以下に、本発明の実施形態に係る作業車両を、乗用型の苗移植機1として図面を参照しながら詳細に説明する。なお、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、以下では苗移植機1全体を指して機体と呼ぶ場合がある。
図1は、実施形態に係る苗移植機1の直進サポートの概要を示す説明図である。本実施形態に係る苗移植機1は、後部に苗植付部50を連結するとともに、それぞれ左右一対の前輪4および後輪5を備える走行車体2を備えている。
本実施形態において、直進サポートとは、苗移植機1の転舵輪の舵角(切れ角)と、当該苗移植機1の位置情報とに基づき、転舵輪の動作が制御されることによって、圃場Fにおける苗移植機1の自動直進走行を支援する機能を指す。ここでは、舵角を、前輪4の切れ角としているが、例えば、ハンドル32(図2参照)の操舵角を舵角として検出するようにしてもよい。また、苗移植機1の位置情報は、走行車体2に設けられたGNSSユニット120(位置情報取得部)(図5参照)により取得される。なお、以下の説明においては、苗移植機1の前後、左右の方向基準は、作業者が着座可能な操縦座席28(図2参照)からみて、走行車体2の走行方向を基準とする。
図示するように、苗移植機1は、圃場F内における所定作業エリアG内を往復しながら、所定の作業幅Dで苗の植付を行う。このとき、直進サポートを実行すれば、ハンドル32を用いた作業者のマニュアル操作としては、枕地近傍で行う旋回操作だけでよく、直進走行については、苗移植機1は自動直進ラインL1に沿って自動走行する。図1中、符号L3は、枕地における苗移植機1のマニュアル操作による旋回ラインを示す。また、符号Eは、圃場Fへの苗移植機1の進退口を示す。
直進サポートによる苗移植機1の自動直進ラインL1は、直進サポートを行う上で基準となる基準走行線(走行基準データ)L2に平行であり、この基準走行線L2は、苗の植付方向に合わせて、圃場F内において予め設定される。すなわち、直進サポートの開始位置および終了位置をそれぞれ基準始点(以下、「A点」という。)および基準終点(以下、「B点」という。)として、苗移植機1が備える走行基準登録部152(図5参照)で取得し、取得したA点およびB点を結ぶ線分を、基準走行線L2として登録するようにしている。
以下、図2を参照しながら、苗移植機1の具体的な構成について説明する。図2は、実施形態に係る苗移植機1の側面図である。
苗移植機1の走行車体2には、苗植付部50が、昇降装置である苗植付部昇降機構40を介して昇降可能に取付けられる。また、走行車体2は、左右一対の前輪4と、左右一対の後輪5とが共に駆動する四輪駆動車であり、ハンドル32が回動されることによって転舵輪となる前輪4が操舵され、圃場Fや圃場F間の道などを走行することが可能である。
苗移植機1は、後輪5に補助車輪5Aを装着することができる。具体的には、補助車輪5Aは、後輪5の車軸220に取り付けられ、後輪5とともに回転する。苗移植機1は、後輪5の内側、後輪5の外側、または後輪5の内側および外側に補助車輪5Aを取り付けることができる。すなわち苗移植機1は、補助車輪5Aの取り付け位置を変更することができる。
また、走行車体2は、車体の略中央に配置されたメインフレーム7と、このメインフレーム7の上に搭載された原動機であるエンジン10と、エンジン10の動力を前後輪4,5と苗植付部50とに伝える動力伝達装置15とを備える。この苗移植機1では、動力源であるエンジン10には、ディーゼル機関やガソリン機関等の内燃機関が用いられ、発生した動力は、走行車体2を前進や後進させるために用いるのみでなく、苗植付部50を駆動させるためにも使用される。
また、動力伝達装置15は、エンジン10から伝達される駆動力を変速して出力する、油圧式無段変速装置(以下、「HST」という。)16と、HST16にエンジン10からの動力を伝える動力伝達部17とを有する。
また、動力伝達装置15は、ミッションケース18を有する。すなわち、エンジン10からの駆動力は、動力伝達部17を介してHST16に伝達され、このHST16で変速した動力がミッションケース18に伝達される。そして、ミッションケース18は、後述する高速モードと低速モードとに切り替える副変速機構(不図示)を内設しており、メインフレーム7の前部に取り付けられる。
ミッションケース18から前輪4および後輪5に伝達される動力は、一部が左右の前輪ファイナルケース13を介して前輪4に伝達可能であり、残りが左右の後輪5ギヤケース22を介して後輪5に伝達可能となっている。左右それぞれの前輪ファイナルケース13は、ミッションケース18の左右それぞれの側方に配設される。左右の前輪4は、車軸131を介して左右の前輪ファイナルケース13に連結されており、かかる前輪ファイナルケース13は、ハンドル32の操舵操作に応じて駆動し、前輪4を転舵させることができる。
同様に、左右それぞれの後輪5ギヤケース22には、車軸220を介して後輪5が連結されている。一方、ミッションケース18からは、図示しない作業機駆動軸から走行車体2の後部に設けた植付クラッチ500を介して苗植付部50へ動力が伝達される。なお、植付クラッチ500は、後に詳述するコントローラ150(図5参照)に接続された植付
クラッチモータ510(図5参照)によって動作する。
エンジン10は、走行車体2の左右方向における略中央で、且つ、作業者が乗車時に足を載せるフロアステップ26よりも上方に突出させた状態で配置される。フロアステップ26は、走行車体2の前部とエンジン10の後部との間に亘って設けられてメインフレーム7上に取り付けられており、その一部が格子状になることにより、靴に付いた泥を圃場Fに落とすことができる。また、フロアステップ26の後方には、後輪5のフェンダを兼ねたリアステップ27が設けられる。リアステップ27は、後方に向うに従って上方に向う方向に傾斜した傾斜面を有し、エンジン10の左右それぞれの側方に配置される。
また、エンジン10は、これらのフロアステップ26とリアステップ27とから上方に突出しており、これらのステップ26,27から突出している部分には、エンジン10を覆うエンジンカバー11が配設される。
そして、エンジンカバー11の上部に、作業者が着席する操縦座席28が設置され、かかる操縦座席28の前方で、且つ走行車体2の前側中央部に操縦部30が設けられる。かかる操縦部30は、フロアステップ26の床面から上方に突出した状態で配置されており、フロアステップ26の前部側を左右に分断している。
操縦部30には、ステアリングポスト315が設けられ、このステアリングポスト315の上部には、作業者による操舵が可能なハンドル32が設けられる。ステアリングポスト315には、図3に示すように、フィンガップレバー34が設けられる。図3は、ステアリングポスト315を正面から見た概略図である。フィンガップレバー34は、例えば、A点、B点を取得する際などに作業者によって操作される。フィンガップレバー34は、上下方向に回動することができる。
また、ステアリングポスト315には、図4に示すように、モニタ33が設けられる。図4は、モニタ33の概略図である。モニタ33には、例えば、機体が、直進サポートにより自動直進走行を行う場合に点灯する直進サポートランプ331と、A点ランプ332と、B点ランプ333と、GPSランプ334とが配設されている。なお、モニタ33には、ランプ以外の表示灯などが配設されている。また、苗移植機1は、複数のモニタを有してもよい。
モニタ33では、フィンガップレバー34の操作によりA点が取得されている場合にはA点ランプ332が点灯する。また、フィンガップレバー34の操作によりB点が取得されている場合にはB点ランプ333が点灯する。モニタ33では、機体が自動直進走行可能な状態にある場合にはA点ランプ332およびB点ランプ333が共に点灯する。
GPSランプ334は、3つの表示ランプを有し、GPS受信状態にあわせて表示ランプの点灯数を変更する。モニタ33では、かかる表示態様によって作業者にGPS受信状態を知らせる。
また、操縦部30の所定位置には、例えば、報知装置200の一例となるブザー215が設けられる(図5参照)。
図2に戻り、操縦部30には、ステアリングポスト315の近傍に主変速レバー81と副変速レバー82とが設けられる。主変速レバー81は、操縦部30の右側に設けられ、副変速レバー82は、ハンドル32の下方に設けられている。
主変速レバー81は、走行車体2の前後進と走行出力を切替操作するレバーであり、作業者が操作することにより、HST16のトラニオン(不図示)の回動角度を調節して走行車体2の速度調節を行うことができる。
副変速レバー82は、走行車体2の走行速度を規定する走行モードを、走行する場所に応じて低速モードと高速モードとに切り替えるレバーである。モード切替えは、副変速レバー82の位置に応じて、ミッションケース18内に設けられた副変速機構により行われる。
また、操縦部30の前部には、開閉可能なフロントカバー31が設けられる。そして、このフロントカバー31の前端中央に位置するように、走行の指標となる指標部材としてのセンターマスコット350が取り付けられている。なお、図2では、便宜上、図示を省略しているが、走行車体2の前側左右には予備苗載台(不図示)が設けられている。
センターマスコット350は、走行車体2の前部中央位置に取付けられており、操縦座席28に座した作業者が苗移植機1を運転する際に、進行方向の目安となるように機能するものである。また、本実施形態に係るセンターマスコット350は、前述した直進サポートの実行可否を含むサポート状況を報知する報知装置200としても機能する。
本実施形態に係る苗移植機1は、報知装置200となるセンターマスコット350を用いて、直進サポートの状況に加え、苗植付部50が備える苗や肥料などの作業資材の残量に関する情報を報知してもよい。
センターマスコット350は、前方を向いている作業者の視界に常に存在するため、作業者は目線を前方から逸らすことなく、常時、苗移植機1の状況を把握することができ、安全性の向上に大きく寄与することができる。
本実施形態に係る苗移植機1は、受信アンテナ121(図5参照)を内蔵したGNSSユニット120が走行車体2に配設されている。このGNSSユニット120は、受信アンテナ121で時間的に所定の間隔でGNSS座標を取得することにより、地球上での位置情報を所定間隔で取得することができる。
GNSSユニット120は、前輪4の車軸131の直上方に位置するように、走行車体2の前端側に基端が連結されたアンテナフレーム124の頂部に取り付けられている。アンテナフレーム124は、折りたたみ可能であり、通常状態におけるアンテナフレーム124の高さは、標準的な一般男性がフロアステップ26上で起立しても頭部と干渉しない程度の高さに設定される。
また、本実施形態に係るGNSSユニット120には、受信アンテナ121に加え、図示しないが、ジャイロセンサや加速度センサを利用した慣性航法装置と、これらを制御する制御基板が内蔵される。
ここで、苗植付部50およびその他の構成について説明する。苗植付部50は、走行車体2の後部に、苗植付部昇降機構40を介して昇降可能に取付けられている。苗植付部昇降機構40は昇降リンク装置41を備えており、この昇降リンク装置41は、走行車体2の後部と苗植付部50とを連結させる平行リンク機構を備える。かかる平行リンク機構は、上リンク41aと下リンク41bとを有し、これらのリンク41a,41bが、メインフレーム7の後部端に立設した背面視門型のリンクベースフレーム43に回動自在に連結される。そして、リンク41a,41bの他端側が苗植付部50に回転自在に連結されている。こうして、苗植付部50は走行車体2に昇降可能に連結されることになる。
また、苗植付部昇降機構40は、油圧によって伸縮する油圧昇降シリンダ44を有し、油圧昇降シリンダ44の伸縮動作によって、苗植付部50を昇降させることができる。油圧昇降シリンダ44は、前述したHST16により駆動され、苗植付部昇降機構40の昇降動作によって、苗植付部50を非作業位置まで上昇させたり、対地作業位置(植付位置)まで下降させたりすることができる。
また、苗植付部50は、苗を植え付ける範囲を、複数の区画、あるいは複数の列で植え付けることができる。例えば、苗を6つの区画で植え付ける、いわゆる6条植の苗植付部50とすることができる。
また、苗植付部50は、苗植付装置60と、苗載置台51及びフロート47(48,49)を備える。このうち、苗載置台51は、走行車体2の後部に複数条の苗を積載する苗載置部材として設けられており、走行車体2の左右方向において仕切られた植付条数分の苗載せ面52を有し、それぞれの苗載せ面52に土付きのマット状苗を載置することが可能である。
苗植付装置60は、苗を載置する苗載置台51の下部に配設され、苗を苗載置台51から取って圃場Fに植え付ける装置であり、苗載置台51の前面側に配設される植付支持フレーム55によって支持される。そして、苗植付装置60は、植付伝動ケース64と植付体61とを有し、植付体61は、苗載置台51から苗を取って圃場Fに植え付けることができるように構成されており、植付伝動ケース64は、植付体61に駆動力を供給することができる。
また、植付伝動ケース64は、エンジン10から苗植付部50に伝達された動力を、植付体61に供給可能に構成されており、植付体61は、植付伝動ケース64に対して回転可能に連結される。また、植付体61は、苗載置台51から苗を取って圃場Fに植え付ける植込杆62と、植込杆62を回転可能に支持すると共に植付伝動ケース64に対して回転可能に連結されるロータリケース63とを有する。
ロータリケース63は、植付伝動ケース64から伝達された駆動力によって植込杆62を回転させる際に、回転速度を変化させながら回転させることのできる不等速伝動機構(不図示)を内装している。これにより、植付体61の回転時には、植込杆62は、ロータリケース63に対する回転角度によって回転速度が変化しながら回転をすることができる。
このように構成される苗植付装置60は、2条毎に1つずつ配設されている。すなわち、複数の苗植付装置60は、それぞれ植付条が割り当てられている。また、各植付伝動ケース64は、2条分の植付体61を回転可能に備えている。つまり、1つの植付伝動ケース64には、2つのロータリケース63が、機体左右方向の両側に連結される。
また、フロート47は、走行車体2の移動と共に、圃場面上を滑走して整地するものであり、走行車体2の左右方向における苗植付部50の中央に位置するセンターフロート48と、左右方向における苗植付部50の両側に位置するサイドフロート49とを有する。
本実施形態におけるセンターフロート48には、圃場Fの状況に合わせて苗植付部50を上下へ昇降させる油圧感度機構として機能するフロートポテンショメータ154(図5参照)が設けられる。かかるフロートポテンショメータ154は、センターフロート48の上下動を検出する感度の幅を変更することができる。
例えば、感度を敏感にすれば、センターフロート48の小さな上下動についても検出してコントローラ150へ検出信号を送信するようになる。一方、感度を鈍感にすれば、センターフロート48の小さな上下動については検出することなく、一定振幅以上の上下動のみ検出して検出信号をコントローラ150へ送信するようになる。
また、苗植付部50の下方側の位置における前側には、圃場Fの整地を行う整地用のロータ67が設けられる。このロータ67は、後輪5ギヤケース22を介して伝達されるエンジン10からの出力によって回転可能に構成されるとともに、電動モータであるロータ用モータ165(図5参照)によって昇降可能に設けられている。
なお、本実施形態に係る苗移植機1では、かかる整地用のロータ67が接地していることを条件として、コントローラ150が直進サポートを実行するようにしている。すなわち、苗植付作業を行っている場合にのみ直進サポートが実行されるようになっている。
また、苗植付部50の左右両側には、次の植付条に進行方向の目安になる線を形成する線引きマーカ68が備えられる。線引きマーカ68は、苗移植機1が圃場F内における直進前進時に、圃場Fの畦際で転回した後に直進前進する際の目印を圃場F上に線引きする。
また、走行車体2における操縦座席28の後方には、施肥装置70が搭載される。施肥装置70は、肥料を貯留する左右の貯留ホッパ71と、貯留ホッパ71から供給される肥料を設定量ずつ繰り出す繰出し装置72と、繰出し装置72により繰り出される肥料を圃場Fに供給する施肥通路である施肥ホース74と、施肥ホース74に搬送風を供給するブロア73とを備える。
このブロア73により、施肥ホース74内の肥料が苗植付部50側に移送される。さらに、施肥装置70は、施肥ホース74によって肥料が移送される施肥ガイド75と、施肥ホース74によって移送された肥料を苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に落とし込む作溝器76とを有する。
図5は、苗移植機1のコントローラ150を中心とした機能ブロック図である。本実施形態に係る苗移植機1は、電子制御によって各部を制御することが可能になっており、苗移植機1は、各部を制御する制御部としてのコントローラ150を備える。このコントローラ150は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理部や、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の記憶部、さらには入出力部が設けられ、これらは互いに接続されて互いに信号の受け渡しが可能である。記憶部には、苗移植機1を制御するコンピュータプログラムが格納される。
図示するように、コントローラ150には、各種アクチュエータ類や、各部の情報を取得するセンサ類等が接続される。
コントローラ150には、アクチュエータ類として、例えば、エンジン10の吸気量を調節するスロットルモータ100、整地用のロータ67を昇降させるロータ用モータ165、植付クラッチ500を作動させる植付クラッチモータ510が接続される。なお、図示は省略したが、HST16のトラニオンの回動角度を変化させるトラニオン駆動モータもコントローラ150に接続されている。
また、コントローラ150には、舵角センサ130、方位センサ160、姿勢センサ170、傾きセンサ180、着座センサ190、さらには、主変速レバー81や副変速レバー82の操作量を傾動角度で検出するレバーセンサ(不図示)、走行車体2の車速を検出する車速センサ(不図示)などを含むその他各種のセンサが接続されている。
舵角センサ130は、ハンドル32の操作によって転舵輪である前輪4が操舵された際の舵角を検出するセンサである。舵角センサ130は、ハンドル32の回動角度に基づいて舵角を検出してもよい。
方位センサ160は、機体の向きを検出するセンサである。コントローラ150は、方位センサ160から取得した値に基づいて、機体の実際の進行方向を導出することができる。
姿勢センサ170は、走行車体2の姿勢が、自動直進ラインL1に対してどの程度斜め姿勢になっているかを検出するもので、ジャイロセンサなどで構成される。
傾きセンサ180は、走行車体2の傾きを検出する。傾きセンサ180は、走行車体2の前後方向、および左右方向の傾きを検出する。傾きセンサ180は、複数のセンサによって構成されてもよい。傾きセンサ180は、例えば、加速度センサである。
着座センサ190は、操縦座席28に設けられた、ロードセルや感圧フィルムセンサなどにより構成されたセンサであり、作業者が操縦座席28に着座していることを検出することができる。
コントローラ150は、舵角センサ130が検出した舵角が、走行車体2を直進させる許容範囲内であることを示す値ではない場合、あるいは、方位センサ160が検出した方角や姿勢センサ170が検出した姿勢が直進方向を示す値ではない場合、直進サポートを禁止することができる。
舵角が、走行車体2を直進させる許容範囲内である値とは、例えば、前輪4の舵角(切れ角)の絶対値が15度以下などの場合である。また、走行車体2が旋回した後に、舵角センサ130が検出した舵角が、走行車体2を直進状態ではない値を示す場合(たとえば5度)は直進サポートを禁止することもできる。
なお、方位センサ160や姿勢センサ170についても、許容範囲を設定し、許容範囲外となる方位や姿勢がコントローラ150に設定する時間以上継続すると、直進方向を向いていないと判断し、直進サポートを禁止する構成とするとよい。
また、何らかのトラブルなどが生じて苗移植機1の直進サポートを停止した場合、安全性を向上させるため、あるいは作業ミスを未然に防止するために、直進サポートを再開する際には、苗植付部50が降下していること、予備苗載台が収納されていること、植付クラッチ500が入っていること、などの条件を満たしていなければ再開しないように制御することもできる。
また、コントローラ150には、報知装置200として、例えば、モニタ33と、警報などを発するブザー215とが接続される。
コントローラ150は、ブザー215やモニタ33を用いて、直進サポートの実行や停止などを含むサポート状況を報知できる。したがって、作業者は、現時点における機体の前傾姿勢の状態や、機体を旋回させた後の舵角や機体の姿勢などが、直進サポートを実行するのに相応しい状況であるかを容易に認識できる。そのため、例えば、旋回操作から直進サポートに切り替える操作性を向上させることができる。
ところで、かかるブザー215やモニタ33を用いて、コントローラ150は、例えば、動力伝達装置15の異常(クラッチ機構のギヤ抜け等)を作業者に報知することもできる。なお、これらモニタ33やブザー215は、本実施形態では走行車体2に予め設けられているものとしているが、同様な機能を、外部から持ち込み可能なタブレット端末装置(不図示)に付与することもできる。
また、苗移植機1は、コントローラ150により制御可能な操舵装置110と、GNSSユニット120とを備えており、これらがコントローラ150に接続される。
操舵装置110は、ハンドル32と連動連結する伝動機構(不図示)を備えるとともに、任意の回転力をハンドル32に付与する直進サポート機構310を備えており、コントローラ150による自動操舵を可能にしている。伝動機構には、ハンドル32を回動させるステアリングモータ(舵角調整部)112が含まれる。
コントローラ150は、直進サポートを実行する場合には、GNSSユニット120が取得した位置情報に基づき、直進サポート機構310を介してハンドル32を自動操舵することにより、走行車体2を直進方向に維持する。
GNSSユニット120は、GNSSで使用される人工衛星からの信号を受信する受信アンテナ121を有し、地球上における苗移植機1の位置情報(座標情報)を取得し、取得した位置情報をコントローラ150に伝達する。
また、コントローラ150には、フィンガップレバー34、フロートポテンショメータ154、補助車輪設定ダイヤル140、舵角調整設定ダイヤル141などの各種スイッチが接続される。
フィンガップレバー34は、直進サポートに関する作業者の操作を受け付ける。フィンガップレバー34は、A点およびB点を取得する際に作業者によって操作される。また、フィンガップレバー34は、基準走行線L2をキャンセルする際に操作される。
フロートポテンショメータ154は、圃場Fの凹凸に追従して上下動するセンターフロート48に設けられており、このセンターフロート48の上下動、すなわち圃場Fの深さを感知する。コントローラ150は、感知された圃場Fの凹凸に応じて苗植付部50を昇降させる。
コントローラ150は、基準走行線L2を取得する際の走行時に、予め設定された走行距離間における圃場Fの深さをフロートポテンショメータ154によって検出し、圃場Fの深さの平均値を算出する。算出された平均値は、平均深さとして、例えば、ROMに記憶される。
また、コントローラ150は、平均深さに基づいて、直進サポート中に圃場Fの深さを、例えば、「標準」、「浅い」、「深い」の3段階に判定する。なお、コントローラ150は、圃場Fの深さを複数段階に判定すればよく、3段階に限定されるものではない。
「標準」は、圃場Fの深さが、第1所定深さ以上であり、かつ第2所定深さよりも小さい状態である。第1所定深さ、および第2所定深さは、予め設定されており、第2所定深さは、第1所定深さよりも大きい。「浅い」は、圃場Fの深さが第1所定深さよりも小さい状態である。「深い」は、圃場Fの深さが第2所定深さ以上の状態である。
補助車輪設定ダイヤル140は、補助車輪5Aの取り付け状態を設定するダイヤルであり、補助車輪5Aの取り付けの有無、および補助車輪5Aの取り付け位置を設定するダイヤルである。補助車輪設定ダイヤル140は、例えば、「標準」、「内付け」、「外付け」、「トリプル」に設定することができる。
「標準」は、補助車輪5Aが取り付けられていない状態である。「内付け」は、補助車輪5Aが後輪5の内側に取り付けられた状態である。「外付け」は、補助車輪5Aが後輪5の外側に取り付けられた状態である。「トリプル」は、補助車輪5Aが、後輪5の内側および外側に取り付けられた状態である。
舵角調整設定ダイヤル141は、直進サポートが実行されている場合に、操舵装置110による舵角の調整量を作業者により調整するダイヤルである。舵角調整設定ダイヤル141は、例えば、「標準」、「少ない」、「多い」に設定することができる。なお、舵角調整設定ダイヤル141は、複数段階に設定できればよく、3段階に限定されるものではない。
「標準」は、舵角の調整量を、作業者の操作により調整しない状態である。「少ない」は、舵角の調整量を、「標準」に対し小さくする状態である。「多い」は、舵角の調整量を、「標準」に対し大きくする状態である。
コントローラ150は、直進サポートを行っている場合に、圃場Fの深さ、補助車輪5Aの取り付け状態、作業者による舵角調整設定ダイヤル141の操作に応じて、直進サポート時の舵角の調整量を制御する。なお、補助車輪設定ダイヤル140に関する情報などはROMに記憶される。
コントローラ150は、基準走行線L2が登録される走行基準登録部152を有する。苗移植機1に直進サポートを行わせるためには、予め、ティーチング作業が必要になる。走行基準登録部152は、ティーチング作業により、例えば、直進サポートを実行して直進制御するための基準走行線L2(図1参照)を登録する。
走行基準登録部152は、直進サポートの開始位置であるA点および終了位置であるB点を、それぞれ取得し、取得したA点およびB点を結ぶ線分を、基準走行線L2として登録する。
基準走行線L2が登録されることで、直進サポートが実行される際の走行方位や、直進サポートを実行する距離が登録される。なお、基準走行線L2の長さが直進サポートを実行する距離として登録されることで、走行車体2の直進距離に基づいて、例えば、作業者に旋回操作を行う地点に近づいたこと、すなわち、圃場端(畦)が近づいたことを作業者に報知することができる。なお、走行車体2の走行距離は、例えば、ロータ67の回転数に基づいて算出することができる。
次に、実施形態に係る直進制御について図6を参照し説明する。図6は、実施形態に係る直進制御を説明するフローチャートである。なお、ここでは、直進サポートが実行されているものとする。
コントローラ150は、舵角の基準操作量を算出する(S10)。コントローラ150は、自動直進ラインL1と、現在の走行車体2の位置とに基づいて基準操作量を算出する。基準操作量は、自動直進ラインL1と、現在の走行車体2の位置とのずれが大きくなるほど、大きくなる。
コントローラ150は、補助車輪設定ダイヤル140からの信号に基づいて第1補正係数を設定する(S11)。第1補正係数は、補助車輪5Aの取り付け状態に基づいた舵角の調整量である。
具体的には、コントローラ150は、補助車輪設定ダイヤル140が、「標準」の場合には、第1補正係数を、「a1(例えば、1.0)」に設定する。コントローラ150は、補助車輪設定ダイヤル140が、「内付け」の場合には、第1補正係数を「a2(>a1)」に設定する。コントローラ150は、補助車輪設定ダイヤル140が、「外付け」の場合には、第1補正係数を「a3(>a2)」に設定する。コントローラ150は、補助車輪設定ダイヤル140が、「トリプル」の場合には、第1補正係数を「a4(>a3)」に設定する。「a1」〜「a4」は、予め設定された値である。
補助車輪5Aが取り付けられると、走行車体2の直進性を向上させることができるが、圃場Fに接する面積が大きくなるため、摩擦抵抗が大きくなる。そのため、直進サポート中に、例えば、自動直進ラインL1から走行車体2の位置がずれ、自動直進ラインL1へ走行車体2を戻す場合には、補助車輪5Aが取り付けられていない場合よりも、舵角の操作量を大きくしなければならない。
そのため、コントローラ150は、補助車輪5Aが取り付けられている場合には、補助車輪5Aが取り付けられていない場合よりも第1補正係数を大きい値に設定する。
コントローラ150は、圃場Fの深さに基づいて第2補正係数を設定する(S12)。第2補正係数は、圃場Fの深さに基づいた舵角の調整量である。
コントローラ150は、圃場Fの深さが、「標準」の場合には、第2補正係数を、「b1(例えば、1.0)」に設定する。コントローラ150は、圃場Fの深さが、「浅い」の場合には、第2補正係数を「b2(<b1)」に設定する。コントローラ150は、圃場Fの深さが、「深い」の場合には、第2補正係数を「b3(>b2)」に設定する。「b1」〜「b3」は、予め設定された値である。
圃場Fが深くなると、走行抵抗が大きくなる。そのため、コントローラ150は、圃場Fが深くなるほど第2補正係数を大きい値に設定する。
コントローラ150は、舵角調整設定ダイヤル141からの信号に基づいて第3補正係数を設定する(S13)。第3補正係数は、作業者による舵角調整設定ダイヤル141の操作に基づいた舵角の調整量である。
コントローラ150は、舵角調整設定ダイヤル141が、「標準」の場合には、第3補正係数を、「c1(例えば、1.0)」に設定する。コントローラ150は、舵角調整設定ダイヤル141が、「少ない」の場合には、第3補正係数を、「c2(<c1)」に設定する。コントローラ150は、舵角調整設定ダイヤル141が、「多い」の場合には、第3補正係数を、「c3(>c1)」に設定する。「c1」〜「c3」は、予め設定された値である。
コントローラ150は、第1補正係数、第2補正係数および第3補正係数に基づいて基準操作量を補正し、舵角の操作量を算出する(S14)。具体的には、コントローラ150は、基準操作量に、第1補正係数、第2補正係数および第3補正係数を乗算し、舵角の操作量を算出する。
コントローラ150は、算出した舵角の操作量に基づいて操舵装置110を制御し、直進サポートを行い、走行車体2が自動直進ラインL1に沿って走行するようにハンドル32を自動操舵する(S15)。
なお、各補正係数は、作業者により設定可能であってもよい。例えば、コントローラ150のチェックヒューズを抜いて、セットモードに移行させて、各補正係数を設定することができる。
また、コントローラ150は、直進サポートに関し、以下の制御を実行可能であってもよい。
コントローラ150は、直進サポート中に、GNSSユニット120によって走行車体2の位置情報を受信できなくなった場合、例えば、GNSSユニット120の故障が検知された場合には、直進サポートを終了する。これにより、GNSSユニット120による位置情報を取得できない状態で、走行車体2が直進サポートにより走行することを防止することができる。
コントローラ150は、直進サポート中に、フィンガップレバー34が上側に、例えば、2秒未満押された場合に、直進サポートを終了する。
コントローラ150は、直進サポート中に、ロータ67の高さが予め設定された一定値以上となった場合に、直進サポートを終了する。これにより、直進サポートの終了を作業者の操作によらず行うことができ、作業性を向上させることができる。
コントローラ150は、苗移植機1のメインスイッチ(不図示)がONにされてからエンジン10が始動されるまでは、モニタ33を全消灯してもよい。これにより、エンジン10が始動されていない場合には、直進サポートを行うことができないことを作業者に認識させることができる。
コントローラ150は、エンジン10が始動された後に、例えば、1秒間、モニタ33を全点灯してもよい。これにより、直進サポートを実行できる状態になったことを作業者に認識させることができる。
コントローラ150は、モニタ33を全点灯した後に、アライメント中である場合には、各センサの基準値を検出しているため、HST16を中立位置にしてもよい。これにより、アライメント中に走行車体2が動くことを抑制し、各センサの基準値を正確に検出することができる。
コントローラ150は、モニタ33を全点灯した後に、アライメントが完了した場合には、GNSSユニット120の動作確認を行ってもよい。また、コントローラ150は、HST16を中立位置から変更可能としてもよい。
コントローラ150は、モニタ33が全点灯した後に、アライメント中は、モニタ33を、例えば、0.5秒ごとに、赤、橙、青の順に点滅させてもよい。また、コントローラ150は、例えば、赤を点灯させた場合に、各ランプ331〜334を点滅させてもよい。また、コントローラ150は、例えば、各ランプ331〜334を点滅させてもよい。また、コントローラ150は、モニタ33が全点灯した後に、アライメント中である場合には、例えば、モニタ33にアライメント中であることを示す表示を行ってもよい。これにより、初期設定中であることを作業者に認識させることができる。
コントローラ150は、エンジン10が始動された後に、GNSSユニット120により信号を受信した場合には、ブザー215を、例えば、1回鳴らしてもよい。これにより、GNSSユニット120により信号を受信できたことを作業者に認識させることができる。
コントローラ150は、GNSSユニット120により信号を受信するまでは、モニタ33を、例えば、1秒ごとに、赤、橙、青の順に点滅させ、各ランプ331〜334を消灯させてもよい。
コントローラ150は、GNSSユニット120によって信号を受信するまで、モニタ33に受信中であることを表示してもよい。これにより、作業者に、GNSSユニット120による信号の受信を確認中であることを認識させることができる。
コントローラ150は、エンジン10が始動された後に、例えば、5分経過しても、GNSSユニット120によって信号を受信できない場合には、ブザー215を鳴らしてもよい。これにより、GNSSユニット120によって信号を受信できないことを作業者に認識させることができる。
コントローラ150は、エンジン10が始動された後に、例えば、5分経過しても、GNSSユニット120によって信号を受信できない場合には、各ランプ331〜334を点滅させて、他のモニタ(不図示)を消灯させてもよい。これにより、GNSSユニット120によって信号を受信できないことを作業者に認識させることができる。
コントローラ150は、エンジン10が始動され、例えば、5分経過した後にGNSSユニット120によって信号を受信した場合には、ブザー215を、例えば、1回鳴らしてもよい。また、コントローラ150は、ブザー215を鳴らした後に、モニタ33を、例えば、2秒間全点灯させてもよい。これにより、GNSSユニット120によって信号を受信できたことを作業者に認識させることができる。
コントローラ150は、フィンガップレバー34が、例えば、上側に、5秒以上押された場合に、アライメントを強制的に実行してもよい。コントローラ150は、強制的にアライメントの実行開始時にブザー215を、例えば、1回鳴らしてもよい。これにより、アライメントが強制的に実行されることを、作業者に認識させることができる。
コントローラ150は、強制的にアライメントを実行している間は、HST16を中立位置にしてもよい。また、コントローラ150は、HST16が中立位置の場合にのみ、強制的なアライメントを受け付けてもよい。これにより、アライメントを正確に行うことができる。
コントローラ150は、GNSSユニット120が受信状態である場合に、A点を取得する。コントローラ150は、フィンガップレバー34が、例えば、下側に、2秒未満押されることでA点を取得する場合には、A点を取得可能になると、A点ランプ332を、所定の取得可能周期で点滅させてもよい。これにより、A点を取得できる状態であることを作業者に認識させることができる。また、コントローラ150は、A点を取得している場合には、A点ランプ332を点灯させてもよい。これにより、A点を取得していることを作業者に認識させることができる。
コントローラ150は、A点を取得できる状態ではない場合には、A点ランプ332を、所定の取得不能周期で点滅させてもよい。また、コントローラ150は、A点を取得できる状態ではない場合には、A点ランプ332の点滅開始時に、ブザー215を、例えば、3回鳴らしてもよい。これにより、A点を取得することができないことを、作業者に認識させることができる。
コントローラ150は、A点が取得されておらず、フィンガップレバー34が、例えば、上側に、2秒未満押されて直進サポート開始操作が行われた場合には、A点ランプ332を所定の取得不能周期で、例えば、3秒点滅させてもよい。また、コントローラ150は、ブザー215を、例えば、3回鳴らしてもよい。これにより、直進サポートを開始できないことを作業者に認識させることができる。
コントローラ150は、A点が取得されておらず、直進サポート開始操作が行われ、GNSSユニット120によって信号を受信している場合には、A点およびB点を取得できていないことをモニタ33に表示させてもよい。また、コントローラ150は、モニタ33への表示を、例えば、5秒間行った後に終了してもよい。また、コントローラ150は、モニタ33への表示を、A点とB点とが取得された時に終了してもよい。これにより、直進サポートを開始できないことを作業者に認識させることができる。
コントローラ150は、A点のみが取得されている場合に、フィンガップレバー34が例えば、下側に、2秒以上押された場合に、取得されているA点を消去してもよい。これにより、A点を消去し、新たなA点を容易に取得することができる。また、コントローラ150は、A点を消去する際に、ブザー215を、例えば、1回鳴らしてもよい。これにより、A点を消去することを、作業者に認識させることができる。
コントローラ150は、A点が取得された状態で、メインスイッチがOFFにされ、例えば、2時間以上経過した場合には、取得されたA点を消去してもよい。これにより、作業が長時間行われない場合には、A点を自動的に消去することで、作業者による消去作業の手間を省くことができる。
コントローラ150は、A点が取得されている場合に、B点の取得を可能としてもよい。これにより、B点が先に取得されることを防止することができる。
コントローラ150は、GNSSユニット120が受信状態である場合に、A点を取得する。コントローラ150は、フィンガップレバー34が、例えば、下側に、2秒未満押されることでB点を取得する場合には、B点を取得可能になると、B点ランプ333を、所定の取得可能周期で点滅させてもよい。これにより、B点を取得できる状態であることを作業者に認識させることができる。また、コントローラ150は、B点を取得している場合には、B点ランプ333を点灯させてもよい。これにより、B点を取得していることを作業者に認識させることができる。
コントローラ150は、B点を取得できる状態ではない場合には、B点ランプ333を、所定の取得不能周期で点滅させてもよい。また、コントローラ150は、B点を取得できる状態ではない場合には、B点ランプ333の点滅開始時に、ブザー215を、例えば、3回鳴らしてもよい。これにより、B点を取得することができないことを、作業者に認識させることができる。
コントローラ150は、A点を取得した位置から、例えば、5mなどに設定されたB点取得距離以上を走行車体2が走行した場合に、B点を取得可能としてもよい。また、B点取得距離は、例えば、5秒など所定の走行時間が含まれてもよい。これにより、基準走行線L2の直進性を向上させ、直進サポートの直進性を向上させることができる。
コントローラ150は、フィンガップレバー34が、例えば、下側に、2秒未満押されてA点を取得した場合に、A点を取得した位置から、走行車体2がB点取得距離を走行する間は、モニタ33にB点を取得できないことを表示してもよい。これにより、B点を取得できないことを作業者に認識させることができる。
コントローラ150は、モニタ33にB点を取得できないことの表示を、走行車体2がB点取得距離を走行した場合に終了してもよい。これにより、B点を取得可能となったことを作業者に認識させることができる。
コントローラ150は、B点が取得されている場合に、フィンガップレバー34が、例えば、下側に、2秒以上押された場合に、取得されているA点およびB点を消去してもよい。これにより、A点およびB点を消去し、新たなA点およびB点を容易に取得することができる。また、コントローラ150は、A点およびB点を消去する際に、ブザー215を、例えば、1回鳴らしてもよい。これにより、A点およびB点を消去することを、作業者に認識させることができる。
コントローラ150は、A点およびB点が取得された状態で、メインスイッチがOFFにされ、例えば、2時間以上経過した場合には、取得されたA点およびB点を消去してもよい。これにより、作業が長時間行われない場合には、A点およびB点を自動的に消去することで、作業者による消去作業の手間を省くことができる。
コントローラ150は、A点のみが取得され、B点が取得されておらず、フィンガップレバー34が、例えば、上側に、2秒未満押されて直進サポート開始操作が行われた場合には、A点ランプ332およびB点ランプ333を所定の取得不能周期で、例えば、3秒点滅させてもよい。また、コントローラ150は、ブザー215を、例えば、3回鳴らしてもよい。これにより、直進サポートを開始できないことを作業者に認識させることができる。
コントローラ150は、直進サポートを行うことが可能な場合、走行方位が目標方位に入るように各ランプ331〜334を点滅させてもよい。これにより、進行方向を作業者に認識させることができる。
コントローラ150は、走行方位が目標方位に対して右側に、例えば、3度以上ずれている場合には、A点ランプ332を点滅させてもよい。また、コントローラ150は、走行方位が目標方位に対して左側に、例えば、3度以上ずれている場合には、B点ランプ333を点滅させてもよい。これにより、走行方位のずれを作業者に認識させることができる。
コントローラ150は、直進サポートを行っている場合には、直進サポートランプ331を点灯、または点滅させてもよい。これにより、直進サポートを行っていることを作業者に認識させることができる。
コントローラ150は、直進サポートを行うことができない状態で、フィンガップレバー34が、例えば、上側に、2秒未満押されて直進サポート開始操作が行われた場合には、直進サポートランプ331を所定のサポート不能周期で、例えば、3秒点滅させてもよい。これにより、直進サポートを行うことができないことを、作業者に認識させることができる。
コントローラ150は、直進サポートを行うことができる状態で、フィンガップレバー34が、例えば、上側に、2秒未満押されて直進サポート開始操作が行われた場合には、直進サポートを開始する。これにより、直進サポート開始位置を作業者が自由に設定することができる。
コントローラ150は、走行車体2の車速が、例えば、0.5km/h以上の位置検知可能車速である場合に、直進サポートを実行可能としてもよい。GNSSユニット120は、車速が低い場合には、位置検出精度が低下することがある。コントローラ150は、走行車体2の車速が、例えば、0.5km/h以上である場合に、直進サポートを実行可能とし、GNSSユニット120における位置検出精度がよい状態で、直進サポートを行うことができる。
コントローラ150は、走行車体2が後進中ではない場合に、直進サポートを実行可能としてもよい。また、コントローラ150は、舵角(切れ角)が小さく、走行車体2が直進している場合、例えば、舵角が所定舵角よりも小さい場合や、走行方位と目標方位とのずれが3度よりも小さい場合に、直進サポートを実行可能としてもよい。
また、コントローラ150は、走行車体2の傾きが、例えば、10度よりも小さい場合に、直進サポートを実行可能としてもよい。また、コントローラ150は、副変速機構による走行モードが高速モードではない場合に、直進サポートを実行可能としてもよい。また、コントローラ150は、ロータ67の高さが、予め設定された一定値未満である場合に、直進サポートを実行可能としてもよい。また、コントローラ150は、GNSSユニット120が信号を受信可能である場合に、直進サポートを実行可能としてもよい。
コントローラ150は、直進サポート中に、走行車体2の車速が、例えば、0.5km/hの位置検知可能車速よりも低い状態が、例えば、2秒間継続された場合に、直進サポートを終了してもよい。これにより、GNSSユニット120による位置検出精度が低い状態で、直進サポートが行われることを抑制することができる。
コントローラ150は、直進サポート中に、走行車体2の車速が、例えば、0.4km/hのサポート走行終了車速よりも低い状態が、例えば、2秒間継続された場合に、直進サポートを終了してもよい。これにより、走行車体2が停止すると予測される場合に、作業者の操作によらず直進サポートを終了することができ、作業者の手間を省くことができる。
コントローラ150は、直進サポート中に、GNSSユニット120などとの通信異常や、操舵装置110の異常などが検知された場合には、直進サポートを終了してもよい。これにより、直進サポートの精度が低い状態で、直進サポートが行われることを抑制することができる。
コントローラ150は、副変速機構の走行モードが高速モードである場合には、モニタ33に副変速機の走行モードが高速モードであることを表示してもよい。これにより、直進サポートを実行する条件を満たしていないことを作業者に認識させることができる。
コントローラ150は、直進サポートを実行する条件を満たしていないことの表示が、例えば、5秒間表示された場合、または副変速機構の走行モードが低速モードになった場合には、表示を終了してもよい。
コントローラ150は、ロータ67の高さが、予め設定された一定値以上である場合には、モニタ33にロータ67の高さが、予め設定された一定値以上であることを表示してもよい。これにより、直進サポートを実行する条件を満たしていないことを作業者に認識させることができる。
コントローラ150は、直進サポートを実行する条件を満たしていないことの表示が、例えば、5秒間表示された場合、またはロータ67の高さが、予め設定された一定値よりも低くなった場合には、表示を終了する。
上記した実施形態に係る苗移植機1は、走行車体2に補助車輪5Aが取り付けられている場合には、直進サポート時の舵角の調整量を、走行車体2に補助車輪5Aが取り付けられていない場合の舵角の調整量よりも大きくする。具体的には、苗移植機1は、補助車輪5Aが装着されている場合には、補助車輪5Aが装着されていない場合よりも、第1補正係数を大きくし、舵角の調整量を大きくし、舵角の操作量を大きくする。
これにより、例えば、走行車体2が自動直進ラインL1からずれた場合に、走行車体2を自動直進ラインL1に素早く戻すことができ、直進サポート時に苗の植え付け精度が低下することを抑制することができる。すなわち、直進サポートにおける作業性を向上させることができる。
また、苗移植機1は、補助車輪5Aの数が多いほど、舵角の調整量を大きくする。これにより、補助車輪5Aの数に応じて、舵角の調整量を設定することができ、補助車輪5Aの数に応じた舵角の操作量で、直進サポートを行うことができる。そのため、直進サポートにおける作業性を向上させることができる。
また、苗移植機1は、後輪5の外側に補助車輪5Aが取り付けられた場合には、後輪5の内側に補助車輪5Aが取り付けられた場合よりも、舵角の調整量を大きくする。これにより、補助車輪5Aの取り付け位置に応じて、舵角の調整量を設定することができる。そのため、直進サポートにおける作業性を向上させることができる。
また、苗移植機1は、圃場Fの深さが深いほど、直進サポート時の舵角の調整量を大きくする。具体的には、苗移植機1は、圃場Fの深さが深いほど、第2補正係数を大きくする。これにより、圃場Fの深さに応じて、舵角の調整量を設定することができる。そのため、直進サポートにおける作業性を向上させることができる。
また、苗移植機1は、基準走行線L2を取得する際に、圃場Fの平均深さを算出し、平均深さに基づいて直進サポート時の舵角の調整量を設定する。これにより、直進サポート開始時から圃場Fの深さに応じて、舵角の調整量を設定することができる。そのため、直進サポートにおける作業性を向上させることができる。
また、苗移植機1は、舵角調整設定ダイヤル141の操作に基づいて舵角の調整量を設定する。これにより、直進サポート時の走行車体2の走行状態に応じて、作業者の操作により、舵角の調整量を設定することができる。そのため、直進サポートにおける作業性を向上させることができる。
上記した実施形態に係る苗移植機1は、補助車輪5Aの取り付け状態、圃場Fの深さ、舵角調整設定ダイヤル141に基づいて舵角の調整量を設定し、舵角の操作量を算出し、直進サポートを行っているが、これに限られることはない。変形例に係る苗移植機1は、補助車輪5Aの取り付け状態、圃場Fの深さ、舵角調整設定ダイヤル141の少なくとも一つに基づいて舵角の調整量を設定し、直進サポートを行ってもよい。
変形例に係る苗移植機1は、補助車輪5Aの種類に応じて第1補正係数を設定してもよい。例えば、変形例に係る苗移植機1は、補助車輪5Aの径に応じて第1補正係数を設定してもよい。変形例に係る苗移植機1は、補助車輪5Aの径が小さい場合には、第1補正係数を、補助車輪5Aの径が大きい場合よりも小さくする。これにより、補助車輪5Aの径に応じて舵角の操作量を算出することができ、直進サポートの精度を向上させることができ、作業性を向上させることができる。
また、変形例に係る苗移植機1は、後輪5の内側、または後輪5の外側にのみ補助車輪5Aを取り付け可能であってもよい。
また、変形例に係る苗移植機1は、圃場Fの深さを、直進サポート中に検出し、更新してもよい。これにより、圃場Fの深さをより正確に検出し、直進サポートにおける作業性を向上させることができる。
また、変形例に係る苗移植機1は、直進サポート中の圃場Fの深さに応じて第2補正係数を設定してもよい。すなわち、直進サポート中に圃場Fの深さを随時検出し、検出した深さに基づいて第2補正係数を設定してもよい。これにより、直進サポートにより走行している圃場Fの状態に応じて第2補正係数を設定し、直進サポートにおける作業性を向上させることができる。なお、この場合、圃場Fの深さの判定について、ヒステリシスを設けてもよい。これにより、例えば、圃場Fの深さが、第1所定深さを短時間でまたいで変化した場合に、圃場Fの深さの判定が、「浅い」と「標準」とで頻繁に切り替わることを抑制することができる。
また、変形例に係る苗移植機1は、舵角調整設定ダイヤル141が操作された場合には、ブザー215を鳴らしてもよい。
また、変形例に係る苗移植機1は、補助車輪設定ダイヤル140の機能を有する舵角調整設定ダイヤル141を設けてもよい。すなわち、補助車輪5Aの有無などにより、複数段で切り替え可能な舵角調整設定ダイヤル141を設けてもよい。これにより、スイッチ類を少なくすることができる。
また、変形例に係る苗移植機1は、舵角調整設定ダイヤル141の操作に対してヒステリシスを設けてもよい。これにより、例えば、「標準」と「少ない」との間で、舵角調整設定ダイヤル141が頻繁に操作された場合に、舵角の調整量が頻繁に切り替わることを抑制することができる。
また、変形例に係る苗移植機1は、舵角の調整量に、舵角の変更速度を含んでもよい。例えば、補助車輪5Aが取り付けられている場合には、舵角の変更速度を補助車輪5Aが取り付けられていない場合の舵角の変更速度よりも大きくする。これにより、例えば、走行車体2が自動直進ラインL1からずれた場合に、走行車体2を自動直進ラインL1に素早く戻すことができ、直進サポートにおける作業性を向上させることができる。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。