JP2016166229A - イコデキストリンを含有する生体適合性透析液 - Google Patents
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Abstract
【課題】容易に製造され得、保存条件下で安定かつ無菌に維持され得、そして、透析療法のような医学療法の間に容易にかつ効果的に使用され得る、向上した医学的溶液を提供すること。【解決手段】透析療法のような医学療法の間に使用され得る、グルコースポリマーベースの溶液およびこのグルコースポリマーベースの溶液の作製方法が、提供される。このグルコースポリマーベースの溶液は、好ましくは、約1.5〜約5.0の範囲にあるpHにおけるイコデキストリンを含有する第1の溶液および約7.0〜約12.0の範囲にあるpHにおける緩衝溶液を含み、この第1の溶液および緩衝溶液は、グルコースポリマーベースの溶液が患者への注入の前に混合されるように構築および配置されている。本発明のグルコースポリマーベースの溶液は、生理学的なpHに、かつ、最小限のグルコース分解生成物を有するように作製され得る。【選択図】図1
Description
(発明の背景)
本発明は、概して、医学的処置に関する。より詳細には、本発明は、透析療法に使用される液体または溶液に関する。
本発明は、概して、医学的処置に関する。より詳細には、本発明は、透析療法に使用される液体または溶液に関する。
疾患または傷害または他の原因に起因して、腎臓系は不全状態になり得る。任意の原因の腎不全において、種々の生理学的障害がある。水、無機質(例えば、Na、K、Cl、Ca、P、Mg、SO4)のバランス、および毎日の固定イオンの代謝負荷の排出は、腎不全において、もはや可能ではない。腎不全の間には、窒素代謝の有害最終生成物(例えば、尿素、クレアチニン、尿酸など)は、血液中および組織中に蓄積し得る。
透析プロセスは、濃度勾配をまたがった、半透膜をまたがった拡散(拡散性溶質輸送)による溶液中の元素の分離について考案されている。透析プロセスの例としては、血液透析、腹膜透析、および血液濾過が挙げられる。
血液透析処置は、老廃物、毒素、および過剰の水を患者から取り除くために患者の血液を利用する。この患者は、血液透析機械に連結され、そして患者の血液は、この機械を通してポンピングされる。カテーテルは、患者の静脈および動脈に挿入されて、血流を血液透析機械に往復で連結している。老廃物、毒素、および過剰の水は、患者の血液から取り除かれ、そしてこの血液は、患者に注入して戻される。血液透析処置は、数時間続き得、そして一般的には、一週間あたり約3回〜4回、処置センターで行われる。
古典的な血液透析にしばしば関連する不利益を克服するために、血液濾過および腹膜透析のような他の技術が、開発された。血液濾過は、対流に基づいた血液浄化技術である。血液アクセスは、静脈性または動静脈性であり得る。血流が流れて血液濾過器を通るとき、血液区画と限外濾過区画との間の、膜内外での圧力勾配は、血漿の水分が、透過性能の高い膜をまたがって濾過されることを引き起こす。この水分がこの膜を通過するとき、この水は、この膜をまたがって小さな分子および大きな分子を対流で循環させ、従って、血液を浄化する。過剰量の血漿水は、濾過によって排除される。従って、バランスのとれた体内水分を維持するために、液体は、バランスのとれた電解質溶液(置換液または補充液)によって持続的に置換され、静脈内に注入されなければならない。この置換液は、血液濾過器に通ずる動脈血ライン(事前希釈)の中または血液濾過器から出る静脈血ラインの中のいずれかに注入され得る。
腹膜透析は、半透膜として患者自身の腹膜を利用する。この腹膜は、多数の血管および毛細血管のために、天然の半透膜として作用可能である、体腔の膜性の内張りである。
腹膜透析において、無菌透析溶液が、カテーテルを利用して腹膜腔の中に導入される。十分な時間の後、透析物と血液との間の溶質の交換が、成し遂げられる。液体の除去は、血液からの水の流出を可能にする、血液から透析物に適切な浸透圧勾配を与えることによって成し遂げられる。これは、適切な酸−塩基、電解質、および液体の残りが血液に戻されることを可能にする。この透析溶液は、体腔からカテーテルを通って簡単に排出される。種々の型の腹膜透析の例としては、持続的携帯型腹膜透析、自動化腹膜透析、および持続的フロー腹膜透析が挙げられる。
標準腹膜透析溶液は、デキストロースを1.5重量%〜4.25重量%の濃度で含み、水および代謝老廃産物の腹膜をまたがった輸送をもたらす。デキストロースは、比較的安全で、安価であるという利点を有するが、デキストロースは、多くの不利益を有する。小さなサイズのため、デキストロースは、腹膜を通って迅速に輸送され、従って、約2時間〜4時間の注入の間に、浸透圧勾配の損失および限外濾過の損失をもたらす。腹膜透析溶液の限外濾過の特徴は、デキストロースをイコデキストリンのような高分子量物質で置換することによって向上され得ることが、示唆されている。イコデキストリンを含有する透析溶液が、市販されており、そして末期腎臓疾患を罹患する患者を処置することにおいて有用であることが見出されている。
デキストロースと同様に、生理学的pHにおいてグルコースポリマーが処方される場合、グルコースポリマーは、最終加熱滅菌(腹膜透析液についての薬局方(pharmacoepial)での必要要件)の間、安定ではない。結果として、イコデキストリンを含有する溶液は、代表的には、5.0〜5.5の間のpHのような酸性pHにおいて処方される。しかし、この低いpHは、幾人かの患者において注入の際に疼痛を引き起こし得、そして、中皮細胞、マクロファージおよび線維芽細胞を含む腹膜細胞に対して細胞傷害性である。さらに、pH5.0〜5.5においてさえも、イコデキストリンは、分解を起こし得、従って、後期グリケーション最終産物(AGE)の形成をもたらし得る、広い種類の分解生成物がもたらされる。AGEは、腹膜を損傷し、そして、腎臓疾患患者において生命を維持するという腹膜透析の目的を損なうと考えられる。
従って、容易に製造され得、保存条件下で安定かつ無菌に維持され得、そして、透析療法のような医学療法の間に容易にかつ効果的に使用され得る、向上した医学的溶液を提供するニーズが存在する。
(発明の要旨)
本発明は、透析療法のような医学療法の間に使用され得る、改善されたグルコースポリマーベースの溶液およびこのグルコースポリマーベースの溶液の作製方法に関する。好ましい実施形態において、この溶液は、イコデキストリンベースの溶液である。本発明のグルコースポリマーベースの溶液は、生理学的なpHに、かつ、最小限のグルコース分解生成物を有するように作製され得る。このグルコースポリマーベースの溶液は、特に腹膜透析の間に適用される場合、向上した生体適合性を提供する。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
グルコースポリマーベースの溶液であって、以下:
グルコースポリマーを含有する第1の溶液を含む第1の部分であって、該第1の部分は、約1.5〜約5.0の範囲にあるpHを有する、第1の部分;
約7.0〜約12.0の範囲にあるpHにおける緩衝溶液を含む第2の部分;
を含み、そして
該第1の部分および該第2の部分は、該第1の部分および該第2の部分が、患者への注入の前に混合されるように構築および配置されている、グルコースポリマーベースの溶液。
(項目2)
前記第1の溶液が、有機酸、無機酸、塩酸、乳酸、酢酸、ピルビン酸、クレブストリカルボン酸回路の1つ以上の中間体、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される酸を含む、項目1に記載のグルコースポリマーベースの溶液。
(項目3)
前記第1の部分が、約100.0g/L〜約220.0g/Lの範囲にある量でイコデキストリンを含む、項目1に記載のグルコースポリマーベースの溶液。
(項目4)
前記緩衝溶液が、塩化ナトリウム、乳酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、7と13との間にあるpK1を有する1つ以上のアミノ酸、グリシン、アラニン、ヒスチジン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される成分を含む、項目1に記載のグルコースポリマーベースの溶液。
(項目5)
項目1に記載のグルコースポリマーベースの溶液であって、前記第1の溶液が、以下:
約100.0〜約220.0(g/L)のイコデキストリン;
約5.0〜約10.0(mEq/L)の塩化カルシウム二水和物;および
約0.5〜約2.0(mEq/L)の塩化マグネシウム六水和物、
を含む、グルコースポリマーベースの溶液。
(項目6)
項目1に記載のグルコースポリマーベースの溶液であって、前記第1の部分および前記第2の部分が、以下:
約4.0〜約10.0(g/dL)のイコデキストリン;
約0.5〜約4.0(mEq/L)のカルシウム;
約0.25〜約2.0(mEq/L)のマグネシウム;
約120.0〜約135.0(mEq/L)のナトリウム;
約90.0〜約110.0(mEq/L)の塩化物;および
約30.0〜約45.0(mEq/L)の乳酸塩、
を含む混合溶液を形成するように組み合わせられる、グルコースポリマーベースの溶液。
(項目7)
前記混合溶液が、約5.0mM以下の炭酸水素塩、約5.0mM以下のヒスチジン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるさらなる成分を含む、項目6に記載のグルコースポリマーベースの溶液。
(項目8)
前記混合溶液が、約0.5%〜約4.0%の範囲にある低分子量浸透圧剤濃度をさらに含む、項目7に記載のグルコースポリマーベースの溶液。
(項目9)
前記第1の部分が、グルコース、グリセロール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上の低分子量浸透圧剤をさらに含む、項目1に記載のグルコースポリマーベースの溶液。
(項目10)
前記第1の部分の低分子量濃度が、約1%〜約6%の範囲にある、項目9に記載のグルコースポリマーベースの溶液。
(項目11)
前記第2の部分が、アミノ酸、ペプチド、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上の低分子量浸透圧剤をさらに含む、項目1に記載のグルコースポリマーベースの溶液。
(項目12)
前記第2の部分の低分子量浸透圧剤濃度が、約1%〜約6%の範囲にある、項目11に記載のグルコースポリマーベースの溶液。
(項目13)
腹膜透析溶液であって、以下:
グルコースポリマーを含有する第1の溶液を含む第1の部分であって、該第1の部分は、約1.5〜約5.0の範囲にあるpHを有する、第1の部分;
pH安定剤を含有する緩衝溶液を含む第2の部分;
を含み、そして
該第1の部分および該第2の部分は、該第1の部分および該第2の部分が、患者への注入の前に混合されて混合溶液を形成するように構築および配置されており、該混合溶液は、約6.5〜約7.4の範囲にあるpHを有する、腹膜透析溶液。
(項目14)
前記緩衝溶液が、約7.0〜約9.0の範囲にあるpHを含む、項目13に記載の腹膜溶液。
(項目15)
前記緩衝溶液が、約9.0〜約12.0の範囲にあるpHにおける炭酸水素塩を少なくとも含む、項目13に記載の腹膜透析溶液。
(項目16)
前記pH安定性が、炭酸水素ナトリウム、7と13との間にあるpK1を有する1つ以上のアミノ酸、グリシン、アラニン、ヒスチジン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、項目13に記載の腹膜透析溶液。
(項目17)
前記混合溶液が、約25.0mEq/L〜約45.0mEq/Lの範囲にある量でpH安定剤を含む、項目16に記載の腹膜透析溶液。
(項目18)
前記第1の部分と前記第2の部分との体積比が、約3:1〜約1:3の範囲にある、項目13に記載の腹膜透析溶液。
(項目19)
項目13に記載の腹膜溶液であって、前記第1の溶液が、以下:
約100.0〜約220.0(g/L)のイコデキストリン;
約5.0〜約10.0(mEq/L)の塩化カルシウム二水和物;および
約0.5〜約2.0(mEq/L)の塩化マグネシウム六水和物、
を含む、腹膜溶液。
(項目20)
項目13に記載の腹膜溶液であって、前記混合溶液が、以下:
約4.0〜約10.0(g/dL)のイコデキストリン;
約0.5〜約4.0(mEq/L)のカルシウム;
約0.25〜約2.0(mEq/L)のマグネシウム;
約120.0〜約135.0(mEq/L)のナトリウム;
約90.0〜約110.0(mEq/L)の塩化物;および
約30.0〜約45.0(mEq/L)の乳酸塩、
を含む、腹膜透析溶液。
(項目21)
前記グルコースポリマーが、イコデキストリンを含む、項目13に記載の腹膜透析溶液。
(項目22)
前記混合溶液が、約0.5%〜約4.0%の範囲にある低分子量浸透圧剤濃度をさらに含む、項目20に記載の腹膜透析溶液。
(項目23)
前記第1の部分が、複数チャンバー容器の第1のチャンバー中に保存され、そして前記第2の部分が、該複数チャンバー容器の第2のチャンバー中に保存される、項目13に記載の腹膜透析溶液。
(項目24)
腹膜透析溶液を生成する方法であって、該方法は、以下の工程:
第1の溶液および緩衝溶液を調製する工程であって、該第1の溶液は、約1.5〜約5.0の範囲にあるpHにおけるイコデキストリンを含み、そして該緩衝溶液は、約7.0〜約12.0の範囲にあるpHを有する、工程;ならびに
患者への注入の前に該第1の溶液と該緩衝溶液とを混合する工程、
を包含する、方法。
(項目25)
前記腹膜透析溶液が、約6.5〜約7.4の範囲にあるpHを含む、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記緩衝溶液が、塩化ナトリウム、乳酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、7と13との間にあるpK1を有する1つ以上のアミノ酸、グリシン、アラニン、ヒスチジン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される成分を含む、項目24に記載の方法。
(項目27)
項目24に記載の方法であって、前記第1の溶液が、以下:
約100.0〜約220.0(g/L)のイコデキストリン;
約5.0〜約10.0(mEq/L)の塩化カルシウム二水和物;および
約0.5〜約2.0(mEq/L)の塩化マグネシウム六水和物、
を含む、方法。
(項目28)
項目24に記載の方法であって、前記第1の溶液および前記緩衝溶液が、以下:
約4.0〜約10.0(g/dL)のイコデキストリン;
約0.5〜約4.0(mEq/L)のカルシウム;
約0.25〜約2.0(mEq/L)のマグネシウム;
約120.0〜約135.0(mEq/L)のナトリウム;
約90.0〜約110.0(mEq/L)の塩化物;および
約30.0〜約45.0(mEq/L)の乳酸塩、
を含む混合溶液を形成するように組み合わせられる、方法。
(項目29)
前記混合溶液が、約5.0mM以下の炭酸水素塩、約5.0mM以下のヒスチジン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるさらなる成分を含む、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記腹膜透析溶液が、約3:1〜約1:3の範囲にある前記第1の溶液と前記緩衝溶液との体積比で混合される、項目24に記載の方法。
(項目31)
患者に対して透析療法を提供する方法であって、該方法は、以下の工程:
第1の溶液および緩衝溶液を調製する工程であって、該第1の溶液は、約1.5〜約5.0の範囲にあるpHにおけるイコデキストリンを含み、そして該緩衝溶液は、約7.0〜約12.0の範囲にあるpHを有する、工程;
少なくとも該第1の溶液と該緩衝溶液とを混合して、混合溶液を形成する工程;ならびに
該患者に該混合溶液を注入する工程;
を包含する、方法。
(項目32)
前記混合溶液が、腹膜透析の間に前記患者に注入される、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記緩衝溶液が、塩化ナトリウム、乳酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、7と13との間にあるpK1を有する1つ以上のアミノ酸、グリシン、アラニン、ヒスチジン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される成分を含む、項目31に記載の方法。
(項目34)
項目31に記載の方法であって、前記第1の溶液が、以下:
約100.0〜約220.0(g/L)のイコデキストリン;
約5.0〜約10.0(mEq/L)の塩化カルシウム二水和物;および
約0.5〜約2.0(mEq/L)の塩化マグネシウム六水和物、
を含む、方法。
(項目35)
項目31に記載の方法であって、前記混合溶液が、以下:
約4.0〜約10.0(g/dL)のイコデキストリン;
約0.5〜約4.0(mEq/L)のカルシウム;
約0.25〜約2.0(mEq/L)のマグネシウム;
約120.0〜約135.0(mEq/L)のナトリウム;
約90.0〜約110.0(mEq/L)の塩化物;および
約30.0〜約45.0(mEq/L)の乳酸塩、
を含む、方法。
(項目36)
前記混合溶液が、約5.0mM以下の炭酸水素塩、約5.0mM以下のヒスチジン、およびこれらの混合物からなる群より選択されるさらなる成分を含む、項目35に記載の方法。
(項目37)
腹膜透析溶液であって、以下:
グルコースポリマー、カルシウム、およびマグネシウムを含有する第1の溶液を含む第1の部分であって、該第1の部分は、約1.5〜約5.0の範囲にあるpHを有する、第1の部分;
塩化ナトリウムおよび乳酸ナトリウムを含み、そして約7.0〜約12.0のpHを有する、第2の部分;
を含み、そして
該第1の部分および該第2の部分は、該第1の部分および該第2の部分が、患者への注入の前に混合されて混合溶液を形成するように構築および配置されており、該混合溶液は、約6.5〜約7.4の範囲にあるpHを有する、腹膜透析溶液。
(項目38)
前記第1の部分が、イコデキストリンを含む、項目37に記載の腹膜透析溶液。
(項目39)
項目38に記載の腹膜透析溶液であって、前記第1の溶液が、以下:
約5.0〜約10.0(mEq/L)の塩化カルシウム二水和物;および
約0.5〜約2.0(mEq/L)の塩化マグネシウム六水和物、
をさらに含む、腹膜透析溶液。
(項目40)
項目37に記載の腹膜透析溶液であって、前記第1の部分および前記第2の部分が、以下:
約4.0〜約10.0(g/dL)のイコデキストリン;
約0.5〜約4.0(mEq/L)のカルシウム;
約0.25〜約2.0(mEq/L)のマグネシウム;
約120.0〜約135.0(mEq/L)のナトリウム;
約90.0〜約110.0(mEq/L)の塩化物;および
約30.0〜約45.0(mEq/L)の乳酸塩、
を含む混合溶液を形成するように組み合わされる、腹膜透析溶液。
(項目41)
項目37に記載の腹膜透析溶液であって、前記第1の部分および前記第2の部分が、以下:
約4.0〜約10.0(g/dL)のイコデキストリン;
約0.5〜約4.0(mEq/L)のカルシウム;
約0.25〜約2.0(mEq/L)のマグネシウム;
約120.0〜約135.0(mEq/L)のナトリウム;
約90.0〜約110.0(mEq/L)の塩化物;
約10.0〜約15.0(mEq/L)の乳酸塩;および
約20.0〜約30.0(mEq/L)の炭酸水素塩、を含む混合溶液を形成するように組み合わされる、腹膜透析溶液。
(項目42)
前記第1の部分および前記第2の部分が、約0.5%〜約4.0%の範囲にある低分子量浸透圧剤濃度をさらに含む混合溶媒を形成するように組み合わせられる、項目37に記載の腹膜透析溶液。
本発明は、透析療法のような医学療法の間に使用され得る、改善されたグルコースポリマーベースの溶液およびこのグルコースポリマーベースの溶液の作製方法に関する。好ましい実施形態において、この溶液は、イコデキストリンベースの溶液である。本発明のグルコースポリマーベースの溶液は、生理学的なpHに、かつ、最小限のグルコース分解生成物を有するように作製され得る。このグルコースポリマーベースの溶液は、特に腹膜透析の間に適用される場合、向上した生体適合性を提供する。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
グルコースポリマーベースの溶液であって、以下:
グルコースポリマーを含有する第1の溶液を含む第1の部分であって、該第1の部分は、約1.5〜約5.0の範囲にあるpHを有する、第1の部分;
約7.0〜約12.0の範囲にあるpHにおける緩衝溶液を含む第2の部分;
を含み、そして
該第1の部分および該第2の部分は、該第1の部分および該第2の部分が、患者への注入の前に混合されるように構築および配置されている、グルコースポリマーベースの溶液。
(項目2)
前記第1の溶液が、有機酸、無機酸、塩酸、乳酸、酢酸、ピルビン酸、クレブストリカルボン酸回路の1つ以上の中間体、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される酸を含む、項目1に記載のグルコースポリマーベースの溶液。
(項目3)
前記第1の部分が、約100.0g/L〜約220.0g/Lの範囲にある量でイコデキストリンを含む、項目1に記載のグルコースポリマーベースの溶液。
(項目4)
前記緩衝溶液が、塩化ナトリウム、乳酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、7と13との間にあるpK1を有する1つ以上のアミノ酸、グリシン、アラニン、ヒスチジン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される成分を含む、項目1に記載のグルコースポリマーベースの溶液。
(項目5)
項目1に記載のグルコースポリマーベースの溶液であって、前記第1の溶液が、以下:
約100.0〜約220.0(g/L)のイコデキストリン;
約5.0〜約10.0(mEq/L)の塩化カルシウム二水和物;および
約0.5〜約2.0(mEq/L)の塩化マグネシウム六水和物、
を含む、グルコースポリマーベースの溶液。
(項目6)
項目1に記載のグルコースポリマーベースの溶液であって、前記第1の部分および前記第2の部分が、以下:
約4.0〜約10.0(g/dL)のイコデキストリン;
約0.5〜約4.0(mEq/L)のカルシウム;
約0.25〜約2.0(mEq/L)のマグネシウム;
約120.0〜約135.0(mEq/L)のナトリウム;
約90.0〜約110.0(mEq/L)の塩化物;および
約30.0〜約45.0(mEq/L)の乳酸塩、
を含む混合溶液を形成するように組み合わせられる、グルコースポリマーベースの溶液。
(項目7)
前記混合溶液が、約5.0mM以下の炭酸水素塩、約5.0mM以下のヒスチジン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるさらなる成分を含む、項目6に記載のグルコースポリマーベースの溶液。
(項目8)
前記混合溶液が、約0.5%〜約4.0%の範囲にある低分子量浸透圧剤濃度をさらに含む、項目7に記載のグルコースポリマーベースの溶液。
(項目9)
前記第1の部分が、グルコース、グリセロール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上の低分子量浸透圧剤をさらに含む、項目1に記載のグルコースポリマーベースの溶液。
(項目10)
前記第1の部分の低分子量濃度が、約1%〜約6%の範囲にある、項目9に記載のグルコースポリマーベースの溶液。
(項目11)
前記第2の部分が、アミノ酸、ペプチド、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上の低分子量浸透圧剤をさらに含む、項目1に記載のグルコースポリマーベースの溶液。
(項目12)
前記第2の部分の低分子量浸透圧剤濃度が、約1%〜約6%の範囲にある、項目11に記載のグルコースポリマーベースの溶液。
(項目13)
腹膜透析溶液であって、以下:
グルコースポリマーを含有する第1の溶液を含む第1の部分であって、該第1の部分は、約1.5〜約5.0の範囲にあるpHを有する、第1の部分;
pH安定剤を含有する緩衝溶液を含む第2の部分;
を含み、そして
該第1の部分および該第2の部分は、該第1の部分および該第2の部分が、患者への注入の前に混合されて混合溶液を形成するように構築および配置されており、該混合溶液は、約6.5〜約7.4の範囲にあるpHを有する、腹膜透析溶液。
(項目14)
前記緩衝溶液が、約7.0〜約9.0の範囲にあるpHを含む、項目13に記載の腹膜溶液。
(項目15)
前記緩衝溶液が、約9.0〜約12.0の範囲にあるpHにおける炭酸水素塩を少なくとも含む、項目13に記載の腹膜透析溶液。
(項目16)
前記pH安定性が、炭酸水素ナトリウム、7と13との間にあるpK1を有する1つ以上のアミノ酸、グリシン、アラニン、ヒスチジン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、項目13に記載の腹膜透析溶液。
(項目17)
前記混合溶液が、約25.0mEq/L〜約45.0mEq/Lの範囲にある量でpH安定剤を含む、項目16に記載の腹膜透析溶液。
(項目18)
前記第1の部分と前記第2の部分との体積比が、約3:1〜約1:3の範囲にある、項目13に記載の腹膜透析溶液。
(項目19)
項目13に記載の腹膜溶液であって、前記第1の溶液が、以下:
約100.0〜約220.0(g/L)のイコデキストリン;
約5.0〜約10.0(mEq/L)の塩化カルシウム二水和物;および
約0.5〜約2.0(mEq/L)の塩化マグネシウム六水和物、
を含む、腹膜溶液。
(項目20)
項目13に記載の腹膜溶液であって、前記混合溶液が、以下:
約4.0〜約10.0(g/dL)のイコデキストリン;
約0.5〜約4.0(mEq/L)のカルシウム;
約0.25〜約2.0(mEq/L)のマグネシウム;
約120.0〜約135.0(mEq/L)のナトリウム;
約90.0〜約110.0(mEq/L)の塩化物;および
約30.0〜約45.0(mEq/L)の乳酸塩、
を含む、腹膜透析溶液。
(項目21)
前記グルコースポリマーが、イコデキストリンを含む、項目13に記載の腹膜透析溶液。
(項目22)
前記混合溶液が、約0.5%〜約4.0%の範囲にある低分子量浸透圧剤濃度をさらに含む、項目20に記載の腹膜透析溶液。
(項目23)
前記第1の部分が、複数チャンバー容器の第1のチャンバー中に保存され、そして前記第2の部分が、該複数チャンバー容器の第2のチャンバー中に保存される、項目13に記載の腹膜透析溶液。
(項目24)
腹膜透析溶液を生成する方法であって、該方法は、以下の工程:
第1の溶液および緩衝溶液を調製する工程であって、該第1の溶液は、約1.5〜約5.0の範囲にあるpHにおけるイコデキストリンを含み、そして該緩衝溶液は、約7.0〜約12.0の範囲にあるpHを有する、工程;ならびに
患者への注入の前に該第1の溶液と該緩衝溶液とを混合する工程、
を包含する、方法。
(項目25)
前記腹膜透析溶液が、約6.5〜約7.4の範囲にあるpHを含む、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記緩衝溶液が、塩化ナトリウム、乳酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、7と13との間にあるpK1を有する1つ以上のアミノ酸、グリシン、アラニン、ヒスチジン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される成分を含む、項目24に記載の方法。
(項目27)
項目24に記載の方法であって、前記第1の溶液が、以下:
約100.0〜約220.0(g/L)のイコデキストリン;
約5.0〜約10.0(mEq/L)の塩化カルシウム二水和物;および
約0.5〜約2.0(mEq/L)の塩化マグネシウム六水和物、
を含む、方法。
(項目28)
項目24に記載の方法であって、前記第1の溶液および前記緩衝溶液が、以下:
約4.0〜約10.0(g/dL)のイコデキストリン;
約0.5〜約4.0(mEq/L)のカルシウム;
約0.25〜約2.0(mEq/L)のマグネシウム;
約120.0〜約135.0(mEq/L)のナトリウム;
約90.0〜約110.0(mEq/L)の塩化物;および
約30.0〜約45.0(mEq/L)の乳酸塩、
を含む混合溶液を形成するように組み合わせられる、方法。
(項目29)
前記混合溶液が、約5.0mM以下の炭酸水素塩、約5.0mM以下のヒスチジン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるさらなる成分を含む、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記腹膜透析溶液が、約3:1〜約1:3の範囲にある前記第1の溶液と前記緩衝溶液との体積比で混合される、項目24に記載の方法。
(項目31)
患者に対して透析療法を提供する方法であって、該方法は、以下の工程:
第1の溶液および緩衝溶液を調製する工程であって、該第1の溶液は、約1.5〜約5.0の範囲にあるpHにおけるイコデキストリンを含み、そして該緩衝溶液は、約7.0〜約12.0の範囲にあるpHを有する、工程;
少なくとも該第1の溶液と該緩衝溶液とを混合して、混合溶液を形成する工程;ならびに
該患者に該混合溶液を注入する工程;
を包含する、方法。
(項目32)
前記混合溶液が、腹膜透析の間に前記患者に注入される、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記緩衝溶液が、塩化ナトリウム、乳酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、7と13との間にあるpK1を有する1つ以上のアミノ酸、グリシン、アラニン、ヒスチジン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される成分を含む、項目31に記載の方法。
(項目34)
項目31に記載の方法であって、前記第1の溶液が、以下:
約100.0〜約220.0(g/L)のイコデキストリン;
約5.0〜約10.0(mEq/L)の塩化カルシウム二水和物;および
約0.5〜約2.0(mEq/L)の塩化マグネシウム六水和物、
を含む、方法。
(項目35)
項目31に記載の方法であって、前記混合溶液が、以下:
約4.0〜約10.0(g/dL)のイコデキストリン;
約0.5〜約4.0(mEq/L)のカルシウム;
約0.25〜約2.0(mEq/L)のマグネシウム;
約120.0〜約135.0(mEq/L)のナトリウム;
約90.0〜約110.0(mEq/L)の塩化物;および
約30.0〜約45.0(mEq/L)の乳酸塩、
を含む、方法。
(項目36)
前記混合溶液が、約5.0mM以下の炭酸水素塩、約5.0mM以下のヒスチジン、およびこれらの混合物からなる群より選択されるさらなる成分を含む、項目35に記載の方法。
(項目37)
腹膜透析溶液であって、以下:
グルコースポリマー、カルシウム、およびマグネシウムを含有する第1の溶液を含む第1の部分であって、該第1の部分は、約1.5〜約5.0の範囲にあるpHを有する、第1の部分;
塩化ナトリウムおよび乳酸ナトリウムを含み、そして約7.0〜約12.0のpHを有する、第2の部分;
を含み、そして
該第1の部分および該第2の部分は、該第1の部分および該第2の部分が、患者への注入の前に混合されて混合溶液を形成するように構築および配置されており、該混合溶液は、約6.5〜約7.4の範囲にあるpHを有する、腹膜透析溶液。
(項目38)
前記第1の部分が、イコデキストリンを含む、項目37に記載の腹膜透析溶液。
(項目39)
項目38に記載の腹膜透析溶液であって、前記第1の溶液が、以下:
約5.0〜約10.0(mEq/L)の塩化カルシウム二水和物;および
約0.5〜約2.0(mEq/L)の塩化マグネシウム六水和物、
をさらに含む、腹膜透析溶液。
(項目40)
項目37に記載の腹膜透析溶液であって、前記第1の部分および前記第2の部分が、以下:
約4.0〜約10.0(g/dL)のイコデキストリン;
約0.5〜約4.0(mEq/L)のカルシウム;
約0.25〜約2.0(mEq/L)のマグネシウム;
約120.0〜約135.0(mEq/L)のナトリウム;
約90.0〜約110.0(mEq/L)の塩化物;および
約30.0〜約45.0(mEq/L)の乳酸塩、
を含む混合溶液を形成するように組み合わされる、腹膜透析溶液。
(項目41)
項目37に記載の腹膜透析溶液であって、前記第1の部分および前記第2の部分が、以下:
約4.0〜約10.0(g/dL)のイコデキストリン;
約0.5〜約4.0(mEq/L)のカルシウム;
約0.25〜約2.0(mEq/L)のマグネシウム;
約120.0〜約135.0(mEq/L)のナトリウム;
約90.0〜約110.0(mEq/L)の塩化物;
約10.0〜約15.0(mEq/L)の乳酸塩;および
約20.0〜約30.0(mEq/L)の炭酸水素塩、を含む混合溶液を形成するように組み合わされる、腹膜透析溶液。
(項目42)
前記第1の部分および前記第2の部分が、約0.5%〜約4.0%の範囲にある低分子量浸透圧剤濃度をさらに含む混合溶媒を形成するように組み合わせられる、項目37に記載の腹膜透析溶液。
1つの実施形態において、本発明は、約1.5〜約5.0の範囲にあるpHにおけるグルコースポリマー(例えば、イコデキストリン)を含有する第1の溶液および約7.0〜約12.0の範囲にあるpHにおける緩衝溶液を少なくとも含む溶液であって、この第1の部分およびこの第2の部分は、患者への注入の前にこの第1の部分およびこの第2の部分が混合されるように構築および配置されている、溶液を提供する。例えば、混合の前および腹膜透析の間の患者への注入の前に、この第1の部分は、複数チャンバー容器の第1のチャンバー中に保存され得、そしてこの緩衝溶液は、この複数チャンバー容器の第2のチャンバー中に保存され得る。さらなる例として、この溶液は、濃縮物として別個に提供され得、そして混合デバイス(例えば、BAXTER HOMECHOICE(登録商標))が、注入の前にこの溶液を迅速に混合するために使用され得る。
この第1の溶液は、酸(例えば、有機酸(例えば、乳酸、酢酸、ピルビン酸、およびクレブストリカルボン酸回路の全ての中間体)、無機酸(例えば、塩酸)など、およびこれらの組み合わせ)で酸性化される。さらに、この第1の溶液は、約100.0(g/L)〜約220.0(g/L)のイコデキストリンおよび他の成分(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム二水和物、塩化マグネシウム六水和物など、およびこれらの組み合わせ)を含む。上記の緩衝溶液は、1つ以上の成分(例えば、塩化ナトリウム、乳酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、7と13との間にあるpK1を有する1つ以上のアミノ酸(例えば、ヒスチジン、グリシン、アラニンなど)、およびこれらの組み合わせ)を含む。
混合された場合、第1の部分および第2の部分は、例えば、以下を含む混合溶液を形成し得る:約4.0〜約10.0(g/dL)のイコデキストリン;約0.5〜約4.0(mEq/L)のカルシウム;約0.25〜約2.0(mEq/L)のマグネシウム;約120.0〜約135.0(mEq/L)のナトリウム;約90.0〜約110.0(mEq/L)の塩化物;約30.0〜約45.0(mEq/L)の乳酸塩など。この混合溶液は、例えば、約5.0mM以下の炭酸水素塩、約5.0mM以下のヒスチジンなど、およびこれらの組み合わせをさらに含み得る。
1つの実施形態において、本発明の腹膜透析溶液は、約6.5〜約7.4の範囲にあるpHを有する。緩衝溶液に対するグルコースポリマー溶液の体積比は、約3:1〜約1:3を含み得る。
別の実施形態において、本発明は、腹膜透析溶液を生成する方法を提供する。この方法は、第1の溶液および緩衝溶液を調製する工程であって、ここで、この第1の溶液は、約1.5〜約5.0の範囲にあるpHにおけるグルコースポリマー(例えば、イコデキストリン)を含み、そしてこの緩衝溶液は、約7.0〜約12.0の範囲にあるpHを有する、工程;および、患者への注入の前にこの第1の溶液と緩衝溶液とを混合する工程を包含する。
さらに別の実施形態において、本発明は、患者へ透析療法を提供する方法を提供する。この方法は、第1の溶液および緩衝溶液を調製する工程であって、ここで、この第1の溶液は、約1.5〜約5.0の範囲にあるpHにおけるグルコースポリマー(例えば、イコデキストリン)を含み、そしてこの緩衝溶液は、約7.0〜約12.0の範囲にあるpHを有する、工程;少なくとも第1の溶液と緩衝溶液とを混合して混合溶液を形成する工程;ならびに患者へこの混合溶液を注入する工程を包含する。
またさらに別の実施形態において、本発明の腹膜透析溶液は、グルコースポリマー(例えば、イコデキストリン)、カルシウム、およびマグネシウムを含有する第1の溶液を含む第1の部分であって、この第1の部分は約2.5〜約5.0の範囲にあるpHを有する、第1の部分;および、塩化ナトリウムおよび乳酸ナトリウムを含み、そして約7〜約12のpHを有する、第2の部分を有する。この第1の部分および第2の部分は、この第1の部分および第2の部分が、患者への注入の前に混合されて混合溶液を形成するように構築および配置される。ここで、この混合溶液は、約6.5〜約7.4の範囲にあるpHを有する。
本発明の利点は、改善された腹膜透析溶液を提供することである。
本発明の別の利点は、生理学的pHにおいて作製され得る腹膜透析溶液を提供することである。
さらに、本発明の利点は、最小限のグルコース分解生成物を有するように腹膜透析溶液を提供することである。
さらに、本発明の利点は、改善されたグルコースポリマーベースの溶液を提供することである。
本発明の別の利点は、腹膜透析のような透析療法の間に効果的に使用され得るグルコースポリマーベースの溶液を提供することである。
本発明のさらなる別の利点は、生理学的pHにおけるイコデキストリンを少なくとも含有する改善された溶液を生成するための改善された方法を提供することである。
本発明のさらに別の利点は、使用する準備ができていて、かつ安定なグルコースポリマーベースの溶液の使用を採用する医学療法(例えば、透析療法)を提供することである。
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の発明の詳細な説明および図面に記載され、以下の発明の詳細な説明および図面から明らかである。
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の発明の詳細な説明および図面に記載され、以下の発明の詳細な説明および図面から明らかである。
(発明の詳細な説明)
本発明は、改善された腹膜透析溶液、および、この腹膜透析溶液を製造し、使用する方法を提供する。より詳細には、本発明は、透析療法の一部として使用され得、そして使用する準備ができていて、かつ、安定な溶液として提供される、グルコースポリマーベースの溶液に関する。上記のように、本発明のグルコースポリマーベースの溶液は、生理学的pHで、最小限のグルコース分解生成物を有するように作製され得る。このグルコースポリマーベースの溶液は、特に、腹膜透析のような透析療法の間に適用される場合、向上した生体適合性を提供する。
本発明は、改善された腹膜透析溶液、および、この腹膜透析溶液を製造し、使用する方法を提供する。より詳細には、本発明は、透析療法の一部として使用され得、そして使用する準備ができていて、かつ、安定な溶液として提供される、グルコースポリマーベースの溶液に関する。上記のように、本発明のグルコースポリマーベースの溶液は、生理学的pHで、最小限のグルコース分解生成物を有するように作製され得る。このグルコースポリマーベースの溶液は、特に、腹膜透析のような透析療法の間に適用される場合、向上した生体適合性を提供する。
透析療法に関して、本発明は、腎不全を処置するために種々の異なる透析療法において使用され得る。用語または同様の用語としての透析療法は、本明細書の全体に亘って使用され、患者から老廃物、毒素、および過剰の水を除去するために患者の血液を利用する、任意の形態および全ての形態の療法を含み、包含することが意図される。このような療法(例えば、血液透析、血液濾過、および血液濾過透析)は、間歇的な療法、および持続的腎機能代替療法(CRRT)に使用される持続的な療法の両方を含む。この持続的な療法としては、例えば、持続的緩徐式限外濾過(slow continuous ultrafiltration;SCUF)、持続的静静脈血液濾過(continuous venovenous hemofiltration;CVVH)、持続的静静脈血液透析(continuous venovenous hemodialysis;CVVHD)、持続的静静脈血液濾過透析(continuous venovenous hemodiafiltration;CVVHDF)、持続的動静脈血液濾過(continuous arteriovenous hemofiltration;CAVH)、持続的動静脈血液透析(continuous arteriovenous hemodialysis;CAVHD)、持続的動静脈血液濾過透析(continuous arteriovenous hemodiafiltration;CAVHDF)、持続的限外濾過、定期的間歇的血液透析などが挙げられる。イコデキストリンベースの溶液はまた、腹膜透析の間に使用され得、この腹膜透析としては、例えば、持続的携帯型腹膜透析、自動化腹膜透析、持続的フロー腹膜透析などが挙げられる。さらに、本発明は、1つの実施形態において、慢性的な腎不全または腎臓疾患を有する患者に対して透析療法を提供する方法で利用され得るが、本発明は、急性的な透析ニーズ(例えば、緊急治療室環境において)のために使用され得ることが認識されるべきである。最後に、当業者が認識するように、療法(すなわち、血液濾過、血液透析、腹膜透析、および血液濾過透析)の間歇的形態は、センター、自己/限定的な管理、および自宅環境において使用され得る。
1つの実施形態において、グルコースポリマーベースの溶液は、任意の適切な透析療法の間の透析物として使用され得る。あるいは、本発明の溶液は、透析療法の間(特に、持続的腎機能代替療法の間)の置換溶液、注入溶液などとして、患者に投与され得るか、または注入され得る。この点において、置換溶液、注入溶液などは、持続的腎機能代替療法の間に代表的に除去される過剰量の血漿の水分に対する代用物として、患者へ必ず持続的に供給されなければならない。この点において、患者の身体における適切な水分バランスは、効果的に維持され得る。
本発明のグルコースポリマーベースの溶液は、任意の適切な量で種々の異なる成分を含み得る。この溶液は、使用の前に混合される2つの部分を少なくとも含む。好ましい実施形態において、このグルコースポリマーは、イコデキストリンである。例えば、第1の部分は、イコデキストリンを含有する第1の溶液を含み得る。1つの実施形態において、このイコデキストリンは、約100.0g/L〜約220.0g/Lの範囲にある量である。さらに、この第1の部分は、約1.5〜約5.0の範囲にあるpH(例えば、2.5、3.0など)を有する。この点において、イコデキストリンベースの溶液の分解は、加熱滅菌の間に最小限化され得る。このグルコースポリマーベースの溶液は、任意の適切な方法(例えば、濾過滅菌、加熱滅菌、蒸気滅菌、放射線滅菌、および/または同様の滅菌技術)で滅菌され得ることが認識されるべきである。
この第1の部分は、グルコースポリマーに加えて、多くの適切で異なる型および量の成分を含み得る。例えば、この第1の部分は、有機酸(例えば、乳酸、酢酸、ピルビン酸、クレブストリカルボン酸回路の全ての中間体)、無機酸(例えば、塩酸)などのような酸、およびこれらの組み合わせを含む。1つの実施形態において、第1の溶液は、約100.0〜約220.0(g/L)のイコデキストリン、約5.0〜約10.0(mEq/L)の塩化カルシウム二水和物、約0.5〜約2.0(mEq/L)の塩化マグネシウム六水和物など、およびこれらの組み合わせを含む。
第2の部分は、種々の異なる適切な物質を含み得る。1つの実施形態において、グルコースポリマーベースの溶液の第2の部分は、約7.0〜約12.0の範囲にあるpHにおける緩衝溶液を含む。この緩衝溶液は、例えば、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、乳酸ナトリウム、7と13との間にあるpK1を有する1つ以上のアミノ酸(例えば、ヒスチジン、グリシン、アラニンなど)など、およびこれらの組み合わせを含み得る。
本発明のグルコースポリマーベースの溶液は、任意の適切な型、数、および量のさらなる成分を含み得ることが認識されるべきである。例えば、本発明の溶液は、1つ以上の任意の適切な型および量の低分子量浸透圧剤(例えば、グルコース、グリセロール、アミノ酸、ペプチドなど、およびこれらの組み合わせ)を含み得る。第1の部分の低分子量浸透圧剤としては、例えば、グルコース、グリセロールなどが挙げられ得る。1つの実施形態において、第1の部分の低分子量浸透圧剤濃度は、約1%〜約6%の範囲にある。第2の部分の低分子量浸透圧剤としては、例えば、アミノ酸、ペプチドなどが挙げられ得る。1つの実施形態において、第2の部分の低分子量浸透圧剤濃度は、約1%〜約6%の範囲にある。この第1の部分および第2の部分が、混合され、組み合わせられて本発明のイコデキストリンベースの溶液を形成するような場合、このイコデキストリンベースの溶液の低分子量浸透圧剤濃度は、1つの実施形態において、約0.5〜約4%の範囲にある。
pHは、上記で考察されるようなpH範囲内の任意の適切なpHを含むように調整され得る。例えば、pHは、pH安定剤(例えば、炭酸水素ナトリウム、ヒスチジンなど、およびこれらの組み合わせ)を用いて、約7.0〜約9.0へ、好ましくは約7.0〜約8.0へ調整され得る。1つの実施形態において、緩衝液チャンバーのpHは、約9.0〜約12.0の範囲にあり得る。このpH範囲は、乳酸塩が炭酸水素塩で置換され、その結果、炭酸水素塩が炭酸塩として存在するとき、効果的に使用され得る。これは、溶液中にCO2を含むためのガスバリア性外袋についての必要性を排除する。
1つの実施形態において、第1の部分および第2の部分は、少なくとも第1の部分および第2の部分が、患者への注入の前に混合されるように構築および配置される。例えば、この第1の部分は、複数チャンバー容器の第1のチャンバー中に保存され、そして第2の部分は、複数チャンバー容器の第2のチャンバー中に保存される。
溶液の成分は、任意の適切な様式で収容され得るか、または含まれ得、その結果、本発明のグルコースポリマーベースの溶液は、効果的に調製され得、そして投与され得ることが、認識されるべきである。1つの実施形態において、本発明は、2つの部分のイコデキストリン含有溶液を含み、このイコデキストリン含有溶液において、各部分または各成分は、別個に処方されて保存され、そして次いで、使用の直前に混合される。種々の容器が、2つの部分のグルコースポリマー含有溶液を収容するために使用され得る。この容器は、例えば、適切な液体連絡機構によって連結される別個の容器(すなわち、フラスコまたはバッグ)である。1つの実施形態において、複数チャンバー容器または複数チャンバーバッグが、上述したような溶液の別個の成分を収容するために使用され得る。さらなる例によると、これらの溶液は、濃縮物として別個に提供され得、そして、混合デバイス(例えば、BAXTER HOMECHOICE(登録商標))が、注入の前に迅速に溶液を混合するために使用され得る。
図1は、本発明の炭酸水素塩ベースの溶液を保存し、処方し、そして投与するための適切な容器を例示する。複数チャンバーバッグ10は、第1のチャンバー12および第2のチャンバー14を有する。容器の内部は、ヒートシール16で2つのチャンバーに分けられる。この容器は、任意の適切なシールで別個のチャンバーに分けられ得ることが、認識されるべきである。1つの実施形態において、容器は、ピールシールで別個のチャンバー(例えば、2つのチャンバー)に分けられ得る。複数チャンバー容器10はまた、第1のチャンバー12を第2のチャンバー14に封着的に連結する、壊れやすいコネクター18を有する。複数チャンバーバッグ10の中の溶液を混合するために、壊れやすいコネクター18は、壊される。
第1の容器または第1のチャンバー12は、例えば異なる長さを有する2つのポートチューブを含む。図1に示されるように、短いポートチューブ20は、必要な場合、本発明の溶液の処方の間に他の構成成分を第1のチャンバー12へ加えるために利用され得る。長いポートチューブ22は、例えば患者の投与ライン(示されていない)を介して、患者へ第1のチャンバー12を適合させて連結するために利用され得る。第2の容器または第2のチャンバー14は、この第2の容器または第2のチャンバー14から伸びる、例えば固体ロッド(示されていない)により閉められる単一のポートチューブ24を有する。この点において、このチャンバーへ任意のさらなる構成成分を加え、そして/または、このチャンバーを患者の投与ラインへ連結することは不可能であり、その結果、チャンバー14は、その構成成分を患者へ送達することに適合され得ない。
1つの実施形態において、複数チャンバーバッグ10内の生成物の移動は、それにより、第2のチャンバー14から第1のチャンバー12へ開始され、その結果、各チャンバーの成分は、適切に混合されて本発明のイコデキストリンベースの溶液を形成し得る。この点において、第1のチャンバー12は、体積において第2のチャンバー14よりも大きく、その結果、各チャンバーの成分は、第2のチャンバーから第1のチャンバーへの移動が一旦起これば、適切に混合され得る。従って、複数チャンバーバッグ10は、混合の後に使用の用意ができている透析溶液をもたらす、少なくとも2つの溶液を収容し得る。複数チャンバー容器の例は、米国特許第5,431,496号に示され、米国特許第5,431,496号の開示は、本明細書中で参考として援用される。複数チャンバーバッグは、気体透過性物質(例えば、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなど)から作製され得る。
1つの実施形態において、容器は、任意の適切な方法で、ガスバリアを有して作製され得る。例えば、このガスバリアは、容器物質の中に存在し得る。あるいは、このガスバリアは、外袋、第2のライナーなどであり得る。ガスバリアは、任意の適切な物質から構成され得る。1つの実施形態において、ガスバリアは、エチルビニルアセテート、ポリ二塩化ビニル、エチルビニルアセテートとポリ二塩化ビニルとのコポリマー、ポリマー性物質を含む他の適切な物質、およびこれらの組み合わせから構成される。
本発明の容器は、種々の異なる適切な物質から製造され得、そして多くの適切な方法で構成され得、その結果、本発明のイコデキストリンベースの溶液は、効果的に処方され得、そして医学療法中の患者へ投与され得ることが認識されるべきである。例えば、第2のチャンバーは、体積において第1のチャンバーよりも大きくあり得、その結果、本発明のイコデキストリンベースの溶液は、容易的にかつ効果的に作製され得、そして、第2のチャンバーから患者へ投与され得る。
グルコースポリマーベースの溶液は、使用の前に少なくとも2つの部分を混合することによって調製され得る。1つの実施形態において、本発明の混合したグルコースポリマーベースの溶液は、約4.0〜約10.0(g/dL)のイコデキストリン、約0.5〜約4.0(mEq/L)のカルシウム、約0.25〜約2.0(mEq/L)のマグネシウム、約120.0〜約135.0(mEq/L)のナトリウム、約90.0〜約110.0(mEq/L)の塩化物、約30.0〜約45.0(mEq/L)の乳酸塩など、およびこれらの組み合わせを少なくとも含む。例えば、混合溶液は、約5.0mM以下の炭酸水素塩、約5.0mM以下のヒスチジン、およびこれらの組み合わせを含み得る。
1つの実施形態において、混合溶液は、約6.5〜約7.4の範囲にあるpHを有する。第2の部分のpH安定剤は、1つの実施形態において、約25.0mEq/L〜約45.0mEq/Lの範囲にある量で、混合溶液中に含まれ得る。イコデキストリンベースの溶液は、1つの実施形態において、約3:1〜約1:3の範囲にある、イコデキストリン含有溶液と緩衝溶液との体積比を含む。
本発明の実施例および非限定的な実施例を、ここで示す。
(組成物の実施例1)
この実験を、イコデキストリン(7.5%溶液)の安定性に対するpHの効果を決定するために行った。イコデキストリンの安定性を、滅菌前後の異なるpH値におけるイコデキストリン溶液の吸光度を測定することによって評価した。
実験1のデータは、イコデキストリンの分解が、滅菌前のpHを2.5と4.0との間のpHに調整することによって、50%よりも大きく減少し得ることを示唆する。酸性が強すぎるpHは、イコデキストリンの分子量の変化をもたらす、イコデキストリンの加水分解をもたらすことが注目される。イコデキストリンチャンバーの最適pHは、加水分解および分解が最小限であるpHである。
(実験2)
この実験を、本発明の実施形態に従って調製された混合溶液のpHを決定するために行った。
この実験を、本発明の実施形態に従って調製された混合溶液のpHを決定するために行った。
部分1の溶液を、1リットルの溶液中に以下の成分を混合することによって調製した:
本明細書中で記載される現在の好ましい実施形態に対する種々の変化および変更は、当業者にとって明らかであることが理解されるべきである。このような変化および変更は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、かつ、この意図された利点を減少させることなく、行われ得る。従って、このような変化および変更は、添付の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
Claims (1)
- 明細書に記載の発明。
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