JP2016155354A - インクジェット装置のクリーニング方法およびインクジェット装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明に係るインクジェット装置のクリーニング方法の一態様は、
放射線硬化型インクジェット組成物を吐出するインクジェット装置において、
インクジェットヘッドのノズル面を、グリコールエステル類を含む有機溶剤を含浸させた吸収体を備える払拭手段により払拭する払拭工程を備える。
類を含む含浸液を含浸させた吸収体を備える払拭部材により払拭することにより、放射線硬化型インクジェット組成物の凝集を抑制し、クリーニング性に優れたインクジェット記録装置のクリーニング方法を提供することができる。
適用例1のクリーニング方法において、
前記グリコールエステル類の炭素数が8以上であることができる。
適用例1または適用例2のクリーニング方法において、
前記グリコールエステル類がグリコールエーテルエステルであることができる。
適用例1ないし適用例3のいずれか一例のクリーニング方法において、
前記放射線硬化型インクジェット組成物を前記記録媒体へ吐出する記録工程の間、前記有機溶剤を含浸させた前記吸収体を待機させて、前記記録工程後に前記払拭工程を行うことができる。
適用例1ないし適用例4のいずれか一例のクリーニング方法において、
前記放射線硬化型インクジェット組成物が、3官能以上の重合性化合物を含有する放射線硬化型組成物であることができる。
適用例1ないし適用例5のいずれか一例のクリーニング方法において、
前記吸収体が、さらに界面活性剤を含浸させていることができる。
適用例6のクリーニング方法において、
前記界面活性剤が、ポリエーテル変性シリコーン系、ポリエステル変性シリコーン系およびアセチレンジオール系からなる群より選択される少なくとも一種であることができる。
本発明に係るインクジェット記録装置の一態様は、
適用例1ないし適用例7のいずれか一例のクリーニング方法によりクリーニングを行うことを特徴とする。
なく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお、以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
本発明の一実施形態に係るインクジェット装置のクリーニング方法は、放射線硬化型インクジェット組成物を吐出するインクジェット装置において、インクジェットヘッドのノズル面を、グリコールエステル類を含む有機溶剤を含浸させた吸収体を備える払拭手段により払拭する払拭工程を備える。
本実施形態に係るクリーニング方法が実施されるインクジェット装置は、放射線硬化型インクジェット組成物を吐出するノズルが設けられたノズル面と、含浸液を含浸させた吸収体を備える払拭手段と、を備える。このようなインクジェット装置としては、例えば、図1に示すインクジェットプリンターが挙げられる。図1に示すインクジェットプリンター1は、公知のインクジェットプリンターにヘッドクリーニング装置26を組み込んだものである。
インクジェットヘッド22は、複数色のインクを噴射するフルカラー印刷用のシリアル型ヘッドであり、各色ごとに多数のノズルを備える。図2は、ノズル面を模式的に示す概略図である。図2に示すように、インクジェットヘッド22の記録媒体Pと対向する面には、ノズル面37が形成される。ノズル面37には、放射線硬化型インクジェット組成物を吐出するノズル(ノズル開口)38が複数設けられている。ノズル38は、所定方向に複数配列されることでノズル列36を構成する。図2に示すように、ノズル面37には、ノズル列36が複数設けられている。
キシドとしては、特に限定されないが、その金属種としては、例えば、ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウムが一般的に用いられる。長鎖RF基としては、例えば、パーフルオロアルキル鎖、パーフルオロポリエーテル鎖が挙げられる。この長鎖RF基を有するアルコキシシランとして、例えば、長鎖RF基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。撥液膜としては、特に限定されず、例えばSCA(silane coupling agent)膜や、特許第4424954号公報に記載されたものも用いることができる。なお、特に撥水性を有するものを撥水膜という。
図1に示すように、フレーム12内において記録媒体Pが搬送される記録領域の右側に設けられたホームポジションHPには、インクジェットヘッド22のクリーニングを行なうためのヘッドクリーニング装置26が設けられている。図3は、ヘッドクリーニング装置26の一例であるワイパーユニット34を模式的に示す斜視図である。図4(a)は、ワイパーユニット34の正面図であり、図4(b)は筐体を省略したワイパーユニット34の正面図である。
印加する機構は、払拭手段30をある一定の荷重でノズル面37に押圧できるものであれば、ばねだけではなく、ゴムを用いても良いし、これらを用いずに電気的に機械部材を制御して荷重を印加する等の方法で荷重をかけても良い。
密度、厚さを設計しやすい布帛を用いることが好ましい。
本実施形態に係るインクジェット装置は、駆動機構を有する。駆動機構は、払拭手段30及びインクジェットヘッド22のうち少なくとも一方を、他方に対して相対的に移動させ、払拭手段30によってノズル面37に付着した付着物を除去する払拭工程を実行させるための手段である。なお、本実施形態に用いられる駆動機構は、含浸液を含む払払拭手段30とノズル面37とを押圧するための機構であり、上述したように、少なくとも図4(a)における押圧部材87と、棒ばね90とからなり、移動機構33も含まれうる。
積を抑制できる。その結果、クリーニング性が一層向上する。
本実施形態に係るインクジェット装置のクリーニング方法では、グリコールエステル類を含む有機溶剤を含浸液として用いる。含浸液は、払拭工程を実施する際に払拭手段30の吸収体に保持させておくことで、ノズル面37に付着するものである。以下、含浸液に含まれる成分および含まれ得る成分について説明する。
含浸液は、グリコールエステル類を含む有機溶剤(以下、「特定の有機溶剤」ともいう。)である。この特定の有機溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
本実施形態に係る含浸液は、特定の有機溶剤と重合禁止剤を含む他に、更に界面活性剤を含んでいてもよい。含浸液が界面活性剤を含むことにより、含浸液の表面張力が低下し、ノズル面37に対する濡れ性が上がる。このため、ノズル面37に付着した放射線硬化型インクジェット組成物を溶解(軟化)させる作用だけでなく、ノズル面37にインクの顔料が再付着するのを抑制できる上に、ノズル面37のクリーニング性も一層向上する。
本実施形態に係る含浸液は、特定の有機溶剤の他に重合禁止剤を含んでいてもよい。含浸液が重合禁止剤を含むことにより、ノズル面37に付着した放射線硬化型インクジェット組成物が漏れ光や熱等により硬化することが低減するため、放射線硬化型インクジェット組成物に含まれる成分が凝集することを抑制し、ノズル面37のクリーニング性が向上する。
ット組成物が漏れ光により硬化することを低減する作用が向上して、クリーニング性が一層良好となる。
本実施形態に係る含浸液は、上記の特定の有機溶剤以外の有機溶剤を含有してもよい。このような有機溶剤としては、後述する放射線硬化型インクジェット組成物で例示する有機溶剤が挙げられるので、その説明を省略する。
本実施系形態に係るクリーニング方法が適用されるインクジェット装置は、放射線硬化型インクジェット組成物を用いて記録媒体Pに画像の記録を行うものである。
インクジェット組成物は、色材として顔料を用いることができ、顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
ネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、Raven 700等(以上、コロンビアカーボン(Carbon
Columbia)社製)、Rega1 400R、Rega1 330R、Rega1 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等(キャボット社(CABOT JAPAN K.K.)製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color B1ack S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4(以上、デグッサ(Degussa)社製)が挙げられる。
グメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バットブルー 4、60が挙げられる。
放射線硬化型インクジェット組成物は重合性化合物を含んでもよい。重合性化合物は、単独で、又は光重合開始剤の作用により、光照射時に重合して、記録媒体上のインクジェット組成物を硬化させることができる。重合性化合物としては、特に限定されないが、具体的には、従来公知の、単官能、2官能、及び3官能以上の多官能のモノマー及びオリゴマーが使用可能である。重合性化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。以下これら重合性化合物について例示する。
アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ラクトン変性可撓性(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
キシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、及び(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらのなかでも、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、が好ましい。
メタ)アクリレートが好ましい。放射線硬化型インクジェット組成物が、多官能(メタ)アクリレートを単官能(メタ)アクリレートに加えて含むことがより好ましい。
放射線硬化型インクジェット組成物は、光重合開始剤を含有してもよい。光重合開始剤は、活性放射線を照射することによってラジカルやカチオン等の活性種を発生し、上記モノマーの重合反応を開始させるものであれば特に制限されない。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することができるが、光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
観点から、アシルホスフィンオキサイド化合物およびチオキサントン化合物から選択される少なくとも1種が好ましく、アシルホスフィンオキサイド化合物およびチオキサントン化合物を併用することがより好ましい。
本実施形態に係るインクジェット組成物は界面活性剤をさらに含むことができる。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤(市販品としては、例えば、BYK UV3500、UV3570(ビックケミー・ジャパン社製商品名))、アクリル系界面活性剤(BYK350(ビックケミー・ジャパン社製商品名))が挙げられる。このなかでも、シリコーン系界面活性剤を含むことにより、表面張力低下能に優れ被記録媒体に対する濡れ性を上げ、ベタ埋まりにより優れ、また表面張力を調整しやすい傾向にある。
放射線硬化型インクジェット組成物が顔料を含む場合、顔料分散性をより良好なものと
するため、分散剤をさらに含んでもよい。分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、及びエポキシ樹脂のうち一種以上を主成分とするものが挙げられる。高分子分散剤の市販品として、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリーズ、アベシア(Avecia)社やノベオン(Noveon)社から入手可能なソルスパーズシリーズ(Solsperse 36000等)、BYKChemie社製のディスパービックシリーズ、楠本化成社製のディスパロンシリーズが挙げられる。
放射線硬化型インクジェット組成物は、上記に挙げた添加剤以外の添加剤(成分)を含んでもよい。このような成分としては、特に制限されないが、例えば従来公知の、スリップ剤(界面活性剤)、重合促進剤、浸透促進剤、及び湿潤剤(保湿剤)、並びにその他の添加剤があり得る。上記のその他の添加剤としては、特に限定されないが、例えば、従来公知の、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、及び増粘剤が挙げられる。
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物は、前述した成分を任意な順序で混合し、必要に応じて濾過等をして不純物を除去することにより得られる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。濾過方法としては、遠心濾過、フィルター濾過等を必要に応じて行なうことができる。
本実施形態で用いる放射線硬化型インクジェット組成物の20℃における粘度は、好ましくは5mPa・s以上50mPa・s以下であり、より好ましくは20mPa・s以上40mPa・s以下である。放射線硬化型インクジェット組成物の20℃における粘度が前記範囲内にあると、ノズルから放射線硬化型インクジェット組成物が適量吐出され、放射線硬化型インクジェット組成物の飛行曲がりや飛散を一層低減することができるため、インクジェット装置に好適に使用することができる。なお、粘度の測定は、粘弾性試験機MCR−300(Pysica社製)を用いて、20℃の環境下で、Shear Rateを10〜1000に上げていき、Shear Rate200時の粘度を読み取った。
本実施形態に係る払拭工程では、上述したように、グリコールエステル類を含む有機溶剤を含浸させた吸収体を備える払拭手段30により、インクジェットヘッド22のノズル面37を払拭するものである。
本実施形態に係るインクジェット装置のクリーニング方法において、含浸液が重合禁止剤を含む場合には、払拭工程後に、ノズルから放射線硬化型インクジェット組成物を予備吐出させる予備吐出工程を備え、この予備吐出工程において、予備吐出を行うノズルと、予備吐出を行わないノズルとを有することが好ましい。ノズル面37のクリーニング直後は、ノズル38内に重合禁止剤が多量に拡散することで、放射線硬化型インクジェット組成物が光硬化しにくい状態になっており、この状態でインクを吐出して印刷すると画質を損なう。そこで、印刷画像で使用するノズル列およびノズルについては、クリーニング後に打ち捨てを行い、ノズル内のインクをフレッシュにする。一方、印刷画像で使用しないノズル列およびノズルについては、光硬化しない状態を維持することで、次の印刷時の漏れ光の影響によるノズル近傍のインクの硬化を防ぎ、アライメント劣化、つまり吐出信頼性の低下を抑える。
以下、本発明を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
払拭に関する評価を行う前に、まず、顔料分散液を調製した。組成1に用いる顔料として、カーボンブラック2質量部、分散剤としてsolspers36000(THE LUBRIZOL CORP社製)1質量部を加えて全体を100質量部とし、混合撹拌して混合物とした。この混合物を、サンドミル(安川製作所株式会社製)を用いて、ジルコニアビーズ(直径1.5mm)と共に6時間分散処理を行った。その後、ジルコニアビーズをセパレータで分離することにより、ブラック顔料分散液を得た。また、同様にして、
シアン顔料分散液、マゼンタ顔料分散液、イエロー顔料分散液、およびホワイト顔料分散液を得た。
なお、表1で使用した成分は、下記のとおりである。
(1)重合性化合物
・PEA(フェノキシアクリレート、大阪有機化学工業株式会社、商品名「ビスコート#
192」)
・VEEA(アクリル酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル、株式会社日本触媒製)・SR508(ジプロピレングリコールジアクリレート、サートマー社製)
・DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、新中村化学工業株式会社製)(2)界面活性剤
・BYK−UV3500(ビックケミー・ジャパン株式会社製、ポリエーテル変性アクリル基を有するポリジメチルシロキサン)
(3)重合禁止剤
・MEHQ(p−メトキシフェノール、関東化学株式会社製)
(4)重合開始剤
・IRGACURE 819(チバ・ジャパン株式会社製、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)
・Speedcure TPO(Lambson社製、ジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィン オキシド)
(5)分散剤
・カラー用:solspers36000(THE LUBRIZOL CORP製)
・酸化チタン用:BYK180(BYK社製)
(6)顔料
・カーボンブラック
・PB15:3(C.I.ピグメントブルー 15:3)
・PR122(C.I.ピグメントレッド122)
・PY155(C.I.ピグメントイエロー155)
・酸化チタン
払拭に関する評価は、表2に示す組成の含浸液を用いて行った。
EPSON製 SC−S50650を改造してプリンターとして用い、キャリッジのヘ
ッドの左右には、光源としてピーク波長395nmの照射光源LEDを搭載した。ヘッドの5つノのズル列に、1ノズル列ずつ異なる色のインク(2.1.で調製した全5色)を充填した。ここで、1ノズル列は360個のノズル数である。最初に、全てのノズルを用いて記録媒体へインクを吐出する印刷を5分間行った。ここでは、試験のため、光源はオフとした。続いて、全ノズルにキャップをして吸引クリーニングを行い、続いて下記の払拭を行い、ノズル面の拭き取り性を評価した。なお、実施例7は、インクとして組成2を2列、組成4を2列、組成5を1列とした以外は実施例6と同様に行った。つまり、実施例7は、3官能以上のモノマーを含まないインクを使用した例である。
A:ノズルプレート、ノズルプレートとヘッドカバーの段差部分含めて、インクが綺麗に拭き取られている。
B:段差部分にインクが若干残っている。
C:ノズルプレートにインクの拭き残しが多くある。
2.2.1.に記載の操作を払拭まで行った後、上記プリンターの照射光源をオンにし、照度25μW/cm2、光量4800mJ/cm2相当の光照射条件でノズル表面に光暴露しながら印刷を行い、続いて、2.2.1.に記載の吸引クリーニング以降の評価を行った。つまり、含浸液がノズル面に付着されている状態で光暴露し、その後2.2.1.に記載の払拭を行い、2.2.1.と同様にノズル面の拭き取り性を評価した。
2.2.2.に記載の払拭に続いて、ノズルの吐出試験を行った。ノズル面における照度は、照射光源の反射光や漏れ光によるものであるので、前記照度で積算光量が前記光量となる時間まで印刷を行った。ここで、照度×照射時間=光量(照射エネルギー)である。クリーニング(吸引・拭き取り)、吐出試験までを1セットとし、このセットを繰り返してクリーニング誘発性(吐出信頼性)を評価した。評価基準は次の通りである。
A:2セット以下で正常吐出になる。
B:3セットで正常吐出になる。
C:3セット以上でも回復しない場合がある。
各含浸液をガラス瓶の口を開放した状態で20℃で3日間放置した後、重量変化を確認した。数値は、揮発率(%)を表す。
布ワイパーに含浸液を含浸させてから、常湿常温で1ヶ月、解放放置後のものを用いたこと以外は、2.2.1.と同様に評価した。
払拭に関する評価結果を表2に示す。含浸液としてグリコールエステル類を用いた実施例では、有機溶剤として用いたグリコール類やグリコールエーテル類を用いた比較例と比
べると、特に露光後における拭き取り性に大きな違いがあり、露光によりインクの一部が硬化した異物の拭き取り性に効果があった。つまり、実施例の含浸液は、単に、ノズル面に付着したインクを拭き取る洗浄液としてだけではなく、インクの一部が硬化した硬化異物を軟化させる作用を有することにより、硬化異物を含むインクが付着したノズル面の払拭に有用であることが分かった。特に、グリコールエステル類の炭素数が多い実施例2、3では、拭き取り後に凝集物は発生することもなく、きれいに拭き取ることができた。グリコールエステル類の炭素数の少ない実施例1、4−6では、有機溶剤として用いたグリコールエステル類の炭素数が少ないため、溶剤に吸湿性があり、拭き取り後に凝集物が発生した。実施例7は、3官能以上モノマーを含まないインクを使用した例であるため、実施例6のように凝集物が発生しなかった。なお、比較例は、有機溶剤として用いたたグリコール類やグリコールエーテル類はインクとの相溶性が無いため、拭き取り性が悪いと考えられる。
Claims (8)
- 放射線硬化型インクジェット組成物を吐出するインクジェット装置において、
インクジェットヘッドのノズル面を、グリコールエステル類を含む有機溶剤を含浸させた吸収体を備える払拭手段により払拭する払拭工程を備える、インクジェット装置のクリーニング方法。 - 請求項1において、
前記グリコールエステル類の炭素数が8以上である、インクジェット装置のクリーニング方法。 - 請求項1または請求項2において、
前記グリコールエステル類がグリコールエーテルエステルである、インクジェット装置のクリーニング方法。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記放射線硬化型インクジェット組成物を前記記録媒体へ吐出する記録工程の間、前記有機溶剤を含浸させた前記吸収体を待機させて、前記記録工程後に前記払拭工程を行う、インクジェット装置のクリーニング方法。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
前記放射線硬化型インクジェット組成物が、3官能以上の重合性化合物を含有する放射線硬化型組成物である、インクジェット装置のクリーニング方法。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
前記吸収体が、さらに界面活性剤を含浸させている、インクジェット記録装置のクリーニング方法。 - 請求項6において、
前記界面活性剤が、ポリエーテル変性シリコーン系、ポリエステル変性シリコーン系およびアセチレンジオール系からなる群より選択される少なくとも一種である、インクジェット記録装置のクリーニング方法。 - 請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のクリーニング方法によりクリーニングを行う、インクジェット装置。
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