JP2016027938A - 膜の再生方法、膜の再生装置及び分離装置 - Google Patents
膜の再生方法、膜の再生装置及び分離装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】分離性能をより容易に回復させることのできる膜の再生方法を提供する。【解決手段】本発明の膜の再生方法は、一次側から供給され水と有機化合物とを含む混合流体から水を選択的に二次側へ透過させるDDR型ゼオライト膜を、DDR型ゼオライト膜の一次側及び二次側の少なくとも一方に水を含む洗浄流体を接触させ接触後の洗浄流体を除去することにより洗浄する洗浄工程、を含む。再生装置10は、水と有機化合物とを含む混合流体から水を選択的に二次側へ透過するのに使用した膜フィルタ41(DDR型ゼオライト膜45)を再生する装置である。この再生装置10では、DDR型ゼオライト膜45の一次側に洗浄流体を流通させ、二次側の空間を減圧してDDR型ゼオライト膜45の洗浄を行うものとしてもよい。【選択図】図1
Description
本発明は、膜の再生方法、膜の再生装置及び分離装置に関する。
従来、複数の成分を含む混合流体から所定の成分を選択的に分離する技術の一つとして、膜分離技術が知られている。こうした膜分離技術において、膜を長時間にわたって使用すると、混合流体に含まれる分離対象物質や不純物、これらに起因する物質、などといったファウリング物質が膜表面や細孔内に付着・堆積して混合流体が膜を透過しにくくなり(透過流束が低下し)、分離性能が低下する。ファウリング物質などによって分離性能が低下した膜の分離性能を回復させる再生方法については、酸やアルカリ、界面活性剤などでの洗浄が知られているほか、種々の検討がなされている(特許文献1〜4)。例えば、特許文献1では、SiO2/Al2O3モル比が5以上のゼオライトを含むゼオライト膜を、水に浸漬して再生することが提案されている。特許文献2では、ゼオライト膜により製品と水を主成分とする透過成分とを分離するゼオライト膜脱水設備において、ゼオライト膜表面上に、製品と水分とを混合した溶液を洗浄液として流すことが提案されている。特許文献3では、水含有有機液体(A)を処理して分離性能の低下した水選択透過浸透気化膜を、水含有有機液体(A)よりも水含有率が3〜40重量%高い水含有有機液体(B)と接触させて、性能を回復させることが提案されている。特許文献4では、洗浄前のセラミックフィルターの一次側の空間に洗浄用媒体を供給しながら、洗浄前のセラミックフィルターの二次側の空間を減圧することによって、洗浄前のセラミックフィルターに洗浄媒体を通し、洗浄前のセラミックフィルターを洗浄することが提案されている。
ところで、ファウリング物質は分離対象である混合流体の種類などによって種々の組成となるものであり、適する再生方法はファウリング物質によって異なる。しかしながら、膜の種類によって適用可能な再生方法が限定され、分離性能の回復が困難なことがあった。このため、分離性能をより容易に回復させることが望まれていた。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、分離性能をより容易に回復させることのできる膜の再生方法、膜の再生装置及び分離装置を提供することを主目的とする。
上述の主目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、DDR型ゼオライト膜の再生では、適用可能な再生方法が非常に多く、分離性能をより容易に回復させることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の膜の再生方法は、
一次側から供給され水と有機化合物とを含む混合流体から水を選択的に二次側へ透過させるDDR型ゼオライト膜を、前記DDR型ゼオライト膜の一次側及び二次側の少なくとも一方に水を含む洗浄流体を接触させ接触後の前記洗浄流体を除去することにより洗浄する洗浄工程、
を含むものである。
一次側から供給され水と有機化合物とを含む混合流体から水を選択的に二次側へ透過させるDDR型ゼオライト膜を、前記DDR型ゼオライト膜の一次側及び二次側の少なくとも一方に水を含む洗浄流体を接触させ接触後の前記洗浄流体を除去することにより洗浄する洗浄工程、
を含むものである。
本発明の膜の再生装置は、
一次側から供給され水と有機化合物とを含む混合流体から水を選択的に二次側へ透過させるDDR型ゼオライト膜を、前記DDR型ゼオライト膜の一次側及び二次側の少なくとも一方に水を含む洗浄流体を接触させ接触後の前記洗浄流体を除去することにより洗浄する洗浄部を備えたものである。
一次側から供給され水と有機化合物とを含む混合流体から水を選択的に二次側へ透過させるDDR型ゼオライト膜を、前記DDR型ゼオライト膜の一次側及び二次側の少なくとも一方に水を含む洗浄流体を接触させ接触後の前記洗浄流体を除去することにより洗浄する洗浄部を備えたものである。
本発明の分離装置は、
一次側から供給され水と有機化合物とを含む混合流体から水を選択的に二次側へ透過させるDDR型ゼオライト膜と、
前記DDR型ゼオライト膜の一次側及び二次側の少なくとも一方に水を含む洗浄流体を接触させ接触後の前記洗浄流体を除去することにより前記DDR型ゼオライト膜を洗浄する洗浄部と、
を備えたものである。
一次側から供給され水と有機化合物とを含む混合流体から水を選択的に二次側へ透過させるDDR型ゼオライト膜と、
前記DDR型ゼオライト膜の一次側及び二次側の少なくとも一方に水を含む洗浄流体を接触させ接触後の前記洗浄流体を除去することにより前記DDR型ゼオライト膜を洗浄する洗浄部と、
を備えたものである。
本発明の膜の再生方法、膜の再生装置及び分離装置では、分離性能をより容易に回復させることができる。こうした効果が得られる理由は、以下のように推察される。DDR型ゼオライト膜は、一般的なゼオライト膜に比べてシリカアルミナ比(SiO2/Al2O3(モル比))が大きいため、耐酸性、耐有機溶剤性、耐熱性に優れている。また、強い親水性により水を選択的に透過させるA型ゼオライト膜などと異なり、分子篩効果によって混合物中の水を透過させるため、A型ゼオライト膜などに比して耐水性が優れている。このように、耐酸性、耐水性、耐有機溶剤性、耐熱性などに優れているため、種々の再生方法を適用可能であり、結果として、分離性能をより容易に回復させることができる。
次に、本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。図1は、分離装置10の構成の概略を示す構成図である。図2は、DDR型ゼオライト膜45を備えた膜フィルタ41の構成の概略の一例を示す説明図である。DDR型ゼオライト膜45では、一次側から供給され水と有機化合物とを含む混合流体から水を選択的に二次側へ透過させる。
(分離装置)
分離装置10は、分離対象物である混合流体を収容する収容部20と、収容部20から供給された混合流体から所定の成分を分離する分離部40とを備えている。混合流体は、水と有機化合物と含む流体である。有機化合物は、炭素数が1以上10以下のものが好ましい。有機化合物としては、例えば、アルコール、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エーテル、エステル、アミン、ニトリル、直鎖飽和炭化水素、枝分れ飽和炭化水素、環状飽和炭化水素、鎖状不飽和炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。ケトンとしては、アセトン、エチルメチルケトン等が挙げられる。カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、酪酸、プロピオン酸等が挙げられる。芳香族炭化水素としては、フェノール、トルエン、ベンゼン等が挙げられる。混合流体は、これらの有機化合物のうちの1種を含むものとしてもよいし、2種以上を含むものとしてもよい。混合流体は、水と有機化合物のほかに、不純物を含むものとしてもよい。不純物としては、シリカ、アルミナ、鉄、カルシウム、マンガンなどの無機成分、ドデカン、セタンなどの石油由来の有機成分、トリグリセリドやフミン酸などの生物由来の有機成分などが挙げられる。不純物の濃度は、特に限定されず、例えば1質量%以下としてもよいし、0.1質量%以下としてもよい。なお、不純物とは、分離装置10で分離しようとする成分以外の成分のことであり、例えば、水と酢酸エチルと油成分とを含む混合流体を水と酢酸エチルとに分離しようとする場合、油成分が不純物に該当する。不純物は、上述の有機化合物に挙げた1種以上でもよい。混合流体は、液体であってもよいし、気体であってもよい。
分離装置10は、分離対象物である混合流体を収容する収容部20と、収容部20から供給された混合流体から所定の成分を分離する分離部40とを備えている。混合流体は、水と有機化合物と含む流体である。有機化合物は、炭素数が1以上10以下のものが好ましい。有機化合物としては、例えば、アルコール、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エーテル、エステル、アミン、ニトリル、直鎖飽和炭化水素、枝分れ飽和炭化水素、環状飽和炭化水素、鎖状不飽和炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。ケトンとしては、アセトン、エチルメチルケトン等が挙げられる。カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、酪酸、プロピオン酸等が挙げられる。芳香族炭化水素としては、フェノール、トルエン、ベンゼン等が挙げられる。混合流体は、これらの有機化合物のうちの1種を含むものとしてもよいし、2種以上を含むものとしてもよい。混合流体は、水と有機化合物のほかに、不純物を含むものとしてもよい。不純物としては、シリカ、アルミナ、鉄、カルシウム、マンガンなどの無機成分、ドデカン、セタンなどの石油由来の有機成分、トリグリセリドやフミン酸などの生物由来の有機成分などが挙げられる。不純物の濃度は、特に限定されず、例えば1質量%以下としてもよいし、0.1質量%以下としてもよい。なお、不純物とは、分離装置10で分離しようとする成分以外の成分のことであり、例えば、水と酢酸エチルと油成分とを含む混合流体を水と酢酸エチルとに分離しようとする場合、油成分が不純物に該当する。不純物は、上述の有機化合物に挙げた1種以上でもよい。混合流体は、液体であってもよいし、気体であってもよい。
この分離装置10は、収容部20から分離部40を経て収容部20へ混合流体を流通する循環経路22を備えている。即ち、分離装置10は、混合流体を循環して水を分離するバッチ式分離装置として構成されている。循環経路22には、混合流体を流通させる循環ポンプ24と、循環経路22を流通する混合流体の温度を所定温度に調節する熱交換器26と、循環経路22を流通する混合流体の温度を検出する温度センサ13とが収容部20から分離部40への間に配設されている。熱交換器26は、接続された温度調節経路28を循環する熱媒体によって、循環経路22を流通する混合流体と熱媒体との熱交換を行う。混合流体から水を分離する分離温度は、温度センサ13による測定値としてもよい。また、分離装置10は、混合流体を収容する予備タンク11を備えており、この予備タンク11から送液ポンプ12により混合流体が収容部20へ送られる。
分離部40は、分離膜としてのDDR型ゼオライト膜45(図2参照)が形成された膜フィルタ41が配設されている。また、分離部40は、分離物である水を収容する排水タンク35に分離経路29を介して接続されており、この分離経路29を介して、分離された水が排出される。この分離部40には、圧力センサ15が接続されており、この圧力センサ15により容器内の圧力が検出される。分離経路29には、経路内の圧力を検出する圧力ゲージ14と、チラー34と接続された冷却器32と、排水タンク35に入る前の水の温度を計測する温度センサ16とが配設されている。排水タンク35には、排水タンク35の圧力を検出する圧力ゲージ17と、真空ポンプ38が接続され排水タンク35や分離経路29を減圧する真空制御機36と、排水タンク35に収容された水を経路外へ送り出す送液ポンプ37とが配設されている。
膜フィルタ41は、図2に示すように、混合流体の流路となる複数のセル42を形成する基材としての多孔質支持基体44と、多孔質支持基体44の内表面に設けられ混合流体の分離機能を有するDDR型ゼオライト膜45とを備えている。このように、DDR型ゼオライト膜45が多孔質支持基体44の表面に形成されることにより、DDR型ゼオライト膜45を薄膜としても、多孔質支持基体44に支えられてその形状を維持し破損等を防止することができる。この膜フィルタ41では、入口側からセル42へ入った混合流体のうち、DDR型ゼオライト膜45を透過可能な分子サイズを有する水が、DDR型ゼオライト膜45及び多孔質支持基体44を通過し、膜フィルタ41の側面から排出される。一方、DDR型ゼオライト膜45を通過できない流体は、セル42の流路に沿って流通し、セル42の出口側から排出される。多孔質支持基体44は、複数のセル42を備えたモノリス構造を有しているものとしてもよい。その外形は、特に限定されないが、円柱状、楕円柱状、四角柱状、六角柱状などの形状とすることができる。あるいは、多孔質支持基体44は、円筒状、楕円筒状、断面多角形の管状としてもよい。この多孔質支持基体44は、気孔径の大きな粗粒部44aの表面に気孔径の小さな細粒部44bが形成された二層以上の多層構造を有しているものとしてもよい。粗粒部44aの気孔径は、例えば、0.1μm〜数100μm程度とすることができる。細粒部44bの気孔径は、粗粒部44aの気孔径に比して小さければよく、例えば、気孔径が0.001〜1μm程度のものとすることができる。こうすれば、多孔質支持基体44の透過抵抗を低減することができる。多孔質支持基体44を構成する材料としては、アルミナ(α−アルミナ、γ−アルミナ、陽極酸化アルミナ等)、シリカ、コージェライト、ムライト、チタニア、ジルコニア及び炭化珪素などのセラミック材料やステンレスなどの金属等を挙げることができる。このうち、基材の作製、入手の容易さの点から、アルミナが好ましい。アルミナとしては、平均粒径0.001〜30μmのアルミナ粒子を原料として成形、焼結させたものが好ましい。
DDR型ゼオライト膜45は、例えば、水と有機化合物とを含む混合溶液や混合溶液の蒸発物などの混合流体から水を選択的に透過させて分離する分離膜である。DDR型ゼオライト膜は、分子篩作用を有しており、ガス分離膜や浸透気化膜等の分離膜として好ましい。ここで、「水を選択的に分離する」とは、混合流体から純度100%の水を分離して取り出すだけでなく、混合流体の組成と比較して水の含有率が高くなった溶液または気体を分離して取り出すことも含む。例えば、純度90%以上の水や純度95%以上の水を分離して取り出すものとしてもよい。また、「脱水」というときは、水を選択的に分離することをいう。
ところで、ゼオライトは、その結晶構造により、LTA(A型)、MFI(ZSM−5、シリカライト)、MOR(モルデナイト)、AFI(SSZ−24)、FER(フェリエライト)、FAU(X型、T型)、DDR(デカ−ドデカシル−3R)といった数多くの種類が存在する。このうち、DDRは、主成分がシリカからなる結晶であり、その細孔は酸素8員環を含む多面体によって形成されているとともに、酸素8員環の細孔径は4.4×3.6Åであることが知られている。DDR型ゼオライト膜は、主成分がシリカであり、SiO2/Al2O3のモル比率(以下シリカアルミナ比とも称する)が200以上であるため、耐酸性に優れている。耐酸性に関しては、例えばA型ゼオライトは、シリカアルミナ比が約2であり、アルミナの含有率が高いため、DDR型ゼオライトより耐酸性が低い。T型ゼオライトは、A型と比較するとシリカの含有率が若干高いものの、シリカアルミナ比が6〜8と低いためDDR型ゼオライトより耐酸性が低い。また、MOR型ゼオライトは、シリカ含有率が更に高いが、シリカ/アルミナ比が40以下程度であるためDDR型ゼオライトより耐酸性が低い。このように、DDR型ゼオライト膜は、耐酸性が高い。また、シリカアルミナ比が高いため、耐酸性、耐有機溶剤性、耐熱性に優れている。また、DDR型ゼオライト膜は、強い親水性により水を選択的に透過させるA型ゼオライト膜などと異なり、分子篩効果によって混合物中の水を透過させるため、A型ゼオライト膜などに比して耐水性が高い。また、セラミックであるため、耐熱性が高い。
DDR型ゼオライト膜45の製造方法は、特に限定されるものではなく、緻密なDDR型ゼオライト膜を形成できればよい。例えば、特開2003−159518号公報に記載のDDR型ゼオライト膜の製造方法のように、1−アダマンタンアミンとシリカとの含有割合(1−アダマンタンアミン/SiO2)がモル比で0.03〜0.4、水とシリカとの含有割合(水/SiO2)がモル比で20〜500、さらにエチレンジアミンと1−アダマンタンアミンとの含有割合(エチレンジアミン/1−アダマンタンアミン)がモル比で5〜32である原料溶液と、種結晶となるDDR型ゼオライト粉末とを用いて、水熱合成することにより形成したものとしてもよい。
分離部40では、セル42を介して循環経路22を混合流体が流通する一次側空間と、膜フィルタ41から分離経路29へ分離後の流体が流通する二次側空間とにDDR型ゼオライト膜45及び多孔質支持基体44により隔てられている。分離装置10では、真空ポンプ38で分離経路29(二次側空間)を減圧することにより、セル42からDDR型ゼオライト膜45を経て分離経路29側へ分離対象成分(水)が透過し、冷却器32で冷却してこれを排水タンク35に回収する。このように構成された分離装置10では、分離部40は、水の分離処理を行ったあとの混合流体に含まれる水の到達脱水濃度が所定値に達すると、分離処理を終了する。所定の到達脱水濃度に達した循環経路22内の混合流体は、循環経路22に配設された送液経路23を介して図示しない次段階の装置(例えば更なる分離装置)へ送られる。
このような分離処理を継続して行うと、DDR型ゼオライト膜45は、有機化合物と水との分離特性は低下しないものの、水の透過量、即ち透過特性は低下する。透過特性が低下したDDR型ゼオライト膜45は、分離特性が低下しないよう透過特性を回復させる再生処理(洗浄)が施される。なお、透過量は、単位時間あたりにDDR型ゼオライト膜45を透過した透過蒸気の液体物の質量をDDR型ゼオライト膜45の単位面積で除算することにより算出することができる。DDR型ゼオライト膜45を透過した液体物の質量は、例えば、排水タンク35に収容された液体の増加量から求めてもよいし、収容部20に収容された液体の減少量から求めてもよい。また、分離特性は、DDR型ゼオライト膜45を透過した分離物をガスクロマトグラフィーなどで分析し、その組成(水の濃度)により求めることができる。
(再生装置)
上述した分離装置10は、そのままの構成で、再生装置10として用いることができる。再生装置10は、水と有機化合物とを含む混合流体から水を分離(選択的に二次側へ透過)するのに使用した膜フィルタ41(DDR型ゼオライト膜45)を再生する装置である。この再生装置10では、混合流体の代わりに水を含む洗浄流体を用い、DDR型ゼオライト膜45の一次側に洗浄流体を流通させ、二次側の空間を減圧して洗浄を行う。以下では、再生装置10について、分離装置10と異なる点を主として説明する。
上述した分離装置10は、そのままの構成で、再生装置10として用いることができる。再生装置10は、水と有機化合物とを含む混合流体から水を分離(選択的に二次側へ透過)するのに使用した膜フィルタ41(DDR型ゼオライト膜45)を再生する装置である。この再生装置10では、混合流体の代わりに水を含む洗浄流体を用い、DDR型ゼオライト膜45の一次側に洗浄流体を流通させ、二次側の空間を減圧して洗浄を行う。以下では、再生装置10について、分離装置10と異なる点を主として説明する。
再生装置10は、洗浄流体を収容する収容部20と、収容部20から供給された洗浄流体から所定の成分を分離しても分離しなくてもよい分離部40(以下洗浄部40とも称する)とを備えている。洗浄流体は、水を含むものである。水は、蒸留水やイオン交換水、逆浸透膜(RO膜)透過水などが好ましく、イオン交換水やRO膜透過水などが好ましい。この洗浄流体は、酸、界面活性剤、酵素洗剤、キレート剤からなる群より選ばれる1種以上の添加剤を含むものとしてもよい。洗浄流体は、ファウリング物質が無機物の場合には、酸、界面活性剤、キレート剤が適している。ファウリング物質が有機物の場合には、界面活性剤、酵素洗剤が適している。酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、クエン酸、シュウ酸などを好適に用いることができる。硫酸は、塩酸よりもカルシウムの溶解度が小さい。塩酸は、揮発性と腐食性を有するが硫酸よりも塩の溶解度が大きい。硝酸は塩類の溶解度が大きいが鋼材の腐食性が強い。クエン酸は無機酸よりもマンガン酸化物の溶解度が大きい。シュウ酸は、マンガンや鉄酸化物の溶解度が高い一方、カルシウムがあると析出する。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤およびフッ素系界面活性剤を用いることができ、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。酵素洗剤としては、プロテアーゼやリパーゼなどが挙げられる。酵素洗剤は、タンパク質や脂質に有効である。キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)や、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどが挙げられる。キレート剤はスケール除去に有効である。洗浄流体は、上述した添加剤の特性などを考慮し、ファウリング物質の種類や量に応じて適宜選択すればよい。洗浄流体は、複数の添加剤を含むものとしてもよい。また、異なる添加剤を含む洗浄流体を順次用いてもよい。洗浄流体における添加剤の濃度は特に限定されないが、例えば、硫酸や塩酸では0.05質量%以上5.0質量%以下が好ましく、硝酸では0.05質量%以上1.0質量%以下が好ましく、クエン酸やシュウ酸では0.1質量%以上3.0質量%以下が好ましい。また、界面活性剤や酸素洗剤、キレート剤では0.1質量%以上2.0質量%以下が好ましい。洗浄流体は、pHが1以上9以下の範囲であることが好ましく、8以下としてもよいし、7以下としてもよい。洗浄流体は、液体であってもよいし、気体であってもよい。
この再生装置10は、収容部20から洗浄部40を経て収容部20へ洗浄流体を流通する循環経路22を備えている。すなわち、再生装置10は、洗浄流体を循環して膜フィルタ41を洗浄するバッチ式再生装置として構成されている。
洗浄部40は、洗浄対象としてのDDR型ゼオライト膜45が形成された膜フィルタ41が配設されている。また、洗浄部40は、DDR型ゼオライト膜45を透過した洗浄排水を収容する排水タンク35に分離経路29を介して接続されており、この分離経路29を介して、洗浄排水が排出される。
洗浄部40では、セル42を介して循環経路22を洗浄流体が流通する一次側空間と、膜フィルタ41から分離経路29へDDR型ゼオライト膜45を透過した流体が流通する二次側空間とにDDR型ゼオライト膜45及び多孔質支持基体44により隔てられている。再生装置10では、真空ポンプ38で分離経路29(二次側空間)を減圧することにより、セル42からDDR型ゼオライト膜45を経て分離経路29側へ主に水が透過し、冷却器32で冷却してこれを排水タンク35に回収する。このように構成された再生装置10では、洗浄部40は、所定の処理が全て終了すると、洗浄処理を終了する。所定の処理が全て終了したか否かは、例えば、洗浄処理の時間や、洗浄流体の使用量、膜に供給された洗浄流体の量などに基づいて判断するものとしてもよい。所定の処理が全て終了した後の循環経路22内の洗浄流体(洗浄廃液)は、循環経路22に配設された送液経路23を介して外部へ排出される。こうして、再生装置10では、DDR型ゼオライト膜45の一次側に洗浄流体を接触させ、接触後の洗浄流体(洗浄排水及び洗浄廃液)を除去することにより、DDR型ゼオライト膜45を洗浄する。このような洗浄処理を行うと、DDR型ゼオライト膜45は、透過特性が回復する。
(分離方法)
次に、分離方法について説明する。分離方法は、分離装置10を用いて行うものとしてもよいし、他の分離装置を用いて行うものとしてもよい。この分離方法は、DDR型ゼオライト膜を用いて、一次側から供給された水と有機化合物とを含む混合流体から水を選択的に二次側へ透過させて分離する分離工程を含む。混合流体としては、分離装置10で説明したものなどが挙げられる。
次に、分離方法について説明する。分離方法は、分離装置10を用いて行うものとしてもよいし、他の分離装置を用いて行うものとしてもよい。この分離方法は、DDR型ゼオライト膜を用いて、一次側から供給された水と有機化合物とを含む混合流体から水を選択的に二次側へ透過させて分離する分離工程を含む。混合流体としては、分離装置10で説明したものなどが挙げられる。
分離工程で用いる分離膜は、分離装置10で説明したDDR型ゼオライト膜45を用いることができる。分離工程では、混合流体を液体で供給した場合は、二次側を減圧しDDR型ゼオライト膜45から水を透過させる、浸透気化法(パーベーパレーション(Pervaporation)法,PVとも称する)により分離を行うことができる。また、混合流体を気体または超臨界ガスで供給した場合は、一次側を加圧あるいは二次側を減圧しDDR型ゼオライト膜45から水を透過させる、蒸気透過法(ベーパーパーミエーション(Vapor permeation)法,VPとも称する)により分離を行うことができる。浸透気化法によれば、混合流体を高温に加熱することなく水を選択的に分離することができるため、エネルギーコスト的に有利である。一方、蒸気透過法によれば、加熱操作を多段でおこなう一般的な蒸留による分離方法などと比較して、やはりエネルギーコスト的に有利である。このうち、浸透気化法によって混合流体の分離を行う方がより好ましい。
分離工程では、分離温度として、60℃以上120℃以下の温度で混合流体から水を分離するものとしてもよい。分離温度が60℃以上では、分離膜を水が透過する透過速度をより高めることができる。また、分離温度が120℃以下では、混合流体に含まれる有機化合物のDDR型ゼオライト膜45の表面への付着をより抑制することができ、DDR型ゼオライト膜45での透過速度の低下をより抑制することができる。この分離温度は、70℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましい。また、分離温度は、100℃以下であることがより好ましい。
分離工程は、混合流体を循環して水を分離するバッチ式分離方法としてもよいし、分離膜を介して次工程に混合流体を直接流通させる連続式分離方法としてもよい。バッチ式分離方法としたときには、所定の到達脱水濃度に達したあと、循環経路から混合流体を取り出すものとすればよい。この到達脱水濃度は、例えば、収容部20で減少した混合流体の量に基づいて求めるものとしてもよいし、分離膜を透過したあとの分離経路29で回収された分離物の量に基づいて求めるものとしてもよい。また、到達脱水濃度は、分離膜近傍の混合流体や分離膜を透過せずに通過した混合流体の組成分析を行うことにより求めるものとしてもよい。連続式分離方法としたときには、DDR型ゼオライト膜45を透過せずに通過した混合流体の到達脱水濃度が所望の範囲となるよう、DDR型ゼオライト膜45の面積や混合流体の流量、分離温度などを経験的に調整するものとすればよい。このような分離工程を継続して行うと、DDR型ゼオライト膜45の透過特性が低下するため、透過特性を回復させる再生処理(洗浄)が施される。
(再生方法)
再生方法は、再生装置10を用いて行うものとしてもよいし、他の再生装置を用いて行うものとしてもよい。この再生方法は、水と有機化合物とを含む混合流体から水を分離するのに使用したDDR型ゼオライト膜を再生する方法である。再生方法ではDDR型ゼオライト膜の一次側に水を含む洗浄流体を流通させ、DDR型ゼオライト膜を透過した洗浄排水や透過しなかった洗浄廃液などの洗浄流体を除去することにより、DDR型ゼオライト膜を洗浄する洗浄工程を含む。洗浄流体としては、再生装置10で説明したものなどが挙げられる。
再生方法は、再生装置10を用いて行うものとしてもよいし、他の再生装置を用いて行うものとしてもよい。この再生方法は、水と有機化合物とを含む混合流体から水を分離するのに使用したDDR型ゼオライト膜を再生する方法である。再生方法ではDDR型ゼオライト膜の一次側に水を含む洗浄流体を流通させ、DDR型ゼオライト膜を透過した洗浄排水や透過しなかった洗浄廃液などの洗浄流体を除去することにより、DDR型ゼオライト膜を洗浄する洗浄工程を含む。洗浄流体としては、再生装置10で説明したものなどが挙げられる。
洗浄工程では、洗浄流体を液体で供給した場合は、二次側を減圧しDDR型ゼオライト膜45から水を透過させる、浸透気化法に準じて洗浄を行うことができる。また、洗浄流体を気体または超臨界ガスで供給した場合は、一次側を加圧あるいは二次側を減圧しDDR型ゼオライト膜45から水を透過させる、蒸気透過法に準じて洗浄を行うことができる。浸透気化法によれば、洗浄流体を高温に加熱することなく水を選択的に透過させることができるため、エネルギーコスト的に有利である。一次側の加圧や二次側の減圧の圧力は特に限定されないが、二次側を減圧する場合、二次側の空間の圧力が0.13kPa(1Torr)以上40kPa(300Torr)以下となるように減圧することが好ましく、4.0kPa(30Torr)以上13kPa(100Torr)以下がより好ましい。0.13kPa以上であれば、比較的容易に減圧できる。40kPa以下であれば、DDR型ゼオライト膜から水をより効率的に透過させることができる。
洗浄工程では、洗浄温度として、室温(27℃)以上100℃以下の温度でDDR型ゼオライト膜の洗浄を行うことが好ましい。室温以上では、洗浄の効果や効率をより高めることができる。また、100℃以下では、DDR型ゼオライト膜と洗浄流体との反応などが生じにくく、DDR型ゼオライト膜の劣化をより抑制できる。このうち、洗浄流体が水のみの場合、80℃以上100℃以下で行うことが好ましい。
洗浄工程では、一次側での流通速度が、0.01m/s以上10m/s以下となるように洗浄流体を流通させることが好ましく、0.1m/s以上2m/s以下がより好ましい。0.01m/s以上では、洗浄の効果や効率をより高めることができる。また、10m/s以下であれば、洗浄流体が流通するときに生じる圧力によるDDR型ゼオライト膜の損傷などが生じにくく、DDR型ゼオライト膜の劣化をより抑制できる。
洗浄工程では、1時間以上48時間以下の洗浄を行う(ゼオライト膜の一次側に洗浄流体を流通させる)ことが好ましく、2時間以上12時間以上がより好ましい。1時間以上洗浄を行えば、洗浄の効果をより高めることができる。48時間以下であれば、洗浄時間が長すぎず、効率がよい。
この再生方法では、上述した洗浄工程を1回行ってもよいし、2回以上行ってもよい。2回以上行う場合、各洗浄工程毎に、洗浄流体の種類、二次側の空間の圧力、洗浄温度、一次側の流通速度、洗浄時間などの洗浄条件を、適宜変更してもよい。なお、洗浄工程を2回以上行う場合、全ての洗浄工程の合計時間が1時間以上48時間以下となるように洗浄を行うことが好ましい。なお、添加剤を含む洗浄流体を用いて洗浄工程を行う場合、その前に添加剤を含まない(水のみの)洗浄流体を用いて洗浄工程を行ってもよい。こうすれば、添加剤が無くても除去できるファウリング物質を予め除去できるため、添加剤を含む洗浄流体を用いた洗浄工程で効率良く洗浄を行うことができる。また、添加剤を含む洗浄流体を用いて洗浄工程を行う場合、その後に添加剤を含まない(水のみの)洗浄流体や、DDR型ゼオライト膜における分離対象物である混合流体を用いて洗浄工程を行ってもよい。こうすれば、添加剤などがDDR型ゼオライト膜等からより確実に除去されるからである。
以上説明した分離装置、再生装置及び再生方法によれば、耐酸性、耐水性、耐有機溶剤性、耐熱性などに優れたDDR型ゼオライト膜を再生するため、水を用いた種々の再生方法を適用可能である。このため、DDR型ゼオライト膜の劣化を抑えつつ、DDR型ゼオライト膜の表面や細孔内に付着したファウリング物質を除去することができる。このため、分離性能をより容易に回復させることができる。
また、DDR型ゼオライト膜の一次側に洗浄流体を接触させるにあたり、洗浄流体を流通させるため、ファウリング物質がDDR型ゼオライト膜からはがれやすく、分離性能をより高めることができる。また、二次側の空間を減圧して洗浄を行うため、DDR型ゼオライト膜を水が透過するときにDDR型ゼオライト膜の細孔内のファウリング物質が押し出されるなどして、分離性能をより高めることができる。
また、再生装置10は、分離装置10をそのままの構成で用いることができる。このため、再生機能付きの分離装置とすることができる。再生機能付きの分離装置とすれば、分離装置内で分離も洗浄もできるため、膜フィルタ41を取り外すことなく装置配管ともに洗浄流体で洗浄することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、混合流体を循環し、水を分離するバッチ式の分離装置10として説明したが、特にこれに限定されず、循環しない分離装置としてもよいし、分離膜を介して次工程に混合流体を直接流通させる連続式の分離装置としてもよい。また、上述した実施形態では、洗浄流体を循環して膜フィルタ41を洗浄するバッチ式の再生装置10として説明したが、特にこれに限定されず、循環しない再生装置としてもよいし、分離膜を介して次工程に洗浄流体を直接流通させる連続式の再生装置としてもよい。
上述した実施形態では、洗浄流体を接触させる際、DDR型ゼオライト膜の一次側に洗浄流体を流通させるものとしたが、流通させずに滞留させてもよい。例えば、再生装置10において、洗浄部40の出口側(DDR型ゼオライト膜を透過しなかった洗浄廃液が排出される側)と循環経路22との間にバルブを設け、そのバルブを閉じた状態で洗浄を行うものとしてもよい。また、洗浄流体を接触させる際、DDR型ゼオライト膜を洗浄流体に浸漬するものとしてもよい。例えば、再生装置10のような装置の代わりに洗浄流体で満たされた容器を用意し、その容器中の洗浄流体に膜フィルタ41(DDR型ゼオライト膜45)を浸漬し、その後取り出すことによって洗浄流体を除去してもよい。
上述した実施形態では、再生装置10は、二次側空間を減圧するものとしたが、減圧しなくてもよい。この場合、例えば、真空ポンプ38を停止させればよい。また、一次側を加圧するものとしてもよい。また、上述した実施形態では、再生方法は、一次側を加圧あるいは二次側を減圧するものとしたが、加圧や減圧を行わなくてもよい。
上述した実施形態では、DDR型ゼオライト膜の一次側に洗浄流体を流通させるものとしたが、DDR型ゼオライト膜の二次側に洗浄流体を接触させるものとしてもよい。この場合、一次側を減圧あるいは二次側を加圧して逆圧洗浄するものとしてもよい。
上述した実施形態では、分離装置10や再生装置10は、多孔質支持基体44にDDR型ゼオライト膜45を形成した膜フィルタ41として説明したが、DDR型ゼオライト膜を有していればよく、多孔質支持基体44を省略してもよい。
以下には、本発明の再生方法を具体的に実施した例を実験例として説明する。なお、実験例1〜14が本発明の実施例に相当し、実験例15,16が比較例に相当する。本発明は、以下の実験例に限定されるものではない。
[実験例1]
(膜フィルタの作製)
多孔質支持基体として、直径30mm長さ160mmのモノリス形状でアルミナ製の多孔質支持基体を用意した。この多孔質支持基体の表面に以下のようにDDR型ゼオライト膜(水を選択的に透過させる浸透気化膜)を形成し、膜フィルタを作製した。
(膜フィルタの作製)
多孔質支持基体として、直径30mm長さ160mmのモノリス形状でアルミナ製の多孔質支持基体を用意した。この多孔質支持基体の表面に以下のようにDDR型ゼオライト膜(水を選択的に透過させる浸透気化膜)を形成し、膜フィルタを作製した。
まず、フッ素樹脂製の100ml広口瓶に6.21gのエチレンジアミン(和光純薬工業製)を入れた後、0.98gの1−アダマンタンアミン(アルドリッチ社製)を加え、1−アダマンタンアミンの沈殿が残らないように溶解した。別のビーカーに53.87gの水を入れ、22.00gの30質量%シリカゾル(スノーテックスS、日産化学社製)を加えて軽く撹拌した後、これをエチレンジアミンと1−アダマンタンアミンを混ぜておいた広口瓶に加えて強く振り混ぜた。その後、その広口瓶をシェーカーにセットし、500rpmでさらに1時間振り混ぜ、成膜ゾルを作製した。成膜ゾルの、1−アダマンタンアミン/シリカ比は0.0589、水/シリカ比は35、エチレンジアミン/1−アダマンタンアミン比は16であった(いずれもモル比)。当該成膜ゾルを3つ用意した。
次に、多孔質支持基体にDDR型ゼオライト微粉末を塗布し、フッ素樹脂製内筒付きステンレス製耐圧容器内に配置した。その後、成膜ゾルを耐圧容器に注ぎ、150℃で16時間、加熱処理(水熱合成)を行った。加熱処理後、この基体表面にDDR型ゼオライト膜が形成されていた。水洗、乾燥した後、大気中、電気炉で0.1℃/minの速度で750℃まで昇温して4時間保持後、1℃/minの速度で室温まで冷却した。
(ファウリング物質の付着)
上述のようにして得られた膜フィルタを用いて、図1に示す分離装置10を作製した。この分離装置10を用いて、水とエタノールとを10:90の質量比で含み、無機成分(シリカ、アルミナ等)を0.05質量%含む混合流体を分離して、DDR型ゼオライト膜45にファウリング物質を付着させた。ファウリング物質を付着させる際、浸透気化法(PV)によって分離温度120℃で分離処理を行い、透過流束(kg/m2/h)が初期の70%となるまで分離処理を続けた。なお、分離温度は、膜フィルタの入り口で測定した値とした。この分離温度は、膜フィルタの入り口に設けられた図示しない温度調整器にて調整した。膜フィルタの側面から約30kPaの真空度で減圧し、膜フィルタの側面からの透過蒸気を冷却して捕集した。捕集した透過蒸気の液体物の質量から、単位時間あたりに単位面積の膜を透過した流体の量(水フラックス(kg/m2/h))を算出し、これを膜性能とした。
上述のようにして得られた膜フィルタを用いて、図1に示す分離装置10を作製した。この分離装置10を用いて、水とエタノールとを10:90の質量比で含み、無機成分(シリカ、アルミナ等)を0.05質量%含む混合流体を分離して、DDR型ゼオライト膜45にファウリング物質を付着させた。ファウリング物質を付着させる際、浸透気化法(PV)によって分離温度120℃で分離処理を行い、透過流束(kg/m2/h)が初期の70%となるまで分離処理を続けた。なお、分離温度は、膜フィルタの入り口で測定した値とした。この分離温度は、膜フィルタの入り口に設けられた図示しない温度調整器にて調整した。膜フィルタの側面から約30kPaの真空度で減圧し、膜フィルタの側面からの透過蒸気を冷却して捕集した。捕集した透過蒸気の液体物の質量から、単位時間あたりに単位面積の膜を透過した流体の量(水フラックス(kg/m2/h))を算出し、これを膜性能とした。
(膜の再生)
分離装置10をそのまま再生装置10として用い、ファウリング物質が付着したDDR型ゼオライト膜45の一次側に洗浄流体を接触させ、二次側の空間を減圧した。そして、水を洗浄流体とし、洗浄温度95℃で、1時間、1次側の流速が1m/s、2次側の圧力が30kPaとなるように膜の再生を行った。
分離装置10をそのまま再生装置10として用い、ファウリング物質が付着したDDR型ゼオライト膜45の一次側に洗浄流体を接触させ、二次側の空間を減圧した。そして、水を洗浄流体とし、洗浄温度95℃で、1時間、1次側の流速が1m/s、2次側の圧力が30kPaとなるように膜の再生を行った。
(膜試験)
再生したDDR型ゼオライト膜45を用い、実験例1の混合流体の脱水試験を行った。具体的には、ファウリング物質の付着と同様にして混合流体を分離し、分離開始直後の水フラックスを求めた。
再生したDDR型ゼオライト膜45を用い、実験例1の混合流体の脱水試験を行った。具体的には、ファウリング物質の付着と同様にして混合流体を分離し、分離開始直後の水フラックスを求めた。
[実験例2〜16]
各条件を表1に示すものとした以外は、実験例1と同様に実験例2〜16を行った。なお、実験例1〜16において、再生方法No.1〜4は、それぞれ、以下のものとした。分離装置10を用い、一次側に洗浄流体を流通させ、二次側の減圧を行う再生方法をNo.1とした。分離装置10を用い、一次側に洗浄流体を流通させ、二次側の減圧を行わない再生方法をNo.2とした。また、分離装置10ではなく、洗浄流体で満たされた容器を用いた再生方法をNo.3とした。また、分離装置10を用い、洗浄部40の出口側と循環経路22との間にバルブを設け、そのバルブを閉じた状態で(一次側の洗浄液を滞留させて)、二次側を減圧することなく洗浄を行う再生方法をNo.4とした。表2には、No.1〜4の再生方法をまとめた。
各条件を表1に示すものとした以外は、実験例1と同様に実験例2〜16を行った。なお、実験例1〜16において、再生方法No.1〜4は、それぞれ、以下のものとした。分離装置10を用い、一次側に洗浄流体を流通させ、二次側の減圧を行う再生方法をNo.1とした。分離装置10を用い、一次側に洗浄流体を流通させ、二次側の減圧を行わない再生方法をNo.2とした。また、分離装置10ではなく、洗浄流体で満たされた容器を用いた再生方法をNo.3とした。また、分離装置10を用い、洗浄部40の出口側と循環経路22との間にバルブを設け、そのバルブを閉じた状態で(一次側の洗浄液を滞留させて)、二次側を減圧することなく洗浄を行う再生方法をNo.4とした。表2には、No.1〜4の再生方法をまとめた。
[実験結果]
表1に示すように、シリカ膜や、A型ゼオライト膜、Y型ゼオライト膜を用いた実験例15,16では、再生後、透過液中に有機化合物が多量に含まれており、分離性能を喪失してしまった。一方、DDR型ゼオライト膜を用いた実験例1〜14では、分離性能を喪失することなく、膜分離を行うことができた。このことから、DDR型ゼオライト膜では、適用可能な洗浄流体が非常に多いなど、適用可能な再生方法が非常に多く、分離性能をより容易に回復させることができることがわかった。このうち、No.1の再生方法で再生を行った実験例1〜3,12を比較すると、添加剤を用いた実験例2,3,12で再生後の膜性能がより良好であった。このことから、洗浄流体は添加剤を含むものが好ましいことがわかった。また、同一の膜分離条件で膜分離を行い、同種の添加剤を含む洗浄流体を用いて再生を行った実験例2〜4,10〜12を比較すると、実験例2,3,12の再生後の膜性能が最も良好であり、実験例4が次に良好であり、実験例10,11がその次に良好であった。このことから、No.1及びNo.2の再生方法が好ましく、No.1の再生方法がより好ましいことがわかった。実験例13,14では、膜性能の向上がほとんど確認されなかったが、これは、実験例13では再生温度が低く、実験例14では再生時間が短いためと推察された。また、120℃で膜分離を行った実験例4と、140℃で膜分離を行った実験例5とを比較すると、120℃で膜分離を行った実験例4では、ファウリング物質付着後や再生後の膜性能が高かった。このことから、120℃以下で膜分離を行うとファウリング物質が付着しにくく、再生後の膜性能も良好であり、好ましいことがわかった。
表1に示すように、シリカ膜や、A型ゼオライト膜、Y型ゼオライト膜を用いた実験例15,16では、再生後、透過液中に有機化合物が多量に含まれており、分離性能を喪失してしまった。一方、DDR型ゼオライト膜を用いた実験例1〜14では、分離性能を喪失することなく、膜分離を行うことができた。このことから、DDR型ゼオライト膜では、適用可能な洗浄流体が非常に多いなど、適用可能な再生方法が非常に多く、分離性能をより容易に回復させることができることがわかった。このうち、No.1の再生方法で再生を行った実験例1〜3,12を比較すると、添加剤を用いた実験例2,3,12で再生後の膜性能がより良好であった。このことから、洗浄流体は添加剤を含むものが好ましいことがわかった。また、同一の膜分離条件で膜分離を行い、同種の添加剤を含む洗浄流体を用いて再生を行った実験例2〜4,10〜12を比較すると、実験例2,3,12の再生後の膜性能が最も良好であり、実験例4が次に良好であり、実験例10,11がその次に良好であった。このことから、No.1及びNo.2の再生方法が好ましく、No.1の再生方法がより好ましいことがわかった。実験例13,14では、膜性能の向上がほとんど確認されなかったが、これは、実験例13では再生温度が低く、実験例14では再生時間が短いためと推察された。また、120℃で膜分離を行った実験例4と、140℃で膜分離を行った実験例5とを比較すると、120℃で膜分離を行った実験例4では、ファウリング物質付着後や再生後の膜性能が高かった。このことから、120℃以下で膜分離を行うとファウリング物質が付着しにくく、再生後の膜性能も良好であり、好ましいことがわかった。
本発明は、有機化合物と水との混合流体を分離する技術分野に利用可能である。
10 分離装置(再生装置)、11 予備タンク、12 送液ポンプ、13 温度センサ、14 圧力ゲージ、15 圧力センサ、16 温度センサ、17 圧力ゲージ、20 収容部、22 循環経路、23 送液経路、24 循環ポンプ、26 熱交換器、28 温度調節経路、29 分離経路、32 冷却器、34 チラー、35 排水タンク、36 真空制御機、37 送液ポンプ、38 真空ポンプ、40 分離部(洗浄部)、41 膜フィルタ、42 セル、44 多孔質支持基体、44a 粗粒部、44b 微粒部、45 DDR型ゼオライト膜。
Claims (12)
- 一次側から供給され水と有機化合物とを含む混合流体から水を選択的に二次側へ透過させるDDR型ゼオライト膜を、前記DDR型ゼオライト膜の一次側及び二次側の少なくとも一方に水を含む洗浄流体を接触させ接触後の前記洗浄流体を除去することにより洗浄する洗浄工程、
を含む膜の再生方法。 - 前記洗浄流体は、酸、界面活性剤、酵素洗剤、キレート剤からなる群より選ばれる1種以上を含む、請求項1に記載の膜の再生方法。
- 前記洗浄流体は、硫酸、塩酸、硝酸、クエン酸、シュウ酸からなる群より選ばれる1種以上を含む、請求項1又は2に記載の膜の再生方法。
- 前記DDR型ゼオライト膜の一次側に前記洗浄流体を接触させ、二次側の空間を減圧する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の膜の再生方法。
- 前記洗浄流体を接触させるに際し、前記DDR型ゼオライト膜の一次側に前記洗浄流体を流通させる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の膜の再生方法。
- 前記洗浄流体を接触させるに際し、前記DDR型ゼオライト膜の一次側に前記洗浄流体を滞留させる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の膜の再生方法。
- 前記洗浄流体を接触させるに際し、前記DDR型ゼオライト膜を前記洗浄流体に浸漬する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の膜の再生方法。
- 前記洗浄工程は、25℃以上100℃以下で行う、請求項1〜7のいずれか1項に記載の膜の再生方法。
- 前記洗浄工程では、1時間以上48時間以下の範囲で洗浄を行う、請求項1〜8のいずれか1項に記載の膜の再生方法。
- 前記DDR型ゼオライト膜は、多孔質支持基体上に形成されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の膜の再生方法。
- 一次側から供給され水と有機化合物とを含む混合流体から水を選択的に二次側へ透過させるDDR型ゼオライト膜を、前記DDR型ゼオライト膜の一次側及び二次側の少なくとも一方に水を含む洗浄流体を接触させ接触後の前記洗浄流体を除去することにより洗浄する洗浄部、
を備えた膜の再生装置。 - 一次側から供給され水と有機化合物とを含む混合流体から水を選択的に二次側へ透過させるDDR型ゼオライト膜と、
前記DDR型ゼオライト膜の一次側及び二次側の少なくとも一方に水を含む洗浄流体を接触させ接触後の前記洗浄流体を除去することにより前記DDR型ゼオライト膜を洗浄する洗浄部と、
を備えた分離装置。
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JP2015123892A JP2016027938A (ja) | 2014-07-11 | 2015-06-19 | 膜の再生方法、膜の再生装置及び分離装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2017204254A1 (ja) * | 2016-05-27 | 2017-11-30 | 三菱ケミカル株式会社 | 含水有機化合物の脱水システム及びその運転方法、並びに脱水方法 |
JP2021513458A (ja) * | 2018-02-14 | 2021-05-27 | エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド | 膜からバイオフィルムおよび胞子を低減するための組成物および方法 |
-
2015
- 2015-06-19 JP JP2015123892A patent/JP2016027938A/ja active Pending
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