本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ここでは、本発明の圃場作業機の一例として乗用型田植機を例に挙げて説明する。但し、本発明の範囲は、以下の実施形態に限定されるものではない。
〔乗用型田植機の機械的構成〕
図1〜3に示されるように、乗用型田植機100は、走行機体1と、走行機体1に設けられたエンジン14と、走行機体1に設けられた座席50と、圃場Fに対する作業を行う作業装置2と、を備えている。乗用型田植機100は、エンジン14を動力源として圃場Fを走行し、作業装置2によって圃場Fに対して作業を行う。なお、図3では、見易さのため、乗用型田植機100の後側部分が省略されている。
以下の説明では、走行機体1の前後方向を「前後方向X」と定義する。そして、前後方向Xにおいて、乗用型田植機100が作業時に進行する側を「前側X1」とし、その反対側を「後側X2」とする。また、平面視で前後方向Xに直交する方向を「幅方向Y」と定義する。そして、乗用型田植機100の作業時における進行方向を基準として、幅方向Yにおける一方側を「左側Y1」、その反対側を「右側Y2」とする。
走行機体1には、左右一対の操舵車輪11と左右一対の後車輪12とが備えられている。左右一対の操舵車輪11は、走行機体1における前側X1に設けられて走行機体1の向きを変更操作自在に構成されている。左右一対の後車輪12は、走行機体1における後側X2に設けられている。操舵車輪11及び後車輪12のうち少なくとも一方は、エンジン14の動力が伝達されて駆動される駆動輪として構成されている。
本実施形態では、作業装置2は、圃場Fに苗を植え付ける苗植付装置として構成されている。図示の例では、作業装置2は、昇降用油圧シリンダ20の伸縮作動により昇降作動するリンク機構21を介して、走行機体1の後端に昇降自在に連結されている。
作業装置2には、伝動ケース22と、回転ケース23と、整地フロート25と、苗載せ台26と、が備えられている。図示の例では、伝動ケース22は合計で4つ備えられており、回転ケース23は合計で8つ備えられている。
回転ケース23は、各伝動ケース22の後部の左側部及び右側部に、夫々回転自在に支持されている。夫々の回転ケース23の両端部には、一対のロータリ式の植付アーム24が備えられている。整地フロート25は、圃場Fの田面を整地する。図示の例では、整地フロート25は、作業装置2に対して複数備えられている。苗載せ台26には、植え付け用のマット状苗が載置される。
本実施形態では、作業装置2は、8つの回転ケース23のそれぞれに備えられた植付アーム24により苗を植え付ける八条植え型式に構成されている。作業装置2は、苗載せ台26を左右に往復横送り駆動しながら、伝動ケース22から伝達される動力により各回転ケース23を回転駆動する。そして、各植付アーム24によって苗載せ台26の下部から交互に苗を取り出すと共に、この苗を圃場Fの田面に植え付ける。なお、このような構成に限定されることなく、作業装置2は、四条植え型式、六条植え型式、七条植え型式、又は、十条植え型式などに構成されていても良い。
また、作業装置2には、圃場Fの田面に指標ライン(不図示)を形成するためのマーカ装置15が備えられている。作業時には、マーカ装置15が形成した指標ラインが進行方向の目安とされる。
詳述はしないが、マーカ装置15は、作用姿勢と格納姿勢とに切換え可能に構成されている。マーカ装置15は、作用姿勢の状態で圃場Fの田面に接地し、走行機体1の走行に伴って次の作業行程で進むべき目標移動経路Rに沿って指標ラインを形成する(図6も参照)。また、マーカ装置15は、格納姿勢の状態で田面から上方に離間する。マーカ装置15の姿勢の切換えは、電動モータ(不図示)により行われる。
本実施形態では、乗用型田植機100は、圃場Fに植え付けられた苗に肥料を供給するための施肥装置9を更に備えている。施肥装置9は、作業装置2の一部として構成されている。
施肥装置9は、肥料を貯留するホッパー90と、ホッパー90から肥料を繰り出す繰り出し部91と、繰り出された肥料をホース92を通じて作溝器93に送るブロア94と、を備えている。これにより、ホッパー90に貯留された肥料が、繰り出し部91により繰り出されると共にブロア94の風によりホース92から作溝器93に送られる。そして、作溝器93に送られた肥料は、この作溝器93によって圃場Fの田面に形成された溝に供給される。
走行機体1における前側X1には、開閉式のボンネット13が備えられている。ボンネット13の内部には、エンジン14が備えられている。詳述はしないが、エンジン14の動力が、機体に備えられた不図示のHST(静油圧式無段変速装置)を介して操舵車輪11及び後車輪12に伝達される。そして、変速後の動力が電動モータ駆動式の植付クラッチ(不図示)を介して作業装置2に伝達される。
また、ボンネット13の前端部には、マーカ装置15によって圃場Fに形成された指標ラインに沿って走行するための目安となる棒状のセンターマスコット16が備えられている。本実施形態では、センターマスコット16は、走行機体1の幅方向Yにおける中央部1Cに備えられている(図2及び3参照)。
走行機体1の中央部1Cには、各種の運転操作が行われる運転部5が備えられている。
運転部5には、運転者が着座可能な座席50と、各種の操作具が設けられた操縦塔51と、運転者が走行機体1に搭乗するための搭乗ステップ55と、が備えられている。搭乗ステップ55は、座席50の近傍とボンネット13の左右両側とに亘って設けられている。
また、運転部5には、アクセルペダル57と、ブレーキペダル58と、が備えられており(図5参照)、これらにより所定の走行操作が行われる。
運転部5は、上述のセンターマスコット16よりも後側X2に位置している。従って、センターマスコット16よりも後側X2の座席50に着座する運転者は、前方のセンターマスコット16を視野に入れながら、前側X1に向かって走行機体1を走行させることが可能となっている。
ここで、乗用型田植機100は、走行機体1の変速操作を行う変速操作具としての主変速レバー54Aを備えており、走行機体1には、この主変速レバー54Aの他にも、乗用型田植機100を操作するための所定の操作具が備えられている。本実施形態では、主変速レバー54Aを含むこれらの所定の操作具は、運転部5の操縦塔51に備えられている。
本実施形態では、操縦塔51には、所定の操作具として、操向ハンドル52と操作レバー53と主変速レバー54Aとが備えられている。操向ハンドル52は、操舵車輪11の操向操作が可能に構成されている。操作レバー53は、作業装置2の昇降操作と、左右のマーカ装置15の切換えと、が可能に構成されている。
主変速レバー54Aは、操縦塔51における操向ハンドル52の左側Y1に設けられている。図4に示されるように、主変速レバー54Aは、操縦塔51に開口するガイド溝54Bに挿入された状態で、操縦塔51に設けられている。
ガイド溝54Bは、主変速レバー54Aの位置を前進位置FPと中立位置NPと後進位置RPとに亘って案内可能に構成されている。すなわち、ガイド溝54Bは、前進位置FPに対応する位置と、中立位置NPに対応する位置と、後進位置RPに対応する位置と、を経由する1つの溝状に形成されている。
主変速レバー54Aは、前後進の切換え操作や走行速度の変更操作が可能に構成されている。主変速レバー54Aが前進位置FPに在る状態で、走行機体1を前進走行させる状態にHSTが操作される。また、主変速レバー54Aが後進位置RPに在る状態で、走行機体1を後進走行させる状態にHSTが操作される。そして、主変速レバー54Aが中立位置NPに在る状態で、HSTがいわゆるニュートラル状態となり、エンジン14の動力が遮断された状態となる。
また、運転部5には、乗用型田植機100の目標移動経路Rを設定するための設定スイッチ56が備えられている(図5も参照)。目標移動経路Rの設定については後述する。
乗用型田植機100は、走行機体1を制御する制御装置7を備えている。制御装置7は、以上で説明した走行機体1の走行や作業装置2及び施肥装置9の動作など、乗用型田植機100の基本的な動作を制御する。本実施形態では、制御装置7は、操縦塔51の内部に設けられている。
図1〜3に示されるように、走行機体1における幅方向Yの外側には、予備苗を載置する予備苗載台3が設けられている。予備苗載台3は、機体フレーム10の前部に立設された予備苗フレーム3Fによって走行機体1に設けられている。図示の例では、予備苗載台3は、走行機体1における左右両側に一対設けられている。
本実施形態では、予備苗載台3は、予備苗を載置する載置部30と、上下方向Zに延びて載置部30を支持する支持部32とを有している。図1に示されるように、支持部32は、幅方向Y視で概ね逆U字状を成すフレーム状に形成されている。より具体的には、支持部32は、上下方向Zに延びる前側支持部32Aと、前側支持部32Aよりも後側X2において上下方向Zに延びる後側支持部32Bと、前側支持部32Aの上端部と後側支持部32Bの上端部とを繋ぐ上側支持部32Cと、を有している。
載置部30は、所定面積を有する板状に形成されている。図1に示されるように、載置部30は、前側支持部32A及び後側支持部32Bのそれぞれによって、前後方向Xの2箇所で支持されている。また、図3に示されるように、載置部30における幅方向Yの両側端部のうち、走行機体1の中央部1Cの側に位置する側端部分が、支持部32に支持されている。本実施形態では、載置部30は、前後方向Xの軸心回りに回動自在に支持されている。これにより、例えば、予備苗が載置されていない載置部30を収納状態とすることができ、予備苗載台3を幅方向Yにコンパクト化することが可能となる。なお、図3には、左側Y1の予備苗載台3における載置部30が収納状態とされた様子が示されている。また、図示の例では、載置部30は、支持部32に対して上下方向Zに離間して複数(4つ)設けられている。すなわち、1つの予備苗載台3につき4つの載置部30が設けられており、走行機体1に対して合計で8つの載置部30が設けられている。
本実施形態では、予備苗載台3は、載置部30の他、折り畳み可能に構成された折り畳み式載置部31を有している。図示の例では、折り畳み式載置部31は、載置部30よりも下側Z2において支持部32に支持されている。なお、図1〜3では、折り畳み式載置部31が折り畳まれている状態が示されている。折り畳み式載置部31は、広げられた状態において予備苗を載置することができる。折り畳み式載置部31は、載置部30だけでは載置できない量の予備苗を確保しておきたい場合に、必要に応じて使用されると良い。
乗用型田植機100は、走行機体1の位置を示す自機位置情報NMIを取得する測位装置4を備えている。測位装置4は、衛星からの電波を受信して機体の位置を検出する衛星測位用システム(GPS:Global Positioning System)を利用している。本実施形態では、測位装置4は、DGPS(Differential GPS:相対測位方式)を利用している。但し、これに限定されることなく、RTK−GPS(Real Time Kinematic GPS:干渉測位方式)を利用することも可能である。
測位装置4は、地球の外周を周回する複数のGPS衛星から発信される電波を受信するアンテナ40付きの受信装置41を有する。航法衛星から受信する電波の情報に基づいて、受信装置41すなわち測位装置4の位置が測位される。
測位装置4は、走行機体1における前側X1において、載置部30よりも上方Z1に配置されている。図3に示されるように、測位装置4は、左右それぞれの予備苗載台3の支持部32(詳細には、上側支持部32C)を繋ぐ測位装置取付フレーム4Fと、測位装置取付フレーム4Fに固定された支持プレート42と、を有している。アンテナ40及び受信装置41は、支持プレート42の上に固定されている。これにより、測位装置4を高い位置に配置することができ、受信障害の発生を抑制して電波の受信感度を高めることができる。
乗用型田植機100は、自機位置情報NMIに基づいて圃場F上の走行機体1の自機位置NMを表示するモニタ装置6を備えている。自機位置情報NMIは、測位装置4により得られる。図7に示されるように、モニタ装置6は、表示部本体61を有しており、この表示部本体61に、圃場Fと自機位置NMとを表示する。これらの他にも、モニタ装置6は、各種の情報を表示する。例えば、図7に示されるように、表示部本体61は、走行機体1の向きや目標移動経路Rに対するずれ等を表示する機体状態表示部61Aと、走行機体1の車速、作業日時、作業面積、又は天気などの各種の情報を表示する情報表示部61Bと、運転者にとって関心度の高い情報(例えば、走行機体1の姿勢が著しく傾いている等の情報)を文字や記号によって運転者に報知する報知情報表示部61Cと、モニタ装置6を操作可能なソフトウェア式ボタン部61D及び機械式ボタン部61Eと、表示部本体61の表示モードを選択可能な表示モード選択部61Fと、を有している。運転者は、表示モード選択部61Fを操作することによって、表示部本体61に圃場Fを表示させるか、後述する撮影装置8により撮影された撮影画像を表示するかを選択することができる。
図1に示されるように、モニタ装置6は、座席50の前端部50Eよりも前側X1に着脱可能に設けられている。これにより、座席50に着座する運転者よりも前側X1にモニタ装置6を配置することができ、乗用型田植機100を運転中の運転者にとって見易い位置にモニタ装置6を配置することが可能となる。本実施形態では、モニタ装置6は、運転部5の操縦塔51よりも上方Z1に配置されている。これにより、座席50に着座する運転者の目線の高さにモニタ装置6を配置し易くなる。
図2に示されるように、モニタ装置6は、平面視において予備苗載台3と重複しないように配置されている。本実施形態では、モニタ装置6は、平面視において予備苗載台3よりも走行機体1の中心側(重心側)に配置されている。換言すれば、モニタ装置6は、予備苗載台3よりも運転部5の座席50に近い位置に配置されている。
本実施形態では、モニタ装置6は、左右一対の予備苗載台3のうち少なくとも一方に支持されている。図示の例では、モニタ装置6は、左右一対の予備苗載台3のうち右側Y2に設けられた予備苗載台3に支持されている。
本実施形態では、図1〜3に示されるように、モニタ装置6は、予備苗載台3の支持部32に支持されている。より具体的には、モニタ装置6は、支持部32のうちの後側支持部32Bに支持されている。図1に示されるように、後側支持部32Bは、座席50の前端部50Eよりも前側X1に位置しており、当該後側支持部32Bに支持されたモニタ装置6は、上述のように、座席50の前端部50Eよりも前側X1に配置される。但し、このような構成に限定されることなく、モニタ装置6は、支持部32のうち、前側支持部32Aに支持されていても良いし、上側支持部32Cに支持されていても良い。また、いずれの場合であっても、モニタ装置6は、他の部材を介して間接的に支持部32に支持されるように構成されていても良い。
本実施形態では、モニタ装置6は、姿勢変更機構60を有している。図2に示されるように、姿勢変更機構60は、表示部本体61を回転させる回転部60Aと、回転部60Aを保持する保持部60Bと、を有している。本実施形態では、回転部60Aは、先端に球状部分を有している。そして、保持部60Bは、回転部60Aの球状部分を覆うようにして当該回転部60Aを回転自在に保持する。これにより、回転部60Aは三次元的に回動可能となっており、モニタ装置6(表示部本体61)の姿勢を三次元的に変更することができる。
また、図示の例では、保持部60Bは、ボルト等の締結部材によって固定される取付ブラケットを介して、支持部32(本例では、後側支持部32B)に支持されている。これにより、モニタ装置6が支持部32に支持されている。
図1及び3に示されるように、本実施形態では、モニタ装置6は、測位装置4よりも下方Z2であって、制御装置7(操縦塔51)よりも上方Z1に設けられている。換言すれば、測位装置4が、モニタ装置6よりも上方Z1に設けられ、制御装置7が、モニタ装置6よりも下方Z2に設けられている。これら制御装置7、モニタ装置6、及び測位装置4は、互いに有線で接続されている。上記構成により、制御装置7、モニタ装置6、及び測位装置4のそれぞれを上下方向Zに離間させて配置させることができ、これらを繋ぐ配線の構成を簡素化することができる。
図1及び2に示されるように、本実施形態では、乗用型田植機100は、走行機体1、作業装置2、及び圃場Fの少なくともいずれか一つを撮影し、撮影された画像をモニタ装置6に表示する撮影装置8を更に備えている。本実施形態では、撮影装置8には、撮影対象箇所を撮影するための撮影部80と、撮影対象箇所を照らすための照明部81と、撮影画像を制御装置7に送信するための画像送信部82と、が備えられている(図5も参照)。
図示の例では、撮影装置8は、作業装置2の一部を構成する施肥装置9に設けられている。より具体的には、撮影装置8は、施肥装置9におけるホッパー90の内部に設けられている。これにより、撮影装置8は、ホッパー90の内部の肥料を撮影し、撮影によって得られた撮影画像を制御装置7を介してモニタ装置6に送信する。モニタ装置6へ送信された撮影画像は、表示部本体61に表示される。これにより、運転者は、ホッパー90の内部の肥料の残量を、表示部本体61に表示された撮影画像により確認することができる。
〔乗用型田植機の制御構成〕
次に、乗用型田植機100の制御構成について説明する。
図5に示されるように、制御装置7は、油圧系を制御する油圧系制御部70と、モータ系を制御するモータ系制御部71と、エンジン14を制御するエンジン制御部72と、を備えている。油圧系制御部70は、例えば、油圧によって駆動される各装置に対して供給される油量を制御する。モータ系制御部71は、例えば、各モータの作動を電気的に制御する。
エンジン制御部72は、例えば、燃料の噴射や点火などを制御することで、エンジン14の始動及び停止などを制御する。エンジン14の始動及び停止は、基本的には、運転部5の操縦塔51に備えられたキースイッチ59によって行われる。
図5に示されるように、キースイッチ59には、ON位置、OFF位置、及びスタート位置が設定されている。そして、キースイッチ59がスタート位置に操作されるとスタータ(不図示)によりエンジン14の始動操作が行われる。エンジン14が始動した後は、キースイッチ59はON位置に操作され、これにより、乗用型田植機100が作動状態となる。また、キースイッチ59がOFF位置に操作されると、燃料遮断弁(不図示)によりエンジン14の停止操作が行われる。これにより、乗用型田植機100が非作動状態となる。
本実施形態では、運転者によるアクセルペダル57の踏み込み量、すなわち、アクセル開度を検出可能なアクセル開度センサS1が備えられている。制御装置7は、アクセル開度センサS1によって検出されたアクセル開度を取得可能に構成されている。
本実施形態では、運転者によるブレーキペダル58の踏み込み量を検出可能なブレーキセンサS2が備えられている。制御装置7は、ブレーキセンサS2によって検出されたブレーキペダル58の踏み込み量を取得可能に構成されている。
本実施形態では、主変速レバー54Aの位置が、前進位置FPであるか中立位置NPであるか、又は、後進位置RPであるかを検出可能な主変速レバー位置センサS3が備えられている。制御装置7は、主変速レバー位置センサS3によって検出された主変速レバー54Aの現在の位置を取得可能に構成されている。
本実施形態では、作業装置2を操作するための操作レバー53の位置を検出可能な操作レバー位置センサS4が備えられている。制御装置7は、操作レバー53によって検出された操作レバー53の現在の位置を取得可能に構成されている。
このような構成により、制御装置7は、乗用型田植機100が備える各装置を制御可能となっている。
ここで、本実施形態に係る乗用型田植機100は、手動操向の他、自動操向が可能に構成されている。乗用型田植機100は、目標移動経路Rにおいて自動操向を行うことができる(図6参照)。
上述のように、乗用型田植機100には、走行機体1の目標移動経路Rを設定するための設定スイッチ56が備えられている。図2に示すように、本実施形態では、設定スイッチ56は、操縦塔51に設けられており、始点設定スイッチ56Aと終点設定スイッチ56Bとを含んで構成されておいる。始点設定スイッチ56Aは、操向ハンドル52の右側Y2に設けられている。終点設定スイッチ56Bは、操向ハンドル52の左側Y1に設けられている。
図5に示されるように、制御装置7は、経路設定部74を備えている。経路設定部74は、始点設定スイッチ56A及び終点設定スイッチ56Bの操作に基づくティーチング処理によって、目標移動経路Rを設定する。
ここで、図6を参照して、経路設定部74による目標移動経路Rの設定について説明する。乗用型田植機100は、圃場Fにおいて、直線状の条植付けの経路に沿って田植え作業を伴う作業走行と、畦際FEの付近で次の条植付けの経路に移動するための畦際旋回走行と、を交互に繰り返す。図6には、基準経路Rsに沿って並列する複数の目標移動経路Rが示されている。
目標移動経路Rの設定にあたり、まず運転者は、走行機体1を圃場F内の畦際FEの始点基準位置Lssに位置させ、始点設定スイッチ56Aを操作する。このとき、例えば、制御装置7は手動操向モードに設定されている。そして、運転者が手動操縦しながら、走行機体1を始点基準位置Lssから側部側の畦際FEの直線形状に沿って走行させると共に、反対側の畦際FEの近くの終点基準位置Lsfまで移動させる。そして、運転者は、終点基準位置Lsfにおいて終点設定スイッチ56Bを操作する。これにより、ティーチング処理が実行される。つまり、始点基準位置Lssにおいて測位装置4により取得された測位データに基づく位置座標と、終点基準位置Lsfにおいて測位装置4により取得された測位データに基づく位置座標とから、始点基準位置Lssと終点基準位置Lsfとを結ぶ基準経路Rsが設定される。
基準経路Rsを設定することによって、基準経路Rsと平行な目標移動経路Rが設定される。例えば、運転者は、基準経路Rsの終点である終点基準位置Lsfから畦際旋回走行を行い、目標移動経路Rの始点である始点位置Lsに走行機体1を移動させる。この際の畦際旋回走行は、自動であっても手動であっても良い。運転者は、始点位置Lsに走行機体1を位置させた後、走行機体1を自動操向させることができる。自動操向する走行機体1は、基準経路Rsと平行に走行することで、目標移動経路Rに沿って走行する。そして、走行機体1が目標移動経路Rの終点である終点位置Lfに到達すると、自動操向が終了する。このような動作を繰り返すことによって、圃場Fに設定された複数の目標移動経路Rに沿って所定の作業(本例では、田植作業)を行うことが可能となっている。
上述のように、キースイッチ59が操作されることにより、エンジン制御部72は、エンジン14の始動及び停止を制御する。本実施形態に係る乗用型田植機100は、キースイッチ59の操作以外にもエンジン14の始動及び停止させることが可能に構成されており、エンジン制御部72は、作動中にエンジン14を駆動させるエンジン駆動モードと作動中にエンジン14を停止させるエンジン停止モードとを有している。
ここで、本実施形態において、上記の「作動中」とは、キースイッチ59がON位置に操作されている状態をいい、エンジン14が駆動中であってもすぐに停止できる状態、或いは、エンジン14が停止中であってもすぐに駆動できる状態をいうものとする。更には、エンジン14が待機中の状態と言うこともできる。
本実施形態では、主変速レバー54A(変速操作具)を操作することによって、エンジン駆動モードとエンジン停止モードとの間でエンジン制御部72のモードを切り換え可能に構成されている。
本実施形態では、作動中かつエンジン14が駆動している状態(キースイッチ59がON位置に操作されている状態)において主変速レバー54Aが所定時間中立位置NP(図4参照)に在る場合に、エンジン制御部72はエンジン停止モードを実行する。これにより、作動中において、エンジン14が駆動状態から停止状態となる。なお、図5に示されるように、制御装置7には、タイマー75が備えられている。このタイマー75によって、主変速レバー54Aが中立位置NPに在る状態での経過時間(所定時間)が計測される。
また、本実施形態では、作動中かつエンジン14が停止している状態(キースイッチ59がON位置に操作されている状態)において主変速レバー54Aが中立位置NP以外の位置(前進位置FPまたは後進位置RP)に在る場合に、ブレーキペダル58が踏み込み操作されることにより、エンジン制御部72はエンジン駆動モードを実行する。これにより、作動中において、エンジン14が停止状態から駆動状態となる。
乗用型田植機100は、モニタ装置6を制御するモニタ制御部6hを備えている。図5に示されるように、本実施形態では、モニタ制御部6hは、モニタ装置6に備えられている。また、モニタ装置6には、当該モニタ装置6のモードを判定するモニタモード判定部6dが備えられている。本実施形態では、モニタ制御部6hは、モニタ装置6に表示物が表示される通常表示モードと、通常表示モードよりも当該モニタ装置6における消費電力が少ない省電力表示モード(省電力モード)とを有している。モニタ装置6は、モニタモード判定部6dによって、通常表示モードを実行するか、又は、省電力表示モードを実行するかを判定する。そして、モニタ装置6は、モニタモード判定部6dにより判定されたモードを、モニタ制御部6hによって実行する。なお、モニタ制御部6hが省電力表示モードを実行した場合には、例えば、モニタ装置6の画面(表示部本体61)上に表示物が表示されない状態とするか、又は、画面が暗くなる状態にすると好適である。
本実施形態では、エンジン制御部72が、エンジン駆動モードからエンジン停止モードに移行する際、モニタ制御部6hが、通常表示モードから省電力表示モードに移行する。
例えば、モニタ制御部6hは、エンジン制御部72がエンジン駆動モードからエンジン停止モードに移行することと同時に、通常表示モードから省電力表示モードに移行するように構成されていても良い。この他にも、モニタ制御部6hは、エンジン制御部72がエンジン駆動モードからエンジン停止モードに移行してから所定時間経過後(例えば、1〜5秒)に、通常表示モードから省電力表示モードに移行するように構成されていても良い。
エンジン14が停止状態である場合には、走行機体1が走行していない状態であることが多く、モニタ装置6によって圃場F上の自機位置NMを確認する必要性は高くない。上記構成によれば、エンジン14が停止状態である場合にモニタ制御部6hを省電力表示モードにすることができ、乗用型田植機100全体として省電力化を図ることが可能となる。
また、本実施形態では、エンジン制御部72が、エンジン停止モードからエンジン駆動モードに移行する際、モニタ制御部6hが、省電力表示モードから通常表示モードに移行する。例えば、モニタ制御部6hは、エンジン制御部72がエンジン停止モードからエンジン駆動モードに移行することと同時に、省電力表示モードから通常表示モードに移行するように構成されていても良い。この他にも、モニタ制御部6hは、エンジン制御部72がエンジン停止モードからエンジン駆動モードに移行してから所定時間経過後(例えば、1〜5秒)に、省電力表示モードから通常表示モードに移行するように構成されていても良い。なお、エンジン14が駆動状態である場合には、モニタ装置6によって圃場F上の自機位置NMを確認する必要性が高くなるため、モニタ制御部6hによる通常表示モードの移行は、エンジン制御部72によるエンジン駆動モードの移行と同時に行われると好適である。
また、エンジン14が停止状態である場合であっても、運転者は、走行機体1の現在の状態など各種の情報を得たい場合がある。本実施形態では、エンジン14が停止状態であるエンジン停止モード中、モニタ制御部6hが省電力表示モードである場合において、モニタ装置6に対する所定の操作及び走行機体1に備えられた所定の操作具への操作のうち少なくともいずれかの操作に基づいて、モニタ制御部6hが、省電力表示モードから通常表示モードに移行する。これにより、エンジン14の停止状態において、モニタ装置6を通常表示状態とすることができる。「モニタ装置6に対する所定の操作」には、例えば、モニタ装置6に設けられたボタン部を操作することや、モニタ装置6の表示部本体61にタッチすること、などが挙げられる。「所定の操作具への操作」には、例えば、操向ハンドル52、操作レバー53、若しくは主変速レバー54Aを操作すること、又は、アクセルペダル57、若しくはブレーキペダル58を操作することなどが挙げられる。
しかしながら、エンジン14が停止状態である場合には、特に必要とされる場合を除く他、モニタ装置6はなるべく省電力状態であることが望ましい。本実施形態では、エンジン14が停止状態であるエンジン停止モード中において、モニタ制御部6hが、省電力表示モードから通常表示モードへ移行した後、所定時間経過することにより、省電力表示モードに移行する。より具体的には、モニタ制御部6hが省電力表示モードから通常表示モードへ移行した後、所定の操作がされないまま所定時間経過することにより、当該モニタ制御部6hが省電力表示モードに移行する。すなわち、所定の操作がない場合には、運転者にとってのモニタ装置6の必要性が高くないと判断することができる。このような場合に、モニタ装置6を省電力状態とすることによって、更なる省電力化を図ることが可能となる。
ここで、モニタ制御部6hは、以下の手順により所定の処理を行う。
図8に示されるように、モニタ制御部6hは、通常表示モードを実行している状態で(#10)、エンジン制御部72がエンジン停止モードを実行しているか否かを判定する(#11)。モニタ制御部6hは、エンジン制御部72がエンジン停止モードを実行していると判定した場合には(#11:Yes)、省電力表示モードを実行する(#12)。モニタ制御部6hは、省電力表示モードを実行している状態で(#12)、運転者による所定の操作があったか否かを判定する(#13)。モニタ制御部6hは、運転者による所定の操作があったと判定した場合には(#13:Yes)、通常表示モードを実行する(#14)。モニタ制御部6hは、通常表示モードを開始した後(#14)、所定時間が経過したか否かを判定する(#15)。モニタ制御部6hは、通常表示モードの開始から所定時間が経過したと判定した場合には(#15:Yes)、省電力表示モードを実行する(#16)。モニタ制御部6hは、省電力表示モードを実行している状態で(#16)、エンジン制御部72がエンジン駆動モードを実行しているか否かを判定する(#17)。モニタ制御部6hは、エンジン制御部72がエンジン駆動モードを実行していないと判定した場合には(#17:No)、省電力表示モードを継続し(#18)、エンジン制御部72がエンジン駆動モードを実行していると判定した場合には(#17:Yes)、通常表示モードを実行する(#10)。
図5に示されるように、本実施形態では、乗用型田植機100は、撮影装置8を制御する撮影装置制御部8hを備えている。本実施形態では、撮影装置制御部8hは、撮影装置8に備えられている。また、撮影装置8には、当該撮影装置8のモードを判定する撮影モード判定部8dが備えられている。本実施形態では、撮影装置制御部8hは、撮影装置8が撮影を行う通常撮影モードと、通常撮影モードよりも撮影装置8における消費電力が少ない省電力撮影モード(省電力モード)とを有している。撮影装置8は、撮影モード判定部8dによって、通常撮影モードを実行するか、又は、省電力撮影モードを実行するかを判定する。そして、撮影装置8は、撮影モード判定部8dにより判定されたモードを、撮影装置制御部8hによって実行する。なお、撮影装置制御部8hが省電力撮影モードを実行した場合には、例えば、照明部81を消灯状態とするか、画像送信部82からの撮影画像の送信が行われない状態にすると好適である。
本実施形態では、モニタ制御部6hが、通常表示モードから省電力表示モードに移行する際、撮影装置制御部8hが、通常撮影モードから省電力撮影モードに移行する。例えば、撮影装置制御部8hは、モニタ制御部6hが通常表示モードから省電力表示モードに移行することと同時に、通常撮影モードから省電力撮影モードに移行するように構成されていても良い。この他、撮影装置制御部8hは、モニタ制御部6hが通常表示モードから省電力表示モードに移行してから所定時間経過後(例えば、1〜5秒)に、通常撮影モードから省電力撮影モードに移行するように構成されていても良い。
モニタ装置6が省電力表示状態である場合には、撮影装置8によって撮影された撮影画像がモニタ装置6の画面上に表示されない状態であるか、または、画面が暗くなっている状態である。そのため、この場合には、撮影装置8を撮影状態に作動させておく必要性は高くない。上記構成によれば、モニタ装置6が省電力表示状態である場合に撮影装置制御部8hによる省電力撮影モードを実行することができ、乗用型田植機100全体として省電力化を図ることが可能となる。
また、本実施形態では、モニタ制御部6hが、省電力表示モードから通常表示モードに移行する際、撮影装置制御部8hが、省電力撮影モードから通常撮影モードに移行する。
例えば、撮影装置制御部8hは、モニタ制御部6hが省電力表示モードから通常表示モードに移行することと同時に、省電力撮影モードから通常撮影モードに移行するように構成されていても良い。この他、撮影装置制御部8hは、モニタ制御部6hが省電力表示モードから通常表示モードに移行してから所定時間経過後(例えば、1〜5秒)に、省電力撮影モードから通常撮影モードに移行するように構成されていても良い。
ここで、撮影装置制御部8hは、以下の手順により所定の処理を行う。
図9に示されるように、撮影装置制御部8hは、通常撮影モードを実行している状態で(#20)、モニタ制御部6hが省電力表示モードを実行しているか否かを判定する(#21)。撮影装置制御部8hは、モニタ制御部6hが省電力表示モードを実行していると判定した場合には(#21:Yes)、省電力撮影モードを実行する(#22)。撮影装置制御部8hは、省電力撮影モードを実行している状態で(#22)、モニタ制御部6hが通常表示モードを実行しているか否かを判定する(#23)。撮影装置制御部8hは、モニタ制御部6hが通常表示モードを実行していないと判定した場合には(#23:No)、省電力撮影モードを継続し(#24)、モニタ制御部6hが通常表示モードを実行していると判定した場合には(#23:Yes)、通常撮影モードを実行する(#20)。
〔別実施形態〕
本発明は、上記の実施形態に限定されるものでない。以下、本発明の代表的な別実施形態を例示する。
〔1〕上記実施形態では、モニタ装置6は、左右一対の予備苗載台3のうち右側Y2に設けられた予備苗載台3に支持されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、モニタ装置6は、左右一対の予備苗載台3のうち左側Y1の予備苗載台3に支持されていても良い。すなわち、モニタ装置6が、走行機体1の幅方向Yにおける中央部1Cよりも主変速レバー54A(変速操作具)の側に設けられていても良い。更に、このような構成に限定されることなく、複数のモニタ装置6が備えられ、各モニタ装置6が、左右一対の予備苗載台3のそれぞれに支持されている構成としても良い。
〔2〕上記実施形態では、モニタ装置6が、予備苗載台3の支持部32に支持されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば図10に示されるように、モニタ装置6は、搭乗ステップ55に立設された支持部材97によって支持されていても良い。
〔3〕上記実施形態では、撮影装置8が施肥装置9のホッパー90の内部に設けられている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、撮影装置8は、走行機体1や作業装置2におけるメンテナンス対象箇所などに設けられていても良い。これによれば、運転者が、メンテナンス対象箇所を撮影画像により確認でき、乗用型田植機100の不具合を早期に発見可能となる。更に、撮影装置8は、走行機体1における後側X2に設けられて、走行機体1よりも後側X2の圃場Fを撮影するように構成されていても良い。これによれば、運転者が、圃場Fに対する作業が適切に行われているか(苗が適切に植え付けられているか等)を撮影画像により確認可能となる。この場合、例えば、図1及び2に示すように、施肥装置9のホッパー90の後壁に機体の後方向きに撮影装置8を設けてもよい。
〔4〕上記実施形態では、表示モード選択部61Fの操作によって、表示部本体61に圃場Fを表示させるか、撮影装置8により撮影された撮影画像を表示するかを選択することが可能に構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、表示モード選択部61Fの操作によって、例えば図11に示すように、表示部本体61に圃場Fと撮影画像との双方を表示させるように構成されていても良い。
〔5〕上記実施形態では、圃場作業機100の一例として乗用型田植機(田植機)を例に説明した。しかし、このような例に限定されることなく、圃場作業機100は、直播機であっても良い。更には、圃場作業機100は、田植機や直播機に限定されることなく、圃場Fで作業を行うものであれば良い。
〔6〕なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。