JP2018057283A - 作業車両 - Google Patents

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和之 藤本
Kazuyuki Fujimoto
和之 藤本
靖浩 林
Yasuhiro Hayashi
靖浩 林
龍之 鳥津
Tatsuyuki Toritsu
龍之 鳥津
岡田 卓也
Takuya Okada
岡田  卓也
友佑 浜野
Yusuke Hamano
友佑 浜野
阪田 賢一郎
Kenichiro Sakata
賢一郎 阪田
村上 徹司
Tetsuji Murakami
徹司 村上
修平 川上
Shuhei Kawakami
修平 川上
仁志 野村
Hitoshi Nomura
仁志 野村
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Abstract

【課題】油圧式無段変速装置を操作する操作レバーを中立位置にしたときに、より確実に制動することのできる作業車両を提供すること。【解決手段】走行車体2と、走行車体2の後部に連結される対地作業部50とを備える。走行車体2は、エンジン10の動力を変速して出力する油圧式無段変速装置16と、油圧式無段変速装置16からの動力により駆動する走行車輪4,5と、中立領域812を挟む前進走行領域811と後進走行領域813とに亘って位置変更可能に構成され、操作位置に応じて油圧式無段変速装置16の出力調節が可能な第1の操作レバー81と、第1の作レバー81の中立領域812への移動に連動して走行車輪4,5を制動するブレーキ機構6とを備える。【選択図】図6

Description

本発明は、作業車両に関する。
従来、圃場等を走行しながら所定の作業を行う作業車両として、乗用型の苗移植機がある。かかる苗移植機として、例えば、エンジンの動力を無段変速する油圧式無段変速装置と、この油圧式無段変速装置を操作して、機体を前進、停止、および後進させる変速レバーと、ブレーキペダルの踏み込み操作に応じて走行を制動する走行ブレーキ機構とを備えるものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2015−003696号公報
しかしながら、例えば苗移植機のように、道路交通法などに規制されない作業車両であれば、油圧式無段変速装置および変速レバーを備えているかぎり、乗用型であってもブレーキペダルを廃止することで、よりシンプルな構成にすることができる。他方、油圧式無段変速装置が経時的に劣化したりすると、傾斜地などでは、たとえ変速レバーを中立にしていても油圧回路内において作動油に動きが生じ、機体が動いてしまうおそれがある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、油圧式無段変速装置を操作する操作レバーを中立位置にしたときに、より確実に制動可能な作業車両を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の作業車両(1)は、走行車体(2)と、当該走行車体(2)の後部に連結される対地作業部(50)とを備える。前記走行車体(2)は、エンジン(10)の動力を変速して出力する油圧式無段変速装置(16)と、当該油圧式無段変速装置(16)からの動力により駆動する走行車輪(4),(5)と、中立領域(812)を挟む前進走行領域(811)と後進走行領域(813)とに亘って位置変更可能に構成され、操作位置に応じて前記油圧式無段変速装置(16)の出力調節が可能な第1の操作レバー(81)と、当該第1の操作レバー(81)の前記中立領域(812)への移動に連動して前記走行車輪(4),(5)を制動するブレーキ機構(6)と、を備えることを特徴とする。
請求項2に記載の作業車両(1)は、請求項1において、前記ブレーキ機構(6)は、前記走行車輪(4),(5)の回転を規制する規制部材(600)と、当該規制部材(600)を中継部材(650)を介して作動させるモータ(130)と、を備えることを特徴とする。
請求項3に記載の作業車両(1)は、請求項2において、前記操作位置に応じて変化する前記第1の操作レバー(81)の傾動角度を検出する角度センサ(810)と、当該角度センサ(810)による検出値が、前記第1の操作レバー(81)が前記中立領域(812)内に位置することを示す値である場合、前記ブレーキ機構(6)により前記走行車輪(4),(5)を制動するように前記モータ(130)を制御する一方、前記角度センサ(810)による検出値が、前記第1の操作レバー(81)が前記中立領域(812)外に位置することを示す値である場合には、前記ブレーキ機構(6)による前記走行車輪(4),(5)の制動を禁止するように前記モータ(130)を制御する制御部(150)と、を備えることを特徴とする。
請求項4に記載の作業車両(1)は、請求項3において、前記走行車体(2)は、当該走行車体(2)の走行モードを、低速モードと高速モードとに切り替える第2の操作レバー(82)と、当該第2の操作レバー(82)の位置を検出する位置センサ(820)と、をさらに備え、前記制御部(150)は、前記位置センサ(820)により検出した前記第2の操作レバー(81)の位置が、前記高速モードに対応する位置である場合、前記ブレーキ機構(6)による前記走行車輪(4),(5)の制動動作が、所定のタイムラグをおいて始動するように前記モータ(130)を制御することを特徴とする。
請求項5に記載の作業車両(1)は、請求項4において、前記対地作業部(50)は、圃場に苗を植え付ける苗植付装置(60)を備える苗植付部(50)であり、当該苗植付部(50)を昇降する昇降装置(44)と、前記苗植付装置(60)への動力を入り切りする植付クラッチ(500)と、前記走行車体(2)の進行方向への傾斜を検出する傾きセンサ(210)とをさらに備え、前記制御部(150)は、前記位置センサ(820)により検出した前記第2の操作レバー(82)の位置が、前記低速モードに対応する位置であって、かつ前記角度センサ(810)による検出値が、前記第1の操作レバー(81)が前記中立領域(812)に位置することを示す値であり、かつ、前記傾きセンサ(210)による検出値が、規定値を越える値である場合、前記植付クラッチ(500)を切ることを特徴とする。
請求項6に記載の作業車両(1)は、請求項5において、前記制御部(150)は、前記植付クラッチ(500)を切ると同時に、前記昇降装置(44)を駆動して前記苗植付部(50)を上昇させることを特徴とする。
請求項7に記載の作業車両(1)は、請求項3から6のいずれか一項において、前記油圧式無段変速装置(16)は、アクチュエータ(166)により回動して中立位置からの回動角度に応じて出力が変化するトラニオン軸(167)を備え、前記制御部(150)は、前記角度センサ(810)による検出値が、前記第1の操作レバー(81)が前記中立領域(812)に位置することを示す場合、前記トラニオン軸(167)が、前記中立位置を挟んで所定数だけ前後に回転するように、前記アクチュエータ(166)を駆動することを特徴とする。
請求項1に記載の作業車両によれば、油圧式無段変速装置の出力調節が可能な第1の操作レバーを中立位置になるように操作すれば、動力の出力を停止するだけでなく、ブレーキ機構が連動して作用し、走行車輪を確実に制動するため、操作性が良好であるとともに、たとえ機体が傾斜地にあっても、走行車輪が動きだしたりすることを可及的に防止することができる。したがって、例えば、作業車両をトラックの荷台から積み下ろしする作業などについても、より安全に行うことができる。
請求項2に記載の作業車両によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、簡単な機械的な構成で走行車輪の制動が可能となる。
請求項3に記載の作業車両によれば、請求項1または2に記載の発明の効果に加えて、操作レバーの操作とブレーキ機構との連動を確実に行わせることができる。
請求項4に記載の作業車両によれば、請求項3に記載の発明の効果に加えて、相対的に高速走行している際に急ブレーキがかかり、走行車輪がロックすることを回避できるとともに、円滑に減速して確実に停止することができる。
請求項5に記載の作業車両によれば、請求項4に記載の発明の効果に加えて、例えば傾斜地で機体が後方へ後ずさりした場合、走行車輪の回転による苗植付装置の逆転を防止でき、苗植付装置を含む苗植付部が有するギアや軸の破損を防止することができる。
請求項6に記載の作業車両によれば、請求項5に記載の発明の効果に加えて、苗植付装置が地面に接触することを防止でき、苗植付装置を含む苗植付部が有するギアや軸の破損をより確実に防止することができる。
請求項7に記載の作業車両によれば、請求項1から6のいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、油圧式無段変速装置の内部のガタを吸収して、機体の停止をより確実に行うことができる。
図1は、実施形態に係る苗移植機の側面図である。 図2は、油圧式無段変速機の説明図である。 図3は、主変速レバーの操作領域を示す平面視による説明図である。 図4は、副変速レバーの操作領域を示す平面視による説明図である。 図5Aは、ブレーキ機構の平面視による説明図である。 図5Bは、ブレーキ機構の側面視による説明図である。 図6は、実施形態に係る苗移植機のブレーキ系統を示す説明図である。 図7は、コントローラを中心とした機能ブロック図である。 図8は、ブレーキ機構の動作制御の一例を示すフローチャートである。 図9は、制動処理の一例を示すフローチャートである。 図10は、油圧式無段変速機における油圧回路の説明図である。
以下に、本発明の実施形態に係る作業車両を、乗用型の苗移植機として図面を参照しながら詳細に説明する。なお、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
図1は、実施形態に係る苗移植機1の側面図である。なお、以下の説明においては、苗移植機1の前後、左右の方向基準は、作業者が着座可能な操縦座席28からみて、走行車体2の走行方向を基準とする。また、以下では、苗移植機1を指して機体と記す場合がある。
走行車体2は、圃場で作業を行う対地作業部を後部に連結可能であり、ここでは、対地作業部としての苗植付部50が、昇降装置としての苗植付部昇降機構40によって昇降可能に取付けられている。また、走行車体2は、操縦席28を備えるとともに、走行車輪として、左右一対の前輪4と、左右一対の後輪5とを有する。本実施形態に係る苗移植機1は、走行時には前・後輪4,5が共に駆動する四輪駆動車としており、圃場や圃場間の道などを走行することが可能になっている。
さらに、走行車体2は、車体の略中央に配置されたメインフレーム7と、このメインフレーム7の上に搭載された原動機であるエンジン10と、エンジン10の動力を駆動輪と苗植付部50とに伝える動力伝達装置15とを備える。また、この苗移植機1では、動力源であるエンジン10には、ディーゼル機関やガソリン機関等の内燃機関が用いられ、発生した動力は、走行車体2を前進や後進させるために用いるのみでなく、苗植付部50を駆動させるためにも使用される。
また、エンジン10は、走行車体2の左右方向における略中央で、且つ、作業者が乗車時に足を載せるフロアステップ26よりも上方に突出させた状態で配置される。フロアステップ26は、走行車体2の前部とエンジン10の後部との間に亘って設けられてメインフレーム7上に取り付けられており、その一部が格子状になることにより、靴に付いた泥を圃場に落とすことができる。また、フロアステップ26の後方には、後輪5のフェンダを兼ねたリアステップ27が設けられる。リアステップ27は、後方に向うに従って上方に向う方向に傾斜した傾斜面を有し、エンジン10の左右それぞれの側方に配置される。
エンジン10は、これらのフロアステップ26とリアステップ27とから上方に突出しており、これらのステップから突出している部分には、エンジン10を覆うエンジンカバー11が配設される。すなわち、エンジンカバー11は、フロアステップ26とリアステップ27とから上方に突出した状態で、エンジン10を覆っている。
また、走行車体2には、エンジンカバー11の上部に、作業者が着席する操縦座席28が設置され、かかる操縦座席28の前方で、且つ走行車体2の前側中央部には、操縦部30が配設される。操縦部30は、フロアステップ26の床面から上方に突出した状態で配置されており、フロアステップ26の前部側を左右に分断している。
操縦部30の前部には、開閉可能なフロントカバー31が設けられる。そして、このフロントカバー31の前端中央位置には、走行の指標となるセンターマスコット350が取り付けられている。
また、操縦部30の上部には、ステアリングポスト315が設けられ、このステアリングポスト315には、第1の操作レバーとしての主変速レバー81と、第2の操作レバーとしての副変速レバー82とが設けられている。
詳しくは後述するが、第1の操作レバーである主変速レバー81は、走行車体2の前後進と走行出力を切替操作する変速操作部材である。また、第2の操作レバーである副変速レバー82は、走行車体2の走行速度を規定する走行モードを、走行する場所に応じて低速モードと高速モードとに切り替える副走行操作部材である。
また、ステアリングポスト315には計器パネル33が配設されるとともに、ステアリングポスト315の上部には、作業者による操舵が可能なハンドル32が設けられる。なお、操縦部30の所定位置には、警報装置としてブザー180(図7参照)が設けられており、異常や危険な状態にはブザー180が鳴動するようにしている。
エンジン10の動力を、走行車輪4,5を含む走行装置と苗植付部50とに伝える動力伝達装置15は、エンジン10から伝達される駆動力を変速する変速装置としての油圧式無段変速装置16と、この油圧式無段変速装置16にエンジン10からの動力を伝えるベルト式動力伝達機構17とを有する。
図2は、油圧式無段変速装置16の説明図である。油圧式無段変速装置16は、いわゆるHST(Hydro Static Transmission)と云われる静油圧式の無段変速装置であり、図2に示すように、エンジン10からの動力により、油圧ポンプ161を駆動して油圧を発生させ、この油圧を油圧モータ162で機械的な力(回転力)に変換して出力する。このとき、前述の主変速レバー81を操作して、油圧シリンダなどのトラニオン軸アクチュエータ166を介して油圧式無段変速装置16のトラニオン軸167の回動角度を変化させ、これにより斜板168の傾斜角度を変化させることで、油圧式無段変速装置16の出力を無段状に変更させることができる。
すなわち、斜板168の傾斜角度に応じた圧油を油圧閉回路163から油圧モータ162に供給し、この油圧モータ162により出力軸165を駆動させて走行車輪4,5の回転速度を変化させることができる。こうして、油圧式無段変速装置16は、エンジン10で発生する動力を、走行車体2を走行させる力に変換しており、出力及び出力方向を変更することによって、走行車体2の前後進及び走行速度を操作することができる。なお、図2において、符号80は、油圧式無段変速装置16の入力軸を示し、エンジン10の出力軸10aとメインクラッチ10bを介して連結されている。
かかる油圧式無段変速装置16は、エンジン10よりも前方で、且つ、フロアステップ26の床面よりも下方に配置されており、本実施形態に係る苗移植機1では、図1に示すように、エンジン10の前方に配置されている。
また、図1に示すように、ベルト式動力伝達機構17は、エンジン10の出力軸に取り付けたプーリと、油圧式無段変速装置16の入力軸に取り付けたプーリと、双方のプーリに巻き掛けたベルトと、さらには、このベルトの張力を調整するテンションプーリとを備える。これにより、ベルト式動力伝達機構17は、エンジン10で発生した動力を、ベルトを介して油圧式無段変速装置16に伝達することができる。
さらに、動力伝達装置15は、ミッションケース18を有する。ミッションケース18は、エンジン10からの駆動力を、各部に伝達する伝動装置である。すなわち、エンジン10からの駆動力は、ベルト式動力伝達機構17を介して油圧式無段変速装置16に伝達され、この油圧式無段変速装置16で変速した動力がミッションケース18に伝達される。
かかるミッションケース18は、高速モードでの路上走行時や、低速モードでの植付時などにおける走行車体2の走行モードを切り替える副変速機構(不図示)を内設しており、メインフレーム7の前部に取り付けられる。前述の副変速レバー82は、ミッションケース18内の副変速機構を操作することにより、走行車体2の走行モードを切り替えることが可能である。なお、ミッションケース18は、伝達されてきたエンジン10からの出力を変速して、前輪4と後輪5への走行用動力と、苗植付部50への駆動用動力とに分けて出力することができる。
このうち、走行用動力は、一部が左右の前輪ファイナルケース13を介して前輪4に伝達可能であり、残りが左右の後輪ギヤケース22を介して後輪5に伝達可能となっている。左右それぞれの前輪ファイナルケース13は、ミッションケース18の左右それぞれの側方に配設される。左右の前輪4は、車軸131を介して左右の前輪ファイナルケース13に連結されており、かかる前輪ファイナルケース13は、ハンドル32の操舵操作に応じて駆動し、前輪4を転舵させることが可能である。
同様に、左右それぞれの後輪ギヤケース22には、車軸220を介して後輪5が連結されている。一方、駆動用動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチ500に伝達され、かかる植付クラッチ500の係合時に植付伝動軸(不図示)によって苗植付部50へ伝達される。植付クラッチ500は、後に詳述するコントローラ150に接続された植付クラッチモータ510によって動作する(図7参照)。
ここで、図3および図4を参照して、主変速レバー81および副変速レバー82について説明する。図3は、主変速レバー81の操作領域を示す平面視による説明図、図4は、副変速レバー82の操作領域を示す平面視による説明図である。
図3に示すように、主変速レバー81は、フロントカバー31の右側上側面に、略クランク状に開口した第1のレバー案内部815に沿って移動可能に設けられている。図示するように、第1のレバー案内部815は、機体前方側の前進走行領域811と機体後方側の後進走行領域813と、その間に挟まれるように位置する中立領域812とに大きく区画されている。
そして、主変速レバー81を前進走行領域811に位置させると苗移植機1は前進し、最前方に近づけるほど高速となる。また、主変速レバー81を後進走行領域813に位置させると苗移植機1は後進し、最後方に近づけるほど高速となる。
つまり、主変速レバー81は、中立領域812を挟み、前進走行領域811と後進走行領域813とに亘って位置変更可能に設けられており、操作位置に応じて油圧式無段変速装置16の出力を調節することができる。すなわち、第1のレバー案内部815内における主変速レバー81の操作量に応じて、油圧式無段変速装置16の斜板168の傾斜角度が変化して、油圧式無段変速装置16からの出力、すなわち走行速度が無段状に変更される。
他方、主変速レバー81を中立領域812に位置させると、油圧式無段変速装置16からの出力が停止されて苗移植機1は止まる。しかも、本実施形態に係る苗移植機1では、このとき、前輪4および後輪5に対して強制的にブレーキが作用するようにしている。すなわち、本実施形態に係る苗移植機1は、詳しくは後述するが、主変速レバー81の中立領域812への移動に連動して、走行車輪である前輪4および後輪5を制動するブレーキ機構6を備えている。
また、主変速レバー81が中立領域812に位置すると、トラニオン軸アクチュエータ166がトラニオン軸167を中立位置に戻すのであるが、このとき、本実施形態では、トラニオン軸167が、中立位置を挟んで所定数(例えば3,4bit)だけ前後に回転するように、トラニオン軸アクチュエータ166を駆動するようにしている。このように、トラニオン軸167を中立位置を挟んで数bit揺動させることにより、油圧式無段変速装置16の内部のガタを吸収することができ、機体の停止をより確実に行うことができる。
また、図4に示すように、副変速レバー82は、フロントカバー31の左側上側面に、略L字状に開口した第2のレバー案内部825に沿って移動可能に設けられている。図示するように、第2のレバー案内部825は、機体前方側の低速モード領域821と機体後方側の高速モード領域823と、その間に挟まれるように位置する中立モード領域822とに大きく区画されている。
ここで、低速モードとは、苗移植機1が圃場で植付作業を行うに相応しい速度範囲に規定される走行モードであり、高速モードとは、例えば、苗移植機1を圃場間で移動させたりする際の走行モードであり、低速モードのときよりも高速で走行することが可能となる。これらのモード切替えは、副変速レバー82の位置に応じて、ミッションケース18内に設けられた副変速機構により行われる。
次に、本実施形態におけるブレーキ機構6の構成およびブレーキ機構6の作動系統について、図面を参照しながら説明する。図5Aは、ブレーキ機構6の平面視による説明図、図5Bは、ブレーキ機構6の側面視による説明図である。また、図6は、実施形態に係る苗移植機1のブレーキ系統を示す説明図である。
図5Aに示すように、ブレーキ機構6は、走行車輪である前輪4および後輪5の回転を規制する規制部材600と、当該規制部材600を中継部材650を介して作動させるブレーキモータ130とを備える。
規制部材600は、例えば、前輪4や後輪5に設けられており、ブレーキシューやブレーキパッドなどのような摩擦を利用した制動部材であるが、その形態は適宜設定することができる。
かかる規制部材600を作動させるために、本実施形態では、規制部材600とブレーキモータ130とを中継部材650で接続している。中継部材650としては、ブレーキモータ130に取付けられたリール135に巻回されたワイヤ610と、このワイヤ610の先端に基端が連結された第1のロッド620と、この第1のロッド620に基端が連結され、先端に規制部材600を連結した第2のロッド630とを備える。
図5Bに示すように、ワイヤ610は、基端がブレーキモータ130に取付けられたリール135に連結され、先端は、走行車体2側に揺動自在に設けられた揺動部材611に連結される。かかる揺動部材611のワイヤ610との連結個所の反対側には、第1のロッド620の基端が連結されている。なお、符号612は、揺動部材611の回転軸を示す。
そして、第1のロッド620と第2のロッド630とは、く字状に形成された連結金具627を介して互いに略直行する方向に連結されている。連結金具627は、走行車体2側に設けられたブラケット626に枢軸625を介して回動自在に取付けられている。また、第1のロッド620は、第1スプリング613により、第2のロッド630の方向へと付勢されている。なお、符号614は、第1のロッド620の位置を維持するための補助スプリングを示す。
また、図5Aに示すように、ブレーキモータ130は、操作位置に応じて変化する主変速レバー81の傾動角度を検出する角度センサである第1レバーポテンショメータ810と共に、コントローラ150に接続されている(図7参照)。
すなわち、コントローラ150は、第1レバーポテンショメータ810による検出値が、主変速レバー81が中立領域812内に位置することを示す値である場合、ブレーキ機構6により前輪4および後輪5を制動するようにブレーキモータ130を制御する。
また、コントローラ150は、第1レバーポテンショメータ810による検出値が、主変速レバー81が中立領域812外、すなわち、前進走行領域811または後進走行領域813に位置することを示す値である場合には、ブレーキ機構6による前輪4および後輪5の制動を禁止するようにブレーキモータ130を制御する。
また、図6に示すように、コントローラ150には、副操作レバー82の位置を検出する位置センサとしての第2レバーポテンショメータ820が接続されている。すなわち、コントローラ150は、第2レバーポテンショメータ820により検出した値により、走行モードが高速モードであるか低速モーであるかを判定し、ブレーキ機構6による前輪4および後輪5の制動動作を、走行モードに応じて実行する。なお、コントローラ150によるブレーキ機構6の制動動作処理については、後に詳述する。
ところで、本実施形態では、ブレーキ機構6による制動対象を、前輪4および後輪5としているが、例えば後輪5のみ、あるいは前輪4のみとすることもできる。
ここで、図1に戻り、苗植付部50およびその他の構成について説明する。
図1に示すように、苗植付部50は、走行車体2の後部に、苗植付部昇降機構40を介して昇降可能に取付けられている。苗植付部昇降機構40は昇降リンク装置41を備えており、この昇降リンク装置41は、走行車体2の後部と苗植付部50とを連結させる平行リンク機構を備える。かかる平行リンク機構は、上リンク41aと下リンク41bとを有し、これらのリンク41a,41bが、メインフレーム7の後部端に立設した背面視門型のリンクベースフレーム43に回動自在に連結される。そして、リンク41a,41bの他端側が苗植付部50に回転自在に連結されている。こうして、苗植付部50は走行車体2に昇降可能に連結されることになる。
また、苗植付部昇降機構40は、油圧によって伸縮する油圧昇降シリンダ44を有し、油圧昇降シリンダ44の伸縮動作によって、苗植付部50を昇降させることができる。苗植付部昇降機構40は、その昇降動作によって、苗植付部50を非作業位置まで上昇させたり、対地作業位置(対地植付位置)まで下降させたりすることができる。
また、苗植付部50は、苗を植え付ける範囲を、複数の区画、あるいは複数の列で植え付けることができる。例えば、苗を6つの区画で植え付ける、いわゆる6条植の苗植付部50とすることができる。苗植付部50は、苗植付装置60と、苗載置台51及びフロート47(48,49)を備える。このうち、苗載置台51は、走行車体2の後部に複数条の苗を積載する苗載置部材として設けられており、走行車体2の左右方向において仕切られた植付条数分の苗載せ面52を有し、それぞれの苗載せ面52に土付きのマット状苗を載置することが可能である。
また、苗植付装置60は、苗載置台51の下部に配設されており、当該苗載置台51の前面側に配設される植付支持フレーム55によって支持される。苗植付装置60は、苗載置台51に載置された苗を苗載置台51から取って圃場に植え付ける装置であり、植付伝動ケース64と植付体61とを有する。植付体61は、苗載置台51から苗を取って圃場に植え付けることができるように構成されており、植付伝動ケース64は、植付体61に駆動力を供給することができる。
また、植付伝動ケース64は、エンジン10から苗植付部50に伝達された動力を、植付体61に供給可能に構成されており、植付体61は、植付伝動ケース64に対して回転可能に連結される。また、植付体61は、苗載置台51から苗を取って圃場に植え付ける植込杆62と、植込杆62を回転可能に支持すると共に植付伝動ケース64に対して回転可能に連結されるロータリケース63とを有する。ロータリケース63は、植付伝動ケース64から伝達された駆動力によって植込杆62を回転させる際に、回転速度を変化させながら回転させることのできる不等速伝動機構(不図示)を内装している。これにより、植付体61の回転時には、植込杆62は、ロータリケース63に対する回転角度によって回転速度が変化しながら回転をすることができる。
このように構成される苗植付装置60は、2条毎に1つずつ配設されている。すなわち、複数の苗植付装置60は、それぞれ植付条が割り当てられている。また、各植付伝動ケース64は、2条分の植付体61を回転可能に備えている。つまり、1つの植付伝動ケース64には、2つのロータリケース63が、機体左右方向の両側に連結される。
また、フロート47は、走行車体2の移動と共に、圃場面上を滑走して整地するものであり、走行車体2の左右方向における苗植付部50の中央に位置するセンターフロート48と、左右方向における苗植付部50の両側に位置するサイドフロート49とを有する。
また、苗植付部50の下方側の位置における前側には、圃場の整地を行う整地用ロータ67,67が設けられる。この整地用ロータ67は、後輪ギヤケース22を介して伝達されるエンジン10からの出力によって回転可能に構成される。
また、苗植付部50の左右両側には、次の植付条に進行方向の目安になる線を形成する線引きマーカ68が備えられる。線引きマーカ68は、苗移植機1が圃場内における直進前進時に、圃場の畦際で転回した後に直進前進する際の目印を圃場上に線引きする。しかしながら、本実施形態に係る苗移植機1は、GPS(Global Positioning System)を利用して直進サポートを実行することができるため、線引きマーカ68を廃止することもできる。
また、走行車体2における操縦座席28の後方には、施肥装置70が搭載される。施肥装置70は、肥料を貯留する貯留ホッパ71と、貯留ホッパ71から供給される肥料を設定量ずつ繰り出す繰出し装置72と、繰出し装置72により繰り出される肥料を圃場に供給する施肥通路である施肥ホース74と、施肥ホース74に搬送風を供給するブロア73とを備える。このブロア73により、施肥ホース74内の肥料が苗植付部50側に移送される。さらに、施肥装置70は、施肥ホース74によって肥料が移送される施肥ガイド75と、施肥ホース74によって移送された肥料を苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に落とし込む作溝器76とを有する。
また、本実施形態に係る苗移植機1は、GPSによって苗移植機1の位置情報を取得するGPS制御装置120(図7参照)を備える。走行車体2には、GPS制御装置120を構成する受信アンテナ121が配設される。この受信アンテナ121は、時間的に所定の間隔でGPS座標を取得することにより、地球上での位置情報を所定間隔で取得することができる。
受信アンテナ121は、ハンドル32の直上方であって、走行車体2の前端側に設けられた車体前側フレーム700に基端が連結されたアンテナフレーム124の頂部に取り付けられる。アンテナフレーム124は、左右の前側縦フレーム124a,124aと、前側上部フレーム124bと、後側縦フレーム124cと、上部L形フレーム124dとから構成される。なお、図中、符号125および符号126は、それぞれ、後側縦フレーム124cと上部L形フレーム124dとを伸縮自在に連結する連結部を示す。
左右の前側縦フレーム124a,124aには一対のブラケット127,127が設けられており、ブラケット127,127に掛け渡された取付杆145を介してタブレット端末装置140が情報処理端末装置として設けられている。なお、図1および図3において、符号124eは、前側縦フレーム124a,124a間および各前側縦フレーム124aとフロントカバー31との間に設けられる補強フレームを示す。
また、車体前側フレーム700には、圃場の深度を検出可能な深度センサ170が機体前方に突出するように設けられている。
図7は、苗移植機1のコントローラ150を中心とした機能ブロック図である。本実施形態に係る苗移植機1は、電子制御によって各部を制御することが可能になっており、苗移植機1は、各部を制御する制御部としてのコントローラ150を備える。このコントローラ150は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理部や、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の記憶部、さらには入出力部が設けられ、これらは互いに接続されて互いに信号の受け渡しが可能である。記憶部には、苗移植機1を制御するコンピュータプログラムが格納される。
図示するように、コントローラ150には、タブレット端末装置140をはじめ、各種アクチュエータ類や、各部の情報を取得するセンサ類等が接続される。なお、本実施形態においては、コントローラ150とタブレット端末装置140とは、所定の無線通信規格による無線接続としている。
コントローラ150には、アクチュエータ類として、例えば、エンジン10の吸気量を調節するスロットルモータ100、油圧式無段変速装置16のトラニオン軸167の回動角度を変化させるトラニオン軸アクチュエータ166、前輪用デフ装置(不図示)のデフロック機能を入り切りするデフロッククラッチ460が設けられる。
また、本実施形態に係る苗移植機1は、コントローラ150に接続されるアクチュエータとして、ブレーキ機構6の規制部材600を作動させるブレーキモータ130と、植付クラッチ500を作動させる植付クラッチモータ510とを備えている。
さらに、コントローラ150には、警報などを発するブザー180が接続されるとともに、傾きセンサ210、ステアリングセンサ160、および深度センサ170、さらにはその他各種センサ190が接続されている。
傾きセンサ210は、走行車体2の進行方向への傾斜を検出するセンサであり、機体フレーム7に適宜設けられている。
ステアリングセンサ160は、例えば歪みセンサなどで構成され、ハンドル32を連結するステアリングシャフト(不図示)に取付けられ、前輪4に対する操舵力を検出することができる。
深度センサ170は、超音波やレーザー光の反射により水面、または土壌表面までの深さを測定する。
また、苗移植機1は、主変速レバー81の傾動角度を検出する角度センサである第1レバーポテンショメータ810と、副操作レバー82の位置を検出する位置センサである第2レバーポテンショメータ820とを備えており、これらがコントローラ150に接続される。
前述したように、コントローラ150は、第1レバーポテンショメータ810および第2レバーポテンショメータ820により検出した値に応じてブレーキモータ130を制御する。
また、苗移植機1は、自動操舵装置110と、GPS制御装置120と、情報処理端末装置であるタブレット端末装置140とを備えており、これらがコントローラ150に接続される。
自動操舵装置110は、任意の回転力をハンドル32に付与する直進サポート機構310を備えている。コントローラ150は、例えば、図示しない直進サポートスイッチが操作されると、GPS制御装置120が取得した位置情報に基づき、直進サポート機構310を介してハンドル32を自動操縦することにより、走行車体2を直進方向に維持することが可能となっている。なお、直進サポート機構310は、ハンドル32の操作量を示す回転角度を検出するハンドルポテンショメータ112を備える。
GPS制御装置120は、GPSで使用される人工衛星からの信号を受信する受信アンテナ121(図1参照)を有し、地球上における苗移植機1の位置情報(座標情報)を取得し、取得した位置情報をコントローラ150に伝達する。
タブレット端末装置140は、内蔵される端末通信部144とコントローラ150に接続される車体通信部151との間で無線接続可能に構成されるとともに、制御部141と、情報を表示する表示部および各種の入力操作を行う入力操作部とを兼用するタッチパネル142と、情報を記憶する記憶部143とを備える。この記憶部143に、一または複数の圃場の地図情報や、その他、苗移植機1の制御に必要な各種プログラムや各種データが記憶されている。
このように、本実施形態に係る苗移植機1は、GPS制御装置120により取得した走行車体2の位置情報に基づき、タッチパネル142上において、機体位置を、作業領域を含む圃場の地図情報上に重畳表示することができる。すなわち、本実施形態に係る苗移植機1は、タブレット端末装置140を備えることによって、少なくとも作業領域を含む地図情報と、この地図情報上に、GPS制御装置120が取得した走行車体2の位置情報を表示可能な表示部を備えることになる。
本実施形態に係る苗移植機1は、上述してきた構成を有し、以下、その作用について説明する。
苗移植機1の運転時は、主変速レバー81の操作により、エンジン10で発生する動力によって、走行車体2を走行させることができる(図3参照)。すなわち、走行車体2は、主変速レバー81の前方への操作量に応じた速度で前進するとともに、後方への操作量に応じた速度で後進する。
また、走行車体2の走行に際しては、圃場における植付作業時の走行モードとなる低速モードと、圃場と圃場との間を移動する場合に畦道などを走行する際の走行モードとなる高速モードとを、副変速レバー82の操作により選択することができる(図4参照)。
そして、低速モードでは、苗植付部50による植付作業を行うことができる。この植付作業は、図1に示す苗植付装置60の植付体61全体が回転しながら、植込杆62も回転することにより、苗載置台51に載せられた苗を順次植込杆62で取り、取った苗を圃場に植え付ける。その際に、苗載置台51を、苗載置台51に載置する1条分の機体左右方向の幅の範囲内で機体左右方向に往復移動させることにより、各苗植付装置60は、苗載置台51においてそれぞれの苗植付装置60に対応する部分から苗を取り出し、圃場に植え付ける。すなわち、各苗植付装置60は、苗載置台51の所定の条に対応する部分から苗を取り出して、所定の条に苗を植え付ける。植付作業時は、このように苗植付装置60を作動させながら圃場内を走行することにより、苗植付機1は複数の列状に苗を植え付けていくことができる。
走行時に、主変速レバー81を操作して中立領域812(図3参照)に位置させると、前輪4および後輪5は、圃場から抵抗を受けるため、走行車体2は徐々に減速していくが、本実施形態に係る苗移植機1は、主変速レバー81の中立領域812への移動に連動して前輪4および後輪5を制動するブレーキ機構6を備えているため、走行車体2を確実に停止させることができる。したがって、主変速レバー81を操作して中立領域812へ移動させた場合、速やかに走行停止状態になるため、主変速レバー81の操作性が良好となる。
しかも、本実施形態では、油圧式無段変速装置16のトラニオン軸167が、中立位置に戻る場合、当該中立位置を挟んで所定数(例えば3,4bit)だけ前後に回転して戻るため、より確実に中立位置への戻りが実現する。よって、油圧式無段変速装置16による機体停止動作も良好になっている。
さらに、機体がたとえ傾斜地にあったとしても、機体が動きだしたりすることを可及的に防止することができる。したがって、例えば、トラックの荷台からの作業車両の積み下ろし作業も、より安全に行うことができる。
また、走行モードが高速モードである場合、ブレーキ機構6による前輪4および後輪5の制動動作は、所定のタイムラグ(例えば、1〜2秒)をおいて始動する。すなわち、コントローラ150は、計時機能を有し、副変速レバー82が、高速モード領域823にある場合(図4参照)、コントローラ150は、ブレーキモータ130が所定のタイムラグをおいて始動するように制御している。したがって、高速走行時に急ブレーキがかかってしまい、走行車輪(前輪4および後輪5)がロックするような事態を回避しつつ、機体を徐々に減速させながら確実に停止させることができる。
また、ブレーキ機構6が作動するとき、すなわち、主変速レバー81が中立領域812に位置した場合は、トラニオン軸167がその中立位置を挟んで数bit揺動させて油圧式無段変速装置16の内部のガタを吸収するようにしている。したがって、油圧式無段変速装置16の内部の部品の累積ガタなどによって、トラニオン軸167が中立位置に戻り切れないような事態を可及的に回避でき、機体をより確実に停止することができる。
また、苗移植機1は、走行モードが低速モードであって、ブレーキ機構6が作動する際に、機体が前後方向にある程度傾いている場合、苗植付部50の植付クラッチ500が切れ、苗植付装置60が停止する。すなわち、コントローラ150は、副変速レバー82の位置が低速モードに対応する位置であることを位置センサ820により検出し、かつ、主変速レバー81が中立領域812に位置することを示す値が第1レバーポテンショメータ810により検出され、さらに、傾きセンサ210による検出値が、規定値を越える値である場合は、植付クラッチ500を切る制御を実行する。
したがって、例えば、苗植付作業時に、機体が畔近辺に移動して前上がり状態の傾斜地に至った際に、苗植付装置60が地面に接触することを防止でき、苗植付装置60を含む苗植付部50が有するギアや軸の破損を防止することができる。
また、このとき、苗植付部50が上昇するようにすることもできる。すなわち、コントローラ150は、植付クラッチ500を切ると同時に、油圧昇降シリンダ44を駆動して苗植付部50を上昇させることができる。したがって、苗植付部50が有するギアや軸の破損を、より確実に防止することができる。
ここで、図8および図9を参照しながら、苗移植機1におけるブレーキ機構6を用いた制動処理について説明する。図8は、ブレーキ機構9の動作制御の一例を示すフローチャート、図9は、制動処理の一例を示すフローチャートである。なお、これらの処理は、苗移植機1の走行中は繰り返し行われる。
ブレーキ機構9の動作制御は、主変速レバー81の操作に連動して行われる。図8に示すように、コントローラ150は、主変速レバー81が中立位置にあるか、すなわち、中立領域812内に位置しているか否かを判定する(ステップS110)。
ステップS110において、主変速レバー81が中立位置にあると判定した場合(ステップS110:Yes)、コントローラ150は、制動処理を実行し(ステップS120)、主変速レバー81が中立位置には存在しないと判定した場合(ステップS110:No)、コントローラ150は、制動禁止処理を実行する(ステップS130)。そして、それぞれの処理を終えた後、本ブレーキ機構9の動作制御処理を終了する。
本実施形態における制動処理は、図9に示すように、コントローラ150は、先ず、高速モードであるか否かを判定する(ステップS210)。そして、高速モードであると判定した場合(ステップS210:Yes)、コントローラ150は、予め定められた猶予時間である所定時間(例えば1〜2秒)をカウントし(ステップS220)、その後、ブレーキモータ130を駆動して(ステップS230)、本制動処理を終了する。
一方、ステップS210において、コントローラ150は、高速モードではないと判定した場合(ステップS210:No)、処理をステップS240に移し、低速モードであるか否かを判定する。そして、低速モードであると判定した場合は(ステップS240:Yes)、処理をステップS250に移す一方、低速モードではないと判定した場合(ステップS240:No)、コントローラ150は、本制動処理を終了する。
ステップS250においては、コントローラ150は、傾きセンサ210からの検出値を取得して、走行車体2が規定値以上傾いているか否かを判定する。そして、規定値以上傾いていると判定した場合(ステップS250:Yes)、処理をステップS260に移して植付クラッチモータ510を作動させて植付クラッチ500を切る。そして、その後、コントローラ150は、油圧昇降シリンダ44を作動させて苗植付部50を上昇させる(ステップS270)。なお、図7では省略したが、コントローラ150には、苗植付部50を昇降させる昇降装置としての油圧昇降シリンダ44が接続されている。
なお、本実施形態に係る苗移植機1は、ブザー180を備えている(図7参照)。そこで、ブレーキ機構6の作動後に苗植付部50を上昇させる際にはブザー180を作動させ、作業者に報知することもできる。
ステップS250において、走行車体2の傾きが規定値以上ではないと判定した場合(ステップS250:No)、コントローラ150は、本制動処理を終了する。
ところで、図9に示すように、本実施形態では、走行モードが高速モードの場合、1〜2秒のタイムラグをおいてブレーキモータ130を作動させたが、タイムラグの時間は適宜設定して構わない。また、ステップS250において、走行車体2が規定値以上傾いている場合、植付クラッチ500を切った後に苗植付部50を上昇させたが、その順序は逆であってもよいし、同時であっても構わない。
なお、図10は、油圧式無段変速装置16における油圧閉回路163の説明図である。上述してきたように、本実施形態におけるブレーキ機構6は、主変速レバー81を中立領域812に位置させたときに作動するものであるが、本実施形態の中立領域812に対応する油圧式無段変速装置16のトラニオン軸167(斜板168)の中立幅は、従来よりも広く設定されている。
すなわち、図10に示すように、油圧式無段変速装置16における油圧閉回路163に設けられるオリフィス801の径を、25パーセント程度拡径している(例えば、φ1.6mm→φ2.0mm)。そのため、油圧式無段変速装置16のトラニオン軸167(斜板168)の中立幅が拡大し、主変速レバー81の操作性とそのレスポンスが良好となっている。また、本実施形態では、オリフィス801の径を拡大したことに伴い、図示するように、オリフィス801からのオイル漏れを防止するための切換バルブ800を設けている。
このように、本実施形態においては、オイル漏れなどのおそれなく、油圧式無段変速装置16における中立幅を拡大し、中立調整を行い易くするとともに、ブレーキ機構6を円滑に作動させることができる。なお、切換バルブ800については、電動式であっても、手動式であっても構わない。
上述した実施形態から以下の苗移植機1が実現する。
(1)走行車体2と、当該走行車体2の後部に連結される苗植付部50とを備え、走行車体2は、エンジン10の動力を変速して出力する油圧式無段変速装置16と、当該油圧式無段変速装置16からの動力により駆動する前輪4および後輪5と、中立領域812を挟む前進走行領域811と後進走行領域813とに亘って位置変更可能に構成され、操作位置に応じて油圧式無段変速装置16の出力調節が可能な主変速レバー81と、当該主変速レバー81の中立領域812への移動に連動して前輪4および後輪5を制動するブレーキ機構6とを備える苗移植機1。
(2)上記(1)において、ブレーキ機構6は、前輪4および後輪5の回転を規制する規制部材600と、当該規制部材600を中継部材650を介して作動させるブレーキモータ130とを備え苗移植機1。
(3)上記(2)において、操作位置に応じて変化する主変速レバー81の傾動角度を検出する第1レバーポテンショメータ810と、当該第1レバーポテンショメータ810による検出値が、主変速レバー81が中立領域812内に位置することを示す値である場合、ブレーキ機構6により前輪4および後輪5を制動するようにブレーキモータ130を制御する一方、第1レバーポテンショメータ810による検出値が、主変速レバー81が中立領域812外に位置することを示す値である場合には、ブレーキ機構6による前輪4および後輪5の制動を禁止するようにブレーキモータ130を制御するコントローラ150とを備える苗移植機1。
(4)上記(3)において、走行車体2は、当該走行車体2の走行モードを、低速モードと高速モードとに切り替える副変速レバー82と、当該副変速レバー82の位置を検出する第2レバーポテンショメータ820とをさらに備え、コントローラ150は、第2レバーポテンショメータ820により検出した副変速レバー82の位置が、高速モードに対応する位置である場合、ブレーキ機構6による前輪4および後輪5の制動動作が、所定のタイムラグをおいて始動するようにブレーキモータ130を制御する苗移植機1。
(5)上記(4)において、圃場に苗を植え付ける苗植付装置60を備える苗植付部50を昇降する油圧昇降シリンダ44と、苗植付装置60への動力を入り切りする植付クラッチ500と、走行車体2の進行方向への傾斜を検出する傾きセンサ210とをさらに備え、コントローラ150は、第2レバーポテンショメータ820により検出した副変速レバー82の位置が、低速モードに対応する位置であって、かつ第1レバーポテンショメータ810による検出値が、主変速レバー81が中立領域812に位置することを示す値であり、かつ、傾きセンサ210による検出値が、規定値を越える値である場合、植付クラッチ500を切る苗移植機1。
(6)上記(5)において、コントローラ150は、植付クラッチ500を切ると同時に、油圧昇降シリンダ44を駆動して苗植付部50を上昇させる苗移植機1。
(7)上記(3)から(6)のいずれかにおいて、油圧式無段変速装置16は、トラニオン軸アクチュエータ166により回動して中立位置からの回動角度に応じて出力が変化するトラニオン軸167を備え、コントローラ150は、第1レバーポテンショメータ810による検出値が、主変速レバー81が中立領域812に位置することを示す場合、トラニオン軸167が、中立位置を挟んで所定数だけ前後に回転するように、トラニオン軸アクチュエータ166を駆動する苗移植機1。
すなわち、上述してきた実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、表示要素などのスペック(構造、種類、方向、形状、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質など)は、適宜に変更して実施することができる。
1 苗移植機(作業車両)
2 走行車体
4 前輪(走行車輪)
5 後輪(走行車輪)
6 ブレーキ機構
10 エンジン
16 油圧式無段変速装置
44 油圧昇降シリンダ(昇降装置)
50 苗植付部
81 主変速レバー(第1の操作レバー)
82 副変速レバー(第2の操作レバー)
130 ブレーキモータ
150 コントローラ(制御部)
166 トラニオン軸アクチュエータ
167 トラニオン軸
210 傾きセンサ
500 植付クラッチ
600 規制部材
650 中継部材
810 第1レバーポテンショメータ(角度センサ)
812 中立領域
820 第2レバーポテンショメータ(位置センサ)

Claims (7)

  1. 走行車体と、当該走行車体の後部に連結される対地作業部とを備え、
    前記走行車体は、
    エンジンの動力を変速して出力する油圧式無段変速装置と、
    当該油圧式無段変速装置からの動力により駆動する走行車輪と、
    中立領域を挟む前進走行領域と後進走行領域とに亘って位置変更可能に構成され、操作位置に応じて前記油圧式無段変速装置の出力調節が可能な第1の操作レバーと、
    当該第1の操作レバーの前記中立領域への移動に連動して前記走行車輪を制動するブレーキ機構と、
    を備えることを特徴とする作業車両。
  2. 前記ブレーキ機構は、
    前記走行車輪の回転を規制する規制部材と、
    当該規制部材を中継部材を介して作動させるモータと、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
  3. 前記操作位置に応じて変化する前記第1の操作レバーの傾動角度を検出する角度センサと、
    当該角度センサによる検出値が、前記第1の操作レバーが前記中立領域内に位置することを示す値である場合、前記ブレーキ機構により前記走行車輪を制動するように前記モータを制御する一方、前記角度センサによる検出値が、前記第1の操作レバーが前記中立領域外に位置することを示す値である場合には、前記ブレーキ機構による前記走行車輪の制動を禁止するように前記モータを制御する制御部と、
    を備えることを特徴とする請求項2に記載の作業車両。
  4. 前記走行車体は、
    当該走行車体の走行モードを、低速モードと高速モードとに切り替える第2の操作レバーと、
    当該第2の操作レバーの位置を検出する位置センサと、
    をさらに備え、
    前記制御部は、
    前記位置センサにより検出した前記第2の操作レバーの位置が、前記高速モードに対応する位置である場合、前記ブレーキ機構による前記走行車輪の制動動作が、所定のタイムラグをおいて始動するように前記モータを制御する
    ことを特徴とする請求項3に記載の作業車両。
  5. 前記対地作業部は、圃場に苗を植え付ける苗植付装置を備える苗植付部であり、
    当該苗植付部を昇降する昇降装置と、
    前記苗植付装置への動力を入り切りする植付クラッチと、
    前記走行車体の進行方向への傾斜を検出する傾きセンサと
    をさらに備え、
    前記制御部は、
    前記位置センサにより検出した前記第2の操作レバーの位置が、前記低速モードに対応する位置であって、かつ前記角度センサによる検出値が、前記第1の操作レバーが前記中立領域に位置することを示す値であり、かつ、前記傾きセンサによる検出値が、規定値を越える値である場合、前記植付クラッチを切る
    ことを特徴とする請求項4に記載の作業車両。
  6. 前記制御部は、
    前記植付クラッチを切ると同時に、前記昇降装置を駆動して前記苗植付部を上昇させる
    ことを特徴とする請求項5に記載の作業車両。
  7. 前記油圧式無段変速装置は、
    アクチュエータにより回動して中立位置からの回動角度に応じて出力が変化するトラニオン軸を備え、
    前記制御部は、
    前記角度センサによる検出値が、前記第1の操作レバーが前記中立領域に位置することを示す場合、
    前記トラニオン軸が、前記中立位置を挟んで所定数だけ前後に回転するように、前記アクチュエータを駆動する
    ことを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載の作業車両。
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