JP2016155504A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Noriyoshi Koyama
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Abstract

【課題】サイド部に設けられる凸部により剛性が調整される空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】空気入りタイヤは、ラグ溝によって区画され、異なるピッチ長の複数のピッチパターンがタイヤ周方向に設けられるトレッド部と、ピッチパターンを区画するラグ溝とトレッド部の接地端との交差部によって区画された複数の区画領域がタイヤ周方向に設定されるサイド部と、区画領域に複数設けられる角錐状の凸部と、を備える。隣接する凸部は、凸部の底辺を共有する。底辺で規定される凸部の外形の大きさは、複数の区画領域のそれぞれで異なる。
【選択図】図4

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
特許文献1及び特許文献2に開示されているように、外観の向上等を目的として、空気入りタイヤのサイド部に微小な凸部を設けることが知られている。
特許第5230229号 特開2008−189165号
ところで、空気入りタイヤにおいて、トレッド部に剛性が高い部分と低い部分とが存在すると、空気入りタイヤの走行性能が低下したり、空気入りタイヤが装着された車両の乗り心地が悪化したりする可能性がある。
本発明の態様は、サイド部に設けられる凸部により剛性が調整される空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明の態様に従えば、ラグ溝によって区画され、異なるピッチ長の複数のピッチパターンがタイヤ周方向に設けられるトレッド部と、前記ピッチパターンを区画する前記ラグ溝と前記トレッド部の接地端との交差部によって区画された複数の区画領域がタイヤ周方向に設定されるサイド部と、前記区画領域に複数設けられる角錐状の凸部と、を備え、隣接する前記凸部は、前記凸部の底辺を共有し、前記底辺で規定される前記凸部の外形の大きさは、複数の前記区画領域のそれぞれで異なる、空気入りタイヤが提供される。
本発明の態様によれば、トレッドパターンにピッチバリエーション構造が採用され、異なるピッチ長の複数のピッチパターンがタイヤ周方向に設けられるので、空気入りタイヤの走行において騒音エネルギーが分散され、パターンノイズの発生が抑制される。また、サイド部に設けられた角錐状の複数の凸部によって、空気入りタイヤの剛性が調整される。隣接する凸部において底辺が共有される複数の凸部によって、サイド部にPCCPシェル構造が設けられる。PCCPシェル構造により、サイド部を含む空気入りタイヤの剛性が向上する。複数の区画領域のそれぞれで凸部の外形の大きさを変えることにより、タイヤ周方向の剛性が調整される。外形が大きい凸部が設けられる区画領域のサイド部の剛性は、外形が小さい凸部が設けられる区画領域のサイド部の剛性よりも高い。ピッチ長が長い部分のトレッド部の剛性は、ピッチ長が短い部分のトレッド部の剛性よりも低い。そのため、ピッチパターンによってトレッド部に剛性が高い部分と低い部分とが存在しても、複数の区画領域のそれぞれで凸部の外形の大きさを変えてサイド部に剛性が高い部分と低い部分とを設けることにより、タイヤ周方向の空気入りタイヤの剛性が調整される。タイヤ周方向の空気入りタイヤの剛性が調整されることにより、空気入りタイヤの走行性能、及びその空気入りタイヤが装着された車両の乗り心地が改善される。
本発明の態様において、前記ピッチパターンは、第1ピッチ長の第1ピッチパターンと、前記第1ピッチ長よりも長い第2ピッチ長の第2ピッチパターンとを含み、前記区画領域は、前記第1ピッチパターンを区画するラグ溝によって区画される第1区画領域と、前記第2ピッチパターンを区画するラグ溝によって区画される第2区画領域とを含み、前記第1区画領域に設けられる前記凸部の前記外形は、前記第2区画領域に設けられる前記凸部の前記外形よりも大きくてもよい。
ピッチ長が短い第1ピッチパターンが設けられている部分のトレッド部の剛性は、ピッチ長が長い第2ピッチパターンが設けられている部分のトレッド部の剛性よりも低い。外形が大きい凸部が設けられる第1区画領域のサイド部の剛性は、外形が小さい凸部が設けられる第2区画領域のサイド部の剛性よりも高い。そのため、第1ピッチパターンに対応する第1区画領域に設けられる凸部の外形を、第2ピッチパターンに対応する第2区画領域に設けられる凸部の外形よりも大きくすることによって、タイヤ周方向の空気入りタイヤの剛性が均一化される。タイヤ周方向の空気入りタイヤの剛性が均一化されることにより、空気入りタイヤのユニフォミティが改善される。
本発明の態様において、隣接する前記区画領域の境界部に設けられ、少なくとも一部が前記凸部と接続される壁部を備えてもよい。
区画領域の境界部に設けられる凸部が途中で切られ、望みの形状に形成されない可能性がある。その結果、境界部におけるサイド部の剛性が局所的に低下する可能性がある。凸部と接続される壁部が境界部に設けられることにより、境界部の凸部は壁部に支えられる。そのため、サイド部の剛性が局所的に低下することが抑制される。
本発明の態様において、前記壁部は、前記凸部の高さと実質的に同一の高さに配置される平面を有してもよい。
これにより、壁部は凸部を十分に支えることができる。
本発明の態様において、前記凸部の高さは、0.5mm以上5.0mm以下でもよい。
これにより、凸部の形状が維持され、サイド部の剛性が確保される。凸部の高さが0.5mmよりも大きい場合、凸部が倒れてしまう可能性がある。凸部の高さが0.5mmよりも小さい場合、PCCPシェル構造としての本来の機能が得られず、剛性が確保されない可能性がある。
本発明の態様において、前記凸部は四角錐状であり、前記凸部の前記底辺は、前記タイヤ周方向に配置される周方向底辺と、タイヤ径方向に配置される径方向底辺とを含み、前記周方向底辺の寸法は、前記ピッチ長の5%以上100%以下でもよい。
これにより、凸部の形状が維持され、サイド部の剛性が確保される。周方向底辺の寸法がピッチ長の100%よりも大きい場合、望みの形状を有する凸部を区画領域に設けることが困難となる。その結果、PCCPシェル構造としての本来の機能が得られない可能性がある。周方向底辺の寸法がピッチ長の5%よりも小さい場合、1つの凸部の外形の大きさが小さくなりすぎてしまう。この場合も、PCCPシェル構造としての本来の機能が得られない可能性がある。
本発明の態様によれば、サイド部に設けられる凸部により剛性が調整される空気入りタイヤが提供される。
図1は、第1実施形態に係る空気入りタイヤの一例を示す断面図である。 図2は、第1実施形態に係る空気入りタイヤの一部を示す子午断面図である。 図3は、第1実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド部の一例を示す平面図である。 図4は、第1実施形態に係る空気入りタイヤのサイド部の一例を示す平面図である。 図5は、第1実施形態に係る凸部の一例を示す平面図である。 図6は、第1実施形態に係る凸部の一例を示す斜視図である。 図7は、第2実施形態に係る空気入りタイヤのサイド部の一例を示す平面図である。 図8は、第2実施形態に係る空気入りタイヤのサイド部の一例を示す断面図である。 図9は、本発明に係る空気入りタイヤ及び従来例に係る空気入りタイヤの評価試験の結果を示す図である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るタイヤ1の一例を示す断面図である。タイヤ1は、空気入りタイヤである。タイヤ1は、中心軸(回転軸)AXを中心に回転可能である。図1は、タイヤ1の中心軸AXを通る子午断面を示す。
以下の説明においては、中心軸AXを中心とするタイヤ1の回転方向を適宜、タイヤ周方向、と称し、中心軸AXに対する放射方向を適宜、タイヤ径方向と称し、中心軸AXと平行な方向を適宜、タイヤ幅方向、と称する。
タイヤ1の中心軸AXは、タイヤ赤道面CLと直交する。タイヤ赤道面CLは、タイヤ幅方向に関してタイヤ1の中心を通る。
タイヤ幅方向に関して外側とは、タイヤ幅方向に関してタイヤ赤道面CLから離れる方向を含む。タイヤ幅方向に関して内側とは、タイヤ幅方向に関してタイヤ赤道面CLに近付く方向を含む。タイヤ径方向に関して外側とは、タイヤ径方向に関して中心軸AXから離れる方向を含む。タイヤ径方向に関して内側は、タイヤ径方向に関して中心軸AXに近付く方向を含む。
タイヤ1は、カーカス部2と、ベルト層3と、ベルトカバー4と、ビード部5と、トレッド部10と、サイドウォール部9を含むサイド部7とを備えている。トレッド部10は、トレッドゴム6を含む。サイド部7は、サイドゴム8を含む。
タイヤ1の外径を示すタイヤ外径ODとは、タイヤ1を正規リムにリム組みして、正規内圧を充填して、タイヤ1に荷重を加えない無負荷状態のときの、タイヤ1の直径をいう。
タイヤ1のリム径を示すタイヤリム径RDとは、タイヤ1に適合するホイールのリム径をいう。タイヤリム径RDは、タイヤ内径と等しい。
タイヤ1の総幅を示すタイヤ総幅SWとは、タイヤ1を正規リムにリム組みして、正規内圧を充填して、タイヤ1に荷重を加えない無負荷状態のときの、タイヤ幅方向に関するタイヤ1の最大の寸法をいう。すなわち、タイヤ総幅SWとは、タイヤ幅方向に関してトレッドゴム6の一方側に配置されたサイドウォール部9の最も外側の部位と、他方側に配置されたサイドウォール部9の最も外側の部位との距離をいう。サイドウォール部9の表面にそのサイドウォール部9の表面から突出する構造物が設けられている場合、タイヤ総幅SWとは、その構造物を含むタイヤ幅方向に関するタイヤ1の最大の寸法をいう。サイドウォール部9の表面から突出する構造物は、サイドウォール部9においてサイドゴム8の少なくとも一部によって形成された文字、マーク、及び模様の少なくとも一つを含む。
タイヤ1の断面幅を示すタイヤ断面幅Sとは、タイヤ1を正規リムにリム組みして、正規内圧を充填して、タイヤ1に荷重を加えない無負荷状態のときの、タイヤ総幅SWから文字、マーク、及び模様の少なくとも一つを含む構造物を除いた、タイヤ幅方向に関するタイヤ1の最大の寸法をいう。すなわち、タイヤ断面幅Sとは、構造物を除いたときの、タイヤ幅方向に関してトレッドゴム6の一方側に配置されたサイドウォール部9の最も外側の部位を示す最大幅位置Hと、他方側に配置されたサイドウォール部9の最も外側の部位を示す最大幅位置Hとの距離をいう。なお、リムを保護するリムプロテクトバーがタイヤ1に設けられる場合がある。リムプロテクトバーは、タイヤ周方向に設けられ、タイヤ幅方向の外側に突出する。リムプロテクトバーが設けられたタイヤ1においては、タイヤ幅方向に関してリムプロテクトバーが最も外側の部位を含むこととなるが、タイヤ断面幅Sは、リムプロテクトバーを除いた寸法である。
トレッド部10の接地幅を示すトレッド接地幅TWとは、タイヤ1を正規リムにリム組みして、正規内圧を充填して、平面上に垂直に置いて、正規荷重を加えた負荷状態のときに測定される、タイヤ幅方向に関する接地幅の最大値をいう。すなわち、トレッド接地幅TWとは、タイヤ幅方向に関してタイヤ赤道面CLの一方側のトレッド部10の接地端Tと他方側のトレッド部10の接地端Tとの距離をいう。
トレッド部10の接地端Tとは、タイヤ1を正規リムにリム組みして、正規内圧を充填して、平面上に垂直に置いて、正規荷重を加えた負荷状態のときにトレッド部10が接地する部分のタイヤ幅方向の端部をいう。
トレッド部10の展開幅を示すトレッド展開幅TDWとは、タイヤ1を正規リムにリム組みして、正規内圧を充填して、タイヤ1に荷重を加えない無負荷状態のときの、タイヤ1のトレッド部10の展開図における両端の直線距離をいう。
「正規リム」とは、タイヤ1が基づく規格を含む規格体系において、その規格がタイヤ1毎に定めているリムであり、JATMAであれば標準リム、TRAであれば“Design Rim”、ETRTOであれば“Measuring Rim”である。但し、タイヤ1が新車装着タイヤの場合には、このタイヤ1が組まれる純正ホイールを用いる。
「正規内圧」とは、タイヤ1が基づく規格を含む規格体系において、その規格がタイヤ1毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“INFLATION PRESSURE”である。但し、タイヤ1が新車装着タイヤの場合には、車両に表示された空気圧とする。
「正規荷重」とは、タイヤ1が基づく規格を含む規格体系において、その規格がタイヤ1毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“LOAD CAPACITY”である。但し、タイヤ1が乗用車である場合には前記荷重の88%に相当する荷重とする。タイヤ1が新車装着タイヤの場合には、車両の車検証記載の前後軸重をそれぞれタイヤの数で除して求めた輪荷重とする。
図2は、本実施形態に係るタイヤ1の一部を示す子午断面図である。図2に示すように、タイヤ1は、カーカス部2と、ベルト層3と、ベルトカバー4と、ビード部5と、トレッド部10と、サイドウォール部9を含むサイド部7とを備えている。
カーカス部2、ベルト層3、及びベルトカバー4のそれぞれは、コードを含む。コードは、補強材である。コードを、ワイヤと称してもよい。カーカス部2、ベルト層3、及びベルトカバー4のような補強材を含む層をそれぞれ、コード層と称してもよいし、補強材層と称してもよい。
カーカス部2は、タイヤ1の骨格を形成する強度部材である。カーカス部2は、コードを含む。カーカス部2のコードを、カーカスコードと称してもよい。カーカス部2は、タイヤ1に空気が充填されたときの圧力容器として機能する。カーカス部2は、ビード部5に支持される。ビード部5は、タイヤ幅方向に関してカーカス部2の一側及び他側のそれぞれに配置される。カーカス部2は、ビード部5において折り返される。カーカス部2は、有機繊維のカーカスコードと、そのカーカスコードを覆うゴムとを含む。なお、カーカス部2は、ポリエステルのカーカスコードを含んでもよいし、ナイロンのカーカスコードを含んでもよいし、アラミドのカーカスコードを含んでもよいし、レーヨンのカーカスコードを含んでもよい。
ベルト層3は、タイヤ1の形状を保持する強度部材である。ベルト層3は、コードを含む。ベルト層3のコードを、ベルトコードと称してもよい。ベルト層3は、カーカス部2とトレッドゴム6との間に配置される。ベルト層3は、例えばスチールなどの金属繊維のベルトコードと、そのベルトコードを覆うゴムとを含む。なお、ベルト層3は、有機繊維のベルトコードを含んでもよい。本実施形態において、ベルト層3は、第1ベルトプライ3Aと、第2ベルトプライ3Bとを含む。第1ベルトプライ3Aと第2ベルトプライ3Bとは、第1ベルトプライ3Aのコードと第2ベルトプライ3Bのコードとが交差するように積層される。
ベルトカバー4は、ベルト層3を保護し、補強する強度部材である。ベルトカバー4は、コードを含む。ベルトカバー4のコードを、カバーコードと称してもよい。ベルトカバー4は、タイヤ1の中心軸AXに対してベルト層3の外側に配置される。ベルトカバー4は、例えばスチールなどの金属繊維のカバーコードと、そのカバーコードを覆うゴムとを含む。なお、ベルトカバー4は、有機繊維のカバーコードを含んでもよい。
ビード部5は、カーカス部2の両端を固定する強度部材である。ビード部5は、タイヤ1をリムに固定させる。ビード部5は、ビードコア5Aと、ビードフィラー5Bとを有する。ビードコア5Aは、ビードワイヤがリング状に巻かれた部材である。ビードワイヤは、スチールワイヤである。ビードフィラー5Bは、カーカス部2のタイヤ幅方向端部がビードコア5Aの位置で折り返されることにより形成された空間に配置されるゴム材である。
トレッドゴム6は、カーカス部2を保護する。トレッドゴム6に、トレッド部10と、トレッド部10に設けられた複数の溝20とが形成される。トレッド部10は、路面と接触する接地面(踏面)11を含む。トレッド部10は、溝20の間に配置される陸部12を含む。
溝20は、タイヤ周方向に配置される複数の主溝21と、少なくとも一部がタイヤ幅方向に配置されるラグ溝22(図3参照)とを含む。主溝21の少なくとも一部は、タイヤ赤道面CLとトレッド部10とが交差するタイヤ赤道線と平行である。
ラグ溝22は、主溝21と交差するように設けられる。ラグ溝22の少なくとも一部は、タイヤ幅方向と平行である。ラグ溝22は、タイヤ幅方向及びタイヤ周方向のそれぞれに対して傾斜していてもよい。ラグ溝22の少なくとも一部は、主溝21と接続される。ラグ溝22の少なくとも一部は、タイヤ赤道線に対して接地端Tの内側(タイヤ赤道線側)に設けられる。ラグ溝22の少なくとも一部は、タイヤ赤道線に対して接地端Tの内側と外側とに亘って設けられる。
サイドゴム8は、カーカス部2を保護する。サイドゴム8は、タイヤ幅方向に関してトレッドゴム6の一側及び他側のそれぞれに配置される。サイドゴム8に、サイド部7が形成される。
トレッド部10は、タイヤ赤道面CLを含むセンター部13と、タイヤ幅方向に関してセンター部13の両側に設けられるショルダー部14とを含む。本実施形態において、主溝21は、センター部13及びショルダー部14のそれぞれに設けられる。ラグ溝22も、センター部13及びショルダー部14のそれぞれに設けられる。
サイド部7は、タイヤ幅方向に関してトレッド部10の一側及び他側のそれぞれに設けられる。サイドウォール部9は、サイド部7のうち、タイヤ幅方向に関して外側に最も膨らんだ部分を含む。サイド部7は、タイヤ赤道面CLに対してトレッド部10の接地端Tよりも外側に配置される。
本実施形態において、サイド部7とは、トレッド部10の接地端TとリムチェックラインRとの間のタイヤ1の表面の領域をいう。接地端Tは、トレッド部10のショルダー部14とサイド部7との境界を含む。リムチェックラインRとは、タイヤ1のリム組みが正常に行われているか否かを確認するためのラインである。一般に、リムチェックラインRは、タイヤ径方向に関してリムフランジよりも外側のビード部5の表面において、リムフランジに沿ってタイヤ周方向に連続する環状の凸線として示される。
本実施形態においては、サイド部7に複数の凸部100が設けられる。凸部100は、サイド部7のうち、リムチェックラインRから径方向外側に10mmの位置Nと接地端Tとの間の領域ARに設けられる。
図3は、本実施形態に係るトレッド部10の一例を示す平面図である。図3に示すように、トレッド部10は、溝20によって形成されるトレッドパターンを有する。溝20は、タイヤ周方向に延在する複数の主溝21と、主溝21の間に設けられる複数の陸部12と、少なくとも一部がタイヤ幅方向に延在する複数のラグ溝22とを有する。
主溝21とは、1[mm]以上の溝幅を有し、4[mm]以上の溝深さを有し、少なくとも一部がタイヤ周方向に延在する縦溝をいう。主溝21は、内部にトレッドウェアインジケータ(スリップサイン)を有する。トレッドウェアインジケータは、摩耗末期を示す。なお、主溝21は、トレッドウェアインジケータの表示義務を有する周方向主溝のみならず、周方向主溝よりも溝幅が狭い周方向細溝も含む。なお、周方向主溝とは、一般に、6[mm]以上の溝幅を有し、7[mm]以上の溝深さを有する主溝21をいう。
ラグ溝22とは、2[mm]以上の溝幅を有し、3[mm]以上の溝深さを有し、少なくとも一部がタイヤ幅方向に延在する横溝をいう。ラグ溝22は、陸部12をタイヤ幅方向に貫通するオープン構造でもよいし、一方の端部が陸部12で終端するセミクローズド構造でもよいし、両方の端部が陸部12で終端するクローズド構造でもよい。
溝幅とは、接地面(踏面)11における溝幅の最大値をいう。溝幅は、溝開口部に形成された切欠部及び面取部を除外して測定される。溝深さとは、接地面(踏面)11から溝底までの最大値をいう。溝深さは、溝底に形成された部分的な凹凸部を除外して測定される。
図3に示す例では、主溝21は、タイヤ赤道面CL上に設けられた周方向細溝である主溝21Dと、一方の接地端Tの近傍に設けられた周方向細溝である主溝21Aと、主溝21Aよりもタイヤ赤道面CL側に設けられた周方向主溝である主溝21Bと、主溝21Dと主溝21Bとの間に設けられた周方向細溝である主溝21Cと、他方の接地端Tの近傍に設けられた周方向主溝である主溝21Fと、主溝21Fと主溝21Dとの間に設けられた周方向主溝である主溝21Eとを含む。
ラグ溝22は、一方の接地端Tの内側と外側とに亘って設けられ、主溝21Aと接続されるラグ溝22Aと、主溝21Bとタイヤ赤道面CLとの間に設けられ、主溝21B、主溝21C、及び主溝21Dと接続されるラグ溝22Bと、他方の接地端Tの内側と外側とに亘って設けられ、主溝21Fと接続されるラグ溝22Cとを含む。
ラグ溝22Aは、タイヤ周方向に緩やかに湾曲しながらタイヤ幅方向に延在して、一方の接地端Tを跨ぐように形成される。ラグ溝22Aは、タイヤ周方向に所定間隔で配置され、接地端T上にある陸部12を複数のブロック51に分断する。これにより、ブロック列が形成されている。ブロック51のそれぞれにサイプ61が設けられる。サイプ61は、ブロック51の内部で終端するクローズド構造であり、接地端Tに交差しつつタイヤ幅方向に延在する。主溝21Aと主溝21Bとの間の陸部12に、複数のサイプ62が設けられる。サイプ62は、ラグ溝22Aの延長線上に配置され、主溝21Bと接続される。
ラグ溝22Bは、タイヤ周方向に緩やかに湾曲しながらタイヤ幅方向に延在して、主溝22Bと主溝21Cと主溝21Dとを接続するように設けられる。ラグ溝22Bは、タイヤ周方向に所定間隔で配置され、主溝21Bと主溝21Cとの間の陸部12と、主溝21Cと主溝21Dとの間の陸部12とを、複数のブロック52に分断する。これにより、主溝22Bとタイヤ赤道面CLとの間に、2列のブロック列が形成される。
主溝21Dと主溝21Eとの間の陸部12、及び主溝21Eと主溝21Fとの間の陸部12は、タイヤ周方向に連続するリブである。これらの陸部12にはそれぞれ、複数の切欠71及び切欠72が形成される。切欠71及び切欠72は、タイヤ周方向に所定間隔で設けられる。
ラグ溝22Cは、タイヤ周方向に緩やかに湾曲しながらタイヤ幅方向に延在して、他方の接地端Tを跨ぐように形成される。ラグ溝22Cは、主溝21Fと接続される。ラグ溝22Cは、タイヤ周方向に所定間隔で配置され、主溝21Fと他方の接地端Tとの間の陸部12をタイヤ周方向に分断する。
このように、本実施形態においては、タイヤ赤道面CLに対して左右非対称なトレッドパターンが形成される。
トレッド部10は、センター部13とショルダー部14とを含む。ショルダー部14は、タイヤ幅方向に関してセンター部13の一側に配置されるショルダー部14Aと、他側に配置されるショルダー部14Bとを含む。
一方のショルダー部14Aは、タイヤ赤道面CLからタイヤ幅方向の一方側に向かってタイヤ接地幅TWの15[%]以上40[%]の距離Wa(0.15≦Wa/TW≦0.40)に存在する第1の周方向主溝よりも、タイヤ幅方向の一方側の領域をいう。一方のショルダー部14Aは、一方の接地端Tを含む。
他方のショルダー部14Bは、タイヤ赤道面CLからタイヤ幅方向の他方側に向かってタイヤ接地幅TWの15[%]以上40[%]の距離Wb(0.15≦Wb/TW≦0.40)に存在する第2の周方向主溝よりも、タイヤ幅方向の他方側の領域をいう。他方のショルダー部14Bは、他方の接地端Tを含む。
センター部13は、第1の周方向主溝と第2の周方向主溝との間の領域をいう。
図3に示す例では、主溝21Bが、第1の周方向溝であり、この主溝21Bを境界として、一方のショルダー部14Aが規定される。主溝21Fが、第2の周方向溝であり、この主溝21Fを境界として、他方のショルダー部14Bが規定される。
本実施形態において、トレッド部10は、ラグ溝22によって区画された複数のピッチパターンを有する。ピッチパターンは、タイヤ周方向に設けられる。複数のピッチパターンのピッチ長は異なる。
ピッチパターン(ピッチ)とは、タイヤ周方向に沿って同一の又は類似するパターンが繰り返されるときの、パターン構成要素の最小単位をいう。換言すれば、ピッチパターンとは、タイヤ周方向に同一の又は類似するデザインの溝パターンが複数設けられている場合において、1つの溝パターンでタイヤ1のトレッド部10に規定される部分をいう。溝パターンは、主溝21、ラグ溝22、サイプ、及びカーフの少なくとも一つを含む。ラグ溝21及びサイプは、陸部を貫通していない切欠きや切れ込み状のものを含む。ピッチパターンは、タイヤ周方向に配置された2つのラグ溝22で区画される。なお、ピッチパターンは、タイヤ周方向に配置された2つのサイプで区画されてもよい。ピッチパターンは、タイヤ周方向に配置された第1の幅のラグ溝と第1の幅とは異なる第2の幅のラグ溝とで区画されてもよいし、タイヤの周方向に配置されたラグ溝とサイプとで区画されてもよい。
サイプとは、1.5mm未満の溝幅を有する溝である。サイプの少なくとも一部は、タイヤ幅方向に延在してもよいし、タイヤ周方向に延在してもよい。
ブロックとは、タイヤの周方向に隣り合う2つのラグ溝22でタイヤ1のトレッド部10に規定される部分をいう。ブロックは、タイヤ周方向に隣り合う同一の幅のラグ溝22で区画されてもよいし、タイヤ周方向に隣り合う第1の幅のラグ溝と第1の幅とは異なる第2の幅のラグ溝とで区画されてもよい。
複数種類のピッチパターンを含むトレッドパターンは、ピッチバリエーション構造と呼ばれる。ピッチバリエーション構造を有するトレッド部10では、走行時に発生するピーク音圧の周波数帯域が分散して、パターンノイズが減少する。これにより、タイヤの騒音性能が向上する。
本実施形態において、トレッド部10は、ピッチバリエーション構造を採用する。トレッド部10は、ピッチ長が異なる複数のピッチパターンを有する。ピッチ長とは、タイヤ1を規定リムにリム組みして、正規内圧を充填して、タイヤ1に荷重を加えない無負荷状態のときの、1つのピッチパターンのタイヤ周方向の寸法をいう。
本実施形態においては、一方のショルダー部14Aにおいて、異なるピッチ長Paの複数のピッチパターン80がタイヤ周方向に設けられている。図3に示す例では、ピッチパターン80の種類の総数を示すピッチ数が4である例を示す。
すなわち、図3に示す例では、トレッド部10のショルダー部14Aは、ピッチ長Pa1のピッチパターン81と、ピッチ長Pa1よりも長いピッチ長Pa2のピッチパターン82と、ピッチ長Pa2よりも長いピッチ長Pa3のピッチパターン83と、ピッチ長Pa3よりも長いピッチ長Pa4のピッチパターン84と、を含む。
また、他方のショルダー部14Bにおいても、異なるピッチ長Pbの複数のピッチパターン90がタイヤ周方向に設けられている。図3に示す例では、ピッチパターン90の種類の総数を示すピッチ数が4である例を示す。
すなわち、図3に示す例では、トレッド部10のショルダー部14Bは、ピッチ長Pb1のピッチパターン91と、ピッチ長Pb1よりも長いピッチ長Pb2のピッチパターン92と、ピッチ長Pb2よりも長いピッチ長Pb3のピッチパターン93と、ピッチ長Pb3よりも長いピッチ長Pb4のピッチパターン94と、を含む。
また、図3に示す例では、センター部13においても、異なるピッチ長Pcの複数のピッチパターンがタイヤ周方向に設けられる。図3に示す例では、センター部13は、ピッチ長Pc1のピッチパターンと、ピッチ長Pc1よりも長いピッチ長Pc2のピッチパターンと、ピッチ長Pc2よりも長いピッチ長Pc3のピッチパターンと、ピッチ長Pc3よりも長いピッチ長Pc4のピッチパターンと、を含む。
なお、ピッチ数は、4種類に限られず、任意の複数(N数)でよい。
図4は、本実施形態に係るサイド部7に設けられた凸部100の一例を示す図である。凸部100は、サイド部7の表面から突出するように設けられる。サイド部7と凸部100とは一体である。サイド部7の表面は、サイドゴム8の表面である。凸部100は、サイドゴム8によって形成される。
本実施形態においては、サイド部7において、タイヤ周方向に複数の区画領域200が設定される。区画領域200は、ピッチパターン80を区画するラグ溝22とトレッド部10の接地端Tとの交差部Cによって区画される。
本実施形態においては、複数のピッチパターン80は、タイヤ周方向に配置されたラグ溝22Aによって区画される。交差部Cは、タイヤ周方向に関するラグ溝22Aの中点と接地端Tとが交差する点である。
より具体的には、図4に示すように、区画領域200は、交差部Cと、タイヤ1の中心軸AXとを結ぶ仮想線ILによって区画される。
図4に示す例では、区画領域200は、ピッチパターン81を区画するラグ溝22によって区画される区画領域201と、ピッチパターン82を区画するラグ溝22によって区画される区画領域202と、ピッチパターン83を区画するラグ溝22によって区画される区画領域203と、ピッチパターン84を区画するラグ溝22によって区画される区画領域204とを含む。
複数の区画領域200のそれぞれに凸部100が設けられる。凸部100は、角錐状である。本実施形態において、凸部100は、四角錐状である。1つの区画領域200に、複数の凸部100が設けられる。以下の説明においては、区画領域201に設けられる凸部100を適宜、凸部101、と称し、区画領域202に設けられる凸部100を適宜、凸部102、と称し、区画領域203に設けられる凸部100を適宜、凸部103、と称し、区画領域204に設けられる凸部100を適宜、凸部104、と称する。
図5は、本実施形態に係る凸部100の一例を示す平面図である。図6は、本実施形態に係る凸部100の一例を示す斜視図である。
凸部100は四角錐状である。凸部100は、4つの底辺150と、4つの斜辺160とを有する。1つの底辺150と2つの斜辺160とによって、三角形状の斜面170が設けられる。凸部100は、4つの斜面170を有する。4つの斜面170の頂点は、合致するように設けられる。4つの斜面170の頂点によって、凸部100の先端部180が設けられる。
本実施形態において、隣接する凸部100は、底辺150を共有する。隣接する凸部100において底辺150が共有される複数の凸部100によって、サイド部7にPCCPシェル構造が設けられる。
凸部100の底辺150は、タイヤ周方向に配置される周方向底辺151及び周方向底辺152と、タイヤ径方向に配置される径方向底辺153及び径方向底辺154とを含む。タイヤ周方向に隣接する凸部100は、径方向底辺153及び径方向底辺154を共有する。タイヤ径方向に隣接する凸部100は、周方向底辺151及び周方向底辺152を共有する。
周方向底辺151は、周方向底辺152よりもタイヤ径方向の外側に配置される。なお、周方向底辺151及び周方向底辺152は、厳密には、タイヤ周方向に沿う曲線であり、周方向底辺151の寸法(弧長)は、周方向底辺152の寸法(弧長)よりも長い。また、径方向底辺153及び径方向底辺154は、厳密には、平行でなく、タイヤ径方向に関して内側に向かって径方向底辺153と径方向底辺154との距離は短くなる。一方、凸部100の大きさは、タイヤ1全体の大きさに比べて十分に小さい。そのため、周方向底辺151と周方向底辺152とは直線であり、平行であるとみなされてもよい。径方向底辺153と径方向底辺154とは直線であり、平行であるとみなされてもよい。
また、4つの底辺150の長さは同一であり、4つの底辺150で規定される形状は、実質的に正方形であるとみなされてもよい。
本実施形態において、底辺150で規定される凸部100の外形の大きさは、複数の区画領域200のそれぞれで異なる。
凸部100の外形の大きさは、中心軸AXと直交する面内における凸部100の外形(面積)を含む。換言すれば、凸部100の外形の大きさは、4つの底辺150で規定される凸部100の仮想底面の面積を含む。
図4に示すように、本実施形態において、区画領域201に設けられる凸部101の外形は、区画領域202に設けられる凸部102の外形よりも大きい。区画領域202に設けられる凸部102の外形は、区画領域203に設けられる凸部103の外形よりも大きい。区画領域203に設けられる凸部103の外形は、区画領域204に設けられる凸部104の外形よりも大きい。
すなわち、ピッチ長Paが長くなるほど、そのピッチ長Paのピッチパターン80に対応する区画領域200に設けられる凸部100の外形は小さくなる。ピッチ長Paが短くなるほど、そのピッチ長Paのピッチパターン80に対応する区画領域200に設けられる凸部100の外形は大きくなる。
本実施形態において、凸部101の高さと、凸部102の高さと、凸部103の高さと、凸部104の高さとは、実質的に等しい。凸部100(101、102、103、104)の高さとは、凸部100が設けられるサイド部7の表面と直交する方向に関する、サイド部7の表面と凸部100の先端部180との距離をいう。凸部100の高さが、サイド部7の表面と直交する方向に関する、底辺150と先端部180との距離とみなされてもよい。
本実施形態において、凸部100の高さは、0.5mm以上5.0mm以下である。
周方向底辺151は、周方向底辺152よりもタイヤ径方向の外側に配置される。タイヤ径方向に配置される複数の凸部100のうち、タイヤ径方向に関して最も外側に配置される周方向底辺151の寸法は、ピッチ長Paの5%以上100%以下に定められる。ピッチ長Paと、タイヤ周方向に関する区画領域200の最大寸法とは、実質的に同一であるとみなすことができる。したがって、周方向底辺151の寸法がピッチ長Paの100%であることは、周方向底辺151の寸法とタイヤ周方向の区画領域200の最大寸法とが一致することを意味し、区画領域200に少なくとも1個の凸部100がおさまることを意味する。また、周方向底辺151の寸法がピッチ長Paの5%であることは、タイヤ周方向に関して区画領域200に20個の凸部100がおさまることを意味する。
以上、ショルダー部14Aに設けられるピッチパターン80、及びショルダー部14Aに隣接するサイド部7に設けられる凸部100について説明した。ショルダー部14Bに設けられるピッチパターン90、及びショルダー部14Bに隣接するサイド部7に設けられる凸部100についても同様であるため、その説明を省略する。
以上説明したように、本実施形態によれば、トレッドパターンにピッチバリエーション構造が採用され、異なるピッチ長Paの複数のピッチパターン80がタイヤ周方向に設けられるので、タイヤ1の走行において騒音エネルギーが分散され、パターンノイズの発生が抑制される。
また、サイド部7に設けられた四角錐状の複数の凸部100によって、タイヤ1の剛性が調整される。隣接する凸部100において底辺150が共有される複数の凸部100によって、サイド部7にPCCPシェル構造が設けられる。PCCPシェル構造により、サイド部7を含むタイヤ1の剛性が向上する。
複数の区画領域200のそれぞれで凸部100の外形の大きさを変えることにより、タイヤ周方向の剛性が調整される。外形が大きい凸部100(例えば凸部101)が設けられている区画領域200(例えば区画領域201)のサイド部7の剛性は、外形が小さい凸部100(例えば凸部104)が設けられている区画領域200(例えば区画領域204)のサイド部7の剛性よりも高い。ピッチ長Paが長いピッチパターン80(例えばピッチパターン84)が設けられているトレッド部10の剛性は、ピッチ長Paが短いピッチパターン80(例えばピッチパターン81)が設けられているトレッド部10の剛性よりも低い。そのため、ピッチパターン80によってトレッド部10に剛性が高い部分と低い部分とが存在しても、複数の区画領域200のそれぞれで凸部100の外形の大きさを変えてサイド部7に剛性が高い部分(例えば区画領域201)と、剛性が低い部分(例えば区画領域204)とを設けることにより、タイヤ周方向のタイヤ1の剛性が調整される。タイヤ周方向のタイヤ1の剛性が調整されることにより、タイヤ1の走行性能、及びそのタイヤ1が装着された車両の乗り心地が改善される。
また、本実施形態においては、ピッチ長Paが長くなるほど、そのピッチ長Paのピッチパターン80に対応する区画領域200に設けられる凸部100の外形が小さく、ピッチ長Paが短くなるほど、そのピッチ長Paのピッチパターン80に対応する区画領域200に設けられる凸部100の外形が大きい。これにより、タイヤ周方向に関するタイヤ1の剛性が均一化される。タイヤ周方向のタイヤ1の剛性が均一化されることにより、タイヤ1のユニフォミティが改善される。
また、本実施形態においては、凸部100の高さは、0.5mm以上5.0mm以下である。これにより、凸部100の形状が維持され、サイド部7の剛性が確保される。凸部100の高さが0.5mmよりも大きい場合、凸部100が倒れてしまう可能性がある。凸部100の高さが0.5mmよりも小さい場合、PCCPシェル構造としての本来の機能が得られず、剛性が確保されない可能性がある。
また、本実施形態においては、凸部100は四角錐状であり、凸部100の底辺150のうち、周方向底辺151の寸法は、ピッチ長Paの5%以上100%以下である。これにより、凸部100の形状が維持され、サイド部7の剛性が確保される。周方向底辺151の寸法がピッチ長Paの100%よりも大きい場合、区画領域200に凸部100がおさまることができず、望みの形状を有する凸部100を区画領域200に設けることが困難となる。その結果、PCCPシェル構造としての本来の機能が得られない可能性がある。周方向底辺150の寸法がピッチ長の5%よりも小さい場合、1つの凸部100の外形の大きさが小さくなりすぎてしまう。この場合も、PCCPシェル構造としての本来の機能が得られない可能性がある。
なお、本実施形態においては、凸部100が四角錐状であることとした。凸部100は、三角錐状でもよいし、五角錐状でもよいし、六角錐状でもよいし、八角錐状でもよい。以下の実施形態においても同様である。
なお、本実施形態においては、ピッチ長Paが長くなるほど、そのピッチ長Paのピッチパターン80に対応する区画領域200に設けられる凸部100の外形が小さく、ピッチ長Paが短くなるほど、そのピッチ長Paのピッチパターン80に対応する区画領域200に設けられる凸部100の外形が大きいこととした。目標とするタイヤ周方向の剛性の分布に基づいて、区画領域200のそれぞれに設けられる凸部100の外形の大きさが任意に設定されてもよい。例えば、異なる4つのピッチ長Pa1からピッチ長Pa4に対応する区画領域201から区画領域204が設定される場合において、区画領域201に凸部102が設けられ、区画領域202に凸部101が設けられ、区画領域203に凸部104が設けられ、区画領域204に凸部103が設けられてもよい。タイヤ周方向に関するタイヤ1の剛性は、ピッチ長Paによって変化する場合があるし、タイヤ1の内部構造によっても変化する可能性がある。例えば、カーカス部2とベルト層3との重なり具合や、ベルトカバー4の配置具合に応じて、タイヤ周方向に関するタイヤ1の剛性が変化する可能性がある。そのような場合、ピッチ長Paのみならず、タイヤ1の内部構造も考慮して、タイヤ周方向に関して望みの剛性の分布が得られるように、複数の区画領域201から区画領域204のそれぞれに設ける凸部100の外形の大きさを決めてもよい。
<第2実施形態>
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図7は、本実施形態に係るサイド部7の一例を示す平面図である。図8は、本実施形態に係るサイド部7の一例を示す断面図である。
図7及び図8に示すように、本実施形態において、タイヤ1は、隣接する区画領域200の境界部に設けられ、少なくとも一部が凸部100と接続される壁部300を備える。図7及び図8は、一例として、区画領域201とその区画領域201に隣接する区画領域202との境界部に設けられる壁部300を示す。
壁部300は、仮想線ILに沿って形成される。壁部300は、区画領域201と区画領域202とを隔てる。
壁部300は、凸部101の高さ及び凸部102の高さと実質的に同一の高さに配置される平面301を有する。
図7及び図8に示すように、タイヤ周方向に関するピッチ長Pa(区画領域200の寸法)と凸部100の寸法との関係に起因して、区画領域200の境界部に設けられる凸部100が途中で切られ、望みの形状(四角錐状)に形成されない可能性がある。例えば、図8に示すように、タイヤ周方向に関して底辺150の寸法が不足した凸部101e及び凸部102eが形成されたり、高さが不足した凸部102eが形成されたりする可能性がある。その結果、境界部におけるサイド部7の剛性が局所的に低下する可能性がある。
凸部101及び凸部102と接続される壁部300が区画領域201と区画領域202との境界部に設けられることにより、境界部の凸部101e及び凸部102eは壁部300に支えられる。そのため、サイド部7の剛性が局所的に低下することが抑制される。
また、壁部300は、凸部101の高さ及び凸部102の高さと実質的に同一の高さに配置される平面301を有するので、壁部300は凸部101e及び凸部102eを十分に支えることができる。なお、壁部300の高さとは、目標形状に形成されている凸部100の高さと同一の高さを意味し、図7及び図8に示したような、目標高さに対して不足した高さの凸部101e及び凸部102eの高さは含まない。
なお、上述の実施形態においては、凸部100は、サイド部7のうち、最大幅位置Hと接地端Tとの間に設けられることとした。凸部100は、サイド部7のうち、最大幅位置HとリムチェックラインRとの間に設けられてもよい。
<実施例>
次に、本発明に係るタイヤ1及び比較例(従来例)に係るタイヤ1の評価試験の結果について説明する。図9は、本発明に係るタイヤ1及び比較例に係るタイヤ1の評価試験の結果を示す図である。
評価試験では、ピッチバリエーション構造を有する比較例に係るタイヤ1及び実施例に係るタイヤ1のサイド部7に凸部100を設け、そのタイヤ1のユニフォミティを評価した。比較例及び実施例の両方とも、使用したタイヤ1のタイヤサイズは、195/65R15であり、タイヤ1のピッチ数は、5ピッチである。以下の説明においては、5つのピッチパターンのそれぞれを、ピッチパターンA、ピッチパターンB、ピッチパターンC、ピッチパターンD、及びピッチパターンE、と称する。ピッチパターンAのピッチ長はPAであり、ピッチパターンBのピッチ長はPBであり、ピッチパターンCのピッチ長はPCであり、ピッチパターンDのピッチ長はPDであり、ピッチパターンEのピッチ長はPEである。ピッチ長PA、ピッチ長PB、ピッチ長PC、ピッチ長PD、及びピッチ長PEのうち、ピッチ長PAが最も長く、ピッチ長PAに次いでピッチ長PBが長く、ピッチ長PBに次いでピッチ長PCが長く、ピッチ長PCに次いでピッチ長PDが長く、ピッチ長PEが最も短い。すなわち、「PA>PB>PC>PD>PE」の関係が成立する。
比較例及び実施例それぞれのタイヤ1のサイド部7に、ピッチパターンAに対応する区画領域200A、ピッチパターンBに対応する区画領域200B、ピッチパターンCに対応する区画領域200C、ピッチパターンDに対応する区画領域200D、及びピッチパターンEに対応する区画領域200Eが設定される。
また、比較例及び実施例それぞれのタイヤ1のサイド部7に、凸部100A、凸部100B、凸部100C、凸部100D、及び凸部100Eが設けられる。凸部100A、凸部100B、凸部100C、凸部100D、及び凸部100Eのうち、凸部100Eの外形が最も大きく、凸部100Eに次いで凸部100Dの外形が大きく、凸部100Dに次いで凸部100Cの外形が大きく、凸部100Cに次いで凸部100Bの外形が大きく、凸部100Aの外形が最も小さい。すなわち、「100A<100B<100C<100D<100E」の関係が成立する。
実施例1から実施例5は、上述の実施形態に従って、区画領域200Aに凸部100Aが設けられ、区画領域200Bに凸部100Bが設けられ、区画領域200Cに凸部100Cが設けられ、区画領域200Dに凸部100Dが設けられ、区画領域200Eに凸部100Eが設けられたタイヤ1の評価試験の結果を示す。
比較例は、区画領域200Aに凸部100Eが設けられ、区画領域200Bに凸部100Dが設けられ、区画領域200Cに凸部100Cが設けられ、区画領域200Dに凸部100Bが設けられ、区画領域200Eに凸部100Aが設けられたタイヤ1の評価試験の結果を示す。
比較例に係る凸部100(100A、100B、100C、100D、100E)の高さは、6[mm]である。実施例1に係る凸部100の高さは、3[mm]である。実施例2に係る凸部100の高さは、0.5[mm]である。実施例3に係る凸部100の高さは、5[mm]である。実施例4に係る凸部100の高さは、3[mm]である。実施例5に係る凸部100の高さは、3[mm]である。
比較例に係る凸部100の周方向底辺151の寸法は、ピッチ長の100[%]以上130[%]以下である。実施例1に係る凸部100の周方向底辺151の寸法は、ピッチ長の30[%]以上100[%]以下である。実施例2に係る凸部100の周方向底辺151の寸法は、ピッチ長の30[%]以上100[%]以下である。実施例3に係る凸部100の周方向底辺151の寸法は、ピッチ長の30[%]以上100[%]以下である。実施例4に係る凸部100の周方向底辺151の寸法は、ピッチ長の5[%]以上50[%]以下である。実施例5に係る凸部100の周方向底辺151の寸法は、ピッチ長の50[%]以上100[%]以下である。
また、基準タイヤとして、ピッチバリエーション構造を有さず、凸部100も設けられていないタイヤについての評価試験も実施した。
評価試験は、タイヤのユニフォミティ試験として、タイヤ周方向の剛性のばらつきを評価した。基準タイヤのユニフォミティ指数を基準値100とし、比較例及び実施例のそれぞれについて指数評価を行った。この評価では、数値が大きいほどユニフォミティが良好であるタイヤといえる。
図9に示すように、比較例に係るユニフォミティ指数は95であり、基準タイヤに比べて、ユニフォミティが悪い。一方、実施例1に係るユニフォミティ指数は107、実施例2に係るユニフォミティ指数は102、実施例3に係るユニフォミティ指数は103、実施例4に係るユニフォミティ指数は104、実施例5に係るユニフォミティ指数は104であり、凸部100を適切に設けることにより、ユニフォミティが改善されることが確認できる。また、実施例1から分かるように、凸部100の高さを適切に定めることによって、ユニフォミティが良化されることが確認できる。
1 タイヤ(空気入りタイヤ)
2 カーカス部
3 ベルト層
3A 第1ベルトプライ
3B 第2ベルトプライ
4 ベルトカバー
5 ビード部
5A ビードコア
5B ビードフィラー
6 トレッドゴム
7 サイド部
8 サイドゴム
9 サイドウォール部
10 トレッド部
11 接地面(踏面)
12 陸部
13 センター部
14 ショルダー部
14A ショルダー部
14B ショルダー部
20 溝
21 主溝
22 ラグ溝
80 ピッチパターン
81 ピッチパターン
82 ピッチパターン
83 ピッチパターン
84 ピッチパターン
90 ピッチパターン
91 ピッチパターン
92 ピッチパターン
93 ピッチパターン
94 ピッチパターン
100 凸部
101 凸部
102 凸部
103 凸部
104 凸部
150 底辺
151 周方向底辺
152 周方向底辺
153 径方向底辺
154 径方向底辺
160 斜辺
170 斜面
180 先端部
200 区画領域
201 区画領域
202 区画領域
203 区画領域
204 区画領域
300 壁部
301 平面
AX 中心軸
C 交差部
CL タイヤ赤道面
H 最大幅位置
IL 仮想線
OD タイヤ外径
Pa ピッチ長
Pa1 ピッチ長
Pa2 ピッチ長
Pa3 ピッチ長
Pa4 ピッチ長
Pb ピッチ長
Pb1 ピッチ長
Pb2 ピッチ長
Pb3 ピッチ長
Pb4 ピッチ長
Pc ピッチ長
Pc1 ピッチ長
Pc2 ピッチ長
Pc3 ピッチ長
Pc4 ピッチ長
R リムチェックライン
RD タイヤリム径
S タイヤ断面幅
SW タイヤ総幅
T 接地端
TDW トレッド展開幅
TW トレッド接地幅

Claims (6)

  1. ラグ溝によって区画され、異なるピッチ長の複数のピッチパターンがタイヤ周方向に設けられるトレッド部と、
    前記ピッチパターンを区画する前記ラグ溝と前記トレッド部の接地端との交差部によって区画された複数の区画領域がタイヤ周方向に設定されるサイド部と、
    前記区画領域に複数設けられる角錐状の凸部と、
    を備え、
    隣接する前記凸部は、前記凸部の底辺を共有し、
    前記底辺で規定される前記凸部の外形の大きさは、複数の前記区画領域のそれぞれで異なる、
    空気入りタイヤ。
  2. 前記ピッチパターンは、第1ピッチ長の第1ピッチパターンと、前記第1ピッチ長よりも長い第2ピッチ長の第2ピッチパターンとを含み、
    前記区画領域は、前記第1ピッチパターンを区画するラグ溝によって区画される第1区画領域と、前記第2ピッチパターンを区画するラグ溝によって区画される第2区画領域とを含み、
    前記第1区画領域に設けられる前記凸部の前記外形は、前記第2区画領域に設けられる前記凸部の前記外形よりも大きい、
    請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 隣接する前記区画領域の境界部に設けられ、少なくとも一部が前記凸部と接続される壁部を備える、
    請求項1又は請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記壁部は、前記凸部の高さと実質的に同一の高さに配置される平面を有する、
    請求項3に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記凸部の高さは、0.5mm以上5.0mm以下である、
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記凸部は四角錐状であり、
    前記凸部の前記底辺は、前記タイヤ周方向に配置される周方向底辺と、タイヤ径方向に配置される径方向底辺とを含み、
    前記周方向底辺の寸法は、前記ピッチ長の5%以上100%以下である、
    請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
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