JP2016154157A - 極材層と電解質層を有する積層体の製造方法 - Google Patents

極材層と電解質層を有する積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電池の製造において、電解質層を容易に形成することができる技術を提供する。
【解決手段】電解質粒子と、バインダーと、を含有する電解質スラリーを、基材に塗布して電解質層を形成する工程と、電解質層を極材層に転写し、基材を電解質層から剥がす工程と、を有し、電解質スラリーの固形分濃度が、20wt%以上90wt%以下であり、固形分中の電解質粒子の割合が50wt%以上99.5wt%以下であり、基材の剥離力が20mN/cm以上1500mN/cm以下である、極材層と電解質層を有する積層体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、電池の電解質層の形成に使用される電解質スラリー及び電解質シートに関する。
現行のリチウムイオン電池には、電解質として有機系電解液が主に用いられている。有機系電解液は高いイオン伝導度を示すものの、電解液が液体でかつ可燃性であることから、電池に用いた場合、漏洩、発火等の危険性が懸念されている。従って、次世代リチウムイオン電池用電解質として、より安全性の高い固体電解質の開発が期待されている。
かかる課題を解決するために、イオウ元素、リチウム元素及びリン元素を主成分として含有する硫化物系固体電解質を用いて製造した全固体リチウム電池の製造方法が開発されている(特許文献1)。
しかし、特許文献1に記載の全固体リチウム電池の製造方法は、金型に電解質粒子を入れて加圧して製造するため、量産化には向いていないという欠点があった。
上記課題を解決するために、電解質粒子とバインダーを混合したスラリーを塗布して、電解質層を形成する技術が検討されている。この技術では、通常、正極層又は負極層を塗布法により製造し、この正極層又は負極層上に塗布法により電解質層を形成し、さらに、電解質層上に正極層又は負極層を塗布法により製造する。しかしながら、塗布法で製造した電極層上へ電解質層を塗布形成することは困難であるという欠点があった。
特開2001−273928号公報
本発明の課題は、電池の製造において、電解質層を容易に形成することができる技術を提供することである。
本発明によれば、以下の電解質シート等が提供される。
1.電解質粒子と、バインダーと、を含む電解質層と、前記電解質層に積層する基材と、を含む電解質シートであって、前記電解質粒子のイオン伝導度が1.0×10−5S/cm以上であり、前記電解質粒子とバインダーの合計重量に対する、前記電解質粒子の割合が50wt%以上99.5wt%以下であり、下記転写試験において、前記電解質層の転写後、前記基材に電解質粒子及びバインダーが残留せず、かつ、電解質層が被転写物に転写し剥がれていないことを満たす、電解質シート。
[転写試験]
(A)被転写物である正極シート
厚さ20μmのアルミニウムシートに正極スラリーを塗布し、ホットプレート上で80℃、10分間乾燥させた後、さらに80℃で4時間真空乾燥して厚さ100μmの正極層を有する正極シート(正極層とアルミニウムの積層体)を製造する。
正極スラリーは下記の正極活物質、電解質粒子、バインダー及び溶媒を重量比19:19:2:60で混合したものである。
・正極活物質
正極活物質は、硫黄(アルドリッチ製、純度99.998%)0.400gと多孔質炭素(ケッチェンブラック(KB)EC600JD、ライオン社製)0.400gを乳鉢で混合した後、混合物を密閉性のステンレス容器に入れ、電気炉にて加熱処理して製造する。加熱条件は室温から10℃/分にて150℃まで昇温し、150℃で6時間保持した後、300℃まで10℃/分で昇温し、2.75時間保持、その後、自然冷却する。
・電解質粒子
電解質粒子は、WO2005/078740の実施例1と同様の方法により製造する。
・バインダー
バインダーは、アルケマ製Kynar2500−20を用いる。
・溶媒
溶媒は、東京化成工業製イソブチロニトリルを用いる。
(B)転写試験
試験対象である電解質シートを、パンチで半径16.5mmΦの円筒形とする。同様に、上記正極シートをパンチで半径16.5mmΦの円筒形とする。
電解質シートと正極シートを、電解質層と正極層が接するように重ねて円筒状の中金型内に挿入する。
試料を上金型及び下金型で挟み加圧して、試料全体に270MPaの圧力を10秒間加える。加圧後、金型から一体化した電解質シートと正極シートとを取り出す。電解質シートの基材を剥がし、剥離面及び電解質層と正極層の接合面を目視にて観察する。
2.前記電解質粒子は、式(1)で表される組成を有する1に記載の電解質シート。
Li…(1)
(式(1)において、MはB、Zn、Si、Cu、Ga及びGeから選択される元素を示し、
a〜dは、各元素の組成比を示し、a:b:c:dが1〜12:0〜0.2:1:2〜9を満たす。)
3.前記バインダーは、分子骨格に下記構造単位Aを含む樹脂である1又は2に記載の電解質シート。
Figure 2016154157
(式中、R〜Rは、それぞれ、H、F、CF、CHCF、CFCF、CFCFCF、OCFCFCF、OCF又はClであり、R〜Rは少なくとも1つは、F、CF、CHCF、CFCF、CFCFCF、OCFCFCF又はOCFである。)
4.前記電解質層のイオン伝導度が1.0×10−6S/cm以上である1〜3のいずれか一項に記載の電解質シート。
5.前記基材の剥離力が20mN/cm以上1500mN/cm以下である1〜4のいずれか一項に記載の電解質シート。
6.上記1〜5のいずれか一項に記載の電解質シートの電解質層を備える電池。
7.上記6に記載の電池を備える装置。
8.電解質粒子と、バインダーと、溶剤と、を含む電解質スラリーであり、前記電解質粒子のイオン伝導度が1.0×10−5S/cm以上であり、前記電解質粒子の平均粒径(D50)が5nm以上50μm以下であり、スラリー固形分濃度が、20wt%以上90wt%以下であり、前記固形分中の電解質粒子の割合が50wt%以上99.5wt%以下であり、前記スラリーを使用して形成した電解質層と基材からなる電解質シートの転写試験において、電解質層の転写後、前記基材に電解質粒子及びバインダーが残留せず、かつ、電解質層が被転写物に転写し剥がれていないことを満たす、電解質スラリー。
9.前記電解質粒子が、式(1)で表される組成を有する8に記載の電解質スラリー。
Li…(1)
(式(1)において、MはB、Zn、Si、Cu、Ga及びGeから選択される元素を示し、
a〜dは、各元素の組成比を示し、a:b:c:dが1〜12:0〜0.2:1:2〜9を満たす。)
10.前記バインダーが、分子骨格に下記構造単位Aを含む樹脂である8又は9に記載の電解質スラリー。
Figure 2016154157
(式中、R〜Rは、それぞれ、H、F、CF、CHCF、CFCF、CFCFCF、OCFCFCF、OCF又はClであり、R〜Rは少なくとも1つは、F、CF、CHCF、CFCF、CFCFCF、OCFCFCF又はOCFである。)
本発明によれば、電池の製造において電解質層を容易に形成することができる。
剥離転写試験で使用する金型の概略図であり、(a)は各金型の側面図、(b)は使用状態を示す側面図である。
本発明の電解質シートは、電解質粒子と、バインダーと、を含む電解質層と、この電解質層に積層する基材を有する。電解質層は、基材上に他の層を介さずに積層されている。本発明の電解質シートは、電解質層を被転写物(正極層等)に転写させるシートとして好適に使用できる。
本発明の電解質シートは、例えば、本発明の電解質スラリーを使用して製造できる。以下、本発明の電解質シート及び電解質スラリーの構成材料について説明する。
1.電解質層
(1)電解質粒子
本発明で使用する電解質粒子は、イオン伝導度が1.0×10−5S/cm以上である。イオン伝導度が1.0×10−5S/cm以上であれば、得られる電解質シートを用いて形成した電池は、電池として機能する。イオン伝導度は、5.0×10−5S/cm以上であることが好ましく、より好ましくは、1×10−4S/cm以上である。イオン伝導度が高くなるほど電解質層の抵抗が低くなり、この電解質層を有する電池の性能を高くすることができる。
本願において、イオン伝導度は以下の方法で測定する。
電解質粒子を0.3g秤量し、図1に示す金型内に入れて電解質粒子をならして平らにし、電解質粒子に対して上面から185MPaで加圧する。加圧後、試料の上下に、TIMCAl社製SFG−15を1.0mgずつ入れ、再度、185MPaで加圧し、容器の上下に電極を形成したイオン伝導度測定用の電池を製造する。得られた電池を東陽テクニカ製インピーダンス装置にて、25℃、AC振幅変調10mV、周波数10M〜10Hzの条件で伝導度を測定する。
電解質粒子の形状は粒子状である。電解質粒子の平均粒径は、5nm以上50μm以下であることが好ましく、より好ましくは、10nm以上10μm以下である。5nm未満であると、電解質層を形成する際のスラリー化に多量に溶媒が必要となるため、スラリーの固形分濃度が低くなり、必要な膜厚が得られない場合がある。50μmより大きいと、電解質粒子がスラリー中で沈降しやすく、また、膜としたときに表面のラフネスが大きくなり転写が均一にできない場合がある。
本願において、電解質粒子の平均粒径(D50)は体積基準平均粒径(Mean Volume Diameter)を意味する。測定方法は、レーザー回折式粒度分布測定方法が好ましい。
本願では、乾燥した電解質粒子を用いて平均粒径を測定する。
レーザー回折式粒度分布測定装置がMalvern Instruments Ltd社製マスターサイザー2000である場合の測定例は以下の通りである。
まず、装置の分散槽に脱水処理されたトルエン(和光純薬製、製品名:特級)110mlを入れ、さらに分散剤として脱水処理されたターシャリーブチルアルコール(和光純薬製、特級)を6%添加する。
上記混合物を十分混合した後、電解質粒子を添加して粒子径を測定する。電解質粒子の添加量は、マスターサイザー2000で規定されている操作画面で、粒子濃度に対応するレーザー散乱強度が規定の範囲内(10〜20%)に収まるように加減して加える。この範囲を超えると多重散乱が発生し、正確な粒子径分布を求めることができなくなるおそれがある。また、この範囲より少ないとSN比が悪くなり、正確な測定ができないおそれがある。マスターサイザー2000では、電解質粒子の添加量に基き、レーザー散乱強度が表示されるので、上記レーザー散乱強度に入る添加量を見つけるとよい。
電解質粒子の添加量は、その種類等により最適量は異なるが、概ね0.01g〜0.05g程度である。
本願で使用できる電解質粒子としては、ポリマー系固体電解質、酸化物系固体電解質又は硫化物系固体電解質がある。
好ましくは、酸化物系固体電解質又は硫化物系固体電解質であり、より好ましくは、硫化物系固体電解質である。
ポリマー系固体電解質としては、特に制限はなく、特開2010−262860に開示されているように、フッ素樹脂、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレートやこれらの誘導体、共重合体等の、ポリマー電解質として用いられる材料が使用できる。
フッ素樹脂としては、例えば、フッ化ビニリデン(VdF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)や、これらの誘導体等を構成単位として含むものが挙げられる。具体的には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリヘキサフルオロプロピレン(PHFP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のホモポリマーや、VdFとHFPとの共重合体(以下、この共重合体を「P(VdF−HFP)」と示す場合がある。)等の2元共重合体や3元共重合体、等が挙げられる。
酸化物系固体電解質には、LiN、LISICON類、Thio−LISICON類、La0.55Li0.35TiO等のペロブスカイト構造を有する結晶や、NASICON型構造を有するLiTi12、さらにこれら結晶化させた電解質等を用いることができる。
硫化物系固体電解質としては、下記式(1)に示す組成を有するものが好ましい
Li…(1)
式(1)において、MはB、Zn、Si、Cu、Ga及びGeから選択される元素を示す。
a〜dは各元素の組成比を示し、a:b:c:dは1〜12:0〜0.2:1:2〜9を満たす。
好ましくは、bは0であり、より好ましくは、a、c及びdの比(a:c:d)がa:c:d=1〜9:1:3〜7、さらに好ましくは、a:c:d=1.5〜4:1:3.25〜4.5である。
各元素の組成比は、硫化物系固体電解質を製造する際の原料化合物の配合量を調整することにより制御できる。
硫化物系固体電解質は、非結晶(ガラス化)であっても結晶化(ガラスセラミックス化)していてもよく、一部のみ結晶化していてもよい。ここで、結晶化させると、ガラスよりもイオン伝導度が高くなる場合があり、その場合には結晶化させることが好ましい。
結晶構造として、例えば、特開2002−109955に開示されているLiPS構造、Li構造、LiPS構造、LiSiS構造、LiSiS構造、特開2005−228570やWO2007/066539に開示されているLi11構造が好ましい。
ここで、Li11構造は、X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)において、2θ=17.8±0.3deg,18.2±0.3deg,19.8±0.3deg,21.8±0.3deg,23.8±0.3deg,25.9±0.3deg,29.5±0.3deg,30.0±0.3degに回折ピークを有する。
上記結晶構造であれば、非晶体よりイオン伝導度が高くなるからである。
尚、硫化物系固体電解質の結晶化された部分は、1つの結晶構造のみからなっていてもよく、複数の結晶構造を有していてもよい。結晶構造としては、イオン伝導度が高いため、Li11が最も好ましい。
硫化物系固体電解質の結晶化度(非晶体よりイオン伝導度が高い結晶構造の結晶化度)は、50%以上が好ましく、より好ましくは、60%以上である。
硫化物系固体電解質の結晶化度が50%未満の場合は、結晶化によりイオン伝導度を高くするという効果が少なくなるためである。
結晶化度は、NMRスペクトル装置を用いることにより測定できる。具体的には、硫化物系固体電解質の固体31P−NMRスペクトルを測定し、得られたスペクトルについて、70−120ppmに観測される共鳴線を、非線形最少二乗法を用いたガウス曲線に分離し、各曲線の面積比を求めることにより測定できる。
硫化物系固体電解質の製造方法について、硫化物系固体電解質の原料には、LiS(硫化リチウム)、P(三硫化二リン)(五硫化二リン)、SiS(硫化珪素)、LiSiO(オルト珪酸リチウム)、Al(硫化アルミニウム)、単体リン(P)、単体の硫黄(S)、シリコン(Si)、GeS(硫化ゲルマニウム)、B(三硫化二砒素)、LiPO(リン酸リチウム)、LiGeO(ゲルマン酸リチウム)、LiBO(メタホウ酸リチウム)、LiAlO(リチウムアルミネート)等を用いることができる。
好ましい硫化物系固体電解質の原料は、LiS及びPである。
以下、硫化物系固体電解質の原料として、LiS及びPを用いた硫化物系固体電解質について説明する。
硫化リチウムは、特に制限なく工業的に入手可能なものが使用できるが、高純度のものが好ましい。硫化リチウムは、例えば、特開平7−330312号、特開平9−283156号、特開2010−163356、特願2009−238952に記載の方法により製造することができる。
具体的に、炭化水素系有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを70℃〜300℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化することにより硫化リチウムを合成できる(特開2010−163356)。
また、水溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを10℃〜100℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化することにより硫化リチウムを合成できる(特願2009−238952)。
硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下であり、かつN−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下である。硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であると、溶融急冷法やメカニカルミリング法で得られる固体電解質は、ガラス状電解質(完全非晶質)となる。一方、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%を越えると、得られる電解質は、最初から結晶化物となるおそれがある。
また、N−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であると、N−メチルアミノ酪酸リチウムの劣化物がリチウムイオン電池のサイクル性能を低下させることがない。このように不純物が低減された硫化リチウムを用いると、高イオン伝導性電解質が得られる。
上述した特開平7−330312号及び特開平9−283156号に基づいて硫化リチウムを製造した場合、硫化リチウムが硫黄酸化物のリチウム塩等を含むため、精製することが好ましい。
一方、特開2010−163356に記載の硫化リチウムの製法で製造した硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩等の含有量が非常に少ないため、精製せずに用いても良い。
好ましい精製法としては、例えば、国際公開WO2005/40039号に記載された精製法等が挙げられる。具体的には、上記のようにして得られた硫化リチウムを、有機溶媒を用い、100℃以上の温度で洗浄する。
五硫化二リンは、工業的に製造され、販売されているものであれば、特に限定なく使用することができる。
硫化リチウムと五硫化二リンの割合(モル比)は、通常50:50〜80:20、好ましくは60:40〜75:25である。特に好ましくは、LiS:P=68:32〜74:26(モル比)である。
硫化物系ガラス固体電解質の製造方法としては、溶融急冷法、メカニカルミリング法(MM法)、有機溶媒中で原料を反応させるスラリー法等がある。
(a)溶融急冷法
溶融急冷法は、例えば、特開平6−279049、WO2005/119706に記載されている。具体的には、PとLiSを所定量乳鉢にて混合しペレット状にしたものを、カーボンコートした石英管中に入れ真空封入する。所定の反応温度で反応させた後、氷中に投入し急冷することにより、硫化物系ガラス固体電解質が得られる。
反応温度は、好ましくは400℃〜1000℃、より好ましくは、800℃〜900℃である。
反応時間は、好ましくは0.1時間〜12時間、より好ましくは、1〜12時間である。
上記反応物の急冷温度は、通常10℃以下、好ましくは0℃以下であり、その冷却速度は、通常1〜10000K/sec程度、好ましくは10〜10000K/secである。
(b)メカニカルミリング法(MM法)
MM法は、例えば、特開平11−134937、特開2004−348972、特開2004−348973に記載されている。
具体的には、PとLiSを所定量乳鉢にて混合し、例えば、各種ボールミル等を使用して所定時間反応させることにより、硫化物系ガラス固体電解質が得られる。
上記原料を用いたMM法は、室温で反応を行うことができる。そのため、原料の熱分解が起らず、仕込み組成のガラス固体電解質を得ることができるという利点がある。
また、MM法では、ガラス固体電解質の製造と同時に、ガラス固体電解質を微粉末化できるという利点もある。
MM法は回転ボールミル、転動ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル等種々の形式を用いることができる。
MM法の条件としては、例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を数十〜数百回転/分とし、0.5時間〜100時間処理すればよい。
また、特開2010−90003に記載されているように、ボールミルのボールは異なる径のボールを混合して使用してもよい。
また、特開2009−110920や特開2009−211950に記載されているように、原料に有機溶媒を添加してスラリー状にし、このスラリーをMM処理してもよい。
また、特開2010−30889に記載のようにMM処理の際のミル内の温度を調整してもよい。
MM処理時の原料温度が60℃以上160℃以下になるようにすることが好ましい。
(c)スラリー法
スラリー法は、WO2004/093099、WO2009/047977に記載されている。
具体的には、所定量のP粒子とLiS粒子を有機溶媒中で所定時間反応させることにより、硫化物系ガラス固体電解質が得られる。
ここで、特開2010−140893に記載されているように、反応を進行させるため、原料を含むスラリーをビーズミルと反応容器との間で循環させながら反応させてもよい。
また、WO2009/047977に記載されているように、原料の硫化リチウムを予め粉砕しておくと効率的に反応を進行させることができる。
また、特願2010−270191に記載されているように、原料の硫化リチウムの比表面積を大きくするために溶解パラメーターが9.0以上の極性溶媒(例えば、メタノール、ジエチルカーネート、アセトニトリル)に所定時間浸漬してもよい。
反応温度は、好ましくは20℃以上80℃以下、より好ましくは、20℃以上60℃以下である。
反応時間は、好ましくは1時間以上16時間以下、より好ましくは、2時間以上14時間以下である。
原料である硫化リチウムと五硫化二リンが、有機溶媒の添加により溶液又はスラリー状になる程度であることが好ましい。通常、有機溶媒1リットルに対する原料(合計量)の添加量は0.001kg以上1kg以下程度となる。好ましくは0.005kg以上0.5kg以下、特に好ましくは0.01kg以上0.3kg以下である。
有機溶媒としては特に制限はないが、非プロトン性有機溶媒が特に好ましい。
非プロトン性有機溶媒としては、非プロトンの非極性有機溶媒(例えば、炭化水素系有機溶媒)、非プロトン性の極性有機化合物(たとえば、アミド化合物,ラクタム化合物,尿素化合物,有機イオウ化合物,環式有機リン化合物等)を、単独溶媒として、又は、混合溶媒として、好適に使用することができる。
炭化水素系有機溶媒としては、溶媒である炭化水素系溶媒としては、飽和炭化水素、不飽和炭化水素又は芳香族炭化水素が使用できる。
飽和炭化水素としては、ヘキサン、ペンタン、2−エチルヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン等が挙げられる。
不飽和炭化水素しては、ヘキセン、ヘプテン、シクロヘキセン等が挙げられる。
芳香族炭化水素としては、トルエン、キシレン、デカリン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。
これらのうち、特にトルエン、キシレンが好ましい。
炭化水素系溶媒は、あらかじめ脱水されていることが好ましい。具体的には、水分含有量として100重量ppm以下が好ましく、特に30重量ppm以下であることが好ましい。
尚、必要に応じて炭化水素系溶媒に他の溶媒を添加してもよい。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、エタノール、ブタノール等のアルコール類、酢酸エチル等のエステル類等、ジクロロメタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
上記溶融急冷法、MM法及びスラリー法の温度条件、処理時間、仕込み料等の製造条件は、使用設備等に合わせて適宜調整することができる。
硫化物系固体電解質(ガラスセラミックス)の製造方法は、特開2005−228570、WO2007/066539、特開2002−109955に開示されている。
具体的には、上記で得られた硫化物系固体電解質(ガラス)を所定の温度で熱処理し、硫化物系結晶化ガラス(ガラスセラミックス)を生成させる。
また、加熱は、露点−40℃以下の環境下で行うことが好ましく、より好ましくは露点−60℃以下の環境下で行うことが好ましい。
また、加熱時の圧力は、常圧であってもよく、減圧下であってもよい。
また、雰囲気は、空気であってもよく、不活性雰囲気下であってもよい。
さらに特開2010−186744に記載されているように溶媒中で加熱してもよい。
Li11構造のガラスセラミックスを生成させる熱処理温度は、好ましくは180℃以上330℃以下、より好ましくは、200℃以上320℃以下、特に好ましくは、210℃以上310℃以下である。180℃より低いと結晶化度の高い結晶化ガラスが得られにくい場合があり、330℃より高いと結晶化度の低い結晶化ガラスが生じるおそれがある。
熱処理時間は、180℃以上210℃以下の温度の場合は、3時間以上240時間以下が好ましく、特に4時間以上230時間以下が好ましい。また、210℃より高く330℃以下の温度の場合は、0.1時間以上240時間以下が好ましく、特に0.2時間以上235時間以下が好ましく、さらに、0.3時間以上230時間以下が好ましい。
熱処理時間が0.1時間より短いと、結晶化度の高い結晶化ガラスが得られにくい場合があり、240時間より長いと、結晶化度の低い結晶化ガラスが生じるおそれがある。
LiPS結晶構造、Li結晶構造、LiPS結晶構造、LiSiS結晶構造及びLiSiS結晶構造の製造は、公知の方法でよい。
例えば、特開2002−109955に開示されている方法により上記結晶構造を有する結晶化ガラスを製造することができる。
(2)バインダー
本発明で使用するバインダーは、分子骨格に下記構造単位Aを含む樹脂が好ましい。
Figure 2016154157
(式中、R〜Rは、それぞれ、H、F、CF、CHCF、CFCF、CFCFCF、OCFCFCF、OCF又はClであり、R〜Rは少なくとも1つは、F、CF、CHCF、CFCF、CFCFCF、OCFCFCF又はOCFである。)
好ましくは、フッ化ビニリデンに由来する構造(R=F,R=F,R=H,R=H)を有する共重合体やポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン(TEF)に由来する構造(R=F,R=F,R=F,R=F)を有する共重合体又は単独重合体、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)に由来する構造(R=F,R=F,R=CF,R=F)を有する共重合体又は単独重合体である。
具体的にはPVDF−HFP,PVDF−HFP−TEF、PVDF−TEF、TEF−HFP等が挙げられる。
バインダーは、有機溶媒に溶解するバインダーが好ましい。バインダーは炭化水素系溶媒、ニトリル系溶媒、フッ素系溶媒、チオ系溶媒等に溶解することがさらに好ましい。
(3)その他の成分
本発明の電解質層には、上述した電解質粒子及びバインダーの他に、必要に応じて導電助剤、増粘剤、分散剤等の添加剤を使用してもよい。
導電助剤としては、デンカブラックやケッチェンブラック等のカーボンブラック系や、導電性酸化物粒子、銀粒子、導電ポリマー等が挙げられる。
増粘剤としては、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリロニトリル(PAN),ポリブチレンナフタレート(PBN),ポリエチレンオキシド(PEO)等が挙げられる。
本発明の電解質層では、電解質粒子の割合が、電解質粒子とバインダーの合計重量に対し、50wt%以上99.5wt%以下である。電解質粒子の割合が50wt%未満であるとイオン伝導度が低くなり、電解質シートを用いて製造した電池の性能が低くなるおそれがある。一方、99.5wt%を越えると電解質シートの強度が低くなるおそれがあり、また、基材との密着性が低くなるおそれがある。
好ましくは、電解質粒子の割合は65wt%以上99.5wt%以下、さらに好ましくは、75wt%以上99wt%以下、80wt%以上99wt%以下であり、より好ましくは、85%以上99wt%以下である。
2.基材
本発明で使用する基材は、上述した電解質層を支持するものであり、電解質層を転写する際には、電解質層から剥離するものである。
基材は、特に制限されないが、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)、フッ素樹脂等の樹脂フィルムや、Al、Cu、SUS、Ti等の金属シートが使用できる
基材の厚さは、特に制限はないが、通常20μm〜150μmである。
基材は、工業的に市販されているものが使用できる。
本発明の電解質シートは、基材上に電解質層を形成することにより製造できる。電解質層は、本発明の電解質スラリーを使用することで形成できる。
電解質スラリーは、上述した電解質粒子及びバインダーと、溶剤を含有する。さらに、必要に応じて上述した添加剤を含有してもよい。
溶剤としては、炭化水素系溶媒、ニトリル系溶媒、フッ素系溶媒、チオ系溶媒が使用できる。
上述したとおり、溶剤は上記バインダーを溶解するものが好ましい。バインダーが溶解していることにより、電解質層を製造することが容易になる。
本発明の電解質スラリーにおいて、スラリー固形分濃度は、20wt%以上90wt%以下である。上記範囲を外れるとスラリーを塗布乾燥させても製膜ができない。好ましくは、スラリー固形分濃度は、30wt%以上80wt%以下である。
尚、電解質層における電解質粒子の割合から、スラリー固形分中に電解質粒子が50wt%以上99.5wt%以下含む。
電解質層の形成は、上述した電解質スラリーを基材上に塗布、乾燥することにより形成できる。塗布、乾燥は、公知の方法が適用できる。尚、電解質層に溶剤が残留していてもよい。
電解質層の厚さは、電池の形状や用途により適宜調整すればよい。通常、10〜500μm程度である。
本発明の電解質シートは下記の転写試験において、電解質層の転写後、基材に電解質粒子及びバインダーが残留せず、かつ、電解質層が被転写物に転写し剥がれていない。
同様に、本発明の電解質スラリーは、該スラリーを使用して形成した電解質層と基材からなる電解質シートの転写試験において、電解質層の転写後、前記基材に電解質粒子及びバインダーが残留せず、かつ、電解質層が被転写物に転写し剥がれていない。
本願の転写試験では、被転写物である正極シートに、本発明の電解質シート、又は、本発明のスラリーを使用して形成した電解質層と基材からなる電解質シートを使用して、電解質層を転写させ、転写後の状態を観察することにより評価する。
(1)正極シート
厚さ20μmのアルミニウムシートに正極スラリーを塗布し、ホットプレート上で80℃、10分間乾燥させた後、さらに80℃で4時間真空乾燥して厚さ100μmの正極層を有する正極シート(正極層とアルミニウムの積層体)を製造する。
尚、正極スラリーは下記の正極活物質、電解質粒子、バインダー及び溶媒を重量比19:19:2:60で混合したものである。
・正極活物質
正極活物質は、硫黄(アルドリッチ製、純度99.998%)0.400gと多孔質炭素(ケッチェンブラック(KB)EC600JD、ライオン社製)0.400gを乳鉢で混合した後、混合物を密閉性のステンレス容器に入れ、電気炉にて加熱処理して製造する。加熱条件は室温から10℃/分にて150℃まで昇温し、150℃で6時間保持した後、300℃まで10℃/分で昇温し、2.75時間保持、その後、自然冷却する。
・電解質粒子
電解質粒子は、WO2005/078740の実施例1と同様の方法により製造する。
・バインダー
バインダーは、アルケマ製Kynar2500−20を用いる。
・溶媒
溶媒は、東京化成工業製イソブチロニトリルを用いる。
(2)転写試験
試験対象である電解質シートを、パンチで半径16.5mmΦの円筒形とする。同様に、上記正極シートをパンチで半径16.5mmΦの円筒形とする。
図1に転写試験で使用する金型の側面図を示す。(a)は各金型の側面図、(b)は試料を置いた時の側面図を示す。この金型は、中金型11、上金型12及び下金型13からなり、上金型12及び下金型13の突起部を中金型11の円筒状空洞部に挿入し、上金型12及び下金型13の間に置いた試料14を中金型11内で加圧するものである。材質はSUS製である。尚、上金型12及び下金型13の突起部の直径は16.5mm、底部の直径は50mm、底部の厚さは6mm、上金型12の突起部の高さは32mm、下金型13の突起部の高さは10mmとする。また、中金型11の空洞部の直径は16.65mm、高さは30mmとする。
電解質シートと正極シート(試料14)を、電解質層と正極層が接するように重ねて中金型11内に挿入する。
試料14を上金型12及び下金型13で挟み加圧して、試料全体に270MPaの圧力を10秒間加える。加圧後、金型から一体化した電解質シートと正極シートとを取り出す。電解質シートの基材を剥がし、剥離面及び電解質層と正極層の接合面を目視にて観察する。
本発明の電解質シートでは、この転写試験において、電解質層の転写後、基材に電解質粒子及びバインダーが残留せず、かつ、電解質層が被転写物に転写し剥がれていない。
尚、本発明の電解質スラリーを使用して形成した電解質層と基材からなる電解質シートの評価は、以下のとおりとする。
電解質シートの基材は、藤森工業製剥離PETフィルムNGS(剥離力244mN/cm)とする。
電解質シートは、基材上に測定対象のスラリーを塗布し、ホットプレート上で80℃、5分間乾燥させた後、さらに100℃で4時間真空乾燥して電解質層を形成することにより製造する。電解質層の厚さは100μm(塗布時)とする。
正極シートの製造は、正極層の乾燥を、ホットプレート上で80℃5分間乾燥させた後、さらに80℃で8時間真空乾燥した他は、上記(1)と同様とする。正極層の厚さは50μmとする。
また、金型の材質をハードクロムめっき製とした他は上記(2)と同様とする。
本発明においては、基材の剥離力は20mN/cm以上1500mN/cm以下であることが好ましい。基材の剥離力は、日東電工製31Bテープを、基材に70℃、20時間2kPaで圧着した後、室温で基材側から300mm/min、剥離角度180°で剥離し求めた値である。尚、JIS Z0237に準拠する。剥離力20mN/cm以上1500mN/cm以下から外れると、基材が電解質層から剥がれなかったり、転写後、基材に電解質層が一部残った状態となるおそれがある。より好ましくは、50mN/cm以上1300mN/cm以下である。さらに好ましくは、90mN/cm以上1100mN/cm以下である。
本発明において、電解質層のイオン伝導度は1.0×10−6S/cm以上であることが好ましい。イオン伝導度が1.0×10−6S/cm未満であると電解質シートを用いて製造した電池の性能が低くなるおそれがある。
本願において、電解質層のイオン伝導度は以下の方法で測定する。
パンチで半径10mmΦの円筒形にくりぬいた電解質シートを、加圧金型に挿入し、370MPaの圧力を10秒間加える。金型から電解質シートを取り出し、電解質シートの基材を剥離する。剥離して得られる電解質層のみを再度加圧に挿入する。
パンチで半径9.5mmΦの円筒形にくりぬいた厚さ0.1mmの金を電解質層の上下に入れ、さらに185MPaの圧力を10秒間加える。金型のネジを8Nで締め、金型の上下から電極をとる。
この試料について、東陽テクニカ製インピーダンス装置を用い、25℃、AC振幅変調10mV、周波数5×10〜0.1Hzの条件でイオン伝導度を測定する。
本発明の電解質シート又は電解質スラリーは、電池の電解質の形成に好適に使用できる。本発明の電池は、上記電解質シート又は電解質スラリーを使用して得られる電解質層を備えていればよく、他の構成は本技術分野において公知の構成を採用できる。例えば、上記電解質シートの電解層の一面上に正極層又は負極層を積層し、逆面に対極となる電極層を形成すればよい。
正極層又は負極層は、公知のように、正極合材スラリー又は負極合材スラリーを塗布乾燥して製造できる。電解質シートの基材を電解質層から剥離し、正極層又は負極層と集電体とを密着させる、その後、電解質層の反対面に、対極層を積層して集電体と密着させて電池を製造すればよい。
尚、正極層、負極層の製造方法は、公知の製造方法であり、特に制限されない。
本発明の装置は、上記電池を備える。装置としては、例えば、電池自動車が挙げられる
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。尚、試料の測定方法は以下のとおりである。
(1)電解質粒子のイオン伝導度
電解質粒子を0.3g秤量し、容器内に入れ、電解質粒子に対して185MPaで加圧する。加圧後、試料の上下に、TIMCAl社製SFGを1.0mgずつ入れ、再度、185MPaで加圧し、容器の上下に電極を形成する。得られた試料を東陽テクニカ製インピーダンス装置にて、25℃、AC振幅変調10mV、周波数10M〜10Hzの条件で伝導度を測定する。
(2)電解質粒子の平均粒径
レーザー回折式粒度分布測定装置(「Malvern Instruments Ltd社製マスターサイザー2000)を使用し、装置の分散槽に脱水処理されたトルエン(和光純薬製、製品名:特級)110mlを入れ、さらに分散剤として脱水処理されたターシャリーブチルアルコール(和光純薬製、特級)を6%添加する。
上記混合物を十分混合した後、電解質粒子を添加して粒子径を測定する。電解質粒子の添加量は、マスターサイザー2000で規定されている操作画面で、粒子濃度に対応するレーザー散乱強度が規定の範囲内(10〜20%)に収まるように加減して加える(電解質粒子の添加量は、その種類等により最適量は異なるが、概ね0.01g〜0.05g程度である。)。
(3)電解質層のイオン伝導度
パンチで半径10mmΦの円筒形にくりぬいた電解質シートを、加圧金型に挿入し、370MPaの圧力を10秒間加える。金型から電解質シートを取り出し、電解質シートの基材を剥離する。剥離して得られる電解質層のみを再度加圧に挿入する。
パンチで半径9mmΦの円筒形にくりぬいた厚さ0.01mmの金を電解質層の上下に入れ、さらに185MPaの圧力を10秒間加える。金型のネジを8Nで締め、金型の上下から電極をとる。
この試料について、東陽テクニカ製インピーダンス装置を用い、25℃、AC振幅変調10mV、周波数5×10〜0.1Hzの条件でイオン伝導度を測定する。
(4)転写試験
(A)正極シート
厚さ20μmのアルミニウムシートに正極スラリーを塗布し、ホットプレート上で80℃、10分間乾燥させた後、さらに80℃で8時間真空乾燥して厚さ100μmの正極層を有する正極シート(正極層とアルミニウムシートの積層体)を製造する。
正極スラリーは下記の正極活物質、電解質粒子、バインダー及び溶媒を重量比19:19:2:60で混合したものである。
・正極活物質
正極活物質は、硫黄(アルドリッチ製、純度99.998%)0.400gと多孔質炭素(ケッチェンブラック(KB)EC600JD、ライオン社製)0.400gを乳鉢で混合した後、混合物を密閉性のステンレス容器に入れ、電気炉にて加熱処理して製造する。加熱条件は室温から10℃/分にて150℃まで昇温し、150℃で6時間保持した後、300℃まで10℃/分で昇温し、2.75時間保持、その後、自然冷却する。
・電解質粒子
電解質粒子は、WO2005/078740の実施例1と同様の方法により製造する。
・バインダー
バインダーは、アルケマ製Kynar2500−20を用いる。
・溶媒
溶媒は、東京化成工業製イソブチロニトリルを用いる。
(B)転写試験
試験対象である電解質シートを、パンチで半径16.5mmΦの円筒形とする。同様に、上記正極シートをパンチで半径16.5mmΦの円筒形とする。
電解質シートと正極シートを、電解質層と正極層が接するように重ねて図1に示す中金型内に挿入する。
試料を上金型及び下金型で挟み加圧して、試料全体に270MPaの圧力を10秒間加える。加圧後、金型から一体化した電解質シートと正極シートとを取り出す。電解質シートの基材を剥がし、剥離面及び電解質層と正極層の接合面を目視にて観察する。
(5)基材の剥離力
日東電工製31Bテープを、基材に70℃、20時間2kPaで圧着した後、室温で基材側から300mm/min、剥離角度180°で剥離し求めた(JIS Z0237に準拠)。
製造例1[硫化リチウム(LiS)の製造]
硫化リチウムの製造及び精製は、国際公開公報WO2005/040039A1の実施例と同様に行った。具体的には、下記のとおりである。
(1)硫化リチウムの製造
撹拌翼のついた10リットルオートクレーブにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)3326.4g(33.6モル)及び水酸化リチウム287.4g(12モル)を仕込み、300rpm、130℃に昇温した。昇温後、液中に硫化水素を3リットル/分の供給速度で2時間吹き込んだ。
続いて、この反応液を窒素気流下(200cc/分)昇温し、反応した硫化水素の一部を脱硫化水素化した。昇温するにつれ、上記硫化水素と水酸化リチウムの反応により副生した水が蒸発を始めたが、この水はコンデンサにより凝縮し系外に抜き出した。水を系外に留去すると共に反応液の温度は上昇するが、180℃に達した時点で昇温を停止し、一定温度に保持した。脱硫化水素反応が終了後(約80分)反応を終了し、硫化リチウムを得た。
(2)硫化リチウムの精製
上記(1)で得られた500mLのスラリー反応溶液(NMP−硫化リチウムスラリー)中のNMPをデカンテーションした後、脱水したNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌した。その温度のままNMPをデカンテーションした。さらにNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌し、その温度のままNMPをデカンテーションし、同様の操作を合計4回繰り返した。デカンテーション終了後、窒素気流下230℃(NMPの沸点以上の温度)で硫化リチウムを常圧下で3時間乾燥した。得られた硫化リチウム中の不純物含有量を測定した。
尚、亜硫酸リチウム(LiSO)、硫酸リチウム(LiSO)並びにチオ硫酸リチウム(Li)の各硫黄酸化物、及びN−メチルアミノ酪酸リチウム(LMAB)の含有量は、イオンクロマトグラフ法により定量した。その結果、硫黄酸化物の総含有量は0.13質量%であり、LMABは0.07質量%であった。
製造例2[電解質粒子1の製造]
製造例1で製造した硫化リチウムを用いて、国際公開公報WO07/066539の実施例1と同様の方法で固体電解質の製造及び結晶化を行った。
具体的には、下記のように行った。
製造例1で製造した硫化リチウム0.6508g(0.01417mol)と五硫化二リン(アルドリッチ社製)を1.3492g(0.00607mol)をよく混合した。そして、この混合粉末と直径10mmのジルコニア製ボール10ケと遊星型ボールミル(フリッチュ社製:型番P−7)アルミナ製ポットに投入し完全密閉するとともにこのアルミナ製ポット内に窒素を充填し、窒素雰囲気にした。
はじめの数分間は、遊星型ボールミルの回転を低速回転(85rpm)にして硫化リチウムと五硫化二リンを十分混合した。その後、徐々に遊星型ボールミルの回転数を上げ370rpmまで回転数を上げた。遊星型ボールミルの回転数を370rpmで20時間メカニカルミリングを行った。このメカニカルミリング処理をした白黄色の粉体をX線測定により評価した結果、ガラス化(硫化物ガラス)していることが確認できた。この硫化物ガラスのガラス転移温度をDSC(示差走査熱量測定)により測定したところ、220℃であった。
この硫化物ガラスを窒素雰囲気下、300℃で2時間加熱し、硫化物ガラスセラミックスとした。
得られた硫化物ガラスセラミックス72gと、トルエン100gを(株)伊藤製作所製 遊星ボールミルLP−4、φ10mmZrボール(743g)を用いて200rpmで2時間撹拌し、電解質粒子を得た。
この電解質粒子1(硫化物ガラスセラミックス)について、X線回折測定したところ、2θ=17.8、18.2、19.8、21.8、23.8、25.9、29.5、30.0degにピークが観測された。
電解質粒子1の平均粒径は、8.8μmであった。イオン伝導度は6.36×10−4S/cmであった。
製造例3[電解質粒子2の製造]
製造例1で製造・精製した高純度硫化リチウム0.766g(0.0166モル)と、五硫化二リン(アルドリッチ社製)を1.22g(0.0055モル)としたことと、窒素雰囲気下で、300℃で2時間加熱しない以外は製造例2と同様にして電解質粒子を製造した。
得られた電解質粒子2について、X線測定してガラス化していることを確認した。電解質粒子2の平均粒径は、11.2μmであった。イオン伝導度は、1.22×10−4S/cmであった。
実施例1
バインダー(アルケマ製、KYNAR2500−20、PVDF−HFP共重合体、重量比PVDF:HFP=80:20)を10.0g秤量し、これにイソブチロニトリル(東京化成工業(株)製)を40.0g加え、80℃で加熱溶解させ、バインダー溶液とした。以下、このバインダー溶液をKYNAR2500−20バインダー溶液という。
製造例2で作製した電解質粒子1を5.27g、上記KYNAR2500−20バインダー溶液を2.93g、イソブチロニトリルを4.81g、それぞれプライミクス製、小型フィルミックスの容器内に入れ、15000rpmで1分間撹拌混合し、電解質スラリー(スラリー固形分濃度:45.1wt%)とした。
得られたスラリーを、基材であるPETフィルム(藤森工業製PETフィルム38E−0010NSG:剥離力:244mN/cm)上に、500μmGAPドクターブレードを用いて塗布して電解質シートを製造した。これをホットプレート上で80℃、5分間乾燥させた後、さらに100℃で4時間真空乾燥した。尚、100μmGAPドクターブレードを用いて塗布した試料も作製し、同様に乾燥した。500μm(塗布時)のシートはイオン伝導度測定用に、100μm(塗布時)のシートは転写試験に用いた。
上記固体電解質シートの電解質層のイオン伝導度測定法を用いて測定した結果、イオン伝導度は7.87×10−5S/cmであった。
また、転写試験の結果、基材側に残留物がなく、また、正極層と電解質層の間に剥がれもなかった。
実施例2
製造例2の電解質粒子1を5.56g、KYNAR2500−20バインダー溶液を1.46g、イソブチロニトリルを5.98gとした他は、実施例1と同様にして電解質スラリー及び電解質シートを製造し評価した。
電解質シートの電解質層のイオン伝導度は9.71×10−5S/cmであった。
また、転写試験の結果、基材側に残留物がなく、また、正極層と電解質層の間に剥がれもなかった。
実施例3
製造例2の電解質粒子1を4.90g、KYNAR2500−20バインダー溶液を0.25g、イソブチロニトリルを5.85gとした他は、実施例1と同様にして電解質スラリー及び電解質シートを製造し評価した。
電解質シートの電解質層のイオン伝導度は1.01×10−4S/cmであった。
また、転写試験の結果、基材側に残留物がなく、また、正極層と電解質層の間に剥がれもなかった。
実施例4
製造例2の電解質粒子1を4.68g、KYNAR2500−20バインダー溶液を5.85g、イソブチロニトリルを2.47gとした他は、実施例1と同様にして電解質スラリー及び電解質シートを製造し評価した。
電解質シートの電解質層のイオン伝導度は8.44×10−6S/cmであった。
また、転写試験の結果、基材側に残留物がなく、また、正極層と電解質層の間に剥がれもなかった。
実施例5
製造例2の電解質粒子1を4.10g、上記KYNAR2500−20バインダー溶液を8.76g、イソブチロニトリルを0.13gとした他は、実施例1と同様にして電解質スラリー及び電解質シートを製造し評価した。
電解質シートの電解質層のイオン伝導度は1.79×10−6S/cmであった。
また、転写試験の結果、基材側に残留物がなく、また、正極層と電解質層の間に剥がれもなかった。
実施例6
バインダー(アルケマ製、KYNAR2801−00、PVDF−HFP共重合体、重量比PVDF:HFP=90:10)を5.0g秤量し、これにイソブチロニトリル(東京化成工業(株)製)を45.0g加え、80℃で加熱溶解して、バインダー溶液とした。以下、このバインダー溶液をKYNAR2801−00バインダー溶液という。
製造例2の電解質粒子1を5.27g、上記KYNAR2801−00バインダー溶液を5.85g、イソブチロニトリルを1.89g用いた他は、実施例1と同様にして電解質スラリー及び電解質シートを製造し評価した。
電解質シートの電解質層のイオン伝導度は8.43×10−5S/cmであった。
また、転写試験の結果、基材側に残留物がなく、また、正極層と電解質層の間に剥がれもなかった。
実施例7
バインダー(アルケマ製、KYNAR―ADS、PVDF−HFP−TEF共重合体)2.4gを、トリフルオロメチルベンゼン(和光純薬工業製)27.6gに加え、80℃で加熱溶解させたものをKYNAR―ADSバインダー溶液として用いた。
製造例2の電解質粒子1を5.27g、KYNAR―ADSバインダー溶液を7.31g、トリフルオロメチルベンゼンを0.42g用いた他は、実施例1と同様にして電解質スラリー及び電解質シートを製造し評価した。
電解質シートの電解質層のイオン伝導度は2.00×10−5S/cmであった。
であった。
また、転写試験の結果、基材側に残留物がなく、また、正極層と電解質層の間に剥がれもなかった。
実施例8
バインダー(アルケマ製、KYNAR―SL、PVDF−TEF共重合体)3.0gを、イソブチロニトリル(東京化成工業(株)製)27.0gに加え、80℃で加熱溶解させたものを、KYNAR―SLバインダー溶液として用いた。
製造例2の電解質粒子1を5.27g、KYNAR―SLバインダー溶液を5.85g、イソブチロニトリルを1.89g用いた他は、実施例1と同様にして電解質スラリー及び電解質シートを製造し評価した。
電解質シートの電解質層のイオン伝導度は1.29×10−4S/cmであった。
また、転写試験の結果、基材側に残留物がなく、また、正極層と電解質層の間に剥がれもなかった。
実施例9
住友スリーエム製、ダイニオンTHV221AZ 3.0gを、イソブチロニトリル(東京化成工業(株)製)27.0gに加え、80℃で加熱溶解させたものをTHV221AZバインダー溶液として用いた。
製造例2の電解質粒子1を5.27g、THV221AZバインダー溶液を5.85g、イソブチロニトリルを1.89g用いた他は、実施例1と同様にして電解質スラリー及び電解質シートを製造し評価した。
電解質シートの電解質層のイオン伝導度は8.92×10−5S/cmであった。
また、転写試験の結果、基材側に残留物がなく、また、正極層と電解質層の間に剥がれもなかった。
実施例10
製造例3の電解質粒子2を使用した以外は実施例2と同様にシートを作製した。
電解質シートの電解質層のイオン伝導度は7.82×10−6S/cmであった。
また、転写試験の結果、基材側に残留物がなく、また、正極層と電解質層の間に剥がれもなかった。
実施例11
上記製造法3で作製した電解質粒子2を5.13g、KYNAR―SLバインダー溶液を5.4g、イソブチロニトリルを1.47g用いた他は、実施例1と同様にして電解質スラリー及び電解質シートを製造し評価した。
電解質シートの電解質層のイオン伝導度は2.04×10−5S/cmであった。
また、転写試験の結果、基材側に残留物がなく、また、正極層と電解質層の間に剥がれもなかった。
実施例12
基材をパナック製、パナピールNP−75C(剥離力:59mN/cm)に変更した他は、実施例1と同様にして電解質スラリー及び電解質シートを製造し評価した。
電解質シートの電解質層のイオン伝導度は8.60×10−5S/cmであった。
また、転写試験の結果、基材側に残留物がなく、また、正極層と電解質層の間に剥がれもなかった。
実施例13
基材をパナック製、パナピールTP−01(剥離力:1000mN/cm)に変更した用いた他は、実施例1と同様にして電解質スラリー及び電解質シートを製造し評価した。
電解質シートの電解質層のイオン伝導度は9.12×10−5S/cmであった。
また、転写試験の結果、基材側に残留物がなく、また、正極層と電解質層の間に剥がれもなかった。
比較例1
バインダーとしてポリエチレンオキシド(PEO、−[OCHCH−)とポリプロピレンオキシド(PPO、−[OCHCHCH−)の共重合樹脂を用いた以外は実施例2と同様にスラリーを作製した。しかしながら、電解質粒子が沈殿してしまい塗布することができなかった。
比較例2
製造例2の電解質粒子1を5.85gと、イソブチロニトリル7.15gを、小型フィルミックスの容器内に入れ、15000rpmで1分間撹拌混合し、得られたスラリーを実施例1と同様にシート化した。このシートを用いて転写試験を行なったところ、カット時にエッジ部分が剥がれた。
比較例3
実施例1で作製した電解質スラリーを、基材であるパナック製パナピールSG−1(剥離力:3600mN/cm)上に、100μmGAPドクターブレードを用いて塗布し、転写試験を行なった。その結果、転写されずにシートは基材に残ったままであった。
比較例4
上記固体電解質の製造例2で作製した電解質粒子1を2.08gとKYNAR2801−00粉末を3.12g、イソブチロニトリル7.80gを、プライミクス製、小型フィルミックスのベッセル内に入れ、15000rpmで1分間攪拌混合した。結果、得られたスラリーは固まってしまい、塗布することができなかった。
上記実施例及び比較例で使用した材料及び評価結果を表1に示す。
Figure 2016154157
参考[WO2005/078740の実施例1]
(1)硫化リチウム(LiS)の製造
硫化リチウムは、特開平7−330312号公報の第1の態様(2工程法)の方法にしたがって製造した。具体的には、撹拌翼のついた10リットルオートクレーブにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)3326.4g(33.6モル)及び水酸化リチウム287.4g(12モル)を仕込み、300rpm、130℃に昇温した。昇温後、液中に硫化水素を3リットル/分の供給速度で2時間吹き込んだ。続いてこの反応液を窒素気流下(200cc/分)昇温し、反応した硫化水素の一部を脱硫化水素化した。昇温するにつれ、上記硫化水素と水酸化リチウムの反応により副生した水が蒸発を始めたが、この水はコンデンサにより凝縮し系外に抜き出した。水を系外に留去すると共に反応液の温度は上昇するが、180℃に達した時点で昇温を停止し、一定温度に保持した。脱硫化水素反応が終了後(約80分)反応を終了し、硫化リチウムを得た。
(2)硫化リチウムの精製
上記(1)で得られた500mLのスラリー反応溶液(NMP−硫化リチウムスラリー)中のNMPをデカンテーションした後、脱水したNMP 100mLを加え、105℃で約1時間撹拌した。その温度のままNMPをデカンテーションした。さらにNMP 100mLを加え、105℃で約1時間撹拌し、その温度のままNMPをデカンテーションし、同様の操作を合計4回繰り返した。デカンテーション終了後、窒素気流下230℃(NMPの沸点以上の温度)で硫化リチウムを常圧下で3時間乾燥した。得られた硫化リチウム中の不純物含有量を測定した。
尚、亜硫酸リチウム(LiSO)、硫酸リチウム(LiSO)並びにチオ硫酸リチウム(Li)の各硫黄酸化物、及びN−メチルアミノ酪酸リチウム(LMAB)の含有量は、イオンクロマトグラフ法により定量した。その結果、硫黄酸化物の総含有量は0.13質量%であり、LMABは0.07質量%であった。
(3)硫化物系結晶化ガラス(電解質粒子)
上記製造例にて製造したLiSとP(アルドリッチ製)を出発原料に用いた。これらを70対30のモル比に調製した混合物を約1gと粒径10mmΦのアルミナ製ボール10ケとを45mLのアルミナ製容器に入れ、遊星型ボールミル(フリッチュ社製:型番P−7)にて、窒素中、室温(25℃)にて、回転速度を370rpmとし、20時間メカニカルミリング処理することで、白黄色の粉末である硫化物系ガラスを得た。
この粉末(硫化物系ガラス)を、窒素中にて常温(25℃)〜260℃までの温度範囲で焼成処理を行い、硫化物系結晶化ガラス(電解質粒子)を作製した。得られた結晶化ガラスは、2θ=17.8deg,18.2deg,19.8deg,21.8deg,23.8deg,25.9deg,29.5deg,30.0に回折ピークを有することが確認された。
本発明の電解質シート又は電解質スラリーは、電池の電解質の形成に好適に使用できる。本発明の電池は、電池自動車等の装置の電源に使用できる。

Claims (8)

  1. 電解質粒子と、バインダーと、を含有する電解質スラリーを、基材に塗布して電解質層を形成する工程と、
    前記電解質層を極材層に転写し、前記基材を前記電解質層から剥がす工程と、を有し、
    前記電解質スラリーの固形分濃度が、20wt%以上90wt%以下であり、
    前記固形分中の電解質粒子の割合が50wt%以上99.5wt%以下であり、
    前記基材の剥離力が20mN/cm以上1500mN/cm以下である、
    極材層と電解質層を有する積層体の製造方法。
  2. 前記電解質粒子は、式(1)で表される組成を有する請求項1に記載の製造方法。
    Li…(1)
    (式(1)において、MはB、Zn、Si、Cu、Ga及びGeから選択される元素を示し、
    a〜dは、各元素の組成比を示し、a:b:c:dが1〜12:0〜0.2:1:2〜9を満たす。)
  3. 前記式(1)のbが0である請求項2に記載の積層体の製造方法。
  4. 前記式(1)のa:c:dが1〜9:1:3〜7を満たす請求項3に記載の積層体の製造方法。
  5. 前記バインダーは、分子骨格に下記構造単位Aを含む樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
    Figure 2016154157
    (式中、R〜Rは、それぞれ、H、F、CF、CHCF、CFCF、CFCFCF、OCFCFCF、OCF又はClであり、R〜Rは少なくとも1つは、F、CF、CHCF、CFCF、CFCFCF、OCFCFCF又はOCFである。)
  6. 前記構造単位Aが、フッ化ビニリデンに由来する構造、テトラフルオロエチレンに由来する構造、又はヘキサフルオロプロピレンに由来する構造である、請求項5に記載の積層体の製造方法。
  7. 前記電解質層のイオン伝導度が1.0×10−6S/cm以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 前記電解質粒子の平均粒径(D50)が5nm以上50μm以下である、請求項1〜7のいずれかに記載の積層体の製造方法。
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