JP2016150898A - 塩化カリウムの精製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】臭化物塩を含む塩化カリウムから、作業環境の悪化や設備腐食を招くようなことのない安全性が非常に高く、効率が非常に良い、臭化物塩を除去して精製することが可能な塩化カリウムを製造する方法を提供する。【解決手段】臭化物イオンを含む塩化カリウム溶液を両性イオン樹脂に吸着させて、水で溶離して、塩化カリウムを主として含む流出画分と臭化物塩を主として含む流出画分を分離することにより、塩化カリウム溶液中の臭化物塩を効率良く除去して、精製した塩化カリウムを製造することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、塩化カリウムの精製に関し、特に臭化物の除去において、高度に精製を必要とする食品添加物、日本薬局方、工業品等の用途に利用できる品質レベルまで精製できる方法を提供する。
塩化カリウムは、食品添加物として飲料用、減塩、その他の用途に用いられる。食品添加物の規格として、含量、性状、確認試験、純度試験として遊離酸及び遊離アルカリ、臭化物、ヨウ化物、重金属、カルシウム又はマグネシウム、ナトリウム、ヒ素、乾燥減量、規格がある。この内、臭化物は臭化物イオンとして0.13%以下という規格が定められている。
また、日本薬局方では、純度試験の中に臭化物が規定され、比色試験により判定する。この方法の検出限界は、KBrとして約0.15%であり、臭化物イオン濃度として約0.10%に相当する。
塩化カリウムは、日本国内に資源が殆ど無く、大部分がカナダ、ロシア、ベラルーシ、ドイツ、イスラエル、ヨルダン等のカリ鉱産出国から輸入されている。カーナリット、シルビットなどのカリ鉱石及び塩水から分離、精製された白色又は着色した結晶で、塩化カリウムを90%以上含む(以降、このような塩化カリウムを輸入塩化カリウムと言う。)。輸入塩化カリウム中の臭化物イオン濃度は、例えばヨルダン産が0.20%程度、カナダ産が0.05%程度と言うように輸入先、産出状態によっても大きく異なる。
日本国内には、天然資源としては殆ど産出しないが、製塩工場において、海水を濃縮して塩化ナトリウム塩を析出分離した後に残る苦汁中に塩化カリウムが多く含まれており、この苦汁から塩化カリウムを生産する方法が実用化され、製造されている(以降、この製法で製造された塩化カリウムを苦汁塩化カリウムと言う。)。この方法で製造された塩化カリウム中の臭化物イオン濃度は、0.9%程度と高い場合が多い。
輪入塩化カリウム及び苦汁塩化カリウムの臭化物イオン濃度は、食品添加物規格、日本薬局方の規格を越える場合があり、このままでは適合できない。
このため、一般的に一度溶解して、不純物、不溶解分等を除去して再結晶化し、製品化する場合が多い。精製処理において行なう再結晶化方法は、一般的に輸入塩化カリウム又は苦汁塩化カリウムを溶解して濃厚溶液を調製し、該濃厚溶液を濾過、イオン交換樹脂処理等を行なって精製した濃厚溶液を、加熱濃縮、又は加熱濃縮と冷却を組合せて、塩化カリウムを析出させる。該濃厚溶液を濃縮すると、溶液中の臭化物イオンも濃縮され、塩化カリウム結晶析出時に一部該結晶に取り込まれることが分っている。このため、食品添加物、日本薬局方の試験に適合するように、濃縮を調整することが必須である。濃縮は、比較的低い段階で止めることが多く、原料から製品化できる割合は、高くできない場合が多く、製造コストが高くなる。
このため、塩化カリウム溶液中の臭化物塩を効率良く除去できる方法が強く求められている。
塩化カリウム溶液中の臭化物塩を除去できれば、輸入塩化カリウム及び苦汁塩化カリウムの品質に係りなく自由に利用できるようになり、さらに濃縮して塩化カリウム結晶が析出したあとの分離母液からも除去できてロスが削減できる。
また、製品の品質上においても、臭化物イオン濃度の食品添加物の規格等(以下、食品添加物、及び日本薬局方の規格を食品添加物の規格等と言う。)へ容易に適合できる。
さらに、塩化カリウム溶液を濃縮する工程においても、塩化カリウム溶液中の臭化物イオン濃度が十分下がってることから、より濃縮を上げることが可能で、その結果収率が改善され、より低コストで製造することができる。
特許文献1には、食塩溶液に次亜塩素酸ナトリウムを添加して臭化物イオンを酸化させ、酸性に調整したあとガスでバブリングして臭素ガスとして分離する方法が開示されている。
特許文献2には、無機塩類溶液に臭素酸イオンおよび酸を添加して臭素を生成させ、気体として放出させる方法が開示されている。しかし、特許文献1の方法では、臭素ガスとともに塩素ガスが発生し、有害で腐食性の強いガス発生を伴うことから安全性において問題のある方法であり、高コストにもなる。
特許文献2においても、同様に臭素ガスが発生し、添加物として有害な臭素酸イオンを用いることから安全性、コストにおいて問題がある。
特許文献3には、アルカリ金属塩化物水溶液からの塩素酸塩の分離方法について、両性イオン樹脂により分離する方法が開示されている。特許文献4には、アルカリ金属塩化物溶液から硫酸塩を分離する方法が開示されている。特許文献5には、濃厚な塩溶液から過塩素酸塩の除去を両性イオン樹脂でできることが開示されている。特許文献3、特許文献4及び特許文献5には、両性イオン樹脂を用いた硫酸塩、塩素酸塩、及び過塩素酸塩の分離方法が開示されているが、これらの対象塩のみの開示に止まり、臭化物塩の分離に関しては、何ら触れられていない。
特開平10−18071 特開2006−137646 特開平08−71553 特開2007−291479 特開2012−512013
本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、臭化物塩を含む塩化カリウムから、作業環境の悪化、設備腐食などを招かない安全性が高く、非常に効率良く臭化物塩を除去できる、塩化カリウムの精製方法を提供することである。
本発明者は、上述した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。臭化物塩を含む塩化カリウム溶液から臭化物塩を分離除去するため、各種イオン交換樹脂を用いた方法など多方面の検討を行った結果、イオンリターデーション機能を有する両性イオン交換樹脂を利用して塩化カリウム溶液から臭化物塩を効率的に分離出来ることを見出し、本発明を完成させに至った。
即ち、本発明は、下記1〜3の塩化カリウムを精製する方法を提供するものである。
1.臭化物塩を含む塩化カリウム溶液を、両性イオン交換樹脂に吸着させた後、水を通水して、主として塩化カリウムを含む流出画分と主として臭化物塩を含む流出画分を分離して行なう脱臭化物塩工程を含むことを特徴とする塩化カリウムの精製方法。
2.臭化物塩を含む塩化カリウムを水に溶解して調製した溶液を、両性イオン交換樹脂が充填された樹脂塔に通液して吸着させた後、該樹脂塔に水を通水し、塩化カリウムを主成分とする流出画分を回収し、臭化物塩を主成分とする流出画分などを分離除去する事により塩化カリウム溶液中の臭化物塩などを除去することを特徴とする塩化カリウムの精製方法。
3.臭化物塩を含む塩化カリウムを水に溶解して溶液を調製した後、請求項1又は請求項2の精製方法を用いて臭化物塩を主成分とする画分などを分離して得られた精製塩化カリウム溶液を、濃縮また濃縮と冷却を組合せて塩化カリウムの結晶を析出させることを特徴とする塩化カリウムの製造方法。
以下、本発明の塩化カリウムの精製方法について具体的に説明する。
本発明は、塩化カリウム溶液から臭化物塩を効率的に分離する方法を提供するものであり、臭化物塩を含む塩化カリウム溶液を、陰イオン交換基と陽イオン交換基を有して内部塩を形成している両性イオン交換樹脂が充填された樹脂塔に通液して、該塩化カリウム溶液中の塩化カリウムなどの塩類を吸着させたあと、該樹脂塔に溶離液として水を通水し、塩化カリウムを主成分とする流出画分と臭化物塩を主成分とする流出画分などを分離する方法である。
イオンリターデーション機能を有する両性イオン交換樹脂は、陰イオン交換基と陽イオン交換基を有して内部塩を形成し、交換基の非常に弱い分極により、塩を弱い力で吸着する能力をもっている。この塩を吸着する能力は、塩の種類により異なり、脱塩水で溶離すると塩毎に分かれて出てくる。所謂イオンリターデーション機能を持っている両性イオン交換樹脂を用いることが本発明の特徴である。
塩化カリウム溶液を両性イオン樹脂塔に通水すると、両性イオン交換樹脂に塩化カリウムを主成分とする塩とその他共存する塩が吸着される。次に該樹脂塔に水を通水すると、塩化カリウムを主成分とする流出画分(以降、塩化カリウム画分と言う。)と臭化物塩を主成分とする流出画分(以降、臭化物塩画分と言う。)などが分かれて流出してくる。塩化カリウム画分を回収して、臭化物塩画分を廃棄することにより、塩化カリウム溶液中の臭化物塩は分離除去できる。臭化物塩画分以外には、塩化カリウムに含まれる塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウムなどを言う。それぞれの流出画分は、両性イオン樹脂との親和性により、流出してくる位置が異なる場合が多く、塩化カリウム画分と分離できる。
両性イオン交換樹脂は、ダウエックス社のリターディオン11A8、三菱化学株式会社のDSR03(AMP03)などが市販されている。
ダウエックス社のリターディオン11A8は、カゴに入ったヘビ型樹脂として知られ、同じ樹脂内に弱酸カチオンと弱塩基アニオン官能基の両方を含有し、塩は吸着部位に対する親和性に基づいて分離される。三菱化学株式会社のDSR03は、官能基としてN、N−メチルグリシンを有し、内部塩を作ったN、N−メチルグリシン基の非常に弱い分極により塩を弱い力で吸着する能力を持っている。
該2種類の両性イオン樹脂は、基本的に本発明の求める機能を発揮することはできるが、三菱化学株式会社のDSR03(AMP03)を用いる方が好ましい。DSR03は、塩化カリウム溶液中の臭化物塩の除去率、塩化カリウムの回収率、回収した塩化カリウム画分の塩化カリウム濃度など、何れも高い性能を示す。
両性イオン樹脂に対する塩化カリウム溶液の原料負荷量は、0.1〜0.5であり、好ましくは、0.2〜0.4である。なお、原料負荷量とは、両性イオン樹脂容量に対する塩化カリウム溶液の容量比を表す。
両性イオン樹脂への塩化カリウム溶液及び溶離液の流速は、SV1〜4である。好ましくは、溶離液の流速は、SV2以下である。(ここで、SVとは、空間速度と言い、単位時間あたりに樹脂層に接触する時間の逆数を表す。)
溶離液は、水である。脱塩水、水道水、ドレン水など用いることができる。
塩化カリウム溶液は、飽和濃度に近い濃厚溶液に調製して用い、両性イオン樹脂に供給する前に懸濁物を濾過などで除去することが好ましい。
両性イオン樹脂による精製工程は、まず塩化カリウム溶液を樹脂に吸着させる工程、吸着成分を溶離させ塩化カリウム画分を回収する工程、樹脂を洗浄して再生させる工程より構成され、実際の運用においては、この工程を繰り返して、精製処理を行なうことになる。再生工程においては、水の流速をSV1〜5で流して再生する。樹脂が再生できる適切な流速を設定する必要があるが、可能な限り早く流すことにより、再生時間を短縮して、一連の精製処理工程に要する時間を短くして、効率良く行なうことができる。
本発明で精製した塩化カリウム溶液は、濃縮又は濃縮・冷却により塩化カリウムの結晶を析出させることにより、臭化物イオン濃度の低い、精製された塩化カリウム結晶とすることができる。
塩化カリウム溶液を濃縮して結晶化する工程では、塩化カリウムは飽和から過飽和になって析出し、臭化物イオンは塩化カリウム結晶に取り込まれるが、この取り込みは、該溶液中の臭化物イオン濃度に影響され、上昇するのに比例して高くなることが知られている。一方取り込まれず溶液に残った臭化物イオンは、次第に蓄積され、該溶液中の濃度は上昇して行く。このため、塩化カリウム溶液中の臭化物イオン濃度が、食品添加物規格等に適合できるレベルで濃縮を調整する必要がある。塩化カリウム溶液の濃縮は、該溶液中の臭化物イオン濃度の上昇が制約条件となっているのが現状である。
そこで、以下の2つが求められている。
まず、塩化カリウム溶液中の臭化物イオン濃度が、十分なレベルまで低減できること、つまり濃縮されても溶液中の臭化物イオン濃度の上昇を抑制できることである。
本発明の方法を用いれば、塩化カリウム溶液中の臭化物塩を90重量%以上除去可能であり、十分低い濃度まで下げることができる。濃縮による濃度上昇があっても、十分基準内に収めることができる。
次に、濃縮された塩化カリウム溶液から塩化カリウム結晶を固液分離したあとの分離母液を廃棄することなく利用できるかである。
該分離母液は、原料塩化カリウムを溶解した塩化カリウム溶液を混合して、本発明の精製方法を用いて臭化物塩を除去して、結晶工程に供給することができれば、原料塩化カリウムは、無駄なく利用できる。本発明のような技術が無ければ、濃縮工程で臭化物イオンが高濃度になると廃棄するしかなかったが、本発明の精製方法を用いて処理することで、食品添加物規格等に適合できるレベルまで臭化物イオン濃度下げて再利用することができ、原料塩化カリウムのロスを大きく減らすことができる。
塩化カリウム結晶を生成するにあたって、濃縮する方法としては、加熱濃縮するのが一般的で、大気圧又は減圧下で行なうことにより、塩化カリウム溶液は、飽和から過飽和に濃縮されて、塩化カリウムの結晶核が液中で発生する。結晶析出部は、攪拌、液循環などを行い、結晶核の成長、凝集等による粒径、形状などの制御が行なえるようにする。塩化カリウムの溶解度は、温度の影響を受け、低温域ほど溶解度が下がる温度依存性があり、加熱濃縮後、この性質を利用して冷却工程を加えることも有力な方法である。
本発明において、原料塩化カリウムを溶解して塩化カリウム溶液を調製する。原料塩化カリウムは、輸入塩化カリウム及び苦汁塩化カリウムのどちらもを用いることができる。該塩化カリウム溶液は、飽和濃度に近い濃度まで塩化カリウムを溶解して調製されたものである。塩化カリウムが、溶解する際、吸熱するため加熱しながら溶解するのが好ましい。溶解方法は、攪拌溶解、バブリング溶解、液循環溶解等、特に制限はない。
以上説明したように、本発明は、塩化カリウム溶液から、臭化物塩を除去するのにあたり、有害なガスや設備を腐食させるようなガスが発生することがなく安全性が非常に高く、非常に効率良く除去できる塩化カリウムの精製方法であり、安全に低コストで高品質の塩化カリウムを製造する方法を提供することができる。
以下に、本発明の実施形態について説明する。これらはあくまで例示であって、各種の調整が可能なこと、またその調整例も本発明の範囲に含まれることは当業者に容易に理解されるところである。
株式会社日本海水の赤穂工場で製造した塩化カリウム400gを脱塩水1リットルに溶解した。溶解は、3リットルのガラスビーカーに脱塩水を入れ、スターラーで攪拌しておく。この中に少量づつ塩化カリウムを投入して溶解する。塩化カリウムが溶解する際、吸熱して温度が下がるので、ヒーターで50℃程度まで加熱しながら溶解した。塩化カリウム溶液は、室温まで冷却した時に若干ビーカーの底部に結晶が残存している状態であった。該調製した塩化カリウム溶液の塩化カリウム及び臭化カリウム濃度は、表2の通りである。
三菱化学株式会社の両性イオン樹脂DSR03を2リットル、透明塩化ビニルで製作した樹脂塔に充填した。樹脂塔は、直径50mm、樹脂の高さは、115cm程度であった。塩化カリウム溶液を流速SV0.86で、590mlを上から供給した。原料負荷量BVは、0.295とした。次に、溶離液として脱塩水を流速SV0.89で、8リットル流し、流出する画分を4リットルまでは200ml毎、これ以降は1リットル毎にポリ容器に採取した。採取したサンプルは、塩化物イオンは硝酸銀滴定法で、臭化物イオンはイオンクロマトグラフのメトローム社881Compact IC proで濃度測定を行った。結果を表1及び図1に示す。ここで、BVとは、原料負荷量と言い、樹脂量に対する塩化カリウム溶液量を容量比で表した。
表1の画分の内、塩化カリウム濃度の高い画分である6〜9を回収し、これ以外の画分は廃棄した。塩化カリウムの回収率は、原料の塩化カリウム溶液中の塩化カリウム含量で回収した画分中の塩化カリウム量を除して百分率で求めた。また臭化物塩である臭化カリウムの除去率は、原料の塩化カリウム溶液中の臭化カリウム含量で回収した画分中の臭化カリウム量を除して残存率を求め、100から差し引きして求めた。結果は、表2の通りである。なお、塩化カリウム濃度は、採取した両分溶液の塩化物イオン濃度に係数2.103を、臭化カリウム濃度は、該臭化物イオン濃度に係数1.444を乗じて求めた。
実施例1の結果を以下に説明する。
苦汁塩化カリウムを原料にして、塩化カリウム溶液を調製して、本発明の両性イオン樹脂に吸着させ、水で溶離させると、図1に示すようにまず塩化カリウムが溶離して、次に臭化カリウムが溶離する。両成分の溶離位置は、ほぼ綺麗に分離できる程度に離れており、塩化カリウムが主として溶離する流出画分を回収することにより、臭化物塩をほぼ除去できることが分る。さらに臭化カリウムの後に塩化マグネシウムが流出した。本発明の方法で精製すると、塩化カリウム溶液中の臭化物塩である臭化カリウムは、97.78%除去でき、また原料の塩化カリウムは、90.74%と高率で回収できることが確認できた。
Figure 2016150898
Figure 2016150898
株式会社日本海水の赤穂工場で製造した塩化カリウムを用い、実施例1と同様に塩化カリウム溶液を調製した。調製に用いた原料塩化カリウムの分析値は表3の通りである。
三菱化学株式会社の両性イオン樹脂DSR03を2リットル、透明塩化ビニルで製作した試験塔に充填した。樹脂塔は、実施例1と同様である。塩化カリウム溶液を流速SV1.02で、610ml供給した。原料負荷量BVは、0.305とした。次に、溶離液として脱塩水を流速SV0.83で、8リットル流し、流出する画分を5リットルまでは250ml毎、これ以降は1リットル毎にポリ容器に採取した。採取した画分の分析は、実施例と同様である。分析より画分4〜7を回収し、その他の両分は廃棄した。回収した画分の塩化カリウムの回収率は、89.78%、臭化物塩の除去率は、97.09%であった。これを1リットルのガラスビーカーに入れ、攪拌しながら、電気ヒーターで加熱して蒸発濃縮した。濃縮は、蒸発させて70%減量するまで行なった。その後、直ちに攪拌冷却した。冷却は、ビーカーを水道水に浸け、25℃まで行なった。
析出した結晶は、ヌッチェにNo2濾紙をセットして吸引濾過し、その後1000Gの遠心分離機で5分間脱水し、100℃で2時間乾燥した。析出した塩化カリウム結晶を分析した結果を表3に示す。ここでGとは、遠心効果で、遠心加速度と重力加速度との比を表す。
また、比較例1として、実施例2の塩化カリウム溶液を、本発明の精製を行なわずにそのまま実施例2と同様の方法で濃縮、冷却して析出した塩化カリウム結晶の分析結果を表3に示す。
なお、分析は、食品添加物公定法の塩化カリウムに従って行った。
Figure 2016150898
表3に示すように、原料塩化カリウムの臭化物濃度は、0.88%で、これを溶解して再結晶しても、比較例1に示したように食品添加物の規格の0.13%以下には適合できない。本発明の両性イオン樹脂を用いる方法で精製すると、臭化物濃度は、0.00%と検出できない程度に低減し、食品添加物規格等に十分適合した。
実施例1において、両性イオン樹脂塔により塩化カリウム溶液の精製を行なった際に、該塩化カリウム溶液を該樹脂に吸着したあと、該樹脂に脱塩水を流して流出してくる流出液中の各成分濃度の変化と流出液量の関係を示す図である。

Claims (3)

  1. 臭化物塩を含む塩化カリウム溶液を、両性イオン交換樹脂に吸着させた後、水を通水して、主として塩化カリウムを含む流出画分と主として臭化物塩を含む流出画分を分離して行なう脱臭化物塩工程を含むことを特徴とする塩化カリウムの精製方法
  2. 臭化物塩を含む塩化カリウムを水に溶解して調製した溶液を、両性イオン交換樹脂が充填された樹脂塔に通液して吸着させた後、該樹脂塔に水を通水して、塩化カリウムを主成分とする流出画分を回収し、臭化物塩を主成分とする流出画分などを分離除去する事により、塩化カリウム溶液中の臭化物塩などを除去することを特徴とする塩化カリウムの精製方法
  3. 臭化物塩を含む塩化カリウムを水に溶解して溶液を調製した後、請求項1又は請求項2の精製方法を用いて臭化物塩を主成分とする流出画分などを分離して得られた精製塩化カリウム溶液を、濃縮また濃縮と冷却を組合せて塩化カリウム結晶を析出させることを特徴とする塩化カリウムの製造方法。
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