目の再生処理を行ったあとの分離処理において、透過量は初期の80%に回復しているものの、分離物の水分濃度は97%であり、分離特性が低下していた。即ち、実験例21では、炭素膜の炭素まで燃焼するなどして、炭素膜に形成されている空孔がより大きくなったものと推察された。なお、実験例1〜20、22〜40では、再生処理後の分離物の水分濃度は99.5%であり、分離特性の低下は見られなかった。窒素雰囲気より再生処理を行った実験例22では、1回目の再生処理によっても透過量が初期の35%までしか回復しなかった。
表2及び図4に示すように、送風を行って加熱再生処理を行う場合は、再生温度は150℃以上350℃未満の温度範囲が好ましく、200℃以上300℃以下の温度範囲がより好ましいことがわかった。また、再生時間は、10時間以上150時間以下の時間範囲が好ましく、15時間以上60時間以下の時間範囲がより好ましいことがわかった。また、送風を行って加熱再生処理を行う場合は、再生温度A(℃)及び再生時間B(Hr)が、2≦A×B/1000≦50を満たす条件が好ましく、3≦A×B/1000≦15を満たす条件がより好ましいことがわかった。
表3及び図5に示すように、送風せずに加熱再生処理を行う場合は、再生温度は200℃以上350℃未満の温度範囲が好ましく、200℃以上300℃以下の温度範囲がより好ましいことがわかった。また、再生時間は、10時間以上150時間以下の時間範囲が好ましく、20時間以上100時間以下の時間範囲がより好ましいものと思われた。また、送風せずに加熱再生処理を行う場合は、再生温度A(℃)及び再生時間B(Hr)が、2.5≦A×B/1000≦50を満たす条件が好ましく、3≦A×B/1000≦15を満たす条件がより好ましいものと思われた。
表4に示すように、混合流体に含まれる有機化合物がエチレングリコール、酢酸、アニリン、エチルメチルケトンであっても、加熱処理により透過量を回復する再生処理を行うことができることがわかった。即ち、有機化合物として、親水性官能基であるヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、ケトン基を有するものを含む混合流体の分離処理後において、上記温度範囲、時間範囲として加熱再生を行うことが有効であることがわかった。炭素膜において、親水性官能基を有する有機化合物を含む混合流体を分離処理すると、その表面に有機化合物が強く付着するため、薬剤の洗浄などではこの付着した有機化合物を除去しにくかった。本実施例において、加熱再生を行うことがなかった炭素膜に対して、温度範囲、時間範囲を好適な範囲とすることにより、炭素膜の劣化を抑制すると共に加熱再生することができることがわかった。
Figure 2015181965
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本発明は、有機化合物と水との混合流体を分離する技術分野に利用可能である。
10 分離装置、11 予備タンク、12 送液ポンプ、13 温度センサ、14 圧力ゲージ、15 圧力センサ、16 温度センサ、17 圧力ゲージ、20 収容部、22 循環経路、23 送液経路、24 循環ポンプ、26 熱交換器、28 温度調節経路、29 分離経路、32 冷却器、34 チラー、35 排水タンク、36 真空制御機、37 送液ポンプ、38 真空ポンプ、40 分離部、41 炭素膜フィルタ、42 セル、44 多孔質支持基体、44a 粗粒部、44b 微粒部、45 炭素膜、50 再生装置、51 導入管、52 再生部、53 送風ポンプ、54 加熱部、55 排気管、56 温度センサ、58 制御部。

Claims (12)

  1. 親水性官能基を有する有機化合物を含む混合流体から所定の成分を分離するのに使用した炭素膜を再生する再生方法であって、
    前記炭素膜の膜面に平行な方向に送風を行いながら再生温度A(℃)を150℃以上350℃未満の温度範囲とし、再生時間B(時間)を10時間以上150時間以下の時間範囲として前記炭素膜を再生する送風加熱再生工程と、
    前記炭素膜の膜面への送風を行わずに再生温度A(℃)を200℃以上350℃未満の温度範囲とし、再生時間B(時間)を10時間以上150時間以下の時間範囲として前記炭素膜を再生する定置加熱再生工程と、のうち少なくとも一方を含む、炭素膜の再生方法。
  2. 前記送風加熱再生工程では、前記炭素膜の膜面に平行な方向に送風を行いながら、前記再生温度Aを200℃以上300℃以下の温度範囲とし、前記再生時間Bを15時間以上60時間以下の時間範囲として前記炭素膜を再生する、請求項1に記載の炭素膜の再生方法。
  3. 前記送風加熱再生工程では、前記再生温度A及び前記再生時間Bが、2≦A×B/1000≦50を満たす条件で前記炭素膜を再生する、請求項1又は2に記載の炭素膜の再生方法。
  4. 前記送風加熱再生工程では、前記再生温度A及び前記再生時間Bが、2.5≦A×B/1000≦15を満たす条件で前記炭素膜を再生する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭素膜の再生方法。
  5. 前記定置加熱再生工程では、前記再生温度Aを200℃以上300℃以下の温度範囲とし、前記再生時間Bを20時間以上100時間以下の時間範囲として前記炭素膜を再生する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭素膜の再生方法。
  6. 前記定置加熱再生工程では、前記再生温度A及び前記再生時間Bが、3≦A×B/1000≦50を満たす条件で前記炭素膜を再生する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の炭素膜の再生方法。
  7. 前記送風加熱再生工程及び前記定置加熱再生工程では、大気雰囲気下で前記炭素膜を再生する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の炭素膜の再生方法。
  8. 前記混合流体は水を含み、前記所定の成分は水である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の炭素膜の再生方法。
  9. 前記有機化合物は、前記親水性官能基として、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、ケトン基からなる群より選ばれる1以上を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の炭素膜の再生方法。
  10. 前記有機化合物は、プロピオングリコール、エチレングリコール、酢酸、アニリン、エチルメチルケトンからなる群より選ばれる1以上である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の炭素膜の再生方法。
  11. 前記炭素膜は、多孔質支持基体の表面に形成されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の炭素膜の再生方法。
  12. 親水性官能基を有する有機化合物を含む混合流体から所定の成分を分離するのに使用した炭素膜を再生する再生装置であって、
    前記炭素膜の膜面に平行な方向に送風を行いながら再生温度A(℃)を150℃以上350℃未満の温度範囲とし、再生時間B(時間)を10時間以上150時間以下の時間範囲として前記炭素膜を再生する送風加熱再生手段と、
    前記炭素膜の膜面への送風を行わずに再生温度A(℃)を200℃以上350℃未満の温度範囲とし、再生時間B(時間)を10時間以上150時間以下の時間範囲として前記炭素膜を再生する定置加熱再生手段と、のうち少なくとも一方を備えた、再生装置。
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