以下に、本発明に係る作業車両の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、かつ、容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
〔実施形態1〕
図1は、実施形態1に係る作業車両を示す側面図である。図2は、図1に示す作業車両の上面図である。なお、以下の説明においては、作業車両1−1の前進方向を前方側(図1および図2の左側)とし、前進方向の逆向きの方向を後方側(図1および図2の右側)とし、作業車両1−1の機体前後方向に対して左右に直交する方向を機体左右方向とし、作業車両1−1の機体前後方向に対して上下に直交する方向を機体上下方向としている。また、左から右に向かって視た(あるいは右から左に向かって視た)場合を機体左右方向視といい、前方から後方に向かって視た(あるいは後方から前方に向かって視た)場合を機体前後方向視といい、上方から下方に向かって視た場合を機体上下方向視(下方から上方に向かって視た場合には、その都度説明する)という。
実施形態1に係る作業車両1−1の走行車体2は、左右一対の前輪3と、左右一対の後輪4と、を有している。走行車体2は、例えば、走行時には前輪3および後輪4が駆動する四輪駆動としている。これにより、走行車体2は、圃場や道路を走行することが可能となっている。また、走行車体2の後部には苗植付部昇降機構20によって機体上下方向に昇降可能な苗植付部30が備えられている。
走行車体2は、車体の略中央に配置されたメインフレーム5と、メインフレーム5の上に搭載されたエンジン6と、エンジン6で発生した動力を駆動輪と苗植付部30とに伝える動力伝達装置7と、を備えている。つまり、本実施形態1に係る作業車両1−1では、動力源であるエンジン6で発生した動力は、走行車体2を前進や後進させるために使用されるのみでなく、苗植付部30を駆動させるためにも使用される。
エンジン6は、機体左右方向において走行車体2の略中央で、かつ、作業者が乗車時に足を載せるフロアステップ8よりも上方に突出させた状態で配置されている。エンジン6としては、例えば、ディーゼル機関やガソリン機関等の熱機関が用いられる。フロアステップ8は、機体前後方向において、走行車体2の前部とエンジン6の後部との間に亘って設けられている。フロアステップ8は、メインフレーム5上に取り付けられており、その一部が機体上下方向視で格子状に形成されていることにより、作業者の靴に付着した泥などを圃場に落とせるようになっている。フロアステップ8の後方には、後輪4のフェンダを兼ねたリアステップ9が設けられている。リアステップ9は、後方に向かうにつれて上方に向かう方向に傾斜した傾斜面(後上り傾斜面)を有している。リアステップ9は、機体左右方向において、エンジン6を挟んだ状態で、エンジン6の両側方に配置されている。フロアステップ8よりも上方に突出するエンジン6には、エンジン6を覆うエンジンカバー10が設けられている。エンジンカバー10の上部には、操縦席11が設けられている。
動力伝達装置7は、エンジン6から伝達される動力を変速する変速装置である油圧式無段変速機12と、油圧式無段変速機12にエンジン6からの動力を伝えるベルト式動力伝達機構13と、ミッションケース14と、を有している。
油圧式無段変速機12は、エンジン6よりも前方で、かつ、フロアステップ8の床面よりも下方に配置されている。油圧式無段変速機12は、HST(Hydro Static Transmission)といわれる静油圧式の無段変速装置として構成されている。油圧式無段変速機12は、エンジン6からの動力で駆動する油圧ポンプによって油圧を発生させ、この油圧を油圧モータで機械的な力(回転力)に変換して出力する。つまり、油圧式無段変速機12は、エンジン6で発生する動力を、走行車体2を走行させる力に変換する。油圧式無段変速機12は、主変速レバー(図示省略)が作業者により操作されることで、出力および出力方向を変更可能である。つまり、油圧式無段変速機12は、回転力の方向や回転速度を変更することにより、走行車体2の前後進および走行速度を変更することが可能である。
ベルト式動力伝達機構13は、エンジン6の出力軸に取り付けられたプーリ13aと、油圧式無段変速機12の入力軸12aに取り付けられたプーリ13bと、各プーリ13a、13bに巻き掛けられたベルト13cと、ベルト13cの張力を調整するテンションプーリ13dと、を備えている。ベルト式動力伝達機構13は、エンジン6で発生した動力を、ベルト13cを介して油圧式無段変速機12に伝達する。
ミッションケース14は、油圧式無段変速機12で変速されたエンジン6からの動力を各部に伝達する伝動装置である。ミッションケース14は、メインフレーム5の前部に取り付けられている。ミッションケース14は、路上走行時や植付作業時等における走行車体2の作業速度を切り替える副変速機構(図示省略)を内装している。ミッションケース14は、エンジン6からの動力を、副変速機構で変速して、前輪3および後輪4への走行用動力と、苗植付部30への駆動用動力とに分けて出力可能である。ミッションケース14は、副変速レバー(図示省略)が作業者により操作されることで、走行車体2の走行速度を切り替えることが可能である。
ここで、走行用動力は、一部が前輪ファイナルケース15を介して前輪3に伝達され、残りが後輪ギアケース16を介して後輪4に伝達される。駆動用動力は、走行車体2の後部に設けられた植付クラッチ(図示省略)に伝達され、植付ドライブシャフト17によって苗植付部30に伝達される。
前輪ファイナルケース15は、機体左右方向においてミッションケース14を挟んで両側方に配置されている。前輪ファイナルケース15には、前輪3が連結されている。前輪ファイナルケース15は、ハンドル72の操舵操作に応じて、前輪3を転舵させることが可能である。
後輪ギアケース16には、後輪4が連結されている。本実施形態1に係る作業車両1−1では、左側の後輪ギアケース16には、整地装置50に動力を伝達するロータ伝動軸54が連結されている。つまり、本実施形態1に係る作業車両1−1では、走行用動力の一部が整地装置50に伝達される。
機体上下方向に苗植付部30を昇降させる苗植付部昇降機構20は、昇降リンク21を備えている。昇降リンク21は、走行車体2の後部と苗植付部30とを連結させる平行リンク機構22を有している。平行リンク機構22は、上リンクと下リンクとを有しており、これらのリンクの前端がメインフレーム5の後端部に立設した背面視門型のリンクフレームベース23に対して、上下方向に回動自在に連結されている。平行リンク機構22は、各リンクの後端が苗植付部30に対して、上下方向に回動自在に支持されている。これらにより、平行リンク機構22は、走行車体2に対して苗植付部30を昇降可能に連結する。
また、苗植付部昇降機構20は、油圧昇降シリンダ24を備えている。油圧昇降シリンダ24は、伸縮動作により、苗植付部30を非作業位置まで上昇させたり、対地作業位置(対地植付位置)まで下降させたりすることが可能である。
苗植付部30は、昇降リンク21を介して走行車体2に取り付けられている。苗植付部30は、複数の区画、あるいは複数の列で苗を植え付けることが可能である。本実施形態1に係る作業車両1−1では、苗植付部30は、苗を8つの区画で植え付ける、いわゆる8条植となっている。苗植付部30は、苗載置台31と、フロート32と、苗植付装置40と、を備えている。
苗載置台31は、走行車体2の後部に複数条の苗を載置する苗載置部材である。苗載置台31は、機体左右方向において、植付条数分の苗載せ面31aを有している。それぞれの苗載せ面31aは、機体上下方向に複数枚の土付きのマット状苗を載置可能な後下がり傾斜面となっている。フロート32は、走行車体2の移動に伴って、圃場上を滑走して整地するものである。フロート32は、機体左右方向において、苗植付部30の中央に設けられたセンタフロート32aと、センタフロート32aを挟んで両側のそれぞれに設けられたサイドフロート32bと、を有している。
センタフロート32aおよびサイドフロート32bは、圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように、苗植付部30の下部に回動自在に取り付けられている。サイドフロート32bには、圃場の推進を検知可能な水深センサ(図示省略)、圃場の硬軟を検知可能な硬軟センサ(図示省略)などが取り付けられている。
苗植付装置40は、苗載置台31の植付支持フレーム33によって支持され、苗載置台31の下部に配置されている。苗植付装置40は、苗載置台31に載置された苗を取って圃場に植え付ける装置である。苗植付装置40には、センタフロート32aの上下動を検知する迎角制御センサ(図示省略)が設けられている。苗植付装置40は、植付作業時にはセンタフロート32aの前部の上下動が迎角制御センサにより検知され、その検知結果に応じて制御装置により油圧昇降シリンダ24を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付部30を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。苗植付装置40は、サイドフロート32bに取り付けられた水深センサや硬軟センサなどの検知結果に基づいて、図示しないモータなどの駆動源によりサイドフロート32bの前端部を圃場に押し付ける力が変更可能である。苗植付装置40は、植込杆41と、ロータリケース42と、植付伝動ケース43と、を備えている。
植込杆41は、苗載置台31から苗を取って圃場に植え付けることができるように構成されている。植込杆41は、植付伝動ケース43に対して回転可能に連結されている。ロータリケース42は、植込杆41を回転可能に支持するとともに、植付伝動ケース43に対して回転可能に連結されている。ロータリケース42は、植込杆41の回転速度を変化させながら、植込杆41を回転させることができる不等速伝動機構(図示省略)を内装している。これにより、ロータリケース42は、ロータリケース42に対する植込杆41の回転角度によって、植込杆41の回転速度を変化させながら回転させることが可能である。植付伝動ケース43は、エンジン6から苗植付部30に伝達された動力を、植込杆41に供給可能に構成されている。
整地装置50は、圃場を整地するものである。整地装置50は、苗植付装置40の下方に設けられている。整地装置50は、植付支持フレーム33などに対して、図示しない電動モータ等により昇降自在に支持されている。整地装置50は、機体左右方向において、中央に設けられたセンタロータ51と、センタロータ51を挟む両側のそれぞれで、センタロータ51よりも後方に設けられたサイドロータ52と、センタロータ51とサイドロータ52とを連結する連結伝動機構53と、を備えている。本実施形態1に係る作業車両1−1では、整地装置50は、機体前後方向において、センタロータ51が前方に配置され、サイドロータ52が後方に配置された、いわゆる門型ロータを構成している。センタロータ51およびサイドロータ52は、センタフロート32aおよびサイドフロート32bよりも前方に配置されている。センタロータ51およびサイドロータ52は、機体左右方向に平行な軸心周りに回転自在で、機体左右方向に延びる筒状に形成された回転体である。センタロータ51は、連結伝動機構53と、後輪ギアケース16に連結されたロータ伝動軸54と、を介して伝達されるエンジン6からの動力によって回転駆動する。サイドロータ52は、ロータ伝動軸54を介して伝達されるエンジン6からの動力によって回転駆動する。
施肥装置60は、圃場に肥料を供給するものである。施肥装置60は、操縦席11の後方に設けられている。施肥装置60は、貯留ホッパ61に貯留されている粒状の肥料を、植付作業中に一定量ずつ圃場に放出する。
また、操縦席11の前方で、かつ、機体左右方向において走行車体2の前側中央部には、操縦部70が設けられている。操縦部70は、フロアステップ8の床面から上方に突出した状態で配置されている。操縦部70は、フロアステップ8の前部側を左右に分断している。操縦部70は、ボンネット71と、ハンドル72と、予備苗載置台73と、燃料タンク74と、を備えている。
ボンネット71の前部には、開閉可能なフロントカバー71aが設けられている。ハンドル72は、作業者が前輪3を操舵操作することにより走行車体2を操舵する操舵部材である。ハンドル72は、ボンネット71の上部に配置されている。ハンドル72は、ボンネット71内の操作装置等を介して前輪3を転舵させることが可能である。予備苗載置台73は、補給用の苗(土付きマット状苗)を載せておくものである。予備苗載置台73は、機体左右方向においてボンネット71を挟んで両側方に配置されている。予備苗載置台73は、フロアステップ8の床面から上方に向けて突出した支持軸73aによって回動自在に支持されている。予備苗載置台73は、作業者の手、または電動モータ等によって回動可能である。これにより、苗載置台31に載置した苗が植え付けられて無くなるたびに、圃場外に用意している苗を取りに戻らなくても、連続した植付作業を行えるので、作業能率が向上する。燃料タンク74は、エンジン6に供給される燃料オイルを貯留するものである。燃料タンク74は、ボンネット71に内装されている。燃料タンク74は、例えば、フロントカバー71aを開けることで外部から燃料オイルが供給可能となっている。
また、ボンネット71には、操作パネル80が取り付けられている。図3は、図1に示す作業車両の操作パネルの平面図である。図4は、図3に示す操作パネルのA−A断面を模式的に示す図である。図5は、図3に示す操作パネルの側面図である。
操作パネル80は、例えば、走行車体2に搭載された油圧式無段変速機12、苗植付部昇降機構20、苗植付装置40、整地装置50や施肥装置60等の各種装置を操作するためのものである。操作パネル80は、後下がり傾斜姿勢でボンネット71の上部に取り付けられている。操作パネル80は、ハンドル72のハンドルポスト72aを、機体上下方向視で機体前後方向の前方と、機体左右方向の両側方とで囲むような板状に形成されている。操作パネル80には、主変速レバー(図示省略)、副変速レバー(図示省略)やスイッチ類が配置されている。本実施形態1に係る作業車両1−1では、主変速レバー(図示省略)、副変速レバー(図示省略)やスイッチ類は、後述する第1排水溝80dより後方に配置されている。主変速レバーは、走行車体2の前後進および走行速度(車速)を変更するためのレバーである。主変速レバーは、主変速レバー開口部81に配置されている。副変速レバーは、走行車体2の路上走行時や植付作業時における作業速度を切り替えるためのレバーである。副変速レバーは、副変速レバー開口部82に配置されている。スイッチ類は、例えば、エンジン6を始動させるためのメインスイッチ83、苗植付装置40での苗の植え付けタイミングを調節する植始め調節ダイヤル84、走行車体2の機体左右方向の両側方のそれぞれに搭載された電動マーカ(図示省略)を切り替えるための電動マーカスイッチ85、前照灯19(図1参照)の点灯および消灯を切り替える前照灯スイッチ86などから構成されている。
また、操作パネル80には、各種装置の作動状態を表示する表示モニタ87が取り付けられている。操作パネル80は、機体上下方向に貫通する挿入開口部80cを有している。挿入開口部80cは、表示モニタ87の後述する本体部87aが挿入され、後述する露出面87cが外部に露出可能な形状および大きさで形成されている。
表示モニタ87は、本体部87aと、枠部87bと、を有している。
本体部87aは、機体上下方向視において、前方側が前方に凸となる弓なり状となり、後方側が機体左右方向に平行な直線状となる、三角形状に形成されている。本体部87aには、挿入開口部80cに挿入された状態で外部に露出する露出面87cが形成されている。
露出面87cには、通水溝87gが形成されている。通水溝87gは、表示モニタ87の前方側から両端側にかけて設けられ、表示モニタ87の前方側から両端側の外形に沿って延在されている。本実施形態1に係る作業車両1−1では、通水溝87gは、その両端が表面側枠部87eの表面上に位置している。これにより、通水溝87gの両端から排水された水は、表面側枠部87eの表面上を流下する。つまり、通水溝87gは、表示モニタ87の露出面87c上の水を、表面側枠部87eに向かって流下させることができる。
また、露出面87cは、機体左右方向の両端側から中央側に向かうにつれて機体上下方向での高さが高くなっている。本実施形態1に係る作業車両1−1では、露出面87cは、例えば、両端側よりも中央側が高くなる山型形状に形成されている。これにより、露出面87c上の水を、中央側から両端側へ流下させることができる。また、通水溝87gは、露出面87cの中央側から両端側へ水を流下させ、かつ露出面87cの前方側から後方側へ水を流下させることができる。
枠部87bは、本体部87aの周囲に設けられている。枠部87bは、操作パネル80の裏面80bと接触する裏面側枠部87dと、操作パネル80の表面80aと接触する表面側枠部87eと、を有している。
裏面側枠部87dは、本体部87aの周囲に対して、表示モニタ87の機体前後方向の前方側から機体左右方向の両端側にかけて設けられている。本実施形態1に係る作業車両1−1では、裏面側枠部87dは、機体上下方向視において、本体部87aの周囲から突出し、表示モニタ87の前方側から両側までの外形に沿って延在する庇状に形成されている。裏面側枠部87dは、本体部87aが挿入開口部80cに挿入され、露出面87cが外部に露出した状態において、操作パネル80の裏面80bと接触する。
表面側枠部87eは、本体部87aの周囲に対して、表示モニタ87の機体前後方向の後方側から機体左右方向の両端側にかけて設けられている。本実施形態1に係る作業車両1−1では、表面側枠部87eは、機体上下方向視において、本体部87aの周囲から突出し、表示モニタ87の後方側から両側までの外形に沿って延在する庇状に形成されている。表面側枠部87eは、機体前後方向において、表示モニタ87の後方に設けられている。つまり、表面側枠部87eは、表示モニタ87の露出面87cにおいて水が流下する方向に設けられている。表面側枠部87eは、固定部87fが締結部材Tで操作パネル80の裏面80bに固定されると、操作パネル80の表面80a側で挿入開口部80cの周囲に当接する。表面側枠部87eは、本体部87aが挿入開口部80cに挿入され、露出面87cが外部に露出した状態において、操作パネル80の表面80aと接触する。
また、本体部87aには、挿入開口部80cに挿入され、露出面87cが外部に露出した状態において、表示モニタ87を操作パネル80に固定するための固定部87fが設けられている。固定部87fは、本体部87aに対して、機体前後方向の前方側と、機体左右方向の両端のそれぞれと、に設けられている。本実施形態1に係る作業車両1−1では、固定部87fは、ねじやビスなどの締結部材Tが挿入されるねじ穴を有しており、締結部材Tをねじ穴に挿通させて締め付けることで、表示モニタ87を操作パネル80に固定する。これにより、表示モニタ87は、操作パネル80と同様の後下がり傾斜姿勢で、操作パネル80に取り付けられる。
ここで、本実施形態1に係る作業車両1−1では、表示モニタ87は、例えば、バッテリー切れを表示するバッテリー切れ表示部M1、エンジン6の異常を表示するエンジン異常表示部M2、燃料オイルの残量を表示する燃料残量表示部M3、苗植付装置40による植え付けの入り切りを切り替える植付クラッチ(図示省略)の入り状態を表示する植付クラッチ表示部M4、電動マーカ(図示省略)が圃場上に出ている状態を表示する電動マーカ表示部M5などを有している。各表示部M1〜M5は、操縦席11(図1参照)に着座した作業者から視認可能となっている。各表示部M1〜M5は、ボンネット71内に配線され、電力などを供給するための複数の信号線Lと接続されている。表示モニタ87では、各表示部M1〜M5の表面や表示モニタ87自体の表面などで、露出面87cが構成されている。
また、本実施形態1に係る作業車両1−1では、操作パネル80の表面80aには、第1排水溝80dと、第2排水溝80eと、第3排水溝80fと、が形成されている。
第1排水溝80dは、挿入開口部80cよりも後方に設けられ、機体左右方向に延びて形成されている。本実施形態1に係る作業車両1−1では、第1排水溝80dは、操作パネル80に表示モニタ87が取り付けられた状態で、機体上下方向視において、表面側枠部87eと隣接し、通水溝87gの両端とつながる位置に設けられている。つまり、第1排水溝80dは、本体部87aを挿入開口部80cに挿入し、露出面87cが外部に露出した状態において、表面側枠部87eの後方で通水溝87gと隣り合う。
第2排水溝80eは、第1排水溝80dの両端側に設けられ、機体左右方向の両端に向けて延びて形成されている。本実施形態1に係る作業車両1−1では、第2排水溝80eは、第1排水溝80dの両端のそれぞれと連通している。また、第2排水溝80eの両端は、操作パネル80の両端にまで達している。これにより、操作パネル80の表面80aに落ちた水は、第1排水溝80dから第2排水溝80eへ流下され、第2排水溝80eから外部へ排出される。
第3排水溝80fは、操作パネル80の前方側から両端側にかけて設けられ、操作パネル80の前方側から両端側の外形に沿って延在されている。本実施形態1に係る作業車両1−1では、第3排水溝80fは、その両端が第1排水溝80dにつながっている。第3排水溝80fは、操作パネル80の前方側から後方側へ水を通水する。これにより、操作パネル80の表面80aに落ちた水は、第3排水溝80fからも第1排水溝80dへ流下可能となる。
本実施形態1に係る作業車両1−1は以上のような構成からなり、以下、その作用について説明する。作業車両1−1の走行時には、エンジン6で発生した動力がベルト式動力伝達機構13、油圧式無段変速機12に伝達され、作業者が主変速レバー(図示省略)で選択した所望の回転速度や回転力の方向、トルクに変換されて、油圧式無段変速機12から出力される。油圧式無段変速機12から出力された動力は、ミッションケース14に伝達され、路上走行時の走行速度に適した回転速度、または植付作業時の走行速度に適した回転速度に変速され、ミッションケース14から前輪3側や後輪4側へ出力される。
また、作業車両1−1の植付作業時には、ミッションケース14から出力される動力の一部は、植付ドライブシャフト17によって苗植付部30にも伝達され、苗植付部30での植付作業に用いられる。苗植付装置40の植込杆41では、植付ドライブシャフト17によって伝達された動力が植付伝動ケース43に伝達される。植付伝動ケース43は、伝達された動力を、植付伝動ケース43に内設されているチェーン駆動機構(図示省略)によって植付軸(図示省略)に伝達する。植付軸は、伝達された動力によって回転し、植付軸に連結されている植込杆41を回転させる。植込杆41は、ロータリケース42に対して相対回転しながら、苗載置台31に載せられた苗を順次取り、圃場に順次植え付ける。
また、予備苗載置台73から苗載置台31へ土付きマット状苗を補給する作業を行う際には、予備苗載置台73から土付きマット状苗が取り出され、補給対象となる苗載置台31の苗載せ面31aに土付きマット状苗が載せられる。ここで、土付きマット状苗は水を含んでいるため、予備苗載置台73から苗載置台31へ土付きマット状苗を補給する際に、土付きマット状苗から表示モニタ87へ水が落ちることがある。
表示モニタ87へ落ちた水は、表示モニタ87が後下がり傾斜姿勢で操作パネル80に取り付けられ、表示モニタ87の露出面87cが両端側よりも中央側が高くなる山型形状に形成されているので、表示モニタ87の露出面87cの後方および両端側に向かって流下する。表示モニタ87の露出面87cの後方に向かって流下した水は、表面側枠部87eの表面から操作パネル80の第1排水溝80dへ流下し、操作パネル80の第1排水溝80dから第2排水溝80eを経て外部へ排出される。また、表示モニタ87の露出面87cの両端側に向かって流下した水は、通水溝87gを通って第1排水溝80dへ流下し、操作パネル80の第1排水溝80dから第2排水溝80eを経て外部へ排出される。
つまり、表示モニタ87へ落ちた水は、表面側枠部87eや通水溝87gから第1排水溝80dへ流下する。この結果、表示モニタ87へ落ちた水が流下する際に、その水と挿入開口部80cとの接触を避けることができる。したがって、操作パネル80の挿入開口部80cからボンネット71内に水が浸入することを抑制することができる。
また、表示モニタ87の後方に第1排水溝80dが設けられているので、表示モニタ87へ落ちた水が第1排水溝80dを超えて、主変速レバー開口部81、副変速レバー開口部82やスイッチ類(メインスイッチ83〜前照灯スイッチ86)側に流下することを抑制することができる。
以上の実施形態1に係る作業車両1−1は、走行車体2と、走行車体2に設けられ、少なくとも燃料タンク74を内装するボンネット71と、ボンネット71に取り付けられ、走行車体2に搭載される各種装置を操作するための操作パネル80と、各種装置の作動状態を表示する表示モニタ87と、を備えている。操作パネル80には、挿入開口部80cが形成されている。表示モニタ87は、挿入開口部80cに挿入された状態で外部に露出する露出面87cが形成された本体部87aと、本体部87aの周囲に設けられた枠部87bと、を有している。枠部87bは、操作パネル80の裏面80bと接触する裏面側枠部87dと、操作パネル80の表面80aと接触する表面側枠部87eと、を有している。表面側枠部87eは、本体部87aに対して、露出面87cにおいて水が流下する方向に設けられている。これらにより、露出面87cから流下する水が挿入開口部80cと接触することを抑制することができる。この結果、操作パネル80の挿入開口部80cからボンネット71内に水が浸入することを抑制することができる。
また、操作パネル80は、後下がり傾斜姿勢でボンネット71に取り付けられている。表示モニタ87は、後下がり傾斜姿勢で操作パネル80に取り付けられている。表面側枠部87eは、表示モニタ87の後方に設けられている。露出面87cには、表面側枠部87eに向かって水を流下させる通水溝87gが形成されている。これらにより、露出面87cに落ちた水を、通水溝87gで表面側枠部87eへ流下させることができる。この結果、露出面87cに落ちた水の排水を促すことができる。
また、露出面87cは、機体左右方向の両端側から中央側に向かうにつれて機体上下方向での高さが高く形成されている。通水溝87gは、機体左右方向で露出面87cの中央側から両端側へ水を流下させ、かつ機体前後方向で露出面87cの前方側から後方側へ水を流下させる。これらにより、露出面87cに落ちた水が通水溝87gへ流下することを促すことができ、通水溝87gへ流下した水の排水を促すこともできる。この結果、露出面87cに落ちた水が、本体部87aに対して表面側枠部87eが設けられていない箇所から流下することを抑えることができる。
また、操作パネル80の表面80aには、表示モニタ87の後方で通水溝87gと隣り合って機体左右方向に延びる第1排水溝80dと、第1排水溝80dの両端のそれぞれと連通し、操作パネル80の機体左右方向の両端に向けて延びる第2排水溝80eと、が形成されている。これにより、露出面87cに落ちた水を第1排水溝80dへ流下させることができ、第1排水溝80dへ流下した水を第2排水溝80eによって操作パネル80の両端側から排水することができる。この結果、露出面87cに落ちた水が、操作パネル80のスイッチ類(メインスイッチ83〜前照灯スイッチ86)側へ流下することを抑えることができる。
なお、本実施形態1に係る作業車両1−1では、表示モニタ87の露出面87cを山型形状として構成していたが、操作パネル80も機体左右方向の両端側よりも中央側が高くなる山型形状として構成してもよい。このように構成した場合、第1排水溝80dから機体左右方向の両端側への排水を促すことができる。
また、本実施形態1に係る作業車両1−1では、表示モニタ87の露出面87cを山型形状として構成していたが、これに限定されず、例えば、表示モニタ87の露出面87cを周囲よりも中央が高くなるドーム形状として構成してもよい。このように構成した場合、表示モニタ87に落ちた水を、表示モニタ87の周囲に向かって流下させ、通水溝87gから排水することができる。
また、本実施形態1に係る作業車両1−1では、裏面側枠部87dと表面側枠部87eとを別体として構成していたが、これに限定されず、裏面側枠部87dと表面側枠部87eとを一体として構成してもよく、裏面側枠部87dと表面側枠部87eとを機体上下方向視で枠状に構成してもよい。これらのように構成した場合であっても、機体上下方向視で挿入開口部80cを表面側枠部87eにより覆うことができる。
〔実施形態2〕
実施形態2に係る作業車両1−2は、実施形態1に係る作業車両1−1と略同様の構成であるが、表示モニタ87を機体前後方向に回動自在とした点に特徴がある。また、実施形態2に係る作業車両1−2は、操作パネル80に遮光カバー88を設けた点にも特徴がある。他の構成は実施形態1と同様なので、その説明を省略するとともに、同一の符号を付す。
図6は、実施形態2に係る作業車両の操作パネルの平面図である。図7は、図6に示す操作パネルの側面図である。実施形態2に係る作業車両1−2の操作パネル80には、表示モニタ87が取り付けられており、遮光カバー88が設けられている。
表示モニタ87は、機体前後方向に回動自在かつ角度調節自在に操作パネル80に取り付けられている。表示モニタ87は、表面側枠部87e(図3参照)の機体前後方向の後方側に、回動軸87hを有している。表示モニタ87は、回動軸87hにより、前方側に回動して操作パネル80と同様の後下がり傾斜姿勢となる作業姿勢(図7において破線で示す姿勢)と、後方側に回動して操作パネル80に対して立設した立設姿勢(図7において二点鎖線で示す姿勢)と、に変更可能である。本実施形態2に係る作業車両1−2では、表示モニタ87は、操作パネル80と同様の後下がり傾斜となる作業姿勢に対して、後方側に所定の角度(例えば15度)ごとに、角度を変更可能となっている。つまり、表示モニタ87は、作業姿勢の回動角度を0度とした場合、回動角度が15度となる立設姿勢(第1立設姿勢)、および回動角度が30度となる立設姿勢(第2立設姿勢)のそれぞれに変更することができる。
回動軸87hは、操作パネル80の表面80aに設けられている。回動軸87hは、機体左右方向に平行な軸心周りに回動自在となっている。回動軸87hは、操作パネル80に対して、表示モニタ87を機体前後方向に回動自在に支持している。本実施形態2に係る作業車両1−2では、回動軸87hは、表示モニタ87が作業姿勢よりも前方側への回動を規制し、かつ所定の角度(例えば15度)ごとに、表示モニタ87の後方側への回動を停止(位置付け)させる角度調節機構(図示省略)を有している。また、回動軸87hは、表示モニタ87が第2立設姿勢よりも後方側へ回動可能となっている。
また、回動軸87hは、露出面87cからの水の流下を妨げないように設けられている。本実施形態2に係る作業車両1−2では、回動軸87hは、通水溝87gの両端と第1排水溝80dとのつながりを妨げないように設けられている。
ここで、本実施形態2に係る作業車両1−2では、表示モニタ87は、回動軸87hにより操作パネル80に支持されているので、裏面側枠部87d(図3参照)および固定部87f(図3参照)が形成されていないものとなっている。
遮光カバー88は、表示モニタ87の露出面87cの少なくとも一部に外光が照射されることを防止する遮光部材である。遮光カバー88は、操作パネル80に対して着脱可能に設けられている。遮光カバー88は、表示モニタ87が回動軸87hを回動中心として機体前後方向に回動する際の回動軌跡に接触しない形状となっている。遮光カバー88は、支持部88aと、カバー部88bと、係合部88cと、を有している。
支持部88aは、機体左右方向において、表示モニタ87を挟んで二つ配置されている。二つの支持部88aは、操作パネル80に立設している。
カバー部88bは、表示モニタ87が作業姿勢や立設姿勢に調節される際、表示モニタ87の回動軌跡に接触しない形状となっている。本実施形態2に係る作業車両1−2では、カバー部88bは、機体左右方向視において、表示モニタ87の回動軌跡を避けるように、側面88dが扇形状に形成され、覆い面88eが劣弧形状に形成されている。カバー部88bは、支持部88aに対して、着脱可能に係合して取り付けられている。カバー部88bは、係合部88cに対して、着脱可能に係合する。カバー部88bは、支持部88aに取り付けられ、かつ係合部88cと係合した係合姿勢(図6、図7に示す姿勢)において、操縦席11(図1参照)に着座した作業者が表示モニタ87の露出面87cの各表示部M1〜M5(図3参照)を視認可能となっている。
係合部88cは、覆い面88eの内側と係合することで、カバー部88bを係合姿勢に保持可能である。係合部88cは、操作パネル80の表面80aに立設されている。
本実施形態2に係る作業車両1−2は、以上のような構成からなり、以下、その作用について説明する。作業車両1−2の運転時には、外光として例えば日光が照射される場合がある。このような場合には、操縦席11に着座した作業者が表示モニタ87を作業姿勢、第1立設姿勢および第2立設姿勢のそれぞれの姿勢に調節することで、露出面87cへの日光の照射を抑えて、露出面87cの各表示部M1〜M5を視認しやすくすることができる。また、日光の照射を防止する遮光カバー88が操作パネル80に設けられているので、露出面87cへの日光の照射を防止することができる。これらの結果、表示モニタ87の各表示部M1〜M5の視認性が低下することを抑えることができる。つまり、日光が照射されるような環境下において、表示モニタ87の各表示部M1〜M5の視認性が低下することを抑えることができ、各表示部M1〜M5に表示される各種装置の作動状態を見落としにくくなる。したがって、日光が照射されるような環境下において、作業精度を向上することができる。
また、遮光カバー88は、作業姿勢や立設姿勢に変更する際の表示モニタ87の回動軌跡と接触しないので、表示モニタ87を回動させる際に遮光カバー88を着脱する必要がなくなる。この結果、日光が照射されるような環境下において、作業能率を向上することができる。
また、作業車両1−2のメンテナンス時には、遮光カバー88が操作パネル80から取り外され、表示モニタ87が第2立設姿勢よりも後方側に回動され、操作パネル80の挿入開口部80c(図4参照)の上方が開放された状態で、作業者が挿入開口部80cに手を入れて、メンテナンス作業を実施することができる。これにより、ボンネット71の内部のメンテナンスを実施しやすくなり、作業能率を向上することができる。
以上の実施形態2に係る作業車両1−2は、表示モニタ87が機体前後方向に回動自在かつ角度調節自在に操作パネル80に取り付けられ、操作パネル80には露出面87cの少なくとも一部に外光が照射されることを防止し、表示モニタ87が機体前後方向に回動する際の回動軌跡に接触しない形状となっている遮光カバー88が設けられている。これにより、遮光カバー88を取り外さなくても、表示モニタ87を回動させることにより露出面87cを視認しやすい角度に調節することができ、露出面87cへの外光の照射を抑えることができる。つまり、日光が照射されるような環境下において、表示モニタ87の視認性が低下することを抑えることができ、表示モニタ87に表示される各種装置の作動状態を見落としにくくなる。この結果、日光が照射されるような環境下において、各種装置の作動状態を見落としにくくなるので作業精度を向上することができ、表示モニタ87が回動する際に遮光カバー88を取り外さなくてもよいので作業能率を向上することができる。
また、遮光カバー88は、操作パネル80に対して着脱可能に設けられている。これにより、遮光カバー88を操作パネル80から取り外して、表示モニタ87が第2立設姿勢よりも後方側に回動されると、挿入開口部80cの上方が開放されるので、作業者が挿入開口部80cに手を入れてメンテナンス作業を実施しやすい。この結果、メンテナンス作業の作業能率を向上することができる。
なお、本実施形態2に係る作業車両1−2では、表示モニタ87の立設姿勢を第1立設姿勢または第2立設姿勢のそれぞれに調節可能に構成していたが、これに限定されず、表示モニタ87を第2立設姿勢よりも後方側に回動させた複数の立設姿勢(例えば第3立設姿勢や第4立設姿勢など)に調整可能に構成してもよい。
〔実施形態2の変形例〕
ここで例示する作業車両は、実施形態2に係る作業車両1−2と同様に、操作パネル80に遮光カバー88が設けられている。
実施形態2に係る作業車両の変形例では、操作パネル80に対して、遮光カバー88が機体前後方向に回動可能となっている。カバー部88bは、機体前後方向の前方側に回動され、係合部88cと係合した係合姿勢(図6、図7に示す姿勢)と、機体前後方向の後方側に回動され、係合部88cとの係合が解除された開放姿勢と、の二つの姿勢に変更可能である。本実施形態2に係る作業車両1−2では、カバー部88bは、係合姿勢と開放姿勢との間で、任意の姿勢にも変更可能となっている。カバー部88bは、支持部88aに対して、機体前後方向に回動可能に支持されている。
このように構成された実施形態2に係る作業車両の変形例では、作業車両1−2の運転時に日光が照射される場合、日光の照射方向に応じて遮光カバー88の姿勢を変更することができるので、例えば圃場等で走行車体2の移動方向が変更された場合などであっても、日光の照射によって表示モニタ87の各表示部M1〜M5の視認性が低下することを抑えることができる。
〔実施形態3〕
実施形態3に係る作業車両1−3は、実施形態1に係る作業車両1−1と略同様の構成であるが、整地装置50に整地用ロータ57を設けた点に特徴がある。また、実施形態3に係る作業車両1−3は、サイドロータ52を複数に分割可能にした点にも特徴がある。他の構成は実施形態1と同様なので、その説明を省略するとともに、同一の符号を付す。
図8は、実施形態3に係る作業車両の整地装置の要部の構成を示す図である。実施形態3に係る作業車両1−3は、実施形態1に係る作業車両1−1と同様に、整地装置50を備えている。
作業車両1−3の整地装置50は、実施形態1に係る作業車両1−1と同様に、いわゆる門型ロータを構成している。整地装置50は、センタロータ51と、サイドロータ52と、連結伝動機構53と、ロータ伝動軸54と、伝動受け部55と、ロータ支持部56と、整地用ロータ57と、を備えている。
センタロータ51は、機体左右方向において、苗植付装置40の下方の中央に配置されている。センタロータ51は、サイドロータ52よりも前方に配置され、センタフロート32aよりも前方に配置されている。センタロータ51は、複数のセンタロータ羽根51aを有している。複数のセンタロータ羽根51aは、機体左右方向に隣り合って配置され、センタロータ軸51bに固定されている。複数のセンタロータ羽根51aは、同径に形成されている。センタロータ軸51bは、機体左右方向に平行に延在され、機体前後方向に回転可能である。センタロータ軸51bは、複数のセンタロータ羽根51aを貫通し、複数のセンタロータ羽根51aを一体に機体前後方向に回転させる。
サイドロータ52は、機体左右方向において、苗植付装置40の下方の両側のそれぞれに配置されている。サイドロータ52は、センタロータ51よりも後方に配置され、サイドフロート32bよりも前方に配置されている。サイドロータ52は、複数の内側サイドロータ羽根52aと、複数の外側サイドロータ羽根52bと、を有している。
複数の内側サイドロータ羽根52aは、走行車体2に対して機体左右方向の相対的に内側に配置され、複数の外側サイドロータ羽根52bよりも内側に配置されている。複数の内側サイドロータ羽根52aは、機体左右方向に隣り合って配置され、内側サイドロータ軸52cに固定されている。複数の内側サイドロータ羽根52aは、センタロータ羽根51aと同径に形成されている。内側サイドロータ軸52cは、機体左右方向に延在され、機体前後方向に回転可能である。内側サイドロータ軸52cは、複数の内側サイドロータ羽根52aを貫通し、複数の内側サイドロータ羽根52aを一体に機体前後方向に回転させる。
複数の外側サイドロータ羽根52bは、走行車体2に対して機体左右方向の相対的に外側に配置され、複数の内側サイドロータ羽根52aよりも外側に配置されている。複数の外側サイドロータ羽根52bは、機体左右方向に隣り合って配置され、外側サイドロータ軸52dに固定されている。複数の外側サイドロータ羽根52bは、内側サイドロータ羽根52aと同径に形成されている。外側サイドロータ軸52dは、機体左右方向に延在され、機体前後方向に回転可能である。外側サイドロータ軸52dは、複数の外側サイドロータ羽根52bを貫通し、複数の外側サイドロータ羽根52bを一体に前後方向に回転させる。
ここで、内側サイドロータ軸52cと外側サイドロータ軸52dとは、カップリング52eを介して一体回転可能に連結されている。カップリング52eは、内側サイドロータ軸52cと外側サイドロータ軸52dとを同軸上で連結する、いわゆる軸継手である。カップリング52eは、ねじ等の締結部材の締緩により、内側サイドロータ軸52cと外側サイドロータ軸52dとを着脱可能に連結している。カップリング52eは、ロータ支持部56により回転自在に支持されている。
連結伝動機構53は、機体左右方向において、センタロータ51とサイドロータ52との間に配置されている。本実施形態3に係る作業車両1−3では、連結伝動機構53は、機体左右方向において、センタロータ51と、苗植付装置40の下方の両側のそれぞれに配置されたサイドロータ52と、の間に配置されている。つまり、連結伝動機構53は、機体左右方向において、センタロータ51の両側のそれぞれに配置されている。連結伝動機構53は、伝動受け部55の後述する出力軸55bにより駆動される駆動チェーン53aと、駆動チェーン53aが掛け回される中間軸53bと、中間軸53bに掛け回される駆動チェーン53cと、駆動チェーン53cにより回転駆動する出力軸53dと、を備えている。連結伝動機構53は、センタロータ軸51bを機体前後方向に回転可能に出力軸53dに連結し、センタロータ51を回転可能に支持している。連結伝動機構53は、エンジン6で発生した動力を伝達して、センタロータ51を回転駆動する。ここで、苗植付装置40の下方の右側に配置されたサイドロータ52は、センタロータ51に対して右側に配置された連結伝動機構53により回転駆動される。
ロータ伝動軸54は、機体左右方向の左側の後輪ギアケース16に対して、回転可能に連結されている。ロータ伝動軸54は、機体前後方向に延在され、機体左右方向に回転可能な回転軸である。ロータ伝動軸54は、後輪ギアケース16に伝達されたエンジン6で発生した動力の一部を、伝動受け部55へ伝達する。
伝動受け部55は、機体左右方向において、センタロータ51の左側とサイドロータ52の右側との間に配置されている。本実施形態3に係る作業車両1−3では、伝動受け部55は、連結伝動機構53よりも左側に配置され、連結伝動機構53と一体に固定されている。伝動受け部55は、ロータ伝動軸54と連結されて機体左右方向に回転可能な入力軸55aと、入力軸55aと噛み合って機体前後方向に回転可能な出力軸55bと、を有している。伝動受け部55は、出力軸55bに対して、内側サイドロータ軸52cを一体回転可能に連結している。
ロータ支持部56は、整地装置50の昇降機構(図示省略)に対して、カップリング52eを回転自在に支持している。
整地用ロータ57は、機体左右方向において、連結伝動機構53を挟んで、サイドロータ52とは反対側に配置されている。本実施形態3に係る作業車両1−3では、整地用ロータ57は、苗植付装置40の下方の左右両側に設けられたサイドロータ52のそれぞれに対して、機体内側に配置されている。つまり、整地用ロータ57は、左右両側のサイドロータ52のそれぞれの内側に配置されている。整地用ロータ57は、機体左右方向において、センタフロート32aとサイドフロート32bとの間に配置されている。整地用ロータ57は、複数の整地ロータ羽根57aを有している。
複数の整地ロータ羽根57aは、機体左右方向に隣り合って配置され、整地ロータ軸57bに固定されている。本実施形態3に係る作業車両1−3では、左右両側のサイドロータ52とは反対側に配置された整地用ロータ57のそれぞれにおいて、整地ロータ羽根57aが二つ設けられている。複数の整地ロータ羽根57aは、同径に形成され、かつ内側サイドロータ羽根52aよりも小径に形成されている。整地ロータ軸57bは、機体左右方向に延在され、機体前後方向に回転可能である。整地ロータ軸57bは、複数の整地ロータ羽根57aを貫通し、複数の整地ロータ羽根57aを一体に機体前後方向に回転させる。整地ロータ軸57bは、伝動受け部55の出力軸55bに対して、一体回転可能に連結されている。
実施形態3に係る作業車両1−3は、以上のような構成からなり、以下、その作用について説明する。作業車両1−3の植付作業時には、苗植付部昇降機構20により苗植付部30を対地作業位置(対地植付位置)まで下降させた状態で、走行車体2の移動に伴って、苗植付部30のセンタフロート32a、サイドフロート32bが圃場上を滑走し、整地装置50のセンタロータ51、サイドロータ52、整地用ロータ57が圃場上を滑走する。
また、作業車両1−3の植付作業時には、エンジン6で発生した動力がベルト式動力伝達機構13、油圧式無段変速機12、後輪ギアケース16、ロータ伝動軸54、伝動受け部55に伝達され、センタロータ51、サイドロータ52、整地用ロータ57のそれぞれが同じ回転速度で等速回転する。
また、作業車両1−3の植付作業時には、機体前後方向において、センタロータ51とサイドロータ52との間から、センタロータ51側からセンタフロート32a側に向かう泥流れが発生する場合がある。このような泥流れが発生した場合、作業車両1−3では、整地用ロータ57が機体左右方向でセンタフロート32aとサイドフロート32bとの間に配置されているので、センタフロート32aとサイドフロート32bとの間から泥流れを後方に排出することができる。これにより、センタフロート32aに設けられたセンサ(例えば接地センサ等)のセンシング精度を向上することができる。
また、整地ロータ羽根57aが内側サイドロータ羽根52aよりも小径であるため、整地ロータ羽根57aと内側サイドロータ羽根52aとが同径である場合よりも、上記泥流れを後方に排出しやすくなる。これにより、センタフロート32aに設けられたセンサのセンシング精度をより向上することができる。
また、作業車両1−3のメンテナンス時には、内側サイドロータ軸52cと外側サイドロータ軸52dとがカップリング52eを介して機体左右方向に着脱可能となっているので、作業者によりカップリング52eでの連結が解除されるとサイドロータ52を分解することができ、作業者によりカップリング52eでの連結がなされるとサイドロータ52を組み立てることができる。これにより、作業車両1−3のメンテナンス時の作業能率を向上することができる。
なお、本実施形態3に係る作業車両1−3では、サイドロータ52の内側サイドロータ軸52cと外側サイドロータ軸52dとを着脱可能に構成していたが、例えば、センタロータ51のセンタロータ軸51bを連結伝動機構53の出力軸53dに対して着脱可能に構成してもよく、整地用ロータ57の整地ロータ軸57bを伝動受け部55の出力軸55bに対して着脱可能に構成してもよい。このように構成した場合、サイドロータ52と同様にメンテナンス時の作業能率を向上することができる。
〔実施形態3の変形例〕
図9は、実施形態3に係る作業車両の変形例を示す図であり、整地装置の要部の構成を示す図である。ここで例示する作業車両1−3’は、実施形態3に係る作業車両1−3と同様に、整地装置50を有している。
作業車両1−3’の整地装置50は、実施形態1に係る作業車両1−1の整地装置50と同様に、いわゆる門型ロータを構成している。作業車両1−3’の整地装置50は、実施形態3に係る作業車両1−3の整地装置50において、整地用ロータ57に代えて溝切り板58を有している。
溝切り板58は、機体左右方向において、連結伝動機構53を挟んで、サイドロータ52とは反対側に配置されている。本変形例に係る作業車両1−3’では、溝切り板58は、左右両側のサイドロータ52のそれぞれの内側に配置されている。溝切り板58は、機体左右方向において、センタフロート32aとサイドフロート32bとの間に配置されている。溝切り板58は、板状部58aを有している。
板状部58aは、軸部58bに固定されている。本変形例に係る作業車両1−3’では、左右両側のサイドロータ52とは反対側に配置された溝切り板58のそれぞれにおいて、板状部58aが一つ設けられている。板状部58aは、機体左右方向視で円形状や多角形状の板状に形成されている。板状部58aは、内側サイドロータ羽根52aよりも大径に形成されている。軸部58bは、機体左右方向に延在され、機体前後方向に回転可能である。軸部58bは、板状部58aを貫通し、板状部58aを一体に機体前後方向に回転させる。軸部58bは、伝動受け部55の出力軸55bに対して、一体回転可能に連結されている。
このように構成された実施形態3に係る作業車両の変形例では、作業車両1−3’の植付作業時には、苗植付部昇降機構20により苗植付部30を対地作業位置(対地植付位置)まで下降させた状態で、走行車体2の移動に伴って、苗植付部30のセンタフロート32a、サイドフロート32bが圃場上を滑走し、整地装置50のセンタロータ51、サイドロータ52、溝切り板58が圃場上を滑走する。
また、作業車両1−3’の植付作業時には、エンジン6で発生した動力がベルト式動力伝達機構13、油圧式無段変速機12、後輪ギアケース16、ロータ伝動軸54に伝達され、センタロータ51、サイドロータ52、溝切り板58のそれぞれが同じ回転速度で等速回転する。
また、作業車両1−3’の植付作業時には、板状部58aが内側サイドロータ羽根52aよりも大径に形成されているので、走行車体2の移動に伴って、機体左右方向においてセンタフロート32aとサイドフロート32bとの間となる圃場面に、板状部58aを入り込ませることで溝を形成することができる。これにより、溝切り板58で形成した溝に、上記泥流れを送り込むことができる。この結果、機体左右方向においてセンタフロート32aとサイドフロート32bとの間から上記泥流れを後方に排出することができ、センタフロート32aおよびサイドフロート32bに対する上記泥流れの影響を抑えることができる。したがって、センタフロート32aに設けられたセンサのセンシング精度の向上に加え、サイドフロート32bに設けられた水深センサ(図示省略)や硬軟センサ(図示省略)などのセンシング精度を向上することができる。
なお、本変形例に係る作業車両1−3’では、溝切り板58の板状部58aが一つであったが、例えば、機体左右方向においてセンタフロート32aとサイドフロート32bとの間から上記泥流れを後方に排出可能な範囲において、板状部58aを二枚以上の複数枚で構成してもよいし、板状部58aの板厚(機体左右方向での厚み)を大きく構成してもよい。このように構成した場合、植付作業時において、複数の溝や、幅広の溝を圃場上に形成することができ、機体左右方向においてセンタフロート32aとサイドフロート32bとの間から上記泥流れを後方に排出することができる。
また、本変形例に係る作業車両1−3’では、実施形態3に係る作業車両1−3の整地用ロータ57に代えて溝切り板58を設けて構成していたが、整地用ロータ57と溝切り板58とを相互に交換可能に構成してもよい。このように構成した場合、例えば、圃場の状態(水分量の多少等の状態)などに応じて、整地用ロータ57と溝切り板58とを使い分けることができる。
〔実施形態4〕
実施形態4に係る作業車両1−4は、実施形態1に係る作業車両1−1と略同様の構成であるが、整地装置50において、センタロータ51とサイドロータ52とを機体左右方向で同軸上に配置した点に特徴がある。他の構成は実施形態1と同様なので、その説明を省略するとともに、同一の符号を付す。
図10は、実施形態4に係る作業車両の整地装置の要部の構成を示す図である。実施形態4に係る作業車両1−4は、実施形態1に係る作業車両1−1と同様に、整地装置50を備えている。
本実施形態4に係る作業車両1−4では、整地装置50は、センタロータ51とサイドロータ52とが同軸上に配置される、いわゆる一本軸ロータを構成している。整地装置50は、センタロータ51と、サイドロータ52と、ロータ伝動軸54と、伝動受け部55と、ロータ支持部56、59と、を備えている。
センタロータ51は、センタフロート32aよりも前方に配置されている。センタロータ51は、後述する説明の便宜上、例えば、機体左右方向において、圃場に植え付ける苗の4条分を整地可能な幅に形成されている。センタロータ51は、複数のセンタロータ羽根51aを有している。複数のセンタロータ羽根51aは、機体左右方向に隣り合って配置され、センタロータ軸51bに固定されている。複数のセンタロータ羽根51aは、同径に形成されている。センタロータ軸51bは、機体左右方向に平行に延在され、機体前後方向に回転可能である。センタロータ軸51bは、複数のセンタロータ羽根51aを貫通し、複数のセンタロータ羽根51aを一体に機体前後方向に回転させる。センタロータ軸51bは、伝動受け部55の出力軸55bに対して、一体回転可能に連結されている。
サイドロータ52は、機体左右方向において、苗植付装置40の下方の両側のそれぞれに配置されている。サイドロータ52は、左右両側合わせて、後述する説明の便宜上、例えば、機体左右方向において、圃場に植え付ける苗の4条分を整地可能な幅に形成されている。つまり、左右両側のサイドロータ52のそれぞれは、2条分を整地可能な幅に形成されている。サイドロータ52は、サイドフロート32bよりも前方に配置されている。サイドロータ52は、複数の内側サイドロータ羽根52aと、複数の外側サイドロータ羽根52bと、を有している。
複数の内側サイドロータ羽根52aは、機体左右方向に隣り合って配置され、内側サイドロータ軸52cに固定されている。複数の内側サイドロータ羽根52aは、後述する説明の便宜上、例えば、機体左右方向において、圃場に植え付ける苗の1条分を整地可能な幅に形成されている。複数の内側サイドロータ羽根52aは、センタロータ羽根51aと同径に形成されている。内側サイドロータ軸52cは、機体左右方向に延在され、機体前後方向に回転可能である。内側サイドロータ軸52cは、複数の内側サイドロータ羽根52aを貫通し、複数の内側サイドロータ羽根52aを一体に機体前後方向に回転させる。内側サイドロータ軸52cは、伝動受け部55の出力軸55bに対して、一体回転可能に連結されている。
複数の外側サイドロータ羽根52bは、機体左右方向に隣り合って配置され、外側サイドロータ軸52dに固定されている。複数の外側サイドロータ羽根52bは、後述する説明の便宜上、例えば、機体左右方向において、圃場に植え付ける苗の1条分を整地可能な幅に形成されている。複数の外側サイドロータ羽根52bは、内側サイドロータ羽根52aと同径に形成されている。外側サイドロータ軸52dは、機体左右方向に延在され、機体前後方向に回転可能である。外側サイドロータ軸52dは、複数の外側サイドロータ羽根52bを貫通し、複数の外側サイドロータ羽根52bを一体に前後方向に回転させる。
ここで、内側サイドロータ軸52cと外側サイドロータ軸52dとは、カップリング52eを介して一体回転可能に連結されている。カップリング52eは、ロータ支持部56により回転自在に支持されている。また、内側サイドロータ軸52cのうち、機体左右方向の右側に配置されるサイドロータ52の内側サイドロータ軸52cは、センタロータ51のセンタロータ軸51bに対して一体回転可能に連結されている。
ロータ伝動軸54は、機体左右方向の左側の後輪ギアケース16に対して、機体左右方向に回転可能に連結されている。ロータ伝動軸54は、後輪ギアケース16に伝達されたエンジン6で発生した動力の一部を、伝動受け部55へ伝達する。
伝動受け部55は、機体左右方向において、センタロータ51の左側とサイドロータ52の右側との間に配置されている。伝動受け部55は、ロータ伝動軸54と連結されて機体左右方向に回転可能な入力軸55aと、入力軸55aと噛み合って機体前後方向に回転可能な出力軸55bと、を有している。伝動受け部55は、出力軸55bに対して、センタロータ軸51bと内側サイドロータ軸52cとを一体回転可能に連結している。本実施形態4に係る作業車両1−4では、出力軸55bの右側にセンタロータ軸51bが連結され、出力軸55bの左側に内側サイドロータ軸52cが連結されている。
ロータ支持部56、59のうち、走行車体2に対して機体左右方向の内側に位置するロータ支持部59は、伝動受け部55を支持している。
実施形態4に係る作業車両1−4は、以上のような構成からなり、以下、その作用について説明する。作業車両1−4の植付作業時には、苗を植え付ける前に、苗を植え付ける条数が8条である場合、内側サイドロータ軸52cと外側サイドロータ軸52dとをカップリング52eにより連結することで、8条に対応することができる。
また、作業車両1−4の植付作業時には、苗を植え付ける前に、苗を植え付ける条数が6条である場合、カップリング52eによる連結を解除して、外側サイドロータ軸52dを取り外すことで、6条に対応することができる。このため、整地装置50を、苗が受け付けられる条数に対応させることができる。
また、作業車両1−4のメンテナンス時には、カップリング52eによる連結を解除することで、外側サイドロータ軸52dを内側サイドロータ軸52cから取り外すことができ、カップリング52eにより連結することで、外側サイドロータ軸52dを内側サイドロータ軸52cに連結することができる。このため、簡単な操作で、短時間のうちにメンテナンスを実施することができる。したがって、修理や交換等のメンテナンスにかかる時間を短縮化し、メンテナンスにかかる手間を簡略化して、メンテナンス性を向上することができる。
また、作業車両1−4では、伝動受け部55の出力軸55bによりセンタロータ軸51bと内側サイドロータ軸52cとを連結し、カップリング52eにより内側サイドロータ軸52cと外側サイドロータ軸52dとを連結することで、いわゆる一本軸ロータを構成しているので、いわゆる門型ロータにおける連結伝動機構53(図8、図9参照)を有していない。このため、整地装置50の部品点数を抑えて、整地装置50の原価を抑えることができる。
なお、本実施形態4に係る作業車両1−4では、伝動受け部55の出力軸55bと内側サイドロータ軸52cとを連結して構成しているが、さらに出力軸55bと内側サイドロータ軸52cとをカップリング52eと同様の軸継手で着脱可能に構成し、出力軸55bと内側サイドロータ軸52cとを着脱可能に構成してもよい。このように構成した場合、出力軸55bから内側サイドロータ軸52cを取り外すことで、苗を植え付ける条数が4条である場合にも対応することができる。
また、本実施形態4に係る作業車両1−4では、機体左右方向において、センタロータ51の幅を4条分に対応する幅に形成し、サイドロータ52の幅を2条分に対応する幅に形成して構成しているが、これに限定されず、苗植付装置40で植付可能な最大条数に応じて、センタロータ51およびサイドロータ52のそれぞれの幅を適宜変更して構成してもよい。
〔実施形態5〕
実施形態5に係る作業車両1−5は、実施形態1に係る作業車両1−1と略同様の構成であるが、油圧式無段変速機12が中立である場合に、走行車体2の移動を規制する点に特徴がある。
図11は、実施形態5に係る作業車両の概略構成を示すブロック図である。図12は、実施形態5に係る作業車両の制御装置における制御の一例を示すフロー図である。作業車両1−5は、走行車体2に搭載される油圧式無段変速機12、ベルト式動力伝達機構13、苗植付部30などの各種装置の動作を制御する制御装置100を有している。
制御装置100は、作業車両1−5の全体の動作を制御する制御装置である。制御装置100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等を有するマイクロコンピュータである。制御装置100は、作業車両1−5に搭載されるバッテリー(図示省略)からの電力により駆動される。制御装置100には、HSTポテンショメータ91と、後輪回転センサ92と、ブレーキペダルセンサ93と、株間副変速レバーセンサ94と、株数切替レバーセンサ95と、車速センサ96と、油圧式無段変速機12と、ベルト式動力伝達機構13と、操作パネル80と、HST送油ポンプ97と、燃料ポンプ98と、が電気的に接続されている。
HSTポテンショメータ91は、副変速レバー(図示省略)の変速位置を検知し、その変速位置に対応する検知信号を制御装置100へ出力する。ここで、本実施形態5に係る作業車両1−5では、副変速レバーは、植付作業をする場合の油圧式無段変速機12の変速位置である「植付位置」、走行車体2が走行しない状態でPTO(Power take−off)軸(本実施形態5では、植付ドライブシャフト17に相当)へ動力を出力する場合の油圧式無段変速機12の変速位置であり、油圧式無段変速機12が中立となる変速位置である「HST中立位置」、路上等で走行する場合の油圧式無段変速機12の変速位置である「移動位置」、の三つの位置に、作業者により変速可能に構成されている。つまり、HSTポテンショメータ91は、副変速レバーが「植付位置」、「HST中立位置」または「移動位置」のいずれかに変速された際に、各位置を検知し、各位置に対応する検知信号を制御装置100へ出力する。
後輪回転センサ92は、後輪4(図1参照)の回転数を検知し、その回転数に対応する検知信号を制御装置100へ出力する。
ブレーキペダルセンサ93は、ブレーキペダル18(図1参照)が踏まれていることを検知すると、その検知信号を制御装置100へ出力する。
株間副変速レバーセンサ94は、株間副変速レバー(図示省略)の変速位置を検知し、その変速位置に対応する検知信号を制御装置100へ出力する。ここで、本実施形態に係る作業車両1−5では、株間副変速レバーは、圃場への苗の植え付け間隔を密植にする位置である「密植位置」、または圃場への苗の植え付け間隔を疎植にする位置である「疎植位置」の二つの位置に、作業者により変更可能に構成されている。つまり、株間副変速レバーセンサ94は、株間副変速レバーが「密植位置」または「疎植位置」に変速された際に、各位置を検知し、各位置に対応する検知信号を制御装置100へ出力する。
株数切替レバーセンサ95は、株数切替レバー(図示省略)の切替位置を検知し、その切替位置に対応する検知信号を制御装置100へ出力する。ここで、本実施形態5に係る作業車両1−5では、株数切替レバーは、例えば、「第1位置」、「第2位置」、「第3位置」または「第4位置」のいずれかの切替位置に、作業者により切り替え可能に構成されている。ここで、第1位置は、株間副変速レバーの変速位置が密植位置であれば植付本数が60〔本/坪〕となる位置であり、株間副変速レバーの変速位置が疎植位置であれば植付本数が37〔本/坪〕となる位置である。第2位置は、株間副変速レバーの変速位置が密植位置であれば植付本数が70〔本/坪〕となる位置であり、株間副変速レバーの変速位置が疎植位置であれば植付本数が42〔本/坪〕となる位置である。第3位置は、株間副変速レバーの変速位置が密植位置であれば植付本数が80〔本/坪〕となる位置であり、株間副変速レバーの変速位置が疎植位置であれば植付本数が47〔本/坪〕となる位置である。第4位置は、株間副変速レバーの変速位置が密植位置であれば植付本数が90〔本/坪〕となる位置であり、株間副変速レバーの変速位置が疎植位置であれば植付本数が50〔本/坪〕となる位置である。つまり、株数切替レバーセンサ95は、株数切替レバーが「第1位置」、「第2位置」、「第3位置」または「第4位置」のいずれかに切り替えられた際に、各位置を検知し、各位置に対応する検知信号を制御装置100へ出力する。
車速センサ96は、走行車体2(図1参照)の走行速度を検知し、その走行速度に対応する検知信号を制御装置100へ出力する。
HST送油ポンプ97は、油圧式無段変速機12へHSTオイルを供給するための油圧回路(図示省略)に送油するオイルポンプである。
燃料ポンプ98は、燃料タンク74(図1参照)からエンジン6へ燃料オイルを供給するオイルポンプである。
また、制御装置100は、機能概念的に、検知部101と、判定部102と、記憶部103と、指示部104と、を含んで構成されている。
検知部101は、HSTポテンショメータ91および各センサ92〜96のそれぞれから出力される検知信号を受信する。検知部101は、受信した検知信号に基づいて、副変速レバーの変速位置、後輪4(図1参照)の回転数、走行車体2(図1参照)の車速などを検知する。
判定部102は、検知部101が検知した副変速レバーの変速位置に基づいて、HST中立位置であるか否かを判定する。また、判定部102は、副変速レバーの変速位置がHST中立位置であると判定すると、検知部101が検知した後輪4の回転数と記憶部103に記憶された中立時許容回転数とに基づいて、後輪4の回転数が一定以上であるか否かを判定する。
記憶部103は、副変速レバーがHST中立位置に変速された状態において、走行車体2の移動が許容される範囲で設定された、後輪4の回転数(中立時許容回転数)を記憶している。ここで、中立時許容回転数は、実施形態5に係る作業車両1−5の実機を用いた試験などにより、走行車体2の移動が許容される範囲で、予め設定されている。
指示部104は、判定部102において副変速レバーの変速位置がHST中立位置であると判定し、かつ後輪4の回転数が一定以上であると判定すると、油圧式無段変速機12へのHSTオイルの供給を停止するように指示する。本実施形態5に係る作業車両1−5では、指示部104は、油圧式無段変速機12へHSTオイルを供給するための油圧回路に設けられた電磁弁(図示省略)に対して、油路を開放状態から閉止状態に切り替えさせる指示信号を出力可能である。ここで、電磁弁により油路が閉止状態に切り替えられると、HST送油ポンプ97により送油されたHSTオイルは、油圧式無段変速機12に供給されず、オイルタンク(図示省略)に戻される。
実施形態5に係る作業車両1−5は、以上のような構成からなり、以下、その作用について説明する。作業車両1−5の植付作業時には、副変速レバー(図示省略)を植付位置に変速した状態で、植付作業に適した移動速度(車速)で走行車体2が移動しながら苗植付部30が駆動され、圃場に苗が植え付けられる。
また、作業車両1−5の路上での走行時には、副変速レバーを移動位置に変速した状態で、路上走行に適した移動速度(車速)で走行車体2が移動する。ここで、苗植付部30は、苗植付部昇降機構20により上昇した状態となる。
また、作業車両1−5の走行車体2が自走しない状態で苗植付部30を駆動する駆動時には、副変速レバーをHST中立位置に変速した状態で、エンジン6で発生した動力が植付ドライブシャフト17(PTO軸に相当)に伝達され、苗植付部30が駆動される。
また、作業車両1−5の走行車体2が自走しない状態で苗植付部30を駆動する駆動時には、制御装置100は、副変速レバーの変速位置がHST中立位置であるか否かを判定する(ステップST1)。このステップST1では、HSTポテンショメータ91により副変速レバーの変速位置がHST中立位置であると検知されると、副変速レバーの変速位置がHST中立位置であると判定する。
制御装置100は、副変速レバーの変速位置がHST中立位置であると判定する(ステップST1:Yes)と、後輪4の回転数が一定以上であるか否かを判定する(ステップST2)。このステップST2では、後輪回転センサ92で検知した後輪4の回転数が中立時許容回転数を超えると、後輪4の回転数が一定以上であると判定する。
制御装置100は、後輪4の回転数が一定以上であると判定する(ステップST2:Yes)と、油圧式無段変速機12へのHSTオイルの供給を停止する(ステップST3)。これにより、油圧式無段変速機12からは、前輪3や後輪4へ動力を伝達することができなくなる。したがって、副変速レバーの変速位置がHST中立位置であるにもかかわらず、油圧式無段変速機12から前輪3や後輪4へ動力が伝達されるような、意図しない動作をしても、油圧式無段変速機12自体の動作を停止させることができる。この結果、副変速レバーの変速位置がHST中立位置であれば、走行車体2が移動することを規制することができる。
また、制御装置100は、副変速レバーの変速位置がHST中立位置ではないと判定する(ステップST1:No)と、制御工程を終了する。また、制御装置100は、後輪4の回転数が一定以上ではないと判定する(ステップST2:No)と、制御工程を終了する。
なお、実施形態5に係る作業車両1−5では、制御装置100を有して構成しているが、上記実施形態1から実施形態4に係る作業車両1−1〜1−4では制御装置100の説明を便宜上省略したものであって、実施形態5に係る作業車両1−5と同様に制御装置100を有して構成されている。
〔実施形態5の変形例〕
図13は、実施形態5に係る作業車両の変形例の制御装置における制御の一例を示すフロー図である。ここで例示する作業車両は、実施形態5に係る作業車両1−5と同様に、制御装置100(図11参照)を備えている。
実施形態5に係る作業車両の変形例では、制御装置100の指示部104は、判定部102において副変速レバー(図示省略)の変速位置がHST中立位置であると判定し、かつ後輪4の回転数が一定以上であると判定すると、燃料ポンプ98(図11参照)の動作を停止するように指示する。指示部104は、燃料ポンプ98に対して、その動作を停止させる指示信号を出力可能である。
このように構成された実施形態5に係る作業車両の変形例では、作業車両の走行車体2(図1参照)が自走しない状態で苗植付部30(図1参照)を駆動する駆動時には、制御装置100は、副変速レバーの変速位置がHST中立位置であるか否かを判定(ステップST11)し、副変速レバーの変速位置がHST中立位置であると判定する(ステップST1:Yes)と、後輪4の回転数が一定以上であるか否かを判定する(ステップST12)。
制御装置100は、後輪4の回転数が一定以上であると判定する(ステップST12:Yes)と、燃料ポンプ98の動作を停止させる(ステップST13)。これにより、エンジン6の動作を停止することができる。したがって、副変速レバーの変速位置がHST中立位置であるにもかかわらず、油圧式無段変速機12から前輪3や後輪4へ動力が伝達されるような、意図しない動作をしても、油圧式無段変速機12には動力が伝達されない。この結果、副変速レバーの変速位置がHST中立位置であれば、走行車体2が移動することを規制することができる。
また、制御装置100は、副変速レバーの変速位置がHST中立位置ではないと判定する(ステップST11:No)と、制御工程を終了する。また、制御装置100は、後輪4の回転数が一定以上ではないと判定する(ステップST12:No)と、制御工程を終了する。
〔実施形態6〕
実施形態6に係る作業車両1−6は、実施形態1に係る作業車両1−1と略同様の構成であるが、ブレーキペダル18が踏まれている場合に、走行車体2の移動を規制する点に特徴がある。
図14は、実施形態6に係る作業車両の制御装置における制御の一例を示すフロー図である。作業車両1−6は、実施形態5に係る作業車両1−5と同様に、制御装置100(図11参照)を備えている。制御装置100は、機能概念的に、検知部101と、判定部102と、記憶部103と、指示部104と、を含んで構成されている。
検知部101は、後輪回転センサ92(図11参照)から受信した検知信号に基づいて、後輪4(図1参照)の回転数を検知する。実施形態6に係る作業車両1−6では、検知部101は、ブレーキペダルセンサ93(図11参照)から受信した検知信号に基づいて、ブレーキペダル18(図1参照)が踏まれていることを検知する。
判定部102は、検知部101によりブレーキペダル18が踏まれていることが検知されると、ブレーキペダル18が踏まれていると判定する。判定部102は、ブレーキペダル18が踏まれていると判定すると、検知部101が検知した後輪4の回転数と記憶部103に記憶されたブレーキ時許容回転数とに基づいて、後輪4の回転数が一定以上であるか否かを判定する。
記憶部103は、ブレーキペダル18が踏まれている状態において、走行車体2の移動が許容される範囲で設定された、後輪4の回転数(ブレーキ時許容回転数)を記憶している。ここで、ブレーキ時許容回転数は、実施形態6に係る作業車両1−6の実機を用いた試験などにより、走行車体2の移動が許容される範囲で、予め設定されている。
指示部104は、判定部102においてブレーキペダル18が踏まれていると判定し、かつ後輪4の回転数が一定以上であると判定すると、油圧式無段変速機12(図11参照)へのHSTオイルの供給を停止するように指示する。本実施形態6に係る作業車両1−6では、指示部104は、油圧式無段変速機12へHSTオイルを供給するための油圧回路に設けられた電磁弁(図示省略)に対して、油路を開放状態から閉止状態に切り替えさせる指示信号を出力可能である。ここで、電磁弁により油路が閉止状態に切り替えられると、HST送油ポンプ97(図11参照)により送油されたHSTオイルは、油圧式無段変速機12に供給されず、オイルタンク(図示省略)に戻される。
実施形態6に係る作業車両1−6は、以上のような構成からなり、以下、その作用について説明する。作業車両1−6の植付作業時や路上走行時、または走行車体2が自走しない状態で苗植付部30(図1参照)を駆動する駆動時には、制御装置100は、ブレーキペダル18が踏まれているか否かを判定する(ステップST31)。このステップST31では、ブレーキペダルセンサ93によりブレーキペダル18が踏まれていると検知されると、ブレーキペダル18が踏まれていると判定する。
制御装置100は、ブレーキペダル18が踏まれていると判定する(ステップST31:Yes)と、後輪4の回転数が一定以上であるか否かを判定する(ステップST32)。このステップST32では、後輪回転センサ92で検知した後輪4の回転数がブレーキ時許容回転数を超えると、後輪4の回転数が一定以上であると判定する。
制御装置100は、後輪4の回転数が一定以上であると判定する(ステップST32:Yes)と、油圧式無段変速機12へのHSTオイルの供給を停止する(ステップST33)。これにより、油圧式無段変速機12からは、前輪3や後輪4へ動力を伝達することができなくなる。したがって、ブレーキペダル18が踏まれている場合には、ブレーキ装置(図示省略)の制動力を上回る駆動力で前輪3や後輪4が回転駆動されても、走行車体2が移動することを規制することができる。
また、制御装置100は、ブレーキペダル18が踏まれていないと判定する(ステップST31:No)と、制御工程を終了する。また、制御装置100は、後輪4の回転数が一定以上ではないと判定する(ステップST32:No)と、制御工程を終了する。
〔実施形態6の変形例〕
図15は、実施形態6に係る作業車両の変形例の制御装置における制御の一例を示すフロー図である。ここで例示する作業車両は、実施形態6に係る作業車両1−6と同様に、制御装置100(図11参照)を備えている。
実施形態6に係る作業車両の変形例では、制御装置100の指示部104は、判定部102においてブレーキペダル18が踏まれていると判定し、かつ後輪4の回転数が一定以上であると判定すると、燃料ポンプ98(図11参照)の動作を停止するように指示する。指示部104は、燃料ポンプ98に対して、その動作を停止させる指示信号を出力可能である。
このように構成された実施形態6に係る作業車両の変形例では、作業車両の植付作業時や路上走行時、または走行車体2が自走しない状態で苗植付部30(図1参照)を駆動する駆動時には、制御装置100は、ブレーキペダル18が踏まれているか否かを判定(ステップST41)し、ブレーキペダル18が踏まれていると判定する(ステップST41:Yes)と、後輪4の回転数が一定以上であるか否かを判定する(ステップST42)。
制御装置100は、後輪4の回転数が一定以上であると判定する(ステップST42:Yes)と、燃料ポンプ98の動作を停止させる(ステップST43)。これにより、エンジン6の動作を停止させることができる。したがって、ブレーキペダル18が踏まれている場合には、ブレーキ装置(図示省略)の制動力を上回る駆動力で前輪3や後輪4が回転駆動されても、走行車体2が移動することを規制することができる。
また、制御装置100は、ブレーキペダル18が踏まれていないと判定する(ステップST41:No)と、制御工程を終了する。また、制御装置100は、後輪4の回転数が一定以上ではないと判定する(ステップST42:No)と、制御工程を終了する。
なお、実施形態5、6に係る作業車両1−5、1−6、およびこれらの変形例の作業車両では、後輪4の回転数を検知するように構成していたが、これに限定されず、例えば、前輪3の回転数を検知するように構成することもできる。
また、実施形態5、6に係る作業車両1−5、1−6、およびこれらの変形例の作業車両では、「作業者により副変速レバーがHST中立位置に変速されていたり、作業者によりブレーキペダル18が踏まれていたりする(つまり停止操作が行われている)にもかかわらず、例えば急勾配などの要因により走行車体2が前進(または後進)してしまう状態」を検知し、その走行車体2の前進(または後進)を規制することを目的としているため、例えば、GPS(Global Positioning System)による走行車体2の位置を受信可能な構成としてもよい。このように構成した場合、走行車体2が前進(または後進)したと看做しうる位置の変化が生じたときに、走行車体2の移動を規制することができる。
ここで、走行車体2が前進(または後進)したと看做しうる位置の変化とは、地球の自転やGPS衛星と走行車体2との位置関係の変化等により、測位される座標がゆらぐ(走行車体2が正常に停止していても、測位した座標を地図上に表示すると、走行車体2が乱雑に移動したような軌跡となる)ため、走行車体2の機体左右方向での座標がほとんど移動しない(座標のゆらぎの範囲を超えない)にもかかわらず、走行車体2の機体前後方向での座標が大きく移動した(座標のゆらぎの範囲を超えた)場合の位置の変化である。つまり、走行車体2が前進(または後進)したと看做しうる位置情報の変化とは、走行車体2の機体左右方向での座標の移動よりも機体前後方向での座標の移動が大きくなる位置の変化である。
〔実施形態7〕
実施形態7に係る作業車両1−7は、実施形態1に係る作業車両1−1と略同様の構成であるが、株間副変速レバー(図示省略)の変速位置が密植位置である場合に、走行車体2の車速最大値を下げる点に特徴がある。
図16は、実施形態7に係る作業車両の制御装置における制御の一例を示すフロー図である。作業車両1−7は、実施形態5に係る作業車両1−5と同様に、制御装置100(図11参照)を備えている。制御装置100は、機能概念的に、検知部101と、判定部102と、記憶部103と、指示部104と、を含んで構成されている。
検知部101は、株間副変速レバーセンサ94から受信した検知信号に基づいて、株間副変速レバー(図示省略)の変速位置を検知する。また、検知部101は、車速センサ96(図11参照)から受信した検知信号に基づいて、走行車体2(図1参照)の車速を検知する。
判定部102は、検知部101が検知した株間副変速レバーの変速位置に基づいて、株間副変速レバーの変速位置が密植位置であるか否かを判定する。
記憶部103は、株間副変速レバーの変速位置が密植位置である状態において、苗植付装置40で許容される範囲で設定された、走行車体2の密植時車速最大値を記憶している。ここで、密植時車速最大値は、実施形態7に係る作業車両1−7の実機を用いた試験などにより、苗植付装置40の植込杆41やロータリケース42などで許容される機械的負荷を超えない範囲で、予め設定されている。
指示部104は、判定部102において株間副変速レバーの変速位置が密植位置であると判定すると、走行車体2の車速最大値を、密植時車速最大値まで下げる。本実施形態7に係る作業車両1−7では、指示部104は、油圧式無段変速機12に対して、油圧式無段変速機12の回転数などを、車速センサ96で検知する走行車体2の車速が、密植時車速最大値を超えないように指示する指示信号を出力可能である。
実施形態7に係る作業車両1−7は、以上のような構成からなり、以下、その作用について説明する。作業車両1−7の植付作業時には、制御装置100は、株間副変速レバーの変速位置が密植位置であるか否かを判定する(ステップST51)。このステップST51では、株間副変速レバーセンサ94により株間副変速レバーの変速位置が密植位置であることが検知されると、株間副変速レバーの変速位置が密植位置であると判定する。
制御装置100は、株間副変速レバーの変速位置が密植位置であると判定する(ステップST51:Yes)と、走行車体2の車速最大値を、密植時車速最大値まで下げる(ステップST52)。これにより、走行車体2の車速が密植時車速最大値を超えなくなるので、苗植付装置40の植込杆41やロータリケース42への機械的負荷を抑えながら、苗を密植で植え付けることができる。したがって、株数が疎植の場合よりも多くなる密植の場合においては、苗植付装置40の植込杆41やロータリケース42の単位面積当たりの回転数が疎植の場合よりも増えるが、走行車体2の車速を抑制することで、苗植付装置40の破損を予防することができる。また、作業者が主変速レバー(図示省略)で車速を最大とする操作を行っても、株間副変速レバーの変速位置が密植位置であると、走行車体2の車速が密植時車速最大値を超えない。
また、制御装置100は、株間副変速レバーの変速位置が密植位置ではないと判定する(ステップST51:No)と、制御工程を終了する。
〔実施形態7の変形例〕
図17は、実施形態7に係る作業車両の変形例の制御装置における制御の一例を示すフロー図である。ここで例示する作業車両は、実施形態7に係る作業車両1−7と同様に、制御装置100(図11参照)を備えている。制御装置100は、機能概念的に、検知部101と、判定部102と、記憶部103と、指示部104と、を含んで構成されている。
検知部101は、株間副変速レバーセンサ94(図11参照)から受信した検知信号に基づいて、株間副変速レバー(図示省略)の変速位置を検知する。また、検知部101は、車速センサ96(図11参照)から受信した検知信号に基づいて、走行車体2(図1参照)の車速を検知する。さらに本実施形態7に係る作業車両の変形例では、検知部101は、株数切替レバーセンサ95(図11参照)から受信した検知信号に基づいて、株数切替レバー(図示省略)の切替位置を検知する。
判定部102は、検知部101が検知した株間副変速レバーの変速位置に基づいて、株間副変速レバーの変速位置が密植位置であるか否かを判定する。また、判定部102は、検知部101が検知した株数切替レバーの切替位置に基づいて、株数切替レバーの切替位置が最密植位置であるか否かを判定する。ここで、最密植位置は、株間副変速レバーの変速位置が密植位置である場合において、苗植付装置40で植付可能な株数を最大値に設定する位置であり、本変形例に係る作業車両では、第4位置である。
記憶部103は、株間副変速レバーの変速位置が密植位置であり、かつ株数切替レバーの切替位置が最密植位置である場合において、苗植付装置40で許容される範囲で設定された、走行車体2の最密植時車速最大値を記憶している。ここで、最密植時車速最大値は、本変形例に係る作業車両の実機を用いた試験などにより、苗植付装置40の植込杆41やロータリケース42などで許容される機械的負荷を超えない範囲で、予め設定されている。
指示部104は、判定部102において株間副変速レバーの変速位置が密植位置であると判定し、かつ株数切替レバーの切替位置が最密植位置であると判定すると、走行車体2の車速最大値を、最密植時車速最大値まで下げる。本変形例に係る作業車両では、指示部104は、油圧式無段変速機12に対して、油圧式無段変速機12の回転数などが、車速センサ96で検知する走行車体2の車速が最密植時車速最大値を超えないように指示する、指示信号を出力可能である。
このように構成された実施形態7に係る作業車両の変形例では、作業車両の植付作業時には、制御装置100は、株間副変速レバーの変速位置が密植位置であるか否かを判定(ステップST61)し、株間副変速レバーの変速位置が密植位置であると判定する(ステップST61:Yes)と、株数切替レバーの切替位置が最密植位置であるか否かを判定する(ステップST62)。このステップST62では、株数切替レバーセンサ95により株数切替レバーの切替位置が最密植位置であることが検知されると、株数切替レバーの切替位置が最密植位置であると判定する。
制御装置100は、株数切替レバーの切替位置が最密植位置であると判定する(ステップST62:Yes)と、走行車体2の車速最大値を、最密植時車速最大値まで下げる(ステップST63)。これにより、走行車体2の車速が最密植時車速最大値を超えなくなるので、苗植付装置40の植込杆41やロータリケース42への機械的負荷を抑えながら、苗を最密植で植え付けることができる。したがって、株数が密植の場合よりも多くなる最密植の場合においては、苗植付装置40の植込杆41やロータリケース42の単位面積当たりの回転数が密植の場合よりも増えるが、走行車体2の車速を抑制することで、苗植付装置40の破損を予防することができる。また、作業者が主変速レバー(図示省略)で車速を最大とする操作を行っても、株間副変速レバーの変速位置が密植位置であり、かつ株数切替レバーの切替位置が最密植位置であると、走行車体2の車速が最密植時車速最大値を超えない。
また、制御装置100は、株間副変速レバーの変速位置が密植位置ではないと判定する(ステップST61:No)と、制御工程を終了する。また、制御装置100は、株数切替レバーの切替位置が最密植位置ではないと判定する(ステップST62:No)と、制御工程を終了する。
なお、実施形態7に係る作業車両1−7およびその変形例では、制御装置100により車速最大値を下げるように構成していたが、これに限定されず、例えば、株数切替レバーに設けたステーにワイヤを通し、ワイヤの一端を株間副変速レバーに取り付け、ワイヤの他端を主変速レバーに取り付けて、株間副変速レバーの変速位置が密植位置に変速され、かつ株数切替レバーの切替位置が最密植位置に切り替えられると、ワイヤが主変速レバーを低速側に引っ張ることで車速最大値を下げるように構成してもよい。
また、実施形態7に係る作業車両1−7およびその変形例では、制御装置100により車速最大値を下げるように構成していたが、これに限定されず、例えば、主変速レバーの変速操作を油圧式無段変速機12に伝えるHSTプレート(図示省略)にピン(図示省略)を立設し、このピンと係合可能でHSTプレートが高速側に移動することを規制するフック(図示省略)を設け、株間副変速レバーの変速位置が密植位置に変速され、株数切替レバーの切替位置が最密植位置に切り替えられると、ピンにフックが係合することで車速最大値を下げるように構成してもよい。