JP2021147019A - ウインドシールド、及びその製造方法 - Google Patents

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哲 神吉
啓文 堀田
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啓文 堀田
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Abstract

【課題】楔形のガラス板の端面の研磨を、見栄えよく容易に行うことができる、ウインドシールド及びその製造方法を提供する。【解決手段】本発明に係るウインドシールドは、第1面及び第2面を有する第1ガラス板と、第1面及び第2面を有し、当該第1面と前記第1ガラス板の第1面とが対向するように配置される、第2ガラス板と、第1面及び第2面を有し、前記第1ガラス板と第2ガラス板との間に挟持される中間膜と、を備え、前記第1ガラス板及び前記第2ガラス板は、それぞれ、第1端部及び当該第1端部と対向する第2端部を有し、前記中間膜は、第1端部及び当該第1端部と対向する第2端部を有し、前記第1ガラス板は、前記第1端部から第2端部に向かって厚みが薄くなるように断面が楔形に形成され、楔形に形成された前記ガラス板の第1端部の断面形状が、当該第1端部の厚み方向の中心に対して対称形であり、当該ガラス板の第2端部の断面形状が、当該第2端部の厚み方向の中心に対して非対称形である。【選択図】図2

Description

本発明は、ウインドシールド、及びその製造方法に関する。
ヘッドアップディスプレイ装置が用いられるウインドシールドは、二重像を防止するために、楔形に形成されているのが一般的である。このように、ウインドシールドを楔形にするためには種々の方法があるが、例えば、特許文献1には、中間膜と内側ガラス板の厚みを一定にし、外側ガラス板を楔形に形成したウインドシールドが開示されている。
特開2017−105665号公報
ところで、上記のような楔形のガラス板は、端面の厚みが一定でないため、端面を研磨するには、見栄えも考慮すると容易ではなかった。本発明は、この問題を解決するためになされたものであり、楔形のガラス板の端面の研磨を、見栄えよく簡易に行うことができる、ウインドシールド及びその製造方法を提供することを目的とする。
項1.第1面及び第2面を有する第1ガラス板と、
第1面及び第2面を有し、当該第1面と前記第1ガラス板の第1面とが対向するように配置される、第2ガラス板と、
第1面及び第2面を有し、前記第1ガラス板と第2ガラス板との間に挟持される中間膜と、
を備え、
前記第1ガラス板及び前記第2ガラス板は、それぞれ、第1端部及び当該第1端部と対向する第2端部を有し、
前記中間膜は、第1端部及び当該第1端部と対向する第2端部を有し、
前記第1ガラス板は、前記第1端部から第2端部に向かって厚みが薄くなるように断面が楔形に形成され、
楔形に形成された前記ガラス板の第1端部の断面形状が、当該第1端部の厚み方向の中心に対して対称形であり、当該ガラス板の第2端部の断面形状が、当該第2端部の厚み方向の中心に対して非対称形である、ウインドシールド。
項2.楔形に形成された前記ガラス板の第2端部の断面において、円弧状に形成された円弧部を含み、
前記円弧部の中点は、前記第2端部の厚み方向の中心からずれている、項1に記載の、ウインドシールド。
項3.楔形に形成された前記ガラス板の第2端部の断面において、前記円弧部と前記第1面との間、及び前記円弧部と前記第2面との間の一方に面取り部が形成されている、項2に記載のウインドシールド。
項4.楔形に形成された前記ガラス板の第2端部の断面において、前記円弧部と前記第1面との間に第1面取り部が形成され、前記円弧部と前記第2面との間に第2面取り部が形成されている、項2に記載のウインドシールド。
項5.楔形に形成された前記ガラス板の第2端部の断面において、前記第1面取り部と前記第2面取り部の長さが相違している、項4に記載のウインドシールド。
項6.前記第1面取り部と前記第1面とのなす角が、前記第2面取り部と前記第2面とのなす角と相違している、項5に記載のウインドシールド。
項7.楔形に形成された前記ガラス板の第2端部の断面において、前記円弧部の中点が、前記第2面よりも前記第1面側に位置している、項2から6のいずれかに記載のウインドシールド。
項8.前記第1ガラス板及び前記第2ガラス板の両方が楔形に形成されている、項7に記載のウインドシールド。
項9.前記第1ガラス板及び前記第2ガラス板の一方が楔形に形成され、他方が平板状に形成されている、項7に記載のウインドシールド。
項10.前記第1ガラス板及び前記第2ガラス板は、フロート法により製造され、それぞれ、前記第1面及び前記第2面における酸化スズの濃度が相違しており、
前記第1ガラス板及び第2ガラス板は、前記酸化スズの濃度の高い面同士、または前記酸化スズ濃度の低い面同士が、互いに対向するように配置されている、項1から9のいずれかに記載のウインドシールド。
項11.前記第1ガラス板及び第2ガラス板は、前記酸化スズの濃度の高い面同士が互いに対向するように配置されている、項10に記載のウインドシールド。
項12.前記第1ガラス板及び第2ガラス板は、前記酸化スズの濃度の低い面同士が互いに対向するように配置されており、
前記第2ガラス板の前記第2面に、遮蔽層及びアンテナの少なくとも一方が積層されている、項10に記載のウインドシールド。
項13.前記第1ガラス板には筋目が形成され、
前記第2ガラス板には、前記第1ガラス板の筋目と略直交する筋目が形成されている、項1から12のいずれかに記載のウインドシールド。
項14.前記第1ガラス板には筋目が形成され、
前記第2ガラス板には、前記第1ガラス板の筋目と略平行な筋目が形成されている、項1から12のいずれかに記載のウインドシールド。
項15.第1面及び第2面を有するとともに、第1端部及び当該第1端部と対向する第2端部を有し、前記第1端部から第2端部に向かって厚みが薄くなるように形成された第1ガラス板を準備するステップと、
第1面及び第2面を有する第2ガラス板を準備するステップと、
軸周りに回転可能に支持された円筒状の砥石であって、外周面の前記軸方向の断面形状が、径方向内方に凸の円弧状に形成された砥石を準備するステップと、
前記第1ガラス板において、前記第1面と第2面とを連結し、前記第1端部及び第2端部を含む端面を研磨するステップであって、前記第1端部を研磨するときは、前記第1端部の端面と前記砥石の回転軸とが平行になるように前記砥石が配置され、前記第2端部を研磨するときは、前記第2端部の端面と前記砥石の回転軸とが平行とならないように前記砥石が配置される、ステップと、
を備えている、ウインドシールドの製造方法。
本発明によれば、楔形のガラス板の端面の研磨を、見栄えよく簡易に行うことができる。
本発明に係るウインドシールドの一実施形態を示す正面図である。 図1のA−A線断面図である。 フロートガラス板の製造方法の一例を説明する図である。 ガラス板の切り出し方法を説明する断面図である。 フロートガラス板の断面図である。 図1のウインドシールドの断面図である。 図1のウインドシールドの筋目を説明する正面図である。 砥石の断面図である。 砥石を外側ガラス板の上辺の端面に近接させている状態を示す断面図である。 砥石により外側ガラス板の上辺の端面を研磨している状態を示す断面図である。 砥石により研磨された外側ガラス板の上辺の端面の断面図である。 砥石を外側ガラス板の下辺の端面に近接させている状態を示す断面図である。 砥石により外側ガラス板の下辺の端面を研磨している状態を示す断面図である。 砥石により研磨された外側ガラス板の下辺の端面の断面図である。 中間膜の延伸処理を示す平面図である。 中間膜の延伸処理を示す断面図である。 ガラス板の成形型の平面図である。 図11の成形型が通過する炉の側面図である。 ヘッドアップディスプレイ装置の概略図である。 楔角が異なるウインドシールドの例を示す断面図である。
<1.ウインドシールドの概要>
以下、本発明に係る自動車のウインドシールドの一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係るウインドシールドは、ヘッドアップディスプレイ装置により、照射される光が投影され、情報を表示するために用いられるものである。
図1は、本実施形態に係るウインドシールドの正面図、図2は図1のA−A線断面図である。図1及び図2に示すように、本実施形態に係るウインドシールドは、自動車に取り付けられたときに、車外側を向く外側ガラス板(第1ガラス板)1と、車内側を向く内側ガラス板2(第2ガラス板)と、これらガラス板1,2の間に配置される中間膜3と、を備えており、全体として断面が楔形(楔角αX)に形成されている。そして、このウインドシールドには遮蔽層4が積層されている。なお、本実施形態の各図面では、説明の便宜のため、実際よりも誇張した楔角を示している。以下、各部材について説明する。
<2.外側ガラス板及び内側ガラス板>
まず、外側ガラス板1及び内側ガラス板2から説明する。外側ガラス板1及び内側ガラス板2は、公知のガラス板を用いることができ、熱線吸収ガラス、一般的なクリアガラスやグリーンガラス、またはUVグリーンガラスで形成することもできる。但し、これらのガラス板1、2は、自動車が使用される国の安全規格に沿った可視光線透過率を実現する必要がある。例えば、外側ガラス板1により必要な日射吸収率を確保し、内側ガラス板2により可視光線透過率が安全規格を満たすように調整することができる。以下に、クリアガラス、熱線吸収ガラス、及びソーダ石灰系ガラスの一例を示す。
(クリアガラス)
SiO2:70〜73質量%
Al23:0.6〜2.4質量%
CaO:7〜12質量%
MgO:1.0〜4.5質量%
2O:13〜15質量%(Rはアルカリ金属)
Fe23に換算した全酸化鉄(T−Fe23):0.08〜0.14質量%
(熱線吸収ガラス)
熱線吸収ガラスの組成は、例えば、クリアガラスの組成を基準として、Fe23に換算した全酸化鉄(T−Fe23)の比率を0.4〜1.3質量%とし、CeO2の比率を0〜2質量%とし、TiO2の比率を0〜0.5質量%とし、ガラスの骨格成分(主に、SiO2やAl23)をT−Fe23、CeO2およびTiO2の増加分だけ減じた組成とすることができる。
(ソーダ石灰系ガラス)
SiO2:65〜80質量%
Al23:0〜5質量%
CaO:5〜15質量%
MgO:2質量%以上
NaO:10〜18質量%
2O:0〜5質量%
MgO+CaO:5〜15質量%
Na2O+K2O:10〜20質量%
SO3:0.05〜0.3質量%
23:0〜5質量%
Fe23に換算した全酸化鉄(T−Fe23):0.02〜0.03質量%
外側ガラス板1は、台形状に形成され、上辺(短辺)11、上辺11よりも長い下辺(長辺)12、右側辺13、及び左側辺14を有しており、自動車に取り付けられたときに、上辺11が上側に配置され、右側辺及び13左側辺14は、それぞれ、車内側から見たときに、右側及び左側にそれぞれ配置される。また、外側ガラス板は車外側を向く第1面101及び車内側を向く第2面102を有しており、これら第1面及び第2面を連結する端面を有している。また、外側ガラス板1は、上辺11から下辺12にいくにしたがって、厚みが小さくなるような楔形に形成されている。楔形を形成するための第1面101と第2面102とのなす楔角α1は、特には限定されないが、例えば、0.1〜0.7mradとすることができ、さらには0.15〜0.45mradとすることができる。
内側ガラス板2も、同様に、台形状に形成され、上辺21、下辺22、右側辺23、及び左側辺24を有している。また、内側ガラス板も車外側を向く第1面201及び車内側を向く第2面202を有しており、これら第1面201及び第2面202を連結する端面を有している。図2の例では、内側ガラス板2は、外側ガラス板1とは異なり、厚みが一定の平板により形成されている。但し、内側ガラス板2も外側ガラス板1と同様に楔形に形成することができる。この場合、内側ガラス板2の楔角は、外側ガラス板1と同様にすることができる。なお、内側ガラス板2を楔形にする場合、例えば、外側ガラス板1の楔角を内側ガラス板2の楔角よりも大きくすることができる。この場合、外側ガラス板1の楔角と内側ガラス板2の楔角との差は、例えば、0.35〜0.45mrad、あるいは0.75〜0.85mradとすることができる。
そして、外側ガラス板1の第2面102と、内側ガラス板2の第1面201との間に上述した中間膜3が配置されている。
本実施形態に係るウインドシールドの厚みは特には限定されないが、軽量化の観点からは、外側ガラス板1と内側ガラス板2の厚みの合計を、2.4〜5.0mmとすることが好ましく、2.6〜4.6mmとすることがさらに好ましく、2.7〜3.2mmとすることが特に好ましい。このように、軽量化のためには、外側ガラス板1と内側ガラス板2との合計の厚みを小さくすることが必要であるので、各ガラス板1,2のそれぞれの厚みは、特には限定されないが、例えば、以下のように、外側ガラス板1と内側ガラス板2の厚みを決定することができる。なお、ガラス板1,2の厚みは、断面が楔形に形成されている場合は、最も薄い部分の厚みとし、マイクロメータで測定することができる。
外側ガラス板1は、主として、外部からの障害に対する耐久性、耐衝撃性が必要であり、小石などの飛来物に対する耐衝撃性能が必要である。他方、厚みが大きいほど重量が増し好ましくない。この観点から、外側ガラス板1の厚みは、1.8〜2.3mmとすることが好ましく、1.9〜2.1mmとすることがさらに好ましい。何れの厚みを採用するかは、ガラスの用途に応じて決定することができる。但し、上辺11が下辺12よりも厚いため、例えば、上辺11の厚みを2.5〜5.0mm,下辺12の厚みを2.6〜6.7mmとし、上辺11と下辺12との厚みの差を0.1〜1.7mmとすることができる。
内側ガラス板2の厚みは、外側ガラス板1と同等にすることができるが、例えば、ウインドシールドの軽量化のため、外側ガラス板1よりも厚みを小さくすることができる。具体的には、ガラスの強度を考慮すると、0.1〜2.3mmであることが好ましく、0.8〜2.0mmであることが好ましく、1.0〜1.4mmであることが特に好ましい。更には、0.8〜1.3mmであることが好ましい。内側ガラス板2についても、何れの厚みを採用するかは、ガラスの用途に応じて決定することができる。
また、本実施形態に係る外側ガラス板1及び内側ガラス板2の形状は、湾曲形状である。ウインドシールドが湾曲形状である場合には、ダブリ量が大きくなると遮音性能が低下するとされている。ダブリ量とは、ウインドシールドの曲げを示す量であり、例えば、ウインドシールドの上辺の中央と下辺の中央とを結ぶ直線を設定したとき、この直線とウインドシールドとの距離のうち最も大きいものをダブリ量と定義する。
ここで、ウインドシールドの厚みの測定方法の一例について説明する。まず、測定位置については、ウインドシールドの左右方向の中央を上下方向に延びる中央線上の上下2箇所である。測定機器は、特には限定されないが、例えば、株式会社テクロック製のSM−112のようなシックネスゲージを用いることができる。測定時には、平らな面にウインドシールドの湾曲面が載るように配置し、上記シックネスゲージでウインドシールドの端部を挟持して測定する。
<3.外側ガラス板及び内側ガラス板の製造方法>
次に、外側ガラス板1及び内側ガラス板2の製造方法の一例について、図3を参照しつつ説明する。一例として、これら外側ガラス板1及び内側ガラス板2は、フロート法により製造されるフロートガラス板とすることができる。
<3−1.フロート法>
図3は、フロートガラス板の製造方法を示す図である。図3において、紙面垂直方向が溶融ガラス55の流動方向、左右方向が溶融ガラス55の幅方向である。図3においては、溶融ガラス55の厚さの変化を誇張して示している。
フロート法は、溶融スズなどの溶融金属54の上に溶融ガラスを連続的に供給し、供給した溶融ガラス55を溶融金属54の上で流動させることにより帯板状に成形する。このように成形されたガラスをガラスリボン55と称する。
そして、ガラスリボン55の幅方向への収縮を抑制するために、ガラスリボン55の幅方向の両端部は、一対のローラ56によってそれぞれ押さえられている。これら一対のローラ56は、ガラスリボン55の流動方向に間隔をおいて複数設けられている。これら複数対のローラ16が回転することにより、ガラスリボン55が下流側に移動する。
ガラスリボン55は、下流側に向かうにつれて冷却され、冷却固化された上で溶融金属54から引き上げられる。そして、徐冷された後、切断される。こうして、フロートガラス板が得られる。ここで、フロートガラス板において、溶融金属54と接触していた面をボトム面と称し、それとは反対の面をトップ面と称することとする。ボトム面及びトップ面は、未研磨であってよい。なお、ボトム面は、溶融金属54と接していたため、溶融金属54がスズである場合には、ボトム面に含有される酸化スズの濃度が、トップ面に含有される酸化スズの濃度よりも大きくなる。
図3では、一対のローラ56がガラスリボン55を幅方向に引っ張ることで、ガラスリボン55の厚みが、幅方向の両端部から中央部に向かうほど、大きくなっている。こうして形成されたガラスリボン55が固化した後に切断すると、外側ガラス板1が得られる。このとき、外側ガラス板の切り出し方は、図4に示すように、2種類ある。まず、図4の右側のように、ガラスリボン55を、切断面K1,K2が鉛直方向に延びるように切断する。これら切断面K1,K2は、平行に延びており、こうして得られた外側ガラス板1Aは、切断面K1,K2とボトム面とが直交している。もう一つの方法では、図4の左側のように、ガラスリボン55を、トップ面に対して垂直な切断面K3,K4が形成されるように切断する。これら切断面K3,K4は、平行に延びており、こうして得られた外側ガラス板1Bは、切断面K3,K4とトップ面とが直交している。いずれにしても、上辺11の厚みが大きく、下辺12の厚みが小さくなるような外側ガラス板1が切り出される。
一方、内側ガラス板2も外側ガラス板1と同様にフロート法により形成されるが、上述したローラを用いない公知の方法により形成される。そのため、内側ガラス板2の厚みは概ね一定に形成される。
また、ガラスリボン55は、溶融金属54上を流動するため、その表面には流動方向に延びる複数の筋目が形成される。そして、冷却されたフロートガラス板の表面にもこの筋目が形成される。そして、筋目によって内側ガラス板2の表面には、図5に示すように、筋目の方向に波状の凹凸が形成されている。なお、図5は図3と同様の断面であり、ガラス板の流動方向と直交する断面を示している。同様の凹凸は、外側ガラス板1にも形成される。但し、各ガラス板1,2においては、溶融金属54に接していたボトム面の凹凸が、トップ面の凹凸よりも小さくなっている。ここで、凹凸が小さいとは、凹凸の最深部と最上部との差が小さいことをいう。また、フロート法により形成されたガラス板の表面には、上記のような筋目に加え、これと直交する方向に延びるウネリも形成される。このウネリは、筋目のピッチよりも大きいピッチを有し、また大きさは筋目の凹凸よりも大きい。
そして、本実施形態に係るウインドシールドでは、図6に示すように、外側ガラス板1の第2面102及び内側ガラス板2の第1面201を、ともにトップ面としている。これにより、外側ガラス板1の第1面101、内側ガラス板2の第2面202、つまりウインドシールドにおいて外部を向く面の凹凸がともに小さくなるようにしている。
また、本実施形態では、図7に示すように、外側ガラス板1の筋目と、内側ガラス板2の筋目が直交するようにしている。すなわち、外側ガラス板1の筋目150は、上述した方法により、上辺11及び下辺12と平行に筋目が延びる。一方、内側ガラス板2は、厚みが一定であるため、筋目の方向を調整することができるため、上辺21から下辺22に向かって筋目250が延びるように、ガラスリボンから切り出す。こうして、外側ガラス板1の筋目150と内側ガラス板2の筋目250が直交するように、ウインドシールドが形成される。
なお、外側ガラス板1の製造においては、成形条件を調整すれば、幅方向の両端部から中央部に向かうほど厚さが大きくなるようにしたり、あるいは幅方向の一端部から他端部に向かうほど厚さが大きくなるようにすることもできる。このようなガラスリボン55の厚さは、ローラ56による張力のほか、ローラ56の周速度などで調整できる。
<3−2.端面の研磨>
次に、外側ガラス板1及び内側ガラス板2の端面の研磨について説明する。各ガラス板1,2の端面は、砥石により研磨することで形成する。まず、図8に示す砥石6を準備する。この砥石6は、上下方向に延びる回転軸S周りに回転するように支持されている。そして、この回転軸S周りの外周面には、環状の溝60が形成されている。この溝60の断面は、円弧状の円弧部61と、この円弧部61の上端に連結される円弧状の第1面取り部62と、円弧部61の下端に連結される円弧状の第2面取り部63と、を有している。円弧部61の曲率半径は、第1面取り部62及び第2面取り部63の曲率半径よりも大きくなっている。また、円弧部61の円弧の長さは、第1面取り部62及び第2面取り部63の円弧の長さよりも長くなっている。さらに、この溝60の断面において、第1面取り部62の上端には直線状の上端部64が連結され、第2面取り部63の下端には直線状の下端部65が連結されている。また、この溝60の断面は、円弧部61の上下方向の中心点Xに対し、上下に対称な形状になっている。したがって、第1面取り部62及び第2面取り部63は、中心点Xに対して対称であり、上端部64及び下端部65も、中心点Xに対して対称となっている。
また、図9に示すように、この溝60の断面においては、外側ガラス板1の上辺11の上下方向の中心点D1と、溝60の中心点Xとを一致させたときに、第1面取り部62が、外側ガラス板1の上辺11の端面と第1面101との角部と対応する位置に配置される。したがって、この角部は、第1面取り部62によって研磨される。一方、第2面取り部63は、外側ガラス板1の上辺11の端面と第2面102との角部と対応する位置に配置される。したがって、この角部は、第2面取り部63によって研磨される。
次に、外側ガラス板1の第2面102が水平になるように外側ガラス板1を支持した上で、砥石6の回転軸Sを、外側ガラス板1の端面と平行に延びるようにし、図9に示すように、円弧部61の中心点Xと、外側ガラス板1の上辺11の端面の中心点D1とが一致するように近接させ、図10に示すように、研磨を行う。そして、外側ガラス板1と砥石6との上下方向の位置関係を維持したまま(中心点Xと中心点D1の高さを一致させながら)、砥石6を外側ガラス板1の端面に沿って移動させる。こうして、外側ガラス板1の端面の全周が研磨される。なお、外側ガラス板1を砥石6に対して移動させることで、外側ガラス板1の端面の全周を研磨することもできる。
こうして、図11に示すように、外側ガラス板1の上辺11の端面は、砥石6の溝60と対応するように研磨される。具体的には、溝60の円弧部61、第1面取り部62、及び第2面取り部63と、それぞれ対応する円弧部111、第1面取り部112、及び第2面取り部113が、上辺11の端面に形成される。上記のように、外側ガラス板1の上辺11の中心点D1と溝60の中心点Xとが一致するように研磨が行われているため、外側ガラス板1の上辺11の端面は、厚み方向の中心点D1を中心に対称な形状となるように研磨される。
上記のように、砥石6は、外側ガラス板1と砥石6との上下方向の位置関係を維持したまま研磨を行うため、図12及び図13に示すように、砥石6の溝60の中心点Xは、外側ガラス板1の下辺12の厚み方向の中心点D2よりも上側に接して研磨が行われる。なお、図12は説明の便宜のために作成した図面であり、上辺11から研磨を行う場合には、下辺12を研磨する前に、砥石6と下辺12とは離間せず、外側ガラス板1の端面は全周に亘って連続的に研磨される。
こうして、図14に示すように、外側ガラス板1の下辺12の端面が研磨される。上記のように、外側ガラス板1の下辺12の中心点D2と溝60の中心点Xとはずれているため、下辺12の端面には、溝60の円弧部61及び第2面取り部63と、それぞれ対応する円弧部121及び第2面取り部123が形成される。すなわち、下辺12の端面は、厚み方向の中心点D2を中心に非対称な形状となるように研磨される。
なお、外側ガラス板1の右側辺13及び左側辺14の端面は、下辺12側にいくにしたがって厚みが小さくなるため、下辺12と同様に非対称に研磨される。上辺11の端面は、溝60の第1面取り部62に対応する部分が形成されているが、右側辺13及び左側辺14の端面は、第1面取り部62に対応する部分が下辺12側にいくにしたがって徐々に小さくなり、下辺12にいくまでに消失するように形成される。
また、内側ガラス板2の端面も上記砥石6により、同様の方法で研磨する。内側ガラス板2が平板状に形成されている場合には、外側ガラス板1の上辺11と同様に厚み方向の中心に対し対称な形状に研磨される。内側ガラス板2が楔形に形成されている場合には、外側ガラス板1と同様の形状に研磨される。
<4.中間膜>
中間膜3は、両ガラス板と同様に、の厚みは、外側ガラス板1と同様に、台形状に形成されている。また、図2に示すように、中間膜3は、車外側を向く第1面301及び車内側を向く第2面302を有しており、これら第1面301及び第2面302を連結する端面を有している。ここでは、上辺側の端面を上端面311、下辺側の端面をした下端面312と称することとする。中間膜3は、上端面311から下端面312にいくにしたがって、厚みが小さくなるような楔形、あるいは中間膜3は、第1面301と第2面302とが平行な平板状に形成することができる。楔形を形成するための第1面301と第2面302とのなす楔角α3は、特には限定されないが、例えば、0.02〜0.18mradとすることができ、0.05〜0.15mradとすることができる。なお、内側ガラス板2と中間膜3は、少なくとも一方が楔形に形成される。
また、中間膜3は、少なくとも一層で形成されている。一例として、図2の拡大図に示すように、軟質のコア層31を、これよりも硬質のアウター層32で挟持した3層で構成することができる。但し、この構成に限定されるものではなく、コア層31と、外側ガラス板1側に配置される少なくとも1つのアウター層32とを有する複数層で形成されていればよい。例えば、コア層31と、外側ガラス板1側に配置される1つのアウター層32を含む2層の中間膜3、またはコア層31を中心に両側にそれぞれ2層以上の偶数のアウター層32を配置した中間膜3、あるいはコア層31を挟んで一方に奇数のアウター層32、他方の側に偶数のアウター層32を配置した中間膜3とすることもできる。なお、アウター層32を1つだけ設ける場合には、上記のように外側ガラス板1側に設けているが、これは、車外や屋外からの外力に対する耐破損性能を向上するためである。また、アウター層32の数が多いと、遮音性能も高くなる。
コア層31はアウター層32よりも軟質であるかぎり、その硬さは特には限定されない。各層31,32を構成する材料は、特には限定されないが、例えば、アウター層32は、例えば、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)によって構成することができる。ポリビニルブチラール樹脂は、各ガラス板との接着性や耐貫通性に優れるので好ましい。一方、コア層31は、例えば、エチレンビニルアセテート樹脂(EVA)、またはアウター層を構成するポリビニルブチラール樹脂よりも軟質なポリビニルアセタール樹脂によって構成することができる。軟質なコア層を間に挟むことにより、単層の樹脂中間膜と同等の接着性や耐貫通性を保持しながら、遮音性能を大きく向上させることができる。
一般に、ポリビニルアセタール樹脂の硬度は、(a)出発物質であるポリビニルアルコールの重合度、(b)アセタール化度、(c)可塑剤の種類、(d)可塑剤の添加割合などにより制御することができる。したがって、それらの条件から選ばれる少なくとも1つを適切に調整することにより、同じポリビニルブチラール樹脂であっても、アウター層32に用いる硬質なポリビニルブチラール樹脂と、コア層31に用いる軟質なポリビニルブチラール樹脂との作り分けが可能である。さらに、アセタール化に用いるアルデヒドの種類、複数種類のアルデヒドによる共アセタール化か単種のアルデヒドによる純アセタール化によっても、ポリビニルアセタール樹脂の硬度を制御することができる。一概には言えないが、炭素数の多いアルデヒドを用いて得られるポリビニルアセタール樹脂ほど、軟質となる傾向がある。したがって、例えば、アウター層32がポリビニルブチラール樹脂で構成されている場合、コア層31には、炭素数が5以上のアルデヒド(例えばn−ヘキシルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−へプチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド)、をポリビニルアルコールでアセタール化して得られるポリビニルアセタール樹脂を用いることができる。なお、所定のヤング率が得られる場合は、上記樹脂等に限定されることはい。
また、中間膜3の総厚は、特に規定されないが、0.3〜6.0mmであることが好ましく、0.5〜4.0mmであることがさらに好ましく、0.6〜2.0mmであることが特に好ましい。また、コア層31の厚みは、0.1〜2.0mmであることが好ましく、0.1〜0.6mmであることがさらに好ましい。一方、各アウター層32の厚みは、0.1〜2.0mmであることが好ましく、0.1〜1.0mmであることがさらに好ましい。その他、中間膜3の総厚を一定とし、この中でコア層31の厚みを調整することもできる。以上の厚みは、楔形に形成されたる中間膜3の最も厚い部分の厚みとする。
コア層31及びアウター層32の厚みは、例えば、以下のように測定することができる。まず、マイクロスコープ(例えば、キーエンス社製VH−5500)によってウインドシールドの断面を175倍に拡大して表示する。そして、コア層31及びアウター層32の厚みを目視により特定し、これを測定する。このとき、目視によるばらつきを排除するため、測定回数を5回とし、その平均値をコア層31、アウター層32の厚みとする。
また、中間膜3の総厚は、特に規定されないが、0.3〜6.0mmであることが好ましく、0.5〜4.0mmであることがさらに好ましく、0.6〜2.0mmであることが特に好ましい。また、コア層31の厚みは、0.1〜2.0mmであることが好ましく、0.1〜0.6mmであることがさらに好ましい。一方、各アウター層32の厚みは、コア層31の厚みよりも大きいことが好ましく、具体的には、0.1〜2.0mmであることが好ましく、0.1〜1.0mmであることがさらに好ましい。その他、中間膜3の総厚を一定とし、この中でコア層31の厚みを調整することもできる。
コア層31及びアウター層32の厚みは、例えば、以下のように測定することができる。まず、マイクロスコープ(例えば、キーエンス社製VH−5500)によってウインドシールドの断面を175倍に拡大して表示する。そして、コア層31及びアウター層32の厚みを目視により特定し、これを測定する。このとき、目視によるばらつきを排除するため、測定回数を5回とし、その平均値をコア層31、アウター層32の厚みとする。例えば、ウインドシールドの拡大写真を撮影し、このなかでコア層やアウター層32を特定して厚みを測定する。
中間膜3の製造方法は特には限定されないが、例えば、上述したポリビニルアセタール樹脂等の樹脂成分、可塑剤及び必要に応じて他の添加剤を配合し、均一に混練りした後、各層を一括で押出し成型する方法、この方法により作成した2つ以上の樹脂膜をプレス法、ラミネート法等により積層する方法が挙げられる。プレス法、ラミネート法等により積層する方法に用いる積層前の樹脂膜は単層構造でも多層構造でもよい。また、中間膜3は、上記のような複数の層で形成する以外に、1層で形成することもできる。
そして、本実施形態に係る中間膜3は、成形後の平面視長方形状の中間膜3をローラで引き延ばすことで、下辺側が長くなるように形成している。以下、この処理を延伸処理と称し、詳細に説明する。また、延伸処理前の中間膜を延伸前中間膜、延伸処理後の中間膜を延伸後中間膜と称することとする。
図16に示すように、延伸処理は、2つの円錐状のローラ91,92の間を延伸前中間膜を通すことで行われる。ここでは、上側のローラを第1ローラ91、下側のローラを第2ローラ92と称することとする。また、各ローラ91,92の径が大きい方の軸方向の端部を第1端部911,921、径が小さい方の軸方向の端部を第2端部912,922と称することとする。これら第1ローラ91及び第2ローラ92は、回転軸G1,G2が平行になるように配置されている。また、両ローラ91,92における第1端部911,921及び第2端部912,922がそれぞれ、同じ側になるように配置している。これにより、両ローラ91,92の間には、第1端部911,921側が狭く、第2端部912,922側が広くなる隙間900が形成される。
したがって、延伸前中間膜をこれらローラ91,92の間を通過させると、図15に示すように、各ローラ91,92の第1端部911,921側の周速度が早いため、第1端部911,921側において、延伸前中間膜が引き延ばされる。これにより、平面視台形状の延伸後中間膜3が形成される。また、図16に示すように、両ローラ91,92の隙間900が形成されているため、延伸後中間膜3の断面は、第1端部911,921側が厚くなり、第2端部912,922側が薄くなる。その結果、上端面311が厚く、下端面312が薄い中間膜3が形成される。
<5.遮蔽層>
図1に示すように、このウインドシールドの周縁には、黒などの濃色のセラミックに遮蔽層4が積層されている。この遮蔽層4は、車内また車外からの視野を遮蔽するのであり、ウインドシールドの4つの辺に沿って積層されている。
遮蔽層4は、例えば、外側ガラス板1の内面のみ、内側ガラス板2の内面のみ、あるいは外側ガラス板1の内面と内側ガラス板2の内面、など種々の態様が可能である。また、セラミック、種々の材料で形成することができるが、例えば、以下の組成とすることができる。
Figure 2021147019
*1,主成分:酸化銅、酸化クロム、酸化鉄及び酸化マンガン
*2,主成分:ホウケイ酸ビスマス、ホウケイ酸亜鉛
セラミックは、スクリーン印刷法により形成することができるが、これ以外に、焼成用転写フィルムをガラス板に転写し焼成することにより作製することも可能である。スクリーン印刷を採用する場合、例えば、ポリエステルスクリーン:355メッシュ,コート厚み:20μm,テンション:20Nm,スキージ硬度:80度,取り付け角度:75°,印刷速度:300mm/sとすることができ、乾燥炉にて150℃、10分の乾燥により、セラミックを形成することができる。
なお、セラミックは、上述したガラスリボン55のボトム面と密着しやすい。これは、ボトム面における酸化スズの濃度が高いからである。したがって、遮蔽層4をセラミックで形成する場合には、ボトム層に形成することが好ましい。そのため、例えば、図6に示すようなウインドシールドを形成する場合には、遮蔽層4は、内側ガラス板2の第2面202に形成することができる。なお、遮蔽層4は、セラミックを積層するほか、濃色の樹脂製の遮蔽フィルムを貼り付けることで形成することもできる。
<6.ウインドシールドの製造方法>
次に、ウインドシールドの製造方法について説明する。まず、ガラス板の製造ラインについて説明する。
ここで、成形型について、図17を参照しつつ、さらに詳細に説明する。図17は成形型の平面図である。図17に示すように、この成形型800は、両ガラス板1,2の外形と概ね一致するような枠状の型本体810を備えている。この型本体810は、枠状に形成されているため、内側には上下方向に貫通する内部空間820を有している。そして、この型本体810の上面に平板状の両ガラス板1,2の周縁部が載置される。そのため、このガラス板1,2には、下側に配置されたヒータ(図示省略)から、内部空間を介して熱が加えられる。これにより、両ガラス板1,2は加熱により軟化し、自重によって下方へ湾曲することとなる。なお、型本体810の内周縁には、熱を遮蔽するための遮蔽板840を配置することがあり、これによってガラス板1,2が受ける熱を調整することができる。また、ヒータは、成形型800の下方のみならず、上方に設けることもできる。
次に、成型方法について、図18を参照しつつ説明する。図18は、成形型が通過する炉の側面図である。まず、湾曲前の外側ガラス板1及び内側ガラス板2に上述した遮蔽層4が積層される。次に、これら外側ガラス板1及び内側ガラス板2は重ね合わされ、上記成形型800に支持された状態で、図18に示すように、加熱炉802を通過する。加熱炉802内で軟化点温度付近まで加熱されると、両ガラス板1,2は自重によって周縁部よりも内側が下方に湾曲し、曲面状に成形される。続いて、両ガラス板1,2は加熱炉802から徐冷炉803に搬入され、徐冷処理が行われる。その後、両ガラス板1,2は、徐冷炉803から外部に搬出されて放冷される。
こうして、外側ガラス板1及び内側ガラス板2が成形されると、これに続いて、中間膜3を外側ガラス板1及び内側ガラス板2の間に挟む。中間膜3は、外側ガラス板1及び内側ガラス板2より、やや大きい形状とする。これにより、中間膜3の外縁は、外側ガラス板1及び内側ガラス板2からはみ出した状態となる。
次に、両ガラス板1,2、及び中間膜3が積層された積層体を、ゴムバッグに入れ、減圧吸引しながら約70〜110℃で予備接着する。予備接着の方法は、これ以外でも可能であり、次の方法を採ることもできる。例えば、上記積層体をオーブンにより45〜65℃で加熱する。次に、この積層体を0.45〜0.55MPaでロールにより押圧する。続いて、この積層体を、再度オーブンにより80〜105℃で加熱した後、0.45〜0.55MPaでロールにより再度押圧する。こうして、予備接着が完了する。
次に、本接着を行う。予備接着がなされた積層体を、オートクレーブにより、例えば、8〜15気圧で、100〜150℃によって、本接着を行う。具体的には、例えば、14気圧で135℃の条件で本接着を行うことができる。以上の予備接着及び本接着を通して、中間膜3が、各ガラス板1,2に接着される。最後に、外側ガラス板1及び内側ガラス板2からはみ出した中間膜3を切断すれば、図2に示すような断面を有するウインドシールドが製造される。すなわち、外側ガラス板1の楔角α1と、中間膜3の楔角α2とが組み合わされて、楔角αXのウインドシールドが形成される。なお、これ以外の方法、例えば、プレス加工により、湾曲したウインドシールドを製造することもできる。
<7.ヘッドアップディスプレイ装置>
次に、ヘッドアップディスプレイ装置について説明する。ヘッドアップディスプレイ装置(HUD装置という)は、ウインドシールドに、車速等の情報を投射するものである。しかしながら、このHUD装置を用いると、ウインドシールドに投影された光により、二重像が形成されることが知られている。すなわち、ウインドシールドの内面で反射することで視認される像と、ウインドシールドの外面で反射することで視認される像とが別々に視認されるため、像が二重になっていた。
これを防止するためには、本実施形態のような楔角αXのウインドシールドを用いる。すなわち、図19に示すように、ウインドシールドにおいて、少なくともHUD装置500から光が投影される表示領域においては、厚みが下方にいくにしたがって、小さくなるように形成する。これにより、ウインドシールドの内面(内側ガラス板2の第2面202)で反射して車内に入射する光と、ウインドシールドの外面(外側ガラス板1の第1面101)で反射した後、車内に入射する光とが、概ね一致するため、二重像が解消される。
<8.特徴>
本実施形態に係るウインドシールドによれば、次のような効果を得ることができる。
(1)外側ガラス板1の端面の厚みは一定ではないが、一の砥石6で研磨を行っているため、研磨工程を簡易に行うことができる。また、厚みの大きい上辺11側を厚み方向の中心に対して対称な形状に研磨し、厚みの小さい下辺12側を厚み方向の中心に対して非対称な形状に研磨している。すなわち、厚みが大きく目立ちやすい側を対称形状にして見栄えをよくする一方、厚みが小さく目立ちにくい側を非対称形状にすることで、一の砥石6で研磨を行っても、見栄えの低下を抑制することができる。
(2)砥石6の溝60の断面は、円弧部61と、それを挟む第1面取り部62及び第2面取り部63とで形成されているが、外側ガラス板1の下辺12側は、第1面取り部62による研磨が行われる部分がなく非対称に形成されている。しかし、長さの大きい円弧部121は、上辺11側と同様に形成されるため、上辺11側と比べて端面の形状が大きく異なるのを防止し、その結果、見栄えの低下を抑制することができる。
(3)外側ガラス板1、内側ガラス板2、及び中間膜3の楔角を調整することができるため、種々の楔角のウインドシールドを形成することができる。図2の例と同様に図20(a)の例では、外側ガラス板1と中間膜3とを楔形に形成しているが、これら外側ガラス板1と中間膜3の楔角α1,α2を調整することで、ウインドシールドの楔角αXを調整することができる。これに加え、図20(b)に示すように、内側ガラス板2も楔形に形成すると、さらに大きい楔角αXのウインドシールドを形成することができる。なお、外側ガラス板1と内側ガラス板2の楔角α1は相違していてもよい。
さらに、図20(c)に示すように、外側ガラス板1及び内側ガラス板を楔形に形成し、中間膜を平板状に形成することもできる。このような、図20(a)〜図20(c)に示すような、外側ガラス板1、内側ガラス板2、及び中間膜3の組み合わせにより、要求に応じた種々の楔角αXのウインドシールドを形成することができる。以下の表2には、外側ガラス板1、内側ガラス板2、及び中間膜3の楔角を調整することで形成される楔形のウインドシールドの例を示している(単位は、mrad)。
Figure 2021147019
表2の例では、3種類の楔角の外側ガラス板1、2種類の楔角の内側ガラス板2、及び2種類の楔角の中間膜3を用いて、10種類の楔角のウインドシールドを形成している。したがって、本実施形態によれば、少ない種類の楔角のガラス板1,2及び中間膜3を用いて、数多くの種類の楔角のウインドシールドを形成することができる。
なお、表2の楔角は一例であり、他の楔角のガラス板1,2及び中間膜3を用いることができ、ウインドシールドの楔角αXは、例えば、0.2〜0.7mradとすることができる。
(4)上記実施形態では、筋目による凹凸が小さいボトム面を、ウインドシールドの外面としている。すなわち、ウインドシールドの2つの外面は、いずれも凹凸が小さいため、車内からウインドシールドを通して車外の対象物を見たときの透視歪みを小さくすることができる。
(5)上記実施形態では、外側ガラス板1の筋目150と内側ガラス板2の筋目250とが直交するように、両ガラス板1,2を配置している。これに対して、例えば、両ガラス板1,2の筋目150,250が同じ方向に延びていると、ウインドシールドの車外側の面の筋目と車外側の面の筋目が組み合わさり、ウインドシールド全体としての厚みの変化が大きくなる可能性がある。これにより、透視歪みが増大するおそれがある。そこで、本実施形態では、両ガラス板1,2の筋目150,250が直交するようにしているため、凹凸が増大するのを防止し、これによって透視歪みを抑制することができる。
<9.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。そして、以下に示す複数の変形例は適宜組合わせることが可能である。
<9−1>
上記実施形態では、厚みの薄い外側ガラス板1の下辺12の端面が、円弧部121と第2面取り部123とを有しているが、これに限定されない。すなわち、下辺12の厚みによっては、砥石6の溝60の第1面取り部62の一部によって研磨される部分が、下辺12の端面に含まれて入れてもよい。この場合、下辺12の端面には、厚み方向の長さの短い第1面取り部と、厚み方向の長さの長い第2面取り部123と、が含まれる。また、この第1面取り部と第1面101とのなす角と、第2面取り部123と第2面102とのなす角と、が相違してもよい。
<9−2>
上記実施形態では、外側ガラス板1を楔形にし、内側ガラス板2及び中間膜3の少なくとも一方を楔形にしているが、例えば、内側ガラス板2を楔形にし、外側ガラス板1及び中間膜3の少なくとも一方を楔形にしてもよい。この場合、本発明の第1ガラス板が内側ガラス板2に相当し、第2ガラス板が外側ガラス板1に相当する。また、中間膜3は平板状に形成することもできる。
<9−3>
上記実施形態では、外側ガラス板1と内側ガラス板2は、トップ面同士が対向するように配置しているが、これに限定されない。例えば、ボトム面同士が対向するように配置することもできる。また、トップ面とボトム面とが対向するように配置することもできる。なお、楔形の外側ガラス板1の第1面101(ボトム面)が中間膜3に対向するように配置された場合には、下辺12の端面の円弧部121の厚み方向の中心点は、下辺12の端面の厚みの中心点D2よりも中間膜に近くなる。
上述したように、ボトム面がウインドシールドの外面になると透視歪みを抑制できるという利点があるが、セラミックの遮蔽層4を積層するのはボトム面が有利である。したがって、用途に応じて、いずれの面を対向させるかを検討すればよい。また、このようなボトム面は、遮蔽層4以外にも、例えば、銅や銀などのアンテナ素子を印刷などで積層するのにも適している。また、アンテナ素子は、内側ガラス板の車内側の面に形成することができる。
<9−4>
上記実施形態では、外側ガラス板1と内側ガラス板2の筋目同士が直交するようにしているが、平行にすることもできる。この場合、筋目が水平方向(上辺11、21及び下辺12、22と平行)に延びるようにすることができる。
<9−5>
遮蔽層4の形状は特には限定されず、種々の形状が可能である。例えば、センサによる光の照射やカメラによる外部の撮影が可能なように、窓(開口)を設けた遮蔽層を形成することもできる。
<9−6>
外側ガラス板1、内側ガラス板2、中間膜3を楔形状に形成する方法は、特には限定されず、上述した方法以外でも可能である。
1 外側ガラス板(第1ガラス板)
2 内側ガラス板(第2ガラス板)
3 中間膜

Claims (15)

  1. 第1面及び第2面を有する第1ガラス板と、
    第1面及び第2面を有し、当該第1面と前記第1ガラス板の第1面とが対向するように配置される、第2ガラス板と、
    第1面及び第2面を有し、前記第1ガラス板と第2ガラス板との間に挟持される中間膜と、
    を備え、
    前記第1ガラス板及び前記第2ガラス板は、それぞれ、第1端部及び当該第1端部と対向する第2端部を有し、
    前記中間膜は、第1端部及び当該第1端部と対向する第2端部を有し、
    前記第1ガラス板は、前記第1端部から第2端部に向かって厚みが薄くなるように断面が楔形に形成され、
    楔形に形成された前記ガラス板の第1端部の断面形状が、当該第1端部の厚み方向の中心に対して対称形であり、当該ガラス板の第2端部の断面形状が、当該第2端部の厚み方向の中心に対して非対称形である、ウインドシールド。
  2. 楔形に形成された前記ガラス板の第2端部の断面において、円弧状に形成された円弧部を含み、
    前記円弧部の中点は、前記第2端部の厚み方向の中心からずれている、請求項1に記載の、ウインドシールド。
  3. 楔形に形成された前記ガラス板の第2端部の断面において、前記円弧部と前記第1面との間、及び前記円弧部と前記第2面との間の一方に面取り部が形成されている、請求項2に記載のウインドシールド。
  4. 楔形に形成された前記ガラス板の第2端部の断面において、前記円弧部と前記第1面との間に第1面取り部が形成され、前記円弧部と前記第2面との間に第2面取り部が形成されている、請求項2に記載のウインドシールド。
  5. 楔形に形成された前記ガラス板の第2端部の断面において、前記第1面取り部と前記第2面取り部の長さが相違している、請求項4に記載のウインドシールド。
  6. 前記第1面取り部と前記第1面とのなす角が、前記第2面取り部と前記第2面とのなす角と相違している、請求項5に記載のウインドシールド。
  7. 楔形に形成された前記ガラス板の第2端部の断面において、前記円弧部の中点が、前記第2面よりも前記第1面側に位置している、請求項2から6のいずれかに記載のウインドシールド。
  8. 前記第1ガラス板及び前記第2ガラス板の両方が楔形に形成されている、請求項7に記載のウインドシールド。
  9. 前記第1ガラス板及び前記第2ガラス板の一方が楔形に形成され、他方が平板状に形成されている、請求項7に記載のウインドシールド。
  10. 前記第1ガラス板及び前記第2ガラス板は、フロート法により製造され、それぞれ、前記第1面及び前記第2面における酸化スズの濃度が相違しており、
    前記第1ガラス板及び第2ガラス板は、前記酸化スズの濃度の高い面同士、または前記酸化スズ濃度の低い面同士が、互いに対向するように配置されている、請求項1から9のいずれかに記載のウインドシールド。
  11. 前記第1ガラス板及び第2ガラス板は、前記酸化スズの濃度の高い面同士が互いに対向するように配置されている、請求項10に記載のウインドシールド。
  12. 前記第1ガラス板及び第2ガラス板は、前記酸化スズの濃度の低い面同士が互いに対向するように配置されており、
    前記第2ガラス板の前記第2面に、遮蔽層及びアンテナの少なくとも一方が積層されている、請求項10に記載のウインドシールド。
  13. 前記第1ガラス板には筋目が形成され、
    前記第2ガラス板には、前記第1ガラス板の筋目と略直交する筋目が形成されている、請求項1から12のいずれかに記載のウインドシールド。
  14. 前記第1ガラス板には筋目が形成され、
    前記第2ガラス板には、前記第1ガラス板の筋目と略平行な筋目が形成されている、請求項1から12のいずれかに記載のウインドシールド。
  15. 第1面及び第2面を有するとともに、第1端部及び当該第1端部と対向する第2端部を有し、前記第1端部から第2端部に向かって厚みが薄くなるように形成された第1ガラス板を準備するステップと、
    第1面及び第2面を有する第2ガラス板を準備するステップと、
    軸周りに回転可能に支持された円筒状の砥石であって、外周面の前記軸方向の断面形状が、径方向内方に凸の円弧状に形成された砥石を準備するステップと、
    前記第1ガラス板において、前記第1面と第2面とを連結し、前記第1端部及び第2端部を含む端面を研磨するステップであって、前記第1端部を研磨するときは、前記第1端部の端面と前記砥石の回転軸とが平行になるように前記砥石が配置され、前記第2端部を研磨するときは、前記第2端部の端面と前記砥石の回転軸とが平行とならないように前記砥石が配置される、ステップと、
    を備えている、ウインドシールドの製造方法。
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