JP6984640B2 - 作業車両 - Google Patents

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Description

本発明は、作業車両に関する。
従来、圃場を走行しながら作業を行う作業車両には、作業開始位置と作業終了位置との位置情報を取得し、取得した位置情報から基準線を作成し、作成した基準線に沿って自動走行するものがある(たとえば、特許文献1参照)。
特開2016−21890号公報
上記したような作業車両において、取得した位置情報に基づいて自動旋回させることが考えられる。しかしながら、取得した位置情報に基づいて自動旋回を開始させる場合、作業車両の制御が複雑になる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡素な制御で自動旋回を行うことができる作業車両を提供することを目的とする。
上記した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態の一態様に係る作業車両(1)は、走行車体(2)に取り付けられた走行車輪(10)と、圃場に作業を行う圃場作業装置(4)と、走行車輪(10)の操舵量を調整するステアリング装置(35)と、ステアリング装置(35)を駆動させるモータ(95)と、モータ(95)を制御する制御装置(100)と、走行車輪(10)のうち左右の前輪を同じ回転速度で回転させる同速回転機構(97)と、走行車輪(10)のうち左右の後輪の回転数を検出する回転数検出部(90)と、走行車体(2)に取り付けられ、圃場作業装置(4)を昇降させる昇降装置(25)と、昇降装置(25)による圃場作業装置(4)の昇降を切り替える昇降切替操作部(47)と、走行車体(2)における前進走行、および後進走行を切り替える前後進切替操作部(36)と、旋回モードを、走行車体(2)が前進走行を行った後に、モータ(95)を制御し、走行車体(2)の旋回を開始する第1旋回モードと、走行車体(2)が後進走行を行った後に、モータ(95)を制御し、走行車体(2)の旋回を開始する第2旋回モードとに切り替える旋回モード切替操作部(98)と、所定の旋回位置までの距離を計測する距離計測部(150)とを備え、制御装置(100)は、圃場作業装置(4)が作業状態から非作業状態になった場合に、操舵量が所定操舵量となるように、モータ(95)を制御し、走行車体(2)の旋回を開始し、圃場作業装置(4)が作業状態から非作業状態になった場合に、同速回転機構(97)を作動させることによって左右の前輪を同じ回転速度で回転させ、左右の前輪が同じ回転速度で回転を開始し、かつ走行車体(2)が旋回を開始した後の後輪の回転数が、所定回転数になると、同速回転機構(97)の作動を停止させて、操舵量を走行車体(2)の直進走行時の基準位置に戻す。制御装置(100)は、第1旋回モードと、第2旋回モードとを有し、旋回モードが第1旋回モードであり、かつ昇降切替操作部(47)が操作されて圃場作業装置(4)を上昇させた場合に、モータ(95)を制御し、走行車体(2)の旋回を開始し、旋回モードが第2旋回モードであり、かつ前後進切替操作部(36)が操作されて走行車体(2)が後進走行から前進走行に切り替わった場合に、モータ(95)を制御し、走行車体(2)の旋回を開始し、所定の旋回位置までの距離が所定距離以下の場合には、第1旋回モード、および第2旋回モードによる旋回を許可し、所定の旋回位置までの距離が所定距離よりも長い場合には、第1旋回モード、および第2旋回モードによる旋回を禁止する。
実施形態の一態様によれば、簡素な制御で自動旋回を行うことができる。
図1は、作業車両を示す側面図である。 図2は、作業車両を示す平面図である。 図3は、第1実施形態に係る苗移植機の制御装置を中心とした制御系を示すブロック図である。 図4は、デフロック機構の作動、および作動停止を切り替える機構を説明する図である。 図5は、ケーブルおよびデフロック作動用シャフト部の回動アーム部の一例を示す図である。 図6Aは、第1モードにおける苗移植機の走行を示す図である。 図6Bは、第2モードにおける苗移植機の走行を示す図である。 図7は、苗移植機の圃場における自律走行の説明図である。 図8は、第1実施形態に係る自動旋回開始処理を説明するフローチャートである。 図9は、第1実施形態に係る自動旋回処理を説明するフローチャートである。 図10は、第2実施形態に係る苗移植機のコントローラを中心とした制御系を示すブロック図である。 図11Aは、第1旋回モードにおける苗移植機の走行を示す図である。 図11Bは、第2旋回モードにおける苗移植機の走行を示す図である。 図12Aは、第2実施形態に係る自動旋回処理を説明するフローチャートである。 図12Bは、第2実施形態に係る自動旋回処理を説明するフローチャートである。 図13は、予備苗載せ台を展開した側面図である。 図14は、予備苗載せ台の一部を示す平面図である。 図15は、予備苗載せ台の一部を示す側面図である。 図16は、押し上げピンの位置を変更した場合における予備苗載せ台の一部を示す側面図である。 図17は、苗移植機の一部を示す正面図である。 図18は、補助ステップを示す側面図である。
以下、添付図面を参照して本願の開示する作業車両の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
(第1実施形態)
<作業車両の概要>
まず、図1および図2を参照して第1実施形態に係る作業車両1の概要について説明する。図1は、作業車両1を示す側面図である。図2は、作業車両1を示す平面図である。
なお、以下の説明では、前後方向とは、作業車両1の直進時における進行方向であり、進行方向の前方側を「前」、後方側を「後」と規定する。作業車両1の進行方向とは、直進時において、操縦席41からハンドル35(ステアリング装置)に向かう方向である(図1および図2参照)。
左右方向とは、前後方向に対して水平に直交する方向であり、「前」側へ向けて左右を規定する。すなわち、操縦者(作業者ともいう)が操縦席41に着席して前方を向いた状態で、左手側が「左」、右手側が「右」である。
上下方向とは、鉛直方向である。前後方向、左右方向および上下方向は互いに直交する。各方向は説明の便宜上定義したものであり、これらの方向によって本発明が限定されるものではない。
また、以下の説明では、作業車両1を指して「機体」という場合がある。実施形態では、作業車両を、圃場作業装置として苗植付部4を備え、圃場に苗を受け付ける乗用型の苗移植機1として説明する。図1および図2に示すように、苗移植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク機構3を介して、圃場に苗を植え付ける昇降可能な苗植付部4を備える。
走行車体2の後部上側には施肥装置5の本体部分が配置される。なお、作業車両が苗移植機1ではない場合、種子を供給する播種装置などを作業装置として備える場合がある。
走行車体2は、走行車輪であり駆動輪である、左右の前輪10および後輪11を備える四輪駆動車両である。走行車体2の車体骨格を構成するメインフレーム15の前側には、苗植付部4などに駆動力を伝達するミッションケース13と、エンジン30から供給される駆動力、すなわち、エンジン30で発生した回転をミッションケース13に出力する油圧式の無段変速装置14とが設けられる。
無段変速装置14は、いわゆるHST(Hydro Static Transmission)と呼ばれる静油圧式の無段変速機である。以下では、無段変速装置がHST14である場合を説明する。
ミッションケース13内には、高速モードでの路上走行時や、低速モードでの苗の植え付け時などにおける走行車体2の走行モードを切り替える副変速機構16が設けられる。ミッションケース13の左右側方には、前輪ファイナルケース10aが設けられ、左右の前輪ファイナルケース10aの操向方向を変更可能な前輪支持部からそれぞれ外向きに突出する左右の前車軸10bに前輪10が取り付けられる。
また、メインフレーム15の後部側には、機体横方向に設けられた後部フレーム22(図2参照)の左右両側に後輪ギヤケース11aが取付けられ、後輪ギヤケース11aからそれぞれ外向きに突出する左右の後車軸11bに後輪11(走行車輪)がそれぞれ取り付けられる。
また、後部フレーム22の上部には、昇降リンク機構3を支持する左右のリンク支持フレーム23が上方に向けて突設される。左右のリンク支持フレーム23の下部側で、かつ、左右の間には、左右一対のロワリンクアーム24が設けられる。左右のロワリンクアーム24の左右の間に、油圧により作動する昇降シリンダ25(昇降装置)が設けられる。
昇降シリンダ25の上方には、アッパリンクアーム26が設けられ、平行リンク機構である昇降リンク機構3が構成される。なお、それぞれ一端が走行車体2側に連結された、左右のロワリンクアーム24と、昇降シリンダ25と、アッパリンクアーム26の他端側とは、苗植付部4の前部に装着される。
また、メインフレーム15上には、エンジン30が搭載される。エンジン30の回転動力が、ベルト伝動装置21およびHST14を介してミッションケース13に伝達される。ミッションケース13に伝達された回転動力は、ミッションケース13内の副変速機構16により変速された後、走行動力と外部取り出し動力に分けられる。
また、エンジン30の回転動力は、図示しない油圧ポンプに伝達される。油圧ポンプで発生した油圧は、HST14や、ハンドル35のパワーステアリング機構88(図3参照)や、昇降シリンダ25などに供給される。
ミッションケース13に伝達された回転動力から取り出される外部取り出し動力は、走行車体2の後部に設けられた植付クラッチケース27に伝達され、植付クラッチケース27から植付伝動軸67によって苗植付部4に伝達される。
一方、ミッションケース13の後部には、左右のドライブシャフト42が設けられる。エンジン30からの回転動力は、ミッションケース13およびドライブシャフト42を介して左右の後輪ギヤケース11aに伝動される。
なお、左右のドライブシャフト42よりも伝動方向上手側には、左右のドライブシャフト42に対する動力伝達を入切するサイドクラッチ44(図3参照)が配置される。図1に示すように、操縦席41の前側下部であり、かつ、左右一側には、左右のサイドクラッチ44を入切操作するサイドクラッチペダル43aが設けられる。
左右のサイドクラッチペダル43aのうち、旋回内側のサイドクラッチペダル43aを踏み込んでサイドクラッチ44を切状態にしてからハンドル35を操作して旋回走行すると、旋回内側の後輪11の駆動回転を完全に遮断することができる。
走行車体2の前側上部には、各部の操作を行う操縦パネル38を上部に配置されたボンネット39が設けられる。操縦パネル38には、モニタ86(図3参照)などが設けられる。
また、ボンネット39には、機体を操舵するハンドル35、HST14や苗植付部4を操作する変速操作レバー36(前後進切替操作部)、副変速機構16を操作する副変速操作レバー37(車速調整部)などが設けられる。
また、ボンネット39の前側には、開閉可能なフロントカバー40が設けられる。フロントカバー40の内部には、燃料タンクやバッテリ、ハンドル35の操舵に左右の前輪10および左右の前輪ファイナルケース10aの下部側を回動させる連動機構が設けられる。
ボンネット39よりも機体後側で、かつ、エンジン30の上方位置には、エンジン30の上部および側部を覆うエンジンカバー30aが設けられ、エンジンカバー30aの上部には操縦者が着席する操縦席41が設けられる。
操縦席41の後側であって、メインフレーム15の後端側には、施肥装置5が設けられる。施肥装置5の駆動力は、左右の後輪ギヤケース11aの左右一側から施肥装置5に臨むように設けられる、施肥伝動機構によって伝達される。
エンジンカバー30aおよびボンネット39の下部における左右両側は、略水平なフロアステップ33が形成される。フロアステップ33は、図2に示すように、一部格子状であり、たとえば、フロアステップ33を歩く操縦者の靴などについた泥が落ちても、落ちた泥などが圃場に落下する。
また、フロアステップ33の後方には、図2に示すように、リヤステップ330が連接される。リヤステップ330の表面には、作業時に足が滑りにくくなるように、たとえば、複数の突起パターンが形成された滑り止め加工が施されることが好ましい。
また、走行車体2の前側であり、かつ、左右両側には、苗枠支柱51に複数の予備苗載せ台52を上下方向に間隔を空けて配置する予備苗枠50がそれぞれ設けられ、苗植付部4に補充される苗や肥料袋などの作業資材が載置可能となっている。
また、昇降リンク機構3の後端部には、圃場に植え付ける苗を積載する苗タンク53が、左右方向に摺動させる摺動機構と共に装着されている。苗タンク53には、上下方向に長い苗仕切フェンス54を左右方向に所定間隔を空けてそれぞれ配置される。苗タンク53の下方には、積載された苗を掻き取って圃場に植え付ける苗植付装置55が配置される。
苗植付装置55は、苗仕切フェンス54により区切られた植付作業条数と同数、すなわち、8条同時に植え付けるものであり、植付伝動ケース56が苗タンク53の下方に間隔を空けて4つ配置され、植付伝動ケース56の左右両側に回転しながら植込杆58により苗を取って圃場に植え付ける植付ロータリ57がそれぞれ装着される。
施肥装置5は、肥料が貯留される施肥ホッパ70が、苗植付部4の作業条数と同数(図2に示す例では、8条分)に仕切られている。なお、8条分の施肥ホッパ70は、左右方向に長いため肥料の投入や着脱の利便性が低下するので、4条ずつに仕切られたものを左右にそれぞれ並べる、いわゆるサイド施肥構造であってもよい。
施肥ホッパ70の下部には、肥料を設定量ずつ供給する繰出装置71が1条ごとに設けられる。繰出装置71の下方には、肥料を移動させる搬送風が通過する通風ダクト72が機体の左右方向に設けられる。繰出装置71の下方には、苗植付部4の苗植付位置の近傍に肥料を案内する施肥ホース73が設けられる。また、通風ダクト72の機体の一側端部には、ブロア用電動モータ76により作動して搬送風を発生するブロア74が設けられる。
図1および図2に示すように、苗植付部4の下方には、圃場面に接地して滑走するセンターフロート62Cと、左右2つずつのサイドフロート62L、62Rとが、軸まわりに回動自在に設けられる。なお、センターフロート62Cおよび左右のサイドフロート62L、62Rを総称してフロート62という場合がある。
また、苗植付部4の下方において、フロート62よりも機体前側には、圃場面の凹凸を整地する整地ロータ63が設けられる。など、整地ロータ63には、左右他側の後輪ギヤケース11aからロータ伝動シャフト63aを介して駆動力が伝達される。
また、図1に示すように、苗植付部4の左右両側には、左右いずれか一方が圃場面に接地して、次の作業条(次工程)における走行の目安とする溝を形成する線引きマーカ65がそれぞれ設けられる。左右の線引きマーカ65は、左右一側が接地すると他側が上方に離間し、旋回時に苗植付部4を上昇させたときには左右両側共に上方に離間し、旋回後に苗植付部4が下降すると、左右一側が上方に離間して他側が接地する。
また、図1および図2に示すように、走行車体2の左右中央部であり、かつ、ボンネット39の前方には、上下方向に長いセンターマスコット66が設けられる。センターマスコット66を左右の線引きマーカ65により圃場に形成された溝に合わせることにより、直前の作業条の作業位置に合わせた走行が可能になり、作業精度の向上や、非作業の発生防止を図ることができる。
なお、圃場の土質によっては、左右の線引きマーカ65により形成されたガイド線がすぐに埋もれてしまい、直進の目安が消えてしまうことがある。このような場合には、左右の線引きマーカ65よりも機体前側に設けられた左右のサイドマーカ19を用いるとよい。すなわち、左右のサイドマーカ19を機体外側方向に移動させ、植え付けられた苗の上方にサイドマーカ19を位置させることで、前の作業条の苗の植え付けに合わせた植付作業が可能になる。
また、図1に示すように、苗移植機1は、位置取得装置150(距離計測部)を備える。位置取得装置150は、苗移植機1の現在の位置を取得する。位置取得装置150は、圃場における旋回位置を取得し、旋回位置までの距離を検出する。位置取得装置150は、例えば、カメラや、超音波センサや、方位センサや、GPS(Global Positioning System)やGNSS(Global Navigation Satellite System)などの測位手段である。位置取得装置150は、複数の装置によって構成されてもよい。
例えば、位置取得装置150は、畦までの距離や、旋回位置までの距離を計測する。また、例えば、位置取得装置150は、測位手段から測位情報を受け取り、受け取った測位情報に基づいて機体の現在の位置情報を作成し、取得する。位置取得装置150は、たとえば、取付ステー59に取り付けられ、走行車体2の上方に配置される。
位置取得装置150による位置情報に基づいて作成される、直進制御用プログラムと、旋回制御用プログラムとは、互いに別の場所に格納される。直進制御用プログラムは、たとえば、位置取得装置150内の直進制御用ECU(Electronic Control Unit)100aに格納され、旋回制御用プログラムは、たとえば、ボンネット39に収容された旋回制御用ECU100bに格納される。なお、直進制御用ECU100aおよび旋回制御用ECU100bは、後述する制御装置100(図3参照)に含まれる。
<作業車両の制御系>
次に、図3を参照して苗移植機1の制御系について説明する。図3は、第1実施形態に係る苗移植機1の制御装置100を中心とした制御系を示すブロック図である。苗移植機1は、電子制御によって各部を制御することが可能なものであり、各部を制御する制御装置(以下、コントローラという。)100を備える。
コントローラ100は、CPU(Central Processing Unit)などを有する処理部や、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの記憶部、さらには入出力部が設けられ、これらは、互いに接続されて互いに信号の受け渡しが可能である。記憶部には、苗移植機1を制御するコンピュータプログラムなどが格納される。コントローラ100は、記憶部に格納されたコンピュータプログラムなどを読み出すことで、各機能を発揮させる。
コントローラ100には、たとえば、アクチュエータ類として、スロットルモータ80、油圧制御弁81,82、植付クラッチ作動ソレノイド83、サイドクラッチ作動ソレノイド84、HSTモータ85、線引きマーカ昇降モータ87、ステアリングモータ95(モータ)、デフロック切替モータ96などが接続される。
スロットルモータ80は、エンジン30の吸気量を調節するスロットルを作動させることにより、エンジン30の出力軸の回転数を増減させる。油圧制御弁81は、昇降シリンダ25の伸縮動作を制御する。油圧制御弁82は、パワーステアリング機構88を制御する。植付クラッチ作動ソレノイド83は、植付クラッチ27aを作動させる。
サイドクラッチ作動ソレノイド84は、後輪11(図1参照)への動力伝達状態を切り替えるサイドクラッチ44を作動させる。なお、サイドクラッチ44は、左右の後輪11にそれぞれ設けられ、サイドクラッチ作動ソレノイド84は、各サイドクラッチ44に対応して2つ設けられる。
HSTモータ85は、HST14のトラニオンの回動角度を変更することで、HST14の斜板の傾斜角を変更する。ステアリングモータ95は、自動旋回制御が行われる場合に、走行車輪である前輪10(図1参照)の操舵量(舵角)を調整するステアリング装置であるハンドル35を駆動するモータである。ステアリングモータ95は、ハンドル35を回動させる。線引きマーカ昇降モータ87は、線引きマーカ65を昇降させる。
デフロック切替モータ96は、左右の走行車輪、具体的には、左右の前輪10を同じ回転速度で回転させるデファレンシャルロック機構97(以下、デフロック機構(同速回転機構)と称する。)の作動、および作動停止を切り替えるモータである。
デフロック切替モータ96は、図4に示すように、デフロック作動用シャフト部110の回動アーム部111とケーブル112によって接続されるモータギヤプレート113を回動させることによって、デフロック機構97の作動、および作動停止を切り替える。図4は、デフロック機構97の作動、および作動停止を切り替える機構を説明する図である。モータギヤプレート113の回動は、ケーブル112によってデフロック作動用シャフト部110の回動アーム部111に伝達され、デフロック機構97の作動、および作動停止が切り替えられる。
モータギヤプレート113は、デフロック切替モータ96の回動軸に噛み合うギヤ部113aを備える。モータギヤプレート113は、ギヤ部113aを介してデフロック切替モータ96の回転軸の回動が伝達される。
モータギヤプレート113には、円弧状の長穴113bが形成され、長穴113bには、ストッパ114が挿入される。モータギヤプレート113が回動し、ストッパ114に当接すると、モータギヤプレート113の回動が停止される。このときのデフロック切替モータ96の電流値上昇が検知されてデフロック切替モータ96が停止する。
なお、デフロック機構97の作動、および作動停止が切り替わるモータギヤプレート113の位置をリミットスイッチ(不図示)によって検知し、デフロック切替モータ96を停止させてもよい。リミットスイッチは、例えば、ポテンションメータ(角度センサ)である。これにより、デフロック切替モータ96の負荷を低減し、デフロック切替モータ96の耐久性を向上させることができる。
デフロック切替モータ96は、ハンドル35の操舵量に応じて作動する。具体的には、デフロック切替モータ96は、ハンドル35の操舵量が所定の値(所定操舵量)になった場合に作動し、モータギヤプレート113を回動させる。これにより、デフロック機構97が作動し、左右の前輪10が同じ回転速度で回転する。
また、デフロック機構97が作動してから、後輪11の回転数が所定解除回転数になると、デフロック切替モータ96は、デフロック機構97の作動が停止するように、モータギヤプレート113を回動させる。これにより、デフロック機構97の作動が停止し、左右の前輪10が異なる回転速度で回転可能となる。
なお、デフロック機構97は、作業者のペダル操作に応じて作動し、また作動が停止されてもよい。また、図5に示すように、ケーブル112と、デフロック作動用シャフト部110の回動アーム部111との間にスプリング115を設けてもよい。図5は、ケーブル112およびデフロック作動用シャフト部110の回動アーム部111を示す一例である。これにより、デフロック切替モータ96の回動誤差によって生じるケーブル112の余分な引き代をスプリング115によって吸収することができ、デフロック切替モータ96の負荷を低減し、デフロック切替モータ96の耐久性を向上させることができる。
図3に戻り、コントローラ100には、検出装置である、回転数センサ90、操舵量センサ91、傾斜センサ92などが接続される。回転数センサ90は、走行車輪である左右の後輪11に対応して2つ設けられ、左右の後輪11の回転数をそれぞれ検出する。なお、回転数センサ90は、左右の前輪10の回転数を検出してもよい。
操舵量センサ91は、ステアリング装置であるハンドル35の操作量、すなわち、前輪10の操舵量(舵角)を検出する。なお、操舵量は、ハンドル35の操作量がゼロの場合を基準位置として、すなわち、走行車体2の直進走行時を基準位置として、左右方向それぞれに検出される。傾斜センサ92は、走行車体2の傾きである傾斜角を検出する。
また、コントローラ100には、操作信号として、変速操作レバー36、副変速操作レバー37、モード切替スイッチ46、植付部昇降スイッチ47(昇降切替操作部)、自動旋回切替スイッチ48、線引きマーカ自動昇降スイッチ49などから信号が入力される。
モード切替スイッチ46は、自動旋回を可能とするか否かを切り替えるスイッチである。具体的には、モード切替スイッチ46は、走行モードを第1モード、または第2モードに切り替えるスイッチである。
第1モードは、図6Aに示すように、所定の旋回位置で走行車体2を停止させるモードである。図6Aは、第1モードにおける苗移植機1の走行を示す図である。所定の旋回位置は、例えば、後述する自動直進モードにおける自動直進の終了位置である。
第2モードは、図6Bに示すように、所定の旋回位置よりも、所定距離手前から、所定の旋回位置までの間に、苗植付部4が作業状態から非作業状態となった場合に、自動旋回を開始するモードである。図6Bは、第2モードにおける苗移植機1の走行を示す図である。
図3に戻り、植付部昇降スイッチ47は、苗植付部4を昇降させるか否かを切り替えるスイッチである。植付部昇降スイッチ47は、「上昇」、および「降下」位置に変更される。
植付部昇降スイッチ47が「上昇」位置にある場合には、苗植付部4は、所定の非作業位置まで上昇し、苗植付装置55が停止する非作業状態となる。植付部昇降スイッチ47が「降下」位置にある場合には、苗植付部4は、所定の作業位置まで降下し、苗植付装置55が作動する作業状態となる。すなわち、植付部昇降スイッチ47は、苗植付部4の作業状態を検知するスイッチである。なお、苗植付部4の作業状態を検知するスイッチが別途設けられてもよい。
線引きマーカ自動昇降スイッチ49は、ハンドル35の操作量、すなわち、前輪10の操舵量に連動して線引きマーカ65を自動的に昇降させるか否かを切り替えるスイッチである。線引きマーカ自動昇降スイッチ49が「ON」の場合には、操舵量に連動して線引きマーカ65を自動的に昇降させる制御が実行される。一方、線引きマーカ自動昇降スイッチ49が「OFF」の場合には、操舵量に連動して線引きマーカ65を自動的に昇降させる制御は、実行されない。
自動旋回切替スイッチ48は、自動旋回の実行を可能とするか否かを切り替えるスイッチである。自動旋回切替スイッチ48が「ON」にされている場合には、自動旋回を実行可能となる。自動旋回切替スイッチ48が「OFF」にされている場合には、自動旋回を実行不能となる。自動旋回切替スイッチ48が「OFF」にされている場合には、自動旋回を実行する条件が成立している場合であっても、自動旋回は実行されない。
また、コントローラ100には、位置取得装置150から機体の現在の位置情報などが入力される。コントローラ100は、機体が自動で走行しながら作業を行う自律走行モードを実行する。
<自律走行モード>
ここで、図7を参照して、苗移植機1による、圃場における自動旋回を含む自動走行(自律走行)について説明する。図7は、苗移植機1の圃場における自律走行の説明図である。コントローラ100(図3参照)は、前輪10(図1参照)の操舵量をフィードバックしながらステアリングモータ95(図3参照)を制御してハンドル35(図3参照)を操作する自律走行モードを有する。自律走行モードは、自動直進モードと、自動旋回モードとを含む。
図7に示すように、自律走行モードにおいては、苗移植機1は、圃場において、予定走行経路に沿って直進および旋回を繰り返しながら苗の植え付け作業を自動で行う。なお、コントローラ100は、上記したように、走行車体2の上方に配置された位置取得装置150によって苗移植機1の現在の位置情報や、旋回位置に関する情報を取得する。
苗移植機1は、圃場における所定の作業エリア内を往復しながら、苗の植付を行う。この場合、直進走行については、コントローラ100が自動直進モードを実行することにより、設定された直進走行経路L1に沿って自動走行を行う。また、旋回走行については、コントローラ100が自動旋回モードを実行することにより、旋回走行経路L2に沿った自動旋回が実行される。
直進走行経路L1は、走行基準となる基準線L0に対して平行である。基準線L0は、苗の植え付け方向にあわせて、圃場において設定される。コントローラ100は、直進走行の開始位置および終了位置をそれぞれ基準始点(A点)および基準終点(B点)として取得し、A点およびB点を結ぶ線分を基準線L0として記憶する。
コントローラ100は、苗移植機1の旋回中において、ハンドル35の操舵量が所定の値(所定操舵量)になるようにステアリングモータ95を制御する第1旋回動作モードを自動旋回モードとして実行する。この場合、コントローラ100は、位置取得装置150が取得した位置情報に関わらず処理を実行する。
なお、コントローラ100は、苗移植機1の旋回中において、位置取得装置150が取得した位置情報に基づいて、設定された旋回走行経路L2上のいずれか所望の位置に苗移植機1が到達するようステアリングモータ95を制御する第2旋回動作モードを自動旋回モードとして実行してもよい。また、コントローラ100は、上記した2つの自動旋回モード(第1旋回動作モード、第2旋回動作モード)を組み合わせて自動旋回を行ってもよい。
<自動旋回開始処理>
次に、第1実施形態に係る自動旋回開始処理について図8のフローチャートを用いて説明する。図8は、第1実施形態に係る自動旋回開始処理を説明するフローチャートである。
コントローラ100は、走行モードが第1モードであるか否かを判定する(S100)。具体的には、コントローラ100は、モード切替スイッチ46の位置を判定する。
コントローラ100は、走行モードが第1モードである場合には(S100:Yes)、走行車体2の位置が所定の旋回位置となったか否かを判定する(S101)。コントローラ100は、位置取得装置150によって走行車体2が所定の旋回位置となったか否かを判定する。例えば、コントローラ100は、カメラによって畦までの距離を計測し、畦までの距離が予め設定された所定旋回距離となる位置を旋回位置として設定する。すなわち、コントローラ100は、畦までの距離が所定旋回距離になると、走行車体2が所定の旋回位置になったと判定する。
なお、コントローラ100は、前回の作業工程における直進走行経路L1の距離、および後輪11の回転数に基づいて走行車体2が所定の旋回位置となったか否かを判定してもよい。コントローラ100は、後輪11の回転数から今回の作業工程の距離を算出し、前回の作業工程における直進走行経路L1の距離と比較することで、走行車体2が旋回位置となったか否かを判定してもよい。
コントローラ100は、走行車体2が所定の旋回位置となった場合には(S101:Yes)、走行車体2を停止させる(S102)。コントローラ100は、走行車体2が所定の旋回位置ではない場合には(S101:No)、苗植付作業を継続する(S103)。
コントローラ100は、走行モードが第2モードである場合には(S100:No)、苗植付部4が作業状態であるか否かを判定する(S104)。具体的には、コントローラ100は、植付部昇降スイッチ47が「降下」位置であるか否かを判定する。
コントローラ100は、苗植付部4が作業状態である場合(S104:Yes)、すなわち植付部昇降スイッチ47が「降下」位置である場合には、苗植付作業を継続する(S103)。
コントローラ100は、苗植付部4が非作業状態である場合(S104:No)、すなわち植付部昇降スイッチ47が「上昇」位置である場合には、走行車体2の位置が旋回可能範囲であるか否かを判定する(S105)。旋回可能範囲は、所定の旋回位置から、所定の旋回位置よりも所定距離手前までの位置を含む範囲である。所定距離は、予め設定された距離である。
コントローラ100は、走行車体2の位置が旋回可能範囲である場合には(S105:Yes)、自動旋回を実行する(S106)。すなわち、コントローラ100は、所定の旋回位置までの距離が所定距離以下である場合には、自動旋回を開始する。コントローラ100は、走行車体2の位置が旋回可能範囲であり、苗植付部4が非作業状態になった場合に、自動旋回を実行する。
コントローラ100は、走行車体2の位置が旋回可能範囲ではない場合には(S105:No)、走行車体2の前進を継続する(S107)。すなわち、コントローラ100は、所定の旋回位置よりも所定距離よりも長い場合には、自動旋回を禁止する。
<自動旋回処理>
次に、第1実施形態に係る自動旋回処理について図9のフローチャートを用いて説明する。図9は、第1実施形態に係る自動旋回処理を説明するフローチャートである。
コントローラ100は、ハンドル35の操舵量が所定の値となるようにステアリングモータ95を制御する(S200)。コントローラ100は、デフロック切替モータ96によってデフロック機構97を作動させる(S201)。
コントローラ100は、回転数センサ90によって後輪11の回転数の計測を開始する(S202)。後輪11の回転数は、左右の後輪11の回転数の平均であってもよく、旋回時に外輪となる後輪11の回転数や、旋回時に内輪となる後輪11の回転数であってもよい。
コントローラ100は、後輪11の回転数が第1所定回転数(所定回転数)となったか否かを判定する(S203)。第1所定回転数は、予め設定された回転数であり、旋回を終了するためにハンドル35を基準位置に戻し始める回転数である。すなわち、第1所定回転数は、旋回が終了する直前の位置まで走行車体2が旋回する回転数である。
コントローラ100は、後輪11の回転数が第1所定回転数よりも少ない場合には(S203:No)、デフロック機構97を作動させた状態で旋回を継続する(S202)。
コントローラ100は、後輪11の回転数が第1所定回転数以上になると(S203:Yes)、デフロック切替モータ96によってデフロック機構97の作動を停止し(S204)、ステアリングモータ95によってハンドル35を基準位置に戻す(S205)。
なお、デフロック機構97の作動を停止するタイミングは、ハンドル35の操舵量に基づいて設定されてもよい。また、自動旋回制御では、測位手段によって得られる位置情報に基づいて、走行車体2の向きを補正しながら、旋回が行われてもよい。また、コントローラ100は、自動旋回以外の旋回時、すなわち作業者の操作による旋回時にデフロック機構97を作動させてもよい。
<効果>
苗移植機1は、走行車体2に取り付けられた前輪10と、圃場に作業を行う苗植付部4と、前輪10の操舵量を調整するハンドル35と、ハンドル35を駆動するステアリングモータ95と、ステアリングモータ95を制御するコントローラ100とを備える。コントローラ100は、苗植付部4が作業状態から非作業状態になった場合に、操舵量が所定の値となるように、ステアリングモータ95を制御し、走行車体2の旋回を開始する。
これにより、苗移植機1は、簡素な制御によって自動旋回を行うことができる。例えば、苗移植機1は、GPSなどの測位手段を用いずに、自動旋回を行うことができる。また、苗移植機1は、苗植付部4が作業状態から非作業状態になると、自動旋回を開始するため、少ない操作によって自動旋回を開始することができ、操作性を向上させることができる。
また、苗移植機1は、走行車体2に取り付けられ、苗植付部4を昇降させる昇降シリンダ25を備える。コントローラ100は、昇降シリンダ25によって苗植付部4を上昇させた場合に、ステアリングモータ95を制御し、走行車体2の旋回を開始する。
これにより、苗移植機1は、少ない操作に基づいて、自動旋回を開始することができ、操作性を向上させることができる。
また、苗移植機1は、モード切替スイッチ46を備える。モード切替スイッチ46は、所定の旋回位置で走行車体2を停止させる第1モードと、苗植付部4が作業状態から非作業状態になった場合に、ハンドル35の操舵量が所定の値となるように、ステアリングモータ95が制御され、走行車体2の旋回が開始される第2モードとを切り替える。
これにより、苗移植機1は、複数のモードをモード切替スイッチ46の操作に基づいて変更することができ、操作性や、作業性を向上させることができる。
また、苗移植機1は、左右の前輪10を同じ回転速度で回転させるデフロック機構97を備える。コントローラ100は、苗植付部4が作業状態から非作業状態になった場合に、デフロック機構97を作動させることによって左右の前輪10を同じ回転速度で回転させる。
これにより、苗移植機1は、旋回中、例えば、自動旋回中に、前輪10がスタックすることを抑制し、圃場における苗移植機1の走破性を向上させることができる。苗移植機1は、デフロック機構97を作動させて自動旋回することによって、旋回半径や、自動旋回中の駆動が安定し、自動旋回による旋回精度を向上させることができる。
また、苗移植機1は、圃場が荒れることを抑制することができる。また、苗移植機1は、旋回時に、コントローラ100によってデフロック機構97を作動させることによって、作業者による操作を省き、作業性を向上させることができる。
また、苗移植機1は、後輪11の回転数を検出する回転数センサ90を備える。コントローラ100は、左右の前輪10が同じ回転速度で回転を開始し、かつ走行車体2が旋回を開始した後の回転数が、第1所定回転数になると、デフロック機構97の作動を停止させる。
これにより、苗移植機1は、後輪11の回転数に基づいて、デフロック機構97の作動を停止することができ、作業者による操作を省き、作業性を向上させることができる。また、苗移植機1は、例えば、旋回が終了する直前にデフロック機構97の作動を停止させることができ、圃場が荒れることを抑制することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る苗移植機1について説明する。ここでは、第1実施形態とは異なる箇所を中心に説明する。なお、第1実施形態と同じ構成については、第1実施形態と同じ符号を付し、詳しい説明は省略する。
コントローラ100は、図10に示すように、操作信号として、旋回モード切替スイッチ98(旋回モード切替操作部)から信号が入力される。図10は、第2実施形態に係る苗移植機1のコントローラ100を中心とした制御系を示すブロック図である。
旋回モード切替スイッチ98は、旋回モードを、第1旋回モード、第2旋回モード、および直進モードに切り替えるためのスイッチである。
第1旋回モードは、図11Aに示すように、苗移植機1が直進している状態で、苗植付部4が作業状態から非作業状態となった場合に、自動旋回を実行する自動旋回モードである。図11Aは、第1旋回モードにおける苗移植機1の走行を示す図である。
第2旋回モードは、図11Bに示すように、苗移植機1が畦まで前進し、所定の距離、後進してから旋回する、いわゆるドン付きバック旋回の場合における自動旋回モードである。図11Bは、第2旋回モードにおける苗移植機1の走行を示す図である。
第2旋回モードでは、変速操作レバー36が後進側に操作され、所定の距離、後進した後に、変速操作レバー36が前進側に操作されると、自動旋回が開始される。所定の距離は、回転数センサ90によって計測される後輪11の回転数が第2所定回転数となる距離であり、苗植付部4によって植え付けた苗を後輪11によって踏まない距離である。なお、自動旋回を開始する場合には、苗植付部4が上昇し、苗植付部4は、作業状態から非作業状態になる。
直進モードは、苗移植機1を畦まで前進させるモードである。例えば、苗の補充などを行う場合に使用される。
<自動旋回開始処理>
次に、第2実施形態に係る自動旋回処理について図12A、および図12Bのフローチャートを参照し説明する。図12A、および図12Bは、第2実施形態に係る自動旋回処理を説明するフローチャートである。
コントローラ100は、旋回モードが第1旋回モードであるか否かを判定する(S300)。具体的には、コントローラ100は、旋回モード切替スイッチ98の位置を判定する。
コントローラ100は、旋回モードが第1旋回モードである場合には(S300:Yes)、苗植付部4が作業状態であるか否かを判定する(S301)。具体的には、コントローラ100は、植付部昇降スイッチ47が「降下」位置であるか否かを判定する。
コントローラ100は、苗植付部4が作業状態である場合(S301:Yes)、すなわち植付部昇降スイッチ47が「降下」位置である場合には、苗植付作業を継続する(S302)。
コントローラ100は、苗植付部4が非作業状態である場合(S301:No)、すなわち植付部昇降スイッチ47が「上昇」位置である場合には、走行車体2の位置が旋回可能範囲であるか否かを判定する(S303)。
コントローラ100は、走行車体2の位置が旋回可能範囲である場合には(S303:Yes)、自動旋回を実行する(S304)。すなわち、コントローラ100は、走行車体2の位置が旋回可能範囲である場合には、自動旋回を許可する。
コントローラ100は、走行車体2の位置が旋回可能範囲ではない場合には(S303:No)、走行車体2の前進を継続する(S305)。すなわち、コントローラ100は、走行車体2の位置が旋回可能範囲ではない場合には、自動旋回を禁止する。
コントローラ100は、旋回モードが第1旋回モードではない場合には(S300:No)、旋回モードが第2旋回モードであるか否かを判定する(S306)。具体的には、コントローラ100は、旋回モード切替スイッチ98の位置を判定する。
コントローラ100は、旋回モードが第2旋回モードである場合には(S306:Yes)、変速操作レバー36が後進側に操作されたか否かを判定する(S307)。
コントローラ100は、変速操作レバー36が前進側である場合には(S307:No)、植付作業を継続する(S315)。
コントローラ100は、変速操作レバー36が後進側である場合には(S307:Yes)、回転数センサ90によって、後輪11の回転数の計測を開始する(S309)。なお、変速操作レバー36が後進にされることによって、苗植付部4が上昇し、苗植付部4は、非作業状態となる。
コントローラ100は、後輪11の回転数が第2所定回転数となったか否かを判定する(S310)。
コントローラ100は、後輪11の回転数が第2所定回転数よりも少ない場合には(S310:No)、後進を継続し、後輪11の回転数の計測を継続する(S309)。
コントローラ100は、後輪11の回転数が第2所定回転数になると(S310:Yes)、走行車体2を停止させる(S311)。コントローラ100は、変速操作レバー36が前進側に操作されたか否かを判定する(S312)。
コントローラ100は、変速操作レバー36が前進側に操作されない場合には(S312:No)、走行車体2の停止を継続する(S311)。
コントローラ100は、変速操作レバー36が前進側に操作された場合には(S3121:Yes)、走行車体2の位置が旋回可能範囲であるか否かを判定する(S313)。コントローラ100は、走行車体2の位置が旋回可能範囲ではない場合には、走行車体2を直進させる(S308)。すなわち、コントローラ100は、走行車体2の位置が旋回可能範囲ではない場合には、自動旋回を禁止する。
コントローラ100は、走行車体2の位置が旋回可能範囲である場合には、自動旋回を実行する(S314)。すなわち、コントローラ100は、走行車体2の位置が旋回可能範囲である場合には、自動旋回を許可する。
コントローラ100は、走行モードが直進モードである場合には(S306:No)、苗植付作業を継続する(S315)。
<効果>
コントローラ100は、走行車体2の前進走行を行った後に、ステアリングモータ95を制御し、走行車体2の旋回を開始する第1旋回モードと、走行車体2が後進走行を行った後に、ステアリングモータ95を制御し、走行車体2の旋回を開始する第2旋回モードとを有する。
これにより、苗移植機1は、圃場環境や、走行車体2の大きさや、枕地工程の作業に合わせて、自動旋回による旋回モードの方法を切り替えることができる。そのため、苗移植機1は、作業状態に応じた旋回位置において自動旋回を行うことができる。
また、苗移植機1は、走行車体2に取り付けられ、苗植付部4を昇降させる昇降シリンダ25と、昇降シリンダ25による苗植付部4の昇降を切り替える植付部昇降スイッチ47と、走行車体2における前進走行、および後進走行を切り替える変速操作レバー36と、旋回モードを第1旋回モードと第2旋回モードとに切り替える旋回モード切替スイッチ98とを備える。コントローラ100は、旋回モードが第1旋回モードであり、かつ植付部昇降スイッチ47が操作されて苗植付部4を上昇させた場合に、ステアリングモータ95を制御し、走行車体2の旋回を開始する。また、コントローラ100は、旋回モードが第2旋回モードであり、かつ変速操作レバー36が操作されて走行車体2が後進走行から前進走行に切り替わった場合に、ステアリングモータ95を制御し、走行車体2の旋回を開始する。
これにより、苗移植機1は、第1旋回モードにおいて、苗植付部4が上昇した場合に、自動旋回を開始する。そのため、苗移植機1は、自動旋回時における作業者の操作を少なくし、作業性を向上させることができる。また、苗移植機1は、第2旋回モードにおいて、変速操作レバー36が操作された場合に、自動旋回を開始する。そのため、苗移植機1は、自動旋回時における作業者の操作を少なくし、作業性を向上させることができる。
また、苗移植機1は、所定の旋回位置までの距離を計測する位置取得装置150を備える。コントローラ100は、所定の旋回位置までの距離が所定距離以下の場合には、第1旋回モード、および第2旋回モードによる旋回を許可し、所定の旋回位置までの距離が所定距離よりも長い場合には、第1旋回モード、および第2旋回モードによる旋回を禁止する。
これにより、苗移植機1は、例えば、作業工程の中央付近で自動旋回が実行されることを防止することができ、誤操作による自動旋回が実行されることを防止することができる。
また、苗移植機1は、後輪11の回転数を計測する回転数センサ90を備える。コントローラ100は、旋回モードが第2旋回モードである場合には、後進走行時の回転数が第2所定回転数になると走行車体2を停止させ、変速操作レバー36が操作されて走行車体2が後進走行から前進走行に切り替わると、ステアリングモータ95を制御し、走行車体2の旋回を開始する。
これにより、苗移植機1は、苗植付部4によって植え付けた苗を後輪11によって踏むことなく、自動旋回を実行することができる。また、苗移植機1は、後方の視認性が悪い場合であっても、自動的に停止するため、作業性を向上させることができる。また、苗移植機1は、自動旋回における操作を少なくし、作業性を向上させることができる。
(変形例)
上記苗移植機1は、以下の構成を有してもよい。
コントローラ100は、自動旋回モードにおいて、以下の旋回を実行してもよい。コントローラ100は、走行車体2が旋回位置(直進走行の終了位置)に到達し、苗植付部4が上昇操作されると、線引きマーカ65による作業が行われていた方向へ第2旋回動作モードによって、旋回を開始する。そして、コントローラ100は、第2旋回動作モードによる旋回によって走行車体2の方位が、直進走行経路L1に対し第1所定方位(例えば、60°)になると、自動旋回モードを第2旋回動作モードから第1旋回動作モードに変更し、ハンドル35が基準位置となるようにステアリングモータ95を制御する。
そして、コントローラ100は、ハンドル35が基準位置となった後の後輪11の回転数が所定の回転数になると、旋回動作モードを第1旋回動作モードから第2旋回動作モードに変更し、旋回を開始する。
そして、コントローラ100は、第2旋回動作モードによる旋回によって走行車体2の方位が、次工程における直進走行経路L1に対し第2所定方位(例えば、30°)になると、自動直進モードによる直進走行をする。
これにより、苗移植機1は、次工程の直進走行経路L1の開始位置への到達精度を向上させることができる。また、苗移植機1は、自動旋回に対する安全性を向上させることができる。また、作業者の操作に基づいて、苗移植機1は、速やかに旋回動作を開始することができ、自動旋回モードから自動直進モードへ自動的に移行するため、操縦性や、作業性を向上させることができる。
コントローラ100は、第1旋回モード、または第2旋回モードによる走行車体2の旋回中に、副変速操作レバー37の操作によって走行車体2が停止され、その後、走行車体2の走行が再開された場合に、第1旋回モード、または第2旋回モードによる走行車体2の旋回を継続する。
これにより、苗移植機1は、例えば、自動旋回中に、作業資材を搬入するために走行車体2を停止させた場合であっても、作業資材の搬入後、自動旋回を再開することができる。
苗移植機1は、3つの予備苗載せ台52を、図13に示すように展開することによって、例えば、圃場の畦から作業資材の搬入が容易となる。図13は、予備苗載せ台52を展開した側面図である。
苗移植機1は、予備苗載せ台52が展開された場合に、作業資材の搬送を容易にするために、図14に示すように、ローラ200を備える。図14は、予備苗載せ台52の一部を示す平面図である。ローラ200には、バー201が取り付けられる。予備苗載せ台52が展開された場合に、バー201が、展開用アーム部202に取り付けられた押し上げピン203によって押し上げられると、ローラ200は、図15に示すように、予備苗載せ台52の載置面52aから突出する。図15は、予備苗載せ台52の一部を示す側面図である。
予備苗載せ台52が展開されていない収納時には、押し上げピン203は、バー201とは当接しないために、バー201、およびローラ200は押し上げられず、ローラ200は、予備苗載せ台52の載置面52aから突出しない。
押し上げピン203は、展開用アーム部202における取り付け位置を変更可能であり、図16に示すように、押し上げピン203の取り付け位置を変更することによって、予備苗載せ台52が展開された場合であっても、押し上げピン203は、バー201に当接しない。この場合、ローラ200は、予備苗載せ台52の載置面52aから突出しない。図16は、押し上げピン203の位置を変更した場合における予備苗載せ台52の一部を示す側面図である。
このように、苗移植機1は、押し上げピン203の取り付け位置を変更することによって、予備苗載せ台52が展開された場合に、予備苗載せ台52の載置面52aに対する、ローラ200の突出状態を切り替えることができる。載置面52aからローラ200を突出させずに、予備苗載せ台52が展開された場合には、作業資材が予備苗載せ台52上で移動することを抑制することができる。
なお、ローラ200は、複数の予備苗載せ台52の一部、例えば、展開時に前方側となる2つの予備苗載せ台52に設けられてもよい。
また、押し上げピン203に変えて、手動操作可能なチョウバンを展開用アーム部202に取り付け、チョウバンを回動させて、予備苗載せ台52の載置面52aに対する、ローラ200の突出状態を切り替えてもよい。この場合、展開用アームに対し、チョウバンの回動位置を固定可能な固定部材が設けられてもよい。また、手動操作可能な回動ピンを展開用アーム部202に取り付けてもよい。
また、苗移植機1は、予備苗載せ台52の展開、および収納をモータなどによって実行する。苗移植機1は、展開用アーム部202の角度を検知するポテンショメータを備える。これにより、例えば、作業資材の重さや、衝撃によって予備苗載せ台52の位置がずれた場合であっても、ポテンショメータによって検知された展開用アーム部202の角度に基づいて、展開用アーム部202の位置が補正される。そのため、苗移植機1は、予備苗載せ台52の位置を所定の位置に合わせることができる。
また、苗移植機1は、予備苗載せ台52の位置を、展開位置、収納位置に加え、苗補給位置とすることができる。苗移植機1は、各位置において、予備苗載せ台52を停止させる。例えば、苗移植機1は、操作スイッチが操作されることによって、予備苗載せ台52の位置を、苗補給位置から収納位置に変更する。苗補給位置は、収納位置に対し、苗枠が少し開いた状態である。これにより、苗移植機1は、展開用アーム部202が邪魔にならずに、苗を補給することができ、作業性を向上させることができる。
また、苗移植機1は、図17、図18に示すように、走行車体2の前端に折り畳み式の補助ステップ220を備えてもよい。図17は、苗移植機1の一部を示す正面図である。図18は、補助ステップ220を示す側面図である。図17および図18は、補助ステップ220が展開された状態を示す。
補助ステップ220は、メインフレーム15に取付部材221を介して取り付けられる。補助ステップ220は、取付部材221に対し、回動可能である。また、補助ステップ220は、バネ222によって付勢される。バネ222は、補助ステップ220が収容位置となるように補助ステップ220を付勢する。なお、補助ステップ220が収容位置、および展開位置に保持するように、ロック機構が設けられる。苗移植機1に補助ステップ220が設けられることによって、前方から苗移植機1へ乗り降りが容易になる。
苗移植機1は、副変速機構16における走行モードが高速モードである場合には、自動旋回を禁止する。これにより、苗移植機1は、安全性を向上させることができる。
苗移植機1は、旋回時にハンドル35の操作に応じて苗植付部4を自動的に上昇させて、旋回後に苗植付部4を降下させて、苗の植え付けを再開するためのスイッチが「OFF」の場合には、自動旋回を禁止してもよい。これにより、苗植付部4が上昇しない状態で、旋回が行われることを防止し、苗移植機1の破損を防止することができる。
苗移植機1は、線引きマーカ65が降下していない場合には、自動旋回を禁止してもよい。
苗移植機1は、作業工程中に線引きマーカ65が出ていた方向へ旋回する。例えば、右側の線引きマーカ65が出ていた場合には、右側へ旋回する。これにより、旋回方向を決めるスイッチなどを設けずに、自動旋回を実行することができる。
苗移植機1は、自動旋回中に走行車体2が10°以上傾いた場合には、走行車体2を停止させる。これにより、苗移植機1は、自動旋回中に畦に乗り上げた場合など、圃場外への逸脱を防止し、安全性を向上させることができる。
苗移植機1は、自動旋回中、エンジン30の回転数を最大回転数とする。最大回転数は、予め設定された回転数である。また、苗移植機1は、自動旋回が終了した後は、エンジン30の回転数を最大回転数から元の通常時の回転数とする。これにより、苗移植機1は、深い圃場などであっても、自動旋回を行うことができる。
苗移植機1は、自動旋回中、エンジン30の回転数を最大回転数とし、デフロック機構97を作動させて、HST14のトラニオンの回動角度を一定とする。これにより、苗移植機1は、自動旋回における車速や、駆動を安定させ、自動旋回による旋回精度を向上させることができる。
苗移植機1は、自動旋回中、エンジン30の回転数を最大回転数とし、デフロック機構97を作動させて、HST14のトラニオンの回動角度を一定とし、さらに、内輪側の後輪11をポンピング制御する。ポンピング制御とは、後輪11への駆動力の伝達をON/OFFに繰り返す制御である。これにより、苗移植機1は、深い圃場などであっても、自動旋回を行うことができる。
苗移植機1は、自動旋回中に、作業者がハンドル35の操作を行った場合には、自動旋回を停止し、走行車体2を停止させる。これにより、苗移植機1は、例えば、障害物があった場合などの緊急時に走行を停止させ、安全性を向上させることができる。
苗移植機1は、作業者の着席の有無を検出するシートスイッチを備えてもよい。苗移植機1は、自動旋回中に作業者が離席した場合に、自動旋回を停止し、走行車体2を停止させる。これにより、自動旋回中における作業者の安全性を向上させることができる。
苗移植機1は、自動旋回を行うためのスイッチをハンドル35の下に操作レバーとして設けてもよい。操作レバーは、例えば、十字方向へ操作可能なレバーである。この場合、苗移植機1は、例えば、上下方向における操作レバーの操作によって自動直進モードの基準始点(A点)および基準終点(B点)を取得する。また、苗移植機1は、操作レバーの左側への操作によって左方向への自動旋回を実行する。また、苗移植機1は、操作レバーの右側への操作によって右方向への自動旋回を実行する。
これにより、苗移植機1は、1つの操作レバーによって、自動直進モードの基準始点(A点)および基準終点(B点)を取得し、自動旋回の方向を設定することができる。そのため、苗移植機1は、操作性を向上させることができ、ハンドル35から手を離さずに操作可能となるため、安全性を向上させることができる。
また、苗移植機1は、操作レバーの左右方向への連続2回の操作によって自動旋回を開始してもよい。例えば、苗移植機1は、操作レバーが左側へ連続して2回操作された場合に、左方向への自動旋回を開始する。これにより、例えば、操作レバーに作業者の手が誤って触れた場合であっても、自動旋回が実行されない。そのため、苗移植機1は、誤操作により自動旋回を開始することを抑制し、安全性を向上させることができる。
苗移植機1は、自動旋回を開始する条件が成立した場合に、所定待機時間、例えば、1秒経過した後に、自動旋回を開始する。例えば、自動旋回を開始する条件が成立して直ぐに自動旋回を開始し、走行車体2が動き出した場合には、自動旋回に対する作業者の準備ができておらず、作業者が体勢を崩すおそれがある。苗移植機1は、所定待機時間経過した後に、自動旋回を開始することによって、安全性を向上させることができる。
苗移植機1は、フラットなフロアステップ33を備える。これにより、作業者は、苗の補給時などに左右方向に歩きやすくなり、段差などが生じないため、安全性、および作業性を向上させることができる。また、作業者は、乗車する際に、ゆったりと乗車することができる。
苗移植機1は、モニタ86に液晶画面を配置する。液晶画面には、各種情報が表示される。これにより、苗移植機1は、例えば、文字によって作業者へ通知することができ、操作性を向上させることができる。また、苗移植機1は、商品性を向上させることができる。
苗移植機1では、圃場に苗の植え付けを開始する前に、液晶画面のモニタ86に作業情報として、株数、苗植付部4の横送り回数、植込杆58による苗取り量が入力される。また、苗の植え付けを開始した後には、画面に作業を後方から見た画像が表示される。そして、苗の植え付け作業中は、苗移植機1が圃場に苗を植え付ける画像が表示される。また、画面に表示される苗移植機1の苗タンク53では、苗の植え付け作業に応じて苗が徐々に減り、苗の残量が少なくなると、画面に苗が少なくなったことを示す警告が表示される。例えば、画面には、アニメーションの画像が表示される。
このように、液晶画面に苗タンク53の苗が減っていく様子が表示されるため、作業者は、苗タンク53の状態を容易に知ることができる。また、作業者は、画面に表示される警告を容易に理解することができる。また、視覚的に楽しむことができる。
また、苗移植機1は、条毎の植え付けを切り替える畦クラッチが使用された場合には、画面に条毎の苗の残量を表示する。例えば、或る条の苗の残量が少なくなった場合には、画面に或る条の苗が少なくなったことを示す警告が表示される。これにより、作業者は、条毎の苗タンク53の状態を知ることができる。
苗移植機1が停止すると、画面に表示される苗移植機1の画像も停止する。すなわち、画面に表示される苗移植機1の画像は、実際の苗移植機1の動作に応じて変化する。苗移植機1の状態に応じた画像が画面に表示されるため、作業者は、画像を確認することで、苗移植機1の状態を知ることができる。従って、苗移植機1は、作業性を向上させることができる。
苗移植機1が停止してから、例えば、5秒経過しても、停車ペダルが踏み込まれない場合には、停車ペダルが踏まれていないことを示す警告が画面に表示される。例えば、「停車ペダルを踏んでください。」と表示される。これにより、苗移植機1は、作業者による停車ペダルの踏み込み忘れを抑制し、安全性を向上させることができる。
苗移植機1では、圃場に苗の植え付けを開始する前に、液晶画面のモニタ86に作業情報として、圃場に散布する肥料の比重、10a当たりの施肥量が入力される。また、苗の植え付けを開始した後は、画面に10a当たりの施肥量や、施肥ロールの回転数に基づいた現在までの総施肥量が表示される。
これにより、作業者が、肥料の残量や、総施肥量を知ることができ、苗移植機1は、作業性を向上させることができる。また、作業者は、準備した肥料と、使用量とをリアルタイムで比較することができ、肥料不足が生じることを抑制することができる。そのため、苗移植機1は、作業効率を向上させることができる。
また、作業開始時に作業開始ボタンが押され、作業終了時に作業終了ボタンが押されることによって、1つの圃場当たりの総施肥量が記憶される。これにより、圃場毎の施肥量が苗移植機1に記憶される。そのため、圃場で作業を行う度に、総施肥量を記録させる必要がなく、苗移植機1は、作業性を向上させることができる。なお、作業終了ボタンが押されることによって、総施肥量は、「0kg」にリセットされる。
また、GPSなどの測位手段によって得られた圃場の位置と、圃場における総施肥量とが紐付けられて、記憶されてもよい。これにより、圃場毎の総施肥量を自動的に記憶させることができ、作業者による入力作業を省くことができ、苗移植機1は、作業性を向上させることができる。なお、圃場毎の総施肥量は、情報端末に記憶されてもよい。
また、苗移植機1では、作業情報として、株数、苗植付部4の横送り回数、植込杆58による苗取り量が入力された場合には、10a当たりの必要な苗箱の枚数が画面に表示される。
これにより、作業者は必要な苗箱の枚数を計算する必要が無い。そのため、苗移植機1は、作業性を向上させることができる。また、初めて作業を行う圃場であっても、面積がわかると、作業者は、必要な苗箱の枚数を得ることができる。従って、苗移植機1は、作業性を向上させることができる。
また、作業開始時に作業開始ボタンが押されると、苗移植機1は、後輪11の回転数に基づいて、使用された苗箱の枚数を計算し、苗箱の現在の使用枚数を画面に表示する。これにより、作業者は、使用された苗箱の枚数を数える必要がない。そのため、苗移植機1は、作業性を向上させることができる。なお、作業終了時に作業終了ボタンが押されることによって、苗箱の使用枚数は「0枚」にリセットされる。
また、GPSなどの測位手段によって得られた圃場の位置と、圃場における苗箱の使用枚数とが紐付けられて、記憶されてもよい。これにより、圃場毎に使用された苗箱の枚数を自動的に記憶させることができ、作業者による入力作業を省くことができる。また、次回の苗の植え付けの計画を立てる際に、有効なデータとして活用することができる。なお、圃場毎に使用された苗箱の枚数は、情報端末に記憶されてもよい。
また、上記苗箱の使用枚数に対し、根張りが悪いなどの苗の状態に基づいた補正値が入力可能であってもよい。これにより、苗移植機1は、実際の苗の状態に応じて、画面に表示される苗箱枚数を正確に表示することができ、苗が不足することを抑制し、作業性を向上させることができる。
なお、画面には、補正値に応じて苗が減少する画像が表示される。これにより、苗移植機1と、画面に表示される苗移植機1の画像とにおける苗タンク53の状態を合わせることができ、作業者は、苗タンク53の状態を正確に知ることができる。
また、1、2条の畦クラッチが解放された場合、施肥ロールの回転数に「0.75」を乗算した値が施肥量として計算され、総施肥量が加算される。これにより、苗移植機1は、正確な施肥使用量を画面に表示することができ、肥料不足などが生じることを抑制し、作業性を向上させることができる。
また、画面には、GPSなどの測位手段による受信電波の受信感度が表示されてもよい。これにより、作業者は、現在の受信感度を知ることができる。
また、作業開始時に作業開始ボタンが押されると、後輪11の回転数に基づいて、作業面積が計算され、画面に現在の作業面積が表示される。これにより、作業者は、現在の植え付け作業の進捗状況を知ることができ、作業計画を立て易くなる。そのため、作業効率を向上させることができる。なお、作業終了ボタンが押されると、作業面積は、「0」にリセットされる。
また、GPSなどの測位手段によって得られた圃場の位置と、作業面積とが紐付けられて、記憶されてもよい。作業面積を自動的に記憶させることができ、作業者による入力作業を省くことができる。なお、作業面積は、情報端末に記憶されてもよい。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
1 苗移植機(作業車両)
2 走行車体
4 苗植付部(圃場作業装置)
10 前輪(走行車輪)
11 後輪(走行車輪)
25 昇降シリンダ(昇降装置)
35 ハンドル(ステアリング装置)
36 変速操作レバー(前後進切替操作部)
37 副変速操作レバー(車速調整部)
46 モード切替スイッチ
47 植付部昇降スイッチ(昇降切替操作部)
48 自動旋回切替スイッチ
90 回転数センサ(回転数計測部)
95 ステアリングモータ(モータ)
96 デフロック切替モータ
97 デファレンシャルロック機構(同速回転機構)
98 旋回モード切替スイッチ(旋回モード切替操作部)
100 コントローラ(制御装置)
150 位置取得装置(距離計測部)

Claims (5)

  1. 走行車体に取り付けられた走行車輪と、
    圃場に作業を行う圃場作業装置と、
    前記走行車輪の操舵量を調整するステアリング装置と、
    前記ステアリング装置を駆動させるモータと、
    前記モータを制御する制御装置と、
    前記走行車輪のうち左右の前輪を同じ回転速度で回転させる同速回転機構と、
    前記走行車輪のうち左右の後輪の回転数を検出する回転数検出部と、
    前記走行車体に取り付けられ、前記圃場作業装置を昇降させる昇降装置と、
    前記昇降装置による前記圃場作業装置の昇降を切り替える昇降切替操作部と、
    前記走行車体における前進走行、および後進走行を切り替える前後進切替操作部と、
    旋回モードを、前記走行車体が前進走行を行った後に、前記モータを制御し、前記走行車体の旋回を開始する第1旋回モードと、前記走行車体が後進走行を行った後に、前記モータを制御し、前記走行車体の旋回を開始する第2旋回モードとに切り替える旋回モード切替操作部と、
    所定の旋回位置までの距離を計測する距離計測部と
    を備え、
    前記制御装置は、
    前記圃場作業装置が作業状態から非作業状態になった場合に、前記操舵量が所定操舵量となるように、前記モータを制御し、前記走行車体の旋回を開始し、
    前記圃場作業装置が前記作業状態から前記非作業状態になった場合に、前記同速回転機構を作動させることによって前記左右の前輪を同じ回転速度で回転させ、
    前記左右の前輪が同じ回転速度で回転を開始し、かつ前記走行車体が旋回を開始した後の前記後輪の回転数が、所定回転数になると、前記同速回転機構の作動を停止させて、前記操舵量を走行車体の直進走行時の基準位置に戻し、
    前記制御装置は、
    前記第1旋回モードと、前記第2旋回モードとを有し、
    前記旋回モードが前記第1旋回モードであり、かつ前記昇降切替操作部が操作されて前記圃場作業装置を上昇させた場合に、前記モータを制御し、前記走行車体の旋回を開始し、
    前記旋回モードが前記第2旋回モードであり、かつ前記前後進切替操作部が操作されて前記走行車体が前記後進走行から前記前進走行に切り替わった場合に、前記モータを制御し、前記走行車体の旋回を開始し、
    前記所定の旋回位置までの距離が所定距離以下の場合には、前記第1旋回モード、および前記第2旋回モードによる旋回を許可し、
    前記所定の旋回位置までの距離が前記所定距離よりも長い場合には、前記第1旋回モード、および前記第2旋回モードによる旋回を禁止する
    ことを特徴とする作業車両。
  2. 前記制御装置は、
    前記昇降装置によって前記圃場作業装置を上昇させた場合に、前記モータを制御し、前記走行車体の旋回を開始する
    ことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
  3. 前記所定の旋回位置で前記走行車体を停止させる第1モードと、前記圃場作業装置が前記作業状態から前記非作業状態になった場合に、前記操舵量が所定操舵量となるように、前記モータが制御され、前記走行車体の旋回が開始される第2モードとを切り替えるモード切替スイッチ
    を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の作業車両。
  4. 前記走行車輪の回転数を計測する回転数検出
    を備え、
    前記制御装置は、
    前記旋回モードが前記第2旋回モードである場合には、前記後進走行時の前記後輪の回転数が所定回転数になると前記走行車体を停止させ、前記前後進切替操作部が操作されて前記走行車体が前記後進走行から前記前進走行に切り替わると、前記モータを制御し、前記走行車体の旋回を開始する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の作業車両。
  5. 前記走行車体の車速を調整する車速調整部
    を備え、
    前記制御装置は、
    前記第1旋回モード、または前記第2旋回モードによる前記走行車体の旋回中に、前記車速調整部の操作によって前記走行車体が停止され、かつ前記走行車体の走行が再開された場合に、前記第1旋回モード、または前記第2旋回モードによる前記走行車体の旋回を継続する
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の作業車両。
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