JP2016172834A - 炭素繊維強化熱可塑性プラスチック、電気・電子機器用筐体 - Google Patents

炭素繊維強化熱可塑性プラスチック、電気・電子機器用筐体 Download PDF

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Abstract

【課題】 優れた難燃性能と機械物性を有した熱可塑性樹脂組成物、優れた難燃性を有し、軽量かつ機械物性に優れ、複雑な形状への短時間賦形性に優れた繊維強化熱可塑性プラスチックを提供することを目的とする。【解決手段】 リン含有ポリマーを含有する熱可塑性樹脂組成物と、炭素繊維からなり、該炭素繊維が下記サイジング剤(1)によりサイジング処理されている炭素繊維強化熱可塑性プラスチック。サイジング剤(1):分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と不飽和一塩基酸とのエステルであって、分子中に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物(A)と、硬化物の引張伸び率が40%以上の2官能タイプのウレタンアクリレートオリゴマー(B)とを含有するサイジング剤。【選択図】 なし

Description

本発明は、炭素繊維強化熱可塑性プラスチック、電気・電子機器用筐体に関する。さらに詳しくは、優れた難燃性を有し、軽量かつ機械物性に優れ、複雑な形状への短時間賦形性に優れた炭素繊維強化熱可塑性プラスチック、および優れた難燃性を有し、軽量かつ機械物性に優れた電気・電子機器用筐体に関する。
炭素繊維とマトリックス樹脂からなる炭素繊維強化プラスチックは、その力学特性に優れる点から、ゴルフシャフトや釣竿などのスポーツ・レジャー用途をはじめ、航空機や車両などの構造材料や、コンクリート構造物の補強材など幅広い分野で使用されている。中でも、熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂とする炭素繊維強化熱可塑性プラスチックは耐衝撃性に優れる上、熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂とした場合と比較して、複雑な形状でも成形時間を短縮することができるため、量産性に優れる。(特許文献1)
また、炭素繊維は電気伝導性を有し、その複合材料は優れた電磁波遮蔽性を有することや、優れた機械物性のため、ノートパソコン等の電気・電子機器筐体などに使用され、筐体の薄肉化および機器の軽量化に役立っている。この中で、航空機や車両などの構造材料、建築材料などにおいては、火災による構造材料が着火・燃焼し、有毒ガスなどが発生することは極めて危険であるため、材料には難燃性能を有することは強く求められており、電気・電子機器用途においても、装置内部からの発熱や外部の熱源によって、筐体や部品などが発火することによる事故を防ぐために、材料には難燃化が求められている。
(特許文献2)
以前は樹脂の難燃化にはハロゲン系難燃剤と三酸化アンチモン等の難燃剤助剤とを添加する手法が一般的であったが、ハロゲン系化合物は燃焼時に有害性物質を発生させる問題があるため、近年ではハロゲン系化合物を含まない難燃化手法の検討が盛んに行われており、縮合リン酸エステル等のリン化合物を難燃剤として樹脂に配合する方法が主流となってきた。(たとえば特許文献3)
しかしリン化合物を難燃剤として樹脂に配合する手法は、1)添加量が多いと機械物性が大きく低下する、2)長期間にわったってリン化合物が表面に染み出してくる(ブルーミングあるいはブリードアウトする)、3)リン化合物が容易に加水分解を起こす、等の問題がある。一般的に、リン原子含有量が高いほど難燃性能も高くなるが、上記問題から従来技術ではリン含有量を高くすることには限界があり、リン含有量の高い(つまり難燃性能の高い)繊維強化熱可塑性プラスチックは困難であった。とりわけ、炭素繊維強化熱可塑性プラスチックにおいて、炭素繊維の含有率が高いほど機械物性は向上するが、炭素繊維の含有率が高いほど難燃性能を付与することも困難となるため、炭素繊維強化熱可塑性プラスチックにおける高い機械物性と難燃性能の両立は著しく困難であった。
上記課題を解決するため、特許文献4では高いリン原子含有量を有するリン含有ポリマーが開示されている。一般的に炭素繊維は(1)炭素繊維束の収束性付与による取扱い性向上、(2)マトリックス樹脂との濡れ性付与による含浸性向上、(3)マトリックス樹脂と炭素繊維の界面接着性付与による機械物性の向上を目的として、サイジング剤が付着されている。しかしながら、特許文献4で開示されたリン含有ポリマーをマトリックス樹脂とした場合、エポキシ樹脂等の一般的なサイジングが付着した炭素繊維からなる炭素繊維強化熱可塑性プラスチックは、強化繊維とマトリックス樹脂との界面接着性が非常に弱いため、優れた機械物性が発現しないという課題があった。
特開平 9−155862号公報 国際公開第2005/08292号パンフレット 特開平 2−155262号公報 特表2010−533777
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、優れた難燃性を有し、軽量かつ機械物性に優れ、複雑な形状への短時間賦形性に優れた炭素繊維強化熱可塑性プラスチックを提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明では、以下の手段を用いる。すなわち、本発明の要旨は、以下の[1]〜[8]に存する。
[1] 下記(式1)で表される構造単位を含むリン含有ポリマーを含有する熱可塑性樹脂組成物と、炭素繊維からなり、該炭素繊維が下記サイジング剤(1)によりサイジング処理されている炭素繊維強化熱可塑性プラスチック。

(式1)
サイジング剤(1):分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と不飽和一塩基酸とのエステルであって、分子中に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物(A)と、硬化物の引張伸び率が40%以上の2官能タイプのウレタンアクリレートオリゴマー(B)とを含有し、前記化合物(A)と前記ウレタンアクリレートオリゴマー(B)との含有量の比(質量比)が、ウレタンアクリレートオリゴマー(B)/化合物(A)=1/3〜2/1の範囲内であり、全サイジング成分中に占める前記化合物(A)および前記ウレタンアクリレートオリゴマー(B)の合計量の割合が20質量%以上であるサイジング剤。
[2] 前記(式1)で表される構造単位を含むリン含有ポリマーが、下記(式2)で表される部分構造を有するリン含有ポリマーである上記[1]に記載の炭素繊維強化熱可塑性プラスチック。

(式2)

((式2)中のxおよびyは1以上19以下の整数である)
[3] 前記リン含有ポリマーの重量平均分子量Mwが10,000以上160,000以下である上記[1]または[2]に記載の炭素繊維強化熱可塑性プラスチック。
[4] 熱可塑性樹脂組成物中に、前記リン含有ポリマーが占める割合が20質量%以上である上記[1]〜[3]のいずれかに記載の炭素繊維強化熱可塑性プラスチック。
[5] 熱可塑性樹脂組成物が、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂を含有する上記[1]〜[4]のいずれかに記載の炭素繊維強化熱可塑性プラスチック。
[6] 熱可塑性樹脂組成物中の前記ビスフェノールA型ポリカーボネートおよび前期リン含有ポリマーの合計量が占める割合が70質量%以上である上記[5]に記載の炭素繊維強化熱可塑性プラスチック。
[7] サイジング剤(1)が、ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物とジカルボン酸化合物とのエステルで、その酸価が50以上であるエステル化合物(C)を含有している、[1]〜[6]のいずれかに記載の炭素繊維強化熱可塑性プラスチック。
[8] サイジング剤(1)が、アンモニウムイオンを対イオンとして有するアニオン系界面活性剤(D)、およびノニオン系界面活性剤(E)を含有している、[1]〜[7]のいずれかに記載の炭素繊維強化熱可塑性プラスチック。
[9] 上記[1]〜[8]のいずれかに記載の炭素繊維強化熱可塑性プラスチックからなり、厚さが0.4mm以上1.6mm以下であり、UL94に基づく難燃性能がV−0を満たす成形材料。
[10] 上記[9]に記載の成形材料で一部または全部が構成される電気・電子機器用筐体。
また、以下の[9]も本発明の別の実施形態である。
[9] (i)下記サイジング剤(1)によりサイジング処理され炭素繊維束を複数本引きそろえてシート状物にする工程
(ii)下記(式1)で表される構造単位を含むリン含有ポリマーを含有する熱可塑性樹脂組成物を、前記シート状物に含浸させる工程を有する炭素繊維強化熱可塑性プラスチックの製造方法であって、前記熱可塑性樹脂組成物中のリン原子含有率が2.6質量%以上10.8質量%以下であり、炭素繊維強化熱可塑性プラスチック中の炭素繊維の体積含有量が20体積%以上65体積%以下である炭素繊維強化熱可塑性プラスチックの製造方法。

(式1)
サイジング剤(1):分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と不飽和一塩基酸とのエステルであって、分子中に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物(A)と、硬化物の引張伸び率が40%以上の2官能タイプのウレタンアクリレートオリゴマー(B)とを含有し、前記化合物(A)と前記ウレタンアクリレートオリゴマー(B)との含有量の比(質量比)が、ウレタンアクリレートオリゴマー(B)/化合物(A)=1/3〜2/1の範囲内であり、全サイジング成分中に占める前記化合物(A)および前記ウレタンアクリレートオリゴマー(B)の合計量の割合が20質量%以上であるサイジング剤。
本発明によれば、優れた難燃性を有し、軽量かつ機械物性に優れ、複雑な形状への短時間賦形性に優れた炭素繊維強化熱可塑性プラスチック、および優れた難燃性を有し、軽量かつ機械物性に優れた電気・電子機器用筐体を提供できる。
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明の炭素繊維強化熱可塑プラスチックは、下記(式1)で表される構造単位を含むリン含有ポリマーを含有する熱可塑性樹脂組成物と、下記サイジング剤(1)によりサイジング処理された炭素繊維を必須成分として含有する。

(式1)
サイジング剤(1):分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と不飽和一塩基酸とのエステルであって、分子中に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物(A)と、硬化物の引張伸び率が40%以上の2官能タイプのウレタンアクリレートオリゴマー(B)とを含有し、前記化合物(A)と前記ウレタンアクリレートオリゴマー(B)との含有量の比(質量比)が、ウレタンアクリレートオリゴマー(B)/化合物(A)=1/3〜2/1の範囲内であり、全サイジング成分中に占める前記化合物(A)および前記ウレタンアクリレートオリゴマー(B)の合計量の割合が20質量%以上であるサイジング剤。
本発明の炭素繊維強化熱可塑性プラスチックにおいて、炭素繊維強化熱可塑性プラスチック中の炭素繊維の体積含有率(Vf)は20体積%以上65体積%以下が好ましい。25体積%以上であれば炭素繊維強化熱可塑性プラスチックとして良好な機械物性が得られる。70体積%以下であれば、良好な難燃性能が得られる。好ましくは33体積%以上60体積%以下である。
本発明の炭素繊維強化熱可塑性プラスチックは、厚さが0.4mm以上1.6mm以下であり、UL94に基づく難燃性能がV−0を満たすことが好ましい。電気・電子機器用筐体とした際にはUL94に基づく難燃性能がV−0を満たすことが好ましく、厚さが0.4mm以上1.6mm以下であれば、電気・電子機器用筐体とした際に、軽量・薄肉効果と難燃性能の両立が可能である。厚さが0.45mm以上1.0mm以下であり、UL94に基づく難燃性能がV−0を満たすことがより好ましい
[熱可塑性樹脂組成物]
本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物は、下記(式1)で表される構造単位を含むリン含有ポリマーを含有する必要がある。

(式1)
本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂組成物中に、前記リン含有ポリマーが占める割合が20質量%以上であることが望ましい。20質量%以上であれば、炭素繊維強化熱可塑性プラスチックおよび電気・電子機器用筐体とした際に、優れた難燃性能を発現する。
<リン含有ポリマー>
本発明に用いるリン含有ポリマーは、前記(式1)で表される構造単位を含むものであれば特に限定せず、分子構造中の主鎖、もしくは側鎖に前記(式1)で表される構造単位を含んでいればよく、ホモポリマーでもコポリマーでもよい。本発明で用いるリン含有ポリマーは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用しても良い。
本発明に用いるリン含有ポリマーは、前記(式1)で表される構造単位を含むリン含有ポリマーが、下記(式2)で表される部分構造を有するリン含有ポリマーであることが好ましい。下記(式2)で表される部分構造を有するリン含有ポリマーであれば、炭素繊維強化熱可塑性プラスチックとした際に優れた機械物性が得られ、また後述の熱可塑性樹脂組成物中の<その他の成分>として、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂を含有した場合において、熱可塑性樹脂組成物中の相溶性が良好になり、炭素繊維強化熱可塑性プラスチックとして、優れた機械物性を発現する。

(式2)
(式(2)中のxおよびyは1以上19以下の整数である)
本発明に用いるリン含有ポリマーの分子量は、重量平均分子量(Mw)で10,000以上であることが好ましい。10,000以上であれば、ブルーミングもしくはブリードアウトを抑制することができる。より好ましくは重量平均分子量(Mw)で20,000以上であり、20,000以上であれば、炭素繊維強化熱可塑性プラスチック、電気・電子機器用筐体とした際の機械物性が良好である。分子量の上限は特に限定しないが、重量平均分子量(Mw)で160,000以下であれば公知の手法で製造することができる。
本発明に用いるリン含有ポリマーのリン原子含有量としては、2.0質量%以上10.8質量%以下であることが好ましい。2.6質量%以上であれば、炭素繊維強化熱可塑性プラスチック、電気・電子機器用筐体とした際に、優れた難燃性能と機械物性を両立できる。10.8質量%以下であれば、後述する公知の製造法により容易に製造することができる。
本発明に用いるリン含有ポリマーは、市販品を用いてもよく、公知の製造方法により重合したものを用いても良い。本発明に用いるリン含有ポリマーのホモポリマーの市販品としては、例えば、エフアールエックスポリマーズ社製のNofia HM1100が挙げられる。本発明に用いるリン含有ポリマーのホモポリマーの重合方法としては、ジフェニルメチルホスホネートとビスフェノールAとを触媒存在下、高温・減圧下で重合する手法が挙げられる。本発明に用いるリン含有ポリマーのコポリマーの市販品としては、例えば、エフアールエックスポリマーズ者製のNofia CO3000、Nofia CO6000等が挙げられる。本発明に用いるリン含有ポリマーのコポリマーの重合方法としては、ジフェニルメチルホスホネートとジフェニルカーボネートおよびビスフェノールAを触媒存在下、高温・減圧下で重合する手法が挙げられる。
<その他の成分>
本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物は、上記リン含有ポリマーのみから成ってもよく、または上記リン含有ポリマー以外を含有してもよい。たとえば、上記リン含有ポリマー以外の成分としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、液晶ポリマー樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、変性ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、変性ABS樹脂、MBS樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、エポキシ樹脂、及びこれらの変性樹脂、及びこれらのポリマーアロイ樹脂が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。中でも、リン含有ポリマーとの相溶性の良いポリカーボネート樹脂が好ましく、炭素繊維強化熱可塑性プラスチック、電気・電子機器用筐体とした際の優れた機械物性を発現する。ポリカーボネート樹脂としては、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂が特に好ましい。
本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物は、前記ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂と前期リン含有ポリマーが占める割合が70質量%以上であることが好ましい。70質量%以上は、後述のサイジング剤(1)との作用により、繊維強化熱可塑性プラスチック、電気・電子機器用筐体とした際の優れた機械物性を発現する。
[熱可塑性樹脂組成物の製造方法]
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は任意の方法が採用される。例えば、前記リン含有ポリマーおよび任意のその他の成分をそれぞれV型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出し混練機などの予備混合手段を用いて十分に混合した後、場合により押出し造粒機やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行い、その後ベント式二軸ルーダーに代表される溶融混練機で溶融混練、およびペレタイザー等の機器によりペレット化する方法が挙げられる。
各成分の溶融混練機への供給方法としては、各成分それぞれ独立に溶融混練機に供給する方法、各成分の一部を予備混合した後、残りの成分と独立に溶融混練機に供給する方法などが例示される。尚、配合する成分に液状のものがある場合は、溶融混練機への供給にいわゆる液注装置、または液添装置を使用することができる。
押出機としては、原料中の水分や、溶融混練樹脂から発生する揮発ガスを脱気できるベントを有するものが好ましく使用できる。ベントからは発生水分や揮発ガスを効率よく押出機外部へ排出するための真空ポンプが好ましく設置される。溶融混練機としては二軸押出機の他にバンバリーミキサー、混練ロール、単軸押出機、3軸以上の多軸押出機などを挙げることができる。
上記の如く押出された樹脂は、直接切断してペレット化するか、またはストランドを形成した後かかるストランドをペレタイザーで切断してペレット化される。ペレット化に際して外部の埃などの影響を低減する必要がある場合には、押出機周囲の雰囲気を清浄化することが好ましい。得られたペレットの形状は、円柱、角柱、および球状など一般的な形状を取り得るが、より好適には円柱である。かかる円柱の直径は好ましくは1〜5mm、より好ましくは1.5〜4mm、さらに好ましくは2〜3.3mmである。一方、円柱の長さは好ましくは1〜30mm、より好ましくは2〜5mm、さらに好ましくは2.5〜3.5mmである。
[炭素繊維]
本発明において、機械物性および電磁波遮蔽性の観点から、炭素繊維が必須成分である。本発明で用いる炭素繊維としては、特に限定されず、ポリアクリロニトリルを原料とするものPAN系炭素繊維でもピッチを原料とするピッチ系炭素繊維でも良いが、JIS R7601(1986)に準じて測定したストランド引張強度が1.0GPa以上9.0GPa以下、ストランド引張弾性率が150GPa以上1000GPa以下のものが好ましい。より好ましくは、ストランド引張強度1.5GPa以上9.0GPa以下、ストランド引張弾性率200GPa以上1000GPa以下のものである。
本発明で用いる炭素繊維の形態としては、一方向に引き揃えられたものであってもよく、織物、ノンクリンプファブリック、または短繊維に切断されたものでも良い。
[サイジング剤(1)]
本発明で用いるサイジング剤(1)は、前述の通り、「分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と不飽和一塩基酸とのエステルであって、分子中に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物(A)(以下(A)成分ということがある。)」と、「硬化物の引張伸び率が40%以上の2官能タイプのウレタンアクリレートオリゴマー(B)(以下(B)成分ということがある。)」とを含有し、(A)成分と(B)成分との含有量の比(質量比)が、(B)成分/(A)成分=1/3〜2/1の範囲内であり、全サイジング成分中に占める(A)成分と(B)成分の合計量の割合が20質量%以上であるサイジング剤である。
<(A)成分:分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と不飽和一塩基酸とのエステルであって、分子中に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物(A)>
本発明で用いるサイジング剤(1)は、(A)成分を含有する必要がある。本発明において、エポキシ基とは、環骨格が2個の炭素原子と1個の炭素原子とから構成される3員環をその構造中に有する基を意味する。エポキシ基としては、例えば、下記式(e1)で表される基、下記式(e2)で表される基(グリシジル基)、その他の環式脂肪族エポキシ基などが挙げられる。その他の環式脂肪族エポキシ基としては、前記3員環と、単環または多環式の脂肪族環とで形成される環状構造をその構造中に有する基が挙げられ、たとえば下記式(e3)〜(e5)で表される基が例示できる。

本発明で用いる(A)成分において、エステルを形成する「分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物」としては、特に限定されず、たとえばビスフェノール類のエポキシ化合物、ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加エポキシ化合物、水素化ビスフェノール類のエポキシ化合物、水素化ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加エポキシ化合物等が挙げられる。
ビスフェノール類としては特に限定されず、ビスフェノールF型、ビスフェノールA型、ビスフェノールS型などの化合物が挙げられる。ビスフェノール類のエポキシ化合物以外のフェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ジフェニル型、ジシクロペンタジエン型、ナフタレン骨格型などのエポキシ樹脂を「分子中に複数個のエポキシ基を有するエポキシ化合物」として用いることもできる。
「分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物」は、直鎖脂肪族系骨格を有するものであっても良い。
本発明で用いる(A)成分において、エステルを構成する「不飽和一塩基酸」としては、特に限定されず、一つの不飽和基と一つのカルボキシル基を有する化合物であれば良い。不飽和基としては、特に限定されないが、分子構造が嵩高くないこと、また形成されるエステルの主鎖の剛直性を低下させないことから、ビニル基あるいはプロペニル基が好ましく、より好ましくは、ビニル基である。不飽和一塩基酸として、特に好ましいのは、アクリル酸またはメタクリル酸である。すなわち、(A)成分は、前記エポキシ化合物とアクリル酸またはメタクリル酸とのエステルであることが好ましい。
本発明で用いる(A)成分は、エポキシ基を2個以上有する化合物と不飽和一塩基酸とを反応させて得られるエステルであり、この反応においては、エポキシ基を複数個有する化合物のエポキシ基のうち、少なくとも1つのエポキシ基が未反応のまま残留し、少なくとも1つのエポキシ基が不飽和一塩基酸によって開環し、不飽和基を有する、いわゆるハーフエステルが形成されたものである。分子中に、エポキシ基を複数個有する化合物に由来するエポキシ基と、不飽和一塩基酸に由来する不飽和基(たとえばアクリル酸に由来するCH=CH−COO−)とを有しており、これによって、炭素繊維表面と樹脂分子の間でのカップリング機能を発揮し、炭素繊維とマトリックス樹脂との間の界面接着性を大きく向上させる。
本発明で用いる(A)成分としては、特に、上記効果に優れることから、分子の両末端にエポキシ基を有する化合物と、不飽和一塩基酸とのエステルであって、分子の主鎖の片方の端部に不飽和基を有し、他方の端部にエポキシ基をそれぞれ有する化合物が好ましい。(A)成分として該化合物を用いることにより、マトリックス樹脂と炭素繊維とを強力に結合させることができ、優れた界面接着性を発現させることができる。
分子の両末端にエポキシ基を有する化合物としては、特に、ビスフェノール類のジエポキシ化合物およびビスフェノール類のアルキレンオキシド付加ジエポキシ化合物のいずれか一方または両方が好ましい。すなわち、(A)成分は、ビスフェノール類のジエポキシ化合物及びビスフェノール類のアルキレンオキシド付加ジエポキシ化合物のいずれか一方又は両方と、不飽和一塩基酸とのエステルであって、分子の主鎖の片方の端部に不飽和基を有し、他方の端部にエポキシ基をそれぞれ有する化合物であることが好ましい。
本発明で用いる(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<(B)成分:硬化物の引張伸び率が40%以上の2官能タイプのウレタンアクリレートオリゴマー(B)>
本発明で用いるサイジング剤(1)は、(B)成分を含有する必要がある。
本発明で用いる(B)成分は、マトリックス樹脂と炭素繊維との界面に、柔軟性に優れた界面相を形成する効果を有する。マトリックス樹脂と炭素繊維との界面に柔軟性に優れた界面相が形成されることにより、マトリックス樹脂と炭素繊維との間の界面接着性が向上する。
また、サイジング剤が付与された炭素繊維とマトリックス樹脂との複合化の際、炭素繊維表面のサイジング剤成分が、マトリックス樹脂へと拡散し、特に界面付近のマトリックス樹脂中に、サイジング剤成分を高濃度に含む領域が形成される。この領域は、複合材料の機械特性に影響を及ぼす。
本発明で用いる(B)成分は、硬化物の引張伸び率が40%以上である必要があり、上記界面相の高靭性化の効果に優れることから、45%以上であることがより好ましく、50%以上がより好ましい。引張伸び率(%)の上限としては、界面近傍樹脂の弾性率の大幅な低減を考慮すると、900%以下が好ましく、700%以下がより好ましい。
本発明で用いる(B)成分は2官能である必要がある。3官能以上のタイプであると、架橋密度が高くなりすぎ、充分な高靭性化が発現しない。一方、1官能タイプでは、架橋反応が片側のみとなり、充分な高靭性化の効果が得ることができない。
本発明で用いる(B)成分としては、特に、界面相の靭性向上効果が非常に大きいことから、60℃における粘度が10,000mPa・s以上であり、その硬化物の引張り強度が6MPa以上のものが好ましい。(B)成分の粘度が大きいことは、そのオリゴマーの分子量が大きいこと、またはオリゴマー分子間の凝集力が大きいことを示す。分子量が大きい場合、あるいは分子間の凝集力が大きい場合、(B)成分が、マトリックス樹脂へと拡散することなく、炭素繊維表面とマトリックス樹脂との界面相に偏在し、結果、界面相の効果的な柔軟化が成しえる。(B)成分の粘度は、20,000以上がより好ましく、40,000以上がさらに好ましい。粘度の上限としては、60℃で固状でないほうが、サイジング剤の調製やサイジング剤の経時安定性の面から優れている。
本発明で用いる(B)成分の硬化物のガラス転移温度(Tg)は、−5℃以上が好ましく、5℃以上がより好ましい。硬化物のTgが−5℃以上であれば、界面相により適正な柔軟化が図れるのみならず、破断に至る応力の値も大きくなり、そのため、より強固な界面相が形成でき、上記効果が向上する。つまり、界面相は、強化繊維を支える機能があり、行き過ぎた柔軟化は、複合材料の機械的特性を損ねることになってしまう。硬化物のTgの上限としては、柔軟成分としての機能を考慮すると、100℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましい。
ウレタンアクリレートオリゴマーの硬化物の引張伸び率の測定は以下のように行われる。ウレタンアクリレートオリゴマー97gに硬化剤としてメルク・ジャパン社製ダロキュア#1173を3.0g加え、充分に混合した後、得られた混合物をガラス板上に塗布し、厚み100μmの皮膜を得る。その皮膜を、オゾンタイプランプ(80W/cm)を使って高さ10cmの位置から紫外線を照射して硬化する。得られた硬化皮膜について、JISK7113に準拠し、引張り速度300mm/minで引張伸び率を測定する。また、硬化物のTgは、上記と同様にして得られた硬化皮膜を試験片として、2℃/分の割合で昇温させ、粘弾性測定装置にて試験片の動的粘弾性および損失正接を測定し、損失正接のピーク温度(tanδMAX)から求めることができる。
ここで、本発明において、「ウレタンアクリレートオリゴマー」とは、分子内にウレタン結合とアクリロイル基(CH2=CH−CO−)とを有する化合物である。ウレタンアクリレートオリゴマーの構造は、その構造中に芳香族基を有する芳香族系のものと、芳香族基を有さない脂肪族系のものとに大別できる。本発明に用いるウレタンアクリレートオリゴマーの構造は特に限定されず、芳香族系であってもよく、脂肪族系であってもよい。硬化物の引張伸び率と引張強度のバランスが良好であることから、脂肪族系であることが好ましい。
本発明で用いる(B)成分としては、市販のウレタンアクリレートオリゴマーを利用してもよく、かかるウレタンアクリレートオリゴマーとしては、たとえばサートマー社製のCN−965、CN−981、CN−9178、CN−9788、CN−9893、CN−971、CN−973、CN−9782、共栄社化学製のUF−8001、新中村化学工業社製のUA−122P等が挙げられる。
本発明で用いる(B)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<(A)成分および(B)成分の含有量>
本発明で用いるサイジング剤(1)においては、(A)成分と(B)成分との含有量の比(質量比)が、(B)成分/(A)成分=1/3〜2/1の範囲内であることが必要である。(B)成分の含有量が、(A)成分の含有量の1/3未満であると、界面相の柔軟化・高靭性化が不充分となり、一方、2/1を越えると、(A)成分の機能である良接着性発現効果が阻害され、炭素繊維の、マトリックス樹脂との接着性向上効果が充分に得られない。(A)成分と(B)成分との含有量の比は、(B)成分/(A)成分=1/2〜3/2であることが好ましく、2/3〜1/1がより好ましい。また、本発明のサイジング剤(1)においては、全サイジング成分中に占める(A)成分および(B)成分の合計量の割合が20質量%以上であることが必要である。20質量%未満では、この2つの成分の機能が充分に発揮されず、本発明の効果が得られない。ここで、「全サイジング成分」とは、当該サイジング剤に含まれる成分のうち、サイジング処理後に炭素繊維に付与される全成分の合計量であり、たとえば水や有機溶剤等の、サイジング後に除去される成分は含まれない有効成分を表す。すなわち、「全サイジング成分」は、上述した(A)成分および(B)成分と、任意成分として後述する(C)成分、(D)成分、(E)成分およびその他の成分との合計量として求められる。(A)成分および(B)成分の合計量の割合は、全サイジング成分中、25質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。
<ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物とジカルボン酸化合物とのエステルで、その酸価が50以上であるエステル化合物(C)(以下、(C)成分という。)>
本発明で用いるサイジング剤(1)は、上記(A)成分および(B)成分に加えて、さらに、(C)成分を含有することが好ましい。
ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物とジカルボン酸化合物とのエステルは、酸価が50以上である場合、分子量が1000程度で、分子の一方の末端にカルボキシル基を有する化合物を主要構成成分としている。このような(C)成分は、マトリックス樹脂と優れた相溶性を示す。そのため、サイジング処理された炭素繊維の樹脂に対する濡れ性が向上し、樹脂含浸性がさらに向上する。
(C)成分を形成する「ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物」としては、ビスフェノール類に、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドを2〜4モル付加したものであるのが好ましい。ビスフェノール類にエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを5モル以上付加したものでは、ビスフェノール類が本来有する分子鎖の剛直性が失われ、マトリックス樹脂との親和性が悪化するおそれがある。より好ましくは、ビスフェノール類にエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを2モル付加したものである。ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物は、1種単独でもよく、また複数の化合物を混合したものであってもよい。
ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物とエステルを形成する「ジカルボン酸化合物」は、炭素数が4〜6の脂肪族化合物であるのが好ましい。ジカルボン酸化合物として芳香族化合物を用いると、得られるエステル化合物の融点が高く、マトリックス樹脂との相溶性が悪くなるおそれがあり、それによって、良好な濡れ性を発現させることができないおそれがある。一方、炭素数が7個以上の脂肪族化合物をジカルボン酸化合物として用いると、得られるエステル化合物の剛直性が失われ、マトリックス樹脂との親和性が低下するおそれがある。ジカルボン酸化合物としては、たとえばフマル酸、マレイン酸、メチルフマル酸、メチルマレイン酸、エチルフマル酸、エチルマレイン酸、グルタコン酸、イタコン酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸などが挙げられる。
本発明で用いるサイジング剤(1)の(C)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本発明において、(C)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分との合計に対して、2.0質量倍以下であることが好ましい。2.0質量倍を超えると、(A)成分のエポキシ基と(C)成分の酸性基(カルボキシ基等)との間の相互作用により、(A)成分と炭素繊維表面との間の相互作用が阻害され、その結果、(A)成分の、炭素繊維とマトリックス樹脂とのカップリング機能が充分に発揮されなくなり、接着性が低下するおそれがある。
本発明で用いるサイジング剤(1)中の(C)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分との合計に対して、1.75質量倍以下がより好ましく、1.55質量倍以下がさらに好ましい。(C)成分の含有量の下限値は、特に制限はないが、(C)成分による効果のためには、(A)成分と(B)成分との合計に対して、0.2質量倍以上が好ましく、0.4質量倍以上がより好ましい。
<アンモニウムイオンを対イオンとして有するアニオン系界面活性剤(D)(以下、(D)成分という。)>
本発明で用いるサイジング剤(1)は、さらに、(D)成分および後述するノニオン系界面活性剤(E)を含有することが好ましい。
(D)成分は、疎水基と、対イオンとしてアンモニウムイオンを有することにより、サイジング剤を水分散液とした際の安定性と、炭素繊維表面の樹脂に対する濡れ性を向上させる。また、(E)成分は、(D)成分のアンモニウムイオンと、(A)成分のエポキシ基との反応活性を抑制する効果を有する。そのため、(D)成分と(E)成分とを適量含有することにより、各種マトリックス樹脂の含浸性がさらに向上する。
(D)成分としては、特に限定されず、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩などを挙げることができる。この中で、硫酸エステル塩、スルホン酸塩は、(A)成分や(B)成分の乳化能力に特に優れるので好ましい。
前記硫酸エステル塩としては、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルポリエチレングリコールエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンポリエチレングリコールエーテル硫酸エステル塩、多環フェニルエーテルポリエチレングリコールエーテル硫酸エステル塩、硫酸化脂肪酸エステル塩などが挙げられる。又、高級アルキルポリエチレングリコールエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンポリエチレングリコールエーテル硫酸エステル塩、多環フェニルエーテルポリエチレングリコールエーテル硫酸エステル塩におけるポリエチレンオキサイド鎖中の一部に、プロピレンオキサイドユニットをランダム又はブロック状に含有したものも用いることもできる。
前記スルホン酸塩としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、多環フェニルエーテルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩などが挙げられる。
(D)成分としては、特に、下記式(3)または(4)で表される疎水基を有するアニオン系界面活性剤が好ましく用いられる。
炭素繊維のサイジング処理には、通常、水等の媒体に分散(乳化)させたサイジング剤(サイジング剤液)が用いられる。下記式(3)または(4)で表される疎水基は、芳香族系との親和性が高いため、式(3)または(4)で表される疎水基を有するアニオン系界面活性剤を含有することにより、サイジング剤液の乳化状態が安定し、貯蔵性、炭素繊維製造時の製造・工程で良い結果をもたらす。また、サイジング剤とマトリックス樹脂との相溶性が向上し、本発明の効果、特に機械物性向上効果がさらに向上する。
また、かかる界面活性剤は、現在、外因性内分泌撹乱物質誘導体の観点から、ノニルフェノール系や、オクチルフェノール系といった比較的長いアルキル基を有するフェノール基を有するアニオン系界面活性剤の使用を避ける必要性もでてきていることからも好ましい。
式(3)、(4)中、Rは、水素原子または炭素数1〜3の1価の鎖状炭化水素基であり、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基がさらに好ましく、外因性内分泌撹乱物質誘導体の観点から、水素原子がより好ましい。
およびRは、水素原子または炭素数1〜3の1価の鎖状炭化水素基であり、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。RおよびRの鎖状炭化水素基としては、R1の鎖状炭化水素基同じものが挙げられる。
は2価の脂肪族系炭化水素基であり、たとえば炭素数1〜10の直鎖状または分岐状のアルキレン基等が挙げられる。
mは1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。mが3を越えると、疎水基自体が嵩高い構造となり、(A)成分や(B)成分、マトリックス樹脂との親和性、相溶性が低下する。その結果、乳化の安定性、樹脂含浸性、さらには繊維強化複合材料の機械物性等の低下が生じるおそれがある。
下付き文字mが付された括弧内の基は、疎水基部の分子の嵩高さの点から、ベンジル基(RおよびRの両方が水素原子である基)あるいはスチレン基(RおよびRの一方が水素原子、他方がメチル基である基)であることが好ましい。また、mが2以上である場合、つまり下付き文字mが付された括弧内の基が複数存在する場合、それらの基は同じであってもよく、異なっていてもよい。
<ノニオン系界面活性剤(E)(以下、(E)成分という。)>
(E)成分としては、特に限定はされないが、特に、反応活性低下作用が非常に優れることから、脂肪族系ノニオン系界面活性剤が好ましい。脂肪族ノニオン系界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、グリセロールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらエチレンオキサイド付加物においては、ポリエチレンオキサイド鎖中の一部にプロピレンオキサイドユニットをランダムあるいはブロック状に含有したタイプも好適に用いられる。
高級アルコールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物としては、これらのポリエチレンオキサイド鎖中の一部にプロピレンオキサイドユニットをランダム又はブロック状に含有したものがより好ましい。なぜならば、これらはアンモニウムイオンのエポキシ基に対する反応活性を低下させる能力が優れているためである。
脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物としては、モノエステルタイプのもの、ジエステルタイプさらにはトリエステル、テトラエステルタイプのものなども利用できる。
<(D)成分および(E)成分の含有量>
本発明で用いるサイジング剤(1)は、(D)成分と(E)成分とを含有する場合、(D)成分と(E)成分との含有量の比(質量比)が、(E)成分/(D)成分=1/10〜1/5の範囲内であることが好ましい。(E)成分の含有量が(D)成分の1/10以上であると、(D)成分由来のアンモニウムイオンの、(A)成分のエポキシ基に対する反応活性を低下させることができ、その結果、サイジング剤を付着させた炭素繊維の硬さの経時変化を著しく抑制することができる。(E)成分の含有量が(D)成分の1/5以下であると、(D)を含有することによる効果が充分に発揮され、当該サイジング剤を、水等を媒体として乳化させた際の乳化安定性や、サイジング処理された炭素繊維表面の、樹脂に対する濡れ性が向上する。
また、本発明で用いるサイジング剤(1)においては、全サイジング成分中に占める(D)成分および(E)成分の合計量の割合が10〜25質量%であることが好ましい。上記範囲内であると、サイジング剤液の乳化安定性がよく、サイジング剤の効果に悪影響を与えることもない。
(D)成分および(E)成分の合計量の更に好ましい下限値は13質量%であり、更に好ましい上限値は20質量%である。
<その他の成分>
本発明のサイジング剤(1)は、本発明の効果を損なわない範囲で、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート化合物、エポキシメタクリレート化合物、エステル化合物、ウレタン化合物、ポリアミド化合物、ポリイミド化合物などを含有してもよい。
[サイジング剤(1)の製造および炭素繊維のサイジング処理]
本発明のサイジング剤(1)は、各成分を常法により混合、撹拌することにより製造できる。サイジング剤は、炭素繊維のサイジング処理においては、通常、水または有機溶剤に分散または溶解させたサイジング剤液として炭素繊維に塗布される。本発明のサイジング処理とは、サイジング剤をその表面に付与させることである。
サイジング剤の付与は、サイジング剤、又はサイジング剤の分散液をローラー浸漬法、ローラー接触法により炭素繊維に付着させ、乾燥することによって行うことができる。炭素繊維に付与されるサイジング剤の量は、炭素繊維の質量に対して0.1〜5質量%が好ましく、0.2〜3.0質量%が更に好ましい。付与量がこの範囲内であると、炭素繊維に収束性、耐擦過性を十分に付与することができ、樹脂との濡れ性、界面接着力を向上させることができ、素繊維強化熱可塑性プラスチック、電気・電子機器用筐体とした際に、優れた機械物性を発現する。
[炭素繊維強化熱可塑性プラスチックの製造方法]
本発明の炭素繊維強化熱可塑性プラスチックの製造方法としては、炭素繊維に前記熱可塑性樹脂組成物を含浸させた構造を有する炭素繊維強化熱可塑性プラスチックを得ることができる方法であれば特に限定されず、公知の方法を適用することができる。具体的には、例えば以下の方法を用いることができる。
(a)加熱して溶融させた熱可塑性樹脂(溶融樹脂)を押出機によって炭素繊維に含浸させる方法。
(b)粉末の熱可塑性樹脂を、炭素繊維の多数の単繊維からなるシートの内部と外部にともに分散させた後、粉末の熱可塑性樹脂を溶融させる方法。
(c)熱可塑性樹脂をフィルム化して炭素繊維の多数の単繊維からなるシートと重ねて加熱圧着する方法。
(d)熱可塑性樹脂を溶剤に溶かして溶液の状態で炭素繊維に含浸させた後、その溶剤を揮発させる方法。
(e)熱可塑性樹脂を繊維化して、繊維化した熱可塑性樹脂と炭素繊維との混合糸を形成した後、加熱して熱可塑性樹脂の繊維を溶融させる方法。
中でも、(a)および(c)の方法が好ましい。(a)の方法は前記熱可塑性樹脂組成物の製造方法に記載の工程に炭素繊維を供給することで製造できるという利点があり、(c)の方法は熱可塑性樹脂をフィルム加工する必要があるが、比較的品質の良い繊維強化熱可塑性プラスチックが可能である。特に、特定方向に比強度、比弾性率が高いことを要求される用途に繊維強化熱可塑性プラスチックを用いる場合は、通常、炭素繊維が単一方向に配列したものを用いることが最も好ましく、(c)の方法が特に好ましい。
[電気・電子機器用筐体]
本発明の電気・電子機器用筐体は、前記本発明の炭素繊維強化熱可塑性プラスチックで一部または全部が構成されたものである。「電子・電気機器」は、電子機器および電気機器の総称で、電気・電子機器としては、たとえば、パーソナルコンピュータ(ノート型、デスクトップ型、タブレット型)、携帯電話、電子手帳、ポータブル音楽プレーヤー、電子書籍ディスプレイ等が挙げられる。
本発明の電気・電子機器用筐体は、本発明の炭素繊維強化熱可塑性プラスチックのみからなるものであってもよく、本発明の炭素繊繊維強化熱可塑性プラスチックと他の材料(金属、インジェクション様熱可塑性樹脂等)とから構成されるものであってもよい。
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
[熱可塑性樹脂組成物]
<熱可塑性樹脂組成物1>
Nofia CO3000:ホスフォネートとカーボネートのランダム共重合体、重量平均分子量(Mw)30,000、リン原子含有率3.8質量%、エフアールエックスポリマーズ社製
<製造例1:熱可塑性樹脂組成物2の製造例>
同方向二軸押出機(株式会社池貝製:PCM−30)を用いて、下記条件で原料1〜3に示す組成の溶融混練を行い、リン原子含有率3.8質量%の熱可塑性樹脂組成物2を得た。
シリンダー温度 C1:200℃、C2〜C8:250℃
スクリューフォーメーション:2箇所のニーディングゾーンを設置
スクリュー回転数:250rpm
吐出量:20kg/h
原料1:エフアールエックスポリマーズ社製Nofia HM1100、ポリホスフォネート、重量平均分子量(Mw)80,000〜120,000、リン原子含有率10.8質量%、(28質量部)
原料2:エフアールエックスポリマーズ社製Nofia CO6000、ホスフォネートとカーボネートのランダム共重合体、重量平均分子量(Mw)50,000、リン原子含有率6.5質量%(12質量部)
原料3:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製NOVAREX M7022A、ビスフェノールA型ポリカーボネート(60質量部)
[サイジング液およびサイジング剤付着炭素繊維束の製造例]
ミキサー(特殊機化工業(株)製、商品名:ハイビスディスパーミックス、ホモミキサー仕様:型式3D−5型)を用い、以下の手順で、転相乳化することでサイジング液を調製した。
<製造例2:サイジング液1およびサイジング剤付着炭素繊維束1>
下記の種類と配合量の(A)成分、(B)成分、(C)成分を、80〜100℃にてプラネタリーミキサーとホモミキサーで混練、混合した。その後、混練を維持した状態で80℃に降温し、引き続き、(D)成分および(E)成分の水溶液を少量ずつ添加した。この工程で、内容物の粘度は徐々に上昇した。(D)成分および(E)成分の水溶液を全て投入した後、10分間、充分に混練しながら60℃まで降温した。次に、脱イオン水を少量ずつ滴下して転相点を通過した後、滴下する水量を増加した。最終的に有効成分含量40質量%程度のサイジング剤水分散液1を得た。得られたサイジング剤水分散液1を固形分濃度2.0質量%に調製し、樹脂組成物等が付着していない炭素繊維束(三菱レイヨン(株)製パイロフィルTR 50S15L)を浸漬させて、ニップロールを通過させた後に、表面の温度を140℃とした加熱ロールに10秒間接触させることにより乾燥して、イジング剤付着炭素繊維束1を得た。
(A)三菱レイヨン(株)製、片末端アクリル変性ビスフェノールAエポキシ樹脂(28質量部)
(B)サートマー社製CN871、脂肪族系ウレタンアクリレートオリゴマー(25質量部)
(C)三菱レイヨン(株)製、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物無水フマル酸エステル(30質量部)
(D)日本乳化材(株)製、ニューコール723SF、ポリオキシエチレン多環置換フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(15質量部)
(E)青木油脂工業(株)製、ISEO、イソステアリルアルコールエチレンオキサイド6モル付加物(2質量部)
<製造例3:サイジング液2およびサイジング剤付着炭素繊維束2>
ビスフェノールAエチレンオキサイド60モル付加物(松本油脂製薬(株)製)50質量部、ビスフェノールAエチレンオキサイド30モル付加物(松本油脂製薬(株)製)50質量部の混合物を脱イオン水に投入して攪拌し、最終的に樹脂組成物濃度が70質量%のサイジング液2を得た。得られたサイジング剤水分散液2を固形分濃度2.0質量%に調製し、樹脂組成物等が付着していない炭素繊維束(三菱レイヨン(株)製パイロフィルTR 50S15L)を浸漬させて、ニップロールを通過させた後に、表面の温度を140℃とした加熱ロールに10秒間接触させることにより乾燥して、イジング剤付着炭素繊維束2を得た。
<製造例4:サイジング液3およびサイジング剤付着炭素繊維束3>
エポキシ樹脂jER828(三菱化学(株)製)40質量部、エポキシ樹脂jER1001(三菱化学(株)製)40質量部、ノニオン系界面活性剤プルロニックF88(BASF製)20質量部の混合物を、90℃にてプラネタリーミキサーとホモミキサーで混練・混合した。次に、この混練・混合物に脱イオン水を少量ずつ滴下して転相点を通過した後、滴下する水量を増加した。最終的に樹脂組成物濃度40質量%のサイジング液3を得た。得られたサイジング剤水分散液3を固形分濃度2.0質量%に調製し、樹脂組成物等が付着していない炭素繊維束(三菱レイヨン(株)製パイロフィルTR 50S15L)を浸漬させて、ニップロールを通過させた後に、表面の温度を140℃とした加熱ロールに10秒間接触させることにより乾燥して、イジング剤付着炭素繊維束3を得た。
[炭素繊維強化熱可塑性プラスチックの製造]
<製造例5:炭素繊維強化熱可塑性プラスチックの製造例1>
熱可塑性樹脂組成物を単軸押出機(IKG(株)社製、製品名:PMS30)を用いて、厚み30μmである樹脂フィルムを得た。
ドラムワインド方式にて、サイジング剤付着炭素繊維束を用いて目付100g/m2の炭素繊維シートを作製した後、この炭素繊維シートに適度に張力を掛け、炭素繊維シートの両面から前記樹脂フィルム、フッ素樹脂製フィルム(日東電工(株)社製、製品名:ニトフロンフィルム970−4UL)、アルミ製の平板の順に挟み、加熱冷却二段プレスの加熱盤で300℃、5分、100kPa、冷却盤で20℃、5分、400kPaの条件で繊維体積含有率約48体積%、厚さ約115μmの繊維強化熱可塑性プラスチックを得た。得られた厚さ115μmの繊維強化熱可塑性プラスチックを308mm角にサイズにカットし、繊維方向が[0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°]となるように18枚重ね、310mm角で深さ0.5mmの印籠型内に配置して加熱し圧縮成形機(神藤金属工業所製、製品名:SFA−50HH0)を用いて、高温側プレスにて230℃、油圧指示8MPa(プレス圧2.1MPa)の条件で12分間保持し、型を冷却プレスに移動させ、80℃,油圧指示15MPa(プレス圧3.9MPa)にて4分間保持することで繊維体積含有率約48体積%、厚さ2mmの繊維強化熱可塑性プラスチックを得た。
<製造例6:炭素繊維強化熱可塑性プラスチックの製造例2>
繊維方向が[0°/90°/0°/0°/90°/0°]となるように6枚重ねた以外は、製造例5と同様にして繊維体積含有率約48体積%、厚さ0.7mmの繊維強化熱可塑性プラスチックを得た。
<炭素繊維強化熱可塑性プラスチックの評価>
[1]難燃性試験
得られた厚さ0.7mmの炭素繊維強化熱可塑性プラスチックをUL94燃焼試験に準じて測定を行った。評価結果を記録した。
[2]90°曲げ試験(接着性評価)m
得られた厚さ2mmの炭素繊維強化熱可塑性プラスチックをASTM D790に準じて、曲げ試験片の繊維方向が試験片長手方向と90°になる向きに曲げ試験を行った。曲げ試験での最大荷重より90°曲げ曲げ強度を算出して記録した。
(実施例1)
熱可塑性樹脂組成物1とサイジング剤付着炭素繊維束1を用いて、厚さ0.7mmの炭素繊維強化熱可塑性プラスチックおよびを厚さ2mmの炭素繊維強化熱可塑性プラスチックを得た。得られた炭素繊維強化熱可塑性プラスチックを用いて難燃性試験および90°曲げ試験を実施した。評価の結果を表2に記す。評価の結果、優れた難燃性能と機械物性を示した。
(比較例1)
熱可塑性樹脂組成物1とサイジング剤付着炭素繊維束2を用いて、厚さ2mmの炭素繊維強化熱可塑性プラスチックを得た。得られた炭素繊維強化熱可塑性プラスチックを用いて90°曲げ試験を実施した。評価の結果を表2に記す。評価の結果、90°曲げが10MPa未満と接着性が不十分であった。
(比較例2)
サイジング剤付着炭素繊維束2の代わりにサイジング剤付着炭素繊維束3を用いた以外は比較例1と同様に90°曲げ試験を実施した。評価の結果を表2に記す。評価の結果、90°曲げが10MPa未満と接着性が不十分であった。
(実施例2)
熱可塑性樹脂組成物1の代わりに熱可塑性樹脂組成物2を用いた以外は、実施例1と同様に難燃性試験および90°曲げ試験を実施した。評価の結果を表2に記す。評価の結果、優れた難燃性能と機械物性を示した。

Claims (10)

  1. 下記(式1)で表される構造単位を含むリン含有ポリマーを含有する熱可塑性樹脂組成物と、炭素繊維からなり、該炭素繊維が下記サイジング剤(1)によりサイジング処理されている炭素繊維強化熱可塑性プラスチック。

    (式1)

    サイジング剤(1):分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と不飽和一塩基酸とのエステルであって、分子中に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物(A)と、硬化物の引張伸び率が40%以上の2官能タイプのウレタンアクリレートオリゴマー(B)とを含有し、前記化合物(A)と前記ウレタンアクリレートオリゴマー(B)との含有量の比(質量比)が、ウレタンアクリレートオリゴマー(B)/化合物(A)=1/3〜2/1の範囲内であり、全サイジング成分中に占める前記化合物(A)および前記ウレタンアクリレートオリゴマー(B)の合計量の割合が20質量%以上であるサイジング剤。
  2. 前記(式1)で表される構造単位を含むリン含有ポリマーが、下記(式2)で表される部分構造を有するリン含有ポリマーである請求項1に記載の炭素繊維強化熱可塑性プラスチック。

    (式2)

    ((式2)中のxおよびyは1以上19以下の整数である)
  3. 前記リン含有ポリマーの重量平均分子量Mwが10,000以上160,000以下である請求項1または2に記載の炭素繊維強化熱可塑性プラスチック。
  4. 熱可塑性樹脂組成物中に、前記リン含有ポリマーが占める割合が20質量%以上である請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維強化熱可塑性プラスチック。
  5. 熱可塑性樹脂組成物が、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維強化熱可塑性プラスチック。
  6. 熱可塑性樹脂組成物中の前記ビスフェノールA型ポリカーボネートおよび前期リン含有ポリマーの合計量が占める割合が70質量%以上である請求項5に記載の炭素繊維強化熱可塑性プラスチック。
  7. サイジング剤(1)が、ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物とジカルボン酸化合物とのエステルで、その酸価が50以上であるエステル化合物(C)を含有している、請求項1〜6のいずれかに記載の炭素繊維強化熱可塑性プラスチック。
  8. サイジング剤(1)が、アンモニウムイオンを対イオンとして有するアニオン系界面活性剤(D)、およびノニオン系界面活性剤(E)を含有している、請求項1〜6のいずれかに記載の炭素繊維強化熱可塑性プラスチック。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の炭素繊維強化熱可塑性プラスチックからなり、厚さが0.4mm以上1.6mm以下であり、UL94に基づく難燃性能がV−0を満たす成形材料。
  10. 請求項9に記載の成形材料で一部または全部が構成される電気・電子機器用筐体。
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