JP2016168996A - ウインドシールド - Google Patents

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Shigeo Kikko
重雄 橘高
永史 小川
Nagafumi Ogawa
永史 小川
神吉 哲
Satoru Kamiyoshi
哲 神吉
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Abstract

【課題】湾曲して傾斜状態で配置されたガラス板を介して撮影された撮影画像に歪曲が生じるのを防止することができるウインドシールドを提供する。【解決手段】本発明に係るウインドシールドは、撮影装置を配置可能な車両に用いられるウインドシールドであって、湾曲したガラス板と、前記ガラス板の一部を含む、前記撮影装置へ入射する光の通過領域と、を備え、前記撮影装置は、前記通過領域を通過して入射する光により形成される像を取得し、前記通過領域は、前記撮影装置により取得される像の歪みが低減されるように構成されている。【選択図】図8

Description

本発明は、ウインドシールドに関する。
近年、車外の状況を撮影するカメラを車内に設置する車載システムが提案されている。この車載システムは、ウインドシールドを通してカメラにより取得した被写体の撮影画像を解析することで、対向車、前走車、歩行者、交通標識、車線境界線等を認識し、運転者に危険を知らせる等の様々な運転の支援を行うことができる。
ただし、自動車のフロントガラス等のガラス板の周縁部には、車外からの視野を遮るための遮蔽層が設けられる場合がある。加えて、この車載システムのカメラは、ルームミラーの支持部近傍等、カメラの撮影範囲に当該遮蔽層が含まれる位置に設置されるケースが多い。そのため、この遮蔽層がカメラの撮影を阻害する可能性がある。
そこで、従来、遮蔽層の一部に透過窓を設けることが提案されている。例えば、特許文献1では、合わせガラス用合成樹脂膜に設けられた遮蔽層(シェード部)の一部を可視光の透過率の高い素材に置き換えることで、シェード部の一部に可視光の透過率の高い領域(透光部)を形成する。これによって、車内に設置されたカメラは、遮蔽層に阻害されることなく、車外の状況を撮影することが可能になる。
特開2006−096331号公報
しかしながら、本件発明者らは、遮蔽層によってカメラの撮影が阻害される他に、次のような問題点が生じることを見出した。すなわち、車内に設置された撮影装置(カメラ)は、ガラス板内で反射することなく、ガラス板を透過した光束を受光することで、車外の状況を撮影する。しかしながら、上記のようなウインドシールドは、一般的に湾曲しており、さらに傾斜した状態で車体に設置される。そのため、このようなウインドシールドを通過した光から撮影装置で取得される撮影画像は、歪曲したものとなることを本発明者らは見出した。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、湾曲して傾斜状態で配置されたガラス板を介して撮影された撮影画像に歪曲が生じるのを防止することができるウインドシールドを提供することを目的とする。具体的には、下記に掲げる態様の発明を提供する。
<発明A>
項1.撮影装置を配置可能な車両に用いられるウインドシールドであって、
湾曲したガラス板と、
前記ガラス板の一部を通過して、前記撮影装置へ入射する光の通過領域と、
を備え、
前記撮影装置は、前記通過領域を通過して入射する光により形成される像を取得し、
前記通過領域は、前記撮影装置により取得される像の歪曲が低減されるように構成されている、ウインドシールド。
項2.前記通過領域は、前記ガラス板により構成されており、
前記通過領域は、前記撮像装置から離れる方向にいくにしたがってテーパ状に厚みが増大するように形成されている、項1に記載のウインドシールド。
項3.前記ガラス板の車内側の面と対向するように配置された板状で透明の第1補正部材と、
前記ガラス板と前記第1補正部材との間の隙間に充填され、前記第1補正部材を前記ガラス板に固定する第1接着剤と、
をさらに備え、
前記ガラス板、前記第1接着剤、及び第1補正部材に亘って、前記通過領域が形成されており、
前記第1補正部材は、前記ガラス板と対向する第1面と、車内側を向く第2面とを備え、
前記第2面は、縦断面の曲率半径が一定の円弧状に形成された凹面を備えており、
前記通過領域における前記ガラス板の車外側の面の中心と、当該面の曲率中心とを結ぶ線上に、前記第1補正部材の第2面の曲率中心が存在しないように構成されている、項1に記載のウインドシールド。
項4.前記ガラス板の車内側の面と、空気層を介して対向するように配置された板状で透明の第2補正部材をさらに備え、
前記ガラス板及び第2補正部材に亘って、前記通過領域が形成されており、
前記第2補正部材は、前記ガラス板と対向する第1面と、車内側を向く第2面とを備え、
前記第2補正部材は、少なくとも前記通過領域において、前記撮像装置から離れる方向に行くにしたがって、テーパ状に厚みが増大するように形成されている、項1に記載のウインドシールド。
項5.前記ガラス板の車内側の面と、対向するように配置された板状で透明の第3補正部材と、
前記ガラス板と前記第3補正部材との間の隙間に充填され、前記第3補正部材を前記ガラス板に固定する第2接着剤と、
をさらに備え、
前記ガラス板、第2接着剤、及び第3補正部材に亘って、前記撮影装置に入射する光の通過領域が形成されており、
前記第3補正部材は、前記ガラス板と対向する第1面と、車内側を向く第2面とを備え、
前記第3補正部材の第2面が平面である、項1に記載のウインドシールド。
項6.前記第3補正部材において、前記第1面と第2面とは平行に形成され
ている、項5に記載のウインドシールド。
項7.前記ガラス板には、貫通孔が形成され、
前記ガラス板の貫通孔に配置される板状で透明の第4補正部材をさらに備え、
前記第4補正部材により、前記通過領域が形成されており、
前記第4補正部材は、前記ガラス板と対向する第1面と、車内側を向く第2面とを備え、
前記第4補正部材の第1面と第2面が略平行である、項1に記載のウインドシールド。
項8.前記ガラス板は合わせガラスによって構成され、
前記合わせガラスは、外側ガラス板と、当該外側ガラス板と対向配置された内側ガラス板と、前記外側ガラス板及び内側ガラス板に挟持される中間膜と、を備えており、
前記内側ガラス板及び中間膜には、前記撮影装置に入射する光が通過する前記通過領域においてそれぞれ貫通孔が形成されており、
前記通過領域は、前記外側ガラス板により構成されている、項1に記載のウインドシールド。
項9.前記撮影装置は、視差の生じた複数の画像を取得するために互いに離間した複数の撮影装置を有するステレオカメラである、項1から8のいずれかに記載のウインドシールド。
なお、本発明における「前記撮像装置から離れる方向に行くにしたがって」について、ガラス板の水平からの傾斜角度が0〜90°である場合には、「離れる方向」とはガラス板に沿う下向きの方向を指すが、例えば、ガラス板の傾斜角度が90°を超えた場合には、「離れる方向」とはガラス板に沿う上向きの方向を指す。
<発明B>
項1.撮影装置を配置可能な車両に用いられるウインドシールドであって、
湾曲したガラス板を備え、
前記ガラス板は、前記撮影装置に入射する光の通過領域を備えており、
前記ガラス板における通過領域は、前記撮像装置から離れる方向にいくにしたがってテーパ状に厚みが増大するように形成されている、ウインドシールド。
項2.撮影装置を配置可能な車両に用いられるウインドシールドであって、
湾曲したガラス板と、
前記ガラス板の車内側の面と対向するように配置された板状で透明の第1補正部材と、
前記ガラス板と前記第1補正部材との間の隙間に充填され、前記第1補正部材を前記ガラス板に固定する第1接着剤と、
を備え、
前記ガラス板、前記第1接着剤、及び第1補正部材に亘って、前記撮影装置に入射する光の通過領域が形成されており、
前記第1補正部材は、前記ガラス板と対向する第1面と、車内側を向く第2面とを備え、
前記第2面は、縦断面の曲率半径が一定の円弧状に形成された凹面を備えており、
前記通過領域における前記ガラス板の車外側の面の中心と、当該面の曲率中心とを結ぶ線上に、前記第1補正部材の第2面の曲率中心が存在しないように構成されている、ウインドシールド。
項3.撮影装置を配置可能な車両に用いられるウインドシールドであって、
湾曲したガラス板と、
前記ガラス板の車内側の面と、空気層を介して対向するように配置された板状で透明の第2補正部材と、
を備え、
前記ガラス板及び第2補正部材に亘って、前記撮影装置に入射する光の通過領域が形成されており、
前記第2補正部材は、前記ガラス板と対向する第1面と、車内側を向く第2面とを備え、
前記第2補正部材は、少なくとも前記通過領域において、前記撮像装置から離れる方向に行くにしたがって、テーパ状に厚みが増大するように形成されている、ウインドシールド。
項4.撮影装置を配置可能な車両に用いられるウインドシールドであって、
湾曲したガラス板と、
前記ガラス板の車内側の面と、対向するように配置された板状で透明の第3補正部材と、
前記ガラス板と前記第3補正部材との間の隙間に充填され、前記第3補正部材を前記ガラス板に固定する第2接着剤と、
を備え、
前記ガラス板、第2接着剤、及び第3補正部材に亘って、前記撮影装置に入射する光の通過領域が形成されており、
前記第3補正部材は、前記ガラス板と対向する第1面と、車内側を向く第2面とを備え、
前記第3補正部材の第2面が平面である、ウインドシールド。
項5.前記第3補正部材において、前記第1面と第2面とは平行に形成されている、項5に記載のウインドシールド。
項6.撮影装置を配置可能な車両に用いられるウインドシールドであって、
貫通孔が形成された、湾曲したガラス板と、
前記ガラス板の貫通孔に配置される板状で透明の第4補正部材と、
を備え、
前記ガラス板の貫通孔に配置される前記第4補正部材により、前記撮影装置に入射する光の通過領域が形成されており、
前記第4補正部材は、前記ガラス板と対向する第1面と、車内側を向く第2面とを備え、
前記第4補正部材の第1面と第2面が略平行である、ウインドシールド。
項7.撮影装置を配置可能な車両に用いられるウインドシールドであって、
湾曲した合わせガラスを備え、
前記合わせガラスは、外側ガラス板と、当該外側ガラス板と対向配置された内側ガラス板と、前記外側ガラス板及び内側ガラス板に挟持される中間膜と、を備えており、
前記内側ガラス板及び中間膜には、前記撮影装置に入射する光が通過する前記通過領域においてそれぞれ貫通孔が形成されており、
前記通過領域は、前記外側ガラス板により構成されている、ウインドシールド。
本発明によれば、湾曲して傾斜状態で配置されたガラス板を介して撮影された撮影画像に歪曲が生じるのを防止することができる。
本発明に係るウインドシールドの一実施形態を示す平面図である。 図1の断面図である。 合わせガラスの断面図である。 合わせガラスの厚みの測定位置を示す概略平面図である。 中間膜の測定に用いる画像の例である。 図1のウインドシールドに配置される車載システムのブロック図である。 図1のウインドシールドの製造工程の一例を示す概略図である。 第1実施形態に係るウインドシールドの断面図である。 第1実施形態に係るウインドシールドにおける歪曲を検討するためのモデル図である。 図9のモデルによって計算されたテーパ角と歪曲量との関係を示すグラフである。 本発明に係るウインドシールドの水平方向の断面図である。 非補正モデルにおける設置角度と歪曲量の関係を示すグラフである。 第1実施形態に係るウインドシールドにおける設置角度と歪曲量の関係を示すグラフである。 第2実施形態に係るウインドシールドの断面図である。 第2実施形態に係るウインドシールドを検討するに当たっての比較例を示す断面図である。 第2実施形態に係るウインドシールドの他の例を示す断面図である。 第2実施形態に係るウインドシールドの他の例を示す断面図である。 第2実施形態に係るウインドシールドにおける設置角度と歪曲量の関係を示すグラフである。 第3実施形態に係るウインドシールドにおける歪曲を検討するためのモデル図である。 図19のモデルによって計算されたテーパ角と歪曲量との関係を示すグラフである。 テーパを有する補正部材の作製のための板材を示す図である。 図21の板材を組み合わせてテーパを有する補正部材の作製を示す図である。 第3実施形態に係るウインドシールドにおける設置角度と歪曲量の関係を示すグラフである。 第4実施形態に係るウインドシールドにおける歪曲を検討するためのモデル図である。 図24のモデルによって計算されたテーパ角と歪曲量との関係を示すグラフである。 第4実施形態に係るウインドシールドの他の例を示す断面図である。 第4実施形態に係るウインドシールドにおける設置角度と歪曲量の関係を示すグラフである。 第5実施形態に係るウインドシールドの断面図である。 第5実施形態に係るウインドシールドにおける歪曲を検討するためのモデル図である。 図29のモデルによって計算されたテーパ角と歪曲量との関係を示すグラフである。 第5実施形態に係るウインドシールドにおける設置角度と歪曲量の関係を示すグラフである。 第6実施形態に係るウインドシールドの断面図である。 第6実施形態に係るウインドシールドにおける設置角度と歪曲量の関係を示すグラフである。 第7実施形態に係るウインドシールドの断面図である。 第7実施形態に係るウインドシールドにおける設置角度と歪曲量の関係を示すグラフである。 第5実施形態に係るウインドシールドの他の例を示す断面図である。 ステレオカメラが設けられたウインドシールドの一例を示す正面図である。 図37の断面図である。
以下、本発明に係るウインドシールドの第1〜第6実施形態について図面を参照しつつ説明する。各実施形態に係るウインドシールドは、概ね共通のガラス板と、遮蔽層を備えており、車内側には撮影装置が配置されている。以下では、まず、各実施形態において概ね共通する、ガラス板、遮蔽層、撮影装置を含む車載システム、及びウインドシールドの製造方法について説明し、その後、各実施形態の特有の構成について説明する。
<1.共通構成>
<1−1.概略構成>
まず、図1及び図2を用いて、各実施形態に係るウインドシールドの構成について説明する。図1は、ウインドシールドの平面図、図2は図1の断面図である。なお、説明の便宜のため、図1の上下方向を「上下」、「垂直」、「縦」と、図1の左右方向を「左右」と称することとする。図1は、車内側から見たウインドシールドを例示している。すなわち、図1の紙面奥側が車外側であり、図1の紙面手前側が車内側である。
このウインドシールドは、略矩形状のガラス板10を備えており、傾斜状態で車体に設置されている。そして、このガラス板10の車内側を向く内面130には、車外からの視野を遮蔽する遮蔽層110が設けられており、撮影装置2は、この遮蔽層110により車外から見えないように配置されている。但し、撮影装置2は、車外の状況を撮影するためのカメラである。そのため、遮蔽層110には撮影装置2と対応する位置に撮影窓が設けられ、車内に配置された撮影装置2により、車外の状況を撮影可能となっている。
また、撮影装置2には画像処理装置3が接続しており、撮影装置2により取得された撮影画像はこの画像処理装置3で処理される。撮影装置2及び画像処理装置3は車載システム5を構成しており、この車載システム5は、画像処理装置3の処理に応じて様々な情報を乗車者に提供することができる。以下、各構成要素について説明する。
<1−2.ガラス板>
<1−2−1.ガラス板の構成/合わせガラスの構成>
ガラス板10は、種々の構成が可能であり、例えば、複数のガラス板を有する合わせガラスで構成したり、あるいは一枚のガラス板により構成することもできる。合わせガラスを用いる場合には、例えば、図3に示すように、構成することができる。図3は合わせガラスの断面図である。
同図に示すように、この合わせガラス10は、外側ガラス板11及び内側ガラス板12を備え、これらガラス板11、12の間に樹脂製の中間膜13が配置されている。まず、外側ガラス板11及び内側ガラス板12から説明する。外側ガラス板11及び内側ガラス板12は、公知のガラス板を用いることができ、熱線吸収ガラス、一般的なクリアガラスやグリーンガラス、またはUVグリーンガラスで形成することもできる。但し、これらのガラス板11、12は、自動車が使用される国の安全規格に沿った可視光線透過率を実現する必要がある。例えば、外側ガラス板11により必要な日射吸収率を確保し、内側ガラス板12により可視光線透過率が安全規格を満たすように調整することができる。以下に、クリアガラス、熱線吸収ガラス、及びソーダ石灰系ガラスの一例を示す。
(クリアガラス)
SiO2:70〜73質量%
Al23:0.6〜2.4質量%
CaO:7〜12質量%
MgO:1.0〜4.5質量%
2O:13〜15質量%(Rはアルカリ金属)
Fe23に換算した全酸化鉄(T−Fe23):0.08〜0.14質量%
(熱線吸収ガラス)
熱線吸収ガラスの組成は、例えば、クリアガラスの組成を基準として、Fe23に換算した全酸化鉄(T−Fe23)の比率を0.4〜1.3質量%とし、CeO2の比率を0〜2質量%とし、TiO2の比率を0〜0.5質量%とし、ガラスの骨格成分(主に、SiO2やAl23)をT−Fe23、CeO2およびTiO2の増加分だけ減じた組成とすることができる。
(ソーダ石灰系ガラス)
SiO2:65〜80質量%
Al23:0〜5質量%
CaO:5〜15質量%
MgO:2質量%以上
Na2O:10〜18質量%
2O:0〜5質量%
MgO+CaO:5〜15質量%
Na2O+K2O:10〜20質量%
SO3:0.05〜0.3質量%
23:0〜5質量%
Fe23に換算した全酸化鉄(T−Fe23):0.02〜0.03質量%
本実施形態に係る合わせガラスの厚みは特には限定されないが、軽量化の観点からは、外側ガラス板11と内側ガラス板12の厚みの合計を、2.4〜3.8mmとすることが好ましく、2.6〜3.4mmとすることがさらに好ましく、2.7〜3.2mmとすることが特に好ましい。このように、軽量化のためには、外側ガラス板11と内側ガラス板12との合計の厚みを小さくすることが必要であるので、各ガラス板のそれぞれの厚みは、特には限定されないが、例えば、以下のように、外側ガラス板11と内側ガラス板12の厚みを決定することができる。
外側ガラス板11は、主として、外部からの障害に対する耐久性、耐衝撃性が必要であり、例えば、この合わせガラスを自動車のウインドシールドとして用いる場合には、小石などの飛来物に対する耐衝撃性能が必要である。他方、厚みが大きいほど重量が増し好ましくない。この観点から、外側ガラス板11の厚みは1.8〜2.3mmとすることが好ましく、1.9〜2.1mmとすることがさらに好ましい。何れの厚みを採用するかは、ガラスの用途に応じて決定することができる。
内側ガラス板12の厚みは、外側ガラス板11と同等にすることができるが、例えば、合わせガラスの軽量化のため、外側ガラス板11よりも厚みを小さくすることができる。具体的には、ガラスの強度を考慮すると、0.6〜2.0mmであることが好ましく、0.8〜1.6mmであることが好ましく、1.0〜1.4mmであることが特に好ましい。更には、0.8〜1.3mmであることが好ましい。内側ガラス板12についても、何れの厚みを採用するかは、ガラスの用途に応じて決定することができる。
また、本実施形態に係る外側ガラス板11及び内側ガラス板12の形状は、湾曲形状をなしている。ここで、ガラス板(合わせガラス)1の厚みの測定方法の一例について説明する。まず、測定位置については、図4に示すように、ガラス板の左右方向の中央を上下方向に延びる中央線S上の上下2箇所である。測定機器は、特には限定されないが、例えば、株式会社テクロック製のSM−112のようなシックネスゲージを用いることができる。測定時には、平らな面にガラス板の湾曲面が載るように配置し、上記シックネスゲージでガラス板の端部を挟持して測定する。
<1−2−2.合わせガラスの中間膜>
中間膜13は、少なくとも一層で形成されており、一例として、図3に示すように、軟質のコア層131を、これよりも硬質のアウター層132で挟持した3層で構成することができる。但し、この構成に限定されるものではなく、コア層131と、外側ガラス板11側に配置される少なくとも1つのアウター層132とを有する複数層で形成されていればよい。例えば、コア層131と、外側ガラス板11側に配置される1つのアウター層132を含む2層の中間膜13、またはコア層131を中心に両側にそれぞれ2層以上のアウター層132を配置した中間膜13、あるいはコア層131を挟んで一方に1層のアウター層132、他方の側に2層以上のアウター層132を配置した中間膜13とすることもできる。なお、アウター層132を1つだけ設ける場合には、上記のように外側ガラス板11側に設けているが、これは、車外や屋外からの外力に対する耐破損性能を向上するためである。また、アウター層132の数が多いと、遮音性能も高くなる。
コア層131はアウター層132よりも軟質であるかぎり、その硬さは特には限定されない。各層131,132を構成する材料は、特には限定されないが、例えば、ヤング率を基準として材料を選択することができる。具体的には、周波数100Hz,温度20度において、1〜20MPaであることが好ましく、1〜18MPaであることがさらに好ましく、1〜14MPaであることが特に好ましい。このような範囲にすると、概ね3500Hz以下の低周波数域で、STLが低下するのを防止することができる。一方、アウター層132のヤング率は、後述するように、高周波域における遮音性能の向上のために、大きいことが好ましく、周波数100Hz,温度20度において560MPa以上、600MPa以上、650MPa以上、700MPa以上、750MPa以上、880MPa以上、または1300MPa以上とすることができる。一方、アウター層132のヤング率の上限は特には限定されないが、例えば、加工性の観点から設定することができる。例えば、1750MPa以上となると、加工性、特に切断が困難になることが経験的に知られている。
また、具体的な材料としては、アウター層132は、例えば、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)によって構成することができる。ポリビニルブチラール樹脂は、各ガラス板との接着性や耐貫通性に優れるので好ましい。一方、コア層131は、例えば、エチレンビニルアセテート樹脂(EVA)、またはアウター層を構成するポリビニルブチラール樹脂よりも軟質なポリビニルアセタール樹脂によって構成することができる。軟質なコア層を間に挟むことにより、単層の樹脂中間膜と同等の接着性や耐貫通性を保持しながら、遮音性能を大きく向上させることができる。
一般に、ポリビニルアセタール樹脂の硬度は、(a)出発物質であるポリビニルアルコールの重合度、(b)アセタール化度、(c)可塑剤の種類、(d)可塑剤の添加割合などにより制御することができる。したがって、それらの条件から選ばれる少なくとも1つを適切に調整することにより、同じポリビニルブチラール樹脂であっても、アウター層132に用いる硬質なポリビニルブチラール樹脂と、コア層131に用いる軟質なポリビニルブチラール樹脂との作り分けが可能である。さらに、アセタール化に用いるアルデヒドの種類、複数種類のアルデヒドによる共アセタール化か単種のアルデヒドによる純アセタール化によっても、ポリビニルアセタール樹脂の硬度を制御することができる。一概には言えないが、炭素数の多いアルデヒドを用いて得られるポリビニルアセタール樹脂ほど、軟質となる傾向がある。したがって、例えば、アウター層132がポリビニルブチラール樹脂で構成されている場合、コア層131には、炭素数が5以上のアルデヒド(例えばn−ヘキシルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−へプチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド)、をポリビニルアルコールでアセタール化して得られるポリビニルアセタール樹脂を用いることができる。なお、所定のヤング率が得られる場合は、上記樹脂等に限定されることはい。
また、中間膜13の総厚は、特に規定されないが、0.3〜6.0mmであることが好ましく、0.5〜4.0mmであることがさらに好ましく、0.6〜2.0mmであることが特に好ましい。また、コア層131の厚みは、0.1〜2.0mmであることが好ましく、0.1〜0.6mmであることがさらに好ましい。一方、各アウター層132の厚みは、0.1〜2.0mmであることが好ましく、0.1〜1.0mmであることがさらに好ましい。その他、中間膜13の総厚を一定とし、この中でコア層131の厚みを調整することもできる。
コア層131及びアウター層132の厚みは、例えば、以下のように測定することができる。まず、マイクロスコープ(例えば、キーエンス社製VH−5500)によって合わせガラスの断面を175倍に拡大して表示する。そして、コア層131及びアウター層132の厚みを目視により特定し、これを測定する。このとき、目視によるばらつきを排除するため、測定回数を5回とし、その平均値をコア層131、アウター層132の厚みとする。例えば、図5に示すような合わせガラスの拡大写真を撮影し、このなかでコア層やアウター層132を特定して厚みを測定する。
なお、中間膜13のコア層131、アウター層132の厚みは全面に亘って一定である必要はなく、例えば、ヘッドアップディスプレイ装置における二重像発生の防止用、または後述する第1実施形態に用いられる合わせガラス用とするために、全体もしくは一部分を楔形にすることもできる。この場合、中間膜13のコア層131やアウター層132の厚みも部分的に異なる値となるが、上述した中間膜13における各層の「厚さ」としては、最も厚みの小さい箇所とする。中間膜13が楔形の場合、外側ガラス板及び内側ガラス板は、厳密には平行に配置されないが、このような配置も本発明におけるガラス板に含まれる物とする。すなわち、本発明においては、例えば、長さ1m当たり3mm以下の変化率で厚みが大きくなるコア層131やアウター層132を用いた中間膜13を使用した時の外側ガラス板と内側ガラス板の配置を含む。
中間膜13の製造方法は特には限定されないが、例えば、上述したポリビニルアセタール樹脂等の樹脂成分、可塑剤及び必要に応じて他の添加剤を配合し、均一に混練りした後、各層を一括で押出し成型する方法、この方法により作成した2つ以上の樹脂膜をプレス法、ラミネート法等により積層する方法が挙げられる。プレス法、ラミネート法等により積層する方法に用いる積層前の樹脂膜は単層構造でも多層構造でもよい。また、中間膜13は、上記のような複数の層で形成する以外に、1層で形成することもできる。
<1−2−3.ガラス板の赤外線透過率>
上記のように、本実施形態に係るウインドシールドは、レーザーレーダー、カメラなどの測定ユニットを用いた自動車の前方安全システム用に用いられる。このような安全システムでは、前方の車両に対して赤外線を照射して、前方の自動車の速度や車間距離を計測する。そのため、合わせガラス(または一枚のガラス板)には、所定範囲の赤外線の透過率を達成することが要求される。
このような透過率としては、例えば、レーザーレーダーに一般的なセンサを使用する場合、波長が850〜950nmの光(赤外線)に対して20%以上80%以下、少なくとも20%以上60%以下であることが有用であるとされている。透過率の測定方法は、JIS R3106にしたがい、測定装置として、UV3100(島津製作所製)を用いることができる。具体的には、合わせガラスの表面に対して90度の角度で照射した、一方向の光の透過を測定する。
<1−3.遮蔽層>
次に、遮蔽層110について説明する。図1及び図2に例示されるように、本実施形態では、遮蔽層110は、車内側の内面130に積層され、ガラス板10の周縁部に沿って形成されている。具体的には、図1に例示されるように、本実施形態に係る遮蔽層110は、ガラス板10の周縁部に沿う周縁領域111と、ガラス板10の上辺部から下方に矩形状に突出した突出領域112とに分けることができる。周縁領域111は、ウインドシールド1の周縁部からの光の入射を遮蔽する。一方、突出領域112は、車内に配置される撮影装置2を車外から見えないようにする。
ただし、撮影装置2の撮影範囲を遮蔽層110が遮蔽してしまうと、撮影装置2によって車外前方の状況を撮影することができなくなってしまう。そのため、本実施形態では、遮蔽層110の突出領域112に、撮影装置2が車外の状況を可能なように、当該撮影装置2に対応する位置に矩形状の撮影窓113が設けられている。
この撮影窓113は、遮蔽層110の材料が積層されない領域であり、撮影装置2が車外の状況を撮影可能な程度に可視光の透過率を有するように構成される。例えば、撮影窓113は、可視光の透過率が70%以上になるように構成される。なお、この透過率は、JIS R 3212(3.11 可視光透過率試験)で定められているように、JIS Z 8722に規定された分光測定法によって測定することができる。本実施形態では、
撮影窓113は、突出領域112内に設けられる。すなわち、撮影窓113は、遮蔽層110より面方向内側の非遮蔽領域120から独立して設けられる。
なお、この非遮蔽領域120は、撮影窓113と同様に、遮蔽層110の材料が積層されない領域である。運転者及び助手席に座る同行者は、この非遮蔽領域120を介して車外の交通状況を確認する。そのため、この非遮蔽領域120は、少なくとも車外の交通状況を目視可能な程度に可視光の透過率を有するように構成される。
次に、遮蔽層110の材料について説明する。この遮蔽層110の材料は、車外からの視野を遮蔽可能であれば、実施の形態に応じて適宜選択されても良く、例えば、黒色、茶色、灰色、濃紺等の濃色のセラミックを用いてもよい。
遮蔽層110の材料に黒色のセラミックが選択された場合、ガラス板10の内面130上の周縁部にスクリーン印刷等で黒色のセラミックを積層し、ガラス板10と共に積層したセラミックを加熱する。これによって、ガラス板10の周縁部に遮蔽層110を形成することができる。また、黒色のセラミックを印刷する際に、黒色のセラミックを部分的に印刷しない領域を設ける。これによって、撮影窓113を形成することができる。なお、遮蔽層110に利用するセラミックは、種々の材料を利用することができる。例えば、以下の表1に示す組成のセラミックを遮蔽層110に利用することができる。
*1,主成分:酸化銅、酸化クロム、酸化鉄及び酸化マンガン
*2,主成分:ホウケイ酸ビスマス、ホウケイ酸亜鉛
<1−4.車載システム>
次に、図6を用いて、撮影装置2及び画像処理装置3を備える車載システム5について説明する。図6は、車載システム5の構成を例示する。図6に例示されるように、本実施形態に係る車載システム5は、上記撮影装置2と、当該撮影装置2に接続される画像処理装置3と、を備えている。
画像処理装置3は、撮影装置2により取得された撮影画像を処理する装置である。この画像処理装置3は、例えば、ハードウェア構成として、バスで接続される、記憶部31、制御部32、入出力部33等の一般的なハードウェアを有している。ただし、画像処理装置3のハードウェア構成はこのような例に限定されなくてよく、画像処理装置3の具体的なハードウェア構成に関して、実施の形態に応じて、適宜、構成要素の追加、省略及び追加が可能である。
記憶部31は、制御部32で実行される処理で利用される各種データ及びプログラムを記憶する(不図示)。記憶部31は、例えば、ハードディスクによって実現されてもよいし、USBメモリ等の記録媒体により実現されてもよい。また、記憶部31が格納する当該各種データ及びプログラムは、CD(Compact Disc)又はDVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体から取得されてもよい。更に、記憶部31は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。
上記のとおり、ガラス板10は、垂直方向に対して傾斜姿勢で配置され、かつ、湾曲している。そして、撮影装置2は、そのようなガラス板10を介して車外の状況を撮影する。そのため、撮影装置2により取得される撮影画像は、当該ガラス板10の姿勢、形状、屈折率、光学的欠陥等に応じて、変形している。また、撮影装置2のカメラレンズに固有の収差も加わる。そこで、記憶部31には、このようなガラス板10およびカメラレンズの収差によって変形した画像を補正するための補正データが記憶されていてもよい。
制御部32は、マイクロプロセッサ又はCPU(Central Processing Unit)等の1又は複数のプロセッサと、このプロセッサの処理に利用される周辺回路(ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、インタフェース回路等)と、を有する。ROM、RAM等は、制御部32内のプロセッサが取り扱うアドレス空間に配置されているという意味で主記憶装置と呼ばれてもよい。制御部32は、記憶部31に格納されている各種データ及びプログラムを実行することにより、画像処理部321として機能する。
画像処理部321は、撮影装置2により取得される撮影画像を処理する。撮影画像の処理は、実施の形態に応じて適宜選択可能である。例えば、画像処理部321は、パターンマッチング等によって当該撮影画像を解析することで、撮影画像に写る被写体の認識を行ってもよい。本実施形態では、窓ガラス1はウインドシールドであり、撮影装置2は車両前方の状況を撮影する。そのため、画像処理部321は、更に、当該被写体認識に基づいて、車両前方に人間等の生物が写っていないかどうかを判定してもよい。そして、車両前方に人物が写っている場合には、画像処理部321は、所定の方法で警告メッセージを出力してもよい。また、例えば、画像処理部321は、所定の加工処理を撮影画像に施してもよい。そして、画像処理部321は、画像処理装置3に接続されるディスプレイ等の表示装置(不図示)に当該加工した撮影画像を出力してもよい。
入出力部33は、画像処理装置3の外部に存在する装置とデータの送受信を行うための1又は複数のインタフェースである。入出力部33は、例えば、ユーザインタフェースと接続するためのインタフェース、又はUSB(Universal Serial Bus)等のインタフェースである。なお、本実施形態では、画像処理装置3は、当該入出力部33を介して、撮影装置2と接続し、当該撮影装置2により撮影された撮影画像を取得する。
このような画像処理装置3は、提供されるサービス専用に設計された装置の他、PC(Personal Computer)、タブレット端末等の汎用の装置が用いられてもよい。
<1−5.ウインドシールドの製造方法>
次に、図7を用いて、本実施形態に係るウインドシールド1の製造方法を説明する。図7は、本実施形態に係るウインドシールド1のガラス板10の成形工程を模式的に例示する。なお、以下で説明するウインドシールド1の製造方法は一例に過ぎず、各ステップは可能な限り変更されてもよい。また、以下で説明する製造工程について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換及び追加が可能である。
図7に例示されるように、この製造ラインでは、上流から下流に向けて、加熱炉80及び成形装置82がこの順で配置されている。そして、加熱炉80から成形装置82及びその下流側に亘ってローラコンベア81が配置されており、加工対象となるガラス板10はこのローラコンベア81により搬送される。なお、ガラス板10は、平板状に形成され、内面130に遮蔽層11が積層された後に、加熱炉80に搬入される。
加熱炉80は、種々の構成が可能であるが、例えば、電気加熱炉とすることができる。この加熱炉80は、上流側及び下流側の端部が開放する角筒状の炉本体を備えており、その内部に上流から下流へ向かってローラコンベア81が配置されている。炉本体の内壁面の上面、下面、及び一対の側面には、それぞれヒータ(図示省略)が配置されており、加熱炉80を通過するガラス板10を成形可能な温度、例えば、ガラスの軟化点付近まで加熱する。
成形装置82は、上型821及び下型822によりガラス板10をプレスし、所定の形状に成形するように構成されている。上型821は、ガラス板10の上面全体を覆うような下に凸の曲面形状を有し、上下動可能に構成されている。また、下型822は、ガラス板10の周縁部に対応するような枠状に形成されており、その上面は上型821と対応するように曲面形状を有している。この構成により、ガラス板10は、上型821と下型822との間でプレス成形され、最終的な曲面形状に成形される。また、下型822の枠内には、ローラコンベア81が配置されており、このローラコンベア81は、下型822の枠内を通過するように、上下動可能となっている。そして、図示を省略するが、成形装置82の下流側には、徐冷装置(図示省略)が配置されており、成形されたガラス板が冷却される。
ここで、上記加熱炉80では650度程度で加熱される。その際、遮蔽層110の材料であるセラミックは黒色等の濃色であるため、セラミックの積層されていない領域、例えば、撮影窓113の領域及び非遮蔽領域120と比べると、熱の吸収量が多くなる。そして、遮蔽層110を形成するセラミックはガラス板10と異なる熱膨張率を有するため、遮蔽層110の形成されている領域では、この成形工程時において圧縮応力及び引張応力が発生する。そのため、撮影窓113の周縁部及び非遮蔽領域120と遮蔽層110との境界部において、後述する程度の歪みの生じる歪領域が形成される。
そのため、上記のとおり、この歪領域の幅を考慮して、撮影窓の大きさを設定してもよい。たとえば、上記歪み領域の幅が8mmであるとすると、通過領域の周囲を全方向に8mm拡大した範囲を撮影窓113の最小限の大きさとする。これによって、撮影装置2に対する歪みの影響を回避しつつ、撮影窓113の大きさを比較的に小さく形成することができる。
上記のようなローラコンベア81は公知のものであり、両端部を回転自在に支持された複数のローラ811が、所定間隔をあけて配置されている。各ローラ811の駆動には種々の方法があるが、例えば、各ローラ811の端部にスプロケットを取り付け、各スプロケットにチェーンを巻回して駆動することができる。そして、各ローラ811の回転速度を調整することで、ガラス板10の搬送速度も調整することができる。なお、成形装置82の下型822はガラス板10の全面に亘って接するような形態でもよい。このほか、成形装置82は、ガラス板10を成形するものであれば、上型及び下型の形態は特には限定されない。
<2.第1実施形態>
次に、本発明の第1実施形態に係るウインドシールドについて、図8〜図10を参照しつつ説明する。ガラス板10、遮蔽層110、及び撮影装置2については、特に断りのない限り、上述したとおりである。したがって、以下では、第1実施形態の特有の構成について説明する。図8に示すように、本実施形態に係るウインドシールドは、湾曲したガラス板を備えており、このガラス板10は、少なくとも撮影装置2に入射する光の通過領域において、下方に行くにしたがって厚みが大きくなるテーパ状に形成されている。そして、撮影装置2に入射する光は、テーパ状に形成されたガラス板10を通過する。すなわち、ガラス板10が通過領域を構成する。
また、このウインドシールドにおけるガラス板10の設置角度θは、40〜70度であることが好ましい。θが70°より大きいと、ガラス板の表面での反射率が大きくなり像が暗くなり、θが40°より小さいと、ウインドシールドにおける歪曲自体が小さくなるので、補正効果も小さくなるからである。なお、設置角度θは、ガラス板10の外面140における通過領域の中心を通る法線Vと水平線Hとのなす角である。この設置角度θの範囲については、以下の実施形態においても同じである。ここで、通過領域の中心とは、後述するターゲットTの中心である点Eから出射して、カメラレンズの入射瞳に入る水平方向の主光線が通る位置である。
ここで、本発明者らは、ガラス板10のテーパ角φ1を以下のように設定することで、撮影装置が得る画像の歪曲が補正できることを見出した。なお、テーパ角φ1とは、図8に示すように、ガラス板10の外面140に対して内面130が傾斜している角度であり、単位は(°)である。テーパ角の単位については、後述するφ2、φ3、φ4、及びφ5においても同じである。以下、説明する。
まず、以下のようなモデルを設定する。図9(a)に示すように、ガラス板10の前方に矩形状のターゲットTを配置する。ガラス板10の上下方向における外面140の曲率半径と内面130の曲率半径は同じである。ターゲットTとガラス板10との距離Lは、1500mmである。このとき、距離Lは、ガラス板10の外面140における通過領域の中心からターゲットTの中心である点Eまでの水平方向の距離である。
図9(b)に示すように、ターゲットT上には、9個の評価点が配置されている。評価点は、矩形状のターゲットの中心の座標を(0,0)としたときの、次の9個の点である。座標の単位はmmである。なお、X方向は左右方向であり、Y方向は上下方向である。
A点: (x,y)=(−400,300)
B点: (x,y)=(−400,0)
C点: (x,y)=(−400,−300)
D点: (x,y)=(0,300)
E点: (x,y)=(0,0)
F点: (x,y)=(0,−300)
G点: (x,y)=(400,300)
H点: (x,y)=(400,0)
I点: (x,y)=(400,−300)
撮影装置(カメラ)の入射瞳とガラス板10の内面130における通過領域の中心との距離Dは、0mmとした。
以下の計算には、光学設計ソフトOSLO premium Edition Release 6.3 (米国Lambda Research Corp. 製)を使用した。また、後述する各実施形態においても、同じである。そして、以上の条件において、各評価点から出射して入射瞳に入る主光線のY方向及びX方向の角度を、ガラス板がない場合(θy0,θx0)とガラス板がある場合(θy,θx)とについて、それぞれ計算した。ただし、角度の基準としては、ターゲットT上のE点(0,0)からの主光線を傾きゼロとした。
次に、ガラス板の透過によるY方向とX方向の歪曲量を各評価点について、以下のように設定した。
・Y方向歪曲量:DSy=(tanθy−tanθy0)/tanθy0
・X方向歪曲量:DSx=(tanθx−tanθx0)/tanθx0
続いて、ガラス板10が、内面側にY方向のテーパ角φ1となるように厚みが変化するように設定した。そして、9個の評価点における歪曲量DSy,DSxの総和を求め、その総和が最小となるテーパ角φ1を決定した。なお、テーパ角φ1が正値の場合、ガラス板10の厚みは、下方に行くにしたがって厚くなる。
そして、計算条件を下記のようにそれぞれ変えた場合について、求めた最適テーパ角φ1の値を表2(表2A〜表2Dに分けて表示)に示す。
・設置角度:θ=40、50、60、70(°)
・通過領域の中心におけるガラス板10の厚さ:Tw=3.0、4.8、6.0(mm)
・ガラス板10の平均屈折率:nw=1.45、1.52、1.60
・ガラス板10のY方向の曲率半径:Rwy=無限大,10000,6000,3000,2000,1500,1000,800,500(mm)
なお、ガラス板10のX方向における曲率はもともと小さい値であり歪曲の発生も小さいことから、両面共にゼロ(曲率半径は無限大)とした。
続いて、表2において示すθ、Tw,nw,Rwyとφ1の関係から近似式を求めると、以下の通りである。
φ1’=K1(1/Rwy+K2)θ・Tw/(nw−1) (K1,K2は定数)
ここで、表2に示す計算結果について、Σ{(φ1’−φ12}の値が最小となる条件はK1=0.353、K2=0.000292であった。なお、表2には、上記定数K1,K2を用いて計算したφ1’およびφ1’−φ1の値を併記している。近似式による誤差|φ1’−φ1|は最大でも0.078°である。
また、φ1の好ましい範囲を検討すると、以下の通りである。例えば、θ=60°、Tw=4.8、nw=1.52、Rwy=1800とすると、φ1の値に対する各測定点(A〜I)の歪曲量(x方向及びy方向)は、図10に示すようになる。図10中のAxとはA点におけるx方向の歪曲を示し、AyとはA点におけるy方向の歪曲を示している(後述する同様のグラフについても同じである。)。いくつかの測定点(By,Ex,Eyなど)は、対称性から歪曲がゼロに近いので省略している。図10に示すように、各点の歪曲は、φ1=0.16°のあたりで最小(最適値)となっていることが分かる。また、歪曲量を一般的に良好な範囲とされる概ね±2%にしたい場合は、φ1の値が最適値(0.16°)から±0.2°の範囲であればよいことが分かる。このことから、テーパ角φ1の好ましい範囲は,以下の通りである。
A−0.2<φ1<A+0.2
但し、A=K1(1/Rwy+K2)θ・Tw/(nw−1)であり、上述した近似式に基づいている。また、A>0.2であり、φ1は正の値をとる。
さらに、歪曲量を概ね±1%にしたい場合は、φ1の値が最適値(0.16°)から±0.1°の範囲であればよいことが分かる。このことから、このことから、テーパ角φ1の好ましい範囲は,以下の通りである。
A−0.1<φ1<A+0.1 (但し、A>0.1であり、φ1は正の値をとる。)
以上のように、本実施形態によれば、ガラス板の厚みを下方に行くにしたがって大きくなるようにすると、撮影装置で取得される画像の歪曲が補正されることが分かった。
ところで、上記の説明では、ガラス板10の設置角度θが60°のとき、テーパ角φ1=0.16°とすることで歪曲が最小になることが確認されている。そこで、以下では、テーパ角φ1=0.16°のままで、設置角度θが60°以外のときに、通過領域の歪曲がどのように変化するかを検討する。
まず、補正を行わないウインドシールド(以下、非補正モデルと称する)、つまりテーパ角φ1=0°のウインドシールドについて、以下の条件で、図9のモデルを用いて歪曲を計算した。
・通過領域の中心におけるガラス板の厚さ:T=4.8mm
・ガラス板の平均屈折率:n=1.52
・設置角度(基準値):θ=60°
・ガラスのY方向の曲率半径:Rwy=1800mm(両面同じ)
・ターゲットとガラス板の距離:L=1500mm
・ガラス板と入射瞳の距離:D=0mm
・ターゲット上の評価点:図9(b)と同じ
・テーパ角:φ1=0°
また、水平方向の設置角度θxについても検討した。図11は、ウインドシールドを上方から見た断面図であり、ウインドシールドの水平(X)方向の曲率半径Rwxは、車内側及び車内側の両面ともに4800mmである。そして、カメラ光軸とガラス板表面の法線が水平(X)方向になす角をθxとする。θxの基準値は0°である。そして、非補正モデルについて、θおよびθxのうち片方を基準値から変動させた際の、各評価点の歪曲量を算出すると、図12に示す通りである。
一方、第1実施形態に係るウインドシールドについても、同様に検討した。すなわち、上記非補正モデルの条件とは、テーパ角φ1=0.16°とした以外は、同じ条件で歪曲量を算出した。結果は、図13に示す通りである。
図12(a)に示すように、非補正モデルでは、一部の評価点で概ね設置角度θが大きくなるほど、歪曲量が大きくなり、評価点ごとの歪曲量の差も大きい。特に、下方の評価点F点、I点では、設置角度θに関わらず、歪曲量が大きい。また、図12(b)に示すように、設置角度θxについても、評価点によっては、その変化とともに歪曲が変化している。特に、下方の評価点C点、F点、I点では、設置角度θxに関わらず、歪曲量が大きい。
これに対して、第1実施形態に係るウインドシールドでは、図13に示すとおり、垂直方向(Y)及び水平(X)方向がともに、設置角度θ、θxにかかわらず、歪曲量が小さい。このような歪曲量の絶対量のみならず、設置角度の誤差による変動をほとんどなくすことができるという効果は、上記のように構成されたウインドシールドの通過領域を光が通過する限り、設置角度に限られず、他のパラメターが変化したとしても、同様に得ることができると考えられる。したがって、本実施形態に係るウインドシールドでは、カメラ装置などをウインドシールドに取り付ける際の光軸合わせ作業を簡素化、もしくは省略することができ、コストダウンに貢献する。
<3.第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るウインドシールドについて、図14〜図17を参照しつつ説明する。第2実施形態は、第1実施形態と同様の構造を、ガラス板10に後述する第1補正部材を接着することで実現するものである。図14に示すように、本実施形態に係るウインドシールドは、ガラス板10と、このガラス板10の車内側の面130に対向配置される透明の第1補正部材40と、ガラス板10と第1補正部材40との間に充填され、第1補正部材40をガラス板10に固定する透明の第1接着剤43と、を備えている。これにより、第1補正部材40はガラス板10に一体的に固定されている。そして、撮影装置2に入射する光は、ガラス板10、第1接着剤43、及び第1補正部材40を通過する。すなわち、これらの部材が通過領域を構成する。
ガラス板10は、外面140の曲率と、内面130の曲率とが同じになっている。第1補正部材40は、ガラス板10と対向する第1面41と、車内側を向く第2面42とを備える板状に形成されており、第2面42は、縦断面の曲率がガラス板10の垂直方向の曲率と同じである凹面となっている。一方、第1面41の曲率は接着によってレンズ作用がほぼゼロとなるため任意の形状でよい。但し、製作の観点からすると、平面、あるいは第2面42と同じ曲率の面とすることかできる。なお、本実施形態における図14〜図17で示す第1補正部材40では、一例として、第1面41を平面としている。
第1補正部材40は、種々の透明の材料で形成できるが、例えば、アクリル板の型押しで形成することができる。また、第1補正部材40の厚さは、例えば、0.5〜3mmであることが好ましい。これは、0.5mmより小さくなると、強度が低下して変形しやすくなるからであり、3mmよりも大きいと、材料の不均一による像の悪化が問題になるからである。また、第1接着剤43は、透明の接着剤であり、ガラス板と第1補正部材とを固定できるのであれば、その材料は、特には限定されない。さらに、ガラス板10、第1接着剤43、及び第1補正部材40の屈折率は、例えば、1.45〜1.60の範囲であって、3つの部材の屈折率の差が小さいことが好ましい。これは、屈折率の差が小さいほど、境界面における反射が減少し、かつ界面におけるレンズ作用が小さくなるからである。
続いて、第1補正部材40による歪曲の補正効果について説明する。まず、ガラス板10の車外側の面140における、通過領域の中心近傍での垂直方向の曲率中心Pと、通過領域の中心Qとを結ぶ直線をGとし、第1補正部材40の第2面42における垂直方向の曲率中心をC0とする。ここで、図15に示すように、C0点が直線G上にある場合には、ガラス板10の車外側の面130の曲率と第1補正部材40の第2面42の曲率が同じであることから、通過領域の厚さが一定値となる。そのため、テーパの無いガラス板単体と同じく、撮影装置2で取得する撮影画像には歪曲が発生する。これに対して、直線Gと点C0とが、ガラス板10の車外側の面140における通過領域の中心Qを基点として所定の角度φ2でズレを生じるように、第1補正部材40の位置や形状を調整すると、第1実施形態と同様に、歪曲を補正する効果を得ることができる。例えば、図14に示すように、第1補正部材40の位置を垂直方向にずらすことで、上記角度φ2を形成することができる。その他、図16に示すように、第1補正部材40の第2面42を上下非対称(上端部と下端部とで厚みが異なるようにする)として曲率中心C0を位置をずらすことができる。あるいは、図17に示すように、ガラス板10と第1補正部材40との間にスペーサ44を配置することで、第1補正部材40を傾けて配置し、これによって角度φ2を形成することができる。ここで、ガラス板10と第1接着剤43と第1補正部材40を合わせた構造(通過領域)は「テーパ角φ2とした第1実施形態」と同等となるので、歪曲を補正するための好ましいφ2の範囲は、以下の通り、第1実施形態と同じ式で表すことができる。
A−0.2<φ2<A+0.2 (歪曲量を概ね±2%にしたい場合)
A−0.1<φ2<A+0.1 (歪曲量を概ね±1%にしたい場合)
但し、A=0.353(1/Rwy+0.000292)θ・Tw/(nw−1)である。また、Twは通過領域の中心におけるガラス板10と第1接着剤43と第1補正部材40を合わせた厚さであり、nwは厚さ方向についての各材料の割合を考慮したガラス板10と第1接着剤43と第1補正部材40の平均屈折率である。
以上のように、本実施形態によれば、第1補正部材40を用いることで、撮影装置2で取得される画像の歪曲を補正できることが分かった。
また、第1実施形態と同様に、設置角度ごとの歪曲量を算出した。条件として、非補正モデルのガラス板の車内側の表面に、以下の接着剤と補正部材を配置した。なお、記載のない条件は、上述した非補正モデルと同じである。
・第1接着剤43を含む第1補正部材40の厚さ:T=1.0mm
・第1接着剤43及び第1補正部材40の屈折率:n=1.49
・第1補正部材40の室内側表面の垂直(Y)方向の曲率半径:1800mm
・水平(X)方向の曲率半径:無限大
・テーパ角:φ2=0.21°
上記条件の下、第2実施形態に係るウインドシールドの設置角度θ、θxごとの歪曲量は図18に示すとおりである(垂直方向の設置角度(a)の歪曲量、水平方向の設置角度の歪曲量)。この実施形態においても、垂直方向(Y)及び水平(X)方向がともに、設置角度θ、θxにかかわらず、歪曲量が小さい。このような歪曲量の絶対量のみならず、設置角度の誤差による変動をほとんどなくすことができるという効果は、上記のように構成されたウインドシールドの通過領域を光が通過する限り、設置角度に限られず、他のパラメターが変化したとしても、同様に得ることができると考えられる。したがって、第1実施形態と同様に、作業を簡素化等の効果を得ることができる。
<4.第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係るウインドシールドについて、図19及び図20を参照しつつ説明する。図19に示すように、本実施形態に係るウインドシールドは、ガラス板10と、このガラス板10の車内側の面130に対向配置される透明の第2補正部材50と、を備えており、ガラス板10と第2補正部材50との間には、空気層が設けられている。ガラス板10は、第2実施形態と同じである。第2補正部材50は、変形することなく、ガラス板10の内面130に空気層が形成されるように固定されていればよく、例えば、第2補正部材50の上端及び下端を接着剤によりガラス板10に固定することができる。あるいは、図19に示すように、スペーサ53を介して固定することもできる。空気層の厚さは、例えば、2mm以下が好ましい。そして、撮影装置2に入射する光は、ガラス板10、空気層、及び第2補正部材50を通過する。すなわち、これらの部材が通過領域を構成する。
第2補正部材50は、ガラス板10と対向する第1面51と、車内側を向く第2面52とを備える板状に形成されており、第1面51、第2面52がともに平面であり、テーパ状に下方に行くにしたがって厚みが大きくなるように形成されている。
第2補正部材50は、種々の透明の材料で形成できるが、例えば、アクリル板の型押しで形成することができる。また、第2補正部材50の厚さは、例えば、0.5〜5mmであることが好ましい。これは、0.5mmより小さくなると、強度が低下して変形しやすくなるからであり、5mmよりも大きいと、材料の不均一による像の悪化が問題になるからである。
続いて、第1実施形態と同様に、モデルを作製し、シミュレーションを行った。モデルは、図19に示すとおりである。なお、ターゲットTは、図9(b)で示したものと同じである。計算の手順は、上述したとおりであるが、第2補正部材50の第2面52側にテーパ角φ3となるように厚みが変化するように設定した。そして、ターゲットT上の9個の評価点における歪曲量DSy,DSxの総和を求め、その総和が最小となるテーパ角φ3を決定した。なお、テーパ角φ3が正値の場合、第2補正部材50の厚みは、下方に行くにしたがって厚くなる。
そして、計算条件を下記のようにそれぞれ変えた場合について、求めた最適テーパ角φ3の値を表3(表3A〜表3Dに分けて表示)に示す。
・設置角度:θ=40、50、60、70(°)
・通過領域の中心におけるガラス板の厚さ:Tw=4.8(mm)
・ガラス板の平均屈折率:nw=1.52
・ガラス板の垂直(Y)方向曲率半径:Rwy=無限大,10000,6000,3000,2000,1500,1000,800,500(mm)
・通過領域の中心における第2補正部材50の厚さ:Tc=0.5,1.0,2.0,5.0(mm)
・第2補正部材50の屈折率:nc=1.49
また、撮影装置(カメラ)の入射瞳と第2補正部材50の第2面52における通過領域の中心との距離Dは、0mmとした。なお、ガラス板のX方向における曲率はもともと小さい値であり歪曲の発生も小さいことから、両面共にゼロ(曲率半径は無限大)とした。
続いて、表3において示すθ、Tw,nw,Rwyとφ3の関係から近似式を求めると、以下の通りである。
φ3’=K3+K4・Tc+K5(1/Rwy)+K6(θ−60)(1/Rwy−K7)Tc0.5 (K3,K4,K5,K6,K7は定数)
ここで、表2におけるΣ{(φ3’−φ32}の値が最小となる条件は、以下の通りである。
K3=0.0434
K4=0.0114
K5=239
K6=3.29
K7=0.0005
なお、表3には、上記定数K3〜K7を用いて計算したφ3’およびφ3’−φ3の値を併記している。近似式による誤差|φ3’−φ3|は最大でも0.090°である。
次に、第2補正部材50の屈折率ncの影響を調べるために、計算条件を下記のようにそれぞれ変えた場合について、求めた最適テーパ角φ3の値を表4(表4A、表4Bに分けて表示)に示す。
・設置角度:θ=40,60,70(°)
・ガラス板の厚さ:Tw=4.8(mm)
・ガラス板の平均屈折率:nw=1.52
・ガラス板のY方向曲率半径:Rwy=無限大,10000,6000,3000,2000,1500,1000,800,500(mm)
・第2補正部材の厚さ:Tc=1.0(mm)
・第2補正部材の屈折率:nc=1.40,1.49,1.60
続いて、表4において示すθ、Tc,nc,Rwyとφ3の関係から近似式を求めると、以下の通りである。
φ3’=0.0434+0.0114Tc+239(1/Rw)+3.29(θ−60)(1/Rwy−0.0005)Tc0.5−K8(nc−1.49)(1/Rwy)θ
(K8は定数)
ここで、表4におけるΣ{(φ3’−φ32}の値が最小となる条件は、以下の通りである。
K8=7.56
なお、表4には、上記定数K3〜K8を用いて計算したφ3’およびφ3’−φ3の値を併記している。近似式による誤差|φ3’−φ3|は最大でも0.094°である。
さらに、ガラス板10の厚さTwとガラス板の屈折率nwの影響を調べるために、計算条件を下記のようにそれぞれ変えた場合について、求めた最適テーパ角φ3の値を表5に示す。
・設置角度:θ=40,60,70(°)
・ガラス板の厚さ:Tw=3.0,4.8,6.0(mm)
・ガラス板の平均屈折率:nw=1.45,1.52,1.60
・ガラス板のY方向曲率半径:Rwy=無限大,10000,6000,3000,2000,1500,1000,800,500(mm)
・第2補正部材の厚さ:Tc=1.0(mm)
・第2補正部材の屈折率:nc=1.49
表5において、φ3の値は、ガラス板10の光学厚さTw・nwにほぼ比例している。よって、近似式はTw=4.8,nw=1.52の場合を基準として、以下の通りとなる。
φ3’={0.0434+0.0114Tc+239(1/Rw)+3.29(θ−60)(1/Rw−0.0005)Tc0.5−7.56(nc−1.49)(1/Rw)θ}(Tw・nw)/(4.8×1.52)
上記の近似式を用いて計算したφ3’およびφ3’−φ3の値は表5に併記している。
近似式による誤差|φ3’−φ3|は最大でも0.071°である。
また、φ3の好ましい範囲を検討すると、以下の通りである。例えば、θ=60、Tw=4.8、nw=1.52、Rwy=1800、Tc=1.0,nc=1.49とすると、φ3の値に対する各測定点(A〜I)の歪曲量(x方向及びy方向)は、図20に示すようになる。なお、いくつかの測定点(By,Ex,Eyなど)は、対称性から歪曲がゼロに近いので省略している。図20に示すように、各点の歪曲は、φ3=0.17°のあたりで最小(最適値)となっていることが分かる。また、歪曲量を一般的に良好な範囲とされる概ね±2%にしたい場合は、φ3の値が最適値(0.17°)から±0.2°の範囲であればよいことが分かる。このことから、テーパ角φ3の好ましい範囲は,以下の通りである。
B−0.2<φ3<B+0.2
但し、B={K3+K4・Tc+K5(1/Rw)+K6(θ−60)(1/Rw−K7)Tc0.5−K8(nc−1.49)(1/Rw)θ}(Tw・nw)/(4.8×1.52)であり、上述した近似式に基づいている。また、B>0.2であり、φ3は正の値をとる。
さらに、歪曲量を概ね±1%にしたい場合は、φ3の値が最適値(0.17°)から±0.1°の範囲であればよいことが分かる。このことから、このことから、テーパ角φ3の好ましい範囲は,以下の通りである。
B−0.1<φ3<B+0.1 (但し、B>0.1であり、φ3は正の値をとる。)
以上のように、本実施形態によれば、第2補正部材を用いることで、撮影装置で取得される画像の歪曲が補正されることが分かった。なお、第2補正部材50の両面は単純な平面であっても歪曲の補正作用は充分にあるが、わずかな球面もしくは非球面とすることによって、歪曲の補正をさらに向上させてもよい。
ところで、上記のような第2補正部材は、テーパの傾きが小さいため、加工が困難である。また、車種ごとにテーパ角の異なる補正部材を作製するのも煩雑である。そこで、以下のように第2補正部材を作製することができる。
図21は、正方形の第1板材(a)91と第2板材(b)92の正面図(a1,b1)、平面図(a2,b2)、及び右側面図(a3,b3)を示している。これらの板材は、ともに断面が楔形に形成されており、中心の厚みがt0,テーパ角がαとなっている。また、これらの板材は、同一の形状であるが、図21では、これらの板材を左右反対向きに配置した状態を示している。そして、図21(a2)及び図21(b2)には、各板材91,92の中心を0とした座標が示されているが、この座標にしたがうと、第1板材91の座標(r,θ)における厚さは、TA=t0+rtanα・cosθと表すことができ、第2板材92の座標(r,θ)における厚さは、TB=t0−rtanα・cosθと表すことができる。
これら第1板材及び第2板材をそのまま貼り合わせると、平行平板になるが、例えば、図22に示すように、第1板材を+β、第2板材を−βだけ回転して貼り合わせると、テーパ角φが次のような補正部材となる。
φ=tan-1(2sinβ・tanα)
上記のような板材により補正部材を作製すると、次のような効果を得ることができる。例えば、テーパを有する板状の補正部材を作製する場合、テーパ角の製作誤差が±0.05°であるとする。このとき、φ=0.15°の補正部材を作製すると、φ=0.15±0.05°のばらつきが発生する。これに対して、上記のようなテーパ角αが2±0.05°の第1板材91及び第2板材92(角度誤差±2.5%)を作製し、回転して貼り合わせて中心値をφ=0.15°にすると、角度誤差は2枚の誤差が最大限重なっても5%であるので、そのばらつきは、φ=0.15±0.0075°となる。すなわち、テーパ角φのばらつきは非常に小さくなる。したがって、上記のような2枚の板材91,92を組み合わせてテーパを有する補正部材を作製すると、精度誤差を非常に小さくすることができる。また、板材の回転角度を変更することで、種々のテーパ角を有する補正部材を作ることができるため、車種に応じた補正部材を準備する必要がない。
また、第1実施形態と同様に、設置角度ごとの歪曲量を算出した。条件として、非補正モデルのガラス板の車内側の表面に以下の補正部材を配置した。なお、記載のない条件は、上述した非補正モデルと同じである。
・ガラス板と第2補正部材と間隔:1.0mm
・第2補正部材の厚さ:Tc=1.0mm
・第2補正部材の屈折率:nc=1.49
・補正板のテーパ角:φ3=0.17°
上記条件の下、第3実施形態に係るウインドシールドの設置角度θ、θxごとの歪曲量は図23に示すとおりである(垂直方向の設置角度(a)の歪曲量、水平方向の設置角度の歪曲量)。この実施形態においても、垂直方向(Y)及び水平(X)方向がともに、設置角度θ、θxにかかわらず、歪曲量が小さい。このような歪曲量の絶対量のみならず、設置角度の誤差による変動をほとんどなくすことができるという効果は、上記のように構成されたウインドシールドの通過領域を光が通過する限り、設置角度に限られず、他のパラメターが変化したとしても、同様に得ることができると考えられる。したがって、第1実施形態と同様に、作業を簡素化等の効果を得ることができる。
<5.第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係るウインドシールドについて、図24及び図25を参照しつつ説明する。図24に示すように、本実施形態に係るウインドシールドは、ガラス板10と、このガラス板10の車内側の面130に対向配置される透明の第3補正部材60と、ガラス板10と第3補正部材60との間に充填され、第3補正部材60をガラス板10に固定する第2接着剤63と、を備えている。また、第3補正部材60をガラス板10に固定する際に、第3補正部材60をガラス板10に対して傾けるためのスペーサ64を備えている。そして、撮影装置2に入射する光は、ガラス板10、第2接着剤63、及び第3補正部材60を通過する。すなわち、これらの部材が通過領域を構成する。
第3補正部材60は、ガラス板10と対向する第1面61と、車内側を向く第2面62とを備える板状に形成されており、第1面61と第2面62とは平行平面となっている。ここで、第2面62は平面である。また、第3補正部材60の上端とガラス板10との間および下端とガラス板10の間には、厚みの異なるスペーサ64が配置されている。これにより、第3補正部材60とガラス板10との間の空間は、下方に行くにしたがって厚みが変化する楔形に形成されており、この空間に第2接着剤63が充填されている。そして、この第2接着剤63により、ガラス板10と第3補正部材60とが一体的に固定されている。ここで、第3補正部材60の第2面62とガラス板10の内面130とのなす角をテーパ角φ4とする。なお、上記のように2つに分離したスペーサを用いず、上下方向に延びる側部を有する枠型のスペーサを用いることもできる。
第3補正部材60は、種々の透明の材料で形成できるが、例えば、安価なフロートガラスをそのまま使用することができる。また、第3補正部材60の厚さは、例えば、0.5〜5mmであることが好ましい。これは、0.5mmより小さくなると、強度が低下して変形しやすくなるからであり、5mmよりも大きいと、材料の不均一による像の悪化が問題になるからである。さらに、ガラス板10、第2接着剤63、及び第3補正部材60の屈折率は、例えば、1.40〜1.60の範囲であって、これらの屈折率の差が小さいことが好ましい。これは、屈折率の差が小さいほど、境界面における反射が減少するからである。
続いて、第1実施形態と同様に、モデルを作製し、シミュレーションを行った。モデルは、図24に示すとおりである。ターゲットTは、図9(b)と同じである。計算の手順は、上述したとおりであるが、第3補正部材60の内面側にテーパ角φ4となるように厚みが変化するように設定した。そして、9つの評価点における歪曲量Dy,Dxの総和を求め、その総和が最小となるテーパ角φ4を決定した。なお、テーパ角φ4が正値の場合、第2接着剤63の厚みは、下方に行くにしたがって厚くなる。
そして、計算条件を下記のようにそれぞれ変えた場合について、求めた最適テーパ角φ4の値を表6(表6A〜表6Dに分けて表示)に示す。
・設置角度:θ=40、50、60、70(°)
・通過領域の中心におけるガラス板、第2接着剤、第3補正部材を合わせた厚さ:Tt=5,6,8,10(mm)
・通過領域の中心におけるガラス板、第2接着剤、第3補正部材を合わせた平均屈折率:nt=1.52
・ガラス板のY方向曲率半径:Rwy=無限大,10000,6000,3000,2000,1500,1000,800,500(mm)
また、撮影装置(カメラ)の入射瞳と第3補正部材60の第2面62における通過領域の中心との距離Dは、0mmとした。なお、ガラス板10のX方向における曲率はもともと小さい値であり歪曲の発生も小さいことから、両面共にゼロ(曲率半径は無限大)とした。
続いて、表6において示すθ、Tw,nw,Rwyとφ4の関係から近似式を求めると、以下の通りである。
φ4’=K9−K10・Tt(θ−K11)2/Rwy (K9,K10,K11は定数)
ここで、表6におけるΣ{(φ4’−φ42}の値が最小となる条件は、以下の通りである。
K9=0.075
K10=0.0668
K11=28.6
なお、表6には、上記定数K9〜K11を用いて計算したφ4’およびφ4’−φ4の値を併記している。近似式による誤差|φ4’−φ4|は最大でも0.072°である。
次に、ガラス板10、第2接着剤63、第3補正部材60を合わせた平均屈折率ntの影響を調べるために、計算条件を下記のようにそれぞれ変えた場合について、求めた最適テーパ角φ4の値を表7に示す。
・設置角度:θ=40,60,70(°)
・ガラス板、第2接着剤層、第3補正部材を合わせた平均屈折率:nt=1.40,1.52,1.60
・ガラス板、第2接着剤層、第3補正部材を合わせた厚さ:Tt=8(mm)
・ガラス板のY方向曲率半径:Rwy=無限大,10000,6000,3000,2000,1500,1000(mm)
続いて、表7において示すθ、Tt,nt,Rwyとφ4の関係から近似式を求めると、以下の通りである。
φ4’=0.075−0.0668Tt・(K12・nt)・(θ−28.6)2/Rwy (K12は定数)
ここで、表7におけるΣ{(φ4’−φ42}の値が最小となる条件は、以下の通りである。
K12=0.65
したがって、φ4’は以下のようになる。
φ4’=0.075−0.0434Tt・nt・(θ−28.6)2/Rwy
なお、表7には、上記K9〜K12を用いて計算したφ4’およびφ4’−φ4の値を併記している。近似式による誤差|φ4’−φ4|は最大でも0.071°である。
また、φ4の好ましい範囲を検討すると、以下の通りである。例えば、θ=60、Tt=8.0、nt=1.52、Rwy=1800とすると、φ4の値に対する各測定点(A〜I)の歪曲量(x方向及びy方向)は、図25に示すようになる。なお、いくつかの測定点(By,Ex,Eyなど)は、対称性から歪曲がゼロに近いので省略している。図25に示すように、各点の歪曲は、φ4=−0.19°のあたりで最小(最適値)となっていることが分かる。また、歪曲量を一般的に良好な範囲とされる概ね±2%にしたい場合は、φ3の値が最適値(−0.19°)から±0.18°の範囲であればよいことが分かる。このことから、テーパ角φ4の好ましい範囲は,以下の通りである。
C−0.18<φ4<C+0.18
但し、C=K9−K10・Tt(K12・nt)(θ−K11)2/Rwy
であり、上述した近似式に基づいている。
さらに、歪曲量を概ね±1%にしたい場合は、φ4の値が最適値(−0.19°)から±0.09°の範囲であればよいことが分かる。このことから、このことから、テーパ角φ4の好ましい範囲は,以下の通りである。
C−0.09<φ4<C+0.09
以上のように、本実施形態によれば、第3補正部材60を用いることで、撮影装置2で取得される画像の歪曲が補正されることが分かった。
なお、図24では、接着剤の断面を楔形にし、補正部材を平行平板にしているが、これを反対にすることもできる。すなわち、図26に示すように、補正部材を、下方に行くにしたがって厚みが変化するテーパ状に形成し、厚みが均一な接着剤を介して、ガラス板の内面側に配置することができる。接着剤の厚みは、高さが均一なスペーサを用いることで一定にすることができる。この場合、分離した2つのスペーサであっても、一体的なスペーサであっても、高さは均一である。なお、補正部材60の第2面62は平面である。
また、第1実施形態と同様に、設置角度ごとの歪曲量を算出した。条件として、非補正モデルのガラス板の車内側の表面に以下の接着剤と補正部材を配置した。なお、記載のない条件は、上述した非補正モデルと同じである。
・第2接着剤63を含む第3補正部材60の厚さ:T=1.2mm
・第2接着剤63及び第3補正部材60の屈折率:nt=1.52
・第3補正部材60の室内側表面:平面
・第3補正部材63のテーパ角:φ4=−0.14°
上記条件の下、第4実施形態に係るウインドシールドの設置角度θ、θxごとの歪曲量は図27に示すとおりである(垂直方向の設置角度(a)の歪曲量、水平方向の設置角度の歪曲量)。この実施形態においては、図27(a)に示すように、垂直方向の設置角度θについては、設置角度ごとの歪曲量の変化が大きい。したがって、歪曲量を概ね±1%にしたい場合には、設置角度は、θ=60°を中心に±3°程度にすることが好ましい。一方、図27(b)に示すように、垂直方向の設置角度θxについては、設置角度にかかわらず、歪曲量の絶対量と変動が小さい。このような歪曲量を低減できるという効果は、上記のように構成されたウインドシールドの通過領域を光が通過する限り、設置角度に限られず、他のパラメターが変化したとしても、同様に得ることができると考えられる。
<6.第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態に係るウインドシールドについて、図28を参照しつつ説明する。図28に示すように、本実施形態に係るウインドシールドのガラス板10には、貫通孔19が形成されており、この貫通孔19に板状の透明な第4補正部材70が嵌め込まれている。第4補正部材70は、撮影装置2に入射する光の通過領域となる。
貫通孔19は、矩形状、多角形状、円形状等、種々の形状にすることができるが、最大外径が、10〜30mmであることが好ましい。最大外径とは、貫通孔19の上下方向の長さ、及び水平方向の長さである。最大外径が10mmより小さいと、撮影装置2で必要な光が十分に入射されないおそれがあり、30mmより大きいと、外観を損なうおそれがある。
第4補正部材70は、車外側を向く第1面71と車内側を向く第2面72を備えている。いずれの面も平坦面とすることができるが、垂直方向に厚さが変わるテーパ状、もしくは平行平面とすることができる。第4補正部材70は、種々の透明の材料で形成できるが、例えば、アクリル板の型押しで形成することができる。ただし、車外に露出する第1面71には耐久性が必要なので、ガラス板とアクリル板を貼り合わせたものでもよく、この場合はガラス面を車外側とする。もちろん、ガラス材料をテーパ状としたものでもよい。第4補正部材70の厚さは、例えば、1〜6mmであることが好ましい。これは、1mmより小さくなると強度が低下し、5mmよりも大きいと、材料の不均一による像の悪化が問題になるからである。
続いて、第1実施形態と同様に、モデルを作製し、シミュレーションを行った。モデルは、図29に示すとおりである。計算の手順は、上述したとおりであるが、第4補正部材の内面側にテーパ角φ5となるように厚みが変化するように設定した。そして、9個の評価点における歪曲量DSy,DSxの総和を求め、その総和が最小となるテーパ角φ5決定した。なお、テーパ角φ5が正値の場合、補正部材の厚みは、下方に行くにしたがって厚くなる。
そして、計算条件を下記のようにそれぞれ変えた場合について、求めた最適テーパ角φ5の値を表8に示す。
・設置角度:θ=40、50、60、70(°)
・通過領域の中心における補正部材の厚さ:Tg=1.0、2.0、4.0、6.0(mm)
・第4補正部材の平均屈折率:ng=1.45、1.52、1.70
なお、撮影装置(カメラ)の入射瞳と第4補正部材70の第2面72における通過領域の中心との距離Dは、0mmとした。
続いて、表8において示すθ、Tg,ngとφ5の関係から近似式を求めると、以下の通りである。
φ5’=(K13・θ2−K14・θ+K15)Tg・ng/(ng−1) (K13,K14,K15は定数)
ここで、表8におけるΣ{(φ5’−φ52}の値が最小となる条件は、以下の通りである。
K13=1.549X10-6
K14=3.377X10-4
K15=1.666X10-2
なお、表8には、上記定数K13〜K15を用いて計算したφ5’およびφ5’−φ5の値を併記している。近似式による誤差|φ5’−φ5|は最大でも0.0026°である。
また、φ5の好ましい範囲を検討すると、以下の通りである。例えば、θ=60、Tg=4.0、nt=1.52とすると、φ5の値に対する各測定点(A〜I)の歪曲量(x方向及びy方向)は、図30に示すようになる。なお、いくつかの測定点(By,Ex,Eyなど)は、対称性から歪曲がゼロに近いので省略している。図30に示すように、各点の歪曲は、φ5=0.02°のあたりで最小(最適値)となっていることが分かる。また、歪曲量を良好な範囲とされる概ね±1%にしたい場合は、φ5の値が最適値(0.02°)から±0.08°の範囲であればよいことが分かる。このことから、テーパ角φ5の好ましい範囲は,以下の通りである。
D−0.08<φ5<D+0.08
但し、D=(K13・θ2−K14・θ+K15)Tg・ng/(ng−1)であり、上述した近似式に基づいている。
以上のように、本実施形態によれば、第4補正部材70を用いることで、撮影装置2で取得される画像の歪曲が補正されることが分かった。なお、上記の式で表わされる好ましいテーパ角φ5の範囲には、φ5<0.15である(表8におけるφ5の最大値0.1063より決定)。したがって、本発明において第4補正部材の第1面と第2面とが略平行であるとは、φ5<0.15であることを意味する。また、φ5=0、すなわち平行平面形状も含まれている。したがって、たとえば安価な材料であるフロートガラス板にテーパ加工をせずそのまま第4補正部材70として用いても、歪曲補正の効果は充分に得ることができる。
なお、本実施形態の第4補正部材70としては、第1実施形態による両面の曲率とテーパ角を有する形状から、通過部分およびその近傍部分を抜き出したものを、補正部材として用いても良い。曲率、厚さ、屈折率などの具体的な条件は第1実施形態と同じである。このようにすると、車外から眺めた場合に第4補正部材70とその周辺のガラス板10の曲率が近いものとなるので、反射光の見栄えが良くなるという利点がある。
また、第1実施形態と同様に、設置角度ごとの歪曲量を算出した。条件として、非補正モデルのガラス板を、以下の第4補正部材に置き換えた。なお、記載のない条件は、上述した非補正モデルと同じである。
・第4補正部材70(平行平面板:φ5=0)の厚さ:Tg=4.0mm
・第4補正部材70の屈折率:ng=1.52
上記条件の下、第5実施形態に係るウインドシールドの設置角度θ、θxごとの歪曲量は図31に示すとおりである(垂直方向の設置角度(a)の歪曲量、水平方向の設置角度の歪曲量)。この実施形態においても、垂直方向(Y)及び水平(X)方向がともに、設置角度θ、θxにかかわらず、歪曲量が小さい。このような歪曲量の絶対量のみならず、設置角度の誤差による変動をほとんどなくすことができるという効果は、上記のように構成されたウインドシールドの通過領域を光が通過する限り、設置角度に限られず、他のパラメターが変化したとしても、同様に得ることができると考えられる。したがって、第1実施形態と同様に、作業を簡素化等の効果を得ることができる。
<6.第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態に係るウインドシールドについて、図32を参照しつつ説明する。図32に示すように、本実施形態に係るウインドシールドのガラス板10は、合わせガラスにより構成されている。この合わせガラスは、上述したように、外側ガラス板11、内側ガラス板12、及びこれらに挟持される中間膜13を備えている。そして、内側ガラス板12及び中間膜13には、これらを貫通する貫通孔18が形成されており、この貫通孔18が、撮影装置2に入射する光の通過領域となる。すなわち、このウインドシールドにおける光の通過領域は、外側ガラス板11のみで構成されており、撮影装置2に入射する光は、外側ガラス板11のみを通過する。
貫通孔18は、矩形状、多角形状、円形状等、種々の形状にすることができるが、最大外径が、10〜30mmであることが好ましい。最大外径とは、貫通孔18の上下方向の長さ、及び水平方向の長さである。最大外径が10mmより小さいと、撮影装置2で必要な光が十分に入射されないおそれがあり、30mmより大きいと、外観を損なうおそれがある。
このような貫通孔18を形成すると、次の効果を得ることができる。すなわち、本実施形態においては、光の通過領域が外側ガラス板11のみによって構成されており、通過領域の厚みが小さい。一般的に、ウインドシールドによる像の歪曲や二重像のずれは、通過領域の厚さに比例するため、本実施形態のように通過領域の厚さを小さくすると、像の歪曲や二重像のずれを補正することができる。
また、第1実施形態と同様に、設置角度ごとの歪曲量を算出した。条件として、非補正モデルにおいて、ガラス板の厚みを下記のようにした。なお、記載のない条件は、上述した非補正モデルと同じである。
・ガラス板の厚み:2.2mm
(通過領域における外側ガラス板の厚み:2.2mmを再現した)
上記条件の下、第6実施形態に係るウインドシールドの設置角度θ、θxごとの歪曲量は図33に示すとおりである(垂直方向の設置角度(a)の歪曲量、水平方向の設置角度の歪曲量)。図12に示す非補正モデルの結果と比較すると、ガラス板の厚みの比率(非補正モデル4.8mm:第6実施形態2.2mm)とほぼ比例して、第6実施形態に係るウインドシールドでの歪曲量が小さくなっている。そして、歪曲量は、図33に示す設置角度θ、θx内で、概ね1%以内に収まっている。このように歪曲量の絶対量と設置角度の誤差による変動を低減できるという効果は、上記のように構成されたウインドシールドの通過領域を光が通過する限り、設置角度に限られず、他のパラメターが変化したとしても、同様に得ることができると考えられる。
<7.第7実施形態>
次に、本発明の第7実施形態に係るウインドシールドについて、図34を参照しつ説明する。第6実施形態では外側ガラス板11のみを残すのに対して、第7実施形態は外側ガラス板11と共に内側ガラス板12を残し、中間膜13に部分的な貫通孔を設けるものである。すなわち、このウインドシールドにおける光の通過領域は、外側ガラス板11と内側ガラス板12で構成されており、撮影装置2に入射する光は、外側ガラス板11と内側ガラス板12を通過し、中間膜を通過しない。好ましい貫通孔の形状は、第6実施形態と同じである。
このような貫通孔を形成すると、次の効果を得ることができる。すなわち、本実施形態においては、通過領域の厚みのうち、中間膜部分が空気層に置き換わっている。一般的に、ウインドシールドによる像の歪曲や二重像のずれは、通過領域の厚さに比例するが、本実施形態では実質的な厚さが外側ガラス板と内側ガラス板の厚さを合わせたものとなり、中間膜の厚さ分だけ薄くなるため、像の歪曲や二重像のずれを補正することができる。
本実施形態による通過領域の実質的厚さは第6実施形態によるものよりも厚くなることから、像の歪曲や二重像のズレを補正する効果は第6実施例よりも劣っている。しかしながら、中間膜の一部を除去するという簡便な手段によって、低コストで実現できる、という利点がある。
また、第1実施形態と同様に、設置角度ごとの歪曲量を算出した。条件として、非補正モデルのガラス板を、同じ曲率半径を有する以下のガラス板に置き換えた。なお、記載のない条件は、上述した非補正モデルと同じである。
・通過領域における外側ガラス板の厚み:2.2mm
・通過領域における内側ガラス板の厚み:2.2mm
・通過領域における空気層の厚さ:1.0mm
・各ガラス板の屈折率は、いずれも1.52である。
上記条件の下、第7実施形態に係るウインドシールドの設置角度θ、θxごとの歪曲量は図35に示すとおりである(垂直方向の設置角度(a)の歪曲量、水平方向の設置角度の歪曲量)。図12に示す非補正モデルの結果と比較すると、ガラス板の厚みの比率(非補正モデル4.8mm:第7実施形態3.8mm)とほぼ比例して、第7実施形態に係るウインドシールドでの歪曲量が小さくなっている。このように歪曲量の絶対量と設置角度の誤差による変動を低減できるという効果は、上記のように構成されたウインドシールドの通過領域を光が通過する限り、設置角度に限られず、他のパラメターが変化したとしても、同様に得ることができると考えられる。
<9.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。なお、以下の変形例は適宜組み合わせることができる。
また、第2、第3、第4実施形態におけるガラス板10には、通過領域にテーパが形成されていない。しかしながら、実際に使われるウインドシールドではその形状や製造工程の誤差により、一定の方向と大きさのテーパが生じていることがある。また、ヘッドアップディスプレイ装置における二重像防止のためにウインドシールドの該当部分にテーパを設けると、その影響で通過部分にもテーパが生じることもある。このような場合は、第2、第3、第4実施形態におけるφ2値、φ3値、φ4値を増減して調整することが好ましい。
さらに、ガラス板に相当する自動車のウインドシールドは、水平方向(X方向)にも設置角度および曲率を有していることが多い。水平方向の設置角度や曲率は垂直方向(Y方向)の設置角度や曲率よりも小さいことから歪曲の発生量も少ないため、本発明の実施形態では水平方向の補正は無視されている。しかしながら、たとえば「テーパの方向を垂直方向からわずかに傾ける」「補正部材の表面に、わずかな水平方向の曲率を付加する」といった手段によって、水平方向の歪曲を補正することも可能である。
第1実施形態においては、テーパ状に厚さが変化する、透明で柔軟なフィルムを貼り付けることができる。たとえば、厚さが一定のガラス板の通過部分にテーパ状のフィルムを貼り付けることで、部分的にテーパ形状とすることができる。柔軟なフィルムはガラス板の表面の形状になじむため、曲率を変えることなくテーパのみ付与することができる。フィルムの厚さは、0.01mm以上、2mm以下であることが好ましい。厚さが0.01mm以下になるとテーパ状形状とすることが困難となる。また、2mm以上になると材料の不均一による像の乱れが起こりやすくなる。フィルムの材質としては、ガラス板との屈折率差が0.1以下の樹脂材料が好ましい。屈折率差が0.1を超えると、境界面での反射が大きくなって像のコントラストが悪化する。
第3、第4、第5実施形態において用いられる「テーパを有する平面板」は、「テーパ状のフィルムを貼り付けた平行平面板」に置き換えることができる。フィルムは低コストでの量産が可能なので、作りやすい平行平面板と組み合わせることで全体のコストを下げることができる。フィルムは平面に貼り付けるので柔軟性は不必要であるが、厚さは、0.01mm以上、2mm以下であることが好ましい。厚さが0.01mm以下になるとテーパ状形状とすることが困難となる。また、2mm以上になると材料の不均一による像の乱れが起こりやすくなる。フィルムの材質としては、貼付する平面板との屈折率差が0.1以下の樹脂材料が好ましい。屈折率差が0.1を超えると、境界面での反射が大きくなって像のコントラストが悪化する。
上記第5実施形態では、図28に示すように、ガラス板10に形成した貫通孔19に板状の透明な第4補正部材70が嵌め込まれている。ここで、第5実施形態と同様の効果は、図36に示すように、ガラス板10の車外側表面および車内側表面を研削あるいは研磨によって加工し、ガラス板内に、第4補正部材と同じ形状の部分(通過領域)701を形成することでも実現できる。このようにすることで、第5実施形態と比べ、貫通孔の加工を省略することができるという利点がある。特に、ガラス板10の車外側の面と車内側の面とが平行になるように研磨等を行うと、平行平板を用いるのと同じ効果を売ることができる。
本発明においては、撮影装置として、ステレオカメラを用いることができる。ステレオカメラは、公知のものを用いることができるが、具体例として、以下、図37及び図38を参照しつつ説明する。
図37及び図38に示すように、ステレオカメラは、ガラス板の内側に配置され、視差の生じた2枚の画像を同時に取得可能なように、互いに離間した2つの撮影装置210A、210Bを有している。これに対応して、センターマスク層22には、車内に配置された各撮影装置210A、210Bが車外の状況を撮影可能なように、当該各撮影装置210A、210Bに対応する2つの撮影窓113A、113Bが形成されている。これら2つの撮影窓113A、113Bは、ルームミラーの支持部近傍に、ルームミラーを対象軸として左右対称に配置される。また、ガラス板の内面において、撮影窓113A、113Bに対応する位置には、上述した防曇膜が設けられている。
また、ステレオカメラ20は画像処理装置30に接続されており、ステレオカメラ20により取得した複数の画像によって被写体と自車との距離等を解析可能な車載システムを構成している。以下、各構成要素について説明する。
ステレオカメラ20の各撮影装置210A、210Bは、公知のものを用いることができ、例えば、複数のレンズ及び開口絞りを有するレンズ系と、レンズ系を通過した光によって撮像するCCD等のイメージセンサと、を備えることができる。イメージセンサにより、レンズ系を通過した光を受光平面で結像することで、被写体の撮像を行う。ステレオカメラ20は、このような各撮影装置210A、210Bにより、視差の生じた複数の画像を同時に取得することができる。
画像処理装置30は、ステレオカメラ20により取得された複数の画像を解析し、被写体と自車との距離、被写体の移動速度、被写体の種別等を解析する装置であり、公知のものを用いることができる。このような画像処理装置は、ハードウェア構成として、バスで接続される、記憶部、制御部、入出力部等の一般的なハードウェアを有している。
上記のようなステレオカメラ20では、2つの撮影装置210A、210Bを用いるため、2つの撮影窓113A、113Bの一方にでも曇りが生じると、正しい画像解析を行うことができない可能性がある。したがって、撮影窓113A、113Bに上述したような防曇膜を形成すると非常に有利である。
10 ガラス板
40 第1補正部材
43 第1接着剤
50 第2補正部材
60 第3補正部材
63 第2接着剤
70 第4補正部材

Claims (9)

  1. 撮影装置を配置可能な車両に用いられるウインドシールドであって、
    湾曲したガラス板と、
    前記ガラス板の一部を通過して、前記撮影装置へ入射する光の通過領域と、
    を備え、
    前記撮影装置は、前記通過領域を通過して入射する光により形成される像を取得し、
    前記通過領域は、前記撮影装置により取得される像の歪曲が低減されるように構成されている、ウインドシールド。
  2. 前記通過領域は、前記ガラス板により構成されており、
    前記通過領域は、前記撮像装置から離れる方向にいくにしたがってテーパ状に厚みが増大するように形成されている、請求項1に記載のウインドシールド。
  3. 前記ガラス板の車内側の面と対向するように配置された板状で透明の第1補正部材と、
    前記ガラス板と前記第1補正部材との間の隙間に充填され、前記第1補正部材を前記ガラス板に固定する第1接着剤と、
    をさらに備え、
    前記ガラス板、前記第1接着剤、及び第1補正部材に亘って、前記通過領域が形成されており、
    前記第1補正部材は、前記ガラス板と対向する第1面と、車内側を向く第2面とを備え、
    前記第2面は、縦断面の曲率半径が一定の円弧状に形成された凹面を備えており、
    前記通過領域における前記ガラス板の車外側の面の中心と、当該面の曲率中心とを結ぶ線上に、前記第1補正部材の第2面の曲率中心が存在しないように構成されている、請求項1に記載のウインドシールド。
  4. 前記ガラス板の車内側の面と、空気層を介して対向するように配置された板状で透明の第2補正部材をさらに備え、
    前記ガラス板及び第2補正部材に亘って、前記通過領域が形成されており、
    前記第2補正部材は、前記ガラス板と対向する第1面と、車内側を向く第2面とを備え、
    前記第2補正部材は、少なくとも前記通過領域において、前記撮像装置から離れる方向に行くにしたがって、テーパ状に厚みが増大するように形成されている、請求項1に記載のウインドシールド。
  5. 前記ガラス板の車内側の面と、対向するように配置された板状で透明の第3補正部材と、
    前記ガラス板と前記第3補正部材との間の隙間に充填され、前記第3補正部材を前記ガラス板に固定する第2接着剤と、
    をさらに備え、
    前記ガラス板、第2接着剤、及び第3補正部材に亘って、前記撮影装置に入射する光の通過領域が形成されており、
    前記第3補正部材は、前記ガラス板と対向する第1面と、車内側を向く第2面とを備え、
    前記第3補正部材の第2面が平面である、請求項1に記載のウインドシールド。
  6. 前記第3補正部材において、前記第1面と第2面とは平行に形成され
    ている、請求項5に記載のウインドシールド。
  7. 前記ガラス板に貫通孔が形成されており、
    前記ガラス板の貫通孔に配置される板状で透明の第4補正部材をさらに備え、
    前記第4補正部材により、前記通過領域が形成されており、
    前記第4補正部材は、前記ガラス板と対向する第1面と、車内側を向く第2面とを備え、
    前記第4補正部材の第1面と第2面が略平行である、請求項1に記載のウインドシールド。
  8. 前記ガラス板は合わせガラスによって構成され、
    前記合わせガラスは、外側ガラス板と、当該外側ガラス板と対向配置された内側ガラス板と、前記外側ガラス板及び内側ガラス板に挟持される中間膜と、を備えており、
    前記内側ガラス板及び中間膜には、前記撮影装置に入射する光が通過する前記通過領域においてそれぞれ貫通孔が形成されており、
    前記通過領域は、前記外側ガラス板により構成されている、請求項1に記載のウインドシールド。
  9. 前記撮影装置は、視差の生じた複数の画像を取得するために互いに離間した複数の撮影装置を有するステレオカメラである、請求項1から8のいずれかに記載のウインドシールド。
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